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平成10年(1998年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
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議 事 の 概 要
平成10年2月24日(火曜日)
午前10時1分開議
日程第1 代表質問
1 西田健次郎君(自民党)
2 翁長 雄志君(自民党)
3 渡久地 健君(自民党)
4 平良 長政君(社会・護憲)
5 糸数 慶子君(社大党)
午後7時52分散会
○議長(友寄信助君) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた公安委員会委員長崎間晃君は、別用務のため本日、明日、3月2日及び3日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日及び3月3日の会議に公安委員会委員比嘉良雄君、明日及び3月2日の会議に公安委員会委員尚弘子君の出席を求めました。
また、地方労働委員会会長屋宜正一君は、所用のため本日から27日まで、3月2日及び3日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として地方労働委員会事務局長親泊英夫君の出席を求めました。
○議長(友寄信助君) この際、念のため申し上げます。
本日から27日まで、3月2日及び3日の6日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定された質問要綱に従って行うことにいたします。
○議長(友寄信助君) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
西田健次郎君。
〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 おはようございます。
恐らく5期目の中で最後の代表質問の陣になりそうな気配でありますけれども、良識の府を目指す政治家として知事にきっちりとした質問を展開してみたいと思います。
まず通告についてでありますが、実はけさ6時ごろしか仕上がらなくて当局にいささか迷惑をかけている面もあろうかと思いますけれども、新聞の記事の範囲内の質問ですから、優秀な行政府の皆さん方でしたらわけなくこなして答弁の要旨はつくっているはずですのでそのまま進めさせていただきます。
さて、1点目の知事の政治姿勢に関する件での政府要衝との信頼関係が放棄されている件についてであります。
この件については、まずSACO関係のこれまでの経過を整理をしてみる必要があります。と申し上げますのは、平成8年の4月12日の県議会の答弁で、望ましいのは無条件返還だが、厳しい情勢の中でそれを県が望めば普天間基地の返還は実現できない、こういう答弁を知事はしておられる。
それから平成8年の12月2日に、これまた21世紀に向け県が策定をした国際都市形成構想を図る第一歩としてとらえていると。
そういう一連の動き、総理と17回も懇談をしながら、時には酒食を酌み交わしながら、そして特に梶山官房長官、野中広務幹事長代理たちとは同世代で同じような戦争体験、戦争のむごさ、そして平和のとうとさという共有する世代として、そして沖縄の戦争の悲惨な実態、そして沖縄の痛み、あるいは沖縄の歴史について、これからの沖縄の課題について本当に肝胆相照らす非常に波長の合う世代として、時には涙を浮かべながら、そしてまた知事の著作もほとんど読みこなしたこの政府の要衝の人たちとは、最低限どういう事態になろうとも、今次善の策としてこれしかないという、普天間基地の返還の次善の策としての海上ヘリポートについては知事は最終的には現実的な判断をすると、こういう深い信頼関係のもとに作業がこの2カ年間続いてきたわけですけれども、知事が名護市長選挙の直前に、11月の知事選挙が有利になるというだけの低い次元のレベルでヤンキーゴーホームを言っている方が、あるいは基地の全面撤去を言っている方が沖縄では選挙は闘いやすいというレベルで海上ヘリポート問題をノーと言い、普天間の基地の凍結、そして白紙を自動的にそういう方向に持っていき、8万の宜野湾市民を依然として基地公害と事件・事故の不安にかられたような状況にするというこどをやったことについては、これはもうこれまで築き上げてきた2カ年近い関係というのを完全に崩壊をしてしまっております。この点について知事の意見を賜りたい。
2点目、私もテレビで見ておりましたけれども、橋本総理が苦渋の表情をしながら、知事が全国知事会を2回とも欠席をしたと。しかもそのとき総理大臣からわざわざ沖縄の問題について全国が痛み分けをしていただきたい。例えば県道104号線の実弾演習の移転問題では私ども自由民主党沖縄県連は全国行脚をしました。県内政党でそれをやったのは我が党だけであります。そして当然これは現地の立場からするとノ・イン・マイ・バックヤードですから、自分の庭に余計なのを持ってくるなと、こういう意見が当たり前ですから、現地はどこでもこれは反対ですよ。それをそこの県知事たちが説得をして、了解して沖縄の痛みを分けてあげようと、こういうことで配慮をしたそれぞれの関係の知事たちに一言沖縄の県知事からお礼も言っていただきたい、そしてもっともっと全国の問題として沖縄問題を取り組んでいこうというチャンスを演出を総理大臣がわざわざ2回も設定をしたけれども、知事が見事に欠席をした。なぜ欠席するような必然性があったのか。
日程の説明を見ると、沖縄の基地問題をすべてだとおっしゃっている知事が全国に訴えるチャンスをみずから放棄をしている。そしてそれはかつて国会の意見陳述もキャンセルをして大変物議を醸したことがありましたけれども、知事の手法というのはどう見てもだだっ子の行動そのものにしか見えないんですよ。この点についてもしっかり県民に、むしろこれは全国民に説明をしなければ、全国放送でこの問題が出ておりますから、これについても県民がわかりやすく理解できるような説明を賜りたい。
3点目でありますけれども、沖振法の改正の成立のめどがつきまして、とりあえず中城湾港の方にいわゆる沖縄で言う一国二制度、経済特別区が100ヘクタールでスタートをして投資減税、法人税が全国の半分以下になるしそして沖縄地元からとりあえず50名の地元の人を採用する企業をそこで情報通信産業から沖縄のリーディング産業である観光・リゾート産業を中心とした経済特別区をつくって、それから沖縄のこれからの21世紀の産業創造の一つのパイロット事業にしていきたい、これができるか否かということで大変緊迫したときがつい1週間前にありました。それは、知事が普天間飛行場をそのまま凍結してもいいというあの発表したそのときからこのことが起こりましたけれども、しかしさすが政府の関係者、党の関係者というのはその辺しっかりし大人でありまして、めどがついたことについては知事も喜んでおられましたけれども、何よりも経済界や県民の良識ある人たちがこのことで本当にほっとしました。あの問題が、沖振法の改正がそのまま棚上げされれば20年、30年で取り返しがつかない、沖縄の将来に取り返しのつかないことが出てきたのでありますけれども、それができ上がったものについてはどのような機関とか団体とかあるいは政治家を含む人物たちの努力があったのか、またそれについての評価もひとつ説明をしていただきたい。
それから4点目ですけれども、今後政府あるいは政権政党を含めて国関係者との完全に崩壊している知事との信頼関係の再構築をやる気はあるのか、あるとすればその手法あるいはスケジュール等について説明していただきたい。
5点目になりますけれども、最近私はあるところでえらいことを言われました。沖縄の人というのは、あの知事がやったようなやり方が当たり前なんですかと、沖縄の社会では。あれだけ信頼関係があって2カ年間現職の総理と17回も話し合いをしてイエスするかのようなそぶりをしておいて、しかも表では橋本総理に感謝しているということを言いながら、自分の選挙のためにいとも簡単に裏切りをする、背信行為をする、沖縄の人の平均的な発想というのは知事を代表するようなこういう行き方ですかと、大変なことを言われて私はショックを受けたことがあるんですが、これについては前に台湾との問題、韓国との問題でも私はこちらで問題提起をしたことがありますれども、あのときの知事の手法がほうふつとするのであります。こういう非礼、欠礼なやり方をするということについて知事のやり方が沖縄県民に対して思わぬ誤解を受けるようなことになっているけれども、それについてどう思われるか。
次、通告2点目の普天間基地固定化と虚構化したアクションプログラムについて質問をやります。
まず、非現実的なアドバルーン、プロパガンダの基地返還プログラムであるがゆえに日米両政府から知事が華々しく打ち上げているアクションプログラムというのは全く問題にされてない、無視されているんですよね。なぜそういうことで無視されているのか、これについて知事の所見を賜りたい。
それから、それについて2点目ですけれども、SACOの最終報告というのは県内移設という条件が伴うものの、現実に危険な基地とかこういう基地が20%余り整理縮小されるという具体的な成果はあるんですよ。だからこそ知事も評価をしていたはずです。その件についてSACOの最終報告を否定するような、阻害するようなことを知事は決めてしまったのですけれども、これについての説明を賜りたい。
3点目、普天間基地移設がいよいよ凍結、白紙になることはもう明確なことであります。それで先般の臨時議会で私は人事問題のとき質問をして答弁をいただけなかったんですが、普天間飛行場の移設が凍結されるということになると、それにかかわる公共事業がいかほど沖縄に対してはマイナスとして出てくるのか。平成8年だけでも50億の契約をした公共事業が中断になりましたよね。
普天間基地が移設をしてその跡地利用まで含めて、また移転先のことまで含めるとよそ2兆円の新たな公共事業が創出される。沖縄は今残念ながらまだまだ自立、自活する力がないゆえに公共事業にあとしばらくは頼らざるを得ないのは事実なんです。
そういうことで、しかも政府の行財政改革が非常に厳しい。7%の公共事業がカットされると高率補助90%に頼っている沖縄の予算としては、事業として30%から40%の減にならざるを得ないと。
こういう厳しい中で沖縄の産業を守り、県民生活を守り、県の公共事業に依拠している建設関連産業等を生かしていくということについては、SACOに関する別枠の2兆円の公共事業というのは今沖縄にとって大きな大きなこれはカンフル剤なんですよ。これをあえて無視するようなことは沖縄の県民生活を現実的な意味で否定することに、踏みにじることにしかならない。その点についてどの程度の公共事業に関する影響があるのか、これについては先般の補正予算のときに私は質問通告してありますから、もう資料はでき上がっているはずですから説明をいただきたい。
4点目、極めてセンセーショナルに海兵隊撤退だけをピックアップしておりますけれども、軍事専門家の説明でも、最近またマスコミ報道によっても素人が考えても、有事態勢というのは空軍と陸軍と海軍と歩兵と海兵隊、これが連携プレーしてやるのが有事です。有事態勢はないにこしたことはないですよ。しかし軍隊の機能として有事態勢というのは海兵隊だけ取り外して、陸軍だけ取り外すというわけにいかぬのですよ。これはあくまで連携プレーとして展開されることからすると、海兵隊のみを沖縄から持っていけということは、気持ちはわかります。しかし海兵隊のみを持っていけという主張、論理というのは軍事戦略上は通用しない幼稚な議論なんです。これはあくまでも世論受けをねらった無責任な発想です。むしろそれを言うならば米軍基地の全面返還を、即時全面撤去を書うべきじゃないですか。海兵隊だけ言えばそれは格好いいから、受けやすいから、わかりやすいからということで、こういう言い方をしていることにしかならない。これについても説明いただきたい。
それから5点目でありますが、体を張ってでも阻止する人たちがいるから海上ヘリはできませんよということをおっしゃって最近理由にし始めてきましたね。その次は多分あれを沖大東島に持っていけと言ってくると私は見ています。
本当にその都度都度、思いつき思いつきで切り抜ける手法でやっていますから、これからすると新石垣空港宮良牧中で43名の地権者が命がけで絶対に土地を譲らないと言っているところのあの反対運動との整合性はどうなんですか、全く矛盾していますでしょう、その辺を説明してください。
それから通告3点目の国際都市形成構想の座礁についてでありますが、鳴り物入りで進軍ラッパを吹き鳴らして大騒ぎさせてもらった国際都市形成構想は、那覇軍港が働かない、普天間基地が固定化される、これはまさしく安物のバーゲンセールの結果にしかなってないんです。それについても所見とざんげを聞きたい。
通告の4点目、振興策はだめになってもいいという庁議でその発言があったという新聞報道がありました。これは大変なことでして、このことについてはここ沖縄県内でも激震が走っているんですよ。我々政治家が街頭演説するなら話は別ですが、行政を預かる人たちが県民生活を無視してもいい、そして将来の県に責任を持たなければならない行政を預かる人たちが振興策をむだにしてもいいから基地反対、ヤンキーゴーホームを言おうじゃないかと、こんな主客転倒したことを本当に知事を初めやったというならあなた方はみんなやめるべきですよ。そこに座っている資格ないですよ。とんでもない。余りにも1945年に知事はこだわり過ぎるんです。もっと行政家としての自覚とそして使命と対応が求められるんです。幾ら選挙戦術といえども振興策はだめにしてもいいから基地反対運動をやろうとこういうことは、知事は今時差ぼけしているそうですが、まさしく選挙ぼけで責任ぼけしているんじゃないですか、あえてそういうことを申し上げたい。その点についても知事の所見を賜りたい。
5点目、サミット誘致断念についてでありますけれども、いよいよサミットは誘致はやると言って騒いでいるけれども、実態としては断念にしかならない。これはインターハイを放棄したときと同じパターンである。これは県民が絶対許さないから、その点についての説明をいただきたい。
通告6点目、第4次振計についてでありますけれども、座礁している国際都市形成構想だけを吹きまくらずに、県民代表として知事は責任があるんです、沖縄振興については。もう遅過ぎるけれども、そろそろ第4次振計について何らかのアクション、展望があってしかるべきだと思う。これはどうなっているのか。
それから7点目の知事の言う民意についてでありますが、これは普天間基地移設についての知事の議会答弁、平成9年2月24日、平成8年2月10日、所信表明、平成9年9月24日、これは海上、ノーという答弁じゃないんですよ。現実的対応をしなければオール・オア・ナッシングでは片づかないと言いながら、選挙が近づいてきたらノーということをやっちゃった、この辺についての整合性でいま一度聞いておきたい。
答弁を聞いてから再質問をさせていただきます。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 西田健次郎議員の御質問にお答えいたします。
政府要衝との信頼関係を放棄したことについてという趣旨の御質問でございます。
橋本総理を初め政府関係者には、これまで沖縄米軍基地問題協議会や沖縄政策協議会などの場を通して沖縄問題に積極的に取り組んでいただいてきたところであり、県として心から感謝しているところであります。
また、昨年4月に「沖縄における基地問題並びに地域振興に関する国会決議」がなされ、総理は国会決議の趣旨を体し、沖縄の米軍施設・区域の問題や経済社会の振興策への取り組みに今後一層の努力を払う所存であるとの所信表明を行っております。
さらに、県が要望していた特別自由貿易地域制度の創設などを盛り込んだ沖縄振興開発特別措置法の改正案が去る2月13日に閣議決定され今国会に提出されました。
また橋本総理は、去る2月16日の施政方針演説の中で、沖縄の米軍施設・区域の整理・統合・縮小に引き続き全力を挙げるとともに、沖縄の振興にも最大限努力する決意であり、特別自由貿易地域制度の創設などを内容とする法案の成立を期するという趣旨の発言をされています。
このようなことから、橋本総理や政府関係者は本県の米軍基地問題や振興策について前向きに取り組んでいただいているものと思っています。
本県の米軍基地問題の解決や振興策のためには国の支援が不可欠であり、県としては本県が抱える諸課題の解決について国の理解が得られるよう引き続き働きかけていきたいと考えています。
次に、全国知事会を2回も欠席したことについての御質問でございます。
御指摘の平成8年及び平成9年に開催された知事会議については、平成8年は全国的に注目された県民投票の2日前であったこと、また平成9年は中国福建省への出張から帰任して間もない時期で、9月補正予算の最終調整等業務的に厳しい状況にあったため東門副知事が出席した次第であります。
次に、沖振法改正についてはそのめどをつけた機関、団体、人々の努力があったと認識しているかと、その評価はどうかという趣旨の御質問でございます。
今回の沖縄振興開発特別措置法の改正案は、昨年11月に国に要望した国際都市形成に向けた新たな産業振興策を受けたものであり、産業振興のための税制上の優遇措置が主な内容となっています。同改正案は、新たな産業振興策の展開に向け着実に第一歩を踏み出すものであり、企業立地や雇用の拡大が図られるものと期待しています。
沖縄振興開発特別措置法の改正案を取りまとめていただきました政府や与党3党、山中貞則先生を初め関係者の御尽力に対しては感謝しお礼を申し上げたところでございます。
次に、基地返還アクションプログラムと普天間基地の固定化についての御質問でございます。
基地返還アクションプログラム(素案)は、平成8年1月に設置された県と53市町村で構成する国際都市形成等市町村連絡協議会等において合意を得て作成されたものであります。
県は、基地のない平和な沖縄を実現するため同アクションプログラムに基づいて国際都市形成構想の目標年次である2015年までに米軍基地の計画的かつ段階的な返還を求めてきたところであります。
普天間飛行場については、市街地の中央部に位置し地域の振興開発を妨げているだけでなく、航空機騒音の住民生活への悪影響や航空機離発着訓練の実施などによって市民の生命に極めて危険な状況にあることから、県はこれまで日米両国政府に対しその返還を強く求めてきました。
なお、普天間飛行場の返還に伴う代替海上ヘリポート政府基本案については、県は去る2月6日に諸般の状況から受け入れることはできないとの考えを明らかにしたところであります。
同飛行場の早期返還については、その危険性等から日米両国政府ともにひとしく認識するところであり、両国政府にとっても共通の課題であると考えています。
このため、県としては引き続き日米両国政府に対し普天間飛行場の早期返還を強く要請していきたいと考えています。
次に、普天間基地凍結、白紙による公共事業への影響はという趣旨の御質問でございます。
普天間飛行場の早期返還の必要性については、日米両国政府ともにひとしく認識しているものと理解しており、引き続き早期返還を強く要請していきたいと思います。
これまでのところ凍結という趣旨のことはどこからも来ておりませんので、それによって公共事業へどのような影響を与えるかということについては今の段階で申し上げることはできませんので御理解いただきたいと思います。
次に、国際都市形成構想の座礁についてという趣旨の御質問でございます。
国際都市形成構想は、平和・共生・自立を基本理念に本県の自立的発展とアジア・平洋地域の平和と持続的発展に寄与する地域の形成を目指すものであります。
同構想の具体的展開に当たっては、那覇空港や那覇港を中心とした交通・物流ネットワーク拠点、宜野湾市を中心とした技術協力・国際交流拠点、南部地域の平和交流拠点、中城湾港を中心とした産業技術交流拠点、名護市を中心とした自然交響都市拠点など県全域に特色を生かした12の拠点を配置し、適切な機能分担と地域連携が図れるように計画しております。
このようなことから、取り組みが可能な拠点形成を先行して進め、国際都市として全体が一体的に機能できるよう推進する考えであります。
国際都市形成に向けた諸プロジェクトについては、現在、特別自由貿易地域制度の創設などによる新たな産業振興策の展開、亜熱帯総合研究所、海洋深層水総合利用施設、マルチメディア関連事業、同時通訳者養成等の人材育成事業などを着実に進めているところであります。
また、アジア地域との経済交流のための情報収集等について香港、シンガポールなど海外に設置された県事務所の活用を図っているところであります。今後とも国際都市形成に向けて諸施策を着実に推進していく考えであります。
次に、サミット誘致断念についての御質問でございます。
県は、サミットの誘致に向けて庁内に2000年サミット誘致推進プロジェクト班を設置し積極的に取り組んでいます。また、沖縄県経済団体会議や県議会が国への要請を行うなどサミット誘致についての県内の機運も高まってきています。
さらに、民間と行政が一体となった沖縄県サミット誘致推進協議会が発足したことにより県民挙げての誘致活動を展開していく体制も整いました。
現在、同協議会の専門部会であるホテル部会と連携しながら国に要望するための沖縄開催のモデルプラン等の作成作業を進めているところであります。
サミットの誘致については、平成10年度予算案に誘致広報活動のための経費を計上しているところであり、また3次振計後期の主要事業推進計画にも盛り込んでいます。県としては、引き続き誘致に向けての取り組みを強化してまいりたいと考えています。
次に、第4次振計の策定作業についての御質問でございます。
本県の自立的な発展を図るためには、第3次沖縄振興開発計画の終了後においても新たな沖縄振興計画や沖縄振興開発特別措置法の抜本的な改正等新たな法令の整備が不可欠であると考えています。
そのため県としましては、平成10年度から振興開発の総点検作業に着手し、基礎的なデータの収集や分析、関係機関との調整を進めることとしています。
その後、沖縄振興開発検討委員会等での審議を踏まえた上で、これらをベースに新たな沖縄振興開発計画の策定と法的な整備等についてできるだけ早く国に対し要望してまいりたいと考えています。
次に、知事の言う民意についての御質問でございます。
私は、海上ヘリポート基地建設問題について住民が自主的かつ主体的にみずからの考えを表明したものが民意であると考えています。
名護市民投票条例第3条は、市長は「ヘリポート基地の建設に関係する事務の執行に当たり、地方自治の本旨に基づき市民投票における有効投票の賛否いずれか可半数の意思を尊重するものとする。」としています。
市民投票の結果、海上ヘリポート基地建設に反対する住民が多数を占め地元住民の意思が明確にされた以上、これを尊重するのが民主主義の基本的ルールであると考えています。
また、一般的には地域住民の生活に深くかかわりのある行政については可能な限り住民の意思を踏まえて対応することが望ましいと考えています。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 政策調整監。
〔政策調整監 又吉辰雄君登壇〕
○政策調整監(又吉辰雄君) 西田議員の振興策はだめになってもいいとの所見についての御質問でございますので、部局長会議の進行等をやった関係で私の方から答弁申し上げます。
去る1月13日の部局長会議における意見は、振興策について国との関係で懸念、不安もあるが、お願いすべきはお願いし、また理論構築して対応する必要があるとのことで意見を集約をいたしました。
ただいま御質問のございました振興策がだめになってもいいということは、部局長会議におきましては全くございませんでしたので、誤解のないようひとつよろしくお願いいたします。
なお、本県の振興策を図っていくためには国の支援は不可欠でありまして、せんだって宮平副知事が古川副長官にお会いしたときにも振興策について要請をいたしました。今後とも引き続き国の理解が得られるよう働きかけていきたいと考えます。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 西田健次郎君。
○西田健次郎君 答弁漏れがあります。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午前10時33分休憩
午前10時37分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 答弁漏れにお答えいたします。
ウチナーンチュの代表は非礼だと言われたという、どなたがおっしゃったか知りませんが、そういうことをおっしゃってどう思うかという趣旨の御質問だと思います。
政府の政策と県の政策というものが一致する場合と一致しない場合があります。 政府の政策は、総理を初め政府の首脳は政府の国策に基づいていろいろやりますが、それが現実に地方自治体の県民の生命や財産にかかわるような問題があって一致しない場合は、県民から選ばれた知事は当然の責任として県民の生命、財産を守るという立場からその趣旨のことを申し上げるのは信頼関係を損なうものとは思っておりません。
それから、今後の政府との信頼関係の構築について聞きたいという趣旨の御質問でございます。
橋本総理を初め政府関係者には、これまで沖縄米軍基地問題協議会や沖縄政策協議会などの場を通して沖縄問題に積極的に取り組んでいただいているところであり、県として心から感謝しているところであります。
また、昨年4月に沖縄における基地問題並びに地域振興に関する国会決議もなされましたし、総理はその趣旨を踏まえて今後とも一層の努力を払うという趣旨のことを申し上げております。
さらに、税制問題につきましても一生懸命になって取り組んでくださっております。今後とも橋本総理や政府関係者に対しましては誠意を尽くして沖縄の実情を申し上げ、御理解をいただくよう努力してまいりたいと考えております。
それから、軍事的には4軍の総合力が要求されると思うが海兵隊だけ移転した場合、軍事運用上有事への対応ができるかという趣旨の御質問でございますけれども、これは軍事問題についてはアメリカ側は総合的に云々と考えているかもしれませんが、我々はあくまでも県民の命と暮らしを守っていくという立場で対応するのが県の行政の立場でございまして、その意味で在日沖縄米軍の主力というものが海兵隊でございます。事件・事故についても海兵隊の方が圧倒的に多いので、その海兵隊を削減してもらえれば移設の問題等も必要なくなるという判断から海兵隊の削減をお願い
しているわけでございまして、現実にアメリカ政府部内からも、国会内からも海兵隊の削減は可能だと、あるいはシンクタンクなどの人たち、研究者たちも海兵隊の削減は可能だということを申しておりますので、その辺は沖縄の人の立場から考えていただきたいと思います。(発言する者多し)
○議長(友寄信助君) 御静粛に願います。
○知事(大田昌秀君) それから石垣空港問題との関連で、これとヘリポートの問題についての関連の御質問がございましたけれども、復帰後、北部訓練場内のハリアーパッド建設反対闘争や、キャンプ・ハンセン内の都市型戦闘訓練施設建設反対闘争に見られるように、新たな軍事施設を建設することについては県民感情は極めて厳しいも
のがあるということを冷静に認識して申し上げているところでございます。
空港問題につきましては、これは民間空港でございまして、その民意の合意取りつけについては積極的に対応してまいりたいと思います。
なお、まだ調査中でございまして、その適地かどうかということについては3月末までの調査結果を見ないとわかりません。
それから、総理に対して現実的対応をするかのようにやって裏切ったという趣旨の御質問だったと思いますけれども、これは総理御自身が明確にされておりますように、私はいまだかつて受け入れるということは申しておりません。
ただ、ヘリ基地の問題については基本的には起業者である国と利害関係を有する地元住民、例えば海上ですと漁業組合の同意とかそういうことがまず真っ先に議論されてしかるべきだということで、それを踏まえて県は必要な段階では県の将来に向けての総合的な立場に立って判断してまいりたいということを申し上げてまいりました。
しかも、この狭い県内に移設するということは非常に厳しいですよということは繰り返し申し上げてきたところでございます。
○議長(友寄信助君) 西田健次郎君。
〔西田健次郎君登壇〕
○西田健次郎君 再質問、時間がありませんけれども取り急ぎやります。
まず、普天間基地を5分の1にして騒音、爆音公害、事故の不安もないという海上に一時移設をする、一時移設をするということがなぜ基地の新設になるということなのか、この点についていま一度説明をしていただきたい。
海上ヘリが目的じゃないんですよ。危険な普天間飛行場をどう移すかが目的だった。その件がすりかえられていますので、その点について説明賜りたい。
それから、国の支援は今後とも必要だとおっしゃっているけれども、これだけ信頼関係が崩壊している中で具体的に信頼関係を再構築する理論とは一体何なのか。これは先ほど調整監が話をしておりましたから、又吉調整監でもいいですから説明してください。
それから2点目について1の(2)ですけれども、いわゆる沖振法の改正は山中先生、野中先生や、それから私どもは名護市長選挙の最終日にあえて大変心配になったので県連の執行部を上京させたんですよ、経済界とともどもに。沖振法の改正だけはもう絶対凍結してくれるなと。この辺についても新聞にも出ておりましたので、一言知事からお礼ぐらい言ってもいいんじゃないですか。
通告2の(3)ですが、公共事業についてはまだわからないと言っているけれども、これは非常に無責任で、平成7年だけでも50億の公共事業をキャンセル、これは土木建築部は知っているはずですよ。この間の臨時議会でも指摘しておいたんですから。これについて私の試算でおよそ2兆円の公共事業がおかしくなるという、これについてもう少し具体的に、県が知らないはずはないから説明していただきたい。
それからサミットについてですが、まず県はやる気はないと私は見ています。仮にやる気があるとしたら予算及び今後の作業を具体的に説明してほしい。
それと、サミットが政府主催である以上、知事は我が国の政府、総理大臣とか官房長官等に折衝すべきと思うが、今の状況では折衝するすべも方法もないので、これはサミットは無理だわということでインターハイと同じように放棄したと私は理解している。
それからもう一つ、サミット誘致に対する他の都道府県の動きについて県はどういう認識をしているか、説明をしていただきたい。
それから、私はこの際あえて申し上げさせていただきますけれども、政府、国との信頼関係が崩壊し鳴り物入りでラッパを吹き鳴らす国際都市形成構想が座礁、アクションプログラムいわゆる沖縄の米軍基地の全面撤去は凍結、経済振興策がとんざ、名護市長選挙の敗北もそれでありました。新石垣空港も8年間八重山の人たちの祈るような思いを踏みにじってきた。県財政は倒産状態に追い込まれる。そして人気取り、放漫財政の結果、また人事についてはYKKということが堂々とマスコミで報じられる。思いつき発言、たまには会わなかった人に会ったと言ったり、数々の議会での陳謝、釈明、県庁職員の汗と努力で積み上げてきたボトムアップを知事のワンマントッダウンで県政を混迷と職員の士気を喪失させていること。
この際、知事は昔の反戦、反日思想学者に戻られて学究生活を続けられた方が御自身の人生のためにも県民のためにも正しい身の処し方だと私は思う。それが歴史の評価を受けると思いますけれども、この際、けじめをつけて勇退される気はありませんか、御答弁願います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 再質問にお答えいたします。
ヘリポートは一時的に移設するものであって、普天間の状態を変えるのが本来の目的ではないかという趣旨の御質問でございます。
その点は実は非常に私も懸念しておりますけれども、ただヘリポートにつきましては県の環境保全審議会ですか、そこの答申でこのヘリポート基地が予定されている地域は保存すべき第1位のランクづけとして言われておりますし、それからそのヘリポートが一時的という場合に、一時的というのは一体何を根拠にして一時的と言えるのか。
それから、ヘリコプターについても、普天間が老朽化しているからそれをむしろ近代化するために新たな施設をつくろうとしているんだとか、いろいろな見解があるわけですね。
ですからそういう問題等も含めましていま一つ中身がよくわからないということと、もしも2015年までに基地のない平和な沖縄をつくりたいということを県政の基本に据えている県が、このヘリポートは結構ですよということになった場合に、これまでの基地というものはこれは我々は不可抗力的に米軍がつくった基地で、それを踏まえて返してくれとか縮小してくれ、撤去してくれということをお願いしているわけなんですが、県が承認して、容認してつくらせた場合に、従来の基地とは性格が全く違うというようなことも言われておりまして、その辺のこともあらゆる面から検討して県の将来計画との整合性等も考えて決断したわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
それから、沖縄振興開発特別措置法の改正については自民党の皆さんが御尽力くださったこと、それからその他の政党の方々、与党3党の方々も御尽力くださったことについては感謝申し上げたいと思います。
それから、公共事業については先ほども申し上げましたように、普天間基地を凍結するということはまだ何の通知も受けておりませんので、それを仮定の問題として公共事業がどうなるかということについては、今の段階で申し上げられないということをお話したわけでございます。
それから、サミットの問題につきましては、先ほども申し上げましたように県としては粛々と誘致に向けて努力しているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
それから、このあたりで勇退してはどうかという趣旨の御質問でございますが、これは貴重な御提言として承っておきますけれども、精いっぱい残された期間、頑張っていきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 政策調整監。
〔政策調整監 又吉辰雄君登壇〕
○政策調整監(又吉辰雄君) 再質問の中で、今後、信頼関係を政府とどう構築するかという御質問でございますけれども、これは果たして私が答えていいかどうか、知事、副知事がよかろうかと思いますけれども、先ほど西田議員からの御指名でございますので、私なりにお答えをさせていただきたいと、こう思います。
今回、そういった普天間のキャンプ・シュワブヘの移設につきまして、国は国の立場、県は県の立場がございまして、いろいろ新聞紙上、マスコミ等で言われているとおり確かに私どもが参りましてもそういったぎくしゃくといいますか、ちょっと感情的になっている面、両方あろうかと思います。
ただ、私どもはこの米軍基地問題協議会、政策協議会等を通しまして、基本的には国に対して協力できるものは大いにやりますよと。ただ、これは県には県の立場もございますので、そこはひとつ御理解をいただきたいということで申し上げているわけでございまして、振興策で一言言わせていただきますと、やはり現下のシステム、仕組みからいたしますとどうしても国の協力なくしては沖縄の今回沖振法の改正等もございましたけれども、そういった振興は図れないと私は認識をいたしております。
そして、今後じゃ具体的にどういう手法でそういった再構築を図るかということになろうかと思いますけれども、これは一言で言いますと誠意でもって対応するということでございますが、まず吉元前副知事が在任期間、吉元前副知事と古川副長官という太いパイプがございまして、そういうことでまず古川副長官と宮平副知事のパイプをどうつなごうかということで私ども努力をしてきたわけでございますけれども、やっと先日19日に副長官と1時間40分という時間をとっていただきまして県政全般についてお話をいたしましたし、6日の知事の意思表明の経過、考え方、また振興策の要請をいたしました。
そして、今後とも継続をしてお話し合いをしていきたいということを副長官からも確認をしてございますので、そこを足場にいたしまして県益のために大いに再構築すべきは再構築をしていきたいと、こう思いますので、私なりの答弁でございますが、そういうことでございます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) サミット関係の再質問にお答えをしたいと思います。
まず、予算でございますが、次年度予算に1038万円の予算を計上いたしております。
それから他の都道府県の状況でございますが、現在、サミット誘致に意思表示をしている府県が大阪府、宮崎県、横浜市、福岡市及び千葉県の5自治体がございます。(「北海道は」と呼ぶ者あり) 北海道についてはまだちょっとはっきりした確認はいたしておりませんが、大阪府につきましては、APECの際の事務局を中心とした有識者懇談会を96年の10月に設置をして活動を展開しているということでございます。昨年の11月に国に要望書を出していると。
それから、宮崎県につきましては、昨年の10月に宮崎県サミット誘致推進協議会を設立をいたしております。
それから、横浜市につきましては、具体的な取り組みはことし4月の市長選後になるというふうなことで特に動きとしてはないと聞いております。
福岡市につきましては、昨年の10月に誘致委員会を設立し、11月に国に要望書を提出するというふうな段取りの予定でしたので、多分11月に出したんじゃないかなと、一応そういうふうな確認をいたしております。
千葉県につきましては、97年の12月に要望書を出していると。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 翁長雄志君。
〔翁長雄志君登壇〕
○翁長雄志君 自由民主党を代表いたしまして質問をいたします。
今までも大田知事は私どもからすると底が見えていたんですが、本当にきょうの西田さんに対する答弁を聞きまして、それこそ相矛盾する話をしゃあしゃあと述べる姿を見て、私は大田知事の歴史的役割、使命は明確に終了したなと、このように感じております。在任期間はございますから、それは頑張っていただいて、ぜひ引退をお勧めしたいと思います。
これまでいろいろな矛盾を言葉の限りを尽くして原則的にとか、あるいは総合的判断というような言葉でごまかしてまいりましたけれども、私はいつか必ず時が過ぎることによってその矛盾が現実の現象によって明るみにされる、それを信じておりました。
老人医療無料化、消費税の反対、これは最初に公約を掲げて当選をいたしまして、それは公約違反で終わっております。
全国植樹祭、新石垣空港問題、旧立法院棟の問題、福建・沖縄友好会館、この安易で拙速、権力主義的な対応も、この2期目を終わるに当たりましてだんだん暗礁に乗り上げてまいりました。
これからの問題といたしまして基地返還アクションプログラム、国際都市形成構想、全県フリーゾーンの問題、普天間飛行場の問題、こういうものも知事がみずからの主体性を全く発揮なさらない、そういうことによってこれは絵にかいたもちだと思っていたんですけれども、現実的にはもちさえもかいてなかったということがわかってまいりました。
少女暴行事件を契機としてこの2カ年有余、大田知事が大政治家に見えたようなこともございましたけれども、これは本来の政治力ではなくて、あの少女暴行事件を契機に沖縄問題の追い風が県民、国民に大田知事の政治力の大きさについて錯覚をさせていたなと、これを私は今感じております。
大田知事の右腕、あるいはそれ以上と言われました前副知事も舞台から先に去っていきました。大田知事の今後の役割は全くないと思っております。むしろ県民にとってマイナスであると断言をさせていただきたいと思います。
大田知事と民主主義とか民意について意見を交わすむなしさは、これまで何回も味わってまいりました。
沖縄の方言で「アンイレーカンイーシ」という言葉がありますが、まさに民意だけの問題に限らずほとんどの政治姿勢に定見を持たず、他人には厳しいハードルを提示し、みずからには甘く物事を解釈するということが随所に見られます。
大田知事が行政の責任者として無責任であるゆえんは、その態度決定の理由を県民の不満だとか民意だとか、環境保護団体だとかいうものに求めて、自分はそれらに後押しをされて動いているのだということを周囲にしきりに示しながら、自身の積極的な判断を回避することにあります。
大田知事は、民意とか環境保護団体とかというものを最大限利用してかかり、態度決定の責任をみずからは負おうとしない、これは大田知事一流の政治的こうかつさであると私は思っております。
お聞きをいたしますが、民主主義と民意の問題について、名護市民投票では1票でも多ければ民意でありそれに従うと言いながら、新石垣空港問題ではきょうの少数はあすの多数になるかもしれない、民主主義は少数を大切にしなければならないと言って少数に従ったわけでありますが、矛盾はしないのかどうか、お聞きをいたします。
さらには、今回の市民投票に関しては子供の動員が目立ちました。我々賛成派の事務所に小学生を先頭にお父さんたちが署名活動を事務所の中を走り回るんです。子供たちをさわって転ばしたら大変ですから、これはもう縦横無尽に私どもの事務所を子供を先頭にしてやっておりました。
それから、デモ行進への子供の参加も今回は本当に目立ったわけであります。
きわめつきは、基地のたらい回しを許さないといって本物のたらいを回して意気揚々としている女性の会で、知事がにこやかにたらいを持ち上げて上機嫌の姿を見て、私はもう本当に不気味な感じをしたんです。むしろ大田知事が持ち上げられて回っているような感じがしたわけでありますが、普天間基地の返還の重みはあんなものだったのかなという感じを覚えて妙に感じ入ったものでございました。
その中でも前列に子供たちが陣取っておりまして、子供たちはたらいを持ち上げて喜んでいる知事の姿を一生記憶しているのではないかなとこのように思っておりますが、名護市民投票において子供に署名活動をさせたことについて、あるいはまたこの種の集まりに子供を動員することについて教育長、教育上どう思うか、お聞きをいたします。
次に、海上ヘリポート建設問題に関する意見聴取対象84団体名と内容が公表されましたが、反対37団体は過半数に達しておりません。県民の大多数とはほど遠いと思いますけれども、その分析した内容をお聞かせ願いたいと思います。
それから大田知事は、当初名護市長選挙の結果も重要な判断材料になると明言をしておりました。しかし与野党から早期に判断すべきではないかという申し入れがございまして、そうしたらこの申し入れがあるから私は市長選の結果は重要だと思っているけれども、早目に表明しますということでそのようにしたわけであります。
市長選挙の結果が重要だというのは大変、極めて政治的なポリシーの強い重要なものだと思っております。そういうことで変更できるのかどうかお聞きをしたいということと、海上基地問題という意味ではこの市長選挙はどうだったのか、お聞きをいたします。
それから山内出納長、今回三役になられてこれから頑張ろうとなされていると思いますが、1月中旬、中部の革新首長さんを集めて、知事が現実的対応をするんじゃないかという、歯どめをかけようじゃないかというリーダーシップを発揮したというのが新聞に載っておりました。
その意味ではもう基地問題については確信犯だと私は思っております。
主体性のない大田知事が今まで吉元副知事を頼って現実的対応というようなもので二面使い分けてきたんですが、今度はがちがちの確信犯である山内さんを頼ってこれからの基地問題をやっていくのではないかなと私はこのように考えておりますが、山内出納長は村長時代の意見聴取、最近のことです、市長選挙の行方を見守りたい、県民投票を実施し知事は結果に従うべきだと述べております。
大田知事は、山内出納長力犠会で同意され三役そろってからどうするかを考えたいとおっしゃっておりました。山内出納長はどういう意見を知事に申し上げたのか、どうして市長選の結果を海上基地建設問題で見守りたいと言ったのか、お聞きをいたします。
それから大田知事はSACOの中間報告、最終報告の2度にわたって評価をしております。これは再質問で知事が何を話してきたか、きっちりと検証させていただきます。
先ほどの普天間基地の問題に対して知事がいかに私からすると矛盾だらけの答弁をしておったかというのは後であれしますけれども、評価をしてきました。しかし2月6日の反対表明の内容では、市民投票の結果は県政運営の基本理念にも合致すると言っております。
しからば、名護市の判断を待ちたいと言ったのは名護市民が振興策と照らし合わせて場合によっては振興策を選択すると思ったのかどうかですね。第一義的に名護と国の問題だと、名護が考えるべきだししかし基地は県の基本政策としてもだめだと、しかし名護の判断を待ちたい、名護の判断は何が基地を乗り越えられるかというと振興策じゃないですか。
それから言うと、知事はあめとむち論などという話もよくされますけれども、名護市民にあめとむち論をその交渉をする代理人として知事はこの2カ年間名護に強いてきたんじゃないですか、これをお答え願いたいと思います。
それから橋本総理との信頼関係についてでありますが、1月18日大田知事は橋本首相には普天間飛行場返還などで恩義を感じている、だから政府を困らせるような結論を言いたくない、何かオプションがないか考えていると発言をしております。
きょうも山中先生にはありがとうとか、どなたの先生にありがとうとか一生懸命おっしゃっておりましたけれども、この問題に限りませんけれども、みずから後足で砂をかけておいてまだ好きですとか話し合いしましょうというのは一方的に言うのは簡単ですけれども、そう簡単じゃないと思うんです、これは。県内移設について総理が知事に提案したとき一切ノーと言わなかった、政治家の沈黙の意味をどう考えているのか、お聞かせを願いたいと思います。
日米両国政府、沖縄県、名護市を初めとする日米、中央、地方の多くの人々は折々の大田知事の意向、考え方を踏まえて問題解決に努力してきているんです。知事はみずからの発言に責任を有すると思うんですよ。
そうするとSACOの第1回目、第2回目の話などに対して私、後で申し上げますけれども、本当に評価しているんですよ、知事は。
そういう中で物事を進めてきた17回の会談で振興策もどんどん出てきた。それを国と沖縄県の立場が違うんだということで物事をしゃしゃ、しゃしゃと切り捨てるのはどうかなと私は思うんですが、まずはこの沈黙の意味をお聞きをいたします。
それから大田知事の態度は不可解で無責任の一言に尽きます。そもそも普天間飛行場の全面返還とは大田知事が提案をしてSACOの最終報告にも盛り込まれた合意事項ではなかったでしょうか。
かつて普天問飛行場返還を求めた理由について大田知事は次のように語っているんです。少女暴行事件を契機として二度と人命にかかる事故を起こしてはならない、基地のない平和な沖縄の実現という理想はありながらも行政の責任者として現実的な対応として一番危険度の高い普天間飛行場の返還を求めたいとしているんです。
現実的対応、いろいろ問題はあるけれども、普天間飛行場が一番危ないからそこからまずどかそうじゃないかというのが知事の考えだったと私は聞いておりますけれども、本定例会の所信表明の中で大田知事はあれほど県民の最大の願いだと言っていた普天間基地返還について触れておりません。まさにこれからが正念場であり、昨年よりも重要度は増しているはずでありますから、何かに潜り込ませたとか、こういうことで済むような問題じゃないんですよ。普天問返還でこの2カ年間沖縄県政は大きく揺れ動いてきたわけですから、所信表明から外すということは大田知事の明確な意思が私はあると思っているんです。その意味では反対表明によって断念をしたのかどうか、お聞きをいたします。
それから、大田知事は昨年までオール・オア・ナッシングでは基地の問題は解決できないと与党に対しても強調してきたあれは何だったのか。
日米両政府が沖縄の基地問題に積極的な姿勢を示しているこの時期、解決に向けて一つ一つ着実に前進させたいとしてシーメンズクラブの県内移設の成果を誇っていたんです。昨年はこちらに来てシーメンズクラブの例がありますと、県内移設の例があります、この方法でできませんかという話を知事はなさっておったんですよ。
それからキャンベルさんにお会いしたときもホワイトビーチを那覇軍港に移せませんか、県民は喜びますよとこういう現実的対応の話をどんどんしているんですね。そしてことしになってがらっと変わったんですが、いずれにしてもこれは主体性がない、これは知事のみずからの判断能力が問われるんじゃないかと思うんですが、これはどうでしょうか。
それから名護市長選挙について大田知事が出陣式に三役そろって応援に来たときから、名護市に大きなうねりが起きて我が陣営が勝利をしております。また投票日の2日前に反対表明もなさって市長選挙を意識した露骨な選挙介入をしたわけでありますが、選挙は敗北につながったわけであります。これは大田知事が介入をして敗北したとはお思いになりませんかどうか、お聞きをいたします。
それから昨年私はYKK人事に触れましたが、今度の新三役人事でもYKKのごろ合わせは変わっておりません。その北部出身の三役がこの8年間一度も誕生していないんです。そして大田さんたちは北部振興というのをよく話をするんですが、あるいはまた国の責任だとも言うんですが、復帰後25年間5兆円というお金が振興開発計画にのっとって落ちてきたんですけれども、県と調整をしながらやってきたと思うんですよ。県の意見を取り入れながら、どこから先に道路をつくろうかとかいろいろやったと思うんです。
そういうものを踏まえると北部出身に三役が一人も今までいない、あるいは全国植樹祭、もう当選してすぐ糸満市に持っていってしまう。手続上大変問題があった。こういうことを名護の人は大変大田知事に対して不信感があったんです。
これについて北部振興、いろいろやっていますよと言うけれども、三役人事とか、部長以上で北部出身いますか、手を挙げてください、北部出身の人、部長以上で。いないでしょう。大体三役どころじゃないんですよ、部長以上にも北部の人はいないんですよ。
そこで北部振興をきめ細かくやろうなどというそんないいかげんな態度はやめていただきたいと思うんですが、北部振興についてもう少しどのように配慮をしてきたか、教えていただきたいと思います。
それから2月6日の反対表明についてでありますけれども、大田知事は県の判断材料としては関係市町村の意向と国際都市形成構想の課題だけを挙げていたんです、そこまでは、ずうっと市民投票までは。これだけを言っておったのにいつから県議会の議決がこうだったとか、それから県内各界各層の意見を聞いてみようとか、あるいは環境問題、1月10日に何か出されて県から促されたんでしょうけれども出されたものも考えて、それから県政運営の基本理念、知事は今まで現実的対応というものをずっと2カ年間言ってきておきながら、いざという場合には県政運営の基本理念という言葉まで出してきてこの問題に反対表明しているんですね。自己保身、主体性遺棄、主性欠如、一貫性のない最たるものではないかと思いますが、どうでしょうか。
県議会は、基地機能強化につながる県内移設について反対をしたのであって、知事がその内容を勝手に応用するのは議会との関係で問題だと思いますが、どうですか。
基地機能強化につながる県内移設というものはヘリポート基地に反対しているんですか、議会はそのように判断をしたのか、示していただきたい。
それから新石垣空港問題についてでありますが、6年間合意形成ができなかったことを踏まえると大田知事はことし末の知事選以前に合意形成について必ずやると表明すべきじゃないかなと私は思っておるんです。
なぜかといいますと、これはもうカラ岳東が2力年間合意形成に至らなかったということで、合意形成に至らないということで変更していったわけですから、6年間も合意形成できないで知事選の出馬の前には合意形成を必ずやってから知事選のことは考えるんだというのが当たり前だと思うんです。仮に今任期中で終わるにしても、任期中までには片をつけるというこれぐらいの決意表明をしなければ石垣の人に申しわけないと私は思うんですが、これはどうお考えになっておりますか。特に大濱市長が2年後に着工すると言っているんです。2年後に着工するというんであれば、知事の今回の選挙前に出ようが出まいが合意形成はやるんだというかたい決意を示さなけれ私はこれは大変責任回避だと思いますよ、どう思いますか。
それから二、三日前の大雨により石垣の宮良川河口、轟川河口、それから石垣市長選挙の帰りで大変くっきりと晴れていましてですね、すべての島々が見えたんですが、宮古もそれから大田知事の御出身の久米島も海が真っ赤に染まっておったんです。
久米島に関して言うと、新久米島空港、海を埋め立ててつくった空港から赤土は一つもありません。報告があったら行ってみてください。
その裏側の内陸の工事で赤土がぐわーんと伸びているんですよ。これは北部でもそうです。恩納村、みんな内陸部の工事で赤土が染まっているんです。
きょうの琉球新報にたまたまあったんですけれども、(資料を掲示)「"サンゴ畑"が出現」ということで「消波ブロックにびっしり那覇新港の第1防波堤」と。これは護岸工法のものとも少し共通してくるんですけれども、そういう形でいわゆるサンゴというのは強い生命力でこういう那覇新港の消波ブロックにも入ってくるんです。しかし赤土には大変弱いんですよ。
こういう問題も含めて赤土防止策はまだまだ未熟だと思いますが、どうでしょうか。
それから平成8年、9年の全国都道府県知事会議の欠席についてでありますが、開催日の知事日程は事務調整となっていて重要な日程ではないのになぜ欠席したかということです。
先ほど西田議員の質問にも答えておったんですけれども、これは中国出張から帰ってきて2日後だからというんですけれども、きょうの定例会もハワイからお帰りになって2日後ですよ。日付変更線も乗り越えてきているんですね。これを考えますと私はそれは理由にならないんじゃないかと。
それから、そのころは知事と官邸が直接やっているものですから、全国都道府県知事会議などというのはもう小さ過ぎてある意味では無視したんじゃないかとそのような感じもいたすわけであります。これについて改めてお聞きをいたします。
それから県民投票の2日前だったということも、県民投票の2日前だからこそ全国都道府県知事会議に行って沖縄県の一番高まりを見せているときですから、意見を申し上げるのが普通であって、これを2日前だから行くのは何だというのは本当に私は無責任だと思いますよ。これについてもお答えを願いたいと思います。
それから旧立法院棟の現状も説明していただきたい。
これも知事は議会に諮って、議会全会一致で解体を了解をした、予算を通した。その中で人の本を読んでこういう文化的なものを壊すと野蛮人と言われますよと書われて、私は野蛮人と言われたくない。これはもう先ほどの責任回避と全く一緒です。民意とかそれから言論とかあるいは環境保護団体のそういった他人の意見を利用して私はこうしたいというひとつの本当に符合する、すべてがそうだったなという感じの証左の一つでありますが、この旧立法院棟もどこそこの学者が野蛮人と言われますよというのを応用してこのようにやったわけであります。その結果の旧立法院棟ですね、今現状はどうなっているのか、裁判がどのように進んでいるのか、教えていただきたいと思います。
それから福建・沖縄友好会館、平成10年度の予算の中身についても今後の支出予定を説明していただきたいと思います。
あとは再質問します。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 翁長雄志議員の御質問にお答えいたします。
名護市民投票との関係で、新石垣空港問題への対応と矛盾するんじゃないかという趣旨の御質問でございます。
名護市民投票条例第3条は、市長は「ヘリポート基地の建設に関係する事務の執行に当たり、地方自治の本旨に基づき市民投票における有効投票の賛否いずれか過半数の意思を尊重するものとする。」としています。
市民投票の結果、海上ヘリポート基地建設に反対する住民が多数を占め地元住民の意思が明確にされた以上、これを尊重するのが民主主義の基本ルールであると考えています。
また、一般的には地域住民の生活に深くかかわりのある行政についてほ可能な限り住民の意思を踏まえて対応することが望ましいものと考えます。
海上ヘリポート基地建設問題への県の対応については、本県の米軍基地を取り巻く状況や議会を初め各種諸団体の意見、世論調査の結果等及び県政運営の基本理念などさまざまな角度から検討した結果、政府基本案を受け入れることはできないと判断したものであります。
なお、民主主義の原則からして少数意見も尊重されることは重要であると考えています。
市民投票における子供の署名活動については事実関係を承知しておりませんのでコメントはできません。
次に、意見聴取84団体名と内容が公表されたが、建設反対は37団体で過半数に達していないがどうかという趣旨の御質問でございます。
県としましては、名護市民投票の結果や各種諸団体の意見、さらに普天間飛行場の県内移設に反対する県議会決議、自然環境保護の問題、これに加えて沖縄の米軍基地を取り巻く国内外の状況や県政運営の基本理念等もろもろのものを総合的に勘案して庁議や三役会議などの手続を経た上で受け入れることはできないと判断したものであります。
それから、知事は与野党からの早期判断を求める要請で市長選前に決断したとしているが、知事の政治的ポリシーは早期にと言われて変更できるものかどうかという趣旨の御質問でございます。
海上ヘリポート基地建設問題に対する県の意思表明については、名護市民投票が終了し地元住民の意思が明確にされ、さらに各種諸団体からの意見聴取もほぼ終了している状況の中で県議会与野党のみならず市民団体などから早期の決断を求める強い要望がありました。
県としては、このような状況を踏まえてさまざまな角度から慎重に検討した結果、去る2月6日の意思表明となったものであります。
なお、海上ヘリポート基地建設問題について岸本名護市長は選挙公約に掲げておらず、同問題についての見解はまだ十分に把握しておりません。
次に、名護市の判断を待ちたいと言ったのは、名護市民が振興策と照らし合わせて場合によっては振興策を選択すると思ったのかどうかという趣旨の御質問でございます。
これまでも繰り返し申し上げてきたとおり、米軍基地の県内移設の問題については移設によって基地の影響を直接受けることになる地元の意向がまず重要であると考えています。
海上ヘリポート基地建設問題については、地元名護市において昨年12月21日にその建設の是非を問う市民投票が実施されました。
名護市民投票条例第3条は、市長は「ヘリポート基地の建設に関係する事務の執行に当たり、地方自治の本旨に基づき市民投票における有効投票の賛否いずれか過半数の意思を尊重するものとする。」としており、名護市長が市民投票の結果を受けてどう判断されるのか慎重に見守る必要があると考えてきました。
県としましては、地元名護市の意向も踏まえながら総合的な観点から県としての対応を決定したいということを申し上げてきたところであります。
次に、総理との信頼関係についての御質問にお答えいたします。
米軍基地の県内移設に対する県の基本的な考えは、これまでも繰り返し申し上げたとおりまずは米軍施設の提供責任者である国が関係市町村と話し合うべきだということであり、地元の意向が出ていない段階で県が国に対し移設反対を申し上げる状況にはありませんでした。
橋本総理には一国の代表としての、知事には県の代表としての立場があり、場合によっては双方の意見が必ずしも一致しないこともあると考えています。しかしそのことによって双方の信頼関係が崩れることがないよう、政府に対しては誠意を尽くして沖縄県民の意見や願望を説明し理解を求めてきたところであり、今後もそのようにやっていきたいと考えています。
普天間飛行場の返還の必要性については県のみならず日米両国政府がひとしく認識するところであり、県としてその打開策を求めるため政府に働きかけることは当然のことだと考えています。
なお、総理には沖縄の歴史的な背景や基地が過密に存在するこの狭い沖縄の中で、米軍基地を県内移設することについては県民の反発が強く厳しいものがありますと繰り返し申し上げてまいりました。
次に、普天間飛行場についてはまさにこれからが正念場であり昨年よりも重要度は増しているはずだが、反対表明により返還は断念したのかとの趣旨の御質問でございます。
普天間飛行場については、市街地の中央部に位置し地域の振興開発を妨げているだけでなく、航空機騒音の住民生活への悪影響や航空機離発着訓練の実施などによって市民の生命に極めて危険な状況にあることから、これまで日米両国政府に対してその返還を強く求めてきたところであります。
普天間飛行場の返還に伴う代替海上ヘリポート政府基本案について、県は諸般の状況から受け入れることはできないとの考えを明らかにしたところであります。
同飛行場の早期返還については、その危険性等から日米両国政府ともにひとしく認識するところであり、両国政府にとっても共通の課題であると考えています。
このため、県としては引き続き日米両国政府に対し普天間飛行場の早期返還を強く要請してまいりたいと考えています。
知事はオール・オア・ナッシングでは基地問題は解決できないと強調したが、あれは何だったのかという趣旨の御質問でございます。
本県の広大かつ過密な米軍基地の整理縮小は県の一存だけでできるものではなく、日米両国政府の協議にゆだねられているのが現実であります。
県は、基地返還アクションプログラム(素案)を国に提示したものの、どのような方法で具体的に米軍基地の整理縮小を進めていくかについては国においても県においてもまだ十分に合意形成ができていません。
基地問題については行政当局だけでなく議会も含め県民一人一人がその解決についてさまざまな方法を主体的に考えることが重要であるとの認識から、一面的にオール・オア・ナッシングという立場では基地の整理縮小はなかなか実現しないという問題があることを申し上げた次第でございます。
次に、日米両政府が沖縄の基地問題に積極的な姿勢を示しているこの時期に解決に向けて一つ一つ着実に前進させたいとしてシーメンズクラブの県内移設の例を申したが、その自分の判断能力が問われていると思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
私の基地問題に対する基本政策は、来るべき21世紀に向けて若い世代が希望の持てる基地のない平和な沖縄を目指し米軍基地の整理縮小を促進するとともに、基地を産業振興や生産の場に転換していくことにあります。このため、私は日米両国政府に対し沖縄の米軍基地の整理縮小の促進及び兵力の削減を訴えてまいりました。
基地問題は非常に複雑であり一朝一夕には解決できない難しさがありますが、今後とも粘り強く問題の解決に向けて努力をしてまいりたいと考えています。
次に、知事が名護市長選でみずから選挙に介入したことが敗北につながったとは考えないかという御質問でございます。
名護市長選挙であいさつしたことが選挙結果にどのような影響を与えたかはよくわかりません。
次に、全国植樹祭の拙速な糸満市への変更等を踏まえて名護市民は北部振興について疑問を持っていると思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
北部圏域の振興開発につきましては、3次にわたる沖縄振興開発計画に基づいて他の圏域との均衡ある発展に配慮しながら諸施策を推進しているところであります。
具体的には、豊かな自然を活用したかんがい排水事業及び県栽培漁業センターの整備拡充など農林水産業の振興や部瀬名岬再開発事業など観光・リゾート地としての整備などを進めています。
また名護市を中心とする北部地域を対象に都市機能の増進及び居住環境の向上を一体的に整備するため平成5年8月地方拠点都市地域の指定を行い、名桜大学の開学支援等を実施してまいりました。
さらに北部地域の活性化と観光の振興を図る観点から、国道58号名護東道路の整備の促進、古宇利大橋等の県道の整備や超高速旅客船の導入など広域交通ネットワークの整備を図っているところであります。
今後とも、北部市町村と密接な連携を図りながら3次振計、地方拠点都市地域基本計画及び国際都市形成基本計画などに基づく拠点港湾の整備、名護市中心市街地の再開発及び国立高等専門学校の誘致等各種の施策を実施してまいりたいと考えています。
次に、県の判断材料として県議会の議決や県内各界各層の意見、環境問題等の基本理念が入ってきたのかと、自己保身、主体性の欠如、一貫性のなさの最たるものではないかという趣旨の御質問でございます。
県は、米軍基地の県内移設の問題については、関係市町村の意向等や国際都市形成の課題等を勘案し、県の総合的発展を図る観点から適切に対応していきたいとの考えを繰り返し申し上げてまいりました。
普天間飛行場の返還に伴う代替海上ヘリポート基地建設問題については、本県の米軍基地問題の解決や国際都市形成構想に影響を与えるおそれがあることから、その対応を決定するに当たって県議会や関係市町村の意向等も勘案するとともに、県内各界各層の意見や庁議や三役会議での意見も踏まえるなどさまざまな角度から慎重に総合的に検討を行い判断したものであります。
次に、県議会は基地機能の強化につながる県内移設について反対したのであって、知事がその内容を勝手に応用するのは議会との関係で問題があると思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
県議会決議書においては、「広大な米軍基地の存在は、本県の振興開発の推進及び県民生活の安定を図る上で大きな障害となっており、普天間飛行場の県内移設は、新たな基地機能の強化につながるばかりでなく、基地の整理縮小に逆行するものであり、断じて容認できるものではない。」とされています。県としましてはその趣旨も踏まえる必要があると判断したものであります。
次に、知事選以前に新石垣空港問題の合意形成について必ずやると表明すべきではないかという御質問でございます。
宮良地区が空港の建設位置として適地か否かの判断に必要な調査はことしの3月には終了いたします。調査結果については4月以降、八重山郡民を初め県民に公表します。
空港の建設位置として適地か否かについては、庁内の新石垣空港建設対策協議会において検討を行い、その結果を踏まえて判断をしてまいりたいと思います。適地と判断すれば住民説明会や関係機関等へ説明を行い、早い時期に合意形成が図られるよう最大限の努力を払っていきたいと考えています。
次に、全国都道府県知事会議欠席についての御質問にお答えいたします。
御指摘の平成8年及び平成9年に開催された知事会議につきましては、先ほども申し上げましたように平成8年は全国的に注目された県民投票の2日前であったこと、また平成9年は中国福建省への出張から帰任して間もない時期で、9月補正予算の最終調整等業務的に厳しい状況にあったため東門副知事が出席したわけでございまして、会議を無視したものではないのでございますので御理解いただきたいと思います。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 山内出納長。
〔出納長 山内徳信君登壇〕
○出納長(山内徳信君) お答えいたします。
私に対する質問は、1点目は読谷村長時代の私の意見についてであります。2点目は三役として出納長に就任して後の件でございます。
まず、読谷村長のとき、私が市長選挙の結果を見守りたいと申し上げましたのは、私の意見の中のごく一部分でございます。新たに選出される市長がどういう考え方に立つのか、関心があったからであります。
私は、読谷村長の時代にも出納長に就任した現在も、地方自治の本旨を基本に主権在民の精神に立って市民投票の結果を尊重すべきであると考えております。
海上ヘリポート基地建設問題へ対応するに当たっては、知事を補佐する県三役の一員として県民の大多数の意見、とりわけ市民投票の結果を尊重したい旨申し上げたところでございます。
以上です。
○議長(友寄信助君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 平良健康君登壇〕
○環境保健部長(平良健康君) 新石垣空港問題について、赤土防止策はまだまだ未熟だと思うがどうかとの御質問にお答えいたします。
沖縄県赤土等流出防止条例においては、開発現場における対策として連続降雨量150ミリの降雨条件においても赤土等の濁水濃度を200ミリグラムパーリッター以下まで処理することとしており、これを達成するため赤土等流出防止対策の施設基準及び管理基準を定めております。
条例施行後、開発現場においては条例に基づく対策が実施され効果を上げてきております。
県の調査によりますと、開発現場からの赤土等の流出量は条例施行後約5分の1に減少したと評価しております。
しかしながら、降雨時には開発現場や条例の適用外である既存農地等からの流出が見られます。開発現場からの流出は、主として対策の不備や工程管理の不十分さによるものであります。
また、局地的な豪雨に対応できず、最終沈殿池から濁水があふれ出たりする事例も見受けられます。
県としては、今後も施工業者の啓発活動や指導の強化及び赤土等流出防止技術交流集会による対策技術の向上を図るとともに、既存農地等からの赤土等の流出について関係機関と連携を図り対策を進めていく考えであります。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 赤嶺勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺勇君) 旧議会庁舎の現状についての御質問にお答えいたします。
旧議会庁舎につきましては、解体撤去の方針に基本的に変わりはございません。
しかしながら、旧議会庁舎耐久性調査報告書に係る住民訴訟が平成6年8月5日に提起され、平成10年1月21日には21回目の口頭弁論が行われており、現在係争中でございます。
同訴訟におきまして、当該旧議会庁舎が重要な証拠物件であることから、県はその撤去を見合わせているものであります。県としましては、今後の裁判の推移を見た上で適切に対処していきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商工労働部長(幸喜良秀君) 福建・沖縄友好会館の予算についてお答えいたします。
福建・沖縄友好会館関係の平成10年度予算については、まず、落成式典経費としての委託料が319万円、次に展示晶等設置経費の委託料として1階の物産観光展示コーナーが500万円、4階の物産展示室、5階及び6階の会議室等が1350万円、7階の歴史展覧館が1394万6000円となっております。
さらに、展示品等設置後の管理運営経費として1階の観光物産展示コーナー及び4階の物産展示室が552万5000円、管理運営団体の運営費補助金が4429万8000円となっております。
このほか、これらに係る関係4課の事務費が732万9000円となっております。
以上のように、福建・沖縄友好会館完成後の管理運営等に係る経費として合計9278万8000円を当初予算案として計上しております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) この際、申し上げます。
翁長雄志君の残りの質問は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時39分休憩
午後1時20分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
午前に引き続き代表質問を行います。
翁長雄志君。
〔翁長雄志君登壇〕
○翁長雄志君 再質問をさせていただきます。
名護市民投票で1票でも多ければ民意であると。しかしながら新石垣ではきょうの少数はあすの多数につながるということで矛盾しないかということであったんですけれども、知事は住民投票は条例で尊重することになっていると、しかし新石垣はそうではないというような話もされておったんですが、知事は12月21日、市民投票の結果がわかった後、このようにコメントしているんです。市民投票の結果を重く受けとめるとともに、名護市の意向等も勘案して県の総合的見地から考えてみたい、そこまでまだ名護市の意向も勘案するとおっしゃっているんですね。
それから、それ以前もずっと名護市の判断を勘案するということで知事はずっとおっしゃってきているんです。
条例を尊重するとありますが、これは法的拘束力はないわけで、現にほかの同じ時期にやった住民投票でこれと逆の判断をした市長さんもいらっしゃるわけでありまして、これは法的拘束力はございません。
仮に大田知事の主張に百歩譲ってですね、それがあったとしてもこれは名護市の判断であって、知事が今までおっしゃってきたのは沖縄県全体の総合的発展を図る観点から判断するとしたということでずっとしてきているわけです。
そうしますと、名護の住民投票そのものが沖縄県の全部の意見の基本になるというかのような発言は私はこれは間違っているのではないかなと思っているんですが、その点どうであるか、お聞かせを願いたいと思います。
それから、海上ヘリポートの是非に係る意見聴取の件でありますけれども、84団体、そして反対が37団体で過半数に達してない。それが情報公開にも該当しないということで大変不明朗な中からの皆さん方の意見の集約なんですよ。
これを県民の大半が反対しているというような形で集約をした根拠が全くないわけです。それを一つ一つ問わせていただきたいと思います。
84団体に聴取したといいますけれども、数ある団体からこれらを選んだ理由、根拠は何か、これを示していただきたい。
これらの意見が県民世論であるというなら、その理由、根拠は何か。
そして知事も先ほど名護の漁協が一番の当事者であるとおっしゃっておりましたけれども、名護市と名護漁協から意見を聞いてないのはどういうことか。
それから、名護市は前市長が意見を表明しているから、仮にもう聞いたということであるんであれば、それは団体の数の中に入っているのかどうか。
漁協というのは知事はこうおっしゃっているんです。地元の合意という場合に、例えば基地の移設の問題につきましては陸地であれば地主ですね、まず最初に。それが海域でありましたら漁業権を持っている漁民の人たちですと。そしてそれを含めて当該地方自治体の行政当局の判断、それから当該市町村の議会の判断、それを総合的に判断したものが地元の合意だというふうに理解しておりますということでも話しているんですが、名護の漁協も入ってないんです。
なぜその84団体を選んだか、理由。
それから、1月21日からさらに10団体を加えたんですが、これは何ゆえに10団体を選んだのか、これも示していただきたい。
それからいつ、だれが、どのような聞き方をしたんですか、84団体に。全員同じ手法でやられたのか、同じ人がやられたのか、そのやったことをお聞かせください。
その際、県の考え方を示したのかどうか、何にも言わないで聞いたのかどうか、あるいはまた文書を提示してやったのかどうか、お聞かせください。
こういう全く不明でありまして、意見聴取の手法の正当性が判断できないんです、皆さん方のは。みんなベールの中に隠して、私たちが聞いた結果はこうでしたという形で県民の大半が云々などと、これで民意の話をしようとするから大田知事に私は全然信頼感がないんですよ。こんな形で県民の意見を集約されたら困る、これを言っているわけです。
それから各団体の回答はその団体として意思決定した正式なものなのか、これをお聞かせ願いたい。
市長会とか町村会、ありますよね。これは市長会、町村会として団体として意見があったのか、その代表者が、あるいは事務局長が個人的に意見を言ったのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
それから回答内容を明らかにしないと、県が解釈した賛成、反対等の団体数が正しいかどうか、判断できないんですよ。
皆さん方がベールの中に包み込んだ中でこれは賛成だった、これは反対だったなどというのはニュアンスで大分違うと思うんですね。このものを発表しないとこれはおかしいと思うんですが、個人の意見の公表はプライバシーの問題が生じる場合もありますから私も考慮できますけれども、団体の意見を秘密扱いする必要はないと思いますけれどもね。これも団体の意見は一つ一つ各市、みんな説明してもらいたい。
それから個人で判断したところは、だれが個人で判断したのか、そこも全部明らかにしてもらいたい。
それから、各団体を対等に扱うことの不平等です。
例えば、私ども14名の県議会議員を擁する自民党と、二、三名の会派と同じ1団体扱いされては困る。
それから約3万2000名の会員を擁する土地連、それから3000人の一坪反戦地主会、これも1団体としてはおかしな形になろうかと思うんですが、これについての見解。
二、三十名の女性の会もあるはずですけれども、これも1団体。
それで37団体対25団体というような形で判断するというのもおかしい。これもお聞かせを願いたいと思います。
それから、調査結果の文書非公開の不当性。
庁内での決裁等の手続が完了していないので県情報公開条例の対象文書に該当しない、そう言っているわけですけれども、県知事はこの結果を踏まえて反対表明を行っているのでありますから決裁未了とは言えないと思っております。
さらに新聞等で見ますとですね、非公開を前提として意見聴取をした、しかしながら大田知事の重要な政策決定にかかわる意見を各団体から聞くときに非公開を前提として聞くということは、当初申し上げましたとおり大変おかしくはないかということで、この点についても特に情報公開のことに関してお聞かせを願いたいと思います。
それから、橋本総理との信頼関係の件ですけれども、戦後52年間、確かに沖縄県は異民族支配も27年間いろいろ苦しいことはありましたけれども、52年間のその政府の負の遺産を橋本総理の2カ年間ですべて解決させようなどというのは、これは大変知事、失礼な話じゃないかなと思うんです。
橋本総理は、知事が感謝もしている、恩義も感じていると言っているように大変努力をして2カ年間で国民的謝罪までして物事を解決しようという努力の跡が見られるわけです。
ですから国が、あなた方がやったんだろうと、基地をなくするのはあなた方のあれじゃないかということで百点満点でなければだめだというような形で橋本さんを責めるというのは、私は17回もにこにこしながらいろいろ県内移設の話もあっただろうに、黙って聞いてノーとも一切言わないで、じゃ振興策はこうしましょうね、何はこうしましょうねと、島田懇ではこうしましょうねといろんな話を進めてきた知事が、最後に、私は最初から反対だったということで反対するというのは、私はやはり後足で砂をかけたような感じがするんですが、その点どうでしょうか。
それから、仮に知事の言うことが正しいとしても、橋本総理が知事に対して片思いをしておったのかどうかですね。知事はもううるさがっていたにもかかわらず、知事を信用して片思いして、そしていろんなことをやって上げた。これは橋本総理が間違いだったのかどうか、それもお聞かせ願いたいと思います。
それから、所信表明で海兵隊の削減をおっしゃっておりますけれども、日米両政府はできないという旨県に回答済みであると私は思っているんですよ。日米両政府はそれはできませんと、現時点でできませんというふうに回答済みだと私は聞いております。
そうしますと普天間基地は凍結されてないという先ほどの知事の発言ですが、実質上、一から出直さなければいかぬという意味では、それは普天間基地はいずれは返りますから、いずれは返りますけれども、今第1段階、第2段階として進めていくときには、SACOの合意を帳消しにしたわけですから、その意味では普天間基地の凍結というのは当面あるというふうに考えるのが普通じゃないのかとこのように考えておりますが、これについてお聞かせ願いたいと思います。
そしてこのことについてでありますけれども、先ほどあめとむち論を私は申し上げました。知事は名護市に関しては、海上ヘリポートはあるけれども、いろいろ名護市が勘案して考えることだから名護の判断を待ちたいという意味の中には、これは当然名護市の振興策以外にはないんですよ、名護市民が判断するのは。
知事がもともと反対だったらもともと反対と言えばよかったんだけれども、名護市にそれをどうぞ考えてくださいと投げたのは、海上ヘリポート基地を受け入れるために振興策というものがあるはずだから、それを見て名護市の発展に必要だというんだったら、皆さん方、それで考えてくださいよということで投げたという意味では、知事、これはあめとむち論の知事自身が名護に投げかけた理屈になりやしませんか。これを改めてお聞かせ願いたいと思います。
そしてあめとむち論と違うので勘違いしているのが普天間の跡地利用の問題なんです。
これは普天間は反対をして、その中で普天間が海上ヘリポートとして変わっていもそういう中で普天間の跡地利用をするために国際都市形成構想もリンクされているわけです。ですから普天間が返らなければ、これは、これこそその意味ではリンクをせざるを得ないわけで、普天間が返らないのにここに振興策ができるわけないんですよ。おどしでも何でもないんです。
普天間があるのに、何で振興策がそこでできるかという問題について知事は誤解をしているんじゃないかと。あるいは県民を無理にそういう形で持っていこうとしているんじゃないかなと、県民の考え方を。これは私は大変不思議な感じを抱くわけです。
これはあめとむちではありません。振興策というものが知事がつくった国際都市形成構想の中で当然リンクされてあるわけです。ですから自由貿易地域の拡充も普天間の返還がなったときにそこでの退職者が出てくる。そういったものを自由貿易地域でそういった雇用も促進しようということで法人税あるいは投資税減税もやられるようなものが出てくるわけですよ。
これはこうしないとこうですよということじゃなくて、返ったらこうしなければいかぬなという話なんです。
しかし、知事のそういう普天間の凍結は聞いたことがないなどというような強弁、へ理屈でやられると、知事が反対表明をしたことによっておくれたことは間違いないんですよ。だから内容も変更することは間違いないんです。
そうしますと、沖振法改正案が閣議決定もいたしましたけれども、この内容はこれから幾らでも形骸化される可能性もありますし、魂も入れていかなければならぬという重要な部分がありますので、この跡地利用に関しての振興策はリンクなしでできるんですか。基地は残っても振興策はそこにできるんですか、お聞かせください。
それから知事は、県内移設についてですけれども、反対だということになったわけです。私はシーメンズクラブの話をさせてもらったんですが、去年3回ほど私はシーメンズクラブということで民間の地域からどかして基地内に統合したと。こういう方法が私はこれからの県内移設の問題で示唆を与えるんじゃないかという話をしておりましたけれども、今回の反対表明はある意味でオール・オア・ナッシングですのでシーメンズクラブの手法はもう放棄したと考えていいですか。
これは例外的な一つの知事みずからの行政ミスでけがの功名でできたものだと考えていいのかどうか、これもお聞かせ願いたいと思います。
それから西田議員と同じ質問になりますけれども、新聞に振興策は要らないという形で記事が載っておったんです。
私は総務企画委員会で赤嶺部長にもお聞きいたしました。こういうのは産業界、経済界が震憾するんで、本当にびっくりしておりましたから、あなた方、打ち消したのという話をしましたら、打ち消してありませんしそのまま記事のままにしてありますと言っているんですよ。
後でそういう話を聞きましたら、皆さん方の言っているのは、普天間の移設については民意の尊重、基地のない平和な沖縄の原点からして振興策について不安、懸念もあるが、不安、懸念というのは恐ろしいことなんですけれどもね。これを事もなげに述べているんですけれども、不安、懸念もあるが、移設反対で全員一致で意見集約したとあるわけです。
それから言いますと、見ようによっては振興策は要らないという形で新聞記事に出ていく。これも当然その脈絡はないわけではないわけですよ。
そういう意味で、新聞等に出たら皆さん方の責任としてこれを打ち消すのが当たり前じゃないですか。何も打ち消しもしないで抗議もしないでそのままほったらかしにする県が、所信表明で「自立する沖縄」というような形で書きますとブラックユーモアですよこれは。
こういう振興策について不安も懸念もあるけれども、自立する沖縄を目指しながら振興策をしっかりやっていきたいというようなものは、私からするとブラックユーモアにしか感じられませんが、どう思いますか、お聞かせ願いたいと思います。
それから、もうさっきから知事が言うのは私からすると本当に情けない感じがするんですが、知事の発言を追っていきたいと思います。そうじゃないと検証ができません。
SACOの合意ですね、中間報告に知事はこのようにおっしゃっているんです、記者会見で。県内の移設がどのような形になるか、何とも言えない。より望ましいのは無条件返還だが、厳しい情勢の中でそれを県が望めば普天間基地の返還は実現できない。だが、なぜ普天間基地の返還かについては、普天間が町のど真ん中にあり人命の危険への懸念が強い。その懸念を解決できると中間報告で言っているんですよ。
それからその3日後、基本的には日米両政府が危険度の高い普天間飛行場や県道104号線の問題など沖縄側の意向を取り入れる形でやってもらったことは素直に感謝したい。移設条件つきに応じられないということが通るような状況ではない。県が精魂を傾けてやってきた以外の方法があるのか、県民の安全と暮らしを守るためにやってきたと。このように、これも知事の発言です。
それから最終報告、平成8年の12月2日、これらの土地の返還が実現すれば、復帰後これまでに返還された土地面積を上回る在沖米軍施設面積の約21%相当が返還され、また県が提示した基地返還アクションプログラムで第1期に返還を求めている施設のほとんどが返還されることになり、評価するものであります。ともあれ今回の最終報告は、21世紀に向け県が策定した国際都市形成構想の推進を図るための第一歩として考えていますと言っているんです。
こういうことを言っているんですから、これが崩れるということは第一歩もなくなったわけですよ。
なお、県内移設の問題は第一義的には国と関係市町村とが話し合って解決すべきと考えていますが、県としては今後関係市町村の意向も踏まえながら、県の国際都市形成構想の課題を勘案しながら総合的発展を図る観点から慎重に対応していきたいと言っているんですね。
それから平成8年12月10日県議会答弁、県は日米両政府に対し米軍基地の撤去をこれまで要請してきたが、県の対応としてオール・オア・ナッシングでは問題を解決することはできない。この問題については、一義的には国と関係市町村とが話し合って解決すべきであると考えていますが、今後県としましては関係市町村の意向も踏まえながら、県の国際都市形成構想の課題を勘案し、同じ総合的観点とあります。そして本県の広大かつ過密な米軍基地の整理縮小は県の一存でできるものではない、日米両政府の決定にゆだねられているのが現実でございますとありまして、先ほど西田議員にアメリカはこう考えているけれども、沖縄県にはこういう考え方があるんだと強弁しておりましたけれども、知事は平成8年12月10日では県の一存でできるものではないと言っているんですよ。おっしゃっているんです。
日米両政府の決定にゆだねられているのが現実と言いながらですね、事ここ反対表明をするところまで来ましたら県には県の考え方があるんだ、アメリカが言ったからって私たちは県の立場でやるんだという、こういうことをどんなにもしゃべるんですよ。だから私は一貫性がないといつも言っているんです。
それから平成9年2月14日、必要な段階では関係市町村の意向も踏まえながら、国際都市形成構想の課題を勘案し、県の発展を図る云々としまして、日米両政府が沖縄の基地問題に積極的な姿勢を示しているこの時期に基地問題の解決に向けて一つ一つ着実に前進させたいと。
それからその10日後、例えば一つ一つ着実に実らせていくというのはシーメンズクラブの例をごらんになったらいいと思います。一時的にシーメンズクラブは仮設として今、那覇港湾が返還されるときにはそれも撤去するということを覚書を交わして仮設的なものに移してございますので、この種の方策というのを別の基地においてやれる可能性はないかとまで述べているんですよね。
それから平成9年7月2日、いろいろ動きが出ておりまして、その地元という場合に例えばキャンプ・シュワブが設置されている、あるいは新たな基地が予想されているところ、その辺野古地帯を指すのか、それともそれを含めて名護市という市を指すのか、これは市がどう判断をされるかということに、当該市長がどういう判断をされるかということじゃないかと思いますと。例えば市長がどのように市民の意見をまとめるか、それは市の判断だと思いますということも述べております。
そして平成9年11月7日、もう少しで住民投票が近づいてくるときです。普天間飛行場は当然その一番懸念している、心配の種になっている飛行場だから、そういう問題も含めて那覇軍港の問題なんかも国際都市形成構想をする場合に今のままでいいのかという問題をみんなでどうすれば解決するかということをきちっと考えるべきときが来たということを言っているわけですと。
それから12月11日、市民投票の10日前です。やはり県としては名護市の判断も勘案し、必要な段階では……、同じ文章です。
それから当日12月21日、これはもう投票を終わった後です。県としては今後、今回の市民投票の結果を重く受けとめるとともに、名護市の意向等も勘案し、県の総合的発展を云々という形で出てきたわけです。もう当日まで名護市長の判断は考慮に入れたいということになっているんです、知事の発言は。
ところが年を越して比嘉前市長が政治家らしいしっかりとした判断を示した後、これからが知事は変わってくるんです。名護市長は投票結果とまるで反対の判断をした。民主主義をないがしろにするものとの批判もある。民主主義のルールとして投票結果を尊重するのは条例でうたわれていること、結果を尊重することは民意を反映する大事なことだと言っているということでがらーっと変わってきました。
その中で、今までは各市町村長の意向と、それから国際都市形成構想を勘案すると言っていたものが、何とたくさん出てきたんですね。
名護市民投票の結果はまずいいとしても、各種団体等の意見、それから県政運営の基本理念、県議会の問題とかいろいろ出ております。
その中でこの環境問題ですけれども、知事は国が環境問題で問題ないよというものを出したときに一言も話ししてないんですね。海上ヘリポートは自然環境への影響が強く危倶されるとの知事のコメントであるが、国から海上ヘリポート案と現地調査結果報告書を提出し環境保全に最大限配慮する考え方を説明しているが、県から問題の指摘は一切なかったんです。
突然1月10日に審議会を開いて、あそこはどうだこうだというまるで反対表明をするためにとってつけたかのように環境問題を取り上げてきているんですよ。ずっと言ってきてないことを突然言うんです、ことしに入ってから。
それから県議会の話も今までなかったけれども、県議会もその話になっております。
84団体の意見は、先ほど申し上げたようにその内容に大変不明瞭な部分がある。そして知事の発言は名護市長の判断を最大限尊重したいとしてきた。そしてまたこの投票日の当日まで、結果がわかるまでそのような話をしておったのが、年が変わってから変わったんです。
このように知事がどのように基本的に私はもともと反対だと言っても、このような形で文章をつなぎ合わせるといかにいろいろな場面で現実的対応をしたいとか、こういうことでなけれぱ県は解決できないんじゃないかと、ここでも与党に強く言っておったじゃないですか。ずっと知事は基本的に反対でとんでもないといった話をしたわけじゃないんですよ。
そういった県議会の答弁を聞きながら、橋本総理は17回の会談をしながら、大田知事はそうかこういう考えを持っているのかと、それじゃその上に立って経済振興も全部やっていこうじゃないかという、それが信頼関係だと言っているんです。
知事はしかしながらこの問題が今までなかったかのように、ああ何で沖縄県の問題は沖縄県が考えるんであって、アメリカとか日本から言われる筋合いはないなどと今さら言ったって遅いんですよ。そういう発想だから名護市をあのように二分したんです。けんかさせて、そしてその後、私は最初から反対だったと、沖縄県の最高責任者お父さんが子供たちをけんかさせて、結論は私は最初から持っていましたと言っているようなものです。その意味では名護を二分させた。
それから石垣も宮良牧中が出てきてから保革の対決になったんです。それまでは9対1で賛成派が多くて、白保の住民が環境保護問題で反論しておったんです。ところが宮良牧中に持っていった後、新石垣空港問題で石垣市民は保革に分かれて闘うようになったんです。
知事は前に反省しておりました。県民の心を一つにすることができないのが私の責任かな、足りないところかなと言っておりましたが、それはまさしくそういうことで、むしろ2つに割って歩いているというふうに考えるわけですが、これについても知事の考え方をお聞きしたいと思います。
以上です。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 再質問にお答えします。
まず、名護市の住民投票が沖縄全体の意見かという趣旨の御質問でございますが、そうでないことは常識的にも言える点だと思います。だからこそ名護市の意見を踏まえた上で、県は県の立場から総合的に必要な段階で判断を下しますということを申し上げた次第でございます。
それから橋本総理との信頼関係について、橋本総理を責めたとかという趣旨の御発言がありました。さらに後足で砂をかけるというようなことがございましたけれども、これはいささか不穏当な表現だと思います。総理に対して後足で砂をかけるというようなそういう気持ちはみじんも持っておりません。絶えず誠意を尽くして沖縄の実情を率直に申し上げている次第でございまして、総理との関係についてはできるだけ信頼関係を保って事に当たりたいと考えております。
それから、総理に対して知事が片思いをしていたのかという趣旨の御発言もありますが、これも今申し上げましたように双方が、総理は総理の立場、知事は知事の立場で率直に意見を交換し合い、できるだけ双方が納得のいく形で、それも双方というのは知事個人ではなくて、沖縄の場合は知事が代表する県民の立場でございますので、そこは御理解いただきたいと思います。
それから、所信表明で海兵隊の兵力削減の問題について言ってないが、政府側は正式にそれはできないと言ってきているんじゃないかという趣旨の御発言かありましたけれども、正式には承っておりません。
新聞報道では、政府の立場として直ちに兵力の削減を言う立場にはないという趣旨の報道を読んだことがあります。
しかしながら、先ほども申し上げましたように沖縄にいるアメリカ軍の主要な部隊というのは海兵隊でございまして、その海兵隊の基地面積は沖縄の米軍基地面積の、私の記憶に間違いがなければたしか75%程度いっていたと思います。兵力から言いますと60%程度いっていると思いますので、その海兵隊の削減をアメリカ側にお願いして、もしそれが聞き入れられれば基地の県内移設とかそういうことはやらずに済むという立場から絶えず申し上げておりまして、それも繰り返し申し上げておりますようにアメリカ政府の内部からも、それから軍事評論家とか学者の意見でも海兵隊の削減は可能だというようなことは言われております。それからアメリカの議会の内部からも初めてですけれども、海兵隊の削問題について発言が出ておりますので、そういうことについてはぜひとも希望を抱いて繰り返し繰り返し要請をしていきたいと思います。
それから、普天間の凍結の問題についてでございますが、先ほども申し上げましたように普天間の問題を凍結するとは伺っておりません。私が懸念しますのは、普天間が非常に危険な状態であって、そこで人命にかかわる事故が起こると非常に困った状況になりますと。そして日米の友好関係にも傷をつけることにもなりかねませんから、この問題はぜひとも解決してくださいというふうに申し上げているわけでございます。
それから、名護市に判断をゆだねたのがあめとむちの手法を用いているんじゃないかという趣旨でございますけれども、いかなる意味においてもそのようなあめとむちを用いて名護市に判断を強いるようなことはやっておりません。
それから、普天間が返らないと国際都市形成構想の振興策がだめになるんじゃないかという趣旨のお話でございますけれども、若干申し上げたいと思います。
国際都市形成構想を具体的に展開しその機能を担う拠点を形成するためには普天間飛行場などの基地返還跡地は貴重な空間であります。普天間飛行場の早期返還の必要性については、日米両国政府ともにひとしく認識しているものと理解しており、引き続き早期返還を強く要請していきたいと考えています。
なお、国際都市形成構想においては那覇空港や那覇港を中心とした交通・物流ネットワーク拠点、宜野湾市を中心とした技術協力・国際交流拠点、南部地域の平和交流拠点、中城湾港を中心とした産業技術交流拠点、名護市を中心とした自然交響都市拠点など県全域に特色を生かした12の拠点を配置し、適切な機能分担と地域連携が図られるよう計画しています。
このようなことから取り組みが可能な拠点形成を先行して進め、国際都市として全体が一体的に機能できるよう推進する考えであります。したがいまして国際都市形成構想の変更は必要ないものと考えております。
それから、シーメンズクラブの例を挙げていたが、その考え方は放棄したのかという趣旨の御質問だったと思いますけれども、SACOの、これは主要な柱と言われている普天間問題は現状のとおりでございますけれどもぐほかの部門についてどのような形がとれるのかということで鋭意市町村の御意見等も伺いながら一つ一つについてきめ細かく検討を進めている段階でございます。何とかして基地の整理縮小に向けて実らせていきたいと必死になって取り組んでいるところでございます。
それから、振興策は要らないと言ったという趣旨の御発言でございますけれども、これはせんだっても申し上げたと思いますが、全くそういうことではなくて、行政を預かっている県のスタッフが日常的に政府とあらゆる問題について折衝しているわけでございますけれども、今回もし県の政策が政府の政策と必ずしも一致しないような状況になると、これから県のスタッフが政府と交渉する場合に実際問題としては非常に厳しい状況になるし振興策の問題についてもひょっとして難しくなるかもしれないが、そういうことも踏まえて判断してくださいということを申し上げているわけでございまして、振興策は要らないということを行政の人がそんなことを言えるはずがございません。
それから、振興策と基地の問題についてブラックユーモアじゃないかという翁長議員の個人的な御意見がございましたけれども、この基地問題というのはブラックユーモアという言葉で表現できるようなそんな生易しい問題ではなくて、文字どおり非常に深刻で複雑で解決困難な問題でありまして、だからこそ県議会も執行部も一体となって、経済界も民間も一体となって基地の整理縮小というのを政府に強く要講する必要があると考えるわけでございます。
それから、SACOの問題について県はタッチしていないと、しかし先ほどの西田議員の御質問については県は県の立場があるということを言ったのはおかしいじゃないかという趣旨の御発言がございましたけれども、SACOというものの決定については、これは政府と政府のつくった組織でありまして、県は全くそれに関与できないようになっているわけですね。しかしSACOで決定された例えば移設案とかというものが、現実に県民の側に不利益を与えたり生命に危険をもたらすようなことがありますと、これに対して知事としては県民の生命と暮らし、財産を守るという立場から当然県の立場というのを申し上げる責任を負わされているわけでございますから、そこは知事として政府に対して誠意を尽くして沖縄の事情はこうですよということを申し上げるわけでございまして、その点は御理解いただきたいと思います。
それから環境問題について何も言わなかったと、それから県の環境審議会の方の意見が故意に間に合わせ的に出てきたじゃないかという趣旨のことがありましたが、全くそんなことは考えておりません。
そういうことではなくて、長年にわたって審議をしてきたのが結論がたまたまその時期に出てきた。それからアセスの問題というのはこれは今非常に重要な問題ですので、政府としても一応のことはやったけれども、もしそこに設置すると決まったら環境アセスはきちっとやるというようなそういうお話だったわけでございます。ですから今の故意に審議会の意見を持ってきたということはございませんので、御理解いただきたいと思います。
それから、最初から反対と言って名護を二分させたとかという趣旨の御質問がございましたけれども、そうではなくて、県の基本的な政策として基地返還アクションプログラムと産業創造アクションプログラムというのをつくりまして、そして2015年までには何とかして基地のない平和な沖縄をつくろうということで具体的に3期に分けて計画を立てているわけです。その場合に基地を抱えている市町村が本当に基地問題についてどういう態度をとるか、未来に向けてどのような考え方をするかということはこれはきちっとそれぞれの基地を抱えた市町村が議論をしていただいて、そして基地問題に係る例えば地主の不安の問題、雇用の確保の問題、それから過去半世紀にわたって基地を抱えている市町村の財政に構造的に組み込まれている基地収入の問題、こういう問題についてそれぞれの市町村当局がどういう対応を示していくかということは県の我々にとっては非常に重要なことでございます。
ですから、そういう意味も踏まえて当該市町村がどのような対応をとるかということは、県が先ほど申し上げた2015年までに基地のない平和な沖縄をつくっていこうとする際にぜひとも必要なデータでございまして、判断材料になりますから、そういうことを含めてこの際しっかりと基地問題について考えていただきたいということでございまして、決して市民を二分させて苦労させるということを意図的にやったわけではございませんので、御理解いただきたいと思います。
残りの質問につきましては関係部長から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) ヘリポートに関しまして知事が反対をした要素の一つとして84団体の方々の意見聴取の件がございまして、その件について翁長議員の方からお聞きでございますのでお答えします。
まず1点目の理由ということでございます。これにつきましては限られた時間内で県内の各界各層の意見をより公平に聞くというふうな観点から任意にそういうものを選定をさせていただいたと、そういうことでございます。そして原則として各団体の上部組織を中心にさせていただいたということでございます。
それから、これは世論かというふうなことでございますが、これがすべてを代表する世論というふうにはいかないと思います。しかしながら、一つの考え方としてそういうものは参考にできるのではないだろうかという観点から意見聴取をさせていただいたところでございます。
それから、名護市はなぜやらなかったかということについては、これまでも申し上げましたとおり名護市自身が、市長自身がこれについては進めるというふうなこともございましたので意思がはっきりしていたということになります。
それから漁協の問題につきましては、先ほども申し上げましたように上部団体の水産業協会を代表して聞かせていただいたというふうなことでございます。
それから10団体の追加に関しましては、時間内で私たちとしてはいろいろ70余りやりました。しかしながら中間的に見ましたときにより広い団体を拾う必要があるという観点から後から追加をさせていただいたということでございます。
それから、どのような聞き方でやったかというふうなことでございますが、ある意味で非常に沖縄の将来を決する重要な問題でありますので、ぜひその辺のところは率直にその辺に持ってくるべきなのか、それとも別の方策を考えるべきなのかと。場合によってはそういう結果次第では沖縄の振興策にもいろいろと影響があることも考えられますと、そういうふうなことで総括的なことを踏まえてぜひ御判断をいただきたいという形でお聞きをさせていただいたということでございます。
それから市長会、町村会の意見かということでございます。
この辺はいろいろ微妙なところがございまして、組織にかけていないのでそのおつもりでぜひお聞きになっていただきたいというところも何力所かありました。
そういうことで、私たちもそういうことを伺いながら意見を聴取させていただいたというところでございます。
それから、団体の意見を公表すべきだというふうなお話は記者の方からもいろいろございました。
これについては、私たちが各種団体から意見を聴取いたしましたのは、海上ヘリポート基地建設問題への県の対応を決定する際の一つの判断材料にするためでございまして、県内部の調整のための資料であるというふうに判断をしていることでございます。そして意見聴取に際しましては相手方の思想信条の問題に配慮し公表しないというふうな方針で臨んだものでございまして、先方の立場を尊重する観点から公表は控えさせていただく方がよいというふうに考えているわけでございます。
また、当該団体との将来に向けての協力関係や信頼関係、こうしたものを維持していく上でもその公表は好ましくないと考えておる次第でございます。
それから、1団体として不公平感があると、大きい、少ないがいろいろあるじゃないかということもあります。
確かに那覇市と、あるいは小さなほかの市町村とは同じように扱うとか、あるいは大きな組織と小さな組織と一緒に扱うのはどうかというふうなこともあろうかと思いますが、我々としてはそういうものも含めて一つの団体として参考にするために公平に意見を聞かせていただいたということでございますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
公開条例のこともございましたが、私たちとしてはこれについては公開条例には該当しないのではないだろうかというふうに理解をしているところです。
以上でございます。
○翁長雄志君 答弁漏れ。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後2時1分休憩
午後2時3分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えいたします。
振興策は要らないと言ったという報道されたことについて打ち消さなかった責任はどうかということですが、マスコミ報道は時間的な制約とかいろいろなことでときどき事実に反することもありまして、これが非常に重要なときにはぜひとも訂正をしてもらうようにやりなさいということを指示を絶えずやっておるところでございます。
それから、基地問題の解決についてのこれまでの手法を変えた責任はどうかということでございますけれども、基地問題は先ほど来申し上げているように非常に複雑で解決困難なものですね。ですからこれは県民が一体となって本当に沖縄の基地が要るのか要らないのかということを議論していく必要もあるし、県議会でもいろいろと決議をされたわけですよね、満場一致で。
それで、それに対してどういう行動をとられるかということについてはやはりそれぞれの場面場面で必ずしもそのとおりにはならぬときもあるわけなんです。ですからただそこは誠意を持ってこの基地問題を解決したいということで、どういう手法を講じて本当に解決できるかということを心底から悩みながら何とか解決に向けていこうということで県のスタッフは必死になって取り組んでいるわけですよ。そこをぜひ御理解いただいて、サポートしていただくときはきちっとサポートしていただいて、そしてやっていただくともっと解決は早いと思います。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 先ほども申し上げましたが、私たちが意見を聞く際に時間がなくて粗織には諮ってないけれどもというおつもりでお聞きになっていただきたいということも二、三ありましたと。そういうことも含めて結果については処理の中に含まれているというふうに御理解いただきたいと思います。
○翁長雄志君 議長、答弁漏れ。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後2時4分休憩
午後2時5分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 特にそれについて記録はしておりませんそういうふうな話を聞きながらそういうことはやっていったということです。
○議長(友寄信助君) 翁長雄志君。
〔翁長雄志君登壇〕
○翁長雄志君 こういう内容だから情報公開ができないんですよ。いかに大田知事が県民世論をベールに包まれた中で誘導してきたかということが今回の意見聴取の中でもはっきりわかったと私は思っております。
先ほどのそういった発言も2カ年間現実的対応をしてくるんだという話をしながら反対表明をしたということは、2カ年間の自分の基地政策を進めるのが失敗したということじゃないですか。これを住民も理解させることができなかった。県民も理解させることができなかった。だから必然的に反対表明に追いやられた2カ年問の現実的対応は知事の政策の一番の失敗ですよ。それを認めてください。よろしくお願いします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 知事の政策が間違っていたか、間違っていなかったかは県民の判断にまちたいと思います。
○議長(友寄信助君) 渡久地 健君。
〔渡久地 健君登壇〕
○渡久地 健君 自民党を代表して代表質問を行いたいと思います。
その前に、きょう朝から我が自民党の代表質問の中で知事の答弁を聞いておりますと、民意の問題が盛んに問われております。政治家が重大な決断を迫られたときに民意を問うことに、心の底では負託された責任を回避しようとする心理が潜んでいます。私はこう決断したいがいかがであろうかと問うことは信任を問うことだが、決断する前に問うことは責任回避に等しい、そういうふうに思います。
私は、過去の議会においても西洋の政治学者の提唱している政治家としての必要な資質に3要素があるということを引用してきました。
その1つが政治的責任、つまり結果への責任と道徳的責任、心理的な責任とを峻別する能力、2つ目が状況を予見し洞察する能力、3つ目が指導者たることへの情熱、ただし最高責任者の地位に身を置いた場合、指導者たることへの情熱と政権維持への執念とは善悪紙一重とも言われております。
私は、現在の大田知事にその3要素が欠落しているんじゃないかと思います。先ほどからの代表質問での指摘があるとおり、普天間飛行場の返還に伴うこれまでの基地問題に対する知事の態度には心情的な責任のみを表に出して、みずからの政治的責任を回避しておりまして、この問題の状況を的確に予見し、そしてまた洞察することができず、知事としての行政の最高責任者でありながら指導者たることへの情熱が欠落し、知事3選へ向けて政権維持への執念に傾いているからであります。
今回の所信表明も総花的で厳しい財政事情と日本政府との信頼関係が今まさに崩壊しようという危機にありながら、緊張感や危機を打破していくという情熱が感じ取れないからであります。
質問通告に従って質問いたします。
まず第1に、この所信表明の中で自立する沖縄をつくることをこの1年間の課題であることを強調しております。しかしながら本県は、御承知のように自主財源が全国最低の約2割のまさに依存財源に頼っている実態で、知事は何をもって自立する沖縄を位置づけるのか。先ほどからありますように高率補助あるいは振興策なくして沖縄の自立があるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
2つ目に、昨年の所信表明では橋本総理に対する一定の評価とそれに伴う沖縄に関する基本政策を協議する政府の機関としての沖縄政策協議会や米軍基地所在市町村への活性化に向けた内閣官房長官の諮問機関であります沖縄懇談会に対する評価と協調姿勢がうたわれていましたけれども、ことしはその辺がすべて無視されておりますけれども、先ほどから答弁は聞いておりますけれども、政府との信頼関係について知事の御所見を伺いたいと思います。
普天間飛行場の返還を前提として重点的に計画している国際都市形成基本計画がございますけれども、これについては先ほどから2人の代表質問で同じ答弁をしておりますので答弁は要りません。
しかしながら国際都市形成構想と基地返還アクションプログラムは表裏一体のものだったと思うんです。そして那覇軍港と、あるいは普天間飛行場の返還がその前提として国際都市形成構想のスタートだったんじゃないかというふうに思いますけれども、その辺について今後とも追及していきたいと。もう答弁は同じ答弁ですので要りません。
4つ目に、知事は県内経済の見通しで公共投資も前年度並みの水準を維持している云々、また民間需要も次第に伸びてきているものと考えることから、県内景気は徐々に回復の動きを強めていると述べておりますけれども、御承知のように県内景気は現実的問題として公共工事依存型の体質であり、県内総生産に占める建設業の割合も3.9%、これは全国平均が9.5%ですからいかに建設業の比重が大きいのか。そしてまた公共工事が全国一律にことしは7%カットされましたけれども、本県は4.3%カットにとどまっております。しかしながら歳出の投資的経費が11.3%のカット、補助事業で8.6%、単独事業に至っては26.6%去年に比べてカットされております。
このような状況の中で、この予算との整合性の中で果たして景気回復が望めるか、予算との整合性についてお伺いしたいと思います。
2つ目に、行財政改革についてでございます。
昨年、「行財政改革元年」と位置づけて、この1年間どのような取り組みをし、どのような成果が上がったのか、具体的な数字で示していただきたいと思います。
今年度の予算は超緊縮型となっており、借金である地方債は年々ふえております。預金である基金を食いつぶしており、民間企業であれば倒産は時間の問題と言わざるを得ないと思います。数年前から指摘されていながらこれまで何を行財政改革として取り組んできたか、甚だ疑問を感じておりますのでよろしくお願いします。
2つ目に、地方債の今年度末の見込み額、借金の見込み額、そして今の予算の中での平成10年度末の予想額、そしてこれが財政全般に及ぼす公債費の影響について、特にこの公債費の返還については最も厳しくなるのは大体いつごろであるのか、それについて示していただきたい。
3番目に、財政調整基金、減債基金及び県有施設整備基金の取り崩しでどうにか予算が編成されておりますけれども、これまでの基金の推移と今後の見通し、そしてまたその対策についてどうなっているのか、示していただきたい。
4番目に、自由に動かせる金の指標となる財政力指数の数値が高ければ高いほど財政力が豊かなことを示しますけれども、本県の財政力指数はどの程度であるのか、過去の状況と今後の傾向の見通しについて示していただきたい。
5番目に、財政が厳しい状況下で特に自己財源の確保が行政の重要な職務であるということは言うまでもありません。歳入に占める自己財源の割合も平成7年度で22.4%、全国最低であります。全国平均の48%の半分以下、年々その割合は低下
しております。
収入未済額や不納欠損額が年々ふえる傾向にあると思いますけれども、財源確保のため本当に県政はどのような施策を展開し、どのような効果が上がっているのか、示していただきたい。
平成8年度の決算特別委員会で、教育委員会の収入未済額はゼロであると教育長の方から答弁がありました。一般会計全体では6億5287万7000円の前年度よりも12%も収入未済額がふえております。
不納欠損額では3億4915万9000円となっております。これはもう取れない金でございます。
教育委員会でも高校の授業料等もあるし、中退者も出てくる中で、徴収方法に県税であるとか、あるいは県営住宅の使用料とか等、それから教育委員会の徴収方法に違いがあるのか、その辺を示していただきたい。
そして、徴収率において全国ワースト3と言われている。全国的に見てどういうような状況にあるのか、示していただきたい。
6番目に、予算編成において昨年度までは15%をカットするというシーリング方式をとっておりました。今年度は経常的な経費を中心に徹底した見直しを行い、限られた財源を新たな産業経済の振興や雇用の拡大など優先的な政策課題に重点的に配分するというキャップ方式を採用しておりますけれども、これでは具体的な節減額が不明でありますし、優先的な政策課題の基準が不透明であります。それに移行した理由及びメリット、デメリットを示していただきたい。
7番目に、人件費の占める割合が年々過重の負担となっております。今年度は当初予算に人事院勧告分と勧奨退職金の補正分を加えると歳出に占める割合が36.5%、全国的にも一番高い水準になっております。
大阪府は、経常収支比率が5年連続ワースト1ということで財政の健全化を目指して2001年から6年間で1000人の職員削減、2年間の定期昇給停止などを示しております。横山知事みずからが苦渋の決断で、危機的な財政状況では職員も痛みを分け合う必要があると言っております。大田知事は人員削減、給与改定凍結等の抜本的な対策についてどのようなことを考えているのか、示していただきたい。
8番目に、管理職の数及び割合は九州一だと言われ、最も高い水準を示しております。その実態を示していただきたいんですけれども、しかしながら知事部局、教育庁、あるいは県警本部の中ではバランスがとれていないということも言われております。つまり知事部局には甘く、県警には辛いというふうなことも示されておりますけれども、その実態について果たしてバランスがとれているのかどうか、それを示していただきたい。
ただし、そのときには当然出向職員の役職者はたくさんいますので、出向職員も含めた役職者の数と人員の割合を示していただきたい。
9番目に、出向職員が隠れ定員、隠れ人件費として問題視されているけれども、県の外郭団体への出向職員は現在一体何名いるのか、県条例で定めた定数4570名と、知事部局の職員と出向職員を加えた比較はどのようになっているのか、示していただきたい。
10番目に、外郭団体の実数と全国6位と言われている職員数の実態、それが県の財政に及ぼす影響と今後の整理統合の方針について示していただきたい。
11番目に、行財政改革ワーキンググループを2月1日で財政課と人事課によって発足しているという報道がありました。しかしながら実効性ある行革というのは、トップである知事の決断と目標値の設定が一番重要であります。その方針を決めてから作業に取りかかるのが最も効果的だと思います。通常の業務はトップダウン方式でくるんですけれども、これはボトムアップでは決してできません。これこそまさにトップダウン方式で行財政改革は行われなきゃいけないものと思いますけれども、それに対する考え方を示していただきたい。
3つ目に、北部振興策についてでございますけれども、橋本総理は昨年11月の沖縄復帰25周年記念式典の式辞で、「沖縄の地域振興を考えるに当たり、県土の均衡ある発展に目を向ける必要があります。豊かな自然を有し、大いなる発展の潜在的可能性を有する北部地域の振興は、政府にとっても積極的に取り組むべき課題であります。」と述べて、現在、国立高等専門学校の設置、NTT番号案内センター、そして3つ目に北部の水と緑の観光の地域づくり等の振興策について、その実現に向けて作業が進んでいるものと思います。北部振興策についての知事の所見と今後の取り組み
姿勢についてお伺いしたいと思います。
4番目に、基地返還等要請訪米についてでございます。
知事は、平成3年から初めて訪米し、平成4年を除いて毎年訪米し、これまで6回、延べ人数にして52名、延べ日数にして82泊88日、総経費1億264万円となり、知事の訪米は毎年定例行事となっていることに対し、どのような成果が上がっているかと疑問視する県民の声が出ております。
海上ヘリポート問題にしても、知事は一義的には国と名護市の問題とし、その責任を回避してきた政治スタンスから見ても、むしろ基地返還は国と国との問題であるならばアメリカに直訴するよりも日本政府に要請することが大事だと思います。
この期間中において知事は、平成3年度から日本政府に対してどのような要請を行って、延べ回数で何回、延べ日数、それから総経費については幾らかかったんでしょうか。
また、現在の厳しい財政の中でアメリカ政府も普天間飛行場の移設は海上ヘリポート以外には考えられないと、そういう政治スタンスをとっている中で、何で今ごろ2476万円の費用を使ってことし4月から5月にかけてこのような予算で訪米する必要があるのか、何の効果を求めて訪米するのか、それについての御所見を賜りたいと思います。
2つ目に、平成9年2月の東門副知事ほか12名の女性グループの訪米、費用は1394万円、平成9年3月、学者10名の訪米、費用は1174万円、平成9年9月、基地関連労働者等雇用対策調査団17名の訪米、988万円について県民から疑問の声が上がっております。
その目的は一体何なのか、その人選方法はどういうふうに決めたのか、そしてまたどのような成果が上がったのか。特に基地問題の関連の労働者の雇用対策調査団は連合沖縄と全駐労の中から選ばれております。そして基地間題の跡地利用であるとか、雇用対策をするのであればどうしてアメリカ本国に行く必要があるのか。つまりフィピンのスービックの跡地を調査するんだったらわかるんですけれども、アメリカ国内の問題であるのにどうしてアメリカに行く必要があったのか、その辺のことを明確に答弁願いたいと思います。
5番目に、沖縄振興開発特別措置法の一部改正について。
これについては、去る13日に閣議決定され国会に提出されておりますけれども、1つ目に、特別自由貿易地域内に適用される法人税の実効税率は現行の37.5%から、これは大幅に県要望よりも15%も引き下げられ22.4%となって大きな前進であると思います。
特別投資減税については、県要望の3分の1から6分の1に絞られておりますけれども、いずれにしてもこのような優遇制度は今後企業誘致のためのインセンティブとなると思いますけれども、それに対する評価と今後の課題について知事の御所見を賜りたいと思います。
2番目に、今回の改正案は優遇税制等の骨格を示しただけでありまして、例えば特別FTZへの入居状況、あるいは関税の対象品目、免税店(デューティーフリーショップ)の取扱品目、設置場所など具体的な中身は法案と同時に審議制定される政令や省令で定められる実施細則で規定されると思うんですけれども、これに対して県としてはどのような方向性、どのような姿勢で今後臨んでいるのか、お聞きしたいと思います。
3番目に、沖縄型観光免税店制度については、観光立県として新たな目玉として歓迎されているところでありますけれども、その期待と課題について、特に県内の既存の観光売店に及ぼす影響についてどう考えられるのか、そしてどのような対策があるのかを教えていただきたい。
次に、株式会社アクアパークと高速艇「マーリン」について質問いたします。
アクアパークが第三セクター方式でアクアポリス株式会社から経営を移管し、県が中心となって陸の首里城、海のアクアポリスとして観光関係者から期待されていたんですけれども、経営方針を断念し台湾資本に賃貸することとなっていますけれども、計画変更に至るまでの経緯とその理由について示していただきたい。
2つ目に、アクアポリス株式会社が平成7年5月29日付で大規模雇用開発プロジェクトとして労働大臣の認定を受け、それを変更しアクアパークに引き継いだこれはプロジェクトでございますけれども、100名以上の雇用を条件として労働省からの助成は開発助成金として雇用完了後1年間に1億、5年間で5億円、雇用奨励金として雇用者への初年度賃金の2分の1の相当額の助成1億5000万円から2億というシステムでありました。
このプロジェクトを既に撤回していると聞いているんですけれども、いつ撤回して、どういう形で撤回したのか。
また、雇用対策を県政の重要課題として今度の施政方針にも知事は述べておりますけれども、このような大きな雇用の創出を生むような期待されているものをみすみす撤回した知事の姿勢についてお伺いしたいと思います。
そしてまた、従業員の希望退職等の取り扱いでございます。
今年度2月5日付で社長名で「お願い」という文書が従業員に配られ──実際には2月13日に配られておりますけれども──人事整理を含めたリストラ策を実施する旨希望退職者制度に2月25日までに応ずれば、2月28日付で通常の退職金の3カ月分を加算して支給する、希望退職に応じなければ3月末をもって整理解雇することとなっております。
30名余りいる若い従業員は、平成8年4月に希望を抱いて入社以来、社外研修という名目で2年間外で頑張っておりました。それが突然このような仕打ちを受けで憤りを感じております。
こちらに従業員からたくさんの投書がありましたけれども、その一部を紹介したいと思いますし、余りにも生々しいところは割愛させていただきます。
平成8年4月1日に入社して以来、私はこの2年近く、一日一日を安心して終え たことはありませんでした。いつも頭に浮かぶことは「来月、会社はどうなっているんだろう。半年後は」と考えてしまうのです。第三者の方から見れば「(株)アク アパークは第3セクターで県や銀行もついているのだから大丈夫」と思われるのかもしれません。が、しかし実際は大違いで、言葉や態度だけは大きく、行動はしない人達が経営をしている為、資金が底をつく勢いどころか、今や会社は県、銀行の出向職員のただの集会所となっています。 本当にこの会社では創立当初から計画を立てて行動するということがありませんでした。例えば、一月にはこの計画を実行して二月にはあの計画をということなど皆無であり、外部に依頼して計画を立ててもらうことばかりでした。このコンサルタントに支払った金額は相当な額にのぼりました。 このように、人のやる気を喪失させ、社員の人生設計を簡単に狂わせるような人達の失敗した経営の尻拭いの為に、「若い社員達の給与が資金を食いつぶす」という理由として社員が解雇させられてもいいのでしょうか。 そんな人達にアクアポリスの再生を一番に願う若い社員達がリストラされること自体、絶対に許せません。しかもこのリストラの説明の際役員の一人は私達社員に対して「皆さんがこの職を失うことは人生の中で小さな傷だ。」と発言しました。そんな言葉がこれから職を失い、苦しむ人間に向って言えるでしょうか。その傷が大きいか小さいかはその人それぞれが決めることであり、人生の先輩として、又、経営を支える人としてよくもそんな発言ができたものだとあきれてものが言えませんでした。 この不景気の中、仕事を探すことは大変なことです。ただでさえ無職の人口割合が全国で高い沖縄県なのに、又さらにその無職の人ロを増やすことができる県政とはいったい何なのでしょうか。 又、私が唯一この会社にいることで実感したことは、世の中には働かなくても公務員であるという立場の人は給料がもらえるという事実があるということです。 お願いします、重要な県の産業である観光の1つの会社の実態が実はこうだったと終わらずに、ぜひメスを入れて頂きたい。そうしなければ、いつまでもこのような事が繰り返し続くでしょう。 どうか、私達リストラされる社員に、何が本当で、何が正しいかを示して下さい。
このような投書が参っています。(資料を掲示)
これについて皆さん、知事、関係者、どう思いますか。
先ほどから言いました行財政改革、本当に皆さん、やる気があるのかということを思いたいと同時に、このような第三セクターあるいは出向先についてこのような仕打ちをしているということが事実であれば、県の雇用対策、そして基幹産業である観光産業、これは一体どうなるものかと。言っていることとやっていることは全く違うからであります。
それについて知事の御所見を賜りたいと思いますし、ぜひともこのような希望退職制度、2月25日までと言っていましたからあしたまでです。これは撤回していただきたい。ぜひ希望いたします。
そして4番目に、マーリンの運航の実態と今年度の安定運航支援経費、今年度の5億7900万円の具体的内容及び今後の対策についてお伺いしたいと思います。
次に、県立現代美術館、博物館の建設でございます。
県立現代美術館、博物館の構想の実施設計が2年間見送られて暗礁に乗り上げてしまっております。経済と文化の振興は全く別の次元ではなく、両者が有機的に結びつくことがあると思います。特に美術館、博物館は観光立県である本県にとっては観光資源としても期待されており、凍結されたことは全く残念であります。
その要因は、財政の悪化に伴い国際都市関係事業に押され、優先順位が後退したと報道されておりますけれども、その理由と今後の見通し、つまり規模の縮小等事業見直しがあるのかどうか、また事業の優先順位のあり方、その基準は一体どうなっているのか、甚だ疑問であります。
事業実施に当たっては、緊急性、重要性を優先されるのは当然ですけれども、今年度の新規事業で埋蔵文化財センター建設の着手で10億円の予算が計上されております。
私は今、緊急性、重要性からするとむしろ美術館ないし博物館の建設の方が優先すべきだと思いますけれども、それについて御答弁願いたいと思います。
8番目に、学校の所持品検査の実施でございます。
全国的に中学生による凶悪事件が相次いでおり、これまで発生した事件で共通していることは、非行歴や補導歴といった予兆がほとんどなく、ごく普通の生徒たちの突然の変容、子供たちのある日の突然変異的行動、ある日突然切れるということらしいです。
原因は家庭、学校は言うに及ばず、地域あるいは文化を含めた社会全般、子供たちを取り巻く複合的な環境とも言われ、その解明と対策は急を要すると思われます。
学校の所持品検査については、人権への配慮などから慎重論もありますけれども、1つは教育長の立場、あるいは県警本部長としての立場からどのように考えているのか、御答弁願いたい。
そして2つ目に、県内でナイフを使った青少年の犯罪の実態について、過去5年間の傾向についてお答え願いたい。
3番目に、バタフライナイフを販売している業者の実態とその指導について。
最後ですけれども、サトウキビ生産の振興について。
サトウキビは、本県農業の基幹作物だけではなく、特に北部の過疎地域あるいは離島にとっては唯一の生活を支えるものであります。しかしながらその生産量は年々低下し、今重大な過渡期を迎えているのも事実でございます。
県甘味資源作物生産振興審議会では、98年から99年産の生産量を今期見込みの8.5%増の107万トンに設定しておりますけれども、県としてはそれに伴う基盤整備、優良種苗の普及に対する県としての対策について。
そして2つ目の、糖業の活性化を図る、ことしから出ていますけれどもルネッサンス計画とは一体どういうものかよくわかりませんけれども、示していただきたい。
そして「さとうきび・糖業再活性化対策」の進捗状況と今後の取り組みについて答えていただきたい。
残りは再質問をいたしたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 渡久地健議員の御質問にお答えいたします。
「自立する沖縄」をつくることを強調してきたが、自主財源が乏しい中で何をどうして自立を図っていくかという趣旨の御質問でございます。
本県の財政は、自主財源が少ないため厳しい財政状況であることは御指摘のとおりでございます。
自立する沖縄をつくり上げていくためには、1つには、県民自身が主体的にみずからの道を切り開いていくという意識改革を進めることが極めて重要であると考えています。
2つには、基地返還アクションプログラム(素案)に基づいて計画的かつ段階的に米軍基地の返還を促進することが重要であります。そのためには基地収入に依存する市町村の財政構造の改善を初め基地で働く従業員の雇用を確保する具体的な施策を展開することや、軍用地主の抱えている諸問題を解決するため関係者が相提携して取り組むことが不可欠であります。
3つには、産業を活性化することによって民間主導の経済を構築することであります。そのために産業創造アクションプログラムを推進し、地域特性を活用した中核的産業を育成していく必要があります。また、新たな自由貿易地域制度を活用して製造加工業等の企業立地を推進するとともに、情報・通信産業の集積、国際観光・リゾート産業の振興など国際的な視野で新たな産業振興策を推進していくことが重要であります。
次に、沖縄政策協議会や沖縄懇談会等についての御質問にお答えいたします。
平成10年度における知事提案説明要旨では、沖縄政策協議会や沖縄懇談会で協議が重ねられた成果として、関係各省庁において沖縄振興策関係が特別に配慮された内容となっていることや、米軍基地所在市町村の活性化事業の促進に努めることについて所信を表明したところであります。今後とも沖縄政策協議会等の場を通して引き続き国と連携を図りつつ、振興策の実現に取り組んでいく考えであります。
それから行財政改革との関連で、昨年「行財政改革元年」と位置づけていたがこの1年の実績及び成果について伺いたいという趣旨の御質問でございます。
21世紀の到来を目前に控え少子・高齢化、国際化等の一層の進展、住民の価値観の多様化など社会経済情勢が大きく変化しつつある中で、地方分権の推進が実施の段階に至り地方自治は新しい時代を迎えようとしています。
一方、本県を取り巻く行財政環境は一段と厳しさを増しており、県民福祉の向上、産業の振興、国際都市沖縄の形成など個性的で活力ある地域社会をつくり上げていくためにはこれまで以上に簡素で合理的な行財政運営が必要であります。
このため行財政改革を県政の最重要課題の一つとしてとらえ、平成9年1月に新沖縄県行政改革大綱に基づく沖縄県行政改革実施計画を策定し、これまでに事務・事業及び補助金の整理合理化、スクラップ・アンド・ビルドの徹底による増員の抑制、組織機構の見直し、公社等県関係団体の統廃合などを実施してまいりました。
また平成10年度の予算編成においては、年間所要額の枠を設定するキャップ方式を新たに採用するなど行財政全般についての改善に鋭意取り組んでおります。
行政改革実施計画はおおむね計画どおり進捗しておりますが、引き続き実施計画を着実に実行しこれまで以上に行財政運営の効率化を図っていきたいと考えております。
次に、2月1日付で行財政改革ワーキングチームを発足させたが実効性のある行革はトップの決断と目標値の設定が肝要だと思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
行財政改革の目標は、21世紀に向けて新たな行財政運営の体制を築くことにあります。厳しい行財政環境の中にあっても消極的にならず、真に効果的な行政施策を推進できる体制づくりを行う好機として前向きにとらえ、行財政改革を強力に推進していく必要があります。
このため行財政改革を県政の最重要課題の一つであるという認識のもとに、今年じゅうに新たな視点に立った行政改革大綱の見直しを行う考えであります。その上で定数管理、組織管理、補助金等の取り組み内容についてできる限り目標の数値化を図り、県民にわかりやすいものにしていきたいと考えております。
次に、北部振興策についての御質問にお答えいたします。
県は、県土の均衡ある発展を図るため北部地域の振興開発は重要な政策課題であると認識しています。
御質問の国立高等専門学校の設置については、現在文部省が沖縄県における今後の高等教育機関のあり方に関する調査の中で設置に向けた調査を行っており、平成10年度政府予算案に高等専門学校の創設準備費として1600万円が計上されています。
県としては平成9年12月、庁内に国立高等専門学校設置促進連絡会議を設置し誘致に向け取り組んでいるところであります。また、沖縄懇談会プロジェクトとしてのNTT番号案内センターの設置については名護市と連携を図りながらその促進に努めてまいります。
さらに観光の振興については、観光振興地域指定の創設などが盛り込まれた沖縄振興開発特別措置法の改正案が国会に提出されたところであり、今後北部地域の指定が図られるよう国に要請してまいりたいと考えております。
次に、今年度も訪米要請事業の経費が計上されているが、何の成果を求めて訪米する必要があるのかという趣旨の御質問でございます。
今回の訪米は基地の整理縮小、基地被害の防止及び在沖米軍の兵力の削減、とりわけ海兵隊の削減問題を中心に据え、基地の環境問題等についても取り上げて米国政府機関や議会関係者等に積極的に働きかけるだけでなく、米国の主要なシンクタンクや外交・防衛問題等に精通した著名な研究者などとも意見交換を行い、沖縄の基地問題に理解と協力を求めていきたいと考えています。
訪米要請は回を重ねるごとに沖縄の訴えに理解や関心を示す人たちがふえてきている実情がございます。
1994年9月に米議会で1995年度国防歳出見直し法案が可決されました。これは沖縄を初め在日米軍の配置状況や米軍施設の活用状況などの調査を行い議会へ報告することを国防長官に義務づけるもので、下院での案はもともと在沖米軍基地に絞った総合調査を義務づけたものであります。
この法案の提案可決にはニール・アバクロンビー下院議員が大きな役割を果たしており、アバクロンビー議員に対しては米軍基地の整理縮小について特に要請をしたところでございます。
最近では米国の外交・安保政策に大きな影響力を持つアメリカ上院外交委員会が1997年5月、沖縄の米軍基地に関する決議案を採択し上院本会議でも同決議案を採択しています。同じ年の4月にはハワイ州議会の上下両院において沖縄の米軍基地の整理縮小を求める決議がなされておりますので、基地問題に対する米国の議会の認識は以前に比べて相当に深まったものと思います。
また、現役の海兵隊員の中からも海兵隊の沖縄配備に異論を唱える論文を海兵隊の準機関誌に発表する人が出ており、さらにアミテージ元国防次官補及びトーケル・パターソン元国防総省日本部長は海兵隊の沖縄撤退は可能との見解を示しております。
米国の学者、研究者、軍事専門家らも沖縄の基地問題について関心を持つようになており、例えば日本政策研究所長のチャルマーズ・ジョンソン氏やブルッキングス研究所のマイク・モチヅキ氏らは海兵隊撤退論を主張しています。ちなみにジョンソン氏とモチヅキ氏は、米国の他の研究者15名と連名して1997年3月、クリントン大統領、コーエン国防長官、米議会あてに在沖米海兵隊の撤退を求める提言書を提出しております。
訪米事業については関係者に対する要請とともに、ワシントン・ポストなどの新聞に基地問題の広告を掲載し米国世論に訴えましたが、この新聞広告に対しては政府高官、連邦議員等との会見の際、よいメッセージだとの評価をいただきました。
最近ではことしの2月に米国の著名な学者、平和活動家など19人が全米各地の個人、団体から400人の賛同署名を集めて沖縄の基地問題に関するアピール文をクリントン大統領あてに提出しておりますので、沖縄の基地問題が米国内で関心を高めつつあることを実感しております。
平成9年度の訪米におきましては、国際都市形成構想との関連で沖縄への国際企業誘致のため国際航空貨物会社のフェデックス社を訪問し、フレデリック・スミス会長と直接お会いして沖縄への進出について積極的な意見交換を行いました。その後、フェデックス社は沖縄への乗り入れを決めており、現時点で本年9月ごろをめどに乗り入れが実現する運びになっています。
今月4日、アメリカの経済戦略研究所副所長であり、ビンガマン上院議員のアドバイザーを務めるスチーブン・クレモンス氏が沖縄を訪れましたが、氏は訪米要請などで継続的に沖縄の声をアメリカに伝えていくことの重要性を強調しておりました。
米国では世論が国の政策決定に大きな影響力を持っておりますので、県としては今後とも継続して訪米要請活動を実施し県民の声を直接伝えていくことによって基地問題の解決につなげたいと考えておりますので、御理解賜りたいと思います。
次に、平成3年度以降の日本政府に対する米軍基地問題に関する要請の回数とその費用について聞きたいという御質問でございます。
私は知事に就任以来、一貫して米軍基地の整理縮小や基地被害の防止等基地問題の解決を図るため、先ほど申し上げた訪米要請活動のみならず日本政府に対しても繰り返し要請してまいりました。
平成3年度以降これまで県が政府や国会関係者等に対して行った要請活動の回数は、関係者が沖縄視察等のため来県した際に行ったものも含め142回であり、それに要した費用は約2800万円となっています。県としては、今後とも引き続き米軍基地問題の解決を図るため日米両国政府に訴えてまいりたいと考えています。
次に、特別自由貿易地域の法人税軽減や投資特別減税など大幅な優遇制度に対する評価と課題についての御質問でございます。
今回国会に提案された沖縄振興開発特別措置法の改正案には、特別自由貿易地域制度の創設や自由貿易地域制度の拡充強化を初め情報・通信産業振興税制、観光振興税制の創設など本県の産業振興に係る税制措置が盛り込まれております。今回の改正案は、新たな産業振興策の展開に向け着実に第一歩を踏み出すものであり、企業立地や雇用の拡大が図られるものと期待しています。
また、政令事項となっている地域指定要件や課税の特例を受ける企業の業種、規模要件などに関して優遇制度が有効に活用できるものとなるよう引き続き国へ要望しているところであります。
次に、アクアパークと高速船「マーリン」との関連で、県第1号認定の大規模雇用開発プロジェクトを撤回したことに対する影響と雇用対策についての御質問でございます。
大規模雇用開発プロジェクトについては、旧アクアポリス株式会社において平成7年5月29日付で当初の認定を受け、平成8年8月9日付で雇用開発期間を平成10年2月28日までとする変更認定を受けています。
本プロジェクトは、株式会社アクアパークが平成9年4月1日にアクアポリス株式会社を吸収合併した際に承継され、プロジェクト要員も引き継がれています。
このような状況の中で台湾を主軸とする投資グループからの投資提案の受け入れを決定したことに伴い、事業形態が施設管理事業を主体とした会社運営となり、計画内容が当初計画と大きく異なったために大規模雇用開発プロジェクト計画に基づく助成措置の適用は困難となりました。
しかしながら、雇用面での影響につきましては、投資グループの再生事業がスタートすれば大規模雇用開発プロジェクト認定計画における雇用者の数を上回る雇用効果が期待できるものと言われておりますが、私としましてはこの大規模助成事業ができなかったことを大変遺憾に思っておりまして、担当部局とはぜひまたこのプロジェクトを沖縄に導入するようにということを指示しておりまして、できるだけ早く導入したいと考えております。
それから、糖業の活性化を図るルネッサンス計画についての御質問と、「さとうきび・糖業再活性化対策」の進捗状況と今後の取り組みについての御質問には一括してお答えいたします。
さとうきび・糖業再活性化対策は、今後3カ年を目途に国と県でそれぞれサトウキビトン当たり60円を措置し、サトウキビ生産の減少に歯どめをかけ生産拡大を推進するとともに、製糖企業の経営の安定を図ることを目的として実施するものであります。
その内容としては、原料集荷区域ごとに組織された地区振興会においてサトウキビの位置づけを明確化し、サトウキビ生産改善、甘蔗糖企業の合理化を盛り込んだ「さとうきび・糖業ルネッサンス計画」を策定し、これに基づいて農作業受託組織の育成、優良種苗の増殖等高品質サトウキビの安定的な生産に向けた生産者の取り組みを支援するものであります。
県においては、去る1月に事業の推進体制を強化するため社団法人沖縄県糖業振興協会に「さとうきび・糖業ルネッサンス班」を発足させ、さらに農林水産部に「沖縄県さとうきび・糖業再活性化推進委員会」を設置し、現在各市町村、関係団体に対し事業計画の策定を指導しているところであります。
今後、この事業の実施によって平成10年産サトウキビから増産効果が得られるよう取り組みを強化する考えであります。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 県内経済見通しの関連での御質問にお答えいたします。
県経済の見通しは、各種経済データを収集分析して作成をしております。
その作成に当たりましては、平成10年度県予算における投資的経費の数値も基本的データとして取り入れて作成しています。その結果、平成10年度の県経済は公共投資の削減の影響を受けるものの、観光産業が好調を維持することや民間需要が回復していくことなどにより、経済全体としては回復の度合いを増していくものと見込んでおります。
なお、国におきましても、平成10年度の我が国経済は公共事業の減少を見込みつつも消費税引き上げの影響が弱まることや経済対策の実施等により企業や消費者の経済に対する信頼感の回復が見込まれることから回復軌道に復帰していくものとしております。
次に、沖振法の改正との関連でございます。実効性あるものにするための実施細則の審議に対する県の姿勢ということでの御質問です。
今回の沖縄振興開発特別措置法の改正に当たりましては、新たな産業の創出と振興に向け企業の立地と雇用の拡大が図られるような制度とする必要があると考えています。
そのため、政令や運用細則等の制定に当たりましても情報・通信産業振興地域等がより広い地域に指定されるようにするとともに、税制上の優遇措置を受ける企業の業種や規模等につきましても県内企業にも配慮するなど実効性のある措置が講じられるよう要請をしているところであります。
以上です。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 赤嶺勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺勇君) 行財政改革との関連で、昨年「行財政改革元年」と位置づけたが、その実績及び成果についての具体的な説明というふうなことでございます。
行財政改革実施計画に基づく平成9年度の主な実績を申し上げますと、事務・事業の改善合理化につきましては、給与電算システムの改良、それから人事情報管理電算システムの導入、それから議会答弁支援システムの導入、それから沖縄館の廃止、5番目には出先機関における公共料金口座払いへの改善などであります。
それから組織機構の見直しにつきましては、1つ目には環境・福祉・保健等の県民ニーズの変化に対応するための部局の再編、2つ目には宮古・八重山圏域における地域完結型の総合行政機関としてこれまで強化を図ってきました支庁機能をさらに充実強化するための商工観光課の新設、農業改良普及センターと家畜保健衛生所の両支庁への統合、それから3番目に国際都市形成やマルチメディア関係組織の体制強化、4つ目に土地調査事務局の本庁への統合、5番目に全保健所の組織改正などでございます。
それから公社等の見直しについてでございますが、1つには鶏卵価格安定基金協会と肉用牛価格安定基金協会の統合、2つ目には農林漁業技術開発協会の廃止などであります。
それから人件費等の抑制についてでありますが、まず職責に応じた管理職手当の減額というふうなことで1人当たりマイナス2ないし3%の削減というふうなことで3300万円の縮減をいたしております。
それから部長、次長、課長級の管理職のスリム化というふうなことで現在作業中でございます。
それから3番目、職員の年齢構成の平準化ということで来年からスタートいたしますが、中途採用に向けた準備を今作業いたしております。
それから4つ目には、事務・事業等の見直しによる超勤手当の縮減ということで平成9年度に対して18.9%削減いたしまして金額にいたしまして5億7800万円を縮減いたしております。
また、実施計画などによる財政上の改善策としましては、歳入の見直し及び歳出の節減合理化、2つ目には主要な義務的経費について年間所要額を計上する通年型予算の編成と、こういう仕組みをつくり上げております。3つ目には予算額の節減保留率のアップというふうなことで平成9年の保留額で13億6800万円とこういうふうなことでございます。それから12月補正予算の取りやめ、5番目に予算編成をシーリング方式からキャップ方式へ改善したと、こういうことであります。
これらの改善合理化などにより平成9年度は一般行政経費で23億円、旅費需要等で12億1600万円、補助金の見直しによって9億9700万円を圧縮いたしております。
次に、地方債の今年度末の見込みと今後の公債費の影響等につきましての質問でございます。
平成9年度末一般会計における地方債の現在高見込み額は5188億6125万2000円となっており、前年度末と比較いたしまして342億2416万7000円増加いたしております。
歳出総額に占める公債費の割合は平成8年度決算で7.1%となっておりますが、公債費は義務的経費であるためその増減は財政の弾力的な運営に大きな影響を与えるものであります。
一方、公共施設の建設による受益は将来の県民にも及ぶことから、世代間の負担の公平という観点に着目すれば地方債は適切に活用されるべきものであると考えます。
しかしながら、その発行に当たっては将来の財政運営に及ぼす影響を考慮し事業の必要性、効果等を勘案しつつ慎重に対処していきたいと考えております。
次に、基金の推移と今後の見通しについての質問にお答えいたします。
財政調整基金、減債基金、県有施設整備基金の主要3基金の合計額は平成4年度の577億円から漸減し、平成8年度307億円、平成9年度末で256億円、平成10年度末では134億円と見込んでおります。これらの基金の取り崩しは、バブル崩壊後県税、地方交付税等の財源が伸び悩む中で多様な県民ニーズに対応した施策・事業を推進する必要
から行ったものでございます。
このような基金の取り崩しは全国的な傾向でありますが、今後とも現在進めております行財政改革を推進することにより人件費を含めた徹底した見直しによる歳出の削減合理化と使用料・手数料等の適正化に努めるとともに、長期的には産業の振興による税源の涵養と担税力の強化に努めることといたしております。
次に、財政力指数の実態と今後の傾向についての質問にお答えいたします。
本県の財政力指数につきましては平成8年度において0.245となっており、全国平均の0.473より低い状況にあります。
過去10年間を見ますと0.237から0.268の間で推移しておりますが、今後の傾向については国の中長期的な地方財政対策が明確にされてないこと等から見通すことは難しい状況にあります。
次に、財源確保策、知事部局と教育委員会の未納額、徴収率、徴収方法の相違点についての質問にお答えいたします。
地方財政の状況が厳しい中で適正な歳入の確保を図ることは極めて重要であります。
そのため平成10年度の予算編成においては県税、地方交付税及び国庫支出金等の所要額の確保に努めるとともに、使用料・手数料等の適正化を図ること等の措置を講じております。
自主財源の確保につきましては、県税の徴収率の向上と使用料・手数料等の適正化に努めるとともに、長期的には産業の振興による税源の涵養と担税力の強化に努めてまいりたいと考えております。
次に、知事部局の県税及び各種使用料の未納額と教育委員会の未納額、徴収率、徴収方法の相違点についての質問でございますが、平成8年度決算で申し上げますと県税の未納額は56億5287万円で徴収率は93.0%となっており、知事部局の使用料の未納額は5億7448万円で徴収率は92.8%となっております。
一方、教育委員会の使用料の徴収率は100%となっております。
徴収方法については教育委員会の使用料の大部分を占める全日制高校授業料の場合、口座から自動引き落としの利用率が92.3%となっているのに対し、県営住宅使用料の場合は71.6%、県税はほとんど活用されてないというのが実情でございます。
次に、予算のシーリング方式からキャップ方式へ移行した理由とそのメリット、デメリットについての質問にお答えいたします。
キャップ方式とは、財源確保の優先度や事業の内容、性格に着目した経費区分ごとに年間所要額の枠を設定する方式であります。
これに対して従来のシーリング方式は、シーリング対象節について前年度当初予算対比で一律に削減する方式であり、歳出全体の増大傾向を抑制していくには有効でありますが、事業そのものに対する視点が弱くなりがちであり、それぞれの事業の検討、見直しの面で必ずしも十分とは言えないものであります。
平成9年度に引き続き行財政改革を推進していくためには、1つには事務・事業の実績や効果についての総点検を実施する必要があること、2つ目には厳しい財政状況のもとで歳出のそれぞれの経費についてあらかじめ見込み得る歳入の範囲で年間所要額を設定する必要があること等から、平成10年度予算についてはいわゆるキャップ方式で編成することといたしたものであります。
また、事務・事業の総点検を通して事務・事業を担当する部局に対し事業の実績や効果等の検証を求めるとともに、それぞれの創意工夫に基づくスクラップ・アンド・ビルドの徹底を図るため、一部の経費について部局へ枠配分し実質的に部局における予算編成を実施したところであります。
次に、人件費の占める割合が年々過重な負担となっていると、人員削減、給与改定等の対策についての御質問にお答えいたします。
本県を取り巻く行財政環境の厳しい状況にあって、増嵩する人件費が県財政に及ぼす影響は大きなものがあり、緊要な課題として積極的に取り組む必要があると考えております。
そのため、定員管理に畜たってはスクラップ・アンド・ビルドをより一層徹底させ、公社等の出向職員も含めた職員定員の縮減を行うとともに、職種や部門に聖域を設けることなく徹底した事務・事業の見直し、組織機能の簡素化、民間委託、OA化等を積極的に推進してまいります。
また、本県職員の平均年齢は全国平均の40.1歳に対して43.1歳と高いことから、今後年齢構成の平準化を図るとともに、管理職に占める部長、次長級の比率が高い状況を是正していくことにいたしております。
なお、給与面からの取り組みとしまして、給与の適正な管理ということも踏まえ管理職手当の減額、給料の調整額及び諸手当の見直しを行っていきたいと考えております。
給与改定につきましては、人事委員会からの給与勧告を待って本県の財政状況、国及び他県の状況を見ながら適切に判断していく予定でございます。
これらの対策を講ずるに当たりましては、より具体的かつ実効性を確保するため数値目標を設定し着実に実行していきたいと、こういうふうに考えております。
次に、管理職の数及び割合は九州で1位と言われるが、知事部局、教育委員会、県警等の実態はバランスがとれているのか、その数と割合についての質問でございます。
病院の医師、看護婦及び現業職員等を除く知事部局の職員数は平成9年4月1日現在で4801人となっており、そのうち管理職である課長級以上の職員は433人で全体の9%となっております。これは九州では長崎県、大分県に次いで3番目に高い率となっております。
また、教育委員会が学校を除く行政部門では職員数431人に対して管理職が42人で、率にして9.7%、公安委員会が職員数2591人に対して管理職が91人、率にいたしまして約3.5%となっております。
ところで、知事と教育委員会及び公安委員会は、それぞれ明確な範囲の所掌事務と権限を有する独立した執行機関として位置づけられております。このため、それぞれの行政目的を達成するためにその組織を初めとするその執行体制については個別の法律において定められるなどその内容は大きく異なっております。したがって所掌事務や組織体制が異なる執行機関の管理職の数と割合を比較することは適当ではないと考えております。
次に、出向職員が隠れ定数、隠れ人件費として問題視されているがとの御質問にお答えいたします。
県においては、複雑多様化する行政ニーズに適切に対応するため行政が直接対応することが困難な分野については、公社等を活用することにより効率的な行政運営を図っており、公社等はこれまで県行政を補完する大きな役割を果たしているところであります。
職員の派遣等は、行政との連携、運営の活性化、職員の能力開発等のために行うものであります。
しかしながら、出向職員につきましては定数条例において定数外の措置がなされておりますが、実質的には県職員の身分を有しており、給与等に係る費用も公社等に対する補助金等として支出されるケースがほとんどであります。
ちなみに平成9年4月1日現在、54の公社等に対して372人の職員を出向派遣いたしております。
次に、外郭団体の数とその職員数が県財政に及ぼす影響等の御質問にお答えいたします。
現在、県が公社等の外郭団体に対して県職員を出向派遣している数は平成9年4月1日現在、54公社、372人であります。出向職員については実質的には県職員の身分を有するものであり、その定数管理や給与等の人件費も県費で負担するのがほとんどであります。
また、出向職員の人件費に限らず公社等の事業費等に係る全体の県費支出を見た場合、県財政に与える影響も大きなものがあります。今後の公社等の管理運営に当たっては、社会経済情勢の変化等を踏まえつつ既存公社等の設立目的、業務内容、活動の実態、運営状況等について検討を行い、統廃合を含めた積極的な見直しを進めてまいりたいと考えております。
次に、現代美術館、博物館等の建設についての御質問でございますが、平成10年度は「行財政改革元年」と位置づけた平成9年度に引き続き歳入の確保と経常的な経費の徹底した節減を行い、各事穿の緊急性や優先度を総合酌に勘案して予算を編成したところでございます。
特に多額の建設費や運営費を必要とする施設建設に当たっては、財政負担や事業の緊急性等の各面から総合的に検討して予算措置しているところであり、美術館、博物館につきましてもこのような観点から検討してまいりました。
美術館、博物館に係る平成10年度予算は、美術館の学芸員海外派遣研修経費や取得美術品のデータベース作成経費及び博物館建設検討のための旅費等を措置しております。
なお、実施設計費や建設費の予算措置については、今後の財政状況等を勘案しながら建設に向けて引き続き検討してまいりたいと、こう考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 渡久地健議員の基地返還等要請訪米についてお答えを申し上げます。
平成9年2月、東門副知事ほか12人の女性グループの訪米、そして平成9年3月の学者10人の訪米の目的、人選方法、成果についてお聞きしたいということにお答えを申し上げます。
東門副知事が団長を務めた女性訪米団及び比嘉幹郎ガリオア・フルブライト沖縄同窓会会長を団長とする沖縄学者の訪米団は、それぞれ独自の視点に立って米国の女性グループや学者たちと基地問題についての意見交換を行うことにより、沖縄の基地問題の実情について米国民の理解を深めることを目的に訪米をいたしました。
また、女性訪米団は沖縄に駐留する海兵隊の削減についても米国政府及び連邦議会の関係者に要請をいたしております。
女性訪米団員の選定に当たりましては、訪米の趣旨、目的に沿って県内各界で活躍する女性や学識経験者等を対象に人選を行うことは当然のことでありますが、行政の立場上、特定の団体に偏らないように配慮を加え、いろんな方々の意見を参考にしながら幅広く各界からの参加を求め、決定をいたしました。
また、学者訪米団の団員の人選に当たっては、米国の学者らとディスカッションを行うという事業の目的から、米国への留学経験などがあって英語に堪能であること、専門分野について深い学識を有していること、県内に在住して本県の基地問題に身近に見聞していることなどの観点から適切な人材と思われる方々を候補に選び、本人のスケジュール等をも勘案して最終的に決定をいたしております。
これらの訪米団の米国における活動を通して、米国民のより広い階層にわたって沖縄の基地問題についての理解を深めることができたものと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商工労働部長(幸喜良秀君) 基地関連労働者等雇用対策調査団の訪米目的、人選方法、その成果についてお答えいたします。
調査の目的としましては、今後の県内における米軍基地の返還、整理縮小に伴う基地従業員及び基地関連労働者等の雇用問題を初め基地跡地利用・再開発、基地汚染・浄化等の対策に資するため、軍事基地の閉鎖が進む米国内におけるこれらの問題に対する制度、政策を含め具体的な事例の実態調査を実施することであります。
団員の人選につきましては、それぞれの調査に対応するため雇用問題の当事者である全駐留軍労働組合沖縄地区本部とその上部組織の連合沖縄の組合役員及び学識経験者並びにそれぞれの業務を担当する県職員で構成しております。
調査の成果については、米国における国防総省や労働省等連邦政府における制度及び政策を初め州政府や市、再開発公社等地域における施策の実態について調査を実施し、所期の目的は達成されたものと考えております。
その成果については報告書をまとめてありますので、今後の県内における基地問題等に対する施策遂行に反映させていきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 観光文化局長。
〔観光文化局長 照屋寛孝君登壇〕
○観光文化局長(照屋寛孝君) 沖縄振興開発特別措置法の一部改正案とのかかわりで、沖縄型観光免税店制度への期待と課題について、特に県内の既存の観光売店に及ぼす影響と対策についてお答えいたします。
沖縄から出域する旅客を対象としたいわゆる沖縄型特定免税店の設置は、沖縄観光に新たにショッピングの魅力を加え本県観光の振興に一定の効果をもたらすものと期待をしております。
しかしながら、設置場所が空港内の旅客ターミナル施設に限定されていること、2つとして関税のみの免除であること、3点目として取扱品目から現行観光戻税対象の8品目が除外されていることなどが課題であると考えます。
次に、既存の観光戻税承認店への影響については、沖縄型特定免税店の取扱品目が異なることから直接的な競合はなく大きな影響はないものと考えております。
また、そのほかの既存の観光売店への影響についても、特定免税店の設置場所及び取扱品目が限定されることから既存業者との直接的な競合は避けられるものと考えております。
なお、今回の新たな制度の導入に伴って既存の観光売店などが大きな影響を受けないよう取扱品目の具体的な検討を初め各般の中小企業制度に基づく施策の活用など、適切に対処していく考えであります。
次に、アクアパークに関する御質問でございますが、アクアパークが第三セクター方式の経営方針を断念し台湾資本に賃貸する計画変更の経緯とその理由についてでございます。
株式会社アクアパークは、アクアポリスを都市型観光施設として再生、活性化するための事業計画を平成9年5月に策定しております。同事業計画に基づき事業資金の確保について金融機関と協議したところ、金融機関側から初期投資の圧縮や強力なキーテナントの導入及び直営事業の軽減化が不可欠であるとともに、アクアポリス本体は市場性がないため担保価値が極めて低いなどの指摘があり、結果的に資金調達が困難な状況となった次第であります。
このような時期に平成9年7月、台湾を主軸とする投資グループからアクアポリスの事業運営に対する投資提案があり、株式会社アクアパークでは平成9年8月の取締役会において基本的にこの投資提案を受け入れることを決定しています。
これに伴い、アクアポリスの事業形態が施設運営事業と施設管理事業に分離され、株式会社アクアパークは管理事業を主体とした事業内容に事業計画を変更することになりました。現在、株式会社アクアパークでは、事業の早期実現を図るべく投資グループと基本協定書の締結に向けた協議をしているところであります。
次のアクアパーク関連で、同じく従業員の希望退職等の取り扱いについての御質問でございます。
株式会社アクアパークにおいては、アクアポリスの施設管理事業を主体とする事業計画への変更に伴い、旧アクアポリス株式会社から引き継いだ社員の人員整理を含めたリストラを実施せざるを得ない状況にあります。
このような状況の中で平成10年2月5日の取締役会において、社員の勧奨退職を実施する方針を決定しています。具体的な実施内容としましては、希望退職者には勧奨退職金の優遇措置として規程に基づく所定の退職金に基本給の300%相当額を加算すること、2つとして希望退職の申し出期限を2月25日とすること、3つ、再就職のあっせんに最善の努力をすることとして希望退職者を募ることになりました。
しかしながら、希望退職の申し出期限を当初2月25日までとしていたのを、社員への周知が十分に得られていないとの判断から希望退職の申し出期限を3月25日まで延長することにして改めて社員への説明、理解を図っていく措置を講じたとのことであります。
先ほど御紹介がありました当事者からのお手紙の内容にもありましたように、社員の十分な理解が得られてないことは極めて残念なことでありますので、県としましては杜員の十分な理解と協力のもとに勧奨退職が円満に行われるよう指導してまいりたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 地域・離島振興局長。
〔地域・離島振興局長 大城盛俊君登壇〕
○地域・離島振興局長(大城盛俊君) 「マーリン」の運航実態と安定運航支援経費等今後の対策についてお答えいたします。
超高速旅客船マーリンの運航実績につきましては、平成9年7月20日の就航から平成10年1月までの半年間に利用者数が3万3000人余、就航率が87%となっています。
初年度の事業計画として搭乗利用率を40%に見込んでおりましたが、会社設立から就航までの期間が7カ月と短期間であり、旅行エージェント等による本格的な商品化の取り組みが得られなかったことなどにより、事業計画に対する実績比率は37%となっております。
マーリンは、那覇と北部間を結ぶ高速性、定時性を持った新たな海上交通手段として県民、観光客の交通需要にこたえるとともに、北部圏域の活性化を促進し本県の観光・リゾート産業の一翼を担うことが期待されます。特に名桜大学の開学、北部地方拠点都市の開発整備とともに北部振興の3本柱の1つとしてその実現を図ってきたところでございます。
このようなことから、同事業の所期の目的を達成するため今後とも利用客の増加を図る等の経営努力はもとよりでございますが、県としても安定的な運航のため所要の支援措置を講じていく必要があると考えております。
このため、平成10年度の予算についても御提案申し上げてありますのでよろしくお願いいたします。
○議長(友寄信助君) 教育長。
〔教育長 安室 肇君登壇〕
○教育長(安室 肇君) 学校の所持品検査についてお答えいたします。
最近、中高校生のナイフによる殺傷事件が報道され大きな社会問題になっております。
このような深刻な状況を未然に防止するには、どこにでも起こり得る問題として関係者の一人一人が認識をし対応する必要があります。保護者、地域、関係機関・団体と相連携し、刃物携帯防止指導等の生徒の安全にかかわる生徒指導の万全を期する必要があると考えております。
ところで、学校の教育活動は教師と児童生徒、児童生徒相互の信頼関係に立って営まれるものであり、校長が緊急で、必要かつやむを得ないと判断したときは、保護者や児童生徒の理解を求めつつ、児童生徒のプライバシーの保護に配慮して状況に応じた適切な方法で所持品検査を行うことも含め、毅然たる措置をとることが必要ではないかと考えております。
○議長(友寄信助君) 警察本部長。
〔警察本部長 井上美昭君登壇〕
○警察本部長(井上美昭君) 質問について一括してお答えいたします。
近時、特に本年に入りましてバタフライナイフを使用した中学生や高校生による凶悪事件が連続的に全国的に発生し、青少年による刃物使用犯罪や携帯等が社会に不安を与えておりまして、県警においても憂慮すべき事態と受けとめております。
そこでこの種事案の未然防止のため去る2月5日に知事部局、教育庁、警察本部の3者による中高校生の刃物携帯防止緊急連絡会議を開催するなど、諸対策を推進しているところであります。
まず、本県における少年による刃物使用犯罪の実態についてでありますが、今回他府県で発生しているバタフライナイフ使用の凶悪犯罪の発生はありませんが、県内において平成6年からこれまでに少年による刃物使用の凶悪事件で9件、9名の少年を検挙補導しております。
その内訳は、殺人未遂1件、強盗2件、強姦4件、強制わいせつ2件であります。
これを学職別に見ますと中学生1人、高校生3人、無職少年5人となっております。
そのほかに凶悪事件ではありませんが、刃物を使用した傷害、窃盗、恐喝事件などで少年4人を検挙補導しております。
次に、県内における刃物販売の実態についてでありますが、警察では栃木県の事件のあった直後に刃物販売店について緊急に調査いたしました。
その結果、金物店、釣り具店、軍払い下げ店など約350店舗で刃物を販売していることが確認できました。
うち、バタフライナイフを販売している店は金物店、釣り具店、軍払い下げ店等の37店舗で2000円から5000円前後で販売されております。
このような実態を踏まえまして、販売業者に対しては銃砲刀剣類所持等取締法により、長さ6センチ以上の刃物にあっては少年を含め正当な理由による場合を除いて携帯が禁止されていること、さらに青少年保護育成条例で有害玩具に指定されたバタフライナイフなどについて少年に対する販売が禁止されていることの周知徹底を図っているところであり、さらに少年の刃物携帯の防止の観点からして県、警察本部の連名によりまして少年に対する刃物の販売自粛の協力を要請したところであります。
なお、学校における生徒に対する所持品検査については、学校教育現場において適切に判断し措置されるものと思います。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) サトウキビ生産の振興について98─99年産生産量が今期見込み18.5%増の107万トンに設定しているが、基盤整備、優良種苗の普及に対する県の対応についてお答えいたします。
平成10年産サトウキビ生産振興計画においては、生産量を9年産見込み生産量の90万トンより18.5%多い107万トンに設定しております。
これを達成するため生産基盤整備、機械化一貫作業体系の推進等の各種施策を総合的に実施するとともに、新たに「さとうきび・糖業再活性化対策」を実施し、遊休地の解消及び春植えの奨励による収穫面積の拡大、適切な株出し管理による単位収量の向上等に努めてまいります。
生産基盤の整備については、サトウキビの生産性の向上や機械の効率的な稼働を図る上で重要であることから、圃場整備、農道整備等を推進するとともに、貯水池の設置や宮古地区等の地下ダムを水源とするかんがい施設の整備に引き続き取り組んでまいります。
また、優良種苗についてはサトウキビ優良種苗供給確保事業により原種圃、採取圃を設置し普及を図っているところであります。
なお、本県のサトウキビ奨励品種は現在12品種で平成8年における普及率は94%であり、地域に適した品種を普及奨励しているところであります。特に県としては高糖多収性品種の農林8号、9号を中心に普及を図っているところであります。
今後とも、サトウキビの安定生産、品質向上を図るため高糖多収、台風、干ばつ等の抵抗性及び株出し性等にすぐれた品種を育成し優良種苗の普及に取り組んでまいります。
○渡久地健君 議長、答弁漏れがありますので休憩してください。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後3時41分休憩
午後3時42分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
総務部長。
〔総務部長 赤嶺勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺勇君) お答えをいたします。
公債費の平成10年度の予定でございますが、540億円というふうなことで予定をいたしております。
それから公債費のピークでございますけれども、平成15年671億円というふうなところがピークになります。それから後はだんだん落ちていくと、こういうことになります。
そういうふうなことで、先ほどの総合的に判断するというふうなことはそういう公債費の状況等も見ながら、例えば今言う先ほど説明いたしました博物館、美術館等につきましてはおおむね400億相当の建設費がかかります。
そういうふうなことで、これらの公債費の償還等も考えながら、それからまた先ほどの埋蔵文化財等はどうするのかといいますと、当然これまた現在の若狭であり、あるいは糸満等で非常に管理力灘しい状況にあります。こういうものを早いうちにきちっとした管理の仕方を考えると同時に、各種の公共事業をスムーズに展開すると、こういうような視点も大変大事であるというふうなことで、総合的というのはいろんなことを考えながらどれを優先順位にするかというようなことで、要するに当然公債費の償還ということも含めて総合的に判断してそれぞれの事業の推進を考えたと、こういうことでございます。
○議長(友寄信助君) 渡久地 健君。
〔渡久地 健君登壇〕
○渡久地 健君 再質問いたします。
これまで私の質問に対して知事を初め各部長の答弁を聞いていますと、沖縄がこのままいって大丈夫かなという危機意識が本当に出てきます。つまり自立する沖縄の考え方についても、理念とかそういうのはよくわかります。しかしながら自立するというのは経済的な自立、財政的な裏づけがなければいけない。そのようなものがもちろいろんな形で知事は答弁していますけれども、裏づけになるものがない。
つまり我々が一番心配していますのは、午前中の西田健次郎我々会派の先輩から話がありましたように第4次振計がどうなるのか。つまりその辺についても今公共事業の感じ、そういうのも含めて大きな問題があるんですよ。要するに振興策と高率補助がなければ今の沖縄の経済界はすべてパーになるんじゃないかと。
そういうような状況の中から本当に自立する沖縄ということを経済的な問題を抜きにして語れないんじゃないかというふうに思いますし、先ほど部長の方から話がありました県内景気は徐々に回復するだろうと。いろんなデータを持ってやっているでしょうけれども、本当の今の県の予算の裏づけとか公共工事がどういう傾向になるかというのを見ると、これは一目わかるんじゃないかなと思うんですけれども、それについてまだまだ危機意識が少ないんじゃないかなというふうに思いました。
そこで再質問いたしますけれども、今地方債の問題が出ました。今年度で540億の地方債、つまり借金をまたつくっていくと。そうしますと平成10年度末、つまり来年3月ですか、10年度末には6000億近い地方債が出てくる。償還分もありますから5500億ぐらいと見ていいんですけれども、それを重ねていくと一般会計の予算と同じぐらいの
ものが、この2年か3年のうちに借金の額と地方債の残額が一緒になってくると思うんです。
そして今いみじくも総務部長が言いましたように平成15年、これは地方債は据え置きの問題とかいろいろありますから15年には671億返さなきゃいけない、要するに財政の中で。
今年度の予算を見ますと、確かに公債費は平成9年度は477億、つまり予算全体の7.7%、平成10年度は539億円、これは全体の8.8%。それからしますと671億というのはこれはまた金額的に相当なものになってくるんじゃないかと。
この地方債のあり方について全国的な平均を見ると、沖縄県はまだ全国平均より低いという表現もやっていますけれども、これは違うと思うんです。自己財源が沖縄県は一番最低の中で借金を返さなければいけないのはこれだけ出てくると。自己財源が例えば40%ありますよね。富山県あたりは40%あるんですよ。地方債を14%返さなければいけない、要するに公債費は。しかし彼らは自己財源という部分が40%もあるんですよ。沖縄県は20%しかない。自己財源が少ない中でこれだけの比率を持ってくるというのは財政的にこれは大きなひずみが出てくるんじゃないかと。それについてもう一度、今後行財政改革全体の立場から地方債のあり方についてお答え願いたいと思います。
基金については来年度は134億しかなりませんから、来年度予算を編成したら基金は一切ゼロになります。つまり貯金はゼロになると、そういう見通しでいいですか。それについてお答え願います。
今年度も150億ぐらい食いつぶしていますから、平成9年が296億、今年度が134億、来年度はこれから繰り入れるともうほとんど預金はゼロ、これで一体どういう財政をしていくのか、本当に危機意識が感じられない。つまり先ほどから言うように人件費、定数の問題もこれから検討していきます、これからいろいろとワーキンググループでやっていきます、これじゃもう遅いんですよ。
知事、去年、行財政改革元年となっていろいろ言いましたよ。あれもしました、これもしましたと。行財政改革元年がスタートして1年目の予算がこんな厳しい予算で今後どうにもならないような問題が今回の予算でできてきた。本当にこの1年間何してきたかと言いたいんですよ。これは数字であらわれてくると思うんですよ。
その辺についてもう一度、行財政改革に対する考え方が甘いんじゃないかというふうに思いますので、知事のこれに対する姿勢、人件費も含めて人員削減も含めて昇格あるいは凍結も含めての姿勢をお願いします。
それから部長、管理職のバランスを知事部局、教育委員会、それから県警、9%とか9.7%とか3.5%とか、確かにそれぞれ職務の内容は違うんです。それはわかります。
それじゃ、午前中に自民党の翁長雄志議員が言いましたYKK人事と言ったんですけれども、今県庁内部でこの人事の問題で公正、公平を欠いているんじゃないかというような話がささやかれています。したがいまして私は教育委員会、それから県警がそういう職務の内容でこれだけの管理職がいるというんでしたらそれでいいでしょう。そのかわり教育委員会・教育庁も県警もちゃんと試験をしています、昇格試験。警部補になったり、警部になったり、あるいは教頭試験、校長試験もしているでしょう。
どうですか知事、課長になるとき、次長になるとき、部長になるとき一定の試験をして公正、公平にして、それをすることによって管理職の数を抑えていくと。そうすれば人件費も手当の問題もあるいは公正、公平に解決するんじゃないかと。そうすれば職員間の中でも、あるいはその辺のバランスについても、こういう状況だからということで納得がいくと思うんですけれども、いかがなものでしょうか。
それから事業の優先順位、これについては総務部長、総合的な判断がいいんですよ。総合的な判断がいいんですけれども、私は箱物については一定の考え方を持っております。つまり先ほど言いましたように美術館とか博物館とか観光産業だとか、ほかの関連に波及する、影響するものについてはこれは優先的につくってもあと経済効である程度回っていくんです、金は。
しかし緊急性があったとしても公文書館、決して要らないとは言ってないんですよ、埋蔵文化財のセンターも。しかしながら今沖縄の観光をこれから伸ばさなきゃいけない、500万人体制にしなきゃいけない、いろんな制度上の問題もやらなくちゃいけない、そういう状況の中において何も400億円と。ですから私の質問の中で一部見直しをして、一緒につくるんじゃなくて見直しをして観光客が沖縄にこの時期2月に来て雨が降って海にも行けない、観光地にも行けないとなったときに沖縄の文化を見るために、今でもあるんですけれども、あんなちゃちなものじゃなくて、もう少ししっかりした形での、例えば美術館と一緒じゃなくてもいいんです、当面博物館からつくって観光資源の一つとしてやらていく必要があるんじゃないかと。そういう観点から400億円の事業費であれば、例えばこれを縮小して100億ぐらいやっていくとか、そういう問題が総合的な判断じゃないかというふうに思うんですけれども、それについてお答え願います。
あと1点訪米の関係です。
私は、知事の訪米について個人的には行かなくてもいいと。個人的には私は考え方はあるんですけれども、知事がるる説明しましたようにそういうことであったら、もし万が一どうしても行かなきゃいけないという知事の姿勢であれば人数を制限するとか、金額を減らすとか、これは毎年知事は県の方が去年も11名、その前の年は9名、そういう形で行っているんです。この人数を減らすとか、予算削減の方法を考えて、実績において去年が1747万円ですから、ことしはどうしても行く必要があるんだったらせめて1000万円ぐらいに落とすとか、この辺の工夫をしないと、皆さん、予算というのは厳しいということで切るべきところはどんどん切っていって、何でこんな訪米とかそういうのを十分チェックしないのか、その辺がやはりおかしいんじゃないか。
キャップ方式とシーリング方式というのは、シーリングでしたら特別出張、海外出張については一律何%カットするということである意味では公平さがあるんです。
キャップ方式については、これが重点事業だからといってこの事業に重点的にやるということは、ほかのところから見ると重点事業について優先的なものが一体何かというのが見えないんですよ。数字の削減が見えない。そのためにどうしてもやはりこの辺の訪米事業についてもう一度見直しする必要がないのか、あるいは予算的なものを考える必要がないのか。
それと同時に、再度商工労働部長に質問いたしますけれども、連合沖縄とそれから全駐労が何でアメリカに行く必要があったのか。行く必要があるんだったら基地の跡地利用であればフィリピンのスービック跡であるとか、そういうのが必要でしょう。アメリカというのは自分の国の、日本で言えば自衛隊の跡地の関係のものです。沖縄の基地とアメリカの人たちとは明らかに違いがあると思うんセす。どうしてアメリカに行く必要があったのか、フィリピンに行くべきだと思うんですけれども、その辺の見解について再度お答え願いたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 渡久地議員の再質問にお答えいたします。
まず、自立する沖縄との関連で財政問題についての御質問でございます。
渡久地議員も御指摘のとおり、県の財政事情というのは非常に厳しいものだと私も認識しております。
知事になりましてその翌年からこの問題に着目いたしまして、とりわけ外郭団体への県職員の出向、いわゆる弁当持ちでの出向とかというものについてその理由を明らかにしなさいと、それから何名いるか、削減できるのはどれぐらいかということをきちっとやってほしいという指示をいたしまして、3年ほどかけまして実態調査をいたしました。そしてそれに基づいて削れる分は削っていこうということでやりまして、具体的な中身については総務部長から一部例示がございましたとおりでございます。
全国的にも市町村の財政、都道府県の財政というのが非常に厳しい状況にあることは十分に認識しているつもりでございまして、今後とも行財政改革をそのときどきのニーズに応じる柔軟な姿勢でもって対応してまいりたいと考えております。
それから訪米についてでございますけれども、訪米についても予算の削減とかそういうことは当然のことでございますが、今県が抱えている諸課題がございますけれども、基地問題というのは何といたしましても県が直面している最大の課題でございまして、これを解決しないことには災害に強い町づくりとかということもできませんし、産業の振興とかということもできませんし、とりわけ主権国家として土地だけじゃなくて水域とか、つまり海域とか空域までも自由に使えることができないというのはいかがなものかということで、その辺の問題についてはあらゆる努力を傾けてアメリカ側の理解を得て改善したいという意味でございまして、県政が抱えているいろいろな事務分量の中でも基地問題というのは非常に大きいわけでございまして、それを減らす上からも予算の問題についてもきちっと対応してやっていきたいと。
もちろん御指摘のように不要不急の予算については当然詰めていく必要があると考えておりますが、事この基地問題については、じゃこのまま訪米しないでそれでどうなるかという問題を考えた場合に、今でさえアメリカ側の方では議会の議員を動かす場合なんかも、選挙との関係で自分の票にならないと親身に考えないところがあるか繰り返し繰り返し問題を提起してほしいと。ただ1回来てそのまま帰って放置してはいけないし何度でも何度でもやるべきだということを言っておるわけでございますから、そのあたりは理解していただきたいと思います。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 赤嶺勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺勇君) 再質問にお答えをいたします。
まず公債費のあり方、これでいいのかというふうな趣旨のことだと思いますが、今公債費が非常に増嵩いたしております。
これの大きな要因は、もちろんこれまでつくりました県のこういう庁舎であり、あるいは各種の合同庁舎であり、あるいはその他もろもろの事業等の実施の結果がこういうことになっておりますが、特に最近において公債費の大きいものにつきましては、例の経済対策というふうなことで、要するに裏負担については全部借りていただきたいと、こういうふうなことで平成5年、6年、7年にお借りしたものが償還に向かっていると、こういうふうな一面があります。
そんなようなことで公債費が大きく伸びておりますけれども、やはり今後とも公債費においては非常に有利な、何といいますか有効なというんですか、そういう借金の仕方、そういったものをやっていくということが大変大事かと思います。要するに交付税でバックしてくるものについてできるだけそういったもので事業に充てていくと、こういうことが大変大事かと思いますので、そういう仕組みをつくり上げていくと、こういうふうに思っております。
そういう意味では先ほどの美術館、博物館等についても今後確実に実行するというふうな考え方ではありますけれども、そういう公債費の伸び、あるいはまた今後ダウンですから3年後に新たに公債費が発生しますので、そういったことを念頭に入れながらの事業の仕組み方というのが大変大事だと、こういうふうに思っております。 それから、来年の県の一連の基金がゼロになるんではないのかというふうなことでありますけれども、これについては先ほども御説明しましたけれども、平成8年度からスタートした行政改革、さらにまた昨年から行財政改革というふうなことでやっております。一斉にいろんな事業がスタートしておりますが、その効果が出てくるのは平成10年ないし11年から効果が出てくるというのを大体見通しております。
その中で特に人件費が大きなウエートを占めているんではないかというふうな指摘でございますが、おっしゃるとおりでございます。
我が県における人件費でございますけれども、要するに大変年齢構成が高いわけでございます。
40歳から59歳までの年齢構成が7割弱を占めていると。こういうふうなことで、このことが全体の平均給与を上げていると、こういうことがあります。
先ほども申し上げましたが、全国平均と沖縄県の給与の平均でございますけれども、行政職の場合、全国平均の年齢が40.1歳、それから平均年齢が沖縄県が43.1歳で3歳の差があります。それによる月額給料というものが2万5872円沖縄県が高いという試算が出ております。
それから教育職につきましては、同じく3歳高いということで2万5800円相当高いと。
それから現業職についてもそういう状況でありますが、そういったことにつきまして私どもとしては先ほども説明しましたように現在特に47歳以上に固まっている年齢構成を何としてでも、また25年あるいは30年後に同じことを繰り返しちゃいけないというふうなことになります。
復帰直後は日本一平均年齢が低いと威張っておりましたけれども、結果としてはそれは日本一高い平均年齢になってしまったと、こういう一面があります。そのことを二度と繰り返さないような仕組みを平成10年度、11年度からスタートしていくと。こういうことで先ほども申し上げましたが、中途採用の仕粗みを考える。あるいは先ほども申し上げましたが、そういう管理職手当のダウン、あるいは役職員の削減、こういったものを積極的にやっていくと、こういう考え方でやっていかねばならないというふうなことで、要するに人件費を落とさないとどうにもならないと。
というのは、総事業費に占める人件費でございますが、平成8年度ベースで言いますと九州平均で29%でございますが、我が県が33%も人件費が占めていると。こういうふうなことでこの辺の是正措置がぜひとも必要であると、こういうふうに考えております。
それから、管理職のバランスの問題についてでありますけれども、これは教育庁と知事部局とはほぼバランスがとれております。それから警察職とは職種の内容がいろいろ違います。
そういうふうなことでバランスを簡単に説明できるものではないと、先ほども御説明いたしました。
といいますのは、知事部局の仕事というものが各省にまたがっていると。各省というのは自治省もあれば大蔵省もあり、通産省もあり運輸省もあり農林水産省もあると。そういったものにかかわる事業が全部それぞれの部局にまたがっております。
そういうふうなことで文部省、それから公安委員会、そういうふうな流れと相当程度違うと、こういうふうな一面がありますので、この辺のところは御理解いただきたいと、こういうふうに思います。
それから、人事について公正であるかといいますと、現在各部局におけるそれぞれの部局長の評価、それぞれの部における評価等を通じて職員の適性評価をしながら人事を配置しておりますので、そういう意味では公平に行っていると、こういうふうに理解しております。
それから美術館については金額を落としてでもやった方がいいのではないか、こういうふうなことですが、先ほど申し上げましたように美術館につきましては現在その実施に向けて学芸員の育成、あるいは収蔵品の収集だとか、そういう事前の準備作業を既に行っております。それと並行しながら確実に実行できる手法をどうすればいいのかということを模索しながら総合的に考えてこれは実行に移していくと。
先ほどの埋蔵文化財等のこともございましたけれども、それはそれぞれ公共事業の推進だとか、もろもろのことを言われておりますので、それらも含めて総合的に判断して対処せざるを得ないと、こういうふうなことでございます。
それから、あとシーリング方式とキャップ方式でかえっておかしくなるのではないのかというふうなこともございましたが、シーリング方式はある意味で相当程度財源が豊かなときには、豊かというよりも厳しい中でも比較的運営がやりやすいときにはシーリング方式でやっていくというふうなことが大変重要であります。いわば全体としての需要を抑えるという意味でいいわけですが、そういう需要を抑えるという仕組みではそろそろ限界があると。
というのは、一律に15%カットあるいは20%カットとかいうふうなことでやりますと義務的というんですか、光熱・水道費とかそういったものまで同じようなカットでやってしまって、財政運営上あるいは管理運営上非常におかしくなるケースがあると、そういったこともありまして、キャップ方式ということで5段階に分けまして義務的経費、政策的経費あるいはまた経常的経費と、こういうふうな区分をいたしまして、それぞれごとに枠をはめまして予算を設定していくと、こういうふうなことでやっていくのがキャップ方式であると。
要するに枠を締めた上で必要なものは確実に予算をあてがっていくと、こういう方式でやっていくというのが今回のキャップ方式でございます。
御指摘の試験制度については今後真剣に検討していきたいとこう思います。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商工労働部長(幸喜良秀君) なぜアメリカに労働組合の役員を人選として入れたかということですけれども、調査団に入っていただいたのは、労働問題、そして跡地利用、環境、その他広報、庶務等、この調査団は任務を負わせてありますけれども、労働問題というのは特に当事者である軍で働いている皆さんの組合、そして沖縄全体の労働組合の上部機関である多くの組合を有している連合沖縄の皆さんには特に雇用対策あるいは職業訓練等について一緒に調査をしていただいて、そして基地の整理縮小に伴う雇用対策も一緒に考えてもらうということで入っていただいておりますが、御指摘のフィリピンのスービックについては平成6年の4月に調査をやっておりまして、今回はアメリカを調査をしました。特に労働、雇用問題には連邦政府、特に労働省や国防総省がどういうふうなかかわり方をしているか、それから労働組合、理解をどうしているのかということが非常に重要になりますので、特に連合沖縄や駐留軍の組合の皆さんには米国労働組合総同盟やサンフランシスコ労働協議会等についての協力を得ながら調査をさせていただきました。
その調査結果につきましては、この報告書ができ上がりまして、また今週には向こうからいただきました、関係団体からいただきました英語版の翻訳ができ上がりまして印刷が今週じゅうにはでき上がりますので、この2つの報告書を皆さんにも見ていただこうと思っておりますので、その成果は十分あったというふうに思っております。
以上です。
○議長(友寄信助君) 渡久地 健君。
〔渡久地 健君登壇〕
○渡久地健君 再々質問をいたします。
知事の所信表明の中でも、雇用問題については引き続き県政の最も重要かつ緊急な課題の一つとして位置づけてその解決に全力を挙げて取り組んでいかなければならないと。つまり先ほどから書うように自立する沖縄というのは、もちろん経済的なもの、あるいは精神的な面もありますけれども、雇用の問題については最も大事だというふうに私も思っています。
先ほどから申しますように、アクアパークの問題については大規模雇用開発プロジェクトとして労働大臣の第1号認定を受けながら、結果的には撤回せざるを得ない。
そして先ほど申し上げましたように、従業員の希望退職についても若い人たちの雇用、知事は常々若い人たちが希望の持てる沖縄という中で第三セクターという先ほど投書にもありましたように沖縄県がかかわっているこのような事業を人員整理をしなきゃいけない、リストラをしなくちゃいけないという状況の中にあったとしても、やはり方法論についてはもう少し従業員の立場になって、組合もありませんので、一方的な問題じゃなくて、先ほど観光文化局長は2月25日の希望退職の期限を1カ月間延長すると言いましたけれども、これは本当に従業員の皆さんと話し合った結果そうなったのか、あるいはこの議会で事前通告をやったから1カ月間延ばしたんじゃないかと私は思うんですけれども、そうじゃなくて議会で問題にされようがされまいが従業員の皆さんと、組合はありませんのでじっくりと話し合って再就職の先の問題であるとか、そういうことを親身にやるのが県としての一番の役割じゃないか。そういうことがなしに今回できます雇用開発推進機構、華々しく去年の9月から設立していますけれども、何のための雇用対策か、こういう実態を見ますと県のやっている雇用対策、雇用問題については口ばかりじゃないかという批判を受けても当然だと思います。
したがいまして、この問題については再度知事にお聞きしたいと思いますけれども、このアクアパークの問題、そして大規模雇用対策についての知事の考え方、そして観光文化局長にはもう一度従業員の皆さんと話し合ってちゃんとした形で納得がいくような形で希望退職、人員整理についてやっていただきたいと思いますので、どうぞその辺について観光文化局長の考え方、当然これは株式会社ですので取締役会、総会いろいろあると思うんですけれども、県の方向性としてはちゃんとしたのを示していただきたい。その答弁を聞いて終わります。
以上です。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) お答えいたします。
渡久地議員も御指摘のとおり、雇用問題は県政の直面している最重要課題の一つとして位置づけておりまして、これまで精いっぱいその解決に向けて努力してきたつもりでございます。
担当部局からの報告によりますと、とりわけ10代から20代の初めごろの若者たちの雇用は過去11カ月間、私の記憶に間違いがなけれぱずっと下がり続けているという報告も受けておりますので、今後ともこの雇用問題の解決については精いっぱい努力していきたいと思います。
また、ただいまの問題につきましては株式会社でございまして、今御指摘のとおり会社の事情とかいろいろあると思います。
ただ、大規模雇用促進助成事業については、私自身が労働省からやってきた担当者とぜひとも県内に入れようということで入れた関係もありまして、これを返却せざるを得なかったというのは会社の都合でしたけれども、極めて残念に思っておりまして、先ほども申し上げましたようにこれは一般的には一つの都道府県に1件しか入れられないという助成事業でございますから、ぜひともまた我が県に1件入れようということで担当者と話し合って鋭意入れるために努力しているところでございます。
なお、アクアパークの問題については担当部局が慎重に対応してくれるものと思いますし、また私からもそのように指示しておきたいと思います。
○議長(友寄信助君) 観光文化局長。
〔観光文化局長 照屋寛孝君登壇〕
○観光文化局長(照屋寛孝君) 再々質問にお答えいたします。
アクアパークにおける人員整理の件でございますが、先生のところに窮状を訴える手紙がアクアパークには直接なかったことや、それからその後いろんな電話での問い合わせ等はあったようでございますが、そういうことで会社の窮状あるいは今回人員整理をせざるを得ない状況について、対象の方々に十分理解が行き渡っていなかったという反省と判断から申し出期限を延長すると。
そして、その間に十分な理解と協力のもとに人員整理がまさしく円満に進められるようにやりたいということでございますので、私ども所管部局としまして向こうと連携して一層の努力をしてまいりたいと思います。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後4時18分休憩
午後4時48分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。
平良長政君。
〔平良長政君登壇〕
○平良長政君 社会民主党・護憲共同を代表いたしまして代表質問を行います。
第1の質問は、知事の政治姿勢についてであります。
大田さんが知事に就任して7年が経過し8年目に入りました。まさに寝食を忘れて私心なく県民に尽くした7年間だったと思います。
平和の礎や2015年基地全廃の基地返還アクションプログラムに示される平和行政の推進、そして全県フリーゾーンを中心とした国際都市形成構想で示された沖縄県の自立を目指した経済振興策の推進が大田県政の大きな2本柱であったと思います。
特に後者は、沖縄にとって100年に一度の世がわりのチャンスと県民を奮い立たせました。しかし道半ば、平和も経済もこれからです。歴史の歯車を後ろへ戻してはいけません。沖縄県の今後100年を決めかねないこのときに、大田知事3選への県民の熱い思いが大きなうねりとなって寄せられております。
そこで質問いたします。
1、大田県政7年間の成果・到達点と残された課題は何か。
2、天の声は大田3選、平和・共生・自立の沖縄をさらに進展させるため出馬表明を願いたいと思います。
第2の質問は、基地問題についてであります。
忘れてなるものか 52年前の戦争 沖縄 ヒロシマ ナガサキの悲痛 そのとき沖縄は日本でただ一つ米軍の上陸による地上戦の犠牲になった 罪なき幼子が 年寄りが 女性が 米軍の銃火と艦砲で無残に殺傷された 日本兵は助けてくれなかった その地獄を忘れはしない そしていまなお沖縄は米軍基地に「占領」され続けている そこには平和も安全も日本国憲法もない そのときヒロシマ ナガサキは人類史上初の原子爆弾の犠牲となった 罪のない人間が 大量無差別に残酷に殺傷された 放射能 熱線 爆風が人間の命を奪ったその「ケロイド」はいまなおつづき これからもつづく その地獄を忘れはしない いま ヒロシマ ナガサキのねがいは遠い 核廃絶の道遠く ヒバクシャはなお原爆症で生命をうばわれている このような「戦争の犠牲」 そしていまなお戦争をひきづっている私たちは 憲法制定50年を期して 力を合わせたいと思う 基地と核のない日本 世界 現在と 未来をつくるために 「憲法の平和主義」にしっかり立脚し ともにすすみたいとねがう わたしたちは、戦争に直接、間接かかわる 一切の条件を「拒否」し 否定する いま核時代にあって 戦争は人類の破滅を招来するからに外ならないからである わたしたちの生き地獄から生命をよみがえらせた人間として 軍事基地 軍事同盟 軍隊も容認しない 戦争はもうごめん 基地はもうごめん 核はもうごめん この叫びをつらぬき そのためにともに 三つのいたみを ともに背負い 歴史的役割を果たしたいと心に刻む わたしたちは 護憲 平和 反基地 反核のため その先頭に立つ 社民党の歴史にたくましくその生命を燃焼させたい 今日ここに 社民党三県が集い 決意をあらたにし 平和創造のために立ちあがった
このアピール文は、昨年6月3日に沖縄で開催された「広島・長崎・沖縄三県平和研究交流会議」の結成総会で採択されたもので、我が党の護憲、平和、反基地、反核の決意を示すものとしてまず御紹介させていただきました。
さて、昨年9月に日米両政府で取り交わされた新ガイドラインは、これまで専守防衛と言ってきた政府が、他国とアメリカとの戦争が勃発した際、周辺有事ということで直接日本を攻撃しない場合でも日本はアメリカの戦争に協力、支援するというもので、明らかに憲法で認められていない集団的自衛権に抵触し、日米安保の軍事的強化、拡大策にほかなりません。
日本外交はアメリカ一辺倒で、ロシア、中国、南北朝鮮、そして東南アジアの国々と仲よくなれません。さきのアジアの侵略戦争をきちんと反省し謝罪するところから出発しなければなりません。
私は、日米二国間の安保体制は今や時代おくれの形態であり、ヨーロッパのOSCE(欧州安保協力機構)のような集団的な平和協力機構に変えるべきだと考えております。
特に世界に誇るべき平和憲法を有する我が国は、アジアでの有事の際、一方の側に立って戦争に加担するのでなく、戦争をやめさせる、あるいは戦争が起こらないようにする誠実な調停者、仲介者となるべきだと思います。
私たちはアメリカとも仲よくしながらも、同時に日本の隣国であるロシア、中国、南北朝鮮とももっと仲よくして平和のテーブルに着き、戦争が起こらないように平和の醸成にこそ力を尽くすべきです。その意味でも新ガイドラインは認めることはできません。我々は、アジアの国民に再び銃口を向けてはならないのです。
アメリカのフルブライト元上院議員もその自伝の中で次のように述べております。私は、日本の平和憲法とそれに基づく国連中心外交、非武装政策を最も高く評価する一人店私が望むのは、日本が大国にふさわしい知恵と金と設備、人材を提供して世界平和のための貢献をしてほしいということだ。平和維持に軍事力以外の方法があることを身を持って示し、アメリカにその範を垂れてほしいと願っていると。
どうでしょうか。アメリカの著名な人の中にも平和憲法を評価してくれる人がいるのです。自信を持つべきでしょう。
さて、普天間基地の代替施設をめぐってこの半年間大揺れに揺れました。辺野古の海上ヘリ基地に対する名護市民の意思は市民投票でノー、知事もノー、名護新市長も知事の判断に従うとしてノー。ノーが3つそろったのですから、政府は県内移設を断念すべきであります。
我が党は、本年2月12日に東京で沖縄総合本部の会合を開き、沖縄県連合からは私が参加いたしましたが、沖縄からの提案で普天間基地は県内、国内ではなく、グアム、ハワイなど国外に移設すべきだとの結論を得、グアムとハワイ、本国へ基地調査団の派遣を決定いたしました。
ペンタゴンの4年ごとの国防計画(QDR)の次回見直しは2001年であり、それまでに日本政府は普天間基地の撤去と海兵隊の削減を日米協議にのせるべきであります。
そこで質問いたします。
1、日米二国間安保体制から東アジア多国間安保協力体制へ移行すべきと思うがどうか。
2、平和憲法を持つ我が国の任務は一方の戦争当事国(戦争加担)ではなく、平和のための誠実な調停者、仲介者であるべきと思うがどうか。
3、普天間基地(海兵隊)は国外(グアム、ハワイ、アメリカ本国)へ移設すべきで、日本政府は対米交渉にのせるべきだと考えるがどうか。
4、アメリカは財政再建策で国防予算の38%、兵力で33%も削減しました。冷戦が終結した今日、日本も軍事費や思いやり予算に大胆にメスを入れ、財政再建と不況克服への道を探るべきと思うがどうか。
5、韓国の大統領に選ばれた金大中氏と会談し、沖縄と韓国の平和友好のきずなを結ぶことは有意義と考えるがどうか。
6、沖縄の基地問題解決の有効な方策の一つは、アメリカ世論に訴えること。これまでも試みられているが、以下のような方策を継続することが大事なことだと思うがどうか。
(1)、インターネットのホームページヘ基地関連情報等事件・事故、自然環境破壊、ノグチゲラやジュゴンなどの貴重種・固有種の紹介、基地の産業振興への悪影響等々の積極的発信。
(2)、上記の情報をパンフやビデオにまとめて配布する。配布先は正副大統領、上下両院議員、アジア・日本研究者、シンクタンク、自然環境保護団体、学校を含めた各種図書館等々。
(3)、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNN等への意見広告。
7、、継続した知事訪米はようやくアメリカ世論を動かし始めたようであり高く評価しているものでありますが、ことし5月に予定されている今回の知事訪米団の訪問先や概要についてお聞かせください。
第3の質問は、新しい沖縄像についてであります。
1、新しい全国総合開発計画について。
新しい全国総合開発計画が今春策定される運びとなりました。昨年10月に発表された計画部会審議経過報告によりますと、沖縄のよき理解者、応援者である下河辺淳さんなどの御努力もあってと思いますが、沖縄にとってはすばらしい位置づけになっているように見受けられます。
以下、質問いたします。
(1)、沖縄関連部分で4全総と違う点は何か。
(2)、同じく沖縄関連で評価できる点は何か。
2、琉球諸島特別自治制の構想について。
自治労は、復帰10年目を迎えた1981年、特別県制構想を出して世に問いました。憲法95条に基づいて沖縄に特別の自治制「特別県」を設置するというものでしたが、これを発展させてことし2月20日に琉球諸島特別自治制の構想を発表しました。自立した沖縄、地方分権の確立を考える場合、大変有意義な提起と思われます。
そこで質問いたします。
(1)、今回提案された自治労の琉球諸島特別自治制の構想について知事の感想をお伺いしたい。
第4の質問は、沖縄の経済振興策についてであります。
名護市辺野古の海上ヘリ基地をめぐるせめぎ合いの中で、政府・自民党はなりふり構わぬあめとむち、洞喝を繰り返しました。海上基地を認めなければ北部振興策も沖振法改正も凍結、21世紀プランも凍結などとヘリ基地建設と経済振興策のリンク論を振りかざしたのであります。しかしリンク論を否定したのは橋本総理でした。
昨年11月21日の復帰25周年式典の記者会見で、リンク論というのは悲しいと明言したのであります。政府は、基地とは切り離した振興策をきちっと実行すべきであります。
沖振法の改正案が2月13日に閣議決定され、今国会に提案され可決される見通しであります。政府の努力に敬意を表するものですが、その改正案には県が要望するFTZの制度はありません。2005年がめどでありますから、それ以前にできるものからやるということであればそれでもよいわけですが、自民党税調での山中貞則委員長の一国二制度的なものはだめとの後退した発言に接すると心配であります。
昨年4月10日の自民・社民・さきがけの与党3党の8項目合意では、自由貿易地域の拡充強化については一国二制度的な大胆な改革を目指すとなっております。政府・自民党には約束は誠実に守ってもらわなくてはなりません。
以下、質問いたします。
1、政府・自民党の基地と経済振興のリンク論は極めて不愉快であるが、知事はどう考えるか。
2、沖振法が改正され法人税軽減や投資減税控除等が図られることになり喜ばしいことでありますが、2005年をめどとする全県自由貿易地域制度の導入との関連はどうなのか。
3、税制上の優遇措置だけでは東アジア諸国の企業誘致策には及ばない。企業が国や地域を選ぶ時代を迎え魅力ある投資先として県はどのような企業誘致策を考えているか。
4、橋本総理が復帰25周年式典で表明された沖縄経済振興21世紀プラン及びそのベースとなるNIRA最終報告にいかに沖縄側の意向を取り入れさせるかは極めて重要と考えます。沖縄政策協議会などで要望して県素案を盛り込んだプランにしてもらうべきだと思うがどうか。
5、金のかかる港湾整備事業などで台湾などの外国資本を導入してのBOT(BILT OPERATION TRANSFER)方式を考えてみてはどうか。
6、海洋深層水を利用した新たな産業の創造は大いに期待できる。農業、水産業、偉康産業等多分野での産業に結びつける研究も必要である。タラソテラピー(海洋療法)と結べば観光の目玉ともなる。事業の進捗状況と人的体制についてお伺いいたします。
第5の質問は、マルチメディアアイランド構想についてであります。
1、情報通信産業は、21世紀に大きく成長する分野であると思われます。マルチメディアアイランド構想については、県民の利便性の向上に役立つものと、産業として将来の稼ぎにつながるものとを選別する必要があります。産業の稼ぎ手となるものは何か、示してください。
2、私も昨年2月定例会で提案いたしましたが、沖縄経済ミッションの第二分科会で提案されている世界最大のマルチメディア大学をつくることについてどう考えますか。
第6の質問は、観光振興についてであります。
入域観光客数は1996年が346万人で、昨年97年が387万人、1年で41万人、11.8%増であります。知事を初め関係者の御努力に敬意を表したいと思います。
第3次振興計画終了年の2001年の目標は500万人ですから、昨年の387万人は目標達成に向けて確信の持てる数値を示したものと喜んでおります。ことしはいよいよ400万人台であります。
以下、質問いたします。
1、県経済のリーディング産業としての観光産業の将来の展望はどうなっているか。
2、観光収入は県外受取額でもGDP効果でも第1位であるにもかかわらず予算が小さい。重点的に傾斜配分すべきではないか。
3、観光振興の面からも2000年サミットの沖縄開催を実現してほしい。誘致に向けての進捗状況はどうなっているか。
4、誘客拡大のためには航空路開設が必須条件である。海外航空路開設はどうなっているのか。
5、今後航空運賃値下げをどのように実現させていくか、また冬場のシルバー割引やフルムーン割引なども航空会社に要求すべきと思うがどうか。
6、現在は二、三泊の団体旅行が主流だが、将来的には個人やグループの長期滞在型に移行すると思われます。廉価な宿泊施設が必要となりますが、どのような方策を考えておりますか。
7、長期滞在となれば海水を利用しての海洋療法施設(タラソテラピー)などで魅力を高める必要があると思うが、海洋療法施設の進捗状況はどうなっていますか。
第7の質問は、雇用問題についてであります。
1、失業率が全国の2倍もある我が県で雇用問題は最大の課題の一つであります。幸いにして昨年9月に雇用開発推進機構が設立され、国の調整費から10億円が配分され解決に向けてスタートいたしました。
ところで、現在、陣容も少ないようだがどのような事業をしているのか、そして平成10年度はどのような事業計画を持っているか。願わくは13億近い予算でありますので、有効に活用し雇用問題の解消に向けて大きく前進させてもらいたい。そのため職員も大幅に増員して実を上げてもらいたいと思うが、いかがでしょうか。
第8の質問は、福祉行政についてであります。
1、福祉のまちづくり条例の施行規則もでき上がり、いよいよことし4月1日から施行されます。県民への広報、市町村や事業者の協力体制、審議会の設置、モデル推進地区の指定など準備状況を説明してください。
2、高齢者や障害者に優しい福祉の町づくりを進めるためにはもろもろのバリアフリー化を推進する必要があります。リフトつき路線バスの運行についても進めてもらいたいがどうか。
第9の質問は、環境問題についてです。
1、ジュゴンは国際的にもワシントン条約で指定された希少動物であり、我が国でも天然記念物としても指定されております。国のキャンプ・シュワブ沖調査でも日本テレビの取材でもその姿が写真撮影されました。世界的に絶滅が危惧されているジュゴンを調査し保護すべきと思いますが、御見解をお聞かせください。
2、赤土防止対策について。
(1)、条例施行後2年が経過いたしましたが、赤土流出量は施行前と比較してどうか。
(2)、赤土監視員の配置はどうなっているか。
(3)、事業者や農家の意識の変化はどうか。
(4)、既存農地対策はどうなっているか。
(5)、国や米軍との協力はうまくいっているか、立入調査も迅速に行えているか。
第10の質問は、教育行政についてです。
1、1994年、愛知県で大河内清輝君がいじめを苦に自殺したとき、私はこの本会議場でいじめ問題を取り上げましたが、我が国の教育環境はあのときよりひどい状況になっているようです。栃木県黒磯市の中学校で女性教師が1年生の生徒にナイフで刺され死亡しました。そして次々と刃物を使った刺傷刺殺事件が起こっております。
新聞報道から現在の教育の実態について大人の意見を拾ってみますと、
甘やかされて育ち、他人のことを考えたり、我慢したりといったことを教えられていないので、自分の欲望は何でもかなえられると思っている。耐性のない今の子どもは、6時間も座って授業を受けることには耐えられない。 いつも何かをされるのではないか、傷つけられはしないかとピリピリしているからナイフを持つと安心するのでしょう。 内申書で精神的に抑え込まれ、ストレスがたまり、どの子も危ういところにいます。子どもたちが荒れるのは苦しみを分かってほしいと訴えたいから。子どもの心さえつかんでいれば、突然ブスリなんてことはないと思います。 けれど教師は忙し過ぎる。「もっと触れ合う時間が欲しい。」 子どもは居場所をなくして追い詰められ、身近な人にキバをむくのではないか。事件は起こるべくして起こったと思います。 教師は自分の味方だ、苦しみを理解してくれると信頼すれば、子どもはびっくりするほど素直になる。刀狩りは問題の解決につながらない。持ち物検査に至っては教師と生徒の信頼関係を突き崩してしまい、事態を悪化させるだけだ。
等々です。
次に、中学生の肉声を聞いてみましょう。
ことし学研から出版された「助けて!いじめ・学校拒否・自殺中学生10606人の真実の声」──沖縄の子供の声も数名含まれています──の「大人にいいたいこと!」からの引用であります。
世の中の大人たちにいいたいことは、勉強だけで人間の価値を決めつけないでほしいということです。人間性、つまりその人の心を見てほしいのです。高校、大学、就職、すべてが成績ばかりを基準にしています。今はほとんど(人の人生までも)が、成績で左右されます。勉強はできなくても、人間性は最高の人だっています。そんなところを見ていってほしいのです。一人の人間として見てほしいの!その人のいいところを育てていくということが大人がすべき最大の目標だと私は思う。 とにかく、簡単に人の価値を決めつけないで!!福島/中3。 進学のこと、友だちの こと、いろいろイライラすることがある。特に中3生はせっぱつまってる感じ。どこかでストレスを発散させなきゃ、おかしくなっちゃう。大人はいろいろ好きなことして発散させられるけど、子供はどうしたらいいのかわからない。やっちゃいけないことが多すぎて……。やらなきゃいけないことも多すぎて……。本当、疲れるんだよね。甘えてるっといわれても小さいころから甘やかされて育ってるんだから、急に強くなれないよ。広島/中1。
今、いじめられてる人たちは、きっと支えになってくれるだれかを求めてると思う。自分の心の中で起きていることを必死にだれかに伝えようとしてる。大人はそういう人たちのSOSを受け止めてあげてください。そういう人たちの声に耳を傾けてあげてください。「ひとりぼっちじゃないんだよ。」といってあげてくださ い。いじめにあってる子を、見て見ぬふりだけはしないで!山形/中3。 文部省へお願いです。子供の声をもっと聞いてください。ぼくたちの今の生活はとても忙しいです。週休2日になっても、ぼくたちにはゆとりのある生活なんてないんです。 もっと友だちと遊びたい!授業にクラブ、急いで帰って夕食を食べて、バスに乗って塾へ行く。塾から帰っても学校の宿題。それを終わらせるとやっと風呂に入って眠れるんです。毎日そんな感じで、朝がとてもつらいです。夏休みはクラブと塾の夏期講習でないようなものでした。学校の宿題も山のようにあって、夏休みの最後のほうは「夏休みなんていらない。」と思ったほどでした。こんな生活だとイライラするし、人に対して優しくしてあげようとか、守ってあげようとかそんな気持ちは持てそうにありません。ぼくたちに本当のゆとりの時間をください。広島/中1。 文部省の人はどうして先生を採用するときに試験の成績だけで採用するんですか?もちろん授業ができないような先生じゃまずいよ。でも、もっと生徒の中に溶け込んできてくれて、生きがいをなくしてしまった生徒の心のケアをしてくれるような先生をもっと採用するべきだよ。今は、親も地域も「いじめられていても勉強だけはしなさい。」って感じで不登校してても塾や家で勉強しないといけない。だから、先生くらいは勉強より大切なものがこの世の中にあるってことをみんなに教えてほしい。子供と同じ位置から物事を考えられる先生を採用して!!広島/中1。 大人は私たちを監視しすぎる面があると思う。受験でストレスがたまり、そこからいじめや犯罪などに手を染めていってしまうんだと思う。もっと自由な場所がほしい。世の中、ちょっと息苦しいよ。羽根をのばせる場所がほしいよ!東京/中3。 先生は生徒を、自分の本当の子供だと思って真剣にいじめをなくそうとしてほしい。先生は私がいじめられているとき、休み時間に声をかけてくれたり、いっしょに遊んでくれたことなんて1回もなかった。サイテー!岐阜/中1。 「自分の子供のことぐらいわかる。」なんていってる親!全然わかってな~い!親も共働きで忙しいだろうけど、子供だって学校や塾で負けないくらい忙しい。お互い忙しくて話す時間が少ないってだけで、子供はすごく不安になる。たまには「がんばってね。」 なんて声かけてほしい。1週間に1度ぐらい"親子デー"があって、いろいろ話ができたらいいのにな……。そうすれば不安なこととかもうちあけられるのに。奈良/中1。 クラス40人では先生は全員を見ることができません。文部省の人へ。クラスの人数を少なくするか、ひとクラスに先生をふたりつけるかしてください。若い先生とベテランの年をとった先生というコンビがいいな。そうすれば、先生ももっと注意して子供が見られるはず。岐阜/中1。 よくニュースで「いじめを苦に自殺。」というのを見ます。インタビューではどこの学校の先生も「この学校にはいじめはなかった。」「知らなかった。」と、こればっかり。生徒がどこかで助けを求めていたのに、何で気づかないんだ。現に自分の学校の生徒が死んだのに「知らない。」はないだろ。私たち、子供の立場になって考えてほしい!千葉/中3。 学校でいじめにあっていてもやりたいことがある人や、あたたかい家族がいる人は、きっとがんばっていけると思う。家族から見離されたら終わり。だから、いじめられてる子の家族はその子に冷たくしないで!たっぷり愛情を与えてほしいんです。そうしたら、たとえ不登校になっても自殺してしまうことはなくなると思うから。岩手/中3。
昨年は、神戸の中学生による小学生殺人事件がありました。子供たちの発するSOSを真剣に受けとめなけれぱなりません。次の時代を担う子供たちの心が荒廃すれば未来に希望はありません。これは学校だけの問題ではなく、家庭、社会全体の問題でもあります。
そこで質問いたします。
1、中学生による女教師刺殺事件はショッキングな事件でした。その後拳銃欲しさに警官をナイフで襲う事件などナイフによる事件が相次いでいます。
一体子供たちに何が起きているのでしょうか。子供がむかつき、切れる原因は学校、家庭、社会のそれぞれにあると思いますが、何だと考えますか。沖縄の子供たちも同じ状況でしょうか。
第11の質問は、農業振興策についてです。
沖縄の農業は、復帰後第1次から第3次の振興開発計画に基づいて国、県の積極的な振興策により農業基盤整備事業などのハード面の充実や農産物の県内安定供給はもとより、全国的な販売展開においても菊やランなどの花卉の輝かしい実績を初めマンゴーなどの果樹あるいは最近ではゴーヤーなどの野菜類についても着実に成果を上げつつあります。これもひとえに知事を初め関係各位の御尽力のたまものであり、ここに深く敬意を表する次第であります。
しかし、他方では我が県の農業を取り巻く環境には御案内のとおり県外農産物との競争の激化や農業関係者の高齢化、後継者不足、あるいは本土市場から遠く離れ、台風の常襲地帯であることなど依然として厳しいものがあり、今後の一層の振興発展を図るためには多くの解決すべき課題が山積しております。
とりわけ21世紀の国際都市形成に向けて県を挙げ、自立経済のための仕組みづくりが求められている現在、我が県の農業については食糧自給や国土保全の役割とともに、地場産業として自立経済に向けての大きな原動力になることが強く期待されるのであります。自立経済の「釣り具」としての農業の仕組みづくりが求められているのであります。
ところで、我が県の農業については亜熱帯の気候風土を初めとして他府県にはまねのできない自然的条件などに恵まれていながら、それが十分生かしきれていない理由として、これまでも流通販売部門の弱さが農業関係者によって繰り返し言われてきたところであります。
御案内のように、物をつくるだけでは売れない、売れるためには売るためのノウハウや仕組みが必要であります。技術や生産は半分、残りの半分は売るためのノウハウや仕組みなのであります。しかしながら我が県は本土から隔絶された歴史的な経緯等により、他の産業部門と同様農業分野においても売るためのノウハウや仕組みづくりにおいて大きなハンディを背負っているのであります。
したがって沖縄の農水産業あるいはその他の産業は大きな潜在的な可能性を秘めていながら、それが十分に生かされていない、発揮されていないと思うのであります。
そしてそのことが例えば農産物の生産や供給にはね返って、その安定した体制づくりの重大な阻害要因ともなっているのであります。すなわち、果たして売れるかどうかわからないからそのための安定した生産体制が整わない、整わないから農産物の安定供給ができず、そして安定供給ができないから長期的なビジョンに立った全国市場での思い切った販売攻勢が展開できない。あるいはスーパー、量販店などを含めて多様な流通チャンネルを活用した大規模な契約栽培を可能とする戦略的農業振興策が立てられないといった悪循環に陥っているのであります。
したがって、我が県農業の発展のためにはこのような悪循環を断ち切るべく思い切った対応策が必要かと思われます。それさえできれば我が県農業の粗生産額を現在の1000億円の長期的な低迷状況から、2倍あるいは3倍に持っていくことも将来的には夢ではないと思うのであります。
そこで御要望も含めて質問いたします。
1、知事は昨年、一昨年とダイエーの中内社長と沖縄の産業振興について面談されましたが、我が県の農業を初めとする産業の流通販売部門の立ちおくれを取り戻すためにこの際、思い切ってダイエーその他の量販店等の力をかりて全国津々浦々の店舗に沖縄コーナーを設けるなどして思い切った売り込み作戦をしていただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
2、このような思い切った試みが成功するためには、農業分野では行政を初めとして経済連やJA、農家、その他多くの関係者が一致協力して高所大局に立って多くの課題の克服や利害調整、諸種の条件整備を行うとともに、生産から流通、販売及び生産情報も一貫して含めた人や情報のネットワークや協力体制づくりが必要と考えられます。そのためには推進の中心的な役割を果たすためのプロジェクトチームの発足が農林水産部内に必要だと考えますが、御所見を賜りたい。
3、またこれは同時に農水産物にとどまらず、健康食品その他の沖縄特産晶の販売全般にもかかわるので農林水産部とも連携をとった全庁的なプロジェクトを商工労働部内に発足させる必要があると思いますが、御所見を賜りたい。
第12の質問は、土木行政についてであります。
1、新石垣空港建設について。
新石垣空港の建設は、八重山郡民にとって20年来の宿願であり、一日も早い新空港の着工を待ち望んでいることは御承知のとおりであります。
県が1992年11月に新空港の建設場所として宮良地区を選定して以来、石垣市と一体となり郡民の期待にこたえるため多くの難題を抱えながらも諸調査を推進していることに対し、地元においては新石垣空港の建設に向けて大きく動き出していると評価されております。
観光客を魅了する八重山地域の自然のすばらしさは世界に冠たるものがあり、不況感が強い昨今の社会状況の中でも昨年1997年の石垣空港の乗降客数は129万人余、前年に比べ10万人の増加であったと地元の新聞で報道されており、石垣市と郡民の積極的な誘客活動の成果によって観光客は着実にふえております。
地元においては入域観光客の増加にこたえるべく新たに大、中、小規模のホテルの建設を着工しその部屋数は700室となっていると発表されており、増加する観光客を受け入れる体制を整えつつあります。
建設される新空港は、単に人員移送のみならず農水産物のコンテナによる大量輸送を可能にし、輸送コストの低減などによって八重山地区の第1次産業の発展に寄与し、郡民の生活向上を大きく推進するものと考えております。
県においては、平成8年度から9年度にかけての調査結果を踏まえ、赤土等流出防止対策等について中間報告説明会を開催される等の御努力をされ、宮良地区の新石垣空港建設に対する郡民の理解はますます深まりつつあると思います。多くの郡民の方々から観光客の増加、農水産物の大量輸送等による八重山地区の経済発展、生活の向上の訴えがあり、一日も早い新空港の着工にこぎつけてほしいとの要望が多数寄せられております。
そこで以下質問いたします。
(1)、現在までの調査の状況から宮良地区は空港建設位置として適地と判断されるか。
(2)、地元において建設に反対している地権者もいるが合意形成は可能か。
(3)、新石垣空港建設に向けての今後の見通し、スケジュールはどうなっているか。
2、那覇港の一部事務組合設立について。
那覇港は復帰前は琉球政府の管理でしたが、復帰時点で那覇市管理になりました。その物流機能は沖縄県経済発展の重要な基盤となっており、単に那覇市のみの港湾でなく全県的な役割を担っております。また那覇港は現在那覇市と浦添市にまたがり、那覇埠頭、泊埠頭、新港埠頭、浦添埠頭の4つの埠頭があります。複数の市町村にまたがる港湾は県による管理か、県も参画する一部事務組合による管理が通例となっております。
那覇港は現在「重要港湾」となっておりますが、将来地理的特性を生かして東南アジアとの中継貿易港として重要と認められれば、政令で「特定重要港湾」として昇格、指定される可能性があります。その場合県も参画した一部事務組合方式の方が有利と考えます。
国際都市形成構想の中でも那覇港は重要な位置づけがなされており、一日も早い一部事務組合設立が望まれます。
なお、参考までに申し上げますと、一部事務組合設立についての意思決定は那覇市では平成3年8月13日庁議決定、浦添市では平成9年6月3日庁議決定、県では平成9年8月28日知事決裁で既になされております。
そこで以下質問をいたします。
(1)、国際都市形成構想における那覇港の位置づけはどうなっているか。
(2)、那覇港の一部事務組合設立の準備状況と設立に向けての県の決意を伺いたい。
(3)、一部事務組合設立の時期はいつか。
3、国道58号にかかわる那覇市有地の補償について。
現国道58号は、復帰の際に軍道1号と両サイドにあった市道が政令によって国道として指定されたもので、その市道部分は米民政府の軍事占領政策を優先にした都市計画案に基づき戦災復興土地区画整理事業の中でやむなく生み出されたものです。つまり那覇市の戦災復興都市区画整理事業においてはその市道配置の必要性はなく、当初計画では一般宅地の配置案でありました。
ところが米国民政府は布令117号の「軍道の舗装部分から7.5メートル以内には個人の所有するいかなる建造物の建設も許さない」との規制を盾に市案を拒否したため、やむなく軍道を補完する形で軍道の両サイド約1800メートルにわたって変則的に市道を配置せざるを得なかったものです。
このように当該市道は、その形成において米軍占領下における戦後沖縄の特殊な歴史的背景が存在しており、実質的に軍道のつぶれ地の性格を有しております。
那覇市の補償要請に対して国は、道路法11条によりその使用目的の同一性及び公共性にかんがみ無償譲渡もしくは無償使用が相当であると回答しております。
しかしながら、上述のとおり当該市道は戦災と米軍支配という特殊事情の中で生み出されたものであり、その形成過程から道路法を機械的に適用させるのは不合理であり、あくまでも戦後処理の一環としての補償を要請するものです。
県においても市と共通認識のもとで全面的な支援を行うべきと考えます。
さらに、この戦災復興事業に関して、本土の広島市や長崎市等の戦災都市に対して国は特別の手厚い援助を行い、町の復興を実現しております。
しかしながら、同様な戦災をこうむった本県にあっては米軍施政権下であることを理由に一切の国庫補助もなされず、市民と市行政の力のみで戦災復興土地区画整理事業をなし遂げたところであり、市は戦災復興に当たって必要以上な負担を余儀なくされているところです。
那覇市の国への補償実現に向けて県の特段の御支援をお願いするものです。
そこで以下質問をいたします。
(1)、国道58号の軍道つぶれ地は戦後処理、復帰処理の一環として国に要求すべきものと考えますが、どうですか。
第13の質問、最後の質問ですが、文化行政についてであります。
1、県立美術館の建設について。
県立美術館は、すぐれた美術作品の収集、鑑賞、啓発、研究を通して県民の情操豊かな人間性を涵養し、地域に根差した文化の発展に寄与することを目的として建設されるものと考えております。
県民に多様な芸術鑑賞の機会や創造性を高める場を提供すると同時に、芸術文化の活動を通じてアジア地域や沖縄の発展に貢献する国際化時代の拠点としても期待されるところであり、県民は美術館の開館を待ち望んでおります。
そこで以下質問いたします。
(1)、美術館の建設スケジュールはどのようになっていますか。
(2)、美術品の収集や学芸員の養成など平成10年度に取り組む内容はどうなっていますか。
質問は以上であります。御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 平良長政議員の御質問にお答えいたします。
まず7年間の成果・到達点と残された課題は何かという趣旨の御質問でございます。
私は、これまで基地及び戦後処理問題の解決を初め平和行政、国際交流の推進、学術文化の振興、女性の地位向上などに取り組むとともに、高齢者の保健福祉の向上や乳幼児医療等の母子保健対策の充実に努めてまいりました。さらに厳しい雇用情勢に対処するため雇用開発推進機構の創設や若年者の雇用の促進に力を入れてまいりました。
また、21世紀の沖縄のグランドデザインである国際都市形成構想や国際都市形成に向けた新たな産業振興策を策定するなど、「自立する沖縄」をつくるため積極的に取り組んでいるところであります。
しかしながら基地問題や雇用問題、産業の振興など依然として重要な課題が残っています。そのため米軍基地の計画的かつ段階的な返還を促進するとともに、国際都市形成構想の実現に向けた諸施策を推進し本県の経済的自立を目指す特色ある産業の振興を図るほか、国の内外で活躍し得る人材の育成などに全力で取り組んでいきたいと考えております。
次に、3選への出馬表明を願いたいという趣旨の御質問でございます。
私は、沖縄の現状がとても厳しいことに加え解決すべき課題が山積している中、残された任期を基地問題を初め産業振興、雇用問題など諸問題の解決のため全力を尽くし県民の負託にこたえてまいりたいと考えています。
次に、日米二国間安保体制から東アジア多国間安保協力体制へ移行すべきだと思うがどうかという趣旨の御質問でございます。
日米安保条約については二国間の軍事同盟的なものではなく、これを多国間の平和友好的なもの、経済文化的側面を重視したものに改め、軍事力ではなく、経済や文化交流等を通じた平和友好的な関係を構築することによって国の平和と安全を確保することが望ましいと考えています。
次に、平和憲法を持つ我が国の任務は一方の戦争当事国ではなく、平和のための誠実な調停者であるべきと思うがどうかという御質問でございます。
御承知のとおり、日本国憲法は平和主義、国民主権主義、基本的人権の尊重という崇高な理念を掲げた世界に誇れる平和憲法であります。同憲法の基本理念である平和主義を貫くことによって、積極的に国際社会の平和構築に貢献していくことが必要であると考えています。
次に、普天間基地(海兵隊)は国外(グアム、ハワイ、アメリカ本国)へ移設すべきで、日本政府は対米交渉にのせるべきと考えるがどうかという趣旨の御質問でございます。
沖縄に駐留する米軍の主力は海兵隊であり、基地面積において沖縄の米軍基地の約75%、兵員数では在沖米軍2万8000人の約60%に当たるおよそ1万7000人が海兵隊員となっています。したがって海兵隊の兵力削減によって事件・事故や犯罪の減少が期待でき、また演習等による自然環境の破壊の防止等県民の負担がかなり緩和されると考えています。
このことから、県は基地の整理縮小とあわせて兵力の削減、とりわけ海兵隊の削減について日米両国政府に積極的に働きかけていきたいと考えています。
次に、軍事費や思いやり予算に大胆にメスを入れ財政再建と不況克服への道を探るべきだと思うがどうかと、米国の国防予算の削減なども絡めての御質問でございます。
御提言の趣旨につきましては、平和憲法の理念に沿い国政の場で真剣に論議が深められることが望ましいと考えております。
次に、韓国の大統領に選ばれた金大中氏と会談し、沖縄と韓国の平和友好のきずなを結ぶことは有意義と考えるがどうかという趣旨の御質問でございます。
沖縄と韓国とは平和友好的に交流をしてきた歴史があり、現在那覇─ソウル間にはアシアナ航空の国際線が開設され、県観光コンベンションビューローがソウル市内に事務所を設けています。
また、平和の礎に韓国人戦没者の氏名を刻銘するに当たっては韓国関係者の協力等がありました。
平成8年には、沖縄県知事と済州道知事が韓国において会談、共同声明を発表し経済、学術文化等の交流を推進するとともに、友好提携に向け努力しているところであります。
特にことしは、韓国済州道を初め中国海南省、インドネシアのバリ州、沖縄県の4者で沖縄において国際フォーラムを開催する予定となっています。今後とも機会があれば韓国の指導者等にお目にかかり、平和友好交流を促進してまいりたいと考えています。
次に、新しい沖縄像との関連で、今回提案された自治労の琉球諸島特別自治制の構想について感想を聞きたいという趣旨の御質問でございます。
全国的な組織である自治労が本県の振興方策に関して政策提言をしていただいたことに敬意を表します。
提言の内容としては、沖縄経済の自立と持続可能な発展の方向を示すとともに、米軍用地の転用や雇用の促進のための方策が示されています。
また、沖縄の自立に向けた制度として憲法の枠内における琉球諸島特別自治制の構想についても言及されています。特別自治制度などについて県はこれまで正式に検討したことはありませんが、地方自治制度のあり方に関する貴重な提言として受けとめたいと思います。
次に、沖縄の経済振興策との関連で、政府・自民党の基地と経済振興のリンク論についてどう考えるかという趣旨の御質問でございます。
沖縄の振興策については、平成8年9月10日の総理談話で示されているように、さきの大戦から今日までの沖縄県民の苦しみと負担の大きさ、そして依然として存在する沖縄と本土との経済的格差を埋めていくための施策として取り組まれているものと理解しています。その方策として沖縄に関する基本施策を協議する沖縄政策協議会が設置され、また沖縄特別振興対策調整費が計上されています。
このような経緯から、沖縄の振興策については今後とも前向きに取り組んでいただけるものと期待しており、国の理解と協力が得られるよう引き続き要請してまいりたいと考えています。
次に、沖振法が改正され法人税軽減や投資税額控除等が図られることになる、2005年をめどとする全県自由貿易地域制度の導入との関連はどうなっているかという趣旨の御質問でございます。
今回の沖縄振興開発特別措置法の改正案は、特別自由貿易地域制度の創設や自由貿易地域制度の拡充強化など、当面、地域限定型を前提とした措置を講じる内容となっており、県の新たな産業振興策の実現に向けた第一歩となるものであると考えています。
全県自由貿易地域制度の導入については、今後農林水産業、既存企業等の振興やインフラの整備など諸条件の整備を行う中で引き続き国と協議してまいりたいと考えています。
次に、同じく沖縄の経済振興策との関連で、魅力ある投資先として県はどのような企業誘致策を考えているかという趣旨の御質問でございます。
今回国会に提出された沖縄振興策に係る税制改正案は、新たに特別自由貿易地域や情報通信産業振興地域、観光振興地域を創設するとともに、これらの地域における法人税等を大幅に軽減するものであり他県にはない制度であることから、本県への企業誘致の大きなインセンティブになるものと期待しています。
県としては、さらなる魅力ある投資環境を整備していくため、これらの税制上の優遇措置に加えて輸入割当枠の撤廃、輸出入手続や入国手続の簡素化、運輸関連の規制緩和、空港、港湾等の基盤インフラの整備等についても重要であると考えています。したがいまして、沖縄経済振興21世紀プランの中で所要の措置が講じられるよう国に対し引ぎ続きお願いしているところであります。
また、これらの対応に加え、沖縄県工業等立地促進条例に基づく企業立地に関する補助制度の拡充強化を検討してまいりたいと考えています。
なお、今後の誘致活動につきましては、これらの新たな措置を踏まえながら国内企業や台湾、香港等の海外企業の誘致に向け企業訪問、誘致懇談会、企業誘致広報等の活動を強化してまいりたいと考えています。
次に、沖縄経済振興21世紀プラン及びそのベースとなるNIRA最終報告は、県素案を盛り込んだプランにすべきと思うがどうかという御質問でございます。
総合研究開発機構──これはNIRAでございますが──の沖縄振興中長期展望についての検討調査は、県の新たな産業振興策を踏まえ、長期的視野から沖縄の振興策の重点化、体系化を図ることを目的に実施しています。平成9年11月には中間報告が提出されていますが、おおむね県の新たな産業振興策の趣旨に沿った内容となっています。
また、沖縄経済振興21世紀プランは、沖縄経済自立化に向けて重点的施策の具体的体系化を図るために策定することになっています。
21世紀プランの策定に当たっては、国際都市形成構想及び新たな産業振興策の趣旨に沿った取りまとめがなされるよう国へ要望していきたいと考えています。
次に、観光振興との関連で、県経済のリーディング産業としての観光産業の将来展望についての御質問でございます。
平成9年の入域観光客数は好調に推移し、対前年比11.8%増の387万人を達成しました。また平成10年の入域観光客数の目標値は、対前年比6%増の410万人に設定しております。
本県の観光産業を持続的に発展させるためには、第3次沖縄振興開発計画を初め平成9年5月に策定した国際都市形成基本計画や、同年11月に決定した「国際都市形成に向けた新たな産業振興策」の基本方向に沿って本県の豊かな自然条件や特有の歴史、文化等を積極的に生かして国際的な観光・保養基地の形成を図る必要があります。
このため空港、港湾、道路等の交通基盤の整備とあわせて県内外と有機的に結ぶ交通ネットワークの形成を図ってまいります。
また、一層の受け入れ体制の充実を図るため固有の歴史や文化資源の活用、「めんそーれ沖縄県民運動」の拡充、国内外のマーケティング・リサーチを踏まえた戦略的な誘客プロモーション活動の展開及び地域経済により一層の波及効果をもたらすための関連産業との連携強化を計画的に図ってまいります。
当面の目標であります3次振計の入域観光客500万人の達成に向けては、平成10年度から平成13年度を計画期間とする沖縄県観光振興基本計画後期行動計画を早期に策定し、各部局との緊密な連携のもとに各面の観光振興施策を総合的に推進していく考えであります。
次に、観光振興の面からも2000年サミット沖縄開催を実現してほしいと、進捗状況はどうなっているのかという御質問でございます。
2000年サミットの誘致については、県内外における諸調査の結果を踏まえて本県で開催する場合のモデルプランの試案を作成し関係者との協議を進めるなど、機運の醸成に努めてまいりました。
また、誘致活動の推進体制については昨年の10月に庁内に2000年サミット誘致推進プロジェクト班を設置いたしました。
さらに、12月には民間と行政が一体となった沖縄県サミット誘致推進協議会が発足し、県民を挙げての誘致活動を展開していく体制は整いました。
現在、同協議会の専門部会であるホテル部会と連携しながら国に要望するための沖縄開催のモデルプラン等の作成作業を進めているところであります。
サミットの誘致については、平成10年度予算案に誘致広報活動のための経費を計上しているところであり、また3次振計後期の主要事業推進計画にも盛り込んでいるところであります。県としては、引き続き誘致に向けての取り組みを強化してまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 平良長政議員の基地問題についての中で、インターネットのホームページによる基地関連情報の積極的発信についてお聞きしたいということについてお答え申し上げます。
インターネットによる情報発信は、基地問題を解決する上で一つの有効な手段だと考えております。本県のホームページにおいてもこれまで訪米事業の概要や最高裁判所大法廷における意見陳述、県民投票の結果及び日米地位協定の見直しに関する要請内容など、本県が抱える基地問題の現状を発信してきました。
また、この2月に新しく作成したホームページでは米軍基地の各施設ごとに上空写真とその概要を紹介しており、基地が集中する本県の実情をわかりやすい画面で発信をしております。さらに2月6日に行った海上ヘリポート基地建設への反対表明についても同様に発信をしております。
県としましては、今後もインターネットを活用し、国内はもとより米国を含む世界の人々に対し本県の基地問題を訴え、その解決に向けあらゆる角度から粘り強く情報を発信していきたいと考えております。
次に、基地関連情報をパンフやビデオにまとめて米国の各機関に配布することについてお答え申し上げます。
県は、これまでも訪米要請等の際に沖縄の基地の実情等を掲載した英文パンフレットや英語版ビデオ等の資料を要請先の米国政府機関や議会関係者、専門家、シンクタンク等に配布をしてまいりました。これらの配布資料は、沖縄の基地問題に対する米国人関係者等の理解を深める上で大きく役立っていると考えております。
今後とも、あらゆる機会をとらえて沖縄の基地問題への理解と協力を得るため積極的に広報活動を展開してまいりたいと考えております。
次に、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNN等への意見広告についてお答え申し上げます。
県は、これまでワシントン・ポストや米連邦議会院内紙等に沖縄の基地の実情を訴えた意見広告を掲載してきました。また昨年4月訪米した際、県は米国テレビ局のインタビューやナショナルプレスクラブにおける記者会見の場で基地問題に対する沖縄の立場を主張しました。
県としましては、今後とも有力なメディア媒体である米国テレビ局や新聞社からのインタビュー、あるいは新聞への意見投稿等を通じて一人でも多くの米国民に沖縄の基地問題について理解を深めていただくよう積極的に対応してまいりたいと考えています。
次に、ことし5月に予定されている知事訪米団の訪問先や概要について聞きたいということにお答え申し上げます。
訪米の日程、要請先、要請の内容等につきましては現在内部で調整中でありますが、要請先の都合も勘案しながら適切な時期、お会いする方々について決めていきたいと考えております。
また、今回の訪米は基地の整理縮小、基地被害の防止及び在沖米軍の兵力削減、とりわけ海兵隊の削減問題を中心に据え、基地の環境問題等についても取り上げて米国政府機関や議会関係者等に積極的に働きかけるだけでなく、米国の主要なシンクタンクや外交、防衛問題等に精通した著名な研究者などとも意見交換を行い、沖縄の基地問題に理解と協力を求めていきたいと考えています。
また、訪米メンバーには基地関係市町村長を加えることも検討しております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 新しい全国総合開発計画との関連で、まず4全総と違う点、それから評価できる点は何かという2つの御質問でございますが、一括をしてお答えいたします。
新しい全国総合開発計画は、ことし3月末をめどに策定作業が進められており、昨年10月に計画部会審議経過報告が公表をされております。
同報告の中の沖縄に関する部分について4全総と比べてみますと、違う点は本県が提示した国際都市形成構想を踏まえる形で特色ある国際交流拠点としての位置づけや、地域特性を生かした産業の振興の方向が一層明確に示されていることであります。
例えば、沖縄地域を中心とした3000キロメートルを視野に入れつつ、アジア・太平洋地域を相互に結び、南北のかけ橋となる独創的な交流を進めていくことが示されております。また国際的な学術研究施設等を整備して魅力ある国際都市を形成すること、さらに自由貿易地域の拡充を初めとする新たな産業振興策の方向が示されております。
評価できる点でございますが、申し上げましたように国際都市形成構想の考え方が取り入れられたことはそのまま評価できる点として挙げられるものと考えております。
次に、沖縄の経済振興策との関連でBOT方式についての御質問でございます。
空港、港湾等の社会資本整備は、国際都市形成に向けた新たな産業振興策を図る上で極めて重要であります。これらの整備に当たっては公共事業により計画的に進められているところでございますが、厳しい財政状況や公共事業のあり方が問われている現状も勘案して新たな整備手法等を検討していく必要があると考えています。
海外におきましては、民間企業が政府との契約により道路など公共インフラプロジェクトの建設、運営を行い、開発コストの回収後に政府に引き渡す方式、いわゆるこれをBOT方式と言っておりますが、そのような方式で整備が行われております。
県は、昨年国に要望した「国際都市形成に向けた新たな産業振興策」において、海外において広く活用されているBOT方式など民間事業者の役割を重視した手法を取り入れることも検討していく必要があるとしております。今後、公共インフラの整備手法の一つとしてBOT方式等の導入を検討していく必要があるのではないかと考えております。
次に、海洋深層水関連事業の進捗状況とその体制でございます。
海洋深層水の総合利用を図るため、平成8年度は海洋深層水総合利用計画についての基本方針を策定するとともに、水産分野と農業分野の実用化研究に着手をいたしました。また平成9年度は取水施設、研究施設の実施設計を行うとともに、取水管の製作に取り組んでいるところでございます。
今後のスケジュールといたしましては、平成10年度に取水管の敷設及び研究施設の建設に着手し、平成12年度には供用開始する計画であります。これらの計画を円滑に推進するため、平成10年度から海洋深層水利用推進体制を整備することを考えております。
また、海洋深層水は清浄性を有していることから、表層水を利用した海洋療法と比べより効果があると言われています。そのため、海洋療法施設等への深層水の利活用についても検討していきたいと考えております。
次に、マルチメディアアイランド構想の関連の御質問でございます。
まず1つは、マルチメディアアイランド構想の中で産業の稼ぎ手となるものは何かとの御質問でございます。
マルチメディアアイランド構想では、情報通信産業の集積、県民生活に寄与する先進的な情報システムの実現、技術人材の集積、情報通信基盤の整備の4つの分野においてそれぞれ施策を検討しているところであります。
中でも、国際都市形成に向けた新たな産業振興のため情報通信産業の集積は重要であります。その対象となる情報通信産業としては電気通信業、放送業、ソフトウエア業、情報処理・提供サービス業、映画・ビデオ制作業、情報記録物製造業等が挙げられます。
また、現在沖縄振興特別調整費による事業として国が行っている調査の中でも本県において集積を促進すべき産業について検討を進めているところであります。
次に、沖縄経済ミッションの第二分科会で提案されている世界最大のマルチメディア大学をつくることについての御質問でございます。
マルチメディアアイランドの形成において人材の育成は重要な課題であり、産業集積の核としての学術研究機関の果たす役割は大きいものがあると考えております。人材の育成については、初等中等教育から大学等の高等教育研究機関、企業における技術者養成等多方面にわたる総合的な取り組みが必要であります。
高等教育研究機関につきましては、さきに県が策定した国際都市形成に向けた新たな産業振興策において大学院レベルの教育研究機関が必要であるとしているほか、産業創造アクションプログラムにおきましても国際情報大学の創設を促進することにいたしております。今後、沖縄経済ミッションからの提言も参考にしながら検討していきたいと考えています。
次に、土木行政との関連でございますが、国際都市形成構想における那覇港の位置づけはどうなっているかとの御質問でございます。
国際都市形成構想において、糸満市から宜野湾市に至る沖縄本島西海岸沿いの一帯は、交通・物流ネットワーク拠点として位置づけています。その中で那覇港については、国際都市沖縄のゲートウエーとして国際機能をより一層強化拡充することとしております。
その具体的な推進方策として交易型産業の育成を支援するため那覇港をアジア─本土間を結節する物流拠点として位置づけ、大型コンテナ化対応の港湾施設、物流機能の整備を図り、ハブ機能を有した国際流通港湾としての機能整備を図ることといたしております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 観光文化局長。
〔観光文化局長 照屋寛孝君登壇〕
○観光文化局長(照屋寛孝君) 観光振興についての御質問のうち、観光収入は県外受取額などで第1位であるのに予算は小さい、傾斜配分すべきではないかという趣旨の御質問についてお答えいたします。
平成7年度の県民所得統計によりますと、観光収入の県外受け取りに占める割合は16.9%を占めています。これは県外からの財政移転に次ぐものであり、県外からの財政移転を除いた比率では36.8%を占め県経済を支える大きな柱となっております。
観光振興関係予算については、平成10年度の当初予算案では約17億円となってお、一般会計歳出に占める比率は約0.3%となっています。これは振興開発事業など旺盛な財政需要の中で施策・事業の優先度や事業効果などに配慮しつつ総合的に対処されたものだと理解しておりますが、今後とも観光振興関係予算の充実と効率的な執行に一
層努力してまいりたいと考えております。
次に、同じく観光振興について、現在は二、三泊の団体旅行が主流だが将来は長期滞在型に移行すると思われる、そのため低廉な宿泊施設が必要となるがその方策はどうかという御質問であります。
入域観光客の滞在日数は平均で現在3泊4日であり、2泊ないし3泊の宿泊客が全体の約7割を占め、3次振計の目標滞在日数の5泊6日にはまだ遠い現状にあります。
一方、旅行形態は個人化や小グループ化の傾向があり、また従来の周遊型観光から、一定地域への滞在による体験型ないし地元との触れ合いを求める方向に変化しつつあります。
このような旅行ニーズの変化に適切に対応して長期滞在型の実現を目指すためには、良質で低廉な宿泊施設の整備や供給のシステムづくりを行うことが今後の課題であると考えます。
このためオートキャンプ場やコンドミニアム等の整備を促進するとともに、農漁村の地域活性化にもつながるよう農漁村の空き家や農園等の活用対策とあわせて、地域の伝統芸能や長寿の生活習慣など本県の持つ多様な自然や伝統文化に触れる新たな旅行企画の開発を図ってまいりたいと考えております。
次に、文化行政との関連で美術館の建設についての御質問でございますが、美術館の建設スケジュールはどうなっているか、そして美術品の収集や学芸員の養成など平成10年度に取り組む内容はどうなっているかという御質問でございます。一括してお答えいたします。
県立美術館は平成7年度に基本計画を策定し、平成8年度に基本設計を行いました。
建設については、当初平成10年度から工事に着手し平成12年度の開館を目指していましたが、財政事情等諸般の事情により建設スケジュールを変更せざるを得ない状沢にあります。
このため実施設計費や建設費の予算措置については、今後の財政状況を勘案しながら建設へ向けて引き続き検討してまいりたいと考えています。
また、学芸員の養成確保や美術品等の調査研究、収集、展示及び教育普及などの美術館活動に不可欠なソフト事業につきましては、基本計画に基づいて引き続き着実に進めていきたいと考えております。
平成10年度の具体的な取り組みにつきましては、美術品等の収集及びデータベースを作成するとともに、美術館の管理運営に関する調査研究を進めるほか、学芸業務の資質の向上を図るため平成9年度に引き続き学芸員1人を1年間海外の美術館に派遣し研修を受けさせることにしております。
○議長(友寄信助君) 地域・離島振興局長。
〔地域・離島振興局長 大城盛俊君登壇〕
○地域・離島振興局長(大城盛俊君) 観光振興関連で、誘客拡大のためには航空路開設が必須条件であると、海外航空路開設はどうなっているかという質問にお答えいたします。
国際航空路線の拡充は、本県における観光・リゾート産業の振興や国際交流拠点の形成を図る上で極めて重要でございます。
現在の国際航空路線の開設状況を申しますと、香港、台湾、ソウルの3路線でございますけれども、平成8年10月以来運休しておりましたグアム路線が来る4月に再開される予定になっております。
また、昨年12月には中国の民用航空総局──日本の運輸省にあたるところでございますけれども──に対しまして中国─那覇路線の開設を要請しに参りました。
また、台湾路線の拡充についても関係機関への要請や航空会社の意向等情報収集に努めているところでございます。
県としましては、今後とも国際航空路線の開設に向けて路線開設相手国の意向、航空会社の参入意欲及び需要予測等の調査を行うとともに、国等関係機関への要請活動を強化し、さらにはチャーター便の運航促進などによる航空需要の創出により国際航空路線網の拡充に努めていきたいと考えております。
同じく観光振興関連で、今後航空運賃値下げをどのように実現させていくか、また冬場のシルバー割引等具体的に航空会社に要求していると思うがどうかにお答えいたします。
離島県である本県にとって航空運賃の低減は県民生活の安定向上並びに観光振興を図る上で重要な課題でございます。
このため、県としましては空港使用料など公租公課の軽減措置による航空運賃の引き下げについて国等関係機関に対し要請してまいりました。
昨年平成9年7月には那覇─本土路線の普通運賃の引き下げが実施されました。また県管理空港の着陸料を平成9年10月から軽減することにより離島住民を対象とした割引運賃が新設されました。
航空会社の割引運賃としましては、事前購入割引や深夜・早朝割引、シルバー割引など現在多種多様な割引運賃が設定され、利用者にとって選択の幅が広がっている状況にございます。
県といたしましては、那覇─本土路線の運賃低減措置が宮古、八重山地域など離島地域にも適用されるよう今後とも国等に対し要請していく考えでございます。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 平良健康君登壇〕
○環境保健部長(平良健康君) 観光振興について、海洋性健康増進施設の進捗状況はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
県で進めている海洋性健康増進施設は、沖縄の温暖な気候風土と海等の海洋環境を活用し、新しい観点から健康づくりを展開する施設として整備を検討しております。
同施設は、県民の生涯を通じた健康づくりを推進し実践する場としての活用や高齢者、労働災害者等の機能回復訓練等に必要な施設であり、さらにその整備により新たなリゾート需要と地域振興にも寄与するものとして期待されております。
これまで沖縄県海洋性健康増進施設整備基本計画に基づきまして事業を推進しており、適地選定基礎調査等をもとに自然環境条件、関連プロジェクトの熟度、利用者の見込み、リゾート関連施設の集積度など自然的、社会的条件について総合的な検討を行い、部瀬名海岸地区、読谷海岸地区の2カ所の建設予定地に絞り込みました。
現在、予定地の特性に応じた2つのタイプの施設、整備の種類、規模、需要予測に基づく管理運営のあり方等を網羅した実施計画の検討を行っており、今年度中に同計画を策定することとしております。
続きまして環境問題について、ジュゴンの調査を実施し保護する考えはないかとの御質問にお答えいたします。
ジュゴンは、インド洋や太平洋の熱帯、亜熱帯地域に分布し、南西諸島はその北限と言われています。
現在ジュゴンはワシントン条約により取引が規制されており、また天然記念物の指定や種の保存法などで保護が図られています。しかし生息数や生態について不明な点が多くその解明は必要であることから、調査手法の検討や全県的な調査等について今後国や関係機関と連携を図りながら調整していく所存です。
環境問題について、赤土防止対策について条例施行後2年たち赤土流出量は施行前と比べてどうかとの御質問にお答えいたします。
県の調査によると、条例施行後は赤土等流出量が条例施行前より約42%減少したと推算されております。
この主な要因は、沖縄県赤土等流出防止条例の施行に伴い開発事業、特に土地改良事業や区画整理事業において沈殿池の設置や畦畔の設置、緑化等の対策が行われたこと等により流出量が大幅に減少したことにあります。
また、赤土等による海域の汚染状況の経年変化を把握するために平成7年度から平成8年度にかけて県が実施した赤土等汚染海域定点観測調査の調査結果によりますと、10海域中9海域において赤土等の堆積状況は改善の傾向にあると考えております。
同じく環境問題について、赤土監視員の配置はどうなっているかとの御質問にお答えします。
赤土等流出源の状況把握には迅速な監視パトロールを実施することが重要であることから、平成8年度より赤土等監視員を県下に委嘱配置して監視業務の強化を図っております。平成9年度は13名を委嘱配置しております。
監視員は区長、漁業関係者、農業関係者、自然保護関係者等が委嘱されており、平成9年度は名護保健所管内が5名、石川管内が3名、コザ管内が2名、南部管内が1名、八重山管内が2名の配置となっております。
ちなみに赤土等監視員の業務は、工事現場の監視パトロール、工事の赤土等の流出源調査であり、平成9年12月現在で報告回数が146回、調査箇所数が326カ所となっております。
これらの調査結果に基づき、必要に応じて事業者や施工業者へ指導協議を行い赤土等の流出防止対策の改善を図っております。
同じく環境問題について、事業者や農家の意識の変化はどうかとの御質問にお答えいたします。
条例施行後、県は事業者や施工業者、地域住民等を対象として赤土等流出防止対策についての講習会や説明会及び赤土等流出防止技術交流集会の開催等の普及啓発活動を実施するとともに、現場パトロールや改善指導等を実施してきております。
その結果、事業者や現場での施工業者の意識は全体として向上してきていると考えております。
しかしながら、濁水が沈殿池へ集水されていなかったり、破損した対策施設が補修されていなかったりといった管理の不徹底等が見られる現場がいまだにありますので、監視指導、啓発活動を今後も強化していく考えであります。
また、既存農地においてはパイン畑での表土はぎがすき込み方式に変更されるなどの改善も見られますが、農家の意識はまだ十分でない状況にありますので、関係機関との連携を図りながら今後さらに啓発活動を強化していく考えであります。
同じく環境問題について、国や米軍との協力はうまくいっているか、立入調査も迅速にできているかとの御質問にお答えいたします。
総合事務局や防衛施設局などとの協力関係については、国等が事業を実施する場合、沖縄県赤土等流出防止条例第9条に基づき通無を行うことになっておりますので、民間事業と同様に条例の施設基準及び管理基準に基づき赤土等流出防止対策について審査し、必要に応じて協議を行っております。
国等の行う事業については立入調査の協力をお願いしており、平成9年10月14日現在で国関連事業については206件の通知があり、現場立入調査を43回実施し、18回改善に対する協議を行ったところです。
また、米軍基地内における赤土流出源は防衛施設局が行う事業、米軍直轄工事、米軍演習に伴う裸地等があります。
そのうち防衛施設局の事業については条例の適用対象となりますので、事業実施前に通知が行われ、対策内容について県との調整が図られています。
米軍の直轄工事に関しては条例の適用対象外でありますが、条例の趣旨の徹底を図る観点から英語版の条例集、リーフットを作成し、毎年開催している基地公害対策会議などにおいて条例の趣旨を尊重するよう申し入れを行ってきております。
基地内への立入調査については、立入許可までの期間は短縮されてきたとはいえ、いまだ迅速な立ち入りが困難な状況にあります。正確な流出状況を把握するためには降雨時または降雨直後の立ち入りが必要不可欠でありますので、今後も早急な立ち入りの実現に向け申し入れを行っていきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商エ労働部長(幸喜良秀君) 雇用開発推進機構についてお答えいたします。
平成9年8月に雇用開発推進機構が設立されて以来、これまで基金造成に向けた調整や組織体制の整備を図ってきたところであります。
9年度の事業としては、通関士や特許管理士等の資格取得に関する講習会を開催して資格取得を促進し就業機会の拡大を図るとともに、若年者就業意識調査研究事業等に取り組んでいるところであります。
平成10年度の主な事業計画案としましては、まず1番目に企業起こしの相談、産業技術者データベースの整備等のコンサルティング事業、2番目に情報人材育成支援事業、各種資格等取得促進支援事業、小規模事業化支援事業等の雇用開発事業、3番目に若年者就業意識調査研究事業、舞踊、伝統文化の産業化可能性調査等の調査研究事業が予定されております。
なお、推進機構の機能の発揮等効果的な事業実施を行うためには、設立の経緯を踏まえ県が指導的な役割を担うことが重要であり、あわせて市町村、団体等からの出向により組織体制の拡充を図ることとしております。
次に、農業振興策との関連でお答えいたします。
農林水産関連を含む本県物産の振興につきましては、県外主要都市のデパートにおいて物産展を開催するほか、株式会社沖縄県物産公社のわしたショップ及び営業所等を活用してPRし、販路の拡大に努めております。
これらの諸活動の結果、デパート等の販売につながる県産品も出てきております。
商工労働部では、沖縄県物産振興団体等連絡会議や沖縄県物産振興関係課連絡会議を設けて物産全般の振興を図っております。
また、平成9年6月に策定されました産業創造アクションプログラムにおいても健康産業振興プログラムの中で18のプロジェクトを決定し、例えば既に健康食品産業ティクオフ支援事業等をスタートさせております。
商工労働部では、農林水産部や関係部局との連携をいよいよ密にし本県物産の振興を力強く推進してまいりたいと思います。
○議長(友寄信助君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 大城貴代子君登壇〕
○生活福祉部長(大城貴代子君) 福祉行政についてお答えいたします。
まず福祉の町づくりの県民への広報、市町村や事業者の協力体制、審議会の設置及びモデル推進地区の指定についてでございますが、高齢者や障害者が安心して生活をし、ひとしく社会参加ができる地域社会を実現するためには県民一人一人が福祉の町づくりについての理解を深め、お互いの共通の問題としてとらえることが重要であります。
本年4月より福祉のまちづくり条例が全面施行されますが、県といたしましては県の広報媒体及びマスコミ媒体を活用するとともに、説明会、研修会等を開催するなどあらゆる機会を通じて福祉の町づくりの普及啓発に努めております。
また、福祉の町づくりの円滑な推進を図るためには県、市町村、事業者及び県民が一体となった取り組みが必要であることから、その体制づくりとして障害者団体、事業者団体、経済団体及び市町村等の行政機関等34団体で構成する沖縄県福祉のまちづくり推進協議会を2月に設置いたしました。
なお、推進協議会では条例全面施行を周知させるため4月には福祉の町づくり推進パレード等を実施することにしております。
さらに福祉の町づくりの推進に関する重要事項の調査審議を行う審議会につきましても現在準備を進めており、近々に設置することにしております。
また、他の地域の模範となり波及効果が見込まれる地区につきましては、モデル推進地区として指定し、福祉の町づくりを重点的に推進していくことにしております。
次に、福祉の町づくりを進めるためにはリフトつき路線バスの運行についても進めてほしいとの御質問でございますが、高齢者や障害者の生活圏の拡大と移動の利便性を図るためにはリフトつきのバスやリフトつきのタクシーの整備が重要であります。
現在県といたしましてはリフトつき福祉タクシーの配備を進めており、中南部地域に配備されておりますが、今年度中には北部、宮古、八重山地域へ配備し、県全域に配備することとしております。
また、重度身体障害者の移動支援事業として市町村において車いすや移動用ベッドが利用できるリフトつき乗用車を整備し、身近な地域での社会参加が取り組まれております。
福祉の町づくりを実現するためにはリフトつきの路線バスの運行が重要であり、バス事業者の理解と協力が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 赤土流出防止対策関連の中で既存農地対策についてお答えします。
農地からの赤土等流出防止対策を推進するため、農業改良普及センターと農林土木事務所の職員で構成する農地保全巡回指導チームを設置しております。
農家等に対しては、サトウキビ、パイナップル、野菜等の主要作物別に作成した赤土等流出防止対策指針に基づきマルチング、深耕と有機物の施用、等高線植え栽培、緑肥作物の栽培等作物に適した赤土等流出防止対策を講じるよう指導するとともに、土壌条件や地形等に配慮した作付体系への誘導を図っております。
さらに6月の第1水曜日を「土壌保全の日」として設定し、土壌流出防止対策の共同一斉活動を地域全体で取り組むなど土壌の保全管理の徹底のための普及活動を行っております。
また、農地からの赤土等流出防止対策を経済的かつ効果的に行うため赤土流出防止技術に関する試験研究を推進しております。
次に、農業振興との関連の中で、ダイエー店舗における沖縄コーナーの設置について、それを推進するため農林水産部内におけるプロジェクトチームの設置について一括してお答えします。
農業振興を図る上で生産から流通、販売及び市場情報の整備や協力体制づくりは重要な課題であります。
このため県としては、卸売市場流通を基本に多様な販売チャンネルに対応した量販店等への販売対策、平成5年度における流通対策班及び東京駐在流通情報担当職員の設置による流通情報収集体制の整備、平成8年度に設置した沖縄県農水産物販売促進協議会による県農水産物の販売促進活動の展開等の諸対策を実施しているところであります。
なお、沖縄コーナーの設置については、株式会社物産公社が農業団体と連携して実施に向けて調整を行っているところであり、県としては市場流通の基本を踏まえ、総合的見地から流通方法の一つとして検討してまいりたいと考えております。
また、プロジェクトチームの設置については、ダイエー、物産公社、農業団体との調整の動向を見ながら適切に対応してまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 教育長。
〔教育長 安室 肇君登壇〕
○教育長(安室 肇君) 子供がむかつき、切れる原因は何か、沖縄の子供たちも同じ状況かについてお答えいたします。
子供がいわゆるむかつき、切れる原因といたしましては、先ほどいろいろ御指摘をいただきましたが、勉強や受験にかかわるストレス、親の期待過剰や親子関係のひずみ、大人の無関心や価値観の押しつけなどが考えられます。
その背景といたしましては、人間関係の希薄化、自分に対する自信の弱さ、他人に対する信頼感や安心感の薄らぎなどが考えられます。
このような事件はどの県でも起こり得ると考え、児童生徒一人一人の興味、関心や適性、能力を伸ぱし個性を生かす教育を強化するなど心の居場所づくりに努めることが大切であると考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 江洲順吉君登壇〕
○土木建築部長(江洲順吉君) 土木行政関連において、現在までの調査の状況から宮良地区は空港建設位置として適地と判断されるかとの御質問にお答えいたします。
新石垣空港宮良地区の調査については、昨年に引き続き気象観測調査、基本設計、環境影響予測評価等を実施しているところであります。
地元から提起されている課題の一つである赤土等流出防止対策については、学識経験者で構成する工法及ぴ環境検討委員会において、10年に1度の大雨に対応できる施設を設置することに決定しました。
計画しているろ過沈殿池においては、可能な限りろ過沈降や自然沈降を行いますが、最終的には凝縮沈殿装置により濁水を25ppm以下まで処理して放流します。
さらに工事期間を通して環境監視体制をつくり、環境保全に万全を期すこととしています。
また、風向・風速に関する調査につきましては、これまでのところ特に問題になるような現象は出ていません。
宮良地区が空港の建設位置として適地か否かの最終判断については、3月末の調査結果を待って行うことになります。
次に、地元において反対している地権者もいるが合意形成は可能か、新石垣空港建設に向けての今後の見通し、スケジュールはどうなっているかとの御質問に一括してお答えいたします。
宮良地区が空港の建設位置として適地か否かの判断に必要な調査は、ことしの3月には終了します。調査結果については4月以降、八重山郡民を初め県民に公表します。
空港の建設位置として適地か否かについては、庁内の新石垣空港建設対策協議会において検討を行い、その結果を踏まえて判断します。適地と判断すれば住民説明会や関係機関等への説明を行い、合意形成を図っていきたいと考えています。
その後、市及び県議会の議決を得て空港の位置を決定し、地権者等の同意を得て飛行場の設置許可申請を行い、許可を受けて事業着手となります。
次に、那覇港の一部事務組合設立の準備状況と設置に向けての県の決意を聞きたい、それから一部事務組合の設立の時期はいつかとの御質問に一括してお答えいたします。
那覇港の一部事務組合管理については、その基本的な課題である財政上、組織上の問題等を協議するため県、那覇市及び浦添市の3者で構成する合同検討委員会を平成9年12月8日に設置したところであります。
合同検討委員会の中で、現在の港湾施設の移管をどうするか、債権債務の引き継ぎや財政負担の割合はどうするか、職員の構成はどうするか等を協議して一部事務組合の規約案を作成し自治大臣の許可を得ることになります。
なお、平成10年度当初に庁内に3者で構成する一部事務組合設立準備班を設置して設立準備作業を行うことになっており、国際都市形成基本計画の早期実現を図るためにも、できるだけ早い時期に自治大臣の許可を得て那覇港の一部事務組合管理を実現していきたいと考えています。
次に、国道58号軍道つぶれ地の補償については国に要求すべきものと考えるがどうかとの御質問にお答えいたします。
国道58号に係る軍道つぶれ地の用地補償につきましては、市の要請に対し昭和49年8月19日に道路としての使用目的の同一性及び公共性にかんがみ無償譲渡もしくは無償使用が相当であるとの回答が当該国道の管理者である総合事務局からなされていると聞いております。
しかし、当該補償につきましては、平成8年に那覇市から沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会いわゆる島田懇談会に対して要望がなされ、同懇談会において重要関連事項として関係行政機関において鋭意検討の上、結論を出すべきとの提言がなされております。
また、この補償問題については、平成10年2月20日に那覇市から県に対し協力要請書が提出されております。
県といたしましては、島田懇談会の提言に関する国の動向を見守りつつ、今後詳細な事業把握、問題点の整理等を行った上で対応策を検討してまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 糸数慶子君。
〔糸数慶子君登壇〕
○糸数慶子君 私は、沖縄社会大衆党を代表して通告いたしております項目について所感を交えつつ順次質疑を行いたいと思います。
本日の最後の質問になりますので、大田知事を初め執行部の皆さんにはお疲れのところ恐縮でございますが、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。
まず、質問に先立ちまして、このたび新しく副知事に就任されました宮平洋副知事、読谷村長から新たに三役入りされました山内徳信出納長には心から祝意を申し上げ、今後の御活躍を県民とともに期待しております。
また、任期4年を全うされ今議会に再任の同意案件が出されております東門美津子副知事には、4年間の激務に心から御慰労を申し上げ、今後のさらなる御活躍を与党の一員としてだけではなく、沖縄女性の一人として熱い思いを込めてエールを送りたいと思います。
もちろん大田知事には、秋の知事選挙を控え一日も早く3選出馬の御決意を固められ、この新体制を率いて沖縄の抱える難題解決のために御活躍されることを県内外からの期待、注目を集めていることは申し上げるまでもございません。
それでは、知事の政治姿勢についてまずお尋ねいたします。
最初に、海上ヘリ基地反対表明について伺います。
知事は、正式には2月6日に海上ヘリ基地のキャンプ・シュワブ沖への建設に反対するとの表明を行いました。しかし非公式にはそれより一月早い1月9日午後、「心に届け 女たちの声ネットワーク」のメンバー250人余の海上ヘリ基地に反対する女性たちを前にして知事は、皆さんの熱い思いを県庁スタッフみんなで真摯に受けとめ、
間違いのない判断を下したいとの確約をなさいました。
そのときさらに、男性が戦死した戦後の沖縄の復興は女性が担ってきた、女性が政治に参加すればもっと世の中が変わると思ってきたので皆さんが声を出したことはとてもありがたいと、集まった女性たちを感激させました。
そのとき、世話役の一人として私もその場に居合わせましたが、知事が12月21日の名護市民投票の結果も踏まえて海上ヘリ基地受け入れに反対の決断をされたと確信いたしました。それだけに知事の反対表明についてその後沸き起こってきた批判や非難にはいささかも同調するものではありません。しかし、決断の方法や過程については問題があったと考えております。それは次のようなことです。
県は、これまで海上ヘリポート基地建設問題については国と地元の話し合いの推移を見きわめつつ、市の意向や県の計画等も勘案し総合的見地から判断するとの方針でした。その方針に我が党としても異論はありません。
問題は、県が総合的見地から判断する場合の具体的な判断基準が事前に県民の前に公表されていないということではないでしょうか。
今度の態度表明では、1、市民投票の結果、2、県議会決議、3、県内諸団体の意見、4、自然環境審議会の答申、5、県政運営の基本理念の5つの理由を掲げて反対の根拠にされました。この判断基準が事前に県民の前に明らかにされていれば、知事の意思決定の過程が明瞭になって時期や判断が恋意的であるとの批判も払拭されたと思います。下された結論の正しさを確信し、それを歓迎するがゆえに私は残念に思うのであります。
我が党の綱領には、「政治目的が正しいと共にその手段も正しくあることが民主主義の精神である」と記されています。民主主義の社会では結論の正しさは言うまでもなく、それを導くプロセスや手段、方法が県民のあるいは市民の前にオープンにされることが大切です。このことは、今回の事例だけでなく県の意思決定のあり方全般に及ぶことで、透明度の高い行政運営で予見可能性を高めることが今後ますます重要になってまいります。社大党は、大田知事にそうした観点での行政運営を期待しております。
そこで具体的にお尋ねしますが、先般の知事の海上ヘリ基地反対表明が普天間飛行場返還問題に与える影響についてどのように認識され、どう対処されるか、御所見を賜りたいと思います。
SACOの最終報告では5年ないし7年以内に代替施設が完成し、運用可能になった段階で普天間飛行場は完全返還されるとあります。この返還計画に大幅変更が生じると認識されますか。
その際、そのような変更も仕方ないと甘受されますか。それとも別な方法、例えば海兵隊の削減を要求することで返還計画の実現は困難ではあっても不可能ではないとの見通しなのか、承りたいと思います。
最近、日米の政府当局者の聞で口裏を合わせるかのようにキャンプ・シュワブ沖での海上ヘリ基地建設が現時点での最善策と強調しておりますが、冷戦終結後海兵隊が急速に時代おくれの軍事組織になりつつあるのは関係者の常識であり、いずれは在沖米海兵隊の削減が日程に上がることはほぼ間違いありません。ただ、削減や撤退は外
や防衛の戦略上の理由から直前まで明らかにされていないであろうこともまた常識です。
そうした点から大田知事の海兵隊削減要求の対米・対政府折衝は極めて困難なものになると予想されますが、その件についての御所見をお伺いいたします。
もとより、困難を理由にあきらめるわけにはいかないということも重々承知しておりますが、訴え続けることに意義があるとの姿勢は、知事の言われる行政と運動体の違いという点でどうなのか。事普天間問題では行政はさらに困難に陥るのではと危惧しております。
なぜこのようなことを申し上げるかといいますと、この普天間飛行場移設問題は名護の市民投票、知事の拒否表明、名護市長選挙、それらの結果を受けての日米両政府の再確認という一連の流れから、次は政府が県の基地返還アクションプログラムにのる形で現行案に期限条件を付して再提案もあり得るからです。
社大党としては、海上ヘリ基地建設には明確に反対し、普天間飛行場は無条件で返還されるべきものだと考えています。知事の熟慮の上での反対表明が県民総意として支持されていることを受け、その意思を内外に示すため県民大会開催を呼びかけています。
また、SACO合意も必然的に見直さざるを得ないと考えます。しかし政府の期限条件つき再提案も単なる仮定の問題と決め込んでいると、これまで同様後手に回ることにもなりかねません。事前の検討課題として県民に提示すべきと考えます。もちろん基地返還アクションプログラムは既存の基地の返還プログラムであって、新設基地は該当しないという議論も当然出てきます。
ではどうするのか、議論は質問の最初に戻ることになるのです。そういう意味でこのたびの海上ヘリ基地反対表明が普天間飛行場返還問題に与える影響について知事の御認識をお尋ねし、海兵隊の削減要求と対米、対政府の折衝についての御決意とその展望を賜りたいと思います。
次に、日米特別行動委員会(SACO)の最終報告の見直し問題で大田知事の御見解をお尋ねいたします。
SACOの最終報告では、返還が決まった11施設のうち普天間飛行場、安波訓練場、ギンバル訓練場、楚辺通信所、読谷補助飛行場、那覇港湾施設の6施設が全面返還とされ、北部訓練場、キャンプ桑江、瀬名波通信施設、牧港補給基地、キャンプ瑞慶覧の5施設が部分返還となっておりますが、そのすべてが条件つき返還となっております。
そのうち普天間飛行場につきましては、知事はその移設条件を拒否されることを表明されたわけですが、その他の基地(施設・区域)についてはどのように対応されますか。
知事は、県政運営方針の中で、「基地問題を抜本的に解決するためには、本県に駐留する米軍兵力、とりわけ海兵隊の削減を求めていくことが今後の重要な課題であります。」と明確に述べておられます。この立場は兵力削減に手をつけず、基地の整理・統合・移転・縮小で基地問題を解決しようとする日米特別行動委員会の立場とは真っ向から対立いたします。知事方針はSACOの最終報告の見直しを要求するものと理解していいのでしょうか。
知事は、基施の県内移設について基本的に反対との姿勢を堅持してこられましたが、その立場は普天間基地以外の他の返還予定施設・区域の移設問題についても同様と理解していいのでしょうか。その際、判断の基準も住民投票の結果等さきの海上ヘリ基地反対の表明の際に採用された基準に準ずると理解していいのか、御所見を賜りたいと思います。
次に、知事の政治姿勢についての最後の項目として沖縄振興開発特別措置法の改正案に対する知事の対応について伺います。
先日、特別自由貿易地域の創設、自由貿易地域の拡充、工業等開発地区の拡充、情報通信産業振興地域の創設、観光振興地域の創設、中小企業の創造的活動の支援の創設、沖縄型特定免税店制度の創設、こうした内容を主な改正点とする沖振法の改正案が閣議決定され、国会に法案が提出されました。
これは、1次、2次、3次と10年単位で30年も施行される沖振法の歴史の中でも異例の大幅改正と思われますが、この改正案が今後の沖縄振興、特に沖縄県のグランドデザインの中核となる国際都市形成基本計画や全県フリーゾーン構想に与える影響について知事の総合的な評価を承りたいと思います。
また、この法案に対する国会審議の中で特に注目していきたい点、さらにはこの改正案の実効性を保証する政令や省令に対する留意点などについて大田知事の具体的な御見解を賜りたいと思います。
次に、基地問題について宮平副知事にお尋ねいたします。
宮平副知事は、就任早々から吉元前副知事が担当されていた基地間題や政府折衝などの激務を引き継がれ東奔西走されておられますが、知事がキャンプ・シュワブ沖への海上ヘリ基地建設に反対を表明して以来、大田知事と橋本首相の会談のめどさえ立たないほど冷え切ったと言われる沖縄県と総理官邸の関係について、担当副知事としての実感と今後の対政府折衝の見通しなどについてまず所感を賜りたいと思います。
次に、今回のヘリ基地反対についての政府への説明の際に、普天間飛行場の代替施設の問題では拒否することになっていたが、その他の移設問題ではできることから一つ一つ着実に解決を図っていきたいと発言されたようですが、現在、県として普天間飛行場を除いてSACO合意の返還予定の10の施設・区域が返還計画の中でどのような進捗状況として把握されているか、現状認識を賜りたいと思います。
また、かつて那覇市の三役経験者として、1、那覇軍港の移設問題についての副知事の御見解、2、那覇空港の軍民共用の危険性について担当副知事としての御認識と今後の対応について御決意を賜りたいと思います。
それから、ことしの県政運営方針には基地返還アクションプログラム(素案)に基づく米軍基地の計画的かつ段階的な返還を図っていくために、基地所在市町村の財政構造の問題改善、基地従業員の雇用確保のための具体的な施策展開、軍用地主の抱える問題の解決、以上の3大課題の解決に一層努力するとありますが、その努力目標の中から基地の整理・縮小・撤去に至る過程の中で、跡利用対策も含めて次の2点について県の基本方針をお尋ねいたします。
1点目、基地の暫定的共同使用について。
この方式は、山内出納長が読谷村長の時代に活用して大いに実績を上げられた方式ですが、県としてはどのような方針で臨まれますか、担当副知事の御見解を賜りたいと思います。
次に、軍用地主の基地返還反対についてです。
これもことしの県政運営方針の中の「平和行政の推進と基地問題等の解決について」の項目で、返還跡地の円滑な利用に資するため地権者の意向調査を実施するとありますが、意向調査を実施するまでもなく軍用地主の不安は顕在化しつつあります。
基地問題の先進地域である読谷村で、移設反対は基地反対ではなく、歓迎、継続使用の意味で使われた字地主会名義の看板さえ立てられています。この現状をどのように認識されますか、御見解を賜りたいと思います。
次に、教育行政についてお伺いいたします。
子供の健やかな成長は万人の願いとするものです。児童福祉法あるいは児童の権利に関する条約の中で子供に関する法令、規則にもその権利は保障されています。しかしながら万人の願いとは裏腹に複雑、多様化する社会の中で子供を保護育成する力が失われ、子供の人権が著しく損なわれる事件が引きも切らず大きな社会問題となって
います。
その顕著な例が学校におけるいじめ、家庭における虐待です。特に虐待は家庭という密室の中で行われるため外部からの発見や対処の仕方が極めて困難です。
平成3年度、厚生省研究班による全国調査によりますと、児童虐待の背景は20歳未満の若年齢養育者に増加する傾向があり、虐待の要因は精神疾患、アルコール中毒、薬物中毒、精神薄弱、生育歴の問題等養育能力の欠如に増加が見られ、経済的に不安定な家庭等に増加傾向が見られるとの調査結果が出ています。
本県における児童虐待の背景となる要因は高く、その対応が迫られていますが、本県の児童虐待の実態と虐待防止の取り組み、今後の取り組みについてお伺いいたします。
いつでもどこでも子供虐待の取り組みができるという人たちを全国的なネットワークで結び、子供虐待を発見した場合即応できる体制をつくる必要があると思いますがいかがでしょうか。
次に、子供を犯罪から守る「太陽の家(子供110番)」の設置の背景と課題について県警本部長にお尋ねいたします。
次に、前回も申しましたが、国際都市を考えた場合に単に物流拠点の形成や企業誘致とか施設や外に向けた国際化が論議されますが、既に本県ではおよそ100カ国、7246人の外国人や無国籍や多くのアメラジアンの方々がいますが、同じ地域に住む住民であるにもかかわらず生活のさまざまな場面で不便、差別、偏見、いじめを受けています。
他方、世界人権宣言でも、「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎である」とうたわれております。
そこで、国際都市を目指す本県でこそこの宣言に基づいて内なる国際化とも言うべき人間平等の原則を地域において具現化すべきではないでしょうか。
しかしながら、このような足元の地域に目を向けた外国人や無国籍や多くのアメラジアンの方々の実態調査などは皆無に等しいのではないでしょうか。
そこでお伺いいたしますが、現在、アメラジアンの教育権の問題につきましては、知事や文書学事課の御努力により対策の方向性は見えているようですが、全体的な国際都市形成構想基本計画や国際化推進大綱(案)、人材育成基本計画の中では内なる国際化の問題についてどのように対処し、全庁的な取り組みを考えているのでしょうか、お伺いいたします。
次に、県立教護院の名称変更と公教育の充実強化についてお尋ねいたします。
我が党は、これまでも県立教護院沖縄実務学園への公教育導入について取り組んでまいりました。知事や教育長の御配慮で現在3名の教師が派遣され、入園されている児童生徒も随分教育の充実が見られますが、この学園の名称がこのたび変更となるわけですが、名称の変更の弊害と変更後の効果について、あるいは分校化の長所と短所について教育長と生活福祉部長にお尋ねいたします。
私は今、手元に沖縄県立実務学園の平成9年度の生徒の意見発表の作文集「ハイビスカス」を持っておりますが、この中に収蔵されております生徒の作文集の中に、どうしても高等学校の受験をしたいという子供の意見が出ております。もっと分校化して教育の内容を充実させていただきたいことを教育長にお願いいたします。
次に、男女共同参画におけるための教育環境の整備について、教育現場におけるジェンダーフリーについてお伺いいたします。
学校教育は子供たちの男女参画の意識形成にとって多大な影響を与えております。性別分業を固定化する内容の教科書や男女別の男性優先となっております学級名簿のあり方は知らず知らずに児童生徒らの伝統的性別役割意識を形成し女性を差別し、女性もみずからをマイナス評価する要因にもなっております。ジェンダーフリーの視点
から教科書等の内容を検証し、男女混合名簿の実施に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思います。
そして現在、東京都でも99%の学校が男女混合名簿を採用しておりますし、兵庫県でも採用がなされておりますが、本県では高等学校8校、幼稚園ll園となっておりますが、混合名簿の促進について教育長の御見解、今後の取り組み、そして他府県の取り組みの状況をお伺いいたします。
次に、女性問題は従来の男女平等の視点のみではなく、社会におけるさまざまな役割を担っていくためにも性差より個人差を重視するジェンダーフリーの視点から具体的な方策を策定することが求められております。そのためには県は庁内の男性の意識改革や女性の積極的な参画姿勢を図るだけでなく、市町村や民間企業などにも同様に意識の啓発を促し、取り組み体制の確立と横の連携を強化していただくべきだと考えますが、今後どのように具体的に取り紐んでいかれるか、東門副知事にお伺いいたします。
次に、マルチメディア人材育成事業について、 今回インターネットを利用した教育方法の調査研究費がついておりますが、その目標と効果及び事業計画についてお尋ねいたします。
次に、観光行政についてお尋ねいたします。
沖縄の観光産業は地域の基幹産業としての地位を築いていますが、観光産業をさらに拡充し経済発展のリーダーにするにはまず定期来訪型、長期滞在型、生活型の観光・保養産業に育成することが必要です。
それには観光や保養が単なる物見遊山や休養だけでなく、豊かな自然に触れる機会や異なった文化と交流する機会をつくることにより、来訪者と住民の双方が人間性の回復、いやしを体験する機会の場となるものでなければいけません。そのためには従来の観光のパターンではなく、体験型観光として今注目を浴びているグリーンツーリズムを積極的に取り入れていただきたいと思います。
グリーンツーリズムに関しまして、特に沖縄観光におけるエコツーリズムの位置づけ、そしてグリーンツーリズムの位置づけについてお伺いいたします。
次に、グリーンツーリズムの育成策について、最近とみに言われておりますブルーツーリズムの育成策について、あるいはグリーンツーリズムの育成策についてお伺いいたします。
次に、環境行政について。
有害物質ダイオキシンの発生状況について県内の実態把握についてお伺いいたします。
現在、基地、産業廃棄物あるいは家庭、学校現場においてこのダイオキシンの発生状況についてお伺いいたします。
そしてこのダイオキシンの対策ですが、産業廃棄物や家庭ごみ等への啓蒙と対策について、学校現場の対策についてお伺いいたします。
福祉行政についてお伺いいたしますが、介護保険制度の導入と事前対策について、制度導入の啓発活動の進捗状況、現行制度からの移行措置が必要とされるか、事前対策における県や市町村の課題についてお伺いいたします。
介護保険制度実施に関する課題とその対策につて、被保険者に対する課題と対応策、市町村や特別区がかかわる課題と対応策、都道府県、特に沖縄県が抱える課題と対応策についてお伺いしたいと思います。
以上で質問を終わりますが、御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 糸数慶子議員の御質問にお答えいたします。
海上ヘリ基地反対表明が普天間飛行場返還問題に与える影響についてどう認識し、どう対応するかという趣旨の御質問でございます。
普天間飛行場については、市街地の中央部に位置し地域の振興開発を妨げているだけでなく、航空機騒音の住民生活への悪影響や、航空機離発着訓練の実施などによって市民の生命に極めて危険な状況にあることから、県はこれまで日米両国政府に対しその返還を強く求めてきました。
同飛行場の早期返還については、その危険性等から日米両国政府ともにひとしく認識するところであり、両国政府にとっても共通の課題であると考えています。
このため、県としましては引き続き日米両国政府に対し普天間飛行場の早期返還を強く要請していきたいと考えております。
なお、国会の審議の状況を見ますと、自民党はヘリポート基地が必要だということに対してほかの政党はもっと柔軟に対応すべきじゃないかという趣旨の発言をいろいろやづておりまして、異なった見解を示しておりますので、そのような国会の動きも慎重に見守っていきたいと考えております。
それから、海兵隊削減と対米・対政府折衝について聞きたいという趣旨の御質問でございます。
県は、これまで日米両国政府に対し在沖米軍の兵力削減、とりわけ海兵隊の削減を含む基地の整理縮小を繰り返し要請してきましたが、日米両国政府は在日米軍の兵力見直しに厳しい見解を示しています。
しかしながら、米国の学者、研究者、軍事専門家や連邦議会議員の中には沖縄の海兵隊について規模の縮小、撤退を主張する人々も出てきています。
県としては、今後とも基地の整理縮小とあわせて兵力の削減、とりわけ海兵隊の削減について日米両国政府に粘り強く働きかけていきたいと考えております。
先ほどの御質問にもお答えしましたとおり、在沖米軍の基地面積の75%が海兵隊であり、兵員の数の6割が海兵隊ですから、その兵力削減が実現すれば基地の移設とかという問題も多分に軽減されるという認識に立っておりますので、引き続きお願いをしてまいりたいと考えております。
それから県内移設への県の対応策について聞きたいと、判断の基準は今回の反対表明の際と同じか聞きたいという御質問については一括してお答えいたします。
米軍基地の県内移設については、これまでも繰り返し申し上げましたように基本的に反対であります。
この問題については、まず米軍施設の提供責任者である国が関係市町村と話し合うべきことだと考えています。県としては、関係市町村の意向等も踏まえながら、必要な段階では国際都市形成の課題等を勘案し、県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと考えております。
沖振法改正案で国際都市形成は可能かという趣旨の御質問でございます。
今回の沖縄振興開発特別措置法の改正案は、昨年11月に国に要望した「国際都市形成に向けた新たな産業振興策」を受けたものであり、産業振興のための税割上の優遇措置が主な内容となっています。
一方、国際都市形成構想は平和・共生・自立を基本理念とし、その施策の方向として南北交流の拠点形成、21世紀にふさわしい新しい産業の創出と振興、人材の育成確保など7項目を挙げています。
今回の改正案は、国際都市形成構想の中の21世紀にふさわしい新しい産業の創出と振興などに資するものであり、今後国際都市を形成していくためには今回の税制措置以外の諸施策についても推進していく必要があると考えています。
それから、マルチメディア人材育成事業におけるプロジェクトの目標と効果についての御質問でございます。
マルチメディアアイランド形成において人材の育成は重要な課題であると考えています。
人材の育成については、初等中等教育から大学や企業に至るまで多方面にわたる総合的な取り組みが必要であると考えています。平成10年度においては沖縄県マルチメディア推進協議会の御意見等を受け、児童生徒の情報活用力、いわゆる情報リテラシーの向上を目標として小中高校に対してインターネットの導入とその活用を図ることにしています。
事業の効果としては、21世紀の沖縄を担うマルチメディア分野の人材育成及び学校を中核とする地域情報化への貢献が挙げられます。
なお、今後インターネット等を活用した遠隔教育等あるいは遠隔医療等先進的なアプリケーションヘの取り組みも図ってまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては副知事及び関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 宮平副知事。
〔副知事 宮平 洋君登壇〕
○副知事(宮平 洋君) 糸数慶子議員の御質問にお答えいたします。
県と総理官邸との関係について、担当副知事としての実感と今後の政府折衝の見通しなどについて聞きたいということにお答えいたします。
私は副知事に就任してこの1カ月間に4回東京に行ってきました。1回目は就任あいさつ、2回目は沖振法改正へのお願い、3回目は沖振法改正の閣議決定のお礼と法案成立へ向けてのお願いに行ってきました。
去る2月19日には古川官房副長官と総理官邸でお会いして、約1時間半にわたって本県の米軍基地問題の解決や振興策について率直に意見を交換してきました。
その中で海上ヘリポート基地建設問題に対する県の対応について、県の基本的な考え方や立場を説明するとともに、国際都市形成構想や新たな産業振興策について政府の御理解と御支援をお願い申し上げました。
古川官房副長官からは、海上ヘリポート基地建設問題について政府の基本的な考えが改めて示されるなど厳しい意見もありました。
普天間飛行場の返還の必要性については、国、県ともに認識は一致していると考えています。古川官房副長官との間では、沖縄の米軍基地問題や振興策については引き続き協議をしていくことで意見が一致しました。
今後、私としては沖縄県が抱える諸問題の解決のため国との調整役として県の基本方針に基づいて誠心誠意国と稟との関係をいい形に持っていくよう努めていきたいと考えています。
次に、普天間飛行場を除くSACO最終報告の返還計画の現状認識についてお答えいたします。
まず断っておきますが、できるものからやっていきたいということは言ってなくして、やっていってもらいたいということをお話したわけであります。
SACO最終報告に盛り込まれた返還事案のうち、普天間飛行場以外の返還事案については現在国と関係自治体との間で話し合いが進められておりますが、条件つき返還の事案については施設の移設先となる関係自治体等から基地機能の強化になる等として反対の意見が強く、また条件つきでない施設の返還についても関係する自治体及び地主等の中には跡地利用の困難性等を理由に返還方針に反対の意向を示しているところもあり、厳しい状況にあると国から聞いています。
今後、県としては関係市町村の意向等も踏まえながら、必要な段階では国際都市形成の課題等を勘案し、県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと思っております。
次に、那覇軍港の移設問題についての見解にお答えいたします。
米軍基地の県内移設についての私の考え方は知事の政策方針と同じであります。基本的には反対であります。
この問題については、まず米軍施設の提供責任者である国が関係市等と話し合うべきものだと考えております。今後県としては、関係市等の意向も踏まえながら、必要な段階では国際都市形成の課題等を勘案し、県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと思います。
那覇空港の軍民共用の危険性について副知事の認識と今後の対応について意見を聞きたいということにお答えいたします。
那覇空港は、沖縄の空の玄関として県民生活の安定及び観光等の産業振興に重要な役割を担っております。
那覇空港周辺で発生した自衛隊機による事故は復帰後14件も発生しており、後を絶たない航空機事故の発生に県民は不安を持っております。県としては、県民の生命及び財産を守る立場から事故発生の防止に向けて努力してまいりたいと思います。
なお、将来の空港施設の沖合展開整備拡充について検討するとともに、同空港の民間専用化に向けた条件整備に努めてまいりたいと考えております。
基地の暫定的共同使用について。
御指摘のように、読谷村では共同使用という形態で地域振興の実績を上げていることは承知しています。県としてもこれまで那覇港湾施設内のフリー・トレード・ゾーン、県道23号線等共同使用や返還により施設の整備等を促進してきたところであります。今後とも地域振興を図る観点から市町村等の要望を踏まえ、必要に応じて適切に対処してまいりたいと考えております。
軍用地主の基地返還反対についてお答えいたします。
瀬名波通信所は、国務省関係の通信施設として戦後半世紀にわたって使用されてきましたが、施設の性格上地主の方々は農地として継続使用してまいりました。地主の方々は高齢化等の問題もあり、基地返還後の軍用地料にかわる収入の確保や跡地利用に対する不安等を抱いていることは承知しています。
県としては、地元自治体や関係地主会とも協力しながら、使用収益が早期に実現できるよう関係者が相提携してこれらの課題の解決に向けて努力していく必要があると考えております。
以上です。
○議長(友寄信助君) 東門副知事。
〔副知事 東門美津子君登壇〕
○副知事(東門美津子君) 糸数議員の本県の女性行政とジェンダーフリーについての御質問にお答えいたします。
お答えする前に一言だけこのジェンダーについて話したいと思います。
男女共同参画を論ずるとき、よく使われる言葉の一つにジェンダーというのがございますが、ジェンダーとは社会的、文化的につくられた性差のことでございまして、その代表的な例が性別役割分担意識だと言えます。男は仕事、女は家庭というようなその固定的な考え方でありまして、そのような考え方でもって人の行動、あるいは生き方を決めつけないということがジェンダーフリーと言えます。
それではお答えいたします。
県は、これまでもジェンダーフリーの視点から男女共同参画社会づくりを目指す沖縄県行動計画DEIGOプラン21に基づく諸事業を全庁的に推進しております。
また、沖縄県女性総合センター「てぃるる」を拠点として県民に対する各種事業も展開しているところでございます。
今年度中に改定いたしますDEIGOプラン21は、平成8年度に策定されました国の「男女共同参画2000年プラン」を踏まえてジェンダーフリーの視点を強化して見直しを進めております。
また、庁内においてはこれまで女性職員の幅広い分野への配置や管理職への登用を進めてまいりましたが、今後企画あるいは観光部門等への起用などより一層職域の拡大に努めます。
なおまた、女性職員や管理者を対象とした研修会等でも男女共同参画やジェンダーをテーマに職員の意識啓発を積極的に進めております。
市町村に対しましては、女性行政推進キャラバンや触れ合い懇談会等を通して市町村長さんにお願いをし、さらに県・市町村連絡会議において女性関係施策の推進についてお願いをしております。
企業につきましては、沖縄県経営者協会において取り組みが始まっております。企業の女性リーダー部会等も発足しています。
今後とも市町村、民間団体とも連携をして女性も男性も性別に関係なく一人一人の人間として、個性や能力を尊重する男女共同参画社会の実現を目指して女性行政の推進を図ってまいります。
以上です。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 沖振法改正案で全県フリーゾーンは実現可能か、また改正に当たっての留意点等についての御質問でございます。
今回の沖振法の改正案は、特別自由貿易地域制度の創設や自由貿易地域制度の拡充強化など当面地域限定型を前提とした措置を講じる内容となっております。県の新たな産業振興策の実現に向けた第一歩となるものであると考えています。
全県自由貿易地域制度の導入については、今後農林水産業、既存企業等の振興やインフラの整備など諸条件の整備を行う中で引き続き国と協議していきたいと考えています。
なお、今回の沖縄振興開発特別措置法の改正に当たっては、新たな産業の創出と振興に向け企業の立地と雇用の拡大が図られるような制度とする必要があると考えています。
そのため、政令や運用細則等の制定に当たっては情報通信産業振興地域等がより広い地域に指定されるようにするとともに、税制上の優遇措置を受ける企業の業種や規模等についても県内企業にも配慮するなど実効性のある措置が講じられるよう要請しているところであります。
次に、マルチメディア関係でマルチメディア人材育成事業における事業計画についての御質問にお答えいたします。
マルチメディアの人材育成については、多方面にわたる検討を進めているところですが、平成10年度は小中高校におけるインターネット導入を推進することにしております。既に平成9年末現在、県内519校の小中高校のうち国及び民間の研究事業等により70校がインターネットに接続されています。
県では、これらの事業と連携をとりつつ順次接続校を拡大する計画であります。
平成10年度には広く県民の参画を得ながら、特に情報の格差を持つ離島を中心として50校程度に導入を行う予定であります。あわせてインターネットのより高度な利用を図るため、導入校に対し巡回指導やホームページのコンテスト等を行うことも検討しております。
以上です。
○議長(友寄信助君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 大城貴代子君登壇〕
○生活福祉部長(大城貴代子君) 教育行政の中で3点の御質問がございますので、順を追ってお答えします。
まず、児童虐待の実態と救済策及び未然防止策についてお答えいたします。
児童虐待とは、親や親にかわる養育者が子供に対して行う不当な行為であり、しつけの域を越えた体罰などの身体的暴行や親の養育能力が乏しく、子供を放置するなどの保護の怠慢や拒否などであります。
子供に対する虐待は近年クローズアップされ、全国的にふえてきております。
本県におきましても児童相談所が取り扱った虐待の件数は、平成6年度は37件、平成7年度は51件、平成8年度は64件と年々増加しております。
内容といたしましては、身体的、性的暴行や保護の怠慢ないしは拒否が多くを占めており、主たる虐待者は実の父や実の母となっております。
救済策といたしましては、子供が置かれた危険性を旬断し、必要なときには入院や児童相談所などでの緊急保護等を行い子供の身の安全を確保します。
また虐待をしている親に対しては、家族の抱えているさまざまな問題、例えば経済問題や夫婦の問題、心の病気、養育力の不足などの問題解決に向けて関係機関と連携を図り、家族全体をサポートしていきます。
未然防止策といたしましては、早期発見と早期対応が重要であり、保育所や学校、保健所、病院、民生委員・児童委員等関係機関による児童虐待防止のための地域のネットワーク化を図る必要があります。
そのため「子供の虐待防止のための手引き」を作成しこれを活用していくとともに、地域住民、関係者等を対象に講演会等を開催するなど積極的に虐待防止の周知を図っていきたいと考えております。
次に、名称の弊害と変更後の効果についてお答えします。
沖縄県立沖縄実務学園の名称は、終戦直後の昭和26年に現在地に移転したときに命名されております。
当時の教護院は、実務的な職業訓練に重きを置いた施設ということで沖縄実務学園と命名されておりますが、現在の施設の内容にはふさわしくなく、特に初対面の人には実務学校的なイメージを与えております。
今回児童福祉法が改正され教護院が児童自立支援施設となり、対象児童や施設機能も拡大されます。また現在学校教育に準ずる教育が実施されておりますが、今後は通常の教育を実施することになりました。
法改正に伴う新たな機能にふさわしい施設名として名称を「若夏学院」に変更することにより、新しい教護の理念や児童の未来を象徴し、児童の健全な成長と自立を支援する施設としてイメージアップが図られていくと考えております。
次に、分校化の長所と短所につきましてお答えします。
教護院の入所児童は、これまで学校教育に準ずる教育を実施しておりましたが、今回の児童福祉法の改正により通常の学校教育を実施しなければならないことになりました。
本県におきましては教育権の保障という観点から、平成8年4月より3名の教員が教育庁から派遣され教科指導に効果を上げております。
生活福祉部といたしましては、法改正に基づきできる限り速やかにすべての入所児童について学校教育が実施されるよう分校設置を考えております。分校が設置されることにより入所児童の教育権が完全に保障されることとなり、児童の学力向上に大きく寄与するものと期待しております。
分校設置につきましては、地元の教育委員会を初め教育庁の理解と協力が不可欠でございますので、今後とも関係機関と連携を図りながら分校設置に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、福祉行政について御質問がございますので順を追ってお答えします。
まず、介護保険制度導入の啓発活動の進捗状況について、現行制度からの移行措置が必要か、事前の対策における県や市町村の課題について御質問がございますが、一括してお答えします。
県では平成9年4月以降、市町村や関係団体に対し制度の概要や取り組むべき課題等についてさまざまな形で周知を図ってまいりました。助役会議、市町村担当課長会議及び地区別市町村担当課長会議における事務説明会等を開催するほか、老人福祉施設の協議会、民生委員協議会や在宅介護支援センター等の関係団体の研修会におきまして制度の説明を行うなど、まずは介護保険制度の運営に深くかかわる市町村や関係団体への啓発を行ってきたところであります。
また、要介護認定モデル事業を平成8年度には糸満市、平成9年度には9つの市町村において実施し、具体的取り組みを通して啓発を行ってきております。
さらに、沖縄県いきいきふれあい財団機関誌の「かりゆしライフ」及び物価と暮らしの情報誌「がじまる」に制度の概要を掲載するとともに、パンフレット14万枚を全市町村が配布するなど広く県民への啓発活動を行っております。
次に、県や市町村の課題について申し上げますと、まず県及び市町村の事務体制の整備を行う必要があります。
また介護サービスの提供体制の整備、マンパワーの確保等に早急に取り組んでいかなければなりません。とりわけホームヘルパーやデイサービス等の在宅福祉の基盤整備につきましては、それぞれの市町村の老人保健福祉計画の目標を平成11年度までに達成することが重要であり、市町村の取り組みの強化が求められております。
次に、現行制度からの移行措置についてでございますが、介護保険制度では幾つかの経過措置が設けられております。例えば制度施行時に特別養護老人ホームに入所している人は施行後5年間に限り引き続き入所している間は要介護者とみなし、利用料についても5年間は減免することになっております。
また、老人保健施設入所者につきましても、制度施行時に要介護と認定されない人でも当分の間老人保健施設に入所できる等の措置が講じられます。
次に、被保険者に関する課題と対応策の中で、市町村がかかわる課題と対応策、沖縄県が抱える課題とその対応策、一括してお答えします。
介護保険制度では、40歳以上の方々が被保険者となります。すなわち65歳以上を第1号の被保険者、40歳以上64歳までの医療保険加入者を第2号被保険者とし保険料を納めていただき、介護給付の申請があった場合は介護認定を行い、要介護度に応じた介護サービスを提供する仕組みになっております。
現在、現行の制度によって施設入所等の介護サービスを受けている方も、平成12年4月からは介護保険制度に移行することになるため早急に制度の周知と理解を得る必要があります。
次に、保険者であります市町村には制度の円滑な運営のため多くの準備すべき事項と課題があります。
ごく大まかに分けますと、1つ目には要介護の認定、介護サービス計画の策定等、2つ目には被保険者の管理、保険料の徴収、介護保険特別会計の事務等、3つ目には介護保険事業計画の策定、人材確保等の介護サービス基盤整備に関することを挙げることができます。
市町村では、残された2年足らずの間にこれらの業務に円滑に取り組まなければならず、県といたしましても市町村への指導助言等の支援を行っているところであります。
また、本県には多くの離島町村及び小規模の町村があることから、介護サービスの確保、要介護認定に必要なマンパワーの確保や財政安定化等が大きな課題となっております。
その対応策といたしまして介護保険制度に係る事務処理や取り組みの広域化、共同化を進めてまいります。
また、介護サービスの供給体制の充実を図るため民間事業者や農協、ボランティア等の導入育成につきましても取り組むこととしております。
さらに、広報活動の強化や介護支援専門員の養成等多くの課題があり、市町村や関係団体との十分な連携を図り制度の円滑な実施に向けて取り組んでまいりたいと思います。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 警察本部長。
〔警察本部長 井上美昭君登壇〕
○警察本部長(井上美昭君) 子供の緊急避難場所「太陽の家」に関する御質問についてお答えをいたします。
近年、登下校時等の児童や生徒をねらった凶悪事件が相次いで発生をし社会に大きな不安と衝撃を与え、児童や生徒の安全対策が緊急かつ重要な課題となっており、このようなことから全国で児童等を凶悪犯罪から守るために子供たちが救助を求めて飛び込める駆け込み寺、いわゆる子供110番の家が設置されるようになったところであります。
登下校時に児童や生徒が被害を受ける事案は当県でもあり、一昨年名護市で発生し県民を震憾させた女子中学生拉致殺害事件は記憶に新しいところであります。
そこで、当県におきましても児童や青少年を凶悪事件や強制わいせつなどの犯罪から守るために昨年9月から各地域において、通学路等に位置する民家や商店等の御協力を得まして児童生徒等に対するわいせつ目的などの追いかけ事案が発生した場合、またぽその前兆的な事案が発生した場合に児童が駆け込み救助を求めるいわゆる避難場所としての「太陽の家」子供110番の家を委嘱をし、被害の未然防止を図る対策を講じているところであります。
太陽の家の設置につきましては、学校関係者や県民の皆様の関心も高く快く協力が得られ、今日現在設置数は県下で2946件に達しており、地域住民からも評価を受け御支援と御協力をいただいております。
今後は、いかにして子供たちに太陽の家の設置場所やその趣旨を周知させ、緊急避難場所としての活用を図るかということが重要であります。
これに関しましては、地域の警察と学校やPTAの皆様が連携をとって太陽の家マップを作成して学校の掲示板に張ったり、またある自治会では太陽の家のチラシを作成して全世帯に配布するなどしてその周知を図っているところであります。
先般、浦添市内で学校から帰宅途中の女子中学生が、乗用車に乗った中年男性に車に乗るようしつこくつきまとわれ、近くの太陽の家に駆け込み難を逃れた事例もございます。
太陽の家の設置は、子供を犯罪から守るための有効な対策であると考えますので、学校やPTA、地域の皆さんと連携して太陽の家の設置のさらなる促進を図っていきたいと思います。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 教育長。
〔教育長 安室 肇君登壇〕
○教育長(安室 肇君) 二重国籍児の教育の権利とその保障、内なる国際化と平等の原則に基づく行政対応については関連がございますので一括してお答えいたします。
重国籍児で日本の国籍を有する場合は我が国の義務教育を受けることになっておりますが、将来外国の国籍を選択する可能性があり他の教育の機会が確保されている場合は就学猶予、免除を認めてもよいことになっております。
また、本県においては平成9年度に302名の外国人児童生徒が公立小中学校に就学し勉学に励んでおります。現在、日本語教室を設置し外国人児童生徒に対しての加配教員を配置するとともに、複数教員体制による個別指導等に努めているところでありますが、重国籍児の教育にかかわる問題につきましては関係部局との意見交換が必要で
あると考えております。
次に、実務学園の分校化の長所と短所については先ほど生活福祉部長から答弁がありましたが、県教育委員会の立場からもお答えをいたします。
施設を分校化する長所としては、教育関係法令に基づく教職員の配置や教育施設の整備等教育諸条件の改善が図られ、それらのことを通して組織的、継続的な学習指導を行うことが可能となることであります。
なお、課題としましては分校を設置する当該市町村のコンセンサスの問題、生徒の卒業校にかかわる問題、学校長と施設長の連携の問題等が考えられます。
次に、教育現場におけるジェンダーフリーについてお答えいたします。
学校教育においては、子供の個性や能力を尊重して性別にとらわれることなく、一人一人のよさや可能性を伸ばす教育を教育活動全体を通じて行っているところであります。
なお、名簿の作成については県内外とも学校長の責任と判断のもとで行われていると理解しております。
終わりに、ダイオキシン問題の学校現場での対応についてお答えいたします。
県教育委員会は、平成9年11月21日付で県立学校長及び市町村教育委員会教育長に対し、ごみの減量化を促進し、学校における焼却炉については原則として使用を取りやめ廃止するよう通知したところであります。
平成10年2月20日現在、県立学校においてはほとんどの学校が焼却炉の使用を取りやめ、市町村立学校においては改善する方向にあります。引き続き市町村教育委員会及び関係機関と連携し、学校におけるごみの焼却炉については原則として廃止する方針で指導を強化してまいります。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 観光行政について、グリーンツーリズムの位置づけと育成策について、ブルーツーリズムの位置づけと育成策について一括してお答えいたします。
グリーンツーリズムとは、緑豊かな農山漁村において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動であります。特に漁村における余暇活動をグリーンツーリズムと区別してブルーツーリズムと呼ぶこともあります。
それらは、農山漁村に住む人々が主役となり、都市住民との交流を通じて農林水産物の消費拡大、就業機会の拡大等を促進し、農林漁家の生活の安定向上及び地域の活性化を図ろうとする新しい農山漁村の振興策の一つであり、観光の振興にも役立つものであります。
現在、県内においては伊平屋村におけるモズク収穫等の体験漁業教室、東村におけるふれあい農園等の体験農業教室が行われております。
本県は、特異な自然、独特の農山漁村文化及び伝統芸能等多様な資源に恵まれており、それらを生かしたグリーンツーリズムを積極的に推進するため農山漁村における地域資源の活用調査とあわせて都市・農村交流促進のための諸施設の整備、農林漁業体験民宿の普及等を進めてまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 環境保健部長。
〔環境保健部長 平良健康君登壇〕
○環境保健部長(平良健康君) 環境行政について有害物質ダイオキシンの発生状況、県内の実態把握について、基地、産業、家庭、学校現場についての御質問につきましては関連しますので一括してお答えいたします。
ダイオキシン類の各種発生源からの排出状況は必ずしも明らかではありませんが、我が国においてはごみ焼却施設からの排出が8割ないし9割を占めていると言われております。
平成10年1月現在、県内には市町村または一部事務組合の設置するごみ焼却施設が31施設ありますが、そのうち29施設が稼働し、2施設は老朽化のため休止しております。
県内のごみ焼却施設においてこれまでに測定されたダイオキシン類濃度は国が示した暫定基準内にありますが、できる限りダイオキシン類の低減を図る必要があります。
また、基地内におけるダイオキシンの発生状況については立入調査ができないものの、今後どのような発生源があるのか、把握に努めてまいりたいと考えております。
一方、産業活動に伴ってダイオキシン類が発生する施設としては木くずの焼却施設、廃油焼却施設等がありますが、平成9年6月の廃棄物処理法の改正に伴い事業者みずからダイオキシン類を測定することになり、実態が把握されることになります。
家庭及び学校現場においては自家処理用小型焼却炉がありますが、法律の適用を受けないためダイオキシン類の発生状況は把握できません。学校におけるごみ焼却炉については原則として廃止する方針が示されております。
なお、廃棄物処理法に係るダイオキシン類規制対象施設においては、同法に基づき年1回以上の測定と記録が義務づけられたところであります。
環境行政について、ダイオキシン問題の対策、産業廃棄物や家庭ごみ等への啓蒙と対策についての御質問にお答えいたします。
ダイオキシン対策につきましては、平成9年6月の廃棄物処理法の改正に伴い、廃棄物焼却施設に対してその処理能力に応じてダイオキシン類の排出基準が定められたところであります。
一般廃棄物に対するダイオキシン類削減対策としては、ごみの排出抑制、分別・減量化を推進してごみ焼蜘量を削減いたします。
さらに、小規模ごみ焼却施設を集約化し24時間稼働体制の全連続炉とするよう大型化を図ることとして、次年度にごみ処理広域化計画を策定いたします。
一方、産業廃棄物に対するダイオキシン対策につきましては、産業廃棄物の排出抑制等を促進するとともに、処理施設の構造基準及び維持管理基準の周知徹底と監視指導を強化する必要があります。
県としましては、一般廃棄物については市町村に対する講習会を実施するとともに、産業廃棄物については社団法人沖縄県産業廃棄物協会を通して周知徹底を図り、講習会の開催やパンフレット等を作成して啓発活動を展開していく考えであります。
○議長(友寄信助君) 以上で本日の代表質問を終わります。
本日の日程はこれで終了いたしました。
次会は、明25日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後7時52分散会
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19980202000010