平成23年(2011年) 第 8回 沖縄県議会(定例会)
第 8号 12月 8日
知事公室長(又吉 進)
 

 嘉手納基地から発生する事件・事故、騒音問題についての御質問の中で、航空機の燃料漏れ事故に対する県の対応についてお答えいたします。
 去る8月16日、訓練を終えたF15戦闘機の機体にふぐあいが生じ、燃料を放出しながら嘉手納飛行場に緊急着陸する事故が発生しました。当該事故の連絡を受け、県は、沖縄防衛局及び第18航空団に対し原因の究明と再発防止に万全を期すことなどを強く申し入れたところであります。
 また、9月21日及び11月10日、横田基地所属のC130輸送機が燃料を放出しながら嘉手納飛行場に着陸する事案が発生しました。当該事案を受け、県は、沖縄防衛局を通じて第18航空団に事実関係等を照会したところ、同航空団から、C130輸送機の燃料放出は極微量の燃料の自動放出であり、正常で安全な飛行機能である旨の回答がありました。さらに、去る11月30日、横田基地当局者より、将来において燃料放出が起こらないようにするための措置を既にとったとの連絡を受けたところであります。
 県としては、軍転協とも連携し、引き続き実効性のある再発防止と今後の安全管理の徹底に万全を期すよう強く求めてまいります。
 次に、米空軍嘉手納基地内海軍駐機場の移転工事についてお答えいたします。
 嘉手納飛行場における海軍駐機場の移転については、SACO合意における「騒音軽減イニシアチブ」において主要滑走路の反対側に移設されることとされております。沖縄防衛局によれば、海軍駐機場の移転先整備地区における駐機場誘導路等については、昨年10月に日米間で実施合意され、さらにことし4月には統合駐車場及び附帯施設の実施合意がなされており、現在これらの工事を実施しているところであるとしております。
 県としましては、同駐機場の移転は、隣接する屋良地区の騒音軽減に効果があるものと考えており、引き続き同飛行場における航空機騒音の軽減が早期に図られるよう対応してもらいたいと考えております。
 次に、特定防衛施設周辺整備調整交付金の要件対象の拡大についてお答えいたします。
 県は、これまで渉外知事会を通じて、政府に対し、基地に起因する騒音等の障害、民生安定等のための十分な予算措置を講ずることを要請してきたところであります。
 防衛省は、去る10月21日、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第9条第1項の規定に基づき、特定防衛施設及び特定防衛施設関連市町村の追加指定を行ったところであります。今回の追加指定は、平成21年に実施された行政刷新会議の事業仕分けで地元の要望が反映されるよう見直しを求められたことを受けて要件対象を拡大し、全国一律に実施されたものであります。沖縄関係分では、新たに特定防衛施設として鳥島射爆撃場及び北部訓練場の2施設が、同関連市町村に久米島町、国頭村及び東村がそれぞれ指定され、その結果、今年度は18市町村に対し約32億5800万円の交付が予定されております。
 県としましては、基地周辺地域に対し政府がその影響への措置を講ずることは当然のことと考えており、今後とも引き続き日米両政府に対し本県の過重な基地負担の軽減を求めてまいりたいと考えております。
 次に、防音工事についての御質問の中で、防音工事について、基準日以降の住宅建築件数についてお答えいたします。
 新聞報道によれば、住宅防音環境促進協議会の調査では、嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺で基準日の1983年から2009年末までに1万6533件の住宅が建築されたとのことであります。嘉手納飛行場及び普天間飛行場の周辺において、住宅防音工事の対象となるうるささ指数(W値)75や80といった第一種区域は、嘉手納町、北谷町及び読谷村の全域と沖縄市、うるま市、恩納村、宜野湾市、北中城村及び浦添市の一部が指定されておりますが、当該市町村の第一種区域内において区域指定後に建築された住宅数は、沖縄防衛局に照会しておりますけれども把握されておりません。
 次に、防音工事対象拡大に関する県の取り組みについてお答えいたします。
 住宅防音工事対象区域の拡大については、県は、軍転協や渉外知事会とも連携しながら、あらゆる機会をとらえて政府に対し求めているところであります。本年7月29日には知事が渉外知事会の副会長として外務大臣、防衛大臣等に面談し要請を行っております。また、10月17日には一川防衛大臣に、10月19日には玄葉外務大臣に知事が直接要請を行ったところであります。さらに、10月26日及び27日には知事が軍転協の会長として野田総理大臣、藤村官房長官、玄葉外務大臣、一川防衛大臣等と直接面談し要請を行っております。
 県としては、引き続き軍転協や渉外知事会等とも連携しながら、日米両政府に対し粘り強く航空機騒音の軽減及び騒音対策の強化・拡充を求めてまいります。
 次に、防音工事対象拡大に関し、県外の取り組みについてお答えいたします。
 防音工事対象拡大については、渉外知事会で行っている要請のほか、米軍が使用する飛行場の所在する各自治体においても要請を行っているものと承知しております。厚木海軍飛行場の所在する神奈川県では、本年8月に県と基地所在市とで構成される神奈川県基地関係県市連絡協議会で住宅防音工事に関し指定区域の拡大を要望しております。また、横田飛行場の所在する東京都においては、昨年11月に国の予算要求に対する提案として住宅防音工事について対象区域を拡大することを求めております。
 次に、防音工事に関し、太陽光発電システム導入の進捗状況についてお答えいたします。
 住宅防音工事が実施された住宅への太陽光発電システム設置に関し、去る5月の軍転協要請に対する政府の回答では、平成21年度までの調査の結果、同システムを一定地域に集中設置する場合の技術的な問題について検討が必要であり、今後、技術開発の動向、費用対効果及び環境問題に対する社会情勢の変化等の観点を含め総合的に検討し、同システム設置助成の制度化について判断したいとのことでありました。
 県としましては、去る10月、軍転協を通じ、太陽光発電システム設置助成を早急に制度化するよう改めて政府に求めたところであります。
 次に、住宅防音工事の手続の簡素化についてお答えいたします。
 住宅防音工事の手続の簡素化について沖縄防衛局に照会したところ、防音工事は「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に基づいており、事務の簡素化には限界があるものの、今年度から各種書類の作成等の事務手続支援を委託するなど、住民の負担とならないよう努めているとのことであります。
 次に、道路行政についての中で、北谷町での浸水被害に対する県の取り組みについてお答えいたします。
 去る8月、台風9号の大雨によりキャンプ瑞慶覧から北谷町字玉上の民家敷地へ大量の雨水が流れ込み、庭の一部が陥没するなどの被害が発生しております。本件被害に対する対応について沖縄防衛局に照会したところ、被害者立ち会いのもと被害状況の確認を行い、防衛局として適切に対応する旨説明を行ったとのことであります。再発防止策については、民間地域に雨水が流出しないよう雨水排水路の整備を計画しており、平成25年度に完成予定とのことであります。また、補償の内容について検討しているところであり、できるだけ迅速に対応していきたいとのことであります。
 県としましては、政府において再発防止に万全を期すとともに、早期解決に向け誠意を持って対応するべきであると考えております。
 以上でございます。

 
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