前発言
平成18年(2006年) 第 2回 沖縄県議会(定例会)
第10号 3月29日
前田 政明
次発言
★ここをクリックすると、この日の発言が全て表示されます。★
私は、日本共産党県議団を代表して、ただいま議題となりました乙第13号議案沖縄県立社会福祉事業団の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例について反対討論を行います。
この間の委員会審議を通して多くの委員から、これまで沖縄県の委託を受けて沖縄県の福祉事業で重要な役割を果たしている社会福祉事業団を民営化する場合でも、労働者個人に犠牲を負わせてはならない、県が何らかの対応をして労働者の権利を守るべきであるとの共通の認識の訴えがあったと思います。
この間、民営化への対応ということで、何の落ち度もない事業団の職員の方々の賃金が平均年200万円の減額になるとの当局の答弁がありました。
また、退職金についても、平成18年度以降の退職者の状況が、平成19年度が5名、平成20年度が3名、平成21年度が6名、平成22年度が6名、合わせて20名の定年退職の予定でありますけれども、しかし退職に見合う退職金の積み立ては現時点ではないという答弁でした。
退職金につきましては、今、これは社会福祉法人全体ですが、医療福祉機構の実施する退職共済制度に加入しておりますと。そこの退職共済制度に係る部分については退職金が準備されておりますということで、この差額については、県が負担をしていただく分を除くと幾らになるかということで、先ほど委員長報告にもありましたけれども、1人700万円の退職金の減となるということであります。
これは労働者と社会福祉事業団には何の落ち度もないものであります。誠実に県に付託された福祉事業の分野を全部担ってきたわけであります。そして46通知に基づいて県の職員に準ずるということで保障されてきたわけであります。いかなる理由があるにせよ、このような労働者への不利益処分をやるということは許されません。それは当初の福祉保健部が1年以上時間をかけて専門の皆さんが議論を行ってまとめた平成16年3月10日付で決定された福祉保健部の見解というものがあります。
私は、この福祉保健部がまとめました本来の社会福祉事業に責任を持つ立場からの決定として、道理のあるもの、そして現実に即した理性的で福祉の理念のある結論になっていると思います。この結論に戻るべきであると思います。
その内容の主な点を述べますと、沖縄県社会福祉事業の見直しについて(平成16年3月10日)。1、事業団の見直しということでありまして、飛ばしますけれども、福祉保健部においては平成14年度から沖縄県社会福祉事業団見直し検討委員会において、事業団の今後のあり方等について検討を重ね、事業団委託の県立施設のうち、うるま婦人寮については指定管理者制度移行、他の11施設についてはいわゆる民間譲渡の方向を取りまとめたということが平成15年10月24日。
その後、福祉保健部においては平成14年度から沖縄県立社会福祉事業団見直し検討委員会において、事業団の今後のあり方について検討を重ね、事業団委託の県立12施設について民間譲渡する方向を取りまとめた。平成16年3月3日。
福祉保健部の考え方。
1、平成18年4月1日に県立12施設を事業団へ一括譲渡する。2、事業団においては、平成18年度から自主運営が可能となるよう経営改革を推進する。3、県は本来の社会福祉法人としての組織への移行のため事業団自立に必要な退職金積み立て及び施設整備等積み立てに必要な財政的措置を行う。
民間譲渡についてはということで、譲渡先としては利用者の処遇の安定を図り、かつ効率的経営が可能となる、そういう方向で社会福祉事業団を選定したと書いてあります。
それから、こういう面では現場委託の事業団においても効率的な経営が可能であれば、利用者及びその家族等へのリスクをなくして安心してできるという利用者の立場から指摘しております。
そして最も大事なのは、4として県の財政支援、これが明記されて、事業団において本来の社会福祉法人として独立した組織へ移行し、施設運営継続を規定する場合、事業団が一定の財力を確保する必要がある。しかし、46通知に基づき県施設を県の委託料により運営してきた経過から、法人としての最低限必要な退職積立金及び施設整備費積み立てへの対応がなされてこなかった。
事業団設立の経緯、事業団に対するこれまでの積極的な関与を考慮し、次の条件2がクリアされることを想定すると、事業団が民間法人として継続した自主運営が可能な法人となること。
条件の2は、事業団の設立経緯を考慮し、平成18年度以降の自主運営に向け、県は退職積立金、施設整備等積立金について財政支援を行う。次のことが重要です。わざわざ米印で、雇用主の立場から退職金積み立てへの支援12億円、事業主の立場から施設整備等積み立てへの支援21億円、これを決定しております。
こういう面で、6として県立施設の完全民営化として、採算性が悪く、民間法人としての経営能力の魅力がないということも指摘しながら、先ほどのこの位置づけを明確にしております。
こういう面では、私は本来この方向こそやはり福祉の理念、福祉行政の理念の立場に立ったあり方ではないかと。現在のあり方は福祉の理念を投げ捨てる、本当に心の痛い対応になっているのではないでしょうか。そういう面では、全国的に無償譲渡、無償貸与、こういうことが前提です。
山梨県の知事は、社会福祉事業団のあり方について県議会で次のように答弁をしております。
「民営化に対する取り組みから、今後、社会福祉法人として自立経営に必要な資産要件を準備するため、事業団に対して県が土地を貸し付け、建物を譲渡することにより支援を行う必要があると考えています。 また、県が今まで必要最低限の運営経費しか補助してこなかったため、事業団には有償で引き受けるだけの資金の蓄積がないことなどから、これらの貸し付けや譲渡は無償で行なう方向で検討しています。」と。「こうしたことにより、事業団は県の運営費補助を受けることなく、長期に安定的な自立経営を行うことができること、事業団の運営実績と蓄積されたノウハウを引き続き活用して、入所者の処遇安定性が確保できることとなります。」と答弁しております。
私は、稲嶺県政がこの全国的な当然の対応をぜひ行うべきじゃないかと。そういう面で、やはり現状の民営化の方向の流れの中では、今は大変困難な状況が伴いますので、そういうことを危惧いたしまして、以上の立場から、乙第13号議案沖縄県社会福祉施設の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例の反対討論といたします。
前発言
次発言
20060210030090