委員会記録・調査報告等

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文教厚生委員会記録
 
平成29年 第 5定例会閉会中

2
 



開会の日時

年月日平成29年10月19日 曜日
開会午前 10 時 0
散会午後 3 時 34

場所


第7委員会室


議題


 1 平成29年第5回議会認定第1号 平成28年度沖縄県一般会計決算の認定について(保健医療部所管分)          
 2 平成29年第5回議会認定第21号 平成28年度沖縄県病院事業会計決算の認定について                 
 3 決算調査報告書記載内容等について


出席委員

委 員 長  狩 俣 信 子 さん
副委員長  西 銘 純 恵 さん
委  員  新 垣   新 君
委  員  照 屋 守 之 君
委  員  次呂久 成 崇 君
委  員  亀 濱 玲 子 さん
委  員  比 嘉 京 子 さん
委  員  平 良 昭 一 君
委  員  金 城 泰 邦 君


欠席委員

末 松 文 信 君


説明のため出席した者の職・氏名

保健医療部長         砂 川   靖 君
 参事            阿 部 義 則 君
 保健医療総務課長      大 城   博 君
 保健医療総務課看護専門監  国 吉 悦 子 さん
 医療政策課長        諸見里    真 君 
 健康長寿課長        宮 里    治 君 
 地域保健課長        山 川 宗 貞 君
病院事業局長         伊 江 朝 次 君 
 病院事業統括監       金 城   聡 君 
 県立病院課長        真栄城    守 君
 県立病院課経営企画監    山 城 英 昭 君 
 県立病院課医療企画監    與那覇 博 康 君 
 北部病院長         知 念 清 治 君 
 中部病院長         本 竹 秀 光 君 
 南部医療センター・      
 こども医療センター院長   佐久本   薫 君         
 精和病院長         親富祖 勝 己 君 
 宮古病院長         本 永 英 治 君 
 八重山病院副院長      篠 﨑 裕 子 さん



〇狩俣信子委員長 ただいまから、文教厚生委員会を開会いたします。
 本委員会所管事務調査事件「本委員会の所管事務に係る決算事項の調査について」に係る平成29年第5回議会認定第1号及び同認定第21号の決算2件の調査、決算調査報告書記載内容等についてを一括して議題といたします。
 本日の説明員として、保健医療部長、病院事業局長及び各県立病院長の出席を求めております。
 なお、本日は、八重山病院長が体調不良により欠席しておりますので、副院長が代理出席しております。
 まず初めに、保健医療部長から保健医療部関係決算の概要説明を求めます。
 砂川靖保健医療部長。
〇砂川靖保健医療部長 保健医療部所管の平成28年度一般会計の決算概要について、お手元にお配りしております歳入歳出決算説明資料に基づき、御説明いたします。
 資料の1ページをごらんください。
 表の右端の欄には平成28年度沖縄県歳入歳出決算書のページを記載しておりますので、御参照ください。
 それでは、歳入決算の状況について御説明いたします。
 一番上の保健医療部の計の欄でございますが、予算現額の計A欄130億2650万3000円に対し、調定額B欄は124億380万9502円、そのうち収入済額C欄が123億8806万2916円、不納欠損額D欄は5万6932円、収入未済額E欄は1568万9654円、収入比率は99.9%となっております。
 次に、歳入決算について、款ごとに主な内容を御説明いたします。
 まず、上から4行目(款)分担金及び負担金の収入済額11万4216円は、未熟児養育医療費の給付を行った場合に発生する自己負担金となっております。
 次に、表の中ほど(款)使用料及び手数料の収入済額2億2939万8635円は、看護大学の授業料収入などとなっております。
 次に、下から3行目(款)国庫支出金の収入済額101億5590万853円は、難病患者及び精神疾患を有する者などの扶助費に充てるために交付された負担金並びに医療施設整備に対する補助金などとなっております。
 2ページをごらんください。
 表の中ほど、(款)財産収入の収入済額4970万4384円は、健康づくり財団等への土地貸付料や基金の運用益、旧看護協会用地の売却による収入などとなっております。
 次に、(款)繰入金の収入済額14億7365万3601円は、離島や北部地域の医師確保、医療体制整備等に要する経費に充当するため、保健医療部で設置した各基金からの繰り入れとなっております。
 次に、下から3行目、(款)諸収入の収入済額4億5979万1227円は、病院事業局等への貸付金の元利収入などとなっております。
 3ページをごらんください。
 表の下から3行目、(款)県債の収入済額1950万円は、衛生環境研究所移転工事に要する経費に充当するために起債した額となっております。
 次に、収入未済額について御説明します。
 恐縮でございますが、1ページにお戻りください。
 表の右から3列目、収入未済額E欄1568万9654円について、その主なものを御説明いたします。
 まず、上から6行目(目)衛生費負担金の収入未済額473万8707円は、未熟児養育医療費負担金に係る収入未済となっております。
 これは、平成24年度まで母子保健法第20条の規定に基づき、県が病院等への入院が必要な未熟児に対して行っていた医療費の給付を行う事業において、扶養義務者から徴収すべき自己負担金の徴収が滞り収入未済となったものであります。
 3ページをごらんください。
 上から2行目(目)衛生貸付金元利収入の収入未済額994万6800円は、看護師等修学資金返還金に係る収入未済額となっております。
 同資金は、看護師免許等を取得後、県内の指定施設に一定期間勤務した場合には返還を免除しておりますが、県外への就職、あるいは看護師等を離職した場合などには返還しなければならないところ、この返還が滞り収入未済となっているものであります。
 次に、歳出決算の状況について御説明いたします。
 4ページをごらんください。
 上の保健医療部計の欄でございますが、予算現額の計A欄682億9279万1366円に対し、支出済額B欄は661億4799万2128円、翌年度繰越額C欄は3億3758万円、不用額は18億721万9238円、執行率は96.9%となっております。
 次に、歳出決算の主な内容について御説明いたします。
 まず、上から4行目(款)民生費の支出済額336億1567万5667円は、主に後期高齢者医療広域連合に対する負担金、市町村国保への交付金等に要した経費となっております。
 次に、表の中ほど、(款)衛生費の支出済額317億5047万5276円は、感染症予防、ハンセン病や結核対策、精神保健、母子保健、健康増進の推進、難病対策、衛生環境研究所及び保健所の運営、食品衛生、医務・薬務及び病院事業への繰出金に要した経費となっております。
 6ページをごらんください。
 (款)教育費の支出済額7億8184万1185円は、看護大学の管理運営等に要した経費となっております。
 次に、翌年度繰越額について御説明いたします。
 恐縮でございますが、5ページをごらんください。
 下から6行目、(目)医務費の繰越額C欄3億3758万円の主な内容でございますが、沖縄病院の建替工事に補助を行う事業におきまして、設計変更に伴う着工の遅延及び磁気探査業務に係る工期の延長により、工事におくれが生じたことから、翌年度に繰り越しを行ったものであります。
 次に、不用額について御説明いたします。
 恐縮でございますが、4ページへお戻りください。
 表の右から2列目の欄、不用額の計18億721万9238円の主な理由でございますが、上から4行目の(款)民生費につきましては、その3行下、(目)老人福祉費において、後期高齢者医療負担金等事業費における、後期高齢者医療給付費県負担金の算定の基礎となる医療給付費等の実績が見込みより少なかったことにより1億9116万5636円、またその下の(目)国民健康保険指導費において、国民健康保険負担金補助金等事業費における、県財政調整交付金の算定の基礎となる保険給付費等の実績が見込みより少なかったことにより4億5831万7578円の不用が生じたものであります。
 次に、表の中ほどの(款)衛生費につきましては、下から3行目、(目)精神衛生費において、精神障害者自立支援医療費における医療費の助成実績が見込みを下回ったことにより2億2826万1772円、その下(目)母子保健衛生費において、こども医療費助成事業における市町村に対する補助実績が見込みを下回ったことにより1億7875万6205円、5ページに移りまして、上から4行目(目)衛生研究所費において、衛生環境研究所施設整備事業等の不用額として1億4269万2274円、また、下から6行目の(目)医務費において、後期臨床研修医の養成など、医師確保に係る事業等における実績が見込みを下回ったことにより2億5779万5563円の不用が生じたものであります。
 以上で、保健医療部所管の平成28年度一般会計歳入歳出決算概要の説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。
〇狩俣信子委員長 保健医療部長の説明は終わりました。
 次に、病院事業局長から病院事業局関係決算の概要説明を求めます。
 伊江朝次病院事業局長。
〇伊江朝次病院事業局長 病院事業局の平成28年度決算の概要について、お手元にお配りしております平成28年度沖縄県病院事業会計決算書に基づいて、御説明申し上げます。
 決算書の11ページをお開きください。
 初めに、事業概要から御説明いたします。
 事業報告書の1、概況の(1)総括事項について、
沖縄県病院事業は、県立北部病院を初め、6つの県立病院と16カ所の附属診療所を運営し、医師や看護師等の医療技術員の確保とともに、施設及び医療機器の充実を図るなど、医療水準の向上に努めております。
 業務状況については、入院患者延数が66万4878人、外来患者延数が77万8323人で、総利用患者延数は144万3201人となり、前年度と比べて1万780人の減少となりました。
 次に、決算状況について御説明いたします。
 恐縮ですが、1ページにお戻りいただきたいと思います。
 まず、決算報告書の(1)収益的収入及び支出について、収入の第1款、病院事業収益は、予算額合計575億604万6000円に対して、決算額は532億8329万5082円で、差額は42億2275万918円となっております。
 その主な要因は、第1項の医業収益において、38億3412万5056円の差額が生じたことによるものであります。
 次に、支出の第1款、病院事業費用は、予算額合計569億6151万6000円に対して、決算額は533億6988万6521円で、不用額は35億9162万9479円となっております。
 その主な要因は、第1項の医業費用において、34億2658万6728円の不用が生じたことによるものであります。
 2ページをお開きください。
 (2)資本的収入及び支出について、収入の第1款資本的収入は、当初予算額に補正予算額等を加えた合計102億6311万5000円に対して、決算額は61億3543万4000円で、差額は41億2768万1000円となっております。
 その主な要因は、第1項の企業債において、40億310万円の差額が生じたことによるものであります。
 次に、支出の第1款資本的支出は、当初予算額に補正予算額等を加えた合計120億3928万7601円に対して、決算額は79億506万3024円で、翌年度への繰越額が39億570万円で、不用額が2億2852万4577円となっております。
 その主な要因は、第1項の建設改良費において、2億2756万4439円の不用が生じたことによるものであります。
 3ページをごらんください。
 平成28年4月1日から平成29年3月31日までの損益計算書について、1の医業収益は、入院収益、外来収益などを合計した461億1715万7803円で、2の医業費用は、給与費、材料費、経費などを合計した517億5608万7623円で、1の医業収益から2の医業費用を差し引いた医業損失は56億3892万9820円となっております。
 3の医業外収益は、受取利息配当金、他会計補助金、国庫補助金などの合計で、69億4084万6574円となっております。
 4ページをお開きください。
 4の医業外費用は、支払利息、長期前払消費税勘定償却、雑損失を合計した20億4187万5222円で、3の医業外収益から4の医業外費用を差し引きますと48億9897万1352円の利益を計上しているものの、経常損失は7億3995万8468円となっております。
 5の特別利益は1億773万4994円で、6の特別損失は2億4374万6072円であり、差し引き1億3601万1078円の損失を計上しております。
 当年度純損失は8億7596万9546円で、前年度繰越欠損金42億8409万6550円を合計した当年度未処理欠損金は51億6006万6096円となっております。
 5ページをごらんください。
 剰余金計算書について、表の右の欄、資本合計をごらんください。
 前年度末残高39億6866万8389円に対し、前年度処分額がゼロ円、当年度変動額はマイナス8億7596万9546円で、当年度末残高は30億9269万8843円となっております。
 下の欠損金処理計算書について、1行目、当年度末残高の未処理欠損金は51億6006万6096円で、これにつきましては、全額を翌年度に繰り越すこととなります。
 6ページをお開きください。
 平成29年3月31日現在における貸借対照表について、まず資産の部における1の固定資産は(1)の有形固定資産、7ページの(2)の無形固定資産、(3)の投資を合わせた合計で397億2754万6398円となっております。
 2の流動資産は、(1)の現金預金、(2)の未収金、(3)の貯蔵品などを合わせた合計で174億3841万217円となっております。
 1の固定資産、2の流動資産を合わせた資産合計は571億6595万6615円となっております。
 8ページをお開きください。
 次に、負債の部における3の固定負債は、(1)の企業債、(2)の他会計借入金などを合わせた合計で309億2006万1835円となっております。
 4の流動負債は、(2)の企業債、(3)の他会計借入金、(4)のリース債務などを合わせた合計で91億462万5174円となっております。
 5の繰延収益は、(1)の長期前受金から収益化累計額を差し引いた繰延収益合計は140億4857万763円となっております。
 3の固定負債、4の流動負債、5の繰延収益を合わせた負債合計は540億7325万7772円となっております。
 9ページをごらんください。
 資本の部における資本金合計は18億7858万4732円となっております。
 7の剰余金は、(1)の資本剰余金、(2)の利益剰余金の合計で12億1411万4111円となっております。
 6の資本金と7の剰余金を合わせた資本合計は30億9269万8843円で、これに8ページの下の負債合計を加えた負債資本合計は571億6595万6615円となっております。
 以上で、平成28年度沖縄県病院事業会計決算の概要説明を終わります。
 御審査のほど、よろしくお願いいたします。
〇狩俣信子委員長 病院事業局長の説明は終わりました。
 これより質疑を行いますが、本日の質疑につきましては、決算議案の審査等に関する基本的事項(常任委員会に対する調査依頼について)にしたがって行うことにいたします。
 決算特別委員長から調査を依頼された事項は、沖縄県議会委員会条例第2条に定める所管事務に関する決算事項でありますので、十分御留意願います。
 なお、要調査事項の提起の方法及びその取り扱い等については、昨日と同様に行うこととし、本日の質疑終了後に協議いたします。
 質疑及び答弁に当たっては、その都度委員長の許可を得てから、重複することがないよう簡潔にお願いいたします。
 また、質疑に際しては、あらかじめ引用する決算資料の名称、ページ及び事業名等を告げた上で、質疑を行うようお願いいたします。
 さらに、答弁に当たっては、総括的、政策的な質疑に対しては部局長が行い、それ以外はできるだけ担当課長等の補助答弁者が行うことにしたいと思いますので、委員及び執行部の皆さんの御協力をよろしくお願いいたします。
 なお、課長等補助答弁者が答弁を行う際は、あらかじめ職、氏名を告げてください。
 それでは、これより直ちに各決算に対する質疑を行います。
 次呂久成崇委員。
〇次呂久成崇委員 病院事業局からいきたいと思います。当初業務予定量と実績について、沖縄県病院事業会計決算審査意見書の9ページをお願いいたします。
 病院事業では、地方公営企業法及び地方公営企業法施行令の規定に基づいて、予算において患者数を業務予定量として定めているということなのですけれども、これは入院患者数を何名、また外来患者数を何名というように見込んで、この入院外来の収益が幾らという、予算編成に必要な予定量ということでよろしいのでしょうか。
〇山城英昭県立病院課経営企画監 業務予定量につきましては経営目標でありまして、県立病院が医療を最大限に提供できる体制をもとに設定をしています。しかしながら、実際には医療従事者の充足状況や患者の動向等により、業務予定量と実績に差が生じることになります。
 県立病院といたしましては、県立病院が医療を最大限に提供できる体制を整える必要があることから、現行の算出方法を継続したいと考えています。
 なお、収支については病院経営の1年間の収入支出の実績結果を示したものであることから、業務予定量と実績の差による損失につながることはないものと考えております。
〇次呂久成崇委員 平成28年度当初の病院ごとの予定量、入院、外来、実績等を見ますと、南部医療センター・こども医療センターの外来と宮古病院の外来以外は、全てこの予定量を下回っているのです。この要因については、どのように考えていらっしゃいますか。
〇山城英昭県立病院課経営企画監 この予定量に関しましては、先ほど申し上げましたとおり、経営目標でございまして、県立病院が医療を最大限に提供できることを前提としてやっているということです。
〇次呂久成崇委員 下の3年間の合計で見てもずっと下回っています。これがあくまでも目標ということであれば、これは下回ってもいいということなのですか。
〇真栄城守県立病院課長 目標ということで、病院現場としては目標達成のためにいろいろと取り組むことは当然のことと考えていますが、病院現場の現状を見ますと医師等の確保の難しさというところもございまして、目標をそのとおり達成するということ、それも毎年度達成するという状況は現実的には厳しい部分がございます。ただ、御指摘もございますので、やはり現場としましても予定量の確保に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。
〇次呂久成崇委員 県立病院の入院、また外来患者数が減っているということですが、この要因についてどのように考えていらっしゃいますか。
〇真栄城守県立病院課長 病院ごとでさまざまな要因がございますので、細かい説明は難しいところでありますが、例えば県立病院におきましては、地域医療連携についてここ数年来取り組みを進めているところです。
 その中で県立病院の特徴としましては、やはり急性期の重篤な患者を中心に診るという体制の中で、外来患者についてはコントロールをしていきたいということで取り組んでいるところでございます。特に平成28年度においては、県立北部病院で7対1看護を実施する上から患者数をコントロールするといういきさつがございまして、その中で患者数の減少となったところもございます。それから中部病院につきましては、昨年度の10月1日から大病院を受診する際に紹介状を持たずに受診する場合の初診加算が、従来から5000円という価格に―これは国の施策に伴って値上げしたということもございまして、それに伴って外来患者数が減ったと。これは自然減というよりも、あらかじめそういうことをもくろんだ上での減少というところも含まれているというように考えています。
〇次呂久成崇委員 そのようなことでの方向であれば、この予定量を見直すということも必要ではないかと思うのですが、それについてはいかがですか。
〇真栄城守県立病院課長 どの程度まで予定量を現実のベースに合わせて見直していくかということは、個別具体的な検討が必要になるものと思っています。
ただ予定量は低く見積もり過ぎますと、逆に、例えば年度途中で医師が確保できてその分の患者数や収入がふえる場合、それにあわせて業務予定量の見直しとか、あるいは補正予算を組むという必要が出てくる可能性もあります。病院事業としましては、そういった事態に対して補正予算などの手続をとっていると、迅速な対応ができずに経営の効率化の面で支障が出ることも考えられます。そういうこともございまして、やはりある程度少し上振れした予測をもって業務量を設定する必要があると考えています。
〇次呂久成崇委員 病院事業局は、これまでも経営改善に取り組んで、一定の成果を上げてきているかと思います。ただ新八重山病院の建設に係る企業債の償還や老朽化した施設また医療機器の更新など、やはりこれから多額の資金も必要になってくると思いますけれども、その上で、今後の病院の経営はより一層厳しくなるのかと思います。
 現在、未収金の対策はなされていると思いますが、発生防止を含めた組織的な取り組みについてはどうなっているのか伺いたいと思います。
〇山城英昭県立病院課経営企画監 未収金の発生防止の取り組みにつきましては、入院支援室においてメディカルソーシャルワーカーなどが入院時から患者対応や医療費納付相談を実施しています。また、経済的な理由による支払いが困難な患者と市町村へ出向いて、生活困窮者の生活保護申請相談等を実施しています。さらに高額医療費制度や限度額適用認定書発行の援助、出産一時金直接支払い制度、各種公費適用等の社会保障制度の活用支援を実施しているところであります。今後もこれらの取り組みについて、さらに強化、充実を図るとともに、未収金発生防止に努め、未収金回収を病院事業局全体で取り組んでいきたいと思っております。
〇次呂久成崇委員 次に、保健医療部にいきたいと思います。主要施策の成果に関する報告書の6の23の緊急医療用ヘリコプター活用事業、その次の6の24、ヘリコプター等添乗医師等確保事業、これらについて関連のあるものをお聞きしたいと思います。
 これを見ると、現在県内では浦添総合病院で実施していて、搬送件数も405件となっているようです。沖縄本島全域、また本島周辺離島、そして鹿児島県の奄美以南の離島が対象ということなのですが、これは要請があって浦添総合病院に全部の患者さんが来られるのか。それとも県内のほかの病院に搬送するのか、幾つかのケースがあるかと思うのですが、このドクターヘリの概要と内訳等について御説明いただきたいと思います。
〇諸見里真医療政策課長 浦添総合病院に国、県から補助をしまして、沖縄県のドクターヘリを運航しております。昨年の実績が405件でございます。当然、医療機関、急患が発生した場所から役場等を通して防災に来て、そこから搬送に行くという形をとっております。沖縄本島と本島周辺離島という形での対象が範囲になっております。そちらから最寄りというか、患者のかかりつけの医療機関等に行きますので、必ずしも浦添総合病院に運ばれるということではございません。
〇次呂久成崇委員 鹿児島県奄美地域の場合でも県内の病院に運んでくるということですが、この場合の運営費について、鹿児島県の負担はどうなっているのか伺いたいと思います。
〇諸見里真医療政策課長 鹿児島県の奄美3島については、平成20年にドクターヘリが導入されたときの約束で、それ以降毎年搬送しています。その負担金については、搬送件数に応じた割合で負担金をいただくという形で約束がされているところでございます。参考として昨年は2253万円の負担金をいただいております。
〇次呂久成崇委員 ドクターヘリは日中のみの搬送を行っているということなのですが、夜間の対応について伺います。そしてまたドクターヘリがない宮古、八重山地域については、自衛隊や海上保安庁の協力により緊急搬送を実施していますが、この実施状況についても伺いたいと思います。
〇諸見里真医療政策課長 沖縄本島周辺離島については夜間にドクターヘリが稼働できませんので、自衛隊に対応していただいております。宮古、八重山地域については、昼間、夜間も含めて海上保安庁に緊急搬送のお願いをしているところでございます。宮古、八重山における海上保安庁の実績については昨年41件あります。そのうち夜間が25件で約6割近くが夜間という形になっております。
 参考までに、自衛隊につきましてもほぼ同じ割合です。150件中86件が夜間ということで、大体6割ぐらいが沖縄本島周辺離島の搬送という形になっています。
〇次呂久成崇委員 ドクターヘリの医療機器と比べて自衛隊や海上保安庁のヘリ等の医療機器の整備状況はどうなっているのですか。6の24、ヘリコプター等添乗医師等確保事業の実績にあるように、県の補助、医療機器の購入とかあるのですが、そういうことを実際になされているのか伺いたいと思います。
〇諸見里真医療政策課長 当然、沖縄本島の県のドクターヘリは、その機材、医師という形でのドクターヘリでございます。八重山地域や宮古地域、また当然沖縄本島の夜間への対応として自衛隊や海上保安庁についてもほぼ同様の形で整備したいということで、医師の添乗、確保の部分と、ハード部門として医療機器等ポータブル等になるかと思いますが、そういうものも支援していきたいということで、昨年度は約1300万円を離島振興協議会を介して、一緒に機材を購入して、環境をよくしていこうという形で取り組んでいます。
〇次呂久成崇委員 現状は宮古、八重山の先島地方は、ドクターヘリではなくて、自衛隊や海上保安庁の協力によって離島からの患者の搬送を行ったほうがいいと。これに要する経費を考えたときに、現在の状況がやはり一番いいと県は考えていらっしゃるのか。この線引きについて県はどのように考えているかお聞きします。
〇諸見里真医療政策課長 結論から先に言いますと、現状の体制―県のドクターヘリ、宮古、八重山地域につきましては海上保安庁や自衛隊の協力のもとでその体制を維持、強化していきたいと。理由としては、先ほど言ったように、夜間の飛行が6割を占めています。あとは、仮に八重山地域にヘリを導入したとしても、ドクターヘリを運航する医療機関―沖縄本島だと浦添総合病院になりますが、多分県立八重山病院になるかと思います。その場合、通常の診療体制を維持するのがいっぱいいっぱいな状況ですので、それにまたドクターヘリを運航することを病院としてやる場合には、少し急にということは難しいのかと思っています。当面は現在の体制を維持、強化して、特に自衛隊や海上保安庁の体制の部分での機器整備も含めて構築していきたいと考えています。
〇次呂久成崇委員 ドクターヘリと同様の医療機器について、自衛隊機や海上保安庁での整備がもちろん必要かと思います。重篤患者というのは、やはり自衛隊機で沖縄本島に搬送するのですね。その場合、やはりこの医療の空白期間というものがどうしても生じてくると思うのです。そういうところから考えると、今新しい県立八重山病院ができます。この病院は、本当に最南端の中核病院として、やはり八重山圏域の期待が物すごく大きいわけなのです。やはりこの医療提供の空白期間というものをつくらないように、八重山圏域の人々が満足のいく医療の整備が本当に大事ではないかなと考えます。そして、医療の格差というものもなくさないといけない。経済的な負担ですね。沖縄本島に行ったときの経済的な負担をなくすということが県の役割、責務だと思います。そういう意味では、医療機器の整備は大事になってくるのではないのかと思います。
 あえて保健医療部長にお聞きしたいと思います。基金活用ということで3億円の予算を計上していただきましたが、まだこの基金は残額があります。それについて増額できないのかということを含めてお聞きします。
〇砂川靖保健医療部長 基金については、必要であれば増額を検討したいと思います。ただ、あくまでもこの基金は、緊急的な医師確保事業に使うということが条例の目的となっており、医療機器の整備は副次的なものでございます。医師確保やその定着においては有効である場合には基金を活用して医療機器の整備ができることもございますが、それを前提にした基金ではないということについては御理解いただきたいと思います。
〇次呂久成崇委員 沖縄21世紀ビジョン改定計画で、保健医療や福祉関連機能の充実についても、中核的医療機能を担う県立八重山病院における医師及び看護師の安定的な確保を図る、そして施設整備を図るとありますので、ぜひ、今後、基金の活用も含めて継続して検討していただくようお願いします。
〇狩俣信子委員長 亀濱玲子委員。
〇亀濱玲子委員 先ほどからの質疑と少し重なる点もありますが、御容赦ください。病院事業局の会計から質疑をさせていただきます。
 県立病院は、救急医療や高度医療そして周産期医療、不採算部門も含めて離島・僻地などの医療のニーズにも応えるというのが、県民の命のとりでであるとずっと思っているわけです。今回の監査委員の報告として、先ほどの質疑でもありました、当初の業務予定量に比べ少ないということについての課題が指摘されておりますが、皆さんは県立病院の経営安定化計画に基づいて継続してやりますと。平成28年3月の期間延長版の中でもしっかりと患者数の確保というものをうたっていると思います。先ほどから最大限の医療が提供できるということを前提とした予定量であるとお答えいただいているわけですから、そうであるならば、最大限の医療を提供しようとする体制を整えるということがまず前提になるものと思います。
 1点目にお聞きしますが、診療科目の休診状況と診療制限状況を各病院ともお答えください。
〇與那覇博康県立病院課医療企画監 診療科目の設置状況と診療スタッフの充足状況にお答えします。まず医師は定数398名に対して、現在の定員が381名で、17名の欠員となっています。実際に診療制限を行っているのは9月1日現在で6診療科であり、医師6名が不足していることによるものと認識しております。医師については、常時確保に努めていますが、どうしても医師の偏在等がある中で、どのように確保していくのかが課題となっています。
 次に、看護師は定数1843名に対して、現在の定員が1817名で、26名の欠員となっています。看護師の欠員の要因としては、育児休業等による休職者84名に対して、補充の臨時職員の採用が61名にとどまっていることによるものです。
 次に、コメディカルは定数447名に対して、現在の定員が438名で、9名の欠員になっています。コメディカルの欠員の要因は、薬剤師や臨床検査技師の育児休業や普通退職による補充職員がいないためです。
 事務職員は定数187名に対して、定員が185名で、2名の欠員となっております。事務職員の欠員の要因としては、普通退職による補充職員がいないためです。
 次に、診療科の状況について御説明いたします。9月1日時点での医師不足の診療科は6診療科であると先ほど申し上げました。これは北部病院産婦人科で平成28年4月から1名不足していること。北部病院外科で平成29年から8月から1名の不足。南部医療センター・こども医療センターの泌尿器科で平成24年4月から1名不足。中部病院眼科で、平成29年6月から1名不足。宮古病院眼科で平成27年4月から1名不足。八重山病院眼科で平成23年5月から1名不足しており、合計6名の不足となっています。
〇亀濱玲子委員 押しなべて、ドクター17名が欠員。6つの診療科が休診。看護師が26名欠員。コメディカルが9人欠員し、事務員についても欠員という状況です。先ほどの答弁で、各病院でそれぞれの課題があると言われていました。患者数も確保できていないというお話もありましたが、各病院の医療スタッフが充足できていない中で、運営している各病院の課題について、それぞれの病院長にお答えいただきたいと思います。
〇知念清治北部病院長 北部病院は、医師を初めとする職員の確保と、老朽化した医療機器や施設環境の整備が課題であると考えております。
 職員の確保のうち医師については、外科医の退職により夜間緊急対応の維持が困難となったため、北部地区医師会病院に協力していただきながら、毎週火曜日、木曜日、日曜日の午後5時から翌朝8時まで救急患者の受け入れを制限しています。産婦人科も引き続き、診療制限を行っておりますが、その全面再開に向けては現在の3名体制を6名体制に増員する必要があります。
 薬剤師は欠員2名が発生しており、入院患者の服薬指導については午後のみ実施しており、午前は制限を行っている状況であります。
 放射線技師は、夜間の業務はオンコールで対応していますが、必要な職員数を確保した上で、2交代制の導入を検討する必要があるものと考えています。 次に、医療機器の整備はCT、MRIなどの放射線診断機器については耐用年数を超えて使用していることから、安定した医療を提供するために適切な更新が必要と考えております。
 次に、施設環境の整備は、院内の空調管理機器が導入から25年経過しているため、修理部品の確保が困難になりつつあるほか、建物外壁タイルが落下する危険性や、給排水設備が腐食しているとの指摘があり、これについて計画的な更新が必要であると考えています。
〇本竹秀光中部病院長 中部病院は眼科で5月31日に1人退職しています。一番困るのはNICUの未熟児の診療が必要だということで、現在は空白を埋めるために琉球大学医学部附属病院―琉球大学病院から週に1回来てもらって、診察と治療に当たってもらっています。それから、入院患者や成人部門の患者も出てくるので、もう一日ふやしてもらって週に2回琉球大学病院から来てもらっている状況です。次年度から、琉球大学病院にお願いして、さらに1人派遣していただきたいということで、今お願いしているところです。
 ソフト面の課題としては、やはり職員定数の増員です。中部病院の医師は、診療業務以外にも研修教育や離島への業務応援など多くの役割を担っています。そのような中で、当直や時間外勤務での対応など過重な負担が続いています。やはりこれを維持するためには、さらなる増員が必要であると考えています。
 看護師につきましては、産休や育休の取得により、常に実働人員が不足しています。7対1看護体制の維持や、夜間対応可能な臨時的任用職員の確保が困難であるため、不測の事態を見越した余裕のある採用が必要であると感じております。
 コメディカルにつきましては、現行の採用方法では、民間との競争による人材の確保が非常に困難であると感じておりますし、それから薬剤師に関しては欠員の状況がずっと続いており、交代制による勤務体制の維持が困難な状況となっております。
 事務職は、業務の委託化と嘱託員を任用している状況から、正職員が専門的知識を蓄積しにくい環境にあります。
 今後も業務範囲の拡大が見込まれていますので、正職員の全体的な増員が必要であると考えています。
〇佐久本薫南部医療センター・こども医療センター院長 医師に絞ってお答えします。現在、泌尿器科の医師が確保できておりません。そのため長らく泌尿器科を閉じている状況が続いております。県立中部病院に、新たに泌尿器科の医師が赴任したということもありまして、そこから外来という形で応援をいただいており、泌尿器科の診療自体は入院患者を中心に継続しています。できるだけ、泌尿器科について対応できない状況がないように努力しています。
 南部医療センター・こども医療センターの最大の問題は、産婦人科医が5名欠員になっていることです。総合周産期母子医療センターとしての機能を維持しないといけないということで、医師はもとより助産師等のコメディカルにも相当負担がかかっているところです。このため、できるだけ当直をしっかり確保するということで、民間の産婦人科施設や琉球大学病院の産婦人科医局に応援を依頼して、現在のところその機能はぎりぎり維持しております。
〇本永英治宮古病院長 宮古病院は、診療体制を維持するために必要とする人材確保が喫緊の課題となっています。
 平成27年度から眼科医師が不在のため、眼科が休診しております。また、循環器、呼吸器、透析などの専門内科、精神科、小児科等の安定的な診療体制の確保についても苦慮しており、慢性的な医師不足が解消できておりません。
 また、当院のような離島地域は、看護師の確保についても苦慮しております。看護師においては育休や、長期研修及び長期病休などの休職者の補充人員を確保することが困難になっています。宮古島以外の県内・県外へも広く募集を行っていますが、求人に対する応募がない状況であります。特に産休や育休については、常時発生することから、実質的な職員の配置補充に考慮した人員体制の構築も課題となっています。
 そのほか、看護補助員の応募が少なくて、安定的な採用が難しくなっております。また、国家資格を有する人材の確保やその定着も大きな課題となっています。例えば精神保健福祉士は、嘱託員としての雇用条件では継続的な確保が難しく、社会福祉士、臨床検査技師、薬剤師等も慢性的な人員不足であるため、現場職員の業務負担が大きくなっているものと考えています。
〇篠﨑裕子八重山病院副院長 八重山病院の課題としては、次年度開院予定の新病院へ向けての円滑な移転とそこに入れる機器の調達や移設です。新病院の運営を確立するために来年に向けて取り組んでいる状況です。
 本年6月に脳神経外科医が赴任していただきました。それによって6月から9月までの手術に関しても着実にふえていますが、1人の診療科でありますので、かなり本人の負担は大きいと思います。その改善に向けて、脳神経外科医がもう一人いれば、交代で休める環境がつくれるのではないかと思います。
 あと、平成23年の5月から眼科医が不在となっていることから、現在も眼科の休診状態が続いております。
 当院は、地域周産期母子医療センターということでNICUを併設していますので、それに向けて未熟児に関する網膜症の検査や治療が必要になることから、民間のクリニックの眼科医師に依頼して、必要な検査や治療に関して御協力いただいている状況です。
 それと先ほど、ヘリ搬送のお話がありましたが、八重山病院は石垣市に海上保安庁の基地があるために、海上保安庁から要請があって全てに医師が添乗するようになっています。多良間島に行くとしても、八重山病院の医師が添乗して患者さんを搬送している状況です。その中で、当直以外にこれに対応するためのヘリ当番というものを設けて、先生方に対応していただいています。あと、沖縄本島に搬送するときの自衛隊ヘリにも当院の医師が添乗しています。このため、先生が添乗した場合には外来や当直の変更を余儀なくされている状況であります。やはり医師の確保とあわせて医療を担う人材の確保が必要であると考えております。
〇親富祖勝己精和病院長 医師の定数それから精神保健福祉士、作業療法士等の専門職に関する定数についてお話ししたいと思います。
 まず、医療法上、精和病院は単科の精神病院です。精神科のみです。医療法上、随分優遇されているというか、医師の数が少なくて済むような設定になっておりまして、現在の当院の医師の定数は8名となっています。しかしながら、1人でも病休などによる休職者が出ると、定数を維持することが難しくなるという状況です。定数8名に対して現在9名で病院の運営を行っているのですが、そこで短期間ではあっても休職による欠員が生じると診療することが難しくなるということです。
 国の施策として、入院中心の医療から地域へ移行するという大きな目標があります。その場合、現行の医療法に基づく医師の数であれば、従来どおり病院への収容を維持するだけの形になると考えています。他県のさまざまな先進的な医療を行っているところを見学した中で、院長らのお話を聞いてみても、地域へ移行するためには、やはり医師を含めた他職種でチームを組んで―精神保健福祉士、作業療法士、看護師等をチームとして、地域で患者さんたちが定着するということをしなければならないと。そうでなければ、疾患の性質上、再発による入退院を繰り返してしまうことになる。結局は、病院での生活、療養といったものが長くなってしまうということで、国が上げている地域への移行ということは、非常に大きな問題を抱えているものと思っています。やはり医師の定数の見直し、増員を考えること。それから精神保健福祉士、作業療法士等についても、現在嘱託員で対応しております。ただ嘱託で募集すると、民間病院に比べて待遇面で非常に劣るということがあって、経験を積んだベテランの精神保健福祉士、作業療法士等の確保に支障を来しているということがあります。
 今後の精和病院のあり方として、当院は非常に古い施設で、耐用年数もあと10年あるかというところです。今後の沖縄県も例外なく人口減を迎えることを考えると、総合病院への統合も含めた検討を行っているところです。
〇亀濱玲子委員 病院事業局長、各病院の院長が答えていただいたものをまとめてペーパーにして、出していただきたいと思います。
 皆さんがつくられた、県立病院の経営安定化計画の中でも、人員体制の整備と人材の安定確保がうたわれておりますが、今、お伺いすると本当にぎりぎりの状態で、綱渡り状態で経営しているということがわかります。中には、看護師が産休をとるとその補充がないために、看護師が足りない状態でも必死になって働いているということが伝わってきます。ですから、これについてはやはり計画に基づいて対応していかなければいけないと思います。この現状を聞いて、病院事業局長にお答えいただきたいと思います。
〇伊江朝次病院事業局長 今の現場の課題については、県立病院課でも十分に把握できるよう常日ごろからヒアリングを行うなど、現場とのコミュニケーションについて絶やさずにやっております。そういう意味では、人材の確保は病院経営の基本であると思います。人がいなければ県民に対して医療も提供できませんので、人材をしっかり確保できる環境をつくるという意味では、定数交渉をしっかり行って、ぜひ現場で必要な人材を確保していきたいと思っておりますし、医療あるいは社会の変革に対応できる状況を、常日ごろから情報収集しながら対応することが、私たちの努めだと思っています。そういう中でやはり人材確保は、現場からのお話でもありましたが、定数があっても確保できないという、診療科医師の偏在や地域の偏在があります。これについては、やはり現場の問題だけでは解決できないことでもありますし、国や県ともしっかりその辺は対応しながら環境を整備していかないといけないと思っています。ぜひ委員の皆様の御協力もよろしくお願いいたします。
〇亀濱玲子委員 今、環境整備のことをお話いただきましたが、そうであるならば教えていただきたいのですが、病院事業局が平成30年4月1日から適用する給料の調整額についてのお考えを示していると思います。これは9月15日に病院事業局から出ています。これについては職員の調整額あるいは調整数という等級が変わっていくということになると、職員からすると、月々の給与、ボーナスの減額、また退職金に影響をするということもあります。こういったことを、今あえてやらなければならないということについて―もちろんこれから後の話なので、提案されている状況なのですけれども、これについて大幅に調整額や調整数が減らされていく方針についてのお考えをお示しください。
〇金城聡病院事業統括監 病院事業は、本土復帰したときには地方公営企業法の全部適用ではなくて、一部適用ということで知事が管理する形をとっていました。その中で、企業制度ができていますけれども、その本土復帰以来の企業制度の中で、数回にわたり調整数の見直しがなされています。企業制度というのは、常時見直していくというのが大原則でありますので、今回の調整数の見直しについてもその中で提案させていただいております。
〇亀濱玲子委員 これは働く側からすると給料について、例えば調整数が1ある人がゼロになると年間で約10万円から40万円の減額になるという試算があったりと、非常に職員にとって働きにくい環境になっていくのではないかと思いますので、これについては、慎重に議論を進めていただきたいと思います。
 先ほど経営改善の取り組みの中で、未収金対策については納付相談を行っているということでしたけれども、全ての県立病院がしっかりと子ども生活福祉部との連携はできているのか。さらには弁護士に業務委託をしてスムーズにいくように工夫をしているということについて全病院できちんと取り組まれているかお答えください。
〇山城英昭県立病院課経営企画監 子ども生活福祉部との連携については、各病院や自治体と地域連携協議会を開催し、お互いの現状や患者の福祉制度の相談など、問題解決に向けた調整を実施しています。また、支払い困難な患者の経済面や生活面については、市町村へ出向き、生活困窮者の生活保護申請相談等、未収金対策を講じています。さらに、高額療養制度等の社会保障制度の活用支援を実施しているところです。
 また、弁護士への委託業務に関しては、現在、北部病院、中部病院、宮古病院において実施し、未収金の回収強化に努めております。
〇亀濱玲子委員 これは、実績がきちんと上がってきているという報告と受けとめます。先ほどの答弁でさらに強化していくという方針をお答えいただいておりますが、どのようにして強化していくお考えですか。
〇山城英昭県立病院課経営企画監 未収金につきましては、さまざまな施策や限度額適用認定証の提出の徹底等を患者や家族の皆様に対して周知し、管理を行い、さらに関連機関と密接に連携することによって未収金の発生を最小限に押さえる取り組みを実行していきたいと考えています。
 また、長期未納患者や返済能力がない患者とその家族につきましては、不納欠損の手続等を検討し、悪質な未納者と判断した患者や家族につきましては、法的措置委員会を開催し法的処置も実施しております。また、知事部局で実施しています未収債権の縮減に向けた取り組みを参考にして、対応していきたいと思っております。
〇亀濱玲子委員 ぜひ、各県立病院が支払い困難な方を福祉につなぐという対応について、丁寧にきめ細かく行っていただきたいということを希望します。
 続いて、沖縄県病院事業会計決算審査意見書の7ページに、県立病院が抱える附属診療所の状況が載っておりますけれども、これについて現在の状況と課題をお答えください。
〇與那覇博康県立病院課医療企画監 附属診療所の状況と課題については、各診療所で少しずつ違いがあります。まず課題から申し上げますと、医師等の安定確保というのが1番目に来るということ。2番目には、観光客が年々増加していて、外国人観光客に対する言葉の対応と、一部の観光客ではありますが、その過大な要求や要望にどうやって応えていくかということ。3番目に、診療所の建物や医療機器の老朽化ということがあります。4番目に、医師や看護師が定着するための代診制度などの担保が課題だと考えております。状況という意味においては、診療所によって多少の違いはありますが、課題があるということは、そういうところが十分に担保できていないということが現状としてあるということです。
〇亀濱玲子委員 19カ所の診療所の中で3カ所が休止という状況であるということですが、これの対応についてはどうなっていますか。
〇真栄城守県立病院課長 御指摘のとおり、条例上19カ所の診療所がございまして、そのうち現在休止となっておりますのが、北部病院管轄でいうと安田と古宇利です。それから八重山病院管轄では伊原間になります。
 古宇利につきましては架橋されましたので、診療所として継続する必要性が弱くなったという判断をして、現在休止している状況でございますが、今後、今帰仁村が施設を活用して事業展開を考えていると聞いています。まだ具体的な進展はない状況ですが、今帰仁村に譲渡するという方向で検討している段階です。
 安田につきましては、村が診療所を運営しておりまして、県立病院としては実質運営しておりませんけれども、医療については継続されている状況でございます。これについても、いずれ村と協議をして施設の取り扱いについて定めていくことになると思っています。
 伊原間につきましては、診療所としての開設は休止しておりますが、八重山病院から巡回診療という形で診療を実施しております。当面休所の状況には変わりはありませんけれども、そのような対応をしているところです。
〇亀濱玲子委員 巡回診療が行われているということなので、住民の意向をしっかり踏まえながら進めていただきたいと思います。
 地域医療構想の中で伺います。同構想の中に、沖縄愛楽園と宮古南静園の病床数は数えられていないのですが、例えば診療所として地域の連携、医療の連携というものとの関連について、もし県が何らかの方針を持っているのでしたら教えてください。
〇諸見里真医療政策課長 委員がおっしゃっているように、地域医療構想の中では、一部はありますが、基本的にはカウントされておりません。また、現時点では連携という形で構想の中では整理されておりません。
〇亀濱玲子委員 宮古病院に深く関係されているので、本永宮古病院長はよく御存じだと思います。実は、県立病院と療養所のベッド数がうまく活用―入所者の方に迷惑がかからないようにですが、活用できる方法や診療について、地域がそこを外来で利用するということについては、既に宮古島市の南静園では開かれています。このことを県もしっかりと踏まえて、宮古病院もそうですし、県立病院との連携については、沖縄本島北部にあります愛楽園や宮古島市の南静園も話し合う機会をぜひ持っていただきたいと思います。これについてはいかがでしょうか。
〇砂川靖保健医療部長 今の件については、地域住民にとってどのようなものがいいのかという観点から考える必要があるだろうということで、名護市長と話したときに、名護市は屋我地に診療所を持っているものですから―市立屋我地診療所の近くにせっかく愛楽園があるので、そこを診療所として活用したほうがいいのではないかとお話ししたのですが、どうしても愛楽園の診療所は、入所者を優先することになってしまうということで、屋我地に住んでいる人にとっては使い勝手が悪いのだという話がございました。そういったことからも、医療の効率的な提供体制という観点から、今後、この点については関心を持って考えていきたいと思います。
〇亀濱玲子委員 時間がかかると思いますが、丁寧に地域医療構想の中で、それぞれの療養所を大事にして、連携できるところを模索していただきたいと思います。
 続いて、衛生費の決算の145、146について質疑します。
 その中の小児特性疾患あるいは特定疾患の対策費については、執行率は高いのですが、不用額があります。それについて説明をお願いします。
〇山川宗貞地域保健課長 小児慢性特定疾病等対策費の主な内容としましては、小児がんなどその治療が長期にわたり、医療費の負担額も高額になる特定の疾病について、医療費の一部を補助する小児慢性特定疾病医療費助成事業で、その主な経費が扶助費となっております。
 小児慢性特定疾病医療費助成事業は、平成27年度1月より児童福祉法の一部を改正する法律が施行され、対象疾病が514疾患から704疾患にふえたため、平成27年度の当初予算で扶助費を6億8389万8000円計上しましたが、平成27年度の決算額は5億581万円と見込まれたことから、平成28年度は1億5956万1000円を減額し、5億2433万7000円としたところであります。
〇亀濱玲子委員 ふえたことも原因だったのですね。 続いて、ハンセン病対策費の執行率が76%と低いのはなぜでしょうか。
〇山川宗貞地域保健課長 ハンセン病対策費の中のハンセン病療養所入所者家族援護費についてお答えします。この中に幾つかの事業があるのですが、これはハンセン病療養所入所者の家族に対する援護費用になります。この当初予算額が584万6000円でしたが、実際の支出は451万4244円となり、不用額が133万1756円となっております。この事業は、新たな家族からの申請があることを見越して積算している費用なのですが、それが今回は1組余ってしまったということで不用額が生じています。
〇亀濱玲子委員 これについて、対象者が受け取れる環境は十分につくられているものと考えてよろしいですか。
〇山川宗貞地域保健課長 これは、愛楽園や南静園の関係者を通してその家族に対して周知を図っております。それによって申請を受ける制度になっていますので、県としては引き続き、周知を図っていきたいと考えております。
〇亀濱玲子委員 ドクターヘリの状況を次呂久委員から聞いていただきました。確認ですが、海上保安庁のヘリ、自衛隊のヘリ、それとドクターヘリの医療面における違い、医療の充実度の違いを明確に示してください。
〇諸見里真医療政策課長 先ほど少し述べましたが、当然、ドクターヘリは医療機材等を常備しております。海上保安庁と自衛隊につきましては、搭乗するときにポータブル等の機器を含めて整備をしていると。八重山地域につきましては、県立八重山病院から医療機器を持っていくという形で―その部分の機器等については1300万円で購入しております。医療機器につきましては大体17種類購入していまして心電図、AED、ストレッチャーなど、一通りのものはそろえております。ただドクターヘリと同程度というものはなかなか難しいのですが、そこに近づけていくような形で、今後も引き続き支援していきたいと思います。
〇狩俣信子委員長 比嘉京子委員。
〇比嘉京子委員 各病院の院長をお迎えしてお話を伺うことは、予算特別委員会や決算特別委員会ぐらいしかありませんので、とても勉強になります。
 今の2人の質疑を踏まえて質疑します。
 先ほど病院事業局長が、病院経営の大もとというか、重要なのは人材確保なのだとおっしゃっていました。それから、各病院長からのお話の中で、課題等については、やはり人材確保について深刻な状況があるものと認識しました。医師のみならず、コメディカルや事務職も含めて、非常に深刻であることを再認識したところです。
 まず、保健医療部にお聞きします。3番目の医師確保事業の総額と実績について伺います。
〇大城博保健医療総務課長 平成28年度は医師確保対策に関連して、26の事業を実施し、決算額は18億9634万5000円となっております。医師確保の実績としては、県全体で延べ139名の医師を確保しており、そのうち131名は離島・僻地の医療機関における確保の実績となっております。このほか、離島診療所の医師が研修や休暇等で不在となる場合の代診医の派遣につきましては、町村の診療所も含む実績でありますが、20診療所で242日分を実施したところです。
 さらに、県による眼科、耳鼻咽喉科、整形外科等の専門医による離島の巡回診療が9診療所で、延べ106日間実施したところでございます。
〇比嘉京子委員 今、医師確保対策事業に18億円余りを費やしているというお話がありましたが、かつてはその倍以上―数年前であったかと思いますが、40億円を超えるような時代もあったかなと思います。今、かなり落ちてきているのかなと思いますが―そのようなこともないですか。それは、認識の誤りですね。診療における偏在等が確かにあるのかと思いますが、民間では医師不足ということを余り聞かないのです。なぜ県立病院にこれだけ医師が集まらないのか、なぜ難しいのか、その理由はどこにあると思いますか。
〇伊江朝次病院事業局長 今、委員がおっしゃった民間病院での医師不足を聞かないということは、多分、都会の民間病院だと考えております。総じて、民間でも離島・僻地の病院を見ていますと、常勤医はなかなかいない。いたとしても院長1人だけで、あとは本院から研修医を二、三カ月で交代するとか、あるいは本院の院長や副院長が毎週1回来るというような状況なのです。そういう意味では、県立病院における医師の充足状況については、まだ離島・僻地における民間病院よりはいいというように考えております。ですから現在の、どうしても都市地区に偏在するという状況をどのようにして解決していくかということが大変重要な課題だと思っています。それぞれの人生において、どうしても家族一緒に住まないといけないという状況の中で単身で赴任するという―私もそうでしたが、そのような状況が許せるような人、そうでない人もいますので、こういったところを我々はどのように配慮していくのか。地域偏在や診療偏在を嘆いても仕方がないわけですから、やはり少しでも人が動けるような状況、行ってもらえるような状況をつくることが、我々の責務だと思っております。
〇比嘉京子委員 医師以外のコメディカルについて、それを確保できないことについてはどうでしょうか。
〇伊江朝次病院事業局長 県立病院においては、職種によって定数が十分に確保できていないこともございます。
 最近の傾向としては、我々が、薬剤師について定数増を図って、その確保ができるような環境をつくりましたが、なかなか来てもらえない状況がございます。これは国の医療政策で、いわゆる応需薬局というか、院外薬局がある程度薬を出せるような状況になっていて、それだけ地域の薬局のニーズが高まっているせいなのかなと感じております。もう一つは、それ以外についても、薬剤師のニーズが、例えば製薬会社などからのニーズもかなり高まっているという状況です。以前でしたら薬剤師は、かなりの方が県立病院に来ていましたけど、現在の病院は、なかなか就労環境も含めて厳しいような状況があるということです。それと給与の問題です。このような問題もあると思いますので、この辺は逐次見直していく必要があると考えております。いずれにしても供給に対して需要がかなり上回っているというのが昨今の状況ではないのかなと考えています。
〇比嘉京子委員 かつてのように考え直さないといけないのかなと。続いて、お聞きしたいことは、例えば、コメディカル―作業療法士や理学療法士等は離島においては、正職員として求人していないので、なかなか確保ができないという実態はございませんか。
〇伊江朝次病院事業局長 確かに、ほとんどが嘱託員や臨時的任用職員―臨任とか、臨任は正職員待遇でございますが、いわゆる常勤ではないという形になっいます。けれども、以前に比べると、かなり関係機関の御理解を得て、定数の増は図られたというように考えています。
 今後懸念するのは、少子化時代に対して、医療のニーズというか、高齢者の皆さんたちからのニーズがふえているという状況にミスマッチがあるのかなと。ですから、つい数年前までは非常に就職困難な時期があって、看護師の皆さんもかなり看護学校に来たりした状況がございましたが、今後は、その辺のところでかなり少子化の影響が出てくるのではないかと考えています。そういう意味では、人材をどのようにして確保していくのか。どうしてもやはり雇用条件のよしあしが競争になると思いますので、その辺をできる限りよくしないと来てもらえないのではないのかと。沖縄県は島嶼県でありますし、離島・僻地も抱えている状況から大変なハンデがあります。それをカバーできるような状況をつくっていかければならないのかと思っています。
〇比嘉京子委員 定数の枠を広げてほしいとの御意見があれば、各病院長からお聞かせいただけませんか。
〇知念清治北部病院長 医師の定数については、やはりふやしてほしいと思っています。
〇本竹秀光中部病院長 今、労働基準監督署から勧告を受けた問題で、各県立病院は、特に医師の問題で苦慮しております。例えば、三六協定で大体750時間でやったときに、どれくらいの人数が必要かについては試算しておりますが、中部病院であれば60人ぐらいという話になってきますが、現実の問題として60人の医者を集めるのは不可能なところがありますけれども、少しずつふやしていかないと困難であると考えています。そのためには、やはり定数をふやしていただかないと、それも解決できないと思います。
〇佐久本薫南部医療センター・こども医療センター院長 現状として、定数を埋められていない診療科があります。病院事業局長がお答えになったように、診療科によるドクターの偏在化とういうことは国を挙げて是正していく必要があるかと思います。
 それ以外にも、今非常に過重な労働を強いられている診療科がありまして、それを補うための定数の増員はどうしても必要になってくるものと考えています。医師も労働者であるということを認識し、働き方を変えていかないといけない。そういう全体の業務の見直しは、各病院もやっているつもりですが、それを補うための人材確保ということに大変苦労しているというのが現状です。適正な定数をいただいて、それを埋めるべく努力させていただければ、ありがたいものと考えています。
〇本永英治宮古病院長 宮古病院も医師だけではなくて、看護師やソーシャルワーカー、PSWという精神保健福祉士、それから臨床検査技士など、いろいろな分野で定数増の要求をしています。宮古地域の医療の質を維持していくために、どうしてもやはり必要なものです。今、実は救急医療を維持するだけでもぎりぎりの状況なので、もっと質の高い、レベルの高い医療を提供していくためにも各分野における職種をぜひふやしていってほしいと願っております。
〇篠﨑裕子八重山病院副院長 八重山病院も新病院に向けて、やはり入院などがふえる可能性が出てくると思いますので、それに見合った医師の数をふやしていただきたい。労働基準監督署からの勧告の問題も含めて、人数を確保するということは必要だと思っています。
 あと看護師に関しても、なかなか八重山圏域でハローワークなどに出しても来ていただけない、その分はやはり正職員という担保がないと看護師は来ないという現状ですので、そちらもやはり定数としてふやしていただきたい。
 それとコメディカルに関しては、やはり地域と連携するためには、先ほど本永宮古病院長からもありましたように、ソーシャルワーカーなどの位置づけがとても必要になってきます。あと患者との臨床的な面での相談のためにも、臨床心理士など新しく出てきた職種に関しても定数化をしていただきながら、その必要性を考慮した人材の確保、それに向けた定数化というのは必要であると思います。
〇親富祖勝己精和病院長 本竹中部病院長からもありましたように、現時点で県立病院に求められている労働基準法の遵守を考えると、どの診療科も1診療科当たり24時間365日を1人の当直医がカバーするとなると、同法を守るためには少なくとも12人から13人程度の人数になることは間違いありません。
 精和病院の場合には、精神科だけ特別の人数になっていて、250床に対して医療法上の定数は8人なのです。非常に医療密度の低い状態です。これは、かつて精神科医療が施設収容中心だったせいなのです。今、求められているのは、地域移行や地域定着なのです。そうなると、医療法が定めている人数というものを参考にして、単科の精神病院、精神科の定数を決めること自体に無理があると。現代的な国の政策に沿っていないということです。国自体も恐らく矛盾したところで、医療法を放置しているのだろうと思います。ですから、ぜひ定数増をお願いしたいと思います。
 それから、地域移行や地域定着を行うためには、医師だけではなくてコメディカルの方たち、特に精神保健福祉士、作業療法士、心理士、看護師や医師でチームをつくって、患者が地域で再発することを予防し、再入院することを予防しなければ地域定着というものは難しいです。病院で頑張れば、地域移行は可能です。しかし、一旦地域に移行しても、そこで定着するかどうかが精神科医療の鍵なのです。地域定着がなければ、また再入院を繰り返すと、結局収容という状態になっていくということが懸念されています。
〇比嘉京子委員 今、労働基準監督署からの勧告の問題があって、たしか15.5時間ということで皆さんは御検討いただくのであろうと思うのですけれど、この機会に、やはり行政職の方の考え方というものは、人をふやせば人件費がふえるという意識が非常に根強くあると思うのです。しかし、病院事業局においては、人がお金を生み出しているわけです。これは、本来、もちろんお金を生み出すことが目的ではなく、地域の医療を守るということ。そして医療の質を担保とすることによって、結果として報酬をいただくことになると思います。そのことを考えますと、私は定数を改正するのには、とてもいい機会だと思うのです。そして行政の定数と、病院事業局の定数を切り離すべきだと思うのです。それについてのお考えをお聞かせください。
〇金城聡病院事業統括監 委員がおっしゃっていることが、条例を別にするという意味であれば、これは法制的・技術的な問題であると思います。定数でで言いますと、条例で定めるというのが本来の趣旨であります。知事が定める条例を一つにするのか、2つにするのかは、知事が考える法制的な技術的な問題であるかと思います。
〇比嘉京子委員 これは不可能なことではなく、本来、病院事業局は独立―これは部局レベルではなくて、その位置づけとして知事との間に線が引かれていると思います。でも部長があってラインとしてお座りをいただいているわけですけれども、そのことから考えましても、病院事業局長はしっかりと現場の意見と―あと地域住民の健康、命という最重要課題を負っていると思うのです。そのことからすると、これまでたくさん議論がなされてきた中において、私はやはり何年たっても、手足を縛りながら稼げというのかという論を忘れてはいけないと思います。そう考えると、自由な裁量を各病院に与えて、そこは経営も考えながらどうしていくのか。多分、医師については、生涯お務めになる方がかなり少なくなっていて、おっしゃるようにローテーションの期間が非常に長くなっていると。そうすると、引当金の問題とかも含めてどうなのだろうと思っているわけですが、そのことを考えましても、私はここは大きな英断で―我々もうんと支援したいと本当に思います。なぜかというと、医療が質を目指していける、またはやりがいがある、そして意識が落ちないようにする。そのようなことを考えると、私は大もとは、本当に定数ではないかと、改めて認識をしました。ぜひ定数改正に向けて、または定数を分離させるということに向けて、我々も議論していきたいと思います。ぜひ大胆な改革案を病院事業局から出していただきたい。保健医療部も医師確保ということの困難さと苦労をいかにしてその権限を与えていくのか。今、ある意味で権限さえも与えられていないわけです。これはやはりいけないと思います。だから、もう一度原点に戻って、人材の確保をもっと委ねていく、正規雇用も委ねていく、そして今、行政マンが大枠の定数を持っているけれども、実質人数というものは定数の中に入っているわけですね。定数を超えて人は採らないということの中で―行政マンだって定数がある中で、そのもとで採用しているわけです。ですから定数の枠を広げるということであって、その枠分を全部皆さんが使うということにはならないと思うのです。そのことをもう一度、私たちはやっていく必要があると思っています。
 先ほどから未収金の問題。前年度より7000万円以上減ったということでありますが、そこで問題になっているのが、メディカルソーシャルワーカー等っていう「等」のところなのですけどれも、「等」の中に―このことは毎年のように監査委員から指摘があり、ここでいう社会福祉士や臨床心理士は、県にこういう職種はあるのですか。採用しているのですか、どうなのですか。
〇金城聡病院事業統括監 委員が今おっしゃる職種については、病院事業局組織規程に基づいて設置しております。それぞれの職について、採用することができるような職種として組織テーマごとに定めています。その職について必要な業務量があって定数が配置されていれば、その配置された職に職員を任用するというようなことになると思います。
〇比嘉京子委員 この職種において、募集をかけて正規雇用は実現されていると理解していいですか。
〇與那覇博康県立病院課医療企画監 MSW―医療ソーシャルワーカーPSW―精神ソーシャルワーカーについても定数はございます。ただ、今、未収金を含めて地域連携室絡みの業務がどんどんふえていっている中で、定数は十分な数ではなく、その増員を考えなければいけないと思っています。今おっしゃった職種に関しては、基本的には定数は全てありますが、定数の数として十分ではないということになると思います。
〇比嘉京子委員 職種としてとることはできるが、十分に足りていない。その足りないところに正規の職員としてとれるかとれないかという問題もあると考えていいわけですね。やはり皆さんの中で―もう一つ6ページに、監査委員の意見で毎年のように出てくる是正と改善に対する事項というのがあるのです。それについても毎年指摘されていますけれども、ことしは去年のものと比較すると厳しい指摘になっているのです。それはなぜかというと、かなりしびれを切らした言い方になっていると思うのです。契約事務、各種手当など、極めて基本的な事務において不適切な事務処理が多いという指摘があります。そして、その発生原因を分析しなさいという指摘になっているのです。それを監査委員に17日に質疑いたしました。そうすると、こんな回答がありました。病床100床当たり、沖縄では7.2人ですと。だけれども、全国的には10.3名です。つまりここでも人が足りていないのではないか。私は、この基本的な事務における不適切な処理というものは、事務職員のスキルの問題なのかわからなかったのですが、そのことをもう少し詳しく指摘していただけませんかと聞いたら、監査委員は人数の問題だという指摘をなさいました。ここでも人手の問題だということも含めて、病院のこれからの継続的・安定的な沖縄県民の医療を守るという立場を考えると、やはり、ここは職員数や人材の問題だということを指摘をさせていただきたい思います。
〇狩俣信子委員長 休憩いたします。
   午前11時57分休憩
   午後1時20分再開
〇狩俣信子委員長 再開いたします。
 午前に引き続き、質疑を行います。
 平良昭一委員。
〇平良昭一委員 主要政策に関する報告書の6の4ページ、親子で歯っぴープロジェクト関連で伺います。県内の人口比から見た歯科医師数は、全国比ではどのような状況になっていますか。
〇諸見里真医療政策課長 人口10万人当たりの歯科医師数につきましては全国が79.4人、沖縄県が57.6人で全国より21.8人少なくなっております。
〇平良昭一委員 離島を抱える沖縄県ですので、離島における歯科医師の対策はかなり前から言われています。保育園を含めて小・中学校ですけれども、そういう中で、なかなか歯科検査などができないということの悩みは昔から続いています。歯科医師がいない離島・過疎地域の取り組み等については、県ではどのようなことを行っていますか。
〇諸見里真医療政策課長 従来は、巡回で歯科診療をやっておりましたが、現時点ではそれについてはやっていない状況でございます。
〇平良昭一委員 この巡回ができなくなった理由を教えてください。
〇阿部義則保健医療部参事 歯科巡回診療については、これまで地域を決めて毎年、定期的に診療しておりました。4年ほど前に地域医療再生基金がございまして、これを活用して、歯科診療のニーズが高いと言われていた波照間島と渡名喜島に歯科診療所を整備いたしました。これによって、ほぼニーズが高いところについては、カバーできただろうということで、歯科巡回については一旦閉じたという事情がございます。
〇平良昭一委員 その地域はそれなりのカバーができたということでありますが、それ以外のところについてもかなり歯科に関しては厳しい状況なのです。離島や過疎の地域です。一番に、歯から病気は来ると言われていますので―特に幼児についてですね。親子でそういうことをやっていこうとする趣旨は大変理解できます。ただ現状において、まだまだ足りない部分があるということなので、それに変わるものについていろいろと考えないといけない。その辺は、これまで、ほかの医療に関しては離島への助成―沖縄本島で受診する際の助成等もいろいろありますが、当然、歯科診療についても助成の対象になっていますよね。
〇諸見里真医療政策課長 離島患者の支援の関係だと思いますが、歯科に関しては今のところ対象にはなっていません。
〇平良昭一委員 それはおかしいと思います。当然、それも対象になるべきものだと思うし、皆さんのこの事業の趣旨は子供たちですね。親子でそういうプロジェクトに取り組んでということですので、当然、歯科の施設がない場合には、沖縄本島に行かないといけない。これを考えると、幼児や子供1人で行くわけにはいかないので、親子で行くことになる。その辺の助成も当然あるべきだと思いますけれども、どうですか。なぜ、歯科について、本来の医療施設とは別個として考えるのですか。
〇諸見里真医療政策課長 現在の離島―今回の新しい事業は7疾病―疾患等について補助します。あくまでも市町村が実施する分について半額を支援するという仕組みになっています。毎年度、市町村等と話し合いを続けていきますので、この辺で要望があれば検討が可能か議論していきたいと思います。
〇平良昭一委員 対応していただきたいと思います。
 次は、自殺対策強化事業ですが、ここ数年の自殺の件数の推移を教えてください。
〇山川宗貞地域保健課長 直近の平成25年から3年間のものでお答えします。沖縄県の自殺者数は平成25年度が278人、平成26年度が284人、平成27人が281人となっています。
〇平良昭一委員 推移を見ると、そんなに増減はないということになるかもしれませんが、県として、抜本的な改善のための新しい自殺防止対策や方針などは考えていますか。
〇山川宗貞地域保健課長 県では、自殺対策強化事業というものを設けております。当該事業は、県及び市町村が行う相談や、人材育成、普及啓発、地域ネットワークの強化などの基幹的事業や特に必要性が高い自殺対策に関して、地域の特性に応じた効率的な対策を後押ししています。例えば市町村事業への補助、ゲートキーパー養成研修や、講師派遣事業、またかかりつけ医を対象とした研修、自殺未遂者再企図防止事業などがございます。これらは地域における、さらなる自殺対策の強化を図る事業となっております。
〇平良昭一委員 結局、3年間の統計を見ていて、そんなに推移の状況が変わらないということは、抜本的な対策が講じられていないということではないのですか。新しい考え方を持って臨まないといけない状況があると思います。その辺は、今後の検討課題だと思いますので、ぜひ理解して取り組んでいただきたいと思います。
 次に、北部地域及び離島緊急医師確保対策基金について伺います。これまでの実績として26件、18億円余りの予算を使って、139人を確保できたということで、これについてはいいことだと思います。今後の基金のあり方についてお伺いできればと思います。平成30年度で、基金が一旦切れるということになりますので、平成30年以後の基金についてどういう考えをお持ちですか。
〇大城博保健医療総務課長 琉球大学医学部の地域枠の学生が専門研修を終えて、離島・僻地での勤務義務を実施していくのが、早くても平成32年度以降になっていて、その後、徐々に離島で勤務をする地域枠の卒業者の数はふえてまいります。平成41年度以降は自治医科大学による養成、それから県立病院で養成した後期研修医や地域学生も含めて、毎年度100名程度、安定的に勤務する医師が確保できるものと見込んでおります。現在、北部、離島の緊急医師確保基金を活用して、医師確保のための事業実施をしているところです。保健医療部といたしましては、医師が安定的に確保できるまでの間、同基金は必要であると考えておりまして、条例に基づく基金の設置期間の延長も視野に検討しているところでございます。
〇平良昭一委員 延長も考えているということですね。
 新八重山病院の医療機器を購入するということですが、条例がこの基金の中にもかかわってくるということで、新病院に新しい医療機器を入れることについては、条例に反するようなことになるのですか。
〇大城博保健医療総務課長 この緊急医師確保基金の目的ですけれども、この基金は、本県の北部地域及び離島における医師の確保を図るために、県が緊急に行う事業の費用等の財源に充てるということにしております。当然、医療機器の整備を目的にしているわけではなく、医師の確保を目的としているので、こういった条例の趣旨や目的に沿って事業を実施していく必要があると考えています。
 今回の八重山病院の脳神外科医、外科の医療提供体制の整備に係る機器整備といいますのは、八重山地域における脳神経外科医の定着、確保に係る必要性が非常に高い、緊急性が高いということに着目して、基金を活用して事業を実施したところです。
〇平良昭一委員 八重山病院だけではなくて、ほかの病院でもそういう医師確保のために機材を購入している実例はあるわけです。現場の八重山病院副院長も来ていますけれども、最新の医療機器があれば当然医師確保につながります。やる気が出てきますね。そういう観点から、行政側と現場側との違いが出てきていると思うのです。その辺について、八重山病院副院長はどうお考えですか。
〇篠﨑裕子八重山病院副院長 やはり医療機器というものは、医師が診断や治療をしていく際に、必要とする検査などに使うものですから、新しい検査機器について最新の物があるということは医師のモチベーションにもつながるものと思っております。
〇平良昭一委員 そのとおりです。医師はいい医療機器があれば行きます。医師確保につながるのであれば、当然条例の範疇です。だからもう少し柔軟性を持って対応していただくことが大事だと思います。これから、基金を延長していくことを考えていきたいということでありますので、今後は柔軟性を持って対応していただきたいと思っています。
 次に、北部病院の産婦人科の完全な診療体制の確立は長年の課題でした。現在も3人。6人いないとできないということでありますけれども、知念北部病院長がお見えですので、現場から医師確保についての手段、方法、要望等があれば、ぜひこの機会に行政側にお伝えいただきたいと思います。
〇知念清治北部病院長 現在、医師の派遣事業等を利用して医師の確保に努めていますので、そういうものに基づいてやってきたいと思います。
〇平良昭一委員 本当に、これは20年来の課題です。若い方々が、中・南部地域から北部地域に里帰りしてきても子供を産める状況にないということで、また戻るという状況を何度も聞いています。ぜひ魅力あるヤンバルのために子供を産み、育てる環境について、北部病院においても長年の課題であり、苦労しているのはわかりますが、ぜひ、行政と現場が協力して抜本的な改革を進めてほしいと思っております。
 次に、HIVの県内の状況についてお聞きします。
〇山川宗貞地域保健課長 沖縄県内のHIV感染者・エイズ患者の届け出状況の直近の3年間を見ると平成26年の33名がピークとなっています。平成27年が27名、平成28年が22名、今年度はまだ途中ですが、現在14名の報告がございます。
〇平良昭一委員 報告を受けている人数等については、当然どなたであるかということは、皆さん熟知しているわけですね。県内のどこに在住してるかということなどはわかっているのですか。
〇山川宗貞地域保健課長 沖縄県内ということですが、実際に居住しているところについては正確には把握しておりません。
〇平良昭一委員 HIVに対する診察や治療を行えるところは、県内で3カ所と聞きましたが、その病院はどこになりますか。
〇山川宗貞地域保健課長 沖縄県内ではエイズ治療中核拠点病院として琉球大学医学部付属病院、エイズ治療拠点病院として県立中部病院と県立南部医療センター・こども医療センターが指定されております。また、薬を与えることについては、県立宮古病院も対応している状況です。
〇平良昭一委員 感染した方からの御相談があったこととして、普通に生活するためには仕事をしたいと。別に見た目は変わらないわけですから、そういう面ではその対応する窓口が病院側にあるということですが、この3カ所の病院には、そういうあっせん、指導や相談ができるような状況は整っていますか。
〇山川宗貞地域保健課長 HIV感染者やエイズ患者に関しましては、拠点病院の看護師やケースワーカーが研修を受けたり専門性を持って、さまざまな悩みを持つ患者さんに個別に対応している状況です。
〇平良昭一委員 病院でそういう相談があったとしても、実際職場との連携が全くとれていないわけでして、土木建築業に従事しようと思うと、かなり気になってできなくなるということもあります。また、感染している本人がどのような仕事につけるのかわからないし、就労について民間の方と行政機関との調整がもっとうまくできないのかと思います。病院側の努力は認めますが、その後の展開について、どのような障害があるのかわからないし、その辺はどのような考え方がありますか。
〇山川宗貞地域保健課長 各病院で、個別に看護師やケースワーカーが対応することに加えまして、県では沖縄県エイズカウンセリング事業を沖縄県臨床心理士会に委託して、患者が抱える病気や治療の不安、就労や恋愛など、今後の生活に関することについて心理的支援を必要とする患者の方に対して、専門知識を有する臨床心理士を派遣してそれぞれの相談内容に対応しています。
〇平良昭一委員 それはわかっています。民間との連携によって、どう仕事としてつながりをもっていけるかということ。何て言うかな……。
〇山川宗貞地域保健課長 ハローワークとの連携については、難病の場合にはうまくいくような感じなのですが、どうしてもHIV感染に関しては個人的な問題があって相談しにくいということがあるので、こちらとしても少し気にしているところであります。
〇平良昭一委員 確かに相談しにくいから、そこを病院側でうまくカバーして、本人が間に入らないような状況をつくってほしいということです。その辺は研究課題となりますので、お願いします。
 病院事業局に伺います。
 沖縄県病院事業会計決算審査意見書の中の審査意見に対する見解と対策についてですが、労働基準監督署の是正勧告を受けた内容で、医師の夜間勤務に対する時間外勤務手当の支給について、いろいろと言われてきました。その手続等の流れや今後の影響、また対策についてお聞かせください。
〇真栄城守県立病院課長 今回、労働基準監督署から是正勧告がございました主なものは、医師の当直勤務につきまして、従来は本土復帰後は15.5時間の当直時間のうち8時間分を時間外勤務手当として支給していた実績がございますけれども、これに対して、労働基準監督署から拘束時間は全て勤務時間に当たるとの指摘がございました。その中で、15.5時間全てについて時間外勤務手当として支給すべしという勧告がございました。それに基づきまして、いわゆる未払いがあるという認識に至りました。その未払い分について、県立病院全ての当直にかかわったドクターについて2年さかのぼりまして、個人個人、そして一人1日ごとの勤務時間について、再度確認をしながら未払い分の額の確定を行い、なおかつそれに各種の税金の部分の天引き、共済関係の費用の差し引きといった関連する計算も含めて少し細かい作業がございます。そういう関係もありまして、今、各病院で支給に向けた作業を行っております。そのような中で、精和病院は医者の数が少ないということもございまして、8月21日には支払いを完了しているところです。それ以外の5つの病院につきましては、鋭意作業を進めております。まだ、確定的なものではありませんが、一応今月末を目途に支給を進めていきたいと思っています。
 今後の影響と対策ということつきましては、今回支給する時間外勤務手当が、現在の段階で大体14億5000万円というような積み上げになっております。当然、これを病院事業の予算の中から支払いをしていくということになりますので、いわゆる医者がふえて支給額がふえるということではなくて、医者の数は変わらない状況の中で、つまり収入を伴わない中で費用がふえるということになりますので、病院事業の収支については、厳しい影響が出てくると考えております。やはり基本的には、病院における医師の勤務状況の改善を図りながら、なおかつ医師の確保もあわせて努めていきながら、病院の中での医業収益の確保に今後さらに努めていくことになるものと考えています。
〇平良昭一委員 今月中に確定するという中で、大体14億5000万円というのはかなりの金額です。これについては、本来、皆さんが運営する中で負担することになるのは当然だと思いますけれども、果たして現状の中でそれが対応できるような金額なのかと少し疑問に思います。今後、病院事業局だけの問題ではなくなるかもしれません。その辺の対応策について、皆さんの中で考えていらっしゃいますか。
〇真栄城守県立病院課長 まず、費用面につきましては委員の御指摘のとおり、やはり医業収益だけでそれを賄うというのは厳しい部分もあるだろうと考えております。その中で、私どもといたしましては、これはいわゆる医師の当直、例えば救急や産科などの政策医療にかかわる分については、医師の当直による費用の増があったということになります。これについては、基本的な枠組みの中で一般会計繰入金で、それぞれ政策医療の収支差に基づいて繰り入れを行うという仕組みがございます。その仕組みに乗せて費用が増加した分、つまり収支が悪化した分については、繰り入れの対象となるよう関係部局との協議を進めてまいりたいと考えております。
〇平良昭一委員 医師のモチベーションが下がらないような状況をつくっていただきたいということを要望しておきます。
 比嘉委員からもありましたとおり、平成27年度に経常損失を計上して、平成28年度はその額がさらに拡大するということで、このために持続的な経営の健全化に向けた取り組みを強化する必要があるということで4点が挙げられています。経営安定化に向けた取り組み、経営改善の取り組み、医師と医療スタッフの確保、是正改善を要するという4項目ですが、前回もそのような項目を指摘されております。ことしはどのような考え方をもってその4項目に対して取り組んでいくのか、お聞かせください。
〇山城英昭県立病院課経営企画監 まず、経営安定化に向けた取り組みについて御説明いたします。平成29年3月に策定しました沖縄県立病院経営計画では、経常収支の黒字確保、投資資金の確保、手元流動性の確保の3つを目標としております。目標を達成するには、県立病院が安定的に経営を行う必要があり、経常収支の黒字を維持するとともに資金の確保が必要であります。さらに医療を提供する人員体制の整備と人材の安定確保や設備投資も必要となります。事業運営に必要な人員体制を整備する具体的な事例として、医師や看護師の確保については、県内外での説明会の実施や、研修制度を充実させることなどによって、安定的な確保に努めていきたいと思います。また、選択と集中による戦略的な経営を展開し、収益拡大に向け、効果的・効率的な運営を行う必要があります。具体的には、各県立病院における実施計画において、病院運営の重点事項指標の目標を設定し、その達成に向けて取り組みを実施していきます。さらに、経営改革会議等において実施計画の達成状況をPDCAサイクルで検証・評価し、目標管理を徹底していきたいと思います。加えて、外部有識者で構成される沖縄県立病院経営評価委員会においても評価を実施していきます。
 次に、経営改善の取り組みについてお答えします。医業収支の改善につきましては、収益の確保と費用の縮減が必要であります。収益の確保につきましては、これまでどおり入院患者の確保と平均在院日数の管理を行うとともに、新規患者の確保等に努めていきたいと思います。一方、費用の縮減につきましては、薬品及び診療材料の縮減や在庫管理の効率化、後発医薬品の推進に努めるとともに、委託費等の縮減、効率化を図っていきたいと思います。また、未収金対策として、入院支援室のメディカルソーシャルワーカーや未収金担当者等において、入院時からの患者対応や医療費納付相談、関係機関との連携を強化して、未収金発生を最小限に抑える取り組みを実行していきたいと思います。
 続きまして、是正改善を要する事項についてお答えします。今回の定期監査においては、契約事務等に関する指摘が多く、各病院の事務処理体制の改善が必要であると考えております。指摘が多い主な要因としましては、事務処理方法の認識不足、組織としてのチェック機能が弱い等が上げられます。病院事業局としましては、会計事務処理研修を定期的に実施すること、あわせて各病院における会計事務のダブルチェックを徹底するなどにより、事務処理体制の改善を図っていきたいと考えております。
〇狩俣信子委員長 西銘純恵委員。
○西銘純恵委員 最初に、県立病院の関係で、今、やはり沖縄県内どこに住んでいても安心した医療が受けられるということで、各病院長の皆さんも頑張っていると思います。これまでの議論で職員定数に関して、必要な医師や看護師を確保してほしいという現場の声がありますが、それが定数に反映されていない、少ないと言われました。実際に各病院長にお尋ねします。医師、看護師、コメディカルについて、希望された定数について現状はどうなっていますか。不足している人数について、それぞれお答えできますか。
○親富祖勝己精和病院長 定数なのですけれども、今、精神保健福祉士は定数3人です。たしか私の記憶では合計で10人です。残りはほとんどが嘱託員になっています。午前中にも答弁したように、やはり嘱託員になると、他の民間病院と条件があまりにも違いすぎるということで、なかなか経験豊かなベテランの精神保健福祉士を雇用するのは難しいというような状況になっております。
○篠﨑裕子八重山病院副院長 平成29年度の要望については、今は手持ちがないのでお答えできないのですが、現在、新病院に向けた体制について、脳外科の1名増員や現在配置されていない眼科医、それから今後は手術がふえていくことが予想されるので麻酔科とか、そのような人数を含めると、医師については四、五人は必要ではないかと思っております。看護体制に関しましても、新たにNICU以外にGCUの増設を行ったり、外来部門、化学療法部門とかを含めると、それに対応した人数の確保の必要性が出てきております。細かい数字については把握していませんので、その辺はお答えできません。コメディカルに関しては、やはり精神福祉士とか、あとソーシャルワーカーなど必要な部分があります。そういう地域との連携を図っていくために、事務的な手続や関係性の部分を強化するためには、事務系の職員を確保する必要性が出てくると思います。
○本永英治宮古病院長 現在、医師の定数45名に対して臨任と嘱託員を合わせると実数より多く雇っていますが、定数としては不足しています。看護師は190名の定数に対して188名なので2名足りないのですが、実際に看護嘱託助手、補助員たちを合わせると216名で動かしております。それから、薬剤師は定数9名に対して7名の薬剤師が働いています。定数は2名あるのですが、応募者がいない状況になっております。栄養士が定数2名に対して、正職員が今2名で、実質4名いますが、実際には2名では足りないということで、補助として2名雇っています。それから、メディカルソーシャルワーカーが定数1名で、1名勤務しています。また、精神保健福祉士については定数はないのですが、臨任で1名雇っています。その他いろいろあります。あと、事務職が1名足りていない状況です。このような形で、各部署において定数はあっても応募がないものなどを含めると、全体的に足りていない状況でございます。
○佐久本薫南部医療センター・こども医療センター院長 医師については、定数は126名ですが、今欠員が5名となっています。看護師が16名欠員でございます。それと、薬剤師が定数17名に対して1名の欠員という状況です。つけ加えておきたいのですが、嘱託員で確保している方が社会福祉士、精神保健福祉士の各1名で、これについての定数化をぜひお願いしたいということです。それと、午前中の質疑には余り出てこなかった、医師事務作業補助者。私たちはこれを医師クラークと称してますが、今なくてはならない業務になっています。この辺の定数化ができればよろしいのではないかと考えております。歯科衛生士についても定数ではなくて、嘱託員として雇っているという現状でございます。
○本竹秀光中部病院長 これまでの定数を見ると、とにかく医師と看護師に焦点が絞られてきました。ところが、先ほどから未収金の話や、生活困窮者の人たちの未払いについてどうするのかといったときに、そこに介在するというか、介入するのが実はMSWであったりします。それから事務職です。元中部病院長だった宮城良充先生のときに、私たちは事務力アップということをやったのですが、人数がふえないと事務力はアップしないのです。そういう意味で、実は事務系についても人をふやしていかないと、病院経営や地域医療、地域連携も含めてなかなかできないというところで、そちらにもう少しフォーカスを当てる必要があるのではないかと考えております。医師、看護師については数的には出てきますけれども、そういうようにそちらも強化していかないといけないのではないかと考えております。
○知念清治北部病院長 正確な人数について―これは大まかな人数でよろしいでしょうか。医師については定数増ということです。定数をどれだけふやしてほしいかということについては医師が4名。それから、今、放射線科はオンコール体制をとっているのですが、これをなくすために4名。検査科が3名。栄養士が2名。社会福祉士が1名。リハビリが1名。歯科衛生士3名。事務職が3名。足りない部分は、現在嘱託員で補っているところもあります。
○西銘純恵委員 お尋ねしましたら、やはり新たな職種として定数に持っていくという課題。そして現在、嘱託でやっているけれども、これを本務にするということが一番大きな課題になっていると思います。結局は病院事業局長と各病院長の皆さんが定員についてその必要数の話し合いをして、そこを皆さんはやはり経営的にどうかということについても考えないといけないと思うのですが、ただ、不採算であっても、やはり県民の医療を守るということで頑張っているということ、やはりそこが肝心なことと思います。私は、定数の権限は病院事業局長にあると思っているのですが、提案するのは知事であると。それでは、各病院長と病院事業局長が一緒になって、知事や三役と話し合いを持つということも、やはり病院の実態について話をしていくということが重要ではないかと思います。その辺の検討といいますか、取り組んでいくことについてはいかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 西銘委員のおっしゃるとおり、病院現場のニーズに合ったことをしっかり把握して分析し、経営を実態に合わせていくようにすることが私の仕事だと思っております。やはり新たな定数増を提案するためには、しっかりとした根拠を出して、相手に理解してもらわなければいけないということがございます。その辺は情報収集を含め、地域の医療のニーズ等も考えながら、県立病院としての社会的責任をしっかりと果たしていきたいと思っています。
○西銘純恵委員 沖縄県病院事業会計決算審査意見書の37ページ、未収金の関係で各病院が出ているのですが、前年と比べて未収金はどうなっていますか。件数と金額を教えてください。
○山城英昭県立病院課経営企画監 平成28年度決算の個人負担分未収金は18億5897万円となっており、平成27年度末と比較しますと7162万円減少しております。また、平成28年度決算時点の未収金の発生件数は1万3895件となっており、平成27年度末の件数1万4940件と比較すると1045件減少しているところでございます。
○西銘純恵委員 現年度の未収金についても答えていただきたかったのですが、過年度のものが大きいですね。それで1000件未収金を減らしたと。そして、金額でいえば、前年度3億5900万円が3億円ということで、金額的にも皆さんが努力しているということはわかります。でも、この改善の方法として、弁護士に任せたということを言われたのですが、この弁護士に任せて、強制徴収ということになりますが、実際に任せた件数と、それによって回収できた件数はどうなっているのかわかりますか。
○山城英昭県立病院課経営企画監 弁護士への業務委託に関しましては、北部病院が平成26年1月から実施しております。北部病院の平成28年度実績といたしまして委託件数が4171件、1億4659万円に対し、最終の結果が2048件、2180万円であります。中部病院と宮古病院に関しましても委託を行っておりますが、中部病院が平成29年8月、宮古病院が平成29年9月からの委託ですので、まだ実績は上がっておりません。
○西銘純恵委員 これについて1億円余りのもので、実際は、件数的にも効果というものがどうなのかという。私はもう少し分析してほしいのですけど。回収できる相手について回収を行ったのかというところも見ながら、少し県民を追い詰めるようなことになっていないのかということも検証していただきたいと。それとその前に、私はやはり医者にかかってお金を払わないで済ませようという県民はほとんどいないと思っています。払いたいけれども払えないというのをどうするかについては、やはりケースワーカーに担当させて、きちんと福祉につなげると。この福祉につなげるということが各病院でどうなっているのかだと思うのです。体制はきちんととられているのですか。
○山城英昭県立病院課経営企画監 未収金の具体的な取り組み、発生防止の取り組みにつきましては、入院支援室において、メディカルソーシャルワーカーなど、入院時から患者対応や、医療費納付相談を実施しているところであります。また、経済的な理由等による支払い困難者につきましては、市町村に出向き、生活困窮者の生活保護申請等を実施しております。また、経済的な理由により支払いが困難な患者に関しましては、生活困窮者の生活保護申請相談や、国民健康保険法第44条の適用該当者の相談等を講じております。そのほか、退院日事前通知の徹底や、未収金対策会議等を開催し、未収金対策の周知や、院内連携強化において改善を実施しているところであります。
○西銘純恵委員 年間1万4000件近くの未収金対策ということになるのですが、この1万4000件に対する相談体制というのは1人、2人とか、一つの病院で簡単にはいかないのですね。今、福祉につなげるといっても、丁寧に入院や通院のときから、どうですかということをやらないと、追いかけて取れませんでしたいうことになったらいけないと思います。私は各病院にきちんと患者数の割合に見合うような相談体制をとっていただきたいと思うのですが、そこもあわせてお答えください。
○山城英昭県立病院課経営企画監 現在の未収金の対応についての配置状況は、北部病院におきましては9名配置しております。中部病院に関しましては17名、南部医療センター・こども医療センターに関しましては18名、宮古病院に関しましては8名、八重山病院に関しましては6名、精和病院に関しましては9名配置しているところでございます。
○西銘純恵委員 これは、ケースワーカーということでよろしいのですね。
○山城英昭県立病院課経営企画監 医療相談員等でございます。
○西銘純恵委員 医療相談員も正規職でやっているのかなと思いますが、やはり福祉の制度を熟知しないとつなげることができない。先ほど国民健康保険法第44条とおっしゃったけど、それについてわかるのかということがありますので、やはり社会福祉士などの専門性を持った方を配置していただきたいと思います。
 それで、県立病院の条例の中で医療費の減額・免除の制度というものはありますか。
○山城英昭県立病院課経営企画監 使用料等の減免につきましては、条例や規程に定めはございますが、具体的な運用方法についての定めはない状況です。
○西銘純恵委員 今の話を聞くと、生かされていないということですから、ぜひ要綱などをつくって生かせるようにやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○山城英昭県立病院課経営企画監 運用方法を定めるに当たっては、条例の減免制度を適用する対象者をどのような基準で選定していくのかという検討が必要であり、手続等においても、証明書等の発行等について、市町村や福祉事務所との調整が必要であります。また、減免を実施した場合、収益の減になるということから、各病院における経営面での影響が想定されることになります。
○西銘純恵委員 病院の経営面とおっしゃったけれども、この減免制度をつくれば、県立病院で充てる―収益で来るということはないですから、福祉の予算で減免のものを持ってくるという新たな補助制度などをつくるべきであると思います。今いろいろな課題があると言われましたので検討していると思います。ぜひ早いうちにそれができるようにしていただきたいと思います。
 沖縄県病院事業会計決算審査意見書の16ページ、一般会計からの繰り入れについてお尋ねします。どのような繰入額になっていますか。
○山城英昭県立病院課経営企画監 平成28年度におきましては、予算額58億9978万8000円となっておりまして、同額が決算額となっております。
○西銘純恵委員 16ページで説明してほしいと言ったのですが。
○山城英昭県立病院課経営企画監 収益的収入に係る繰入金に関しましては、一般会計から繰り入れた額が47億9721万2000円で、前年度と比較して559万5000円減少しております。内訳を見ますと、地方公営企業法第17条の2第1項第1号の負担金が1億2226万8000円増加し、同項第2号の負担金交付金が1億8325万8000円増加しております。同法第17条の3等の保険金は3億1112万1000円減少しております。資本的収入に係る繰入金に関しましては18億3094万7000円で、地域医療再生臨時特例基金事業等の増により、前年度と比較して2億6055万2000円増加しております。
○西銘純恵委員 1号と2号の繰り入れという、大事なところの括弧書きについてお答えいただいていないのですが。同法で定める1号は、その性質上、公営企業の収入をもって充てることができない経費。収入に関係なく経費を全て。そして2号というのは、一部負担する必要があるという経費ということで、明確にされているのです。それで、救急医療の分ですね。それは経費を全て一般会計から繰り入れをすると。この1号の繰り入れの5年間の平均についてどうなっていますか。
○山城英昭県立病院課経営企画監 5年間の平均でお答えします。平成25年度は8億2556万7000円。平成26年度は7億655万7000円。平成27年度は7億4445万円。平成28年度は8億6671万8000円。平成29年度は8億4719万3000円。5年の平均は7億9809万7000円でございます。
○西銘純恵委員 今の説明で、救急医療の繰り入れは平均7億円から8億円ということですが、この収益は幾らですか。5年平均でいいです。収益は幾らで、費用が幾らで、今、説明されたのが繰り入れと言われたのですが、差し引きしたのではないですか。金額をお願いします。
○山城英昭県立病院課経営企画監 平均の収益については15億6884万円。費用に関しましては23億6693万7000円。平均の繰入金額は7億9809万7000円で、これは収支の差額によるものでございます。
○西銘純恵委員 私は何度も言ってきているのですが、かかった費用が23億6693万7000円。この額を救急医療の一般会計から繰り入れをすべきであるということが総務省の基準になっているということなのです。これは是正すべきだと何度も言ってきたのですが、次年度、新年度予算ではきちんとやる予定ですか。病院事業局長にお尋ねします。
○伊江朝次病院事業局長 現在のところ、今までやったこの収支差でこの繰入金の額を決めているのが現状でございます。その収支差についても、やはりしっかりとしたいわゆる原価計算というものがとても大事だろうと思うのですが、この原価計算の概算といいますか、正確な数字についてなかなか出すのが難しいということもございます。したがって、今、病院現場では原価計算がしっかり出せるような取り組みを行っていくということです。今、各病院でやっております。
○西銘純恵委員 総務省基準にのっとらないでやっていると。1床当たりの繰り入れについて、沖縄県は全国平均と比べて1ベッド当たりはどれだけですか。
○山城英昭県立病院課経営企画監 平成28年度の繰入金の総額は58億9978万8000円となっておりまして、1床当たりの繰入金は、収益的収入にかかる繰入額が219万3000円。資本的収支にかかる繰入額は83万7000円となっており、合計は303万円となっております。
○西銘純恵委員 沖縄県と全国との差について聞きましたが。
○山城英昭県立病院課経営企画監 本県の平成28年度の1床当たりの金額と、全国平均が出ている平成27年度とを比較しますと、収益的収入は167万6000円少なくなっており、基本的収入が47万7000円少なくなっております。したがって、合計で215万3000円少なくなっております。
○西銘純恵委員 1床当たり215万円余り少ないことを見ると、ベッド数はどれだけあるのですか。かけてみたら、確実に繰り入れが少ないということがわかるわけですね。それで、このページの最後にありますが、他会計繰入金、医業収益比率についても全国との差があるのですが、全国と同じようにすると、実際はどれだけの資産が出るのですか。最後の部分で資産を出してもらえますか。
○山城英昭県立病院課経営企画監 他会計を入れずに47億1000万円になります。
○西銘純恵委員 全国の繰入額1床当たりの平均にすれば、合計で105億円を一般会計から繰り入れしなければならないという数字になってくるわけです。ところが半分しかやってないという。また、一番下のオのところでお尋ねしたいのは、他会計繰入金対医業収益比率。これも沖縄県では他会計繰入金の比率が10.4%。でも全国平均は26.2%になっていると。全国平均にすれば2.6倍しても78億円です。だからそういう意味では、一般会計の繰り入れというのは、やはり各病院長を初めとして先生方は一生懸命やっているけれども、この一般会計から県民の不採算医療をやってほしいということについて総務省の基準にものっとらないし、それと全国と比べても少ないということが明らかなのです。だから堂々とそういうこともやって、繰り入れを順当にやっていただきたいと思うのですが。各病院長の皆さんが御発言なさるということはできないので、病院事業局長いかがですか。
○伊江朝次病院事業局長 今、全国の1床当たりの繰入額ということが出ましたが、我々でいろいろと調査してみますと、全国みんな統一された算定というものがないのです。ですから各自治体によって、それぞれ独自にといいますか、使ってるような状況です。我々が調べたもので一番多いのが、予算年度の見込み数値による収支差というものが13団体であったという状況でございます。どこに基準を置くのかということがなかなか難しい状況にあると思いますし、それぞれの自治体の財政事情によって、そういったことが見込まれているのではないかと考えております。そういうことで、我々としては現状の中で、どう正確にそのような数値を近づけるかということを、まずは当面の目標としてやっている次第であります。ですから、そういった算出のあり方というものについては、知事部局ともしっかり協議しながら、今後どのようなことができるのか話し合いをしていきたいと思います。
○西銘純恵委員 労働基準監督署から指摘をされた2年間で14億円という数字を見ても、先生方の勤務している実態に合っていない。収益は入らないのだから。それではどうするのかといったら、やっぱり補助金や、一般会計からの繰り入れ以外にないと思うのです。そこはしっかりやっていただきだいと強く要望します。
〇狩俣信子委員長 金城泰邦委員。
〇金城泰邦委員 初めに、監査委員からの審査意見書からお尋ねいたします。
 先ほども質疑がありました労働基準監督署の是正勧告についての文言が4ページにあります。これは医師についての夜間勤務に対する手当の問題でありますが、医師以外にも看護師など、病院に従事する方々についても同様な感じで勤務手当の支給の問題があるのか。あと超過勤務時間の問題などもあるのかについてお尋ねします。
〇真栄城守県立病院課長 先ほども答弁したとおり、今回の労働基準監督署からの勧告につきましては、医師の当直勤務に対する支給が不適正であるという指摘でございました。このルール医師の当直勤務に限ってのルールになっています。例えば、看護師につきましては、交代制勤務という形で、当直制をとっていない関係がございます。このため、看護師については今回の労働基準監督署の基準に基づく勧告の内容における直接的な該当はないところです。ただし、いわゆる当直勤務以外のその他の時間外労働について把握できていないものがあれば、把握するように努めていきたいと考えております。
〇金城泰邦委員 看護師等については、まだ把握できていない状況ということですね。
〇真栄城守県立病院課長 実は看護師を含めたドクター以外の職種についても、ことしの6月ごろの段階で、一旦、未払いのある時間外勤務があればそれを報告していただきたいという形での調査を実施いたしました。新聞報道等でもございましたとおり、その段階では看護師1名のみの報告となっております。これについても、今、支給の準備をしているところでございますけども、それ以外にも同じような状況にあれば、継続的な把握に努めていく必要があるものと考えています。
〇金城泰邦委員 ぜひこれについては、しっかりと把握していただきたいと思います。
 同じく4ページには、経営安定化に向けた取り組みということで、平成24年度から平成28年度までは、県立病院経営安全化計画に基づいて、経常収支の黒字の維持、手元流動性の確保、そして3点目に長期債務の縮減ということがあります。その中に、人員体制の整理と人材の安定確保というものに取り組んできたということですが、その後の新たな県立病院経営計画では平成29年度から平成32年度については黒字確保、投資資金の確保、手元流動性の確保については同じだと思いますが、役割の明確化を策定してあるとか、自立的な経営、経営の健全化という文言があります。これを見ると、先ほど来、要望がずっと出ている、人員体制の整備と人材の安定確保というものは、この新たな経営計画には盛り込まれていないものと受けとめるのですが、その辺はどうなのでしょうか。
〇真栄城守県立病院課長 沖縄県立病院経営計画につきましては、平成29年度から平成32年までの4カ年計画として、ことしの3月に策定したところでございます。その中で経営の効率化に関する取り組みを行うということを明記しておりまして、その中で同じように経営安定化計画等も同じようなトーンになりますが、人員体制の整備と人材の安定確保といったものを盛り込んでおります。これは、非常に重要な部分だと思っておりますので、これについても取り組みを進めていきたいと考えています。    〇金城泰邦委員 先ほど来、要望が出ている人員確保について、県の計画として取り組む方向であるということでよろしいですね。
 同じく意見書の中には、12ページ(5)職員数がありまして、平成28年度は医師が前年度と比較して7人増、看護部門は6人減、医療技術員は29人増ということで、医師が0.7人の増、看護部門では1.4人の減ということで、比較して見ると、看護部門の減が少し目立つなという気がしております。その辺の要因について説明してください。
〇與那覇博康県立病院課医療企画監 看護部門については、急な産休や育休等があります。それについては、人材の補充を嘱託員などで対応しているのですが、それが少し追いついていない現状があります。あと、看護師に関しての募集を随時行っていますが、地域性―医師ほどの地域偏在はないのですが、年齢によって働ける場所が限られていることなどもございまして、看護師不足の状況が生まれているものと理解しています。
〇金城泰邦委員 成果報告書等を見ますと、看護師を確保するための事業もいろいろあると。看護大学校もありますし、そこで看護師を養成をしていると。それから民間立の学校が、半数以上を輩出しているということが成果表にあります。それでも、看護師が足りないというのはどういうことなのでしょうか。
〇與那覇博康県立病院課医療企画監 数字のことからきちんと御説明いたします。今、看護師の定数が1827名で、現在の職員数は1801名となっていて、欠員数は26名になっています。欠員の要因の一部というものは、先ほどもお話をした育児休業等による休職者が84名で、このために補充した臨時職員の採用が61名となっています。正職員としての採用は行っていないのですが、嘱託職員で一応180名は順次補助員として採用しています。一応、看護大学など、先ほどから説明している取り組みも全部やっています。ホームページから含めてやっていますが、平成28年の看護大学と看護師養成所で690名卒業し、県内就業が450人で65.1%となっています。今後も県内就業を促進していきますが、県内の看護大学や看護学校の卒業生は、必ずしも全員が県立や民間に行くというわけでもなく、県外に出ているという状況もあります。そのような中で、モチベーションを上げる形で、いろいろこちらも出向いて行って説明会を開いたり、インターンシップの機会を設けたりするなど、ティーチングアシスタントとして看護師養成機関に講師を派遣したりというようなことで看護師教育に参加する機会を持ちながら、その養成に努めています。今、そのような努力をしています。あとは育児休業明けの職員―県立は交替勤務制で夜間勤務や離島勤務もありますので、育児短時間勤務制度とか配置部署を考慮していく等の負担軽減も行っています。看護師をサポートする人も安定的に確保して、その業務分担を行うことで、看護師の業務負担を軽くしていかなければいけないと考えています。このようなことで看護師不足に対応していきたいと思っております。
〇金城泰邦委員 同じく意見書の9ページには、当初業務の予定量と実績ということで、法令に基づき、予算において患者数を業務予定量として定めたと。
その結果、平成28年度入院患者数が予定量を5.2%下回ったと。外来患者数も予定量より5.8%下回っており、入院・外来患者の合計では予定量より5.6%下回っています。これについての御見解を伺いたいと思います。
〇山城英昭県立病院課経営企画監 業務予定量につきましては経営目標でありまして、県立病院が医療を最大限に提供できる体制をもとに設定をしているものでございます。しかしながら、実際には医療従事者の充足状況や患者の動向等により、業務予定量と実績に差が生じることになります。県立病院といたしましては、県立病院が医療を最大限に提供できる体制を整える必要があることから、現行の算出方法を継続している次第でございます。なお、収支につきましては、病院経営の1年間の収入、支出の実績結果を示したものであることから、業務予定量と実績の差によって損失につながることはないものと考えております。
〇金城泰邦委員 ということは、予定の見込みが甘かったということですか。
〇山城英昭県立病院課経営企画監 予算等の考えもございます。最大限の医療を提供できる状況をマックスとして積算しておいて、そういう充実が図れた場合においてスムーズに対応できるようにということで、このような積算方法をとらせていただいております。
〇金城泰邦委員 そうであれば、マックスの目標に向けて、やはり体制を確立するということが一番求められるものと理解しました。
 次に、歳入歳出決算説明資料5ページの(款)衛生費の中に(目)健康増進推進費がありますが、不用額として3376万円が出ています。この要因について御説明をお願いします。
〇宮里治健康長寿課長 健康増進事業推進事業費につきましては、健康増進法第17条第1項及び第19条の2の規定に基づき、市町村が実施する健康増進事業に対し、市町村の事業計画を聴取し、補助金を交付するものとなっております。平成28年度につきましては、41市町村に補助を行ったところです。各市町村において、主に健康増進法に定める健康診査や保健指導、健康教育等が実施されているところでございます。不用額の理由としては、補助金の予算については、市町村が提出します実施計画をもとに決定しているところです。平成28年度は、実施計画よりも健康診査やその他の肝炎ウイルス等の検診受診者が少なくなったことからが不用額が生じたものでございます。
〇金城泰邦委員 検診等の受診が見込みよりは少なかったということは、受診率が思ったよりよくなかったということなのでしょうか。
〇宮里治健康長寿課長 市町村の実施計画に基づき、予算の見込額を決定していきますので、市町村においては、例えばマックスで予算計画を立てていることによるものだと考えています。
〇金城泰邦委員 受診率の向上については、市町村任せで、県はどのような取り組みを行っているのか、今の答弁では見えないのですが。
〇宮里治健康長寿課長 市町村が行う健康診断等の受診率の向上につきましては、県としてはさまざまな広報事業におきまして、テレビ・ラジオ放送や、いろいろな健康イベント等で受診率の向上に向けた広報活動を行っているところです。
〇金城泰邦委員 一時期、ペナルティー制度のようなものもありましたが、今はそれもなく、よりメリットを出すような施策が講じられていると思います。今後は、このような不用額をより減らす努力が必要となるので、御検討していただきたいと思います。
 同じく5ページの医薬費の中の医務費で不用額が2億5700万円余り出ています。これについても御説明をお願いします。
〇大城博保健医療総務課長 医務費の不用額2億5779万6000円の主な内容ですけれども、事項でいいますと、医学臨床研修事業での1億5725万円の不用額が主なものになっております。
 幾つか不用額が発生した理由を御説明します。医学臨床研修事業におきまして、県立病院に後期研修医の養成を委託して、養成後に離島・僻地への勤務を義務づけておりますけれども、当初58名の養成を予定していたところが、後期研修医の途中退職の発生などにより、その養成数が計画を下回り、3775万円の不用額が発生しました。
 それから、県内外の民間病院や大学病院等から、県内の離島・僻地の医療機関に医師を派遣する医師派遣等推進事業におきまして、受け入れを希望する離島・僻地の医療機関と派遣先との派遣調整が整わず、2452万7000円の不用額が生じております。
 また、北部地域及び離島医師供給体制緊急強化事業において、離島・僻地の県立病院及び診療所の医師のスキルアップのための環境を図るということで、学会等への派遣費用の補助を行っておりますが、対象となっている医師について、診療や当直等の関係で、代診医確保の調整がなかなかできないというようなことがありまして、2269万9172円の不用額が生じた状況ということです。
〇金城泰邦委員 同じく(目)で、保健師等指導管理費や薬務費も大きな減になっていると思いますが、それについても、御説明いただけますか。
〇国吉悦子保健医療総務課看護専門監 保健師等指導管理費の主な減額の理由ですが、看護師等養成所の運営に必要な経費を補助して、安定的に看護師を確保するために実施している看護師等養成所運営補助事業費で、浦添看護学校の2年課程―准看護師の方が進学する課程がありましたが、これが閉科しましたので、それに伴う事業の1105万5000円の減額となっております。あと県内就業准看護師の進学支援事業があり、これが平成28年度新規事業なのですが、平成27年度に看護師等従事届―そこで実際に進学をを希望するかということで把握して、その数字を進学希望者数として予算措置したのですが、実際の進学者は半数ほどにとどまりましたので、こちらも1050万円減額となりました。このために減額という形になっております。
〇金城泰邦委員 今の御説明から、看護師を確保する対策というものは、平成28年度以上にしっかりやっていかないといけないということが理解できました。これについては、またしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、診療の未収金に関係するかわからないのですが、最近、県内において外国人観光客がふえています。竹富島のような離島でも、外国人の診療がふえているということで、課題としては言葉の対応や過大な要求に対する対応と言っていました。外国人の場合は、多分日本人とは違って、国民健康保険の適用はないと思いますが、こういった支払いについてのトラブルはありませんか。対応は大丈夫ですか。
〇與那覇博康県立病院課医療企画監 支払いに関しては、まず保険の把握が難しいということが一つ。言語的なものでコミュニケーションがとりづらいという問題もあります。また、やはり旅行保険に入っている、入っていないということがありまして、旅行保険がけがなどを担保しているのかわからないということで、ただ離島診療所の場合は額が少額ですが、病院等になると額がかなり大きくなるものですから、そこら辺でやはり保険制度や通訳という両方の面で問題が生じています。
〇金城泰邦委員 外国人観光客で、最近よくレンタカーで移動される方もいて、そのレンタカーによる事故も結構ふえています。離島にかかわらず沖縄本島内でも外国人観光客が事故を起こしたりなどして、病院に運ばれるケースがふえると思います。そうなると診療した後の支払い時のトラブルが以前よりはふえているだろうなと少し気になったものですから、質疑しています。沖縄本島でも同じようなことがありますか。
〇與那覇博康県立病院課医療企画監 事故も含めて、例えば未収金、徴収不能分ということでお答えいたします。北部病院に関しては、産科検査等を受けた患者―出身地不明ですが1万2420円ほどの額が未納になったことがあります。また平成28年度に八重山病院で、手関節の不調で受診した欧州出身の方で1万3410円の診療費が未収金になっています。これはキャッシュカードでお金がおろせず、カード払いもできないということで、後日支払いに来なかったというものです。現在、平成29年度の外国人受け入れによる未収金調査表を県で作成しております。各病院でいろいろあって、今、中華圏の観光客が一番多いです。発熱患者の未払いとかいうものもありますが、大きなところでは、外傷性気胸という病名で救急受診された中華圏の方の157万5745円について、まだ請求中で、未収金となっています。現在、交渉中です。あと新聞記事等で御存じだと思いますが、南部医療センター・こども医療センターなどに、若い妊婦さんが来て、結局は新生児医療などは旅行保険の対象になっていないものですから、自費で支払うことができないということで、この事例に関しては資金カンパ等によって支払いがなされたということです。中部病院では、香港の観光客が自動車による交通事故で受診した件があり、その方は保険に入っていて、保険の範囲内でいろいろ適用できたようです。また、クレジットカードなどによる支払いもありますが、そのように現金の持ち合わせや保険の関係で、まだ支払ってもらえていない額が100万円台になっているものもあります。
〇金城泰邦委員 一つ一つは小さいものも結構あると思うのです。ただ、外国の方ではありますが、本来、受け取るべき診療代が取れないというものを、そのままにしておくことはできないと思います。きちんと何らかの手だてを打たないといけない。ちなみに現時点でわかっている、受け取るべきものが受け取れていないのは、総額で幾らぐらいになっているのですか。
〇諸見里真医療政策課長 今、正確な数字は持ち合わせていませんが、県医師会との会議の中でも、外国人の医療費の問題は非常に大きい問題でして、その中で医師会として調べたデータで大体1400万円から1500万円ぐらいの未収金があるとのお話がありました。
〇金城泰邦委員 一つ一つは小さくても、総額となる1400万円から1500万円は大きな金額だと思います。今後こういったことに全庁的に対応しないといけないかと思います。また、クレジットの話もありましたが、それに対応できるような体制づくりということも必要だと思います。そこは早目早目の対応をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇諸見里真医療政策課長 県としましても、非常に今のところは重要なところでして、県と沖縄観光コンベンションビューローや県医師会で構成する協議会を8月に立ち上げています。来週にその1回目の会議を開催します。そこで、外国人の未収金の解決に向けた協議を初めて行う形になります。その中でどういう対策がとれるかということで、今後何回か繰り返す中で、具体的な施策を打ち出せたらと思います。
〇金城泰邦委員 ぜひ全庁的に、空港や港の入り口の段階から、このようなことも周知する必要があると思います。余計なトラブルが病院の窓口で起きないようにすることも病院に従事する方々の負担軽減にもなると思いますので、そこは早急な取り組みを行ってほしいと思います。
 あと、成果報告書の中に6の5にはがん予防対策推進事業があります。がん検診の管理事業費ということで、当初予算1300万に対して決算額が699万円となっています。これはどういう状況であったのか御説明をお願いします。
〇宮里治健康長寿課長 がん予防対策推進事業は、がん対策を効果的・効率的に推進することを目的として、がん登録事業、沖縄県生活習慣病検診管理協議会が設置されておりまして、そこでいろいろな協議を行う協議会を運営するための予算となっています。不用の理由は、がん予防対策事業の中に報償費がありますが、報償費の384万円が主な不用額となっています。これは全国がん登録事業において、各医療機関へ届け出する場合の謝金がありますが、その見込み件数が下回ったことによるものです。
〇金城泰邦委員 同じこの事業で、アルコール・たばこ対策の中で、やはりアルコール依存症というものが、沖縄県の大きな課題として取り上げられております。このアルコール依存症にならないための取り組みについて、県で何か講じているのでしょうか。
〇宮里治健康長寿課長 県では、アルコール対策について、健康おきなわ21の健康増進計画でも重点施策として位置づけており、主に適正飲酒の普及啓発に取り組んでいます。テレビ、ラジオ等を利用した広報活動や、いろいろなイベントにおいて適正飲酒の推進を図るような取り組みをしているところです。
 また、県においては、現在、健康障害対策基本計画の策定を取り組んでいるところでありまして、その中で、総合的な対策の計画を立てていくことを考えております。予定としては今年度中に策定できればと考えており、鋭意取り組んでいるところです。
〇金城泰邦委員 特定不妊治療費の助成事業は、年々その助成額が増加していると。この推移についてお答えいただけますか。
〇山川宗貞地域保健課長 特定不妊治療の直近3年の助成実績は、夫婦の組数でいいますと平成26年が1471件、平成27年が1541件、平成28年が1268件となっております。
〇金城泰邦委員 今後も必要な助成だと思いますので、継続して取り組んでいただきたいと思います。
〇狩俣信子委員長 照屋守之委員。
〇照屋守之委員 病院事業局の決算を中心に集中的に質疑します。
 先ほど残業未払い分が14億5000万円という御説明がありましたが、平成28年度決算においてはどのぐらいの数字ですか。平成28年度分を教えてください。
〇真栄城守県立病院課長 今般の労働基準監督署からの勧告に基づく未払い分の支給につきましては、平成29年度の予算で支給する手続を進めているところでありまして、平成28年度決算上の数字には反映されておりません。
〇狩俣信子委員長 休憩いたします。
   (休憩中に、照屋委員から時間外勤務手当の発生時期について確認があり、平成28年度の未払い支給の見込額について答弁するよう指摘があった。)
〇狩俣信子委員長 再開いたします。
 真栄城守県立病院課長。
〇真栄城守県立病院課長 平成28年度分につきましては、約8億5000万円となっております。
〇照屋守之委員 これを見ると、純損失が8億7596万円となっており、これは当初のものからするとかなり決算の収益が落ちていますね。当初予算の部分でこの事業の収益、損失というのはどの数字なのですか。当初予算のものと現在のものについて少し説明してもらえませんか。当初の見込みでは幾らプラスになると予定していたものが、今、具体的にどうなっているのか。
〇真栄城守県立病院課長 平成28年度予算の収入の部になります。ここの病院事業収益として575億604万6000円を見込んでおりました。これに対して、同じく平成28年度予算の収益的支出の病院事業費用の予算額として569億6151万6000円を見込んでおりました。その収支差の5億4500万円について、純利益として見込んだ予算となっておりました。
〇照屋守之委員 5億4000万円のプラスが8億7500万円のマイナスですね。14億円ぐらい差があります。この残業分については、ほとんど予期せぬことで、これまでずっとやってきたことが、公にこれはだめだよということなって未払い金が8億5000万円ということになると、これは8億7000万円、14億円、平成28年度分の事実上のマイナスは22億円です。これは平成28年度分の残業分ですから当然でしょう。当初は5億4500万円のプラスが、最終的には8億7500万円。
 私はずっと病院事業経営を見てきていて、非常に不思議に思っていて、独立行政法人化を含めてこれを何とか改善できないものかと。ただ、独立行政法人化についてはなかなか厳しいので、そのまま県立病院でいくということが、県民にとってもよいということで今考えております。この経営計画の数字ですが、普通の民間の経営からすると最終的には1年間でどういうようなものをやるのかという魂が入っています。ところが、この病院事業局の経営計画を見ると、何か事務的に積み上げられているという感覚しか持てないのです。一応、プラスの計画でつくっておいて、あとはやってみないとわからないということですから。やってみたら8億7500万円のマイナスになりますという経営ですね。ですから、さまざま経営に関する注文がある。一般会計からもお金を入れるということがあって、医師不足などの、さまざまな課題があります。非常に多くの課題がありながら、私はもうこれは経営自体そのもの、体制自体そのものを根本的に変えていかないと、病院事業経営は県民の期待に応えられないのではないかと、最近つくづくそう思っているのです。これは、我々県議会の手も離れていますよ。幾らこんな議論をしていて、毎回、毎回、同じ議論ですから、根本的に変わらない。だからここは、この数字の積み上げ方も含めて、本当にそれぞれ6つの県立病院の実情に合わせた、あるいは社会的な環境の変化というものも含めた形で、この経営計画をつくり、それに基づいてどういう形で具体的に経営してくのか。その責任を誰がどのようにとって、チェックをしていくのかというところが非常に曖昧なので、私は今の病院事業局の経営に対して、自分自身が責任追及できないような思いがあるのです。それぞれの病院長たちは、それぞれの地域でさまざまな課題を抱えて一生懸命厳しい中で頑張っていらっしゃる。そういうことを考えたときに、本当にこの病院経営がこれまでのやり方でいいのかと。なぜなら、本来の経営というものは、経営責任が伴わないと民間の経営も含めて成り立ちません。成り立たないけれども、病院経営についてはそういう経営責任の追及がやりづらいということがあって、今、非常にジレンマに陥っています。この当初の計画と8億7500万円の損失を出すという経緯について、どういう形で数字をつくり、どういう取り組みをして、このような結果になったのかということを少し説明してもらえませんか。
〇真栄城守県立病院課長 まず予算の組み方の考え方を御説明いたします。先ほど来、答弁しておりますとおり、病院事業の与えられた役割を踏まえた上で、病院事業が果たすべき医療機器で、最大限に発揮することを一つの前提として予定数量というものを見込んでおります。それに伴って、収入と支出の予算を組んでいるところでございます。当然、病院事業としての経営責任がございますので、やはり年度当初予算を立てる段階では、黒字化を目標として予算を組む必要があるものと考えております。やはり黒字が生じませんと、病院事業の中での新たな投資もままならなくなるということもございます。予算を立てる段階ではそういうことを念頭において予算化しているところでございます。ただ実態としまして、1年間経営を展開する中では、医師の確保が困難であるとか、さまざまな外的要因というと責任回避に聞こえるかもしれませんけれども、例えば診療報酬におけるマイナス会計だったり、今回の労働基準監督署による勧告の問題がここにきて顕在化してきたことがございまして、なかなか当初の予定数量をこなす上での支障があるというところがございます。ですから経営を進める上では、そういった障害や問題について、地道に一つ一つ解決していきながら取り組んで行くという進め方をするしかないものと思っています。結果として、平成28年度はまた赤字が拡大したということでございますので、そういう意味ではやはり病院事業局全体としての予算の立て方、そして立てた予算を実現させるための取り組み体制といった部分についてもよく検証して、そういう観点を加味しながら、今後の経営計画を立てていく必要があるものと考えております。
〇照屋守之委員 それぞれの課題が出てきて、結果的にはこうなると。こういうやり方は最悪です。最初は黒字の計画で5億円です。それが結果としては8億7000万円の赤字です。さまざまな状況の変化でこうなりますという話ですね。そうであれば最初から5億円なら5億円の赤字、10億円であれば10億円の赤字を見込んだ経営をしないとだめなのです。何十年病院経営をやっていますか。その上で一般会計からの繰り入れについては、かくかくしかじかだけれども、あと10億円助けてくれと。こういう厳しい状態だから10億円程助けてくれとていう形でいかないと、このようなつじつま合わせの経営をしていて、1年間やったらこうなりましたと。これ51億6000万円から幾らになると思いますか、あと14億5000円ふえますよ。合わせると66億円になります。結果的に平成28年度は66億円の赤字になる。これは予期せぬことが起こっているのです、14億円ね。経営というのは予期せぬことが起こるのです。だからリーダーが必要なのです。予期せぬことが起こっていくときに、そこをこうしよう、変えていくから、こう改善しようとしていくから経営者が必要であり、リーダーが必要なのです。今のように事務的にやっていて誰が責任を負うかわからないという経営は、これは経営ではありません。
 ですから、県立病院でどうぞ頑張ってください。ただし、しっかりした経営コンサルタントを入れてください。日本全国を見ると、病院事業に特化した経営コンサルタントもいます。そこをしっかり脇につけて、500億円規模の事業について経営改善できるのであれば、1000万円や2000万円でも払ってもいいではないですか。経営コンサルタントを入れて、そこに置いて、各病院長や病院事業局も一緒になって協議して、こういうふうにしたらこうなります、ああいうふうにしたらこうなりますと、医師が足りませんから、もっとお金をふやしましょうとか、そのためにはこうしないといけませんと。本当に実情に合った一つ一つの課題を解決をしていくということをやっていかない限り、このような経営をしていたら、私は、議会人としても責任を負えないですよ。これを見ると、毎年、毎年、全く同じことの繰り返しでしょう。ですから、病院事業局そのもの自体が経営コンサルタントも含めて、もう異動、異動の事務屋ではなくて、より病院事業の経営に特化した病院事務局にすべきです。三、四年で異動して、このような経営を見ると、一般会計のように事務屋は全く同じことしかできません。去年はこうでした、ことしはこうでしたという話ですから。
 改めて、局長はこれからあと10年できますか。今、在任中にしっかりと、本当に病院経営について外部から入れてください。ただ単に、お伺いを立てる外部委員会などやっても、全然、経営改善できません。本当に経営についてしっかりわかる専門的なコンサルタント―3000万円や4000万円を払ってもいいではないですか。そういうことを一緒にやって、本当に数字的なものについて魂を込めてつくる、ありのままつくる、県にも今の残業分はそのまま20億円出してくださいとお願いをする、県も協力する、そういうものを一体となってやっていかないと、絶対皆様方の力だけで、これは改善できません。我々議会も責任を負えない状況です。ぜひその辺も含めて、より専門的な視点で病院事業を経営できるようにお願いします。
〇狩俣信子委員長 先ほど、金城泰邦委員に対する答弁で、山川地域保健課長から答弁を訂正したいとの申し出がありますので、発言を許します。
 山川宗貞地域保健課長。
〇山川宗貞地域保健課長 金城泰邦委員が質疑されました、特定不妊治療の中で、私が夫婦の組数と言いましたが、実際には治療の件数です。訂正をよろしくお願いします。数字に変更はございません。
〇狩俣信子委員長 休憩いたします。
   (休憩中に、西銘委員から病院事業局会計の一般会計からの繰入金を58億円と答弁したのではではないかと確認があった。)
〇狩俣信子委員長 再開いたします。
 山城英昭県立病院課経営企画監。
〇山城英昭県立病院課経営企画監 平成28年度における繰入金の予算額58億9978万8000円で、決算額も同額となっております。
〇狩俣信子委員長 以上で、保健医療部長及び病院事業局長に対する質疑を終結いたします。
 説明員の皆さん、大変お疲れさまでした。
 休憩いたします。
   (休憩中に、執行部退席)
〇狩俣信子委員長 再開いたします。
 次に、特記事項について御提案がありましたら、挙手の上、御発言をお願いいたします。
   (「提案なし」と呼ぶ者あり)
〇狩俣信子委員長 提案なしと認めます。
 以上で、特記事項の提案を終結いたします。
 次に、お諮りいたします。
 これまでの調査における質疑・答弁の主な内容を含む決算調査報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
〇狩俣信子委員長 御異議なしと認めます。
 よって、さよう決定いたしました。
 以上で、本日の日程は全て終了いたしました。
 委員の皆さん、大変お疲れさまでした。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。






沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。

  委 員 長  狩 俣 信 子