平成18年(2006年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 7月 4日
嘉陽 宗儀
 

 早く終わってほしいという声がありますので、執行部の方はひとつ御協力お願いします。
 通告に基づき質問を行います。
 初めは、米軍再編問題についてであります。
 米軍再編のための日米合意は、日がたつにつれてその危険性がいよいよはっきりしてきました。去る29日、小泉首相とブッシュ大統領は首脳会談を行い、21世紀の地球規模での協力のための日米同盟を宣言した共同文書で新世紀の日米同盟を発表しました。これは文字どおり日米軍事同盟体制を地球規模に拡大強化するものです。これによって海外での武力行使を禁じた憲法の集団的自衛権行使のくびきを取り払うために、日本をアメリカ帝国主義の世界の憲兵戦略に深く組み込み、平和憲法を改悪し、軍国主義復活を急速に突き進める危険性が強まってきました。私は、改めてアメリカとはどういう国かを考えてみるべきだと痛感しました。
 私は、ここに「テロリストは誰?」というビデオ――3000円です――を持ってまいりました。(資料を掲示) これには元CIA長官のジョン・ストックウェル氏のアメリカ議会での証言を初め、元政府高官たちが第二次世界大戦以降のCIAによる秘密工作と米軍の軍事介入の実態を当事者として暴露し、ドキュメントとしておさめられています。
 ジョン・ストックウェル氏は、CIAは地球上のあらゆる場所で活動しているが、この間、合衆国の法律枠をはるかに超える権限まで保持していた。必要なら殺人を行う権限、麻薬を密輸する権限、米国以外の社会や人々には何をしてもいい権限、その多くが想像を絶するような血なまぐさい活動だ。我々は、さまざまな方法で工作し、十分に機能していた他国の立憲民主主義を転覆させた。世界じゅうで秘密の軍隊を組織し戦闘に向かわせた。そして900の大規模作戦と3000の小規模作戦があった。我々は世界じゅうで暗殺団を組織し、いまだに資金援助をしている。彼は、国家安全保障の名のもとに秘密・極秘作戦という陰に守られながら、今もテロ戦争が行われていると指摘しています。
 このビデオは、アメリカこそ最大のテロ国家だと、ドキュメントで告発しています。これを見ると、今回の日米同盟の再編強化がいかに我が国を危険な道に引きずり込むことになるか憂慮すべき事態だということを痛感させられました。
 そこで質問します。
 1、米軍再編の日米合意を受けての知事コメントに関してお聞きします。
 イ、アジア諸国からは日米同盟が緊張の震源地と批判が大きい。それをなぜ評価するのですか。その批判をどう受けとめますか。
 ロ、沖縄の基地負担軽減の方向性が示されており、高く評価するとコメントしていますが、その評価の具体的内容は何か示してください。
 ハ、日米合意を受けて軍民共用、15年使用期限、北部振興策は廃止されました。これで選挙公約は完全に破綻したと考えますが、どうですか。
 ニ、この知事の公約が県民の運動を分断し、普天間基地の問題解決をおくらせた大きな要因になっていると考えますが、その事実を認めますか。
 2、米軍再編では辺野古沿岸に2本の滑走路を建設することで合意しています。基本確認書はそれを基本にするとなっています。それでも沿岸案に反対するという意味はどういうことですか。
 3、暫定ヘリポート建設の提案をしていますが、それは日米両政府が反対し、実現性がないのにあえてそれを主張するのは、またしても県民運動を分断させる意図があるのではないかと思いますが、どうですか。
 4、知事の新沿岸案について、反対の理由を具体的に説明してください。
 5、米軍再編は県民負担の軽減ではなく、新たな危険な軍事同盟の強化で大きな負担を強いるものであることがますます明らかになってきました。それでも知事は米軍再編が国民の負担を軽減することになると考えているのですか。そうであればその根拠を示してください。
 2番目は、地対空ミサイル・パトリオットPAC3の嘉手納配備についての質問です。
 1、その配備計画の具体的内容について県民に明らかにしてください。
 2、パトリオットPAC3の配備は完全に住民が標的にされます。これは新たな危険と負担を強いるものであります。外務省沖縄事務所は県民の負担増はやむを得ないと許しがたい発言をしています。知事も負担増はやむを得ないと考えるのですか。
 3、パトリオットPAC3配備の撤回を求めるべきです。その意思はありますか。
 3番目に、沖縄市の返還軍用地の予約契約に基づく自衛隊基地への提供についてお聞きします。
 新市長は、沖縄市の北部地域はアグリビジネス構想を再考させ、農業振興を中心としたまちづくりを進める計画を持っています。ところが施設局は、市長選挙前の駆け込み予約契約を行いました。
 この市長選挙前の駆け込み予約契約は、契約内容が不明確、原状回復がなされないなど、不当なものになっています。市民の負担軽減を図るためにも契約解除をすべきだと考えます。県はこの施設局の態度をどう思いますか。
 4番目に、北部訓練場ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設についてお聞きします。
 北部訓練場へのヘリパッド建設問題に対して地域住民から、1、ヘリコプター墜落による生命財産が脅かされる危険性がある。2、騒音による精神的ストレス及び日常生活に及ぼす影響がある。3、ヤンバルに生息する希少動植物の保護の内容がこの臨時総会で決議されています。県はそれに対してどのような対応をしていますか。ヘリパッドの建設に明確に反対すべきですが、決意を伺います。
 5番目に、「認定こども園」について質問します。
 児童福祉法が憲法の精神に基づいて制定されたのは昭和22年です。厚生省の法の趣旨説明では、児童福祉法はそれまでの児童政策を一貫して支配してきた要保護児童のみを問題とする思想に終止符を打ち、それを超えて次代の社会の担い手たる児童一般の健全な育成、福祉の積極的増進を基本精神とすると児童についての根本的・総合的法律であると誇示していました。
 ところが国の財政負担が大きくなったために要保育児童だけを入所させる施設にしてしまいました。それ以後一貫して「保育に欠ける」という条件を厳しくして、保育所から子供を締め出してきました。まさに今回の「認定こども園」制度は、行財政改革の方針に沿って、子供には金をかけない、保育の質を低下させる保育制度の実施にほかなりません。
 そこで質問です。
 1、「認定こども園」の内容について具体的に説明してください。
 2、認定基準はどうなりますか。専門家の意見を反映させる機会はありますか。
 3、保育料の設定はどこがやるのですか。
 4、入所はどこが決定しますか。
 5、保育に市場原理を持ち込むことになりませんか。
 6、これまで確保されてきた保育水準の切り下げになりませんか。
 7、幼稚園、保育所がこれまで果たしてきた役割や機能を踏まえ、それらの条件や内容、制度をさらに発展させるものにすべきではありませんか。
 6番目に、泡瀬干潟問題について質問します。
 これまで泡瀬干潟の埋立事業は、沖縄市の東部海浜開発計画に基づいて進めていると説明をしてきました。今度の市長選挙で埋立事業推進を最大の目玉業務に掲げた自公の推す候補者が敗北しました。市民は、泡瀬の貴重な海を残すべきだという明確な審判を下しました。
 それでお聞きしますが、1、市長選挙で示された市民の意思をどのように受けとめていますか。
 2、開発事業が失敗し、埋立地の購入費を沖縄市の一般会計で負担することになったら、市は財政再建団体になる可能性が高いと専門家は指摘しています。それをどう考えますか。
 3、新市長は泡瀬干潟をラムサール条約に登録する意思を市議会で表明しています。県はその立場を尊重する意思はありますか。
 4、市長選挙の結果を尊重して泡瀬干潟の埋立問題を見直すべきだと思いますが、所見を伺います。市長が埋め立て見直しの結論を出したら尊重しますか。
 7番目は、漁業振興についてです。
 1、海洋県である沖縄での漁業振興は特別に重視すべきです。そのかなめが養殖漁業だと考えますが、県の取り組みはどうなっていますか。

 2、稚魚の生産と漁業従事者の技術の向上は決定的に重要になっていますが、その強化策はどうなっていますか。
 3、栽培漁業センター廃止の方針が行革プランで出されていますが、今後どうされるのか。また、今後の漁業振興の決意を伺います。
 8番目の質問は、教育問題についてです。
 初めは教職員の多忙化問題です。
 1、教職員の定年退職者より中途退職者が多い原因は何ですか。その対策の必要性はありませんか。
 2、教職員の多忙化の実態を掌握していますか。
 3、その解決策はありますか。
 次は、PTA総会についてです。
 1、高等学校PTA会長から、各PTAに「PTA総会・学校経営方針説明・教育講演会のご案内」の通知が送られていますが、その事実を掌握していますか。
 2、その通知に「本総会への欠席者に対しては欠席者総会を欠席者がゼロになるまで、学校長のもと、別の日程で行います。」とありますが、どう考えますか。
 3、PTAはあくまで任意団体なのに、この越権行為は許されません。これは教育内容にPTAが干渉するものです。教育長はどう対処されますか。
 最後に、知事の政治姿勢について伺います。
 初めは憲法改正についてです。
 憲法9条を改正することが正面から取り上げられています。9条はあの沖縄戦などの教訓から生み出されたものであります。絶対に改正を許してはならないと考えますが、知事の決意を伺います。
 次に、教育基本法の改正問題についてです。
 「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」と教育基本法はその目的を高らかにうたっています。知事はこのすばらしい教育基本法を変える必要があると思いますか。

 
20060305210100