平成 9年(1997年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 10月 6日
第 4号 10月 6日
 

議 事 の 概 要 
平成9年10月6日(月曜日)
午前10時2分開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第3号議案まで、乙第1号議案から乙第19号議案まで及び認定第1号から認定第3号まで(質疑)
一般質問及び質疑
 1 小渡  亨君(自民党)   
 2 仲里 利信君(新進党)
 3 宮平 永治君(自民党)
 4 上原 吉二君(無所属)
 5 西銘恒三郎君(無所属)
 6 西田健次郎君(自民党)
 7 嘉陽 宗儀君(共産党)
 8 平敷 昌一君(新風会)
 9 兼城 賢次君(社会・護憲)
午後5時49分散会
    
○議長(友寄信助君) これより本日の会議を開きます。
 日程に入ります前に報告いたします。
 10月2日、上原吉二君外12人から、議員提出議案第1号新たな道路整備五箇年計画の策定と道路特定財源堅持に関する意見書の提出がありました。
 次に、9月24日から10月1日までに受理いたしました請願2件及び陳情6件は、お手元に配付の請願文書表及び陳情文書表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたしました。
 その他の諸報告については、お手元に配付の文書により御了承願います。
○議長(友寄信助君) 日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第3号議案まで、乙第1号議案から乙第19号議案まで及び認定第1号から認定第3号までを議題とし、質疑に入ります。
 質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
 小渡 亨君。
   〔小渡 亨君登壇〕
○小渡 亨君 おはようございます。
 それでは沖縄県議会の慣例にのっとりまして議案審議と一般質問をごちゃまぜにして行います。
 まず最初に、我が党の代表質問との関連についてお伺いします。
 沖縄開発庁の統廃合問題で行政改革会議の水野清事務局長、これは首相補佐官でございますが、その方が県首脳の発言を根拠に、県側には沖縄開発庁の役割は終えた、開発庁の存続の意向がないという内容を公式、非公式の場でさんざん話していることが3日までにわかったという10月4日付の琉球新報の記事がありました。それは事実ですか。
 また県首脳とはだれですか、答弁を求めます。
 次に、議案に対する質疑を行います。
 乙第19号議案「沖縄県収用委員会委員の任命の承認について」について。
 去る6月の定例議会において、元一坪反戦地主の収用委員人事案件を否決に持ち込んだ以降、私のもとには県内外から一坪反戦地主会に関するあらゆる情報が寄せられてくるようになってきております。
 そこで、つい最近入手した情報によりますと、議題となっている乙第19号議案に対し重大な疑義が生じましたので、3点ほど質疑を行います。
 1点目、沖縄県公報第2516号、これは平成8年11月8日発行でありますが、嘉手納基地内にある一坪反戦地主が群がっている嘉手納町字東野理原381番地の中に持ち分1672分の1で石垣市字石垣56番地の玻名城泰雄氏という名前があります。一坪反戦地主会の趣旨に賛同し契約拒否運動を実施している玻名城氏と乙第19号議案の上間瑞穂氏との関係を説明してください。
 2点目、知事が専決処分で上間氏を収用委員に就任させた8月1日以降今日まで上間氏は米軍用地の使用に関する収用委員会審理を何回実施しておりますか。
 3点目、土地収用法第61条によりますと委員の除斥の規定が定められております。4親等以内の親族とは直系血族の場合、さらに直系姻族の場合それぞれ何親等になるのか、説明をしてください。
 高齢運転者の交通安全対策について質問を行います。
 沖縄県は日本一の高齢者の多い県であります。つまり沖縄県の自然環境、食生活、ユイマールの心を持った人間関係が長生きの秘訣だとも言われており、とてもすばらしいことだと私は思います。
 しかし、最近の交通事故発生状況を統計的に見てみますと、お年寄りはかつての交通弱者、つまり被害者としての事故が減り、逆に加害者、つまり交通事故を起こす立場に急速に変わりつつあります。
 第一線を後進に譲り、悠々自適の生活が一瞬にして賠償責任を負わなければならない立場に置かれるわけであります。それらの悲劇を未然に防止するという目的で警察庁は道路交通法を改正し高齢運転者の交通事故防止対策に乗り出しつづあります。
 この警察庁の方針を先取りする形で我が沖縄県を除く九州各県は既に公的資金を使い、その対策に臨んでおります。
 一例を挙げるならば、宮崎県が平成8年度から実施している年輪ドライビングスクールがあります。これは単なる座学中心の講義形式ではなく、実際に車を運転させ運動能力の低下を本人に自覚させ、今後の交通安全対策に生かそうというものであります。
 日本一の長寿を誇る我が県の対策は残念ながら旧態依然のままであります。九州各県と沖縄県との取り組みの違いをまず説明してください。
 次に、交通安全施設、特に信号機の整備について質問いたします。
 道路交通における信号機の役割は大変重要であり、いかなる場合においても正確に点灯し、停止線に対し正対して設置されなければなりません。
 しかし本県は他県に比べ塩害や潮害等がひどく、信号機のカバーの取れたもの、あるいは著しくさびたもの等々の信号機がかなり多く見受けられます。
 去る8月の台風13号が長時間我が沖縄県を暴風雨に巻き込んだ際落下している信号機等もありました。これは人命にもかかわる大変大きな問題であると私は認識しておりますが、その信号機の安全管理について当局はどのように対策をとっているのか、答弁を求めます。
 次に、手数料と委託料の関係について。
 本来公の機関が実施しなければならない業務を公務員の定数制限あるいは利用する県民の利便性、さらに民間活力の利用等によって民間企業に委託している業務は数多くあります。
 県が実施しているすべての手数料を伴う委託業務については別の機会に質問するといたしまして、今回は運転免許行政に関する点を質問いたします。
 県内には公安委員会指定の自動車教習所が20校余りあり、それぞれ安全で優良な初心運転者の育成に努めているところであります。そして運転免許取得者のほとんどが指定校の卒業生であります。指定校は道路交通法に基づく指定された業務以外に各種の委託業務を県から受けて実施しておりますが、利用する県民が県証紙で県に納めた
手数料額と県から委託先に支払われる委託料との差が余りにも大きく、その委託割合の査定がよくわかりません。詳しく説明してください。
 次に、沖縄県総合防災訓練について質問します。
 県が9月1日に石垣島で実施した総合防災訓練は現実に即した訓練であり、今後県民の生命と財産を守る上で大変有意義であったと私は思います。
 特に、災害派遣をその任務の一つとしている陸・海・空自衛隊がそろって参加できたということは、防災にはイデオロギーが入り込む余地がないということを改めて示したものであります。消防防災課の課長を初め職員の皆様の御苦労に対し感謝をいたします。
 そこで、県民の生命と財産を守る防災についての最高責任者は知事であります。知事に対し今回の訓練の成果と今後の問題点は何なのか、お尋ねいたします。
 沖配ビル等の取得事業について。
 県が平成7年に取得しました沖配ビル等について、現在那覇地方裁判所において知事が住民訴訟事件の被告となって裁判が係争中であります。
 そこで、沖配ビル等の購入の経緯と知事が訴えられた原因、つまりこの裁判の争点は何なのか、詳しく説明してください。
 次に、全県FTZ県の素案にかかわる県民の自立とはについて質問します。
 FTZについては特別委員会が今後持たれ、詳しく論議することでありますので、ここでは基本的なことを1点だけお尋ねします。
 知事は、今までの沖縄振興開発計画では実現することのできなかった沖縄県の自立的な経済発展の確立という大きな目標を掲げております。そしてそれを実現するために国際都市形成構想を打ち上げ、その一部である全県FTZを推進しようとしております。

 しかし県の素案、あるいは先日の代表質問等での答弁によりますと、沖縄県民は国税、県税等の減免をしてもらい、県はその減収分を地方交付税で減収補てんをしてくださいとか、あるいは今までの高率補助政策はそのまま維持してくださいとか、あるいは外国からの輸入品に関しては関税をかけずに沖縄で加工し、市場である本土へ移出する場合には特恵措置的関税でお願いしますとか、今まで以上に日本政府依存経済体質であります。
 知事の言う沖縄県民の自立とは日本政府に対しておんぶにだっこのこのような社会の実現というのを目指しているのか、知事の答弁を求めます。
 1回目終わります。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 小渡亨議員の御質問にお答えいたします。
 まず、沖縄県総合防災訓練について、その訓練の成果についてどう考えるかという趣旨の御質問でございます。
 総合防災訓練は、災害対策基本法及び沖縄県地域防災計画に基づいて各防災関係機関の緊密な連携、協力のもとに災害発生による被害を最小限にとどめるとともに、広く県民の防災思想の普及高揚を図ることを目的として実施されるものであります。
 ことしの総合防災訓練は、石垣市において離島大規模災害を想定して本島から消防、警察、自衛隊等の防災機関が応援部隊として移動した上で地元防災機関及び民間団体と連携して実施し多くの成果を上げることができました。
 今回の成果は、今後の離島災害や本島の大規模災害にも応用できるものと考えています。
 次に、全県フリー・トレード・ゾーンの県の素案にかかわる沖縄経済の自立とは何かという趣旨の御質問にお答えいたします。
 本県では、沖縄振興開発計画に基づく諸施策の実施により社会資本の整備を中心に相当の成果を上げてきました。しかしながら産業経済の現状は財政依存度が県民総支出の32%で、これは全国の約2倍になるわけでございますが、3600億円の移輸入超過になっているなど県外依存度の高い脆弱な構造となっており、県民所得は低く失業率は高いという極めて厳しい状況にあります。
 沖縄経済の自立とは、こうした対外依存度が高い現状を打開し、みずからの意思と能力により経済発展を実現していくことであると認識しています。このため既存の振興策等に加え、全県自由貿易地域の展開を初め情報通信関連産業の集積の促進、国際観光保養基地の形成など新たな産業振興策を着実に推進することにより経済的自立を図ることにしています。
 なお、国の方にいろいろと特別措置などをお願いしながら、また一方では規制緩和等を含む自由貿易地域をやるのはどうかという趣旨の疑問が提起されましたけれども、これは御承知のように沖振法の成立の中にうたわれておりますように沖縄が他の都道府県とは異なった歴史的な背景を持っていただけじゃなくて、アメリカの統治下に置かれていて、そして民生面の立ちおくれというのが非常に目立っていると。しかも財政的な支援策が他の都道府県と同じようにその間とられていなかったとか、そういったさまざまな理由がありますので、確かに矛盾する面はありますが、これは過渡期のありようとしてはやむを得ない面があるのではないかというふうに考えております。
 なお、その他の御質問につきましては副知事を初め関係部局長から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 吉元副知事。
   〔副知事 吉元政矩君登壇〕
○副知事(吉元政矩君) 先週土曜日の琉球新報さんの記事との関連での質疑が出ていますのでお答えします。
 記者の質問が先週の中ごろありまして、そのときに行革会議の水野事務局長に会ったことがあるのか、その際どういう話をしたのか、とりわけ開発庁不要論を言ったのかという確認の質問が出ていました。
 私は、行政改革会議の水野事務局長には会っていませんということを明確に申し上げました。
 その際、9月の4日に開発庁存続のための機能強化のための要請をしましたし9月19日でしたか18日でしたか、今度は開発庁のあり方として内閣府の外庁として大臣をかついだ開発庁の組織を位置づけてほしい。現地事務所として当然沖縄総合事務局もやってほしいと。図面に書いた具体的な要請書を細かく説明して協力を求めました。
 ところが、この記事の中に水野事務局長が昨年11月以前に複数の与党幹部が同席した非公式の会合で云々というのがあるんですが、これは私も記憶がなかったものですから調べてみたら、昨年の5月下旬に自民党の──特定の名前は外しますけれども──総務会長、社民党の政調会長等がお集まりになって私を呼んだ時期があります。場所は東京ですが、朝早くから呼ばれまして朝食をごちそうになりながら話し合いました。そのときに水野さんも同席していました。
 したがって、私が記録にありますものを調べてみても水野さんとお会いしたのはそれ1回なんです。
 多分そのことだと思って調べてみました。それは国会決議が一つ出されました。
 御承知のとおり、沖縄基地問題並びに地域振興に関する決議、4月22日ですが、この中で沖縄振興策について総合的かつ実効性のある大胆な改革を含めた沖縄振興策を講ずべきだという決議がまとめられています。それをさかのぼること4月の10日には沖縄振興策に関する与党合意事項というのが8項目ありまして、この中で沖縄政策協議会で集約している案件について着実に推進するということと、2番目に、自由貿易地域の拡充強化について一国二制度的な大胆な改革を目指し平成9年度中に結論を得ることというふうに約束をされた合意事項があります。
 このことを踏まえながら、5月の下旬ですか、どういうふうに与党の方に働きかけらいいのか、その相談を社民党を通じてやっていたわけです。
 その結果が先ほど言いましたように自民党の当時の総務会長を交えた話し合いの場になりました。
 そこで私が説明したのは2つあります。
 1つは、沖縄国際都市形成構想調査概要版について、構想の内容にっいそ説明しました。
 2つ目は、基地返還アクションプログラムについて、県素案について具体的に説明を申し上げました。そしてそれを軸としてこれから与党の中で取り組んでほしいという強いお願いを申し上げました。したがってその段階では行革の論議、開発庁問題というのは話し合われていません。
 ですからこの場のことを指摘しているとするならば、それはそういう話し合いの場ではなかったというふうなことを申し上げておきたいと思います。
 以上であります。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺 勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺 勇君) 収用委員につきまして3つの御質問がございますのでお答えをいたします。
 今回の承認案件である上間委員の件でございますけれども、反戦地主とはどういう関係にあるのかというのがまず1点でございますが、これについては奥さんのお父さん、義父に当たる人が反戦地主と言われております。
 それから2つ目の、これまで収用委員会は何回開かれているかと、こういうふうなことでございますが、要するに上間委員任命後何回開かれているかということでございますけれども、これまで4回開かれております。
 それから、収用委員の除斥事項はどういうことかというふうなことでございます。
 収用委員の除斥につきましては、土地収用法第61条第1項に規定されているところでありますが、同項の規定によれば、その除斥の対象になる人でございますけれども、起業者、それから土地所有者及び関係人、それから起業者はもちろんですが、土地所有者及び関係人の配偶者、それから4親等内の親族、同居の親族、代理人及び保佐人、こういうふうな方々が除斥の対象になると、こういうことでございます。
 それではまた次の質問にお答えいたします。
 防災訓練の具体的な成果と問題点についてということの質問でございますが、ことしの総合防災訓練の具体的な成果についてまず御説明いたします。
 1つ目には、多くの市民が障害物除去訓練や救援物資仕分け訓練、また英語や中国語による情報収集等のボランティア受付訓練により自分たちの町は自分たちで守るという自主防災の意識を高めたことであります。

 2つ目には、本島からの応援部隊が民間の船舶や自衛隊の艦船及びヘリコプターを活用して集結や移動方法、さらに現地において地元防災機関との連携方法について確認することができたことであります。
 3つ目には、救出、捜索等の活動を消防、警察、自衛隊が連携して行い、相互の災害対策能力及び指揮系統などを把握することができたということであります。
 今後の課題といたしまして、すべての通信手段が途絶えた場合の情報収集伝達体制の確保であります。
 今回の訓練では、現地本部と消防防災課の間で防災行政無線やテレビ会議システムにより通信を確保いたしましたが、これらの機能が麻痺した場合には警察、海上保安庁、自衛隊の航空機やヘリコプター等からの情報収集が有効であります。今後、より多様な情報収集伝達等が図られる訓練を検討していきたいと考えております。
 次に、住民訴訟で係争中の争点は何であったのかということにつきまして御答弁いたします。
 県におきましては、地域住民の行政サービスの向上及び行政の効率化を図る観点から各地域ごとに合同庁舎の整備を進めているところであり、平成6年度には南部合同庁舎を整備いたしております。
 御質問の住民訴訟は、同庁舎の整備に関連し大田昌秀沖縄県知事、吉元政矩副知事、宮平洋出納長、山城正栄県企業局長の4名が県に損害を与えたとして上原正稔氏により個人として訴えられているものであります。 
 請求の趣旨は、1、被告は沖配ビル取得費24億9368万6000円を県に支払えと、2つ目には、沖縄県と沖配ビルとの間で結ばれた取引は無効であるとの判決を求めるというものであります。
 これに対し被告側は、原告の請求をいずれも棄却するとの判決を求めており、同訴訟は現在係争中であります。
 以上でございます。
○議長(友寄信助君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 大城貴代子君登壇〕
○生活福祉部長(大城貴代子君) 高齢運転者の交通安全対策についてお答えいたします。
 高齢者の交通安全対策につきましては、春、夏、秋、年末年始の交通安全運動等で運動の重点事項に掲げ交通事故防止に努めておりますほか、高齢者交通安全実践促進事業を警察本部、老人クラブ、自動車教習所等の協力を得まして実施しております。
 この事業は、講義形式によります交通安全教育のほか、自動車教習所の施設を利用して飛び出し事故実験、反射材の効果測定、自転車巻き込み事故実験等を行う実践参加型の講習でございます。
 昨年度は大里村、読谷村で、馬天自動車学校と嘉手納自動車学校の施設を利用いたしまして実施いたしました。本年度は石川市、本部町で実施を予定しております。
 また、かりゆし長寿大学校や長寿学園で交通安全講話等をカリキュラムの中に入れ、高齢者の交通安全教育に努めているところでございます。
 今後は実践参加型の高齢者交通安全実践促進事業の中で実技講習を取り入れる等の拡充に努め、高齢者の交通事故を防止してまいりたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 警察本部長。
   〔警察本部長 井上美昭君登壇〕
○警察本部長(井上美昭君) 小渡議員からの交通問題に関します3つの御質問についてお答えします。
 まず、高齢運転者の交通安全対策について、九州各県の取り組みと沖縄の取り組み状況について伺いたいとの御質問にお答えします。
 高齢者の交通死亡事故は平成6年までほぼ横ばいで推移しておりましたが、平成7年から急増しまして平成8年は21人の高齢者が亡くなられております。前年の16人に比べ5人という増加から見ても高齢化社会に向けた高齢者の交通安全対策は緊急かつ重要な課題と認識しているところであります。
 このような状況から、県警察におきましては高齢者の交通事故防止対策として、「シルバープロテクトかりゆし作戦」と銘打って、シルバー交通安全指導員の委嘱、交通安全教育車(かりゆし号)を活用した高齢者安全教育、運転適性検査機器を使用した「高齢者学級」の実施のほか、自動車教習所と連携した参加・体験・実践型の高齢者安全運転指導、県老人クラブ連合会や各地区の老人クラブ及び市町村や自治会等との連携を密にして組織を通じて安全講話や映写会の開催、広報資料の作成配布、模擬信号機等を活用しての実技指導及びゲートボール大会を通じての安全指導などを行っております。
 このような高齢者の交通死亡事故抑止対策を推進しましたところ、本年9月末現在の高齢者の交通事故による死者は8名で、同期に比べまして7名と大幅に減少しております。
 次に、九州各県の高齢者の交通安全対策の主な取り組みを申し上げますと、福岡県におきましては高齢者交通安全フェアの開催、佐賀県ではシルバー交通安全大学の開催、長崎県では高齢者交通安全競技大会の開催、熊本県におきましては参加実践型の高齢者交通安全教育の実施、鹿児島県では高齢者交通安全対策推進協議会の設置、宮崎県では年輪講座と称しまして運転免許の更新を1カ年以内に控えた65歳以上の高齢者に対し、参加体験型交通安全教育を実施しています。
 この事業は、県警が1642万円の予算を確保し、指定自動車学校協会と交通安全協会に事業委託して実施をしております。
 以上、九州各県の高齢者の交通事故防止対策の主な取り組みについて申し上げましたが、沖縄県警察といたしましてもこれからの高齢化社会の進展に伴いますます高齢者の交通事故は増加することが予想されますことから、今後とも各種対策を強力に推進してまいりたいと考えております。
 次に、交通安全施設の整備について8月の台風の際、国道や県道等において信号機が消えたり信号灯器が落下しているものが散見されたが、落下した信号灯器の数とその原因、県内の信号機の数とその耐用年数、信号機の保守管理状況についての御質問にお答えをします。
 御指摘のとおり信号灯器の落下は重大事故につながるおそれがあり、大変危険であると考えております。
 去る8月の台風13号の際に滅灯した信号灯器は県下で66基、落下したものが21基であります。滅灯した66基のうち停電によるものが45基、制御器の腐食による漏電が21基であります。
 落下した信号機は、昭和57年から昭和59年にかけて設置したものでありますから、長期間使用による老朽化によって腐食がひどくなって台風の強風にあおられて灯器取りつけ金具部分が損壊したというものが落下の原因であります。
 県内の信号機は平成8年度末で1594基で、信号機に取りつけてあります信号灯器は1万4331基になります。
 その耐用年数でありますが、当県は塩害等気象条件の関係で他県に比べて信号機の腐食が早く、先ほど申し上げました落下した信号灯器もすべて設置後15年以上経過したものであります。それからいたしますと信号機の耐用年数は15年が限度と思われますが、県内には15年以上経過した信号機が720基も残っているのが実情であります。
 信号機の保守管理については、専門業者に委託して点検をさせながら、腐食が進んでいるものから優先して補修更新に努めているところであります。
 次に、運転免許関係の委託事務について、取得時講習の委託、仮免許試験の委託事務の種類によって手数料の額に対する委託率が異なるのはなぜか、委託割合の算出方法について伺いたいとの御質問にお答えをいたします。
 官庁が行っております行政事務につきましては、民間でも処理できる業種に関しては事務の合理化・省力化を図る観点からできるだけ民間委託をするというのが現在の趨勢であります。
 御質問の免許事務に関しましても、道路交通法の規定に基づいて免許の取得時講習や仮運転免許試験の補助及び仮運転免許証の交付事務等を自動車教習所協会に委託しているところであります。
 ところで、御質問の趣旨は、運転免許関係の委託事務について取得時講習の委託、仮免許試験の委託等委託事務の種類によって手数料の額に対する委託率が異なるのはなぜか、委託割合の算出方法について伺いたいとのことでありますが、事務委託費の積算に当たりましては当該委託事務に要する人件費、施設費、消耗品費、光熱料等を勘案して算出しているところであります。

 したがいまして委託事務の種類によって当然人件費、施設費、消耗品費、光熱料等が異なりますので、一律に委託料は手数料の何割という定めはいたしておりません。
 県警におきましても、委託事務の遂行に万全を期すべく今後とも努力したいと考えております。
○小渡 亨君 答弁漏れがあります。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午前10時37分休憩
   午前10時38分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺 勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺 勇君) 除斥の対象となる親族についてですが、血族につきましては4親等まで、それから姻族につきましては3親等までと、こういうふうなことであります。
○議長(友寄信助君) 小渡 亨君。
   〔小渡 亨君登壇〕
○小渡 亨君 それでは再質問を行います。
 議案に対する質疑、乙第19号議案上間瑞穂氏と玻名城泰雄氏との関係は岳父であると、義理のおやじであるとなるとこれは直系姻族の一親等であります。
 今の答弁で姻族の場合は三親等、血族の場合は四親等となると明らかに土地収用法第61条に違反すると、しかも4回参加している、会議に、という答弁がございました。
 これで果たしていいのかと。法を犯したこの議案の提案はどうなるのか、お答え願いたいと思います。
 次に、高齢運転者の交通安全対策について、答弁がありましたように宮崎県が約1600万円余りを出してその対策をやっているわけです。沖縄県は1円も出しておりません。
 先ほど重点事項の2校を挙げておりました。皆さん、すべて日曜日にボランティアでやっているわけです。なかなか人は集まってきません。その辺の対策を今後どうなさるのか、生活福祉部長、これが交通安全対策の県内の責任者でありますのでお答え願いたいと思います。
 次に、手数料と委託料の関係ですが、この委託割合を査定するのは財政当局であります。今、本部長からありました。しかし手数料というのは、本来公の機関が実施するのを前提にしております。その手数料の中にはもちろん公務員の人件費は含まれておりません。本人がやるんですから含まれていません。しかしこれを何割かを削って民間に出しているわけです。そうすると民間においても最低賃金に違反するような数字になっているのが現状であります。
 その辺、財政当局は理解しているのか、お答え願いたいと思います。
 次に、沖縄開発庁の統廃合問題で、今、県の首脳というのは多分吉元副知事が答えましたので、吉元副知事だろうというふうに思いますが、この水野さんとの話の中では、昨年の5月に1回しか会ってないと、このような話は言った覚えはないということであります。
 となりますと、県内で最大の発行部数を誇る琉球新報が事実誤認のでたらめな記事を書いたというふうに理解していいのか、お答え願いたいと思います。
 沖縄県の防災訓練に関しまして再質問ですが、海上自衛隊がこの訓練において自衛艦を5隻参加させております。その5隻のうち2隻の護衛艦を初めて那覇新港に入港させております。これに対し、県内各団体からいろんなコメントがございました。
 知事にお伺いします。
 護衛艦を含め自衛艦の那覇新港への入港に際し、知事はどのような判断基準を持っておりますか。
 次に、防災に対する専門集団は自衛隊以外に在沖米軍もあります。米軍の防災に対する能力を知事は把握しておりますか、お答え願いたいと思います。
 2回目終わります。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午前10時44分休憩
   午前10時45分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 吉元副知事。
   〔副知事 吉元政矩君登壇〕
○副知事(吉元政矩君) マスコミさんの記事について事実と違うことについては私自身が明確にお答えしたとおりでありますが、その記事全体についてどう思うのかということについてはお答えできる立場ではありません。
 それから水野さんの件ですが、お答えしにくい部分もあるんですけれども率直に申し上げますと、9月の9日に経営協と連合沖縄さんが開発庁存続の要請をしたときに、こういう結果として会ったときに何を言われたということを聞いたんですが、昨年12月に沖縄県の吉元副知事が来て、中2階的な沖縄開発庁は要らないと言ったと、沖縄は本当にどう思っているのかという発言までされているということを伝え聞いています。
 したがって、そういうだれがどう言ったというところまで明確に私が事実関係として云々するのは大変好ましくないと思っているもので、聞かれた部分にしかお答えしていませんが、いずれにせよ会ってない時期に私が来たとか、こういう内容を言ったかというふうなことまで言われますと、この時期私の立場からすればやはりきちっとして言っとかなきゃいかぬなと思いますので、大変こういう場を通じて相手に御迷惑をかけることを承知の上で一言申し上げておきます。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺 勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺 勇君) 再質問にお答えいたします。
 公開審理が4回開かれていて全部参加しているのは問題があるのではないかと、こういう質問でありますが、4回開かれておりますが、当事者が関係する事案については審理には参加いたしておりません。全部で4回開催されておりますが、9月24日の収用委員会の審理には入っておりません。
 それから委託料についてのことでございますけれども、予算編成における各経費の要求枠というんですか、そういったものについては一般財源につきましてはその枠を一応設けておりますけれども、運転免許等関係経費のような手数料等の特定財源については要求枠を設定をいたしておりません。
 また、見積要領における委託料の取り扱いについては、実情及び実績を参考にしながら計上すると、こういうふうなことをいたしておりまして、各部局の実情、実績等を踏まえて所要額を見積もると、こういう手法をいたしております。
 それから、防災訓練の関係でございますけれども、自衛隊の護衛艦の参加についてでございますが、自衛隊は防災対策基本法に基づき沖縄県防災会議の委員となっており、これまで防災訓練に参加いたしております。
 今回の石垣市での訓練は本島から海を隔てた離島での訓練で、地元防災機関や住民による訓練に加え、本島からの応援体制を確立するため本島からの応援を想定し、消防機関、警察、自衛隊の訓練車両等も動員し実施しております。
 自衛隊においては、県からの防災派遣要請があった場合に迅速・確実な救助活動を行う必要があることから、艦船等による物資や人員の輸送訓練を行っております。
 それから、災害時の米軍の活用についてでございますが、その能力については私ども掌握しておりませんが、米軍と基地を管内に持つ9つの消防本部とは消防相互援助協約を締結いたしまして、火災から地域社会を守るための応援をすることになっております。
 この協定では、消火技術や消火用資機材、それから火災予防措置等について情報交換等を行うことになっております。
 以上でございます。
○議長(友寄信助君) 生活福祉部長。
   〔生活福祉部長 大城貴代子君登壇〕
○生活福祉部長(大城貴代子君) 再質問にお答えをしたいと思います。
 高齢者の交通死亡者につきましては、本県は全国に比べまして歩行中の死亡者の割合が高いということがございまして、これまでは実践コースの中身では主といたしまして屋外の歩行者の交通安全実践コース、それから夜間の事故が多いということもありまして夜間の事故防止交通安全実践コース、この2つを中心に行ってまいりましたけれども、今後は先ほどもお答えいたしましたように高齢者の交通安全実践促進事業の中で自動車運転実践コース、このコースを拡充をしていきたいということを考えております。
 特に自動車の運転免許を保有しておられます高齢者を対象にいたしまして、高齢者に身近な交通事故の現状等についての講義、それから基本的な模擬実験、危険の予測(危険回避を含みます)、それから一般道での実地体験、それから運転適性診断テスト、交通事例の研究・討論等を実践いたしまして自動車運転に関する交通安全意識の向上と安全な運転方法の実践を図るという内容でやっていきたいというふうに考えております。

○小渡 亨君 休憩。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午前10時51分休憩
   午前10時52分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 小渡 亨君。
   〔小渡 亨君登壇〕
○小渡 亨君 再度質問を続けます。
 まず議案に対する質疑、乙第19号でありますが、9月24日の審理には参加させておりませんということなんですが、一坪反戦地主会というのは、嘉手納に持っている人は嘉手納だけの反対をやっているんじゃないんです。沖縄県全体の契約拒否運動をしようと。普天間でも何かあったら参加するし、しかも玻名城さんは八重山なんです。八重山の方が直接ここでそういった会員になるということはかなり意識を持った方だというふうに思われるわけです。それがたまたま嘉手納も持っていると、だから嘉手納に関しては上間さんは省いたというのも通らないなという気がします。
 限りなく灰色に近い収用委員を任命したなというような気がするんですが、これは後ほど総務企画委員会でじっくりやられると思いますので、ここではその4回の議事録を資料として提出願います。
 議長、いいですね、4回の収用委員会の議事録を出すようにお願いします。
 1つ確認します。県当局は、その上間氏が61条の除斥の対象になるというふうに判断してないわけですね、その上間氏がね。土地収用法61条の除斥の対象にはならないというふうに判断しているんですか。
 そして上間氏の岳父が一坪反戦地主であるというのをわかったのはいつですか。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺 勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺 勇君) 再質問にお答えいたします。
 収用委員会における審理の経過等につきましては、これは別行政委員会でございますので、これまた別途そこのところについては資料等について私どもからこれは出せますというふうなわけにはいきませんので、その辺は御理解いただきたいと思います。
 それから、当該委員の選任に当たってのことでございますが、選任に当たっては欠格条項に該当しないことはもちろんと、こういうかうなことでございます。
 しかし、また法律、経済、または行政に関してすぐれた経験と知識を有していることというふうなことで議会の同意を得て選任されたということになっております。
 御指摘の委員についても、そういうことで昨年の6月議会で同意を得て予備委員に選任されたというふうなことで全会一致で同意を得たと、こういうふうな認識でもって今回提案をしたということであります。
 それで、そのこととの関連でございますが、ある意味で初めからこの方の反戦地主との存在をわかっていたのかというふうな趣旨の質問でございますけれども、当該委員が駐留軍用地を所有しているか否かの確認については専決を行う以前に事実確認は行っております。
 また、当該委員の親族に一坪反戦地主が存在することについては、当該委員が本委員に任命された、これはことしの8月1日でございますが、その後に開催された収用委員会──これはことしの8月8日でございますけれども──において本人からの申し出に基づき確認をしております。
○小渡 亨君 議長、休憩願います。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午前10時57分休憩
   午前10時58分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺 勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺 勇君) お答えをいたします。
 独自の権限を持つ行政委員会でございますので、ただいまの4回に係る要求資料については、私どもの方からも提出できる、否かを確認の上処理したいと、こう思います。
○小渡 亨君 議長、休憩。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午前10時59分休憩
   午前11時2分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺 勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺 勇君) お答えいたします。
 公開審理の部分につきましては事務局に間い合わせたところ提出できるというふうなことでございます。
 それから非公開の部分につきましては委員会に諮った上で、できるならば提出したいと、こういうふうなことでございます。
○議長(友寄信助君) 小渡 亨君。
   〔小渡 亨君登壇〕
○小渡 亨君 議案第19号に関しましては総務企画委員会でやりますので、それまでにはしっかり資料を出してください。しっかりと総務企画委員会で審議をできるようにお願いいたします。
 以上です。
○議長(友寄信助君) 仲里利信君。
   〔仲里利信君登壇〕
○仲里利信君 おはようございます。
 中学校の皆さんですか、たくさんの傍聴の皆さんもいらっしゃいますが、ぜひ執行部にはまじめな御答弁をまずお願いをしておきたいと思います。
 通告に従いまして一般質問を行います。
 今日ほどこの沖縄県が内外から注目を集めたことがあったでしょうか。
 平成7年10月21日の県民総決起大会を契機として基地返還アクションプログラム、そしてこれと連動いたしまして国際都市形成構想の策定、米軍基地継続使用に係る代理署名拒否、同関連での県民投票、沖縄政策協議会の設置、軍転特措法の改正など2カ年間に実に数多くの重要な事案がありました。
 県執行部の皆さんには大変御苦労をなさったことだと同情を申し上げたいと思います。
 さて、昨年策定された国際都市形成構想が県民に周知徹底をされないうちに、新たに全県自由貿易地域構想が突如として提起されました。県民も事の重大さはわかるものの、具体的内容がわからず右往左往しているのが実情ではないでしょうか。
 貿易が自由化されると私たちの会社はどうなるだろうか、本当に外国企業が来てくれるだろうか、物価は大幅に安くなるというけれどもこれは本当だろうか、給料は従来どおりもらえるだろうか、このような声がちまたで聞こえるのが昨今の状況じゃないでしょうか。
 沖縄の将来を左右するこの大事なことであれば、県民にわかりやすく説明をして十分な期間をとって県民の合意を得てから決めてもよいのではないかというのが県民の大方の意見ではないかと私は思います。
 以上申し上げて本論に入ります。
 全県自由貿易地域県素案について伺います。
 まず、復帰特別措置との関連について。
 全県フリー・トレード・ゾーンを導入する場合でもポスト3次振計は継続する必要があると思うがいかがでしょうか。
 2点目、地域限定型フリー・トレード・ゾーンを採用する場合もいかがでしょうか。
 3点目、現行の高率補助や復帰特別措置による優遇税制等は全県型、地域型に関係なく継続されると理解してよろしいか。
 報告書では復帰プログラムに県民みずから幕を引き、自己責任で新しい沖縄を創造しなさいとあります。このことは今先申し上げたことを否定することと私は理解するが、いかがでしょうか。
 次に、2点目全県FTZの実施に関して。
 当初県案は地域限定型で検討されました。全県FTZになった背景となぜ沖縄が他県に先んじて全県FTZを導入しなければならないか、お答えを願います。
 2点目、全県FTZ導入を検討する背景には3次にわたる振計で過去25カ年間に国庫から5兆円に上る莫大な資金が投入をされましたが、製造業を含めた企業の立地はなかった。
 そこで21世紀を目指した企業の立地は国内や県内企業ではもうだめだから、この際思い切った産業振興策を展開する必要がある。そのためには外資系企業を誘致し活路を見出すためと私は思っておりますが、いかがでしょうか。
 3点目、全県フリー・トレード・ゾーン導入により企業の参入が最も期待される相手国は台湾と香港企業であると私は思います。相手企業のねらいは狭隘な沖縄市場ではなくて1億3000万の本土市場がターゲットであると言われます。
 FTZで生産された商品を本土に販売する場合、現行の特恵措置的関税ではメリットがないのでさらに低い関税にするよう提案されております。したがって全県FTZ導入が成功するか否かは、県が導入予定の特恵措置的関税制度の内容が企業進出の決め手となることは言をまちません。

 県は、同特恵措置を限りなくゼロに近づける理由として沖縄県が離島県であること、企業が脆弱であることを挙げております。この要請は国の産業保護政策とも相反するものでありますが、どのように認識をされますか。
 4点目、県素案の中にはこれから政府と厳しい調整が予想される特恵措置的関税制度、法人税の軽減、地方税の課税免除等クリアすべき案件に加えて、自由貿易地域を全県域に拡大することに伴う空港、港湾等のインフラ整備に20年から30年を要すること、さらに新規に企業を展開するために不可欠な人件費が世界一高い地域であること、土地代、建築費、電気、水道、船運賃(内航扱い)、港湾使用料等世界的にも高い水準にあることを勘案した場合、県素案どおり一国二制度的な特恵措置が認められても新たな企業の立勉は厳しいと思うが、いかがでしょうか。
 3点目、全県FTZ導入による経済効果に関する県の試算について伺います。
 1点目、全県FTZが導入されることによって外国からの安い商品が入り、物価が安くなると一般の県民は思っております。しかし県の試算によると消費者物価への影響は0.1%とのことでありますが、その詳しい内容をお聞かせください。
 2点目、業種別企業立地の可能性として電子部品の製造や電気機械等の高付加価値製品の製造を挙げております。この種の製品を製造するためにはそれに対応できる高度な技術を有する県内関連企業が存在すること、あわせて専門的な知識を有する技能労働者が確保できるかが問われます。本県で対応できる体制は構築可能か、伺います。
 3点目、試算では全県FTZと地域FTZに関する業種別効果が示されているが、県民が最も懸念している県内の既存企業に対する効果は示されておりません。全県型と地域型に分けて数値で示していただきたい。
 4点目、全県フリーートレード・ゾーン導入に際し関税免除等対象外品目も定まらないし、肝心の税制上の特恵措置も政府の承認が前提であり、このような重要事項が不確定なまま県案を決定することは厳に慎まなければならないと思います。
 よって、当初は地域限定型でスタートして十分であり、全県FTZの導入で県民を不安に陥れることはない。全県FTZの導入は他府県同様2010年を目標に設定し、既存企業に対しては県の積極的な支援で世界に通用する産業に育成すべしと思うが、いかがでしょうか。
 全県FTZ2010年実施を目標とした産業振興策について伺います。
 農業振興策について。
 我が県農業は、FTZ導入により壊滅的打撃を受け、その結果関連産業も自然淘汰を余儀なくされると言われております。しかし好むと好まざるとにかかわりなく2010年には保護関税が撤廃されるのは明らかであります。
 世界に通用する農業を確立するためには沖縄でなければできない技術と品種の開発が図られなければ生き残れない。
 そういうことから民間においても各種の研究開発がなされております。
 その代表的な事例を二、三紹介いたします。
 まず、県内至るところに自生をいたしますギンネムの葉を加工してギンネム茶を開発し好評を博している事例、また発酵ウコンを研究開発し現在本土の大手企業を初め米国から引き合いがあり、将来大規模な生産拡大が期待できるとの報告もありました。
 一方、ある会社は米国原産のアロエベラを導入して現在県内農家に委託栽培をさせ、サトウキビの5倍に当たるキロ100円で買い上げ、健康食品としてジュースや菓子に加工、さらに刺身や天ぷらにして食することによって便秘等に効果がある旨の報告があります。
 以上の事例の結びで、健康食品として限りないマーケットがある反面、研究資金や販路開拓に対して県当局の支援を訴えておりました。
 そこで次の点について伺います。
 県の産業創造アクションプログラムの中で、薬草の研究などベンチャービジネスに対する支援策がうたわれております。これまでどのような支援策があったか、お示しを願いたい。
 2点目、政府においてはガット・ウルグアイ・ラウンド合意に基づき農業対策費として6年間に総額6兆円の予算措置がなされたと聞きます。本県に100分の1といたしまして約600億円配分されることとなりますが、当予算を使って本県農業の抜本的な振興策が図られるものだと期待をいたします。具体的な施策があればお示しを願いたい。
 次に、既存企業に対する支援策について。
 県の素案にはFTZ導入によって重大な影響を受ける場合と県が定める特定の事業へ転換を行った場合は低利融資と助成制度を創設して支援するとあります。
 まず、県が定める特定の事業とは具体的にどのような事業か、お示しを願いたい。
 2点目、助成制度を創設するとありますが、どのような制度か具体的にお聞かせを願いたい。
 答弁によって再質問を行います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 仲里利信議員の御質問にお答えいたします。
 まず、全県フリー・トレード・ゾーンを導入する場合でもポスト3次振計は必要と思うがどうか、地域限定型を採用する場合はどうかと、現行の高率補助や復帰特別措置による優遇税制度は全県型、地域型に関係なく継続されると理解してよいかという質問には一括してお答えいたします。
 本県の自立的な発展を図るためには、米軍基地の返還の促進及び跡地の利用を推進し国際都市形成構想の実現を目指すとともに、時代の潮流を見据えた産業の振興を図るなど積極的な施策の展開が必要であります。
 県としましては、これらの諸施策を推進するためには、第3次沖縄振興開発計画の終了後においても新たな沖縄振興計画の策定及び同計画を支える高率補助制度の特別措置を含めた新たな法令の整備が必要であると考えています。この計画及び法令は本県の振興に関する諸施策を網羅する総合的な性格を持つものであります。
 現在論議されている自由貿易地域制度は、それがどのような形をとるものであれ産業振興策の一つであり、したがって新たな沖縄振興計画及び法令の中に位置づけられることになると考えております。
 次に、田中報告書では復帰プログラムに県民みずから幕を引き、自己責任で新しい沖縄の創造をしなさいとあると、このことは上記の事項を否定すると理解するがどうかという趣旨の御質問でございます。
 産業・経済の振興と規制緩和等検討委員会の報告書は、全県自由貿易地域の創設を目指すなど一国二制度的な手法を盛り込むとともに、税制上の特例や全国に先駆けた諸規制の緩和等を実施するよう提案しています。
 そしてその前提としてこれまでの復帰プログラムに県民みずからが幕を引き、自己決定・自己責任の原則に基づき新しい沖縄の創造に向けて取り組むことの必要性を述べています。
 しかしながら、本県は復帰後25年が経過した今日でも広大な米軍基地が存在していることや産業の振興がおくれ、完全失業率が全国平均の約2倍という厳しい状況にあることなど解決すべき多くの課題を抱えています。
 本県がこれらの課題に対処し自立的な発展を図っていくためには、全県自由貿易地域制度の創設はもとより、新たな沖縄振興計画を支える高率補助制度の特別措置を含む法令の整備が必要であると考えています。
 次に、全県フリー・トレード・ゾーンになった背景となぜ沖縄が他県に先んじて全県フリー・トレード・ゾーンを導入しなければならないかという趣旨の御質問でございます。
 規制緩和等検討委員会では、国際的な産業経済の動向に対する国の対応策と本県における国際都市形成構想を総合的に勘案して、現在の自由貿易地域の拡充強化による産業振興策を抜本的に見直し、新たな産業振興策として全県に広げる必要性を検討委員会の委員全員の了解のもとに提起したものであります。
 県は、委員会の報告を受けて同報告書の趣旨を関係団体に説明するとともに、産業界に及ぼす影響等を可能な限り調査し抜本的な産業振興策につながるとの判断から、先行メリットを享受するのに必要な2001年を期して全県自由貿易地域の展開を目指した県の素案を策定した次第であります。

 なお、2001年を期して導入することにつきましては引き続き県議会での議論や経済界及び各界各層の御意見等を参考にして総合的に判断していく考えであります。
 次に、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意に基づき農業対策費として総額6兆円の予算措置がなされたと聞くが、具体的な内容とその対策予算を使った本県農業の抜本的な振興策の施策があれば示してほしいという趣旨の御質問でございます。
 国は、ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴い必要な対策を加速的、重点的に推進し、農業の体質改善を図るため2000年(平成12年)までの6年間において事業費ベースで総額6兆l00億円の関連対策を講じることにしています。
 その内容としては、1つには経営規模の拡大、収益性の高い農業の基礎となる農業生産基盤の整備の推進、2つ目には農地を意欲ある担い手に集積するための農地流動化対策、3つ目には農家負担の軽減のため融資や無利子の就農支援資金の創設をすることなどがあります。
 県内での主なウルグアイ・ラウンド対策事業としては、具志川村カンジン地区の地下ダムによる県営かんがい排水施設の整備、伊是名村での高品質堆肥製造施設の整備、石垣市や与那国町でのライスセンターの整備、豊見城村や東風平町でのハウスの整備等があります。
 県としましてはウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策事業を活用し、引き続き農業生産基盤の整備や近代化施設の導入、担い手の育成など各種の施策を実施して国際競争力のある農業を育て体質の強化を図ってまいりたいと考えています。
 その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 全県自由貿易地域県素案との関連で、全県FTZにより消費者物価が下がり大きなメリットがあるとの報道がなされているが、物価への影響は0.1%とのことだがどうかとの御質問でございます。
 輸入品価格の低下について全国産業連関表のデータをもとに関税比率で見ますと、低下率が大きいのは食料品、飲料、漁業、畜産、養蚕で3%から9%台となっております。
 沖縄地区税関の外国貿易統計の品目別輸入額によりますと、加重平均で輸入品価格全体の低下率を算定しますと1.75%となります。また平成2年の本県の産業連関表で見てまいりますと関税額の推計は約53億円でございます。県内総需要の5兆5000億円に対するこの数字の比率は0.1%というふうになります。
 そういうことで輸入水準が現状のままで推移をすると仮定いたしますと、物価低下に与える効果は直接的には0.1%程度というふうに試算をしたところでございます。
 しかしながら、輸入原材料の価格低下により波及効果が期待されること、本土からの移入品が大幅に輸入品に代替をすること、競争的な市場環境の創出が予想されることを考慮いたしますと、さらなる物価低下が期待でき県民生活の向上が図られるものと考えております。
 次に、県内既存企業に対する効果を地域型と全県型に分けて数値で示してほしいとの御質問でございます。
 自由貿易地域の新たな展開により、地域限定型では200ヘクタールの立地可能面積を前提に約3500億円の工業出荷額、1万4500名の雇用が見込まれ、全県型では379ヘクタールを前提に5800億円の工業出荷額、約2万4000から5000名の雇用が見込まれるとの試算をしております。
 なお、特に県内既存企業に対する計数効果を試算してはおりませんが、今後とも可能な限りいろいろなケースを想定をして試算・検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、FTZ導入は地域限定型で十分であり、全県FTZの導入は他府県同様2010年を目標に設定をしたらどうかという御質問でございます。
 本県の経済の現状は、県民所得は全国で最も低く、失業率は全国平均の約2倍という厳しい状況にございます。このため県の素案は、産業活動の活性化を通じた雇用の拡大と内外価格差の是正による県民生活の向上を図るため、県全域を自由貿易地域とする思い切った産業振興策の展開を目指すものであります。
 また2010年のAPECの貿易と投資の自由化など国際的な産業経済の動向に対する我が国の対応、基地跡地利用を踏まえた国際都市形成構想の実現などを総合的に勘案いたしますと、他府県よりも先行することによって経済的なメリットを享受できるものと考えている次第でございます。
 なお、全県自由貿易地域制度の導入に当たっては関税免除による影響を少なくするための施策を実施するとともに、既存企業に対する支援施策を講じ体質強化により競争力の向上を図っていくことが重要であると考えております。
 以上でございます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商工労働部長(幸喜良秀君) 全県FTZ導入に踏み切った理由は、3次にわたる振計でも県内への企業の立地はなかった、そこで思い切った産業振興策を展開するために外資系企業を誘致すると理解してよいかとの御質問にお答えいたします。
 本県の産業経済を取り巻く厳しい現状とAPECの合意、グローバル化の進展や内外の動向等を踏まえ、産業活動の活性化を通じた雇用の拡大と内外価格差の是正による県民生活の向上を図るため、全県域を自由貿易地域とする県の素案を策定しました。
 全県自由貿易地域制度導入の県素案は、関税の免除や特恵措置的関税制度の導入、IQ枠の撤廃等による輸入の自由化等に加えて投資税額控除制度の創設や法人税の軽減等の税制上の優遇措置を加味した産業振興のための新たな施策であり、国内外からの企業誘致はもとより、県内の既存産業の振興と新規産業の創設を図るものであります。
 企業誘致については雇用効果、所得効果、関連産業への波及効果等地域活性化に資することが期待できることから、県政の重要施策として位置づけ、その実現に向けて取り組んでまいりました。
 本県の企業立地を取り巻く環境が厳しい中にあって、これまで国内外からの企業誘致の実績は22社で雇用者数は立地年度のデータで855名となっております。
 次に、特恵措置的関税制度を本県が離島県であることを理由に導入することは国の産業政策上厳しいと思われるがどうかとの御質問にお答えいたします。
 特恵措置的関税制度の導入を要望する理由として県としましては、1、大量輸送手段のない本県の場合本土市場への輸送手段としては専らコストの高い海上輸送等に頼らざるを得ず価格競争面で不利性があること、2、工業用地や電力、工業用水等のコストが高いこと、3、県内製造業の基盤が脆弱であること、4、本県の製造品出荷額の割合は全国の約258兆3600億円に対し沖縄県は約5400億円と全国のO.2%にすぎず、特恵措置的関税制度が導入され製造品出荷額が大きく伸びたとしても全国の生産活動に大きな影響を及ぼすものでないこと等を説明し、国の理解を得ていきたいと考えております。
 なお、国の産業政策上厳しいのではないかとの御質問でありますが、ことし4月、与党3党間においては、沖縄県の自由貿易地域の拡充強化については一国二制度的な大胆な改革を目指し平成9年度じゅうに結論を得るとなっており、県としては経済団体等と一体となって国に対し強く要望していきたいと考えております。
 次に、県案どおり税制上の特別措置が認められても新たな企業の立地は厳しいと思うがどうかにお答えいたします。
 本県経済の自立的発展と厳しい雇用情勢に対応するためには、県内企業の振興や新規企業の創出を図るとともに、経済のグローバル化に対応して近隣アジア諸国のダイナミックな経済の動向を視野に入れた新たな施策展開も必要であると考えております。
 昨年末には、台湾の有力企業を中心とする経済視察団が本県を訪れ、沖縄に台湾の企業が進出するためには人、物、金、情報の流れがもっと自由になることが前提であり、また税制の優遇措置等により魅力的な投資先になるとの貴重な提言をいただきました。
 県としては、ことし5月に国際都市形成基本計画を策定し、現在輸入部品・原材料活用型製造業などの輸入加工型産業等の育成、マルチメディア等の情報関連産業の集積、国際観光・保養基地の整備について、対外経済交流という観点から大いに期待が持てると考えております。

 次に、業種別企業立地の可能性として電子部品等高付加価値製品を挙げている、本県で製造するにはそれに対応可能な高度な技術を有する既存企業があること、また有能な技能労働者が確保できるかが問われる、本県で対応できる体制はどうかとの御質問にお答えいたします。
 平成7年工業統計表によれば電気機械器具製造業が8社あり、就業者数が189人となっており、同製造業についての本県における企業の集積は他県に比べて低い現状であります。
 しかしながら、次の理由により県外の企業が本県に立地する場合、当該企業を支える生産基盤が確保されるものと考えております。
 1つ、県内の既存企業が取引を通じて高度技術を獲得することが期待できること。
 2つ、立地企業と同時にその傘下の協力企業の立地も期待できること。
 3つ、全県自由貿易地域制度のメリットを活用し、海外からの半製品を調達し組み立てる方式も有効であることなどであります。
 次に、有能な技能労働者の確保についてでありますが、本県には琉球大学工学部を初め沖縄職業能力開発短期大学校、職業能力開発校、専修学校10校、工業高校等15校において電気・情報系の学科が多数設置されております。
 また、情報化や国際化の進展に即応できるために国立工業高等専門学校、職業能力開発大学校などの設置が検討されており、将来的にはこれら卒業生の活躍も期待できるものと考えております。
 続きまして、県の産業創造アクションプログラムの中で薬草の研究等ベンチャービジネスに対する支援策がうたわれている、これまでどのような作業がなされたかとの御質問にお答えいたします。
 薬草の研究等ベンチャービジネスに対する支援策としては、産業創造アクションプログラムにおける企業化支援事業があります。
 当支援事業は、薬用作物等を活用したベンチャービジネスを含めて県内産業の新しい担い手となる起業家の育成と、事業の立ち上げから成長過程に至るまでの各段階における必要かつ迅速な支援を関係機関と連携して総合的、一元的に実施するものであります。
 その拠点として、本年6月に財団法人沖縄県産業振興公社に企業化支援センターを開所したところであります。
 なお、本年8月に健康食品産業の健全な発展を図るため、県と企業化支援センターの指導により健康食品の加工業者及び流通業者を中心とする沖縄県健康食品産業協議会が設置されたところであります。
 次に、県が定める特定の事業とは具体的にどのような業種かとの御質問にお答えいたします。
 県は、全県自由貿易地域制度や税制、金融上の特例措置、関連インフラの整備、人材の育成などをベースに輸入加工型製造業や中継・備蓄を中心とする交易型産業、情報通信関連産業、観光・リゾート関連産業を戦略産業として振興していく考えであります。したがいまして特定の事業とはこの戦略産業に属する業種または事業を想定しております。
 次に、助成制度を創設するとのことだが、どのような制度を予定しているのか、具体的に伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 県素案では、全県自由貿易地域制度の導入によって大きな影響を受け、事業展開によって体質強化を図る必要があると認められる既存企業について低利融資及び助成制度等を創設しこれらの企業を支援することとしております。
 どのような助成制度を創設するかにつきましては、自由貿易地域制度の骨格が決まり次第今後検討していくことになりますが、例示的に言えば国の中小企業新分野進出等円滑化法が参考になると考えております。
 なお、同制度は為替相場の急激な変動や国際分業の進展、需要構成の変化、その他経済の多様かつ構造的な変化を背景とした施策であります。
 以上でございます。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 本県における薬用作物の生産状況はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
 本県の温暖な気象条件は、薬用作物の栽培に適しており、古くからウコン等が伝統的に栽培されております。
 平成7年度の県内の主な薬用作物の生産状況は、ウコンが栽培面積約11ヘクタール、生産量19トン、アロエベラが約11ヘクタールで32トン、クミスクチンが約4ヘクタールで12トンとなっております。
 薬用作物は、食品加工の分野でも注目されており、これらを原料としたお茶やお菓子等の加工品が数多く流通している状況にあります。
 このため、薬用作物の産地化を早急に図る必要があり、農業試験場において薬用作物の栽培技術の確立試験に取り組んでいるところであります。
 また、産地における生産体制を確立するため栽培実証圃の設置、加工用機械施設の整備を実施しているところであります。今後とも薬用作物の生産振興を積極的に推進していく所存であります。
 以上であります。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午前11時40分休憩
   午前11時41分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 仲里利信君。
   〔仲里利信君登壇〕
○仲里利信君 再質問を行います。
 まず1点目が、先ほど知事から全県フリー・トレード・ゾーンを2001年に導入することは、先行的に実施することによってそのメリットが享受できるというふうなことですけれども、なぜ2001年か。この2001年というのは3次振計の終わりなんですよね。
 そことの関係でどうも今でもちょっと気になるんですけれども、3次振計をこれで終わりですよと、先ほども言いましたが、4次振計はないという想定に立って、それを引きかえに要するに全県フリー・トレード・ゾーンを導入すると私はこのように考えておりますが、いかがなものでございましょうか。
 次に、我が県は離島県であります。本土と比較いたしまして多くのハンディキャップがあるのは皆さん、御承知のとおりです。
 そういう意味から、県政を運営する場合には他府県と比較していろんな多くの経費を要するのは御承知のとおりでありまして、そういう意味から自立的発展を目指すには他府県と比較して容易なことではありません。
 さらに米軍基地も依然として存在しておりますし、整理縮小等まだ形として見えてこない現状において今後とも特別措置は必要でありまして、引き続き4次振計の策定を国に強力に要請すべきだと私は思っております。
 そのためには、開発庁の存続は絶対に必要条件だと思います。
 先ほど副知事の答弁でもありましたけれども、去る10月4日の琉球新報の記事の中で、ここに持ってきてありますが、開発庁、いわゆる不要論ですか──が取りざたされております。
 これによりますと、沖縄開発庁統合問題で行政改革会議の水野事務局長が昨年11月以前に複数の与党幹部が同席した非公式の会合で県首脳は、沖縄開発庁は役割は終えた、開発庁の抱える振興策は沖縄県のフリーハンドでつくられることが効果的だ等々、開発庁存続に関し意見を述べたという記事がありますけれども、先ほどの答弁によりますと新聞の記事が間違っていると私は理解をしたいんですが、真偽のほどをお聞かせ願いたいと思います。
 それから雇用問題でありますが、県の試算によりますと2万5800人の全県フリー・トレード・ゾーンによって雇用増が見込まれるということであります。
 これは、現在の製造業の総就業人口よりも5000名も多いんです。大変な魅力であるし、大変期待するものでありますが、我が県の労働者の賃金は発展途上国の10倍から20倍の人件費であります。FTZが導入されますとほとんどの企業は恐らく外国の安い労働者を連れてきて、そして関税免除で入ってきた原材料を入れて我が県で安い品物をつくるということにこれは当然なろうかと思います。
 私が心配をいたしますのは、2万5800名の人たちが沖縄県民の雇用につながればいいんですが、残念ながら経営者の視点からいたしますとやはり海外から技術者を、安い労働者を導入する必要があるということになるわけです。
 そこで、外国人の労働者流入の防止策を講じないと県内労働者の就業の場所を逆に失うことになります。
 ひいては連動いたしまして、買い手市場になって賃金の抑制をされないかという心配がありますが、そこのところはいかがなものでございましょうか。その対処策はありますか、お尋ねをいたします。

 それから、フリー・トレード・ゾーンの導入の目的は中継加工貿易として関税免除の輸入品を加工、製造、組み立てをして本土や海外市場へ新たな販路を開拓することにあったと思います。これがいつの間にか変質をいたしまして全県フリー・トレード・ゾーンになってしまっている。
 全県フリー・トレード・ゾーンを導入すると農業と流通業が大きな打撃を受け、観光業も外国資本の流入によって全県的には観光入域客はふえるかもしれないが、弱小ホテルは廃業に追いやられる可能性が私はあると思います。
 ここで、劉泰英、台湾の国民党の投資事業管理委員会の主任が言っておりますが、アクアポリスの件で、「内部は2000名が入るレストランにします。料理は広東料理。そして台湾少数民族のショーを入れます。」とかということでまるで自分のもののような言い方をしておりますが、今後そういうことが現実の問題として入ってくる懸念がありますが、そこのところはいかがなものでございましょうか。
 答弁をお願いいたします。
○議長(友寄信助君) 吉元副知事。
   〔副知事 吉元政矩君登壇〕
○副知事(吉元政矩君) 10月4日の新聞記事に関連して再度御質問が出ていますのでお答えします。
 答える内容は先ほどと同じで、沖縄開発庁が要らないとかというような論議はその場ではなされていませんし、同時にその場では国際都市形成構想の概要版とそれから基地返還アクションプログラムをベースにして将来の沖縄について与党3党でしっかり論議してほしいというお願いをする場でありました。
 あわせて、それは先ほどはちょっと答弁しなかったんですが、その場で自民党の総務会長からは、従来ややともすると防衛問題だけで沖縄が論議される嫌いがあると、機会をつくるのでぜひ参加してきょう説明した内容をやってほしいという要請がありまして、私も快く当然のこととして引き受けました。
 それは、6月に入りまして中旬にその場が設定されて中山太郎さん──衆議院議員ですが──の司会のもとにそうそうたるお歴々がお集まりになった場でこの2つの問題について説明し、ぜひ与党3党で沖縄振興策、基地返還問題について国会決議を、それから与党3党の合意事項等を踏まえて屡開してほしいという要請をした場であるということを先ほどもお答えしたとおりです。
 そのような意味で再度質問が出ていますのでお答えしますが、沖縄開発庁の問題については既に御承知のとおり機能の拡充強化をすべきであるというような方向で出しましたし、具体的には8月15日、9月の4日、9月19日の3回にわたって、19日の日には内閣府の外庁としての専任の大臣を置いた「沖縄振興庁」、仮称ですが、そしてれの現地事務所としての沖縄総合事務局、この位置づけを明確にしたものを要請してまいりました。 政党、与党3党だけでなくて広範囲にお願いをしてまいりましたし、その中では比較的いい感触を得ることができましたが、中には、いやそれはちょっと甘いんじゃないのかという厳しい意見もあったことを、この間知事が答弁の中で申し上げたとおりであります。
 しかしいずれにせよこの時期国会が始まりましたし、さらには与党3党を中心に詰めの論議がこれから行われるということを聞いていますので、県としては県民的コンセンサスを得たあの内容で全力を挙げて組織の位置づけを明確にした存続を要求していく、行動していると、このことをあえて重ねて申し上げておきたいと思います。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) なぜ2001年かという1点目の御質問でございますが、ことしの4月に産業・経済の振興と規制緩和等検討委員会を設置したわけでございますが、そこでの審議の経過等々を踏まえてまいりますと、地域限定型の自由貿易地域による産業振興策では十分な効果がまず期待はできないと。
 そういうことで、全県域に広げる必要性というのを委員全員で確認をして県の方にその旨の提起をされているわけでございます。
 この2001年につきましては、APECの2010年の貿易・投資の自由化の流れ、あるいは2002年3月に──これは2001年度になるわけですが──沖振法の終了といいますか、一応今の段階では沖縄特別措置法は2002年の3月までというふうになっております。
 そういうふうなことで検討委員会の報告も踏まえながら、先行メリットを享受するには2001年を期して県全域を自由貿易地域とするのがいいんじゃないかということで2001年というふうに出したわけでございますが、今後ともこの出しました素案につきましては県民や経済界、あるいは県議会の議論等も考慮しながら総合的に判断をしていく必要があるというふうに考えております。
○仲里利信君 4次振計はどうか。
○企画開発部長(花城可長君) 3次振計終了後の総合的な計画等についてはどうかというふうなことですが、これはこれまでも答弁申し上げましたように3次振計終了後におきましてもやはりこれからの国際都市形成、あるいはいろんなインフラ整備がございます。
 そういうことで、これにかわる、あるいはこの沖振法の抜本的な改正もしくは新たな法律、これの策定というのは必要であるというふうなことで考えておりまして、これにつきましては今後国の方にその時期が来ましたら要望を申し上げていきたいと考えております。
 それから、外国人労働者の流入の防止のお話でございましたが、この全県自由貿易地域制度というのはあくまでも関税法あるいは関税定率法、その他貿易に係る法律の一つの見直しということで原則的にそれによって輸入の自由化あるいは簡素化、迅速化が促進されるというふうなことが目的でございまして、貿易以外の関連の部分につきましては従来どおりすべて国内法が適用されていくということで、この外国人の労働者の受け入れの間題につきましても我が国の労働政策に基づきまして必要となる技術者等の受け入れ等はなされるものということで考えておりますが、ただ一般的にノービザ的なあれですべての労働者が流入するということは、これは日本の労働政策との関連で日本政府の方がどう判断をしていくのかというふうなことでございますが、今ノービザ制度というふうなものは県の方でも特に考えておりませんし、ビザの問題等につきましても簡素・迅速化ということで考えている次第でございます。
 以上です。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午前11時56分休憩
   午後1時18分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 次の質問及び質疑に入ります前に報告いたします。
 説明員として出席を求めた副知事東門美津子君は、別用務のため本日の午後及び明日の会議に、また公安委員会委員長崎間晃君は、別用務のため本日の午後の会議にそれぞれ出席できない旨の届け出がありました。
○議長(友寄信助君) 午前に引き続き質問及び質疑を行います。
 宮平永治君。
   〔宮平永治君登壇〕
○宮平永治君 通告に従って一般質問を行います。
 まず1点目に、基地問題についてであります。
 中部圏域は、基地の介在により道路網の密度が十分とは言えない状況にあります。産業の振興や交通渋滞の解消及び良好な生活環境等を創出するために基地の返還の実現まで基地内道路の共同使用が必要であります。
 そこで、嘉手納飛行場及び嘉手納弾薬庫地区内道路の共同使用についてであります。
 嘉手納飛行場は19.977平方キロ、実に羽田飛行場の2倍に当たります。本島の中部の沖縄市、北谷町、そして嘉手納町の3市町を分断しております。
 また、嘉手納弾薬庫地域につきましては28.837平方キロについてであります。嘉手納町、読谷村、恩納村、石川市、具志川市、沖縄市の6市町村にまたがる極めて広大な提供施設になっております。
 嘉手納飛行場につきましては、共同使用することによって中部地域の交通渋滞が緩和され、同時に土地利用の効率化が進展し米軍基地が集中するこの地域での産業の振興及び良好な生活環境等が創出され、地域振興に大いに貢献できることが期待できます。返還が実現するまで基地内道路の共同使用が必要であります。

 第1ゲート、これは北谷町でございます。それから第2ゲートの間、沖縄市の胡屋間約5.1キロメートルであります。
 そして第2点目には、第3ゲート、これは沖縄市の白川から第5ゲートの間、いわゆる沖縄市の国体道路であります、これが4.3キロ。
 3番目に、第4ゲート、これは嘉手納の水釜の方から第2ゲートの間、いわゆる沖縄市の胡屋、これは7.9キロです。
 同じく4点目に、嘉手納の第4ゲートから第5ゲートの間、これは沖縄市の国体道路の入り口であります。約6.7キロございます。
 それを総合計すると実に24キロ、那覇から嘉手納間の道路の延長になります。これだけの道路整備をするというのはそれなりの莫大な予算と期間がかかるわけです。
 それとまた嘉手納弾薬庫地域におきましては、同地域の先ほど申し上げた6市町村のアクセス道路としての共同使用が必要であります。
 そこで、本件について知事は関係当局に対し共同使用の要請等を強力に行う必要があると思うが、知事の御所見を伺いたい。
 2点目に、受刑者の刑務作業及び職業訓練についてであります。
 本件につきましては、刑罰及び未決拘留を執行する法務省の管轄の刑事拘禁でありますが、受刑者のほとんどが県民であり、そして更生、社会復帰を期して努力しているのも県民であります。
 そこで、刑務作業は懲役受刑者に対し課された定役の執行として実施されていますが、受刑者の改善、更生を図るために重要な処遇方策の一環であります。作業を通じて勤労意欲を養い、職業的または知識的及び技能を習得させ、さらには共同生活への順応及び忍耐力、集中力の涵養を図ることを目的として実施されております。
 また、社会復帰を促進する手段として実施されております。
 そこでお尋ねいたします。
 主な受刑作業業務及び職業訓練についてであります。
 2点目につきましては、現在実施されている刑務作業及び職業訓練について実際に社会に復帰した場合に実態として地域社会に即応できる技術、訓練、免許、資格等が取得されているか、お尋ねいたします。
 次に、我が党の代表質問との関連についてであります。
 まず最初に、全県自由貿易地域の県素案についてお尋ねいたします。
 各項目につきましては、本員も本県議会の自由貿易地域対策特別委員会のメンバーでありますので、項目や各論につきましては委員会でさせていただきたいと思います。
 私は、知事の諮問機関である産業・経済の振興と規制緩和等検討委員会、いわゆる新しい沖縄の創造、21世紀の産業フロンティアを目指しての報告の作業の手順、あるいは手続、手法についてお尋ねいたします。
 まず1点目に、県の素案は検討委員会第2回目、これは6月2日であります。委員会からは議題にも上がらず、いわゆる議題のテーブルにものってない。県素案は最初から検討議題にもされず、検討委員会田中委員長主導で進められてきたのではないか。いわゆる諮問の内容とは報告は全く違っている。それとも県の素案がそれほど内容に弱い、乏しいものであったのか、そこら辺をお尋ねいたします。
 次に、一番大事なことは報告書の取りまとめについてであります。
 今後の沖縄県の振興策あるいは将来の沖縄の命運を左右する本県の重要なこの報告書が、田中委員長一任というこういうような手続で報告書がまとめられております。
 知事が説明しております全委員の全会一致あるいは全委員の了承を得たというのとはほど遠い話であります。
 こういうような重要な報告書、検討が委員長一任というような報告のあり方があって果たしてそれでいいものか、そこら辺の手続について知事の答弁を求めます。
 次に、代表質問に関連して基地問題についてであります。
 普天間飛行場の返還、海上ヘリポート建設、名護市民住民投票については一括して御質問いたしますので、答弁もそのようにお願いしたいと思います。
 まず1点目に、キャンプ・シュワブ沖へのヘリポート建設に関して名護市議会が知事に対し、知事は重大な決断をする責任があると。そして同時に、知事は普天間飛行場代替海上施設の建設について全県的な立場から意思を明確にすべきであると名護市議会で全会一致で意見書が採択されました。
 また同時に、市民投票の条例についても可決されました。御案内のとおりでありまして、具志議員を初め多くの議員からの質問がありました。極めて今後の基地問題を左右する案件でございますので、改めて知事の表明を求めるものであります。
 次に、普天間飛行場の返還については知事の強い要請によって決めたことだ、返還実現に向けて県や名護市の協力を引き続き求めていくとともに、地元住民が理解を深めるように大田知事の指導力を発揮することに期待あるいは県の役割を期待すると橋本総理は示しております。
 また、私ども自民党県連におきましても基本的には県内移設は反対であります。しかしながら、SACOの最終報告は当初から沖縄本島東海岸水域が前提条件であります。極めて危険な普天間飛行場の返還は規模を現在のものより縮小し、そして極めて騒音の軽減が期待できる海上ヘリポートの建設であります。現実的な基地の整理縮小でもあります。したがって一時預かり、あるいは痛み分けという立場からもやはりもうそろそろ知事の決断を求めて推進すべきと考えております。
 普天間飛行場の返還、その前進がなければ、動かなければ御案内のとおりあの那覇軍港と同様に沖縄の基地問題が一歩も前に進まないし特に普天間飛行場の返還は、今後沖縄の基地問題の解決あるいは前進を図る上で普天間力働かなければ沖縄の基地問題の前進がないと言っても決して過言じゃありません。今現実的な対応が求められていると思います。知事の御所見についてお伺いいたします。
 最後に、沖縄開発庁の存続強化についてであります。
 先ほど本件についても小渡議員等々から質問がありましたが、やはり開発庁の役割が終わった、そして県首脳の不要論の発言があるというのは、これはもう以前から官邸周辺ではそういううわさが流れております。私どももまたそういうことを耳にしております。
 そしてそれを裏づけるようにして、実は6月に私が自民党を代表して大田知事に開発庁の存続強化についてもお尋ねしております。
 その中の知事、あなたの御答弁でございます。今回の行政改革は、全庁の抜本的な統合再編を視野に入れて国を挙げて取り組んでいることや、地方分権について議論が高まっているところから見て慎重に対応する必要があります。ここにはどのように開発庁の存続に向けて積極的に動くか、アクションを起こすかということは一つもございません。ただ慎重に見届ける必要があると。どうして開発庁を残すかという具体的な答弁も何もございません。
 こういうことから考えて極めて重要な問題でありますので、改めて吉元副知事の答弁を求めます。
 次また質問させていただきます。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 宮平永治議員の御質問にお答えいたします。
 嘉手納飛行場及び嘉手納弾薬庫地区内道路の共同使用について関係機関に対し要請等を行う必要があると思うが、知事の所見を聞きたいという趣旨の御質問でございます。
 基地内道路の民間使用については、県としては地域における交通渋滞の緩和及び地域住民の利便性の向上を図るため地元市町村からの要望を踏まえた上で関係機関と調整を行いながら共同使用の実現に努めていきたいと考えております。
 それから普天間飛行場問題との関連で、海上ヘリポート建設、名護市住民投票についてと、それから普天間飛行場の返還は知事の要請を受けて橋本総理がクリントン大統領と話し合って取りつけたと、SACOの最終報告は県内移設の条件つきであり、海上ヘリポートについては本島東海岸沖への移設条件つきであったと、名護市民だけを苦しめるわけにもいかず、傍観し続けるわけにもいかないと思うがどうかという趣旨の御質問には一括してお答えいたします。
 海上ヘリポート基地建設の是非をめぐり名護市においてさまざまな意見があることは承知しております。

 また、名護市議会の意見書については真摯に受けとめたいと考えております。
 これまでも申し上げましたように、米軍基地の県内移設につきましては県としては基本的に反対であります。この問題については、まず米軍施設の提供責任者である国が関係市町村と話し合うべきことだと考えております。
 これは責任を逃れるということではなくて、手続上の問題として土地の提供あるいは海域の提供についてはそれなりの手続がありますので、それを踏まえるわけでございます。
 したがいまして、今後県としましては名護市の判断も勘案し、必要な段階では県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと考えています。
 その他の御質問につきましては副知事及び関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 吉元副知事。
   〔副知事 吉元政矩君登壇〕
○副知事(吉元政矩君) 開発庁問題に関連した質間にお答えします。
 1つは新聞記事のこと、2つは官邸周辺でそういううわさがあると、3つ目には6月議会知事答弁を含めましてそう思わざるを得ないと、新聞記事だということの質問だと受け取りました。
 お答えいたします。
 沖縄開発庁の機能に関し、沖縄の重要な課題であります基地問題を所掌していないことや、沖縄に関連する基地政策に関する協議を行う沖縄政策協議会や、沖縄米軍基地問題をより効果的に進めるための沖縄米軍基地問題協議会の所管に関連して議論があったことは承知しております。
 しかし、県としましては多くの問題を抱える本県の経済社会の現状を見るとき、今後の沖縄振興に向けた国の組織は沖縄開発庁の機能を拡充する方向で検討されるべきであると考えております。
 そのような観点に立って、県は8月15日、知事が総理大臣以下関係大臣に要請しましたし、それから9月4日に入りまして私が政党サイドを要請に回りました。そして9月19日には同じく知事と私が分担しまして、知事が総理大臣以下関係する大臣に、そして私の方が政党関係を担当しまして要請をしてまいりました。国、国会、政党等に要請してまいりました。
 その中で、沖縄の振興を担う国の組織は専任の大臣を置いた独立の庁とし、内閣府──これは現在中間報告で仮称になっていますが──に位置づけることと。
 また、沖縄総合事務局をこの組織の出先機関として存続させるとともに、さらに機能を拡充していただきたいと要請しているところであります。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商工労働部長(幸喜良秀君) 受刑者の刑務作業及び職業訓練についての関連で、主な刑務作業及び職業訓練についてと、現在実施されている刑務作業及び職業訓練で実際に社会復帰した場合に実態として地域社会に即応できる技術訓練、免許、資格等が取得されているかとの御質問にお答えいたします。
 受刑者の刑務作業及び職業訓練についての御質問につきましては、国の法務省の所管事項となっているため詳細については承知しておりませんが、沖縄刑務所に照会したところ、免許、資格等の取得可能な訓練として自動車整備科及び溶接科が設置されております。
 自動車整備科では、3級自動車整備士の取得の可能な訓練をしているようでございます。
 また、溶接科におきましては、アーク溶接基本級の取得の可能な訓練がなされているようでございます。
 また、刑務作業の種類としましては木工、印刷、洋裁、金属、農耕、紙細工、皮工、紡織その他の種類の作業が設置されているようであります。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 我が党の代表質問との関連で全県FTZの県素案との関連で、規制緩和等検討委員会に具体的に県素案を諮問すべきではなかったかということと、委員会の報告書取りまとめを委員長に一任していることについての御質問がございました。
 お答えいたします。
 規制緩和等検討委員会では、知事からの諮問に対する議論をいただくというふうな形式はとらずに、各委員の自由な議論のもとに委員会から報告書という形で提言をいただくということになっております。
 そのため、委員間の議論のたたき台として県の基本的考え方と規制緩和等産業振興特別措置に関する要望書、昨年の8月にこれは要望した要望書でございますが、それの説明をいたしました。第2回目からは具体的産業振興策の検討に入り、自由貿易地域制度を中心に議論が行われました。
 その中で抜本的な産業振興策として全県型に広げる必要があるとのことから、全県型が県経済に与える影響について事務局の方に調査検討するように依頼がございました。
 第3回の委員会では影響調査結果をもとに議論が行われましたが、議論の結果、委員会の結論としては全県型自由貿易地域制度を導入することについて委員全員の合意が得られたものでございます。
 また、委員会での検討結果の取りまとめである報告書の作成につきましては、委員全員の了解を得て検討結果の内容を委員長にまとめることを一任されたものでございます。
 最終報告書案を事前に委員全員に送付をいたしまして、了解を経て7月24日に県に報告がなされております。
 以上です。
○議長(友寄信助君) 宮平永治君。
   〔宮平永治君登壇〕
○宮平永治君 再質問をさせていただきます。
 まず1点目の、基地内道路いわゆる嘉手納飛行場及び嘉手納弾薬庫地内の共同使用については、地元市町村からの要請を受けて前向きに検討したいという知事の力強い御答弁をいただきました。
 実は今嘉手納と読谷とで美化センター、清掃工場を建設して来年の4月供用開始なんです。
 以前は10年ほど前、いわゆる大湾から嘉手納の久得まで約1.5キロぐらいこれは使用しておったんですけれども、今はゲートをつけて使われてないわけです。これが読谷側と嘉手納で共同の施設であるものですから、読谷村民のちりを嘉手納で焼却するには約4キロの町の真ん中を通ってくると。以前はこれは利用できたわけですから。そういう意味では折衝のやり方では十分できると。
 また、御案内のとおり基地内においては沖縄マラソンも一部利用しております。それから嘉手納カーニバル、これも万の人が入っておりますので、十分可能な要請事項だと思いますので、引き続き知事の御努力をお願いしたいと思います、これにつきましては。
 2点目の受刑者の職業訓練についてでありますけれども、実は今部長から御説明がありましたように嘉手納の私の友人のところに印刷関係で刑を終わった方が見えまして、その友人も非常にボランティア精神が旺盛でぜひ更生のためにもお手伝いをやってあげたいというようなことなんですが、印刷関係であります。
 先ほど御紹介ありましたように、その方が勉強したのは写真植字機いわゆる写植ということでこれは10年、15年前で利用した時代でありまして、今はもうワープロとかパソコン、そういうような時代でありまして、いわゆるそういう技術しか取得してないものですから、ハンディがある方が技術さえあればそういう就職も容易にできるわけだが、二重のハンディになる。この訓練が今の現実の社会にマッチしてないというようなことがわかるわけでありまして、ぜひそこら辺も県民がそういう形での更生を期して社会に復帰するという場面がありますので、中にはいろんな職の段階があろうかと思いますが、現実としてこういう問題がありますので、ぜひ刑務所の方とも照会をとっていただいて、時代にマッチするような、十分可能でありますので、そういうこともぜひやっていただきたい。これでとどめておきましょう。 
 次、検討委員会、この件について今部長からの説明がありましたが、いわゆるこうう先ほど申し上げた沖縄の将来を左右するような報告書が田中委員長に一任して委員の皆さんの全員の了解をとり得たと、こういうような手法、手続でこの委員会の報告があるという自体大変私は問題だと思います。
 そして検討委員のお一人、私どもは講師として勉強もさせていただきました。みずから委員長に一任というのはうかつだったと反省の弁を述べておりました。

 私は、こういう手法についてはやはりもう一度お互いが知事を初めそれでよかったのかなというような検討が必要じゃないかなということで再度この件については御答弁いただきたいと思います。
 それといわゆる普天間飛行場代替海上ヘリポート、知事がこういう重要なことを名護市民の住民投票について実際実施されてない段階で県の考え方を表明することはできないとか、それから県の最高責任者の知事がやはり決断をしなくちゃ、いつまでも静観して自分は泥をかぶらずに逃げるというような姿勢があってはいかぬと、私はそのように考えます。
 改めて知事の答弁を求めます。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 再質問にお答えいたします。
 ヘリポート問題との関連では、もうこれまで何度も申し上げておりますように県としてはこの狭い沖縄に移設先を求めるのは厳しいですよと、反対ですよということを機会あるごとに申してきたところでございます。
 まだ環境問題がどうなっているのか、漁業権がどうなっているのか、起業者である政府の側の調査がどういう形になっているのか、それからどういう規模の、どのような内容の施設をつくるのか、だれがつくるのか、これはだれがつくるのかというのは日本政府がつくる場合は法律の適用がありますが、アメリカ側がつくる場合は法律の適用はないわけです。
 そういった問題がまだきちっと全く県にわからない形の状況で知事が発言することはできないというのが実際の姿でございますので、御理解いただきたいと思います。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 検討委員会の報告書のまとめ方についての再質問でございますが、報告書の内容に盛られている基本的な事項については委員会の方でも十分審議をし全員で了解をしていると。ただ文章にするときに委員長の方と事務局の方でここはひとつお任せをしたいと。
 といいますのは、この種の会議では往々にしてあるわけでございますが、細かいいろんな文章作成まで委員会の方でやるというのは非常に難しいこともございまして、そういうことでこの委員会の中でも申し上げましたように基本的なことはきちんと委員会の方で全員了解をしなされたものを、あと文章をまとめる段階で一応委任をしましょうと。しかしそれについては追って各委員の方に送付をしてほしいというふうなことで先ほど申し上げましたように送付をし、各委員の了解をとったというふうな経過でございます。
 以上です。
○議長(友寄信助君) 上原吉二君。
   〔上原吉二君登壇〕
○上原吉二君 食後の居眠りもすると思いますけれども、元気を出していきましょうね。
 通告に従い一般質問を行います。
 海上ヘリポートの問題でございますが、キャンプ・シュワブ沖合への移設案問題について、知事は一義的には国と地元名護市の問題であるという姿勢を今なお貫いておりますが、知事がおっしゃる一義的とは地元がどこまで物事をなしたときを示すのか、御見解を賜りたいと思います。
 次に、普天間飛行場返還に伴うキャンプ・シュワブ沖への海上ヘリポート移設を進めようとしている国の行為は、県が言う基地の整理縮小の一環と思われるのか、あるいは基地の新たな設置と思われるのか、お聞きをいたしたいと思います。
 3点目に、普天間飛行場移設問題で移設条件地のターゲットとなって今、辺野古地区を初め久志地区の皆さんや名護市行政はまさに大混乱となっており、この問題は一地方自治体が背負うには余りにも負担が大き過ぎると。基地行政は県の重要な責務であり、いつまでも県は静観すべきではないと思うが、県の行政行動はどうされるつもりか、あわせて御答弁を願います。
 次に、フリー・トレード・ゾーン問題に対する質問です。
 全県FTZの問題は沖縄の将来を左右する重大な問題で、一つかたれば県経済の大混乱を招きかねない。それだけにしっかりとした行政研究と経済哲学を持って県民の合意形成を最大限に受けとめ、またその努力を払うべきであるが、しかし県の構想が県民世論の中で現時点では必ずしも全面支持されている状態ではございません。
 最近のマスコミによる世論調査の結果にも見られるように県民の意見は期待と不安が交錯し、また県内産業界においてもデメリット分野だけが先行的に取りざたをされ、それに対して明確な保護策も出せないままに全県FTZをオール賛成というわけにばいかないが、全県FTZ構想の各論分野が払拭される努力をし、多くの県民合意を進めていただきたいと思います。
 御見解を賜りたいと思います。
 次に、沖縄全域フリーゾーン化した場合の国際的見地からの治安対策をいかに進めるかについて、先般の議会で現場の立場から警察本部長さんからの御見解を賜りましたが、フリーゾーンとなった場合、前回県警本部長さんの答弁では、職員に対して英語、中国語、韓国語等を主体とした語学研修等を実施しているとのことでございます
が、世界各国からの貿易と観光を求めて活発になった場合、国際犯罪に対処する言葉の問題は英語、中国語が主流になると思うが、幅広い見地からの語学の問題をとらえた対策を考えるべきだと思うがどうか。
 それから、海外からの入国者数を年次的に予想されているかについてもあわせて御見解をお聞かせ願いたい。
 次に、FTZ構想と水問題でございますが、県の推進する全県FTZ構想を計画する中で本島及び宮古、八重山の地域開発構想を考えたとき、水資源対策問題は連動した行政課題と思うが、最近建設省ではダム建設を一部地域で中止すると言われているようだが、県が目指す全県FTZ構想には何ら問題とならないのか、御見解を賜りたいと思います。
 また、現在計画実施中のダムの進捗状況はどうなっているのか、あわせて御答弁を願いたいと思います。
 次に、海砂利採取について建設省通達に不備があるのではないかと通告しておりますけれども、この問題におきましては砂利採取法の中に砂利採取準則がございまして、目的と定義がちゃんと位置づけをされておりますが、その中でこの海砂利採取においてはただ河川砂利採取の準則を準用するということになっているわけでございます。
 この定義からいたしますと、目的「この準則は、砂利採取法第19条の規定(認可の基準)の一般的な運用基準を定め、もって、砂利の採取に伴う災害の防止を図ることを目的とする。」となっております。
 定義といたしまして、「(1) この準則において「陸砂利」とは、平地に賦存している砂利をいうものとする。(2) この準則において「山砂利」とは、山または丘陵に賦存している砂利をいうものとする。(3) この準則において「河川砂利」とは、河川区域および河川保全区域に。賦存している砂利をいうものとする。(4) この準則におい
て「海砂利」とは、海浜地および海域に賦存している砂利をいうものとする。」ということで定義はちゃんとなされているわけでございますが、これを運用する認可基準というものがなっていないわけでございまして、それを河川砂利の準則を準用するとした場合に、この河川砂利というところからいきましても河川、護岸あるいはこういった海浜からちゃんと干潮時における50メートルというまでが建設省の所管でございまして、目的もしかもこれはこの公共財に対する保護の目的ということで2メートルというような定義を設けているわけでございます。
 そうしますと、海砂利の採取と幾らかけ合わせていこうとしてもこれは無理があるわけでございまして、その構造物を保護する目的のもろもろ2メートルのものまですべてがこれは海の中に持っていった場合にどのようなことが起きるかということでございます。
 そうするともちろん今現在行われている砂利採取というものは、海域におきまして海底の50メートル下の方で砂利を採取しているわけでございます。その中で2メートルということで位置づけをされております。
 それじゃ果たして1000トンの船舶がこれぐらいの波風がある中に、ちょっと波風が荒いと二、三十メートルも船が動いたりするわけでございまして、この形で計測器もちゃんとした計測器が現在余りないわけでございます。その手探りの状態の中に、しかも海底には砂があるかもわからない、ないかもわからないというような状態、幅が100メートル、縦が1000メートルからあるいは1500メートルということになっておりますけれども、その中で果たして人間がこうしてしゅんせつを海底50メートル、目の全く見えない中にこういったものが模索の状態で果たしてできるのかということがあるわけでございます。それは絶対に人間わざではできないということでございまして、そういったところは建設省の通達に瑕疵があるということを私は言っているわけでございます。

 その中にも、多くの方々がお見えになっておりますけれども、果たして今私が言ったような状態の中にこのような量のしゅんせつが2メートルをきっちりこれをしゅんせつしていくことができる人がいるのだろうかということを私は聞いているわけでございます。
 これができる人ということであれば、今はここにいる必要はございません。これは神様ということになりますので、そういった間違った通達ということに対しましては、不備は不備といたしまして改正をしていただきたいということを、ぜひこういう所轄官庁と話をしていただきたいということでございます。
 答弁を聞きまして、再度は答弁次第で行いたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 上原吉二議員の御質問にお答えいたします。
 まず最初に、キャンプ・シュワブ沖への移設問題について知事は一義的には地元名護市の問題であるという姿勢を今なお貫いているが、知事が言う一義的とは地元がどこまで物事をなしたときを指すのかという御質問でございます。
 上原議員もよく御存じと思いますけれども、いま一度基本的なことを甲し上げたいと思います。
 県内の米軍用地につきましては、日米安保条約第6条及び地位協定第2条の規定に基づいて日本国政府から米軍に提供されています。
 米軍に土地を提供する場合は、原則として政府、──これは防衛施設局でございますが──土地所有者と当該土地の賃貸借契約を締結し、その使用権原を取得し米軍の用に供する方法をとっています。
 防衛施設局長と土地所有者との間で賃貸借契約が締結された後、防衛施設局長は土地所有者から当該土地の受領を受け、これを米軍に引き渡すことになります。
 漁業権の設定されている海域において構築物等を設置する場合は、漁業権の得喪または変更が伴うので、漁業権者、漁協の同意が必要とされます。その同意は、議決権者つまり漁協正組合員の3分の2以上の賛成を要します。漁業権は漁業法第23条の規定によって物権とみなされ、漁業権の得喪または変更に伴う補償は、構築物の設置者すなわち国が行うものであります。
 これを踏まえまして私たちは米軍基地の県内移設の問題につきましては、まず米軍施設の提供責任者である国がその影響を受ける当該の漁協とかあるいは地域住民の問題を取り扱う行政とか議会とかというところとよく調整すべきだということを申し上げているわけでございます。
 先ほど申し上げましたようにまだ県には具体的な中身について報告がありませんし、通達もありませんので、県としましては名護市の判断も勘案して、必要な段階では県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいという次第でございます。
 それから、同じくキャンプ・シュワブ沖への海上ヘリポート移設を進めようとしている国の行為は県が言う基地の整理縮小の一環と思うか、あるいは基地の新たな設置と思うか、見解を聞きたいという趣旨の御質問でございます。
 普天間飛行場が市街地の中央部に位置し地域の振興開発を妨げているだけでなく、航空機騒音の住民生活への悪影響やとりわけ航空機離発着訓練の実施などによって住民の生命に極めて危険な状況にあることから、県はこれまで日米両国政府に対しその返還を強く求めてきました。
 その結果、日米間の協議の場で米国側から撤去可能な海上ヘリポートを建設する可能性を検討するという提案を受け、昨年の12月の沖縄に関する特別行動委員会の最終報告で5年ないし7年以内の返還に合意するとともに、普天間飛行場の代替施設について海上施設案を追求することとなりました。
 なお、基地の整理縮小とは基本的には基地の数及び面積を減らすとともに、基地機能も縮小されるものであると理解しています。
 国が計画している海上ヘリポートの建設は普天間飛行場の返還に伴う代替施設を建設しようとするものであり、基地の移設であると考えています。
 次に、普天間飛行場移設問題で辺野古地域住民と名護市政はまさに大混乱となっており、基地問題は一地方自治体が背負うには負担が余りにも大き過ぎると、基地行政は県の重要な責務でありいつまでも県は静観すべきでないと思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
 海上ヘリポート基地建設の是非をめぐって名護市においてさまざまな意見があることは承知しており、正直申し上げて大変胸を痛めているところでございます。
 県としましては、名護市議会において名護市における米軍のヘリポート基地建設の是非を問う市民投票に関する条例が可決されたところであり、今後市民投票に向けた民意の動向に関心を持って見守っていきたいと思います。
 そして今後、県としましては名護市の判断も勘案し、必要な段階では県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと思っております。
 それから、全県フリーゾーン化はまだ県民の合意形成を得られたとは言えないが、もっと県民の合意形成を得る努力が必要ではないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 全県自由貿易地域制度の展開については、規制緩和等検討委員会から報告を受けた後、県議会各派、工業連合会、農業団体等に説明をしてまいりました。さらに県素案をまとめるに当たっても県議会、経済団体等との意見交換を行ってまいりました。
 また、全県自由貿易地域制度を導入するに当たり既存の産業及び企業に影響を与えないような関税免除対象外品目の選定及び必要な支援策を講じていく考えであります。
 このようなことを踏まえ、現在経済団体会議におきましても積極的に検討を行っているところでございます。今後、県案の策定に当たっては県議会の議論や経済界の検討結果等も考慮しながら総合的に判断していくことにしています。
 なお、御指摘のとおり県民に対するいわば啓蒙活動とでも申しますか、それは十分でないじゃないかという御指摘は確かにそのとおりでございまして、県としても懸命になって取り組んでいるところではございますが、まだまだ不十分なところがありますので、今後強化してまいりたいと考えております。
 残りの御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 警察本部長。
   〔警察本部長 井上美昭君登壇〕
○警察本部長(井上美昭君) 上原議員からの県の国際化の進展との絡みで、治安上幅広い見地から語学の問題をとらえる対策を考えるべきだと思うがどうかとの趣旨の御質問にお答えをいたします。
 県警といたしましては、国際犯罪等に的確に対応するためこれまで職員に対する英語、中国語等の語学研修や海外研修を実施したほか、本年の1月に語学に堪能な国際捜査官の中途採用、また本年の10月1日からはハワイ州ホノルル市警察との交換研修を行っているところであります。
 国際化に伴う言葉の問題については、御指摘のとおり幅広い見地から柔軟に対応していかなければならない重要な問題であると認識しているところであります。今後は県の語学研修制度等への職員の派遣拡大を初め、従来の語学研修の範囲を拡大するとともに、今回のハワイ州ホノルル市警察との交換研修のような滞在型語学研修の拡大を図るほか、国際捜査官の増強、通訳体制の強化等国際化の進展に立ちおくれることのないように知事部局とも連携の上、必要な対策を検討していきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 地域・離島振興局長。
   〔地域離島振興局長 大城盛俊君登壇〕
○地域・離島振興局長(大城盛俊君) 全県フリー・トレード・ゾーンと水問題について、最近建設省ではダム建設を一部地域で中止すると言われているようですが、県が目指すFTZ構想には何ら問題にはならないか、その見解を聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
 水の安定供給は県民生活の安定と経済社会の発展を図るための基本的条件でございます。
 水資源については、これまで多目的ダムの建設等を積極的に進めてまいりましたが、本県の水需要は今後とも人口の増加、生活水準の向上、産業経済の進展に伴い増加することが見込まれますので、水の安定供給の確保は重要な課題であると考えております。このため、今後とも多目的ダムの建設を初め多角的な水資源開発を積極的に推進するとともに、下水処理水の再利用や雨水利用等水の有効利用を進めていく考えであります。

 特に多目的ダムについては引き続き国と連携して計画的に進め、全県自由貿易地域制度が導入されても支障を来さないよう水の安定供給の確保を図っていきたいと考えております。
 なお、現在建設中及び実施計画中の国直轄の多目的ダムの進捗状況については、平成8年度末で申し上げますと羽地ダムが本体工事中、沖縄東部河川総合開発事業、これは漢那ダムは完成しておりますが、億首ダムは現在実施計画調査中でございます。
 それから沖縄北西部河川総合開発事業──これは大保ダムと奥間ダムから成っておりますが──は実施計画中でございます。
 以上でございます。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 江洲順吉君登壇〕
○土木建築部長(江洲順吉君) 砂利採取における建設省通達の運用問題で、通達そのものに瑕疵があるのではないかとの御質問にお答えいたします。
 砂利の採取基準については、国の通達「砂利採取計画認可準則」で掘削の方法等が決められております。
 その通達の中で海砂利の採取基準については、川砂利の採取に関する基準を準用するよう規定されておりますが、海砂利に関する具体的な認可基準は定められておりません。したがいまして実態にそぐわない面もあると思われますので、九州地区や全国での会議の場を通じて海砂利に係る具体的な基準を制定するよう国に働きかけるとともに、県においても他県の状況把握のため海砂利採取に関する調査を実施したところであります。
 今後県としましても関係機関と調整の上、実態に沿うよう採取基準等の見直しを図っていきたいと思います。
 以上です。
○議長(友寄信助君) 上原吉二君。
   〔上原吉二君登壇〕
○上原吉二君 海上ヘリポートの問題でございますけれども、知事からも大変答弁の中でも、質問するのもちょっと私もドゥーグルシーぐらいのことでございますけれども、これも政治に携わる者といたしましてはどうしても聞かなければいけないということで質問しているわけでございます。
 これぐらいの問題になりますと、日米安保の根幹を揺るがしかねないといった重要な問題でございますので、それぐらいの問題になりますと市町村の行政では対応がちょっと苦しいんじゃないかなということで沖縄県の最高責任者といたしましてもどうしても積極的に知事の方でもかかわっていただきたいと思います。
 いろいろ質問もございますけれども、これに対しましてはまたおいおい話し合いをしながら一応また進めていきたいと思います。
 この問題は答弁は要りません。
 次に、治安の問題ということでございますが、この問題も今県警本部長さんの方からも答弁いただきましたけれども、全県フリーゾーンとなりますと世界各国に門戸を開いていくということでございますので、そういうことからいたしますと貿易、観光等、また密入国等々ということでいろいろな経済の動きと連動して人口の増加も見込まれるわけでございます。
 そういった問題に対しましてもどうしても世界各国に対する言語の問題というのが壁になってくるものだと思っておりますので、そういった問題に対しましてはきょう、あすにできる問題ではございませんのでフリーゾーンということがそこで上がってきた以上は、そういった基本的な問題から一日も早く素案の中でもこうして見せていただきたいということでございます。
 この問題について行政当局の御見解を賜りたいと思います。
 県警本部長さんに対しましては御答弁は結構でございます。
 次に、砂利採取問題ということでございますが、国民が遵守することができない、遵守することが不可能な法律、条例、規則は今現在の世の中で考えられないわけでございまして、また存在するとした場合を仮定するならば、それこそ可罰性がないと言っても仕方がございません。
 しかし砂利採取法という法律の中、16条砂利採取計画の認可について、17条採取計画に定めるべき事項、18条認可申請、19条認可基準等で通達の内容が具現化されております。
 しかしながら、同法21条で遵守義務、26条認可の取り消しの規定に関連しますと、違反行為には同法45条以下には罰則規定があり、「1年以下の懲役若しくは10万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」とあるわけでございます。
 といったことからいたしますと、実態に即さないということでありましてはそのままで放置してはいけないということでございますので、早急にこの通達の改正をする必要があるということを私は言っているわけでございます。
 御答弁をもらいたいと思います。
 また県は、そのことによりまして建設省あるいは通産省等関係省庁とこの不備のある通達のことについて話し合いをなされたことがあるのか、お聞かせを願いたいと思います。
 水問題についてでございますけれども、先ほど羽地ダム等の問題もございましたけれども、今進捗中のみということでございましたので、完成年度はいつごろなのかというところまでお願いをいたしたいと思います。
 以上、また答弁次第で質問いたします。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) フリーゾーンとの関係で、いろんな言葉の問題が今後非常に大切になるしそういうふうなことで素案の中でもぜひこういう言葉の問題等言語教育について明確にしてほしいという御質問でございます。
 これはフリーゾーンに限らず国際都市形成構想を県がこれから推進していく上で人材の育成というのは大変大切なことでございます。
 そういうふうなことでこの言葉の教育、外国語の教育も含めて小中学校あるいはもっとその上の教育の問題についても今後十分これはやっていく必要があるということで、現在いろんな高等教育機関のあり方について50億のプロジェクトの中で今検討をしているところでございます。
 以上です。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 江洲順吉君登壇〕
○土木建築部長(江洲順吉君) 通達関係で海砂利採取の基準措置について国の見解を聞いたことがあるかという御質問にお答えいたします。
 先ほど述べましたとおり、県といたしましてはブロック会議や全国会議等で問題、課題等の提起をしておりますし、それから他県の実態調査も終わったところでございます。
 そういうのも踏まえまして国に対しましても去る7月に建設省を訪問したとき、これまでの経緯等も話し、その運用上の話しもしました。相談もいたしました。
 その結果、国としても実態にそぐわないようなところがあれば県の相談に応じたいとのことでございました。
○議長(友寄信助君) 地域・離島振興局長。
   〔地域・離島振興局長 大城盛俊君登壇〕
○地域・離島振興局長(大城盛俊君) 再質問にお答えいたします。
 羽地ダム等の完成年度というようなことでございますけれども、御案内のとおりダムの場合は基本計画をつくってそれを告示の形でやります。その告示、公式上この完成年度は先ほど申し上げたそれぞれのダム事業はいずれも平成13年度でございます。
 以上でございます。
○議長(友寄信助君) 上原吉二君。
   〔上原吉二君登壇〕
○上原吉二君 今地域・離島振興局長さんの方からいずれもダムの完成年度は13年度ということでございましたけれども、これは計画でございまして、実際のこの完成年度というのは今回のもろもろの公共関係に対する予算の削減ということでちょっと延びたものだと思いますけれども、再度の御答弁をお願いいたしたいと思います。
 それと砂利採取問題でございますけれども、実態にそぐわないということはこのようにしてこの幅が100メートルぐらいあるわけでございます。(資料を掲示) これは縮尺の問題もございましてそういった中からいきますと、これぐらいの砂を、これは縦と横はちょっと違いますけれども、10メートルから10何メートルになると思いますけれども、そういったものが果たして現在の形で可能かということでございます。
 その後に一般質問をされる方もおると思いますけれども、ただ砂を揚げればいいという問題ではなくして、果たしてこの揚がった量がいかなるような形で揚がってきたかというものも私は本当は言いたいわけでございますけれども今回はその問題は控えておきたいと思いますけれども、実際にそういった間題ができるのかどうか、もう一度土建部長さんの答弁をお聞かせを願いたいと思います。

 ちょうど時間になりました。
○議長(友寄信助君) 地域・離島振興局長。
   〔地域・離島振興局長 大城盛俊君登壇〕
○地域・離島振興局長(大城盛俊君) 再度お答えいたします。
 全国的に公共事業が7%削減という中で影響なしとするということは非常に難しい状況が予想されますが、現段階では平成13年度を目標にしてございます。
 なお、私どもとしては本県の事情も水需給関係が必ずしも安定しておりませんので、一生懸命、積極的にできるだけ計画的な推進を図れるよう国に働きかけてまいりたいと思います。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 江洲順吉君登壇〕
○土木建築部長(江洲順吉君) 砂利の採取基準につきましては、議員御指摘のとおり非常に現実問題として難しい面を抱えています。
 そういうことで全国他府県の状況、また国とも相談しまして県の内部運用でできるのか、国の基準そのものを改正してもらうのか、そのあたりも含めて今後国と詰めて十分対応してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○議長(友寄信助君) 西銘恒三郎君。
   〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎君 去る6月定例県議会の一般質問の最終日、しかもすべての質問が終わった後、知事はみずから発言を求めて、その前日及びその2日前の一般質問答弁を訂正をしております。その訂正内容が記憶違いとのことでありました。
 私はなぜだろうか。4月と9月、春から秋にかけて5カ月もの記憶違いを学者上がりの県知事がするはずはないのではないか、この信念でそれ以来ずっと調査を続けました。
 最近の知事発言を聞いておりますと、総理官邸での話、あるいは米国政府高官との話、そして県議会、この議場での答弁、それぞれが県民に不信感を与えているような気がいたします。
 それは知事が県民に対して何かを隠しているのではないかという不信感であります。わかりやすく言いますと三枚舌外交をしているのではないかという不信感であります。
 どうぞ県民の不信感を取り除いてください、知事の県議会答弁を全県民が注目しているのでありますから。
 質問第1点、平成8年4月の12日、普天間飛行場の全面返還が合意されたとき、知事は次のようにコメントしております。一番望ましいのは無条件解決だが、厳しい状況の中でそれを望めば実現しない。より危険度の少ない形でこれを第一歩にして解決を図るしかない。このコメントは、普天間の全面返還には明らかに条件がついていたことを物語っています。
 そこで伺います。
 知事はその条件を知っていたはずでありますが、コメントから判断すると橋本総理に対してその条件を了としていたことになり、極めて重大な問題であると考えます。詳細なる御説明をお願いいたします。
 質問2、去る6月定例会で知事は私と翁長議員の質問に対する答弁を次のように訂正いたしました。橋本総理からの電話で浮体式の施設をつくることを知ったのは平成8年4月12日だと答弁したが、後でチェックしてみるとその電話は9月の13日であったと、記憶違いだったと言って訂正をしております。
 そこで伺います。
 この訂正答弁に間違いはありませんか。つまり4月12日ではなくて、5カ月後の9月の13日だったことを再度確認したいと思います。
 質問3、平成8年8月28日、最高裁は代理署名訴訟で知事の上告を棄却しております。その後の9月8日の県民投票の結果を持って9月10日に知事は橋本総理と3回目の会談を行っております。余人を交えずさしの会談が45分間続いたとのことでありますが、そのときの会談内容を詳しくお聞かせください。
 質問4、知事は結局海上に浮体式のものをつくることについて結果として4月の時点で同意していたのではないでしょうか、伺います。
 次、田中報告と沖振法の関係ですけれども、第3次振計後期展望は沖振法に基づく行政的な熟度の高いものとして理解をいたしますが、田中報告を受けてこれから作成される県案は今後どのような法的位置づけをしようと考えているのか。スケジュールも含めて県政の根幹に係る最重要な課題でありますので、ぜひとも県知事としての見解を示していただきたいと思います。
 全県フリーゾーンが県民の高い関心を呼んでおりますけれども、振興策の一つとしての全県フリーゾーンよりも、むしろ県政の根幹として最重要な課題はこの3次振計の後の沖振法をどうするのか。その3次振計後期の終わった後の展望をぜひとも県知事みずから見解を示していただきたいと思います。
 答弁によりまして再質問を行います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 西銘恒三郎議員の御質問にお答えいたします。
 平成8年4月12日、普天間飛行場の全面返還が合意されたとき、知事は同飛行場の返還条件を知っていたはずだが、そのときには総理に対して条件を了としていたのか聞きたいと、それから去る6月定例会で橋本総理からの電話で浮体式の施設をつくることを知ったのは平成8年4月12日だと答弁したが、後でチェックしてみるとその電話は9月13日であったと訂正答弁をしているが、これに間違いはないかと、知事は結局海上に浮体式のものをつくることについて結果的に平成8年4月の時点で同意していたのではないかと思うがどうかという趣旨の御質問には一括してお答えいたします。
 普天間飛行場の返還については、平成8年4月12日の午後6時ごろ橋本総理から直接に電話があり、現在の基地機能を移転した上で5年ないし7年以内に全面返還することで米国側と合意に達したとのお話がありました。
 基地機能の移転の具体的な内容については、その時点で総理から説明はありませんでした。
 普天間飛行場の返還に伴う代替施設については、昨年4月の沖縄に関する特別行動委員会の中間報告後、嘉手納弾薬庫案、ヘリポートの嘉手納飛行場への集約案、キャンプ・シュワブにおけるヘリポートの建設案、海上施設の開発及び建設案等について日米間で検討が行われてきたとの報道がありました。
 昨年12月のSACOの最終報告は、中間報告後の日米間の検討作業を踏まえ、普天間飛行場の返還に伴う代替施設として海上施設案を追求することとしています。
 このようなことから平成8年4月の時点で、私が浮体式の海上施設をつくることに同意したということはあり得ません。
 県としましては、平成8年1月に基地返還アクションプログラム(素案)を国に提示し、2015年までに基地のない平和な沖縄を実現したいとの考えを明らかにしてきたところであります。この狭い沖縄の中で基地の県内移設については厳しいということは、繰り返し申し上げてきたところであります。
 なお、去る6月定例会で訂正されていた件は、総理からの電話で知ったのは平成8年9月13日に間違いはありません。
 それから昨年9月8日の県民投票の結果を持って9月10日に知事は橋本総理と3回目の対談をしているが、そのときの対談内容を聞かせてほしいという御質問でございます。
 平成8年9月10日の橋本総理との会談では、総理から県民投票に込められた沖縄県民の願いを厳粛に受けとめ、今後政府が沖縄の米軍基地問題や振興策に全力を挙げて取り組む姿勢を明らかにされました。
 具体的には、沖縄の米軍基地問題について引き続き米国との間で米軍の施設・区域の整理・統合・縮小を推進するとともに、地位協定上の課題について見直しを行うこと、さらに米軍の兵力構成を含む軍事体制について継続的に米国と協議していく旨のお話がありました。
 また沖縄の振興策については、21世紀・沖縄のグランドデザインを踏まえた各種のプロジェクトの検討を行い、沖縄県が地域経済として自立し雇用が確保され、また我が国経済社会の発展に寄与する地域として整備されるよう全力を傾ける旨の考えを明らかにし、そのための特別の調整費を予算に計上するよう大蔵大臣に検討を指示したこと、また沖縄に関連する施策のさらなる充実強化を図るため内閣官房長官、関係国務大臣、沖縄県知事などによって構成される沖縄政策協議会の設置を閣議で決定したという趣旨のお話がありました。

 次に、全県フリー・トレード・ゾーン県素案は、今後どのような法的位置づけをしようとしているのか、そのスケジュールも含め見解を示してもらいたいという趣旨の御質問でございます。
 本県の振興策につきましては、ことしの4月に地元の意思を尊重しつつ総合的かつ実効性のある大胆な改革を含めた沖縄振興策を講ずるべき旨の国会決議や一国二制度的な大胆な改革を目指し、本年じゅうに結論を得ることについての国政与党間の合意があります。
 今後、全県自由貿易地域の導入につきましては県議会の議論や経済界の検討結果等を考慮し、県案を策定した後、それを沖縄政策協議会に提示し検討をお願いすることになります。そして沖縄の振興に係る国の政策として推進していただけるよう要望していきたいと考えております。
 さらにその後の問題、法的な問題につきましてはこれまでの沖縄振興開発計画の総点検を行うなど十分に検討を行った上で国に要望してまいりたいと考えています。
 その他の御質問につきましては関係部局長から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 政策調整監。
   〔政策調整監 又吉辰雄君登壇〕
○政策調整監(又吉辰雄君) 西銘恒三郎議員の総理と知事の電話のやりとりの中でのその浮体式の月日につきまして補足をして詳しく説明をさせていただきたいとこう思います。
 まず、6月定例会当時、内閣官房の方からマスコミ報道を見たということで私の方に電話がございました。
 その内容でございますけれども、総理と知事との浮体式の発言の件は、平成8年4月12日ではなく、9月の13日だと思うよというのが1点目でございました。
 2点目は、先方の方ですが、秘書官を通しまして総理にも確認をしましたけれども、9月13日ということでございました。
 そして3点目は、海上施設等その浮体の話が出たのは8月以降だというお話がございました。
 これを受けまして私ども執行部といたしましては、知事のその記憶をまず思い起こしていただきました。そして新聞報道を時系列に確認をしてみますと、4月に結局普天間返還が発表されまして、その4月にまず嘉手納弾薬庫地区への移設が報道されております。そして7月になりまして嘉手納飛行場への統合が報道されております。そして9月になりまして初めて海上ヘリポート案というのが報道されております。
 そこいらを総合的に判断をいたしますと、やはりそういうことかなということになりまして、執行部といたしましては6月定例会で訂正をいたしまして答弁を申し上げたところでございまして、9月13日に知事から答弁したとおり間違いございません。
 以上です。
○議長(友寄信助君) 西銘恒三郎君。
   〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎君 まず、普天間返還の推移をざっと復習をしてみたいと思うんでありますが、去年の1月の11日に橋本内閣が発足をしまして1月の23日に知事と橋本総理の初顔合わせがございます。60分ぐらい続いたとのことですが、恐らくこの初顔合わせで目に見える形で基地問題が前進しなければということで、普天間飛行場の返還が知事の方から総理に提案をされたと思います。
 2月23日、橋本総理は早速クリントン大統領と会談をしております。そのときにも総理の方から普天間の問題が出ております。そして3月の22日に知事が総理と夕食を交えて3時間ばかり長時間にわたって会談をしております。
 その中で総理は、大統領の感触として普天間については柔軟に対応をしそうだということを紹介をしながら、現実には厳しいと、秋までに一定の方向を出せるようにということで努力を知事に御説明をしております。
 その後、代理署名で国側が勝訴したり、3月31日に楚辺通信所の一部使用期限切れ、このころに資料によりますと政府と与党首脳会議の中で橋本総理から、ここ数日間沖縄の知事、副知事に連絡がとれなくなっていると、それぞれのチャンネルで何とか連絡をとってくれないかという話が出て、村山富市前首相も私の方からも努力をしてみるというような、官邸と県庁が一時連絡不通になった経緯があるようでございます。
 そのころ、大田知事の4月8日の記者会見で知事は、さらに目に見える形で基地問題が進展しないと、嘉手納の一部用地が第2の楚辺、第3の楚辺になるのではないかということで警告を発しております。
 この楚辺通信所の不法占拠状態から橋本総理とモンデール大使の政治折衝が始まっております。
 橋本・モンデール会談は、第1回目4月の2日に顔合わせをして、4月の8日、4月の10日、そして4月12日の全面返還合意に至るわけであります。
 恐らくこの政治折衝の場では代替施設をどこの場所にという話まではなかったと思います。何としなければ日米安保の根幹が崩れるんではないかということで、どうしても官僚ベースの折衝に任せられないということで総理みずから乗り出し、モンデール大使との会談が続くわけであります。
 この時点で、既に嘉手納弾薬庫の案とか、あるいは沖縄県の東側海岸というのは案としては既に出てきているわけです。
 4月12日の橋本・モンデール共同記者会見の中でも明確に1項目条件として出ているのは、県内の既存の米軍基地に代替ヘリポートを建設することということが明確に出ております。
 これは恐らく総理から知事に何かの形で電話や連絡がなくて、県の方で了解もなくて橋本総理の方で突っ走ってやったというのは県民の側、あるいは我々議員の側から見ても到底考えられない。
 それで電話の件を聞いたんですけれども、翁長議員と私の質問に対して知事は次のような答弁をしております。あと5分ぐらいしたらモンデール大使が来るということを答弁の中ではっきりと述べているんです。これからモンデール大使と話をするけれども、恐らく浮体施設をつくることになるかもしれぬというようなそれだけの話ですということは知事は答弁されております。
 ですから4月の時点でどういうものになるかはわからないけれども、海上につくることになるかもしれないよという話が出たとしても当然なんであります。
 知事が訂正をした9月の13日という日は、橋本総理とモンデール大使の会談はないわけであります。
 そうすると調べれば調べるほど4月の時点でも浮体式らしいものになるかもしれないなという話は、電話の中であったというふうに推測が可能になるわけであります。
 そこで再質問を行いますけれども、平成8年去年の4月の12日の橋本総理とモンデール大使の記者会見で明らかになっていることは、県内の既存の米軍基地にヘリポートを建設することということが明確に共同記者会見の中で出てきております。
 そして、総理はその記者会見で合意の内容を直ちに大田知事に連絡をしたと。知事からも歓迎の意を受けて県の協力もあったということが記者会見の場で明らかになっております。
 そこで再質問第1点は、この県内の既存の米軍基地に、場所は問いませんけれども、代替のヘリポートを建設することというのが明らかになっておりますが、知事はそのことについて橋本・モンデール合同記者会見より以前に4月の12日直前に午後6時ごろというのは、午後6時25分からモンデール大使と会っておりますからまさに一致はするわけです。
 4月の10日にモンデール大使が橋本総理と会談をしておりますので、4月の12日以前にひょっとしたら総理から知事にもうちょっと詳しい電話がなかったのかどうかという予想もされるわけですが、合同記者会見より以前に総理から米軍基地の代替ヘリポートを建設することについて知らされていなかったか、これを確認をしたいと思います。
 2点目は、この代替ヘリポートを建設することについて知事は三役会議を開きましたか。
 三役会議を開いていたのであれば、その結果も県民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 再質問3点目はよろしいです。
 以上答弁によりまして再質問をします。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午後2時53分休憩
   午後2時54分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 大田知事。

   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 再質問にお答えいたします。
 合同記者会見以前に総理から移設の具体的な条件について電話があったんじゃないかという趣旨の御質問だったと思いますが、そういうことはございません。
 どうぞ官房にも確認してください。
 それから、三役会議を開いたかということですけれども、中身も何もわかっていませんから三役会議を開く必要もありませんでした。
 開いておりません。
○議長(友寄信助君) 西銘恒三郎君。
   〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎君 質問を行います。
 そうしますと、橋本・モンデール共同記者会見の中で、県内の既存の米軍施設の中に代替ヘリポートを建設することということは、沖縄県側の了解なく全く総理の独断でこの記者会見が行われたと考えていいですか、知事に伺います。
 第2点は、知事の6月定例会での答弁は、総理からの電話であと5分ぐらいでもう少しでモンデール大使が来るからという、そしてそのときに恐らく浮体式のものになるかもしれないよと。9月の13日というのは、県内は知事の公告・縦覧代行応諾の件でごった返しをしております。
 9月13日の電話というのは、知事が公告・縦覧代行応諾を表明して、そのことで総理がお礼の電話をしたということは新聞の記事でも明らかになっております。
 9月の13日の時点でモンデール大使と橋本総理の会談は行われていないわけです。
 ですから、知事の6月定例会の答弁で、総理からの電話で、もうやがてモンデール大使が来ると。そのときに恐らく浮体式になるかもしれないよという知事のこの御答弁は、4月の段階でそういう話があったというふうにしか理解できないわけです。
 再々質問の確認でございますが、橋本総理は沖縄県側の了解を全く得ないで、総理単独で米軍基地の既存の基地の中に代替のヘリポートを建設することを記者会見で発表したのか、これは極めて重大な問題だと思います。
 総理がモンデール大使と普天間の全面返還合意に達したということで、その日は午後6時25分から会談が行われ、記者会見は午後の8時から行われておりますけれども、この日米間の極めて重要な合同記者会見の中で、県内既存施設の中に代替ヘリポートを建設することを、沖縄県知事の話を全く聞かないで総理独自の判断でやったのかどうか、大変な問題ですので知事の見解を賜りたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 再質問にお答えいたします。
 先ほども申し上げましたように4月の段階で移設の具体的な内容は全くわかっておりません。
 ただ、普天間飛行場について知事がぜひ返してほしいと要請して、それを最終的に決定しようとしていると。それは移設になるかもしれないと。だから県も協力してほしいというような趣旨の内容はあったと思いますが、今もってその中身について我々はわからないわけです、正直申し上げて。
 ですから、そういった具体的に、やれ既設の方に、どこに何を移すとか、そういうことについては全く知っておりませんでした。
○議長(友寄信助君) 西銘恒三郎君。
   〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎君 知事、去年の4月13日の朝日新聞によりますと、(資料を掲示) これは橋本・モンデール合同記者会見ですけれども、この中で合意内容を直ちに大田知事に電話で伝えた。首相は記者会見で、知事は歓迎し、返還に関しての今後の県の協力を表明したことを明らかにしたという記事が出ております。
 それで、共同記者会見の骨子の中に、沖縄に現存する米軍基地の中にヘリポートを建設と明確に出ているわけです。
 どこにつくるかというのはわからなかったかもしれないんですけれども、この条件がついていたということを知事がわからなかったというのは、どう考えても理解できないわけです。
 いま一度知事の答弁をお願いします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えいたします。
 橋本総理からの電話で、今申し上げましたように移設先の具体的な内容については全く聞いておりません。
 それで、県も普天間が返るから、ぜひこれを契機に協力してほしいという趣旨の協力要請があったことは事実ですが、それに対して協力できるものについては協力しますというふうに申し上げました。
 つまり協力できないものについては協力できないこともありますよということです。
○議長(友寄信助君) 西銘恒三郎君。
   〔西銘恒三郎君登壇〕
○西銘恒三郎君 知事の答弁によりますと細かい内容はわからなかったという答弁でございますが、知事、この共同記者会見の骨子にある、既存の米軍基地の中にヘリポートを建設すること、この件に関しても全く総理から話がなかったということですか。
 私が情報として耳に入ってくることは、共同記者会見の前に、もう県内移設ということが避けられなくて知事に何らかの打診があって、こういう形になったんじゃないかというふうにしか理解できないわけです。
 いま一度確認をしたいと思いますが、場所は問いませんけれども、内容も問いませんけれども、県内のどこかにヘリポートを建設することということに関して総理から全く連絡がなかったのかどうか、この1点を確認したいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 普天間の全面返還、つまり県が求めている移設条件なしの返還、それは厳しいかもしれないが、普天間の返還についてはこれから最終決定しようと考えているがという趣旨のお話がありまして、ヘリポートの条件とかというのは聞いておりません。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午後3時4分休憩
   午後3時5分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 西田健次郎君。
   〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 まず、副知事の人選についての質問を1点目行います。
 総務部長は9月15日の琉球新報によりますと、議会から独断先行とか、議会無視の批判が向けられているけれども、「さあ、本当にそうですかね。副知事がやってきたことをきちんとみると、そんなことはないことは一目瞭然なんですけどねえ」、「個人的な理由なんでしょうかね。それとも、ほかに理由があるんですかね」というコメントが「雑談室」で出ておりますけれども、しからば与党の方から出てきた福建省の問題、フリーゾーンの運び方、あるいは国際都市形成構想のトップダウン方式とか、行政と議会の関係を根底から崩壊させるような議会軽視、議会無視という指摘がなされております。
 これは、当然私ども野党からも何回か出ていることでありますけれども、ここでお伺いしますけれども、議会サイドが副知事の人選の問題について指摘をしてきたことはみんな間違っていて、調べてみたらそんなことはないけれどもねと本当に総務部長はそういう認識を持っているのか、具体的にそんなことはない、一目瞭然ということを説明をしていただきたい。
 それからつい二、三日前の県内の新聞で、(資料を掲示) 県、与党に記名投票を要望というのが出ております。無記名ではなく記名投票を与党から要求するよう求めた。
 これは共産党さんが除かれておりまして、これは明らかに、何ゆえ共産党が除かれたのかわかりませんけれども、これは県の行政が議会に対する不当な権力の介入なんですよ。
 あなた方は無記名投票にすると危ないから記名投票にしてだれが反対したかをきっちりチェックをしてそのおどしをかけていることになるんですよ。そうでしかないでしょう。
 こういうことを堂々と県の権力を持っている行政が議会の権能に傍若無人に殴り込みをかけてくるようなことは、まことにもって今議会側が批判をしていることを一つも反省をしてない。
 議会を何と思っているんですか。
 こういうような行政の権力で議会に介入することは、まことにもってこれはゆゆしきことである。

 これについて、なぜそういうような記名投票を与党に強要するようなことをしたのか、その説明と所見を賜りたい。
 それから2点目、普天間飛行場移設のことについて数点お伺いをします。
 まず私は、名護市があれだけ追い込まれて、名護の市長や議会、それから市民が分断されるような不幸な事態というのは大変に情けない思いで見ておりますけれども、1点目、知事は名護市議会の全会一致の意見書をお読みになりましたかね。
 意見書をお読みになったそうですので、それについての知事の感想、所見もお伺いしたい。
 それから、名護市議会が全会一致であの意見書を採択したということは、名護市の人たちの悲痛な叫びが込められているんですよ。
 そこでお伺いしますけれども、意見書の中に、「本県における基地の整理縮小は、県民的課題であり、また海上施設の建設予定候補地は、国有財産法からして建設省所管の国有財産であり、その管理事務は都道府県知事に機関委任されている。」と。
 実際、名護市が関与できる範囲内はどういうことですか。せいぜい工事現場への取りつけ道路の許認可ぐらいのものだと思うんですよ。実際、公有水面の埋め立てについては知事の管理です。これは機関委任事務なんですよ。
 それで、そのことを知事は放棄をして、一義的には名護市と国のテーマである、こういうことをオウム返しにずっと誠意のない答弁をしてきておりますけれども、しからば普天間飛行場の移設は全県民的なテーマであるはず。そしてあれだけ危険な状態にあるから一日も早く返してくれという、むしろ国をゆするような形で要請をして橋本内閣も内閣の命運をかけてこの移設を決定をしたわけです。
 全県民的課題としての認識があるのかどうか。
 それから、名護市議会が言っている機関委任事務としての知事の職務権限の範囲でその責任を果たす義務があると思うけれども、これについての所見も賜りたい。
 さらに、非常に知事、私が心配しているのは、名護がキャンプ・シュワブの問題でいろいろ議論をしているときに北部の助役、市町村長はみんな集まって何回も会議を持っているんですよ。
 今まで北部は水を取られ、木を取られ、人を取られ、そして第3次振計まで来たけれども依然として過疎地域で夢も希望もない状況に置かれてきている。この際、北部について100年、200年に1回のチャンスとして思い切った振興策を導入して、展開をして、北部が夢のあるふるさととして大きく発展するようなチャンスをつくりたい。
 こういう、これまで振興開発事業から置き去りにされてきた北部地域全体の悲痛な叫びです、名護市長の言動というのは。
 その名護市長がああいう形で追い込まれて、住民投票の結果によっては市長の政治生命も奪われかねない、こういう状況に追い込まれている。
 こういうことで、私はいろんなシンポジウムでも言ってきたんですけれども、キャンプ・シュワブの問題と北部地域の振興はリンクしないというのは私はうそだと思います。リンクして当たり前だと思うんですよ。
 それで問題は、住民投票のあり方でいつも私は直接民主制の問題で、きょうは時問がないので簡単にいきますが、普通の人の生活している日常の庶民感覚、これはあらゆる私的な事情とか、不満とか、そういうのがさまざまな形で一つの政治目的化されて政治化していく、この要求が社会や政治に対する不満として、小さな政治という言い方をしますけれども、これが政治化されていくと公共的な立場の大きな政治自体が狂ってくると。
 例えば県の問題をどうするのか、国の問題をどうしていくのか、世界はどうするのか、こういうことが日常生活をしている人たちの小さな不満の中で政治目的化、混沌化されていくというのは民主主義が崩壊していくことになりますよと。これはアメリカのエリシュティンという女性の政治学者が裁かれる民主主義という本で非常に鋭く問うていることです。
 日照権の問題とか、嫌煙権とかあるいは清掃工場の問題、原発、軍事基地も入りましょう。あるいはダムの問題もありますね。女性の立場から雇用機会均等法の問題がある。
 こういうさまざまな日常的な欲求を、不満を一つのグループ化、組織化して政治目的化していくと民主主義自体がおかしくなるよと。
 こういう鋭い指摘もあるのでその関連でお伺いしますけれども、名護市の市民投票が実施されます。その実施された市民投票の結果に最大限に尊重するということを知事は考えているのか。
 それから、名護市のコンセンサスというのは市民投票で見るのか、あるいは市長や議会がイエスかノーかの結論を出せばそれをコンセンサスと、合意が得られたものとして見るのか、この点についても説明をしていただきたい。
 そして沖縄振興開発計画・第3次振計も終わりに近づいてきた。知事が言う国際都市形成と基地返還アクションプログラム、さらに全島フリーゾーンの問題、こういうもろもろのこれから21世紀の沖縄が産業で自立をしていく、そして雇用問題の解決を図っていくと。
 こういう沖縄県政の大きなテーマが、普天間飛行場が住民投票の結果、あるいは知事が今のような責任を明らかにしないような形で推移をしていくと間違いなく凍結論につながっていきます。この場合の政治的な責任は、知事の政治責任ははかり知れないものがあると思います。
 私はいろんな場所で提言してまいりましたけれども、北朝鮮の問題が落ちつけば、私は北朝鮮はほどなく消えていく国だと見ております。北朝鮮の問題が片づいたときは、海兵隊のプレゼンスというのはいろいろ期待する方向が出てくると思います。
 最近、いろんな学者も、軍事専門家のそういう意見がありますし、対中国になるとアメリカというのは海兵隊のレベルじゃありません。第7艦隊クラスが行かなければおさまらない問題ですから。この海兵隊のプレゼンスが沖縄から、極東から必要としない、なくなる間、一時北部の方で預かっていただきたいしその御迷惑をかける分に
ついては、政府が思い切った振興策をして皆さんに御迷惑をかける分については、これまでできなかった、これからもできないであろう思い切った振興事業を導入して北部に夢をつくりましょう、産業をつくりましょう、ふるさとをつくりましょう、こういうことを知事がおっしゃっていただけばこの問題は一件落着なんですよ。これがポイントになります。
 ですから今の政府の動き、いろんな関係者の言葉を集約してくると、このまま推移をしていって、橋本総理が11月21日の沖縄ステートメントを発表する前にこの普天間飛行場問題について何らかのめどがつかなければ政府は原稿を書けないと思います。
 その結果、凍結論が出てきたとき、これを一番心配しております。
 私どもは毎週東京サイドと連絡をとり合っておりますけれども、どんな事態になっても普天間飛行場凍結論だけは言わないでくださいよと、ぎりぎりまで我慢してください、こういうお願いをして回っているんです、今。そういうことで、この普天間飛行場の件については知事の苦痛な選択かもしれません。大変な決意かもしれません。それについていま一度決意をはっきりした意思表示をこの場で明らかにしていただきたい。
 次、フリーゾーンの問題とか、これについては時間がありませんので次回に回しまして、この2つに絞ってまた再質問させていただきます。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 西田健次郎議員の御質問にお答えいたします。
 普天間飛行場移設に係る知事の公的責任について、名護市議会の全会一致の決議を知事はどう受けとめているのか聞きたいという趣旨の御質問でございます。
 名護市議会における今回の意見書は、地方自治法に基づき県に提出されるものであり、全会一致によって同議会の意思が表明されたものとして真摯に受けとめております。
 次に、普天間飛行場移設に係る知事の公的責任について、沖縄の振興策との関連で普天間飛行場や那覇港湾施設が返還されなければ沖縄の経済振興は進まなくなるが、知事はどのように責任をとるのかという趣旨の御質問でございます。 

 普天間飛行場につきましては市街地の中央部に位置し地域の振興開発を妨げているだけでなく、航空機騒音の住民生活への悪影響や航空機離発着訓練の実施などによって市民の生命に極めて危険な状況にあることから、県はこれまで日米両国政府に対しその返還を強く求めてきました。
 その結果、昨年の12月の沖縄に関する特別行動委員会の最終報告で5年ないし7年以内の全面返還が合意されたところであります。
 また、那覇港湾施設についても、極めて開発効果の高い地域であることから日米両国政府に対しその返還を強く要請してきたところであります。
 普天間飛行場の返還跡地につきましては、国際都市形成構想の中でその立地条件を生かし、国際都市OKINAWAのセンター機能を果たす地域として、また那覇港湾施設の跡地利用につきましては国際ビジョン拠点や国際アーバンリゾート等として位置づけられており、早期の返還が強く望まれているところであります。
 しかしながら、いずれの施設についても県内の既存の施設・区域への移設を条件としているため極めて厳しい状況にあります。これは海上も含めて必ずしも既設の区域だけではないわけですが、今後県としましては関係市町村の意向も勘案しながら、必要な段階では国際都市形成の課題を勘案し県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと思います。
 西田議員は今ここで決意を述べてほしいという趣旨のことをおっしゃっておりますが、先ほど来申し上げておりますようにまだ中身について、例えば漁業権の問題はどうなっているかとか、環境問題はどうなっているかとか、施設の大きさはSACOの発表以外に私たちは知ってないわけです。
 それから、先ほども上原議員にお答えしましたように基本的に軍用地の提供の仕方、その手続がどうなっているかということを含めて考えているところでございまして、海の底は建設省の管轄になっておりますので、その底に施設をつくろうとする場合には機関委任事務として建設省の方から知事に対して機関委任事務としての責任を果たすようにということが出てくるわけですが、そういうこともまだ来てないわけです。ですから今の段階で、御承知のように名護市民の意見というのは幾つにも分かれておりますので、それに市民の投票条例が決まってまだ投票も行われてない段階で県が何らかの判断を下すというのは非常に厳しいわけです。
 ですから先ほども申し上げましたように、適切な時期に県の総合的な観点から名護市民の判断を踏まえて何らかの判断を示さなくちゃいけないと。
 それからコンセンサスの問題について、どれをコンセンサスと見るのかと、投票の結果を見るのか、市議会の判断を見るのか、決議を見るのか、それとも市当局の判断を見るのかという趣旨の御質問、これは実は非常に難しい質問で答えにくいわけですが、これでまたおしかりを受けるかもしれませんが、総合的にしか判断できないと思うんですね。どっちか一方だけを中心に考えるわけじゃなくて、投票の結果も大事になりますし、市議会の決議も大事になりますし、また市当局の判断も大事になりますし、いわゆる市民団体と言われるような人たちの考え方というのも大事になって、これを総合的に判断して考えるしか行政としての判断は成り立たないというふうに考えます。
 その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 出納長。
   〔出納長 宮平 洋君登壇〕
○出納長(宮平 洋君) 7年目で初めての答弁でございます。
 記名投票について与党に強要しているが、これは議会無視であるということにお答えいたします。
 与党会派代表が集まってもらって議案に対する対策として相談をしたところであり、圧力はかけておりません。
 議会軽視とは思っておりません。
 集まった与党会派の代表の皆さんもそうは思っていないというふうに思っております。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺勇君) 副知事選任問題についての質問でございますが、マスコミとはいろんな機会に各種の問題につきまして意見交換をいたしております。
 副知事選任の問題につきましても、マスコミに対しましては慎重な対応をした方がいいよというふうなことで常々申し上げているところでございます。
 沖縄県の将来を左右する重要な時期にある現在、吉元副知事の手腕、力量によりこの難局を乗り越える必要があり、ぜひとも議会の御理解と御協力を得る必要があるとの趣旨のもとにマスコミと懇談したところでございます。
○西田健次郎君 議長、休憩してください。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午後3時24分休憩
   午後3時25分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 総務部長。
   〔総務部長 赤嶺 勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺 勇君) 再度お答えいたします。
 マスコミとはいろんな場を通じて意見交換をいたしております。もちろんそれは行政全般の問題、人事であり財政であり、その他もろもろについて意見交換をするのは当然でございます。
 しかしながら個々の問題で、個々のことにつきましていろいろ意見交換することもありますが、そういうふうな意味での議論をマスコミとやったことはございません。
 そういうことでございます。
○議長(友寄信助君) 西田健次郎君。
   〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 私も議会に戻ってきて2年になりますけれども、これまで既に4回か5回ぐらいマスコミの記事は全部違いますということを釈明しているんですよ。
 タイムス、新報の記者はいるかな。
 沖縄のマスコミはこういううそを平気で記事にするんですか。
 これは「雑談室」だけれどもね、あなたが言わなきゃこんなこと記事になるはずないんですよ。
 マスコミの良識をこの場で聞いておきたいけれども、本当に総務部長、議会側が与党も含めて指摘をしてきたことについては一目瞭然でそんなことはないと、こうあなたが言わなければ記者が書くわけないでしょう。幾ら書いてなんぼでも。
 これについては、どうせまた委員会でねっちりやりますけれども、これについてもう一遍総務部長の説明を聞いておきたい。
 それから、名護市議会の意見書を知事は真摯に受けとめるということです。
 真摯という言葉は、国語辞典で引くとまじめに受けとめてそのとおりにやるということですから、名護市議会の意見書のとおり知事は県の行政の最高責任者として対応するというふうに理解していいですか。
 それから、名護市議会の代表が先週の議会答弁で、7日にお見えになるからそのときいろいろ話を聞いてみたいと、こういうふうに知事は議会で答弁をしておりました。あした名護市議会の代表与野党が知事にその件について話し合いをしに来るそうですけれども、知事が面会をかたくなに拒否しているということを聞いておりますけれども、その事実関係とその理由、それをひとつお伺いしておきたい。
 これは知事の基本的な政治姿勢、民主主義を本当に理解しているかどうかということで私ども自民党県連が普天間飛行場の問題についてこのままでは国際都市形成構想もうそ物語になりますよと、思い切って普天間飛行場の移設を知事は決断をすべきだと、こういうことを話に行こうとしたらずっと拒否されてもう1年近くなります。
 県民代表とかたくなに意見の違うのとは会おうとしない、これはヒトラー以上だと私は思う。自分の意見と合わないのは一切拒否するということはこれはファッショですよ。民主主義の仮面をかぶっているファッショでしかない、こういうおしかりをせざるを得ません。
 その点についてももう一度説明をしていただきたい。
 それから出納長、議会として慎重に対応してくれ云々ということですけれども、なぜそれなら記名投票にしてくれと言って与党に要請したのか、その根拠を説明していただきたい。
 それから普天間飛行場の問題で、基本的には県内移設反対ということをおっしゃってきた。しからば県外移設が可能な状況ということは、そして県外移設にはどういう作業が伴うのか。私は、県外移設はここしばらくは不可能だと見ているんですよ。しばらくというのは10年単位ですね。凍結論が出た場合20年間動きませんよ。これを覚悟した上で県外移設の可能な状況とは一体どういうことを想定しておられるのか、これについて。

 それから次、市町村の動きを見ながら適切に対処したいと、那覇軍港の問題も。それから普天間飛行場の問題もですね。こういうことをおっしゃっていた。
 それからまた、調査の結果を見なきゃ云々できないということですけれども、しからばキャンプ・シュワブの調査で環境の問題、あるいは騒音の問題、こういうこと等が納得のいく結果が出てきたときはそれを尊重するというふうに理解していいのか、この点についていま一度説明をお願いします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 西田議員の再質問にお答えいたします。
 名護市の議会の意見書を真撃に受けとめるというのは最大限に尊重するという意味かという趣旨の御質問でございますけれども、御承知のようにヘリポート施設の問題をめぐってはいろんな意見があり、いろんな動きがありますので、それを踏まえながら県としては県の将来計画とか、例えば2015年までに基地のない平和な沖縄をつくるというのを絶えず我々は主張しておって、アメリカの政府に対してもそれを提起しているわけでございまして、そういうものとの関連も見ながら将来の発展を考慮しながら総合的に判断していくというわけでございます。
 それから、まだ具体的な内容がわかっていない、例えば環境問題にしてもわかっていないと。調査の結果が出たら、じゃそれによって応諾するのかという趣旨の御質問だったと思いますが、今の段階でどうするということを申し上げるのは適切でないと。
 というよりは、むしろ申し上げる根拠を何も持っていないということになるわけでございまして、ただいま申し上げましたように地元の意向が総体としてどう出るかということと、県の将来計画と基地のない平和な沖縄を指向していく県の一番基本になる政策との整合性はどうなるのかとか、そういうことを関連させて総合的に判断して
いくしかないというふうに考えております。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
   〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) ただいまの8日の件でございますが、議場で常々知事が申し上げておりましたことは、向こうから議会明けの8日にお会いしたいという申し入れがありましたものですから、そのことについては向こうの事務当局と連絡をとり合ってそのような方向で取り計らっておりました。
 しかしながら、現時点で向こうの都合が悪いということもありまして、これが13日以降に延びそうだということで私たちもそれに対しては柔軟に対応をするつもりでおります。
○議長(友寄信助君) 出納長。
   〔出納長 宮平 洋君登壇〕
○出納長(宮平 洋君) なぜ記名投票にしてもらいたいと言ったかという再質問にお答えいたします。
 一般的には賛否がはっきりする方で採決がされており、記名、無記名投票というのは特別の方法でやることだと思っております。
 人事問題であり、しかも非常に重要な問題ですので、これが明確な方法でやられたのがいいんじゃないかという意見を申し述べた、それによる相談をしたということでございます。
○西田健次郎君 答弁漏れ。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午後3時35分休憩
   午後3時36分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えいたします。
 先日もお答えをしたと思いますが、今非常に注目すべき事態が起こっておりまして、例えばクリントン大統領のバックをする民主党のシンクタンクのブルッキングス研究所のマイク・望月さんなんかが具体的に今ガイドラインがつくられているけれども、このガイドラインの成立と沖縄の海兵隊の削減というものをリンクさせてやれないかと。そしてその場合にハワイとかグアムに移すことは考えられないかということで具体的に2003年までに沖縄の海兵隊を3000人から5000人ぐらいにしてグアムとかハワイとかに移したらどうかと。そしてそのかわりガイドラインをきちっとしていくということを具体的に提案しているわけですね。
 それからチャマーズ・ジョンソンという、この人は沖縄のアメリカの兵力を削減すべきだという一番の大きな声で言う人ですが、この人は1998年、つまり来年度の日本政府の思いやり予算が7%削減されると。そして7%というのは約2500億程度ぐらいになるんじゃないかと。そういう日本の思いやり予算というのは、日本の財政事情から確実に減っていくと。そして日本側の主張として2001年までには思いやり予算をなくするということを主張しているということが書かれています。
 これは本当かどうか、事実は私は確認できませんが、とにかくそのような具体的な内容の主張が出てきておりまして、それを根拠にして海兵隊は沖縄にこれ以上駐留する必要はないんじゃないかと、グアムとかハワイからでも十分に対応できるんじゃないかというような趣旨のことを書いておりまして、我々がこれまで基地の移設じゃなくてむしろ兵力の削減をして、その必要性をなくしてほしいということで兵力の削減問題を持ち出してきたわけですが、従来は抽象的に議論がされておったのが、今申し上げたように2000何年までにとか、予算が幾ら削られるからとか、いつまでに予算を完全になくしようという主張があるからという形で非常に具体化しているところに注目しているところでございまして、そういった意味を含めて申し上げている点でございます。
○西田健次郎君 休憩してください。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午後3時39分休憩
   午後3時40分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 西田健次郎君。
   〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 1点目、出納長に御注意を申し上げておきますけれども、記名投票をやるということは間接的な圧力、おどしになるということだけをはっきり認識をしておいていただきたい。
 それから知事、このままでいくと凍結になります。凍結になったときは国際都市形成構想の夢はうそ物語になりますよね。そういうことでいいのか。間違いなく普天間飛行場が凍結という形に追い込まれていきそうです、このままいくと。それを私ども非常に心配しております。 
 その点について、凍結になったときは国際都市形成構想も、どうせ那覇軍港も動かないんだから、あなた方が言っているあの夢はみんなうそだと、そう理解していいですね。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えいたします。
 うそだと理解していいかという趣旨の御質問ですが、国際都市形成構想はもちろん普天間の跡地利用というのも非常に重要になってきますけれども、それだけではなくて、そのほかの分野で全沖縄的な形の構想でございますので、それによってうそということにはならない。むしろ将来に向けての夢を何とかして一つ一つ着実に実らせていこうということでつくった構想でございますので、うそにしないように行政としては全力を投入して努力してまいりたいと考えています。
○議長(友寄信助君) 西田健次郎君。
   〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 国際都市形成構想を反対をしている立場でもありません。ぜひ成功させなければならないと思うけれども、その前提条件である那覇軍港、普天間飛行場が現在の知事の姿勢のまま推移していくと間違いなく凍結になる。
 こうなると、このアクションプログラムを含めてこの事業は実行できない。そのときの政治責任は、知事は厳しく問われますということだけをはっきり申し上げておきます。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午後3時44分休憩
   午後4時6分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
 嘉陽宗儀君。
   〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 通告により質問いたします。
 最初の質問は、安保・基地問題についてであります。
 見直しされた日米防衛協力のための指針いわゆるガイドラインは、周辺事態の協力の名で日本が何らの攻撃も受けていないのにアメリカが軍事介入したら日本も自動的に参戦する戦争マニュアルです。これは文字どおり憲法違反であり、日米安保条約の実質的な大改悪であります。

 そこでお聞きします。
 1、この新ガイドラインは有事の際、沖縄が戦争に巻き込まれるおそれがあります。知事は、明確に反対表明すべきだと思いますけれども、いかがですか。
 2、知事は、その危険性と在沖米軍の役割についてどのような認識をしておられますか。
 3、政府は、有事法制の検討にも着手しています。知事は反対すべきではありませんか。
 次は、公告・縦覧代行応諾と米軍用地特別措置法の改悪についてであります。
 知事が米軍用地の強制使用にかかわる公告・縦覧の代行に応諾してから1年が過ぎました。その際、知事は特別立法を制定させないためにも応諾が必要だと表明していました。ところが特措法は改悪され、地方分権推進委員会での国の直接執行事務とするとの答申も出されました。これは、21世紀まで県民に基地を押しつける暴挙であります。
 昨年の9月議会で私は、「みずからの立場を大転換して公告・縦覧代行に応じたことは、今度は知事の態度が県民から歴史の審判にこたえられる判断であったのか問われることになりました。」と指摘しました。この応諾はまさに歴史の審判にこたえられる判断であったか、明確にしてください。
 また今後、強制使用にどう対応されるのか、見解を伺います。
 3点目に、海上基地建設にかかわる問題についてお聞きします。
 知事は、これまで基地問題は条件闘争ではないと繰り返し発言されてきました。しかし現実には振興策の動きだけが目立っています。マスコミは、今後の予想されるシナリオは、11月21日の沖縄復帰25周年記念式典で橋本龍太郎首相が21世紀に向けた沖縄振興策を指し示し、これを受けて大田知事が普天間飛行場の移設問題で最終判断を示すことが予想される、沖縄問題をめぐる県・政府間交渉は、ちょうど1年前の状況に似てきたと報じています。それを打ち消すためにも海上基地に明確に反対だということを表明すべきではありませんか。
 第2の質問は、全県フリー・トレード・ゾーンについてであります。
 さきに発表された経済効果試算は、分析検討した結果、とても試算として採用できるものではないずさんなものだと考えます。
 そこで6点についてお伺いします。
 1、試算方法は、立地可能面積を想定しているが、可能な場所を調査した結果の面積か。
 2、特別措置により大きなメリットが想定される業種を選定しているが、その特別措置による効果は幾らか・特別措置の具体的な内容と可能性、その根拠を示せ。
 3、全国ベースの工業統計値を原単位として試算しているが、諸条件が異なる沖縄で試算が成り立つとする根拠は何か、そのような手法は粗雑過ぎないか。
 4、用地の確保、設備投資、輸送コスト、東南アジアに比べて高い人件費なども試算の根拠にしているか、操業している企業の実績をもとに試算するのは非科学的ではないか。
 5、これまでの企業誘致は失敗している、その教訓も試算に生かしているか。
 6、その他の試算の手法や根拠も非科学的である、実現の可能性が確実でない前提で県民に幻想を与えるためのメリットの強調はすべきではないと思うがどうか。
 次は、素案についてです。
 これは発表されてから経済団体などから懸念と反対の声が相次いでいます。
 そこで次の3点についてお伺いします。
 素案では既存産業を守るためにどのような配慮をしたのか。
 2、素案は極めて粗雑である、県民の要望や実情を踏まえて作成したのか。
 3、本当に21世紀に向けての産業振興ができるのか、失敗は許されないが責任は持てるのか。
 第3の質問は、貸金業者への行政指導の強化についてであります。
 私は、これまでも再三にわたって悪質な貸金業者への行政指導と取り締まりの強化の問題を取り上げてきました。
 これにこたえて、関係機関や職員の皆さん方は懸命に頑張ってこられたと評価をし労をねぎらいたいと思います。しかしながらその取り組みがあっても相変わらず深刻な事態は今も続いています。県民の生活苦が解決されない限り今後も同じような状況は続くと考えられます。
 現在、多重債務による自己破産もふえ続けています。私の相談所だけでも既にことしに入ってからも100件以上の裁判所への自己破産の申し立てをしています。悪質なサラ金業者による深夜にわたる違法な取り立て、不法監禁、夜逃げ、一家離散なども後を絶ちません。追い詰められ自殺をはかるなどの悲劇も出ています。逃げ場がなくて私の事務所に駆け込んできて数日間も身を隠すという事例もことしになってからも数件あります。
 またある母子家庭の母親が、娘が保証人になった件で債務者が行方不明になったために、体が弱くてまともに仕事をしてない娘に厳しい取り立てがあり売春を強要され、結局はそれに耐えきれずノイローゼになり自殺未遂をはかり、精神病院に通院しているが、それでもまだサラ金業者が取り立てに来るので助けてほしいと駆け込んでくるという事件もありました。
 なぜこのような違法で悪質な取り立てという深刻な事態が一向に改善されないか、県民の命と暮らしを守るためにも真剣に考えなければなりません。
 私は、行政と取り締まり当局が関係法規に照らして法の遵守を厳しく求め、違反に対しては徹底して法律に基づく措置をすれば事態は大きく改善されると思います。それを解明し行政としての責任をきちっと果たしているか明らかにするために幾つか質問します。
 1、多重債務で自己破産がふえ続け、悪質取り立てで自殺者まで出している深刻な事態があるが、これまで業者にどのような指導監督をしてきたか。
 2、貸金業協会の機能は果たされているのか、現在、指導部の対立で混乱しているという訴えもあるがどうか。
 3、貸金業の規制等に関する法律に基づく指導取り締まりの実態はどうなっているか、10点についてお聞きします。
 1、登録更新。登録は3年ごとにその更新を受けなければならないが、その実態はどうなっているか。その際に違法営業の有無などを調査してから更新させているか。
 2、無登録営業等の禁止。悪質な無登録営業による被害の訴えがかなりありますが、その防止のためにどのような取り組みをしているか。
 3、名義貸しの禁止。貸金業者は自己の名義をもって他人に貸金業を営ませてはならないことになっているが、実質のオーナーが暴力団関係者の業者もいるが、明らかに名義貸しの禁止に該当すると思うがどう対応しているか。
 4、過剰貸付等の禁止。その返済能力を超えると認められる貸し付けの契約を締結してはならないのに、無人貸付機でその法は抜け穴になっている、どう対応されますか。
 5、書面の交付。貸し付けに際して書面の交付をしない業者がいるが、実態を掌握しているか、それに対してどのような指導監督をしているのか。
 6、受取証書の交付。受取証書の交付がなされないために裁判を受ける権利さえ奪われるという事態も数多い、どういう対策をとってきたか。
 7、取立行為の規制。悪質な取り立てが横行し、中には組織暴力団の介入をちらつかせたりする業者もいる、サラ金地獄の再来の状況になっている、監督官庁の機能が十分に果たされていないのではないかという批判の声さえある、こんな深刻な事態になっているのはなぜか、どのような対応をしてきたか。
 8、業務の停止。悪質な業者に対するこの5年間の業務停止の実態はどうなっていますか。
 9、登録の取り消し。悪質な業者に対するこの5年間の登録の取り消しの実績はどうなっていますか。
 それから10、事業報告書の提出。年間1回の義務づけの実態はどうなっているか。
 貸金業協会への業務委託について。
 1、貸金業協会への業務委託費は幾らで、いつから委託しているか。教育・福祉団体への補助金がどんどん削減されている中での莫大な委託費はいかがなものか。
 2、貸金業にかかわる登録申請書及びその添付書類は、原則として貸金業協会を通して提出することになっているが、それを委託する法的根拠は何か。
 3、貸金業協会の決算書に県、県警、マスコミ関係等への外部団体渉外費があり、警察や県の担当者を接待しているという内部告発があるが、事実はどうか。平成8年度の決算で当初予算70万円が計上され、決算額は3万円も超過して73万6874円になっています。監督官庁や取り締まり当局が接待に応じていて厳正な対応ができるのか疑問だ、明らかにしてほしい。

 今後の対策について。
 1、貸金業協会への委託業務を中止し、監督機関としての権能を確立すること。
 2、貸金業者の違法営業にかかわる指導取り締まり強化について徹底していただきたい。
 3、貸金業者にかかわる苦情処理は原則として協会が行うことになっているが、きちっと指導して行わせること。特に現在、貸金業内部でいろいろなトラブルがあって機能を果たしてないという訴えがありますから、これについてはちゃんとやってもらいたい。
 4、誇大広告の禁止、無条件、無審査で借り入れ可能との誤解を招くような表示、借り入れやすいといった点を過度に強調したり、顧客の借入意欲をそそるような表示、社会的に過剰宣伝であると批判を浴びるような過度な広告をしてはならないことになっているが、そのための取り組みをこれまでどのようにやってきたか。
 最後に、国道330号にかかわる問題についてお聞きします。
 1つは、コザ十字路の国道330号にかかわる交通渋滞を解消するためにどのような解決策をこれまでとられてきたか。
 同じく330号の安慶田側の暗渠の改修工事の進捗状況についてどうなっているか、明らかにしていただきたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 嘉陽宗儀議員の御質問にお答えいたします。
 まず、見直しされた日米ガイドラインについて、有事の際、戦争に巻き込まれるおそれがあると、知事は反対表明すべきじゃないかと、その危険性と在沖米軍の役割をどう認識しているのかと、政府の有事立法に反対すべきではないかという御質問には一括してお答えいたします。
 去る9月24日に発表されました新たな日米防衛協力のための指針は政府の発表によると、「平素からのおよび緊急事態における日米両国の役割ならびに協力および調整の在り方について、一般的な大枠および方向性を示すことを目的」とするとしています。
 しかしながらこのガイドラインは、「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力」の分野について米軍による民間空港、港湾の一時的使用とともに、中央政府及び地方公共団体並びに民間が有する権限、能力の活用を米軍の活動に対する日本側の協力項目として挙げています。
 報道されているように周辺事態の際、県内の空港や港湾が使用されることが事実であるとすれば、本県の米軍基地の過重な負担の状況から、本県の経済活動や県民の生命財産への影響が懸念されます。
 今後、ガイドラインの実効性の確保のため、政府において国内法の整備が検討されるとのことでありますが、県としては、政府の対応や国会の論議を見守り、適切に対応してまいりたいと思います。
 行政の長としては、現実に基地があると、したがって有事の際にはその基地がターゲットになり得る懸念というものが一般の県民の間にも相当強くありますので、そういったことも含めながらこれまでもいろんな形で基地のない平和な沖縄の問題について訴えてまいりましたけれども、残念ながら一行政の長だけの力ではどうにもならないようなのが現実の姿でございまして、国会におきましてもいろんな反対もありますけれども、実際にはそれが通らないというような状況があるのはもう既に御承知のとおりだと思います。
 それから、公告・縦覧代行応諾問題との関連で、歴史の審判に耐えられるかということと、今後強制使用にどう対応するかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 昨年の公告・縦覧代行の応諾については、最高裁判所の判決から司法の場においての基地問題の解決には限界があること、国と県との協議や日米両国政府の話し合いの進展の促進、また国会で強制使用手続を迅速化する動きも懸念されていたこと、さらには閣議決定された内閣総理大臣談話によって基地問題や振興策についての今後の道筋を明らかにされたことなどを総合的に判断したものであります。
 御承知のように、知事が応諾を拒否したとしても法的にすぐに総理がそれを実行できるようになっております。
 去る9月2日に発表されました地方分権推進委員会第3次勧告は、駐留軍用地特措法に基づく土地の使用・収用に関する機関委任事務の大部分を国の直接執行事務にするという内容になっています。
 県は、本県の米軍基地が銃剣とブルドーザーによって強制使用されてきた歴史的経緯や、県内大多数の団体が現行どおり市町村や県が関与できる仕組みを残すべきであるという意見を踏まえ、国の直接執行事務にすることに対して反対であることを私みずから東京に出まして地方分権推進委員会に説明し、県民の意向の尊重を強く要望してまいりました。
 今回の勧告は、そのような県民の意向が反映されておらず残念な結果となっています。この辺でも一地方自治体の行政の長のいわば力といいますか、そういうものに限界があることを痛切に感じております。
 日米安全保障条約に基づく米軍施設・区域の提供が我が国の義務であるとしても、士地の使用・収用に関する事務は財産権の保障の観点から慎重に行うべきものと考えています。
 県としましては、地方分権推進委員会の勧告を受けての政府の対応を見守りながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 それから基地問題との関連で、知事は条件闘争ではないと繰り返していたが、結局振興策の動きだけが目立っていると、政府は11月の復帰記念式典で振興策を打ち出し、知事が海上基地建設を容認するのではないかとの声もあると、それを打ち消すためにも海上基地建設に明確に反対表明すべきではないかと考えるがどうかという趣旨の御質問でございます。
 県の基本的な立場は、基地のない平和な沖縄の創造を図ることであり、したがってその趣旨から基地返還アクションプログラム(素案)に基づく基地の整理縮小とあわせて兵力削減を日米両国政府に強く求めてきたところであります。
 米軍基地の県内移設については、県としては基本的に反対である旨繰り返し申し上げてまいりました。今後、県としましては地元の判断も勘案し、必要な段階では県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと考えております。
 それから、全県フリー・トレード・ゾーンとの関連で、素案では既存産業を守るためにどのような配慮をしたか、素案は極めて粗雑であると、県民の要望や実情を踏まえて作成したかという趣旨の御質問には一括してお答えいたします。
 お答えする前に一言だけ申し上げておきたいことは、復帰前に県の経済界の団体から、あるいは行政の長の松岡主席から、それまでの自由貿易地域というものがほとんど機能していないということから、全県フリーゾーンというものを政府に強く要請した歴史がございます。
 そういうなぜ既存の自由貿易地域というのが最初設置した段階で期待されたような機能を果たせなかったかといったようなことについては、いろいろな角度から検討してまいりました。それを踏まえて全県自由貿易地域制度の導入を内容とした県素案をまとめているわけでございますけれども、その素案をまとめるに当たりましては県議会各派、工業連合会、農業団体等との意見交換も行ってまいりました。
 また、全県自由貿易地域制度を導入するに当たり、投資税額控除制度等の優遇措置や既存の産業及び企業に影響を与えないような関税免除対象外品目の選定及び必要な支援策を講じていく考えであります。
 このようなことを踏まえ、現在経済団体会議におきまして積極的に検討を行っているところであります。今後、県案の策定に当たりましては県議会の議論や経済界、その他の関係団体等の検討結果等を考慮しながら総合的に判断してまいりたいと考えております。
 それから、同じく全県フリー・トレード・ゾーンとの関連で、本当に21世紀に向けての産業振興ができるのか、責任を持てるのかという趣旨の御質問でございます。
 大変厳しい御質問で、正直申し上げて責任を持てるのかと聞かれた場合に非常につらい立場になりますが、ただ我々が懸命に努力しておりますのは、県民の経済界の自立的発展をどう図っていくのか、それと一番問題にしている若年層の雇用の問題、失業の問題をどう解決するかというそういうのを踏まえて、それで将来に向けて何とか明るい展望を開きたいということで努力しているのをぜひ御理解賜りたいと思います。

 本県では、沖縄振興開発計画に基づく諸施策の実施によって社会資本の整備を中心に相当の成果が上がっておりますが、産業経済の現状は県外依存度の高い脆弱な構造となっており、県民所得は低く失業率は高いという厳しい状況にあります。
 このような現状を踏まえ本県が抱える諸課題を解決し産業経済の振興を図っていくためには、従来にない思い切った産業振興策が必要であると考えています。
 このため既存の振興策等に加え全県自由貿易地域の展開を初め情報通信関連産業の集積の促進、国際観光・保養基地の形成など新たな産業振興策を着実に推進することによって経済的自立を図りたいと努力している次第でございます。
 その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 全県フリー・トレード・ゾーン関連の御質問が幾つかございます。
 まず、試算方法は立地可能性面積を想定しているが可能な場所を調査した結果の面積かと、2点目に特別措置により大きなメリットが想定される業種を選定しているが、その特別措置による効果は幾らか、特別措置の具体的な内容と可能性、3点目に全国ベースの工業統計値を原単位として試算しているが、諸条件が異なる沖縄で試算が成り立つとする根拠は何か、4点目にその他の試算の手法や根拠も非科学的であるという4つの御質問に一括をしてお答えいたします。
 試算における立地可能性面積につきましては、工場立地法に基づく調査によって指定された県内工場適地の分譲残地の面積等を根拠といたしております。
 県では、関税の免除、特恵措置的関税制度の導入等を内容とする全県自由貿易地域制度の創設に加え、税制上の特例措置として投資税額控除制度の創設、法人税率の軽減等を要望項目として掲げております。
 投資税額控除制度及び法人税率軽減の効果でございますが、投資税額控除制度を最大限活用し、それから7.5%の法人税率の軽減と合わせますと企業立地の大きなインセンティブになると考えております。
 さらに、その他の特例措置を実施すれば想定をした分の工業立地は十分に見込めるものと考えております。
 こうした考え方のもとに全県自由貿易地域制度の導入等の要望項目が実現された場合、立地可能性の業種として食品加工、医療・科学、電子部品等の業種を想定をし、新規市場創出を試算する上では県内外からの立地を想定して全国平均ベースの原単位を用いて算出をしております。
 県といたしましては、現段階ではこの手法での試算が県素案の要望項目が実現した場合の経済効果を示す方法だというふうに考えております。
 次に、用地の確保、設備投資、輸送コスト、東南アジアに比べて高い人件費等も試算の根拠になっているか、操業している企業の実績をもとに試算するのは非科学的ではないかとの御質問でございます。
 工業出荷額は、原材料使用額に粗付加価値及び内国消費税を加えたもので計算をいたすことになっております。
 今回の試算に当たりましては、用地費を含む工場建設費、輸送費、人件費等の立地コストについては各種優遇措置等が実施されることを前提に立地可能業種を選定いたしました。これら業種が立地可能面積379ヘクタールに立地した場合の工業出荷額及び就業者数を平成6年度工業統計表をもとに試算をしたものであります。
 現段階では県素案の要望項目を実施した場合の経済効果の試算としては、このような実績をベースとした手法が適切であるというふうに考えております。
 次に、これまでの企業誘致失敗の教訓を試算に生かしているかとの御質問でございます。
 本県の企業誘致は、本土からの遠隔性、技術集積度の低さ、マーケットの狭小性等不利な環境にあり、これまで大きな成果は上げられませんでした。
 県はこうした本県の不利性に配慮し、本県の自立的発展の支援のため投資税額控除制度の創設、法人税率の軽減等の特例措置を要望しているものであり、今回の産業振興策はこれまでのものとは抜本的に異なる振興策であると考えております。
 県としましては、県素案の要望項目が実現すれば想定した業種の立地可能性は高いものと考えており、こうした考えのもとに経済効果を試算したものであります。
 以上でございます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
   〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商工労働部長(幸喜良秀君) 貸金業者への行政指導の強化について商工労働部関係で合計17の質問がございます。9つに整理してお答えいたしますのでよろしくお願いいたします。
 まず、多重債務で自己破産がふえ続け、悪質取り立てによって自殺者まで出している深刻な実態があるが、これまで業者にどのような指導監督をしてきたか、それから取り立て行為の規制で悪質な取り立てが横行している、サラ金地獄の再来の状況になっているがこんな深刻な事態になっているのはなぜか、どのように対応しているかとの御質問にお答えいたします。
 金融機関の過剰貸し付け及びクレジットや無人貸付機の普及等が多重債務者の増大した要因だと言われております。
 貸金業者の指導につきましては、これまでも立入検査及び法定研修会等あらゆる機会をとらえ、法令を遵守するよう指導しているところであります。特に行き過ぎた取り立て行為等に対しましては厳重注意するとともに、業務改善等の文書勧告を行っております。
 また、悪質な業者については警察等へ協力を求めるなど関係機関との連携を図りながら資金需要者の被害が拡大しないよう努めております。
 次に、貸金業協会の機能は果たされているかとの御質問にお答えいたします。
 貸金業協会は、貸金業の適正な運営及び資金需要者の利益の保護を図ることを目的として設置されており、業界を指導していく上で重要な役割を担った機関であります。
 社団法人沖縄県貸金業協会においては、貸し付けの正常化及び広告の正常化、業者の資質の向上に向けて取り組んでいると認識しております。
 嘉陽議員から御指摘がありました組織内の内部対立のことでございますけれども、役員間で運営のことについて意見の対立があるということで8月から数回にわたって会長や副会長を呼んで、今指導しているところでございます。
 それから登録、更新の際に違法営業の有無などを調査しているか、それから無登録営業等の禁止で無登録営業による被害の訴えがかなりあるが、その防止のためにどのような取り組みをしているか、そして名義貸しの禁止について業者にどのように対応しているか、一括してお答えいたします。
 貸金業を営むには貸金業法第3条第1項の規定により登録が必要ですが、禁治産者や禁固以上の刑に処せられた者で3年を経過していない者などはその登録を拒否しなければならないとされており、その確認のため市町村及び検察庁に照会調査をした上で更新を行っております。
 県の登録審査は、このような拒否要件に該当しないかどうかをチェックするものであるため暴力団との関係について把握することは困難でありますが、立入検査並びに警察等関係機関からの情報提供によりその実態の把握に努めているところであります。
 名義貸しをしている貸金業者に対しては、その事実が判明した場合、県の行政処分実施要綱に基づき厳正かつ適正な処分を科していく考えであります。
 また、無登録業者に対しては苦情相談や県民からの通報があった時点で警察に連絡し対応方をお願いしております。
 次に、過剰貸し付け等の禁止でその返済能力を超えると認められる貸し付けの契約を締結してはならないのに無人貸付機でその法は抜け穴になっている、どう対応するかについてお答えいたします。
 貸金業法第13条において貸金業者の過剰貸し付けを禁止しております。業者に対しましては、登録済み通知書の交付式や法定研修会及び立入検査等で過剰貸し付けの注意、信用調査の徹底を図るよう指導しております。
 また、無人貸付機の導入が多重債務の要因にもなっているとの批判が高まっている中で、国においては消費者金融会社に対し過剰広告の見直しや与信業務の厳格化を求めております。

 県におきましては国と情報交換を行い、国の指導に基づいて対応していきたいと考えております。
 次に、貸し付けに際して書面の交付をしない業者がいるが実態を把握しているか、それに対してどのような指導監督をしているか、そして受領証書の交付がなされないために裁判を受ける権利さえ奪われるという実態も数多い、どう対策をとってきたか、一括してお答えいたします。
 書面の交付及び受領証書の交付がなされない業者については、資金需要者からの苦情相談や立入検査で掌握しております。業者に厳重注意するとともに、交付するよう指導しております。これらの業者に対しては厳重注意するとともに文書勧告を行い改善を求めております。
 次に、悪質な業者に対するこの5年間の業務の停止の実態は、登録の取り消しの実績は、それから業務報告書の提出、その年1回の義務づけの実態はどうなっているか、一括してお答えいたします。
 業務停止の処分を科した業者はおりませんが、登録の取り消しについてはこれまで12業者の処分を行っております。また平成8年度の業務報告書については1038件の送付に対し691件の提出件数で66.5%の提出率となっております。
 次に、貸金業協会への業務委託費は幾らでいつから委託しているか、また貸金業協会に委託する法的根拠は何か、そして貸金業協会が警察や県の担当者を接待しているとの内部告発があるが事実はどうか、一括してお答えいたします。
 業務委託の法的根拠は、貸金業の規制等に関する法律第31条で「大蔵大臣又は都道府県知事は、この法律の円滑な実施を図るため、大蔵省令で定めるところにより、この法律の規定に基づく登録の申請、届出その他必要な事項について、協会に協力させることができる。」と定められております。それに基づき本県も他の都道府県同様業務の委託をしております。業務委託は昭和61年から行い平成9年度の委託額は312万5000円であります。
 また、過去に協会の健全化並びに資金需要者の利益の保護を図る目的で関係機関と情報交換会が持たれたと聞いておりますが、現在はそのようなことは一切ありません。
 次に、貸金業協会への業務委託を中止し監督機関としての機能を確立すること、さらに貸金業者に係る苦情処理は原則として協会が行うことになっているが、それを指導してきちっと行わせることについて一括してお答えいたします。
 登録事務の円滑化、法定研修会等の充実を図る上からも他府県同様委託することが必要だと考えております。
 県といたしましては、貸金業務が円滑に行われ、資金需要者等の保護が図られるよう協会に対し苦情処理についても徹底した指導をしてまいりたいと考えております。
 次に、社会的に過剰宣伝であると批判を浴びるような過度な広告をしてはならないことになっているが、そのための取り組みをこれまでどのようにやってきたか、お答えいたします。
 貸金業者の指導につきましては、これまでも立入検査及び法定研修等あらゆる機会で法令を遵守するよう指導してきたところであります。今後とも資金需要者の被害が拡大しないようなお一層の指導を強化していきたいと考えております。
 最後に、貸金業者への行政指導につきましては商工労働部を挙げて問題解決に当たりたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。
○議長(友寄信助君) 警察本部長。
   〔警察本部長 井上美昭君登壇〕
○警察本部長(井上美昭君) 嘉陽議員からの貸金業協会の決算に県、県警、マスコミ関係者等への外部団体渉外費があり、警察や県の担当者を接待していると内部告発があるが事実はどうかとの御質問にお答えをします。
 県警といたしましては、貸金業に関して暴力団の介入を阻止し、不法な取り立て等の違法行為を防止するという観点から貸金業協会と連携を図っているところであります。そのため情報交換という趣旨で過去において担当課と協会側との情報交換会が持たれたということを聞いております。
 今後は、誤解を受けないような形で暴力団の介入を阻止し、不法な取り立て等の違法行為を防止するという観点から必要な連携を図ってまいりたいと考えております。
 次に、貸金業の違法営業に関する取り締まり強化についての御質問にお答えをします。
 県警といたしましては、悪質金融事犯に対しては県警本部内に悪質商法110番等の相談窓口を開設するなどにより県民からの相談に順次応じておりますほか、これら事犯の取り締まりを強化しているところであります。
 これまでの検挙状況を申し上げますと、平成6年から平成8年までの3年間に合計32件を検挙しております。その内訳は貸金業法違反の無登録営業が16件、銀行法違反の無免許営業が3件、出資法違反の高金利事犯が13件となっています。このうち暴力団が絡んだ事犯が15件あります。
 本年、これまでに貸金業法違反の無登録営業1件、出資法違反の高金利事犯3件、計4件を検挙しております。
 県警といたしましては、今後とも相談窓口を通じて県民の相談に応じるなどにより被害の未然防止に努めるほか、この種事犯は潜在性が強いということから県知事部局、弁護士会等、関係機関・団体との連携を密にしながら、特に暴力団絡みの事犯、また健全な貸金業の営業を著しく脅かす無登録営業、高金利事犯、悪質な取り立て行為に重点を指向して強力な取り締まりを行っていきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
   〔土木建築部長 江洲順吉君登壇〕
○土木建築部長(江洲順吉君) 国道330号コザ十字路の渋滞を解消するためどのような取り組みをするのかとの御質問にお答えいたします。
 国道330号コザ十字路の渋滞対策については、周辺道路網の整備状況や交通量の動向を踏まえ国において検討されるものと考えております。
 県といたしましても国の対応方を見ながら働きかけていきたいと考えております。
 同じく国道の関係で、国道330号にかかわる暗渠の改修工事の進捗状況はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 比謝川河川改修事業については、与那原川の合流点から国道330号との交点までを重点整備地区として設定し、下流から上流に向けて順次整備を進めているところであります。
 国道330号の横断暗渠の改築に当たっては国と調整を進めており、今後具体的に事業主体及び費用負担等について詰めていくことを双方で確認をしているところであります。
 また、当暗渠の直下流部の延長300メートルの河川沿川については、憩いと潤いのある水辺空間をつくり出す都市緑地事業を沖縄市が計画しており、県としては市の事業と連携して当該暗渠の改築も含めた河川整備に努めていきたいと考えております。
 なお、上流域のはんらん防止については沖縄市と調整をし当面の応急措置等について検討していきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 嘉陽宗儀君。
   〔嘉陽宗儀君登壇〕
○嘉陽宗儀君 再質問します。
 まずガイドラインの問題ですけれども、知事の所見を聞いておりますと大変だという認識をされているようですから、それであれば当然県の平和を守るという、そして安全を守るという立場からはやはり行政の長として明確にこれについては反対であるという意思表示を今すべきではないかと思います。
 そういう意味で改めて決意を伺います。
 特に、これまで知事の答弁の中で行政の長としての限界を盛んに強調されているんですけれども、私が考えるに、確かに今まさに沖縄は歴史の大きな転換点に立っているという認識をしています。
 それであれば、そういう行政の長として限界があるというのであれば私ども沖縄県民はアメリカの野蛮な支配を打ち破ってきたという県民の壮大な闘いがあるわけです。
 そういう闘いに裏打ちされて初めて行政の効果もあらわれてくるということを考えてみた場合に、今本当にガイドラインの問題、それから基地の県内移設の問題を含めて考えてみる場合に、知事自身が大衆運動の先頭に立って日米両政府に抵抗を示すと、これが今の事態を打開していく道じゃないかと思うんです。
 そういう意味で知事の御見解を伺います。

 それからフリーゾーンの問題についていろいろ試算がありましたけれども、私も試算しましたけれども、その細かい点は後で特別委員会でやりますけれども、試算を出したその根拠をぜひ議会に早目に提出をして、それに基づいて議論ができるようにしていただきたいと思います。
 それから貸金業については商工労働部は頑張っているとは思うんですけれども、ただ今実態はその名義貸しの問題でも明確に暴力団というのがわかるのがはっきりしているんです。何々組という暴力団の組事務所があって、そのそばに何々組商事、何々商事というのがあったりしていますし、それから私の方にたくさんの訴えが来ていますけれども、例えばここにもありますけれども、この手紙が送られてきて何々いわゆる暴力団の総長の命令で近いうち若いのが動くそうだから覚悟しろとか、こういうのがある。そうすればどこが暴力団関係の貸金業者かというのはその気になれば明確ですよ。
 そういったことをやはりきちっとやって、県民にこれ以上の被害が拡大しないようにしていただくと。
 その場合に県当局と貸金業となれ合いと思われたらいかないですよ。皆さん方は委託業務のことを言っていますけれども、この委託業務は銀行局長の通達では基本的には貸金業協会の業務になっている、総合事務局もこういうのを出していない。
 なぜ県が出すか、そういう意味でぜひこれはやめていただきたいと、この件については要望でとどめます。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 嘉陽議員の再質問にお答えいたします。
 ガイドライン問題について、知事が大衆運動の先頭に立って反対をやるべきじゃないかという御指摘でございますが、今全国に14の都道府県が基地を抱えておりまして、その渉外知事会というのを結成しております。それで基地に関する問題につきましてはそこの渉外知事会において共通するテーマがあったときに、これを提起して行政としてどう対応するかというふうな形で話をして政府に要請するならば要請するという形でやっております。
 それからそのほかに九州知事会というのがございまして、そこでも基地問題について沖縄側から提起した場合にいろいろ議論をされて行政としてどう対応するかということをこうやるわけですね。
 大変残念ながら基地問題については全国知事会においてもほとんど共通のテーマにもならなくて、我々が一生懸命に訴えてもなかなか取り上げてもらえないというような面もありまして非常に厳しい状況にあるわけです。
 県としては、繰り返し申し上げておりますように基地返還アクションプログラムというのをちゃんと提起をして、それを返してもらえる実現性の高いものについて具体的に要請をしているわけでございまして、これが大衆運動の先頭に立ってやれということですけれども、行政は行政としてのいろいろな配慮をしながら基地のない平和な沖縄をつくっていくのに全力を傾けたいと思います。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
   午後5時休憩
   午後5時再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
 商工労働部長。
   〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商工労働部長(幸喜良秀君) 貸金業関係の行政指導、特に暴力団関係についても私たちは問題を非常に重要視しておりますので、これから部を挙げて対策を立てて頑張っていきたいというふうに思っております。
○議長(友寄信助君) 平敷昌一君。
   〔平敷昌一君登壇〕
○平敷昌一君 今議会はさながらフリーゾーンのオンパレードの感がいたします。
 私も農業の基本的価値の視点から全県自由貿易地域の問題を取り上げてみたいと思います。
 我々はよく琉球最後の王である尚泰の名言を引用します。ヌチドゥ宝という言葉をよく使いますけれども、ところでその命を維持するのは空気と水と食糧が絶対に必要なわけです。その食糧を生産するのはとりもなおさず農業であります。ですからヌチドゥ宝という言葉は裏を返せば農業ドゥ宝、命イコール食糧、農業ということになると思います。
 だからこそ世界のどの国においても食糧の自給に必死になっているのでありまして、世界の政治、経済の最大の特徴の1つは、先進国ほど食糧の輸出国、後進国ほど食糧輸入国という構図になっているのが実態でございます。
 そうした構図の中にあって超先進工業国である我が国日本は、実に特異な存在であります。
 御案内のように我が国は世界最大の農産物純輸入国であります。ですから言葉をかえて言えば命を外国にゆだねている国、命を金で買っている国ということになるわけであります。
 先進国でありながら食糧の総輸入体制といういわば世界の異端児というわけであります。その原因について戦後世界体制とアメリカの食糧戦略にあると指摘する学者もおります。日本が世界市場にリンクすればするほど、さらにアメリカの経済危機、農業危機が進めば進むほど日本はアメリカの食糧戦略に組み込まれるようになるというわけであります。
 農業は命ですからいずれの先進国においても国内に一定規模の農業生産と、それから生産の場である農村を維持するために相当に手厚い農業保護政策を実行しております。
 農産物の自由化とはいえ、どの国においても保護すべき品目は国境調整除外品目として輸入を制限ししっかりと保護し、しかもコスト負担までやっております。アメリカは日本の約3倍、EC諸国は1.5倍ぐらいも農業保護のために財政支出をしているというのが実態なわけです。
 農業の基本的価値というものは、述べましたように何と言っても食糧農産物の安定供給であります。人間の生命を維持するために絶対に欠かすことのできない食糧供給が農業の基本的役割であるわけですが、さらにまた農業生産というものはそれぞれの土地条件に合わせた作目選定と長年の技術の集積でありますから、いわば農業は一つの文化の伝承であるという'ことになります。
 ですから一度破壊されてしまうか、または衰退してしまいますと復活させるのは大変困難であるという事実を知らなければなりません。
 さらに、林業にしてもあるいは水田にしても畑作にしろ、農業が営まれていることによる社会的環境保全の重要性があるということであります。
 農業を営む人がいるから自然が楽しめるし、安らぎのある環境が存在し得るわけであります。それらはすべて農業の基本的価値であると私は考えます。
 以上、農業の基本的価値の一部について持論を述べましたけれども、知事は農業の持つ基本的な価値についてどのような認識をお持ちかをまずお聞かせください。
 次に、農業・農村と全県自由貿易地域について考えてみたいと思います。
 県素案の「基本的な考え方」の中で、「産業活動の活性化を通じた雇用の拡大と内外価格差の是正による県民生活の向上を図るため、」全県自由貿易地域を展開するというふうにうたっております。
 それに対し農業団体JAグループは、農畜産物の輸入自由化により、家族経営を主体とする本県農業・農村の存立基盤を根底から揺るがし、ひいては農村地域の崩壊を招くことになると反対表明をしております。すなわち全県自由貿易地域にした場合、農業の持つ基本的価値はどうなるかという基本的な課題であります。
 そこで伺いますが、県素案の産業活動の活性化を図るというのは農業を含む全産業の活性化を言っているのですか、それとも農業を除く産業のことですか。
 もし農業を含むと言われるのであれば、素案の中に農家及び農業団体の不安を払拭するためにも農業・農村アクションプログラムを策定し、それを農家、農業団体に示し、合意を得ながら自由貿易地域の展開について県民の合意形成を図っていくというのが正常な行政手法だと私は考えます。
 これまでの答弁を聞いておりますと、農業の振興支援策については今後検討すると言っておられますが、逆ではないですかということです。
 影響を受ける部門への対応策を示しながら、新たな制度に移行するというのが通常の手法だと私は思います。今進めている手法、手順が正常ですか、それとも対応策を示して合意を得る手順が正常ですか、お答えください。

 一口に農産物と言っても多くの品目がございます。その品目ごとに関税率も異なりますので、特徴的な作目であるパイナップルを例にして見ますと、パイナップルは我が国で唯一沖縄の北部と八重山地域でしか栽培されない特徴的な作目であり、またトロピカルをアピールする観光の大きな素材でもあります。
 そのパイナップルが平成2年に自由化された際に、国は70億円に上る巨額のパイン対策費を補助しております。
 さらに、沖縄産パイン缶詰と外国産輸入物とを抱き合わせて国内で販売をすれば関税をゼロにするといういわゆるTQ制度を苦心惨たんをして仕組みました。
 これは、パッカーである沖縄側と、販売取扱業者である日本パイナップル協会と農林水産省の3者が沖縄のパイン農家保護のために仕組んだ制度であります。
 この制度の発足に当たって、東京で関係者へのお礼のパーティーを催したのもつい最近のような思い出が私にはあります。この行く末は一体どうなるだろうかと私自身の思い出とともに私事のように心配をしております。
 県の示しております除外品目の基本的な考えでは、パイナップル缶詰のTQ制度は存続できないのではないかと思うのですが、どう対処するか、お答えください。
 さらに畜産も大きな影響があると言われております。
 平成4年牛肉の自由化に際し、国は沖縄県だけに70億円を支出しております。そして105億円の食肉安定基金を創設いたしました。本県だけに70億円も出したわけですから、かの有名な山中貞則先生もこれは奇跡だと言われました。その基金のおかげで今沖縄の畜産があると言っても過言ではございません。
 米軍基地問題であれだけ大騒ぎをして沖縄振興特別調整費50億円です。しかもその大半は各省の調査費でしかないことを考えますと、パイナップルに70億、畜産に70億の国費の獲得がいかに大きかったかというのがわかります。
 全県自由貿易地域とした場合、識者の大方の見方は農業部門への影響は避けられずデメリットは、大きいと指摘をしております。
 これまで沖縄の農業を振興するため、また農業の持つ基本的価値を維持するためにこれまでいろいろな施策を積み重ねてまいりました。その結果、粗生産額で1000億円台を維持しております。
 ところが、県が進めようとしている全県自由貿易地域の導入により農業・農村の存立基盤を揺るがしかねないというわけです。
 全県自由貿易地域の導入は、本県農業にとってメリットの作用が大きいと考えるか、いやいやそうではないデメリットの作用が大きいとお考えですか、どちらかを明確に答えてください。
 次に、これまでの答弁によりますと、平成2年の産業連関表による試算として工業出荷額で5900億、それから雇用効果で2万5000人のプラス効果と説明をしております。
 それは、1次産業も含んでいるのですか、除いてあるんですか、それだけ答えてください。
 次に、農業及び農産加工業等農業関連全体でどれぐらいのマイナス影響を考えておられるか、数字でお示し願いたいと思います。
 答弁は、長々と状況、経過説明はしなくてよろしいです。質問に対して簡潔に答えてください。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 平敷昌一議員の御質問にお答えいたします。
 まず、農業の持つ基本的価値について知事はどのように認識しているかという趣旨の御質問でございます。
 平敷議員が御指摘になりましたように農業は多様化、高度化する食糧需要にこたえ、良質、安全、新鮮な食糧を安定的に供給するとともに、地域経済の維持発展に大きな役割を果たしています。
 また、国土環境、景観の保全のほかに国民の生活様式の多様化、余暇時間の増大を背景に保健、休養、伝統文化の維持、交流の場など公益的機能も合わせ持つ極めて重要な産業であると認識しています。
 それから、農業の基本的価値と全県自由貿易地域との関連で、パイン缶詰のTQ制度、すなわち関税割り当て制度は存続するのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
 パイナップルは、本島北部及び八重山で生産され地域特産物として定着していることに加え、加工業を含めた雇用機会の創出の面からも地域経済に大きく貢献しています。
 果樹農業におけるパイナップルの地位については、作付面積で見ると本島北部で48%、八重山地域で88%、粗生産額では本島北部で35%、八重山では87%を占め地域における果樹農業においては重要な作物であります。
 パイナップル缶詰のTQ制度、すなわち関税割り当て制度の存続については、県素案に盛り込まれている関税免除等の対象外品目の基本的考え方を踏まえ、現在調整しているところでございます。
 その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
   〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 農業・農村の振興アクションプログラムを示せという御質問にお答えいたします。
 本県農業の振興については、第3次沖縄振興開発計画及び圏域別農業振興方向に基づき各種施策を総合的、計画的に実施しているところであります。
 一方、国際的にも貿易自由化の大きな流れがあり、今後の本県農業の展開にとって避けられないものと考えております。
 このようなことから、国際競争力のある農業に育てなければならないと考えております。
 本県農業の将来展望としては、サトウキビについては経営規模の拡大と機械化による高能率生産システムの確立による生産コストの低減を図ってまいります。
 野菜、花卉、熱帯果樹等については、台風や干ばつに耐え得るハウス等近代化施設の整備による高品質で安定生産が可能な大型産地の形成を図ってまいります。
 畜産については、優良な肉用牛等の銘柄の確立などを図ってまいります。
 また、食品加工業や観光産業との連携、インターネットの活用による販売チャンネルの多様化など新たな視点に立脚した振興策を講じていく考えであります。
 農林水産業振興計画とそのアクションプログラムについては、本県農林水産業の将来展望を踏まえ早期に策定する考えであります。
 FTZは、本県農業にメリットか、それともデメリットの作用が大きいのかという御質問にお答えいたします。
 全県自由貿易地域制度の導入による農業部門のメリットについては、輸入畜産物等の安い加工原料による製造業のコスト低減が見込まれます。
 また、長期的には関連インフラ整備等による流通の合理化のメリットが考えられます。
 デメリットの主なものとして、1、サトウキビについては砂糖の内外価格差が約7倍もあるため販売競争力を維持できなくなり砂糖製造業の存続が困難となること、主食用の米については内外価格差が3倍から6倍あるため価格的に競争できなくなり、産地の存続が危うくなること。
 園芸農業においては、外国産と競合する品目が多種栽培されており、安い外国産との価格競争に置かれた場合農家の経営が厳しくなること。
 家畜畜産物は内外価格差が大きいことから価格競争を強いられ、農家は大きな打撃を受けることなどが想定されます。
 このようなことから、県としましては関税免除等により県内産業に大きく影響を及ぽすと想定される品目については対象外品目とする考えであります。
 それから、農業及び農産加工業全体──食肉、ブロイラー処理、パイン缶詰、乳製品等々──でのマイナス影響をどのようにとらえているかという御質問に対してお答えします。
 全県自由貿易地域制度の導入による農林水産業に及ぼす数値的な影響調査については、現在検討しているところであります。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
   〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 試算の効果の部分は1次産業は入っているかという趣旨の御質問でございましたが、これにつきましては既存の工業適地及び工業団地などの約379ヘクタールに立地可能性の高い業種を選定し工業統計表等をもとに試算をしてあるわけですが、これにつきましては製造業を中心に計算をしておりまして、1次産

業の分は含んでおりません。
 それから、農業及び農産加工業につきましては、そのままでは一定の影響を受けるわけでございますが、関税免除対象除外品目等の検討が現在なされているところでございまして、新たな創出効果の中にはこの計算は今含めてはおりません。
 ただ、トータル効果としてマイナス部分が想定されるということで、一部内部的なあれとして一応試算はしている部分もございます。
 以上です。
○議長(友寄信助君) 平敷昌一君。
   〔平敷昌一君登壇〕
○平敷昌一君 御答弁をいただきましてその中ではっきりしたことは農業振興策、これは今後検討して早目に策定をしたいということです。
 パイナップルのTQ制度の存続についても調整中であると。
 それから1次産業の影響度、マイナス影響、これも検討中であるというようなことを答弁をいただきました。
 そこで、私の手元にある資料からごく大ざっぱに私なりに試算してみたわけです。
 第1次産業の粗生産額は先ほど申し上げたとおり1000億円です。その1次産業の専業者、1次産業で飯を食っておられる方々、就業者の数は約4万5000人おられます。さらに1次産業関連の就業者、これは約9000人おられます。
 先ほどの答弁で農業は打撃が大きいという説明もありました。
 そこで、仮に全県フリーゾーンとした場合の1次産業に対する影響度を5割ぐらいというふうに仮定します。そうしますと粗生産額で約500億のマイナス、雇用面で約2万7000人のマイナス影響ということになるわけですね。
 仮に影響がもっと小さいと、3割程度の影響だろうと仮定した場合には粗生産額でマイナス330億、雇用面で1万8000人のマイナスということになると思われます。
 ですからプラス効果だけを示して、支援策、振興策もきちっと示さないで合意形成を図るというのは手法としてどうだろうかという疑問を持っています。
 何といっても全県フリーゾーンということになりますと、本県の社会経済の大きな変革であります。
 沖縄には、かつて2回ほどの大変革があっただろうと私は思います。1つは明治の琉球処分、2つ目は去る大戦の敗戦による異民族支配になったという大変革です。
 この2つの変革とも、これは沖縄県民の意思にかかわらず外部の圧力によってなされた変革なんです。
 今回のこの変革というのも、この2つに匹敵する大変革だろうと私は思います。そして今回の変革というのは県民みずから選択する変革なんです。
 変革というのは過去の伝統文化、これを否定することから始まるわけですね。我々の先人たちが営々として築き上げてきた伝統文化、あるいは沖縄らしさということをたった3回の委員会の審議と、二、三カ月という短期間でこういう重大な決定をする必要性はどこにあるだろうかと。
 一体、だれのための変革だろうかという疑問を抱いている大方の方々がおられると思います。
 交通安全の標語にかつてこういうのがありました。「狭い沖縄、そんなに急いでどこへ行く」というのがありました。このフリーゾーン問題で、沖縄よ、そんなに急いでどこへ行く、こんな感じを私は受けております。
 何事も拙速に過ぎることがないというのが一番望ましいと思います。ひとつ、もっともっと慎重に県民合意を得てからでもスタートしていいのではないかという私の願いを込めて終わりたいと思います。
○議長(友寄信助君) 吉元副知事。
   〔副知事 吉元政矩君登壇〕
○副知事(吉元政矩君) 大変重要な部分を簡単な時間で申し上げるのは大変失礼かと思いますが、現在、経済団体会議の説明を踏まえて各団体ごとに検討していますし、その結果が近々まとまるというふうに日程的には聞いております。
 一番大事なのは、全県フリーゾーンを指向するにしても実施時期の問題、これは県議会でも相当この間議論があったところですし、団体会議の中にも実施時期について具体的な声が出始めています。
 加えて、県内産業に与える影響という部分が今御指摘のとおり一番大事な部分になっているわけです。
 その部分については、特に1次産業についてはどうメニューを多くつくり出すのかと、影響力の問題を含めまして、そういう論議が今調整中という表現を知事はやりましたが、検討中でありまして、そのことをきちっとまとめる時間がもう少しかかるということでありますから、御指摘の部分を踏まえた上でのまとめをどうしていくか、十分に検討させていただきたいと思います。
○議長(友寄信助君) 兼城賢次君。
   〔兼城賢次君登壇〕
○兼城賢次君 通告に従いまして質問をいたします。
 盲学校生徒の県立高校への点字受験についてでございます。
 本土においては、15都道府県で44例が既に実現を見ている公立高校への点字受験が、本県ではいまだ受け入れた高校がないとのことであります。
 既にマスコミ等によって御承知のように、沖縄盲学校中学部のK子さんがぜひ点字受験を認めてくれるようにと関係者とともに県教育庁へ申し入れたとのことであります。
 本人も一時の気まぐれではなく、また点字受験ができるように支援をしている関係者も不退転の決意で取り組んでいるとのことであります。 
 私は、K子さんの作文を読むまで、視覚障害者が障害児高等部へ進学するのは本人の選択だろう程度に思っておりました。
 もちろん、障害児の多くは障害児高等部をみずから選択しているのが実情なのでしょうが、これまで県立高校に一人も入学してなかったのも、K子さんのように県立高校へ進学したいと思っても点字受験と学校現場のハードルがあったことに気づかされたのであります。
 K子さんは、ほとんど遠い夢だと言われるかもしれません。いや、そう言われても当然だと思います。なぜなら沖縄では視覚障害者を受け入れている高校が1校もないのですからということで、このことを知ったのであります。
 普通高校へ受験したいと言い出したK子さんの両親も最初はどうせ一時の気まぐれぐらいに受けとめたようであります。本人も県立高校へ受験してみたいと言ったものの、それはほど遠い夢かもしれないと悲観的になりつつも、けなげにも夢を持ち続けていったのであります。
 県立高校への受験はほど遠い夢かもしれないと思わざるを得なかったのも、K子さんを支援する関係者によりますと、これまでの県の教育行政は盲人は盲学校へという方針だった、普通高校へ行けなかったというのであります。
 これまではともかく、国や中教審も障害のある者については、これまでも選抜の実施に当たってさまざまな配慮がなされているところであるが、公立の高等学校入学選抜における選抜方法の多様化や評価尺度の多元化を一層推進していくためには各都道府県教育委員会が指導酌役割を果たす一方で、一定の範囲内で具体的に選抜方法について各高等学校の判断が必要であるといたしております。
 しかもK子さんを支援している人たちによると、教材の点訳については活字にするコンピューターソフトや理科や社会の図表、地図などの立体コピーもできるとのことであります。
 現場の不安を払拭できる情報は十分提供できるとのこと。点字受験やその後の指導上の教育資源は蓄積されており、県内では知られていないだけだとのことであります。
 K子さんの作文があります。
 少々長くなりますが、本人の思いを知っていただきたいと思いますので引用をさせていただきます。
  私は小さいころから普通の子と変わらないようにと厳しく育てられました。盲学 校小学部低学年までは、自分が視覚障害児であることを全く知りませんでした。あ る日、小学校高学年四、五人に嫌がらせで電信柱に強く頭をぶっつけてしまいまし た。その瞬間、私は何がなんだかわからなくなり、ただ笑い声だけが聞こえてきま
 した。そのとき、腹が立っても言い返す勇気がなく悲しい思いをしたのですが、逆 にこれがばねになって、これまでとは別の生き方をしなければいつまでも嫌がらせ や悲しい思いをするだけだ。
と、ある決意をしたようであります。
 K子さんは、

  皆さんはどんな夢をお持ちですか。私は、中学校を卒業したら普通高校の門をく ぐり、大勢の同級生と肩を並べて学びたいというのが夢です。盲学校のある学校区 内のM中学校との交流をしたことでその夢はさらに大きくなりました。もしこの夢 が実現できたら晴眼者と視覚障害者が今まで以上に理解し合えることになるのでは ないかと思います。また自分自身にも挑戦してみたいです。しかしそれはほとんど 遠い夢だと言われるかもしれません。いや、そう言われても当然だと思います。な ぜなら沖縄では視覚障害者を受け入れている高校が1校もないのですから。何事に も強い意思を持って当たれば必ず実現できると信じています。きょうもまた私は普 通高校への夢を見ながら頑張っていきたいと思います。
と訴えております。
 全盲の視覚障害であるK子さんのこのけなげな夢である点字受験をぜひ実現をしていただきたいと思っております。
 K子さんの来年度の点字受験はどうしても実現をしていただきたい。条件整備、準備おくれなどを理由にして受験が不可能な場合、ゼロとは言いませんが、交流したM中学校のほとんどがA高校を受験希望であります。K子さんもA高校を受験希望いたしております。
 これまでの友情は、K子さんにとって県立高校へ受験を決意するほど大きなインパクトを与えたものでございます。
 たくさんの同年生と肩を並べてともに学びたいという思いがあります。1年ぐらいおくれてもいいというものでもありません。何が何でもの思いで配慮をしていただき、実現をしていただきたい。
 今のK子さんにとって、点字受験が実現するか否かは不安の思いで受験勉強することであり、心理的にも負担であります。
 K子さんの支援者は、受験の可能の有無を受験実施要綱ができる10月までに結論を出してほしいと要望をいたしております。K子さんに配慮するならばこのことは最も大切なことであります。
 当局の御見解を賜りたいと思います。
 次に、日米防衛協力のための指針見直し、いわゆるガイドラインについてでございます。
 これまでの日米安保がソ連という共産主義の侵略、脅威への備えとし、日本の有事の際に専守防衛を旨としてきました。
 ガイドラインは、ソ連の脅威にかわって冷戦の終結にもかかわらずアジア・太平洋地域には潜在的な不安定性と不確実性が依然として存在する地域として新しい脅威をアジア・太平洋地域としたのであります。果たしてアジア・太平洋地域がガイドラインが言うように冷戦後に何らかの変化が出てきて悪くなったり、地域紛争の火種を抱えているのでしょうか。
 アジア・太平洋関係者は、東南アジア諸国連合などの発足など関係者に言わせれば、冷戦後のアジア・太平洋の情勢は薪指針が指摘しているよりはずっと良好で、大切なのは有事への対症療法よりも紛争の予防だと指摘されるのであります。まずはこの見方が一般的だろうと思います。
 日本周辺事態にあって米軍への後方地域支援の中でいろいろと協力項目が列記されておりますが、新ガイドラインでの日米関係で危険な方向と言われる補給、輸送で公海上の米国艦船に対する武器、弾薬の海上輸送もできるとのことであります。
 これは、憲法が禁止しているいわゆる集団的自衛権の行使であります。このガイドラインは日本の有事だけではなく、むしろ周辺事態における協力であります。周辺がどこまでなのかはっきりしていないだけでなく、あいまいにしていた方がいいという関係者の発言もあり、その方がまさに安保のアジア・太平洋化に都合がよかろうというのであります。
 集団的自衛権は、アメリカの戦争にも参戦する仕組みになっているこのガイドラインを日米の外交、防衛の事務者間で取り決め、国民の議論もなく、国会承認もなされることなく淡々と進められることに大きな不安と危険性を見るのであります。
 いまだに50年前の不発弾が足元から出てくる沖縄で、かつての大戦の教訓は何だったろうか。ガイドラインに沖縄から反対の声を上げるべきものと考えます。
 かつての戦時下でいかに理性的に行動しようと思ってもにっちもさっちもいかなかったことは承知のとおりであります。翼賛化した社会では少数意見は抹殺でした。先輩たちは過去の影を見る思いがすると言います。
 修羅場をくぐってきた仲宗根政善氏は晩年、どうも今の国の動きを見ていると戦争前とよく似ている、事態は一気には来ません、じりじりと来ます、そしてこんなはずではなかったとなるのですとの言葉であります。
 知事、立場上いろいろ都合もあろうと思われますが、平和論について私があれこれ申し上げるところではありません。
 冷戦崩壊した今日、なぜ指針の見直しをし、有事を想定し戦争法規を制定しなければならないのか。
 今の国の動きを見ていると、さきの戦争前とよく似ているという状況に沖縄県知事としての見解を賜りたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
   〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 兼城賢次議員の御質問にお答えいたします。
 冷戦崩壊した今日、なぜガイドラインの見直しをし、戦時法規をつくらなければならないのかという御質問でございます。
 この問題は、正直申し上げて物すごく懸念される問題でございまして、既に御承知のように私はこれまで議会においても日米軍事同盟的なものではなくて、それを平和友好条約的なものに変えていきたいと、ぜひそうしてほしいということを繰り返し申し上げてきたところでございますけれども、ガイドラインの中身をいろんな資料を集めて検討しておりますが、既に軍事評論家たちも指摘しておりますように行政として非常に懸念される点がございます。
 それは何かと申しますと、従来の安保条約の方では自衛隊の協力というのが主になっておりまして、地方自治体とかそういう行政機関の参加というのはほとんど要請されてない、というよりは表に出なかったわけですが、今回のガイドラインの見直しでは行政機関というものが一緒になって協力するというような仕組みになっているというふうに私は理解するわけです。その意味で非常に懸念を深めているところでございまして、先ほどから申しておりますように沖縄にはもう既に過重と言われる基地を抱えております。
 兼城議員が沖縄戦の教訓は何だったかとおっしゃるけれども、本当に私なども戦争体験した者から申しまして非常に懸念するのは、今申し上げたように去る沖縄戦が終わって後、あれはたしか自衛隊の戦史室の方だったと思いますが、戦時中の沖縄のいろいろなことについて調査した記録がございます。
 その中で、時の那覇署長の具志堅宗精さんに対する調査がありまして、それで戦時中、行政と警察関係とかどういう状態だったかと、戒厳令がしかれていたのかという質問がありました。それに対して具志堅元那覇署長は、戒厳令はしかれなかったけれども、実質的には戒厳令がしかれたのと同じだったという答弁をしています。
 そういう沖縄戦の苦い体験を踏まえてみても今回、単に自衛隊だけじゃなくて行政機関も協力するような関係になっているのは沖縄の状況からして非常に懸念される点でございまして、ですから機会あるごとにその不安というものも述べておりますし、また私たちが基地返還アクションプログラムをつくって2015年までに基地のない平和な沖縄をつくりたいということを言っておりますが、御承知のように基地を抱えている市町村財政には基地収入というのが構造的に組み込まれております。ですから口で簡単に基地を返してということは言えますけれども、しかし実際にいざ返そうとなったらこれにかわる財政をどうするかという問題なんかが現実に起こってくるわけです。
 だからこそ将来に向けて産業創造アクションプログラムとか国際都市とか、それから今の自由貿易制度の導入を図ることによって、基地収入に頼っている部分を補っていけるようなそういった産業構造をつくっていかないと、口先で返せ返せと言っても、いざ返そうとなった場合に反対反対というのがまた出てくるわけですね。
 このあたりが非常に頭の痛い問題でして、しかし頭が痛いと言ってほっておけるような問題でもありませんので、今必死になって取り組んでいる状況でございます。

 私は、これはアメリカに行っても絶えず申しておりますのは、決して友好関係をつぶせと言っているんじゃなくて、軍事同盟的な日米関係は平和友好関係に変えてほしいと、そう言っているんだということを絶えず申している次第でございますが、機会あるごとにこの問題については行政の責任者として適切な対応をとり続けていきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 教育長。
   〔教育長 安室 肇君登壇〕
○教育長(安室 肇君) 盲学校生徒の県立高校点字受験について、他府県では既に実現を見ている点字受験を本県においても実現すべきものと思いますが見解はどうかにお答えいたします。
 特殊教育諸学校における進路指導については、児童生徒の障害の程度に応じて社会で生きるべき道をみずから切り開くことができるよう個に応じた自立指導を進めているところであります。
 ところで、本県において盲学校の中等部の生徒が県立高等学校への点字による受験を希望しております。
 本県にとっては初めての事例であり、早速庁内関係課による検討委員会を発足させ、全国的な調査や先進県への訪問による実態調査を行い、点字による学力検査を実施するときの課題や留意すべきこと等について検討を行っております。
 平成10年度高校入試における点字受験については、検討委員会の報告を踏まえ実現に向けて早目に結論が出るよう努力してまいりたいと思います。
○議長(友寄信助君) 兼城賢次君。
   〔兼城賢次君登壇〕
○兼城賢次君 教育長のただいまの答弁は前向きに検討するということでありますが、しつこく申し上げますが、これは来年度の受験の機会を逸しますと、ゼロとは申し上げませんけれども彼女にとっては残念なことであり酷でございますので、検討という時期も既に申し上げましたように受験実施要綱が10月ででき上がるわけですが、その点を踏まえてぜひこれは期間を置かないでいい結論を出してもらいたいということをお願いいたしまして、答弁をぜひお願いいたします。
○議長(友寄信助君) 教育長。
   〔教育長 安室 肇君登壇〕
○教育長(安室 肇君) 実現に向けまして早く結論が出るようにやるように努力します。
○議長(友寄信助君) 以上で本日の一般質問及び議案に対する質疑を終わります。
 本日の日程は、これで全部終了いたしました。
 次会は、明7日定刻より会議を開きます。
 議事日程は、追って通知いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後5時49分散会

 
19970504000010