平成21年(2009年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 12月 4日
福祉保健部長(奥村啓子)
 

 医療行政についての御質問の中の、県立病院の医療機能の見直しについての質問にお答えいたします。
 沖縄県の医療提供体制は、県立病院のみで確保できるものではなく、県立病院の医療機能の見直しを適時に行い、民間医療機関等との適切な機能分担と連携のもとに確保していく必要があると考えております。
 県立病院の医療機能の見直しは、「民間医療機関による提供が困難な医療を提供する」という県立病院の役割を基本として、実際に現場の第一線で医療機能を担っている職員の意見も踏まえながら、県としての案を策定することが必要であります。そのためには時間をかけて十分な意見交換を行う必要があり、この時期に試案を示して意見交換を始めることは時期的にも妥当であると考えております。
 次に、民間の救急ヘリの運営についてお答えします。
 民間の救急ヘリの活動に対する県民の支援に対しましては敬意を表するものであります。しかしながら、民間の救急ヘリが運航している地域は主に沖縄本島北部地域であり、県のドクターヘリ事業の運航範囲と重複しております。
 県においては、今後のドクターヘリの複数配置の必要性について、現在のドクターヘリの運航状況を踏まえ、今後研究していくこととしております。
 今後の医療体制と県民の医療を守る立場からの見解についてお答えします。
 島嶼県である本県における急患空輸の基幹的システムは、長距離や夜間にも対応した自衛隊及び海上保安庁によるヘリコプター等に医師等を添乗させた急患空輸であります。ドクターヘリを導入して、今後県内全域をカバーしていくということではなく、自衛隊や海上保安庁による急患空輸システムにドクターヘリが補完的に加わることで、本県の急患空輸体制の充実が図られていると考えております。
 医師、看護師、救急救命士等の人材育成と雇用創出の立場から、今後の取り組みについての質問にお答えいたします。
 医師、看護師等においては、「沖縄県地域医療再生計画(案)」において、修学資金貸与事業等を拡充する予定であり、このことにより地域医療に貢献する人材を育成することとしております。また、医師の就労環境の改善や未就労看護師等の掘り起こしなどを強化することとしており、これにより雇用の創出が図られるものと考えております。
 救急救命士の人材育成では、来年4月に県内の専門学校で初めて救急救命士の資格を取得できる学科が開設される予定になっております。
 次に、ヘリポートの必要性についてお答えします。
県の補助を受けて浦添総合病院が実施しているドクターヘリ事業については、ヘリが離着陸するランデブーポイントが171カ所あります。また、病院の敷地内にヘリポートを設けているのは1カ所のみであります。病院の敷地内にヘリポートがあることがより望ましいことではありますが、安全確保の面から課題もあります。
 次に、人材育成の取り組みについてお答えします。
県におきましては、自治医科大学への学生の派遣や県立北部病院、中部病院及び南部医療センター・こども医療センターで後期臨床研修事業を実施しており、プライマリーケア医や専門医の養成を行っております。さらに、医師修学資金等貸与事業及び離島医療セミナー事業を実施し、離島医療に意欲を持つ医師の養成に取り組んでおります。
 今後、地域医療再生基金を設置し、医師、看護師等の医療人材の育成について重点的に取り組むこととしております。
 次に、インフルエンザに関する感染拡大の予防対策についてお答えします。
 インフルエンザの感染防止対策としては、県民に対して「咳エチケット」の徹底等を呼びかけております。なお、10月からは重症化防止のためのワクチン接種を優先度に従って進めているところです。さらに、11月から救急告示病院への相談員配置事業を開始し、病院にかかってくる発熱等の相談電話に対応することで救急医療提供体制の維持を図っています。
 次に、タクシー乗務員へのマスク設置等の要請についてお答えします。
 マスクは、せきやくしゃみによる飛沫及びそれらに含まれるウイルス等病原体の飛散を防ぐ効果が高いとされているので、せきやくしゃみなどの症状のある人にはマスクの着用を勧めております。
 一方で、予防用にマスクを着用するのは混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では感染予防策の一つとされております。
 沖縄県としましては、感染予防策としてマスク、手洗いやうがいの励行等を県民に広く呼びかけるとともに、新型インフルエンザ対策の取り組みについて、関係団体への周知を図っているところであります。
 これを受けまして社団法人沖縄県ハイヤー・タクシー協会は、乗務員のマスク着用を推奨することを会員企業へ呼びかけているところであり、また、乗務員が感染しているなどの誤解がないよう、車内外掲示方法についても周知を図っているところであります。
 今後とも関係機関と連携し、新型インフルエンザの感染拡大防止に向けた総合的な取り組みを推進してまいります。
 次に、小児への早期ワクチン接種の状況と接種に対する県の補助についてお答えします。
 沖縄県では、国の示した優先順位に従ってワクチン接種を進めており、これまでに医療従事者、基礎疾患を有する者、妊婦への接種が始まっております。1歳から小学校就学前の一般の幼児や小学校低学年の児童を対象とした接種は、12月17日に開始する予定となっております。
 なお、市町村が実施する低所得者等に対する接種費用の負担軽減措置は、国2分の1、県4分の1、市町村4分の1という負担割合で行われ、県では本議会に約7億3000万円の補正予算案を提出しているところであります。
 以上でございます。

 
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