平成13年(2001年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 6月25日
教育長(津嘉山朝祥)
 

 大城一馬議員の教育問題について、大阪教育大学附属池田小学校の児童生徒殺傷事件について、教育長の所見を伺いたいという御質問にお答えをいたします。
 今回の事件は、児童が8人死亡、教職員を含む15人が負傷するという未曾有の事件であり、大きな衝撃を受けているところであります。亡くなられました児童とその保護者及び関係者に心からの御冥福と負傷された方々の一日も早い心身の回復を願っているところでございます。
 本来、学校は児童生徒にとって安全で信頼に満ち、安心して楽しく学び、遊べる場でなくてはなりません。今回の事件はこの学校への信頼を根底から揺るがす事件であり、今後二度と起こしてはならないとの不退転の決意で学校の安全の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、同じく教育問題につきまして、学校の安全管理と開かれた学校の二律背反についてどうとらえるか、今度の事件で地域に開かれた学校を目指す取り組みへの影響はあるのかとの御質問に一括して御答弁いたします。
 これからの学校教育は、学校がすべてを担うのではなく、家庭や地域社会と連携し、それぞれが責任と自覚を持って子供たちを育てるという視点に立った開かれた学校づくりが望まれております。そのため、県教育委員会では学校の施設・設備の開放、地域の人材を活用した教育活動、保護者や地域の声を反映する学校運営など家庭、地域社会、関係機関が連携した開かれた学校づくりを推進することが大切であると考えております。このような開かれた学校づくりの取り組みを進める中で、学校と地域社会が一体となって児童生徒の成長を支援し見守る中で、学校の安全管理もより一層確保することができると考えております。
 県教育委員会としましては、今後も地域ぐるみで児童生徒が楽しく安心して学ぶことができるよう開かれた学校づくりを推進していきたいと考えております。
 同じく教育問題について、学校の安全管理と事件発生防止についてどのような対策を考えているのかとの御質問にお答えをいたします。
 今回の事件は、本来安全で楽しく学べるはずの学校で起きた凶悪な事件であり、県教育委員会としましても深刻に受けとめ、今後、類似事件の発生を防止するために事件当日から緊急の対策を講じているところであります。
 事件発生当日の午後には、幼児・児童生徒の安全確保という点から、各学校で校内外を巡視することや不審者への対応等について緊急に取り組むよう市町村教育委員会及び各学校へ通知をいたしました。また、各教育事務所ごとに緊急対策会議を開催し、各学校において緊急に取り組むべき具体的対応について確認するとともに、安全管理の総点検を実施するよう通知をいたしました。さらに6月18日には県警本部、PTA関係者及び校長会長等の出席を求めて学校の安全管理と事件発生防止について具体的な取り組みを確認をいたしました。
 このような取り組みのやさきに那覇市内の小学校の近くで不審者騒ぎが発生したことから、なお一層の危機感を持って取り組まなければならないと考えております。各学校では今後とも所轄警察署、保護者及び地域住民と連携して学校周辺のパトロール、緊急時の避難訓練の実施や通報体制の確立等を行い、二度と同様な事件が起こらないよう幼児・児童生徒の安全の確保を図っているところであります。
 同じく教育問題について、障害があっても普通教室で学びたいと願う県内の子供たちの実情はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
 平成13年度の就学措置に当たって、障害のある児童生徒で通常の学級に在籍している人数は109人(小学校82名、中学校27名)でございます。また、特殊教育諸学校から市町村立小学校、中学校と私立中学校へ転学した障害のある児童生徒は6名で、そのうち3人は通常の学級に在籍をいたしております。
 同じく教育問題について、現在普通学級に通学している障害を持っている子供たちの実情はどうか、普通学級に通う重度の障害を持っている子供たちに対する加配教諭の配置、ヘルパー派遣などの体制はどうか、今後の計画についてはどうか等の御質問に一括して答弁をいたします。
 市町村適正就学指導委員会において特殊教育諸学校が適当と判断された重度の障害がある子で普通学級に在籍している児童生徒は小学校23人、中学校8人の計31人でございます。
 教職員の定数につきましては、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」にのっとり、県の教員配当基準を定めて教職員の適正配置に努めているところでございますが、この法律に基づく現行制度では普通学級における障害のある子供のための教員の加配措置はなされておりません。また、介助等の人員配置については国庫補助対象外でありますが、市町村単独で特殊学級に10名、普通学級に6人が配置されております。
 なお、国の制度や県の財政状況等から現時点で普通学級に通う重度の障害を持つ児童生徒への加配教諭の配置等を行うことは困難でありますが、今後、国の動向等を見守っていきたいと思います。
 次に、同じく教育問題について、受け入れ側の学校のバリアフリー化の状況はどうなっているのかとの御質問にお答えいたします。
 公立学校の施設整備については、「開かれた学校づくり」の一環として学校施設のバリアフリー化に積極的に取り組んでいるところであります。現在、31名の児童生徒が通学している学校におけるバリアフリーの状況は、エレベーター4校、身障者用トイレ4校、スロープが7校に設置されております。県教育委員会といたしましては、今後とも市町村に対し校舎の出入り口、廊下、階段、トイレ等のバリアフリー化対策を積極的に推進するよう指導してまいりたいと考えております。
 同じく教育問題について、統合教育の推進について県の対応はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
本県における特殊教育は、障害の程度と一人一人の実態に応じた特別な配慮のもとできめ細かな教育を行っているところであります。
 障害のある児童生徒が通常の学級で健常児とともに教育することについては、どの教育の形態が子供一人一人の能力を伸ばせるのか十分に検討する必要があると認識をいたしております。本県においては、特殊教育諸学校に学ぶ児童生徒の社会性や豊かな人間性をはぐくみ、同時に普通学級に学ぶ児童生徒に障害を持つ者とともに暮らし、ともに生き抜く社会づくりへの理解に資するため教育主要施策の中で交流教育を積極的に推進しているところであります。
 同じく教育問題について、県は障害を持っている児童生徒の社会参加を目指すための支援策の取り組みについて県立特殊教育諸学校編成整備計画の策定を進めているがどのような内容か、また策定の時期について伺いたいという御質問にお答えをいたします。
県教育委員会におきましては、県立特殊教育諸学校編成整備の基本方向を平成12年12月に策定し、現在、その基本方向を踏まえ編成整備計画を策定中であります。社会参加を目指す支援策の主なものといたしましては、障害のある乳幼児の早期教育の推進、交流教育の推進及び普通学校との校舎の複合化、地域における特殊教育の相談支援体制の整備等々を検討しているところであります。
 なお、新編成整備計画の策定につきましては、今年度中に策定を完了したいと考えております。
 以上でございます。

 
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