平成24年(2012年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第10号 3月 9日
副知事(与世田兼稔)
 

 前田議員の第2番目の問いにまずお答えいたします。
 この事件が、追加工事について虚偽契約、公文書偽造罪、虚偽公文書作成罪等の違法な犯罪になると思うが、見解と対応についてという趣旨は、県のほうで刑事事件として告訴等すべきじゃないかという趣旨も含んでいると思いますので、その趣旨についてお答え申し上げます。
 まず御指摘の補助金等不正交付及び不正交付に対する罰則の第29条で「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、」という場合には「5年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と規定しております。ここで言うこの構成要件に当たる「不正の手段」というものについて解説等によればどう言っていますかというと、仮に「不正の手段」が講じられても、もともと補助金などの交付を受ける資格のある者、ある事業に対して正当な金額を受領した場合は、補助金など不正受交付罪を構成しないものと解すべきであると、こういうふうになっておりまして、現実にかなりちょっと古い判例がございますが、私のほうで調べましたら、判例が幾つかある中で本件にちょっと適当と思われる判例で、昭和39年5月13日秋田地裁判決「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律違反事件」というのがございます。その中で、法29条1項の法意というような形で読みますと、「不正の手段により補助金などの交付を受けるとは、不正手段によって本来補助金など間接補助金の交付の対象とならない事業、又は事業について補助金など間接補助金等の交付を受け、あるいは当該事業などに本来交付されるべき金額を超えた金額の補助金等の交付を受けることを指し、例え不正と目すべき手段が講じられても、補助金など間接補助金などを交付されるべき資格ある事業などについて正当な金額が講じられて交付される資格のある事業等について正当な金額の交付を受けた場合は、これに含まれない。」と。これはどういうことかというと、本件の識名トンネルの工事、これは適正な補助事業でございます。そして、その工事の中で今回出てきている追加工事等もきちんとした追加工事でございます。追加工事をやっています。ただ、追加工事をやるに当たって、御指摘の47%の掛け率等のやりとりをせずに、いわば業者にやや押し切られたような形の中で全額の随意契約をしたという点で大変なミスがあると御指摘を受けております。そういうふうな意味で私どもとしては大変な問題であると思いますけれども、刑事事件になるとは思っておりませんので、県として告発等の考えは今のところございません。
 それから3番目、識名トンネルの契約問題に関する第三者委員会の報告に対する見解と対応についてでございますが、きちんとした御調査をいただき、そして沖縄県の土木工事にかかわる一連の不祥事が大変浮き彫りになって、私としては第三者委員会に調査を委託して、そして問題点をえぐり出したということは大変よかったと思っております。それに基づいて、今後、土木行政の中において二度とこのような不祥事が生じないような対策を今着々ととっているところでございますので、その意味では、この報告書を最大限尊重して対応したいというふうに考えております。
 4番目、ちょっとこれは前段部分の答弁については後に部長に答弁させるとして、請負業者に対して代金の返還を求めるべきではないかと。これについては、御指摘のとおり前向きに検討してまいりたいと思います。
 私は、オリジナルの書類も見せていただきました。その中で、県の側は一方においてやはり47%を掛けるべきですよというようなこういう問題提起もしているんですけれども、トンネルをあけないと危険が大きいと、こういうような判断がどうしても現場サイドにあって、それでうやむやなままあける、そのために随意契約としての解決を迫られたというようなところがございます。そういうふうな意味では、県のほうとしては業者に対する追及も含めて、御指摘のとおり前向きに検討させていただきたいと思います。
 それから、今回の第三者委員会が調査に関して「猛省すべき」と指摘していることについては、もうそのとおりでございます。私どもとしては、第三者委員会の御指摘を厳粛に受けとめ、その上で土木という問題のみならず全庁的な取り組みをして、二度と本件のような問題が生じないように努力したいと考えています。
 以上でございます。

 
20120110010100