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平成20年(2008年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 9号 2月28日
教育長(仲村守和)
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それでは教育行政についての御質問で、ゆとり教育の転換についてお答えいたします。
今回の学習指導要領の改訂の背景については、体験の不足などから来る子供たちの「生きる力」の弱さや、OECD等の国際学力調査の結果における日本の子供たちの理科や数学の学力の低下、学ぶ意欲や学習習慣における課題等が大きな要因であるとされております。
このことから、文部科学省は「生きる力」をはぐくむという現行学習指導要領の基本理念を継承しつつ、各教科で知識・技能を活用する学習活動を充実する必要があるとしております。
次に、授業時間数増と授業の中身の問題についてお答えいたします。
今回の学習指導要領の改訂に当たって、文部科学省は、これまで「生きる力」や「総合的な学習の時間」についての必要性や趣旨の周知等が必ずしも十分でなく、学校現場での指導に課題があったものとしております。
そのことから、今回の改訂案は子供たちがつまずきやすい内容の確実な定着を図るための繰り返し学習や、観察・実験やレポート作成、論述などの知識・技能を活用する学習活動や体験活動などにより授業の充実を図る内容となっております。
次に、詰め込み教育への危険性についてお答えいたします。
文部科学省は、今回の改訂における授業時間数の増加は、指導内容をふやすことを主な目的とするものではなく、子供たちが学習にじっくりと取り組める時間を確保すること、そして、基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着とこれらを活用する力を育成することにあるとしております。
また、「ゆとりか詰め込みかという二者択一ではなく、基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着と、これらを活用する力の育成をいわば車の両輪として伸ばしていく必要がある」としております。
次に、改訂案に対する教育長の見解についてお答えいたします。
先日公表されました学習指導要領改訂案は、現行学習指導要領の基本理念である「生きる力」を育成することを継承し、知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視すること、道徳教育や体育などの充実により豊かな心や健やかな体を育成することを基本的な考えとしているものととらえております。
本県の目指す教育も「生きる力」の育成であり、その実現のためにどのようなことをなすべきかについて、学校、保護者、地域等と連携を図って取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県立特別支援学校編成整備計画(案)の基本的な考え方についてお答えいたします。
近年の児童生徒の障害の重度・重複化等により、多様な教育ニーズへの対応が求められていることから、平成19年4月から学校教育法の改正により、従来の障害種別ごとの盲・聾・養護学校の制度が複数の障害種に対応できる特別支援学校制度に改められました。
このような状況を踏まえ、県教育委員会では、障害のある幼児・児童生徒のニーズに対応した教育の充実を図るため、県立特別支援学校編成整備計画(案)を作成したところであります。
本計画(案)の基本的な考え方としましては、1点目に、地域で教育ニーズの高い障害種に対応する複数障害種対応の特別支援学校を地区ごとに整備すること、2点目に、障害種別に専門的指導を行うこと、3点目に、障害のある幼児・児童生徒がより身近な場で教育が受けられるように配慮することなどとしております。
次に、学校現場や親たちとの意見交換についてお答えいたします。
県立特別支援学校編成整備計画(案)は、学識経験者や学校関係者、さらに保護者代表から構成された懇話会の提言を踏まえ、障害のある幼児・児童生徒の教育的ニーズに対応した教育の充実を図るため作成したものであります。
県教育委員会としましては、同計画(案)について中部地区の地域説明会や美咲養護学校を初め沖縄ろう学校、沖縄盲学校の職員や保護者に対し説明会を開催し、御意見を伺っているところであります。
次に、教育環境が違う知的障害児教育との併設についてお答えいたします。
複数の障害種に対応する特別支援学校を整備する場合は、学級編制や教育課程を障害種ごとに定め、それぞれの障害の特性に応じた教育活動が展開されるよう配慮することとしております。
また、施設整備については、国の「特別支援学校施設整備指針」を踏まえ、校舎や教室等の配置においてそれぞれの障害の特性に応じた空間区分や動線設定を考慮し、児童生徒が落ちついて学習できる環境を整える必要があるものと考えております。
次に、盲学校の生徒や関係者の不安の解消についてお答えいたします。
沖縄盲学校の保護者や学校関係者が単独校として存続を求めていることについては、視覚障害教育の専門性の維持等に不安を感じていることのあらわれと受けとめております。
県教育委員会としましては、今後とも保護者や関係団体等に十分な説明と意見交換を行いながら、不安の解消に努めていきたいと考えております。
次に、「沖縄戦の指導案事例集」についてお答えいたします。
県教育委員会といたしましては、これまで各高等学校の授業等で実践されてきた沖縄戦の学習指導案をもとに、高校の地理歴史科や特別活動等で活用できる「沖縄戦の指導案事例集」を作成し、新学期までには全県立高等学校に配布する予定であります。
この指導案事例集等を活用することにより、今後とも沖縄戦の実相を子供たちに正しく伝えていくことができ、理解が深まるものと考えております。
以上でございます。
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20080109020050