○議長(仲里利信) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた労働委員会会長比嘉正幸君は、所用のため本日、明日及び10月2日から4日までの会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日の会議に労働委員会公益委員新木順子君、明日の会議に同委員会会長代理大城光代君、10月2日の会議に同委員会公益委員矢野昌浩君、3日及び4日の会議に同委員会事務局長山田義人君の出席を求めました。
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○議長(仲里利信) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
前島明男君。
〔前島明男君登壇〕
○前島 明男 おはようございます。
本日のトップバッターでありますので、さわやかにまいりたいというふうに思います。
それでは公明党・県民会議を代表して、所見を交えながら質問を行います。
まず初めに、このたびの台風13号によって甚大な被害を受けられました宮古、八重山の皆様並びに本部町渡久地港港湾関係者に対し、心からお見舞いを申し上げ、一日も早い復興のために国も県も全力を挙げて支援に取り組まれんことを念願するものであります。
さて、11月をもって2期8年の県のトップリーダーとしての任務を終えられます稲嶺知事は、一日も休まれることなく、寝る間も惜しんで粉骨砕身、2900日余にわたって県民のために頑張り、すばらしい成果を上げてこられました。このことに対し、最大の敬意と感謝を申し上げるものであります。本当に御苦労さまでございました。
1、基地問題について伺います。
私は、日米安全保障条約を中心とした日米同盟体制が今日まで我が国及びアジアの平和と安定に寄与してきたものと評価するものであります。
米軍基地に係る問題は、我が国の外交・安全保障にかかわる問題だけに、その解決に当たってはまず政府間で話し合いがなされなければならないものと考えております。しかしながら、日米同盟体制が安定的に維持されるためには、同時に日米安全保障体制を支えている地域の安定こそが不可欠であり、沖縄の政治的・社会的な安定が必要であることは申すまでもありません。
さて、今回の米軍再編は、冷戦の終えん、同時多発テロの発生などの国際情勢の変化に伴い、世界における米軍のプレゼンス、兵力構成、基地のあり方を全面的に見直すものであり、在日米軍基地のあり方そのものが検討されることから、在沖米軍のあり方にも大きな変動があるものと考えております。
そこで次のことを伺います。
(1)、米軍再編について。
ア、沖縄における今回の米軍再編計画は、基地の整理縮小につながっていると考えるか。
イ、今回の米軍再編協議の中で、日米地位協定の見直しについて何ら触れられてないが、県はどう対応していくのか。
ウ、普天間基地の危険性を除去するための緊急的措置として暫定ヘリポートの建設を政府に求めているが、日米両政府の反応はどうか。
(2)は割愛いたします。
(3)、米軍基地周辺の防音工事に伴う太陽光発電システムの設置事業について伺います。
ア、太陽光発電システム設置事業ができた背景について伺いたい。
イ、平成15年度から始まったモニタリング事業が平成18年度で終了するという情報があるが、確認しているか。
ウ、モニタリング事業は本格工事を前提に実施されてきたはず。18年度で終了せず本格事業着手まで継続させるべきだと考えるがどうか。
エ、今後については、これまでの設置データを分析した上で事業の可否を検討するとの情報があるが、県として事業継続を申し入れるべきだと考えるがどうか。
2、福祉・医療問題について伺います。
近年、我が国は急速な少子化の進行や子供の虐待などが深刻な社会問題となっておりますが、我が県においても少子化傾向が急激に進行しております。
急速な少子化の進行は、経済や社会の活力の低下、若年世代に対する社会保障の負担の増加、子供の自主性や社会性の発達の低下など、さまざまな面で社会に影響を及ぼすことになります。核家族化、夫婦共働きの増加、地域社会における住民の相互交流の希薄化など、子供や子育てを取り巻く環境は大きく変化し、子育て中の親の負担感・不安感も増加しております。
このような環境の変化に適切に対応するため、子育て支援の輪をさらに広げていくことが求められております。
一人一人が子育てに関心を持ち、積極的に協力していくという県民の総意のもとに、家庭、学校、地域社会、関係団体、企業、行政が一体となって次世代育成支援に取り組むことが最も重要なことだと考えております。
そこで次のことを伺います。
(1)、少子化対策についてであります。
ア、最も大事なことは、母親の働きやすい環境を整えることだと考えるが、県の施策を伺いたい。
イ、認可外保育園から認可保育園への申請希望園は多いと聞くが、市町村がネックになっております。対策はあるのか伺います。
(2)、児童虐待問題について伺います。
全国的に児童虐待による死亡事例が後を絶たない中、子供一人一人の死を重く受けとめ、決してむだにすることなく、今後どのような対策を強化・推進する必要があるのかなど真剣に取り組まなければなりません。
そこで次のことを伺います。
ア、虐待問題が起こる根本原因は何か。県はどう対応してきたか。
イ、県内の実態はどうなっているか。
ウ、表に出ている数字は氷山の一角だと言われているが、今後どのように把握し対策を立てていくのか。
エ、虐待を受け、子供たちが親元へ戻るのは我が県はどのようになっているか。
(3)、病院事業について伺います。
本県では県立以外の公的医療機関、とりわけ市町村立の医療機関が全国に比べて少ないことや島嶼県であることなどから、救命救急医療や高度特殊医療、離島・僻地医療、医療従事者の養成などにおいて県立病院が大きな役割を担ってきたと言えます。
文教厚生委員会では8月に県立の病院等を視察・調査してまいりました。その結果、各病院とも医師や看護師が不足して労働条件が悪い上、病棟が古かったり、狭隘で暗く、患者の信頼さえも失いかねない状況にあり、早急な対策が求められます。
そこで次のことを伺います。
ア、各県立病院とも医者と看護師が不足しているが、対策はどうなっているか。
イは割愛いたします。
ウ、県立八重山病院は狭隘で暗い。その対策はどうなっているかを伺います。
(4)、ドクターヘリについて伺います。
消防庁の統計によると、年間で450万人が救急車で運ばれていますが、そのうちの約4割の人が搬送に30分以上、また約26%に当たる17万人は1時間以上もかかっています。
日本では脳卒中や心筋梗塞で亡くなられる方が多いですが、心筋梗塞では90分、脳梗塞では3時間以内で治療するのが理想だと言われております。しかし、搬送に30分以上かかってしまうと治療に適切なタイミングを失うおそれがあります。また、人命にかかわる事故などで重傷を負った患者の救命率を上げるには、15分以内に適切な治療を行わなければならないということも聞いたことがあります。
ドイツでは、救急医療は15分以内で始めなければならないと州の法律で定められているほどです。だからこそ、救急車では絶対に間に合わない場合があるため、ドクターヘリを普及させることになったということであります。
ドクターヘリは、患者の搬送時間を大幅に短縮できるだけでなく、患者への応急の治療もヘリ内で行える空飛ぶ救命救急センターであります。島嶼県である我が沖縄には絶対必要な制度であると考えます。
そこで次のことを伺います。
ア、県内で私立の病院が自費でドクターヘリ事業を実施しているが、それをどう評価しているか。
イ、県は民間のドクターヘリ事業を支援する考えはないか。
(5)、ハンセン病について伺います。
ハンセン病患者の闘いの記録「復権への日月」の序文の一部を紹介いたしますと、「私達は、完全隔離という重圧の極限状況の中で如何にしてこれに対応し、生き、耐え、改革し、解放にむけて闘ってきたか。 「人の命は地球よりも重い」といわれる。しかるに国は、過去90年にわたり、患者を社会から隔離、追放し、これを撲滅して民族の浄化をはかるという政策、これを推進するため、あらゆる苛酷な対策を強行、徒らに国民の恐怖心を煽り、人間の尊厳とすべての権利を奪ったのである。私達は、これらの筆舌に尽くしがたい苦難の歴史を風化させることなく、後世に正しく伝え、今後再び同じ過ちを繰り返させないために、すべてを明らかにすることによって21世紀へのメッセージとしたい。」
この箇所を何度も読み返しました。胸が締めつけられる思いがいたしました。
そこで次のことを伺います。
ア、「らい予防法の廃止に関する法律」が平成8年4月1日に施行されてから10年を経過しましたが、いまだに患者の人権が十分回復したとは言えません。県はこれまでどのような対策をとってきたか、今後どう対応していくのか伺います。
3、産業振興について伺います。
我が沖縄は全国の中でも際立った地域特性を有しており、いろいろな優位性を持っております。これまでは主に本土との格差是正を目指し、沖縄の振興開発が進められてきましたが、これからは沖縄の持つ優位性を最大限に発揮することが重要だと考えております。
沖縄は、亜熱帯・海洋性気候のもと、年間を通して温暖で貴重な動植物が生息・生育する緑豊かな島嶼県であります。また、周辺海域を黒潮が北上し、サンゴ礁に囲まれた海岸線には白い砂浜が広がり、青い空と相まって世界有数の海岸景観を誇っております。この自然的特性が観光・リゾート地としての最大の魅力となっているのを初め、特色ある農水産業の振興や熱帯・亜熱帯及び海洋性に関連する学術研究の場としての活用など多様な可能性を秘めております。
そこで次のことを伺います。
(1)、バイオエタノールについて伺います。
世界的な原油高を受け、バイオエタノールはガソリンの代替燃料として注目されております。我が国においてもE3、3%混合ガソリンとして認可されており、今後比較的に伸びていくものだと思われます。現在、宮古島と伊江島で実証実験が行われており、両市村役場の公用車にE3を給油して町じゅうを走行実験しておりますので、やがてその実験結果も出てくるのではないかと思っております。
国としても、バイオマス利用の目的には温暖化対策のほかに、循環型社会の形成、戦略的産業の育成、農林漁業、農山漁村の活性化を挙げております。
そこで次のことを伺います。
ア、沖縄がバイオ燃料の基地になれば農業の振興、地域の活性化にもつながると思うがどうか。
イ、宮古島市と伊江村ではバイオエタノールの実証実験が行われているが、成果はどうか。
ウ、県は今後どう対応していくのか、考えを伺いたい。
(2)、水産業についてであります。
ア、つくる漁業が重要視されてきているが、どのようなものがあるのか。
イ、今後、県が最も力を入れたいと考えている分野は何か。
ウ、本土出荷市場でおきなわブランドとして定着しているものはあるのか。
エ、最近、海ブドウが盛んに養殖されているが、本土出荷市場での評価はどうか。
(3)、農業振興について。
ア、暴風対策は必要不可欠なものだと考えるが、現在どのような事業を実施しているか。
イ、特に、農業でしか生計が立てられない離島にとっては死活問題であるが、県は特別な配慮をしているか伺いたい。
ウ、南北大東島の農業用水の確保について、県はどのような助成を行っているか伺います。
(4)、観光産業についてであります。
観光産業は総合産業であり、第1次産業から第3次産業までありとあらゆる分野にまたがり、大きな波及効果をもたらしております。直接・間接的な波及効果は数千億円にも上ると言われております。
我が沖縄には観光資源と言われるものは数え上げれば切りがないほどたくさんあります。しかしながら、それらを十分に活用できていないのも事実であります。自然のまま残すべきところは残し、手を加えて整備すべきところは整備をして、いかにすれば観光客や県民に楽しんでもらえる施設や環境をつくり上げていくかではないでしょうか。
そこで次のことを伺います。
ア、国際通りの活性化のために、国際通りと新都心を結ぶ低床バスか路面電車を導入する考えはないか。
イ、若狭海岸沖にできる大型クルーズ船専用バースと国際通りを結ぶ歩道の拡幅整備の計画はどうなっているか伺います。
ウ、サンフランシスコの観光名所にもなっているようなフィッシャーズワーフを導入することについて、県の考えを伺いたい。
4、環境問題について伺います。
我が県は、他の地域とは異なる固有の自然環境を有しております。この豊かな環境を保全し、次の世代に引き継ぐことは私たち県民に課された責務であると考えます。
しかしながら、本県の環境問題は廃棄物の増大や自動車の排出ガスによる大気汚染、生活排水による水質の汚濁など、都市化の進展や日常の生活に起因する問題に加え、本県特有の赤土等の流出による河川・海域の汚染、米軍基地から派生する諸問題など多くの課題があります。
そこで次のことを伺います。
(1)、ダイオキシン、フロンガス、CO2などの大気汚染物質の対策についてであります。
ア、県が現在どのように取り組んでいるのか説明願いたい。
イ、企業等への指導監督はどうなっているか。
(2)、飲料水の汚染防止対策についてであります。
ア、地下水を利用しているところの汚染防止対策はどうなっているか。
(3)、赤土対策についてであります。
ア、赤土流出防止対策事業の成果を伺いたい。
イ、既に流出したものの除去作業はどうなっているか。
ウ、赤土によって死滅したサンゴの再生はどうなっているか。
5、教育問題について伺います。
近年、少子・高齢化の進行や国際化・情報化及び科学技術の進展など、教育を取り巻く環境は急速に変化してきております。このような変化に対応するため、国においては「21世紀教育新生プラン」を初めとする教育改革が進められております。
我が県は、復帰後、沖縄振興開発計画により学校の施設・設備等のハード面ではほぼ全国水準に達しているように思います。また、ソフト面では、学力向上対策を最重要課題と位置づけて取り組んできたおかげで、ある一定の成果を上げてきているように思われます。しかし、今なお多くの課題を抱えているのも事実であります。
そこで次のことを伺います。
(1)、高校の外国語教育についてであります。
ア、外国語を取り入れる目的は何か。
イ、英語のみならず、中国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語等を取り入れる学校があってもよいのではないか。
(2)、授業料の減免について伺います。
ア、減免率を設定しているのはなぜか。
イ、ボーダーライン上の場合はどうしているのか。
ウ、減免基準は必要だが、減免率は撤廃して各学校長の裁量に任せてはどうか。
(3)、児童生徒の国際交流について伺います。
これまで国際交流といえば大人の専売特許みたいに思われていますが、それはそれでよしとするわけですが、これからは長いスパンで物を考えることも大事ではなかろうかと思います。人類は不滅ですから延々と続きます。国と国との紛争がない平和で安心できる世界を築くためには、子供の時代からの友情づくりが必要ではないでしょうか。
そのようなことから、このたび沖縄から数千キロも離れた中国の新疆ウイグル地区から児童生徒14名と先生方6名の計20名を沖縄に招聘いたしました。このことを多くの県民に知ってもらいために次のことを伺います。
ア、せんだって中国新疆ウイグル地区の子供たちと沖縄の小・中・高生との交流が沖縄で持たれましたが、それをどう評価されますか。
イ、県として、今後、子供たちの国際交流をどうすべきだと考えますか。
(4)、文字・活字文化の推進について伺います。
平成15年、OECD(経済協力開発機構)が世界の加盟国・地域の15歳を対象に行った学習到達度調査では、日本の高校1年の読解力は世界で14位、前回調査の2000年の8位からさらに後退しております。1位となったフィンランドでは、図書館で月1回は本を借りる生徒が44%、これに対し日本では19%にすぎません。さらに、小説など長く複雑な文章を読む生徒の割合は、各国平均が22%に対し日本ではわずか3%、世界の最下位であります。学力も結局最後は国語力だといいます。人間は言葉で感じ、言葉で考え、言葉で理解するのであります。豊かな言葉がなければ真に豊かな人生とはならないと言えましょう。
そこで次のことを伺います。
ア、2005年7月に「文字・活字文化振興法」が制定され、「地方公共団体の責務」が明らかにされましたが、県はどのような施策を展開してきましたか。
イ、民間団体との連携強化も必要だと考えるが、これまでどう対応してきましたか。
ウ、民間団体では文字・活字文化大賞の開催を企画しているようだが、県はどうかかわるのか。
6、企画部関連について伺います。
平成14年12月に発行された「沖縄振興推進計画」の中で、「第2章 振興施策の展開」、「第8項 離島・過疎地域の活性化による地域づくり」の中にも、交通基盤や情報通信基盤の整備などを図り、地域間格差の是正や弱者の定住促進及び交流人口の増加を図りますと明記されております。しかしながら、南北大東島においてはいまだに沖縄本島の民放テレビ4・8・10チャンネルが視聴できない状態に置かれており、県内の情報が得られない状況にあります。まさかと思いましたが、事実であります。同じ県民として情報の共有は至極当然のことであり、一日も早く情報の格差を是正し、住民生活の利便性の向上、行政事務の効率化、産業の振興を図る必要があると考えます。
そこで次のことを伺います。
情報の格差是正についてであります。
ア、南北大東島では県内のローカルテレビ番組が視聴できない状況にあるが、それをどう思いますか。
イ、同じ県民として情報の格差は一日も早く解消すべきではないか。
ウ、情報格差をなくするためには、海底光ファイバーの敷設によるしかないと思うが、その計画はあるのか。
7、土建部関連について伺います。
(1)、モノレールの延伸についてであります。
戦後初の軌道系交通機関として平成15年8月に開業した沖縄都市モノレールは、那覇市を中心としたその都市部の慢性的な交通渋滞等による都市機能の低下や生活環境の悪化などの都市問題の改善を図るとともに、利用者の通勤・通学の時間短縮や費用節約、観光・ビジネス面での利便性向上など、導入効果が顕著にあらわれているように思います。
沖縄振興計画に基づく第2次社会資本整備計画において、今後の都市モノレールの整備については、「本県の定時定速の公共交通基幹軸を形成するため、首里駅から沖縄自動車道までの延長整備について、可能性を調査する。」とうたわれております。
そこで次のことを伺います。
ア、平成18年5月31日付で浦添市からモノレールの延伸について要請が出ていると思いますが、ルートについてどう評価しておりますか。
イ、かなりの利用客が見込めるすばらしい提案だと思うので、ぜひ検討委員会に上げてもらいたいがどうか。
(2)、台風被害の対応について伺います。
ア、本部町渡久地港の台風被害の原因と今後の対策、さらには宮古、八重山の災害対策を伺います。
(3)、河川の親水対策についてであります。
ア、鉄砲水の対策はどうなっているか。
イ、親水箇所ごとに救命ネットを施してはどうか。
ウ、水質がよくて小魚等がすめる状況でないといけないと思うが、その対策はどうなっているか。
8、国際機関・国連機関の誘致について伺います。
今、日本がアジアの中でどのような責任を果たしていくべきかが問われております。中国やインドの急速な経済成長、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心とする域内の連携強化、ASEAN地域フォーラムによる安全保障対話の深化、さらには昨年の東アジアサミット創設などの動きを見ても、アジアが新しい時代に入っていることは間違いありません。
この潮流を確かなものとするために、より緊密な東アジア共同体を形成し、域内各国が平和と繁栄を享受するアジアにしていかなくてはならないと考えます。そのために日本はさまざまな分野における協力や支援をアジア諸国との間で進めることが大切であります。
そのようなことから、アジアに最も近い沖縄、五、六百年前から交流のある沖縄が果たす役割は極めて大きなものがあると考えます。米軍基地を整理縮小した跡地を利用していろいろな国際機関を誘致することができれば、基地の島から平和の発信基地に転換することになり、まさに日本におけるアジアの玄関口として脚光を浴びることになります。
そこで次のことを伺います。
(1)、国連大学の誘致についてであります。
ア、国連大学の関係者が以前から沖縄への誘致を進めているが、県の取り組みを伺いたい。
イ、誘致に成功すれば国連アジア太平洋本部の誘致に大きな弾みをつけることになると考えるがどうか。
以上であります。
○知事(稲嶺惠一) おはようございます。
前島議員の御質問にお答えいたします。
米軍再編計画についてお答えいたします。
米軍再編の合意内容については、兵力や訓練の移転、施設の返還・整理・統合が盛り込まれるなど、米軍基地の整理縮小に向けた方策が示された内容となっております。しかしながら、普天間飛行場移設に係る新たな合意案については、海兵隊の県外移転という県の基本的な考え方とも異なることや、これまでの経緯を踏まえれば、沖縄県として容認することはできません。
県としては、今回の米軍再編協議の最終合意の方向性については、全体として見れば県民の目に見える形での基地負担の軽減につながるものと考えております。
次に、日米地位協定の見直しについてお答えいたします。
県は、渉外知事会とともに二、三年以内等できるだけ短い期限を設けて日米地位協定の抜本的な見直しを行うことを求めているところでありますが、米軍再編の最終合意の中で何ら触れられなかったことは残念であります。
県としては、米軍基地をめぐる諸問題の解決を図るためには、日米地位協定を抜本的に見直す必要があると考えており、政府を動かすためにはより多くの国会議員や国民の皆様に地位協定の問題を十分御理解いただくとともに、その改正の必要性を認識していただき協力を得ることが大変重要であると考えております。
県としては、引き続き渉外知事会と連携しながら、政府に対し日米地位協定の抜本的な見直し作業に着手するなど、実務的な対応を粘り強く求めていく考えであります。
次に、児童虐待問題の原因と県の対応についてお答えいたします。
児童虐待は、一般的には育児に対する認識の低さ、家庭の養育力の低下、地域社会の子育て機能の低下など、複合的な要因が重なって発生すると考えられております。
県としては、まず未然防止対策が大事であることから、育児の負担感を緩和するための地域子育て支援事業を初め、保健師や母子保健推進員による家庭訪問を促進するとともに、講演会や広報媒体を活用し、県民への広報・啓発などを実施しております。
また、増加する児童虐待相談に適切に対応するため、児童相談所においては児童福祉司を増員するとともに、児童虐待防止支援チームの設置や24時間対応の「子ども虐待ホットライン」を開設するなど、相談体制の整備を図ってきたところであります。
さらに、地域における要保護児童の適切な保護を図るため、市町村における要保護児童対策地域協議会等の設置を促進し、平成18年9月現在、20市町村において設置されております。
未来の担い手である子供たちが健やかに育ち自立することができる地域社会の実現を目指し、子供の権利擁護のための取り組みを強化してまいります。
次に、ハンセン病対策と今後の対応についてお答えいたします。
県では、沖縄県ハンセン病問題連絡協議会を設置し、全庁的に取り組んでいるところであります。
県民に対しましては、ハンセン病を正しく理解していただくために講演会やパネル展、入所者の作品展等を開催し、ハンセン病に関する正しい知識の普及啓発を図っているところであります。
また、療養所退所者等に対しましては、財団法人ゆうな協会と連携して健康相談や県営住宅の優先入居などの厚生援護の向上に努めているところであります。
さらに、県外の療養所への訪問事業や県出身者の入所者に対しまして、故郷を身近に感じていただけるよう里帰り事業を実施しております。
去る6月には、県の補助事業として編さんが進められてきました「沖縄県ハンセン病証言集 資料編」が刊行され、来年3月には沖縄愛楽園、宮古南静園それぞれの証言集が刊行される予定となっており、今後のハンセン病の歴史研究や人権教育に活用が期待されているところであります。
この編集をきっかけとして、平和の礎にこれまでの120名に加えて262名が新たに刻銘されました。今後とも、ハンセン病に関する正しい知識の普及啓発等の施策を推進し、ハンセン病に対する偏見や差別のない社会の実現を目指して全力を挙げて取り組んでいく所存であります。
その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させます。
○知事公室長(花城順孝) 暫定ヘリポートについての御質問にお答えします。
去る8月18日、額賀前防衛庁長官は知事と会談した際、普天間飛行場の危険性の除去という意味で一つの提案があったと受けとめており、議論していけばいいとの趣旨の発言をしております。
また、8月29日に設置された「普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会」の設置要綱には、「普天間飛行場の危険性の除去」についても協議内容とすることが明記されております。
協議会が今後どのような形で進められていくかまだ示されておりませんが、県としては、まず同協議会において暫定ヘリポートについても十分に議論が尽くされることが重要であると考えております。
次に、太陽光発電システムの設置助成に係るモニタリング事業の背景についての御質問にお答えします。
いわゆる嘉手納基地爆音訴訟に加わらなかった住民の受忍限度を超える過去の騒音被害に対して、国が設置した「飛行場周辺における環境整備の在り方に関する懇談会」は、公平補償問題について、国として、金銭補償に関しては慎重な検討が必要であり、訴訟に参加しなかった住民からさらなる理解が得られる可能性の高い施策があれば、その施策の実施を追求すべきであると提言をしております。
この提言を受ける形で、国は、住宅防音工事で設置した空調機器の電気料金の負担を軽減するための施策として、住宅防音事業の一環として太陽光発電システムの設置助成を実施することについての検討を行うため、当該システム助成に係るモニタリング事業を平成15年度から実施しているところであります。
次に、太陽光発電システム設置に係るモニタリング事業の継続等についての御質問に一括してお答えします。
那覇防衛施設局によりますと、太陽光発電システムの設置助成に係るモニタリング事業は平成18年度で終了し、平成19年度以降はモニタリングデータの分析を行い、当該システム設置助成事業の実施の可否について検討を行うとのことであります。
県は、これまで軍転協において嘉手納飛行場周辺における騒音対策の強化について日米両政府に要請を行うとともに、渉外知事会においても防音施設維持管理費の全額国庫負担や防音工事対象区域等の拡大等を要望しております。
県としては、今後とも空調機器の維持管理費補助の拡大などについて渉外知事会や軍転協での要請など、あらゆる機会を通して国に強く求めていきたいと考えております。
以上であります。
○福祉保健部長(喜友名朝春) 母親の働きやすい環境づくりについてお答えします。
県では、「おきなわ子ども・子育て応援プラン」に基づき、仕事と子育ての両立を含め各種子育て支援事業を実施しております。
施策の方向として、地域における子育て支援サービスの充実、仕事と家庭の両立の支援、男性の育児参加のための働き方の見直し等を進めております。
具体的な事業としては、待機児童解消のための保育所定員の増、一時保育や延長保育等の保育サービスの充実、放課後児童クラブやファミリー・サポート・センターの設置等を推進しております。
また、企業に対しては、事業所内保育施設の設置や育児休業の取得目標等を盛り込んだ一般事業主行動計画の策定を促進しております。これらの事業の実施により、母親の働きやすい環境の整備を図ってまいりたいと考えております。
次に、認可外保育施設の認可化についてお答えします。
県におきましては、認可外保育施設の認可化促進のために施設の改修等を行う認可化移行促進事業や入所児童の処遇向上も兼ねた保育士派遣モデル事業等を市町村と連携して実施しているところであります。
保育所の新設につきましては、認可外保育施設からの移行によるものがほとんどとなっておりますが、保育所の設置は保育の実施主体である市町村において待機児童や財政の状況に応じて計画的に進められているところであります。
県では、引き続き認可外保育施設の認可化促進など、待機児童解消のための諸施策を積極的に推進してまいります。
次に、児童虐待の実態についてお答えします。
平成17年度に本県の児童相談所が処理した児童虐待の件数は451件で、前年度の358件に比べ93件、26.0%の増加となっております。
相談種別内訳は、身体的虐待が一番多く166件で36.8%、次いで養育拒否等のネグレクトが157件で34.8%、心理的虐待が111件で24.6%、性的虐待が17件で3.8%となっております。
年齢別に見ると、3歳未満児が13.5%、3歳から就学前が23.3%、小学生が43.5%で最も多く、中学生が15.7%と続いております。
主な虐待者の内訳は、実母が一番多く210件で46.6%、次いで実父が177件で39.2%となっております。
児童虐待の把握と対策についてお答えします。
児童虐待の早期発見のためには、地域、保育所、病院、学校等を含め、広く県民からの通告が行われることが重要であります。「児童虐待の防止等に関する法律」において、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、福祉事務所、児童相談所に通告しなければならないと定められております。
この通告については、結果として虐待がなかったとしても基本的には責任を問われないことや、通告者の情報は守られることなどを広く県民に周知し、児童虐待の早期発見に努めてまいりたいと考えております。
また、児童虐待対策の一環として、住民に身近な市町村における関係機関の連携による取り組みが重要であり、県ではこれまで要保護児童対策地域協議会等の設置を促進してきたところであります。
同協議会等の設置により、地域における福祉・保健・医療・教育等の関係機関の緊密な連携が図られ、児童虐待の早期発見・早期対応につながるものと考えており、引き続き同協議会等の設置促進や運営面における具体的な助言等を行ってまいります。
次に、虐待を受けた子供の家庭復帰の状況についてお答えします。
児童擁護施設等へ措置される非虐待児童の家庭復帰については、養育拒否等のネグレクトの場合、家庭復帰する割合は高くなりますが、身体的虐待や性的虐待の場合は困難な事例が多くなっております。
平成17年度で見ると、児童養護施設等を退所した被虐待児童は29人おりますが、そのうち家庭復帰した児童は22人となっております。今後も、身体的虐待等の増加に伴い、家庭復帰の困難な児童の増加が予想されますが、県としては、児童相談所において、虐待をした保護者に対する心理療法・カウンセリング等を実施するとともに、児童養護施設の家庭支援専門員と連携し、早期家庭復帰に取り組んでまいります。
次に、県内民間病院のドクターヘリ事業への評価と支援について一括してお答えします。
離島からの急患搬送については、本県の離島が広範囲の地域に点在していることから、本島の周辺離島及び本島と宮古島・石垣島の間は陸上自衛隊、宮古島や石垣島の周辺離島は海上保安庁のヘリコプター等を活用して対応しているところであります。
また、医師等の添乗については、沖縄県離島振興協議会と連携し、沖縄県ヘリコプター等添乗医師等確保事業により対応しているところであります。
県内民間病院のヘリコプターによる急患搬送については昨年7月から実施されており、距離、時間帯、天候条件の制限があるものの、これまでの急患搬送実績を踏まえると、本島に近い離島において適切に搬送がなされているものと考えております。
ドクターヘリ事業の実施については、現在の急患搬送システムである沖縄県ヘリコプター等添乗医師等確保事業の充実に向けた検討を進めるとともに、国の整備基準に係る課題等を含めて総合的に検討していきたいと考えております。
以上でございます。
○病院事業局長(知念 清) それでは県立病院の医師・看護師不足についての質問にお答えします。
県立病院の医師確保については、これまで三役を初め各病院長及び関係職員などにより、県内外の大学や民間医療機関、国等へ医師派遣を働きかけてまいりました。さらに、人的ネットワークも活用して医師の確保に取り組んでいるところであります。
また、国、県、大学、医師会等の専門家で構成する沖縄県医師確保対策検討委員会において、福祉保健部とともに医師の県内定着を図るための方策について協議しているところです。
病院事業としては、臨床研修を終了した医師の定着を図るために、現在4年次までとしている臨床研修を平成19年度より7年次まで拡大することとしております。
看護師の確保については、本年度の職員採用試験合格者の中から年度中途での採用を行うほか、非常勤職員についても勤務条件の柔軟な対応など種々の方策を講じ、その確保に努めているところであります。
また、地域医療連携による業務量の適正化、病床の再編、二交代制勤務など、公的病院としての役割や機能、組織制度のあり方等についても検討し、働きやすい環境を整え、職員の定着を図りたいと考えております。
県としては、今後も引き続きあらゆる手段を講じて職員の確保に努めていきたいと考えております。
続きまして、県立八重山病院の狭隘等の対策についてお答えします。
八重山病院については施設の老朽化が進んでおり、これに伴って種々の問題が生じていることは十分に認識しております。
県立病院事業としては、より老朽化が進んでいる宮古病院の改築に取り組み、その次に八重山病院を検討していきたいと考えております。
ちなみに宮古病院の改築の時期については、病院事業の経営状況も見きわめながら判断する必要がありますが、老朽化の問題もあることから、本年度中には関係機関とも調整してまいりたいと考えております。
なお、両病院については、改築までの間、診療に支障が出ないよう点検等を着実に実施しながら適宜修繕を行うなど、適切に対処していきたいと考えております。
以上でございます。
○企画部長(上原良幸) バイオ燃料による農業の振興や地域活性化についての考えと県の今後の対応についてお答えいたします。一括してお答えいたします。
バイオ燃料については、現在、宮古島及び伊江島において実証研究事業が行われているところであります。しかしながら、普及に向けては製造コストや事業主体、ガソリンスタンドの設備改造にかかる費用負担等の課題があります。
県としましては、バイオ燃料の製造が砂糖の安定生産と地域の活性化にどうつなげられるのか、実証事業などの進展を踏まえながら、関係部局の連携のもと、国とも協力して取り組んでいきたいと考えております。
次に、南北大東島における県内ローカル番組の視聴と情報格差是正について一括してお答えいたします。
南北大東島は沖縄本島から約400キロメートル離れており、地上波テレビ放送が視聴できない状況が続いておりました。このため、県が事業主体となり中継施設等の整備を行い、東京都が小笠原諸島向けに衛星を使用して放送している番組を南大東島で受信し、平成10年4月から放送を行っておりますが、引き続き県内のローカル番組が視聴できない状況にあります。 県としましては、情報格差是正は重要な課題と考えており、関係機関と連携を図りながら今後検討してまいりたいと考えております。
同じく南北大東島における情報格差是正のための海底光ケーブルの敷設計画についてお答えいたします。
情報通信基盤の整備については、民間通信事業者が主体的に整備することが原則となっております。
南北大東島への海底光ケーブルの敷設については、これまで民間通信事業者において検討されてきましたが、南北大東島の地理的・地形的要因による技術上の問題、敷設費用、維持管理費用などの莫大な経費の問題などから整備計画が進まない状況にあります。
県としましては、南北大東島の情報格差是正については、今後の情報通信技術の進展を踏まえつつ、関係機関と連携を図りながら検討していきたいと考えております。
次に、国連大学及び国連アジア太平洋本部の誘致について一括してお答えします。
県では、平成13年度から国際機関等の誘致可能性の調査検討を行っているところであり、特に国連機関の誘致については政府が誘致する方針を持っていないこと、財政的な問題があること等多くの課題があります。今後、国連大学の本県への誘致については、これらの課題を踏まえながら、県としてどのような協力ができるのか検討してまいりたいと考えております。
また、国連アジア太平洋本部のような国際機関の設置については、国の主体的な誘致や関与が必要と考えており、県としては引き続きその可能性について検討してまいります。
以上であります。
○文化環境部長(伊佐嘉一郎) 宮古島市と伊江村におけるバイオエタノールの実証実験の成果についてお答えいたします。
バイオエタノールは、大気中の二酸化炭素を増加させない、いわゆるカーボンニュートラルの燃料として京都議定書に位置づけられており、ガソリンに混合することにより、自動車から排出される二酸化炭素の削減効果が期待できます。
宮古島市においては、平成16年度から沖縄産糖みつから燃料用エタノールを効率的に生産するための技術開発と、E3の実用化を確立するための実証事業が環境省によって行われております。平成16年度にはE3燃料製造・供給設備が設置され、平成17年10月からは購入エタノールを使用したE3燃料の実車走行試験が開始されております。現在、県宮古支庁及び宮古島市の公用車約130台による実車走行試験が行われており、平成19年度からは環境省や経済産業省などの連携による大規模実証事業の実施が検討されております。
伊江村では、内閣府、農林水産省、経済産業省、環境省の連携により、高バイオマス量さとうきびの栽培からE3燃料の製造、同燃料を用いた実車走行試験に至るまで、一貫した実証実験が平成17年度から行われており、現在、伊江村の公用車4台による実車走行試験が行われております。
県としては、バイオエタノールの実用化に当たり、製造コストや廃液処理の問題などもあることから、今後の実証実験においてこれらの諸課題の解決を図りつつ、地球温暖化対策と地場産業振興の両立を図る具体的なプロジェクトとして進展することを期待しております。
次に、環境問題について、大気汚染物質の対策について県の取り組み及び企業等の指導監督についてお答えいたします。一括して答弁いたします。
県では、ダイオキシン類や窒素酸化物等の大気汚染物質の状況を把握するため、ダイオキシン類対策特別措置法や大気汚染防止法に基づき、ダイオキシン類は県内6カ所、窒素酸化物等は14カ所、その他ベンゼン等有害大気汚染物質は4カ所において監視測定を実施しております。
また、大気汚染物質を排出する事業者に対して、規制基準の遵守状況等の監視を行っており、基準超過が確認された場合には運転停止や改善措置命令等を行い、大気汚染の防止を図っているところです。
オゾン層や地球温暖化に影響を及ぼすフロンについては、フロン回収破壊法に基づき、フロンの回収状況の把握や事業者に対する立入調査の実施及び普及啓発を行い、回収率の向上を図っております。
また、二酸化炭素については、地球温暖化対策地域推進計画の策定及び環境月間等を通した普及啓発活動を行い、排出抑制を促進しているところであります。
次に、地下水の汚染防止対策についてお答えいたします。
地下水の水質保全につきましては、水質汚濁防止法に基づき事業場の監視や県下の地下水についてカドミウム等の有害物質調査を行っております。
当該調査では、県域を4ブロックに分け年度ごとにローテーションで実施する概況調査、同調査等で環境基準を超過した地点における定期モニタリング調査を行っております。
これまでの調査結果では、自然由来の砒素、水銀による環境基準値の超過事例を除きますと、各地点とも環境基準値以下となっております。
なお、すべての水需要を地下水に頼っている宮古島では、宮古島市地下水保護管理条例や宮古島市水道水源保護条例等の独自の条例に基づき、地下水の保全対策が進められているところあります。
次に赤土関係で、赤土流出防止対策事業の成果、流出したものの除去作業についてお答えいたします。一括して答弁します。
県では、河川・海域への赤土等の流出を防止するため、沖縄振興計画に基づく各種調査や農地等からの流出防止対策を実施するとともに、平成7年度に施行された沖縄県赤土等流出防止条例に基づき、開発事業等への規制を行ってまいりました。その結果、平成13年度の県全体の年間赤土流出量は30万トンと推測されており、平成5年度の52万トンと比較しますと6割弱とかなり改善されております。
しかしながら、依然として河川・海域への赤土等の流出が続いている状況にあり、赤土流出量のさらなる削減に取り組む必要があると考えております。
これらのことから、県としては、今後、赤土流出防止対策の重点的実施地域の選定や削減目標等の根拠となる環境保全目標を設定し、中長期的計画のもとで関係機関・団体と連携し、海域等への赤土流出量の削減に努めてまいりたいと思います。
なお、堆積した赤土の除去につきましては、各海域の環境保全目標や浄化能力、赤土流入量の削減状況等を考慮しつつ、その必要性について検討してまいりたいと考えております。
次に、死滅したサンゴの再生についてお答えいたします。
県では、赤土等流出防止条例施行後の海域における赤土等の堆積状況及びサンゴの被度、種類を経年的に把握するため、平成7年度から本島周辺海域27定点、石垣島周辺海域6定点及び阿嘉島海域2定点で調査を行っております。
これまでの調査結果によれば、赤土の堆積量は経年的に減少傾向が見られますが、平成10年の海水温上昇によるサンゴ白化現象やオニヒトデの食害等の影響もあって、サンゴ被度の経年変化は横ばい状況ということになっております。
以上でございます。
○農林水産部長(国吉秀治) それでは産業振興についての面で、つくる漁業にどのようなものがあるか、県が最も力を入れたい分野は何か、おきなわブランドとして定着したものは何かについては、関連しますので一括してお答えいたします。
本県は熱帯性の温暖な海域に囲まれ、養殖業などのつくり育てる漁業の振興に有利な条件を有しております。このような地域特性を生かし、県下各地域においてクルマエビ、モズク、海ブドウ、シャコガイ及び魚類等の養殖が営まれております。
県では、養殖業などつくり育てる漁業の振興を図るため、種苗生産技術や養殖技術の開発・普及指導、漁場環境の保全、魚病対策及び養殖場造成等の施策を実施しているところであり、今後ともこれらの施策を推進してまいります。
本土市場において沖縄の特産物として評価されている水産物には、生鮮マグロ、ソデイカのほか、モズク、クルマエビ、海ブドウがあります。特に、モズク及び海ブドウは国内生産の大部分を占めるなど本県の特産品であり、おきなわブランドとして定着してきております。
続きまして、海ブドウの本土市場での評価についてお答えいたします。
海ブドウは養殖開始当初から本土に出荷されており、独特の食感が消費者に好まれ、近年需要が増加する傾向にあります。出荷先としては、関西が比較的多く、サラダやすしネタなどとして消費されております。価格は、キログラム当たり約4000円の高値で推移している状況にあります。
続きまして、農林水産業振興における台風対策については、関連しますので一括してお答えいたします。
本県の農林水産業の振興を図るためには、台風による潮風害などの自然災害を防ぐことが重要であります。
このため、県では、防風・防潮林や平張り施設などの整備を推進し、これまで保安林及び農地防風林約1万3000ヘクタール、平張り施設約213ヘクタールを整備しております。
離島地域においては、現在、農地保全整備事業により、伊江島やうるま市津堅島、北大東村などで防風林の整備を行っております。
また、新たに災害に強い緑豊かなふるさとづくり事業により宮古島市、伊是名村など、離島地域で防災林を整備する予定であります。
今後とも、台風や干ばつなど自然災害に強い営農を確立するため、各種施策の推進に取り組んでまいります。
続きまして、南北大東島の農業用水の確保についてお答えいたします。
南北大東島では、地形条件等からダムや地下ダムによる農業用水の確保が困難なため、雨水を貯留する貯水池を建設し、農業用水の確保を図る必要があります。
そのため、県では、県営かんがい排水事業や県営畑地帯総合整備事業、元気な地域づくり交付金事業の国庫補助事業を積極的に導入し、貯水池の建設を行っているところであります。
また、貯水池の水を有効利用するため、強い農業づくり交付金事業を導入し、圃場に隣接してマリンタンクの設置も行っているところであります。
なお、平成17年度末における両村の農業用水源の整備は南大東村が21%、北大東村が70%の整備率となっております。
今後とも南北大東村と連携し、農業用水の確保に努めてまいります。
以上でございます。
○観光商工部長(宜名真盛男) 国際通りと新都心を結ぶ低床バスや路面電車を導入することについての御質問にお答えいたします。
国際通りから新都心を結ぶエリアは観光振興地域に指定されており、県としては、にぎわい及び交流の拠点として一体となったまちづくりを進めていく必要があると認識しております。 御提言の低床バスや路面電車については、バリアフリーの推進や道路交通の円滑化、モノレールとの結節による交通ネットワークの充実等の効果が期待でき、観光客の利便性の向上や地域の活性化を図る観点から望ましいことだと考えております。
現在、那覇市及び那覇市国際通り商店街組合連合会においては、商店街の活性化等を図ることを目的に平成19年4月からトランジットマイルの本格導入を予定しており、その中でトランジットバスの運行などが計画されております。
路面電車や低床バスの運行に関しては、トランジットマイル導入後の運用状況等を見ながら那覇市と同連合会が連携し、総合的な検討が行われるとのことでありますが、県としては、観光振興を図る観点から、国際通りと新都心との連携についても提起してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○土木建築部長(首里勇治) 続きまして、歩道の拡幅整備計画についてお答えいたします。
大型クルーズ船専用バースと国際通りを結ぶ道路としましては、平成13年12月に都市計画変更を行った市道松山線と平成11年度に整備を完了した県庁前線があります。
市道松山線の整備については、延長約400メートルの区間で道路幅員の現況18メートルから30メートルへ、歩道幅員を現況3.9メートルから5メートルへ拡幅する計画となっております。そのうち若狭インターチェンジから約200メートルについては那覇西道路の取りつけとして国が事業を行い、同地点から旧久米郵便局前交差点までの約200メートルを那覇市が事業を実施することになっております。
なお、両区間の調査については、平成17年度から着手していると聞いております。
また、旧久米郵便局から国道58号までの約500メートルについては、車道が3車線、歩道が3メートルとなっております。その整備については、那覇市において、今後、臨港道路那覇1号線及び那覇西道路供用後の交通量の変化及び那覇北道路の計画実施状況を見きわめながら検討すると聞いております。
なお、国道58号と国際通りを結ぶ県庁前線については、道路幅員29メートル、歩道幅員5メートルで整備が完了し、供用を行っております。
次に、フィッシャーマンズワーフの導入についてお答えいたします。
フィッシャーマンズワーフの導入は、観光拠点として魅力的な場所となるものと理解しております。
現在のところ、那覇港においてはフィッシャーマンズワーフの具体的な計画はありませんが、那覇港管理組合が策定した那覇港に関する長期整備構想の中で、泊埠頭地区に親水テラスやにぎわい施設のある水辺のにぎわい空間が位置づけられております。
今後、同管理組合において、その構想の実現化に向けた検討を行う際にフィッシャーマンズワーフ等の可能性についても検討すると聞いております。
次に、浦添市要請の延長ルート案の評価と検討委員会への提案についてお答えいたします。一括してお答えいたします。
モノレールの延長については、関係自治体等からさまざまな延長ルートの要請があり、その中で浦添市からは、石嶺線や国際センター線及び浦添西原線を経由して西原入口まで延長する浦添ルート案の要請があります。
その内容は、沿線に団地の集積や国際センター等が立地し、利用客の増加が見込まれ、またモノレールと高速道路が結節する地点に新たな交通拠点づくりを目指したものであります。
県では、去る8月に開催した第1回沖縄都市モノレール延長検討委員会に浦添市から要請のあったルートを含め6案を提案したところであります。
今後、検討委員会において需要動向や整備効果等を踏まえ、望ましい延長ルートを総合的に検討していく考えであります。
次に、本部港の台風被害の原因と今後の対応についてお答えいたします。
本部港の台風13号による被害は、去る9月16日から17日未明にかけての波浪に伴う越流が原因であり、旅客待合所、護岸、上屋倉庫、港湾施設用地が被災しております。
旅客待合所については、窓ガラス、シャッタ-等が破損しており、護岸については消波ブロックが約30個、港内道路に打ち上げられ、水たたき部分が損壊をしております。
また、上屋倉庫については、窓ガラス、壁面等が破損しており、港湾施設用地については用地境界フェンス、門扉等が倒壊しております。
旅客待合所の応急措置につきましては、破損した窓ガラス、シャッタ-部分を合板により対策を講じたところであります。
旅客待合所、港湾施設用地については、県単独事業となることから、既決予算で調査・設計を行い、復旧額を把握した上で本復旧を行う予定であります。
護岸については、既決予算で調査・設計を行い、復旧額を把握した上で国の災害査定を経て復旧に取り組んでいきます。
また、上屋倉庫につきましては、構造上の安全性などを確認した上でその対策を講じていくこととしております。
次に、台風13号被害の対策についてお答えいたします。
土木建築部が所管する宮古・八重山地域の公共土木施設の台風13号による被害総額は、去る9月20日現在で約8900万円と見込んでおります。
その内訳は、道路関係が与那国町町道新川線ののり面崩壊で4000万円、空港関係が下地島空港、石垣空港のフェンス倒壊及び場周さく破損で490万円、公園関係が石垣市中央運動公園の体育館屋根等の破損で4000万円、陸上競技場のポール及びガラス等の破損で200万円、下水道関係が石垣市西浄化センター及び川平浄化センターの設備及び植栽等の破損で150万円となっております。
今後、道路、公園などの公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の対象事業については、国への災害復旧申請を早期に行うため現在その準備を進めているところであります。
また、国庫負担法の対象外事業については、既決予算での早期復旧に努めてまいりたいと考えております。
次に、河川の浸水箇所における対策についてお答えいたします。
沖縄県内の河川は一般的に流路延長が短く、勾配が急であるため、流域内に降った雨が短時間に川に流出する傾向にあります。このため、河川整備に当たっては、洪水のピーク流量を対象に河川断面を決めて整備を進めており、治水上は急激に増水する流水に対しても対応できる断面が確保されております。
また、親水施設を整備した河川における利用上の安全対策につきましては、本県の河川の特性を踏まえまして、地域住民と連携をとりながら必要な安全対策を講じ、より安全で親しめる川づくりに努めてまいりたいと考えております。
続きまして、救命ネットの設置についてお答えいたします。
御提案の、河川に救命ネットをセットすることにつきましては、洪水時にネットにかかった流木等が川の流れを阻害するおそれがあること、またネットの維持管理が難しいことなど、治水上の問題があることから困難であると考えております。
続きまして、河川の水質対策についてお答えいたします。
県においては、快適な河川環境を保全するため、予算の範囲内で優先順位を決めてしゅんせつや清掃等による河川の美化及び下水道の普及に努めてきたところであります。その結果、近年、都市部の河川においても水質の改善が進んできておりますが、一部の河川においては、ごみの不法投棄や生活雑排水、事業所排水及び畜舎排水等の流入による水質の汚濁が見られ、地域住民や河川愛護団体等からその改善を求められているところであります。
県としては、水質浄化を効果的に進めるために発生源対策が必要不可欠と考えており、今後とも河川愛護の啓蒙活動や下水道の整備促進に力を入れるとともに、文化環境部及び農林水産部、流域市町村とも連携を図りながら水質浄化に取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(仲宗根用英) それでは外国語教育について一括してお答えします。
21世紀の沖縄が自立に向けて持続的に発展し、世界に開かれた国際交流拠点を形成していくためには、すぐれた国際感覚や語学力を身につけた人材の育成を図る必要があります。
外国語は自己の考えや意思を表現し伝える手段として、また相手の立場を理解し尊重する上からも重要であると考えます。
現在、県立高校では英語以外に中国語を取り入れている学校が18校、ドイツ語2校、フランス語3校、スペイン語6校、韓国語1校となっております。
県教育委員会としましては、国際化に対応し得る人材を育成するため語学教育の拡充を図り、国際理解教育の推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、減免率の設定とボーダーライン上の対応について一括してお答えします。
本県の授業料の減免枠は昭和47年の制定当時から規定されており、授業料が快適な学習環境の整備を図るための財源であることから、一定の枠として8%が設定されたものと理解しております。
また、授業料減免の審査に当たっては、個々の申請者の経済状況や家庭状況をもとに授業料納入が困難かどうかを総合的に判断し、減免の可否を決定しております。
次に、減免率の撤廃及び各学校長の裁量についてお答えします。
授業料の減免枠については、申請状況やこれまでの減免率の推移等を踏まえ撤廃することとし、規則の改正を含め所要の手続を行っているところであります。
また、授業料減免の認定については、減免基準の適用に当たって各学校の生徒間の公平性を確保するため、県教育委員会で一元的に審査を行うことが適当であると考えております。
なお、生活保護家庭や海外留学、児童福祉施設の入所等の場合は各学校長の判断で授業料免除の決定を行っております。
次に、ウイグル地区の子供たちと沖縄の児童生徒との交流について一括してお答えします。
去る8月、「沖縄・新疆愛の架け橋」実行委員会が中国新疆ウイグル地区の子供14名を沖縄県に招聘し、民間レベルでの交流が図られ、互いに友情をはぐくんだことは大変意義のあることだと考えております。
また、子供たちが交流を通して視野を広げ、将来に大きな夢をはぐくむきっかけとなったことは、国際性に富んだ豊かな人材を育成する上からも高く評価されるものであります。現在、本県の小・中・高校において外国の学校との交流や姉妹校を締結するなど、国際交流事業が行われております。
県教育委員会としましては、今後とも高校生海外派遣事業等の充実を図るとともに、市町村及び民間団体などと連携・協力し、国際交流事業等の推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、文字・活字文化振興法制定を受けての県の取り組みについてお答えします。
昨年7月、「文字・活字文化振興法」が制定され、10月27日を「文字・活字文化の日」と定め、国民の文字や活字に親しみやすい環境づくりの施策が求められております。
県教育委員会では、公立図書館や地域文庫の充実、司書や司書教諭の適正配置、小・中・高校における朝の読書活動の取り組みなど、文字・活字文化に親しむ環境の整備に努めてまいりました。
同法の制定を受け、公立図書館と学校間の連携、ITを利用したネットワークの活用、著作権講習会の周知等に努めてまいりたいと考えております。
なお、今年度は「文字・活字文化の日」の10月27日に合わせて、28日・29日の両日に「全国読書フェスティバル沖縄大会」を開催し、県民への文字・活字の普及啓発に努めることとしております。
次に、民間団体との連携についてお答えします。
県教育委員会は、これまで民間団体が実施する作文コンクールや文芸作品募集等において、児童生徒への周知や応募作品の指導等の面で連携・協力してまいりました。
また、多数の民間団体の協力を得て県教育委員会が主催する「子どもの読書活動推進フォーラム」などの諸事業を推進してきたところであります。
今後とも、民間団体と積極的に連携を図ることにより、文字・活字文化振興に係る諸施策を推進してまいりたいと考えております。
次に、文字・活字文化大賞との県のかかわりについてお答えします。
10月27日の「文字・活字文化の日」にちなんで、民間団体の主催による「文字・活字文化大賞」が開催されます。
この事業は、本県の児童生徒を対象とした作文コンクールで、文字・活字文化の大切さを普及啓発することを目的としております。
県教育委員会としましては、共催者として同事業に積極的に協力してまいります。また、すぐれた作品に対しては「県教育長賞」を授与し、支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○喜納 昌春 おはようございます。
社大・結の喜納でございます。
平成18年第4回沖縄県議会定例会に際しまして、社大党と結の会連合の5名の議員を代表しまして質問をいたします。
質問に入る前に、さきの台風13号による八重山地域、宮古地域での64名の方のけが等の負傷を初め家屋や農産物の被害、多大なライフラインの破壊によるさまざまな生活苦等に心からお見舞いを申し上げます。
対応等の具体的なことに関しましては、我が党会派の比嘉京子議員ほかの質疑にゆだねますが、県当局の地元自治体との連携強化による迅速な行政対応による一日も早い市民生活の復旧方を切望いたします。
さて、知事、1998年の20世紀最後を飾る歴史的沖縄県知事選挙において、空前の不況――当時でありますが――失業者が9.2%の異常な状況の中で、雇用問題の解決と深刻な基地問題の打開の期待を担って華々しく登場した稲嶺県政もはや2期目、あと2カ月余を残すところとなりました。
野党として今日まで2期8年間、稲嶺県政を点検し、批判し、県民のための任務を果たしてきた我が党・会派でありますが、これまでの質疑・論議を通して普天間飛行場返還の基地問題や、雇用失業、経済の振興策などに花も咲かせ実もとったと自画自賛の答弁を聞くにつけまして、確かに稲嶺知事は必死に大田県政とは違った手法を模索し、頑張ってきたかもしれませんが、焦点の米軍基地問題の解決でも深刻な雇用失業、経済の自立の課題でも経済の稲嶺という期待にこたえ切れず、解決にほど遠く、むしろ政府との関係では矢尽き弓折れたの観が否めないと実感する我が党・会派であります。労多くして実少ない、そういう実感であります。
稲嶺知事は、その産業振興策の持論で、魚よりは釣り糸をとか、あるいは就任当時でありますが、産業活性化のためにはカンフル剤的な政府の施策と予算をかち取ってくるとか、自立に向けた基盤整備に力を入れようとした努力は評価できます。
2000年には熾烈なサミットの誘致合戦で、社民党の平良長政議員とともに私も社大党を代表して参加しまして、与野党一体での熱い要望ですと、当時の小渕総理へ迫った知事の熱弁。終了後の知事のワイシャツ姿での、十分やったし、まあ、なくてもいいかと言われたさわやかな一瞬の笑み。また、その後の沖縄サミット決定の衝撃の喜びの深さ。基地問題で来沖した米国ラムズフェルド国防長官をむっとさせた知事の態度・発言の、野党でも共感した一こま。都市型複合訓練施設建設問題での我が党・会派の瑞慶覧朝義県議の、金武町伊芸区の現地の闘争現場に行って激励してほしいと、何なら私が迎えて案内しますよと議場で迫ったやりとり、その後の知事の現地訪問。そして闘争現場でのオジー、オバーとの感激と闘いの高揚。金武町での抗議集会、県民集会の成功とデモまで参加した稲嶺知事。基地問題では一瞬は体を張って反対闘争と思い立った怒りといら立ちを感じたかと思わせる一面も漂わせてきた知事であります。
しかし、基地被害に厳しく抗議し、基地の整理縮小を訴えてきた稲嶺知事には、基地をゼロにしていく勇気と展望は持ち合わせる決断はなく、大田県政が苦心をして作成し日米両政府に突きつけた基地返還アクションプログラムを棚上げし、基地問題の解決はSACO合意の推進でと、せいぜいSACO2という覚悟に欠けた願望をのぞかせただけで今日に至り、日米両政府にさんざんこけにされて、結局、必死に大田県政よりは頑張ったつもりでありましょうが、課題解決とはほど遠い、道半ばで2期目を終わろうとする稲嶺県政であります。
これまで県民のために流してこられた汗と胸中の涙には共感の思いを抱きつつ、残された任期の最後までの稲嶺知事の公約の点検と批判を全うする野党の立場から、以下、通告に従って質問いたします。
最初に、知事の公約に関して3項目の質問をいたします。
1点目は、1999年2月、1期目最初の知事の所信表明で、「自立につながるような産業振興策が必ずしも十分でなかった」と大田県政を批判しましたが、ア、稲嶺知事の言う自立した産業のバロメーターは何ですか。
イ、私は、自立と言う場合、物をつくる製造業の伸びが肝要で物差しとなると考えますが、稲嶺県政の8年間の推移はどうなっていますか。
ウ、2期8年間、知事言うところの自立した産業振興をどう進めてきましたか。
エ、その数字的裏打ちはどうなっていますか。
2点目は、1998年当時の失業率9.2%を大田不況、県政不況と不当に批判・宣伝し、雇用に対する県民の期待を一身に受けて登場した稲嶺県政ですが、この失業問題に関して4点の質問をいたします。
ア、最も新しい沖縄と全国の雇用失業の実態はどうなっていますか。
イ、失業問題の解決に対する稲嶺県政8年間の努力の足跡を伺います。
ウ、昨日も護憲ネットワーク代表の兼城議員から厳しい質問と当局のあいまいな答弁で終始した問題。大田県政当時、本土平均の2倍を推移していた失業の実態は、今日、稲嶺知事の努力で解決されたと考えますか、明確な答弁を求めます。
エ、常に本土平均よりも高い失業者の実態をどう分析し考え、今後その雇用の拡大に向けての抜本的な施策をどのように考えていますか、答弁を求めます。
公約に関しての3点目の質問は、米軍基地問題に関して、大田県政を「オール・オア・ナッシング」と批判し、みずからの県政はそんな手法ではなく国際情勢、県土の有効利用、軍用地主、駐留軍従業員の生活、環境保全、経済振興等、トータルな観点から現実的に対応し、議論ではなく解決をする県政を明言し公約してきましたが、ア、稲嶺知事の手法や今日の閉塞した政府との関係を見ると、知事の現実的対応にも限界と手法の誤りがあったのかと思われますが、率直な知事の所感を求めます。
イ、普天間飛行場については、その危険性にかんがみ、できるだけ早期に返還が実現するよう全力で取り組んでいくとされましたが、現在、市民・県民の非難の中、米軍が居座って使用している現実から、任期中の公約実現は無理ということになりますか、知事の所見を求めます。
ウ、環境調査及び環境浄化等については、必要とする新たな法的・財政的措置を国に求めていくとされましたが、このことに関してどう国に求め、実現への努力をしてきたのですか。また、その見通しについて伺います。
エ、米軍基地から派生する事件・事故の未然防止や航空機騒音問題等の課題解決にも力を入れるとされましたが、基地対策課発行の米軍等の統計資料から見ますと、事件・事故の発生が1期目の4年間は20件から30件台で推移していますが、2期目の平成14年以降は70件から100件台と2倍以上の異常な状況となっています。これでは解決に努力してきたとは言えません。原因は、米軍基地問題に対する稲嶺知事の弱さにあるのかと考えたくなりますが、知事は、この推移と現状をどうとらえて、どう日米両政府、とりわけ米軍当局に対応策を迫ってきましたか、明確な答弁を求めます。
2番目で最後の大きな質問になりますが、米軍基地問題について6点の課題について行います。
1点目は、普天間基地の返還問題に関して6項目の質問をします。
ア、米国総領事や米軍高官の普天間基地は危険ではない発言や、代替基地提供がなければこのまま使用するだけだとの居直り発言など、県民への挑戦的な状況がありますが、県はこれをどう認識し、どう対応してきましたか。
イ、普天間飛行場が最も危険な基地としての認識に変化はありませんか。また、残された知事の任期で今後どのように普天間基地の閉鎖、早期返還を迫っていきますか、決意と所見を求めます。
ウ、普天間飛行場の名護市辺野古キャンプ・シュワブ沿岸地域へのV字型滑走路の国の案に対しては今でも反対ですか。
エ、県案の暫定ヘリポート案について我が会派は、名護市民にとっては国案と大差なく、市民に新たな危険と恐怖を強いるものと反対の立場ですが、日米両政府のこれまでの対応はどうなっていますか。
オ、普天間飛行場の危険性除去は、早期閉鎖・返還しかありません。グアムなど海外への移設要求が最も近道と考えますが、県の所見を求めます。
カ、11月の県知事選挙で稲嶺知事の後継者は仲井真弘多氏と決まりましたが、この普天間飛行場返還問題での稲嶺知事の考え方と政策はどう引き継がれることになりますか、答弁を求めます。
2点目の質問は、普天間飛行場に関する政府の協議機関設置に関して3つの質問をします。
ア、設置されました政府の協議機関の役割、性格、構成はどうなっていますか。
イ、県は、これにどういう視点、考え方でかかわっていく考えですか。
ウ、県は、普天間飛行場の早期返還について、どのように、いかなる場で具体的に日米両政府に迫っていく考えか、所見を求めます。
3点目の質問は、在沖米軍基地へのパトリオット・ミサイルの配備計画問題に関して4項目の質問をします。
ア、この問題は防衛庁関係者から明らかにされていますが、県はどう問題をとらえていますか。
イ、政府から県への説明はありましたか。
ウ、米軍のパトリオット・ミサイル配備は、全基地で迎撃態勢の可能性が言われています。沖縄の島全体が攻撃目標にされる危険性が増大してくる問題、県民の命と暮らしを基地負担の軽減ではなしに、逆に危機的な状況に陥れていくこの配備計画は、基地の機能強化につながるものであると我が党・会派は考えます。県も基地の機能強化につながる同計画については明確に反対すべきと考えますが、知事の所見を求めます。
エ、米軍のパトリオット・ミサイルの移動訓練に関して、北部地域住民は脅威の拡散と一斉に反発を強めています。当然です。日米両政府が稲嶺知事や我々県民に公約した基地負担軽減に逆行するものと我が党・会派は考えますが、県はこの問題をどうとらえて対応してきましたか、答弁を求めます。
4点目の質問は、相次ぐ米軍演習の激化及び事故に関して3項目の質問をします。
ア、嘉手納基地でのF-15戦闘機の7月末の未明の離陸等での異常な騒音被害の実態を県はどう把握し、どう関係市町村と連携し日米両政府に対処してきましたか。
イ、嘉手納基地でのF-15戦闘機の8月下旬の照明弾誤射事件はどういう状況で起きて、県はどうこの異常な事件に対し日米両政府に行動を起こしてきましたか。
ウ、8月23日、嘉手納基地で米給油機のホース落下事故が発生したことが報じられていますが、この問題はどう報告されて、県はどう日米両政府に対処してきたのか、抗議もしたのか伺います。
5点目の質問は、日米地位協定の抜本的見直しの問題に関して2項目の質問をいたします。
ア、これまでの稲嶺知事の日米地位協定の見直しに向けてのさまざまなレベルでの素地づくりの努力は評価しますが、実現に向けてのその後の今日に至るまでの努力と政府の対応について伺います。
イ、残された知事の任期中での実現の見通しについて伺います。
最後6点目に、小池百合子前沖縄担当大臣の基地管理権移管発言に関して3項目の質問をいたします。
ア、この小池大臣発言の背景、真意について県はどう考えておりますか。
イ、基地の管理権が日本に移るということは、米軍基地がそっくりそのまま自衛隊が肩がわりできる可能性も含めて基地の固定化の危険性を含むものと我が党・会派は考え反対しますが、県はどう考え対応していく考えですか、所見を求めます。
ウ、移管要求に関して、県としてもこれまで検討してきた経緯があるのですか、所見を求めます。
答弁によって再質問をいたします。
○知事(稲嶺惠一) 喜納昌春議員の御質問にお答えをいたします。
最初は、自立した産業のバロメーター、産業振興の推進及び数字的な裏打ちについての御質問にお答えいたします。一括してお答えを申し上げます。
私が1期目、最初の所信表明において、これまでの県の経済振興の取り組み、とりわけ自立につながるような産業振興策が必ずしも十分ではなかったと指摘し、今後、持続可能な民間主導の経済構築に向けた取り組みが非常に重要であるという認識を示しました。
こうした認識のもと、私は知事就任以来、民間主導の自立型経済の構築に向け、沖縄の特性を生かした発展可能性の高い産業分野を中心に重点的・戦略的な取り組みを進めてまいりました。
まず、観光関連については、先ほど喜納議員からお話がございましたように、九州・沖縄サミット、それからIDB総会など国際会議等の開催により、コンベンション・アイランドの形成に努めてきたことに加え、官民一体の誘客キャンペーンなどにより観光客数は増加を続け、昨年、過去最高の550万人を記録しております。
また、情報通信関連産業を初めとする企業誘致については、通信コストの低減化や賃貸工場などの企業の受け皿施設の整備に取り組んだこと等により、知事就任以来123社の企業立地と約1万人の新たな雇用創出を実現しております。
さらに、地場産業については、健康食品や泡盛の出荷額が好調に推移しており、ゴーヤー、マンゴー、アグー等の農林水産物についても、おきなわブランド化を目指した取り組みを進めてまいりました。
また、開学に向けて準備が進められている沖縄科学技術大学院大学についても、今後の本県の産業振興にとって大きな波及効果が期待できるものと考えております。このような取り組みにより、本県経済は民間主導の自立型経済に向かって着実に進展しているものと考えております。
次に、失業問題解決に対する8年間の実績についての御質問にお答えいたします。
雇用問題の解決に向けては、産業振興を図るとともに、これと一体となった雇用対策の推進が重要であります。
このため、民間主導の自立型経済の構築に向けて産業界の自主的な取り組みを後押しし、観光・リゾート産業や情報通信産業、農林水産業、商工業等の振興や企業誘致に積極的に取り組んでまいりました。その結果、平成17年は観光客数が過去最高の550万人になり、誘致企業については、私が就任以来、情報通信関連が100社、製造業が23社の計123社が立地し、約1万人の雇用を創出するなど大きな効果を生んでおります。
一方、雇用対策については、特に雇用情勢の厳しい若年者対策として沖縄県キャリアセンターを設置し、職業観の形成から就職に至るまでの一貫した就職支援を行うなど、積極的に取り組んでまいりました。
これらの取り組みや各学校の努力などにより、平成18年3月新規学卒者の就職内定率は、平成10年に比較して高校で20ポイント増の92.7%、大学で13.6ポイント増の70.0%となっております。
次に、失業の実態についての御質問にお答えいたします。
私は、知事就任以来、産業の振興と雇用の創出を県政の重要課題と位置づけ、企業誘致や各種の産業振興策を推進するとともに、幅広い職業能力の開発と人材育成に取り組んでまいりました。その結果、観光関連産業や情報通信関連産業を中心に新たな雇用の場が創出され、就業者数も着実に増加し、平成17年の就業者数は平成10年に比べ3万7000人増加し、59万8000人と過去最大となっており、有効求人倍率も0.19倍から0.43倍と大幅に改善しております。しかし、就業者数の増加を上回る労働力人口の増加や、求人と求職が結びつかない雇用のミスマッチなどにより、雇用情勢は依然として厳しい状況にあると認識しております。
このため、特に雇用情勢の厳しい若年者対策として沖縄県キャリアセンターを設置し、職業観の形成から就職までの一貫した支援を行うとともに、職業能力開発校や民間の教育機関を活用した多様な職業訓練を行い、企業のニーズに対応した人材の育成に努めております。
さらに、今年度は地方自治体、地元経済界、国の出先機関等により「沖縄県地域雇用戦略会議」を開催しており、関係機関が一体となって雇用の改善に取り組んでおります。
次に、基地問題に関する対応についてお答えいたします。
私は、基地問題の解決に向けては国際情勢や県土の有効利用、軍用地主や駐留軍従業員の生活、環境の保全、経済振興等を検討したトータルな視点から現実的に対応してまいりました。
基地の整理縮小については、SACOの合意事案を着実に進めるとともに、米軍再編において、SACO合意を超えてさらなる海兵隊の県外移転を含めた基地の整理縮小等の基地負担の軽減を求めてまいりました。
また、沖縄振興特別措置法に駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化のための特別措置を盛り込むとともに、沖縄担当大臣等で構成される跡地対策協議会などの跡地利用に関する枠組みを実現したところであります。
米軍再編については、県民の基地負担の軽減の面で兵力や訓練の移転、施設の返還・整理・統合が盛り込まれるなど、米軍基地の整理縮小に向けた方策が示された内容となっております。
このように、基地問題については着実な成果を上げてきたところであり、政府との関係が閉塞しているとは考えておりません。
次に、普天間飛行場の移設の実現についてお答えいたします。
普天間飛行場の移設についてはこれまで全力で取り組み、政府と協力しながら一歩一歩進めてきたところであります。
県は、普天間飛行場の危険性を除去するための緊急的措置として、暫定ヘリポート建設を検討することを対応の一つとして政府に対して求めているところであります。
私としては、ことし5月4日に県が示した「米軍再編に関する沖縄県の基本的な考え方」を踏まえ、普天間飛行場の早期返還とそれまでの間の危険性を除去するため、任期の最後まで全力を尽くす考えであります。
次に、V字型滑走路案についての御質問にお答えします。
普天間飛行場代替施設のV字型滑走路案については、容認できないという県のスタンスに変わりはありません。
次に、普天間飛行場移設問題の引き継ぎについてお答え申し上げます。
仲井真氏は、稲嶺県政を継承・発展させると明言しております。
私としては、普天間飛行場の早期返還を図るとともに、それまでの間の危険性の除去が最も重要な課題であると考えております。
移設問題については、これまでの経緯を踏まえ、着実に解決に向けて取り組んでいただきたいと考えております。
次に、日米地位協定見直しの取り組み、実現の見通し等について一括してお答えを申し上げます。
日米地位協定の抜本的見直しについて、県はこれまで外交責任を負う政府はもとより、地方公共団体、国民一人一人がみずからの問題として受けとめていただくよう、あらゆる機会を通じて訴えてまいりました。
平成15年には全国行動プランを策定し、渉外知事会の協力を得て働きかけた結果、33都道府県議会で意見書が採択されております。
また、渉外知事会では日米地位協定の見直しに重点を置き、平成17年2月及び7月には政府に対し地位協定見直しを要望し、11月には、二、三年以内等できるだけ短い期限を設けて見直しを行うことを米軍再編の最終報告へ盛り込むよう要請しております。
平成17年12月には渉外知事会主催により政党関係者や有識者を交えたシンポジウムを開催し、日米地位協定の見直しを訴えております。本年7月28日には外務大臣や防衛庁長官に対し、重点要望の一つとして日米地位協定の見直しを求めたところであります。
このように、日米地位協定の見直しについては、本県の取り組みにより全国的な動きにすることができたと考えております。
しかしながら、政府は、日米地位協定については、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとしており、県としては、政府を動かすためにはより多くの国会議員や国民の皆様に地位協定の問題を十分御理解いただくとともに、その改正の必要性を認識いただき、協力を得ることが大変重要であると考えております。
県としては、引き続き渉外知事会と連携しながら、政府に対し、日米地位協定の抜本的な見直し作業に着手するなど、実務的な対応を粘り強く求めていく考えであります。
その他の御質問につきましては、関係部長等より答弁させます。
○観光商工部長(宜名真盛男) まず、製造業のこの8年間の推移についての御質問にお答えをいたします。
本県の製造業の出荷額は、工業統計調査によりますと、平成10年の5493億円から最新データである平成16年は5108億円となり、7%の減少となっております。これは製造業出荷額全体の32%を占めていた石油精製業とたばこ製造業において、平成16年前半に工場の操業停止があったことにより、その比率が22%まで低下したことが大きく影響しております。
一方、本県がオキナワ型産業として位置づけ、戦略的に支援してきた健康食品産業と泡盛製造業は着実な伸びを示しており、平成10年と平成17年の比較では健康食品の出荷額が約1.9倍、泡盛の出荷額が約1.5倍となっております。
このように、これまで実施してきた成長可能性の高い製造業分野への重点的支援や製造関連企業の誘致事業は、着実に本県製造業の振興に寄与してきたものと考えております。
次に、最新の雇用失業の実態についてでございます。
本県の平成18年7月の労働力人口は65万2000人、うち就業者が60万人、完全失業者が5万2000人となった結果、完全失業率は8.0%となっております。
なお、全国の完全失業率は、これは平成17年の年間でございますけれども、4.4%でございます。
次に、失業の実態及び分析、今後の施策についてお答えをいたします。
全国の平成17年の完全失業率は4.4%であるのに対し、本県は7.9%と全国に比べ依然として厳しい雇用状況が続いております。
この要因としては、就業者数は増加しているものの、それ以上に自然増や社会増に伴う労働力人口が増加していること、県内の雇用の場が不足していることや雇用のミスマッチなどが考えられます。また、若者の県内志向・公務員志向の強さや職業意識の低さなどが指摘されております。
雇用問題を解決するためには産業の振興を図るとともに、それと一体となった雇用対策を引き続き推進していくことが重要であると考えております。
このため、本県の地域特性を生かした観光・リゾート産業や健康バイオ関連産業などの振興や雇用効果の高い情報通信関連企業等の誘致に努めてまいります。
また、公共職業能力開発施設や民間教育訓練機関等における職業訓練を実施するなど、企業ニーズに応じた多様な職業訓練を実施するとともに、若年者の雇用対策として沖縄県キャリアセンターにおける就職支援を行うなど、引き続き雇用情勢の改善に向けて積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(仲里利信) 喜納昌春君の質問に対する残りの答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時57分休憩
午後1時23分再開
○議長(仲里利信) 再開いたします。
午前の喜納昌春君の質問に対する答弁を続行いたします。
知事公室長。
〔知事公室長 花城順孝君登壇〕
○知事公室長(花城順孝) まず、米軍基地に関する環境保全等についての御質問にお答えします。
県は、平成12年8月、日米地位協定の抜本的見直し等を求める中で、環境保全に関する日本国内法を適用することや、米軍の施設・区域内での事業実施における環境へ与える影響を調査、評価すること等について協議すること、環境汚染については米軍の責任において適切な回復措置を講じること、施設の返還に当たっては事前に日米両政府が環境調査を実施し、必要に応じて環境浄化等の措置をとることや、そのための費用負担について日米両政府間で協議すること等を明記するよう求めております。
また、沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会、いわゆる軍転協及び渉外知事会を通じ、米軍基地周辺の生活環境及び自然環境の保全についても必要な措置を講ずるよう要請を行っております。
なお、平成14年に「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」の一部が改正され、返還が合意された駐留軍用地については返還実施計画に基づき、国の責任において汚染物質や不発弾の調査及び除去等が行われることとなっております。
次に、米軍の事件・事故への対応についての御質問にお答えします。
平成14年以降の事件・事故数の増加については、平成14年の第22回三者連絡協議会において、県などの強い要望により、それまでは通報の対象とされていなかった米軍施設・区域内で発生した緊急・予防着陸についても好意的通報を行うようになったことにより、当該通報件数が増加したことが主な要因となっております。
県としては、事件・事故が発生するたびに米軍を初め関係機関に対し、事故原因の徹底究明、再発防止及び安全管理の徹底等を強く申し入れてきたところであります。
また、公務外の事件・事故の防止を目的とし、米軍を初め日米両政府や県、地元市町村、地元商工会等の関係機関が参加する「協力ワーキング・チーム」において、その対策について協議・調整を図っているところであります。
次に、米側の発言に対する県の対応等についての御質問にお答えします。
普天間飛行場の危険性については、日米両政府の共通した認識であります。
県としては、普天間飛行場の危険性を早期に除去するため、緊急的措置として暫定ヘリポートを提案してきたところであり、今後とも県の基本的な考え方を主張していきたいと考えております。
次に、普天間飛行場の危険性の認識及び危険性除去に関する所見についての御質問に一括してお答えします。
普天間飛行場移設問題の原点は、市街地の中心部にあることによる同飛行場の危険性の除去であり、移設問題とは別にその危険性を除去するための緊急的措置が講じられることが今日的な最重要課題であります。
先ほども申し上げましたが、県としては、「米軍再編に関する沖縄県の考え方」を踏まえ、普天間飛行場の県外移転を求めるとともに、県外へ移転する間の緊急的措置として、暫定ヘリポートの建設を対応の一つとして政府に対して求めているところであります。
暫定ヘリポートについての御質問にお答えします。
普天間飛行場の移設に係る新たな合意案については、県として容認できないことは既に明らかにしたところであります。そのため、県外移設が実現するまでの間の普天間飛行場の危険性を除去するため、緊急避難的に暫定ヘリポートの建設を検討することを対応の一つとして政府に求めているものであります。
去る8月18日、額賀前防衛庁長官は、知事と会談した際、普天間飛行場の危険性の除去という意味で一つの提案があったと受けとめており、議論していけばいいとの趣旨の発言をしております。
また、8月29日に設置された「普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会」の設置要綱には、「普天間飛行場の危険性の除去」についても協議内容とすることが明記されております。
協議会が今後どのような形で進められていくかまだ示されておりませんが、県としては、まず同協議会において暫定ヘリポートについても十分に議論が尽くされることが重要であると認識しており、政府と話し合いを継続し、普天間飛行場の危険性除去に向け全力を尽くす考えであります。
協議会の役割、性格、構成と県の対応についての御質問に一括してお答えします。
「普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会」は、在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取り組みについての閣議決定に基づき設置された協議機関であります。
その協議内容は、代替施設の建設計画、使用協定を含む安全・環境対策、普天間飛行場の危険性の除去、地域振興、その他必要な事項となっております。
構成員としては、政府側が沖縄及び北方対策担当大臣、防衛庁長官などの関係閣僚と、沖縄側は沖縄県知事、名護市長、宜野座村長、東村長及び金武町長となっております。
協議会がどのような形で進められるかはまだ示されておりませんが、県としては、今後、当該協議会の場においてことし5月4日に県が示した「米軍再編に関する沖縄県の考え方」に基づき協議していく考えであります。
普天間飛行場の早期返還についての御質問にお答えします。
普天間飛行場の移設に係る政府案については、県は容認できないことは既に明らかにしたところであり、この考え方は変わりません。
県としては、ことし5月4日に示した「米軍再編に関する沖縄県の考え方」を踏まえ、普天間飛行場の早期返還とそれまでの間の危険性を除去するため、政府に対して求めていく考えであります。
次は、パトリオット・ミサイル配備についての御質問に一括してお答えいたします。
県としては、米軍再編は総体として、地元の基地負担の軽減が図られなければならないと考えております。
今回の米軍によるパトリオットミサイル(PAC3)の新たな配備については、嘉手納飛行場における飛行訓練の移転などについて、地元の負担の軽減が具体的に実施されていない中で配備が先行することは、地元の理解が得られるものではなく、遺憾であります。
県としては、まずは政府において地元に対し十分な説明を行い、理解を得ることが必要であると考えております。
次に、パトリオット・ミサイル配備の政府説明についての御質問にお答えいたします。
県は、7月20日、来庁した北原防衛施設庁長官から、パトリオットミサイル(PAC3)の嘉手納飛行場等への配備について説明を受けました。
その説明によりますと、米軍がパトリオット・ミサイル(PAC3)を嘉手納飛行場及び嘉手納弾薬庫地区に配備することを日米間で合意し、8月以降、米陸軍防空砲兵大隊の約600名が配備され、年内にも実際の運用が開始される予定とのことでありました。
次に、パトリオット・ミサイルの移動訓練についての御質問にお答えします。
国によりますと、パトリオット・ミサイル(PAC3)は車載化され機動展開能力があることから、他の基地に移動して展開することは想定されるとのことであります。
県としては、政府において、地元の負担増にならないよう理解と協力を得ることが必要であると考えております。
次に、嘉手納基地におけるF-15戦闘機等の未明離陸についての御質問にお答えします。
嘉手納飛行場周辺における航空機騒音について、県は関係市町村と連携しながら、飛行場周辺地域における騒音測定を実施し、把握しているところであります。
また、F-15戦闘機等の7月末の未明の離陸について、県は那覇防衛施設局に対し、周辺住民の平穏を妨げ、住民生活に著しい影響を与えることから、飛行プランを見直すなどにより周辺住民に配慮するよう都合4回申し入れております。
さらに、去る8月28日から30日にかけて軍転協を通じ、米軍を初め日米両政府に対し、騒音規制措置の趣旨を徹底し、深夜・早朝の飛行を避け、他の基地を経由するなど飛行プランの見直しを行い、航空機騒音の軽減を図るよう強く要請したところであります。
次に、F-15戦闘機による訓練用照明弾落下事故についての御質問にお答えします。
米軍第18航空団によりますと、今回の事故は8月25日午前11時ごろ、訓練を終えた嘉手納基地所属のF-15戦闘機1機が嘉手納飛行場に着陸する直前にパイロットの不注意で訓練用照明弾を発射し、それが米陸軍貯油施設に落下したとのことであります。
県は、同日、嘉手納基地に対し、このような事故が二度と起こらないよう、教育訓練の徹底等再発防止及び今後の一層の安全管理について万全を期すよう強く要請したところであります。
また、去る8月28日から30日にかけての軍転協の要請においても、米軍を初め日米両政府に対し、このような事故が二度と起こらないよう、再発防止や安全管理の徹底等について強く要請したところであります。
次に、米軍空中給油機の給油ホースの事故についての御質問にお答えします。
米軍及び那覇防衛施設局によりますと、8月23日、イリノイ州空軍基地所属のKC135空中給油機が岩国基地所属のFA18戦闘機に洋上で空中給油を行っている際に給油ホースが外れ、ホースがない状態で嘉手納基地に着陸したとのことであります。
給油ホースが外れた際にはセンサーが作動し、燃料が漏れないような措置がとられることから、空中給油機からの燃料漏れはなく、部品の落下もなかったとのことであります。
また、事故原因については両機の所属部隊が行うことになっており、現在のところ詳しい原因は把握していないとのことであります。
次に、小池前大臣の基地管理権移管発言についての御質問に一括してお答えします。
小池前大臣の基地管理権移管に関する発言は、沖縄の振興開発に真摯に取り組まれ、沖縄の基地負担の軽減を願う観点から、管理権の移管を含め、基地問題等の解決のために幅広く議論すべきとの提言であったと考えております。
基地管理権は、米軍基地から派生する諸問題の根本にかかわるものであり、そのあり方については基地に係る重要な問題であると考えております。
県としては、県民に新たな基地負担をもたらすことがないよう、状況を見きわめながら適切に対応していく考えであります。
以上でございます。
○喜納 昌春 まとめて答えられているんで、本当は細かく点検するといろいろ不満はあるんですが、3点ほどにわたってやりましょう。
失業問題ですが、知事、とりわけ改善はされているけれども、実際は求人が対象者が多くなって云々もあってと弁解されているんですが、実際は平成17年度で言うと7.9%の失業者、全国の2倍までは行ってないけれども2倍に近い状態。しかも5万2000人の完全失業者がいるわけですから、そういう意味では供給と需要のミスマッチ云々を何度も言ってくるんで、今後、本当にそういう意味では供給に応じた需要をどうつくるかという意味では重要な課題だと思うんですよ。
ですから、ミスマッチというやつはここ数年しょっちゅう聞いているんです。そういう意味では、大田県政時代もこの高率の失業問題は難問でしたよ。経済の稲嶺さんも手こずっている。そういう意味ではこの失業者、人口が多くなったから相変わらず2倍近くですという弁解は通用しないと思うんです。5万2000人の完全失業者がいるわけですから、そういう意味ではこの辺をもっと真剣に考えていただきたい、どう対処するかという意味で。そういう意味での失業対策、もう一回骨のあるところを教えてください。
それから後継者の仲井真さんだって全国並みにすると言っているんだから、経済の稲嶺さんができなくて仲井真さんがやるということだからはこれはすごいことなんだが、いずれにしても大変な決意がないとできないと思うんです。これについての施策を聞かせてください。
それから普天間飛行場の問題ですが、危険性除去の意味でヘリパッド云々あるんですが、実際、国はきのうも久間さんは変わらぬと言っていますよ、国案は。ですから、そういう意味では極めてハードルが高い。しかも県が言っていることは、何も県内移設をつくるのが前提じゃないと。危険性の除去が前提で県外なんだが、その前提としてヘリパッドと言っているんですよね。下手するとヘリパッドが固定化されるという。しかも名護にとっては同じ危険ということで我々は言っているんです。ですから、県外移設をしっかり求めていく、グアムに持っていけと、8000名も一緒にね。その決意がないと私は普天間は危険性の除去ができないという思いがあるんです。
それから後継者の仲井真さんが、ある意味では今の知事の普天間基地の問題を継続、政策政策を引き継いでもらいたいと言っているけれども、政策の中で、あるいは国とのスタンスの中で国案に対して明確に稲嶺さんと同じスタンスと政策を持っていけるのかどうか、そういう意味でのことをもう一回聞かせてください。
それからパトリオットの問題ですが、これはまさに北原防衛庁長官は説明している。皆さんは了とするんですか。しかも嘉手納基地は負担軽減されていませんよ。その負担軽減の見通しもないままなおかつパトリオット配備ですか。そういう意味では地元の理解と協力が必要と言いながら、北原防衛庁長官に対しては皆さんはイエスなんですかノーなんですか。ですから、パトリオットの配備については負担の強化、基地の強化であるだけに反対を明確に出してください。
答弁もお願いします。
○議長(仲里利信) 休憩いたします。
午後1時41分休憩
午後1時44分再開
○議長(仲里利信) 再開いたします。
稲嶺知事。
〔知事 稲嶺惠一君登壇〕
○知事(稲嶺惠一) 喜納議員の再質問にお答えいたします。
最初は失業の問題でございます。
これは、私としても大変重要な問題だというふうに考えております。今、非常に前途は洋々たるものとの自信は持っております。
と申しますのは、物事は何でもそうですが、1歩、2歩、3歩、4歩とつながります。今、例えば私が123社の誘致した企業も今のままの数ではないわけです。将来はそれが何倍にも、今でもそうですけれども着実にふえていきます。そして今、一番いい例はどういうことかというと、私が最近大変うれしかったことは、行きたい県のナンバーワンは沖縄になりました。ことし初めてです。住みたい県も沖縄がナンバーワンになりました。それから、10年間の経済成長はどこが一番いいかというのも、これも沖縄県になりました。ことしはさらに一つの地方としては豊見城市が全国の780の市の中で一番成長が著しいということが、これが9月1日に発表されました。
ということは、この将来の可能性というものを多くの方がしっかりと御理解いただいたというふうに思っています。特に大きいのは、現在、産官学でもってしっかりとしたそういうような協力をしながらという仕組みをつくりました。
それから一番重要なのは人材の育成ですけれども、これは沖縄高専の方で着実に今進んでおりますし、何よりも大きいのは世界的な大学院大学ができるということです。既に今、うるま市において5つの先行研究が始まっていますけれども、どんどんどんどん毎年これがふえてきます。そうすると、そういう機関の周りに研究機関がつき、企業が張りつくと。これは長い例でいきますと、ロサンゼルスの場合でいきますと、これは約50年ぐらいかかったようですけれども、スタンフォード、カルテック、その他ができてからそれぐらいかかっているんですが、ボストンの近くのMITを中心にして、これは何兆円という今の経済効果があらわれております。
私がよく、これから花が咲きということは、そういう具体的に物事が着実に進んでいるという前提があるからです。今、入ってきている企業、今進んでいる企業というのも現在のままではありません。例えば、特別自由貿易地域の中に入っている、例えば今リムジンもつくっていますけれども、これなんかもどんどん倍の倍の倍で、今どんどんそういう計画ができているわけです。
その企業だけじゃないんです。多くの企業がそういう形で進んでいるんです。それに備えて研究機関の問題、あるいは産官学の問題ということを着実にやっております。
もう一つの問題は、やはりその中でどういうような職業観を形成するのか、あるいは若いときから、学生のときからしっかりした将来の志向を持つかと。
いろいろまだまだ重要な問題があります。これは教育機関、人材育成については今一歩一歩手を打っているわけです。最近の例にしても、企業に研修に行った人たちの就職率というのは、派遣したのは現実に90%なんですね。しっかりした職業観を持って、しっかりした考え方を持った人たちは、就職というのはしっかりできるという時代なんです。したがって、そういうことを今全部やるわけじゃないですけれども、こういうものにも一歩一歩手をつけております。これはやはり何年かしたら、さすが稲嶺は大したものだと。よく先に手を打ったということを言っていただけると確信しております。
それからもう一つ、基地問題の考え方についてどのように引き継ぐかということですが、これは仲井真氏は稲嶺県政を継承・発展させると明言をしているわけです。
移設問題については、これまでの経緯を踏まえ、着実に解決に向かって取り組んでいただけると考えております。
○知事公室長(花城順孝) 再質問にお答えします。
まず、ヘリポートはハードルが高い、県外移転の決意を示せという御質問でありますが、普天間飛行場の移設に係る新たな合意案につきましては、再三答弁しておりますように、県として容認できないということは既に明らかにしたところであります。
従来案でなければ県外移転という県の立場に変化はありません。変わりません。そのため、県外移設が実現するまでの間の普天間飛行場の危険性を除去するため、緊急避難的に暫定ヘリポートの建設を検討することを対応の一つとして政府に求めているということが県のスタンスでございます。
それからパトリオットについての県の対応についての御質問でありますが、嘉手納飛行場における飛行訓練の移転など、地元の負担の軽減が具体的に実施されていない中でパトリオット・ミサイル(PAC3)の配備が先行することは遺憾であります。県民の目に見える形での負担軽減になるという結果を政府が具体的に示す必要があり、県としては今後、政府に対しさらなる説明を求めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○新垣 良俊 こんにちは。
質問に入ります前に、さきの台風13号で被害をこうむった方々に心からお見舞いを申し上げます。
では、県民の会を代表いたしまして、所見を述べながら代表質問通告に従いまして質問を行います。
1、知事の政治姿勢についてであります。
8年前の県政の状況は、政治的にも経済的にも迷走状態に陥っていました。前大田県政は、沖縄問題を提起する上での一定の役割を果たしましたが、肝心の問題解決能力を喪失していたのであります。
政府との信頼関係の喪失によって多大な振興開発プロジェクトは中断され、基地問題の行き詰まり、日一日と深刻化する企業経営や雇用不安の高まり等、いわゆる県政不況に対するいら立ちから、県民の間にはあすに対する不安と閉塞感が充満していたのであります。
そのような事態を憂いて、稲嶺知事は問題を解決したいとの決意を抱いて知事選挙に出馬したのであります。出馬の最大の理由として、「戦争の悲劇を嘆くだけではなく、繰り返さないために、また、沖縄問題を解釈するためではなく、解決するために、そして、沖縄県民の夢や希望を語るだけではなく、実現するために出馬する」との基本方針を掲げ、見事に初当選をなし遂げたのであります。
1期4年の任期中、県勢発展のために全力疾走で頑張ってまいりました。2期目は、1期4年の経験と実績を踏まえ、県民とともにチャンスを確実に実現し、その成果を子々孫々に引き継ぐことができるようにとの考えと、「問題解決のできる実行型県政の実現」を基本姿勢に出馬され再選を果たされました。
2期目も県勢発展のため、諸課題解決に全力疾走で走り抜いて頑張ってまいりました。稲嶺知事が2期8年で築き上げた大きな実績に対し高く評価するものであります。そして、県民が夢と希望の持てるような沖縄、思いやりにあふれた沖縄づくりを目指して、一日も休むことなく粉骨砕身働いてきた稲嶺知事に敬意と感謝を申し上げたいと思います。本当に御苦労さまでした。
では、次のことについて伺いたいと思います。
(1)、2期8年の県政運営を振り返って。
稲嶺知事が2期8年、どんな思いで県政運営を行ってきたのか、8年の成果とやり残したことについて、次の知事にバトンタッチする意味でも知事の思いを伺いたい。
ア、企業誘致について。
知事は、企業誘致に大きな成果をおさめましたが、経済の稲嶺としてさらに企業誘致を成功させるためにはどのような施策が必要か、知事の所見を伺いたい。
イ、人材育成について。
21世紀の沖縄が持続的な発展を続け、世界に開かれた地域となるためには人材の育成が必要不可欠であります。そして産業経済の振興と人材育成は表裏一体でなければならないと思います。県は、情報通信産業、観光・リゾート産業、農林水産業、製造業等で人材育成に努めてまいりました。また、産学官連携して育成してきたと思いますが、その成果と今後の人材育成について知事の所見を伺いたい。
ウ、経済振興について。
沖縄県の経済が振興発展したのも第1次沖縄振興開発計画から現在進行中の第4次の沖縄振興計画の実施が大きな役割を果たしてきたのは周知のとおりであります。第4次沖縄振興計画も5年目を迎えておりますが、県として第5次に向けてどういう取り組みをするのか、所見を伺いたい。
エ、雇用問題について。
本県の失業率が高い主な理由は、就業者数の増加を上回る労働力人口の増加等による県内の雇用の場の不足や、県外就職の減少と過度の県内志向等があるからと言われております。雇用機会の創出・拡大を図るにはどういう対策が必要か、所見を伺いたい。
オ、財政健全化について。
事務事業の見直し、県単補助金の見直し、県債発行の抑制、職員数の削減、そして県税収入の確保に努めて財政健全化に取り組んでいることは承知しております。今、国の歳出削減で地方交付税が削減され、苦しい財政状況にあると思います。自主財源の確保など財政健全化に向けてどのような対策があるか伺いたい。
カ、基地問題について。
米軍再編問題、普天間飛行場の代替施設の問題、沖縄国際大学への米軍ヘリの墜落事故、都市型戦闘訓練施設の問題等の解決に向けて日米両政府に要請活動を行いました。また、時として政府と対峙しなければならない難しい基地行政を執行しているのも周知のとおりであります。知事から見て、基地問題について国と米軍とはどういう対応をすべきだと思いますか、所見を伺いたい。
キ、日米地位協定の見直しについて。
県は、米軍基地の運用から派生する事件・事故や環境問題、米軍人・軍属等による犯罪から県民の生活と人権を守り、県民の福祉の向上を図るためには日米地位協定を見直す必要があると考え、日米両政府に対し11項目にわたる日米地位協定の見直しに関する要請活動を行っていることは周知のとおりであります。
要請活動を行っている中で政府と米軍の姿勢についてどう感じたか。今後、知事の日米地位協定の改定に対する所見を伺いたい。
2、市町村行政について。
(1)、合併市町の財政支援について。
合併は地域の郷土愛や連帯感、地域の誇りを持ちながらも時代の流れの中であえて合併に向かわざるを得ない苦渋の選択肢であったことは事実であると思います。
1999年3月末の時点で、全国で3232あった市町村が、平成19年1月29日には1815市町村になるということであります。減少率は43.8%であります。
本県でも53市町村が11市11町19村の41市町村となり、減少率は22.6%であります。
そこで次のことについて伺います。
ア、本県の合併した市町の財政諸表及び財政状況がどうなっているか伺いたい。
イ、特別に起債することを認めるなどの行財政上の優遇措置が盛り込まれたため合併ラッシュが起こったと言われているが、今後、優遇措置がどうなるのか伺いたい。
ウ、合併した市町は、地方交付税の削減が続くようだと、歳出カットなど自助努力しても財政の健全化は難しいのではないかと思う。そして合併してもメリットが少ないと感じている自治体も少なくないと思うが、今後、県として合併後の財政支援と市町村合併をどうするか伺いたい。
(2)、県から市町村への権限移譲について。
日常生活を営むのに欠かせない身近でみんなに共通した問題をその地域社会で暮らしている住民たちが、自分たち自身の意思や責任とによって力を合わせて解決していくというのが地方自治であります。その地方自治の観点から、国と都道府県や市町村との仕事や役割を見直し、今、国が持っている権限を県に、県が持っている権限を市町村に移していこうとするものであると思います。
そこで次のことについて伺いたいと思います。
ア、権限移譲数は最終的に幾つの事務数か。市町村との協議はどうなっているか。また、現在までの進捗状況を御説明願いたい。
イ、権限移譲に当たって財源措置と人的支援についてどう考えているのか伺いたい。
3、福祉行政について。
(1)、認知症対策について。
ア、本県での認知症高齢者が高齢者介護の主役になっている状況であると思いますが、認知症への対策がどうなっているのか伺いたい。
イ、厚生労働省の2005年の推計では、認知症の高齢者は約170万人と言われている。本県での徘回などのために介護負担が大きい動ける認知症高齢者の数字を把握しているかどうか伺いたい。
ウ、認知症高齢者を抱えている家庭の悩みは極めて深刻なものがあり、多大な犠牲を強いられていることは御承知のことだと思います。認知症高齢者は夜間徘回など問題も多いので、家庭での介護は家族に多大な犠牲を強いることになりますので、専用の施設について県の所見を伺いたい。
エ、団塊の世代が高齢者になる10年後には介護が必要な認知症の人は今よりも約80万人ふえ、2030年には高齢者の10人に1人の時代がやってくると言われている。今後、どういう取り組みで対応するのか伺いたい。
(2)、少子化問題について。
ア、少子化は、年金、医療、介護などの社会保障に大きな影響を及ぼすだけでなく、15歳から64歳までの生産年齢人口の減少にもかかわってくるが、企業誘致を推進している本県の所見を伺いたい。
イ、国は、1994年から1999年にかけてエンゼルプラン、2000年から2004年にかけて新エンゼルプランと少子化対策のいろいろな計画を実施したが、少子化傾向に歯どめがかからないのはどういうことが原因と思われるか伺いたい。
ウ、育児・介護休業法が改正され、国は少子化対策として子育ての環境の改善を図っております。2005年度県調査によると、パートタイム労働者に休業制度を適用している県内事業所は22.7%にとどまり、育児・介護休業どちらも未適用が48.1%に上るそうです。県内事業所も育児支援に努力すべきだと思うが、所見を伺いたい。
4、土木行政について。
(1)、高齢者・障害者用の県営住宅建設について。
ア、今までに建設された県営住宅で高齢者・障害者用の住宅が何戸あるか。また、割合について伺いたい。
イ、今後、高齢者は確実にふえます。高齢者・障害者用の県営住宅の建設状況と今後の対応策について所見を伺いたい。
5、教育行政について。
(1)、児童生徒の体力向上について。
ア、本県の児童生徒の体力・運動能力が全国平均のどういう位置にあるのか御説明を願います。
イ、転んで手を骨折、ちょっとつまずいて転んだだけで大けがをするといった昔では考えられないことが発生しておりますが、原因については運動不足か、それとも体力不足か、所見を伺いたい。
ウ、教育庁は学力向上を推進することはもちろんですが、体力向上運動も推進すべきだと思うが、所見を伺いたい。
エ、体力向上のためには車での送迎を控え、集団での登下校を奨励することも有効だと思います。集団登下校が実践できるのであれば児童生徒の体力向上が図られ、あわせて運動能力も向上すると思うが、所見を伺いたい。
(2)、児童生徒の校内暴力といじめについて。
ア、小学校、中学校、高校での校内暴力があるそうですが、本県の校内暴力の実態がどうなっているか御説明をお願いします。
イ、暴力はいじめと関連があると思います。暴力行為を早く見つけることがいじめをなくすことだと思いますが、暴力等のいじめで不登校になっている児童生徒数を把握しているかどうか、またその対応をしているのか伺いたい。
ウ、校内暴力といじめ対策の専門職員を配置する考えはないか伺いたい。
6、公安行政について。
(1)、家出少年・少女の問題について。
ア、新聞紙上等で家出少年補導件数174件、全国7位ということが報道されておりますが、実態は補導された件数以上の家出があると思います。家出の原因もいろいろあると思いますが、所見を伺いたい。
イ、家出中の少年は生活費を工面するために盗みをする。また、少女は児童買春や飲食店で働くなどの犯罪被害者になることが多いと言われています。家出の少年・少女に対し警察、学校、保護者が一体となった活動を強化する必要があると思うが、所見を伺いたい。
(2)、飲酒運転防止について。
ア、本県での飲酒事故が全国ワーストワンとなっているが、要因と対策について伺いたい。
イ、ひき逃げやスピード違反、飲酒事故などによる悲惨な事故に対応するため刑法を改正し、危険運転致死傷罪を新設した。昨年1月には最高刑が15年から20年の懲役に引き上げられた。それでも飲酒運転が一向に減少しないのは、危険運転致死傷罪という刑法がドライバーに浸透していないのも原因と思うが、所見を伺いたい。
○知事(稲嶺惠一) 新垣良俊議員の御質問にお答えいたします。
最初は、さらなる企業誘致に向けた今後の施策についてお答えいたします。
企業誘致については、これまで賃貸工場や情報関連企業の受け入れ施設の整備を進めてきました。あわせて、沖縄―本土間の通信回線の無償提供を初め、コールセンター要員やIT高度人材育成など、投資環境の整備を図ってきたところであります。さらに、私自身も企業誘致セミナーを初め、あらゆる機会を活用してトップセールスに努めてまいりました。
このような取り組みにより、私が知事に就任以来、平成18年9月現在で情報通信関連では100社、製造業等では23社の計123社が立地し、約1万人の雇用を創出しております。今後は、情報通信関連ではデータセンターやコンテンツ、ソフトウエア開発分野の企業の立地を進め、また製造業等においては高付加価値型の先端技術企業やバイオ関連企業等の立地を促進することが重要であると考えております。
このため、情報通信関連では、より高度なIT人材を育成するとともに、国際的な情報通信網を整備し、また製造業関連では、先端技術やバイオ技術等を担う高度な人材の育成や物流環境の改善など、投資環境の改善に取り組むことが必要であります。
次に、県の財政健全化策についてお答えいたします。
国、地方を取り巻く厳しい財政状況の中、本県の財政状況は県税や地方交付税などの歳入の大幅な増が期待できない反面、歳出においては、公債費等の義務的経費の割合が高い水準で続くことが見込まれており、極めて厳しい状況にあります。
このため、徴収率の向上による県税収入の確保、職員数の適正化、事務事業の見直しによる歳出の抑制などの財政健全化策をことし3月に作成した「沖縄県行財政改革プラン」に反映させ、財政健全化に向けた取り組みを一層加速させております。
また、義務的経費・政策的事業についても、その必要性について改めて検討し、制度の改正や事業の廃止を含めて徹底した見直しを行ってまいります。
さらに、経常的な事務経費についてもさらなる節減・合理化に努めるなど、職員一人一人が意識して取り組んでまいります。
県としては、県政の重要課題に的確に対応するため、全職員一丸となって財政健全化を進め、効果的で持続可能な行財政運営に努めてまいります。
次に、基地問題の国、米軍との対応についての御質問にお答えいたします。
県としては、日米安全保障体制は我が国及び極東における国際の平和と安定の維持に寄与していると理解しており、我が国に所在する米軍基地が重要な役割を果たし、沖縄がその根幹を担ってきたと認識しております。
県としては、日米安全保障条約を基軸とする日本の安全保障体制を維持するための負担は全国民がひとしく負うべきものであると考えております。県民が過重な基地負担を負っている沖縄県の知事として、県益を守るため、基地負担の軽減を日米両政府に求めることは当然の責務であり、時には政府と見解を異にする状況もありました。
日米安全保障体制が安定的に維持されるためには、沖縄の政治的・社会的・経済的安定が必要であり、そのためには県民の目に見える形での基地負担の軽減が図られなければならないと考えております。
次に、日米地位協定の見直しについての御質問にお答えします。
県は、平成12年8月に日米両政府に対し、11項目にわたる日米地位協定の抜本的見直しを要請し、外交責任を負う政府はもとより、地方公共団体、国民一人一人がみずからの問題として受けとめていただくようあらゆる機会を通じて訴えてまいりました。平成15年には全国行動プランを策定し、渉外知事会の協力を得て働きかけた結果、33都道府県議会で意見書が採択されております。
渉外知事会を通しても、平成17年2月及び7月に政府に対して地位協定見直しを要望しました。平成17年12月には渉外知事会主催により政党関係者や有識者を交えたシンポジウムを開催し、日米地位協定の見直しを訴えております。本年7月28日にも渉外知事会として外務大臣や防衛庁長官に対し、重点要望の一つとして日米地位協定の見直しを求めたところであります。
このように、日米地位協定の見直しについては、本県の取り組みにより全国的な動きにすることができたと考えております。しかしながら、米軍再編の最終合意の中で、日米地位協定の見直しについて何ら触れられておらず、また政府は、日米地位協定については、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとしており、政府の姿勢を変えるには至っておらず、実現には厳しい状況があります。
県としては、政府を動かすためには、より多くの国会議員や国民の皆様に地位協定の問題を十分御理解いただくとともに、その改正の必要性を認識いただき、協力を得ることが大変重要であると考えております。
米軍基地をめぐる諸問題の解決を図るためには、日米地位協定を抜本的に見直すことが必要であり、今後さらに力を尽くしていきたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係部長等より答弁させます。
○観光商工部長(宜名真盛男) まず、人材育成の成果と今後についての御質問にお答えをいたします。
県におきましては、自立型経済の構築に向け産業人材の育成を主要な施策と位置づけ、産学官連携のもと、多様な産業人材の育成に努めております。
具体的には、コールセンター人材育成事業、IT高度人材育成事業、観光産業人材育成事業、企業経営の中核を担う高度経営人材育成・確保事業、国内外の先進企業等への派遣研修を行う戦略産業人材育成事業やグローバルベンチャースピリット人材育成事業等を実施しております。
その成果として、例えば情報通信関連では、知事就任後、100社の誘致と約9500人の新規雇用の創出とともに、観光・リゾート産業等の発展に寄与しております。
今後、沖縄が自立に向け持続的に発展していくためには、産業、福祉・医療、学術・文化等各分野を担う高度で多様な人材の育成が不可欠であり、とりわけ産業人材の育成については、自立的経済の根幹をなす産業振興のかなめとなることから、各分野、各レベルに応じた人材育成が必要と考えております。
次に、雇用機会の創出・拡大についてであります。
本県においては、雇用の場の創出を図るため、本県の地域特性を生かした観光・リゾート産業や健康バイオ関連産業などの振興や雇用効果の高い情報通信関連企業等の誘致に努めております。
観光・リゾート産業については、国際的な質の高い観光地の形成に向け各方面の人材の育成に強力に取り組むほか、引き続き体験滞在型観光の推進、リゾートウエディングなど付加価値の高い観光商品の拡充、エステやスパなど多彩な観光メニューの充実を図り、雇用の拡大につなげてまいります。
地場産業の振興については、産学官の連携による新製品の開発や品質向上に関する研究開発を支援するとともに、泡盛、健康食品など県産品の販路拡大、中小企業の経営革新等を支援し、地場産業の活性化を図っております。
また、すぐれたビジネスプランや事業化シーズの発掘から創業、成長軌道に至るまでの一貫した支援を強化し、新事業の創出とベンチャー企業の育成に努めております。
雇用効果の高い企業誘致については、既存建物を有効活用したIT施設や賃貸工場等の受け皿施設の整備、高度で多様な人材の育成、通信コストの低減化支援などの投資環境の整備を図りつつ、積極的な企業誘致活動を展開しております。
また、創出された雇用機会を就職に結びつけるために、特に雇用情勢の厳しい若年者対策として沖縄県キャリアセンターを設置し、一貫した就職支援を行うとともに、職業能力開発校や民間の教育機関を活用した多様な職業訓練を行い、企業のニーズに対応した人材の育成に努めております。
さらに、今年度は地方自治体、地元経済界、国の出先機関等により「沖縄県地域雇用戦略会議」を開催しており、関係機関が一体となって雇用の改善に取り組んでおります。
次に、県内事業所の育児支援についてであります。
育児・介護休業法が改正され、平成17年4月からはパートタイム労働者であっても一定の条件が満たされる場合は育児・介護休業が認められるようになりました。
県の調査で、パートタイム労働者へ育児・介護休業制度がない、あるいは適用されない企業が約6割を占める結果が出ております。
そのため、県では、育児・介護休業制度の周知や企業における仕事と子育ての両立を図るため、「仕事と家庭を考える月間」講演会を開催するとともに、21世紀職業財団が実施する事業所内託児施設の設置・運営への助成金など、育児・介護関連の各種助成制度等の周知に努めております。
また、子育てにおいて育児休業の取得は重要であります。県では育児休業取得を推進するため、育児休業期間中の生活資金として沖縄県育児・介護休業者生活資金制度を設けております。
今後とも、これら施策の実施及び各種助成制度等の周知に努めてまいります。
以上でございます。
○農林水産部長(国吉秀治) それでは農林水産業における人材の育成についてお答えいたします。
本県の地域特性を生かした活力ある農林水産業の振興を図るためには、魅力ある農林水産業経営の確立とそれを担う担い手の育成確保が重要であります。
平成17年度までの実績としましては、農業部門において、青年農業士151人、指導農業士201人、生活指導士99人、林業・水産部門においては、林業普及指導協力員15人、林業指導林家10人、漁業士72人などを認定・育成しております。
現在、担い手育成の施策・事業として、1、農業大学校における実践的な教育、2、就農サポート事業による就農希望者を対象とした基礎技術の取得支援、3、制度資金の貸し付け、4、農業士、指導林家、漁業士の認定による地域リーダーの育成などを推進しているところであります。
今後とも、市町村、関係団体、学校関係機関との連携を強化し、経営感覚にすぐれた担い手の育成確保に努めてまいります。
以上でございます。
○企画部長(上原良幸) 次期振興計画に向けた取り組みについてお答えいたします。
県においては、現在、振興計画前期の検証を行い、後期の重点課題を検討しているところであります。
また、社会経済情勢の変化を踏まえて、中長期的な視点に立った新たな沖縄振興のビジョンが必要であると考えております。
さらに、今後予想される基地跡地対策についても、県土構造の再編を視野に入れた都市づくりと産業の振興が課題となることから、必要な制度や主要プロジェクトについて検討を進める必要があります。
このような検討を通じて、現在の振興計画が終了した後の長期ビジョンのあり方についても検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、合併市町の財政状況についてお答えいたします。
平成17年度の市町村決算については、現在、取りまとめ中ではありますが、現段階における合併した4市町の主な財政指標を県内市町村平均と比較しますと、経常収支比率の県内平均が91.9%であるのに対し、うるま市は90.7%で県内平均よりも低い状況にあります。また、宮古島市は98.9%、南城市は97.0%、八重瀬町は97.0%と県内平均よりも高い状況にあります。 財政力指数については、うるま市以外は県内平均よりも低い状況にあり、起債制限比率については宮古島市、八重瀬町が県内平均よりも高く、厳しい財政状況となっております。
平成18年度当初予算編成においては、各団体とも退職者不補充や各種手当の削減、補助金の整理合理化等により経費節減に努めるなど、引き続き行財政改革に取り組んでいるところであります。
同じく、今後の優遇措置及び合併後の財政支援と市町村合併について一括してお答えいたします。
旧合併特例法下での合併市町に対しては、国の支援策としまして、まちづくりのための建設事業等に充てられる合併特例債や普通交付税額の算定の特例、合併後における行政の一体化の経費に対する普通交付税及び合併を機に行われる新たなまちづくり等の経費に対する特別交付税等による財政措置が講じられております。
また、平成17年3月31日までに県知事に対し合併の申請を行い、平成18年3月31日までに合併した市町に対する合併市町村補助金については、平成18年度から補助の対象となっております。
県の支援策としましては、新市・町建設計画における県関係事業の重点的な実施と、同計画に基づき事業の支援を行う市町村合併支援交付金の交付等がなされております。
これらの優遇措置については、今後とも引き続き同様な支援策が講じられる予定となっております。
県としましては、合併新法下においても人的・財政的支援を行うこと等により、引き続き自主的な市町村合併を推進していきたいと考えております。
以上であります。
○総務部長(上原 昭) 市町村への権限移譲の進捗状況と支援措置について一括してお答えいたします。
県としては、知事の権限に属する事務のうち、市町村で行うことが望ましいとされる事務については積極的に市町村へ権限を移譲し、市町村が自主的・自立的に地域づくりに取り組むことができるよう支援していきたいと考えております。
平成13年8月に「県と市町村の事務分担に関する連絡調整協議会」を設置し、同協議会において「市町村への事務移譲に係る基本方針」を策定し、権限移譲に取り組んできました。平成18年4月現在、175の事務について権限移譲しておりますが、その事務の数は全国と比べて低い状況にあります。
県としては、今年度中に市町村への権限移譲が可能な事務の選定を行い、権限移譲の推進に関する指針を策定し、より積極的に権限移譲を推進することとしています。
当該指針には、市町村での事務処理に必要な経費を権限移譲交付金として交付することを定めるほか、移譲される事務について研修が必要な場合、計画的に研修を実施することなどの財政的・人的支援措置を盛り込むこととしております。
○福祉保健部長(喜友名朝春) 本県での認知症対策及び今後の取り組みについて一括してお答えします。
厚生労働省の推計によると、認知症高齢者は2005年には169万人でしたが、2030年には353万人となり、65歳以上人口に占める割合が10.2%になると見込まれています。
本県においても同様に認知症高齢者の増加が想定されます。そのため、認知症になってもできる限りその人らしく、安心して暮らし続けられる環境の整備を目指していくことが重要であると認識しています。
平成18年度から平成20年度を計画期間とする「沖縄県高齢者保健福祉計画」においては、認知症について正しく理解するための啓発や相談体制の整備、早期発見・早期対応体制の整備、権利擁護・虐待防止の推進、認知症介護の質の向上、家族に対する支援などの施策に市町村と連携して取り組むこととしています。
次に、本県での動ける認知症高齢者の人数についてお答えします。
本県における認知症高齢者数は、平成18年3月31日現在、介護保険の要支援・要介護認定者3万7705人のうち2万937人、約56%が介護を要する程度の認知症の症状があると判定されております。
なお、認知症があり、行動に難のある高齢者の人数については把握をしておりません。
次に、介護専用施設に係る県の所見についてお答えします。
認知症高齢者に対する介護サービスは、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設等の居住系サービス及び訪問介護、通所介護等の居宅サービス全般において提供されております。
これらのうち、認知症高齢者の介護を専門に行うサービスとして、認知症高齢者グループホームが31カ所、認知症対応型デイサービスが21カ所あります。
県としましては、認知症高齢者の介護の充実を図るため、介護保険事業支援計画に基づき、市町村と連携し、さらに整備を促進してまいります。
また、県内には老人性認知症治療病棟10カ所、老人性認知症デイケア13カ所で専門的治療を行っております。
県では、2カ所の専門医療機関に委託し、市町村担当職員等に対する研修事業等を実施するとともに、各福祉保健所や県立総合精神保健福祉センターにおいても相談支援を行うなど、認知症の早期治療や関係機関の連携体制の強化にも取り組んでいるところであります。
次に、少子化の影響についてお答えします。
国立社会保障・人口問題研究所の都道府県の将来推計人口の平成14年度3月版によると、全国の生産年齢人口は既に減少に転じていますが、本県は平成17年度の88万2000人から平成22年には89万8000人と増加し、平成27年から減少に転じると予測しております。
生産年齢人口が減少すると、経済活力の低下、年金・医療・福祉等社会保障費用の現役世代の負担の増大など、将来に大きな影響を及ぼすことが懸念されております。
国においては、本年6月の少子化社会対策会議において、「子ども・子育て応援プラン」の着実な推進に合わせ、新たな子育て支援策、働き方の改革に係る諸施策を決定しております。
県としては、国の新たな子育て支援策の動向も踏まえ、「おきなわ子ども・子育て応援プラン」に掲げられた各種子育て支援事業を着実に実施し、安心して子供を産み育てやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
次に、少子化に歯どめがかからない原因についてお答えします。
国を初め、各地方公共団体においては少子化対策に取り組んできたものの、さまざまな社会の変化に対して対策が十分に追いついておらず、少子化に歯どめがかからない状況にあります。
少子化の要因としては、結婚観や家族観の大きな変化に伴う晩婚化・未婚化の進行や夫婦の出生力の低下等が指摘されております。その社会的背景として、子育てと仕事の両立に対して女性に負担が集中し、その見直しが進んでいないこと、子育て支援サービスが十分に行き渡っている状況になっていないこと、若者が社会的に自立することが難しい社会状況にあり、家庭を築くのが難しいこと等があります。
以上でございます。
○土木建築部長(首里勇治) それでは続きまして、高齢者・障害者用の県営住宅についてお答えします。
平成3年度に公営住宅の建設基準が改正された以降の県営住宅では、室内床の段差解消、階段手すりの設置等バリアフリー化を実施しております。その結果、去る3月末現在、県営住宅131団地1万7137戸のうち、39団地4177戸においてバリアフリー化を実施しており、その割合は24.4%となっております。
また、同様に平成3年度からは入居者の状況を考慮して25団地で98戸の車いす用住宅を整備済みであります。
続きまして、建設状況と今後の対応についてお答えいたします。
県では、平成8年度からこれまで沖縄県住宅マスタープランに基づき、長寿社会に対応した公営住宅等の供給を図ってまいりました。現在、建設中の県営住宅では段差の解消、手すりの設置及び廊下幅の確保を図る等、バリアフリーの住宅整備を行っております。
今後は、今年度策定予定の住生活基本法に基づく住宅マスタープランにおいて、高齢者や障害者に配慮したバリアフリーの公営住宅の整備、改善等を一層推進していくことにしております。
以上でございます。
○教育長(仲宗根用英) それでは児童生徒の体力・運動能力についてお答えします。
平成16年度の新体力テスト調査によりますと、児童生徒の体力・運動能力は、全国と比較して筋力や柔軟性は小学6年生と中学3年生男子において上回っていますが、その他の持久力、敏捷性等は全国平均を下回っております。
新体力テスト8種目の学年別全国平均を50とした場合、小学校6年生48.2、中学校3年生48.4、高校3年生46.8となっており、いずれの学年においても全国平均を下回っております。
次に、子供のけがの原因についてお答えします。
近年、本県児童生徒の食生活の現状は、朝食欠食や偏食により、タンパク質、カルシウム、鉄分等が不足し、発育・発達への影響が懸念されます。
また、日常生活において身体を使っての遊びなど基本的な運動の機会が著しく減少していることが体力や運動能力を低下させているものと思われます。これらのことがささいなことでもバランスを崩し、転んだだけでけがや骨折につながる原因になっているものと思われます。
次に、体力向上の推進についてお答えします。
県教育委員会では、生きる力を身につけることを重視し、知・徳・体の調和のとれた人間の育成を目指して学校教育の推進に努めているところであります。とりわけ、健康、体力については、心身ともに健康でたくましく生きる体力の向上と、生涯を通じて運動に親しむ態度の育成が必要であります。昭和42年の「体力・運動能力調査」によると、児童生徒の体力は、実施以来、低下傾向にあります。
県教育委員会としましては、児童生徒の体力の低下傾向に歯どめをかけ、当面、全国平均に達することを目標に施策を推進しているところであります。
具体的には、「沖縄県体力向上推進委員会」において、学校、家庭、地域で取り組めるアクションプランを提示し、児童生徒の体力向上を推進していくこととしております。
また、学校においては、「校内体力向上推進委員会」を設置するなど、家庭、地域と連携して児童生徒の体力向上が図られております。
次に、集団登下校についてお答えします。
平成17年度の生活実態調査によると、児童生徒の徒歩による登校の状況は、昭和53年度と比較して小学生が95%から72%へ、中学生が87%から61%へ、高校生が50%から16%へと大幅に減少しています。
徒歩による登下校は、足腰の筋肉を強め、血液の循環をよくし、心肺機能を高めるなどの効果があり、体力や運動能力の向上に有効であると言われております。
県教育委員会としては、児童生徒の登下校時の安全確保が大きな社会問題となっていることから、徒歩による集団登下校については、安全面や地域の実情等も考慮しながら、PTAや関係団体等と連携を図り、取り組んでいく必要があると考えております。
次に、校内暴力の実態についてお答えします。
平成17年度の県教育委員会の調査によると、校内暴力は小学校59件、中学校326件、高等学校52件、合計437件であります。前年度と比較しますと、小学校と高等学校では減少しておりますが、中学校では22件増加しております。
全国との比較においては、発生件数は全国が261件ふえ0.9%の増、本県は7件ふえて1.6%の増となっております。
特徴としましては、全国では小学校の対教師暴力が、本県では中学校の生徒間暴力の増加が見られます。
次に、暴力、いじめ対策及び専門職員の配置等について一括してお答えします。
平成17年度の調査によると、いじめ、けんか等友人関係をめぐる問題で不登校となっている児童生徒は、小学校で6人、中学校で54人、計60人であります。
県教育委員会としては、いじめ等で不登校の児童生徒に対しスクールカウンセラーや巡回教育相談員を配置し、相談活動や学習支援を行っております。
また、問題行動のある生徒に対してはやる気支援コーディネーターを配置し、立ち直らせるための支援を行っております。
今後とも、各学校の状況に適切に対応できるよう生徒指導体制の充実に努めてまいります。
次に、家出対策等についてお答えします。
本県の児童生徒の家出など問題行動の背景には、夜型社会の弊害、規範意識の低下、基本的な生活習慣の未確立等が挙げられます。
家庭においては、教育の原点は家庭教育にあるとの観点に立ち、子供のしつけや基本的な生活習慣の確立を図り、心のよりどころとなる温かみのある家庭づくりが大切であると考えます。
学校においては、PTAや関係機関と連携し、児童生徒の居場所となる学校づくりの取り組みが必要であります。
県教育委員会としては、家庭教育支援のための家庭教育支援会議や問題行動のある児童生徒を立ち直らせるためのやる気支援事業、警察と連携した安全学習支援隊事業等を実施し、児童生徒の問題行動の未然防止に努めております。
今後とも、学校、家庭、地域が一体となって県民ぐるみの運動を展開し、児童生徒の健全育成に努めてまいりたいと思います。
以上であります。
○警察本部長(大平 修) 家出の実態、原因についてお答えします。
警察の街頭補導活動で家出により発見・保護された少年は、平成14年の446人をピークに年々減少し、昨年は174人で前年と比べてマイナス41人、本年も8月末現在で77人と前年同期に比べてマイナス41人と減少傾向が続いております。
しかしながら、昨年中の家出による補導人員を全国対比で見てみますと、少年人口1000人当たりで全国平均の約2.7倍、全国7位と高くなっております。
また、昨年中、家出人捜索願の届け出のあった少年は601人で、うち発見・保護が確認された少年は565人となっており、実態は極めて深刻な状態であると考えております。
家出の主な原因といたしましては、誘惑や生活の乱れ等に起因するものが全体の27%、親子間不和等の家庭関係が全体の27%、学校嫌い等学業関係が全体の22%などとなっております。
その要因としましては、少年自身の規範意識の低下、保護者の監護能力の低下、有害情報のはんらん等少年を取り巻く環境の悪化等があると考えられます。
なお、家出の前兆とも言える無断外泊による補導人員も昨年中395人と全国平均の約8倍で全国2位となっており、看過できない状況にあります。
次に、警察の対策についてお答えします。
昨年、家出中に刑法犯で検挙・補導された少年は93人で、うち72人が窃盗犯で検挙・補導されております。
また、家出により補導された少年174人のうち女子は88人とほぼ半数を占め、うち10人が青少年保護育成条例違反や児童買春等の被害者となっています。
警察といたしましては、学校、地域と連携し、家出少年の早期発見・保護活動はもとより、家出の防止対策として、深夜徘回や無断外泊等家出の前兆となる不良行為の早期発見・保護活動、非行防止教室の開催による少年の規範意識の高揚活動、少年及び保護者に対する相談活動、有害環境の取り締まり等を強化しているほか、再発防止対策として、少年サポートチームによる立ち直り支援活動等を強力に推進しているところであります。
今後とも学校、地域と連携し、少年の健全育成環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、本県での飲酒事故が全国ワーストワンとなっている原因と対策についてお答えします。
本県における昨年中の飲酒絡みの交通人身事故は263件発生し、全人身事故の4%を占め、また飲酒絡みの交通死亡事故は18件発生し、全死亡事故の30%を占めております。いずれも全国平均の約3倍と高い比率を示しております。
ちなみに、人身事故は平成2年から16年連続ワーストワン、死亡事故は平成7年から11年連続ワーストワンであります。
なお、本年8月末現在の飲酒絡みの交通人身事故は167件で全人身事故の3.7%、死亡事故は11件で全死亡事故の23.4%と依然として飲酒絡みの交通事故が高い比率で推移しております。
その飲酒事故ワーストワンとなっている要因についてでありますが、飲酒運転をした者からの聞き取り調査によりますと、その理由について、自分は大丈夫、警察に捕まらないと思ったなどが大半を占めているほか、最初から飲みに車を運転して行ったという極めて悪質な者もおりました。
このように飲酒運転に対するモラルが希薄で、飲酒運転は犯罪であるとの認識がいまだ浸透していないことが挙げられます。
また、本県は夜型社会と言われ、いわゆる深夜飲食店が人口比で見ると全国の2.1倍あるなど、酒類を提供する店が多いことにも見られるように、飲酒の機会が多く、その影響もあって飲酒に対する寛容さがうかがわれることもその背景にあるのではないかと考えられます。
県警察としましては、このような実態を踏まえ、危険な飲酒運転を道路交通の場から排除するための防止対策として、警察官を大量動員しての一斉検問やスポット検問など交通指導取り締まり、飲酒場所の大半を占める居酒屋等飲食店対策として、車のかぎ預かり措置を初めとする飲酒運転をさせないさまざまな取り組みに対する支援、飲酒運転で検挙されることの多い20代から30代の若者に対する意識啓発を図るための取り組み、飲酒運転の危険性を体験させる交通安全教育、飲酒運転撲滅に向けた広報・啓発活動等を強力に推進しているところであります。
県警察としては、今後とも引き続き飲酒運転の取り締まりを強化するとともに、飲酒運転をした者だけではなく、状況によって同乗者や飲酒をともにした者、酒類を提供した者についてもその責任について捜査を強化することとしております。
しかしながら、警察の取り組みだけでは飲酒運転や飲酒絡みの事故を減らすには限界があります。県民一人一人が飲酒運転の怖さ、悲惨さを自分自身の問題として受けとめ、飲酒運転をしない、させない、飲酒運転は犯罪であるとの意識が広く県民に浸透することが重要であります。そのためには、社会全体が一丸となって飲酒運転撲滅のための環境づくりをする必要があり、自治体や関係機関・団体、事業所及び地域社会が一体になった県民総ぐるみの取り組みを推進していく必要があると考えております。
次に、危険運転致死傷罪がドライバーに浸透していないのも一つの要因ではないかということについてお答えします。
平成13年12月25日、危険運転致死傷罪が施行されて以降、県警察では同法を開設した広報資料用パンフレット等を作成し、広く県民に広報・啓発を実施するとともに、運転免許の更新時講習や各種交通安全講習会等を講じて一般ドライバーへの浸透を図ってきたところであり、必ずしも危険運転致死傷罪が浸透していないとは考えておりませんが、御指摘も踏まえ、飲酒運転の危険性についてさらに広報・啓発活動を強化してまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(仲里利信) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程はこれで終了いたしました。
次会は、明29日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時50分散会