平成21年(2009年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 9号 2月26日
福祉保健部長(伊波輝美)
 

 県立病院事業についての御質問の中の、独法化に対する県民、病院職員の意見等についてにお答えいたします。
 県民説明会は、県民に基本構想案の内容を説明するとともに、意見の聴取を行うことを目的として、宮古、八重山、北部及び那覇の4カ所で開催しております。
 基本構想案では、県立病院の地方独立行政法人への移行が盛り込まれたことから、県民説明会においては地方独立行政法人制度の概要も説明いたしました。県民からは、独法化すると県が公的医療の提供に必要な財政負担を抑制するのではないか、また、採算性が重視され、公的医療の提供が後退するのではないかなど独法化後の制度の運用を懸念する意見が多く出ました。
 県立病院職員への説明会は、県民説明会と同様の目的で1月23日から2月3日にかけてすべての県立病院で開催しました。職員説明会においては、地方独立行政法人への移行よりも職員の意識改革、または優秀な経営人材の育成が重要である、公的医療に対する財政負担の抑制や採算性を過度に重視した経営など、独法化後の制度の運用に不安があるなどの意見がございました。特に、宮古、八重山の説明会においては、県民、病院職員の両方から、医師や看護師の確保が困難になるのではないかなどの意見が出されました。
 このようなことから、地方独立行政法人法において、法人が担う救急医療、離島医療などの公的医療の提供に要する経費については、現在の地方公営企業法と同様に、県の財政負担が義務づけられていること、法人の業務運営の重要事項については、県議会の議決が必要とされていること、また現在の6県立病院が一体として独立行政法人に移行することを基本としているため、医師、看護師などの人材確保の仕組みは維持されることなどについて説明を行いました。
 続きまして、累積赤字の取り扱いと移行後の法人への交付金についてにお答えいたします。
 地方独立行政法人法第6条第1項では、「法人は、その業務を確実に実施するために必要な資本金その他の財産的基礎を有しなければならない。」と規定されています。この規定の効果として、本県病院事業が債務超過状態に陥っている場合、地方独立行政法人への移行は認可されませんので、このような場合は、県に債務を残すか、または県から金銭出資を行うといった手法により債務超過状態を解消する必要があります。
 病院事業の現在の財務状況から試算しますと、病院事業は債務超過状態にあることが見込まれることから、病院事業が地方独立行政法人へ移行する場合は、県から出資を行う必要があり、これによって、現在、病院事業が抱えている資金不足は解消されるものと見込んでおります。また、累積債務も解消されることになります。
 移行後の地方独立行政法人への交付金については、同法第85条の規定により、救急医療や周産期医療等のいわゆる政策医療等の実施に要する経費を現在の地方公営企業と同様に引き続き県が負担することになっております。
 続きまして、地方独立行政法人化に必要な移行期間についてにお答えいたします。
 地方独立行政法人への移行につきましては、準備作業を勘案すると2年程度の移行期間を要するものと認識しております。しかしながら、県立病院のあり方検討部会におきましては、南部医療センター・こども医療センターと那覇市立病院との再編協議について、両病院の関係者間で、平成23年度中をめどに結論を出すこととされていること、精和病院については、医療観察法の指定及び指定管理者制度導入の是非を検討する必要があることなどから、地方独立行政法人を構成する基本的な組織が確定するまで一定期間を要することを考慮したほか、病院現場の理解を得て県立病院改革を進めていく観点から、3年間の移行期間を設定し、平成24年度をめどとして地方独立行政法人へ移行することを提言しております。
 以上でございます。

 
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