平成23年(2011年) 第 8回 沖縄県議会(定例会)
第 8号 12月 8日
農林水産部長(比嘉俊昭)
 

 農林水産業についての中で、農業共済掛金率の全国並み軽減についてお答えします。
 農業共済制度は、農業災害補償法に基づき、国が共済掛金の一部を負担し、農家負担を軽減することにより、安定的な共済加入者を確保し、被災時の農業経営の安定を図る仕組みとなっております。しかしながら、本県は、台風接近が年平均7.4個と全国平均の2倍もあり、過去20年間の年平均農産被害額は、約22億2000万円となっております。そのため、全国と比較して農家負担共済掛金率が園芸施設共済で全国平均の2.8倍、水稲で2.5倍、さとうきびでは1.3倍となっております。県では、農業共済制度の本来の目的が発揮されるよう、新たな沖縄振興に向けた制度提言の中で、共済掛金に対する国庫負担割合を引き上げ、本県の農業が負担する共済掛金を全国平均並みに軽減する「沖縄型農業共済制度」の創設を国に対して要望しているところであります。
 次に、担い手育成の課題と対策についてお答えします。
 農業の担い手育成の課題といたしましては、農業経営に必要な技術・知識の習得、営農及び生活に必要な資金の確保、営農に必要な農地の確保などがあります。このため、県では、新規就農希望者等、多様な担い手の育成確保を図るため、市町村、農業団体、農家代表等で構成する「沖縄県農でグッジョブ推進会議」を開催し、担い手の総合的な対策を講じているところであります。具体的には、新規就農相談センターでの就農相談、農業大学校における実践的な研修教育、就農希望者を対象としたサポート講座、耕作放棄地の再生利用による農地の確保やハウスの整備、農業研修に必要な経費の貸し付けや助成などに取り組んでおります。また、就農相談から就農定着まで一貫した支援システムを構築するため「沖縄県農業担い手育成基金制度」の創設を国へ要望しているところであります。
 次に、分みつ糖と含みつ糖の制度の違い及び分みつ糖と同等な制度支援についてお答えいたします。
 国は、砂糖の安定供給を図る観点から、復帰前の含みつ糖工場を分みつ糖工場に整備しましたが、小さい離島については含みつ糖工場として維持された経緯がございます。そのため、分みつ糖工場については砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律に基づき、農家手取り額の確保や砂糖製品の全量買い上げなどに対して、全額国庫による支援がなされております。一方、含みつ糖については、製品品質が均一でなく独自の価格形成がなされていることから、法律の対象外となり、毎年、補助金により生産農家及び含みつ糖製糖事業者への支援が行われておりますが、シーリング等で予算額が減少傾向にあり、厳しい状況であります。このため、含みつ糖についても分みつ糖と同様な仕組みとなるよう、関係機関と連携して、去る11月28日に国へ要請を行ったところであります。また、新たな沖縄振興に向けた制度提言の中でも、分みつ糖地域と同等な制度創設を国に対して要望しているところであります。
 次に、赤土等流出防止対策と補助金制度の改善についてお答えします。4の(2)のアと4の(2)の(イ)は関連いたしますので一括してお答えします。
 県では、農地での赤土等流出防止対策について、水質保全対策事業等により、圃場の勾配抑制、沈砂池・浸透池の設置及びグリーンベルトの植栽等を実施しているところであります。平成20年度からは圃場勾配抑制工に加え、新たに低コストで効果のある土層改良工や暗渠排水による対策に取り組んでいるところであります。さらに、平成22年度から「営農連携事業」が創設され、土木的な対策費用の5%以内を地域に応じた流出防止対策に要する資材支援や新たな流出防止技術開発への支援が可能となっております。
 県といたしましては、地元の要望を踏まえ、市町村等関係機関と連携を図りながら、「営農連携事業」等を活用し、対策の推進に取り組んでまいります。
 離島対策の中で、多良間村の農業用水源についてお答えします。
 多良間村の農業振興を図るためには、農業用水源の確保が重要であります。そのため、国において、平成18年度から農業水源開発の検討を行うための予備調査を実施しているところであります。多良間島の水源開発は、島を形成している石灰岩の中の海水の上に浮いている真水を取水する特殊な方法となっております。このことから、平成24年度から平成27年度にかけて取水方法を確立する、取水施設の管理方法、事業費、費用対効果等を算定するための調査を行うこととなっております。
 県といたしましては、国、多良間村等関係機関と連携して、多良間村における農業用水源の確保に取り組んでまいります。
 以上でございます。

 
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