平成21年(2009年) 第 6回 沖縄県議会(定例会)
第 6号 12月 8日
教育長(金武正八郎)
 

 それでは教育問題についての御質問で、中学生集団暴行事件の調査結果についてお答えいたします。
 去る11月17日午前8時過ぎ、うるま市の空き地にあるプレハブ小屋から中学生が転落したとのことで、救急車で病院に搬送されましたが、8時間後に死亡いたしました。死亡したのは、うるま市の中学校2年生男子生徒であります。警察は当初、転落事故としてとらえておりましたが、体に殴られたような跡があったことから、暴行による事件の可能性があるとのことで捜査を進めたとのことであります。11月20日に被害生徒と一緒にいた4人と、新たに関与が判明した4人の合わせて8人のうち、5人が傷害致死容疑で逮捕され、3人が児童相談所へ送致されました。加害生徒は、被害生徒と同じ学校に通う中学2年生であります。事件の背景等については、現在、県警やうるま市教育委員会で調査中であります。
 次に、集団暴行事件の原因についてお答えいたします。
 今回の事件や、これまでの青少年による集団暴行事件における背景や要因等については、どの事件にも共通することとして、規範意識の低さや基本的な生活習慣の未確立などの本人の課題、親子の触れ合いの少なさなどの家庭の課題、夜型社会や他人の子供に無関心であるなどの地域社会の課題、子供への指導・支援などの学校の課題等のさまざまな要因が関連しているものととらえております。 
 次に、集団暴行事件の発生件数とその原因についてお答えいたします。
 平成4年以降、県内で中学生が命を失った集団暴行事件は4件発生しておりますが、その原因や背景については、本人の課題や、家庭の課題、地域社会の課題、学校の指導・支援体制の課題など、さまざまな要因が複合的に関連しているものととらえております。
 県教育委員会としましては、これまで過去に発生した事件の教訓から、毎月1回「人権を考える日」を設定したり、「いじめに関するアンケート」を実施するなど、「自他の命の大切さ」や「思いやりの心」をはぐくむために学校の教育活動全体を通じて道徳教育や人権教育の充実を図ってまいりました。しかしながら、そのような中で今回の事件が起こってしまったことはまことに痛恨のきわみであります。
 次に、いじめ等の解決すべき課題への取り組みについてお答えいたします。
 いじめに関しては、「しない、させない、見逃さない」という毅然とした姿勢で、学校、家庭、地域、関係機関等がそれぞれの役割を果たしつつ、防止に取り組んでおります。
 不登校への対応としては、一人一人を十分理解し、個に応じたきめ細やかな指導・支援が大切であると考え、「スクールカウンセラー」や「児童生徒生活支援員」等を活用することにより、学校における教育相談体制の充実に努めております。
 学校生活の基盤は学級であり、児童生徒間、教師と児童生徒間に望ましい人間関係を築き、毎日を生き生きとした学校生活を送れるよう、学級経営の充実に努めているところであります。
 次に、沖縄の非行の問題点と解決策についてお答えいたします。
 児童生徒の非行及び問題行動の背景には、夜型社会や他人の子供に無関心であるなどの地域社会の課題、規範意識の低さや基本的な生活習慣の未確立などの本人、家庭、学校の課題等が考えられます。
 このことを踏まえ、県教育委員会としましては、学校において規範意識を高める取り組み等の充実を図るとともに、「立ち直り支援コーディネーター」の配置や「問題を抱える子ども等の自立支援事業」等により、関係機関及び地域と連携した「子どもの居場所づくり」を推進しております。また、「地域の子は地域で守る」という視点から、スクールエリア対策、安全学習支援隊、警察と連携した対応を行っております。
 今後とも学校、家庭、地域、関係機関・団体等と緊密な連携を図るとともに、それぞれが役割を果たし、児童生徒の問題行動の未然防止に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、学力向上の取り組みについてお答えいたします。
 本県の子供たちに一人の人間として自己実現を図り、未来を切り開き世界に羽ばたくなど、県内外を問わず堂々と振る舞うことができる確かな学力を身につけさせることは、県民の願いであり責務だと考えております。
 県教育委員会としましては、今後とも幼児・児童生徒一人一人が学びを楽しみ、高める「わかる授業」の構築を基軸に、「生きる力」の要素である確かな学力や豊かな心、健やかな体などをバランスよくはぐくむため、学校、家庭、地域、行政が一体となった県民総ぐるみによる学力向上の取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 次に、学校運営等についてお答えいたします。
 学校運営につきましては、教職員はもとより、PTA、地域及び関係機関等のさまざまな意見等を踏まえながら、学校長の責任のもとで行われているものと認識しております。また、教師の業務の負担軽減につきましては、現在具体的な改善策としまして、定時退校日、ノー部活動日の設定、会議の精選、報告書の簡素化等に努めているところであります。
 県教育委員会としましては、教職員がともに信頼関係を築き、学校長のリーダーシップのもと、相互に協力し合える職場環境づくりを支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

 
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