平成20年(2008年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 9号 2月28日
警察本部長(得津八郎)
 

 過去3年間の米軍人・軍属、その家族など、米軍構成員等の犯罪検挙件数についてお答えします。
 平成17年は66件65人、平成18年は57件63人、平成19年は63件46人であり、大きな変動は見られません。
 次に、事件の全体的な傾向についてお答えいたします。
 平成19年中の米軍構成員等の刑法犯の検挙件数は63件46人で、その内訳は、凶悪犯が6件6人、粗暴犯が2件3人、窃盗犯が27件25人、知能犯が14件3人、住居侵入などが14件9人となっております。
 窃盗犯を最多とする内訳についても、平成17年以降大きな変化はありません。
 今後の課題といたしましては、3点あると考えております。
 第1は、米軍人が立ち寄る繁華街等における警戒力の強化であります。
 そのため、県警察では、今回の事件を受け、米軍人等の事件・事故が多発する繁華街等において、沖縄警察署だけでなく警察本部自動車警ら隊、機動捜査隊を集中的に運用し、警戒力のさらなる強化に努めているところであります。
 第2は、人的・物的警察活動基盤の増強であります。
 米軍人の犯罪を未然に防止するとともに、米軍人関係の事件・事故が発生した際に、これを迅速・的確に処理し、パトロールの実効性を上げるためには、警察官や通訳員の増員配置並びにパトカーなどの装備資機材の充実が必要であります。
 第3は、県民の防犯意識の高揚と地域住民との連携強化であります。
 不審者による子供への声かけ事案の実例についての情報発信を積極的に行うなど、警察の持つ情報を可能な限り地域住民に提供するとともに、子供を見守る活動などで大きな成果を上げている防犯ボランティア団体に対する支援を強化するなど、地域住民、関係機関・団体との連携を強化していく必要があると考えております。 
 次に、米軍との合同パトロールに関する御質問にお答えします。
 まず第1に、県警察と米軍の軍事警察機関である憲兵隊、いわゆるMPとの共同パトロールについてであります。
 同パトロールについて県警察では、米軍施設外における治安の確保は沖縄県警察の責務であること、何らかの犯罪を犯した米軍人を県警察とMPとが共同逮捕した場合、地位協定の規定で当該米軍人の身柄は米軍に引き渡されることとなり、原則として起訴されるまで米軍側がその身柄を拘束することから容認していないところであります。
 第2に、警察権を有しない上官による部下に対する一般的な指導監督のため米軍が独自で実施している、通称CPとの共同パトロールについてであります。
 この警察権を有しないCPとの共同パトロールについても、県警察では、共同パトロール中に米軍人を被疑者とする犯罪現場において事情聴取等を行っている際に、CPから連絡を受けて現場臨場したMPが共同逮捕を行った場合、身柄の措置に関してMPとの共同パトロール同様の問題が生じる可能性があること、県警察がCPとの共同パトロールを実施することは、米軍犯罪のみに対処するために既存の警察力の一部を割くことになり、警察力が低下するおそれがあることの2つの問題点があると考えており、現状では沖縄県民にとって必ずしも望ましいものではなく、これらの問題点が解決され、沖縄県民に明確に示される必要があるものと認識しております。
 また、共同パトロールを実施するに当たっては、現場において沖縄県警察官が米軍人との無用な紛議を起こすことなく犯罪を未然に防止するとともに、米軍人関係の事件・事故が発生した際にこれを迅速・的確に処理するなど、パトロールの実効性を上げるため法執行力を持つ警察官や意思疎通のための通訳員の増員、並びにパトカー等装備資機材の充実などの措置を講じる必要があると考えております。
 次に、県内の少年非行の実態と特徴、今後の対策について一括してお答えいたします。
 昨年1年間に刑法犯である窃盗、傷害等で検挙・補導された少年は1882人であり、前年に比べて181人減少はしております。
 しかしながら、刑法犯検挙人員の総数に占める少年の割合が41.5%を占め、全国で2番目に多く、県内治安に大きな影響を与えています。
 また、飲酒や深夜徘回等で補導された不良行為少年を見てみますと、昨年は3万6801人であり、前年に比べて1059人減少しているとはいうものの、過去最多となった平成18年に次いで2番目に多い数字であり、依然として憂慮すべき状況にあります。
 県内の少年非行の特徴につきましては、第1は、低年齢化しているということが挙げられます。
 刑法犯少年に占める中学生の比率が62.2%で、全国平均の1.7倍と全国で最も高くなっております。
 第2は、飲酒や深夜徘回で補導される少年が多いということが挙げられます。
 昨年の飲酒補導は3284人で前年に比べて781人減少しておりますが、補導実数で全国1位、少年人口1000人当たりの補導人員でも全国平均の9.6倍で、全国で最も多くなっております。
 また、非行の入り口となりやすい深夜徘回による補導は1万9518人で、前年に比べて916人増加し、不良行為全体の53%を占めており、少年人口1000人当たりの全国平均の1.7倍と全国的にも上位にあります。
 県警察では、深夜の不良行為を早い段階で防止し、少年非行の低年齢化に歯どめをかけるため、中学生に対する非行防止指導活動、非行実態の情報発信と啓発活動、地域と連携した夜間の街頭補導活動を積極的に推進しているところであります。
 少年非行防止の基本は、地域の子供は地域で守り育てることであるとの認識に基づき、周囲の大人が少年の不良行為に対し、より一層の関心を示すことであると考えております。
 県警察といたしましては、関係機関・団体、地域と連携して、少年に不良行為をさせない社会づくりを構築し、少年の健全育成を図ってまいる所存であります。
 次に、フィルタリングの活用による犯罪の防止についてお答えします。
 本年1月に宮古島市で発生した児童買春・児童ポルノ法違反事件につきましては、被疑者と被害少年が携帯電話のインターネットサイトを通じて知り合ったことがきっかけでありました。
 両者においてメールでのやりとりを繰り返した後、その後、被疑者が現金を供与して犯行に及んだものであります。
 被害少年が被疑者と知り合うきっかけとなったサイトについて調査した結果、携帯電話事業者のフィルタリングにより閲覧制限が可能であったことが判明しております。
 フィルタリングが活用されておれば被害を防げた可能性が十分にあったものと認識しております。
 次に、これまでのフィルタリング対策と今後の対策についてお答えします。
 県警察におきましては、子供たちがインターネット利用をきっかけに犯罪に巻き込まれるのを防止するため、フィルタリングの普及に向けた広報啓発活動を実施しているところであります。
 しかしながら、子供に携帯電話を持たせている保護者のフィルタリングについての理解や認識が十分でないというのが現状であります。
 昨年からはテレビやラジオを活用した広報に加え、公開討論会における情報発信、保護者や教職員向けの防犯講演を実施したほか、教育機関が発行する広報誌への投稿、リーフレットの配布、県警ホームページによる情報発信なども積極的に行っております。
 また、最近では出会い系サイトのほか、子供たちが友達の輪を広げることを目的としたコミュニティーサイトに悪意を持った大人がアクセスし、子供が犯罪に巻き込まれるケースもあります。
 このような状況を踏まえ、県警察では本年の活動重点にインターネット利用犯罪の抑止を掲げて犯罪の取り締まりを強化するとともに、教育機関や産業界と連携してフィルタリングの積極的活用を促進するなど、インターネット利用犯罪に巻き込まれないための対策を推進してまいる所存であります。
 以上です。

 
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