平成13年(2001年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 8号 3月 2日
文化環境部長(宮城光男)
 

 循環型社会と家電リサイクル法に関する質問にお答えします。
 まず、本県の家電廃棄物の実態はどうか、離島でのエアコン、テレビ、洗濯機、冷蔵庫の数はどのぐらいあるか、また年間どれぐらい廃棄されているか、本県では家電リサイクルプラントは何カ所設置されているのか、また年間の処理目標は幾らかという御質問に一括してお答えします。
 平成11年度における県内家電4品目の排出台数は、全国における主要家電製品排出台数の推計値及び県内世帯数からエアコンが約2万7300台、テレビが約8万5600台、洗濯機が約4万2300台、冷蔵庫が約3万8800台というふうに推計されます。
 また、県内離島の家電4品目ごとの保有台数は、九州・沖縄地区における家電4品目の世帯当たりの保有台数及び県内離島の世帯数からエアコンが約9万2400台、テレビが約8万6200台、洗濯機が約5万500台、冷蔵庫が約5万6400台と推計されます。
 さらに、県内離島の家電4品目の排出台数はエアコンが約2900台、テレビが約9200台、洗濯機が約4600台、冷蔵庫が約4200台というふうに推計されます。
 一方、県内の家電リサイクルプラントは具志川市及び浦添市に1カ所ずつ設置されており、これらの施設における初年度の処理見込み台数はエアコンが約3600台、テレビが約8600台、洗濯機が約1万3800台、冷蔵庫が約1万1900台と聞いております。
 次に、家電廃棄物の不法投棄監視体制の強化は万全か、離島では引き取り料が高いことから不法投棄の増加が予想されるがどう対処するか、家電リサイクル法についての教育、啓蒙の体制はできているのかという質問に一括してお答えします。
 家電リサイクル法は、小売業者による収集・運搬、メーカーによるリサイクル及び消費者による費用負担といったそれぞれの役割分担を通して循環型経済社会の構築を目指す我が国初の法律であります。
 県は、本年4月の家電リサイクル法の施行に向けてこれまで10回以上にわたり市町村や小売業者に対する説明会や県民向けリサイクルフォーラムを開催するとともに、県広報番組「うまんちゅひろば」でも特集を組んできました。
 しかし、家電リサイクル法には廃家電品目の運搬先となる指定引き取り場所がない本県離島住民にとっては本島までの運搬費用が過重な負担となる側面があり、離島地域においては不法投棄が増加し適正な引き渡しに支障を生じることが懸念されます。県としては、これまでの定期的な合同パトロールに加え、今後は市町村における日常的な監視活動が重要であると考えており、その体制づくりを促すとともに、引き続き県広報誌等を活用し普及・啓発活動を実施していきたいと考えております。
 次に、家電小売店における中古家電の引き取り料負担について十分予想しているかという御質問にお答えします。
 家電リサイクル法では、小売業者は廃家電品の引き渡しに係る料金を消費者に請求することができると規定されており、請求するかどうかは小売業者にゆだねられております。したがって、その販売戦略などによっては請求しない場合もあり得るものと考えています。
 しかしながら、請求しないことが原因となり不適正な大量保管や不法投棄が発生することのないよう県としては小売業者による収集・運搬、メーカーによるリサイクル及び消費者による費用負担といったそれぞれの役割分担を通して循環型経済社会の構築を目指すという法の仕組みについて引き続き普及・啓発していきたいと考えております。
 次に、離島における指定法人はどうなっているかという御質問にお答えします。
 家電リサイクル法では、指定法人として通商産業大臣及び厚生大臣により財団法人家電製品協会が全国で唯一指定されております。同協会は、主務大臣が製造業者等への引き渡しに支障が生じていると公示した地域において廃家電を市町村等にかわり製造業者等に引き渡すことも業務としております。
 本島までの輸送と輸送費の問題はどう対処するのかという御質問にお答えします。
 家電リサイクル法では、家電4品目の収集・運搬及び再商品化に係る料金については消費者が負担することになっており、廃家電品の運搬先となる指定引き取り場所がない本県離島住民にとっては本島までの運搬費用が過重な負担となります。しかし、同法ではまた市町村長の申し入れを受けて主務大臣が製造業者等に対し必要な指定引き取り場所の設置を勧告できるなどの措置が規定されております。
 県としては、離島市町村に対し法施行後の状況を踏まえてこの主務大臣への申し入れ制度を活用するよう助言するとともに、引き続き離島地域の格差を是正する対応策について検討し、必要に応じて国等の関係機関に要望するなど適切に対処していきたいと考えております。
 次に、離島の廃棄車は沖縄特別振興対策調整費により回収されるが、家電にも適用させるべきではないかという御質問にお答えします。
 本県は我が国で唯一鉄軌道がなく、自動車に対する依存度が高い反面、中古車の登録率が全国一高く、したがって廃車の発生率も高いこともあって放置自動車問題は深刻な状況にあります。
 とりわけ本県離島における放置自動車の大量発生は、生活環境上の支障だけでなく本県観光産業の振興にも支障を及ぼすおそれが強く、離島市町村にとってはその解決は大きな課題となっております。このため県では、平成13年度に放置自動車対策事業として離島市町村における放置自動車の再発防止に向けた条例化など抜本的対策を前提に、沖縄特別振興対策調整費を活用して離島の放置自動車を一斉に撤去処理することにしたものであります。
 一方、家電4品目については小売業者による収集・運搬、メーカーによるリサイクル及び消費者による費用負担といったそれぞれの義務と役割が明記された家電リサイクル法が制定されており、回収する仕組みが確立されております。したがって、家電4品目を対象として沖縄特別振興対策調整費を活用することは難しいものというふうに考えております。
 家電の回収方法にはいろいろな組み合わせが考えられるが、実情はどうかという御質問にお答えします。
 現在排出される家電4品目の約8割は小売業者等によって回収され、残りの約2割が市町村で回収されていると言われております。
 家電リサイクル法では、小売業者はみずからが過去に販売した対象機器の廃棄物の引き取りを求められたとき、または対象機器の販売に際し同種の対象機器の廃棄物の引き取りを求められたときは消費者から引き取らなければならないとされています。小売業者に引き取り義務がないものについては、廃棄物処理法により市町村がその回収体制を構築する必要があります。
 県が市町村に行った回収方法に関する意向調査によると、1、市町村が回収するのが22市町村、市町村と小売業者で回収するのが12市町村、一般廃棄物収集・運搬業者が回収するのが5市村、小売業者が回収するのが6町村、一般廃棄物収集・運搬業者と小売業者で回収するのが1市、検討中が7町村となっており、市町村にとってはこれらの回収方法等をいかに構築するかが当面の検討課題であると認識しております。
 家電のリサイクルによる市町村の財政負担に関する県の認識及びその実効性について伺いたいという質問にお答えします。
 家電4品目の収集・運搬及び再商品化に係る料金の消費者負担に伴い不法投棄の増加が懸念され、その処理に要する市町村の財政負担の増加が考えられます。県としては、これまでの定期的な合同パトロールに加え、今後は市町村における日常的な監視活動が重要であると考えており、その体制づくりを促すとともに、引き続き県広報誌等を活用し普及・啓発活動を実施していきたいと考えております。
 次に、離島における廃棄車両の回収予定台数は幾らか、回収後の不法投棄について再び予算措置を行い回収するのかという質問にお答えいたします。
 平成13年度の放置自動車対策事業においては、離島の放置自動車を約7500台一斉に撤去処理することにしております。当該事業では、放置自動車の撤去の前提として放置自動車の再発防止に向けた市町村条例を制定することにしており、条例施行後は放置自動車の発生がなくなるよう努めてまいります。

 次に、不法投棄防止の監視体制の強化を徹底すべきと考えるがどうかという御質問にお答えします。
 県では、これまで廃棄物の不法投棄を防止するため保健所による監視パトロールや関係機関との合同パトロールなどを実施してきております。市町村条例の施行後においては各地域による監視体制が重要となることから、市町村や地域住民による日常的な監視体制の構築を促すとともに、条例の住民への周知を図ることにより放置自動車の再発防止に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、離島では持ち込むとき、すなわち消費者が買うときに処理費用を上乗せするのがよいと言われるが、検討の余地はないかという御質問にお答えします。
 現在の法制度では、地方自治体は法律または政令に根拠を持たない現金等の保管を禁じられていることから、市町村を主体とするいわゆるデポジット制度の導入は困難であります。
 なお、国においては、新たな自動車リサイクルシステムの法制化に向けてリサイクル費用の負担やメーカー等関係者の役割分担等について検討を進めております。製造者責任による処理システムが最もすぐれたシステムであると思われることから、知事会等を通して当該制度の創設を引き続き国に要望していきたいと考えております。
 次に、ポイ捨て禁止条例の制定の関係で、他府県の条例中、罰則規定のある事例はあるか、あるとすれば内容はどうなっているのかという御質問にお答えします。
 都道府県におけるポイ捨て禁止条例については、平成12年10月現在、18府県において導入済みであります。そのうち青森県、埼玉県及び鳥取県の3県の条例においては、投棄の禁止規定に違反した者に対し2万円以下の罰金が規定されております。また群馬県においては、同様の違反者に対し5万円以下の過料を科することとしております。
 なお、これまで上記4県において罰則規定の適用事例はありません。

 
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