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平成13年(2001年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 6月25日
伊波 洋一
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本日のしんがりの一般質問を行います。
普天間代替施設について。
代替施設協議会で普天間代替施設8案の全貌が示された。大きさは長さ2600メートル、幅730メートルで面積で約200ヘクタールである。
一方、1996年12月2日のSACO最終報告は、海上施設の大きさは1500メートルとし、幅を600メートルと説明していたから面積は90ヘクタールである。実にSACO合意の2倍以上の面積になっている。藻場への影響、サンゴへの影響、ジュゴンへの影響は単純に考えても2倍以上になるわけだが、面積が2倍以上になったのはなぜか。稲嶺知事が軍民共用空港を建設することを提案したからと考えてよいか。
知事の公約した陸上案が海上案になり、大きさが2倍以上になることで辺野古の貴重な海は壊滅的な打撃を受けることになる。知事はそのことを想定していたか。
政府の公表した検討資料によると、リーフ内案は藻場に大きな影響を与え、リーフ外案はサンゴに大きな影響を与える。リーフ上案は藻場とサンゴの両方に影響を与える。知事は、8案の中に辺野古の海の環境への影響が少なく、ジュゴンを保全する案が含まれていると考えるか。あると考えるならば、その根拠を示していただきたい。
藻場やサンゴなどの海中生物への影響調査やジュゴンの保全のために、工法や建設場所の決定の前に本格的な環境影響評価を行うべきだと考えるが、知事の見解を伺いたい。
知事が財産と主張する軍民共用空港の価値とそのために失われる藻場やサンゴ、自然景観、ジュゴンへの影響などの失われる価値を評価して比較することにより、知事の言う財産が本当の財産なのかどうかわかるはずだが、両方の価値を評価して比較してみる考えはないか。
代替施設の騒音予測コンター図は、普天間飛行場のヘリコプターの運用形態とほぼ同様に設定したとされている。そのように考えて間違いないか。
代替施設の騒音予測コンター図では、ヘリコプターの飛行経路はその離着陸地点から滑走路延長方向に1500メートル、滑走路に対して直角方向に1500メートルの範囲で半円を描いて飛行していると設定されている。米軍は代替施設でこのような運用をすると考えてよいか。
代替施設の建設工期は、3年程度の環境影響調査を見込むと9年から21.5年になるが、その間は普天間飛行場を米軍はそのまま使用し続けてよいと知事は考えているのか。
知事の言う15年使用期限を加えると24年から33.5年になるが、知事はそのような長期間にわたって沖縄の米軍基地は存続し続けてよいと考えているのか。
普天間基地周辺住宅地での米軍機飛行禁止について質問します。
6月13日の午前7時過ぎに宜野湾市内の民家の直近に米軍ヘリから2個の落下物があり、落下の衝撃は花壇の琉球石灰岩の縁取り石も粉々になるものだった。落下の二、三分前まで落下場所を家人が掃除をしており、一瞬のおくれで生命にかかわる被害が起こる状況だった。また、二、三十メートル近くを国道58号が通っており、もし国道58号上に落下していたら多数の被害者のおそれがあった。普天間基地は、国道58号や国道330号と2つの県道で囲まれており、米軍ヘリは住宅地上空のみならず、これらの道路上を頻繁に飛行している。このような状況下での落下事故について知事の見解を伺いたい。
代替施設の騒音予測コンター図と普天間基地周辺の航空機騒音測定結果は乖離している。安波茶ポイントは離発着地点から4キロも離れているが、平成11年度のWECPNL値は72.5なのはなぜか。野嵩ポイントは離発着地点から2キロ以上も離れているが、WECPNL値は76.5なのはなぜか。3キロメートル離れた我如古ポイントでもWECPNL値が70を超える日が40日あるのはなぜか。
普天間飛行場は長さが4キロメートルで幅が1700メートルである。普天間代替施設の騒音予測コンター図では、米軍ヘリは離陸地点から1500メートル四方の半円を飛行すると設定されている。反対側の半円を加えると幅1500メートル、長さ3キロメートルの範囲で旋回するとされているわけであるが、その範囲はすっぽりと普天間飛行場内に入ってしまう。県は、米軍に対して米軍ヘリの旋回飛行を基地内に限るよう求めるべきだと考えるが、知事の所見を伺いたい。
一日も早く危険な普天間基地返還という知事は、代替施設のために今後さらに10年から20年も普天間基地周辺の住民を危険な状態のまま放置するのか、それとも実効性のある対策をとれるのか。
海兵隊の削減・撤退について伺います。
知事は、訪米でブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン専任研究員の意見を聞いている。オハンロン氏は、基地には重要なものとそうでないものがあり、空軍は必要だが海兵隊は駐留する必要はない。幾らか残して今すぐにでも削減することが可能だと言ったというのはそのとおりか。米国内では、在沖海兵隊の削減・撤退論が高まっている。基地問題を解決するために知事は在沖米軍基地の75%を占める海兵隊の削減・撤退をもっと積極的に求めるべきではないか。
在沖米軍訓練のグアム移転について、米海兵隊当局も大隊規模の駐留に適していると報道されている。県は確認をしているか。海兵隊は沖縄に車両や装備を含めてローテーションで移動しており、大隊規模での駐留となればその分沖縄に来なくて済む。確認したいが、米軍訓練の移転は、米本国から沖縄に来て訓練していたのを別の地域で行うことにより沖縄での一時駐留と訓練を減らすものでなくてはならない。県としてもそのように考えているか。
米政府は、プエルトリコのビエケス島での射爆撃訓練中止を決定した。知事はそのことをどのように受けとめているか。
商工会の役割について。
県内商工会への県の補助金は13億円程度と理解しているが、補助の目的と内訳を明らかにしてもらいたい。また、宜野湾市商工会へは総額幾らか。
商工会法第6条では、「特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行なつてはならない。」となっているが、県の見解を伺いたい。
宜野湾市商工会が宜野湾市長に報告した平成13年2月5日付宜商工第722号「本市(宜野湾市)西海岸都市機能用地開発「サンバーズ計画」に係る経過等について」によると、宜野湾市西海岸埋立地への民間ディベロッパーによるショッピングセンター建設計画における建設業者選定で宜野湾市商工会が重要な役割を果たしていることが明らかになった。この宜野湾市商工会による業者選定は、商工会法に反すると考えるので商工会を指導する立場の県の見解を伺いたい。
宜野湾市商工会は、建設費約35億円の核店舗について市内特A業者6社の利益を守るために市外建設業者を排除し本土ゼネコン7割、地元特A5社3割のJVとする決定をした。特定の企業への利益誘導であるだけでなく、県内企業への優先発注という県建設業界の県への要望に矛盾するものと考えるが、県の見解を伺いたい。
本土ゼネコンの選定では10社に見積もりを提出させ、最低価格が31億9000万円、最高は40億9000万、坪単価で20万円以下が3社、20万台が3社、22万台が3社、23万台が1社であった。核店舗に入る本土大手スーパーは当然最低価格での建設を求めたが、商工会サイドは適正利潤を求め、ディベロッパーは地元特A業者の適正利益を保証させるという理由で最低価格より6億1000万円高い38億円、坪単価22万円提示したゼネコンを選定した。
核店舗に入る本土大手スーパーにとって、月額テナント料が635万4000円のアップになる苦渋の選択だ。1年で7624万8000円の余計な支払いだ。これらのコストはテナントや小売業者や消費者にも回されることになる。経営が苦しくて再建途上の本土大手スーパーが物件費を抑制して利益の出せる店舗にしたいと最後まで抵抗したにもかかわらず、発注者であるディベロッパーが適正価格を理由に6億1000万も高いゼネコンに決定したのは市商工会と宜野湾市の大きな影響力が働いたと言っても過言ではない。
宜野湾市商工会会長は、沖縄県商工会連合会長でもある。同様なことが県下に広まれば、建設業界は経営改善よりも自治体の影響力をバックにした談合に走ることになりかねない。小売業界に大きな負担を生むだけでなく、最終的に消費者がそのツケを払わされる。企業間の競争を阻害し、特定業界の利益を追求する宜野湾市商工会の取り組みは商工会法第6条に反するものではないか。何らかの指導をしていく考えはないか。
この宜野湾市西海岸都市機能用地開発「サンバーズ計画」に県の融資制度からも融資されるのか。
株式会社沖縄県物産公社について。
株式会社沖縄県物産公社の役員人事に沖縄県が介入し、平成5年設立から物産公社の経営を任されてきた代表取締役専務宮城弘岩氏を突然解任しようとしている。沖縄県内の製造業振興に大きな貢献をしている今日の物産公社の発展は、宮城弘岩専務の経営手腕によるところが大きいと評価されている。
今回の県の人事介入は、天下り人事の玉突きとささやかれているが、そのようなことがあってはならないはずである。今回の人事介入の撤回を求めて質問する。
株式会社物産公社は、今では年商50億円にもなっているようだが、設立以来の売り上げ及び従業員の推移を明らかにしてもらいたい。
宮城弘岩専務は、「沖縄発・本土行き」のかけ声で県内製造業の水準を高めて全国に通用するものにした。現在、物産公社と取引をしている県内製造業者は何社に達しているか。また、取り扱っている商品の種類は幾つになるか。
県として、物産公社をここまで育てた宮城弘岩専務の経営手腕をどのように評価しているか。また、解任に値する失策があったのか。
牧野副知事は、5月8日に宮城専務を呼び出して、今期限りで物産公社をやめていただきたい、これは通告であると突然に解任を通告したとのことだが、事実か。物産公社は株式会社であり、役員でもない牧野副知事はどのような権限と理由によって宮城専務に退任を通告したのか。社長である知事は、通告までに物産公社の人事についての検討会議をだれと何回行ったのか。
物産公社では、平成11年4月に県から出向していた洲鎌常務が4月1日付で財団法人沖縄県産業公社専務理事に転出した。宮城弘岩専務を含めて経営者2人を同時にかえる人事は会社経営に混乱をもたらすものではないのか。
洲鎌常務が県産業公社専務理事になり、産業公社専務理事だった宮城正治氏がJTA常勤監査役につき、JTA常勤監査役だった宮城春一氏(6月22日退任)が県産業公社専務につくということになったのは事実か。事実なら玉突き人事ではないのか。
県の出向ルールでは、定年後にJTA常勤監査役に天下りした宮城春一氏を県外郭団体に迎えるのはルール違反ではないか。外郭団体出向は基本的に定年になるまでにすべきであり、今回のように定年後に天下りした県幹部職員が天下り先を退職して退職金を受け取り、さらに県外郭幹部の常勤の専務につくのは前代未聞であり、このような二重の天下りは県民から厳しい非難を受けると思うが、県幹部職員の天下りのルールやあり方について県知事の見解を伺いたい。
私は1年前、予算特別委員会で株式会社である第三セクターの運営は民間の手法でやるべきだと質問したことに対し、当時の宮城春一商工労働部長は、「委員御指摘の民間の経営ノウハウを持った人が経営に当たるというのは、これは非常に大事なことだと思っています。それを補完する意味での県の人材派遣でございまして、県の方で行政がすべてを取り仕切るということには、今現在、沖縄県物産公社ではそれをやっておりません。」、専務取締役については民間の方をお願いしております。取締役もほとんど民間で、県の行政施策を担う部分として1人の派遣をしておりますと答弁した。
今回の解任劇は、天下り人事はまさに答弁と逆のことになっていないか。県として民間の経営ノウハウを持った人が経営に当たるというのは、非常に大事なことだと思うとの認識を変えたのか。それとも1年間民間に天下った県幹部は民間の経営ノウハウを持つ人になるのか、県の見解を伺いたい。
県の人事介入による唐突な物産公社専務解任騒動に対して、三井造船グループの発酵ウコン株式会社など大取引先の本土4社の代表が、健全な経済活動を展開する第三セクターへ行政が過剰に介入するのは時代に逆行する。民間主導による現体制を維持し、市場開拓を行うべきだなどと県に申し入れたことを社長でもある知事はどのように受けとめているか。
本土4社の要請を受けた牧野副知事は、地元新聞社の幹部に同要請をニュースとして大きく取り扱わないようみずから働きかけたというのは事実か。事実なら憲法が定める報道の自由に対する重大な侵害と介入であり、県の姿勢が問われる。知事の見解を伺いたい。
「沖縄のオンリーワン企業」の著者が6月5日の県内紙論壇で、県内新聞報道での「花城順孝商工労働部長の「物産公社は県がつくった第三セクター」」、民間企業の人事に手を出したわけではないとの発言を批判し、「県幹部の天下りの第三セクターなど不要だ。」と厳しく第三セクターのあり方を論じたのに対して、同氏が在職する県内最大手の某食品メーカーに、会社は県の補助金を受けていながら県を批判するとはというクレームが県サイドから出されたため、同氏は会社までは迷惑をかけられないと今月退職する。稲嶺知事はこのことをどう受けとめているか、御所見を伺いたい。
弘岩専務は、IT活用によるデポ物流システム展開による年100億円台の売り上げビジョンを取締役会に提出したばかりであったというのは事実か。宮城弘岩専務は100億円売り上げビジョンを具体的に実現していく計画として提示したわけで、彼以上のビジョンや計画を持って実現していくというのならバトンタッチすることに異存はないと取締役会で述べているのは事実か。県の推薦する新専務は経営ビジョンを示しているか。
本来ならば物産公社の経営が軌道に乗った時点で、県は人事出向を最小限にして金は出しても口は出さないという姿勢をとるべきだった。ところが稲嶺県政になって、平成11年4月から株式会社である物産公社に県出向常務を代表権を持たせて派遣し、さらに今回は専務まで県幹部の天下りポストにしようとしている。彼らは職員と比べて極めて高い給与が与えられ、2年ローテーションで退職金をもらって去るか、今回の常務のように別の県外郭に移る。第三セクターである物産公社が倒産しようと損害を与えようとその経営責任を問われることはない。一生懸命頑張っている職員はたまったものではない。県知事は今回の人事案を撤回して県出向も最小限にし、物産公社の発展を見守る考えはないか。
今回の騒動のきっかけは、県出向の役員が県物産公社に対する意見を県に報告したことが発端になっているようだが、事実か。その報告内容について県は宮城専務と話し合ったのか。
私は、今回の物産公社騒動で学んだものがある。宮城弘岩氏は、経済自立なくして精神の自立はあり得ないと力説していることだ。その自立は与えられる自立ではなくて、みずからかち取る自立である。
一方、県の自立施策の発想の多くは助成制度や減免措置など他力本願の自立だ。
御承知のように、宮城弘岩専務は、ぬるま湯につかっていてはいつまでも沖縄は自立できないとの持論を持っており、沖縄への高率補助の廃止論者である。私は高率補助を必ずしも悪いとは考えないが、宮城弘岩専務のような経営者は頼もしいと考える。このような人材にこそ物産公社を託すべきと考えるが、知事の見解を伺いたい。
特定免税売店について伺いたい。
戻し税方式から免税方式への変更、新たに観光払い戻し税制度8品目を取扱品目に加えるなど売り上げ低迷の克服につながる法改正の実現直後に特定免税業者が地元業者から県外の日本DFSに変わったのはなぜか。この委託先としてトクメンオキナワの合意なしに行われたのか。訴訟問題として長期化していく可能性はないか。県の打ち上げた花火が消えるたびに期待して就職した勤労者は泣くことになる。今回の日本DFSの委託変更で現在の職員の身分は引き継がれるのか。また、日本DFSでの被雇用者の労働条件の改善は見込めるのか、明らかにしてもらいたい。
来年に向けて特定免税店の市中展開、特に宜野湾市に予定されている国際ショッピングモールへ特定免税店を設置できるようにすることと、内国消費税の撤廃についての取り組みとその実現性はどうなっているか。
国際ショッピングモールについて伺います。
観光客を100万人もふやすと21世紀プランにも打ち出されている国際ショッピングモール事業が1市の企業誘致事業になっているのはなぜか。国や県はどのように事業にかかわり、責任を持つのか。
代表質問との関連で伺います。
泡瀬干潟、国の公共工事見直しで財政削減のためにむだな公共工事の見直しということだけでなく、開発優先から自然環境保全優先という価値観の転換が根底にあり、県は沖縄市の市民投票条例請求運動の盛り上がりを軽視してはならない。県内各地で干潟の埋め立てが進んだため、本島で少なくなった干潟のうち泡瀬干潟は最大級であるだけでなく、渡り鳥にとってえさの豊富な貴重な干潟と言われている。国、県のレッドデータブック指定の鳥類も多く飛来している。各地の埋め立てで失われた干潟の状況と、現在は多くの渡り鳥が飛来している泡瀬干潟の現状について自然保護化の観点から伺いたい。
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20010305130020