平成19年(2007年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第 8号 7月 3日
教育長(仲村守和)
 

 それでは教育行政についての御質問で、ゆとり教育の見直しについてお答えいたします。
 いわゆるゆとり教育は、ゆとりと充実の中で「生きる力」をはぐくむことをねらいとして「総合的な学習の時間」等が導入され、各学校において特色ある教育活動が展開されてまいりました。
 本県においても、「総合的な学習の時間」等において、みずから課題を見つけ、主体的に取り組むことにより、思考力・判断力が培われるなど「生きる力」がはぐくまれていると考えます。
 ゆとり教育の見直しについては、これまでの取り組みについて十分な検証を行い、慎重に検討すべきであると考えます。
 次に、学校週5日制の廃止及び学校現場の声について一括してお答えいたします。
 教育再生会議第2次報告において、土曜日の授業実施等が提言されておりますが、学校週5日制は完全実施から5年を経過し、広く定着しているものと考えます。
 県教育委員会としましては、全国都道府県教育長協議会を通して文部科学大臣等に対して、土曜日の授業実施については学校週5日制の検証結果に基づいた検討が必要であり、学校現場の実情を踏まえ、勤務体制、人的配置、財源措置についても留意することを申し入れたところであります。今後、中央教育審議会等の審議の推移を注意深く見守っていきたいと考えております。
 次に、ゆとり教育の理念についてお答えいたします。
 ゆとり教育の理念は、これからの変化の激しい社会を児童生徒が主体的・創造的に生きていくために、自分で課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動する力などの確かな学力、みずからを律しつつ他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などの「生きる力」を身につけることをねらいとしていると考えております。
 次に、学力低下と授業時数の削減についてお答えいたします。
 県教育委員会としましては、子供たちがみずからの力でゆとりを持って学習できるよう「総合的な学習の時間」の充実や、少人数指導、補習指導、習熟の程度に応じた指導等のきめ細かな指導を支援してまいりました。その成果として、達成度テストでの平均得点の向上、読書量の増加、大学進学率の向上等の成果が見られ、授業時数の縮減が必ずしも学力低下を招いているとは言えないと考えております。
 次に、小中学校における耐震不足校舎等についてお答えいたします。
 本県の公立小中学校における耐震化の状況は、平成19年4月1日現在で、全棟数1876棟のうち耐震性のある建物は1287棟で、耐震不足の建物は589棟となっております。
 耐震化率を全国と比較しますと、全国が58.6%に対して本県は68.6%で、全国平均を10ポイント上回っております。
 県教育委員会としましては、学校施設の耐震化について改善事業により取り組んでいるところであります。
 次に、県の補助制度創設についてお答えいたします。
 小中学校施設整備については、沖縄振興特別措置法に基づく高率補助を活用して整備を促進しているところであります。
 また、補助事業に係る地方負担分についても、地方債及び地方交付税措置が行われております。
 なお、地方負担分については、設置者である市町村が対応すべきであると考えており、現在の県の財政状況から新たな県補助制度の創設は困難であります。
 県教育委員会としましては、沖縄振興特別措置法に基づく高率補助を活用して、今後とも市町村と連携し、老朽校舎等の解消に努めていきたいと考えております。
 次に、小学校への農業科の導入についてお答えいたします。
 児童が体験を通して第1次産業である農業を学ぶことは大変有意義なことだと思います。
 本県では、豊かな体験活動推進事業等の中で、農家民泊や作物の収穫体験等を通して、農作物を育てる喜びを実感させる取り組みや農家の方々との交流等、豊かな人間性や勤労観・職業観をはぐくむ取り組みが行われており、児童生徒の学習意欲の向上や豊かな心の育成等の成果を上げております。
 今後とも、「総合的な学習の時間」や教科の中で農業体験等の豊かな体験活動を充実していきたいと考えております。
 以上でございます。

 
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