委員会記録・調査報告等
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土木環境委員会記録
平成24年 第 1 回 定例会
第 3 号
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開会の日時
年月日 | 平成24年3月5日 月曜日 |
開会 | 午前 10 時 1 分 |
散会 | 午前 10 時 32 分 |
場所
第3委員会室
議題
1 乙第52号議案 下地島空港の操縦練習使用料に係る覚書の継続確認等に関 する調停申立てについて
出席委員
委 員 長 當 山 眞 市 君
副委員長 照 屋 大 河 君
委 員 嶺 井 光 君
委 員 池 間 淳 君
委 員 新 垣 哲 司 君
委 員 崎 山 嗣 幸 君
委 員 嘉 陽 宗 儀 君
委 員 大 城 一 馬 君
委 員 平 良 昭 一 君
委 員 新 垣 安 弘 君
欠席委員
新 垣 良 俊 君
𠮷 田 勝 廣 君
説明のため出席した者の職・氏名
土木建築部長 当 間 清 勝 君
土木建築部参事 池 田 尊 彦 君
空港課長 照 屋 朝 和 君
○當山眞市委員長 ただいまから、土木環境委員会を開会いたします。
乙第52号議案下地島空港の操縦練習使用料に係る覚書の継続確認等に関する調停申立てについてを議題といたします。
ただいまの議案については、3月1日に開催された本会議において先議案件として本委員会に付託されています。
本日の説明員として土木建築部長の出席を求めております。
まず、乙第52号議案下地島空港の操縦練習使用料に係る覚書の継続確認等に関する調停申立てについて審査を行います。
ただいまの議案について、土木建築部長の説明を求めます。
当間清勝土木建築部長。
○当間清勝土木建築部長 お手元の平成24年第1回沖縄県議会(定例会)議案(その3)により御説明申し上げます。
138ページをお開きください。
乙第52号議案下地島空港の操縦練習使用料に係る覚書の継続確認等に関する調停申立てについて、御説明申し上げます。
本議案は、下地島空港の年間維持費を航空会社が操縦練習使用料として負担することを定めた覚書について、日本航空株式会社―JALは平成23年度限りでの解約を申し入れていることから、同空港が航空会社の要望に基づき、操縦訓練飛行場として多額の経費を投じて建設された経緯等を踏まえ、平成24年4月以降についても本覚書が相当期間継続されること、及び同社が操縦練習使用料を引き続き負担するよう求めるための調停申し立てについて、地方自治法第96条第1項の規定により、議会の議決を求めるものであります。
これから、担当課長から詳細な説明をさせていただきます。
○照屋朝和空港課長 お配りしました資料に基づきまして、説明いたします。
1ページをお開きください。
下地島空港につきましては、伊良部大橋供用後は市街地から約15キロメートル―現在の宮古空港は市街地から5キロメートルですので、約3倍の距離にございます。ただし、伊良部大橋の完成が平成25年度末になっておりますので、供用開始後の距離について記載してございます。
3ページをお開きください。
続きまして、沿革について御説明いたします。
昭和40年6月、行政監察による勧告がございました。これが下地島空港整備の発端となっております。背景につきましては、パイロット養成が急務となった航空会社の要請に基づきまして、国内における訓練飛行場の必要性の勧告でございます。
その後、昭和41年10月の航空審議会答申、昭和43年12月の運輸省による適地選定の結果、下地島が最適地として選定されております。
昭和44年11月には、琉球政府により誘致が決定しております。
昭和46年8月、いわゆる屋良覚書が交わされております。その背景には、飛行場誘致派と反対派の対立が激化した状況がございました。
昭和47年4月には工事を着手し、7年後の昭和54年3月に工事を完了しております。同年3月には非公共飛行場から第3種空港へ変更する議会の議決の際に附帯決議がなされております。内容につきましては屋良覚書とほぼ同じですけれども、独立採算制を堅持して、民間航空機の利用を除き県の財政負担を生じさせないことという附帯決議がなされております。その附帯決議を背景にして、いわゆる西銘確認書が交わされております。内容等につきましては屋良覚書とほぼ同一でございますが、県の財政負担とならないよう使用料を設定してもよいと国からの確認をもらっております。それに基づきまして、現在、問題となっている覚書が交わされております。これが昭和54年6月25日でございます。昭和54年7月には飛行場設置許可が得られまして、7月5日から供用開始を行っております。
その後、平成22年5月にはJALが訓練を中止し、平成23年3月25日にJALから覚書の解約通知がございました。加えて先月の7日に、3月31日をもって覚書を解約し、撤退するという通知がございます。
4ページをお開きください。
空港施設の概要ということで、宮古空港と下地島空港の比較表を提示しております。大きく異なる項目だけ説明いたします。
空港面積ですが、宮古空港が約124ヘクタール、下地島空港は約3倍の360ヘクタールほどございます。面積につきましては、那覇空港が360ヘクタールですので、那覇空港と同等以上の面積を確保してございます。
滑走路につきましては、宮古空港が2000メートル、中型ジェット機対応の空港でございます。下地島空港は3000メートルでございますので、大型、つまりジャンボジェット機が就航できる滑走路を整備してございます。それからエプロンにつきましても、下地島空港は大型ジェット機用5バース、そして、中型ジェット機用1バースを整備しております。宮古空港は中型ジェット機用3バース、小型ジェット機用1バース、STOL(短距離離着陸)機用1バースとなっており、1バースほど下地島空港が多く、また、大きな機材の就航が可能な形で整備しております。
その反面、駐車場については、下地島空港は90台しかございません。宮古空港が460台ですので、下地島空港は宮古空港に比べてかなり少な目の整備でございます。それから、ターミナルビルは下地島空港にはございません。
5ページをお開きください。
訓練状況について、昭和55年度から平成22年度までの状況を整理したものでございます。訓練着陸回数を見ていただきたいのですけれども、ピークが平成4年、着陸回数が2万8000回ございました。それ以後、徐々に減少していきまして、一番少なかったのが平成13年度でございます。この原因はシミュレーターの普及等によるものだと考えております。
それ以後は持ち直しまして、平成21年度には1万9000回ございましたが、平成22年度ではがた落ちしております。これにつきましては、平成22年5月からJALが練習を中止しておりますので、前年に比べて4割減になってございます。
6ページをお開きください。
平成23年3月25日付、JALからの文書でございます。この文書の②を見ていただきたいのですけれども、平成24年度以降については、従量制の導入など経済合理性が確保されるよう抜本的に変更していただきたいと。
7ページをお開きください。
中段ほどになるのですけれども、つきましては、から始まる段落において、本覚書及び本協定につき、来る平成24年3月31日をもって終了するという通知文でございます。本覚書につきましては、これから説明するのですけれども、本協定とは、民間航空会社で折半するという協定書でございます。つまり、現在JALと全日本空輸株式会社―ANAで折半して、維持管理費を負担してもらってございまして、その取り決めである協定書も終了させたいということでございます。
8ページをお開きください。
ことしの2月7日付の文書でございます。これが最終通告になってございます。ちょうど中段に、経済合理性を確保できる御提案をいただくことができない状況であるということで、平成24年3月31日をもって本覚書、本協定を終了し、下地島空港の利用を終了させていただくことといたします、という状況でございます。
平成23年3月25日付の文書を受けて、県はこれまでどのような協議をしてきたかといいますと、大体、月1回の協議をしてきました。その中で、県の基本的な考えとしては、今後とも覚書を継続したいと。それから、コスト縮減を頑張りますと。また、JALの言う経済的合理性につきましては、我々は固定経費―例えば人件費とか、消防経費につきましては、JALとANAの折半にしていただいて、それを超える部分については、JALとANAで按分して対応していただきたいと提案していたのですけれども、これものんでもらえずに、この最終通告文になったという状況でございます。
従量制につきまして、基本的にJALが言っていることは、利用回数に応じた支払いにしてもらいたいと。ということになりますと、JALは練習してないものですから、負担は一切しないことになりますので、我々としては、固定経費はどうしても半分持っていただきたいと説得したのですけれども、うまくいかなかったという状況です。
以上でございます。
○当間清勝土木建築部長 御審査のほど、よろしくお願いいたします。
○當山眞市委員長 土木建築部長の説明は終わりました。
これより、乙第52号議案に対する質疑を行います。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
質疑はありませんか。
嘉陽宗儀委員。
○嘉陽宗儀委員 そもそも設置の経過からいえば、この通知文書もけしからぬという思いもするのですけれども、JALは経済的合理性について言っていますが、この通知の中身については、皆さんは相手方と詰めてみましたか。
○照屋朝和空港課長 先ほど説明したのですけれども、JALが言っているのは、着陸回数における―つまり、現行の沖縄県空港の設置及び管理に関する条例に基づく着陸料への移行だと我々は考えています。練習をしないJALは、一切負担しないということになりますので、我々としては、下地島空港建設に至った経緯等からJALにも当然責任があるということで、固定経費として―県の管理事務所がありますし、あるいは、空港を維持するための消防設備がどうしても必要だと。その費用についてはJALとANAで折半してもらって、それを超える分については、例えば現在、約6億円の維持管理費が必要ですけれども、人件費と消防経費に約3億円ほどかかります。つまり、3億円については1億5000万円ずつ折半して、あとの3億円については利用回数で按分してほしいと我々は申し入れて、調整してきました。例えば、JALが練習しないとなると、ANAは1億5000万円プラス3億円の合計4億5000万円と、JALは1億5000万円でどうかということで、協議は進めてきております。
○嘉陽宗儀委員 現地に行って、見たけれども、昔のパイロットの操縦訓練は実物に乗ってやっていたのだけれども、今はシミュレーターで訓練して、そこで済ましているので、ここを余り使わなくなりましたという話はありました。しかし、設置の経緯からいえば、経済的合理性を言うのであれば、何回使ったから訓練費用が幾らかかるから、もう利益が出ないから使いませんという話は、会社側の一方的な言い分だと思うのです。会社全体の経営の中で、これをどう維持するかということで計算してもらわないと―向こうの会社経営にまで立ち入った話になってしまうのだけれども。ただ、訓練のためにつくってきて、今までは役立っていたが、訓練方法も変わってきたからもう必要ありませんという話は、ちょっとおかしいのではないかと思うのですけれども、そのような議論はしているのですか。
○当間清勝土木建築部長 JALが訓練飛行場を下地島につくった経緯は、国策でつくった経緯。それと、航空審議会答申を受けて、運輸省が適地として選定した経緯があります。確かに、締結以来かなり年数はたちますので、定めのない覚書ではあるのです。私たちは県の顧問弁護士とも相談したのですけれども、私たちも永久にということは言っていなくて、せめて5年程度は、シミュレーター化されている新たな訓練のあり方も含めて、いろいろと検討する時間がほしいと。顧問弁護士と相談したら、そのような定めのない覚書については、今まで1年という判例はほとんどないということです。それをJALに対して十分に説明して、理解を求めたのですけれども、JALとしては、今は経営再建の途中であるということ、前もって1年間お願いはしてきたということ、定めのない覚書の場合は1年でも有効だという判断で、今回、正式に撤退表明をしたと。そのようないきさつになっていますので、私たちは民事調停でお願いしたいということが、今回の提案でございます。
○嘉陽宗儀委員 この点については、政府と話し合いもしていますか。
○池田尊彦参事 下地島空港の問題につきましては、国土交通省航空局との情報共有を図りながら、進めているところでございます。
○嘉陽宗儀委員 調停の見通しはどうですか。
○照屋朝和空港課長 顧問弁護士とも相談しているのですけれども、通常民間同士であれば大体二、三カ月で終わるらしいのですけれども、この問題はなかなか難しいということで、半年程度はかかるのかなという見通しです。
○嘉陽宗儀委員 いずれにしても、調停成立の見通しはあるのか。向こうは調停に応じないとか、このまま終了通告だけで済ますのかということは、我々はよく知らないといけないところだから、それはどうですか。
○照屋朝和空港課長 我々は今、調停が整わなかった場合によっては、次の訴訟に移行したいと考えております。
○嘉陽宗儀委員 そうすると、あくまで調停ですから、向こうが県の言い分も聞いて、向こうも歩み寄って来るのであれば、多少解決の見通しも出てくるけれども、それを否定すると本訴―裁判になって勝てるかというと、これもなかなか難しい。やはり、国策でここまで来て、日本全体の航空行政をどうするのかという問題もあるものだから、国策とも絡めて物言いしておかないといけないのではないですか。
○照屋朝和空港課長 この件につきましては、国と情報を共有しながら進めてはいるのですけれども、パイロット訓練飛行場としてのこれまでの重要性というのですか、ライセンスに関する制度がいろいろ変わる中で、シミュレーターがこれだけ普及している中で、今後どのような形で生かしていくかということになると、これだけ大きな空港を県だけでずっと健全な形で維持できるのかということもありますので、国とちゃんと連携をとりながらやっていきたいと思っております。
○嘉陽宗儀委員 なぜそのようなことを聞くかと言うと、今、自衛隊が八重山もそうだし、下地島空港を利用して南西方面に進出するという中期防衛力整備計画もいろいろあるわけだから、ここで踏ん張って、どうしても今のような訓練場で継続していく努力をしないと。うまくいきませんでした、あとは国が引き取って自衛隊基地にしましょうかとなったら、とんでもない話になるので、そうならないように頑張ってください。どうですか。
○当間清勝土木建築部長 3月2日金曜日に、下地宮古島市長から国際空港などに利活用するようにという要請がありました。宮古島市自体も今までの覚書はきちんと守るという立場でありますので、私たちとしては、宮古島市とも調整して、国土交通省とも調整しながら、利活用調査も3月には発注して、各部局―文化観光スポーツ部、企画部などとも調整して、望ましいあり方を検討していきたいと考えております。
○當山眞市委員長 ほかに質疑はありませんか。
大城一馬委員。
○大城一馬委員 確かに、JALは経済的な面でいろいろ厳しい状況ではあるのですけれども、しかし、これは国の資金投入もされているわけです。そのような中で、もっと国との折衝を含めてやるべきではないのかなと思っているのですが、調停に持ち込もうとしているものですから、その流れを見ないといけません。
土木建築部長、例えば、JALが撤退するような事態になると、ANA撤退の予測まで普通は考えて―結局は、ANAが負担増になるわけです。そういったところの心配が出てくるのですけれども、そのような見通しはどうですか。
○当間清勝土木建築部長 ANAは協議には前向きに応じていただいて、平成24年度の負担も了解していただいています。しかしながら、平成25年度以降は、JALが撤退するのであれば再検討したいという状況で、確かにANAだけではこれだけの負担は大変です。また、ANAの言い分としては、下地島まで行かなくても、ほかの空港でも訓練できる状況はあると言っています。私たちとしては、今、ANAとの調整の過程を大切にしながら、民事調停の中で相当の期間で調整できることを頑張って、別途、委託の中で―知事もいろいろな方法を考えるべきではないかと言っていますので、新たな利活用の仕方も含めて、並行して調整していきたいと考えています。
○大城一馬委員 先ほどから話がありますように、なかなかこの調停が果たして有利に動くかというと、これは不透明。むしろJALとの調停は厳しい状況に陥るのではないかなと予想されます。ANAも平成25年度以降について、そのような考えを持っていることもありますから、ぜひ、しっかり詰めてやってください。
○當山眞市委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○當山眞市委員長 質疑なしと認めます。
以上で、乙第52号議案に対する質疑を終結いたします。
説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
休憩いたします。
(休憩中に、執行部退席)
○當山眞市委員長 再開いたします。
議案の質疑についてはすべて終結し、採決を残すのみとなっております。
休憩いたします。
(休憩中に、議案の採決方法について協議)
○當山眞市委員長 再開いたします。
これより、乙第52号議案下地島空港の操縦練習使用料に係る覚書の継続確認等に関する調停申立てについて採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、可決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○當山眞市委員長 御異議なしと認めます。
よって、乙第52号議案は可決されました。
次に、お諮りいたします。
ただいま採決しました議案に対する委員会審査報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○當山眞市委員長 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
以上で、本委員会に付託された先議案件等の処理はすべて終了いたしました。
次回は、3月21日水曜日午前10時から委員会を開きます。
委員の皆さん、大変御苦労さまでした。
本日の委員会は、これをもって散会いたします。
沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。
委 員 長 當 山 眞 市