平成21年(2009年) 第 4回 沖縄県議会(定例会)
第 2号 6月24日
仲村 未央
 

 それでは本日の最後ですので、よろしくお願いします。
 今月の初旬、文教厚生委員会で北部市町村を訪ね、所管の施設、県機関等の現状と課題を伺ってまいりました。広い地域ですので、今回は県立高校の視察が中心となりましたが、どこも定員割れが深刻で各校とも非常に頭を悩ませておりました。
 特進クラスを設ける、村営の学習塾を設けるなど進学を支援する取り組みや、ゴルフ部など特化した部活動でほかの地域からの生徒の獲得にも力を入れるなど、さまざまな形で学校、保護者、地域がまさに試行錯誤、必死の取り組みを展開しております。
 そんな中、ひときわ印象に残ったのが辺土名高校でした。ノグチゲラ、ヤンバルクイナもすむ貴重な森林を有する自然環境を生かした専門科・環境科のクラスです。この学科に魅力を感じて、県外6県から7名が在籍し、寮生活をしながら生き生きと学んでおります。寮が休みになる土・日には、地域の農家さんにホームステイの協力をお願いし、家庭的な環境を提供しながら安心した高校生活を送れるよう、地域と連携して支える体制をとっておられました。
 しかし一方で、辺土名高校では廃校になってしまうのではないかという危機感を非常に強く持っていました。3年続けて2クラスを割ると統廃合の対象になると、県教育委員会から一定の基準が示されているようであります。
 地域から人材が流出し若者がいなくなるというのは、何も学校のせいではないでしょう。むしろ社会構造、産業構造、医療や福祉などのセーフティネットの問題であり、採算に合わないから学校もなくなっていくというのでは地域の衰退をさらに加速させることになると思えてなりません。
 さて、昨日「骨太の方針2009」が決定したようであります。社会保障費の機械的な抑制による歳出削減を進めてきたいわゆる小泉路線からの転換ということで、与党内でもめにもめて決着したようであります。来る衆院選は、この間ずたずたになった雇用、社会保障、医療、地方の立て直しに向けたビジョンが大きな争点として問われることになるということになりましょうか。
 以上、所感といたしまして、社民・護憲ネットを代表し、引き続き質問に入ります。
 今回ちょうどこの6月定例会に間に合わせるかのごとく、県の「県立病院のあり方に関する基本構想」が6月16日に公表されました。
 3月の答申を受け、4月の段階で示された経営形態に関する基本方針案は、3年後の平成24年の独法化を目指し、本年度からその取り組みを開始する、現行形態ではもはや限界に達していると結論づけたものでしたが、その論拠が飛躍しており、現在病院事業局が進めている県営再建計画との整合性も問われ、結論先にありきだとの批判が、強く県民、関係者から上がりました。
 残念ながら、今日までの経過の中で仲井眞知事は独法化ありきだとの懸念が全県に広がっております。そして、ありきの議論では地域医療の崩壊にもつながりかねないとの危機感から、離島医療を守れという陳情が上がり、北部地域では北部病院を失ってはならないとする圏域住民のシンポジウムがあり、中部でも中部地区医師会が主催して1000人を超える人々が結集し、中部病院の存続を訴える集会などが開かれてきました。また、県議会も去る2月定例会で、今の全適の成果の検証結果を踏まえるものとし、拙速な判断を行わないこととの県民意思を示す決議を全会一致で可決したところです。
 このような各地、各方面での動きを踏まえるならば、知事は一たん独法化の方針を撤回した方がいいとさえ私は思っています。
 ただ、今回まとまった基本構想を見る限り、知事御自身もそういった県民の声、議会の声をもはや無視できないとの状況にあると判断したものと受けとめます。独法化するにせよ、全適で行くにせよ、いずれにしても現在の一時借入金の解消、不良債務の解消はやらなければならないから、順番がどうでも同じことだという姿勢が全面ににじみ出ていた4月の段階の方針案と、今回まとまった基本構想との違いは、これら県民の声、議会の決議の趣旨を踏まえて経営形態ありきではない、現行形態の存続も当然選択肢の第1番目にあるのだというところに落ちついたことだと思っています。ここにまとまるに至った経過は、単なる文章の入れかえではないと思っていますが、知事いかがでしょうか。
 そこでお尋ねをいたします。
 ア、今回まとまった基本構想の骨子を示してください。
 イ、今回の構想は、県議会の決議についても踏まえたものになっていますか。
 ウ、今申し上げましたように、経営改善、事業局と現場のみならず、知事の責任において進むものと考えています。経営再建計画の進捗と見通し、その達成に向けた仲井眞知事の決意を伺います。
 エ、構想に盛り込まれた「県が提供する政策医療の内容・範囲、それに係る財政負担の基本方針」の策定は、政策責任を明確にする上で必要不可欠です。いつまでに策定しますか。
 オ、議会決議の中でも求めましたが、7対1看護体制に向けた検討の進捗、導入の見通しはどうなっていますか伺います。
 (2)、新型インフルエンザ対策について、体制の現状と課題を伺います。
 次に、介護保険制度改定、その影響について伺います。
 介護保険制度は、2009年度改定で介護判定の新しい基準を導入しましたが、要介護度を低くすることで給付の抑制をもくろんでいるのではないかと疑われる変更となったため、新しい基準で介護度が下がった人はこれまでの介護度を選んでもいい、重いランクの方をとってもいいという展開に追い込まれました。
 例えば、従来はベッドから足をおろして10分間座っていられるかどうかを一つの介護判定基準にしていましたが、今回の改定では、それが1分に短縮され、1分間座っていればコンピューターによって自立と判定される。あるいは重度の寝たきりの方については、従来移動に要する介護の手間を全介助として、最も助けを必要とするケースと判定されていたものが、新しい基準では、寝たきりの人は移動の機会がないから介助なしで自立となり、同じく髪の毛がない方も切る必要がないから介助なしで自立となる。こんなことで、恐らく利用者の半分以上がこれまでの要介護ランクを下げられる。体の状態は変わらないのに2ランクも下がる、こういう不安の声が上がっています。
 一方、今回は介護報酬が制度始まって以来のプラス改定、3%アップとなりました。
 労働環境を少しでも改善しようと、報酬の引き上げに踏み切った動機はわかりますが、これはすべての事業者に無条件に適用されるものではなく、あくまで基準以上の体制の充実を図ったところに認められる加算が中心であり、その加算がとれる事業所は限られています。
 しかも、報酬改定はしたのに受けられるサービスの限度額は据え置きのままとなったのが一番おかしいところで、これまでと同じサービスを利用しても、それぞれの単価が上がったために限度額を超えてしまう。その超えた分は全額自己負担となるため、サービスを受ける方の負担が上がるという事態を招いています。もっと言えば、利用者負担の増加でサービス利用の抑制を招くおそれがあるため、あえて加算を取得しない、こういう事業者の声も聞かれるほどです。
 このように介護報酬にすべてを連動させていくと、従事者の給与を上げようとすれば、利用者の1割負担、限度額を超えた分の全額自己負担にどんどんのしかかってくるという仕組みにならざるを得ないわけで、これでは事業者、利用者、双方持ちこたえられないのではないかと思えてなりません。
 そこで伺います。
 ア、2009年度改定のポイント、施行後すぐに改定の改定をせざるを得なかった理由、内容についてお示しください。
 イ、認定の見直し、調査項目の変更・削減により、介護度(認定ランク)が軽くなる傾向があるとの懸念の声があるが、実態はいかがでしょうか。
 ウ、介護報酬は初のプラス改定となりました。事業所、利用者それぞれにどのような影響がありますか。利用限度額が据え置かれたままで、実際に加算がとれた事業所の割合はどれほどか。ねらいどおり労働環境の改善、従事者の収入増につながるのか伺います。
 (2)、本県の介護従事者の平均月収、継続年数、離職率を示されたい。
 (3)、介護療養型医療施設は平成23年度末で全廃となることが決まっていますが、受け皿の整備はどうなっていますか。行き場を失う「介護難民」の発生が危惧されますが、現在の病床数と需要、入所待機者の数、今後の転換の見通しをお示しください。
 次3番、嘉手納の騒音被害について伺います。
 嘉手納町が独自にこのような聞き取り調査を平成19年に行っています。これは、6つの行政区300世帯に直接伺って日常的に騒音をどう感じているか詳しく聞き取るという面接調査であります。
 その中で少しだけ紹介をいたしますと、心休まる自宅がどこよりも一番うるさい。子供たちはこんな環境で生活ができないと町から出て行ってしまった。安定剤を飲んでいるが一度起きると眠れなくなるので困る。せめて夜だけでも静かにして約束事は守ってほしい。そういった非常に生活破壊、健康がむしばまれている様子が手にとるように伝わってきます。
 こういったことの改善に向けて、米軍再編、負担軽減という名のもとにF15の訓練移転を行ったはずです。
 それについてお尋ねをいたします。
 ア、負担軽減の名目による平成19年からの訓練移転で嘉手納基地の騒音は減りましたか。外来機の飛来、常駐化、夜間・未明の離発着により被害はむしろ激化しているが、実態をどのように認識されていますか。
 イ、低空飛行、急上昇、急旋回、編隊飛行、駐機場からの断続的な低音響騒音で地域住民の生活、健康は日常的に侵されています。疲労、聴力異常、ストレス、慢性的な睡眠障害、排ガスの悪臭、鼻、のど、目、吐き気など健康被害の訴えがあります。関連を調査する必要があると考えるがいかがでしょうか。
 ウ、県立嘉手納高校の授業中断の実態について把握されていますか。空調が使用できないとされている季節の防音対策をどのように考えているか伺います。
 (2)、嘉手納基地を抱える自治体は再編交付金の対象外です。訓練移転による負担軽減が理由ですが、運用の実態に照らして交付金算定の配点は妥当と言えますか。
 (3)、改正県生活環境保全条例――これは10月1日施行でありますが――この中で、県は市町村と連携して米軍基地の管理責任者に対し、米軍基地に起因する航空機騒音等環境問題の軽減のための協定の締結を申し入れることができると規定をしました。この施行に向けた取り組みを伺います。既に独自の協定案を作成した自治体もありますが、連携、協議はどのように進められますか。
 4番、指導カルテについて。
 (1)、個人情報保護条例との関係について伺います。
 ア、カルテの個人情報は、条例により適正に管理されていると考えていますか。
 イ、現在運用されているカルテの管理者はだれになりますか。
 ウ、カルテの保存期間は何年ですか。定めがあるのか伺います。
 エ、指導上の必要によって、教員以外の者に情報が提供される場合の取り扱いの定めはありますか。
 (2)、課題と今後の方向について。
 ア、教育委員会における議題、カルテをめぐる現状と課題についてどのようにとらえているのか伺います。
 イ、「外部有識者を含む検討委員会」の設置、保護者や児童生徒、現場との認識の共有について伺います。
 5番、沖縄学生会館の再建について。
 千葉県習志野市在の学生会館は去る3月、老朽化により廃止をされましたが、その意義、必要性はなお高く、再建を求める声があります。建設すべきではないか伺います。

 
20090402070020