平成20年(2008年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 8号 10月10日
桑江 朝千夫
 

 おはようございます。
 ただいま議題となっております乙第5号議案「沖縄県立精神障害者社会復帰施設の設置及び管理に関する条例を廃止する条例」について、原案に賛成する立場から討論を行います。
 本議案は、沖縄県立てるしのワークセンターを社団法人沖縄県精神障害者福祉会連合会へ移譲するために、その沖福連がみずから譲渡を要望し、それにこたえるために「沖縄県立精神障害者社会復帰施設の設置及び管理に関する条例を廃止する条例」であります。
 てるしのワークセンターは、精神障害者に対する医療中心から福祉施設の福祉施策の充実という流れの中、当事者が主体となった社会福祉施設が必要であるとの家族会などの要請を受けて、県が平成8年に設置した県内初の精神障害者通所授産施設であります。
 雇用されることが困難な精神障害者が自活できるように、同センターにおいても20数名の利用者がパンや弁当の製造販売などの授産活動、必要な訓練を行い、生活・就労能力の向上に日々努めております。
 このような精神障害者の福祉施策を推進するためには、行政の役割や取り組みだけではなく、家族会等関係団体との連携による施策の充実強化が必要であるとの判断から、同センターの管理運営については開設当初から沖福連へ委託してきたという経緯があります。その結果、同センターは単に社会復帰施設としてだけではなく、家族会を中心とした本県における精神障害者福祉の中心拠点の一つとなっております。
 平成18年度の障害者自立支援法の施行により、精神障害者の福祉を取り巻く環境は大きく変化をしてきました。
 これまで障害の種類ごとに別々に提供されていた福祉サービスの仕組みが一元化され、利用者の行動に着目したサービス体系に再編されたことにより、精神障害者と知的障害者が支え合い、多様なサービスの提供が見られるようになってきました。
 同センターについては、開設当初から沖福連が管理運営を担っておりますが、県は、平成18年度から平成20年度までは指定管理者制度を導入し、その沖福連を管理者として指定しております。
 沖福連は、精神障害者の福祉を取り巻く環境の変化と指定管理期間の期限を前に、県から同施設を譲り受け、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業を展開することが福祉の向上につながると判断し、県に対し事業計画を示してその実現に向けての理解と協力を求めるため要望書を提出しております。
 また、文教厚生委員会に対しても、沖福連から同施設を沖福連へ移譲してもらいたいということについて強い理解を求めるための要望書が提出されております。
 我が委員会でも文教厚生委員会でその件に関して審議をし、当然全会一致で採択されるものと予測をしておりましたが、先ほどの反対討論があった状況になり、共産党一党の反対が出てきてしまいました。
 県に対する沖福連の要望の主な内容をここでかいつまんで説明をしますが、民間移譲については、利用者のニーズに即した積極的事業展開や、中長期的展望に立った取り組みが強化されサービスの活性化にもつながることから、原則賛成であること。移譲先については、同施設の設置等これまでの経緯を踏まえ、沖福連を指定してもらいたいこと。2番、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業所に移行については、県の指導及び支援をお願いしたいこと。移譲に際し、建物・設備については無償で、土地利用は減免をお願いしたいこととの要望があったのであります。
 県においては、これらのことを踏まえ、平成21年度以降の施設のあり方について検討した結果、沖福連の移譲後の事業内容や運営状況、現在の利用者への影響、医療法人等関係団体へのヒアリング等により、同センターについては、指定管理者として継続するよりも沖福連へ移譲した方が精神保健福祉サービスの向上につながるものと判断し、移譲先を沖福連とした旨の説明を受けております。
 さらに、移譲後における県の支援については、家族会への支援や精神障害者の地域生活移行事業等において、引き続き沖福連と連携し精神障害保険福祉施策を推進するとしております。
 移譲後の管理運営費については、実績払いによるサービス報酬になることからして、利用者の確保に向けて市町村や医療機関など関係機関との連携を強化し、支援していくこととしております。
 福祉施設の管理運営において最も重要なことは、利用者にとって安心して安定した福祉サービスが確保できることであります。そのためには、利用者のニーズに迅速に対応できる事業体制の確保が重要であることは言うまでもありません。
 そういう意味において、今回の移譲については沖福連の要望に即した内容となっており、沖縄県立てるしのワークセンターを沖福連に移譲し、利用者本位の福祉サービス事業所として活性化していくことは時宜を得た適切な判断であると考えます。
 以上のことから、本議案について議員各位の御賛同をお願いをし、乙第5号議案「沖縄県立精神障害者社会復帰施設の設置及び管理に関する条例を廃止する条例」の原案に賛成する立場からの討論を終わります。

 
20080308010210