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平成26年(2014年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第10号 3月28日
西銘 純恵
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日本共産党県議団を代表して、甲第1号議案「平成26年度沖縄県一般会計予算」の修正案に賛成し、原案に反対する討論を行います。
本予算案には、知事の訪米予算931万5000円が計上されています。知事が訪米をして、県民総意である辺野古新基地建設に反対を主張することはあり得ません。ゆえに訪米予算には断固反対します。
昨年12月27日、仲井眞知事は、辺野古新基地建設の埋め立てを承認し、県政史上例のない米軍基地の建設を容認しました。公有水面埋立法に違反し、県外移設の公約を破っての承認です。
安倍政権の辺野古基地とリンクされた増額の振興策予算、実現性の担保も保証もない基地負担軽減策を、知事は「140万県民を代表して感謝する」と発言しました。戦後70年近く、米軍基地によって筆舌に尽くしがたい苦しみを強いられてきた県民の誇りと尊厳は著しく傷つけられました。知事は県外公約を守るという自己矛盾に陥って、なお県民だましで開き直っています。歴史に残る県民への背信行為であり到底許すことはできません。
辺野古新基地は2本の滑走路があり、強襲揚陸艦、航空母艦、軍艦の接岸できる軍港を備え、弾薬庫を持ち、兵舎を備え、オスプレイ100機配備計画の200年の耐用年数を持つ半永久的な海兵隊の攻撃基地となります。米軍は、今でも他国で民間人を無人機などで無差別爆撃をしています。他国への出撃基地として、罪のない女性や子供、民間人を殺りくしてきた米軍基地を強化、固定化するのが辺野古新基地建設です。安倍政権の集団的自衛権行使への危険な暴走政治と不離一体のものです。
沖縄の米軍基地は、戦争中に米軍が住民を収容地区に囲っているときに、住民の土地を奪って建設をされました。占領軍は戦時中であっても、占領住民の財産を没収してはならない。略奪は厳禁すると定めたハーグ陸戦法規に反して基地を建設し、戦後は銃剣とブルドーザーで住民を追い出して基地が建設されました。69年間も居座り続けている世界一危険な普天間基地は、即時閉鎖・撤去すべきです。普天間基地を返すから、かわりに辺野古に新基地をつくってよこせという米国は、居直り強盗そのものであります。県民が誘致したり、合意してできた基地はかつてありません。普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念の県民総意は揺るぎません。日米政府の圧力には決して屈しません。海外でも普天間基地の即時返還、辺野古移設中止の国際署名が1万人を超えました。国際社会でも辺野古基地に反対する支援はますます広がっています。
1月の名護市長選挙で、辺野古新基地反対の稲嶺進市長が圧倒的な票差で勝利しました。公有水面埋立法は、地元名護市との合意を図る努力が求められていますが、地元意見は全く無視されて承認されました。3月25日、名護市議会が意見書を可決しています。内容は、辺野古周辺地域には16の行政区、5842人の市民が住んでいる。保育園2カ所、幼稚園3カ所、小学校3校、中学校2校、児童施設1カ所、老人介護施設2カ所、国立高専がある。普天間で危ないものは辺野古でも危ないことは自明のことだと、承認基準に適合する根拠を具体的に説明せよと厳しく要求しています。
知事は私の一般質問に対し、「辺野古移設で住民の安全・騒音が格段に改善される」と答えました。名護市民の命は宜野湾市民より軽いというのでしょうか。憲法14条に定める法のもとの平等に反しています。公有水面埋立法4条1項1号から6号の全てに適合しなければ承認はできません。環境アセスの評価書で、知事意見は「環境保全は不可能」でした。みずから不可能と意見を出したことに背いて承認をしています。辺野古の新基地建設で生活環境、自然環境は守れない。災害防止ができないことは、環境生活部意見や環境影響評価審査委員の意見が如実に語っています。
嘉陽県議の一般質問で、大気質、騒音や振動、低周波音、水の汚れ、海生生物や植物の保全について、土木建築部長は、マニュアルを作成して米軍に要請するという答弁でした。米軍任せで環境保全できる保証は全くありません。普天間の5年以内の運用停止も安倍総理の口約束にすぎず、米国政府は拒否をしていて、運用を停止する担保も保証もありません。絶滅危惧種のジュゴンを危機に陥れ、生物多様性の豊かなサンゴの海・辺野古を埋め立てる新基地建設は将来に禍根を残すことになり絶対に認められません。
原案の予算について。
26年度の本県の一般会計予算は、知事が安倍総理に手放しで感謝をした予算となっていますが、消費税増税の影響も大きく受けています。政府予算が消費税率の引き上げによる史上空前の大増税を国民に押しつけるとともに、年金・医療・生活保護などの社会保障の削減を初め、教育・農業・地方財政など暮らしの予算を軒並み削減しています。その一方で、大企業減税や大型開発事業の大盤振る舞いを盛り込み、軍事費は2年連続で増額しています。消費税で8兆円、社会保障の改悪など合わせて10兆円の負担を押しつければ暮らしも経済も落ち込むことは必至です。大企業栄えて民滅ぶ予算、暮らしを犠牲にして戦争をする国づくりを進める政府予算となっています。年収200万円以下の働く貧困層の多い、低い年金額で所得の低い沖縄県民ほど消費税は最も重くのしかかります。本予算案は、県民の命と暮らしを守るものになっていません。県民は、安倍政権の基地押しつけと引きかえの振興策予算を求めてはいません。沖縄振興の立法趣旨は、「日本国民と政府は、多年にわたる忍耐と苦難の歴史の中で生き抜いてこられた沖縄県民の心情に深く思いをいたし、「償いの心」を持って」行うものとなっています。米軍基地と引きかえの振興予算に厳しく抗議をするものです。
カジノ予算が計上されています。
カジノは刑法185条、186条に反する犯罪行為です。カジノは青少年への悪影響、ギャンブル依存症等さまざまな弊害が指摘されています。県はこの間既に6900万円の税金を投じていますが、次年度もカジノ予算が計上されています。これほど巨額の税金がカジノ導入に投入されることは許されません。
知事は、沖縄政策協議会でカジノを合む統合リゾート(IR)の候補地に沖縄を入れるよう要請したことを明らかにしました。カジノ導入は、「県民合意が前提」とした知事公約に反するものであります。カジノに反対する県民の声を全く無視し、詭弁を弄してみずからの公約に反する知事の態度は許されません。
経済合理性のない自然破壊の泡瀬干潟の埋立事業、国際物流特区の特別会計に借金返済のための繰り入れ、ヤンバルの森の皆伐など無駄使いを行っています。教育予算が減り続けています。知事就任前の2006年教育予算は1417億3590万余、総予算に占める割合は建設費を除いて32.1%、2014年度は1395億9847万余、金額にして21億円余減額、割合で25.7%と6.4%も下がっています。沖縄県の教育を抜本的に向上させるためには、予算を大幅にふやして教育条件を整備すべきです。
県民の暮らし、福祉に冷たい予算です。高過ぎる国保税の引き下げに市町村への繰り入れを行わない。県立病院への繰り入れを1床当たり全国平均の繰り入れにすれば107億円であるのに56億円余の繰り入れしか行っていません。
待機児童について、平成22年度の1680人から25年度は2216人と待機児童はふえ、東京に次いで全国2位、待機率は5.9%で全国一となっています。待機児童解消の知事公約は守られていません。
子供医療費の無料化拡大は多くの県民の願いです。しかしながら、通院費の中学卒業までの無料化、窓口払いをなくす現物給付を実施していません。
以上、一般会計予算の修正案に賛成し、原案に反対する討論といたします。
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20140210040250