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平成21年(2009年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 5号 6月29日
教育長(金武正八郎)
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それでは、教育行政についての御質問で、「指導・支援カルテ」の廃止を決定した市町村とその理由についてお答えいたします。
6月26日現在、当カルテの廃止を決定したのは13市町村で、うち4町村は、今後も作成予定なしとなっております。また、多くの市町村で休止の措置をとり、今後については存廃を含め検討中としております。
廃止または休止及び検討中の理由としては、どちらも個人情報保護条例上の手続がなされていないことと保護者への周知に課題があったこと等であると聞いております。
次に、市町村立の学校への業務命令についてお答えいたします。
不登校児童生徒等の「指導・支援カルテ」の作成については、平成15年7月に県教育庁から各市町村教育委員会、教育長あてに依頼したものであります。それを受け、各市町村教育委員会は、管下の各小中学校に対し、当カルテの作成の周知を図り取り組んできたものであります。
その後、中頭教育事務所においては、当カルテの作成・活用及び記載方法等の周知のため、平成16年6月の校長研修会で指導助言の一環として依頼文書を配布したものであると理解しております。
なお、他の教育事務所においては、同様な依頼文書はなかったとの報告を受けております。
次に、県立高校の運用休止の経緯等についてお答えいたします。
「生徒理解・支援カルテ」につきましては、西原町における「子ども理解のための指導・支援カルテ」廃止の決定を受け、県立高等学校の当カルテについても関係法令との整合性を確認するため、6月3日に当面運用を見合わせる旨表明いたしました。
その後、6月10日に県行政情報センターから県立高等学校における生徒の生徒指導にかかわる記録事務が条例に基づき登録されているとの連絡があったことから、当カルテについてもその記録事務に含まれていると認識したものであります。
また、6月17日の県教育委員協議会においては、県立高等学校における当カルテの活用について、生徒指導上の有効性や教育的意義を評価する意見がある一方で、条例等との整合性や保護者への説明責任、周知方法などについて課題があるとの指摘がありました。その上で問題点を整理し、有識者を交えた検討委員会を設置して今後のあり方について検討することが確認されました。
県教育委員会としましては、その提言を受け、外部有識者を交えた検討委員会を設置して、今後のあり方について総合的に検討してまいりたいと考えております。
次に、「指導・支援カルテ」の情報漏えい防止策等についてお答えいたします。
学校文書取扱規程によると、文書の保管に当たっては、常に紛失、火災、盗難等に対する予防の措置をとることや、特に秘密文書については特定の場所に施錠して保管しなければならないなどと規定しております。
「指導・支援カルテ」の管理責任者は、指導要録や出席簿などと同様、学校長であり、カルテは金庫に保管する等情報の漏えいが起こらないよう、厳重に取り扱っていると聞いております。
当カルテは、基本的には学校内での教育活動で活用されており、例外的に保護者や民生委員等の複数がかかわり、教育的支援が必要な児童生徒に関しては、ケース会議等で共通理解を図るため活用しております。その際には、会議終了後に活用した資料は回収するなど、その取り扱いに特段の注意を払っていると聞いております。
また、保存期間についての定めは特にありませんが、児童生徒の在学期間である小学校の6年間、中学校の3年間は保管し、卒業後は速やかに処分することとしております。
次に、「指導・支援カルテ」の効果についてお答えいたします。
「指導・支援カルテ」は、不登校児童生徒の実態把握と児童生徒理解の充実を図るため作成を依頼してまいりました。
当カルテの具体的な活用としては、教育相談や進級した際の児童生徒理解、関係機関との連携における共通理解のための資料等として活用されてきました。
当カルテの作成活用により児童生徒理解が深まり、個に応じたきめ細かな指導・支援がなされ、不登校やいじめ等の問題行動の未然防止や早期発見・早期対応等に効果があったものと理解しております。しかしながら、当カルテは児童生徒の個人情報を収集・作成することから、個人情報保護条例との整合性や保護者への周知と理解を得ることなどが課題になっていると考えております。
次に、人権侵害の危険性についてお答えいたします。
「指導・支援カルテ」は、子供のよさの伸長と児童生徒理解を図る観点から作成活用してまいりました。
当カルテは、児童生徒の趣味、特技や不登校の実態などを客観的事実に基づき記録し共通理解を図るものであり、児童生徒一人一人に応じたきめ細かな指導・支援など、具体的な教育指導に生かしてきたものです。決して児童生徒の人権を侵害し、不利益につながるような取り扱いはあってはならないものと考えております。
次に、教職員の勤務実態調査結果の分析等についてお答えいたします。
教職員の勤務実態調査に係る分析検討委員会からの報告によりますと、教職員の時間外勤務が常態化し、業務に負担感を持っていることがわかりました。
その原因の分析としましては、子供の状況の変化や保護者、社会からの要請が多様化・高度化していること、教職員の業務が日々の授業や生徒指導を初め学級経営、各種会議、事務処理、部活指導、家庭との連絡など、これまで以上に複雑多岐にわたっていることなどが挙げられております。
県教育委員会としましては、定時退校日、ノー部活動日の設定、会議の精選、報告書の簡素化等の推進に努めているところであります。また、働きやすい職場づくりを目指して負担軽減検討委員会等を設置し、各学校の実情に応じた取り組みを検討するよう通知したところでございます。
以上でございます。
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20090405100140