平成20年(2008年) 第 1回 沖縄県議会(定例会)
第 4号 2月21日
教育長(仲村守和)
 

 それでは教育問題についての御質問で、珊瑚舎スコーレで学ぶ方々の学齢簿作成についてお答えいたします。
 県教育委員会としましては、これまで戦中戦後の混乱期に小中学校で学ぶことができず、珊瑚舎スコーレで3年間学び続けた方々に対して、戦後処理の一環として卒業証書を授与するとともに、高等学校に進学を希望する方に対しては受験できる配慮を行ってまいりました。
 さらに、去る1月には市町村教育委員・教育長研修会において、学齢期を過ぎた方の学齢簿作成について依頼し、2月には市町村教育長協会と意見交換を行ったところであります。
 次に、珊瑚舎スコーレを参観しての感想と今後の対応についてお答えいたします。
 戦中戦後の混乱期に義務教育を受けることができなかった方々の学んでいる様子を参観するために、去る1月25日に珊瑚舎スコーレを訪問いたしました。
 御高齢の方々が向学心に燃え、一生懸命に勉強をしている真摯な態度や、高齢者同士が学び合い、楽しく授業に参加している姿勢に胸を打たれました。また、講師の熱心な指導やその補助に当たっている大学生が高齢者の個別指導を行うなど、多くの方の支援のもとに授業が展開されており、深く感銘を受けました。
 戦中戦後の混乱期の中で義務教育を受けることができなかった方に対し、学ぶ機会を提供することの大切さを改めて認識したところであります。
 現在、卒業認定につきましては、市町村教育委員会で学齢簿に準じたものをつくり、公立中学校に籍を置いて学べるかどうかや、卒業認定の条件などを市町村教育長協会と具体的に意見交換をしているところであり、卒業認定ができる方向での検討を行っていきたいと考えております。
 次に、学校司書の現状についてお答えいたします。
 平成19年度における学校司書の配置は、県立学校においては高等学校61校に61名、特別支援学校16校に9名となっており、未配置の特別支援学校においては事務職員が兼務して対応しております。また、公立小中学校においては小学校277校に259名、中学校154校に141名の学校司書がおり、複数校兼務することによりすべての学校で対応しております。
 次に、学校司書の専門性についてお答えいたします。
 学校司書は、図書館サービスの提供及び学校図書館庶務・会計等に従事しているものであります。
 これまで本県学校図書館の活性化に学校司書が果たしてきた役割は大きなものがあると考えております。
 平成9年の学校図書館法の改正により、平成15年度以降、学校図書館の専門的職務を担当させるため司書教諭が配置され、現在は司書教諭と学校司書が連携して学校図書館活動の充実に取り組んでおります。
 次に、専任司書教諭と充て司書教諭の違いについてお答えいたします。
 学校図書館法の規定により、本県では12学級以上のすべての公立学校で司書教諭を配置しております。
 同法において、司書教諭は、司書教諭講習を修了した教諭をもって充てると定められており、校務分掌の一つとして担当教諭が位置づけられております。
 専任の司書教諭は、本県においても配置されておりません。
 次に、学力向上対策と図書館とのかかわりについてお答えいたします。
 県教育委員会としましては、学校における読書活動を昭和62年度から学力向上対策の一環として位置づけ、豊かな感性や表現力の育成等の基盤づくりとして推進してまいりました。その結果、本県の小・中・高等学校における朝の読書、教科や「総合的な学習の時間」における学校図書館の計画的な活用等が充実してきております。
 また、全国学力・学習状況調査においては、学校図書館を学習・情報センターとして活用している学校で活用型問題の正答率が高いという結果が見られます。
 今後とも、児童生徒の豊かな人間性の育成や確かな学力の向上の基盤として、学校図書館の活用を図っていく取り組みを充実してまいりたいと思います。
 次に、臨任と非常勤の違いについてお答えいたします。
 県立学校における図書館司書はすべて県単独予算で措置されており、一部臨時的任用職員及び非常勤職員で対応しております。また、公立小中学校においては市町村の予算等で措置されております。
 臨時的任用職員は本務職員と同様の勤務形態であり、非常勤職員は週38時間以内の勤務となっております。
 次に、沖縄盲学校の単独校としての存続についてお答えいたします。
 平成19年4月に学校教育法が改正・施行され、従来の障害種別の盲・聾・養護学校は複数の障害種に対応する特別支援学校制度へと改められました。
 現在、県教育委員会では、学識経験者や保護者代表等から構成された「県立特別支援学校の編成整備に関する懇話会」から提言を受け、特別支援学校編成整備計画(案)を作成し、保護者等への説明や意見交換を行っているところであります。
 「沖縄盲学校の未来を考える会」が単独校として存続を求めていることについては、盲学校の持つ視覚障害教育の専門性の維持等に不安を感じておられることのあらわれと受けとめております。
 次に、単独校ではいけない理由についてお答えいたします。
 特別支援学校制度は、障害の重度・重複化や児童生徒一人一人の教育ニーズに適切に対応するため、障害種別を超えた教育を実施することができる制度であります。
 県教育委員会では、学識経験者等から構成された懇話会から、那覇南部地域の教育ニーズに対応するため沖縄盲学校を知的障害の教育も行う特別支援学校として整備することが望ましいとの提言を受け、特別支援学校編成整備計画(案)を作成したところであります。
 県教育委員会としましては、今後とも保護者や関係団体等に十分な説明と意見交換を行いながら、理解を得ていきたいと考えております。
 次に、人権意識向上のための対応についてお答えいたします。
 署名活動に関する情報提供のメールについては、文章中に教職員の活動を規制するかのような不適切な表現が含まれていたことから、2月6日付で撤回と破棄を通知したところであります。
 県教育委員会としましては、今後このようなことが再び起こらないよう「人権ガイドブック」の活用や職場研修等により職員の基本的人権に関する理解を深め、人権を尊重する職場環境づくりに取り組んでまいります。
 次に、30人学級の実施についてお答えいたします。
 本県では、平成14年度から小学校1年生、平成16年度には2年生へ拡大し、低学年において一律35人学級編制を実施してまいりました。現在、30人学級制度設計検討委員会で実務的な作業を進めているところでありますが、平成20年度における30人学級編制の実施につきましては、施設状況等を踏まえながら小学校1年生で導入をしていきたいと考えております。
 以上でございます。

 
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