平成26年(2014年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 9月25日
警察本部長(加藤達也)
 

 8月26日付で警察本部長に着任いたしました加藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは県警関係についての御質問の中で、本部長としての今後の抱負と決意についてお答えいたします。
 警察の使命は、144万県民の皆さんはもちろんのこと、国内外から沖縄を訪れる年間約650万人の訪問客の皆さんにも安心して過ごしていただけるような良好な治安環境を提供することであると考えております。
 沖縄県には、駐留米軍人等による事件・事故の発生や、後を絶たない飲酒運転、少年非行問題など独特な課題があるほか、DVやストーカー事案、特殊詐欺事案、サイバー犯罪といった全国的な課題への対処など、取り組むべき課題は山積しております。
 警察本部長としてこれらの治安上の課題に適切に対処するとともに、警察に対する意見・要望をしっかりと見定め、安全で安心な沖縄県を実現できるよう全力を尽くす所存であります。
 次に、県警関係についての御質問の中で、DV・ストーカー対策の全国的な動きと当県の実態及び今後の取り組みについてお答えいたします。
 DV・ストーカー事案は、昨年は全国的に過去最多となり、当県におきましてもDV事案は過去最多の656件、ストーカー事案につきましては過去10年で最多の155件となっております。ことし8月末においてもDV・ストーカー事案とも前年比で大幅に増加しているところであります。DVやストーカー事案は、他県におきましては殺人事件等の生命にかかわる重大事件に発展した例もあることから、県警察といたしましては、DVやストーカー事案に迅速・的確に対処するため、本年4月1日付で生活安全部に子供・女性安全対策課を新設するとともに、同課を中心に生活安全部、刑事部、警務部の捜査員等で構成したDV・ストーカー事案等対処チームを構築し、各警察署と連携して対応しているところであります。
 DVやストーカー事案は、身近な者が行為者であるなどの理由から、危険性・切迫性の判断が困難であることや、事態が急展開して重大事件に発展する危険性を有すること、さらには事案が長期間にわたり継続する傾向にある等の特徴があり、犯罪抑止及び犯罪捜査並びに被害者保護の観点から、生活安全部門と刑事部門・警務部門が連携した組織的対応を行っているところであります。また、被害者の保護対策や各種支援につきましては、日ごろから女性相談所や各市町村等関係機関との連携・協力を図りながら対応しているところであります。
 県警察といたしましては、増加する同種事案に対してこれまで以上に被害者の生命、身体の保護を最優先に事案への対応を徹底していく所存であります。
 次に、県警関係についての御質問の中で、信号機や標識等の管理と道路管理者との連携・協議についてお答えいたします。
 まず、信号機や横断歩道等の交通安全施設の管理につきましては、警察職員により年2回の定期点検や災害発生時における特別点検、日常の警察活動を通じた常時点検を実施しております。また、委託業務や関係機関からの通報、県警ホームページ等に寄せられた県民の声などを踏まえ、補修箇所等の把握に努めております。こうした交通安全施設の補修につきましては、設置場所や補修内容を勘案し、危険性の度合いが高いと判断される箇所から順次行っております。
 次に、道路管理者との連携・協議につきましては、県警察及び道路管理者は互いに他機関の管理する施設等に係る問題点を発見した場合には、その都度積極的に通報するとともに、連携して街路樹の剪定や区画線、標識の補修等、適切に対処しております。
 今後も、県民からの御要望に応えられるよう、管理を強化するとともに、より細かく道路管理者との連携を図ってまいりたいと考えております。
 次に、県警関係についての御質問の中で、特殊詐欺の県内の発生状況と被害防止対策についてお答えいたします。
 まず、特殊詐欺につきましては、いわゆる振り込め詐欺と呼ばれるものと振り込め詐欺に類似した詐欺、いわゆる振り込め詐欺以外の特殊詐欺の2種類に分類しているところでございます。
 振り込め詐欺につきましては、いわゆるオレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺の4つの手口がございます。振り込め詐欺以外の特殊詐欺につきましては、ギャンブル必勝法情報提供名目詐欺、金融商品等取引名目詐欺、異性との交際あっせん名目詐欺などがあります。
 県内における平成26年8月末現在の特殊詐欺の認知件数は12件、被害総額は約3860万円となっており、前年同期比で認知件数は1件の減少、被害総額は約4040万円減少しております。12件のうち、有料サイト延滞料の未納や解約手続等の名目で料金を請求する架空請求が5件、ロト6の当選番号の情報提供料名目で会員登録料等を請求するギャンブル必勝法名目が5件発生しております。この2つの手口の被害額につきましては、架空請求が約410万円、ギャンブル必勝法名目が約2140万円となっております。
 特殊詐欺に対する県警察の対応でありますが、警察におきましては、特殊詐欺の被害に遭わないための防止対策として、県民に広くその実態を知らせ、県民の抵抗力を高めることが重要だと考えております。
 これまで取り組んでおります防止対策といたしましては、巡回連絡や高齢者等に対する防犯講話などを活用した広報啓発活動のほか、マスコミ等を通した注意喚起、具体的には県内新聞6紙の御協力をいただいて、ロト6の当選番号告知記事の隣に、当選番号を事前に教えるという詐欺が多発しています旨を標記するなど、県民に広くその実態を知らせるとともに、金融機関や宅配業者等と連携して水際で被害を食いとめる取り組みを推進しております。
 県警察といたしましては、今後とも振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺の被害者を出さないため、繰り返し被害防止対策を実施し、県民の特殊詐欺に対する抵抗力を高める広報啓発活動を図っていくこととしております。
 次に、県警関係についての御質問の中で、飲酒運転の実態と飲酒運転取り締まりについてお答えをいたします。
 本県における飲酒運転による人身事故は、平成14年の433件をピークに昨年は134件と約3分の1にまで減少しております。しかしながら、全国的にも減少傾向にあることから、依然として構成率では全国で最も高い状況にあります。他方、飲酒運転の検挙件数は、平成10年の1万5587件をピークに、昨年は1388件と約10分の1にまで減少しているものの、実数では全国で4番目であり、人口1000人当たりに占める割合では全国平均の約4.3倍と、いまだ全国で最も高い状況にあります。
 本県の飲酒運転の背景といたしましては、夜型社会と相まって、飲酒する時間が長く、飲酒量も多いことが挙げられ、昨年、飲酒運転で検挙された者の約8割が身体のアルコール量が0.25ミリグラム以上の高い数値であり、また、いわゆる二日酔い運転による人身事故が全体の約3割弱を占めている状況にあります。また、飲酒運転で検挙された者を対象としたアンケート調査の結果では、最初から飲酒運転をするつもりで酒を飲んだと回答した者が約6割を占めるなど、規範意識の低いことが挙げられます。
 県警察といたしましては、このような現状を踏まえ、飲酒運転が絡む交通事故の発生時間、路線等を分析し、夜間のみならず早朝の取り締まりの強化を図っているところであります。さらに、飲酒運転根絶に向けた啓発活動につきましては、平成21年10月に施行されました沖縄県飲酒運転根絶条例に基づく取り組みとして、県内の事業所や飲食店等が加盟する協会や組合等の従業員や職員を初め、運転免許更新時等の受講者に対して、飲酒運転根絶宣言書への署名提出活動の取り組みを行い、県民及び運転者の意識啓発を図っているところであります。
 県警察といたしましては、引き続き飲酒運転取り締まりを強力に推進するとともに、県、市町村、関係機関・団体等と連携し、飲酒運転根絶に向けた県民総ぐるみ運動を展開してまいる所存でございます。
 以上でございます。

 
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