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平成14年(2002年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第11号 3月28日
宮里 政秋
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こんにちは。
私は、日本共産党県議団を代表して、議員提出議案第3号那覇空港拡張整備に関する意見書に反対する討論を行います。
年間およそ450万人の旅客が出入りする那覇空港を、自衛隊との共同使用を廃止して安全な民間専用空港にしてほしいということは全県民の切実な願いであります。
これまでに本県議会は、那覇空港における民間航空機と自衛隊機との共同使用の危険性を指摘し、軍民共用廃止と民間専用化実現に向けて国に対し5回に及ぶ要請行動を展開しております。
政府も沖縄の施政権返還に当たり那覇空港を民間空港として返還することを約束し、第1次及び第2次沖縄振興開発計画でも民間空港として整備拡充することを明記しました。しかるに、政府は復帰30年に至る今日も那覇空港の民間専用化を実現していません。
1972年復帰の際、那覇空港と沖縄の空域の管制権は日本に返還されることになっていました。ところが、那覇空港は自衛隊との共同使用となり、管制業務は暫定期間の約束が今日なお米国軍隊によって我が国の管制権が握られたままであります。
また、那覇空港の離発着路の北側延長線上には米軍の普天間基地や嘉手納基地への離発着のための空域が設定されるなど、那覇空港の安全確保に重大な脅威をつくり出しているのであります。
嘉手納ラプコンの日本への返還については、平成12年3月16日に「米軍の運用上の所要が満たされることを前提」に協議を行うとされています。施政権返還時の暫定期間が30年も経過していることにかんがみ、「米軍の運用上の所要が満たされる」までとの理由でラプコン返還がずるずると引き延ばされる危険性があります。すなわち、政府は施政権返還の目玉としての県民に約束した重大な事案を履行していないのであります。そのため、那覇空港は米軍の緊急使用や自衛隊の常駐使用で県民と空港利用者の安全確保と利便性に大きな障害を与えています。
那覇空港所属の自衛隊機の事故は頻発しております。特に、昭和58年6月6日、陸上自衛隊第1混成団第101飛行隊所属のヘリコプター107型機が那覇空港で訓練中、墜落炎上するという事故が発生しました。翌年の昭和59年6月21日にはT33ジェット機が那覇空港の滑走路北側にオーバーランして、消波ブロックに激突・炎上する事故が発生しました。さらに、昭和60年5月28日、東京発全日空81便が乗客、乗務員222名を乗せ那覇空港に着陸滑走したところ、自衛隊のMU2救難捜索機が管制官の指示もないのに誘導路に進入して全日空機に接触し、あわや大惨事になる事故を引き起こしたのであります。
本県議会は、これらの事故が起きるたびに次のような意見書を繰り返し採択し政府に要請しています。
1、事故の原因を徹底的に調査・究明し、再びこのような事故が起こらないよう万全の対策を講ずること。
2、那覇空港の自衛隊との共同使用をやめ、同空港を民間専用空港にすること。
同様な意見書が5回に及んでいるのであります。
米軍に制空権が握られているという異常な状況に加え、那覇空港の軍民共用がいかに危険なものであるかは、これまで述べてきた事故でも明白であります。那覇空港を民間空港として整備し定期運航の安全性を確保することは県民への約束であり、30年間も放置してきた政府の責任は極めて重大と言わなければなりません。空の安全性は何よりも優先されなければなりません。
沖縄の空は、米軍のウオーニングエリアという戦闘訓練空域が16カ所も設定されております。沖縄の空の約40%を米軍が独占しています。米軍が管制権を一手に握り、米軍のレーダーで広大な沖縄の空を支配しているのであります。
我が党の調査に対してパイロットは、航空機は構造的にも離陸後はエンジンを全開して一気に上昇し水平飛行に移らなければならないが、米軍優先の嘉手納ラプコンが存在するため、那覇空港を離陸する民間機は高度300メートルという超低空飛行を余儀なくされるのであります。米軍優先体制がしかれ、民間機の安全は著しく脅かされております。これは、戦闘空域から嘉手納基地に帰投する米軍機の着陸を優先しているためでありますと、このように語っています。
嘉手納ラプコンの故障で沖縄の空が閉鎖されるという事態も発生いたしました。民間航空機の円滑な定期運航や安全性の確保を図る観点からも、嘉手納ラプコンの早期返還が実現されなければなりません。
全運輸労働組合が全国の空港管制官を対象に行ったアンケート調査によると、ニアミスあるいはコンフリクションを経験した人が那覇管制部で14人、那覇空港で6人もいることが明らかになっています。特に重大なことは、軍用機とのニアミスもしくはコンフリクションが民間機同士のそれを上回っていることであります。事態は重大と言わなければなりません。
空の事故は自動車事故と違い、一歩間違えば乗客、乗務員全員が死亡という最悪事態を招きかねないものであります。那覇空港の沖合展開は、大那覇国際空港建設構想で自衛隊との共同使用を前提にしたものではないとの保証はありません。那覇空港を沖合に展開すれば自衛隊との共同使用が固定化されかねません。
また、那覇空港沖合展開予定地域(海域)は、那覇以南では残り少ない貴重なサンゴ礁から成り、潮干狩りなど県民の憩いの場であります。同時に、同地域はラムサール条約の指定を受けた漫湖に飛来する野鳥など渡り鳥の採餌場にもなっており、この点からも重大な内容を持つものと指摘せざるを得ません。
さらに、沖縄県観光審議会でも今後の観光客の予想入域客は600万人だが、これでは那覇空港の沖合展開はできないと指摘。また、600万人では無理だから、50年のスパンでの入域予測をとの意見も記録されています。まさに県の関係審議会でさえも数値的根拠が示し得ない、このように指摘しなければなりません。
私たち日本共産党県議団は、沖縄の施政権返還に当たり那覇空港を民間空港として返還することを政府は県民に約束したにもかかわらず、政府が今日まで放置してきたこの責任を厳しく追及するとともに、那覇空港の自衛隊との共同使用を直ちにやめて、同空港を民間専用空港にすること、同時に嘉手納ラプコンの早期返還を強く求め、議員提出議案第3号那覇空港拡張整備に関する意見書に反対する討論を終わります。
よろしく御賛同お願いいたします。
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20020111070070