平成20年(2008年) 第 3回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 9月25日
教育長(仲村守和)
 

 それでは、教育関係についての御質問で、不登校の実態と要因についてお答えいたします。
 平成19年度の文部科学省の問題行動調査によると、本県の不登校児童生徒数は小学校で358人、中学校で1349人、合計で1707人となっており、3年連続の増加となっております。
 不登校の原因につきましては、それぞれの児童生徒でさまざまな要因があり一概には言えませんが、本県の傾向としましては、小学校では無気力や不安など心理的・情緒的要因によるものが多く、中学校では遊び・非行など社会的要因・背景によるものの割合が高くなっております。
 次に、不登校に対する認識と対策についてお答えいたします。
 不登校児童生徒数は3年連続増加しており、不登校児童生徒への対応として、一人一人を十分に理解し、個に応じたきめ細かな指導・支援が大切であると考えております。
 本県の不登校への取り組みとしましては、児童生徒理解を深めるために、スクールカウンセラーや巡回教育相談員等の活用により、学校における教育相談体制の確立に努めております。また、小学校児童の登校渋りから不登校への移行を防ぐため、児童生徒生活支援員を配置するなど、不登校の未然防止に係る取り組みの充実を図っているところであります。さらに、遊び・非行傾向の不登校への対応については、立ち直り支援コーディネーターの配置、スクールソーシャルワーカー活用事業などの取り組みや、県警と連携したスクールエリア対策など、関係機関及び地域住民と連携した取り組みを推進しております。
 次に、遊び・非行の不登校についてお答えいたします。
 遊び・非行による不登校児童生徒の要因・背景につきましては、夜型社会や他人の子供に無関心であるなどの地域社会の課題、規範意識の低さや基本的な生活習慣の未確立などの本人の課題、親と子の触れ合いの少なさなどの家庭の課題、学校への不適応などの学校の課題などが挙げられます。
 県教育委員会としましては、今後とも学校、家庭、地域、関係機関・団体等が一体となって児童生徒理解を深め、不登校対策や子供の居場所づくりに努めていきたいと考えております。
 次に、スクールソーシャルワーカーについてお答えいたします。
 スクールソーシャルワーカー活用事業の目的は、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉などの専門的な知識や技術を有するスクールソーシャルワーカーを配置し、問題を抱えた児童生徒の背景にある家庭、地域、友人関係などの児童生徒が置かれたさまざまな環境へ働きかけたり関係機関等とのネットワークを活用するなど、多様な支援方法を用いて児童生徒が抱える課題の解決を図ることにあります。
 県教育委員会においては、本部町、宜野湾市、那覇市、豊見城市、与那原町、宮古島市の6市町教育委員会に本事業を委託し、小学校13校、中学校15校及び青少年センター等に20名のスクールソーシャルワーカーを派遣しております。
 これまでの成果としまして、137名の児童生徒を対象に家庭訪問による相談への対応、ケース会議の開催や福祉機関への働きかけなど、学校、家庭、関係機関と連携し継続支援を行っているとの報告を受けております。
 次に、全国学力テストの結果についてお答えいたします。
 平成20年度全国学力・学習状況調査が4月22日に小学校では6年生を対象に国語、算数で、中学校では3年生を対象に国語、数学で実施されました。
 調査結果は8月29日に公表され、本県は昨年度に引き続きすべての教科で全国最下位となっており、厳粛に受けとめております。
 調査結果を昨年度と比較しますと、8教科中6教科で全国平均との差が縮まり、全国の約2倍あった無解答率も1.3倍と改善しております。これは、各学校の先生方の声かけや励ましで児童生徒が最後まで粘り強く頑張ったことが功を奏しその差が縮まったものと考えております。
 また、生活や学習に関する意識調査においては、将来の夢や希望を持っている、いじめはどんな理由があってもいけない、国語、算数・数学の授業で学習したことは将来社会に出たときに役立つなどの項目で肯定的な回答が全国平均を上回り、本県児童生徒の前向きで素直な姿がうかがえます。
 これらについては、児童生徒の学力向上の基盤となる力ととらえており、今後の学力向上対策を推進する上での重要なポイントであると考えております。 
 次に、今後の学力向上の取り組みについてお答えいたします。
 県教育委員会といたしましては、全国学力・学習状況調査の結果を踏まえ、これらの課題改善に多様な視点から取り組むため、外部有識者による学校改善評価検討委員会を早期に立ち上げてまいります。8月には教育庁内に学力向上推進プロジェクトチームを立ち上げたところであり、全国学力・学習状況調査の分析・検討、学力向上主要施策の見直し、わかる授業づくりを中心とした教員研修の実施などを取り組んでまいります。
 また、本県の小中学校教員の授業力向上を図り、児童生徒一人一人にわかる授業を構築するため、文部科学省の学力調査官等による示範授業と授業研究会の実施など授業改善に取り組んでまいります。さらに、先進県の視察・調査及び秋田県と小中学校教員の人事交流を通して、本県教師の指導力、授業の質の向上を図ってまいります。
 県教育委員会としましては、今後の学力向上対策の取り組みの充実を図るとともに、学校、家庭、地域が一体となった県民総ぐるみの学力向上対策を強力に推進してまいりたいと考えております。
 次に、スポーツ環境の整備等についてお答えいたします。
 スポーツは心身の健全な発達に資するとともに、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に役立つものであります。
 県教育委員会としましては、平成15年に策定した沖縄県スポーツ振興基本計画に基づき、生涯スポーツ社会の実現に向けて総合型地域スポーツクラブの創設・育成、学校体育施設開放事業、沖縄県スポーツ・レクリエーション祭の開催等の事業を行っているところであります
 県立社会体育施設は、奥武山総合運動場に武道館や庭球場、弓道場など8施設、県総合運動公園に陸上競技場や体育館など8施設が整備され、多くの県民に利用されております。
 現在、県においては平成22年に開催される全国高等学校総合体育大会に向け、奥武山水泳プールの改築、県総合運動公園陸上競技場等の改修工事を行っております。
 次に、スポーツ・レクリエーション団体の育成等についてお答えいたします。
  県民のだれもがいつでもどこでもスポーツに親しむことのできる生涯スポーツ社会の実現を図ることは極めて重要なことと考えております。
 県教育委員会としましては、スポーツ・レクリエーション団体の育成と指導者の養成確保のため、スポーツ指導者養成講習会の実施、沖縄県スポーツリーダーバンクの作成、指導者対策事業等を行っております。
 今後とも、県体育協会や市町村を初め関係機関・団体等と連携して、スポーツ環境の整備や生涯スポーツの振興に努めてまいりたいと思います。
 以上でございます。

 
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