平成18年(2006年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 3号 9月28日
警察本部長(大平 修)
 

 家出の実態、原因についてお答えします。
 警察の街頭補導活動で家出により発見・保護された少年は、平成14年の446人をピークに年々減少し、昨年は174人で前年と比べてマイナス41人、本年も8月末現在で77人と前年同期に比べてマイナス41人と減少傾向が続いております。
 しかしながら、昨年中の家出による補導人員を全国対比で見てみますと、少年人口1000人当たりで全国平均の約2.7倍、全国7位と高くなっております。
 また、昨年中、家出人捜索願の届け出のあった少年は601人で、うち発見・保護が確認された少年は565人となっており、実態は極めて深刻な状態であると考えております。
 家出の主な原因といたしましては、誘惑や生活の乱れ等に起因するものが全体の27%、親子間不和等の家庭関係が全体の27%、学校嫌い等学業関係が全体の22%などとなっております。
 その要因としましては、少年自身の規範意識の低下、保護者の監護能力の低下、有害情報のはんらん等少年を取り巻く環境の悪化等があると考えられます。
 なお、家出の前兆とも言える無断外泊による補導人員も昨年中395人と全国平均の約8倍で全国2位となっており、看過できない状況にあります。
 次に、警察の対策についてお答えします。
 昨年、家出中に刑法犯で検挙・補導された少年は93人で、うち72人が窃盗犯で検挙・補導されております。
 また、家出により補導された少年174人のうち女子は88人とほぼ半数を占め、うち10人が青少年保護育成条例違反や児童買春等の被害者となっています。
 警察といたしましては、学校、地域と連携し、家出少年の早期発見・保護活動はもとより、家出の防止対策として、深夜徘回や無断外泊等家出の前兆となる不良行為の早期発見・保護活動、非行防止教室の開催による少年の規範意識の高揚活動、少年及び保護者に対する相談活動、有害環境の取り締まり等を強化しているほか、再発防止対策として、少年サポートチームによる立ち直り支援活動等を強力に推進しているところであります。
 今後とも学校、地域と連携し、少年の健全育成環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、本県での飲酒事故が全国ワーストワンとなっている原因と対策についてお答えします。
 本県における昨年中の飲酒絡みの交通人身事故は263件発生し、全人身事故の4%を占め、また飲酒絡みの交通死亡事故は18件発生し、全死亡事故の30%を占めております。いずれも全国平均の約3倍と高い比率を示しております。
 ちなみに、人身事故は平成2年から16年連続ワーストワン、死亡事故は平成7年から11年連続ワーストワンであります。
 なお、本年8月末現在の飲酒絡みの交通人身事故は167件で全人身事故の3.7%、死亡事故は11件で全死亡事故の23.4%と依然として飲酒絡みの交通事故が高い比率で推移しております。
 その飲酒事故ワーストワンとなっている要因についてでありますが、飲酒運転をした者からの聞き取り調査によりますと、その理由について、自分は大丈夫、警察に捕まらないと思ったなどが大半を占めているほか、最初から飲みに車を運転して行ったという極めて悪質な者もおりました。
 このように飲酒運転に対するモラルが希薄で、飲酒運転は犯罪であるとの認識がいまだ浸透していないことが挙げられます。
 また、本県は夜型社会と言われ、いわゆる深夜飲食店が人口比で見ると全国の2.1倍あるなど、酒類を提供する店が多いことにも見られるように、飲酒の機会が多く、その影響もあって飲酒に対する寛容さがうかがわれることもその背景にあるのではないかと考えられます。
 県警察としましては、このような実態を踏まえ、危険な飲酒運転を道路交通の場から排除するための防止対策として、警察官を大量動員しての一斉検問やスポット検問など交通指導取り締まり、飲酒場所の大半を占める居酒屋等飲食店対策として、車のかぎ預かり措置を初めとする飲酒運転をさせないさまざまな取り組みに対する支援、飲酒運転で検挙されることの多い20代から30代の若者に対する意識啓発を図るための取り組み、飲酒運転の危険性を体験させる交通安全教育、飲酒運転撲滅に向けた広報・啓発活動等を強力に推進しているところであります。
 県警察としては、今後とも引き続き飲酒運転の取り締まりを強化するとともに、飲酒運転をした者だけではなく、状況によって同乗者や飲酒をともにした者、酒類を提供した者についてもその責任について捜査を強化することとしております。
 しかしながら、警察の取り組みだけでは飲酒運転や飲酒絡みの事故を減らすには限界があります。県民一人一人が飲酒運転の怖さ、悲惨さを自分自身の問題として受けとめ、飲酒運転をしない、させない、飲酒運転は犯罪であるとの意識が広く県民に浸透することが重要であります。そのためには、社会全体が一丸となって飲酒運転撲滅のための環境づくりをする必要があり、自治体や関係機関・団体、事業所及び地域社会が一体になった県民総ぐるみの取り組みを推進していく必要があると考えております。
 次に、危険運転致死傷罪がドライバーに浸透していないのも一つの要因ではないかということについてお答えします。
 平成13年12月25日、危険運転致死傷罪が施行されて以降、県警察では同法を開設した広報資料用パンフレット等を作成し、広く県民に広報・啓発を実施するとともに、運転免許の更新時講習や各種交通安全講習会等を講じて一般ドライバーへの浸透を図ってきたところであり、必ずしも危険運転致死傷罪が浸透していないとは考えておりませんが、御指摘も踏まえ、飲酒運転の危険性についてさらに広報・啓発活動を強化してまいりたいと考えております。
 以上です。

 
20060403110030