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平成 9年(1997年) 第 5回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 10月 7日
第 5号 10月 7日
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議 事 の 概 要
平成9年10月7日(火曜日)
午前10時開議
日程第1 一般質問
日程第2 甲第1号議案から甲第3号議案まで、乙第1号議案から乙第19号議案まで及び認定第1号から認定第3号まで(質疑)
一般質問及び質疑
1 外間 久子君(共産党)
2 大城 一馬君(社大党)
3 上原亀一郎君(共産党)
4 高良 政彦君(公明沖縄)
日程第3 新たな道路整備五箇年計画の策定と道路特定財源堅持に関する意見書
(議員提出議案第1号)(上原 吉二君外12人提出)
日程第4 陳情第123号から第127号まで、第132号から第134号まで、第138号及び第140号の付託の件
午後4時59分散会
○議長(友寄信助君) これより本日の会議を開きます。
日程第1及び日程第2を一括し、これより直ちに一般質問を行い、甲第1号議案から甲第3号議案まで、乙第1号議案から乙第19号議案まで及び認定第1号から認定第3号までを議題とし、質疑に入ります。
質問及びただいま議題となっております議案に対する質疑の通告がありますので、順次発言を許します。
外間久子君。
〔外間久子君登壇〕
○外間久子君 皆さんおはようございます。
日本共産党から一般質問を行います。
縫製関連企業を振興する機関、デザイン縫製部(仮称)の設置について質問いたします。
大田知事が雇用の促進を図る立場で縫製業に目を向けていただいたことで、現場では大変元気が出たと大いに各企業を激励していますが、商工労働部の担当課は、県内の縫製企業の実態をきちっと把握してないという意見も寄せられています。これでは知事のお考えになられた構想は実現しないのではないかと危惧する声も聞こえています。現場からは商工労働部に対して縫製業が抱えている問題と伝統工芸の対策は別途に取り扱ってほしいとの意見も寄せられています。
昨年、大田知事の意向を受けて浦添職業能力開発校那覇分校で縫製訓練科が設置されましたが、縫製業の振興策を実施していただく全庁的立場で責任ある部局や担当も配置されないようでは知事の意向である雇用の拡大には生かされない上、卒業生を就職させることはできません。
今、現場からは縫製関連企業を振興支援する機関を行政の中に位置づけてほしいとの要望が寄せられております。既に全国55カ所には設置されていますが、沖縄県においては担当者も配置されておりません。県内の縫製関連企業の経営基盤を確立するためにも担当課としての職員を配置していただきますよう強く要望して質問に入りたいと思います。
1つには、縫製関連企業をサポートする業務を担当する部署はどこになりますか。現在のままでよしとお考えになっていらっしゃるのか、御見解を伺います。
2つ目に、当面那覇分校にデザイン縫製部を設置して専門担当職員の配置が急務と考えますが、御見解を伺いたい。
3つ目に、デザイン縫製部を設置し縫製関連企業の産地振興と技術向上のための指導育成が必要と考えますが、いかがでしょうか。
4つ目に、県内の縫製関連企業は厳しい経営環境に置かれております。その打開のためにも事業協同組合の設置が必要だと思いますが、いかがでしょうか。協力、援助を行うお考えはありますか、御見解をお伺いいたします。
5つ目に、沖縄県産業振興公杜と連携して振興支援策の助成金制度等の情報提供は実施していると思いますが、各企業からは不親切という意見もあります。情報の提供を強化するお考えはありますか。
6つ目に、沖縄県産業振興公社との連携で県外の縫製業の情報を収集・提供し、仕事のジョイントを支援することで企業の活性化が図られると思いますが、御見解をお伺いいたします。
7つ目に、急速に進む超高齢化社会のニーズに合った介護製品の開発を県内で行ってみてはどうでしょうか。関連業界と一体になって県独自の高付加価値製品の開発を行うための支援策を御検討いただきたい。
御見解をお伺いします。
次に、ハワイのアロハシャツが世界的に位置づけされていますように沖縄にふさわしい服飾のデザインの研究、商品の企画開発等の製作、普及等他県にはないすばらしい沖縄の伝統工芸の染めや織りの服飾文化を全国へ、さらには世界へと考えるその立場で次のことを質問いたします。
1つ、商品企画や開発、デザインの向上のためにデザイナーを招聘し、デザイン指導等のソフト面の充実と産業界が実施する活性化事業を積極的に支援することは、観光関連産業育成事業の商品開発や生産力強化につながると考えますが、御見解をお伺いします。
2つ目に、生産技術の改善と人材の育成のため技術の講習会、研究会、研修生の受け入れ事業の実施を強化すべきと考えます。具体的な方針はお持ちでしょうか、お考えをお聞かせください。
次に3つ目に、特に県内の若者の間で支持され活躍をしております若手のデザイナーの指導育成が必要であります。目を向けていただいているでしょうか、御見解をお伺いします。
4つ目に、琉大や芸大、工芸指導所、関連企業及び個人による沖縄の伝統工芸の染めや織りの商品の開発のための異業種協力研究、産・官・学の共同研究が必要だと考えますが、御見解をお聞かせください。
以上の質問を踏まえて縫製関連企業を振興支援する機関、デザイン縫製部(仮称)を県機関として設置することについての御見解をお伺いしたいと思います。
次に、宮古における特養老人ホームが適正な施設運営がなされているかについて質問をいたします。
昨年、特別養護老人ホームの施設整備費、補助金等の仕組みを悪用した事件いわゆる岡光事件は、公共性の高い社会福祉事業全体に対する国民の信頼を大きく損なう結果となりました。
この事件の後、厚生省は「社会福祉法人の監査指導要綱について」は昭和54年に出した通知を、ことし3月28日付で通知の改正をいたしました。厚生省は今回の監査指導要綱の改善措置は、今回の事件の反省の上に立って現行社会福祉施設整備業務等の問題点に対応させたものであり、適正な指導取り扱い方の通知であります。
宮古における某老人ホームは問題を抱えている老人施設で、何度か国や県の監査指導を受けた施設であります。それだけに今回の国の監査方針を徹底させなければなりませんが、またこの8月に人事の公私混同のもと解雇問題を初め、解雇された職員の給与管理も不透明な上、煩雑な取り扱いになっています。その上、この4月は昇給時期になっておりますが、女性職員だけはいまだに昇給が実施されてない状況です。それだけに1989年の2月に某老人ホームの指導監督に関する陳情が県議会に出され、議会で論議された経過があります。改めてどれだけ改善がなされ、老人の処遇面をよくするための適正な施設運営がなされているか、その立場から質問をさせていただきます。
まず労使関係について。
頻繁な配置がえは現在も合理的な理由もなく理事長の恣意によって職員が短期間に他職種に配置されています。職種は寮母でありながら、園内の掃除のみの仕事に配置され、実質的には寮母が欠員になっている実態を把握しておられますか。
2つ目に、人事の公私混同についてです。
理事長が院長となっている病院と某特養老人ホームの人事管理が混同され、理事長の恣意によって病院から老人ホームヘ、老人ホームから病院へとたびたび職員の入れかえがいまだに行われております。
この件については、今回の監査の結果からも明らかになっています。そのまま放置するお考えでしょうか。
2つ目に、某老人ホームは8年前に労使関係の裁判の結果、原告側が勝訴し、第二審においては第一審どおりの中身で和解しましたが、そのときの賃金の未払い分、和解金を措置費で支払い、国や県の指導を受けた施設であります。
今回の臨時職員への給与支払い額にも差額が生じております。本員から監査を求められて返還を明らかにしています。このことは、平成9年の3月28日付の「社援企第68号」によって法人の理事長等が医療事業等他の事業経営をしている場合、資金の混同等を生ずるおそれがあるので特に留意されたいとのことであり、監査にかかわる指摘事項については、改善指導が講じられない場合は制裁措置があることをも含めて指導改善を求められたことと思います。
指導の徹底は図られたでしょうか、御見解をお伺いします。
2つ目に、8年前の裁判の結果を踏まえて指導改善を求めたはずです。その改善の結果を今どうごらんになりますか。
次に、老人福祉及び障害者福祉にかかわる入所施設を経営する法人の理事の定数は6人以上とすることになっておりますが、評議員会を設置してないものについては10人以上とし、理事の2分の1以上が社会福祉事業についての知識や経験を有する者及び地域の社会福祉経験者であることとなっています。
いつごろまでに補充する予定ですか。
4つ目に、某老人ホームの定款、諸規定では健康診断が義務づけられていますが、一、二の職員については現場における健康診断から外され、毎年自己負担による健康診断を受けています。
聞くところによりますと、本採用された後、理事長に50万円の寄附金という形で謝礼金を届けなかった職員は差別をされたり嫌がらせを受けたり解雇されております。これまでの健康診断に要した費用は当然本人に支給すべきと考えます。御見解をお伺いいたします。
5つ目に、寮母が掃除担当に回されたまま現在職員は未充足です。老人の処遇面からも適正な施設運営とは言えません。国の通達は大変厳しくなりました。職員の未充足等の事態に対しては、改善措置が講じられるまでの間、民問施設の給与等の改善費の管理費加算分もしくは人件費加算またはその両者を削ること、ただし遡及適用は行わないとなっております。
現在の状態を理事長にどう認識させましたか、現在の掃除担当の職員をもとの寮母に戻すか新たに寮母を採用するか、指導をお願いしたい。御見解をお伺いします。
次に、多良間村の農業用水用のため池について。
去る5月に多良間村の農業用水用のため池のさくの設置を申し入れましたが、結果はどうなっておりますか。御見解をお伺いします。
以上です。
答弁によってはまた再質問いたします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 外間久子議員の御質問にお答えいたします。
県内において縫製関連企業をサポートする業務を担当する部署はどこか、現在のままでよいと考えるのかという趣旨の御質問でございます。
縫製関連企業を製造業振興の観点から統括する組織としては、商工労働部工業振興課が位置づけられています。
しかし、製造業としての縫製業については、1、沖縄の伝統的な素材を生かした商品開発及び販路の開拓、2、企業経営の合理化を図るための縫製業界の組織化及び融資等助成策の実施、3、縫製業関係に就業を希望する者の職業訓練の実施等多方面から総合的に支援する必要があることから、商工労働部の工芸産業課、経営金融課、職業能力開発課、工芸指導所の各課が協力して諸施策を実施しているところであります。
今後とも、関係機関との連携を密にして効率的に縫製業振興策の推進を図っていきたいと考えています。
次に、県内にもデザイン縫製部を設置して専門担当職員の配置が急務と考えるがどうかという御質問と、デザイン縫製部を設置し縫製関連企業の産地振興と技術向上のための指導育成が必要と考えるがどうかと、縫製関連企業を振興支援する機関、デザイン縫製部の設置について見解を伺いたいというこの3つの御質問につきましては一括してお答えいたします。
県においては、現在縫製業の振興を図っていくために沖縄の素材を生かした商品開発及び販路の開拓や、縫製業関係に就業を希望する者の商品企画、服飾製図等の職業訓練及び技術向上のための講習会や現場技術指導等を実施しています。
縫製業は、今後も沖縄の素材を活用したオリジナル商品の開発、女性労働者の就業の場の確保に適していることなどから期待できる業種であると考えており、業界の関係者と連携を図りながら積極的に縫製業の振興を図ってまいりたいと考えています。
デザイン縫製部の設置につきましては、貴重な御提言として承っておきたいと思います。
次に、県内の縫製関連企業は厳しい経営環境に置かれているが、まずは事業協同組合の設置が必要と考えるがどうか、また協力、援助を行う考えはないかという趣旨の御質問でございます。
県内の縫製関連企業は総じて規模が零細であり、デザイン開発力、生産性及び対外交渉力等各方面において課題を抱えています。
こうした課題を克服し経営基盤の確立強化を図るためには、組合を設立することが有効であると考えて、関係機関と連携を図りながら組合の設立・運営に関する指導、支援をしていきたいと考えています。
次に、県内の若手のデザイナーの育成が必要であるが目を向けているかという趣旨の御質問でございます。
工芸指導所においてはデザイナー養成コースは設置していませんが、若手デザイナーを技術アドバイザーとして活用することによってそのデザイン技量の向上に努めています。
また、つくり手がデザイナーを兼ねるクラフトマンデザイナーの指導養成については、県内外のプロダクトデザイナーやテキスタイルデザイナーを活用した巡回指導や講習会などを通して企画力やデザイン力の向上に努めています。
さらに、毎年秋に開催している沖縄工芸ふれあい広場において沖縄の染織ファッションショーを開催するほか、デザインコンペ等を実施しています。今後とも沖縄の染織を活用したデザインの開発普及やデザイナーの養成に資するよう努めてまいりたいと思います。
ついせんだって私香港へ参りまして、地元の素材を使って若手のデザイナーたちが作品をつくりまして、それをコンベンションセンターの隣接地で展示販売しているのを見まして非常に印象を受けました。帰ってきてすぐに沖縄でもやろうじゃないかということで、まずそれを見てくるようにということで指示して、今その準備に取りかかっています。
御承知のように素材が非常にいいのが沖縄にはたくさんございますので、積極的にそれを活用できるよう、先ほどのアロハのお話もございましたけれども、その面でも力を入れていきたいと考えております。
ほかの御質問につきましては関係部局長から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商工労働部長(幸喜良秀君) 縫製関連企業の経営基盤の確立強化についての関連で、沖縄県産業振興公社・職業安定課と連携して振興支援策の助成金制度等の情報提供は実施していると思うが、各企業からは不親切という意見もある、情報の提供を強化する考えはあるかとの御質問にお答えいたします。
県内縫製業者に対する助成金等の支援制度には、特定求職者雇用開発助成金や経営振興資金貸し付け、設備近代化資金貸し付け等があり、産業振興公社等を通して縫製業者に情報提供しているところであります。
今後とも説明会の開催や企業訪問等を実施し、各関係機関との連携を密にしながら、その有効活用が図られるよう積極的な情報提供に努めていきたいと考えております。
次に、沖縄県産業振興公社との連携により県外の縫製業の情報を収集・提供し、仕事のジョイントを支援することで企業の活性化が図られると思うが見解を聞きたいとの御質問にお答えいたします。
沖縄県産業振興公社においては、下請企業振興事業を実施しており、県内と県外の縫製業者間の取引をあっせんしております。
県内の衣服等繊維製品製造業者は95社であり、現在公社に登録している企業は6社、そのうち県外企業から受注している企業は11社であります。
登録業者に対しては、公社において得た情報を適宜提供し県内縫製業の受注機会の確保を図っています。
県としましては、引き続き産業振興公社との連携により県内縫製業の活性化を図ってまいりたいと考えています。
次に、超高齢化社会のニーズに合った介護製品の開発が求められ、関連業界と一体になって高付加価値製品の開発を行うための支援策を検討していただきたいとの御質問にお答えいたします。
県内の65歳以上の高齢者は、平成8年10月現在約15万3000人となっております。高齢者の健康的な日常生活を確保するため、衣服の面においても老人用の製品開発が求められていると伺っております。
高齢化社会のニーズに合った高付加価値製品の開発は必要であり、県としましてはこれら介護製品の開発のため新技術企業化助成事業、中小企業製品開発費補助金、地域雇用開発アドバイザー、設備近代化資金等制度資金等の活用を促進し積極的に業界を支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 観光文化局長。
〔観光文化局長 照屋寛孝君登壇〕
○観光文化局長(照屋寛孝君) 沖縄の染め織りの素材を生かした商品開発、デザイン向上のためデザイン指導等の充実と業界の実施する活性化事業を支援することが観光関連の商品開発や生産力の強化につながると考えるがどうかとの御質問にお答えいたします。
工芸関係の商品開発、デザイン開発につきましては、工芸指導所において技術アドバイザーによる指導、事業所巡回技術指導、専門家招聘による講習会の実施などの技術指導事業を行っています。
また、各工芸産地の振興計画に基づき、それぞれの産地組合が実施するデザイン開発事業に対し国及び県で事業費の補助を行い支援を行っております。
この助成事業は、それぞれ国2分の1、県2分の1の負担割合となっております。
今後とも各産地の要望を踏まえながらこれらの助成事業を強化し、観光と結びついた新たな商品開発やデザインの改善などにより工芸産業の活性化と生産力の強化を図っていく考えであります。
次に、生産技術の改善と人材育成のため技術講習会、研修生受け入れ事業などを強化すべきと考えるが、方針はどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
工芸指導所では、工芸業界の生産技術の改善を目的として製品開発、製糸技術、製織技術、コンピューターデザイン技術などの指導を実施しており、平成8年度の指導実績は延べ126事業所となっています。
染め織りの人材育成につきましては、経験者を対象とする特別研修を通して事業所現場における中堅技術者の養成を行い、高度で幅広い知識と技術を有する人材の育成に努めております。
ちなみに平成4年度から平成8年度のここ5年間の特別研修の実績は、織物コースが24名、紅型コース26名の計50名であります。
今後とも産地のニーズを適切に把握しながら、工芸産地の中堅技術者の技術力の向上を図るための技術講習会や研修事業の強化に努めてまいりたいと思います。
次に、沖縄の染め織りの商品開発のための異業種協力研究、産・官・学共同研究が必要と考えるがどうかという御質問であります。
工芸指導所と関係機関との染め織りについての産・官・学共同研究や異業種協力研究は、現在組織レベルでは行われておりません。しかしながら今後は多様化・高度化する生活者あるいは消費者ニーズに適切に対応するために産・官・学共同研究あるいは異業種協力研究を行う必要があると思われますので、その方向で検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 大城貴代子君登壇〕
○生活福祉部長(大城貴代子君) 宮古の某特別養護老人ホームにおける労使関係につきまして6点の御質問がございます。順を追ってお答えをしたいと思います。
まず第1点目の、頻繁な配置がえにより職種は寮母でありながら園内の清掃のみの仕事に配置され、実質的には寮母が欠員になっている実態を把握しているかとの御趣旨でございます。
当該施設に対しまして平成8年12月6日に実施いたしました平成8年度の県の指導監査では、寮骨の配置基準13人に対して非常勤職員2人を含む寮母16人が配置をされ、配置基準を満たしておりました。
なお、寮母のうち1人が清掃業務に従事しておりますが、実質的には15人の寮母が配置され、欠員とはなっておりません。
2点目の理事長が院長となっている病院と某特養ホームの人事管理が公私混同されている、この件について今回の監査の結果からも明らかになっているが、そのまま放置するのかとの御質問でございますが、職員の人事管理等につきましては法人の定款及び就業規則に基づき適正になされるべきであります。
御質問の特別養護老人ホームにつきましては今回調査した結果、病院と当該老人ホームとの職員派遣交流に当たりその手続等に不備が認められましたので、今後はその適正を確保するよう指導してまいりたいと思います。
3点目の法人の理事長等が医療事業等他の事業経営をしている場合、資金の混同等を生じるおそれがあるので特に留意されたいとの通知がある、国の監査方針に照らしてどんな指導改善を求めたか、また8年前の裁判結果を踏まえ指導改善を求めたはず、この改善の結果を県はどう評価するかとの御質問でございますが、社会福祉法人及び施設の運営につきましては、これまでも適正な運営を行うよう指導してきたところでありますが、平成9年3月28日付の社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督方針に係る厚生省通知を受けまして、平成9年4月14日付で各社会福祉法人に対し生活福祉部長名で通知し、周知徹底を図ったところであります。
また、5月9日の社会福祉施設長会議及び8月20日の社会福祉法人役員研修会等で指導を行ったところであります。
なお、平成9年度の施設監査に当たりましては、その通知に基づいた指導監査を実施しております。
また、裁判の結果を受けた和解金の会計処理の誤りにつきましては指導し改善が図られております。
今後とも法人運営、施設経営が適正に行われるよう指導してまいりたいと思います。
次に、4点目の理事の定数は6人以上とすることになっている、入所施設を経営する法人にあっては評議員会を設置しないものについては10人以上とすることになっているが、いつごろまでに補充する予定かとの御質問でございます。
社会福祉法人のより健全で公正な運営を確保するため社会福祉法人定款準則の一部改正が行われ、評議員会を設置していない老人福祉や障害福祉の入所施設を経営する法人にあっては、理事定数を10名以上とすることとなっております。
県におきましては、これに基づく定款変更及び理事の補充は平成10年3月末日までに行うよう指導しているところであります。
なお、当該法人につきましては定款変更認可済みでございます。
5点目の某老人ホームの定款、諸規程では健康診断が義務づけられているが、1から2人の職員は毎年自己負担による健康診断を受けている、これまでの健康診断に要した自己負担額は当然返還されるべきと考えるが見解を伺いたいとの御質問でございます。
当該施設の定期健康診断の実施状況について見ますと、平成7年度は職員31人中30人が受診し1人が入院のため未受診となっております。また平成8年度は31入中29人が受診し2人は未受診となっております。未受診の理由は、1人は手術後の検診のため宮古病院で受診し、あとの1人は本島の医療施設で人間ドックを受診したためとなっております。
これらの2人につきましては本人の都合による検診のため自己負担となっておりますが、このケースにつきましては定期健康診断にかわる検診として法人が負担すべきかどうか、今後調査したいと考えております。
最後の寮母が掃除担当に配置がえされたまま現在寮母職員は未充足です、老人の処遇面からも適正な施設経営とは言えません、現在の掃除担当の職員をもとの寮母職に戻すか、新たな寮母を採用するか指導を願いたい、見解を伺いたいとの御質問でございます。
当該施設につきましては、寮母の配置基準13人に対し16人が配置されております。しかしそのうち1人が主として清掃業務に従事しておりますが、寮母の配置基準は充足しております。
特定の寮母に専ら清掃業務をさせることにつきましては、本人の意向等も踏まえ施設において適切に対処するよう指導してまいりたいと思います。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 多良間村の農業用水のため池のさくの設置はどうなっていますかという御質問にお答えします。
多良間村で建設しております塩川高穴地区のため池は平成3年度に着手し、今年度完了する予定であります。
ため池の安全対策については、平成9年9月にフェンスの設置を完了しております。
○議長(友寄信助君) 外間久子君。
〔外間久子君登壇〕
○外間久子君 再質問をしたいと思います。
商工労働部長にお伺いしたいんですけれども、答弁漏れにもなっているんですが、前の質問に答えた意味で答弁なさらなかったのかよくわかりませんが、縫製関連企業を支援するデザイン縫製部を将来的に県機関として設けるお考えはないかどうかということ。
それが当面できなかったら那覇分校に縫製部を設けてみたらどうだろうかということで私は前段を、その答弁を受けてという形で質問をやっておりますので、5の方の将来的な展望のもので抜けておりますので御答弁をお願いしたいと思います。
あと1つですけれども、生活福祉部にかかわる問題ですが、要するにあの新しい監査方針が出ているその方針徹底は、4月と5月にその方針徹底を行ったということですけれども、この施設については実は8月にまた問題が起きているわけですよね。
この施設というのは、幾度もこんな問題を起こされている施設で4月、5月にその監査の方針徹底がなされているのに、また新たに8月にいろいろと問題が出てきているということは十分その理事長自身が監査の中身をつかんでいないんじゃないかと。それをやはり理事長自身の問題として、理事長をどう指導方針を徹底させるかということをひとつ御見解をお伺いしたいと思います。
あと1つは健康診断の問題でございますけれども、実はきょう手紙が入っているんですが、毎回この健康診断が行われています。職員の日程表が組まれています。だれだれ何日と。ところがその何日の中にこの職場の中の2人ぐらいの職員というのはいつも日程から外されているんです、日程表の中に。どうぞ御自分で受けてくださいと。
ところがその御自分で受けてくださいということだけれども、費用はじゃ負担しますよということの指導は全然入っていないわけです。だから最初からこの2人については健康診断の日程表から外されての健康診断になっている。
そこにいろいろと差別が出てきているということも出てきていますんで、ここもやはり理事長のお考えだと思うんですね。理事長の考え方をきちっとやはり指導を入れていただかないことにはやはり適正な施設には難しいんじゃないかと思いますんで、その理事長の指導の面での部長の決意のほどを伺いたいと思います。
以上です。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商工労働部長(幸喜良秀君) 再質問にお答えいたします。
浦添職業能力開発校の那覇分校では、平成8年度より縫製業に必要な知識及び技能を習得するための職業訓練といたしまして商品企画、服飾製図、パターンメイキング、機械操作等の縫製技術の向上訓練を実施しております。
また、デザインコースにつきましては、現在の那覇分校の縫製科におけるカリキュラムの拡充を含め業界のニーズを踏まえながら縫製業の振興策の中で検討していきたいと思います。
三、四年前から特に私は観光文化局長をしているころから工芸産業課を中心に、さらに文化振興課も含めまして文化の産業化ということの中でこの問題を取り上げてきました。
そして今また商工労働部におきましても、観光文化局と商工労働部が一緒になって特に経営金融課や工業振興課、それから職業能力開発課、さらに産業政策室等を含めまして沖縄の文化としての織りや染めあるいは工芸品等を含めまして伝統的なものと、これから新しいものをどういうふうに結びつけながら発展させていくかということで、文化の産業化の問題の中でこの問題を今議論をしておりまして、大変貴重な御提言でございますので組織も含めまして今後いろんな形で検討していきたいというふうに考えております。
その間は、今の那覇分校の中でできるだけ拡充を図っていきたいというふうに思っております。
○議長(友寄信助君) 生活福祉部長。
〔生活福祉部長 大城貴代子君登壇〕
○生活福祉部長(大城貴代子君) 当該老人ホームの指導監査、それから理事長に対する指導でございますけれども、平成9年度の指導監査も予定をしておりますので、この監査も含めまして当該法人につきましては今後も引き続き適正な運営が図れるよう指導を充実してまいりたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大城一馬君。
〔大城一馬君登壇〕
○大城一馬君 おはようございます。
まず、全県フリーゾーン導入についてお伺いいたします。
全県フリーゾーン構想については、県の産業・経済の振興と規制緩和等検討委員会が2001年を期して全県を対象とした自由貿易地域制度の創設、導入を提唱して以来、県内各界各層から賛否両論が噴出し、とりわけ経済、農業、水産団体などが全県フリーゾーン導入制度に反対の態度を鮮明にし、事態の深刻さ、危機感を醸し出していることは周知のとおりであります。
全県フリーゾーンは、本県経済を大きく変革させるものだけでなく、県民の日常生活、教育や文化面など社会的にも大きな影響を及ぼすと思われます。それゆえに拙速に結論を出すことは極めて危険であると言わざるを得ません。
ところが、今回の論議の過程において規制緩和等検討委員会でのわずか3回の会議の進め方、さらに県素案が地域限定から全県への急な政策変更、その理由の不明確さはますますもって理解しがたいものがあります。
県側が当初まとめた200ヘクタールフリーゾーンは、現フリーゾーン制度の反省の上に立って県が自信を持って示した案であったはずであります。さらに県は9月定例議会終了後11月には成案をまとめ、国へ要望する考えを持っていると聞き及んでいます。沖縄社会の世変わりを導く同制度が性急に処理されていいものでしょうか、一抹の不安、もどかしさを感じざるを得ません。
私自身これまで県の説明、マスコミ報道、議会での全員協議会、代表、一般質問を通じてもいまだに全県フリーゾーン導入後の沖縄の経済変化、社会変化、そして沖縄の将来像いわゆるグランドデザインが見えてこないというのが率直な心情です。
大田知事が県民所得全国最下位、全国2倍の失業率、基地依存経済など本県経済の脆弱さを克服するための切り札として全県フリーゾーン制度を導入しようとする意気込みは十分察するものがありますが、いかんせん現段階において県民論議、県民の合意形成が不十分なことは現実として受けとめなければならないというふうに思います。
それでは具体的項目に基づきまして質問をいたします。
1つ、全県フリーゾーン制度導入における沖縄らしさ、将来の沖縄像いわゆるグランドデザインをどう描いているのか、示していただきたいと思います。
2、繁栄はその反面退廃をも生むことがあると恩います。全県フリーゾーン制度は経済振興だけの問題ではないと思いますが、導入により本県の教育、文化はどう変わっていくのか、どう影響を受けるのか、示してもらいたいと思います。そして教育団体、文化団体の意見集約はどうなっていますか。
3、同制度の導入で新たな産業が創出され多くの企業が立地されることになりますが、その反動で県内地価の高騰を招くおそれが出てきはしませんか。
4、JAグループなど農業関係者から全県フリーゾーン導入は第1次産業の壊滅をもたらし農業・農村の存立基盤を根底から変え、農村地域社会の崩壊を引き起こすと警鐘を鳴らしていますが、全県フリーゾーン導入に伴い壊滅的打撃を受けると言われる本県農業の将来展望や振興策はどうなっていますか。
5、島尻郡の知念村議会が去る9月定例会において自治体議会で初めて導入に反対の決議をしましたが、知事はどう受けとめていますか。また各自治体の意見集約はどうなっていますか。
6、各界各層の声、意見等を総合的に判断した場合、まずは地域限定でスタートさせ、その成果を見きわめながら拡大すべきと考えますが、県はどう対応なさるつもりか、お尋ねいたしたいと思います。
次に、新ガイドラインについてお尋ねします。
新しい日米防衛協力のための指針いわゆる新ガイドラインが日米安全保障協議委員会──2プラス2──で決定されました。
このガイドラインは、日本周辺地域の有事の際に物資の輸送、補給、後方支援、港湾の提供などが組み込まれ、米軍に対し自衛隊が作戦面でも協力する枠組みであり、日本が一定の軍事的役割を担うもので、このことはまさに戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否定をうたった我が国の平和憲法をなし崩しにし、有事立法へとつながるとの懸念を抱かざるを得ないのであります。
また、この指針は有事の際には那覇空港や那覇港などの提供使用も可能となり、本県の基地の強化、固定化にもつながるなど基地の重圧と犠牲に苦しむ県民生活へのさらなる影響は必至であります。
また、県が提案している国際都市形成構想や2015年までに沖縄からすべての基地をなくすという基地返還アクションプログラムにも支障を来すことが懸念されると危惧するものであります。
そこで以下のことにつきまして知事の御所見をお伺いいたします。
1、知事は新ガイドラインの最終報告をどう評価していますか。
2、新ガイドラインにより中国などアジア諸国を刺激し新たな緊張関係をつくり出すことは冷戦崩壊後の世界平和の動きに逆行すると思いますが、どうですか。
3、新ガイドラインは戦争マニュアルと言われていますが、知事の御所見をお聞かせください。
4、有事の際、那覇空港、那覇港の提供使用が可能になると言われていますが、知事として明確に反対の姿勢を堅持すべきだと思いますが、どうですか。
5、新ガイドラインは、県が提唱している国際都市形成構想や基地返還アクションプログラムにどのような影響が出てくると思いますか。
次に、海岸護岸施設いわゆる西原町境界から佐敷町境界に至る与那原町の護岸整備についてお尋ねをしたいと思います。
与那原町は西原町、佐敷町、知念村を含む4町村と一体となって中城湾港マリン・タウン構想を県の協力のもとに着々と進め、おかげさまで本事業も平成8年5月から埋立工事の着工を見ております。
本町は、この事業の完成によって町域を拡大し、公共マリーナ等の港湾施設と公共業務施設、商業施設等のいわゆる都市基盤施設を一体的に整備し、アメニティー豊かな海辺の町づくり、人と海、自然と町の結びつきを図ることによって南部地域での拠点都市づくりを目指して鋭意努力しているところでございます。
ところで、本町の海岸護岸は戦後間もなく設置され老朽化が進行し、倒壊の危険性も含み管理道路も皆無に等しく、親水性はおろか安全性、快適性、景観性にも著しく欠けているのが現状であります。
また、マリン・タウン構想との整合性からしても護岸整備は急務であります。さらに本町の護岸沿いには小学校、中学校、高等学校が立地し、地域住民、PTA、児童生徒からも早期実現を強く要望されております。
そこで以下の点につきましてお尋ねしたいと思います。
1、西原町から佐敷町境界に至る与那原町側の護岸は設置後四、五十年も経過し老朽化が激しいと思いますが、いかがなものでしょうか。
2、そのつくりからして親水性や快適性、景観性、安全性にも著しく欠けていると思いますが、その認識はいかがですか。
3、一部与那原町護岸は第6次海岸整備5カ年計画の中で整備計画があると思いますが、進捗状況はどうなっていますか。
4、マリン・タウン事業との関連で、同護岸整備を与原側いわゆる西原町との境界まで延長していただきたいと思いますが、いかがなものですか。
ところで、さきの台風13号により与那原町、佐敷町、知念村に至って護岸の決壊、防風・防潮林の倒木で被害が生じましたが、その被害状況はどうですか。また修復状況はどうなっていますか、お尋ねしたいと思います。
6番目、県内の海岸護岸保全対策はどうなっていますか。
次に、国道与那原バイパスと県道139号線整備事業についてお尋ねしたいと思います。
国道与那原バイパスは、慢性化している与那原交差点の交通渋滞解消を図るため平成4年度に国が事業を認可したバイパスであり、なおまた昨今のマリン・タウン事業の工事着工に伴い既存市街地や埋立地及び中南部の東海岸地帯から那覇都心へのアクセス道路としての要求性、重要性も極めて大であります。
また、埋立地や既存市街地での幹線道路整備等都市計画事業導入のためにも同バイパス事業の早期着工が望まれております。さらに県道139号線の整備も埋立地と国道バイパス、国道331号を結ぶ幹線道路として早期整備が望まれております。
そこでお尋ねします。
1、同バイパスの都市計画決定の作業はどうなっていますか。
2、同バイパスの用地購入、工事着手、事業完了予定を示していただきたいと思います。
3、同バイパス事業を進める上で、現在支障になっている事項があるのか、それは何であるのか、示してもらいたいと思います。
県道139号線整備についてお伺いします。
1、どのような整備手法を考えていますか。
2、工事着手の時期と完了時期を示してほしいと思います。
なお、与那原バイパスと県道139号線の両件につきましては、平成8年12月定例会でも取り上げ県当局への迅速なる対応をお願いした経緯もありますので、前進ある答弁を求めたいと思います。
以上、一般質問を終わりたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 大城一馬議員の御質問にお答えいたします。
まず全県フリーゾーン導入との関連で、制度導入における沖縄らしさ、沖縄の特性をどう描いているのかという趣旨の御質問でございます。
全県自由貿易地域の展開は、本県の産業経済を取り巻く厳しい現状と経済のグローバル化の進展等内外の動向等を踏まえ、経済の活性化と県民生活の向上を図る思い切った産業振興策であります。
その実現に向け本県の地理的条件や歴史的蓄積及び県民性等の地域特性を積極的に生かすとともに、各種の制度的な優遇措置や関連施設の機能拡充などによって、国内外にアピールできる魅力ある企業立地環境を整備していくことが必要であると考えています。
これによって人、物、情報の交流拠点の形成を図り、本県経済の自立と我が国経済社会の発展に寄与する地域の実現を目指すことにしています。
次に、同じく全県フリーゾーンとの関連で、各界各層の声、意見等を総合的に判断した場合、まずは地域限定でスタートさせ、その成果を見きわめながら拡大すべきと考えるが県はどう対応するのかという御質問でございます。
全県自由貿易地域制度の展開に当たっては、2001年に先行して現行那覇地区の拡大、中城湾港新港地区への展開、既存企業のサブゾーン指定等地域の拡大整備を図る考えであります。
また、先行的に導入する制度としてはIQ枠の撤廃、関税の選択課税、法人税率の低減、法人税の投資税額控除等を考えています。
今後、県案の策定に当たっては、県議会での論議、経済界の意見等も考慮しながら総合的に判断していく考えであります。
次に、新ガイドラインとの関連で、知事はガイドラインをどう評価するかと、新ガイドラインは中国などアジア諸国を刺激し新たな緊張関係をつくり出し、冷戦崩壊後の世界平和の動きに逆行すると思うがどうか、新ガイドラインは戦争マニュアルと言われているがどうか、有事の際、那覇空港、那覇港の提供使用が可能となると言われているが知事は明確に反対の姿勢を堅持できるか、新ガイドラインは国際都市形成構想や基地返還アクションプログラムにどのような影響が出てくると思うかという一連の御質問につきましては、関連しますので一括してお答えいたします。
去る9月24日に発表された日米防衛協力のための新たな指針すなわちガイドラインは政府の発表によりますと、「平素からのおよび緊急事態における日米両国の役割ならびに協力および調整の在り方について、一般的な大枠および方向性を示すことを目的」とするとなっています。
しかしながらこのガイドラインは、「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力」の分野において、米軍による民間空港、港湾の一時的使用とともに、中央政府及び地方公共団体並びに民間が有する権限、能力の活用を米軍の活動に対する日本側の協力項目として挙げられています。
報道されているように周辺事態の際、県内の空港や港湾が使用されることが事実であるとすれば、本県の米軍基地の過重な負担の状況から、本県の経済活動や県民の生命財産への影響が懸念されます。
県の基本的な立場は、基地のない平和な沖縄をつくることでございます。そのため引き続き国際都市形成構想の実現に努めるとともに、基地返還アクションプログラム(素案)に基づく基地の整理縮小と兵力の削減をこれまで同様に日米両国政府に強く求めてまいりたいと考えています。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 教育長。
〔教育長 安室 肇君登壇〕
○教育長(安室 肇君) 制度導入は経済振興だけの問題ではないと思うが、教育、文化はどう変わっていくと思うか、また教育団体の意見集約はどうかについてお答えいたします。
教育は人格の完成を目指すものであり、その普遍性に立って社会や時代の変化、地域の多様なニーズに対応することが求められております。
このようなことから全県フリーゾーンが導入された場合、産業集積の動向を踏まえ、例えば貿易、金融、情報、工業技術などの人材育成に対応するため、高等学校の学科改編や指導内容の検討等が必要になってくるのではないかと考えております。
また、国際化の進行により外国人との交流が活発化することが予想されることから、コミュニケーション能力を高めるための外国語教育の一層の充実、異文化の理解や自国の文化を尊重する態度の育成、国際協調の精神の醸成などの国際理解教育の強化が必要であると考えております。
なお、教育団体からの意見聴取は必要であり、できるだけ早い時期に実施したいと考えております。
○議長(友寄信助君) 観光文化局長。
〔観光文化局長 照屋寛孝君登壇〕
○観光文化局長(照屋寛孝君) 全県フリーゾーンの導入によって沖縄の文化はどう変わっていくと思うか、また文化団体の意見集約はどうなっているかという御質問にお答えいたします。
沖縄の文化は、琉球王朝時代から今日まで近隣諸国との交易や交流を通じて異文化を吸収しながらより独自なものをはぐくみ発展してまいった歴史を有しております。
全県自由貿易地域制度の導入によって物や人の交流が活発になりますので、異文化との接触の機会はふえていくことが予想されます。
このような中で沖縄の伝統文化の普遍性を再認識しつつ、伝統文化を踏まえながら多様な芸術文化活動が一層促進されるのではないかと考えております。
また、県内の文化団体にフリー・トレード・ゾーン導入による影響について意見を聴取した結果では、ほとんどの団体が余り影響を受けないとしながらも、よい方向に向かう、また芸術文化の創造・発信の機会がふえると答えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 全県フリーゾーン導入によって県内地価の高騰を招くおそれはないかとの御質問でございます。
全県自由貿易地域制度の導入に伴う製造業等の企業立地につきましては、工場適地に政策的に誘導していくことを考えておりますが、その他の新規企業の立地等で土地需要が増加した場合、地価に影響を与えることも一部想定をされます。
現在、地価対策といたしましては、一定面積以上の土地取引の届け出、四半期ごとの地価動向調査及び土地取引状況調査を実施しています。
なお、地価が急激に上昇しまたは上昇するおそれがある区域につきましては、土地取引の規制を強化するため監視区域制度を活用し機動的に対処してい<考えであります。
次に、知念村議会が導入反対の決議をしたが、これをどう受けとめているかとの御質問でございます。
知念村議会におきましては、農漁業を主たる産業として振興しているために、全県自由貿易地域制度の導入により農漁村及び地域社会の崩壊を招くとの関係団体の要請を深刻に受けとめ、2001年の実施時期にこだわることなく全県民の納得のいく合意形成を図るべきだという理由で2001年実施の全県自由貿易地域構想に反対したものと理解をしております。
県におきましては、農林水産業に及ぼす影響を考慮して関税免除対象外品目の選定及び必要な支援策を講じていくこととしております。
このことにつきましては、市町村長や各ブロックごとの担当者説明会でも県の考え方を十分説明をしてまいりました。今後とも県案策定に当たりましては県議会での議論や市町村、経済団体等の意見も考慮し総合的に判断をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 全県フリーゾーン導入に伴い本県農業の将来展望や振興策をどう考えているかという御質問にお答えします。
全県自由貿易地域制度の導入に当たっての本県農業の将来展望としましては、国際競争力のある農業が構築できるよう、サトウキビについては経営規模の拡大と機械化による高能率生産システムの確立による生産コストの低減を図ってまいります。
野菜、花卉、熱帯果樹等については、台風や干ばつに耐え得るハウス等近代化施設の整備による高品質で安定生産が可能な大型産地の形成を図ってまいります。
畜産については、優良な肉用牛等の銘柄の確立などを図ってまいります。
また、食品加工業や観光産業との連携、インターネットの活用による販売チャンネルの多様化など新たな視点に立脚した振興策を講じていく考えであります。
そのため農林水産業振興計画とそのアクションプログラムを早期に策定し、計画的に農業支援策を展開していきたいと考えております。
次に、海岸護岸整備について、さきの台風13号により、知念村において防風・防潮林の倒木で被害が生じたがその被害状況はどうか、また修復状況はどうかという御質問にお答えいたします。
去る8月17日の台風13号によって知念村知名海岸背後地の防風・防潮林が長さ約640メートル、面積にして約80アールに及んで被害を受けております。
当該防風・防潮林の修復については、今後防風施設整備事業の導入を図り対応してきたいと考えております。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 江洲順吉君登壇〕
○土木建築部長(江洲順吉君) 海岸護岸整備について、まず1点目には、西原町から佐敷町境界に至る与那原町側の護岸は設置後四、五十年も経過し老朽化が激しいと思うがどうか、2点目に、そのつくりからして親水性や快適性、環境面、安全面にも欠けていると思うがどうか、3点目に、一部与那原町護岸については整備計画があると思うがその進捗状況はどうかと、4点目に、マリン・タウン事業との関連で同整備計画を与原側まで延長してもらいたいとの御質問に対して一括してお答えいたします。
本県の海岸地域では高潮・浸食対策等の防災的観点から海岸の整備を行ってきましたが、近年に至り多くの海岸保全施設は老朽化や背後の土地利用等の変化のため見直しの時期に来ています。
一方、親水性や景観等の豊かな自然環境の創造が求められ、海岸空間に対する新たな要請の高まりがあります。
与那原町の護岸の多くが整備後四、五十年経過した護岸であるため施設は老朽化しております。また親水性、快適性及び景観等に配慮した緩やかな傾斜式護岸が整備されたのは昭和60年代以降であり、それ以前に整備された護岸は環境面の配慮に十分でない護岸構造物となっております。
このため当添漁港から与那原東小学校にかけての護岸については、地元住民の協力を得て平成9年3月に延長1.2キロメートルの港湾隣接地域指定を終えたところであります。
今後は、関係機関と調整を図り,ながら景観、環境に配慮した整備計画の策定を行い、平成11年度の事業化に向けて努力してまいりたいと思います。
なお、与那原東小学校から西原町との境界までの海岸護岸の整備につきましては、マリン・タウン・プロジェクト事業との整合を図る必要がありますので、与那原町及び関係機関と調整を図って検討していきたいと考えております。
次に、台風13号により与那原町、佐敷町、知念村に至って護岸の決壊で被害が生じたがその被害状況はどうか、また修復状況はどうかとの御質問にお答えいたします。
台風13号による3町村における海岸護岸の被災状況は、与那原町板良敷地先で1カ所、延長26メートル、佐敷町冨祖崎地先で2カ所、延長50メートル、知念村知名地先で2カ所、延長52メートルの被害を受けております。
これら被災施設につきましては速やかな復旧が必要であり、国の災害査定を受けた後、早期に災害復旧に取り組んでいきたいと考えております。
なお、災害復旧に要する額は約8000万円程度を見込んでおります。
次に、県内の海岸護岸保全対策はどうなっているかとの御質問にお答えいたします。
本県の海岸保全施設の整備については、国土の保全と民生の安定を図るため国の海岸事業五箇年計画に基づき高潮対策事業、浸食対策事業、海岸環境整備事業等を実施してきております。
海岸護岸の整備状況につきましては、海岸総延長1744キロメートル、そのうち整備を要する海岸延長753キロメートルであり、平成8年3月末現在、整備済みの護岸延長は165キロメートルとなっております。
今後、海岸事業については台風に伴う高潮、波浪等から生命財産を守る防災的観点から海岸の整備を進めることはもとより、自然環境に配慮するなどさまざまな機能を合わせ持った質の高い海岸を形成できるよう努めてまいります。
次に、国道与那原バイパスと県道139号線の整備事業について、その中で国道与那原バイパスについて都市計画決定の作業はどうなっているのか、事業計画を示してもらいたい、事業を進める上で現在支障となっている事項があるのかとの御質問については一括してお答えいたします。
国道与那原バイパスは、国道329号の与那原町字与那原と現在整備中である那覇空港自動車道の南風原インターを結ぶもので、与那原交差点の交通渋滞解消と那覇空港自動車道へのアクセスのために計画された延長2.5キロメートルの道路であります。
当該バイパスの計画については、現在国においてルート選定の諸調査を行っているところであり、一部地形の厳しい地域を通ることから路線計画の確定に時間を要しているとのことであります。
県としましては、国において実施している調査の結果を踏まえ、地元及び関係機関と調整を図り、早い時期に都市計画決定ができるよう努めていきたいと考えております。
なお、都市計画決定後速やかに用地取得や工事に着手し、事業推進を図っていく予定であると聞いております。
それから県道139号線整備事業について、どのような整備手法を考えているのか、また工事着手の時期と完了時期を示してほしいとの御質問に一括してお答えいたします。
県道139号線とその延伸上にある埋立地内の道路につきましては、マリン・タウン・プロジェクト西原与那原地区の開発計画を支援する上で極めて重要な路線であると認識しております。
なお、当該道路は現在県道認定作業を行っているところであり、マリン・タウン事業の進捗と整合を図りながら整備を進めていく予定であります。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 上原亀一郎君。
〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 通告に従い知事並びに関係部長に質問いたしますが、質問に先立ち内外の注目を浴びました日本共産党第21回大会について、大会決議を通して少しばかり触れておきたいと思います。
大会決議案は、約2カ月の全党討論が行われましたが、さらに党外の多くの方々にも御一読をお願いしました。その際、我が党県議団は古堅衆議院議員、赤嶺県委員長とともに先月、大田知事に対しても直接お会いいたしまして決議案をお渡しいたしました。
決議案は、全党の討論と大会での討論、提案を踏まえて道理ある積極的意見を取り入れ補強、修正を行い、最終日の5日目9月26日、21世紀の早い時期に政権を担い得る党へ成長することを目指し、国政でも地方政治でも一層の躍進の波をつくり出すために全力を挙げる、政治革新の目標で一致する政党、団体、個人との連合で民主連合政府を実現することを目指して奮闘することを盛り込んだ大会決議案を採択いたしました。
大会決議は5章19節で構成され、かなりの長文となっておりますので、以上にとどめ質問に入ります。
最初の質問は、憲法・地方自治法施行50周年に当たり、自治権の本質、地方自治の構造から見た自治行政運営の要点についてであります。
毎年5月3日は憲法記念日で法定休日となっておりますので、憲法施行日はよく知られておりますが、憲法公布より約5カ月半後に公布された地方自治法は、施行日が「日本国憲法施行の日から、これを施行する。」となっていることから、憲法と一体のものということができるでありましょう。
地方自治法、地方公共団体の教科書と言っていいほどの名著と言われております長野士郎氏の著作逐条地方自治法の序説で、自治権の本質についてはさておくことにしまして、地方自治の構造から見た自治行政運営の要点について次のように述べております。
「わが国の国家組織力犠員内閣制を採るが故に、国会は「国権の最高機関」でありうるわけであるが、大統領制に基づく地方制度においては、地方議会は、地方公共団体の意思機関ではあつても地方公共団体の最高機関ではもとよりありえない。」と。「地方公共団体の機能は、地方公共団体の意思決定機関である議会と、その意思の執行者である執行機関の両者に明確に分属し、両機関の相互牽制のうちに、均衡のとれた円滑な行政運営を確保しようとするのがこの制度の狙いである。」。したがって「議会は議決機関の権限を固く守りつつ執行機関に対する監視機能を十分に活用し、執行機関は、議会の意思に基づき、その執行権限を自らの責任と判断とに基づいて行使することが自治行政の運営を確保する要諦である」と。
以上のことについて、私はことしの2月定例会一般質問の冒頭で、屋良初代無事の業績をたたえる中で以上のことを援用しましたが、50周年の記念の日から5カ月が過ぎてはおりますが、知事の御所見をお聞かせください。
次は、規制緩和等産業振興特別措置に関する要望書についてです。
沖縄振興開発特別措置法は第3章として産業振興のための特別措置を定めています。なぜ沖縄振興開発特別措置法の全部あるいは該当章節・条項の抜本的拡充強化を要望せず、規制緩和等特別措置の実施を求めましたか、当時の知事職務代理者吉元副知事にお答え願います。
第3番目の質問の1は、産業・経済の振興と規制緩和等検討委員会についてです。
イ、同委員会は他の都道府県には設置されていないと答えておられましたが、そのとおりですか。
ロ、21世紀に向けて県経済産業の自主的・自立的発展を達成していかなければならないのに、なぜに委員会構成で県側2名に対し本土側5名となっておりますか。
ハ、委員長以下5名の委員がどれほど沖縄の産業経済の進展にかかわってこられた方々ですか。
同じく第3番目の質問の2は、その報告書についてです。
イ、序章で、「復帰プログラムが終幕を迎えたとの見方もできよう。」と、やや恐る恐る一つの見方だと県民を逆なでし、最終章で、沖縄県民みずからが復帰プログラムに幕を引けと憶面もなくお説教を垂れたつもりでしょうが、沖縄県民を最大限に侮辱する暴論きわまりないものと言わなければならないでしょう。
ひところ沖縄振興開発特別措置法に基づく諸特別措置をやっかみ、沖縄を甘やかすなとのとんでもない言いがかりが政府・与党筋から声高に叫ばれました。
ところが一昨年9月の県民大会でこのようなやっかみ、言いがかりは吹き飛ばされ、一転して政府は、復帰後25年も沖縄県民に基地を押しつけまことに申しわけないとしおらしく言いました。
しかるにどうでしょうか。沖縄県知事が設置、任命した委員会で轟然と復帰プログラムに幕を引け、すなわち復帰特別措置に甘えるなと政府にかわって沖縄県民みずから言えと迫っているのです。
知事はどのようにお考えでしょうか、お答え願います。
ロ、一国二制度という用語が何力所かに見られますが、沖縄県民は売り渡された主権を全国民と連帯して回復し、多くの国民から尊敬の念をもって迎えられ、47都道府県の中でも名誉ある地位を保持しています。県民の名誉を傷つけ、逆差別を生み出すようないかなる制度も許されるものではありません。お答え願います。
ハ、経済同友会代表、財界の大御所と言っていいでしょう、ウシオ電機株式会社社長の牛尾治朗氏は、報告書をまとめた後、沖縄は繁栄するが、プレーヤーは沖縄外の人がふえるかもしれないと新聞で報道されています。
プレーヤーとは一体だれのことでしょうか。なぜあえて横文字にしたのか。県が設置して任命した委員会ですから承知しておかなければならないと思います。いかがでしょうか。
第4番目の質問は、全県フリー・トレード・ゾーンについてです。
全県自由貿易地域の展開に向けて(素案)は白紙に戻し、国の責任を明確にして沖縄振興開発特別措置法の中での「振興開発計画及び振興開発事業」並びに「第3章産業振興のための特別措置」、「第4章自由貿易地域」、「第5章電気事業振興のための特別措置」、「第6章職業安定のための特別措置」、「第7章その弛の特別措置」を初めとする同法の抜本的拡充強化を国に要求し、世界最強のアメリカから売り渡された主権を取り戻した県民の卓越したエネルギーに満幅の信頼を置き、県経済産業の自主的、自立的発展を導き得る施策をすべての県民の合意を得て練り上げていかなければならないと思います。知事の御答弁を求めます。
第5番目の質問は、沖縄振興開発特別措置法の拡充強化についてです。
1、立法の趣旨とこの法律の背景についてお答え願います。
2、復帰25年もたった今日なお全国の75%の米軍基地を押しつけられていることが振興開発の最大のガンとなっていることについては政府も認めています。
4次振計に向けて復帰プログラム終えん論者で汚辱された規制緩和等検討委員会を払拭し、国の責任を明確にして沖縄振興開発特別措置法第2章及び第3章から第7章までの特別措置を洗い直し、さらに必要な特別措置を補強し、抜本的な拡充強化を政府に迫っていくのが求められているのではないでしょうか、知事の御答弁を求めます。
第6番目の質問は、国際平和創造の杜(仮称)についてです。
知事は、毎年度の重点施策の筆頭に平和行政の推進と基地及び戦後処理問題等の解決促進についてを掲げておられます。
一昨年平成7年度の重点施策には、「とくに、国際平和に関する文化活動、交流、研究の新たな拠点形成を目指した国際平和創造の杜(仮称)の基本計画の策定を進める。」と極めて具体的な施策として明記されました。
残念ながらこの基本計画の策定作業は、その糸口にもついていないようであります。知事公約の筆頭、目玉でもある平和行政の推進に係る具体的施策は着実に前進させなければならないものではないでしょうか。
いかような策定作業の道を開いていかれるか、お答え願います。
最後に、我が党の代表質問との関連についてですが、我が党新垣米子議員の、知事は国と名護市の当事者任せでなく、海上基地建設反対、基地の県内たらい回し反対を明確にすべきだと思いますがいかがでしょうかとの質問に全くお答えになっておられませんので、改めて御答弁を願います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 上原亀一郎議員の御質問にお答えいたします。
まず、憲法・地方自治法施行50周年に当たり自治権の本質、地方自治の構想から見た自治行政運営の要点についての御質問でございます。
自治権の本質とか地方自治のありようについて短い時間で説明するのは大変難しゅうございますが、御質問の趣旨は議会と執行機関との関係についてのことだと思いますので、その面からお答えさせていただきます。
議会と執行機関との関係は、それぞれ独立してその機能を分担し相互の牽制と均衡を図りながら円滑に地方自治行政を運営していく協力関係にあると考えています。
次に、規制緩和等産業振興特別措置に関する要望との関連で、なぜ沖縄振興開発特別措置法の抜本的拡充強化を要望せず規制緩和等特別措置の実施を求めたのかという御質問と、県民の卓越したエネルギーに信頼を置き、県経済、産業の自主的、自立的発展を可能とするすべての県民が合意できる施策を練り上げなければならないが、どう考えるかという趣旨の御質問に一括してお答えいたします。
本県においては、復帰後沖縄振興開発特別措置法に基づいて各種の施策が措置されてきましたが、いまだ県民所得は全国で最も低く、失業率は全国平均の約2倍という厳しい経済状況にあります。
このような産業経済の現状を打破するためには抜本的な産業振興策の推進を図り、県内の既存企業の競争力を強化するとともに、新規企業の立地を促進し、新たな雇用の場をつくり出していくことが極めて重要であると考えています。
そのため、規制緩和等検討委員会の報告を踏まえ、我が国唯一の自由貿易地域を思い切って全県に拡大することが県内産業の振興と県民生活の向上を図る上で必要であると考えた次第であります。
全県自由貿易地域制度の導入につきましては、全県的な議論が必要であると考えております。
今後、県案の策定に当たっては、県議会の議論や関係団体等の意見を考慮し総合的に判断してまいりたいと考えています。
それから、沖縄振興開発特別措置法の拡充強化について、立法の趣旨とこの法律の背景についての御質問にお答えいたします。
沖縄振興開発特別措置法は、本県がさきの大戦において最大の激戦地となり、その後、長期間米国の施政権下に置かれ、忍耐と苦難の中にあった沖縄県民に報いるため、国は県民への償いの心をもって事に当たるべきとして、従来の地域開発諸立法とは根本的に異なる法律として制定したものであります。
このことを背景にし本県の特殊事情に基づく他府県との格差を是正することや、我が国の東南アジアの玄関口であるという地理的条件と気候風土、あるいは歴史的経験等を生かして自立的発展の基礎づくりをすることが同法の制定の趣旨であると理解しております。
次に、海上基地建設に明確に反対することについて知事の見解を聞きたいという趣旨の御質問でございます。
御承知のように、この問題をめぐりましてはいろいろな意見がございます。したがいまして、そういういろいろな意見があることを踏まえながら行政の長として何をなすべきかというのを日ごろ考えるわけでございますが、県の基本的な立場もこれまでも何度も申し上げておりますように、米軍基地の県内移設には反対であるということを日米両政府に対しても申し上げてまいりました。この問題についてはまず米軍施設の提供責任者である国が関係市町村と話すべきことだと考えております。
それは決して責任を回避するのではなくて、先日も申し上げましたように例えば漁業権の設定されている海域において構築物等を設置する場合は漁業権の得喪──得たり失ったり──、または変更が伴うので漁業権者、つまり漁協の同意が必要とされると。その同意は水産業協同紐合法第50条の規定に基づき議決権者、漁協の正組合員の3分の2以上の賛成を要すると。
漁業権は漁業法第23条の規定によって物権とみなされ、漁業権の得喪または変更に伴う補償は構築物の設置者、すなわち国が行うものであるということになっているわけです。ですからそういうことがまだ県に対しても何も通達もない段階ですので、今後県としては名護市の判断も勘案し、必要な段階では県の総合釣な発展を図る観点から適切に対処してまいりたいという次第でございます。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 規制緩和等検討委員会は他の都道府県でも設置されたことがあるのかという質問、それからなぜに委員構成で県側2人、本土側5人となったのか、どれほど沖縄の産業経済の進展とかかわってきた人物かという御質問に一括をしてお答えいたします。
他の都道府県で規制緩和等に関する検討委員会が設置されていることについては聞いておりません。
また、規制緩和等検討委員会は、本県が国際都市の形成に向け経済的な自立と我が国経済社会の発展に寄与する地域として整備されることを目的に設置されたことから国際的な動向と我が国経済社会の展望等に知識を有すること、これまで沖縄県の振興策にかかわってきたこと等を基準に内外の学識経験者及び経済界から選任したものでございます。
ちなみに本土側の委員が5人、沖縄県側の委員が2人、外国が2人、計9名というふうになっております。
次に、委員会で復帰プログラムに幕を引けということについての見解、それから一国二制度的ということについてこれは逆差別を生み出すのではないかということに対する見解と、2つについて一括してお答えいたします。
ことしの7月、規制緩和等検討委員会から新たな産業の基本方向と展開方策について報告書が提出されました。
同報告書は、全県自由貿易地域の創設を目指すなど一国二制度的な手法を盛り込むとともに、沖縄県において投資活動を行う企業の実質的な税負担を軽減する税制上の特例や、全国に先駆けた諸規制の緩和等を実施するよう提案しております。
また、その前提としてこれまでの復帰プログラムに県民みずからが幕を引き、自己決定・自己責任の原則に基づき新しい沖縄の創造に向けて取り組むことの必要性を述べております。
県といたしましては、復帰特別措置については期限到来の時点で個別にその必要性については適宜判断した上で国と調整をすることとし、全県自由貿易地域の展開など新たな産業振興策についてはみずからの意思と能力により着実に推進をしていくことが必要であると考えております。
一国二制度的な手法による抜本的な産業振興策につきましては、これまでの3次にわたる沖縄振興策の経緯を踏まえ、従来どおりの振興策では抜本的な振興は難しいとの認識から国際都市形成構想を策定し、経済特別区の形成による産業振興策を提起したところでございます。
このことから、一国二制度的な手法はむしろ沖縄の特性を生かすものであると認識をいたしております。
次に、本土の経済界代表の委員がプレイヤーは外から来るかもしれないと新聞で報道されているが、プレイヤーとはだれのことかとの御質問でございます。
規制緩和等検討委員会の報告書は、県全域を自由貿易地域とするなど抜本的な産業振興策を提起しています。これらの振興策を着実に推進することにより既存県内企業の活性化はもとより、国内外からの企業立地が促進されるものと考えております。
報告書の中にプレイヤーという表現はございませんが、本県で産業活動を行う国内外の立地企業等を意味しているというふうに理解をしております。
次に、沖振法を洗い直し、抜本的な拡充強化を政府に迫っていく必要がないかとの御質問でございます。
本県の自立的な発展を図るためには米軍基地の返還促進及び跡地の利用を推進し、国際都市形成構想の実現を目指すとともに、新たな政策的、制度的な措置による産業の振興を図るなど積極的な施策展開が必要であります。
これらの施策を展開するに当たっては、第3次沖縄振興開発計画の終了後においても新たな振興計画の策定や、自由貿易地域制度の創設などを含む沖縄振興開発特別措置法の抜本的な改正など新たな法令の整備が必要であると考えております。
このため、県といたしましては沖縄振興関係法令も含めたこれまでの沖縄振興開発計画の総点検を実施するとともに、長期的視点に立った沖縄振興のための法令の整備について十分に検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 上原亀一郎議員の国際平和創造の杜の基本計画の策定について、将来どのような道筋を歩もうとしているかということについてお答えを申し上げます。
国際平和創造の杜構想は、沖縄戦全戦没者の追悼と平和祈念、平和の創造と発信及び平和・共生思想の実践等を基本理念に平和を求めてやまない沖縄の心を生かした国際平和交流の場の形成を目指すものでございます。
平成7年度には同構想の理念を踏まえ、平和の礎を建設したところであり、現在は森林公園の整備を進めているところでございます。
また、議会の議決を得まして11月には新平和祈念資料館の建設に着手する予定で鋭意取り組んでいるところでございます。今後ともこの構想の趣旨に沿うよう国際平和に関する研究、交流機能等の充実強化に向けて調査検討を進めていきたいと考えております。
以上です。
○上原亀一郎君 休憩。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午前11時53分休憩
午前11時55分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) ただいま申し上げましたように、国際平和創造の杜につきましては現在、構想段階でございます。その広がり、地域調整、それから財政の問題といろいろ配慮しなければならない問題が横たわっておりまして、この問題については現在のところ検討中というふうな状況でございます。
しかしながら、この懇話会から出された国際平和創造の杜の考え方というのは大変すばらしいものであるということから、今順次その現実的な対応といいますか、できるものから現在どんどんやっていって、実質的にそういうふうな構想の確立に寄与したいという考え方から進めているわけです。
今申し上げましたもののほかに国際平和研究所とか、その他国際平和に関する問題についてより充実した形で打ち立てていきたいというふうに考えているところでございます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) すべての県民が合意できる施策を練り上げてやるべきじゃないかという趣旨の御質問で先ほど知事の方が一括してお答えをしたわけでございますが、全県自由貿易地域制度の導入につきましては全県的な議論が必要であると考えており、今後県案の策定に当たっては県議会の議論や関係団体等の意見を考慮し、総合的に判断をしていきたいと考えておりますということで先ほども知事がお答え申し上げましたが、そういうことで御理解願いたいと思います。
○議長(友寄信助君) 上原亀一郎君。
〔上原亀一郎君登壇〕
○上原亀一郎君 平和の杜の基本計画については、知事がイニシアチブを発揮されておると思いますので知事がお答えなさった方がよかったんじゃないかなと思いました。
いずれまたやりますのでよろしくお願いします。
それから全県フリー・トレード・ゾーンですが、これは知事、県民世論を分裂させてはいけませんよ、沖縄において。全県民が団結できる状況をつくらぬとえらい目に遭いますよ。
以上を申し上げておきます。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午前11時59分休憩
午後1時18分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
午前に引き続き質問及び質疑を行います。
高良政彦君。
〔高良政彦君登壇〕
○高良政彦君 それでは通告に従って一般質問を行います。
全県フリーゾーンになれば県内の多くの企業が打撃を受け、農産物を初め産業壊滅論が言われております。しかし経済の競争の原理からすれば本土の企業、製品、農産物こそ我が沖縄県にとって最も強く影響を受ける競争相手ではないのか。しかも沖縄が本土復帰をして25年間、世界的にも最もすぐれた技術力と資本力、そして経営のノウハウ、あるいは栽培技術を持った本土企業とその製品、さらに農産物が無関税でしかも無制限に沖縄に入っております。他府県といえども物を入れれば金が県外に出ていくわけであります。したがって日本という外国から商品や農産物を無関税でしかも無制限に輸入をしていることと同じであります。
このことを不問にして、なぜ本土以外の国外からの企業や製品に対して関税の撤廃等全県フリーゾーンにしたら県内企業や農業が壊滅をしてしまうのか、理解に苦しむものであります。
この点について知事はどのように認識をしておられるのか、御所見を賜りたいと思います。
2つ目に、沖縄の本土復帰後、本土から土木建設業を初め生命保険、スーパー、ホテル、そして遊技場等多くの業種や資本が県内に定着をしておりますが、どのぐらいの業種になるのか。
一方、雇用の場も提供しており、雇用効果を初め地元同種企業との平均賃金の比較等県内の経済にどのような影響があったと思われるのか、御答弁をお願いいたします。
3つ目に、本土と沖縄間の移出移入の実態はどうなっているのか。
4つ目に、全県フリーゾーンによって県内企業や農業が壊滅するのであれば、沖縄が本土に復帰したときに本土企業や本土他府県から無関税でしかも無制限で入ってくる商品や農産物のために沖縄の企業や農業は壊滅をしているはずであります。ところが25年を経た現在の実態はどうなのか、決してそうではないというこの事実を認識する必要があります。この点について県の認識を伺いたいと思います。
5つ目に、無関税適用除外品目が関心の的となっておりますが決定されたのか、またいつごろ明らかになるのか。
6つ目に、全員協議会のときの答弁で、全県フリーゾーンによる雇用効果が約2万5000人、経済効果が約5800億円余という、また消費者物価がおよそ20%ぐらいは下がるという答弁がありましたが、その積算の根拠を説明してもらいたい。
7番目に、全県フリーゾーンによって最終的に県の人口はどのぐらいまで増加すると考えるか、またどのぐらいまでが適正な人口と考えているのか。
8番目に、全県フリーゾーンによって地価は上昇することが考えられるがどうか。
9番目に、どのような産業・業種をリーディング産業として導入しようとしているのか。
10番目に、全県フリーゾーンは県内企業に大きな影響を与えると思いますが、また新しい企業も生まれると思います。どのような新企業が期待できるのか、御説明をお願いいたします。
11番目に、全県フリーゾーンと振興開発計画、復帰特別措置、開発金融公庫等との整合性、あるいは役割はどうなっていくのか、御答弁をお願いいたします。
12番目に、工業連合会、経済団体、農業団体からの全県フリーゾーン化反対の陳情が出ているようですが、その反対の理由に対してどのような対応策を考えておられるのか。
13番目に、普天間基地のキャンプ・シュワブ沖への移設問題については名護市議会は2日、知事は意思を明確に表明すべきとする意見書を可決しております。正式に意見書が届いた時点で意思表示をするのかどうか、また沖縄の米軍基地問題は常に県全体の問題として取り粗んできたはずであり、なぜ今回に限って国と名護市の問題として関与しようとしないのか、知事の御答弁をお願いいたします。
さて、全県フリーゾーンになれば力のない県内の中小企業は打撃を受け、農業も壊滅をしてしまうという反対論が出ております。
一方、観光産業等3次産業はメリットは大きいだろうという指摘もあります。いずれにしろ産業によって、さらに業種によってもメリット、デメリットは異なるし、農産物、水産物も品目によってもまたメリット、デメリットが異なるという、そしておのおのの置かれた立場から賛否両論が出ており、学者もまた意見が分かれているのが実情かと思います。
ところで、沖縄が本土へ復帰することが決定した1969年から1972年ごろの立法院での議事録及び新聞等の記事を調べてみますと、驚くことに今全県フリーゾーンを前にして県民の間で起こっていることと全く同じような議論が行われていたことであります。
沖縄が本土復帰をする1972年のその3年前の1969年6月13日の立法院の総括質問の中での質疑要旨を新聞記事から経済関係に絞って紹介しますと、大田議員ですね、「基地反対を打ち出しているが、70年度の施政方針には離職者対策については述べてあるが、その他の具体的な対策についてはどうするのか。即時復帰というと、中小企業はつぶれると思うが、それに対する対策もない。基地反対、即時復帰というのは無責任だ。」。
これに対し屋良主席、「離職者対策その他について構想は持っているが、現在はどうしても基地経済からの脱却を図らなければならないという決意だけを述べておきたい。」。
桑江議員、「即時無条件返還と結びつけた場合、中部の経済をどうするか大きな不安が残るが、主席はどう考えるか。」。
屋良主席、「基地経済からの脱却は、長期経済計画の一環として対処していきたい。」。
桑江議員、「わたしは3年後には復帰すると確信している。3年といえば1000日であり、即時返還を主張するだけでは県民が不安感を高めるだけだ。主席はその期間内に行なうべき、どのような施策を考えているか。」。
屋良主席、「工業化や観光業などの面からも開発していかねばならないが、今後、責任を持って策定していく。」。
桑江議員、「沖縄で1億ドルの対外収入が減ることは20万人の人間が減ることと同一じだ。施政権返還と経済問題に対する政府の方針がなければ県民は自信を持って返還を迎えることはできない。復帰の問題と政府の経済10カ年計画とは、どのような関連があるか。沖縄内の企業は非常に不安をいだいている。」。
屋良主席、「企業の合理化など不安のないようにしていきたい。この問題については、本土政府も協力することになっているので、そういう立場から解決していきたい。」。
このように復帰の年の3年前の立法院での質疑のやりとりであります。
基地経済からの脱却をどうするのか、復帰をすると中小企業はつぶれると言い切っております。そしていろいろな中小企業に対する保護措置の問題等、今全県フリーゾーンになったら県内中小企業の壊滅論、そして保護策をどうするのか、そして大きな課題である基地経済からの脱却の問題等28年前と全く変わっていない様相、議論が行われていることに気がつきます。
さらに、当時の新聞の記事から復帰を3年後に控えた県民世論、経済界、政府の動きを拾い上げてみますと、1969年6月16日の新報で、「本土政府 沖縄の企業対策で検討へ」、「復帰後の混乱防ぐ」、「整理統合、協業化も考慮」とあり、「専門家を派遣、企業の実態を調べ①復帰後どういう企業が存続できるのか②存続できない企業に対して、どういう措置を講ずればよいか」。また、「企業の整理統合、協業化、本土企業への系列化なども含まれており、また場合によっては、本土財界にも協力を依頼し、政府との"協議機関"なども設置して、沖縄の企業対策を検討する」とありま
す。
さらに「水産調査団が来沖」とあり、本土との「一体化で総合調査」とあります。
その目的は、「①漁港の修築および設計指導、②沿岸漁業資源調査、③漁業振興立案指導計画」となっております。また、「外資の輸入規制緩和へ」とあり、これに対し経済界は政策の変更と不満を述べております。
この経済界の不満に対し当時の宮城企画局長は立法院で、「本土資本の導入を緩和する」と答弁しております。
また、当時川崎製鉄や愛知電機の沖縄への工場進出の計画に対して、沖縄の「労働力をねらったものとみられるが、雇用の促進という立ち場からみた場合、沖縄経済のマイナス要因にはならないため、外資導入審議会では許可するものとみられる。」とあります。
さらに宮城局長は、沖縄の「経済開発計画について「戦略産業として第2次産業、観光産業を推進し、外資導入は本土の健全資本の導入を推進していきたい」」と述べております。
さて、当時の1969年4月の地元の新聞の社説でございます。そこにも載っておりますけれども、「復帰後の経済ビジョン」というタイトルで、「復帰以後の経済については悲観的な見方がつよい。というよりは、はっきりした見通しがなく"援助"をあてにした施策や論議が多い。一方、すでに思惑的な不況ムードさえかもされてきている。基地経済依存の習性になれすぎた経済体質をどう改善してゆくべきかという深刻な課題が、いまわれわれの前に投げられている。」、「だが、ここで問題にしたいのは、沖縄住民自体が、復帰後の経済諸問題に自主的にどう立ち向かってゆくかという心構えのことで、いまのところ、住民はどうしてよいかわからず、とまどいを感じている状態である。政治的には、本土との一体化が叫ばれながら、経済的にはとくに財界で、本土資本の攻勢その他の経済的影響をおそれているといった矛盾がある。つまり政治的には「日本人」を主張し、経済的には「沖縄人」に萎縮してしまう傾向がある。口を開けば沖縄には資源がないという。資源の点では日本全体として資源の乏しい国である。戦後の荒廃から世界が目をみはるほどの奇跡的発展をとげたのは、日本人の英知
と努力のたまものであろう。その結果である産業製品を沖縄住民は基地収入で購入し、消費中心の生活にあまえてきたわけである。」、「今秋、佐藤首相の渡米で、沖縄返還のメドもつくだろう。本土や沖縄に復帰問題に関する政治団体や研究団体がいくつもあるが、復帰後の沖縄経済をどうするかについては、それぞれの団体でバラバラに副次的に検討している。総合的な研究と明確なビジョンの確立が要求されるゆえんである。」と、このように社説にあります。
さらに5月の社説に、続いて「地域性を生かした経済」とあります。
「返還機運の高まりとともに、復帰後の経済についても、近年関係者の間では真剣に考えられてきた。」、「ところが現実には経済ビジョンというのを持ち得ず、現在の生活水準を維持するばかりでなく、さらにこれを高めるということでどうすればいいかということになると、まだ暗中模索の状態である。復帰後の経済生活がどうなるかはだれにも予測できないからである。人それぞれの立ち場から悲観論あるいは楽観論を述べているに過ぎないのである。ところで技術の進歩発達は急速な社会構造の変革をもたらしている。経済評論家の高島陽氏は、社会全般における新陳代謝が経済
成長を急速なものにしているが、この新陳代謝は①バイタリティー(活力)②技術の革新③制度の改革によってもたらされるとしているが、興味をひかれるのは、氏が、日本復帰ということが大きなバイタリティーの要素であるという見方である。」、「復帰後の経済ビジョンの立て方に暗中模索している沖縄で、世界的な視野から経済を考えるということはきわめて重要である。ただ単に復帰すれば中央政府の力でなんとかなるだろうとの甘い考え方では、過保護の中に自主性を失った人間をつくることになりかねない。みずからも他県に比して遅れをとらない地域開発をする心がけを持たないと、われわれは取り残されよう。いまや本土でも各県が地域開発にやっきとなっている。他県よりもわが県を、と企業や観光客の誘致に懸命である。このような状況の中に、沖縄が素手のまま飛び込んで、傷い(痍)軍人的あり方で陳情にあけくれるとしたらこれはわれわれの自尊心が許さない。みずから困難に立ち向かい、未来に挑戦してこそ、バイタリティーは永続的なものとなって県民の福祉に役立つであろう。」と、「そしてそこに、より広い視野に立ったビジョンがあれば、沖縄経済の開発も.多くの可能
性をもつだろう。知力と実行力こそ沖縄経済を救い、沖縄の未来に光明を投げかけるものである。」と、これも1969年5月の社説に載っております。
このように復帰を3年後に控えて本土資本の攻勢、その他の経済的影響を恐れて経済的には悲観的な見方が強く、援助や保護措置をあてにした論議が多く、つまり政治的には日本人を主張し、経済的には沖縄人に萎縮してしまう傾向があると、この社説は鋭く指摘をしております。
今、全県フリーゾーンについて県民は全く同様の傾向を示しているのではないだろうか。1972年5月15日、ついに沖縄は本土に復帰いたしました。以来25年、沖縄の本土との一体化はいや応なしに進められ、経済の融合一体化も進みました。沖縄の中小企業や農水産業は壊滅しただろうか。人口も80万人以下に減少し過疎化するだろうと学者の指摘もありましたが、2日前の新聞で県の人口は129万8000、ほぼ130万人に達しようとしております。
もっと極端な話は、復帰をすれば戦前のような貧しい生活に戻るだろうという考えすらありました。もちろん本土企業との系列化に入ったり、消滅した企業もあります。しかし自由競争のもとでは他府県でも日常的に起こっていることであり、沖縄だけが特別というものではありません。
いずれにしろいつまでも基地経済に頼るわけにはいきません。タイミングすなわち時というものをしっかり見きわめる必要があります。拙速過ぎるという指摘もありますが、逆にタイミングを失ってだめになるという場合もまたあります。
沖縄がよい方向に、そして経済が自立できるのであれば一国二制度があってもよいと政府は柔軟な姿勢を示しております。この時を逃さず激変緩和策も十分に策定をし、全県フリーゾーンを制度化することは沖縄の将来にとって極めて重要かと思います。
この点について知事の御所見を賜りたいと思います。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 高良政彦議員の御質問にお答えいたします。
経済の競争の原理からすれば本土の企業製品、農作物こそ我が県にとって最も強く影響を受ける競争相手ではないのか、しかも本土復帰25年間、本土企業と製品、さらに農作物が無関税、無制限に輸入していることと同じである、このことを不問にしてなぜ全県フリー・トレード・ゾーンにしたら県内企業や農業が壊滅してしまうのか理解に苦しむと、この点について県はどう認識しているかという質問でございます。
本土復帰時点でも本土の製品や農産物との競合等厳しい状況にありました。これについては、激変緩和のための特別措置や産業振興策によって対処してきた経緯があります。
全県自由貿易地域制度が導入された場合、関税の免除等による安い輸入産品が県内市場へ供給されることによって農業あるいは類似品を生産する企業に少なからぬ影響を及ぼすことが予想されます。
こうした事例も考慮しつつ、適切な対応策を講じることによって全県自由貿易地域の展開を着実に推進することが必要であると考えております。
次に、全県フリーゾーンと振興開発計画、復帰特別措置、開発金融公庫等との整合性、あるいは役割はどうなるかという趣旨の御質問でございます。
県においては、今後本県の振興に関する諸施策を推進するためには、第3次沖縄振興開発計画の終了後においても新たな沖縄振興計画の策定及び同計画を支える高率補助制度等の特別措置を含む新たな法令の整備が必要であると考えています。
この計画及び法令は、本県の振興に関する諸施策を網羅する総合的な性格を持つものであります。
一方、全県フリーゾーン構想は産業政策の一つであり、新たな振興計画及び法令の中に位置づけられることになると考えています。
また、沖縄振興開発金融公庫については、総合的な政策金融機関として引き続き産業振興など県の政策に対する支援が拡充強化されることを期待しています。
次に、全県フリーゾーンとの関連で、工連、経済団体、農業団体からの反対の理由について県はどのような対応を考えているのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
全県自曲貿易地域制度の導入については、規制緩和等検討委員会から報告を受けた後、県では県議会各派、工業連合会、農業団体等に説明してきました。
さらに、県素案をまとめるに当たっても県議会、経済団体等との意見交換を行ってまいりました。
また、全県自由貿易地域制度を導入するに当たり、既存の産業及び企業に影響を与えないような関税免除対象外品目の選定及び必要な支援策を講じていく考えであります。
このようなことを踏まえ、現在経済団体会議におきましても積極的に検討を行っているところであります。
今後は県案の策定に当たって県議会の議論や経済団体会議の検討結果も考慮しながら総合的に判断してまいりたいと考えています。
次に、普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沖への移設問題は全県的問題であり、県もはっきりとした態度を示すべきではないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
米軍基地の県内移設については、県としては基本的に反対であります。この問題については、まず米軍施設の提供責任者である国が関係市町村と話し合うべきことと考えています。
今後、県としましては名護市の判断も勘案しながら、必要な段階では県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 全県フリーゾーン関連の御質問でございます。
本土復帰後本土からどのぐらいの業種が来たのかと、それから県内の経済にどのような影響があったと思われるのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
御質問にありましたように復帰後本県には本土から多くの企業が進出をしております。その業種は製造業から大規模小売店、リゾートホテル等と多くの業種にわたっております。
零細規模の多い本県の業者にとりまして本土の企業との競争は厳しいものがありますが、復帰以降のこの競争の中で規模の拡大等を図るなど県内業者の経営改善も進んでおります。
これら本土系企業の県内定着は新たな雇用も生み、県内就職志向の高い本県の雇用の改善に貢献をし県民所得の向上に寄与するとともに、県内経済の活性化に一定の役割を果たしていると考えています。
なお、本土系企業のみの平均賃金に関する調査はされておらず、県内企業との平均賃金比較はできませんので御理解いただきたいと思います。
次に、本土と沖縄間の移出移入の実態はどうなっているかとの御質問でございます。
平成2年沖縄県産業連関表によりますと本県の移出額は6160億円、移入額は1兆3351億円で、差し引き7191億円の入超となっており、移入額に対する移出の割合は46.1%となっております。
移出額の内訳を産業別に見ますと、商業・運輸・サービス業などの第3次産業関連が4156億円で全体の67.5%を占めており、工業製品などの第2次産業関連は1533億円で24.9%、農産物などの第1次産業関連は471億円で7.6%となっております。
一方、移入額の産業別の内訳は、第2次産業関連が8855億円で66.3%を占め、第3次産業関連は3901億円で29.2%、第1次産業関連は595億円で4.5%となっております。
移出では第3次産業の商品以外の運輸・宿泊等サービスの提供が中心であり、移入では第2次産業の商品が主体となっており、本県の経済構造において観光の比重が高く、逆に製造業の比重が低いことを反映したものとなっております。
次に、無関税除外適用品目はどうなっているかとの御質問でございます。
全県自由貿易地域制度の導入により大きな影響を受ける品目につきましては、基本的に関税免除等の対象外品目とする予定であります。
品目の選定の基準は、1点目に、輸入品との競合度合いが高く県内産業に重大な影響を与える品目であること、2点目に、地域経済社会に及ぼす影響が大きいこと、3点目に、全国的な制度に基づき需給調整と価格安定制度施策が講じられている品目であることなどを考えています。
このような考え方に基づいて可能な限り関係業界の合意を得る必要があり、今後とも引き続き経済団体等関係団体と十分に調整を図っていくこととしています。
次に、全県フリーゾーンによる雇用効果、経済効果、また消費者物価の積算の根拠を説明せよとの御質問でございます。
県では関税の免除、特恵措置的関税制度の導入等を内容とする全県自由貿易地域制度の導入、そして投資税額控除制度、法人税率の軽減等の税制上の特例措置等の要望項目が実現した場合、本県への企業立地の可能性は高いと考えています。
こうした考えのもとに県内工場適地の分譲残地の面積及び現在整備が進められている中城湾港新港地区や豊見城地先の面積等の立地可能面積を379ヘクタールと想定し、ここに企業が立地した場合の雇用効果及び経済効果を工業統計表をもとに試算いたしました。
また消費者物価につきましては、試算では関税額が53億円で、県内総需要の5兆5000億円に対する比率は0.1%を占めることから、輸入水準が単純に現状のまま推移をすると仮定しますと物価に与える影響は直接的には0.1%というふうになりますが、輸入原材料の価格低下により波及効果が期待されること、本土からの移入品が大幅に輸入品に代替すること、競争的な市場環境の創出が予想されるなどを考慮いたしますとさらなる物価低下が期待できるものと考えています。
次に、全県フリーゾーンによって県の人口はどのぐらい増加すると考えるか、またどのぐらいまでが適正人口と考えるかとの御質問でございます。
全県自由貿易地域制度の導入により雇用の拡大及び物価の低下が期待されます。
これらの効果により就業の場の確保及び生活水準の向上が期待され、県民の本土への流出の減少等による人口の社会増加が見込まれます。
なお、全県自由貿易地域制度の導入により見込まれる人口につきましては、現段階では試算をしておりません。御理解願いたいと思います。
次に、全県フリーゾーンによって地価は上昇すると考えるがどうかとの御質問でございます。
全県自由貿易地域制度の導入に伴う製造業等の企業立地につきましては、工場適地に政策的に誘導していくことを考えていますが、その他の新規企業の立地等で土地需要が増加した場合、一部地価に影響を与えることも想定されます。
現在地価対策としては一定面積以上の土地取引の届け出、四半期ごとの地価動向調査及び土地取引状況調査を実施しております。
なお、地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがある区域においては、土地取引の規制を強化するため監視区域制度を活用し機動的に対処していく考えであります。
以上です。
○議長(友寄信助君) 農林水産部長。
〔農林水産部長 大城喜信君登壇〕
○農林水産部長(大城喜信君) 全県フリーゾーンによって県内農業が壊滅するのであれば、沖縄が本土に復帰したときに本土他府県から無関税でしかも無制限で入ってくる農産物のために沖縄農業は壊滅しているはずである、この点について県の認識はどうかという御質問にお答えします。
本県の農業は、3次にわたる沖縄振興開発計画に基づき各種の施策が実施されたことにより、農業粗生産額は昭和48年の451億円から平成7年には1022億円に増加しております。
復帰後このように伸びてきたのは、生産基盤整備事業や構造改善事業などが高率補助で実施されてきたこと、2、基幹作物であるサトウキビやパイナップル、マンゴーなどの果樹が他府県にはほとんどない本県特産の作物であること、3、野菜、花卉、果樹の園芸作物が他府県の端境期の供給産地として生産量が飛躍的に伸びてきていること、4、砂糖の価格安定等に関する法律などによりサトウキビ産業が保護されていること、5、肉用牛、肉豚等が価格安定対策事業等により振興されていることなどによるものであります。
本県農業は、国による特別な支援を受けるとともに、温暖な気象条件を生かした生産者の積極的な産地化への取り組み、試験研究機関の技術開発等によって進展してきたものと認識しております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商工労働部長(幸喜良秀君) 全県フリーゾーンによって県内企業が壊滅するのであれば本土復帰により沖縄の企業は壊滅しているはずである、この点について県の認識はどうかとの御質問にお答えします。
本土復帰以来本県経済社会は、沖縄振興開発特別措置法や沖縄復帰特別措置法等に基づき総合的な施策が推進され、着実に発展してきました。
工業統計調査によると、製造業の事業所は昭和47年が2374事業所、平成7年が2829事業所で19%の増、出荷額は昭和47年が約1322億円、平成7年が約5359億円で305%の増となっております。
業種にばらつきはあるものの全体としては着実な伸びを示し、とりわけ出版・印刷業、窯業・土石製品、金属製品、食料品、飲料製造業等は4ないし10倍の出荷額となっております。
しかしながら、依然として物的生産部門が弱くここ数年は製造業の出荷額が低下傾向にあり、商工労働部としましては産業創造アクションプログラムをベースに全県自由貿易地域制度を初めとする総合的経済振興策を図っていく必要があると考えております。
次に、どのような産業・業種を主導産業として導入しようとしているのか、また全県フリーゾーンは県内企業にも大きな影響を与えると思うが新しい企業も生まれると思う、どのような新企業が期待できるのか、一括して答弁いたします。
県は、全県自由貿易地域制度や税制及び金融上の特例措置、関連インフラの整備、人材の育成等の新たな施策の導入によって国際競争力のある産業の創出を図っていくため3つの戦略分野として自由貿易制度を活用した製造業や物流業などの交易型産業の振興、情報・通信関連産業の集積促進、国際観光・保養基地の形成を図ることとしております。
業種につきましては、国際都市形成基本計画の基本方針に沿った業種、自由貿易地域制度のメリットを活用し成長が見込まれる業種、沖縄県企業誘致基本方針、沖縄県産業創造アクションプログラムにおいて重点的に振興すべき業種の中から検討していく考えであります。
期待される新しい企業としては、県素案が実現されれば輸入原材料を加工・製造して本土市場に移出する食品関連の企業、沖縄の地域資源を活用した健康食品や医療関連の企業、国内または外国から部品等の半製品を移入、輸入して沖縄で加工組み立てし、国内外に移出、輸出する加工組み立て型企業、諸外国との取引の増大による国際宅配業などの物流関連の企業、地理情報システムや映像ソフト、情報コンテンツなどの情報通信関連企業、観光客の増大によるホテル業やアメニテイー関連企業など新たな企業の立地が進むものと期待しております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 喜納昌春君。
〔喜納昌春君登壇〕
○喜納昌春君 こんにちは。
自由貿易地域問題について私見、所見を交えながら一般質問をいたします。
なお、当初の通告してあります5番と6番の質問については特別委員会での議論に回しますので御了解ください。その関係で番号が変わっていきますので御了解お願いします。
これまでの代表、一般質問を通しての自由貿易地域問題での県の答弁を聞いていますと、7月24日の産業・経済の振興と規制緩和等検討委員会の報告を受けて、APECの2010年からの先進工業国メンバーは貿易・投資の自由化を目指す共同行動計画が決定され、どうせ日本全体がそうなるから沖縄が先行し2001年から全県自由貿易地域を県素案として決定したという主張と、全県自由貿易地域については地域限定では抜本的な産業振興にはつながらないからと9人全委員が一致して決定したからと強調し、一方では6月12日の検討委員会に県が提案した200ヘクタールの素案についてはほとんどが触れたがらない印象の答弁に終始しており、私は正直大きな疑問と不満を禁じ得ません。
私は、自由貿易地域の問題を考えるとき、APECの合意で2010年から貿易等の自由化がなされるからとか、香港がイギリスから中国に返還された今日、日ごとに中国化され本来の香港の機能が失われていくことを想定し、沖縄にその代替機能を期待する台湾などの声をむしろ無視して、これまでの沖縄の産業振興の点検と反省から21世紀につながる産業振興のあり方を具体的に検討すべきだと考えます。
なぜならば、APECの合意が必ず守られる保証は全くありません。先進国と発展途上国の利害は必ずしも一致しません。軍事面では強国であっても大国とは言えない中国を含めて、発展途上国は先進国の工業製品を中心とする経済進出のターゲットであり続けるし、その見返りとして途上国が安い労働力と広大な土地を利用しての農産物などの十分競争に耐え得る産業の自由化を求めてくるのは当然と言えましょう。
しかし、エゴと言われようが何と言われようが自国民や県民の生命を守る食糧などの農産物や海産物の産業あるいは日本の戦後経済の発展を支えてきた経済の二重構造の一方の歯車の中小企業等の行く末を荒廃の憂き目にさらす自由化の波がAPECの合意があるからと日本政府が受け入れる必然性は全くありません。
自国の現在の産業を崩壊させるような自由化が国民の支持と合意が得られるはずはないし、国民の総意に反した政党政治は成り立たないからであります。だから、この際私は全県自由貿易地域の大きな理由にしているこの国際的な背景については、決して過大に重視すべきではないと考えます。
また知事はこの間の答弁で、全県自由貿易地域の県素案にした背景に9人全委員が一致してその方向を決定したからと強調されています。しかしこの論理はおかしいと考えます。諮問機関という位置づけでない以上、この検討委員会に絶対の権限と重さがあるとは言えず、あくまで参考の考え方にすべきだと考えます。
しかも、この検討委員会の報告書は巧妙な言い回しで沖振法に基づく沖縄の振興についてナショナルミニマムが達成しつつあることから、後期プログラムの終幕を迎えたとの見方もできようと言い、後に県民みずからが復帰プログラムの幕を引き、自己決定・自己責任の原則に基づき新しい沖縄の創造に取り組むことが前提となろうの主張と矛盾した内容に象徴されるように報告書の内容には認識と主張に県民の立場から検討しなければならない問題が散見されているからであります。
私は、県が6月12日の第2回検討委員会に自由貿易地域の課題で200ヘクタール拡大案を検討し、提案してきたことを評価するものであります。
この案については、検討委員会での主な発言として自由貿易地域は特定地域だけでは小さ過ぎる、全県指定にする意味を次回までに詰めたい──田中直毅委員長、県の提案には全部賛成──稲盛和夫委員、県の原案は立派にできている、ほとんど網羅されている──黄茂雄委員、県の青写真はよくまとめてある──徐明珠委員等多くの各委員から評価されたことが報道されています。
また、目指せ第2の香港の発言も主な発言として何名もの委員から出されたことも報じられています。
ところが、第3回目の検討委員会では200ヘクタール地域限定の県案に対し、自由貿易地域は特定地域だけでは小さ過ぎるとして全県自由貿易地域を委員9人の全員一致の答申としてきました。全会一致ということに私は奇異を感じています。
このことに関し県は、本県の産業の振興に寄与できる信念と哲学を持ってみずからが苦労してまとめ上げたはずの県素案が変えられたことに何ら反論することなく、吉元副知事の談話としてびっくりする方向に行きつつあると言い、十分検討に値するのコメントには私を含め多くの県民、関係者が圧倒的な反発と戸惑いの中にたたき込まれたのとは対照的であり、今日論議しないうちに県が全県自由貿易地域ありきの立場にあるのではという根強い不信感と誤解をまき散らす原因となったことを厳しく指摘しながら、以下の質問をいたします。
第1点目に、産業・経済の振興と規制緩和等検討委員会の6月12日第2回会議で、県は自由貿易地域の拡大に関して200ヘクタールの案を提案してきましたが、その日の委員会では県素案とは逆に全県自由貿易地域でいくことを決定したと言われますが、事実かどうか。またどうしてその重大な変更を伴う審議の状況とか県素案を県議会や各政党・団体など県民に知らせ論議をさせなかったのか、知事の見解を求めます。
第2点目に、昨年8月に県が国に出した規制緩和等産業振興特別措置に関する要望書が大きな契機となって沖縄政策協議会が9月に設置され、またことし3月に知事のもとに検討委員会が設置され、さきに出された要望書の具体的な検討を行ってきました。
こうした背景の中で、県案のまとめが当初7月をめどとされ、7月24日の検討委員会の報告が出された後はその内容が大幅に変更されたこともあって知事は8月をめどにするといい、それが9月1日の全県自由貿易地域の県素案の発表の段階では11月とさらにずれ込んでいった原因と背景は何ですか。またこうした重大な課題に対し主権者たる県民が情報のらち外に置かれ、執行部と両輪のはずの県議会にも常に後手後手の切迫した論議を強いる結果となっていることに対し、知事はどう考え、どう責任をとるお考えですか。
第3点目に、7月29日の第6回沖縄政策協議会に県が提出した検討委員会の報告書の位置づけはどうなっておりますか。また9月1日に県素案としてまとめた「全県自由貿易地域の展開に向けて(素案)」の内容では、検討委員会の報告書にはあるが県素案の中には何ら触れられてない課題、例えば問題含みで社大党としては反対の沖縄─本土間航路の外航扱いとかについては、きちっと県としての意見を表明しておかないと政府の政策協議会の論議の中では報告書の中身が重さを持ってひとり歩きしかねないと考えますが、今後県案をまとめる場合は少なくとも報告書とかみ合う形で自由貿易地域の課題以外のものも論議し、関係機関・団体等の意見を反映させ明記すべきと考えますが、知事の御所見を賜ります。
第4点目に、私個人としてはいかなる経済効果があれ第2の香港を目指しての全県自由貿易地域には反対であり、沖縄の経済の振興を考えるのであれば200ヘクタール地域限定案でも大変な努力が要り、その成功によっても十分な経済、雇用効果が期待できると考えます。県は本当に抜本的な産業振興につながるからと今後20年、50年と長い将来にわたって沖縄県民の歴史や文化、あらゆる生活、県民のアイデンティティーにさえ多大な変化を与える全県自由貿易地域を県案としてまとめることを強行するつもりなのかどうか。
また、そのときには本当に県民にかわって知事や執行部が将来にわたって責任がとれると考えておられるのかどうか。
あわせて私としては、地元新聞社の世論調査などから見ても県民にとっては来年11月の知事選挙の際の大きな争点になり得る歴史的な意味、重さがあると考えます。知事はそうした思いの中で、じっくり県民論議を保証する立場から拙速を避ける義務と合意形成を図っていく責任があり、一層配慮と慎重さが求められていると考えますが、知事の御所見を賜りたい。
ところで、ことし3月に知事のもとに設置された検討委員会の9人の委員の中に2人の県出身者が加わっており、その中のお一人が県物産公社の代表取締役専務の宮城弘岩氏であります。氏は、地元新聞の琉球新報社に「ここが知りたい全県フリーゾーン」と題する長文のレポートを9月25日から連載し今日まで12回を数えています。
私は、4月24日の検討委員会の報告書以来、県内では多くの学者や企業関係者がそれぞれの専門の立場からたくさんの自由貿易地域問題に関しての賛否の立場から、意見や提言がなされてきて日々県素案の全県自由貿易地域の問題点が浮き彫りにされて県民論議に寄与してきていると評価をしております。
しかし、検討委員会の委員のお一人である宮城弘岩氏の識見と力量は私の評価を超えたところにあると思いながらも、その論文を日々熟読し何度も読み返してみてこの全県自由貿易地域問題は1年やそこらで合意できる代物ではない、とてつもないものとしての実感を強めています。
氏の論調は、氏の自由貿易地域に対する自信の強さと比例して過激をきわめたものとなっております。氏の言うことが正しいというのであれば、私たちを含めていや知事や県の執行部を含めて規制の緩和とは何ぞやから勉強し直すべきことになるのではと私は考えるからであります。
宮城氏は、「全県自由貿易地域の発表以来、さまざまな人々によるマスコミを通じた全県FTZ論が展開されてきた。」が、「「わからない人が質問し、わからない人々が答える」という形になってしまっていて、出てきた答えもほとんど「わからないものになっている」か、当てはずれの内容を発表している感じだ。」と言い、さらに先行しているのは企業エゴ、産業エゴ。」と断定し、「沖縄の産業の本質を知り尽くした全県FTZ論は一つもない。特に9月1日の県素案が出るまでのアンケート結果はほとんど信ぴょう性がない。」と主張するに至っては、宮城氏のレベルの人は県民には皆無にひとしい観を否めず、県執行部か幾ら11月いっぱいにと笛と太鼓をたたいても県民合意など到底不可能と思うのは私だけの思い違いでしょうか。氏は、全県FTZに反対という人々の中には県案も出ていない状態に反対というおかしな話もあると言われますが、県素案を策定し提示し、賛否を問い県案を作成し、作成後は県民の意思は通らない、通りがたいという論議の手順を知ってのことだろうかと私は素朴な疑問を感じています。
しかし、宮城氏の主張する規制緩和の誤解は注目すべき論文で、それが本当に事実ならこの誤解は第一に県執行部にあったと私は考えます。そして「県素案の背景」では、「地域限定の失敗は今の那覇空港の未完のFTZで十分だ。」と言い、「なぜ失敗したかを研究すれば、ほとんどが法体系の欠落に原因があることを痛感させられる。」と氏はさきに指摘しながら、県の200ヘクタール地域限定案は自殺行為と断定しているのであります。その自殺行為の限定案を県はせっせとまとめ上げ、6月12日の第2回検討委員会に提案したわけであります。
しかし、私は地域限定案は宮城氏も言うように、「加工・製造、中継・組立が産業振興の中心だというなら地域限定のFTZが好都合である。」との論が成り立つことから、沖縄の現行のFTZの失敗の反省から法的制度の抜本的な要求を国に求め、国が認めていくことで十分な成果が得られると考えるものであります。
宮城氏はさらに県民投票について次のように批判をします。
「今、まさに明日、あさっての天気予報を投票するかのように、来月台風が来るのか、来ないのかを県民投票で決めようとしているところまできてしまった。」と。
私は氏は正直だと考えます。まさに自由貿易地域問題はあすあさっての天気、来月台風が来るかどうかのようなものだと言っているのであります。
今までの県執行部の説明からしても、全県自由貿易地域も200ヘクタール地域限定自由貿易地域も実際やってみなければわからないとの証明であるし、だれも責任をとれないということを物語っていることにほかなりませんだれも責任をとろうにもとれずやってみなければわからないこと、しかもどれも振興策として現在よりもよくなるという可能性がある自由貿易地域の問題では、だからこそ拙速を避けて慎重な論議を県民に保証していき、最大公約数をまとめていく努力が最も肝要であるとの立場から、第5点目の質問をいたします。
県は、あくまで自由貿易地域の拡充強化を要望してきたのであり、当初から全県自由貿易地域ありきではなかったと考えます。自由貿易地域の規模は決して全島か地域限定かの二者択一ではなく、全県民が合意できる最大公約数でまとめるべきであると私は考えます。
その際、政府政権与党の合意で11月いっぱいにとか、予算編成などで政府とのタイムスケジュールの中切迫した時間の制約の中で、将来の沖縄県民の生活や産業、就業構造にプラス、マイナス両面に多大な変化をもたらす課題に県民の合意が得られない状態で県素案の全県自由貿易地域を県案として強行に決定すべきではなく、むしろ現時点では最大公約数としてまとまる可能性の大きい地域限定案を真剣に検討し実施する中から、全県自由貿易地域への道を将来的に模索していく段階的な論議が重要だと考えますが、知事の見解を求めます。
第6点目に、県民の意見が全県か地域限定かにまとまらない段階でそれでも県が県案を決定していきたいというのであれば、200ヘクタールの地域限定案もかつて県素案であったわけでありますし、今日の素案の全県案とともに、両方の案を県民に提示し県民投票に付すべきと考えますが、知事の御見解を賜ります。
答弁をよろしくお願いします。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 喜納昌春議員の御質問にお答えいたします。
規制緩和等検討委員会の第2回会議で、200ヘクタール案から全県案に変わったと言われているが事実かと、またどうしてそのような重要な審議の状況や県素案の策定を県議会や各政党、団体など県民へ知らせ論議させなかったのかという趣旨の御質問でございます。
第2回規制緩和等検討委員会において200ヘクタールの地域限定案に対し、効果の面から自由貿易地域を全県域に拡大して検討したい旨の提案がありました。現在の自由貿易地域の拡充強化による産業振興策を抜本的に見直し、新たな産業振興策として全県に広げる必要性を委員全員の了解のもとに去る7月の報告に盛り込まれたものであります。
県では、この報告を受け平成9年8月に県議会各派、商工関係団体、農林関係団体、水産関係団体、婦人団体等関係団体、市町村関係者と約30回もの説明会を行い、県素案をまとめるに当たってもそれぞれの団体と意見交換を行ってまいりました。
県素案策定後もその内容を平成9年9月に県議会各派の代表や経済団体等関係団体、市町村長に説明しております。現在、この県素案をもとに各団体に議論をお願いしているところであります。
次に、県素案のまとめが当初は7月を目途とされ検討委員会の報告書が出た後は、その内容が大幅に変更されたこともあって知事は8月を目途とすると言い、それが県素案の発表段階では11月とさらにずれ込んでいっ牟原因と背景は何かと、またこうした重大な課題に対し県民が情報の外に置かれ、県議会にも常に後手後手の切迫した議論を強いている結果になっていることに対し、どう考えるかという趣旨の御質問でございます。
全県自由貿易地域の展開については、規制緩和等検討委員会の報告を受け、県ではその内容を県議会各派、経済団体等関係団体に説明してまいりました。また県庁内に規制緩和等検討プロジェクトチームを設置し、産業界に及ぼす影響等を可能な限り調査し、抜本的な産業振興策につながるとの判断から全県自由貿易地域の展開を目指した県の素案を策定した次第でございます。
県素案策定後もその内容を平成9年9月に県議会各派の代表や経済団体等関係団体、市町村長に説明するとともに、全員協議会の場で議論をお願いしたところであります。
また、同報告書、県素案の発表の際にはマスコミ各社にその説明を行い、今回の振興策に関する県民の理解を図ってまいりました。
県案策定に当たっては、今後とも全県的な議論が必要であると考えており、県議会での議論や経済団体等関係団体の意見も考慮し総合的に判断してまいりたいと考えています。
次に、反対の多い全県自由貿易地域を強行に決定するのではなく、賛意の得られやすい地域限定型を検討し実施してから段階的に全県自由貿易地域制度への道を模索するべきではないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
自由貿易地域の展開については、規制緩和等検討委員会の報告では、県が提示した地域限定型の自由貿易地域の拡充強化を見直し、新たな産業振興策として全県に広げる必要があるとしています。
県は、検討委員会の報告を受けて同報告書の趣旨を関係団体等に説明するとともに、産業界に及ぼす影響等を可能な限り調査し、抜本的な産業振興策につながるとの判断から全県自由貿易地域の展開を目指した県素案を策定しました。
県の素案では、全県自由貿易地域の展開に当たっては2001年に先行して現行那覇地区の拡大、中城湾港新港地区への展開、既存企業のサブゾーン指定等地域の拡大整備を図る考えであります。
県案策定に当たっては、県議会での議論、経済界の意見等も考慮しながら総合的に判断していく考えであります。
それから、将来にわたって県民生活文化等にも多大な変化を与える全県自由貿易地域制度を強行するつもりかと、またそれに対し知事や執行部は将来にわたって責任がとれると考えているのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
全県自由貿易地域制度の導入につきましては全県的な議論が必要であると考えており、県議会での議論や関係団体の意見等も考慮し総合的に判断したいと考えています。
なお、全県自由貿易地域制度の導入はあくまでも産業振興策の一手段であり、沖縄の文化と全く無関係ではありませんが、別次元の問題だと考えております。
御承知のように、沖縄の文化というのは沖縄が琉球王国時代に交易を通して近隣諸国と友好関係を結ぶことによって繁栄した時期に現在の沖縄の文化の基本ができ上がったということは、学会の共通した認識でございます。
それから、喜納議員の強い御批判に対しては謙虚に受けとめますが、先ほど高良議員が指摘された復帰前後のいろいろな議論というものもぜひもう一度思い起こしていただく必要があるのではないかと考えております。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 検討委員会の報告書の位置づけはどのようなものか、また報告書の内容で県素案から抜け落ちているものがあるが、これに関しても議論をし意見を反映させた形で県案を作成すべきと考えるがどうかとの御質問でございます。
県におきましては、昨年8月に国へ提出しました規制経和等産業揖興特別措置に関する要望書と国際都市形成構想に基づき、これからの産業振興のあり方と展開方策について検討していただくために規制緩和等検討委員会を設置し自由な御議論をお願いをいたしました。
その結果を取りまとめた報告書では、本県の産業振興策として全県自由貿易地域の展開、情報関連産業の集積、観光関連産業の振興を中心に推進することとしております。
全県自由貿易地域の展開につきましては、既存の産業・企業や県民生活に与える影響が大きいこと等の理由により全県的な議論が必要であることから、県の素案は全県自由貿易地域制度を中心に取りまとめをいたしたところでございます。
また、御指摘の沖縄─本土間航路の外航扱いにつきましては、外国船社の参入により県内船社等が経営上極めて厳しい状況に陥ることが考えられ、外航扱いについては慎重に検討することが必要との判断から県素案からは外したものであります。
今後、県案の取りまとめに当たりましては、情報通信関連産業や観光関連産業の振興のための諸施策についても盛り込むことといたしております。
次に、自由貿易地域の規模は全県ありきではなく、大多数の県民の合意力鴻られる部分でまとめるべきと考えるがどうか、地域限定型と全県型の両案を県民に提示し県民投票に付すべきであると考えるがどうかとの御質問でございます。
全県自由貿易地域の展開につきましては、事柄の性質上非常に難しい点がありますので、各界各層との広範な議論を重ね合意形成を図ることが重要であると考えており、県民投票にはなじみにくいのではないかと考えております。
県案策定に当たりましては、引き続き県議会の議論や経済界の検討結果等を考慮しながら総合的に判断してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 玉城義和君。
〔玉城義和君登壇〕
○玉城義和君 御苦労さまです。
まず、海上ヘリポート建設問題であります。
質問に入ります前に、名護市の市民投票条例について一言申し上げたいと思います。
名護市におきましては、7月から8月にかけて500名以上に上る方々が市民投票条例の制定に向けて1軒1軒家庭を訪問し、条例案を示しながら署名を集めました。私自身も時間を見つけて1カ月の間に200軒ぐらい回りました。1軒1軒を条例案の説明をしながら署名をしていただき、そして捺印までしていただくのは容易なことではあり
ません。そういうことで私どもにとりましてはこの夏は極めて暑い夏でありました。
そしてその結果は、1万9000名以上の署名が集まり、選管の1年近く前の選挙人名簿と照合しても1万7500名を超える条例制定請求人名簿が確定されたわけであります。しかるに制定された市民投票条例は、請求者の請求趣旨とは似ても似つかぬ別のものになっております。
まず第1に、請求者が求めたものは建設に賛成か反対かという是非を問おうという明確なものでありました。是とする人の中には国の政策だからしようがないと思う人もおりましょうし、また基地ができれば自分のところにも少しは仕事が回ってくるのではないかなどとして考えて投票するであろうということです。
別の人は、沖縄の基地のあり方やまた環境問題、基地から派生する事件や事故等々を考えて否とするわけであります。
しかし、制定された条例はこれら多くの賛否の理由から経済振興策だけを抜き出して項目にしております。これは基地建設には反対という世論には抗しがたいものがある、よって経済振興策が期待できるから賛成という条件つきで何とか逃げ場をつくって、条例で言えば第2項目目に誘導しようという政治的な意図が明白になっております。是非を問う条例そのものが最初から一定の方向を目指して制定されるという自己矛盾に逢着をしているわけであります。
またもう一つの側面は、基地建設問題は本来、我が国の国防のあり方をめぐる論争、争点で高度な政治問題であるはずであります。それを経済振興が期待できるから賛成、あるいは期待できないから反対などといういわば銭金のレベルに落としたということであります。
そういう意味においては国のあり方とか国防のあり方を率先して論じてきた保守政界、保守政治家の方々にとっても現下のこの風潮はまさにまことにもってゆゆしき事態というべきではないかと思います。
具体的に質問してまいります。
第1点目でありますが、これら事態の新しい展開を踏まえて名護市議会の決議もなされたようでありますし、知事は原則反対から明確にヘリ基地反対との表明をするべきであると考えますが、いかがですか。
第2点目は、わずか1カ月の間に1万7500名以上の署名が集まり、そして安保条約に関する基地問題では全国で初めてというこの市民投票条例制定請求運動の評価について伺います。
第3点目は、今回の条例は請求者の方々にとっては大いに不満の残るものではありますが、基地建設反対の立場で全力で取り組みが行われると思います。そしてその結果は来年の1月には出てまいります。その結果は知事の判断にどのように取り入れていかれるか、知事の所見を求めます。
第4点目ですが、11月21日、橋本総理も出席して復帰記念式典が挙行されるということでありますが、巷間言われておりますことは政府はそれまでに普天間移設問題で何らかの決着を見たい意向ということであります。そしてそれを裏づけるかのように久間防衛庁長官は、名護市への移設について知事の政治責任と絡めて発言したと新聞は報じております。
お伺いをいたしますが、政府は11月21日の記念式典までに何らかの政治決定を促すようなそういうことを沖縄県に対して言ってきているかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
また5月15日も過ぎて11月21日の記念式典というものは、県民的にはどうもぴんとこないわけでありますが、この式典は沖縄県が音頭をとったのか、それとも政府であるのか、またその意義はどこにあるか、御答弁ください。
次に、基地問題と振興策について改めて確認しておきたいと存じます。
すなわち基地問題は基地問題として解決をしていくべきであって、振興策とリンクさせるべきものではないと考えます。仮にリンクさせることになると、論理的には基地をつくらない限り振興策もなしということになり、それこそ地域に対する差別であります。何らかの事情で、例えば国家予算の事情とかで基地ができない場合には、北部に対する振興策もないと、こういうことになってしまいまして非常に理屈としても現実としてもおかしな格好になるわけであります。
知事の基本的姿勢をお聞かせください。
次に、日米防衛協力のための新指針についてであります。
新指針は、Ⅱの「基本的な前提および考え方」の中で、「日本のすべての行為は、日本の憲法上の制約の範囲内において上行われるとわざわざ明記しています。言わずもがなのことを言わざるを得ないほど多くの憲法に抵触する問題を含んでいるわけであります。
既に多くの指摘があるとおり、個別的には周辺事態の範囲や定義、米軍の活動に対する日本の支援で民間空港や港湾の使用を確保すること、あるいは非戦闘員の退避、米軍の後方支援活動で戦闘行動が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の公海及びその上空などで行う行動、具体的には機雷の除去作業等々ですが、多くの憲法との関連で大問題になるようなことがあります。
政治的にも米国側のアジア戦略に日本が完全に巻き込まれることによって、自主外交がますますなくなってしまうという側面もあります。知事はこのようなガイドラインが20年ぶりに改定される今日の社会状況をどのように御認識されておられるか、またこの新指針によって沖縄の基地返還アクションプログラムはどのように影響を受けるか、御所見をお示しください。
次に、北部振興策について幾つか伺います。
私は、これまでにもたびたび取り上げてまいりましたが、沖縄自動車道の料金問題についてであります。
朝夕の道路交通情報を聞いておりますと、決まってこういうふうに放送しています。沖縄自動車道は全線順調に流れていますというふうに言ってから、その後、一般自動車道はどこからどこまで500メートルあるいは1キロの渋滞と言うのがお決まりの放送であります。
すなわち沖縄自動車道は順調に流れているというのは、利用者がいないということであります。名護市許田から那覇間を往復すると3000円かかるところから、多くの人たちが利用をやめて仕方なく一般道に流れ込んでいくことになります。したがって上はいつもがらがら、下はぎゅうぎゅう詰めということになり、自動車道はその重要な役割の一つである交通渋滞の緩和にほとんど役立ってないのであります。
これをどう改革していくか、料金を思い切って引き下げるしかないのであります。私は、現在の料金を半額ないし3分の1に下げれば利用者が現在の3倍、4倍になり、収益は恐らく2倍近くになるのではないかと考えております。
そこでお伺いしますが、この料金と利用者数、そして収益の関係についてシミュレーショシをしたことがありますか。すなわち料金を下げていけば、あるどこかの時点で利用者がふえていって、その時点で収益が現行の収益トータルよりふえていくという地点があると思います。そのことを申し上げているわけです。
2番目に、自動車道の料金システムが全国プール制になっておりどうしても沖縄だけの値下げが不可能であるとすれば、県が基金をつくり、とりあえず半額の助成を利用者に行い、増益になった公団収入からまた県の基金に還元してもらうようなそういう一時立てかえ払いのような制度はできないか、お伺いをします。
また、沖縄自動車道を一般国道化することについて県の見解を伺います。
関連をいたしまして沖縄縦断鉄軌道の導入についてであります。
私は1978年、今から約20年ぐらい前ですが、7月に総評沖縄対策委員会というところで当時の国鉄のスタッフと共同で沖縄国鉄建設計画概要というものを出したことがあります。副知事の吉元さんもその委員として活躍をされていたわけですが、この概要は名護─糸満間69キロ、那覇環状線70キロ、合計139キロに及ぶ鉄道建設計画で、当
時の知事にも提出したことがあります。
ちなみにその計画は駅の数で22駅、1日の列車本数が沖縄─糸満間で80本、名護─那覇間で40本、那覇環状線で40本、工事の工期が5年間、工事費、当時20年前の算定で2800億円、1キロメートル当たり工事費が約201億円となっており、鉄道建設に伴う雇用効果や経済効果等々かなり細かくはじき出しております。
かつて沖縄には鉄道がありました。1914年(大正3年)営業開始した与那原線9.75キロ、1922年(大正11年)営業開始をした嘉手納線22.45キロ、同年糸満線15キロで、全長48キロに及んでおります。
旅客人員で大正の終わりで90万人、昭和の初期に入って約100万人──年間です──を突破するなど去る大戦で破壊されるまで陸上交通の主要機関でありました。この鉄道が大戦で破壊されたことを考えるならば、これら鉄道導入の問題も一つの戦後処理問題ではないかと考えます。
私は、沖縄県の交通政策として復帰後の第1次振計から鉄軌道に的を絞っていくべきであったと思っております。総合交通体系の柱は鉄軌道交通でなければならないと信じている一人であります。
那覇─名護間は約60キロでありますが、先ほど申し上げましたように高速道路料金、燃費を入れますとマイカーで往復約4500円かかります。東京から60キロの距離は大体神奈川県の横須賀でありますが、この60キロ区間の電車料金は往復で約2000円、通勤定期で買いますと半分の1000円ぐらいであります。所要時間は、各駅停車で1時間。
振計も言っているように、北部振興の基本的考え方は那覇圏と名護圏という二眼レフ的でなければならないと思いますが、そのときに名護─那覇間の鉄道の敷設はその問を通勤可能圏とし、したがってそのことにより那覇市の都市機能の回復と県土の有効利用にはかり知れない効果をもたらし、また建設に伴う経済効果、雇用効果等も期待できるわけであります。
ちなみに登川正太郎氏の「沖縄の鉄道を復活させよう」という本によれば、注目すべきは嘉手納から北へ延長すべきという声が北部から上がり、昭和17年9月以降2カ月間にわたり鉄道省によって調査が行われ、その結果、現在の終点の嘉手納から名護まで伸ばす鉄道敷設計画の成案を得たが、太平洋戦争によってその実現を見ないまま敗戦を迎えたことは極めて残念であると述べておられます。
まことにもって同感であります。大戦によって日の目を見なかったこの大事業を今こそ実現に向けて動き出させるべきであります。
そこで知事にお伺いします。
鉄軌道交通システムについては、総合交通体系基本計画に位置づけられておりますが、それをどう具体化していくか、県の基本的な考えをお示しください。
次に、名護湾における拠点港としての産業港の建設についてであります。
それは、産業振興及び交通運輸サービスの向上、産業立地による雇用創出など地域活性化にはかり知れない効果をもたらすものであります。安和港が最適だと思いますが、県の見解を求めます。
関連いたしまして、1993年に北部拠点都市として名護市など12市町村が指定されました。この間、北部拠点都市としてどのような具体的な成果が上がったか、また県はこれまでどのような指導をされてきたか、伺います。
次に、海洋博記念公園内の沖縄館取り壊しについてであります。
これまでの経過について説明していただきたいと存じます。
また所在地の本部町とはどのような話し合いをしてきていますか。
御承知のように沖縄館は伊江島をバックにしてすばらしいロケーションでありますまさに記念公園の一つの顔になっておりまして、記念撮影の場になっていることを考えますと私は基本的に残してほしいと思っていますが、手を加えても存続させることはできないのかどうか、伺います。
もし仮に存続不可能とした場合に、その跡地の利用権はなお県にあるのか、その跡地の利用をどうするのか、その場合に地元本部町の意向は当然尊重するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に、県立芸大についてであります。
さきに渡久地議員からも同様な質疑がありました。これは同様な危惧があるという証左であります。
一般的に私どもが考えますのに、幾ら絵かきであろうと染織家であろうと、大学を出たら一応は就職をするのが本来だというふうに考えています。世にその名の知れた芸術家だって大体そうであります。特に平成8年度などは108名の卒業生のうちたった11名しか就職していませんこれは私などから考えれば極めて異常に映ります。これは就職しないのですか、それとも就職できないのでありますか。
関連して、この10年間の卒業生の動向についてどうなっていますか、お聞かせいただきたいと思います。
県も毎年12億ぐらいにわたる金を出しておりますし、この10年間で240億も出しているというふうに聞いております。私どもとしては、大学のありようには大いなる関心を抱いているということであります。県の見解をお示しください。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 玉城義和議員の御質問にお答えいたします。
海上ヘリ基地建設について知事の明確な見解を聞きたいという趣旨の御質問でございます。
もう既に玉城議員も御存じだと思いますが、県内の米軍用地については、日米安保条約第6条及び地位協定第2条の規定に基づいて日本国政府から米軍に提供されています。
米軍に土地を提供する場合は、原則として政府──これは防衛施設局ですが──が土地所有者と当該土地の賃貸借契約を締結し、その使用権原を取得し米軍の用に供する方法をとっています。
防衛施設局長と土地所有者との間で賃貸借契約が締結された後に、防衛施設局長は土地所有者から当該土地の受領を受け、これを米軍に手渡すことになります。
漁業権の設定されている海域においては、構築物等を設置する場合は漁業権の得喪または変更が伴うので、漁業権者、漁協の同意が必要とされます。その同意は、水産業協同組合法第50条の規定に基づき議決権者、つまり漁協の正組合員の3分の2以上の賛成を要します。
漁業権は漁業法第23条の規定によって物権とみなされ、漁業権の得喪または変更に伴う補償は、構築物の設置者すなわち国が行うものであります。
現在、名護漁業協同組合、正組合員の数が86名おりますが、その漁業権が設定されております。今後、県としましては名護市の判断も勘案しながら必粟な段階では県の総合的な発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと考えています。
次に、住民投票条例制定請求署名運動の評価について聞きたいという趣旨の御質問でございます。
地方自治法第74条に基づく条例制定請求は、直接民主政治の理念に基づいて地方公共団体の住民に直接に発案を行わしめようとする制度であり、住民投票の実施は地域における重要な問題について、住民の意向を行政に反映させる一つの手法であると理解しています。
次に、住民投票の結果は知事の判断にどのような影響を与えるかという趣旨の御質問でございます。
市民投票条例によりますと、市長はヘリポート基地の建設に関係する事務の執行に当たり、地方自治の本旨に基づき市民投票における有効投票の賛否いずれか過半数の意思を尊重するものとしています。
今後、県としましては名護市の判断を勘案し、必要な段階では県の総合的発展を図る観点から適切に対応してまいりたいと考えています。
次に、政府は11月21日に予定されている復帰記念式典までに普天間飛行場の移設に関して何らかの決定を促すかのようなことを県に対して行ってきているか、この式典の音頭をとったのは県か、政府かという趣旨の御質問に一括してお答えいたします。
普天間飛行場の移設に関して政府から県に何らかの判断を求めているということはありません。
また、沖縄復帰25周年記念式典には沖縄返還の歴史的意義を改めて認識するとともに、21世紀の沖縄の発展を祈って政府主催で開催されることが去る9月30日に閣議決定されています。
次に、基地問題と沖縄振興策は別問題と考えているかと、リンクするということはないかという趣旨の御質問にお答えいたします。
国土面積の0.6%にすぎない狭隘な本県に在日米軍専用施設面積の約75%が集中し、県土面積の約11%、沖縄本島においては約20%を米軍基地が占めています。さらに29カ所の水域や15カ所の空域においても米軍の制限区域が設定されております。
県の基本的な立場は、基地のない平和な沖縄の創造を図ることであり、基地返還アクションプログラム(素案)に基づく基地の整理縮小とあわせて兵力の削減を日米両国政府に強く求めてきたところであります。
21世紀の沖縄のグランドデザインである国際都市形成構想を具体的に展開しその機能を担う拠点を配置するためには、普天間飛行場などの大規模な基地返還跡地が重要であります。
今後、県としましては関係市町村の意向等も踏まえながら、米軍基地問題の解決とあわせて本県の振興策に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えています。
次に、日米安保ガイドラインの見直しが我が県に与える影響はどうか、また知事の見解はどうかという趣旨の御質問でございます。
去る9月24日に発表された日米防衛協力のための新たな指針すなわちガイドラインは政府の発表によりますと、「平素からのおよび緊急事態における日米両国の役割ならびに協力および調整の在り方について、一般的な大枠および方向性を示すことを目的」とするとなっています。
しかしながらこのガイドラインは、「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力」の分野において米軍による民間空港、港湾の一時的使用とともに、中央政府及び地方公共団体並びに民間が有する権限、能力の活用を米軍の活動に対する日本側の協力項目として挙げています。
報道されているように周辺事態の際、県内の空港や港湾が使用されることが事実であるとすれば、本県の米軍基地の過重な負担の状況から、県の経済活動や県民の生命財産への影響が懸念されます。
県の基本的な立場は、基地のない平和な沖縄の創造を図ることであります。したがいましてこれまでも軍事同盟的な安保条約は平和友好的な条約に改めてほしいと強く要請してきたところでございます。
次に、鉄軌道の導入についての御質問にお答えいたします。
本県の長期的な総合交通体系整備の基本指針である沖縄県総合交通体系基本計画においては、国際交流の促進、国際的規模の観光・保養地域の形成と県民生活の質的向上や経済社会の変化に対応するため定時性・定速性のある大量輸送交通機関として本島を南北に縦貫する軌道交通システムの導入を検討するとしています。
軌道交通システムの導入は、現在進められています沖縄都市モノレールの整備状況を初め交通需要の動向、沿線地域の開発計画、返還予定米軍施設用地の跡地利用の将来展望等を踏まえ、今後検討していく重要な課題であると考えています。
なお、国際都市OKINAWAの形成に対応する交通体系の整備を図るため、沖縄特別振興対策調整費によって実施されている総合交通体系調査の成果も参考にしながら、平成10年度から現基本計画の見直し作業を進める考えであります。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 江洲順吉君登壇〕
○土木建築部長(江洲順吉君) 北部振興策関連で、沖縄自動車道の料金を利用者数、そして収益の関係についてシミュレーションをしたことがあるか、それから県が基金をつくり半額の助成を行い、増益になった公団収入からまた県の基金に還元してもらうような一時立てかえ払いのような制度はできないか、それから沖縄自動車道の一般国道化について県の見解を聞きたいとの御質問に対して一括してお答えいたします。
道路公団が建設管理する有料道路料金は、全国的に利用者の負担を平準化する全国プール制がとられておりますが、沖縄自動車道は単独では大幅な赤字でその全国プール制で補てんしている状況であります。
利用者数及び料金のシミュレーションについては、全国プール制であること、また現行の料金が既に採算ベースを割って設定されているものと認識していることから、さらに料金を大幅に値下げすることを想定したシミュレーションをしたことはございません。
また、県が基金造成により助成を行い、それに伴う増収分を公団から県の基金へ還元することについては多額な原資を要するだけでなく、さらに制度的にも全国プール制の中では厳しいと聞いております。
また、高速自動車国道の場合は建設費のほとんどが借入金で調達し全国プール制の中で返済している状況から、全国的にもー般国道化した事例もなく制度的にも困難であると聞いております。
なお、沖縄自動車道に接続する現在事業中の那覇空港自動車道や名護東道路を初めインターチェンジヘアクセスする道路が整備されることにより将来的には沖縄自動車道の利用率が大幅に向上するものと期待されます。
次に、名護湾における拠点産業港として安和港が最適と思うが県の見解を求めるとの御質問にお答えいたします。
名護湾への港湾建設については、背後圏における関連産業の集積度合いや港湾貨物の動向を初め近接する重要港湾の運天港、地方港湾の本部港及び渡久地港との機能分担、整合性など多くの課題があることから総合的な視点から検討する必要があります。
現在、名護市当局と北部産業振興促進協議会がこれら課題等を整理するため、名護湾における北部の拠点港湾整備に関する基本計画検討調査を実施しているところであると聞いております。
県としては、今後この調査結果を十分見きわめた上で安和地先における港湾の可能性を検討していきたいと考えております。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 北部振興策との関連で、拠点都市地域としてどのような成果があったかとの御質問にお答えいたします。
県は、北部地方拠点都市地域の整備を推進するため平成6年2月3日に基本計画の承認を行い、これに基づき事業が進められているところでございます。
平成9年度までに完了した事業あるいは実施中の事業の主なものは名桜大学の整備、名護漁港の整備、名護市立図書館の建設、金武総合運動公園及び喜瀬公園の整備、街路、下水道、河川の整備等でございます。
今後とも同計画に沿い、北部地域振興のための整備を積極的に進めていく考えであります。
以上です。
○議長(友寄信助君) 観光文化局長。
〔観光文化局長 照屋寛孝君登壇〕
○観光文化局長(照屋寛孝君) 海洋博記念公園沖縄館の取り壊しの経過についてお答えいたします。
沖縄館は、昭和50年に開催されました沖縄国際海洋博覧会の沖縄県出展館として建設され、同博覧会終了後は沖縄の歴史及び文化に関する展示業務を行う博物館的施設として供用されてきました。
しかしながら、沖縄館の建設当時は海砂の除塩について十分な注意が払われてなかったため鉄筋の腐食によるコンクリートの剥離や亀裂が起こるなど建物の老朽化が進んでおります。
このような中で、館内の入館者通路上に長さ約20センチメートルのコンクリート片が落下する事態が生じたため、入館者の安全確保を最優先する立場から昨年10月4日以降公報登載の上臨時休館の措置をとってきたところであります。
沖縄館については、基本的に施設の老朽化が進み危険な状態であること、また記念公園の新たな魅力づくりのため沖縄館敷地を含む中央ゲートエリアの再開発計画の議論が国において進められていることなど総合的に検討した結果、閉館撤去し敷地を国に返還することもやむを得ないとの結論に達したものであります。
次に、地元本部町との話し合いの経過あるいは跡地の利用について地元の意向の尊重はどうかという趣旨の御質問にお答えいたします。
本部町には、沖縄館の閉館撤去について県の方針を説明し理解を得たところでありますが、その際、本部町から新たな施設の整備についてぜひ検討してもらいたいとの要望がありました。
現在、国においては沖縄館敷地を含む中央ゲートエリアの再開発計画の検討が進められており、平成10年度(来年度)から整備検討委員会などを設置し、あわせて事業計画の調査を行う予定と聞いております。
この整備検討委員会に県や地元の代表が参加することによって地元の意向が反映されるよう国に要望してまいりたいと考えておりますし、またそのことによって地元の意向は十分反映されることができると考えております。
○議長(友寄信助君) 総務部長。
〔総務部長 赤嶺 勇君登壇〕
○総務部長(赤嶺 勇君) 県立芸術大学の卒業生の就職状況についての質問にお答えいたします。
県立芸術大学の平成8年度の卒業者108人のうち就職を希望していた学生は24人で22.2%、そのうち就職した者は11人で、卒業者に対し10.2%、就職希望者に対しては45.8%の就職率となっております。
一般の総合大学に比べて就職を希望する学生が少なく、就職率が低いというこのような状況は他の芸術系の大学でも見られる傾向のようであります。
県立芸術大学で学ぶ学生の多くは芸術家を目指しており、就職を希望する学生も芸術活動に直結する職場を望んでいます。
しかしながら、そのような職場は限られていることから就職率が低くなっております。芸術家として社会的な地位を確立するためには芸術的な才能はもとよりかなりの年月を必要とします。
就職をせずに芸術家を目指す学生は、卒業後、組踊県内普及公演やかりゆし公演に出演したり、日展や日本伝統工芸展に出展し入選するなど地道な芸術活動を続けています。
今後、卒業生が大学で学んだ幅広い理論や実技を生かし、芸術界において活躍してくれるものと期待いたしております。
なお、大学としましては教員免許や学芸員資格を取得させるための課程を設置しているほか、就職委員会を設置して就職ガイダンスを開催するなど学生の就職活動を支援しています。
今後とも就職の指導及び支援について一層努力していきたいと思っております。
○議長(友寄信助君) 玉城義和君。
〔玉城義和君登壇〕
○玉城義和君 1つは知事に対してでございますが、名護市も名護市議会も含めて条例が通っていったわけですから、今は来年のいつになるかわかりませんが、条例に全部収れんされているわけですね。したがってこの条例の結果、投票の結果がどうなるかということが一番焦点でありまして、私がお聞きをしたのは、その条例の制定の結
果、投票の結果に対して知事の政策にどういうふうに反映されるかということをお聞きをしたわけです。もう一度お願いします。
それから土建部長、全く話が違いますのは、私どもは50年もJRの恩恵を受けてないわけですよね。何も恩恵を受けてない我が方は、本当はストレートに一般国道にせよと言いたいんですが、それも無理であろうということで言っているわけで、シミュレーションもしてない、赤字でそんなこともする気がないということはこれはおかしいと思うんです。だからこの辺をもう一度答弁をしていただきたいと思います。
芸大についてはいろいろありますが、時間がありませんのでまた別のところでやらせていただきます。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 先ほどもお答えしたと思いますが、今後県としましては名護市の判断も踏まえ、必要な段階では県の総合的判断を図る観点から適切に対応してまいりたいと思います。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 江洲順吉君登壇〕
○土木建築部長(江洲順吉君) お答えいたします。
利用者と採算性についてのいわゆるケーススタディとしてのシミュレーションについては事務段階でもやれます。
やれますけれども、全国プール制でいわゆる公団が管理している道路でありますので、高速自動車国道法に基づく全国プール制の枠から外れるという前提があればその実現に向けては話にもなりますけれども、現在、全国的に赤字路線はもうかっている路線から埋めて管理し、なおかつ今後高速自動車道を全国津々浦々に延ばしていくというふうな計画でもあるし、全国プール制という中においてケーススタディーとして利用者がふえればじゃ料金はどうなるのか、料金がちょっと安くなれば利用者はどうなるのか、そのあたりのにケーススタディーはやれると思っております。そのあたりは出してみたいと思います。その実現については大変厳しいものがあると思います。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後3時2分休憩
午後3時25分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
休憩前に引き続き質問及び質疑を行います。
伊波栄徳君。
〔伊波栄徳君登壇〕
○伊波栄徳君 あとしばらくですのでよろしくお願いいたします。
今議会の代表質問や一般質問、そしてマスコミ報道を通して感じますことは、余りにも県政運営が拙速ではないのかということに対しまして、「巧遅は拙速にしかず」と、あるいは「せいては事をし損じる」、「先んずれば人を制する」ということがありますように、大変自問自答するわけでございますけれども、県政運営の難しさといいますか、それを今感じております。
その背景といたしまして、沖縄国際大学の湧上助教授は、沖縄経済の課題と沖縄を取り巻く経済環境の変化を解説しております。
引用いたしますと、
「国の財政の悪化と高齢化によりこれまでの公共投資依存型経済は維持できな い」と指摘。 「全県フリーゾーン構想は各界から賛否両論が巻き起こっている し、県民の間には急激な事態の進展に戸惑いもあるが、現状維持や中途半端な施策 で終わると、自立のきっかけがつかめないままに政府の保護を失う最悪のシナリオ になる場合もある」と警鐘をならした。「フリーゾーン構想や国際都市形成構想な どが成功するには県民合意、利益とコストとリスクの推定、諸構想の整合性などの 条件整備と行政の力量が必要。ウチナーンチュの勇気と知恵が試されている。」
というふうに講演なされているわけでございますけれども、まさに21世紀の歴史の批判に耐え得る県政運営が今迫られているわけでございますけれども、あえて申し上げますならば、自信は成功につながりますけれども、不安の中で施策を展開いたしますといびつな結果になりかねないというふうに思うわけでございます。
そこで質問を申し上げるわけでございますけれども、質問をする前にちょっと唐突になりますけれどもその背景を申し上げますと、実は私たち嘉数昇明団長ほか7名の議員、事務局次長ほか職員、10名で今度カナダ、アメリカ、メキシコの3カ国における本県出身移住者の県人会を訪問し、移住者の実情を掌握し県人としての連帯と親睦を深め激励するとともに、先進国のリゾート地域及び自由貿易地域を直接視察することにより見識を広めようということで18日間参りましたけれども、その間、県人の皆様方は各国におきまして本当に苦労しながら農業を拡大したり、あるいは水産業、あるいは鉄鋼業等々を開きながら大変元気で頑張っておられました。
そして特に喜んでおりましたのは、前の西銘知事が第1回目に行いましたときのウチナーンチュ大会を大きく評価をいたしていた次第でございます。そのことは今各県人会の皆様方も沖縄の国際都市形成構想について大きな関心を持っておりました。
その中におきまして、サンフランシスコでの交流会の中ででしたけれども、これはある御婦人でございましたけれども、国際都市形成構想の中に奄美大島も入れるべきではないのかと。歴史的な立場からいたしまして今奄美の方も琉球諸島として一緒にやっていくべきということで県人会の皆さん方の関係者、いわゆる奄美の県人会の方々からも御意見があるがどうかというふうな質問があったわけでございます。そして私が嘉数団長から指名を受けまして答弁いたしたわけでございます。
私も勉強不足で鹿児島の県域があるからということで、恐らくこれまで文化やあるいはいろいろ苦労を一緒にしてまいりましたけれども、できないでありましょうというふうな答弁をいたしたわけでございます。
そして帰りまして、私はちょっとこれはひとりよがりだったかなというふうに思いまして、いろいろ書店や関係者等々にお聞きしてみますと、こういうのがございました。「沖縄批判序説」、琉球大学の高良倉吉さんの「奄美に思うこと」ということでちょっと引用してみたいと思いますけれども、前段はたくさんありますけれども、
太平洋戦争の後、奄美も沖縄とともに日本の施政権から分離され、アメリカの軍 事支配下におかれた。奄美においても日本復帰運動が推進されており、その結果、 1953年に奄美は一足先に日本社会に復帰した。 奄美が日本に復帰した後、沖縄の 側ではしだいに奄美への意識が薄らいだ。基地オキナワと日本社会に返り咲いた奄 美とのあいだには意識の壁のようなものが出現したからである。そのために、不可 欠なパートナーとして奄美を見ることが、沖縄側において薄弱となりはじめた。
奄美の講演において、21世紀を目ざすために奄美と沖縄は不可分なパートナーと しての関係を再構築しなけばならない、と私は訴えた。そのためには両者の恒常的 な連携を支える組織が必要だとし、その弊害となっている「県境意識」を超えねば ならない、と力説した。 沖縄の奄美離れにはいろいろな理由があるが、最大の原
因は、奄美は鹿児島県の一部であり、沖縄とは異なる、と考える県境意識にある。 つまり、薩摩藩によって分割されて以後400年におよぶ歴史が沖縄本島と与論島のあ いだ、すなわち北緯27度線を固定化し、人々の意識もまたそれによって支配されて いる。 ボーダーレス化を叫びながら、沖縄は自己の立脚点については歴史的所産 に縛られたままである。 沖縄ではこのごろ、県が提唱するアメリカ軍基地の返還 アクションプログラムや「国際都市形成」構想をめぐる話題が地元マスコミを賑わ せている。基地の段階的な返還を達成し、その跡地にアジアをターゲットとする「国際都市」機能を整備しようという将来構想である。
そういうことにおきまして、奄美と一緒にしなければいけないのではなかろうか、いわゆる「奄美・沖縄圏」と言われる設定をすべきだというふうなこともございましたし、あわせましてこれは「自治おきなわ」、沖縄県町村会が発行しているものでございますけれども、その中に吉田慶喜さんですか、これはまだ読んでおりませんけれども、「奄美の振興開発──住民からの検証」ということで、
琉球弧に連なる奄美の島々。現在は鹿児島県となり行政区域を別にしたが、いに しえから共にあゆんだ歴史の道は長い。 気候、風土の自然的地理的条件を同じく し文化的歴史的にも共通性をもつ地域が共に手を結び、学び合い、力を合わせて相 互の発展を願うことこそ合理的であろう。奄美にも、「同じ条件の地域は、共通の 政策で開発整備すべきであって、奄美は行政的に鹿児島県だから九州圏だとすると いうことは不自然、奄美は沖縄と共に南西諸島ブロックとすべき」
というふうにも言われているわけでございます。
このようにいたしまして、遠隔の地で奄美を思い、そして郷土を思っている県人に対して私もうかつだったなと思いまして、この場をかりまして知事に御所見を伺い、後でまたこの御婦人に対して返事をしてまいりたいと。そのことがサンフランシスコで頑張っておられる皆さんに報いる大きな私の返事ではないかと思いまして質問をいたしておりますので、よろしくお願いをいたします。
それから2番目に、規制緩和についてでありますけれども、国際競争力の弱い第1次産業、これは生産者側が言っているわけでございます。先ほどの代表質問、一般質問で行政側いわゆる県側は第1次産業の国際競争力を強めるためだと言っているわけでございますけれども、果たして生産者は弱いと。そして大きな志はいいわけでございますけれども、狭隘な沖縄県におけるところの農業として本当に国際競争力に耐え得るのかと疑問を持つわけでございますけれども、特に沖縄の基幹産業でありますところのサトウキビ、そして畜産についての本当に今生産者が競争力が強くなりますよと言っても、言葉だけで表現しても絶対に納得はしないわけでございます。そのことの言葉遣いもあると思いますけれども、その点について具体的にお示しをお願いいたします。
次に、2番目の海砂利採取についてでございます。
再三論議もありますけれども、特に四面私たちの沖縄県は海に囲まれておりますし、また公共事業との関係もございます。単なる一つの商売という、企業というだけではなくして、社会的な責任もございますので、御答弁をお願い申し上げたいと思います。
本県の海域の砂は無尽蔵にあるものではなく、有限な資源であるとの認識から、海砂利の採取に関しては資源の保全、環境の保全との調和が重要であります。
また一方においては、基盤整備等公共事業を中心とする建設事業を円滑に推進するため重要な基礎資材であることから、本県の場合海砂の採取をもってこれらの需要に対応している実態をかんがみましたときに、海砂の安定的供給は大きな社会的使命を担うことから関係機関との協議、いわゆる協同組合あるいは県と協議をし調整をして積極的に行政が海砂利について計画的な、そして主体的に行うべきであると思料されるものであります。
本県において砂利採取法が施行されたのは昭和47年5月15日の復帰時であり、それまでは野放し状態にあった砂利の採取が法的規制を受けることになった。目的が砂利採取に伴う災害を防止し、あわせて砂利採取業の健全な発展に資することが目的であり、砂利は言うまでもなく骨材の中核として、あるいは道路、建設用資材として使用され、本県の産業経済の基礎的物質であり、安定供給が今大変必要であります。
よって、次の点をお伺いいたします。
本県海域の砂は有限な資源であり、これまでその分布そして賦存状況を実際調査いたしまして将来的に計画をしなければならないと思いますが、その掌握をなされておられるのかどうか。
2つ目に、現在沖縄、宮古、八重山の3つの砂利採取事業協同組合が供給を担っているところであるが、これは過去において盗掘や乱採取、乱売等の無秩序な状態を背景として現在の供給体制が整えられており、したがって再び過去の轍を踏まないためにも現行の砂利採取要領第5条の規定を厳守して運用すべきであると思うが、その点についてお伺いをいたします。
3番目に、業者が乱立すると一つの商売の、あるいは影響の一つとしてもとのもくあみとなりはしないかというふうな懸念をされるわけでございますけれども、今後の県の指導についてお伺いをいたします。
4番目に、平成8年第6回定例議会以来一般質問におきまして砂利問題が取り上げられているが、これは許可の数量と採取量が相違するのではないかという疑いを解明するものであったと思うのでございますが、結果としてどのようなことであったのか、お伺いいたします。
また、有限な資源の管理という見地から採取量の管理は適切に行われるべきであり、早急に検査体制を整えていかなければならないというふうに思いますけれども、その体制の確立はどのようになっているのか、お伺いいたします。
それから5番目に、海砂利は有限な資源であると同時に、知事が管理する国有財産であり、また不可欠の建設基礎資材であるという観点から採取計画は行政側が主導的に取り組まなければならないと思いますけれども、その取り組みについて御答弁を願います。
米軍基地の整理縮小について。
これは楚辺通信所の返還でございますけれども、御承知のように9月12日に部隊が解散式を行っております。そしてことし40名、来年には50名の整理をいたしまして、残るは5名ぐらいで完了したいという情報も入っておりますけれども、撤去とつながっていくのか、そのことについて詳しくもし知っているならば御説明をお願い申し上
げたいと思います。
それから基地被害についてであります。
1982年2月15日、静かな夜を返してくださいということで爆音訴訟が始まっているわけでございますけれども、その中におきまして嘉手納飛行場からの爆音の被害について健康影響調査をしていただきたいということで申し入れをいたしまして、今の参議院議員照屋寛徳議員を中心にいたしまして要求し、そしてそれが実現しているわけでございますけれども、その聴力の損失に関する調査がまとまったようでございますけれども、その概要と結果についてお知らせをしてください。
特に北谷町砂辺で10歳から60歳以上の全員207名に文書を出し、そのうち115名の受診者があり、20名が難聴と見られ再検査の結果8名が嘉手納米空軍基地の戦闘機からの難聴が認められたということを科学的な検査方法が行われたと言われているわけでございます。そのことにつきましても踏まえてその実情を御報告お願い申し上げたいと思います。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 伊波栄徳議員の御質問にお答えいたします。
国際都市形成構想について、奄美は沖縄とともに南西諸島ブロックとすべきという意見があるがどうかという趣旨の御質問でございます。
国際都市形成構想では、交流圏の一つとして沖縄と奄美を含む南西諸島地域から西太平洋上に位置する地域、東アジア、東南アジアに至る地域を亜熱帯環境交流圏として設定し、この圏域に共通するさまざまな課題等について技術協力を中心により多角的、包括的な交流を進めることにしています。
奄美と一体という考え方についてちょっとつけ加えますと、御承知のように米軍は去る沖縄戦で上陸したその最初の日に布告第1号を出しまして、北緯30度以南の南西諸島における日本の司法権、行政権を停止する旨を宣言するわけですね。つまり当初奄美を含めて日本から丸ごと分離したわけです。
どうして鹿児島県の行政下にある奄美を一緒にしたかということで調べたことがありますけれども、アメリカのアチソンという国務長官力が議会で証言をしておりますが、要するに北緯30度の線というのは日本民族とそれから琉球民族の境界線だということをうたっておりまして、それともう一つは、学者たちに聞いてみますと、いわゆる日本方言と琉球方言の境目が北緯30度の線だというわけです。
それから、生物なんかの生態系も北緯30度以北と北緯30度以南は異なっているということを言っているわけですが、もう一つついでにつけ加えますと、去る沖縄戦で日本軍は奄美大島つまり北緯30度から以北を天皇のおわします皇土と書いてそこを本土というふうに位置づけて、そして奄美大島の北緯30度以北の防衛を担当するのを本土防衛軍と名づけて、それの以南のつまり最初に切り離された奄美を含む以南の方は南西諸島防衛軍というふうにはっきりと区分けしているわけですね。それをよく見ていきますと、結局は琉球王国時代の領土を丸ごと別のものとして切り離したという経緯がございますので、そういう経緯も踏まえて今後協力関係を緊密にしていきたいと考えております。
それから規制緩和について、国際競争力の弱い第1次産業、特に基幹作物であるサトウキビ、畜産の現状と今後の振興策について聞きたいという趣旨の御質問にお答えいたします。
サトウキビの現状については、平成7年度で見ますと全耕地面積の約48%を占め、74%の農家が従事し農業粗生産額の21%を占めています。
サトウキビの生産量は、近年農業従事者の高齢化、労働力不足、他作物への転換等により減少しています。
今後の振興策につきましては、生産基盤の整備を初め機械化の推進、農地流動化による経営規模の拡大、農作業受託組織の育成、優良種苗供給体制の強化、土づくり、後継者の育成などの諸施策を総合的に実施し生産振興に取り組んでまいります。
畜産の現状を平成8年度で見ますと、肉用牛が約7万1000頭で復帰時の2.6倍に、生乳生産量は約3万7200トンで7.6倍に、肉豚の生産頭数は約48万5000頭で2.1倍になるなど順調に伸びています。
今後の振興策については、飼料基盤の整備を初め低コスト化の推進、家畜の改良増殖、肉用牛のブランド化の推進、流通の合理化、県産食肉の消費拡大、環境保全対策、価格安定対策等の施策を講じてまいりたいと考えています。
それから基地被害との関連で、嘉手納飛行場からの爆音被害について、県が実施している健康影響調査の聴力損失に関する調査の概要と結果についてという趣旨の御質問にお答えいたします。
県は、航空機騒音が周辺住民に与える精神的・身体的健康影響や生活妨害状況等を総合的に把握するため、平成7年度から航空機騒音健康影響調査を実施しているところであります。
同調査の一環として、平成8年度には航空機騒音暴露の聴力への影響調査を加重等価平均感覚騒音値と、大変難しい言葉ですが、いわゆるうるささ指数90以上の騒音の激しい北谷町砂辺区で実施しています。
1次検診の受診者は115名で、そのうち聴力損失が疑われる21名から病気療養中の1名を除く20名を2次検診の対象として各種の精密検査を実施した結果、航空機騒音に起因すると考えられる感音性難聴者が8名確認されています。
また、平成9年度はうるささ指数90以上の嘉手納町屋良と85以上の北谷町砂辺区の居住者を対象に同様の調査を実施しているところであります。
なお、これらの調査で基地被害の実態が明らかになったものにつきましては基地周辺住民の健康被害防止、生活環境の保全など関係機関へ航空機騒音の低減化を要請してきたところであります。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 江洲順吉君登壇〕
○土木建築部長(江洲順吉君) 海砂利採取について1点目、賦存状況を調査し把握すべきではないか、それから採取計画は行政側が主導的に行うべきではないかとの御質問にお答えいたします。
本県における砂利の供給は、主として海砂利に依存している状況であります。県としては、砂利の安定的確保を図る必要から、本年度県内海域における砂利賦存量調査を実施しているところであります。
今後とも調査を継続し賦存量の把握に努め、採取量や海域管理の適正化を図っていきたいと考えています。
それから、現行の砂利採取要領第5条の規定は厳正に運用すべきではないか、それから業者が乱立すればもとのもくあみとなるおそれがあり、今後の指導について聞きたいとの御質問に一括してお答えいたします。
沖縄県海砂利採取要領は、海砂利等の採取が計画的に行われるとともに、これに伴う海底の掘削等が海岸、漁場、さらに護岸等公共施設の管理に支障を与えないように認可基準を定め、もって海域管理の適正化を図ることを目的に制定されたものであります。
同要領第5条は、国の指導方針を踏まえたものであり、これにより未加入業者の組合加入を促進し、組合を中心とする協同採取から協同販売に至るまでの自主規制が可能となり、骨材の安定供給が図られることを目的としております。したがいまして今後も要領の趣旨に従い適正に運用してまいりたいと思います。
それから、認可の数量と採取量が相違するのではないかとの疑いを解明するものであったと推察するが結果はどうなったか、有限な資源の管理という見地から検査体制を確立すべきではないかとの御質問に一括してお答えいたします。
砂利採取の認可に当たりましては、採取の場所、面積、砂利の種類及び量等の条件を付しております。
採取量については、従来は月報による報告を受けて確認していましたが、現在は荷揚げ地ごとの業務日報等の作成や検収伝票の作成を義務づけ、採取回数を1日1回と限定し改善を図っているところであります。
採取量の検査体制については、より一層の適正化を図るため検収協会の設置も含め検査体制強化に向けて検討していきたいと考えています。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 昨年の12月に発表されましたSACOの最終報告において、楚辺通信所の取り扱いについてはアンテナ施設及び関連支援施設がキャンプ・ハンセンに移設された後に平成12年度末を目途に楚辺通信所を返還するというふうになっております。
現在、施設局と関係市町村との間の協議が継続されていると聞いております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 伊波栄徳君。
〔伊波栄徳君登壇〕
○伊波栄徳君 知事、奄美の件でございますけれども、その御婦人、大変気にかけられておりました。
私もうかつに情報を得てないのかなと思って心の中ではどうしようかと思っておりましたけれども、うかつな答弁をしてしまって残念だと思っておりますけれども、きょうの御答弁を早速手紙で託して、沖縄側もこう思っているんだということを申し上げて、これからもどうか奄美と一緒に開発をさせていただきますようお願いいたします。
終わります。
○議長(友寄信助君) 上間 毅君。
〔上間 毅君登壇〕
○上間 毅君 こんにちは。
通告に従い順次質問を行います。
なお、一般質問の最後を務めることになりましたので、質問に先立って若干所感を述べさせていただきます。
代表質問を含め4日間にわたるこの間の質疑応答を伺っておりますと、知事はもっと大胆にみずからの信念を披瀝していいのではないかと思います。
例えば、フリーゾーン問題では規制緩和の完全実施か保護措置の続行なのか、明確ではありません。玉虫色でなく沖縄振興策について大田知事の哲学を大胆率直に語ってもいいのではないかと思います。
また、海上ヘリポート問題では橋本総理等も、地元の頭越しには建設しないと常々言っているわけですから、知事は基地の県内移設への反対姿勢を堅持しつつも、名護市民の投票結果を見て判断すると明言してもいいのではないかと思います。
さらに、新ガイドラインのもとでは沖縄を取り巻く軍事環境がさま変わりするわけですから、この間の政府との信頼関係を再点検することも必要ではないか、以上の所感を持ちつつ早速質問に入ります。
まず最初に、知事の全県自由貿易地域への見解についてお尋ねをいたします。
沖縄に全県フリーゾーンが成立する必要条件及び十分条件を伺いたい。県が構想する全県フリー・トレード・ゾーンの成立条件は何か、②、その条件の整備主体及び責任主体はどこか、国なのか県なのか、あるいは県民なのか。
(2)、アジア諸国で視察した経済特区と県構想との比較についてお伺いいたします。
沖縄がアジア諸国に対し有利な点はどういったものか、②、不利な点はどういったものか、そしてアジア諸国に対し総合的に沖縄には優位性があるのかどうかをお伺いいたします。
(3)、ポスト3次振計が後期に入った現時点で、なぜ4次振計ではなく全県フリーゾーン構想なのか、沖縄振計や復帰特別措置は目的を達成したのか、②、全県フリー・トレード・ゾーン導入の必然性は何か。
(4)、沖縄の経済自立について沖振計より全自貿がまさる点は何か、沖振計が経済自立に向かない理由は何なのか、②、全県自由貿易地域は自立経済を実現できるのかどうかお伺いいたします。
全県フリーゾーンの素案が県の最終案策定に議会の意思はどのように反映されるのか、参考意見として反映されるだけなのか、②、議会意思に県は拘束されるのかどうかお伺いをいたします。
全県フリーゾーン構想の推進体制についてでございます。
沖縄開発庁の統廃合の影響への見通しについて、①、沖縄開発庁の長所と短所を県はどのように見ておられるのか、沖縄振興庁、いわゆる県案の機能と実現見通しはどうか、(2)、沖振法にかわる法的・制度的措置についてお伺いいたします。
新たな政策措置の重点目標はどういったものがあるか、②、新たな計画策定のスケジュールについて伺います。
(3)、フリーゾーン構想についての県内世論の合意形成について、その判断基準を賜りたいと思います。何をもって県民合意と見るのか、合意の成立要件はどういったものか、合意形成に要する期間の限度はいつか、タイムリミットはいつまでかお伺いをいたします。
県の行政組織における推進体制の見通しについて、全県フリー・トレード・ゾーンの推進に現体制で対応は可能なのかどうか、②、新体制の方向とスケジュールをどのように想定しているのかお伺いいたします。
全県フリーゾーン構想と離島振興についてでございますけれども、県は雇用効果2万5000人、出荷額5800億円余りの積算をしておられるわけですけれども、その根拠について、①、公表された全県フリー・トレード・ゾーンの積算で政策選択の根拠になり得るかどうか、地域限定型いわゆる1万4500人雇用効果ですね、出荷額3532億円のそれについてはどうなのか。
雇用の喪失、出荷額の減少について、①、淘汰される産業・企業の雇用減はどの程度見込まれるか、比較劣位の産業・企業からの出荷減はどの程度見込んでいるのか、(3)、離島地域における産業構造の変化をどのように予測するか、全県フリー・トレード・ゾーンで離島の産業構造はどう変化するか、特別措置との整合性をどう考えるのかお伺いいたします。
(4)、離島地域における雇用効果は各地どのように想定されているのか、例えば北部の離島地域、宮古群島、八重山群島、中南部の離島及び久米島地域、それぞれについてどうなのかをお伺いいたします。
(5)、離島地域における出荷額は各地どのように想定されているのか、いわゆる北部の離島地域、宮古群島、八重山群島、中南部の離島及び久米島地域、それぞれについてどうか、積算されているわけですのでお答えを願いたいと思います。
以上が全県フリーゾーン構想について当局の見解をお尋ねしたい点のあらましですが、本来フリーゾーンの設置は国策の問題です。フリーゾーンは規制緩和いわゆる法的・制度的規制の徹底した緩和が必要条件であり、また貿易港や空港等の産業インフラや、安価で上質な労働力の確保が十分条件であります。したがって規制緩和の権限主体でありインフラ整備の能力と労働行政に責任を有する中央政府が、国全体の産業・経済政策の中で国策として推進すべき選択肢の一つがフリーゾーンなのであります。地場産業や地元企業及び県内労働者の保護育成を最優先すべき県や市町村がとるべき経済政策ではないと思います。
それにもかかわらず全県フリーゾーン構想なるものが県素案の形で出てくるのは、当局に沖縄の産業振興に関する明確なビジョンや経済実態を把握する正確なデータ、それを調査する科学的方法論や体制が欠如しているのではないか、つまり沖縄振興策とりわけ経済政策についての政策立案能力が欠けているのではないかと危惧するものです。
この危惧を払拭していただくためにも、ぜひ明快な御答弁をよろしくお願いいたします。
次に、普天間飛行場返還に関する政府折衝についてお尋ねいたします。
普天間飛行場の返還問題は、その移設先と言われる名護市の議会において去る2日に市民投票条例が可決成立し、新しい局面に入ったものと考えております。
私は昨年の本議会で、基地の問題で大田県政が基地返還アクションプログラムを基本に現実的対応をとるならば、県内移設問題については移設期限の設定、情報公開、環境アセスメント、住民投票の完全実施などの新しい4原則を明確にして対応すべきだと提言いたしました。
しかし県は、その後何らの基準も示さないまま今日を迎え、結果として政府からは普天間の返還は知事の要請で決まったこととして県内移設の環境整備について責任分担を迫られるありさまであります。
一方、県内でも知事の静観については批判の声が高まっており、名護市議会では知事は普天間飛行場代替海上施設の建設について、全県的な立場から意思を明確に表明すべきであるとの意見書が全会一致で採択されています。こうした声は県民世論を示すもので、本議会でも取り上げられようとしております。
そこでお尋ねをいたします。
海上ヘリポート建設と名護市民投票の関係について知事の御見解をお願いします。
海上ヘリ建設は、普天間基地返還の絶対条件かどうか、その条件を大田知事も承認しているのかどうか、お尋ねいたします。
(2)、基地の県内移設と沖縄振興策との関係について知事の御見解を賜ります。知事の基本姿勢はどうか、環境対策や経済効果が期待できれば賛成なさるのかどうか、②、政府の基本姿勢をどのようなものとして受けとめておられるのか、③、知事の政府への対応策についてはどうか、それぞれお尋ねをいたします。
続いて、沖縄・福建友好会館の運営と活用の見通しについてお尋ねをいたします。
この沖縄・福建友好会館の問題については、去る6月議会でも大きな問題になり決議もなされております。その後は大田知事が出席してのサミット開催、先月末には吉元副知事が福建省に出向き新協定書に署名するなど、沖縄と福建省の友好関係は着々と成果を上げつつあるようであります。
また、9月30日には懸案でありました友好会館の入居企業の募集締め切り日を迎え、入居企業にも一応のめどづけができたのではないかと思います。
そこでこの沖縄・福建友好会館の運営と活用について現在の状況と今後の展望についてお尋ねをいたします。
(1)、改定協定書の締結と合意議事録、管理運用面に関する協議書についてでございます。議会決議に沿うた改定手続なのかお伺いいたします。
(2)、友好会館への入居企業の応募状況と今後の利用見通しについてお尋ねをいたします。①、入居企業の応募状況はどういうふうになっているのか、当初見込んだものと今後の対策はどうか、②、応募企業の現状と入居基準の関係はどうか、今後基準緩和もあり得るか。
以上の点について御答弁を賜りたいと思います。
ジェットフォイル「マーリン」の運航状況についてお尋ねをいたします。
吉元副知事が代表者を務めている沖縄マリンジェット観光の超高速旅客船「マーリン」が就航したのは去る7月20日でした。あれから3カ月近くがたって、夏休みや夏の観光シーズンも終わり、その運航状況にも大体のめどがついたころかと思います。
知事は出航式のあいさつで、「超高速旅客導入は、拠点都市指定、名桜大学開設と併せ北部地域の活性化に向けた3つの基本政策。今回の就航で北部地域は、大きな発展が築けるだろう。」と期待を語っております。
こうした知事の期待はこれまでのマーリンの運航実績からして実現されるものかどうか、現在の状況と今後の見通しをお伺いいたします。
(1)、事前見通しと運航実績について。マーリンが就航前の目標と事前調査はどうなっていたかどうか、お伺いいたします。
(2)、就航後の実績と目的達成度はどうであるのかお伺いいたします。
次に、離島振興と今後の利用見通しについてでございますけれども、離島観光に貢献する展望はあるのかどうかお伺いをします。②、離島住民の足としての役割はどう見通しているのかお伺いをいたします。
最後になりますけれども、新石垣空港についてお尋ねいたします。
新石垣空港はもう18年にもなるわけでございますけれども何ら進展がなく大変厳しい状況の中にあるわけでございますけれども、最近地元では新石垣空港の建設については現在の第3種空港から第2種空港へ格上げして早期建設をすべきであるとの新たな提起がなされております。
①、県はそのことについて検討されたことがあるのか、あればその結果をお伺いしたいと思います。
②、第2種空港にした場合のメリットとデメリットについてどうなのかお伺いをいたします。
宮良牧中調査についてでございますけれども、宮良牧中の調査の進捗状況はどうなっていますか。調査結果の中間報告は行うか、その時期はいつごろになるのかお伺いいたします。
以上で私の質問を終わります。
○議長(友寄信助君) 大田知事。
〔知事 大田昌秀君登壇〕
○知事(大田昌秀君) 上間毅議員の御質問にお答えいたします。
まず、県が構想するフリー・トレード・ゾーンの成立条件、その条件の整備主体及び責任主体はという御質問でございます。一括してお答えいたします。
全県自由貿易地域の展開に当たっては、制度面の拡充や港湾等関連施策の機能整備を初め企業立地を促進するための税制上の優遇措置等の関連支援施策の充実が必要であります。
これらの条件整備に当たっては、国の積極的支援が不可欠であるとともに、国、県及び民間が連携し着実に推進していくことが重要であると考えています。
それから、ポスト3次振計がなぜ4次振計ではなく全県フリーゾーン構想になったのか、振計や復帰特別措置は目的を達したかという御質問には一括してお答えいたします。
県においては今後本県の振興に関する諸施策を推進するためには、第3次沖縄振興開発計画の終了後においても新たな沖縄振興計画の策定及び同計画を支える高率補助制度等の特別措置を含めた新たな法令の整備が必要であると考えています。
この計画及び法令は、本県の振興に関する諸施策を網羅する総合的な性格を持つものであります。
一方、全県フリーゾーン構想は産業振興のための制度の一つであり、新たな振興計画及び法令の中に位置づけられることになります。
3次振計の目標達成については、計画値の一つである県内総生産で見ると、計画値の4兆9000億円に対し平成6年度の実績が名目で3兆1726億円すなわち64.7%となっており、目標の達成のためには相当な努力を要するものとなっています。
復帰特別措置の税制関係事項については、5年ごとに見直しを行っており、産業の振興や生活の安定のために高い措置効果を持つ事項についてはその都度延長されてまいりました。現在、酒税の軽減措置等11の事項が継続され、年間約70億円の措置効果を上げています。
次に、全県フリー・トレード・ゾーン導入の必然性は何かという質問にお答えいたします。
本県においては復帰後3次にわたる振興開発計画に基づき社会資本の整備、産業振興が図られてまいりましたが、いまだに県民所得は全国で最も低く失業率は全国平均の約2倍という厳しい経済状況にあります。
それから昭和63年から供用開始されました現在の自由貿易地域というものが機能していないと、27社のうち18社が撤退しまして、11社、27社が最初入りましてそれに2社が加わったわけですが、現在残っているのは11社でございまして億に近い金を県が出しているわけでございますので、このような状態は放置できるものではありません。
したがって、こういう状況を打破するためには県内既存企業の競争力を強化するとともに、新規企業の立地を促進し新たな雇用の場を創出することが不可欠であると考えています。そのためには規制緩和等検討委員会の報告を踏まえ、自由貿易地域を思い切って全県に拡大することが県内産業の振興と県民生活の向上を図る上で大変必要であると考えた次第であります。
全県自由貿易地域制度の導入につきましては、全県的な議論が必要であると考えており、県議会の議論や関係団体等の意見等も考慮し総合的に判断していきたいと考えています。
次に、全県自貿は経済自立を実現できるのかという趣旨の御質問にお答えいたします。
本県が抱える諸課題を解決し産業経済の振興を図っていくためには、従来にない思い切った産業振興策が必要であると考えています。
このため既存の振興策等に加え、全県自由貿易地域の展開を初め情報通信関連産業の集積の促進、国際観光・保養基地の形成など新たな産業振興策を着実に推進することによって経済的自立を図ることにしております。
次に、県内世論の合意形成についてその判断基準を聞きたいという趣旨で合意形成の成立要件は何かと、合意形成に要する期問の限度はいつかという趣旨の御質問には一括してお答えいたします。
全県自由貿易地域の展開については、規制緩和等検討委員会の報告を受けた後、その内容、その趣旨を県議会各派、経済団体等関係団体に説明してまいりました。
県案の策定に当たっては今後とも全県的な議論が必要であると考えており、県議会での議論や関係団体等の意見も考慮し総合的に判断してまいりたいと考えています。
このような県民的な議論を踏まえ、10月じゅうを目途に県案を策定したいと考えています。
それから海上ヘリポート建設と名護市民投票との関係について、海上ヘリポート建設は普天間基地返還の絶対条件か、その条件を知事は承認しているのか聞きたいという趣旨の御質問に一括してお答えいたします。
昨年12月の沖縄に関する特別行動委員会(SACO)の最終報告は、普天間飛行場の返還について今後5年ないし7年以内に十分な代替施設が完成し運用可能になった後返還することとしており、代替施設については海上施設案を追求することになっています。
米軍基地の県内移設については、県としては基本的に反対であることはこれまでも申し上げたとおりでございます。
今後、県としましては名護市の判断等も勘案し必要な段階では県の総合的発展を図る観点から、適切に対応してまいりたいと思います。
次に、基地の県内移設と沖縄振興策との関連について知事の基本姿勢について聞きたいと、政府の基本姿勢について聞きたいと、知事の政府への対応策について聞きたいという御質問に一括してお答えいたします。
先ほども申し上げましたとおり、米軍基地の県内移設については県としては基本的に反対であります。
橋本総理は、昨年9月10日に閣議決定された総理談話の中で、引き続き米軍の施設・区域の整理・統合・縮小を推進するとともに、21世紀・沖縄のグランドデザインを踏まえた各種のプロジェクトの検討を行い、沖縄県が地域経済として自立し雇用が確保され、また我が国経済社会の発展に寄与する地域として整備されるよう全力を傾注する趣旨のことを明らかにしています。
これを受け、現在沖縄米軍基地問題協議会や沖縄政策協議会などの国と県との協議機関において本県の米軍基地問題や振興策について協議が行われているところであります。
今後とも県としましては関係市町村の意向も踏まえながら、基地返還アクションプログラム(素案)に基づく基地の整理縮小とあわせて兵力削減を引き続き日米両国政府に強く要請していくとともに、国に対しては本県の振興策への支援を強く要請していきたいと考えています。
その他の御質問につきましては関係部局長等から答弁させます。
○議長(友寄信助君) 企画開発部長。
〔企画開発部長 花城可長君登壇〕
○企画開発部長(花城可長君) 全県自由貿易地域関連の御質問でございます。
まず、アジア諸国で視察した経済特区と沖縄のそれとの比較について、まず沖縄が有利な点は何か、2点目に不利な点は何か、3点目に総合的に優位性はあるのかとの御質問に一括してお答えいたします。
諸外国の経済特区や自由貿易地域と比較して沖縄が有利な点としては、地理的特性として背後に日本という大市場を抱えているため安い原材料を輸入し、加工した製品を本土市場へ移出する輸入加工型の企業が立地する可能性が高いことが挙げられると考えています。
なお、アジア諸国に比べ賃金水準が高いこと等から外国へ製品を輸出する労働集約型の輸出加工産業の立地は厳しいものがあると考えています。
全県自由貿易地域の展開に当たってはこれらの点を十分検討し、特恵措置的関税制度や法人税の軽減及び関連インフラ整備等により総合的な優位性を確保していくことが重要であると考えております。
沖振計が経済自立に向かない理由は何かとの御質問でございます。
本県におきましては、これまで3次にわたる沖縄振興開発計画に基づいて5兆円余の沖縄振興開発事業費が投入され、その結果産業及び生活基盤施設等の社会資本の整備を中心に相当の成果を上げてきております。
しかし本県の経済は、物的生産部門が弱く財政依存度が高いなど経済的な自立をなし遂げたとは必ずしも言えない状況にあり、今後とも時代の潮流を見据えた産業の振興を図り対外競争力のある企業を育成し、経済の自立化を進める必要があります。
したがいまして国際的な空港や港湾等産業の振興のための基盤整備及び企業の育成をさらに進めていく必要があり、引き続き第3次沖縄振興開発計画に基づく諸施策を積極的に展開することが重要であります。
また、こうした産業基盤の整備及び産業の振興を継続して進めるため、第3次沖縄振興開発計画終了後も自由貿易地域制度やその他の計画等を含む新たな沖縄振興計画の策定は必要であると考えております。
県の最終案策定に議会の意思はどのように反映されるか、参考意見として反映されるだけなのか、議会意思に県は拘束されるのかとの御質問に一括してお答えいたします。
全県自由貿易地域制度というのは事柄の性質上非常に難しい点がありますので、県議会におきましても十分に議論をしていただくことが重要であると考えております。
全県自由貿易地域制度の導入につきましては、全県的な議論が必要であると考えており、県議会の議論や関係団体等の意見を考慮し総合的に判断をしていきたいというふうに考えております。
沖縄開発庁の長所と短所について伺いたい、沖縄振興庁(仮称)の機能と実現の見通しについて伺いたいとの御質問でございます。
沖縄開発庁の統廃合問題の影響への見通しについての2つの御質問に一括をしてお答えいたします。
沖縄開発庁は、沖縄振興開発事業予算の一括計上及び執行を担当する機関として本県の振興開発に大きな役割を果たしてきております。
一方、本県の重要な課題である米軍基地問題の対応については沖縄開発庁の所掌事務でないことから、国におきましてはこの問題を統括する省庁が必ずしもあるというふうなことにはならないと、省庁がないというふうな現状にございます。
県としましては沖縄振興庁(仮称)については、米軍基地の返還促進、基地返還跡地の利用推進等を含め沖縄県に関するすべての事項について一元的に取り組むことができる組織として設置していただきたいと考えています。
このようなことから、今般沖縄振興に向けた独立庁の設置について国、国会、政党等の関係者に対し要望してきたところでございます。
この中でそれぞれの関係者の大方の意見は沖縄問題は引き続き重要な課題であり、前向きに取り組んでいきたいという感触を得ております。県としましては引き続き沖縄振興に向けた独立庁の設置に向けて取り組みを強化してまいりたいと考えています。
次に、新たな政策措置の重点目標は何か、新たな計画策定スケジュール、これは全県フリーゾーン構想との関係でございます。沖振法にかわる法的制度措置についての2つの御質問ですが、一括してお答えします。
本県の自立的発展を図るためには、米軍基地の返還促進及び跡地の利用を推進し、国際都市形成構想の実現を目指すとともに、政策的、制度的な措置による産業の振興を図るなど内外の諸情勢を見据え、積極的に施策を展開していくことが重要であると考えております。
県としましてはこれらの諸施策を推進するためには、第3次沖縄振興開発計画の終了後においても自由貿易地域制度や基地跡地利用のための制度等を含む新たな振興計画の策定及び法令を整備することが必要であると考えています。
このためこれまでの沖縄振興開発計画の総点検を実施するとともに、長期的視点に立った沖縄振興のための新たな振興計画及び法令の整備について現行の3次振計等との間に空白が生じないよう十分に留意をして検討してまいりたいと考えております。
県の行政組織における推進体制の見通しとの関係で、全県FTZに現体制で可能か、新体制の方向とスケジュールはとの御質問に一括をしてお答えいたします。
全県FTZに対する組織体制につきましては、企画開発部の国際都市形成推進室の中で対応をしております。
産業・経済の振興と規制緩和等検討委員会の報告を受けた後は、全庁的な検討を行うため企画開発部、農林水産部、商工労働部の11課3室で構成するプロジェクトチームを設置して業務を行うなど臨機応変に対応してまいりました。
当面は現体制で業務の推進を図っていきますが、今後の取り組みにつきましては十分検討していきたいと考えております。
全県FTZの積算根拠の関係で地域限定型1万4000人、3532億円の出荷額の根拠はとの御質問でございます。
関税の免除やIQ枠の撤廃または投資税額控除、法人税率軽減等の施策が総合的に実施されますと本県への企業立地の可能性が高くなります。
今回の試算では、これら立地可能性の高い業種が本県に立地した場合の工業出荷額及び雇用者数について工業統計表をもとに算出をしたものであります。これにより地域限定型では中城湾港新港地区や豊見城地先地区及び那覇港浦添地区等の約200ヘクタールの立地面積を想定し、工業出荷額及び雇用者数を試算いたしました。
また、全県に拡大した場合はこれに工場適地の残地や北部・離島地区を加えた379ヘクタールの立地面積を想定をして試算いたしております。
雇用の喪失、出荷額の減少についての関連で、淘汰される産業企業の雇用減は、比較優位の産業企業からの出荷減はとの御質問に一括してお答えいたします。
関税を免除した場合、現行の関税率が高く県内産品との競合が強い品目の輸入がふえるとその品目を生産する産業に影響が出てまいります。
我が国の高関税率品目は農林水産や食品、飲料関連に多く、これらの産業で影響が出ると考えられます。
現状の県内生産でどの程度影響があるかは個々の品目の競合度合いを見る必要があり、今後その影響度を考慮して出荷額や雇用の減少について試算をしていく考えでございます。
離島の産業構造はどう変わるか、特別措置との整合性はとの御質問でございます。
全県に自由貿易勉域制度が適用されますと、その効果と影響が離島地域にも及びます。関税免除や投資税額控除、法人税率軽減等によって離島においても企業立地の可能性が高まります。
一方、現在主要な産業である農水産業は輸入品と競合する場合にある程度の影響が考えられますが、大きな影響を及ぼすと想定される品目につきましては関税免除等の対象外とするほか、既存産業に対する必要な支援は拡充されるべきであると考えています。特にサトウキビは離島の主要な作目であることから、引き続き必要な措置は講じていく必要があると考えています。
離島地域における雇用効果は各地でどのように見込まれるか、北部の離島地域、宮古群島、八重山群島、中南部の離島及び久米島地域、次に離島地域における出荷額は各地どのように把握されているか、これも北部離島地域、宮古群島、八重山群島、中南部の離島及び久米島地域で質問がたくさんございますが、一括をしてお答えいたしたいと思います。
全県自由貿易地域の展開による効果・影響につきましては、県全体での試算は行っておりますが、各地域ごとの試算は出しておりません。
地域が持つ特性や条件はそれぞれ違うことから、その効果を予測することはかなり難しいものがありますが、可能な限り今後検討してまいりたいと考えています。
いずれにいたしましても離島振興は県政の重要な課題であり、新たな産業振興策の実施を機に今後とも離島振興策を強化していく必要があると考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 知事公室長。
〔知事公室長 粟国正昭君登壇〕
○知事公室長(粟国正昭君) 上間毅議員の沖縄・福建友好会館の運用と活用の見通しについての中で、議会議決に沿うた改定手続かということに対してお答え申し上げます。
このたびの協定書の改定に当たっては、去る6月県議会で議決された追加負担金8450万円について記述したほか、今後設計・施工に関して一切の追加負担がないこと、建物の永久無償使用権について沖縄県に帰属させること、友好会館の面積及び竣工時期の変更などを明記してあります。県議会における審議を踏まえたものとなっております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 商工労働部長。
〔商工労働部長 幸喜良秀君登壇〕
○商工労働部長(幸喜良秀君) 沖縄・福建友好会館の運用と活用の見通しとの関連で、入居企業の応募状況はどうか、当初見込みと今後の対策はどうかとの御質問にお答えいたします。
福建・沖縄友好会館への入居企業の応募状況は、25区画のうち14社15区画の応募がありました。
県としましては、募集締め切り後においても企業からの問い合わせがあることなどから今後も引き続き入居受け付けを行い、できるだけ多くの企業が福建・沖縄友好会館を中国との交流拠点として活用していただきたいと考えております。
次に、応募企業の現状と入居基準の関係はどうか、今後は基準緩和もあり得るかにお答えいたします。
福建・沖縄友好会館への入居募集に対し、14社15区画の応募がありました。
これら応募企業は沖縄・福建友好会館建設推進委員会が定めた入居基準5点あります。1、中国との貿易及び投資実績のある企業を優先する、2、現地事務所に駐在員を配置できること、3、友好会館建設に寄附した企業を優先する、4、沖縄県に本社を置く企業を優先する、5、その他、沖縄・福建友好会館建設推進委員会が認める企業とするということになっておりまして、応募いたしております14社15区画の企業はこの基準に適合しております。
なお、入居基準の緩和につきましては現在引き続き入居受け付けを行っているところであり、今のところこの入居基準の緩和は考えておりません。
○議長(友寄信助君) 地域・離島振興局長。
〔地域・離島振興局長 大城盛俊君登壇〕
○地域・離島振興局長(大城盛俊君) 6番目のジェットフォイル「マーリン」の運航状況についてですが、マーリン運航前の目標と事前調査、それから就航後の実績と目的達成度について一括してお答えいたします。
ジェットフォイルの導入に当たっては、平成5年度に導入の可能性について調査検討を行いました。
また、平成7年度には県、関係市町村及び民間で構成する超高速旅客船導入連絡協議会での検討を踏まえ、超高速旅客船導入に関する基本構想を策定しました。
このような経過を経て北部圏域の活性化と本県の観光・リゾート産業の振興に寄与することを目的に、平成8年4月運営主体の設立懇話会を設置し、同年12月に第三セクター方式の沖縄マリンジェット観光株式会社を設立いたしました。
就航後の実績についてでございますけれども、就航の7月20日から9月30日までの2カ月余の利用者は1万7200人となっております。
その間、利用増が期待される週末や休日にたび重なる台風により65便もの欠航を余儀なくされて、利用率に影響が出てしまいました。
沖縄マリン観光株式会社では、利用者の増を図るため修学旅行の誘致、各種旅行商品の開発等を行っているところであり、県といたしましても目標達成に向けて所要の支援を行っていきたいと考えております。
それから同じくマーリン運航状況ですが、離島観光への展望と離島住民の足としての役割見通しについて一括してお答えいたします。
ジェットフォイルは、従来の船と異なり揺れないという快適性、時速80キロ以上の高速性と大量輸送が可能であるなどの特性を有しております。したがいましてこの特性は離島の観光振興及び離島住民の足として大きな役割を果たすことができると考えております。
ジェットフォイルの導入に当たりましては、需要動向調査を行い、採算性が確保できるかどうか、港や航路の水深、それから高速性が発揮される一定の距離かどうか、さらには既存の交通手段との調整などについて十分な事前検討が必要であると考えております。
以上でございます。
○議長(友寄信助君) 土木建築部長。
〔土木建築部長 江洲順吉君登壇〕
○土木建築部長(江洲順吉君) 新石垣空港について、第2種空港へ格上げして整備すべきとの新たな提起について県は検討したことがあるのか、あるとすればその結果についての県の見解と、それから2種空港にした場合のメリットとデメリットについて一括してお答えいたします。
新石垣空港については、第2種空港へ格上げし早期建設を図るべきであるとの意見もあり、県では第2種空港の性格、格上げの全国実績と可能性、格上げした場合のメリット、デメリット等について検討してきました。
その結果、第2種空港への格上げについては、地元の合意形成及び協力体制ができて初めて国も調整のテーブルに着くものと考えています。
しかしながら昨今の国の行政改革、地方分権、財政状況等を踏まえると第2種空港への格上げは極めて困難であると思われます。
また、第2種空港格上げによるメリットは現時点では見出せず、逆にデメリットとしては格上げのための国との調整に相当の期間を要し、結果として薪空港の着工がおくれることになります。
また、空港整備に必要な県の負担額は、第2種空港でも第3種空港でも同じですが、第2種空港で整備した場合には空港施設は用地も含めて国の財産となります。
さらに、国発注工事の場合、地元企業の受注機会がほとんど期待できないと考えております。
このようなことから、県としてはこれまでどおり第3種空港で整備することが望ましいと考えております。
なお、空港整備において一番重要なことは、地元において合意形成と協力体制を確立することであり、このことは第2種空港に限らず第3種空港においても全く同じであります。
現在、県は宮良地区で調査を行っております。調査の結果、宮良地区が空港建設地として適地と判断されれば、地元の合意形成を図った上で新石垣空港の早期建設に努めていきたいと考えております。
それから、宮良牧中調査の進捗状況はとの御質問にお答えいたします。
新石垣空港宮良地区における必要な調査は、測量、土質、気象、環境現況調査、社会・経済効果等調査、基本設計く環境影響予測評価の7項目であります。
そのうち測量、土質、冬及び春の環境現況調査は既に完了しております。
また、環境影響予測評価については基本設計を踏まえて発注していく予定であります。
他の調査については引き続き現在実施しているところであります。
それから調査の中間報告はするのか、その時期はいつごろかとの御質問にお答えいたします。
中間報告は、地元住民に調査の内容を理解していただくために重要なものと考えております。
現在、県においては用地造成等の基本設計や気象観測、環境現況調査を実施しております。
中間報告につきましては、地元から問題提起のある赤土等流出防止対策や風のデータについて整理し、11月下旬をめどに実施する予定であります。
以上であります。
○議長(友寄信助君) 上間 毅君。
〔上間 毅君登壇〕
○上間 毅君 3次振計の後に、それにかわる施策というのはあくまでも自由貿易をする中で保護措置を講ずるための法制度を講じなければならないというように理解するわけでございますけれども、そうなると現在進めているものとの矛盾があるんじゃないかということを指摘しておきたいと思います。答弁はいいです。
それから離島地域における雇用効果、これに対しては計算がされていないということなので非常におかしいと。
ということは、全県フリーゾーンの場合に2万5000人雇用効果が出ているわけです。それから出荷額5800億円が出ているわけですけれども、これは200ヘクタールという限定をしたときの雇用効果、1万4500名から1万500人ふえているわけです。それから出荷額においても2268億円、これはふえている。それは最初地域限定型と決めた以外のものからふえていないとおかしいわけなんですね。
その辺の点においてもはっきりさせておかなきゃいけないことだと思いますので、その点も大変理解ができないということだけを指摘して終わりたいと思います。
○議長(友寄信助君) 以上をもって通告による
一般質問及び議案に対する質疑は終わりました。
これをもって質疑を終結いたします。
この際、お諮りいたします。
決算については、9月19日の議会運営委員会において16人から成る決算特別委員会を設置して審議することに意見の一致を見ております。
よって、ただいまの議題のうち認定第1号から認定第3号までについては、16人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(友寄信助君) 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後4時47分休憩
午後4時47分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
次に、お諮りいたします。
ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定によりお手元に配付の名簿のとおり指名いたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(友寄信助君) 御異議なしと認めます。
よって、決算特別委員会の委員は、お手元に配付の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
決算特別委員名簿
安次富 修 大 城 一 馬
池 間 淳 外 間 久 子
翁 長 政 俊 宮 城 國 男
渡久地 健 新 垣 哲 司
兼 城 賢 次 伊 波 洋 一
伊 波 栄 徳 仲 里 利 信
新 垣 善 春 平 敷 昌 一
糸 数 慶 子 高 良 政 彦
○議長(友寄信助君) ただいま決算特別委員会に付託されました決算を除く甲第1号議案から甲第3号議案まで及び乙第1号議案から乙第19号議案までについては、お手元に配付してあります議案付託表のとおりそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後4時48分休憩
午後4時50分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
日程第3 議員提出議案第1号 新たな道路整備五箇年計画の策定と道路特定財源堅持に関する意見書を議題といたします。
提出者から提案理由の説明を求めます。
上原吉二君。
〔上原吉二君登壇〕
○上原吉二君 ただいま議題となりました議員提出議案第1号について提出者を代表いたしまして提案理由を御説明申し上げます。
我が国の道路は、昭和29年の第1次道路整備計画から、以後11次にわたる5カ年計画を積み重ね、高規格幹線道路から国道、県道、市町村道に至る道路網の整備を進めてきたところであります。
本県の道路整備も復帰後飛躍的に整備拡充され、県民生活の向上、社会経済の発展に大きな役割を果たしておりますことは御案内のとおりであります。
しかしながら軌道系交通のない本県においては専ら道路交通に依存しており、都市地域における交通渋滞の諸対策や、さらには本島地方部及び離島の産業経済活動を支え、地域住民の生活の安定向上に資する効率的な道路体系の整備など早急な対策を必要としているところであります。
昨今においては、高速性・定時性に加え自然、文化、歴史等を生かしたゆとりのある道路空間の形成や、環境に配慮した道路整備に対する県民の要望はますます高まっている状況であります。この県民のニーズにこたえるためにはく長期的な視点に立った計画の策定とそれを実現するための財源確保が必要不可欠でございます。
このような状況にかんがみまして道路特定財源の確保と、平成10年度を初年度とする新たな道路整備5カ年計画の策定について政府に強く要請する必要があることから本案を提出した次第でございます。
意見書を朗読いたします。
〔新たな道路整備五箇年計画の策定と道路特定財源堅持に関する意見書朗読〕
以上で提案理由の説明を終わりますが、慎重に御審議の上、御賛同を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
○議長(友寄信助君) これより質疑に入るのでありますが、ただいまのところ通告はありません。
質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○新垣哲司君 議長、休憩願います。
○議長(友寄信助君) 休憩いたします。
午後4時55分休憩
午後4時57分再開
○議長(友寄信助君) 再開いたします。
質疑なしと認めます。
これをもって質疑を終結いたします。
ただいま議題となっております議員提出議案第1号は、土木委員会に付託いたします。
○議長(友寄信助君) 日程第4 陳情第123号から第127号まで、第132号から第134号まで、第138号及び第140号の付託の件を議題といたします。
お諮りいたします。
まず、ただいまの陳情10件のうち、陳情第134号及び第140号の陳情2件については、米軍基地関係特別委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(友寄信助君) 御異議なしと認めます。
よって、ただいまの陳情2件については、米軍基地関係特別委員会に付託の上、審査することに決定いたしました。
○議長(友寄信助君) 次に、お諮りいたします。
陳情第134号及び第140号を除く陳情8件については、自由貿易地域対策特別委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(友寄信助君) 御異議なしと認めます。
よって、ただいまの陳情8件については、自由貿易地域対策特別委員会に付託の上、審査することに決定いたしました。
〇議長(友寄信助君) この際、お諮りいたします。
委員会審査のため、明8日から16日までの9日間休会といたしたいと思います。
これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(友寄信助君) 御異議なしと認めます。
よって、明8日から16日までの9日間休会とすることに決定いたしました。
○議長(友寄信助君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
次会は、10月17日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後4時59分散会
前発言
次発言
19970505000010