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平成13年(2001年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 2月23日
教育長(翁長良盛)
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当山議員の御質問にお答えいたします。
まず、基地問題についてという御質問に関連いたしまして、ハワイは気候、治安がよく、ハワイ周辺で水産高校の実習船が多いと報道されているが、そのとおりかという御質問にお答えいたします。
平成11年度全国水産高校実習船運営協会の資料によりますと、全国の水産高校の大型実習船は33隻あります。そのうち32隻が好漁場であることなどからハワイ周辺水域で乗船実習をしており、そのほとんどがホノルルに寄港しております。また平成11年度の全国の水産高校のマグロ漁業実習は66航海行われておりますが、そのうち63航海がハワイ周辺海域で実施されております。
次に、沖縄県の実習船の実習先はどこか、ハワイも含むのか、今度の事故についてどう考えるか、また今後どう対応するか、漁船保険はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
今回の宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が米国海軍原子力潜水艦「グリーンビル」に衝突され沈没した大惨事については、被害者とその家族はもとより全国の水産・海洋系高等学校の生徒及び関係者に与えた衝撃ははかり知れないものがあります。一日も早い原因の究明と高校生を含む9人の行方不明者の発見を願うものであります。
ところで、本県の実習船は海邦丸が主として東シナ海で、翔南丸三世がインド洋で乗船実習を実施しております。最近では翔南丸三世が昨年と一昨年それぞれ1回ハワイ周辺海域で実習を行いました。
このような乗船実習に際しては、乗船実習の事前指導や船内における防火・防水操練や救命艇操練等の安全指導を最優先に行ってきましたが、今回の事故にかんがみさらに安全指導を徹底するとともに、緊急時における対応等について再点検を進めていきたいと考えております。
次に保険についてでありますが、本県の場合は実習船は船主責任保険に加入しています。これは船体損傷のみに関する保険で、乗組員には地方公務員災害補償制度が適用されます。また実習生は日本体育・学校健康センターの災害共済給付金のほか、実習生を対象とした団体傷害保険に加入しております。
戦後教育における教育基本法の果たした役割をどう評価するかという御質問にお答えいたします。
教育基本法は、我が国の教育全体を通じる基本理念と方向性を明示するなど教育の基本指針としての役割を果たしてきたものと理解しております。戦後の日本の教育は、教育基本法をもとに教育制度の整備がなされ教育は著しく普及し、国民の教育水準を高めるなど教育の振興が図られてきたものと考えております。
次に、教育基本法の改正問題に対する認識と見解についてという御質問にお答えいたします。
教育基本法は、日本国憲法に基づいて民主国家再建への意欲を示し、我が国の教育のあり方の基本を定めたものとして尊重されなければならないと認識しております。新しい時代にふさわしい教育基本法の見直しが論議されておりますが、その見直しに当たっては、時代の進展に対応した教育のあり方を慎重に検討し国民的論議を重ねて進めていくことが大切であると考えております。
次に、2月2日の町村文部科学相の発言内容をどう考えるかという御質問にお答えいたします。
去る2月2日の町村文部科学大臣と記者団の懇談会における不登校問題に関して、「はき違えた個性の尊重、はき違えた自由が不登校を生んでいる」との報道があったことは承知しております。
今回の報道について、2月5日に文部科学大臣がコメントした「不登校に関する私の考え方」によりますと、「不登校児童生徒の中には、家庭や学校の教育の中で、自己統制力を児童生徒に身につけさせることが不十分であったことが原因となっている場合もあるのではないか。」とする内容もありましたが、不登校の原因は、いじめ、対人関係、学業の不振などの要素が絡まっており、その対策としては、スクールカウンセラーの充実や学習面における少人数指導の導入など原因に対応した方策が必要であるとも述べております。
このことから、文部科学省の不登校に対する考え方や施策の展開は従来のとおりと受けとめております。
次に、不登校問題に対するこれまでの文部省及び新しい文部科学省の考え方と指導及び県の対応について伺いたいという御質問にお答えいたします。
不登校問題に関するこれまでの文部省の考え方と指導は、平成9年、「登校拒否問題への取組について」に示されているところでありますが、それによりますと、まず不登校はどの児童生徒にも起こり得るものであるという視点に立つこと、次にいじめ、学業の不振、教師に対する不信感などが起因して不登校になってしまう場合がしばしば見られること、また学校生活への適応を図るために多様な方法を検討する必要があることなどとなっており、このことは2月5日の文部科学大臣のコメントと同様の考え方であると理解しております。
県教育委員会といたしましては、これまで推進してまいりました諸施策をもとに不登校問題についての指導の充実・強化に努めてまいりたいと考えております。
次に、本県における小中学校における不登校の3年間の推移と県の取り組みはどうなっているか、市町村教育委員会との連携はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
本県の不登校児童生徒数は、小学校では平成9年度207名、平成10年度405名、平成11年度458名。中学校では平成9年度1121名、平成10年度1535名、平成11年度1758名となっております。特に本県の中学校における遊び・非行による不登校の占める割合は平成11年度で38.7%となっており、全国の13.7%に比べてかなり高く、不登校問題における重点課題と考えております。
県教育委員会におきましては、学校における月1回の「所在確認強化週間」の設定や家庭教育支援会議設置の促進、スクールカウンセラー巡回教育相談員の配置拡充を図るなど、児童生徒一人一人に応じたきめ細かな個別指導ができるよう学校や市町村教育委員会への指導に努めているところでございます。
さらに、市町村教育委員会との連携については、都市地域における不登校児童生徒が多いことから、10市を対象とした「不登校問題対策10市連絡協議会」、市町村教育委員会指導主事連絡会等を開催し、事例研究を通して不登校への効果的な対策に努めているところであります。
最後に、教職員組合とも緊密な連携・協議が必要と考えるがどうかということにお答えいたします。
不登校は、学業の不振や友人関係をめぐる問題、親子関係をめぐる問題、本人にかかわる問題など家庭、地域社会、学校のそれぞれの要因が複雑に絡み合っているものと考えられます。
また、不登校の原因が教師との関係をめぐる問題がある反面、教師による家庭訪問や学業、生活面での指導・援助で改善することがあるなど、不登校問題の対応については児童生徒の理解など教職員一人一人の果たす役割が極めて重要であります。
このことから、学校においては不登校問題について教職員一人一人が意識を高め、指導力の向上が図られるよう事例研究会等の開催、校内研修の充実・強化について市町村教育委員会を通じて指導をお願いしているところであります。
以上でございます。
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