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平成13年(2001年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 12月 6日
知事公室長(親川盛一)
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上原吉二議員の普天間飛行場の移設についての幾つかの質問に順次お答えをいたします。
去る11月21日の地元説明会で地元住民の理解は十分得られたと思うかという御質問にお答えいたします。
説明会は、辺野古区行政委員会の主催で行われ、代替施設を軍民共用とすることについての県の考え方を述べてまいりました。住民からは、軍民共用飛行場は県民の財産になり得るのか、リーフ外案は本当にできないのか、また使用協定の担保はとれるのかなどの質問がなされました。
これに対し、1つ目に、県としては、同飛行場の機能を生かした移設先の地域振興に全力を注ぐことにより、雇用機会の確保や産業の振興を図るなど地域経済発展の新たな拠点を形成し、北部地域の発展につなげていきたいと考えていること、2つ目に、代替施設の位置については、技術的観点から現場条件や施工条件等を踏まえた場合、リーフ外は建設の実現に当たり解決しなければならない数多くの課題を有していることから厳しいと認識していること、3つ目に、使用協定は名護市長が出した条件であり県も重く受けとめており、県としては、今後とも名護市と連携して市の要望が実現されるよう取り組んでいきたいと考えていることなどを説明いたしました。
その他にも質問がありましたが、一つ一つ丁寧にお答えし、県の考え方について理解は深まりつつあると考えています。
次に、県は需要予測についてどのように説明したのかという御質問にお答えをいたします。
民間航空機の需要につきましては、那覇空港における既存の調査結果や北部地域における航空貨物の実績、並びに今後展開される多くの振興策等を勘案しながら、民間機能における潜在的ポテンシャルを求めました。需要の推計は、運輸省航空局が行った那覇空港における旅客動態調査結果と県企画開発部が調査した那覇空港における将来航空需要予測結果をもとに行っております。
民間機能の背後圏は、那覇空港が沖縄本島南部の那覇市に位置していること、那覇空港から中部圏域への交通ネットワークが充実していること、那覇空港と民間機能との航空サービス頻度の格差が大きいと想定されることから北部地域に限定いたしました。その結果、北部地域から民間機能を利用すると思われる旅客数のうち、就航見込みのある路線に対する旅客数は約20万人を見込んでおります。
1日の就航便数は、関東、中部、関西方面へ6便3往復を見込んでおります。
また、北部地域にある主要ホテルの利用者は、年間延べ約260万人の観光客に利用されていることなどから、北部地域の航空旅客は現状でも一定の利用可能性があると考えております。
さらに、移設先の地域では名護市のマルチメディア館や国際海洋環境情報センター、宜野座村のサーバーファーム事業など情報産業の集積が進んでいることから、さらなる需要の拡大が期待できるものと考えております。
航空貨物については、平成10年に北部地域から出荷したサヤインゲンやパイナップルなどの園芸作物や郵便物などの航空貨物量は1日当たり約43トンとなっております。これを航空機用のコンテナ数に換算いたしますと約91個になり、中型ジェット機の5機分に相当いたします。このように、航空機に搭載する貨物については現在でも十分需要があり、農林水産業等の振興によりさらに増加していくものと考えております。
次に、次の代替施設協議会はいつ開かれるのか、また名護市と県の考え方が異なった場合、それぞれ別々の意見を協議会で示すことも考えているかという御質問にお答えをいたします。
次回の協議会では、3工法8案の地元説明会後に、名護市長が取りまとめた地元住民の意見、要望についてその報告を行い、また県からは名護市等地元の意見も踏まえた県としての考え方を聞いた上で、代替施設の規模、工法、具体的建設場所等について総合的、具体的な検討をさらに進めていくこととされております。現在、県では3工法8案について土木建築部、文化環境部、農林水産部において検討された結果について、その取りまとめを知事公室で行っているところであります。
土木建築部では、これまでの県内における土木施工実績等の経験を踏まえ、技術的観点からの施工面、維持管理面などの検討を行っております。具体的に、施工面としては現場条件や施工実績等を踏まえた施工の容易性や施工資材及び施工機械の調達の容易性など、また維持管理面としては、代替施設本体、アクセス道路としての連絡橋などについて維持管理作業の容易性や経費について検討を行っております。
文化環境部では、自然環境及び生活環境の保全の観点から海生生物、藻場、サンゴ及び生態系への影響、航空機騒音等の影響について検討を行っております。
農林水産部では、当該海域には共同漁業権が設定されていることを踏まえ、これら漁業の対象となっている動植物に与える影響や漁港利用上の影響などについて検討を行っております。
また、名護市等においては、地元の意見の取りまとめを行っているところであります。
これらの作業は、名護市が年内を目途に進めることとしていることから、県としては名護市等と十分調整を図りながら地元の意見も踏まえた県の考え方を可能な限り早期に取りまとめる考えであります。
次に、次回の代替施設協議会で位置、規模、工法が決定されるのか、タイムスケジュールは特に設定されていないと考えていいかという御質問にお答えをいたします。
先ほども申し上げましたが、次回の代替施設協議会では、名護市からは地元住民の意見等の報告が行われ、また県からは名護市等地元の意見も踏まえた県の考え方を示すことになっております。これを受けて、代替施設の規模、工法、具体的建設場所等について総合的、具体的な検討をさらに進め、その後に基本計画が策定されるものと考えております。基本計画の策定を受けて環境影響評価を国が実施するとともに、その間、米側による施設配置等のマスタープランの策定や民間機能も含めた施設配置等についての具体的な検討がなされた後に、環境影響評価を踏まえ、最終的な位置、場所、規模等が決まってくるものと考えております。
次に、漁業補償についても作業を進めなければならないと思うが、漁業補償の基準はどうなるのか、具体的な作業はいつから始めるのかという趣旨の御質問にお答えをいたします。
代替施設の建設予定地並びにその周辺地域には共同漁業権が設定され漁業活動がなされております。代替施設の建設により当該海域での操業の制限または停止が想定されることから、御指摘の漁業補償の問題が出てくることが考えられます。
なお、現在、代替施設協議会において建設場所、規模、工法等基本計画策定に向けて具体的に協議している段階であり、漁業補償のことにつきましては基本計画策定後、事業者である国において地元漁業関係者等との調整が進められるものと考えております。
次に、旧軍飛行場用地問題についての他府県における返還事例調査結果についてお答えをいたします。
県が行った他府県における旧軍飛行場用地の返還事例調査の結果につきまして報告をいたします。
県は、旧地主が指摘している戦後処理問題として取り扱われたとされる他県における旧日本軍接収用地の返還事例について文書による照会を行うとともに、現福岡空港の事例について現地調査を行いました。
調査結果を申し上げますと、他府県において払い下げが行われた旧軍飛行場用地は、昭和20年11月に閣議決定された食糧増産のための「緊急開拓事業実施要領」に基づき行われたものや、農地法に基づき農林水産省から耕作者に払い下げられたもの及び旧大蔵省から普通財産の処分が行われたものなどであり、旧地主に土地を返還すること自体を目的として行われた事例は確認できませんでした。
また、現在も空港や自衛隊施設等として利用している施設については、席田飛行場──現福岡空港──のように、旧軍関係者の判断により接収した用地を旧地主に返還した事例がありましたが、政府における政策決定として所有権を旧地主に戻した事例は確認できませんでした。
一方、県内においては旧西原飛行場、旧仲西飛行場などの旧軍接収用地について、戦後間もなく行われた米側による所有権の認定作業の際に旧地主の所有権が認められた事案があることが確認でき、現在国有地として登記されている旧軍接収用地の地主と比較して公平性を欠く現状があることを認識しております。
次に、米軍基地周辺の騒音問題についての中の、基地周辺市町村で空調機器の維持管理費及び対象区域拡大等について意見書を採択した市町村はどこどこかという御質問にお答えをいたします。
住宅防音工事区域の拡大及び空調機器の維持管理費補助の拡大については、これまで沖縄市、宜野湾市、具志川市、嘉手納町、北谷町、読谷村、北中城村及び中城村の各議会において意見書の決議がなされており、県としてもこれらの決議を重く受けとめております。
次に、同じく米軍基地周辺の騒音問題の中の、航空機騒音問題に対して県はこれまでの対応策として基地の提供責任者は国であるので国に強く求めていくと言ったが、どのように対処してきたかという趣旨の御質問にお答えをいたします。
米軍基地に起因する航空機騒音は、周辺地域における住民生活に多大な影響を与えていることから、県としても騒音対策の充実・強化は重要な課題であるとの認識に立って、昨年10月20日、那覇防衛施設局に対して、空調機器の維持管理費の全額国庫負担や太陽光発電による空調機の稼働を目的としたソーラーシステムの設置費の助成等を要請したところであります。
また、去る8月には、軍転協において嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺における航空機騒音の軽減及び騒音対策の強化について日米両政府に要請を行うとともに、渉外知事会においても防音施設維持管理費の全額国庫負担や防音工事対象区域等の拡大、航空機騒音環境基準値の見直し等を要望しております。
防衛施設庁は、このような要請等も踏まえ、平成14年度予算に住宅防音工事を実施した生活保護世帯のエアコンの稼働電力費を太陽光発電によって賄うため、試験的に嘉手納飛行場周辺の約400世帯の生活保護世帯に電力を供給する事業や、騒音区域指定告示後に建設された住宅への防音工事の助成などの事業を概算要求していることを確認しております。
次に、同じく米軍基地周辺の騒音問題の中の、米国におけるテロ事件後、嘉手納及び普天間飛行場周辺の騒音問題が深刻化しているが、県としてはどのように対処するのかという御質問にお答えをいたします。
嘉手納飛行場及び普天間飛行場周辺においては、去る9月下旬以降、騒音等が激しくなり、周辺地域住民から多くの苦情が寄せられております。県が設置した航空機騒音測定局においても、普天間飛行場周辺では9月下旬から騒音値、うるささ指数が上昇していることが確認され、また嘉手納飛行場周辺においては、10月下旬以降、騒音発生回数が上昇していることが確認されております。
このようなことから、県では去る11月28日に嘉手納飛行場及び普天間飛行場基地周辺における航空機騒音の軽減について日米両政府に要請を行ったところであります。
航空機騒音問題は、周辺地域住民の生活環境に大きな影響を与えていることから、住宅防音工事の充実・強化や防音工事対象区域の拡大及び空調機器維持管理費の全額国庫負担等について、今後とも基地周辺市町村等と連携を図りながら、渉外知事会や軍転協の要請等あらゆる機会を通して国に改善を求めていきたいと考えております。
以上でございます。
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