平成21年(2009年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 6月26日
福祉保健部長(奥村啓子)
 

 うるま市における米国籍男児死亡事件についての御質問の中の、当時のコザ児童相談所の判断・対応に関する検証結果及び対応策についてお答えいたします。
 当該事件の検証においては、下着姿の子供がいるという情報に対して要保護児童という認識を持たず、積極的な情報収集をしなかったこと、また、子供の安全確認を児童相談所職員が直接行わなかったことを問題点として整理するとともに、米軍基地内の関係機関との連携の必要性を課題として挙げております。
 これらの問題点に対する対応策としては、すべての養護相談に虐待の視点を取り入れるなどの電話相談受け付けの見直し、緊急受理会議の参加構成人員の見直し、子供の安全確認の徹底、警察等関係機関との連携、米軍基地内の関係機関との連携、職員教育の徹底という6点の対応策を挙げております。
 県としましては、これらの対応策に取り組んでいたところでありますが、このたび、石垣市において発生した3歳の児童が虐待と思われる傷害により重体となっている事案につきましては、初期対応に不適切な部分があったと認識しており、大変遺憾に感じております。
 過去の事件の検証が十分に徹底されていなかったことを深刻に受けとめ、同様な事件が繰り返されることがないようにさらなる対策を検討していく必要があると考えております。
 次に、基地の外に居住する米兵の子弟に関する相談及び保護の処理件数と対応状況についてお答えします。
 県児童相談所では、米兵の子弟に関する平成12年度以降の虐待相談件数が23件となっており、うち2件については一時保護を行っております。また、市町村では、平成17年度以降の虐待相談件数は2件となっており、一時保護の事例はありません。
 一時保護以外の対応状況については、児童の状況を確認した上で在宅支援を行ったケースが大半でありますが、基地内の事案として米軍関係機関等が対応したケースも4件あります。
 次に、米軍基地の児童虐待対応機関と県・市町村、県警等との連絡・連携体制の構築状況についてお答えします。
 米軍基地内の相談機関と県との連携につきましては、当該事件を受け、米軍基地内の4軍の相談機関と県との連絡調整会議を設け、相互の連絡体制や支援体制について説明及び調整を行うとともに、基地内の緊急連絡先リストの提供を受けております。
 現在、基地内相談機関へ児童の指導依頼を行うなどケースに応じた連携を図っておりますが、個人情報に係る情報提供や通訳の正確性の確保などの課題もあることから、引き続き調整を行うこととしております。
 なお、基地内相談機関と市町村、県警との連携体制については、現時点で未構築であることから、県としましても、今後の調整を行う中で検討を行う必要があると考えております。
 次に、コザ児童相談所への一時保護所設置の実現見込みについてお答えします。
 コザ児童相談所管内の一時保護を要する児童については、中央児童相談所一時保護所との調整を行いながら、同保護所への入所、児童養護施設や里親への委託などにより対応しているところであります。
 今後も児童養護施設や里親への委託の推進など、一時保護委託先の拡充を図りながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 コザ児童相談所への一時保護所の設置につきましては、これらの取り組みを行いながら、児童相談を取り巻く状況の変化を勘案して対応を検討してまいります。
 以上でございます。

 
20090404100090