平成21年(2009年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 12月 3日
警察本部長(黒木慶英)
 

 まず読谷村で起きた米兵によるひき逃げ事件につきまして、事件の概要と県警の捜査状況、米兵の身柄が米軍の手中にある限り任意捜査に限界があるのではないか、今後の日程を伺うについて一括してお答えいたします。
 本件は、本年11月7日午前、読谷村字楚辺1383番地の2北方約200メートル先道路において、歩行中と思われる外間政和さん(66歳)をはね、同人を救護することなく、また事故を通報することなく現場から逃走し、被害者を死亡させた事件であります。
 本件は、本年11月7日午後、事故現場付近を通りかかった通行人からの110番通報により事件を覚知し、所要の捜査を実施したところ、修理工場に持ち込まれた車両と被害者の結びつきが濃厚になったことから、ひき逃げ死亡事件として捜査した結果、車両を修理に出した米軍人を被疑者として特定し、現在米軍捜査当局の協力を得ながら鋭意捜査を継続しているところであり、事件の立件に向けて全力を傾注しているところであります。
 任意捜査に限界があるのではとの件につきましては、一般的には米軍手中の事件につきましては被疑者の出頭が確保されていたため、捜査に特段の支障は生じておりませんでした。しかし、今回の事件に関しましては、被疑者が出頭を拒否している状況にあり、大変難しい捜査となっております。
 県警察といたしましては、今後も引き続き米軍当局と協力体制を強化しつつ、客観的な証拠収集に全力を挙げるなど事件の全容解明に向けた捜査を展開する考えであります。
 次に、今回の事件を単なる交通事故の範疇としてとらえているのかについてお答えいたします。
 今回の事件は、自動車運転過失致死のみならず救護義務違反をも視野に入れて鋭意捜査を進めております。したがいまして、単なる交通事故の範疇としてとらえているものではございません。
 具体的には、自動車運転過失致死が7年以下の懲役、ひき逃げ――要するに救護義務違反でありますが――が10年以下の懲役となっており、極めて悪質な犯罪量刑であると認識しております。
 次に、日米地位協定に基づく犯罪通報の手続の予定はあるのか、早期にできなかった背景は何かについてお答えいたします。
 犯罪通報の時期につきましては、今後の捜査状況を踏まえて適切に判断していきたいと考えております。一般的には犯罪通報は、裁判権行使の通告期限の起算点となりますことから、警察は公判維持を念頭に十分な捜査を尽くした後に行っております。したがいまして、被疑者が特定されたからといって直ちに犯罪通報を行うことはありません。
 次に、日米間で基地内での聴取が検討されていることが報じられていることに対する県警の見解についてお答えいたします。
 被疑者が出頭を拒否している以上、仮に基地内で事情聴取しようとしても被疑者は拒否するものと思われますし、報道によりますと弁護士は可視化が実現しない限り、事情聴取を拒否すると言っております。
 県警察は現時点、基地内における事情聴取を行うことは考えておりません。
 いずれにしても客観的証拠の収集に全力を挙げるとともに、立件に向けて必要な捜査を実施してまいる所存であります。
 次に、基地問題のうち、伊芸区の流弾事案に関して、レンジ7へ立ち入りどんな感触を受けたか、また確証は得られたのかの御質問についてお答えいたします。
 まず県警察は、去る11月20日と24日の2日間にわたってレンジ7に立ち入り、米軍当局の担当官立ち会いのもと、現場における調査を実施し、その結果につきましては直ちにマスコミを通して公表させていただいたところであります。
 現場調査におきましては、訓練指揮官等の配置状況、7トントラックの配置状況、射撃手の状況の確認、レーザー距離計やGPSを活用した測定、標的の確認、県警ヘリを活用しての上空からの写真撮影などを実施して訓練概要を把握するとともに、各地点の位置関係を特定したところであります。
 県警察といたしましては、これまでの捜査の経緯を踏まえ早期に送致できるよう詰めを行っているところであります。
 なお、本件は現場の被弾の状況から見て跳弾によるものと認められ、例えば何者かが拾ってきた弾芯をナンバープレートにハンマー等で打ち込んだ、あるいは走行中の車が道路上にたまたま存在した弾芯を踏み、それがナンバープレートに突き刺さったといった状況は物理的に全く考えられないところであります。
 以上でございます。

 
20090603070070