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平成19年(2007年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 7号 10月 4日
病院事業局長(知念 清)
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病院事業の赤字の原因と対策についての御質問にお答えします。
病院事業会計の平成18年度決算は、50億1326万円の純損失を計上する見込みです。
その主な理由は、病院事業収益においては、入院収益、外来収益などの診療収益が患者数の減少により前年度と比較し15億8984万円減収となったこと、また病院事業費用においては、県立南部医療センター・こども医療センターの開院等に伴い減価償却費が10億4931万円増加したことや、旧県立南部病院の民間移譲などに関連し、固定資産売却損が5億7400万円増加したことなどが挙げられます。
このような状況を踏まえ、病院事業局としてもさらなる経営改善に取り組む必要があると考えております。
そのため、収益においては、これまで以上に地域医療連携機能の強化による急性期患者の確保等に努めることや、未収金対策及び診療報酬請求漏れ防止対策を徹底することなどにより収入の確保を図ることとしております。
一方、費用においても材料費の一括購入の推進や後発薬品の導入拡大など、すべての経費において一層の節減に努めていくこととしております。
また平成20年度の予算編成に当たっても、これまでにない厳しい姿勢で臨み、収支改善を図ることとしております。
続いて、赤字が続く場合の病院経営についてにお答えします。
病院事業は、厳しい経営状況が続く中、平成14年度以降、年度末の借り入れ残高が翌年度当初繰入金を上回る状態が続いており、特にここ数年は年度末に約100億円の資金不足が生ずるなど、資金繰りが一段と厳しくなっております。
これらの不足分については一時借入金により補い、翌年度の繰入金等で返済するという資金運用をしており、今年度末においても約100億円の資金不足が見込まれております。
このようなことから、これ以上赤字を計上し続ければ病院運営が立ち行かなくなってしまいます。したがって、引き続き県民に対し必要な医療サービスを提供していくためには、これまでにない徹底した経営改善策を実施していくとともに、あらゆる面から抜本的な見直しを検討していく必要があると考えております。
続きまして、病院事業における新年度予算編成方針についてお答えします。
病院事業の厳しい経営状況がこのまま続くと、平成20年度末においても大幅な資金不足が生ずるおそれがありますが、診療報酬のマイナス改定が続く中で大幅な収益の増加は望めず、厳しい財政状況にある一般会計からの繰入金の増額も困難な状況があります。
このことを踏まえ、平成20年度予算編成に当たっては、みずからの経営努力を一層高めて、資金不足を改善するため経費の縮減に重きを置いて収支を改善する必要があります。
その手法として、経費ごとに義務的経費、経営政策的経費、経常的経費に区分した上でそれぞれに縮減目標を設定し、トータルで約40億円の費用削減を目指すこととしております。
病院事業を継続させるためには職員一丸となって取り組むことが不可欠であり、病院現場へ十分に説明をし、理解を求め取り組んでまいります。
続いて、病院現場の士気と予想される影響についてお答えします。
病院事業では、大幅な経費縮減を伴う予算編成を行ったことは過去にありません。しかしながら、平成20年度予算編成で大幅な経費縮減を行うとともに、収益の確保を図り、収支の改善を達成しなければ平成21年度以降の病院事業の継続は不可能であります。
県民への公的医療の提供を維持するためにも、病院現場の医師、看護師等には士気が低下しないように十分な説明を行って理解を求め、職員一丸となって新たな予算編成に取り組んでまいります。
予想される影響としては、今後、当分の間、新たな施設・設備の整備を抑制せざるを得ないことなどであります。
続きまして、県立病院に係る繰入金の確保についてお答えします。
県立病院は、民間医療機関では対応が困難な救急医療、高度・特殊医療、離島・僻地医療、医師等医療従事者の育成など、いわゆる政策的医療を担っており、繰入金の所要額確保は重要であります。
現在、一般会計においても厳しい財政状況にありますが、県立病院の役割を踏まえ、一般会計からの繰入金については引き続き所要額の確保に努めていきたいと考えております。
続きまして、県立病院のあり方を考える検討会についてお答えします。
平成16年3月の「県立病院の今後のあり方検討委員会」からの提言においては、運営形態としては、地方公営企業法の全部適用への移行が望ましいこと、また県立南部病院は廃止または経営移譲することなどの考え方が示されており、地方公営企業法の全部適用以外の運営形態への変更や経営主体の見直しについては将来的な検討課題とされております。
同提言を受けて、県では平成18年4月に県立南部病院を民間に経営移譲するとともに、運営形態を地方公営企業法の全部適用に移行するなどの改革を行ったところであります。
しかしながら、県立病院事業の経営状況は依然として極めて厳しい状況にあり、加えて、一般会計においても今後厳しい財政状況が続くことが見込まれております。
このような状況を踏まえ、病院事業局としては、県の財政負担能力の範囲内で県民に必要な医療を将来にわたり安定して提供していくためには、さらなる改革を進める必要があると考えております。そのため、庁内関係部局による検討体制を立ち上げ、あり方検討委員会の提言において、将来の検討課題とされていた運営体制の変更も含め抜本的な改革に向けて検討していくこととしております。
以上でございます。
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20070307160030