委員会記録・調査報告等
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土木環境委員会記録
平成21年 第 3 回 定例会
第 1 号
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開会の日時
年月日 | 平成21年2月10日 火曜日 |
開会 | 午前 11 時 12 分 |
閉会 | 午前 0 時 33 分 |
場所
第3委員会室
議題
1 乙第41号議案 控訴の提起について(先議案件)
出席委員
委 員 長 當 山 眞 市 君
副委員長 照 屋 大 河 君
委 員 新 垣 良 俊 君
委 員 嶺 井 光 君
委 員 池 間 淳 君
委 員 新 垣 哲 司 君
委 員 髙 嶺 善 伸 君
委 員 嘉 陽 宗 儀 君
委 員 新 垣 安 弘 君
委 員 大 城 一 馬 君
委 員 平 良 昭 一 君
委 員 𠮷 田 勝 廣 君
欠席委員
なし
説明のため出席した者の職・氏名
土木建築部長 漢 那 政 弘 君
土木企画統括監 中 村 浩 君
都市計画・モノレール課長 儀 間 真 明 君
○當山眞市委員長 ただいまから、土木委員会を開会いたします。
乙第41号議案控訴の提起についてを議題といたします。
ただいまの議案については、本日開催された本会議において先議案件として本委員会に付託されています。
本日の説明員として土木建築部長の出席を求めております。
まず初めに、乙第41号議案控訴の提起について審査を行います。
ただいまの議案について、土木建築部長の説明を求めます。
漢那政弘土木建築部長。
○漢那政弘土木建築部長 ただいま議案となりました乙第41号議案控訴の提起について御説明申し上げます。
お手元の冊子平成21年第3回沖縄県議会議案(その3)の78ページをお開きください。
本議案は、平和祈念公園の土地収用に係る損失補償金請求事件の第1審判決を不服として、控訴を提起することについて、議会の議決を求めるものであります。
この事件については、平成21年2月3日に判決の言い渡しがあり、2月17日が控訴期限となっているため、急遽、先議案件として御審議いただくことになったものであります。
以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○當山眞市委員長 土木建築部長の説明は終わりました。
これより、乙第41号議案に対する質疑を行います。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いします。
質疑はありませんか。
新垣哲司委員。
○新垣哲司委員 今、土木建築部長から議案についての御説明がありました。裁判の結果、県が敗訴という形になって、これを控訴したいということでございます。糸満市摩文仁の霊園一帯ですね、ほとんど字摩文仁の用地なんですね。敗戦後60年来、ほとんどあの土地はあの部落の土地なんですよね。そして部落全体の恐らく3分の1くらいはこの霊園地帯に提供されているということで、特に農業がほとんどないという、こういう実態はずっと続いておるし、今ここにある前門さん、彼の土地も今までに土地以外にも多くの土地を県のほうに提供されたと聞いております。私が非常に懸念するのは、やはり今日まで多くの事例はあるんですが、県にあくまでも霊園地域、これに指定されて向こうは3回とも建物の制限もいろいろあって、この地域はある意味では非常に困っている。全国のいわゆる墓地、慰霊碑を建てるところで、こういうことでたまたまその土地収用の前にレストランがあったんですよね。これも提供し、そしてここにつくろうとした矢先に駐車場として必要だと。こういうことで、非常にこの地域の狭い土地を提供するということは揺るぎない事実であるんですが、その件についてはどう思いますか。
○漢那政弘土木建築部長 委員からございましたように、実は平和祈念公園を都市公園として整備することを決定した際に、確かに今おっしゃる糸満市摩文仁の方々の大変広大な土地を協力していただいたということは事実でございます。そういうこともございまして、県としましては集落の地元の皆さんと、これまでも公園の整備、あるいは売店の整備についてもいろいろ御相談をさせていただきまして、できるだけ雇用や就労の場も確保できるように努めてきたところでございます。
○新垣哲司委員 沖縄県平和祈念資料館ができて、その周辺を整備しようということで、売店がございます。幾つかありますね。そのときもやはり収用になったんですよ。強制的に。しっかりやはり話し合いをして、後は収用する結果になって、私が今後一番問題にするのは、これから土地が必要になって、部落を挙げてもうこれ以上は我慢できないというようなことになれば非常に困るんですよ。こういうことはあっちゃいかんなと非常に懸念しているもんですから、できるだけ穏便にして、しっかりお互いが話し合いをして、向こうも弁護士を立てているはずだし、沖縄県収用委員会の皆さんも一緒になって、こういう和解の方法はできなかったのかと。ある意味非常に残念だなと。こういう表に出てしっかり裁判するということは、非常に地域の者としてもやはり今後の問題としても、こういうことしかできなかったかなと思っているんですが、県としてはどのぐらいの努力をしたのか、その辺を。
○漢那政弘土木建築部長 現在の原告の方とは40数回用地交渉をさせてもらっております。それでも合意に至らなくて、当然私どもは道路や公園をつくったりする際には、地権者の方々に用地を購入させていただくわけですが、基本的には原則として双方合意の上で用地を取得するわけですが、今回は40数回もの交渉の結果、合意に至らなくて、しかも先方のほうから収用の要請がございまして、それで沖縄県収用委員会にやる、第三者機関に判断を仰いでもらったということで、無理やり私どもが収用にかけたというよりも、原告側の要請で収用をかけております。
○新垣哲司委員 努力はなさったんですが、後は司法に任せると結果はそうなっているわけですよね。結果は県が敗訴と。それを控訴したいということになっていますよね。それはやる以上は県としては何らかの確信を持っているんですか。
○漢那政弘土木建築部長 今回の争点は、取引事例を参考に用地単価を設定するわけですが、その際の事例のとり方というか採取の仕方、それが争点だと思いますので、私どもにとっては沖縄県収用委員会が設定した取引事例が妥当だと思っていますので、それで控訴して高等裁判所の判断を仰ぎたいということでございます。
○新垣哲司委員 最後になりますが、期限は2月17日ですか。
○漢那政弘土木建築部長 そうでございます。
○新垣哲司委員 ぜひきょうは、あと四、五日あると思いますので、双方どうにかできないのか、その辺も含めて、しょうがないという形になるのか、その辺どうかなと最後の質疑をさせていただきます。
○漢那政弘土木建築部長 私ども提案したのは控訴を方針として決定させていただいたものですから、今議会に急遽提案をさせてもらったという状況でございます。
○當山眞市委員長 ほかに質疑はありませんか。
嘉陽宗儀委員。
○嘉陽宗儀委員 控訴の手続については後でやりますが、まずこの中身について、対立点は不動産鑑定評価の基準地のとり方という話でしたが、皆さん方が主張した価格、損失補償額と、原告側の言い分との違いはどのくらい差があったんですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 きょう委員にお配りいたしました資料の3枚目の下のほうの、土地評価額一覧表というのがございます。沖縄県収用委員会裁決のほうで出した価格が3万4700円でございます。原告の主張が11万3000円で、約3倍の開きがございます。
○嘉陽宗儀委員 これを見てびっくりしているんですが、なぜ3倍も差が出てくるんですかね。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 沖縄県収用委員会は周辺の取引事例をもとに算定をしていると。原告の主張する価格は、糸満市の中心商業地が類似例として採択をした開きだと考えております。
○嘉陽宗儀委員 価格については非常にデリケートなものでね。不動産鑑定士に頼んでも、10名に鑑定させても10名とも数字が違ってくるというものなんですよね。そこで皆さん方の鑑定はどうやったのかが気になるんですけど、これは皆さん方が独自にやったのか、沖縄県収用委員会がやったものを利用したのか、どっちなんですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 県は起業者でございますが、交渉の段階では起業者独自に鑑定を依頼しておりますが、収用裁決申請に至りましたので、沖縄県収用委員会のほうで独自に鑑定を入れまして、お手元に配りました図面がございますが、それを見ながら聞いていただきたいんですが、青丸の取引事例が沖縄県収用委員会で出した不動産鑑定士の取引事例ということで、価格そのものは沖縄県収用委員会が設定した価格でございます。
○嘉陽宗儀委員 皆さん方が用地交渉する際に、損失補償基準に基づいて鑑定も入れたと思うんですけど、40何回か交渉しているわけですから、そのとき皆さん方が交渉に臨んだ額と沖縄県収用委員会との差額はあるんですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 起業者が出した価格と沖縄県収用委員会が出した価格は若干開きがございますが、沖縄県収用委員会のほうはいずれも高いほうを採用しております。
○嘉陽宗儀委員 具体的な数字を出してください。皆さん方が出した額と収用委員会が出した額。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 まずうちのほうは、争点になっている第1の土地につきましては、平米2万3400円でございます。沖縄県収用委員会のほうではこの4筆の土地についてはそれぞれ2筆の評価に分けておりまして、2筆は3万4700円、これは道路に面している土地でございますが、その後ろの土地につきましては10分の6を乗じまして1万5800円ということで出しております。沖縄県収用委員会のほうでは起業者が算出した価格よりも高い価格ということで、それぞれ3万4700円と、1万5800円を採用しております。
○嘉陽宗儀委員 高ければいいというもんじゃないですよね。皆さん方がそれを適正価格だと判断した根拠は何ですか。なぜそういう差額が出てくるのかと聞いているんです。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 県が独自に不動産鑑定をお願いした取引事例の箇所と、沖縄県収用委員会がまた独自に不動産鑑定をした場所が違いますので、そういうことからも差額が生じていると考えております。
○嘉陽宗儀委員 場所が違うと言うけれども、県がやった取引事例というのは用途的にはどういう土地になっていますか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 市街化調整区域内で国道等に面している周辺の土地でございます。
○嘉陽宗儀委員 沖縄県収用委員会は。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 場所は違いますが、事件の当該地の近いところでございます。
○嘉陽宗儀委員 皆さん方は2万3400円を出すに当たって、不動産鑑定士は何カ所に頼んだんですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 1カ所でございます。
○嘉陽宗儀委員 普通の公共財産を取得する場合には、少なくともこれまでは3カ所の不動産鑑定士に依頼をして、大体平均値をとって、それをもとにした起業者側の比較で価格は算定しないといけない。ちゃんと県民の財産を収用するからには、収用される側のことも考えて、従来の手続は皆さん方は3カ所、一般的には。鑑定結果は全部違うんだから、できるだけ損が出ないようにという配慮をしていたと思うんだよね。今回1カ所しかしなかったというのはどういうことですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 他の公共事業におきましても今は1カ所の不動産鑑定士によります。ただ、その不動産鑑定をもとに県がまた精査をして価格設定をしているということでございます。
○嘉陽宗儀委員 公共財産の購入の仕方から考えたら、これはおかしいと指摘をしておきます。きょうは主題じゃないのでね、これは。今後やっぱり3カ所を指定して、より正確な価格を算定するという努力はしてください。それでその不動産鑑定士が鑑定した価格は幾らだったんですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 不動産鑑定士の鑑定は2万7200円でございます。
○嘉陽宗儀委員 では不動産鑑定士がやった鑑定は2万7200円と出てきたけれども、しかしそれは適当じゃなくて、2万3400円が適正価格ということで判断したのはどうしてですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 県のほうでこの鑑定の箇所に加えてまた別の箇所も独自の取引事例を調査しまして、総合的に先ほど申し上げた価格に設定をして交渉しております。
○嘉陽宗儀委員 皆さん方は不動産鑑定士の鑑定は信用できないから、ちょっと高すぎるから、もうちょっとほかの取引事例を入れて、できるだけ価格を引き下げるという意図的な引き下げをしたんじゃないですか。操作したんじゃないですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 不動産鑑定士がやったものに、さらに他の取引事例も加味して、県としてはこれが一番適切な価格だという判断のもとに設定しております。
○嘉陽宗儀委員 この取引事例をつけ加えた場合に、わざわざ基準地を値段が安いものとやったのか、高いのとやったのか、何カ所新たに取引事例を調べて計算したんですか。あるいは不動産鑑定士がやった価格と皆さん方が取引事例で使った取引事例の価格を出してください。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 まず不動産鑑定士は4カ所をとりまして、それに地域格差とか補正をしまして2万7200円で設定しております。県が調査した箇所は4カ所でございまして、それぞれ2万4200円、3万3400円、3万1900円、2万6500円でございます。これに時点修正とか地域格差等を加味しまして、最終的な評価額として比準価格として2万3400円を設定しております。
○嘉陽宗儀委員 追求はこの辺でやめますけれども、裁判で今言ったような不動産鑑定というのは極めてデリケートで、比準の仕方も、あの土地は幾らぐらいかとか主観が大きく左右する。あの花はどれくらいきれいか、10点つける、8点つける、主観で全部違うんだから。こういうたぐいのものですよ。しかも一番決定的なのは、比準地をどこにするかという設定が大問題です。私のほうも今度コザ十字路のほうで私の借りた事務所が道路拡張にかかって不動産鑑定をやりましたけれども、あのときは皆さん方がやった比準地と国の比準地を比べたら、皆さん方は割かし良心的に比準地をとってたが、国は低いほうの比準地をとって、税金はできるだけ押さえようとしてな。できるだけ価格を安くしている。僕はそれを言って、強く反対するわけにはいかないから、国には問題点だけ指摘するけど、こんな比準地のとり方はだめだよと。適正にやるべきだってな。比準地とる場合でもいかに安いところを拾ってきて、安くするかという、そこから比準して引き下げている。問題だと僕は指摘したんですけど、これも同じですよね。さっき儀間都市計画・モノレール課長が言ったように、比準地のとり方によって値段が全然違う、でしょう。皆さん方は比準地をとる場合の基本的な姿勢というのはどんなのを拾ってきたんですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 4カ所とも既存宅地でございます。
○嘉陽宗儀委員 そこが一番問題だと思うんだけれども、この問題になっている収用するところは宅地ですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 形態としては宅地と店舗でございます。
○嘉陽宗儀委員 実際上は商売をしていて、商業を営んでいるものを収用しているんでしょう。宅地を収用しているんですか、住宅を、商業施設を収用しているんですか。どっちですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 宅地ではございますが、その上で商業をしているという評価の土地の取引事例をとっております。
○嘉陽宗儀委員 さっきの答弁はじゃあ訂正しないと。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 宅地ではございますが、宅地の上で商売をしているという土地の評価をしているということでございます。
○嘉陽宗儀委員 先ほどの説明では、取引事例はどんな用途だったかということの質疑に対して、あなたは宅地を取引事例として4カ所採用しましたという説明だから僕は今疑問を持って提起しているんですよ。ではさっきの取引事例は宅地じゃなかったんですか。皆さん方が採用したのは。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 4カ所ともそうではありませんが、そのうちの幾つかは宅地としての土地の上に商売をしているという土地の評価をしているということであります。現状としては宅地が張りついている箇所でございますので、その宅地の上で店舗等をしている土地ということも評価としているというところでございます。
○嘉陽宗儀委員 注意しないと、委員長。僕の質疑は、皆さん方が採用した取引事例というのは近隣商業地域じゃなくて宅地なんでしょうと。だからイエスと言えばいいんだよ。皆さんはさっき宅地と言って説明したんだから。確認のために聞いているのに。イエスでしょ。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 地域としては宅地なんですけど、その宅地の中で商売をしている、店舗をしているところの土地の取引事例をとっているということです。
○嘉陽宗儀委員 同じことをやってもしょうがないから質疑を前に進めますけど、鑑定する場合に一番重要な問題は比準する場合に基準地をどうとるか。商売をやっている人がなくなるわけだから、最も同じ場所ね、普通なら隣近所なら一番いいけれども、ない場合には近いところ、しかも最も同じような営みができるという、これは大原則ですよね、不動産鑑定のやり方としては。そのそばにすぐなくて、比準する土地がないという場合には、多少離れていても、例えば恩納村の収用でも名護市の取引事例をやって、商業だということでやった事例もあったけど、これは糸満市のをとっているみたいだけど、問題は用途が大体同じかということがキーワードなの。それを間違うと、今いった3分の1に減らされるということになるわけですよね。今回ちなみに皆さん方は取引事例を大体宅地でやったけれども、近傍類地で商業地域、もし商業地域というものを取引事例にやった場合には、価格は皆さん方の価格と違った結果になっただろうと認めますか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 基準地が宅地ではなくて商業地ということになれば、価格は違ってくると思います。
○嘉陽宗儀委員 裁判も私は全部判決文を読ませてもらいましたが、やはり何を重視しているかというと、同じような商売がやっていけるような同一条件ができるかどうかということを非常に損失の補償については重視しているわけね。皆さん方はそれをほとんど無視している。だから今回の価格の決め方は、普通でいう価格の決め方からいっても、僕から言えばやっぱり違っている。皆さん方は絶対正しいというのがあるんですか、価格の決定が。僕は間違っていると思うんですが、皆さん方は絶対正しいですか、その価格は。
○漢那政弘土木建築部長 価格の決定が正しいかというのは、1つは私ども自身が鑑定評価をもとに県が独自に判断しています。もう一つは裁判での争点の話は、沖縄県収用委員会が設定した価格でございますので、私どもではなくて沖縄県収用委員会が設定した価格との差でございますので、私どもとしましては私どもだけじゃなくて第三者の沖縄県収用委員会が独自に設定した価格なわけでございますので、それを尊重して司法の判断をいただきたいと思っているわけでございます。
○嘉陽宗儀委員 皆さん方の決めた、提示した価格と沖縄県収用委員会が提示している価格とは1万1000円余り差がありますが、沖縄県収用委員会のほうがかなり、皆さん方は引き下げて収用委員会がちょっと上げているけれども、それもおかしいと。裁判の司法判断から言えばね、鑑定の仕方もちょっと異論があると裁判所はやって。結論からいえば、新聞にもあるようにその地域は観光客、慰霊団体、修学旅行生が多く来園する観光要所であることは明らか。集客力や売り上げの点でまさるとも劣らない糸満市の中心商業地域に近い土地を取引事例に採用したものであると。客観的に見たら、これのほうがより正確だと思われる。取引事例のとり方としては。ところが皆さん方は宅地をとっているから、非常にそういう面では皆さん方の補償の基準の決め方というのについては問題があるけど、それでも皆さん方が絶対正しいという根拠は何かな。
○漢那政弘土木建築部長 先ほども申し上げましたように、私どもだけの判断だけじゃなくて、準司法機関である沖縄県収用委員会の判断をもとに控訴ということでございますので、私どもが算定したものが絶対正しいということではなくて、沖縄県収用委員会が設定した価格をもとに控訴に臨むということでございます。
○嘉陽宗儀委員 裁定機関である、沖縄県収用委員会も県の機関ですよね。だから裁判というのは司法、立法、行政、三権分立の一つの独立機関でそれなりに権威があると思うんだけど、内部の沖縄県収用委員会の意見は尊重するけれども、そういう裁判所の権威ある判断について皆さん方は認めないというのはどういう根拠ですかね。
○漢那政弘土木建築部長 認めないということじゃなくて、取引事例の近傍類地の基準地のとり方なので、それについて私どもの主張を十分していきたいと思っているわけでございます。
○嘉陽宗儀委員 これは県の今回の控訴自身が、不当に関係者の権利を奪うものになっているということだと私は思います。取引事例の仕方も、実際上は向こうは観光客が大分来るのに、宅地と比べて価格を決めるというのはやっぱり不当だと思います。そこでその辺はいいですけれども、さて泡瀬干潟訴訟の場合には議会に諮らなかったけど、今回はなぜ議会に諮るんですか。
○漢那政弘土木建築部長 今回は被告が県でございまして、それから原告が地権者、地主でございますので、県が訴えられているわけです。それで県が控訴させてもらいたいということで、地方自治法第96条に基づいて議会の議決をお願いしているところでございます。
○嘉陽宗儀委員 よく理解できないんだけど、地方自治法第96条の意義というのはどういうところにあるんですか。
○中村浩土木企画統括監 地方自治法第96条は、地方公共団体の議会が議決をしなければならない事案として15号まで掲げていますが、その11号で、普通地方公共団体がその当事者である訴えの提起ということで規定されております。土木建築部長からも答弁がありましたように、今回は沖縄県が当事者であるということで議会の議決を得る必要があるということであります。意義というのは、議会の議決を得て地方公共団体としての意思を確定するという趣旨だと考えています。
○嘉陽宗儀委員 僕は説明を聞いたんじゃなくて、地方自治法第96条の意義というのはどこにあるんですか。あのね、地方自治法第96条は議会の権能ですよ。勝手に執行部だからといって予算を勝手に使うな、議決しなければならないんですよ。法的に言えば議決することができるとか、議決するものとするとかあるけど、これは議決しなければならない、特に予算については。住民の代表機関である最高の意思決定機関は県議会ですよ。県議会の議決を得る必要があるという意味で地方自治法第96条があるんですよね。その場合に議決すべきものか議決すべきじゃないものかというのについては、基本的には予算の伴うものについては議決すべきですよ。議決しなくてもいいというものは簡易なもの。その他のものについてはやらないでもいいという大精神があるわけね。だから皆さん方はわけのわからない執行部だとか知事だからとか言っているけど、あれはペテンですよ、僕から言えば。僕は泡瀬干潟訴訟の場合でも原告だったから。あれは沖縄県を相手にとって県民の税金を無駄使いするなと言っただけであってな、最高責任者は知事ですよ。今回も知事ですよ。きょうはこの議論じゃないから、これはやらないけど、そういう使い分けをしちゃいけない。これはいずれまたゆっくりやりますけど、皆さん方は議会が必要だという地方自治法第96条についてしっかり趣旨を理解して、今後の施行のあり方については考えるべき。これだけ注文して終わります。
○漢那政弘土木建築部長 ほかに質疑はありませんか。
嶺井光委員。
○嶺井光委員 判決の結果、あるいは控訴するという争いというか、論点は土地の用途だと思うんですよ。要するに判決は商業用地として認めて、原告が求めている単価をオーケーとしたわけですよね。ところが県としては、この地域は市街化調整区域であるし等々、あの額とはちょっと乖離があるという見解。控訴してこの土地の用途という部分で、どういう争いを展開していくのかというのをちょっと聞ければと思うんですが。
○漢那政弘土木建築部長 基本的には委員がおっしゃったように、近傍類似の取引事例のとり方が一つあろうかと思っております。それによって私ども近傍類似の解釈が遠くまで認めるという形になりかねませんので、とりあえず私どもは近傍類似、今ございますね、これは沖縄県収用委員会がとったものでございますけれども。私どもじゃないですよ。沖縄県収用委員会がこちらのほうを提示されたと判断してとった取引事例でございますが、原告側は市の中心街をとっておりますので、そこの妥当性といいますか、どちらが適切なとり方になるのかということが争点になろうかと思います。
○嶺井光委員 結局鑑定は近傍類似のものをとるべきだというのは理解できるんですが、この収用した土地の利用というのは、商売をしていたということですから商業用地として使っていたということで、原告はこういう商業用地の鑑定を求めてきたんだと思うんですよ。近隣全体がどうこうという問題ではなくて、そこら辺で認識の違いが出てこういう結果になっているんだろうと思うんですけどね。この地域で県あるいは沖縄県収用委員会が鑑定したというのは既存宅地、商業地ではなかったわけですよね。なくて、一般の住宅地を鑑定したんだろうと思うんですけど。一般の取引なんてなかなか実態価格というのを把握できないという話をちょっと聞くんですが、そこでちょうど今、国道の改良工事をしていますよね。用途としてははるかに違うんですが、ちなみに国道としてのつぶれ地の単価とかというのは把握しておりますか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 今国のほうで国道331号の改良工事をしていますが、ちょうど平和祈念公園の主要メイン道路のすぐ向かいに観光レストランがございます。その隣の土地が取引事例として沖縄総合事務局南部国道事務所が引用していますが、その価格は平米で3万1500円と聞いております。
○嶺井光委員 それからするとこれに近いなという感じはしていますけどね。ただこれは道路つぶれ地というとらえ方ですから、商業地、住宅地と全く同じ見方をすることはできないと思うんですけどね。もう一つ、裁判所の決定した単価というのは、原告の11万3000円、全くその単価なもんで、裁判所としても独自の調査ということはすることはないのかなと。またすべきじゃないかと私は思うんですが、そこら辺の見解、あるいは実際はどうだったのかというのはどうですか。
○中村浩土木企画統括監 裁判所では、原告、被告両方の主張のどれが正しいかという判断をするわけでありまして、みずから鑑定することはないんじゃないかと思います。両方の鑑定を見て、どちらが正しいのか、どちらが理屈が通っているのかという判断をするものだと思っております。
○當山眞市委員長 ほかに質疑はありませんか。
平良昭一委員。
○平良昭一委員 問題は土地の用途の違いでの食い違いですよね。そういう面では今後控訴した場合のあり方、特に和解に対する考え方もあると思いますけど、その辺一方的に県サイドが出しているこの評価だけで突き進んでいく考えなのか。それともある面では県サイドの考え方も変えていくこともおありなのかどうか。ある面では一審の判決を、県サイドだけではなくて聞く耳を持っている状況が今の段階であり得るのかどうか、その辺をお聞かせください。
○漢那政弘土木建築部長 今の段階では当然控訴をさせてもらってその上で、私どもも代理人もいることでございますので、そういうことにつきましては推移も見ながらということになりますので、とりあえずは私どもの主張を十分に高等裁判所でさせていただきたいと思っております。
○平良昭一委員 この開き額相当大きいですよね。これは簡単にいくような問題ではないと思いますよ。今裁判所独自の評価はないと。両方から提示されているものがどっちが正しいかということでの二審になるわけですけど、簡単に出るような状況ではないと私は考えていますけど、現段階の中でこのかなりの距離が離れていますよね、事例のところが。こういう事例がこれまであり得たのか、これまで別の裁判等の問題で。距離的にしても相当離れているし、用途の問題等もかなりの違いがあると理解しているんですけど、これまでそういう事例がありますか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 少なくとも沖縄本島南部管内では過去にそういう事例は聞いたことがございません。
○平良昭一委員 沖縄本島南部管内の状況はよく知らないんですけど、宅地として使用しているというのと、商業地、地目は同じ宅地でありますよね。その中での価格の違いというのはそんなに大きく離れているものなんですか。3倍も4倍も。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 一般的には、この事例から少し外れるかもしれませんが、市街化調整区域内は綿密に商業地域とか近隣商業地域とか、第一種住居地域と分かれておりますので、それについては都市計画上で地域地区として設定された用途ごとに土地の評価額は異なってくると思います。
○平良昭一委員 戻りますけど、40回近くも交渉を重ねてきたという中で、ここに来てその問題が浮上してきたというわけではないと思うんですよ。40回の中でこういう糸満市の商業地域の価格を出されてきたということがずっとあったんですか、この交渉の段階で。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 平成8年に鑑定いたしましたものを、その後時点修正等を加えて交渉しているということでございます。
○平良昭一委員 沖縄県収用委員会の評価の仕方が、道路に面しているのと面していないところと2つに分けていますよね。その辺が裁判の中では全く考慮されていないという判断に私は聞いて思うんですが、皆さん方の考え方としてそう思いますか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 裁判所のほうも、基準地のとり方は異なりますが、土地の評価は2つに分けて、その考え方、沖縄県収用委員会の考え方は認められていると考えております。
○當山眞市委員長 ほかに質疑はありませんか。
𠮷田勝廣委員。
○𠮷田勝廣委員 県の平米当たりの価格が4万6800円、沖縄県収用委員会は5万500円、原告が11万3000円を出して、それから不動産鑑定士が5万4400円を出しているわけですよね。そうすると、例えば判決価格が11万3000円と5万1000円になっていますよね。先ほどの沖縄県の場合は2つに分けていなくて出しているわけでしょう。不動産鑑定士も沖縄県も。沖縄県収用委員会は2つに分けて、判決なんかも2つに分けていると。そうするとかなり近いのが、僕らもよくわかりませんけど、原告の主張の11万3000円をそのまま判決は認めているわけですよね。そうすると1坪幾らかと計算すると、これは33万9000円になるんですね。そういう意味では僕らの頭からも、向こうがそんなに高いのかなという-率直に考えて高いなという感じがします。そういう意味では控訴をして、この辺の問題点をある程度不動産価格と、それから原告の主張した街の中心地と、本当に平和祈念公園のそばがあれと同価格なのかということは、やっぱり争う必要があるんじゃないかと私は率直に思いました。
○當山眞市委員長 ほかに質疑はありませんか。
新垣良俊委員。
○新垣良俊委員 沖縄県収用委員会の裁決は平米当たり3万4700円と。坪当たりに直すと幾らですか。この場所ですね、図面ではっきりしないんですが、これは市街化調整区域ですよね。市街化調整区域の中でこれは農地ですか。それとも白地ですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 白地でございます。
○新垣良俊委員 国道沿いということで、3枚目の本件第2の土地については国道沿いである程度はわかるんですが、中に入っていますよね、本件第1の土地1、2については。これは園路のそばについている土地ですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 そうでございます。
○新垣良俊委員 𠮷田委員と僕は同じ意見ではあるんですが、普通、取引事例の場合、近いところを類似例ということでやりますよね。この市街化区域、糸満市は随分離れているんですが、これは裁判としては、新聞にもあるんですが、商業地として見るということですか。
○漢那政弘土木建築部長 そういうふうに判決をしているわけでございます。
○新垣良俊委員 これは実際は畑ですよね、この4筆は。これは宅地ではないですよね。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 現在は既に収用されまして、公園の施設が張りついておりますけど、収用する時点では宅地兼店舗でございました。そしてその後ろの土地につきましては資材置き場のような用途をしていたということでございます。
○新垣良俊委員 この図面の中で、原告側が赤ということなんですが、糸満市の旧市役所近辺なんですが、それを指しているわけですか。
○漢那政弘土木建築部長 そうでございます。
○新垣良俊委員 その中の商業地を類似例として対象としているわけですね。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 赤で囲んだところが、原告側が示した取引事例のA、B、C、Dでございまして、番地がございませんので、どこというポイントはすぐ打てませんが、そこの商業地をとったのであろうと推測しております。
○新垣良俊委員 取引事例地箇所図、それからしたら、沖縄県収用委員会は5カ所やっていますよね。県についても大体国道沿いをやっているわけですか。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 県がやったのは国道沿いもございますし、少し国道から奧に入ったところもございますが、いずれにしても先ほどお答えいたしましたように、商業施設がある宅地という土地を選んで取引事例をとったということでございます。
○新垣良俊委員 これは平米当たり原告主張で11万3000円と、大体3倍ですから30何万円かですよね。これについて県は高いんじゃないかということで控訴するんですよね。
○儀間真明都市計画・モノレール課長 そのとおりです。
○當山眞市委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○當山眞市委員長 質疑なしと認めます。
よって、乙第41号議案に対する質疑を終結いたします。
説明員の皆さん、大変御苦労さまでした。
休憩いたします。
(休憩中に、執行部退席)
○當山眞市委員長 再開いたします。
議案の質疑についてはすべて終結し、採決を残すのみとなっております。
休憩いたします。
(休憩中に、議案の採決方法について協議)
○當山眞市委員長 再開いたします。
これより乙第41号議案控訴の提起についての採決を行いますが、その前に意見、討論等はありませんか。
嘉陽宗儀委員。
○嘉陽宗儀委員 質疑の中で何が問題点かということについては明らかにしたつもりです。県は恣意的に関係者の権利を不当に低く評価している。少なくとも正当な評価の仕方から言えば、従来は県が査定する場合でも3カ所の不動産鑑定士をやって平均値をとって評価するということになるけれども、今回それもやっていないし、しかも価格が低くなるように、商業地域で比較するならいいけども、わざわざ宅地と比較しているというのは、価格の設定の仕方が全然違うから、そういうやり方はおかしいと思います。それで反対します。
○當山眞市委員長 ほかにありませんか。
(「意見・討論なし」と呼ぶ者あり)
○當山眞市委員長 意見、討論等なしと認めます。
以上で、意見・討論等を終結いたします。
これより乙第41号議案控訴の提起についてを採決いたします。
本案は、挙手により採決いたします。
なお、挙手しない者は、これを否とみなします。
お諮りいたします。
本案は、可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。
(挙手多数)
○當山眞市委員長 挙手多数であります。
よって、乙第41号議案は、可決されました。
次に、お諮りいたします。
ただいま議決しました議案に対する委員会審査報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○當山眞市委員長 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
以上で、乙第41号議案の処理はすべて終了いたしました。
次回は、2月26日 木曜日 本会議一般質問終了後委員会を開きます。
本日の委員会は、これをもって散会いたします。
沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。
委 員 長 當 山 眞 市