平成26年(2014年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 9月25日
企画部長(謝花喜一郎)
 

 沖縄振興策の推進についての御質問の中の、PDCA実施結果の評価と活用についてお答えいたします。
 沖縄県では、沖縄21世紀ビジョン基本計画の着実な推進を図るためPDCAを実施し、施策の評価にとどまらず毎年度、検証や改善結果を継続的に取り組みに反映させることとしております。今年度は、平成25年度に実施した246の「施策」と1683の「主な取組」を対象に、推進状況や成果指標の達成状況を取りまとめ、その結果を公表したところであります。平成25年度に実施した各取り組みの推進状況については、81.8%が「順調」に推進されており、実施計画に掲げた取り組みは大きく前進しております。これら「順調」とされた取り組みを含む全ての取り組みについて、内部要因、外部環境の分析を踏まえた改善案を示しております。また、県民生活の向上への効果等をあらわす成果指標の状況については、411の成果指標のうち69.1%が「改善」されており、成果があらわれ始めております。 
 今後は、公表に対し寄せられた県民意見などを踏まえながら、PDCAの検証結果を予算要求等に適切に反映させ、さらに効果的・効率的な施策展開につなげてまいります。
 次に、1人当たりの県民所得の減少の要因と市町村ごとの特徴についてお答えいたします。
 2011年度(平成23年度)の1人当たり県民所得は201万8000円で、前年度の204万2000円より2万4000円、率にして1.2%減少しております。これは、県民所得における雇用者報酬では賃金・俸給が82億円、0.4%増加したものの、台風2号の被害による農業への影響などにより企業所得が142億円、1.9%減少したこと、あわせて県内総人口が8248人、0.6%増加したため、1人当たりの県民所得の減少につながったものと考えております。市町村ごとの特徴につきましては、1人当たりの所得の高い町村として、北大東村、南大東村、嘉手納町が挙げられます。これらの町村については、南北大東村は、人口に占める雇用者数や経済活動に占める公共事業の割合が高く、このことが1人当たりの所得を押し上げているものと分析しております。また、嘉手納町は、財産所得に占める軍用地の賃貸料の割合が高く、このことが1人当たりの所得を押し上げているものと分析しております。
 次に、離島・過疎地域の振興についての御質問の中の、一括交付金を活用した離島の交通支援施策の実績と効果及び今後の計画についてお答えいたします。
 県では、離島の定住条件の整備を図るため、沖縄振興特別推進交付金を活用し、離島の割高な交通コストを低減する沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業や離島航路の船舶更新を支援する離島航路運航安定化支援事業に取り組んでおります。沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業の利用実績は、航空路においては、平成24年度37万5489人、平成25年度30万1201人となっており、平成23年度の25万5297人と比較すると、平成24年度では12万192人、約1.5倍となっております。また、平成24年度と平成25年度を比較すると、平成25年度の年度途中に新規航空会社の参入により事業の適用を保留した宮古―那覇、石垣―那覇路線を除く9路線で比較した場合、1万5134人、6.8%の増となっております。さらに、航路においては、平成24年度45万9069人、平成25年度50万6638人となっており、平成24年度と比較すると4万7569人、約1.1倍となるなど、本事業の実施により離島住民の移動に係る経済的負担の軽減が図られております。また、離島航路運航安定化支援事業では、平成24年度及び平成25年度の複数年度において、伊平屋及び与那国航路のフェリーを建造支援するとともに、平成24年度に大東航路、平成25年度に渡嘉敷航路のフェリーの買い取り支援を実施したところであります。
 今後、「離島航路船舶更新支援計画」に基づき平成33年度までに16航路の建造及び買い取り支援を予定しております。本事業により、離島航路の維持確保に加え、お年寄りから体の不自由な方でも楽に乗れるバリアフリー対応など、移動環境の改善が図られるものと考えております。 
 県としましては、引き続き離島住民が住みなれた島で安心して暮らし続けることができるよう、定住条件を整備し、離島地域の振興に取り組んでまいります。
 次に、RACの機材更新に対する県の対応についてお答えいたします。
 RACは、航空機の老朽化に伴い平成27年度2機、28年度2機、29年度1機、合計5機の機材更新を計画しております。今回更新予定の機材は、座席数が現行の39席から50席、貨物室も約2.5倍と離島地域の旅客や貨物需要を踏まえたものであります。ことし6月27日には県に対し、南大東村長、北大東村長、久米島町長、多良間村長、与那国町長の連名でRACの機材更新計画を踏まえた支援の要請がございました。これを受け、県は、8月1日に「離島航空路線の機材更新」について国土交通大臣宛て要請を行い、国土交通省は平成27年度予算概算要求で2機分を計上したところであります。
 県としましても、国と連携して、平成27年度当初予算で更新費用を確保し、引き続き観光産業や農林水産業など離島の産業振興を推進していきたいと考えております。
 次に、石油製品輸送等補助事業についてお答えいたします。
 石油製品輸送等補助事業は、復帰特別措置法に基づく揮発油税等軽減措置を前提として、県内離島への石油製品の輸送経費などを補助するものであり、離島における住民生活及び地域産業を支える重要な役割を果たしております。揮発油税等軽減措置は平成27年5月に期限が到来することから、同軽減措置の5年間の延長を国に対して要望したところであります。
 県としましては、石油製品輸送等補助事業を継続し、離島における定住条件の整備や産業振興が図られるよう、揮発油税等軽減措置の延長に向けて引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、北部振興についての御質問の中の、北部圏域の課題と振興の基本方針についてお答えいたします。
 沖縄21世紀ビジョン基本計画では、北部圏域の課題として、名護市から北の地域や離島における過疎化と高齢化の進行、圏域全体としての医師不足など、地域の実情に応じた定住条件の整備や産業振興が引き続き求められるとしております。このような課題を解決するための施策展開の基本方向として、沖縄振興事業等で蓄積された基盤、施設等を有効活用するとともに、新たな北部振興に関する事業を推進し、雇用機会の創出、魅力ある生活環境の整備、情報通信関連産業の振興などを図ることとしております。また、自然環境及び固有の文化の保全と経済開発、社会発展との調和を図り、地域の特性に応じた振興に取り組むとともに、国際的な学術研究・リゾート拠点としての基盤及び環境整備のほか、地域特性を生かした農林水産業の振興などを図ることとしております。
 次に、北部振興策のこれまでの経緯と成果、課題等についてお答えいたします。
 平成11年12月に国が策定した「沖縄県北部地域の振興に関する方針」では、定住人口の増加を目指して圏域内のそれぞれの地域間のバランスに配慮しながら、人と産業の定住条件の整備を図ることを政策の基本方向としております。これを受け、北部12市町村は、北部振興事業を活用しそれぞれの地域の実情に応じた施策や北部地域全体の振興に資するさまざまな事業を実施しております。主な事業としては、名護市みらい館、大宜味村シークヮーサー加工施設、今帰仁村グスク交流センター、本部町物流拠点施設、恩納村赤間運動公園野球場、宜野座村サーバーファーム、金武町ベースボールスタジアム、伊江村さとうきび加工施設、伊是名村モズク最終選別施設の整備などが行われております。これらの取り組みにより約2300人の雇用が創出されるとともに、北部圏域全体で人口が約4200人、3.4%増加するなど一定の成果を得ております。しかしながら、市町村単位では名護市以南の4市町村の人口は増加傾向にあるものの、離島を含めたその他の地域の人口は減少傾向にあります。さらに、北部地域は県内の他の地域に比べ1人当たりの所得が低く、過疎地域が多く存在するなど課題も残されております。 
 沖縄県としましては、今後とも北部12市町村と連携し、北部地域の産業振興のための基盤整備や定住条件の整備を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

 
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