平成21年(2009年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 7号 7月 1日
教育長(金武正八郎)
 

 それでは、多様な人材の育成と文化の振興についての御質問で、学力向上対策の今後の取り組みについてお答えいたします。
 本県における学力向上にかかわる主な課題としましては、「わかる授業」の構築と「基本的な生活習慣の確立」の2つが挙げられます。
 本年度は、「わかる授業」を構築するために、授業づくりを具体的に支援する「教科コーディネーター」の配置や中学校の国語及び数学担当教諭の指導力の向上のための「授業改善プロジェクト」などを推進してまいります。また、基本的な生活習慣の確立のために「早寝早起き朝ごはん」の取り組みの強化を図っているところであります。
 県教育委員会としましては、本庁、県立総合教育センター及び6教育事務所がそれぞれで推進している取り組みのなお一層の連携強化を図るとともに、取り組みを検証するため学力向上対策推進本部を立ち上げたところであります。
 今後とも、市町村教育委員会、各学校及びPTAなどとの連携を一層強化することで県民総ぐるみによる取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 次に、30人学級についてお答えいたします。
 30人学級につきましては、きめ細かな指導により児童一人一人が基本的な生活習慣や社会的規範を身につけ、基礎・基本の学力の定着を図ること等から小学校1・2年生で実施しております。
 30人学級につきましては、当面、小学校低学年で実施し、3年生以上の少人数学級については、国の動向や全国の実施状況等を踏まえ、30人学級制度設計検討委員会で研究してまいりたいと考えております。
 次に、主幹教諭の配置状況と効果についてお答えいたします。
 全国における平成20年度の主幹教諭の配置状況につきましては、12都道府県において1万2908名となっております。平成21年度文部科学省では、小中学校において448名の定数増を行っております。
 本県では、平成21年度に小学校3校、中学校3校、高等学校5校、特別支援学校1校に主幹教諭を配置したところであり、小中学校には計6名の加配措置がありました。
 主幹教諭の設置により教員の負担軽減、子供と向き合う時間の確保など、働きやすい職場づくりにつながるものと考えております。
 次に、教師が子供と向き合える環境をつくることについてお答えをいたします。
 県教育委員会としましては、教師がゆとりを持って子供としっかりと向き合える環境をつくることは大変重要であると考えており、学校行事の精選、調査文書の軽減等を図っているところであります。
 また、新たに配置した主幹教諭等を学校運営において機能的に活用することで教員の負担を軽減するとともに、子供一人一人に対しきめ細かな指導をする時間を確保できることが期待できます。
 さらに、大学生や退職教員等の学習支援ボランティアの活用、地域人材の活用等、地域ぐるみの学校教育支援体制づくりを推進しているところであります。
 次に、県立高校編成整備計画についてお答えをいたします。
 平成14年3月に策定した「県立高等学校編成整備計画」は、国際化・情報化等社会の急速な変化に対応するとともに、生徒の特性の多様化に適切に対処し、「生きる力」をはぐくむことに重点を置いて魅力ある学校づくりを推進することを目指しております。また、学校の活性化を図るため、学校規模の適正化を行うものでもあります。
 これまで編成整備を行った成果として、入学希望者の増加や進路決定率の上昇、部活動が活発になるなど、多くの効果があらわれております。
 今後とも、生徒の視点に立った魅力ある学校づくりを目指して本県教育の推進に努めてまいります。
 次に、総合実業高校の設置についてお答えいたします。
 専門高校の再編・統合は、農業・工業・商業・水産業など、それぞれ専門の知識・技能を身につけると同時に、他の専門分野も学ぶことができる特色ある学校づくりを目指した総合実業高校(仮称)として再編するものであります。
 再編に当たっては、各地域の振興策や人材育成などを踏まえ、学校規模、生徒の実態等を勘案し、効果的な教育が展開できる専門分野の組み合わせを考慮しております。
 北部地区では、情報通信や加工製造業などの地域振興策との関連から、工業・商業の教育に関する再編を行いました。宮古地区では、自然環境を生かした農業や水産業と連携した産業を促進するため、農業・水産業・商業に関する再編を行いました。島尻地区では、都市近郊地域の特性を生かした産業の拠点産地化を促進するため、農業・工業の教育に関する再編を行うこととしております。
 次に、専門分野の特化についてお答えいたします。
 これまで各専門高校においては、特色ある学校づくりを目指した学科改編により専門分野に特化した再編を行っております。一方、近年の各種専門技術が融合した産業に対しては、その産業に対応できる人材育成を図るため、関係する専門高校の再編・統合が必要であると考えております。
 この再編・統合については、関係する各専門分野を中心として他の専門分野も学ぶことができ、異なる専門分野の資格も取得することができるようになります。
 次に、県立高校編成整備計画の再編・統合の見直しについてお答えいたします。
 南部農林高校と南部工業高校の再編・統合については、農業と工業の専門性を維持するとともに、異なる専門分野も総合的に学べる学校を設置し、南部地域の振興に対応した新事業の創出や高度な経営技術に対応できる産業人材の育成を図ることを目的としております。
 県教育委員会としましては、これまで培ってきた両校の伝統の上に、将来の本県の産業を担う生徒をはぐくむため、引き続きPTA、同窓会、地域住民等の理解を得て再編・統合を推進してまいりたいと考えております。
 次に、世界大会の準備態勢と県のかかわりについてお答えいたします。
 「2009沖縄伝統空手道世界大会」には、世界43カ国から842名、県外からは166名の参加申し込みがあり、県内参加者を含めると6000名を超える盛大な大会が開催される見込みであります。これまで沖縄県代表選手選考会や大会50日前イベント等を開催するなど、大会本番に向けて機運の醸成を図っております。
 今後は、通訳ボランティアスタッフの募集や総合リハーサルを開催するなど、本番に向け万全を期してまいります。
 県としましては、大会実行委員会の会長を知事が務め、事務局を県教育委員会内に設置し諸準備を推進しているところであります。また、7月中旬には実施本部を設立し全庁体制で支援してまいります。
 次に、全国高校総体に向けた競技力向上対策等についてお答えいたします。
 「美ら島沖縄総体2010」に向けて、平成16年度に競技力向上対策事業年次計画を策定し、選手の育成強化に取り組んでまいりました。
 その成果としましては、ことし5月に開催された県高校総体の個人種目181種目において、強化選手の優勝が71種目、準優勝が61種目となっております。さらに、今年度開催された全国規模の大会の個人種目において優勝が2種目、3位入賞が2種目、九州高校総体等において優勝が2種目、準優勝が3種目など、次年度本県で開催される「美ら島沖縄総体2010」においての活躍が期待されます。
 また、競技会場の施設につきましては、既存施設を有効活用することを基本にしております。
 県においては、現在、奥武山水泳プールの改築や県総合運動公園陸上競技場などの改修を行っており、平成22年1月までにはすべて完了する見込みであります。
 今後とも関係機関・団体等と連携し、競技力の向上と競技施設の整備に鋭意取り組んでまいります。
 次に、福祉政策についての御質問で、就学援助の実態についてお答えいたします。
 就学援助を受けている児童生徒については、平成20年度の実績を調査中のため平成19年度で申し上げますと2万1490人となっており、近年増加傾向にあります。
 県教育委員会としましては、市町村教育委員会へ通知をし、就学援助事業の適切な実施を促しております。
 今後とも、教育の機会均等の確保のため必要な就学援助が行えるよう、働きかけていきたいと考えております。
 以上でございます。

 
20090407010060