平成19年(2007年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 6月29日
髙嶺 善伸
 

 こんにちは。
 それでは通告に基づいて質問を行います。
 まず、知事の政治姿勢についてでありますが、米艦船の与那国寄港問題についてであります。
 6月23日「慰霊の日」、県民が悲しみに包まれているとき、米軍は掃海艇を与那国に入港させるために南西諸島海域を南下しておりました。復帰後、県内民間港湾入港は初めてのことであり、県民感情を逆なでする横暴に私は断固抗議いたします。
 まずア、沖縄県は日米地位協定の見直しで緊急時以外の民間港湾等の米軍使用を禁止する姿勢を堅持してきました。日米合同委員会でも入港できるのは通常は開港であることが合意されております。寄港目的は与那国町との親善交流ということになっていますが、与那国町長も入港反対と交流行事には協力できない旨の文書回答を行いました。祖納港管理者である沖縄県も、八重山支庁長名で入港を自粛するよう文書回答をしました。
 新聞報道によりますと、仲里副知事も入港自粛要請をしたようでありますが、ジェームズ・ケリー米軍司令官は、ストーカーまがいのよき隣人であることを伝えるために寄港すると述べたようであります。ケビン・メア総領事は、入港になぜ反対するか理解しにくい。日米地位協定5条では開港・不開港の区別はないと述べて、地元町民たちの入港反対抗議の中、6月24日強行入港し、26日まで強引に停泊したのであります。実質的な全県米軍基地化であり、主権国家の放棄、地方自治の否定、まるでアメリカの占領国に成り下がったのであります。
 まず、それについての仲井眞知事の御見解をお伺いします。
 イ、今回の友好親善交流や乗組員の休養を目的とした強行入港について、日米安保条約、日米地位協定、港湾管理者の責任、国内法との関連で、住民の安全・安心の確保の問題点についての県の認識と今後の対応をお伺いします。
 ウ、開港は国民の安全確保のためにCIQが不可欠であります。開港でない与那国への今回の米艦船入港は今後祖納港の開港化へ向けてどのような影響を与えるのか。開港への見通しと今後の対応をお伺いします。
 エ、与那国町で自衛隊の配備や米軍艦船寄港容認の声がありますが、与那国町の国際交流特区の要望や台湾との国際親善交流含めて外交面で支障を来すと思いますが、県の認識と今後の国や町との協議も含めて県の対応をお聞かせください。
 次に、防災行政であります。
 (1)、平成15年宮古島台風14号、平成18年八重山台風13号、中城土砂崩壊災害等の教訓、古くは明和大津波の教訓を踏まえ、本県における台風・地震・津波・高潮等災害対策への危機管理体制はどのようになっているかお伺いたします。
 (2)、法定受託事務である災害救助法の適用の配慮や、災害対策基本法に基づく災害対策本部、地方対策本部設置などの判断基準、災害復旧支援のあり方等本県の防災計画の策定状況や運用状況がどうなっているかお伺いいたします。
 (3)、離島圏域の防災危機管理における八重山支庁、宮古支庁の役割と今後の機能拡充についての取り組みをお聞かせください。
 (4)、八重山市町議長会は、これまでの台風災害を踏まえ、電線類地中化推進を定期総会で決議して要望しておりますが、これまでの議会答弁では平成20年度までに延べ36キロのみの整備しか予定されておりません。全島実施する場合の予算規模、補助事業の見通し、道路管理者と事業者の協議の進捗状況、防災等地域的な優先配慮の考え方、今後の取り組みをどのように加速していくのかお伺いいたします。
 3、環境行政、海岸漂着ごみ対策について。
 ア、去る4月26日、農林水産省発表の「海岸漂着ゴミ実態把握調査結果」によると、全国3250海岸調査で漂着ごみ量は2万6000トン、九州地方北部、東北地方北部が最もごみが多いと報告されました。私たちの調査では沖縄の海岸が最も多く深刻だと指摘してきましたが、今回の調査は各都道府県や市町村の協力を得て調査したと言っております。この調査報告について県の認識をお伺いします。
 イ、環境省が今年度調査を予定している海岸漂着ごみ実態調査とその結果をどのように反映していくのか、今後の本県での海岸漂着ごみ対策への取り組みをお伺いいたします。
 ウ、海岸線の赤土汚染が深刻であります。赤土流出防止対策の進捗状況と目標達成の見通しはどうかお伺いします。
 4、産業振興、農業振興について。
 ア、島嶼県沖縄、特に離島ほど農業への依存度が高く、就業者の高齢化もあり、さとうきびや肉用牛の振興は不可欠であります。日豪EPA交渉いかんによっては壊滅的な痛手を受け、農業離れ、人口流出による過疎化は必至であります。今こそ県の情報収集能力、交渉力が問われております。この交渉での例外品目の取り扱いについての県が考える見通し、そして今後の対策についてお伺いします。
 イ、今後、離島・過疎地城の農業政策の一環としてデカップリング、いわゆる所得保障制度導入の検討について取り組む計画があるかどうかお伺いします。
 5、医療行政。
 県立八重山病院はおかげさまで産婦人科の医師確保のめどが立ち、7月1日から6名体制になるということで安堵しております。離島勤務医師が定着できるような条件整備と未解決の脳神経外科医確保等、今後とも取り組みをお願いしておきます。
 (1)、他府県でも実施されております離島・僻地勤務医師確保のための医学部地域枠の取り組みが進んでおりますが、本県においても平成20年度琉球大学医学部入学生から地域枠推薦制度導入を要請し、離島・僻地勤務希望医師確保の取り組みをしていただきたいと思いますが、県の決意をお伺いします。
 (2)、琉球大学寄附講座等RITOプロ支援について、最終報告も含め今後の連携の取り組みはどうなっていくのかお示しいただきたいと思います。
 (3)、離島・僻地勤務医師、特に離島保健所勤務医師の特殊勤務手当の削除は、医師確保と逆行するので再検討すべきではないか思いますが、お伺いします。
 6、離島振興。
 (1)、新石垣空港建設においては用地取得率も80%を超え、本格的な造成工事も始まっており、感謝申し上げます。ぜひ自然環境に配慮しつつ万全の工事実施をお願いしたいと思います。
 そこで、八重山の各離島への発着拠点であります石垣港と新石垣空港を結ぶ道路整備は絶対に必要であり、地元から要望も強く出ております。このアクセス道路整備は新石垣空港供用開始に間に合わすべきだと考えますが、整備計画への取り組みをお伺いいたします。
 (2)、石垣空港についてでありますが、ア、新石垣空港の供用開始に伴って石垣空港は廃止すると議会で答弁をいただいてきましたが、空港跡地利用基本構想策定の進捗状況はどのようになっているかお伺いいたします。
 イ、石垣市が跡地利用方針を示す場合、現空港敷地の60%は国有地、30%は県有地という状況になっております。利用計画に関する国、県、市の調整が必要と思われますが、その調整はどうなっているのかお伺いします。
 (3)、飲料水確保について。
 ア、離島の飲料水供給の現状と課題をお聞きしたい。
 イ、竹富町から要請のある西表島から波照間島への海底送水問題について、沖縄振興計画の中で取り組む必要があると考えますが、県としてどのように取り組むかお伺いします。
 (4)、先島地上デジタル放送支援について。
 ア、現行のICT交付金制度では事業主体となる市町村等負担が厳しいことから、仲井眞知事は去る2月議会の答弁で、負担がないように取り組むとの姿勢を示されましたが、その後の取り組みはどうなったかお伺いいたします。
 イ、報道によりますと、沖縄県が事業主体となって支援することを国へ要請したということでありますが、その取り組みは高く評価したいと思います。そこで、国へ要請している内容について、国、県、市町村、放送事業者等の支援方法、これについての国の対応はどうか、実現の見通しをお伺いしたいと思います。
 最後に、我が会派の渡嘉敷議員の代表質問との関連でお伺いします。
 与那国町祖納港の港湾管理者である沖縄県のメッセージが日米両政府に全く伝わっていないではないかと感じられました。

 そこでお聞きします。
 八重山に「デンサー節」という教訓歌がございます。
   島持ツドゥ家持ツ 舟乗リドゥユヌムヌデン 
   シドゥ舟子 親子スランバナラヌ 
 つまりこれは、家庭の教育力が問われるときは両親がしっかりせい、県の自治事務が問われたときは知事がしっかりせいと、そのことで島の繁栄があるということを歌っておりますが、ここはやはり県のメッセージを明確にすべきじゃないかという点で、これまでの答弁を踏まえて3つお聞きします。
 まず、祖納港への米軍掃海艇入港に対する渡嘉敷さんの質問に対して、今後、緊急時以外は自粛するよう申し入れると答弁しております。日米地位協定の見直しを要求している港湾管理者である沖縄県の立場と、日米地位協定第5条における米軍の立場は明らかに違います。そこで、自粛というのは、県にとっては、県としては入港に反対である、よって自粛を申し入れるというつなぎにしないと県のメッセージが明確にならないんですよ。自粛だけではだめ。その前にまず入港は反対であるという意思表示が必要ではないのか、改めて御答弁をいただきたい。
 次に、使用自粛を要請したが、入港したことは遺憾であるとの仲井眞知事のコメントが出されておりますが、遺憾とは、県の自粛申し入れを受け入れなかったことへの怒りの表現とそう受けとめてよいのか、明確な答弁をお願いしたいと思います。
 3つ目に、県内の民間港湾に今後入港することがないようにするためには県と国との協議が必要であります。今回、入港自粛、入港遺憾という県の意向をメッセージとして日本政府に対してどのように申し入れしたのか、政府の対応はどうだったのか、経過を報告していただきたい。
 というのは、外務省は祖納港入港前日から与那国入りをして掃海艇入港に対応しておりました。ということは、入港自粛を要請している港湾管理者である沖縄県の頭越しに既に受け入れしていたということになっております。そういうことについて県の認識はどうなのか、今後の対応も含めてお伺いいたします。
 以上、答弁をよろしくお願いします。

 
20070206150030