平成13年(2001年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 12月11日
農林水産部長(天願貞信)
 

 県内JAの一本化問題について、合併赤字農協に対する県、中央会の指導に問題があったと思うがどうか、これまでの総括と反省がない限り同じ過ちを犯すと思うが、県の決意についてにお答えいたします。
 これまで広域合併したJAが債務超過に陥った主な要因としては、バブル期に貸し付けた債権が不良債権化したこと、長引く景気低迷による担保資産価値が下落したこと、農業者の経営不振による未収金の発生、さらにはJA経営の体質などが挙げられます。
 県単一JA合併構想においては、合併に際し、不良債権及び赤字は一切持ち込まないとの基本原則に基づき、合併後の強固な経営計画を策定したところであります。経営計画については、県を初め農林水産省、貯金保険機構との協議に基づき策定したところであります。県としても、単一JA合併実現により強固な経営基盤が確立できるよう積極的に支援していく考えであります。
 次に、経営者の責任の所在や責任のとり方、組合員の出資金の削減等は明確にされているかについてお答えします。
 債務超過JAにおいては、弁護士や組合員代表で構成する経営責任検討委員会を設置し、経営責任の明確化に努めております。現在、債務超過JAにおいては経営責任や出資者負担について組合員に対する説明会を開催しているところであります。
 次に、経営に携わった者はどう責任をとるか、また役員責任は適切に厳しくなされるべきと考えるがについては、関連しますので一括してお答えいたします。
 債務超過JAの経営責任については、刑事、民事、道義的責任について事案ごとに責任度合いに応じて明らかにする必要があります。このため、経営困難JAにおいては経営責任検討委員会を設置して役員責任の明確化に努めております。
 また、今回、多くの債務超過JAが存在することから、経営責任追及の基準を統一するため県レベルにおいても経営責任検討委員会を設置し、経営責任検討のガイドラインを策定しております。経営責任検討委員会の最終的な決定に基づき、債務超過JAの理事会に対し勧告を行い、具体的な責任追及を求めていくこととしております。
 次に、農協の任務と役割、県及び市町村行政とのかかわりについて、さらに合併構想は農協の理想から後退すると思うがどうか、一般の銀行と農協の違いは何かについては、関連しますので一括してお答えします。
 農業協同組合は、農家組合員の自主的な相互扶助組織として組合員への最大の奉仕を目的とする非営利法人であります。
 昨今の農業・農村・農協を取り巻く環境は、社会・経済的情勢の大きな変化により極めて厳しいものがあります。このことから、現状のまま個々の農協運営を継続することは困難な状況にあると考えております。
 そのため、JA沖縄グループにおいては県単一JAの実現により経営基盤の抜本的な強化に努めております。このことが農協本来の使命である農家組合員へのサービスの向上と農家所得の安定向上に大きく貢献するものと考えております。県としても、農協の自主性を尊重しつつ検査や指導・監督を通じて健全な農協経営が実現するよう支援していく考えであります。
 次に、ペイオフ解禁で影響を受ける農家と合併に伴う組合員全体の利益とのバランスを考える必要があると思うがどうかについてお答えします。
 農協の使命は、組合員全体の利益を守ることであり、その一環として組合員である貯金者の利益を守ることも当然の責務であります。県内28JAの組合員は約11万6000人で、そのうちペイオフ解禁により影響を受けると思われる組合員は約1割程度であります。
 県単一JAの実現によって債務超過JAの赤字処理と、より効率的かつ効果的な組織の改編、財務の健全化が図られます。これにより強固な経営基盤が確立され、多様化する組合員のニーズに十分こたえていくことが可能となります。このことが組合員全体の利益につながるものと考えております。
 次に、12月17日の合併予備契約締結に向けた取り組み状況と見通しはどうか、また1月18日の合併総会に向けた取り組みと見通しはどうかについて、関連しますので一括してお答えします。
 合併推進本部委員会においては、来る12月17日の合併予備契約の調印に向けて各JAの役職員及び組合員に対する説明会を集中的に行っているところであります。また、各JAにおいても予備契約の調印に向けて理事会を開催し、合併承認の決議を行っているところであります。先週末までに多くのJAで承認決議がなされており、近日中にはすべてのJAで承認決議がなされるものと考えております。
 合併推進本部においては、合併予備契約の調印に基づき来る1月18日の合併総会に向け、県単一JA合併計画について各JAの役職員及び組合員に対して説明することになっております。県としましても、県単一JA合併の実現に向け積極的に支援をしていく考えであります。
 以上であります。

 
20010605080180