平成20年(2008年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 2月25日
嘉陽 宗儀
 

 通告に基づき質問します。
 初めに、米軍基地問題についてです。
 現在の沖縄の米軍基地をめぐる状況は極めて異常事態であります。少女暴行事件が発生し、県民の怒りが大きく渦巻いているさなかに、新たな米兵犯罪が続発しています。これはどんなに再発防止を叫び綱紀粛正を唱えても、米軍基地がある限り犯罪はなくならないことを示すものです。
 しかも重大なことは、我が国政府の態度がアメリカの属領ではないかと思われるような屈辱的な態度をとっていることも犯罪誘発の大きな要因になっていると思います。
 さらに、最も米兵犯罪で痛めつけられている沖縄の知事が、アメリカ政府や米軍の幹部に抗議さえしない態度も米兵に甘く見られる結果になっていると思います。
 私は、大きな夢を持って羽ばたいていくべき少女が一生傷ついて生きていくのかと考えると、胸の引き裂かれる思いです。同時に、知事のとった態度は納得できないし遺憾であります。
 それで質問します。
 1、少女暴行事件について。
 (1)、知事は、駐日米国大使と在日米軍司令官に遺憾であると表明をし、抗議もせず握手をしてエレベーターまで見送ったようですが、なぜ抗議しなかったのですか。
 (2)、知事は、すぐに米軍再編に影響はないとコメントをしていますが、県民に衝撃を与えた犯罪より米軍再編を心配する態度はまさに反県民的だと考えますが、御所見を伺います。
 (3)、被害者への手紙を知事が受け取って届けるという約束をしていますが、これは知事が加害者の代理人としての役割を果たすものであり、県民にとって屈辱的な行為だと思います。知事の御所見を伺います。
 (4)、手紙はアメリカ側が被害者に直接に謝罪して渡すべきものだと考えます。なぜそれを求めなかったのですか。
 (5)、米兵が基地外に居住している実態はどうなっていますか。また、居住の条件は具体的にどうなっているか説明を求めます。居住の法的根拠は何か。住民登録はなぜしていないのか明らかにしてください。
 (6)、「米軍関係者による事件・事故を防止するための取り組み」の教育プログラムの対象は新着隊員だけであり、防止策の内容は外出制限だけになっています。なぜ基地外居住者は対象になっていないのか。これでは犯罪は防止できないではありませんか。
 (7)、この際、基地外への居住の制限・禁止を申し入れるべきではありませんか。
 (8)、再発防止のために抗議の県民大会を開くことが重要です。知事がそのために最大の努力をすべきだと考えますが、決意を伺います。
 (9)、辺野古における米兵事件の捜査はどうなっていますか、明らかにしてください。
 2、米軍再編について。
 (1)、米軍再編で基地機能は一層強化され、嘉手納基地や普天間基地からの爆音はますますひどくなっているなど、県民の被害も増大しています。機能強化の実態を具体的に明らかにしてください。また、増加する県民への被害の状況についても説明してください。
 (2)、知事がV字型案を沖合に移動するよう求めていることに対して、日米両政府は拒否をしています。知事はそれを打開できるという見通しがあるのですか。あるとすればいつまでですか。
 (3)、普天間基地の危険性の除去、3年以内の閉鎖の知事公約はいよいよ不可能になってきています。この際、その事実を認めるべきではありませんか。
 3、辺野古の環境影響評価方法書について。
 (1)、沖縄県環境影響評価審査会は環境影響評価を審議し、方法書の再実施を求めましたが、その内容はどのようなものですか。
 (2)、環境影響評価審査会の答申を受けた仲井眞沖縄県知事は、事業主体の沖縄防衛局に対し、県条例の対象となる飛行場建設部分について知事意見を提出しましたが、その内容を説明してください。
 (3)、個別・具体的な項目については答申を反映させ、調査方法や予測評価をアセス調査前に再審査・公表を求める異例の内容となっていますが、肝心の手続のやり直しは要求せず、答申よりトーンダウンさせた理由は何ですか。
 (4)、これにより判断は事業者にゆだねられ、埋立部分の審議が残るものの、調査着工を急ぐ沖縄防衛局にしてみれば正々堂々と作業を進められることになっていませんか。
 (5)、改めてずさんな手続のやり直しを求めるべきではありませんか。
 (6)、環境現況調査について知事意見では、ジュゴンやサンゴ類等の生物的環境への影響が懸念されていることから、これらの調査の実施による環境への影響を十分に検討した上で調査の中止も含め検討する必要があるとの審査会からの指摘があり、事業者においては十分配慮する必要があると書かれています。であれば、環境現況調査の中止を求めるべきではありませんか。
 (7)、沖縄ジュゴン訴訟で米国防総省が敗訴しましたが、県はそれをどう受けとめていますか。
 4、東村高江ヘリパッド基地建設問題について。
 (1)、作業が中断していた米軍北部訓練場の一部返還に伴う沖縄県東村高江区へのヘリパッド移設事業が突然再開されました。移設予定地のN-4ゲート前、N-1ゲート前では地域住民と沖縄防衛局職員の対立が続いています。事実を掌握していますか。
 (2)、現場では、住民が建設後予想される人権をじゅうりんした危険性、環境アセスの違法性、豊かな自然環境を守るために数カ月も座り込みの抵抗運動を続けています。激励すべきだと思うがいかがですか、御所見を伺います。
 (3)、県は、東洋のガラパゴスと言われるヤンバルの自然を守るために、生物多様性と絶滅のおそれのある種の保全計画を作成し、世界自然遺産へ登録させるなど、その自然環境を守るために全力で取り組むべきであります。決意を伺います。
 (4)、そのためにも県は直ちに工事の中止を求めるべきですがどうですか。
 次は、泡瀬干潟問題について。
 (1)、沖縄市長は昨年の12月5日に、泡瀬埋立事業について「一期容認・二期困難」の見解を表明しました。これに対する県の対応はどうなっていますか。
 (2)、沖縄市は、埋立後の土地利用に対して、民間に売却予定のところを沖縄県が地盤改良し、そこを沖縄市が購入し民間に売却するとし、沖縄市の土地購入のリスクはないとしていますが、そうなれば沖縄県の埋立地の地盤改良は継ぎはぎだらけになり、効率の悪い事業になると考えますがどうですか。
 (3)、そうなると沖縄県の東部海浜開発事業の目的を見直す必要があるのではありませんか。沖縄市は土地利用計画を見直すと言っていますが、県はどうしますか。
 (4)、見直しをするのであれば、当然、埋立免許の許可条件も見直すべきであります。そのためにも工事の中断はすべきではありませんか。現在の工事ありきの態度は認められません。所見を伺います。
 (5)、泡瀬一期工事はサンゴ生息地の埋め立てで大規模なサンゴの破壊になっています。サンゴ一本でも無許可で採取すると法律で処罰させられます。工事による大量のサンゴの破壊は許されるのですか。
 (6)、埋め立ては環境に配慮しないままに強行されています。貴重な生き物たちが保全もされず生き埋めにされています。県は現在の状況を調査して対策をとるべきではありませんか。
 (7)、アセス書に記載されていない新種・貴重種が多数発見・確認されています。海洋生物も121種の絶滅危惧種が確認されています。県はそれらの保全をどうするのですか。泡瀬干潟の埋め立ては全国的に問題になっている無駄な公共工事そのものであります。即刻やめ、泡瀬干潟の埋め立ても中止すべきであります。決意を伺います。
 次、教育問題について。
 全国一斉学力テストについて。
 (1)、全国一斉学力テストの成績が全国最下位という結果を受けて、学力テストの結果を各教育委員会は積極的に公表・公開し、地域を巻き込んだ取り組みにする方針を明確にしました。
 これはこれまで以上に競争を持ち込むものであり、教育に勝ち組・負け組をつくり出すものであります。
 教育長と教育委員長の見解をそれぞれ伺います。
 (2)、犬山市の教育長は、「学びとは、競争して相手に勝てばいいというものではない。生涯にわたり、自ら学び続ける人間を育てることが大事だ」と述べ、「沖縄が絶対に避けなければならないのは、短絡的に来年度の学力テスト対策に走ることだ。〝東京発"の尺度に乗せられ、地域の良さや教育の本質を見失ってはならない」と指摘しています。避けなければならないと指摘されたことを邁進する立場の教育長と委員長のこれに対する見解を伺います。
 (3)、愛知県犬山市教育委員会は、全国一斉学力テストに参加せず、教育に競争原理を持ち込まず、30人学級など少人数による「学び合いの授業」で大きな成果を上げ、不登校や登校拒否も3分の1に減少していると発表しています。本県も差別と選別の教育ではなく、30人学級による少人数教育に全力を挙げるべきではありませんか、決意を伺います。
 2、教科書検定問題について。
 (1)、高校歴史教科書の検定で沖縄戦のいわゆる「集団自決」への軍の強制が削除された問題で、26日、訂正申請を審議していた教科用図書検定調査審議会の杉山武彦会長は、渡海文科相に報告書を手渡し、渡海文科相は記述を承認しました。この中で「軍の関与」についての記述は復活したものの、「強制」については書かれず、依然として検定意見が残る最悪の事態になっています。
 これに対する知事の見解を伺います。
 (2)、知事は改めて9・29県民大会の決議である検定意見の撤回を求めるべきではありませんか、決意を伺います。
 (3)、教科書を改ざんし、あの戦争の美化を進めているのは靖國神社参拝を信念のあかしとしている「靖國派」と言われている日本会議であります。憲法9条改悪を推進する勢力にもなっています。それだけにこの教科書検定問題は、沖縄だけの問題ではなく全国民的なものでもあります。知事として、引き続き県民の先頭に立ち、検定意見の撤回や沖縄条項を実現させるまで頑張るべきだと考えますが、決意を伺います。
 福祉問題について。
 4月から実施される後期高齢者医療制度について、今、多くの県民から不安と制度の中止を求める声が大きく広がっています。新たに年金から保険料が徴収されたら生活が成り立たない、お年寄りは早く死ねということかなど、怒りがわき起こっています。
 そこで質問します。
 (1)、後期高齢者医療制度について、従来の老人福祉制度との違いは何ですか、負担はどのようになりますか、制度の抜本的な見直しが必要であると思いますが、知事の見解を伺います。
 (2)、認可外保育園に対する助成について。
 助成の具体的内容を明らかにしてください。
 (3)、子育て支援事業について。
 これまでの実績はどのようなものですか。
 今後の取り組みはどうなっていますか。
 次、知事の政治姿勢について。
 政府の進める構造改革、三位一体の改革の押しつけで、今や国民は大変な痛みを強いられています。貧困と格差、勝ち組・負け組など生活が成り立たず犯罪は増加し、自殺者もふえ続けています。行革路線を具体化した県の行財政改革によって県民への影響も深刻な事態になっています。
 それで行財政改革について質問します        
 (1)、これまでの実績はどうなっているか、特に県民生活への影響はどうなっているか。
 (2)、県財政の中では具体的にどのような実績になっているか。
 (3)、指定管理者の導入による各分野での影響が出ているとの指摘があるが、実態はどうか。
 (4)、行財政改革は県民への負担増、県民に犠牲を押しつけるものでしかない。改めて総点検をし、見直しを図るべきだと考えますがどうですか。
 次、中部福祉保健所の駐車場の有効利用について。
 (1)、沖縄市の美里運動公園に、早朝や夕方に健康増進のためにウオーキングにやってくる人たちに中部福祉保健所の駐車場を業務に支障がない時間帯をウオーキングにやってくる住民に県民の財産を有効利用する観点からも利用させてほしいと求めてきたが、福祉保健部長が正当な理由もなくそれを拒否しています。沖縄市長からも正式な要請がなされていると思うが、それでも県民の利用を拒否する理由は何ですか。
 (2)、県を挙げて県民の健康増進を呼びかけていますが、実際には県民に利便を図ることを拒否しています。言うこととやることが全く違っています。県民無視の態度は許されません。知事として住民の要求にこたえるべきだと考えますが、知事の政治姿勢を伺います。

 
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