平成20年(2008年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 9月25日
具志 孝助
 

 皆さん、おはようございます。
 いよいよきょうから代表質問が始まりました。代表質問のトップバッターに立たせてもらい大変光栄に思っております。
 自由民主党の具志孝助であります。
 私たちは、ことしの6月に選任をされました。新しい議員の方々もたくさん出てまいりました。沖縄県発展のために、今日仲井眞県知事がかじ取りをやっておりますので、県益優先ということでひとつお互いは議会の中で使命を果たしてまいりたいとこのように私も強く決意をいたしております。
 さて昨日、第92代目総理大臣に自由民主党の麻生太郎さんが選出をされました。麻生太郎内閣総理大臣は、閣僚指名に当たっての記者会見の中で、私は大変印象的なメッセージを国民に与えてくれたと思っております。
 今、新聞記事を取り寄せて改めて読み上げさせていただきたいと思っておりますが、総理大臣の記者会見の中で、まず最初に麻生さんは国民の皆さんにまず一言ごあいさつをさせていただきたいと切り出したと。「日本を明るく強い国にする、それが私に課せられた使命だと思っております。」と、このように冒頭に申し上げました。
 今、日本は確かに経済的にも疲れております。失われた10年間と言われる中で、本当に国民が不安、そして不信の中にあると思っております。そういう日本をもう一回明るい、そして国民が自信を持てる強い国家にしたいとこういうような決意を示してくれました。
 そして、閣僚の指名に当たって記者会見での質疑に対して、麻生総理は全閣僚に国民本位の政策を進めること、官僚は使いこなすこと、省益ではなく国益に専念することを指示したと、こういうようなことも記者会見の席上で明らかにされました。
 私は、本当に今国民が何を望んでいるか、そして総理大臣に何を期待しているのかということを的確に受けとめてそういうような国民の目線に立った、国民のいわゆる国政に対する質問にしっかりとこたえた内閣総理大臣だと思っております。
 そしてまた、沖縄関係閣僚に外務大臣には中曽根弘文さん――この方は中曽根元総理大臣の御子息でありますが――中曽根さん、防衛大臣には浜田靖一さん――彼はハマコーさんの息子さんのようでありますが――若干52歳というようなはつらつたる代議士であります。そして沖縄担当大臣は佐藤勉さんであり、そして内閣のかなめである官房長官には最も総理大臣から信頼の厚い河村建夫さん、沖縄がこれからかかわっていくであろう大臣にもこういうようなすばらしい方々が任用されております。しっかりとこの沖縄関係閣僚には、仲井眞県知事からの要請については、真摯に受けとめて取り組んでいただきたいことをこの壇上からお願いを申し上げたいと存じます。
 それでは代表質問をさせていただきます。
 まず知事の政治姿勢についてであります。
 1、知事訪米について。
 本県には、戦後63年余が経過した現在においても国土面積のわずか0.6%を占めるにすぎない狭隘な面積にいまだに米軍専用施設の約75%が集中しております。
 このような過重な基地負担の解消を図ることは、本県にとって最大の課題であります。このため、当事者である米国政府や連邦議会等の関係機関に本県における米軍基地の実態を直接伝えることが必要であり、これまで歴代の知事は幾度となく訪米し、基地問題の解決を訴えております。
 今回、仲井眞知事も訪米の意思を明確に表明いたしました。本県の米軍基地問題の解決につなげるためには、機会あるごとに米側に直接訴えることは極めて重要なことであります。
 そこで伺います。
 ア、今回の知事訪米についての基本的な考え方と要請内容、要請先等について伺いたい。また、これまでの訪米とどのような違いを持たせるのか。
 イ、本県の基地問題の現状を訴え、解決を図るための歴代県知事の訪米は、本県の基地問題にどのような前進があったと考えるのか。
 2、台風13号被害についてであります。
 去る12日に発生した台風13号は、先島地方を中心に農作物や住宅等に大きな被害をもたらしました。特に、与那国町では道路の冠水や橋の倒壊、床上浸水等で住民生活に甚大な被害が生じております。
 県の調査によれば、与那国町や宮古・八重山地区で農作物や生産施設などの被害総額は7億5000万円余に上っているようであり、我が党も被害現場の視察を行いましたが、道路、家屋等の建物の損壊や農作物の被害は深刻であり、住民生活への影響も含め今後調査が進むに従い被害がふえることが予想されます。県においては、国に対する支援要請や被災者支援等を含めた適切な対応が急がれております。
 そこで伺います。
 (1)、台風13号による被害の状況について、特に与那国町の被害が甚大であるが、その被害状況と県の対応を伺いたい。
 (2)、与那国町では記録的な大雨による道路や橋の決壊、倒壊で地域が孤立したり、床上浸水で住民の避難が相次いだ。事前の対策に問題はなかったのか。
 (3)、被害地域への緊急かつ適切な支援対策が必要であるが、国の対応を含めた県の総合的対策を伺いたい。
 3、普天間飛行場移設問題について。
 去る9月5日、仲井眞知事は「普天間飛行場の移設に関する沖縄県の考え方」について公表をしております。その中で、普天間飛行場の危険な状態を一日でも早く解消するためには、名護市や宜野座村が移設を認めているキャンプ・シュワブに移すことが実現可能性の高い解決への早道であると改めて述べております。
 普天間飛行場は、かつて米国国防長官もその危険性を認めたとおり、世界でも最も危険性の高い基地であり、一刻でも早く解決をしなければなりません。日米両政府が移設合意をしたのも普天間飛行場の危険性の除去を最優先する必要があるからであります。
 確かに県外や国外への移設は理想ではありますが、近年の不透明な国際情勢や国内情勢の中、また復帰36年間返還を求め続けながら、いまだに存在し続ける基地の実態を考えれば、現在の移設計画を着実に進めることが現実的であると考えます。さらに、普天間移設と連動して沖縄における海兵隊員8000人、その家族約9000人の移転と嘉手納飛行場以南の大規模な基地返還も今回の移設計画が完了すれば実現されるのであります。これは県民が要求し続けた目に見える形での基地負担の軽減にもつながるものと考えるのであります。
 そこで伺います。
 (1)、普天間移設に関する基本的な考え方について。
 ア、知事は去る5日、「普天間飛行場の移設に関する沖縄県の考え方」を公表した。考え方の概要と今の時期に公表した理由を伺いたい。
 イ、県は、移設計画は新しい基地建設とは性格が異なるとの考えを示しているが、具体的に説明願いたい。
 ウ、国外や県外への受け入れ先等が明確に示されない中で、県内移設に反対するだけでは現状固定化につながりかねないと考えるが、知事の見解を伺いたい。
 エ、県内移設に関する県の考え方について、県民の理解と協力を得る必要があるが、県としての具体的な取り組みを伺いたい。
 オ、第8回移設協議会において2つの実務者による作業班が設置されたが、この時期に設置されたのはなぜか。また、今後の移設建設にどのような影響を与えるか。
 カ、知事は、作業班の設置には代替施設沖合移動の暗黙の了解があるとの認識を示したと言われるが、何か確証があってのことか。
 キ、危険性除去作業班の初会合後、普天間飛行場の飛行航跡の観測調査が実施されている。効果が期待できる調査期間と今後危険性除去にどのようにつながっていくと考えるか。
 ク、沖国大への米軍ヘリの墜落事故から4年が経過した。普天間の危険性の除去に関し事故の反省はどのように生かされてきたか。
 (2)、移設建設作業の推進について。
 ア、政府は、沖合移動について合理的理由が必要としているが、合理的理由とは何か。また、県として政府の言う合理的理由をクリアできる理論構築は可能であるのか。
 イ、代替施設位置の沖合移動は、現在進められている環境アセスメントについてどのような影響を与えるか。
 ウ、約8000名の海兵隊とその家族約9000名の移転開始時期について伺いたい。
 4、返還跡地利用の促進について。
 米軍再編に伴う返還予定施設は合計で1500ヘクタールを超える大規模なものであり、跡地利用のあり方のいかんによっては今後の沖縄振興の重要な柱となることは間違いありません。
 6施設が返還されるのは普天間飛行場代替施設の建設が完了する2014年となっており、早急な跡地利用対策作業を本格化させることが必要であります。
 県における嘉手納飛行場以南の全面返還される5つの施設の跡地の有効利用に向けた有効利用ビジョンの策定や、国における検討委員会の立ち上げなど国、県の取り組みが形としてあらわれてまいりました。
 この事業は沖縄の将来を決定する復帰後最大の事業であり、国の全面的な関与と財政的な支援が必要であります。
 そこで伺います。
 (1)、県は、嘉手納より南の米軍基地返還跡地を中南部広域都市圏として形成することを目指しているが、その基本的方向性と6施設の有機的連携をどのように図っていくのか。
 (2)、全面返還される5施設跡地の有効利用を図るための財政的担保は、特別措置法の延長及び新たな振興計画に位置づけるのか。また、県が策定する有効利用ビジョンに特化した新法の制定を求めるのか。
 (3)、5施設が同時に返還された場合、返還に向けた作業、原状回復、環境調査等膨大な作業への対応や周辺地域の開発に及ぼす影響が考えられる。国の積極的関与が求められるが、国との調整はどの段階にあるのか。
 (4)、一方の当事者である関係市町村との役割分担、財政負担等の調整協議は進んでいるのか。
 5、土木・建設業の育成についてであります。
 (1)、県内建設業支援対策について。
 県内建設業は、住宅着工件数の大幅な減少や県発注土木工事をめぐる談合問題で、県から巨額の損害賠償金を請求されるなど厳しい経営状況にあります。このため、損害賠償金を請求されている94社は損害賠償金の免除や減免を求め、那覇地裁に民事調停を申し立てているという事態となっております。また、県内建設業が苦況に陥っている要因の一つに、国発注工事を県外業者が大半を受注しているという問題があります。本県産業の中核を占める経済に与える影響も大きく、雇用の受け皿としても重要な役割を果たしている建設業の実情をいま一度認識し、国や県における実効性の伴った支援が必要であります。
 そこで伺います。
 ア、損害賠償金を請求される業者94社が県を相手に民事調停を申し立てた。債務の有無や賠償の根拠等の確認が争点となると思われるが、県の対応を伺いたい。
 イ、県の請求する損害賠償金では、倒産する業者が続出し関連産業への影響や失業問題が深刻化するおそれがある。県の認識と対応策について伺いたい。
 ウ、改正建築基準法施行から1年で県内の住宅着工戸数は施行前より46.5%減少し、全国合計に比べ減少率が突出している。その要因と今後の見通しを伺いたい。
 エ、国が導入した図書省略認定制度について、県内業者の活用が少ないようだが、その理由は何か。また、県は周知徹底をどのように図ってきたか。
 (2)、県内企業優先発注について。 
 県では、仲井眞知事を先頭に副知事や関係部長が公共工事の県内企業に対する受注機会の増大を図るため、沖縄総合事務局や沖縄防衛局及び国土交通省など関係機関に直接出向くトップセールスを行っております。知事のじきじきの要請に対し総合事務局福井局長は、県内企業の受注機会の拡大に向けた取り組みを進めると表明するなど、トップセールスの効果があらわれております。今後とも知事を先頭に、県内企業の受注率向上に向け積極的な取り組みを願うものであります。
 そこで伺います。
 ア、国、米軍による工事発注に際し、地元業者に優先発注させるための知事や関係部長によるトップセールスについて伺いたい。また、今後の受注率向上に向けた取り組みを伺いたい。
 イ、国発注工事の基準について、全国一律ではなく、沖縄総合事務局独自の制度・基準を創設し、客観点数の基準を引き下げ地元業者の参加が容易になるようにすべきだと考えるが、県の見解を伺いたい。
 質問の6番目、旧軍飛行場用地問題について。
 旧軍飛行場用地問題については、ようやく関係市町村との調整も進み、2009年度から予算措置等事業実施に向けての政府との協議が加速するとしております。しかしながら、残り4年を切った振興計画期間中での問題解決が厳しい状況であることは間違いありません。以前に比べ、一部の個人補償を求める地主の姿勢にも変化が見られるとはいえ、完全な一致点を見出しているわけではなく、交渉のタイムリミットが気になるところであります。
 そこで伺います。
 (1)、県は、旧軍飛行場用地問題について特別調整費を活用して事業化を実施する方針のようだが、国との調整状況と振興計画期間内での総事業費をどのように見積もっているのか。
 (2)、また、これまでに実施してきた振興事業や新規に計画している事業等への影響はないか。
 (3)、団体補償の事業化に向け次年度から予算化されるが、旧軍飛行場用地問題に係る事業として認められている事業の範囲、種類等、国の基準は示されているのか。
 (4)、一部の地主会は、振興計画予算枠と別枠の予算措置を求めているが、今後どのような調整を行っていくか。
 (5)、県は、今後も個人補償を求める地主会に対して団体方式での合意に向けた呼びかけを行うとしているが、振興計画期間内での事業実施のためには呼びかけ期限設定も行うか。
 7、観光振興について。
 (1)、観光客誘致対策について。
 県の観光統計実態調査によれば、沖縄に旅行をして感じた魅力について、リピーターと沖縄に来たことがない初来訪者との間に大きな違いが出ております。リピーターは歴史・文化名所、世界遺産の認知度が高い数字を示しておりますが、初めての人は総じて歴史・文化名所、世界遺産の認知度は低いようであります。
 1000万人誘致を実現させるためにはリピーターをふやすことが必要であり、沖縄の魅力をあらゆる媒体を通じて売り込むことが必要であります。そのためにも本県の歴史・文化名所や世界遺産等の知名度アップを図り、今後の観光客誘致政策を進めることは重要であると考えます。
 そこで伺います。
 ア、燃料価格の高騰で大手航空会社の沖縄便の休止・減便が相次ぎ、本県観光への誘客が懸念されている。運休の現状と県の対策について伺いたい。
 イ、1000万人誘客のためには、都市部だけでなく地方からの誘客が不可欠である。沖縄・本土地方路線の維持を図るための燃料費高騰対策はどうなっているのか。
 ウ、本県の歴史・文化、世界遺産、グルメ等の認知度について、リピーターと初めての人との間に違いはあるか。また、本県観光資源として全国に向けての発信はどのようにされているか。
 エ、団体観光客の誘致は誘客対策として重要である。県内で開催された各種会議、社内旅行、学会等の観光客数に占める割合と県の誘致対策はどうなっているのか。
 (2)、観光消費額について。
 県の発表によりますと、2007年の観光収入は初めて4000億円台を突破した過去最多となったとしておりますが、一方で観光客1人当たりの県内消費額は横ばいの状況にあります。観光客は年々増加し、観光収入も伸びを示したにもかかわらず、観光消費額が伸びないのは大問題であります。観光は本県産業の中核を担い、県経済の柱であり、2016年度の観光客1000万人誘致実現に向け具体的取り組みが進んでいる中、いま一度県内消費額の問題を徹底的に分析し、効果的施策を打ち出すことが必要であります。
 そこで伺います。
 ア、1人当たりの観光消費額が伸びない理由とその改善策について伺いたい。
 イ、2016年度の観光客1000万人に見合った県内消費額はどの程度と試算しているのか。これを達成するに当たって本県観光の問題点や課題等について検討されているか。
 ウ、県内消費額を上げるには、観光客のニーズに合った土産品づくりが必要である。特に、伝統工芸品を活用した県産品のイメージアップを図り、付加価値の高い商品開発が必要であると考えるがどうか。
 エ、日銀那覇支店の調査によれば、県内の観光宿泊状況は他県に比べ断トツに高いという。消費額との関連性はどうか。
 8、那覇空港滑走路の拡張整備について。
 那覇空港の滑走路拡張整備については、滑走路増設の方法として3案が提示され、1案の絞り込みに向け検討が進められております。
 県は滑走路増設位置について、現在の滑走路と増設滑走路の2本の滑走路で同時離着陸が可能となれば、空港能力が最も拡大するとして現在の滑走路から沖合に1300メートル以上離した案で建設を進めるよう政府に要請しております。
 那覇空港は、国際線を合わせた年間旅客予測数で15年後の2020年には最大で1850万人に達するとしており、民間航空機の離着陸回数は2020年には13万3000回となると予測されております。
 このように那覇空港は、滑走路1本の空港としては現在離着陸回数は国内3位と高く、既に飽和状態に近づいております。
 そこで伺います。
 (1)、那覇空港構想・施設計画検討協議会が発足し、滑走路位置決定に向け本格的に動き出した。今後の作業の見通しを伺いたい。
 (2)、2本の滑走路で同時離着陸が可能な1300メートル案について、メリットとデメリットは何か。また、国の対応について伺いたい。
 (3)、PI調査に当たっては、滑走路位置決定が本県の将来を左右することから、県民に対する積極的な情報公開や広報活動を展開すべきではないか。
 (4)、自衛隊との共同使用という実態と、滑走路位置決定の関連性について県の認識を伺いたい。
 (5)、那覇空港旅客ターミナルの整備の概要と計画の中に全日空の国際貨物基地構想をどのように取り組んでいくのか。
 9、那覇港湾整備計画の推進について。
 那覇港湾の整備については、民間オペレーターによる那覇港公共国際コンテナターミナル運営事業も軌道に乗り、作業の進展に一定の前進が見られます。現在はターミナル事業の運営を進めながら、相乗効果のある国際物流関連施設の整備に向け作業を促進しているところでありますが、港湾整備を効果あるものとするためには、国際流通港湾機能の充実のほか、航路開設や貨物誘致、さらには国際観光の玄関港として大型旅客船、国際クルーズ船の寄港基地機能の強化が重要であります。
 そこで伺います。
 (1)、那覇軍港の浦添埠頭沖への移設に伴い、追加整備される物資集積場を含む代替施設の位置、形状、面積等の概要と今後の作業手順を伺いたい。
 (2)、港湾計画方針の一つである国際観光としての玄関港整備計画についての進捗状況と国際クルーズ船基地機能の強化策について伺いたい。
 (3)、那覇港とその周辺地域の環境保全を目的として進められている那覇港廃棄物埋立処分場整備の概要と進捗状況を伺いたい。
 (4)、那覇港湾の効果的運用を図り、港湾物流の円滑化や国道58号の交通渋滞緩和を図る臨海道路浦添線整備の現状と問題点等について伺いたい。
 以上であります。
 以上、質問を終わります。

 
20080302010040