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平成26年(2014年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第10号 3月28日
照屋 大河
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社民・護憲会派を代表し、辺野古埋立承認問題等調査特別委員会の平成26年度の調査経費に関する動議に対し、賛成の立場から討論を行います。
きのう政府の衆議院安全保障委員会で明らかになった事実でありますが、昨年12月17日の県が求めた普天間飛行場の負担軽減策、その中の5年以内の運用停止についてであります。この件について、3月に負担軽減推進の作業部会に出席し、沖縄に帰ってきた高良副知事は、5年以内の運用停止について2018年度をめどにということを作業部会で申し上げ明言した。そして、政府も共通認識だったと思うというような発言をされています。
ところが、きのうの衆議院の委員会でわかったことは、この高良さんの発言について18年をめどという発言について問われた政府は、5年以内の運用停止が極めて重要といった発言はございましたけれども、2018年をめどにという表現自体はなされなかったというふうに認識しておりますというふうに答弁をしています。一体どちらが本当のことを言い、どちらがうそをついているのか。これは高良副知事の問題だけではなくて、仲井眞知事を初めとする県の行政の対応、普天間基地問題に対する県の対応、姿勢というふうに言わざるを得ません。そういう意味でも百条委員会の継続は必要であります。
さて、去る百条委員会において仲井眞知事は、辺野古埋立承認に関して知事と担当部局との調整内容を記録したメモは一切残されてないと証言いたしました。中間報告から審査結果に至るまでの180度方針を転換しながら、その意思決定過程における調整メモ、経過を示す記録が県行政として一切ないというような証言がまかり通るはずはなく、県民は誰も納得はしていません。
一体、今県庁の中で何が起きているのか。私たちの沖縄県行政は民意をどのように踏まえ判断し、政策決定を行ったのか。100年後の沖縄のありようを規定すると言っても過言ではない新たな基地の建設を許すという重大な判断を、しかも県民の意思に反し行われた決定について、歴史の検証に耐え得るものとすることは最低限果たされるべき行政の責務であり、県民への責任ではないでしょうか。
長にとって都合が悪いから、説明がつかないから隠さざるを得ないということであれば、まさにこの判断の後ろめたさをあらわすようなものであります。現段階でとり得る対策が講じられているとしても、環境保全に懸念が払拭できないことから、承認基準に適合していると認めることはできないと判断した場合に法律上の疑義が生じるか、知事の裁量の範囲となるかとの質問に対する国交省の見解は、基準に適合するか否か判断するのはまさに知事の裁量の世界である。そして、地元市町村の意見の取り扱いについて、法的には拘束されるものではないが、地元市町村長の意見を公益性の一つと捉えて裁量の中に入れて考慮しても法律上特段の疑義は生じないと解釈してよいかとの質問に対する国交省の見解は、それをどう考えるかは知事の判断ということになろうという回答であります。環境に影響があるので不適合とすることもできる、影響があると認めた上で、保全措置があるから適合したということもできる、まさにそこが知事の判断であり裁量であります。法に従えば承認しかないという言い方は、埋立法の解釈として不適切であり、みずからの公約破綻を隠すための言い逃れにほかなりません。
保全は不可能、懸念が払拭できないとした知事意見を知事みずから重く見たか、軽く見たか、どう判断したか、その説明及び根拠が知事に問われているのであります。
ところで、百条委員会の設置に当たり、先ほどもそうですが、今もって県議会の一部に埋立承認がいわゆる不祥事案でないことを理由に100条調査の対象外との指摘があります。地方自治法第100条に規定される議会の調査権は、議会の職責を完全に遂行せしめるために、同法第2条第2項の事務について認められるものであって、政治調査として世論の焦点となっている事項等についてその実情を明確にするために、またはその他一般的に事務調査として地方公共団体の重要な事務の執行状況の調査をすることによるものであり、不祥事案に限って100条調査権を発動せよなどとする解釈はどこにもありません。広く地方公共団体の事務全般について認められているところであり、県政の最重要課題の一つである今回の埋立承認事務について、なぜ承認に至ったのかを解明し真相を明らかにすることは、まさに地方自治法第100条の趣旨に合致するものであります。
埋立申請を承認することによって新基地建設を認めた県政史上初の知事、しかもその判断は知事みずからの公約、表明してきた議会答弁や国内外での発信を180度覆す形で唐突に行われました。県外移設を求め県民総意として声を上げた多くの県民がまさに裏切られたと感じた承認の判断であります。沖縄の将来を左右する新たな基地建設に係る判断の中身がどうであったのか、知事公約との整合性、民意に対する認識、政府との裏交渉、環境保全上の懸念、沖縄の誇りと尊厳、自治と人権に対する視点など県民はそれぞれに最大の関心を持って埋立承認をした知事判断に疑問を感じ、あるいは怒りを感じ、その妥当性、正当性を問うておるわけであります。
この時代に直面する政治家として、県民の代理を担う県議会として県民の意思を反映し、その関心に誠実に寄り添い、長がなした埋立承認の判断、その妥当性や真相についてでき得る限りの調査権を活用し調査を行うことは、県議会がその役割と使命をどう自覚するかの問題であり、その意味で埋立承認問題は最も100条調査権を発動するにふさわしいテーマであると考えています。中間報告までに明らかになった事実、一層の解明が求められる課題について、引き続き真相究明を行うことが必要であり、重要であると考えることから、この動議に賛成をするものです。
以上、議員の皆様の御賛同をお願いを申し上げます。
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20140210060030