○議長(仲里利信) これより本日の会議を開きます。
日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
糸洲朝則君。
〔糸洲朝則君登壇〕
○糸洲 朝則 おはようございます。
公明党・県民会議を代表して質問を行います。
その前に、あいた口がふさがらないというか、のど元過ぎれば熱さ忘れるというか、まさにこの言葉が当てはまるような、最近の米軍の言う再発防止、綱紀粛正とはまさにこの程度のものでしょうかと、そういう感をいたしております。
さきの女子中学生暴行事件を受け海兵隊は、14・15日の両日、日常わきまえなければならない規範を身につけるための全隊員対象の倫理教育を行ったばかりでございます。その直後に起きた沖縄市での酒酔い運転と名護市での住居侵入、さらにはにせ札偽造、フィリピン人女性への暴行と、米軍はたるんでいるとしか言いようがありません。
19日に起きた我が国イージス艦と漁船との衝突事故によって、本土マスコミ報道の視点は徐々に沖縄から離れつつあることを懸念いたしますが、私たちは一段と声を大きくして沖縄の基地の現実を訴え続けていかなければならないと実感をしております。
このことをまず冒頭に強く主張し、質問に入らせていただきます。
1点目に、平和行政についてであります。
沖縄平和賞は、世界平和を希求する我が県の姿勢を示すものとして多くの県民の期待を受けて発足いたしました。設立の背景にはこうあります。
「沖縄県民は、この悲惨な戦争体験と27年間にも及ぶ米軍施政下の歴史を通して、平和の尊さを肌身で感じており、戦争の悲劇を再び繰り返してはならないと堅く誓い、平和の実現を強く求めてきました。 世界では、今なお地域紛争が後を絶たず、貧困、難民、民族、宗教問題等多くの課題があり、これらを解決するためには、世界の人々が相互理解に努め、協力していくことが大切です。 私たちは、沖縄平和賞の賞を創設し、賞の運営を通じて平和への思いを全国に広げていくとともに、九州・沖縄サミット首脳会合で発信した平和を希求する「沖縄の心」を引き続き世界に発信し、恒久平和の創造に貢献したいと念願しています。」と。
この理念のもと沖縄平和賞は創設され、これまでに2002年にペシャワール会、2004年に国際医療援助団体「AMDA」、そして2006年に「沖縄・ラオス国口唇口蓋裂患者支援センター」の3者に賞が贈られてきました。
今後のさらなる取り組みを拡充し、アジア・太平洋地域に沖縄平和賞ネットワークを確立し、この賞の理念をさらに昇華させ、世界に誇る県民参加型の賞として育てたいとの観点から、以下の質問をいたします。
(1)、平和発信という我が県のとうとい使命を具体化する沖縄平和賞の一層の充実を図るべきだと考えます。沖縄平和賞に対する知事の所見を伺います。
(2)、平和の意識を持って沖縄を訪れる県外の人たちにも平和賞のことをもっと知っていただく必要があると思うが、平和祈念資料館に平和賞のコーナーを設置したらどうか。
(3)、県民参加型の賞としていくために、何らかの形で平和に対する県民の気持ちを具体化する必要があると考える。例えば県民参加型の平和賞基金を創設したらどうでしょうか。
(4)、2年に一度の受賞時だけでなく、常日ごろから県民の意識の中に賞に対する関心を高めることが重要だと思います。日常的な県民の意識啓発を図るためのシンポジウムや出前講座を開催したらどうか。
(5)、受賞者の平和に対する思いを県民に語りかけてほしいと感じます。
そこで、提案でございます。受賞者による県議会での演説を提案をいたします。
(6)、次に、我が県の不発弾処理の問題について伺います。
「鉄の暴風」とも形容される沖縄戦では、日米の戦闘でおよそ20万トンの弾薬が使用されたと言われております。そのうち約5%に当たる1万トンが不発弾とされています。陸上自衛隊のとうとい処理作業によって今日までに約7000トン以上が処理されてきましたが、いまだ2400トンが地中に眠り、毎年30トンのペースで処理を行ってもその完全処理には80年以上かかるとされております。1974年には幼稚園児ら4人を巻き込む痛ましい事故を引き起こしておりますし、また処理や避難に伴う経済的損失や住民の心労もはかり知れないものがあります。
不発弾処理の加速化及び最終処分等について伺います。
イ、不発弾の処理業務は本来国の責任で行うべきであり、自治体が2分の1を負担するのは全く理解できません。処理費の国における全額負担と処理のスピードアップを図るため、予算増額を国に強く求めるよう主張いたします。知事の所見を伺います。
ロ、ロンドン条約の規制強化に伴い、最終処分に当たってこれまで海上投棄されてきたものが、民間委託による最終処分になるが、危険の伴う最終処分業務を民間委託されることに疑問を感じます。なぜ民間委託なのか、いつから委託されるのか、受け皿はあるのか。今後の展開等について御説明を願います。
ハ、最終処分に参入し、その収益を難病支援に役立てたいというNPO法人もあるが、県として何らかの支援はできないか伺います。
2、米軍再編問題。
米海兵隊の連続不祥事は、米軍再編にも暗い影を投げかけております。
沖縄の負担軽減の象徴である普天間飛行場の移設は、1995年の少女暴行事件に端を発した復帰後最大規模の島ぐるみ闘争の中でSACOが設置され、合意された整理・統合・縮小計画の最大テーマなのであります。あの少女暴行事件から今年で13年になります。沖縄国際大学構内へのヘリ墜落からは4年目です。
知事が求めるV字案の沖合修正に対し、日米両政府はかたくなな態度のままであり、移設作業は依然として出口の見えないトンネルの中という状態ですが、県民の多くは一日も早い普天間基地の危険性の除去を望んでおります。
そこで伺います。
(1)、普天間飛行場の一日も早い危険性除去が求められる。3年以内の閉鎖状態という知事公約の見通しはどうか。
(2)、辺野古移設について、知事の現在の基本的立場は。また、V字滑走路案の沖合修正をどう実現させるか。
(3)、辺野古移設と嘉手納以南の返還はリンクするのか。
(4)、嘉手納以南の返還跡地の開発については、11月議会でも取り上げましたが、返還跡地の開発は新たな法律や制度のもとでの計画策定が重要であるとの認識で再度伺います。
3、建設・土木関係について伺います。
建設・土木関連及び県内のインフラ整備について質問いたします。
(1)、全県での電線地中化が急がれております。現在の取り組み状況、または課題について。
(2)、モノレールと路面電車を含む鉄軌道導入の見通しは。県の今後の方針等について伺います。
(3)、建築基準法改正により着工前の審査が必要以上に厳格化され、確認業務が滞っております。早急な対策が急がれると思うが、以下の事項について御説明を求めます。
イ、行政機関及び適合判定員は、確認審査の厳格化に対し過剰なまでに反応し、適正化を逸脱しているとの声があるがどうか。
ロ、行政機関及び適合判定員は、確認審査の基準を必要最低限の基準として明確化し、指導するべきだと思うがどうか。
ハ、行政機関及び適合判定員は、社会経済的影響を考慮し、迅速な審査をするべきだと思うがどうか。いわゆる「望ましい」等の記述に対する方針決定は、構造設計者の裁量権に存すると考えるがどうか。
ニ、適合性の判定は、建築基準法、施行令、告示、通達等、具体的明文化されている項目に対してのみ確認すればよいのであって、個人的な設計思想を強要するべきではないと思うが、県の考えはどうか伺います。
4、観光振興について伺います。
我が県経済のリーディング産業である観光産業が好調に推移しています。
昨年の入域観光客は前年比4.1%増の約587万人を記録し、米同時多発テロの影響で落ち込んだ2001年の翌年の2002年以来、6年連続で過去最高を更新しております。牽引力となっているのは海外からの観光客で、前年比約87%増の17万4600人を記録、これは沸騰する東アジア経済を背景に来るべき大交流時代を予感させるものであります。
こうした中、県内の大手旅行社では、右ハンドルになれるための4カ国語運転シミュレーターを日本で初めて導入するなど、画期的な試みも始まっています。
我が県の観光は、ハード・ソフトの両面で課題が山積していますが、課題山積の中でこれだけ好調というのは、換言すれば、課題を一つ一つ克服していけば大きな可能性が開けてくるということであります。
以上の視点で、質問を行います。
(1)、政府の観光庁設置にあわせて県はどのような対応をとるのか。
(2)、那覇空港滑走路増設の具体的見通しは。
(3)、新国際線ターミナル開設の見通しは。
(4)、クルーズ船専用バースの整備に向けた進捗状況は。
(5)、台湾、韓国、香港、中国など東アジア客誘致に向けての具体的取り組みは。
(6)、中国人に対するノービザについては消極的な意見もあるが、知事の見解は。
(7)、花と緑のアイランド構想について。
観光先進地であるハワイやシンガポールを訪れた方々が、異口同音にこう指摘されています。那覇空港から都心部までいわば沖縄の顔なのに、ハワイやシンガポールと比べてなぜあんなにも殺風景なのかと。温暖な気候を生かし、年じゅう花と緑で沖縄を埋め尽くす花と緑のアイランド構想を提唱します。
例えば、横断陸橋等の構造物はブーゲンビリア、壁面緑化や屋上緑化も進め、久茂地川や国場川等の河川沿いには桜並木やサガリバナ、イッペイ並木等、街路樹を初めとする植樹の拡充や、学校教育の中での植栽教育実習、地域、企業、県民挙げての年間100万本植樹運動の展開を柱とし、地域ごとに特色ある花と緑のアイランド構想を策定してはどうか。
この植樹運動は、観光資源としてのみならず、環境保護、環境教育として大きく育てることにもつながります。グリーンベルト運動の指導者でノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイ博士は、グリーンベルト運動を通して女性のエンパワーメント、いわゆる能力開花が進んだことなどを踏まえ、木を植えることは命を植えることであり、未来と平和をはぐくむことにほかならないと言われております。
古代インドで、釈尊が緑の木々を植えることの重要性を説いたことや、戦争を放棄し、慈悲の政治を行ったアショカ大王が街路樹の植樹など環境保護政策を進めたことなど、植樹運動の重要性をかいま見る思いがいたします。
花と緑のアイランドを目指し、県が音頭をとり、市町村が地域を巻き込んだ草の根植樹運動を展開していってはどうでしょうか、伺います。
5、保健・医療・福祉。
(1)、久米島で食物アレルギーの患者と家族を受け入れるツアー商品が企画されております。今後、食物アレルギーだけでなく、難病や障害者などが安心して来沖できるバリアフリー観光の充実が求められますが、県の取り組みは。
(2)、薬害肝炎救済特措法が成立をいたしました。県内における被害者の現状について御説明を願います。
(3)、難病支援センターの利用状況について御説明の上、今後の展望を伺います。また、さらなる拡充が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
(4)、医師不足の抜本策について示していただきたい。
(5)、自衛隊や海上保安庁と任務を補完し合うドクターヘリの導入が急がれるが、現状と今後の対応について伺います。
6、女性政策。
公明党は、女性の一生をトータルにサポートする女性の一生サポートプランを検討しております。これまで我が党は、女性専門外来の設置を推進してきましたが、まだ男性と女性の違いによる性差医療は進んでいないのが実態であります。
また、こういう話があります。
あるヨーロッパ在住の日本人女性が出産のために現地の病院に行ったところ、医師から、あなたが生まれてからこれまでに受けた予防接種や病歴、治療歴の記録を見せてくださいと求められたそうです。その国では、一人一人が生まれてから自分の健康に関する記録を一冊の手帳として持っていて、病気やけがのときは当然ですが、特に妊娠・出産のときにはその情報を見ながら医療を受けるというのです。
そこで、公明党は、現在、政府に対し、女性の生涯にわたる健康を守るために女性の健康パスポートの発行を求めております。また、仕事と生活を調和させることは人間として豊かな生き方ができる社会づくりの基本にもなります。家族団らんの時間もでき、子供たちの心身ともに健全な成長のためにも不可欠です。
その観点から、公明党は今、政府に対し、仕事と生活の調和推進基本法の制定を求めております。女性の一生をトータルでサポートしていくことが今ほど求められるときはありません。
そこで伺います。
(1)、女性専門外来の設置状況、女性医師の確保と復職支援が必要だと思うがどうか。
(2)、子宮頸がん検診の推進や予防ワクチンの承認、普及状況は。また、マンモグラフィー検診の普及状況について。
(3)、更年期障害への理解促進が必要だと思うが、県の取り組みについて伺います。
7、教育について伺います。
昨年実施された全国学力テストは、我が県の教育界のみならず、多くの県民に衝撃を与えました。
復帰後、県内の教育現場のほとんどの皆さんは、学力の向上に向けて献身的に取り組んでこられたことは私どもも十分承知いたしております。しかし、現実には残念ながら全国基準にあっては、我が県の子供たちの学力不足は否めないのが実態であります。折しも、政府においてはこれまでのゆとり教育の弊害が指摘され、初めて脱ゆとり教育が掲げられたわけであります。
かつて我が国には、全国津々浦々に寺子屋が存在し、読み、書き、そろばんの基礎学習が徹底して行われたわけであります。当時、我が国の識字率は世界最高レベルにあったと言われています。ところが、戦後教育は学級崩壊など深刻な課題を突きつけております。
今こそ我が国は、国家のための教育という発想を捨て、教育のための教育という理念に立ち返り、自立心と公共心に富んだ人材群の輩出に向け、国を挙げて取り組むべきときを迎えています。そのリード役を果たさなければならないのが、世界に誇るべき平和の心と万国津梁の精神を持った沖縄なのであります。
このような決意から、以下の質問をいたします。
(1)、深刻な状況にある我が県小中学生の学力向上に向けて、県を挙げた取り組みが迫られているが、県の取り組みについて伺います。
(2)、国のいじめ対策緊急支援総合事業に対し、県の対応について伺います。
イ、学校問題解決支援事業、ロ、いじめ未然防止に向けた社会性育成事業、ハ、子供たちによるいじめ根絶運動支援事業について御説明願います。
(3)、沖縄科学技術大学院大学の設置に伴い、子弟教育のために設置されているインターナショナルスクールの概要及び取り組みについて伺います。
8、地上デジタル放送について伺います。
地上デジタル放送への完全移行まで3年半になりました。
地デジ移行は、テレビ放送にとって白黒からカラーへの移行以上の大変革と言われております。音声や画像の質的向上はもちろんですが、それ以上に遠隔医療や教育、災害情報などさまざまな分野での活用が期待されるところです。しかし、離島の難視聴問題や、テレビやチューナーの買いかえに伴う負担、さらには要らなくなったテレビのリサイクルなど、今後クリアすべき課題は多く残されています。
そこで伺いますが、(1)、2011年7月の地デジ完全移行に伴う難視聴問題の解消やユーザーの負担について伺います。
イ、先島地域のデジタル化について、ロ、南北大島のデジタル化と難視聴解消について、ハ、テレビの買いかえやチューナー購入の負担について、ニ、アナログテレビのリサイクル化について、ホ、公営住宅におけるデジタル化対策について御説明をいただきたいと思います。
9、離島振興について伺います。
(1)、離島苦の解消にはさまざまな問題があります。中でも、親元を離れて勉学に励む高校生にとって経済負担の軽減や教育環境の整備は重要であります。離島から本島の高校に進学する高校生のための寮を整備すべきだと考えておりますがいかがでしょうか。
(2)、廃棄物の処理とリサイクルの促進について。
一般及び産業廃棄物の処理とリサイクルの促進について、現状及び課題、今後の取り組みについて御説明を願いたいと思います。
(3)、銀行の支店や出張所のない離島にとって、住宅ローンやその他の支払いをわざわざ那覇など銀行の支店や出張所のある場所まで出向かなければならない不便さは、時間と費用の負担を余儀なくされております。
ここにも離島の格差を感じるわけでございます。よって地元の郵便局から銀行口座へ入金できるシステムの設置について伺いますが、現状とそして今後の将来展望について御説明を願いたいと思います。
以上、代表質問とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
○知事(仲井眞弘多) おはようございます。
糸洲議員の御質問にお答えいたします。
まず第1に、平和行政の中で、沖縄平和賞についての御質問にお答えいたします。
さきの大戦で悲惨な地上戦を体験しました沖縄県民は、命と平和のとうとさを肌身で感じております。世界の恒久平和は、沖縄県民が心から望んでいるものと承知いたしております。
沖縄平和賞は、このような平和を求める県民の心を世界に発信するために創設され、理念として、アジア・太平洋地域における平和・非暴力の実現や貧困、飢餓、環境等の問題の解決及び音楽・スポーツなどの交流を通した平和的友好関係の構築などの促進を掲げ、これまでに3回の贈賞を行ってまいりました。
県内から初受賞されました沖縄ラオス国口唇口蓋裂患者支援センターは、県民からいただいた賞金を見える形で活用したいとして、ラオス国に口唇口蓋裂患者のための手術施設を建設するとともに、ラオス国から沖縄への留学支援に使用するとのことでございます。受賞後もラオス国との友好発展に資する活動を継続いたしております。
今後とも、沖縄平和賞が世界の賞となるようにしっかりと取り組み、沖縄の歴史と風土の中で培われた平和を何よりも大切にする沖縄の心を世界に発信し、人類普遍の平和の創造の確立に努めてまいります。
次に、米軍再編問題の中で、普天間飛行場の3年めどの閉鎖状態の見通しについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
去る2月7日に開催されました第6回協議会で、私は政府に対し、3年めどの閉鎖状態の実現などにつきまして、前向きかつ確実に取り組むよう求めたところであり、今後とも機会あるごとに主張してまいりたいと考えております。
同じく米軍再編問題に関連いたしまして、知事の基本的立場と沖合移動についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
普天間飛行場移設問題につきまして地元の意向や環境などに十分配慮し、政府と協議を行い、確実な解決を図ることが私の公約であり、基本的な方針でもあります。
このため、これまでの協議会におきましても、代替施設は可能な限り沖合へ移動することや、現在の普天間飛行場の危険性を早期に除去し、騒音の軽減を図るなどの3年めどの閉鎖状態の実現について政府に強く求めているところでございます。
普天間飛行場の移設に当たり、地元の理解と協力が不可欠であることは当然のことであり、地元の意向が反映されないままでは事業の円滑な実施に支障を来すことになると考えております。
今後とも、政府と協議を重ね、移設問題の解決に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、同じく米軍再編に関連いたしまして、返還跡地開発に係る新たな法制度等に関する御質問にお答えいたします。
嘉手納飛行場より南の施設・区域の返還につきましては、本島中南部都市圏における大規模な返還であります。事業実施について、財源の確保や実施体制をどうするか等の課題がございます。
そのため、県としましては、現行の枠組みの継続はもちろんのこと、新たな制度の検討も含め、きめ細かな対応を政府へ求めていく考えでございます。
次に、建設・土木関係の御質問の中で、電線類地中化事業の現在の取り組み状況についてお答えいたします。
電線類地中化事業は、「電線共同溝の整備等に関する特別措置法」に基づき、安全で快適な通行空間の確保、都市景観の向上、安定したライフラインの確保などを目的に事業を推進いたしております。
現在の取り組み状況としましては、平成16年度を初年度とする「無電柱化推進計画」により、平成20年度までに約37キロメートルの整備を進めているところでございます。
整備上の課題としましては、特に安全の確保が重要であることから使用する資材が耐震性・耐久性を要するなど特殊であります。1キロメートルの整備費用がおよそ5億円を要すること、また整備費用につきましては、沖縄電力、NTTなどの電線管理者にも多額の負担が生じることなどが課題となっております。
今後、電線類地中化の整備促進を図るためには、国、県、関係市町村等の道路管理者と電線管理者で構成する「沖縄ブロック電線類地中化協議会」において、おおむね5カ年の整備計画を策定する必要があることから、平成21年度から始まる新たな整備計画の中で整備促進を図っていく考えでございます。
次に、観光振興に関する御質問の中で、中国人に対するノービザについての御質問にお答えいたします。
中国に関しましては、ビザ発給の要件緩和が進んでおります。これまでの団体旅行に加え、本年3月からは家族旅行も可能となる予定となっております。
県といたしましては、中国は有望な旅行市場でもあると考えており、マーケティングに基づく効果的なプロモーション戦略を展開していくことといたしております。
今後とも、中国人観光客に対するビザ発給の要件緩和等が促進されるよう、関係機関と連携を密にして国に対し働きかけてまいりたいと考えております。
次に、保健医療の中で、医師不足の抜本策についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
全国的な医師不足に対し、国は医師の養成の推進、研修医の都市への集中の是正のための臨床研修病院の定員の見直し、病院勤務医の過重労働を解消するための診療報酬の見直しなど、制度的な面での取り組みを行っております。
県におきましては、昨年3月に取りまとめられました「沖縄県医師確保対策検討委員会」の報告を踏まえ、平成19年度から新たに離島・へき地ドクターバンク等支援事業を実施し、全国から必要な専門医の確保を進めるとともに、医師修学資金等貸与事業や離島医療セミナー事業を実施いたしております。さらに、女性医師の再就業の支援や勤務環境の改善などを図り、中長期的な医師確保につなげていきたいと考えております。
次に、教育関係の御質問の中で、インターナショナルスクールの概要に係る御質問にお答えいたします。
インターナショナルスクールにつきましては、昨年6月に設置しました「インターナショナルスクールのあり方検討委員会」におきまして、沖縄県に設置する場合の望ましいあり方について検討を進めております。
同委員会では、外国人の子弟を対象としたインターナショナルスクールを単独で設置する場合、県民子弟を主体としたイマージョン教育を行う一般の学校とインターナショナルスクールを併設して設置する場合など、設置形態別に経費や運営面の課題、教育水準などを総合的に検討し、望ましいあり方につきまして今年度中に取りまとめることといたしております。
次に、地上デジタル放送に関する御質問にお答えいたします。
先島地区の地上デジタル放送につきましては、NHK及び民放3社とも来年3月までに放送開始できるよう関係機関と連携をして取り組んでまいります。
なお、QABにつきましては、総務省の補助制度の対象外であることから、県単独補助により支援してまいる考えでございます。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させます。
○文化環境部長(知念建次) 平和行政との関連で、平和祈念資料館に平和賞コーナーを設置することについてお答えいたします。
平和祈念資料館には、平成12年4月の開館から平成19年12月末までに国内外から321万9037人が訪れ、修学旅行や平和学習等に活用されております。
平和祈念資料館に沖縄平和賞のコーナーを設置することにより、多くの入館者の方々に沖縄平和賞の周知を図ることができると考えます。
また、資料館の「全世界の人々に沖縄の平和を求める心を訴え、もって恒久平和の樹立に寄与する」との理念と、平和賞の「アジア・太平洋地域の平和の実現の促進」等の理念とが重なり合い、より強く平和を発信することができることから、御提案については前向きに検討していきたいと考えております。
次に、県民参加型の平和賞基金についてお答えいたします。
沖縄平和賞委員会では、沖縄平和賞を推進するため平成15年4月に沖縄平和賞基金を設置しています。また、委員会では、同基金の財源を確保するため沖縄平和賞支援募金を実施しています。
同募金は、独自の財源確保、沖縄平和賞の周知、並びに募金を通して沖縄平和賞に参加している意識を醸成し、県民参加型の顕彰制度として継続実施するという目的を達成するため、県内外の個人・法人等を対象に実施しているものです。
募金の使途として、受賞者への賞金や授賞式、または関連事業の財源に充てることとしておりますが、当面は賞金1000万円の確保を目標に年間500万円の募金を目指しております。
今後とも募金活動を強化し、沖縄平和賞基金の充実に努めたいと考えております。
次に、県民への意識啓発を図ることについてお答えいたします。
沖縄平和賞の周知・広報のために、これまでに「沖縄平和賞記念シンポジウム」、「沖縄平和賞記念コンサート」、「沖縄平和賞パネル展」、「出前講座」、「沖縄平和賞支援募金」等を行ってまいりました。また、企業等を訪問して沖縄平和賞の趣旨等を説明し、募金を通して沖縄平和賞への参加をお願いしております。
授賞式のある年には「受賞者記念講演会」、「平和の折り鶴キャンペーン」等を行ってまいりました。「平和の折り鶴キャンペーン」では、全小中学生に対して沖縄平和賞の理念を載せた折り紙を配布し、平和への思いをメッセージにし、折り鶴の製作をお願いしております。
沖縄平和賞が県民の平和賞として定着するよう今後さらに創意工夫を図りながら、積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、沖縄平和賞受賞者による県議会演説についてお答えいたします。
過去に沖縄平和賞を受賞された団体においては、受賞後さらに国際貢献活動を広げ、県民からの高い支持を得ているものと考えております。今後、受賞される団体または個人においても、賞金等を有効に活用するなどして、県民からの賞にふさわしい活動をしていただけるものと期待しております。
御提案の沖縄平和賞受賞者による県議会演説については、関係者との調整も必要なことから、どのような形で行うかも含めて今後十分検討していきたいと考えております。
次に、地上デジタル放送との関連で、アナログテレビのリサイクル化についてお答えいたします。
使用済みテレビのリサイクルは、特定家庭用機器再商品化法、いわゆる家電リサイクル法に基づき、小売業者等が県内2カ所に設置された指定引取場所へ収集運搬し、併設された再商品化施設においてメーカーから委託された事業者によりリサイクルされております。
国においては、地上デジタル化に伴うテレビの排出増に対する取り組みとして、排出状況を注視しながら、2011年に向け適宜処理能力を検討し対応することとしております。
本県におきましても、今後、地上デジタル化に伴いアナログテレビが多量に排出されると予想されますので、国の取り組みや家電メーカーの動向等に関する情報を収集しながら、家電リサイクル法の一層の普及啓発を図り、その適正な処理及び資源の有効な利用を促進していきたいと考えております。
次に、離島振興との関連で、廃棄物の処理とリサイクルの促進についてお答えいたします。
本県離島地域の廃棄物処理については広域的処理が難しく、単独で廃棄物処理を行わなければならないことから、県においては、国、市町村と調整し、交付金制度を活用して一般廃棄物処理施設の整備を促進しております。その結果、焼却施設17カ所、最終処分場11カ所、再生利用施設10カ所と整備が進んできております。
一般廃棄物のリサイクルについては、市町村においてペットボトル、ガラス瓶等の分別収集の強化を図り、リサイクル率の向上に取り組んでいるところであります。
産業廃棄物につきましては、排出事業者により廃棄物処理法に基づく許可を取得した処分業者に委託して処理されておりますが、処分業者がいない離島においては、沖縄本島等の処分業者に委託処理しております。
また、産業廃棄物のリサイクルについては、産業廃棄物税を活用し、事業者等が実施する産業廃棄物の排出抑制、リサイクルのための施設整備、研究開発に対する助成制度を行い、その推進を図っているところであります。
以上でございます。
○知事公室長(上原 昭) 不発弾処理費の国による全額負担と予算の増額についての御質問にお答えします。
不発弾の処理費用につきましては、市町村が負担した経費の2分の1は特別交付税で措置されるものの、残りの2分の1は地元の負担となっております。
県は、こうした不発弾の処理に必要な経費については戦後処理の一環として全額国庫で負担し、迅速な処理が図られるよう引き続き国に働きかけていきたいと考えております。
次に、最終処分業務の今後の展開とNPOの参入支援について一括してお答えいたします。
国は、不発弾等の海洋投棄が平成19年4月1日から禁止されたため、これにかわって陸上処理を実施することとし、去る1月17日に一般競争入札を実施しております。
当該入札には、不発弾等を適法に処理できる専門技術者や専用施設を有する3社が参加し、そのうち1社が当該業務を受託することになったと聞いております。
国は、入札結果に基づいて契約を締結し、全国規模で当該業務を遂行することにしており、NPO等の特定の団体に参加資格を限定することは公平性・透明性、競争の原理の観点からも適当ではないとしております。
次に、普天間飛行場の移設と嘉手納飛行場より南の施設・区域の返還についてお答えします。
2005年に発表された米軍再編の中間報告の中では、「これらの具体案は、統一的なパッケージの要素となるものであり、パッケージ全体について合意され次第、実施が開始されるものである。」としております。
これについて当時の額賀防衛庁長官は、一つでも欠けたら、この考え方が着手されないとの発想ではない。負担の軽減と同時に抑止力の維持というバランスを失することがないようにしておくということであるとの発言をしており、負担軽減と抑止力のバランスを図って米軍再編を進めることを示したものと理解しております。
県としては、合意された米軍再編のうち、実施可能なものから先に進展していくべきものであると考えております。
以上でございます。
○企画部長(上原良幸) 建設・土木関係の御質問で、モノレールと路面電車を含む鉄軌道の導入検討についての御質問にお答えいたします。
県では、20年から30年後を見据えた長期ビジョンを策定し、その中で将来の県土構造のあり方についても方向性を示していくこととしております。その際、体系的な交通ネットワークの構築を図る観点から、モノレールや路面電車を含む軌道系システムの導入についても検討していきたいと考えております。
観光振興の御質問で、那覇空港滑走路増設の具体的見通しについてお答えいたします。
那覇空港については、去る1月31日にこれまでの調査結果やPIで寄せられた県民等の意見を踏まえ、国から滑走路増設に向けた構想段階への移行が示されたところであります。
構想段階では、整備主体である国とPIに参画する沖縄県で構成する那覇空港構想段階検討協議会(仮称)を設置し、総合的な調査で提示した複数案を基本に詳細な検討を行い、1案に絞り込むことになります。
来年度早期には国が主体となって詳細検討に着手し、秋ごろをめどに1案に絞り込み、国と県が連携してPIを実施することになります。その後、具体的な施設配置を検討する施設計画段階へ移行し、事業採択された後、環境アセス等の手続に入っていくことになります。
本県としては、那覇空港の滑走路増設等の拡張整備が早期に実現するよう引き続き国と連携し、全力で取り組んでまいります。
同じく那覇空港国際線ターミナルの開設の見通しについてお答えいたします。
国においては、現在、ことしの夏を目途にターミナル地域の抜本的な整備に向けた基本計画を策定中であり、国際線旅客ターミナルの整備についてもその中で検討を進めているところであります。
県としましては、引き続き国やターミナルビル会社等と連携し、その早期整備が図られるよう取り組んでまいります。
次に、地上デジタル放送に関する御質問で、南北大東島のデジタル化と難視聴解消についてお答えいたします。
南北大東地区では、平成8・9年度にテレビ放送を、平成18年度にはラジオ放送の難視聴解消を図ってきたところであります。
同地区のテレビ放送については、東京都が小笠原諸島向けに衛星を使用して放送している番組を南大東島で受信し放送しているところであります。
一方、同地区における地上デジタル放送移行に向け、県では、今年度、伝送手段、既存施設の活用等について調査を実施しております。
また、国は、アナログ放送終了までに地上デジタル放送が受信できない地域に対し、暫定・緊急避難的措置として、東京キー局の番組を衛星により再送信するセーフティーネットについて検討を始めております。
県としましては、引き続き国、東京都の動向、情報通信技術の進展も勘案し、関係機関と連携を図りながら検討してまいりたいと考えております。
同じく地上デジタル放送との関連で、テレビの買いかえやチューナー購入の負担についてお答えいたします。
昨年8月に公表された情報通信審議会の第4次中間答申によると、地上デジタル放送対応テレビやチューナー等の受信機器については、自己負担により購入されることを原則としております。
一方、国は、経済的な困窮度が高いためにデジタル放送が視聴できなくなるような場合を想定し、支援対象者や支援範囲を厳密に限定した上で、支援の具体策を2008年8月までに検討し公表することとしております。
県としましては、国の支援策等を踏まえ、今後、市町村、関係機関等と連携を図りながら、円滑に地上デジタル放送へ移行できるよう取り組んでまいります。
次に、離島振興との関連で、郵便局から銀行口座へ入金できるシステムの設置についてお答えいたします。
郵便局においては、株式会社ゆうちょ銀行の委託により郵政民営化後もこれまでと同様の金融サービスが提供されております。
ゆうちょ銀行と民間金融機関の決済システムは、現在のところ一部の銀行等を除き振り込みができない仕組みとなっておりますが、最近、全国銀行協会がゆうちょ銀行に対し、銀行間の決済業務を行う全国銀行データ通信システムへの接続を認める方針を固め、来年1月にも実現の見通しであるとの報道がなされております。
接続が実現すれば、ゆうちょ銀行と他の金融機関との間で相互に振り込みが可能となり、郵便局以外に金融機関のない離島・過疎地域における金融サービスの向上が期待されます。
なお、ゆうちょ銀行那覇支店に金融機関との提携状況を確認したところ、現在、県内では労働金庫との間で振り込みができるほか、その他の銀行等との間ではATMでの入出金などが可能とのことであります。
以上であります。
○土木建築部長(首里勇治) それでは建設・土木関係関連の御質問で、適正化を逸脱しているとの声があることについてお答えいたします。
改正建築基準法施行直後においては、設計者側、審査側双方において新たな制度へのふなれ等から審査の滞りが生じていましたが、国による軽微な変更等の範囲拡大等の円滑化に向けた対応が示されたことにより、大きく改善されたものと考えております。また、これまでの審査において、適正化を逸脱するような審査はなかったと聞いております。
次に、確認審査に際しての指導についてお答えいたします。
建築確認や構造計算適合性判定の審査に当たっては、新たに定められた審査指針によって審査すべき事項等が明確化されましたので、その審査指針に基づき審査を行うこととなっております。
次に、迅速審査について及び「望ましい」設計方法等の記述への対応についてお答えいたします。
改正基準法施行後、確認申請の停滞が長期化したことから、早急に確認申請等がなされるよう建築士等への周知を図るための説明会等を実施してきたところであり、審査側においては迅速な審査に努めてきたところであります。
また、建築物の構造関係技術基準等におけるいわゆる「望ましい」設計方法等については、基本的には設計者の判断にゆだねるべきものと考えております。このことについては、国から指定構造計算適合性判定機関等に対して通知がなされているところであり、周知されているものと考えております。
次に、適合性判定のあり方についてお答えいたします。
構造計算適合性判定の審査に際しましては、法令等具体的に明文化された審査指針に基づき適正に審査がなされているものと考えております。
次に、観光振興関連の御質問で、クルーズ船専用バースの整備についてお答えいたします。
質の高い観光・リゾート地の形成を図ることを目的に、沖縄と国内外を結ぶクルーズ船の寄港・就航を促進するため、旅客船ターミナル等の港湾施設の整備を進めることが沖縄振興計画に位置づけられております。このことから、那覇港、石垣港、本部港については、クルーズ船が寄港・就航できるよう整備を進めるとともに、平良港については港湾計画に位置づけるよう取り組んでおります。
那覇港につきましては、国が平成18年度から大型クルーズ船に対応する専用岸壁の整備事業に着手しており、平成19年11月に起工式を行い、現在、岸壁の地盤改良工事、取りつけ護岸改良工事に着手しており、平成21年春に岸壁と港湾施設用地、臨港道路若狭1号線を暫定供用すると聞いております。
次に、地上デジタル放送関連の御質問で、公営住宅におけるデジタル化対策についてお答えいたします。
新築の県営住宅につきましては、平成18年度から地上デジタル放送に対応した整備を行っております。それ以前に建設された団地につきましては、今年度からデジタル受信設備の設置工事を進めており、平成23年度のアナログ放送終了までにはすべての団地の整備を完了させる予定であります。
なお、市町村営住宅につきましては、地域住宅交付金での対応が可能である旨を周知し、円滑な対応が図られるよう指導しております。
以上でございます。
○観光商工部長(仲田秀光) 観光振興の御質問の中で、政府の観光庁設置と県の対応についてお答えします。
国は、観光立国推進基本法に基づく「観光立国推進基本計画」を昨年6月に策定し、観光立国を総合的かつ計画的に推進するため、国土交通省の外局として観光庁の設置を本年10月に予定しているところであります。そして、国は観光立国の実現に向け、地方公共団体や民間の観光地づくりの取り組みを強力に支援していく方向を示しています。
このような国の動きは、観光・リゾート産業をリーディング産業として振興している本県にとっては歓迎すべきものと考えています。
県としましては、今後より一層国と連携して観光施策を積極的に取り組んでいきたいと考えております。
次に、台湾、韓国、香港、中国等東アジア客誘致の具体的取り組みについてお答えします。
沖縄県では、台湾、韓国、中国、香港を海外誘客重点地域と位置づけ、これまで国際旅行博覧会への出展、マスコミ招聘や現地旅行社の招聘などのほか、航空路線拡充に向けた航空会社、政府関係機関等へ働きかけ、チャーター便やクルーズ船の誘致促進に取り組んでまいりました。
その結果、平成19年の外国人観光客数は、台湾からの定期クルーズ船の再開や、香港、台湾、韓国からのチャーター便の増加などにより、対前年比86.9%増の17万4600人となっております。今後、香港からの定期便就航も予定されております。
平成20年度においては、台湾、韓国、中国、香港におけるマーケット調査を実施して、沖縄の観光資源を活用した効果的なプロモーション戦略を構築することとしております。
次に、花と緑による新たな魅力づくりについてお答えします。
観光客の皆様が立ち寄る主要な観光地、ホテル、空港等において、美しい花と緑を楽しんでいただくことを目的として、毎年1月から5月までの期間、「沖縄花のカーニバル」が開催されております。
また、めんそーれ沖縄県民運動では、「フラワーアイランドの推進」を運動目標に掲げ、花と緑豊かな観光地づくりに向けた取り組みとして、県民参加の植樹活動や緑化教室を開催しております。
県といたしましては、御提言の趣旨を踏まえ、市町村、関係機関等と連携を図りながら、沖縄観光のさらなる魅力向上に取り組んでまいりたいと考えています。
次に、保健・医療・福祉の関係の御質問の中で、観光バリアフリーの取り組みについてお答えします。
県は、だれもが楽しめる優しい観光地づくりを目指し、平成16年度から3年間、観光バリアフリー化推進事業を実施して、情報サイトの構築や観光事業者と関係団体のネットワーク化などに取り組んでまいりました。
当該事業の成果を踏まえ、県は昨年、NPO法人バリアフリーネットワーク会議に対し、那覇空港ターミナルビルと国際通りのてんぶす那覇における「バリアフリーツアーセンター」開設の支援を行ったところであります。
当センターにおいては、人工透析患者の旅行受け入れに係る県内病院との連携体制の整備、障害の程度に応じた旅行プランの提供、介助等現地でのサポート役を担う観光ケアサポーターの育成など、障害者が安心して楽しめる旅行環境の整備に取り組んでおります。
県としましては、今後とも当センターの活動を支援していくとともに、関係団体等と連携し、ハード・ソフト両面での観光バリアフリー化の促進に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○福祉保健部長(伊波輝美) 保健・医療・福祉の項目の中の、薬害肝炎の県内における被害者の現状についての質問にお答えいたします。
「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」は、出産や手術での大量出血などの際に特定フィブリノゲン製剤や血液凝固第Ⅸ因子製剤を投与されたことによってC型肝炎ウイルスに感染された方々に給付金を支給し、早期一律救済を図るため平成20年1月16日に公布・施行されています。
同製剤を投与されたことによりC型肝炎の症状に応じて給付金を支給することになっていますが、給付金の支給を受けるためには、国と同製剤の製造・輸入販売した企業を被告として訴訟を提起して、裁判所が製剤投与の事実等を判断し、和解した後、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が給付金を支給することになっております。
厚生労働省は、フィブリノゲン製剤が納入された医療機関が患者に対してフィブリノゲン製剤を投与したのは全国で8896人と発表しております。
薬害肝炎訴訟九州弁護団によりますと、県内で裁判所に提訴しているのが10人で、そのうち和解している患者は8人と聞いております。
なお、県では1月31日まで本県で患者等から相談を受けた人数は2281人ですが、相談内容で最も多いのは肝炎検査が必要か、また肝炎検査はどこで受けられるのか、次いで過去に出産や手術等をしたが大丈夫か、それから肝炎検査の費用についてなどの質問となっております。
続きまして、難病支援センターの利用状況及び拡充についてにお答えいたします。
沖縄県難病相談・支援センターは、平成17年度NPO法人アンビシャスに委託し設置しております。
その相談件数は、平成17年度365件、平成18年度は747件と大幅に増加しております。平成18年度の相談件数のうち、患者自身による相談件数は501件、家族からは92件、その他の方から154件となっております。
その相談内容については、患者自身からの相談では、就労支援についての相談が135件と一番多く、次いで患者会の紹介依頼が94件となっております。
家族からの相談では、病気に関することが20件、患者会の紹介依頼が16件等となっております。
沖縄県難病相談・支援センターでは、病気の相談はもとより、難病就労支援モデル事業を実施するなど、難病患者の就労支援や雇用拡大に努めているところであります。
また、同じ疾患で悩む患者や家族が情報交換などを行うことにより、相互で支え合うことを目的にした患者会の設立支援及びその育成に努めているところでございます。
続きまして、ドクターヘリの導入についてにお答えいたします。
県が平成20年度から実施予定の救急医療用ヘリコプター活用事業では、救命救急センターの医師が救急医療用ヘリコプター、いわゆるドクターヘリに搭乗して救急現場に行き、治療を行いながら速やかに病院に搬送することを目的にしております。
また、現在、自衛隊や海上保安庁が行っている急患空輸について、昼間の沖縄本島周辺離島で発生した重症患者に関しましては、救急医療用ヘリコプターを活用することにより、病院収容までの時間短縮を図ることにしております。
県においては、救急医療用ヘリコプターの導入により、救命率の向上と後遺症の軽減を図り、離島・僻地の県民が安心して暮らせるよう努めていきたいと考えております。
続きまして、女性政策の、女性医師の確保と復職支援についてにお答えいたします。
県では、女性医師の復職支援として離島・へき地ドクターバンク等支援事業において、女性医師の再就業に関する相談窓口を設置しております。また、県医師会等の関係機関と連携して、女性医師の勤務環境の改善や再就業の際の研修プログラムの構築に取り組み、医師確保につなげていきたいと考えております。
続きまして、子宮がん検診及びマンモグラフィー検診の実施状況についてにお答えいたします。
市町村や職場では、子宮がん検診やマンモグラフィー検診を推進しており、そのうち県で把握が可能な市町村の状況について御説明いたします。
まず、子宮がん検診については、平成17年度は全市町村で実施され、受診率は15.9%となっております。また、子宮がんの発症にはヒトパピローマウイルスが関係するとされております。しかし、国は子宮がん検診でのウイルス感染検査が死亡率の減少につながるか検証が必要としており、現在、実施されてはおりません。
次に、乳がん検診については、従来の診察による方法を含めますと平成17年度で全市町村が実施し、受診率は15.4%となっております。そのうち、マンモグラフィー検診は平成16年度は33市町村で実施され、受診率は2.7%でしたが、平成17年度は36市町村で実施され、受診率も7%へ増加しております。
続きまして、更年期障害の普及啓発についてにお答えいたします。
女性の健康づくりの中で、更年期障害の課題への取り組みは重要であると考えております。
更年期障害は、適切な医療や相談を受けることにより改善されることもありますので、正しい知識と理解を深める必要があります。このため、市町村及び保健所では更年期障害を含む女性特有の健康状況に応じた健康教育等を行っております。
今後は、今年度創設された3月1日から8日までの「女性の健康週間」において、女性の健康に関する知識や女性を取り巻く健康課題について普及啓発していきたいと考えております。
以上でございます。
○病院事業局長(知念 清) 県立病院における女性専門外来の設置状況についての御質問についてお答えします。
県立病院への女性専門外来の設置については、県立病院の女性医師に対してその可能性等についてアンケート調査を行いました。その結果、現在の業務が多忙であること、また女性外来になじまない診療科を担当している医師も多いことから、女性専門外来を新たに担当することは厳しいとの意見が大半でありました。
このようなことから、現状では厳しいものがあると考えております。
なお、現在、県立病院においては、女性患者が女性医師の診察を希望する場合は、可能な限りその希望に沿うよう努めているところであります。
○教育長(仲村守和) それでは教育についての御質問で、学力向上の取り組みについてお答えいたします。
全国学力・学習状況調査の分析結果から、本県の児童生徒は基本的な生活習慣の確立や基礎学力の定着、学習意欲などに課題があるものと考えております。
県教育委員会といたしましては、これらの課題の改善を図るために有識者で構成する「沖縄県検証改善委員会」を設置し、確かな学力の向上を目指して学校改善支援プランを策定しました。
学力の向上に向けては、授業改善が最も重要であるという提言を受け、わかる授業をつくるポイントや学習を支える力の重点事項など、授業改善のヒント集を全公立学校へ配布したところであります。
今後は、第2、第3の学校改善支援プランとして「家庭学習のてびき」や「授業実践事例集」を発行する予定であります。本プランを参考に、各市町村教育委員会や各学校においても独自の学校改善プランを作成し、具体的な対策が講じられるよう指導の徹底を図っていきたいと考えております。
また、沖縄県学力向上フォーラムを開催し、児童生徒一人一人に確かな学力をはぐくむための機運を醸成するとともに、学校、家庭、地域が連携・協力した県民総ぐるみの取り組みを推進してまいりたいと考えております。
次に、いじめ対策緊急支援総合事業について一括してお答えいたします。
いじめ対策緊急支援総合事業は、学校問題解決支援事業やいじめ未然防止に向けた社会性育成事業、子どもたちによる「いじめ根絶運動」支援事業の3つの取り組みを推進する事業であります。
まず、学校問題解決支援事業は、学校では解決困難ないじめ等の問題を解決するために、専門家等の協力を得て、教育委員会や学校による適切な対応を効果的に支援する方策等について調査研究を行う事業で、全国で6地域が指定されます。
次に、いじめ未然防止に向けた社会性育成事業は、小学校において、異年齢交流などによる児童の社会性をはぐくむことを通していじめの未然防止を図る事業です。
また、子どもたちによる「いじめ根絶運動」支援事業は、中学校及び高等学校において、生徒自身によるいじめ根絶運動など主体的な活動により、いじめの未然防止を図る事業です。両事業とも全国で30地域の指定となっております。
県教育委員会といたしましては、国に対して当該事業の本県への導入を積極的に働きかけてまいります。
次に、離島振興についての御質問で、離島出身生徒のために寮を整備することについてお答えいたします。
離島出身の生徒が安心して学習や生活ができるよう支援することは大切なことであると考えております。現在、県立高等学校11校に寄宿舎を設置し、離島出身の生徒の入寮を優先した配慮を行っており、255人の離島出身の生徒が入寮しております。
また、名護市には北部市町村で構成された北部合同寄宿舎運営協議会が運営する寄宿舎が設置されております。
県教育委員会といたしましては、寄宿舎の空き状況等を勘案し、他の学校に通学する離島出身者でも入寮できるシステムづくりを関係高等学校と調整しているところであります。
以上でございます。
○上原 章 おはようございます。
糸洲議員に引き続き、公明党・県民会議を代表して質問を行います。
初めに、基地問題についてお尋ねします。
行政が守るべきものは、県民の命です。
2月10日に発生した米軍人による少女暴行事件は、女性の尊厳を踏みにじる人間として断じて許されない蛮行であり、当局には断固とした対応を求めます。
また、その後の酒酔い運転、住居侵入、女性への暴行事件と相次ぐ米兵の逮捕は、これまでの米軍による綱紀粛正、教育プログラムが実効性に乏しく、極めて不十分であることを示しています。
1995年の少女暴行事件以降、米軍人・軍属による同等の事件は14回発生し、その都度、厳重な抗議と再発防止を求めてきたが、ことごとく裏切られてきました。今回の事件で日米両政府はこれまでにない対応を見せていますが、具体的にどのような対策、取り組みをするのか、実効性は本当にあるのか、県民にはどう示すのか。県は、両政府に対し、このような事件・事故は二度と起こさせないとの強い姿勢と地位協定の見直しを含めた抜本的対策を求める必要があると考えます。
そこで質問です。
1、少女暴行事件は断じて許されない行為であり、県、教育庁、県警には二度と起こさせない強い姿勢が求められています。対応を伺います。
2、米軍の綱紀粛正、再発防止及び教育プログラムの内容を県民に示す必要があると考えるが、対応を伺います。
3、知事の公約でもある日米地位協定の抜本的見直しは、県民の命、人権を守るため加速させる必要があると思うが、取り組みを伺います。
4、米軍航空機騒音被害の公平補償問題の解決はどうなっているか伺います。
平成15年からスタートしたモニタリング事業は18年度で終了し、その結果をもとに今後の対応を検討すると聞いています。進捗状況をお聞かせください。
5、旧軍飛行場用地問題解決に向けての取り組み状況、見通しを伺います。
地主会の皆さんも高齢化し、一日も早い解決を求めています。県は関係市町村と連携し、国に働きかけるとしていますが、振興計画もあと4年、解決に向けて取り組みを加速させる必要があると思うが、対応をお聞かせください。
次に、産業振興についてお尋ねします。
日本経済センターは、このほど2020年までの経済実力を示す潜在成長率の推計値で、沖縄県は都道府県別の第5位と発表しました。所得水準が全国一低い沖縄がなぜ第5位なのか。その理由として、全国と比較して人口増加率が高く、若年労働力の豊富さを挙げています。しかし、この数字はあくまでも潜在的成長率、可能性であって、今後、本県がどのような産業振興、雇用政策に取り組むかで実現できるものと考えます。
知事は就任以来、完全失業率全国平均化や観光客1000万人などの政策目標を掲げ、雇用の創出・拡大、企業の誘致、産業の振興に全力を尽くすとしています。また、平成20年度の取り組みとして、情報通信産業の振興や中小企業・農林水産業等の地域産業を支援し、おきなわブランドの確立を促進するとしています。
そこで質問です。
1、情報通信関連産業の取り組み状況と効果、今後の見通しを伺います。
2、おきなわブランドの確立を目指す農業や畜産業と比べ、水産業の取り組みが弱いと考えます。安定した生産供給体制、流通・販売・担い手の育成等、県の水産振興の取り組みはどうなっているのか伺います。
3、県水産公社の役割、事業内容、今後の方針を伺います。
4、本県水産業発展の先導的中核漁港として整備された糸満漁港の現状と成果、今後の活用を伺います。
5、沖縄近海は、全国でも有数の漁場と言われており、また豊富なマグロの漁場として県外からの操業船も盛んです。地理的条件を生かし、総合的な水産業振興と産品ブランド化を図り、水産立県沖縄を構築することが県経済発展のすそ野を広げるものと考えます。また、外貨獲得も想定されます。水産立県への政策推進について見解を伺います。
6、原油高騰における県内産業への影響及び対策を伺います。
7、中小企業や新規創業者に対する支援策を伺います。
8、「沖縄県中小企業の振興に関する条例」の目的と内容を伺います。
本条例は、県内中小企業の団体及び関係者の皆さんから一日も早い制定をとの声が寄せられていました。県内企業の99%を占める中小企業の振興に大きく寄与するものと期待します。
9、本県の県民所得は全国最下位、30余年の振興計画を経て、なお全国平均の7割程度にとどまる所得水準の改善が急務です。産業振興と雇用拡大が所得向上に直結し、生活者の視点から実効性ある対策を協議・検証する県民所得向上対策協議会(仮称)の設置が必要と考えるが、見解を伺います。
次に、雇用政策についてお尋ねします。
1、知事は失業率全国平均化を目指すとしているが、これまでの取り組み状況と成果、今後の見通しはどうなっているのか伺います。
2、平成20年度新規事業の沖縄地域雇用創出事業、就職困難者総合支援事業の目的及び内容を伺います。
3、県内におけるトライアル雇用事業の取り組み状況を伺います。
県は、若年者や障害者、中高年、母子家庭の就労支援促進のため企業探し等、トライアル雇用事業に積極的に取り組む必要があると思うが、対応を伺います。
4、昨年5月に開設された「マザーズサロン」を視察しました。この事業は、子育てをしながら早期の就職を希望する女性を支援するもので、スタートして7カ月、20歳代から30歳代を中心に269名の方が来所し、101名の方が就職をかち取ったそうです。うち25名の方が母子家庭のお母さんです。担当者は、もっと多くの方々に利用してもらえるよう県民に周知したいとしていました。ハローワークが取り組んでいるトライアル雇用、マザーズサロン等、さまざまな就労支援を効果的に推進するため、県はハローワークと連携を密にすることが重要と思うが、取り組みを伺います。
次に、福祉・教育政策についてお尋ねします。
1、乳幼児医療費の通院費無料化を小学校入学前まで拡充し、給付方法を自動償還払い方式に改善できないか伺います。
知事は、昨年10月、乳幼児医療費の無料化を、入院分に関して4歳児から小学校入学前まで引き上げ、通院分も2歳児から3歳児まで引き上げました。出生率全国一の本県にとって知事の決断は高く評価されています。
しかしながら、多くの若いお母さん方から、通院分に関しても小学校入学前まで拡充してほしいとの声が寄せられています。財政状況が厳しい中ではありますが、子育て支援の重点策として検討できないかお聞かせください。
また、給付方法についても現物支給が望ましいのですが、せめて領収書をその都度、役所に提出しなくて済む自動償還払い方式で少しでも利用者の負担を軽減することができないか。宜野湾市が3月より導入する予定と聞いています。県の対応をお聞かせください。
2、知事は、公約である認可外保育園への給食費助成を平成20年度よりスタートさせることを決定しました。厳しい財政運営の中で突破口として一歩踏み込んだことは高く評価したいと思います。しかし認可園と比較すると不十分です。今後拡充していく考えはないか伺います。
3、子供へのインフルエンザ予防接種の公費助成が必要と思うが、対応を伺います。
小学生までは2回接種が必要であり、負担が大きいとの声が寄せられています。宮古島市は小中学生に市単独で助成しています。見解をお聞かせください。
4、県の自殺総合対策行動計画の内容を伺います。
全国では自殺者が9年連続で3万人台という痛ましい数字を記録し、本県も平成18年は400人という過去最高の記録を示しています。自殺防止への早急な取り組みが必要です。対応をお聞かせください。
5、県が取り組んでいるうつ病デイケア事業は自殺予防に効果があり、大きな実績を残しています。うつ病は、今後10数年にわたって急速に増加すると言われており、同事業は慢性うつ病の有効な回復手段として県内外から注目されています。同事業の継続と拡充が必要と思うが、対応を伺います。
6、がん対策推進計画の策定及びがん対策の取り組み状況を伺います。
7、障害者工賃倍増計画支援事業の取り組み状況を伺います。
8、特別支援学校設置について伺います。
県立特別支援学校編成整備計画案の目的と今後の取り組みをお聞かせください。
学校現場の関係者や保護者の皆さんから整備計画について不安の声が寄せられています。県の対応を伺います。
9、平成20年度よりスクール・ソーシャルワーカーが配置されるが、目的と選定作業はどうなっているのか伺います。
10、仲村教育長には、1月25日珊瑚舎スコーレ夜間中学校、2月5日にはアメラジアンスクールを視察し、直接現場の声を聞いていただきました。特に珊瑚舎スコーレ夜間中学は県教育長として初めての視察とのこと、関係者の皆さんから感謝の言葉が寄せられていました。両施設とも、日ごろ行政に声を届けたくても難しい環境にあり、教育長がみずから足を運ぶということは高く評価したいと思います。ありがとうございました。これからもぜひ多くの教育現場を積極的に視察していただきたいと思います。
教育長は、きのう、おとといの代表質問で、珊瑚舎スコーレ夜間中学で学ぶ方々が求めている卒業認定について、卒業認定に必要な学齢簿への記載を各市町村の教育委員会に呼びかけ、卒業認定ができるようにすると答弁されました。その件については今後推移を見守りたいと思います。
同学校は、ボランティアの方々の支えで運営されています。関係者の皆さんから県に対し財政的支援が求められています。現制度で施設への補助は難しいと思いますが、該当者の多くは高齢であり、何らかの支援体制ができないか、視察の感想と見解をお聞かせください。
11、アメラジアンスクールの視察の感想と支援について伺います。
アメラジアンスクールは開校して10年を迎え、生徒数は当初の3倍の65名にふえ、社会的ニーズも拡大しています。公立校で対応の難しいアメラジアンの児童生徒を開校以来延べ200人近く受け入れ、卒業生のほとんどを公立高校に進学させる実績を残しています。子供たちを守る観点から、県が取り組んでいる日本語講師派遣事業を含め支援体制を拡充する必要があると思うが、見解をお聞かせください。
次に、文化・環境政策についてお尋ねします。
1、国際アジア音楽祭開催について。
ア、平成20年度の事業内容はどうか。
イ、開催予定、内容について説明してください。
2、地球温暖化対策について。
ア、実行計画の策定及び取り組み状況、課題、対策を伺います。
イ、市町村の策定状況はどうなっているのか。
ウ、ESCO事業の取り組み状況を伺います。
エ、国は、2030年までに太陽光発電システムを全世帯の3割設置を目指すとしているが、県として目標、計画はあるか伺います。
最後に、行財政改革についてお尋ねします。
1、平成20年度予算は387億円の収支不足、県は基金の取り崩し、債権発行等で手当てするとしていますが、財政の建て直し及び見通しをお聞かせください。
2、これまで以上に事業の選択と集中が重要と考えますが、取り組みをお聞かせください。
以上、質問を終わりますが、答弁によりましては再質問を行います。
○知事(仲井眞弘多) 上原議員の御質問にお答えいたします。
まず第1に、基地問題に係る御質問の中で、暴行被疑事件への対応と米軍の綱紀粛正等の公表についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
今回の事件は、女性の人権をじゅうりんする重大な犯罪であり、特に被害者が中学生であることを考えれば、極めて悪質で決して許すことはできず、強い怒りを覚えるものであります。
県は、福田総理大臣やシーファー駐日米国大使を初め、関係大臣、関係機関に対し、遺憾の意を表明するとともに、このような事件が二度と起こらないよう一層の綱紀粛正及び隊員の教育の徹底を行い、県民が納得するような形で具体的な再発防止策等を講じ、それを公表するよう強く求めたところでございます。
同じく基地問題の関連で、日米地位協定の見直しについての御質問にお答えいたします。
県といたしましては、米軍基地をめぐる諸問題の解決を図るためには、日米地位協定の抜本的な見直しが必要であると考えており、これまで、より多くの国民や国会議員の皆様に地位協定の見直しの重要性を理解していただくため取り組んできたところであります。
去る2月13日には、来沖されました参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会委員長に対し要請いたしましたほか、2月15日にも来沖しました民主党国会議員に、2月18日及び19日には軍転協を通じて、内閣官房長官を初め日本政府と在日米国大使館等に対し要請をしたところであります。引き続き渉外知事会等と連携をしながら粘り強く取り組んでまいります。
また、米国連邦政府や連邦議会関係者等に沖縄県の実情を伝え理解してもらうため、訪米も含め検討していきたいと考えているところでございます。
次に、産業振興につきまして、情報通信関連産業の取り組み状況と効果、今後の見通しに係る御質問にお答えいたします。
県では、情報通信関連産業の振興を図るため、立地企業等に対し通信コストを支援する通信コスト低減化支援事業、そして高度なIT人材を育成する情報産業核人材育成支援事業、さらに国際的なビジネスを創出する沖縄GIX構築事業など、さまざまな支援策を展開しているところでございます。その結果、平成19年12月までに県外から162社の企業を誘致するとともに、1万4732人の雇用を創出いたしております。
今後は、平成20年度に情報通信関連産業の拠点となるIT津梁パークの整備に着手をし、ソフトウエア開発やBPOを初め、付加価値の高い業務を行う企業の集積を進め、8000人の雇用を創出するなど、沖縄県の情報通信関連産業のより一層の振興を図ってまいる所存でございます。
産業振興についての中で、水産業の振興策いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
沖縄県は、熱帯性の温暖な海域に囲まれ、黒潮流域を回遊するマグロ類の漁場に近接するなど、水産業の振興上、有利な条件にあります。 このため、県におきましては、第2次農林水産業振興計画に基づき、まず第1に、モズク、クルマエビ、ヤイトハタの養殖や種苗の放流などつくり育てる漁業の振興、そして第2に、水産資源を適正に管理し、安定的生産を維持するための保護区の設定など資源管理型漁業の推進、第3に、生産及び流通体制の強化を図るための漁港、漁場及び流通関連施設の整備、第4に、少年水産教室の開催や新規就業者のための融資相談による担い手の育成などの施策を総合的に推進しているところであります。
今後とも、市町村、水産関係団体と連携をし、水産業の振興に努めてまいりたいと考えております。
同じく産業振興の中で、中小企業の振興に関する条例に係る御質問にお答えいたします。
中小企業は、県内各地域におきまして多様で特色ある事業活動を行い、多くの就業の機会を提供するなど、沖縄県経済の発展や県民生活の向上に重要な役割を果たしております。
このことから、県では、中小企業の振興に関する施策の総合的な推進を目的とする「沖縄県中小企業の振興に関する条例(案)」を本議会に提案しているところでございます。
条例案の主な内容は、中小企業の振興に関する基本理念を定め、県の責務及び中小企業者等の役割を明らかにするとともに、県の中小企業施策の基本方針、施策の立案過程において中小企業関係者の意見を反映させる手続、施策を実施する上での小規模企業者への配慮など、県が講ずる措置等を定めたものでございます。
県としましては、本条例の制定を契機にこれまで以上に中小企業関係者と緊密に連携し、中小企業の振興に関する施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、雇用政策に関する御質問で、失業率全国平均化に向けた取り組み状況等に係る御質問にお答えいたします。
沖縄県では、完全失業率の全国平均化に向けて、地域産業の振興、企業誘致、そして新規産業の創出、求人と求職のミスマッチの解消、学生のキャリア教育の推進等々に取り組んでいるところであります。
具体的には、コールセンターとホテル業のミスマッチ対策フォーラムを開催し、業界の理解促進と求人・求職者の意識改善を図ってまいりました。
また、地域の実情に応じた観光、情報通信関連企業のマッチング支援や看護師の復職支援とともに、キャリア教育の推進に向けたジョブシャドウイングの展開、雇用に関する県民意識を改善するための広報等に取り組んでいるところでございます。さらに、雇用の拡大につながる企業誘致や雇用対策事業等の拡充強化に努めているところでございます。
今後、「みんなでグッジョブ運動」の浸透を図りつつ、完全失業率の全国並み改善に向け全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、福祉・教育政策に係る御質問で、認可外保育施設への給食費助成に関する御質問にお答えいたします。
認可外保育施設への給食費助成につきましては、厳しい財政状況の中で検討を重ねてまいりましたが、平成20年度から給食費として、これまでの牛乳代に加え、新たに米代を助成したいと考え、所要の経費を当初予算に計上いたしました。
当該助成につきましては、児童の処遇向上に効果的なものとなるようしっかりと取り組んでまいります。
なお、このことにつきましては国からも支援が得られないか、関係省庁へ働きかけを行っており、今後とも引き続き要望してまいりたいと考えております。
私の重要な公約の一つでもあり、お力を得て、財政的になかなか制約のある状況ではありますが、何とか前へ前へと進んでまいりたいと考えております。
次に、福祉・教育政策に関連しまして、がん対策推進計画の策定に関する御質問にお答えいたします。
平成19年6月に、がん対策基本法に基づき、国で「がん対策推進基本計画」が策定されております。
県におきましては、国の基本計画を踏まえまして、今年度中に「沖縄県がん対策推進計画」を策定し、平成20年度から総合的かつ計画的にがん対策を推進することといたしており、計画の案につきましてパブリックコメントを実施したところでございます。
県としましては、今後この計画に基づき、がんの予防や医療提供、医療連携体制の構築、緩和ケアの充実等を図り、がん患者の生存率や生活の質の向上に向けてがん対策を推進していくことといたしております。
文化・環境政策の中で、アジア音楽祭に係る御質問にお答えいたします。5の(1)のアとイが関連いたしておりますので、御理解を得て一括して答弁させていただきます。
沖縄県は、かつて琉球王国として栄え、アジア諸国との交流を通じて琉球古典音楽や琉球民謡等の世界に誇れる独自の音楽文化を築き上げてまいりました。近年、沖縄ブームや県出身ミュージシャンの活躍により、音楽と沖縄は切り離せないものとなってきております。
県では、この特色を生かし、アジア各国との文化交流とともに、沖縄で生まれた音楽の発信と音楽を核にした観光振興を目指して平成21年度に「沖縄国際アジア音楽祭」を開催する予定でございます。
具体的には、アジア各国からミュージシャンを招聘するメーンステージのほか、県内各地のコンサートホールやライブハウスで内外のミュージシャンが演奏する協賛ステージを開催し、官民一体となって「音楽の島・沖縄」を演出する音楽祭にしたいと考えております。
平成20年度の事業内容としましては、実行委員会を立ち上げ、事業計画の策定、関係団体への協力依頼、出演交渉等の具体的開催準備、国内外への広報を行っていく予定といたしております。
その他の御質問につきましては、部局長等から答えさせていただきます。
○教育長(仲村守和) それでは基地問題についての御質問で、少女暴行被疑事件への対応についてお答えいたします。
今回の米兵による女子中学生暴行被疑事件について、被害に遭った中学生の受けた恐怖による心の傷ははかり知れないものがあり、本県の幼児・児童生徒23万人の命を預かる職にある者として強い憤りを感じるとともに、決して許すことはできません。
県教育委員会では、関係機関と連携し、被害生徒等の心のケアなど、適切な対応に努めているところであります。
また、2月12日には在沖米海兵隊基地司令官や在日米軍沖縄地域調整官等に対し、本事件について抗議するとともに、沖縄防衛局長や特命全権大使に再発防止策を講じるよう強く要請いたしました。
さらに、各学校、市町村教育委員会に対し、「児童生徒の安全指導及び安全確保の徹底について」を通知するとともに、全小中学校及び県立学校長会を緊急に開催し、安全対策の徹底について指示したところであります。
県教育委員会としましては、今後とも地域の子は地域で守るという観点から、PTAを初め地域、警察、関係機関等とより一層連携を深め、児童生徒の危険回避能力の育成と安全確保に努めてまいります。
次に、福祉・教育政策についての御質問で、特別支援学校設置についてお答えいたします。
平成19年4月に学校教育法が改正施行され、従来の障害種別の盲・聾・養護学校は複数の障害種に対応する特別支援学校制度へと改められました。
県教育委員会では、学識経験者や保護者代表等から構成された懇話会から提言を受け、特別支援学校編成整備計画(案)を作成いたしました。
同計画案においては、本県の障害のある児童生徒の教育ニーズの現状を踏まえ、本島各地区及び離島に複数の障害種に対応する特別支援学校を設置することとしております。
現在、県教育委員会では、学校関係者や保護者等への説明や意見交換を行っているところであります。
次に、スクールソーシャルワーカーの配置についてお答えいたします。
スクールソーシャルワーカー活用調査研究委託事業は、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉等の専門的な知識や技術を有するスクールソーシャルワーカーを配置し、問題を抱えた児童生徒の背景にある家庭、地域、友人関係などの児童生徒が置かれたさまざまな環境へ働きかけたり、関係機関等とのネットワークを活用するなど、多様な支援方法を用いて児童生徒が抱える課題の解決を図ることにあります。
県教育委員会におきましては、本事業を6市町村教育委員会に委託する予定であり、地域の実情等を踏まえ、より効果的に推進できる市町村の選定を進めているところであります。
次に、珊瑚舎スコーレを参観しての感想と支援についてお答えいたします。
戦中戦後の混乱期に義務教育を受けることができなかった方々の学んでいる様子を参観するために、去る1月25日に珊瑚舎スコーレを訪問いたしました。
御高齢の方々が向学心に燃え、一生懸命に勉強をしている真摯な態度や、高齢者同士が学び合い、楽しく授業に参加している姿勢に胸を打たれました。
戦中戦後の混乱期の中で義務教育を受けることができなかった方に対し、学ぶ機会を提供することの大切さを改めて認識したところであります。
現在、卒業認定につきましては、市町村教育委員会で学齢簿に準じたものをつくり、公立中学校に籍を置いて学べるかどうかや、卒業認定の条件などを市町村教育長協会と具体的に意見交換をしているところであり、卒業認定ができる方向での検討を行っていきたいと考えております。
なお、教育委員会としましては、公の支配に属さない教育の事業に対し、財政支援をすることは法的に厳しいものがあると考えております。
次に、アメラジアンスクール視察の感想と支援についてお答えいたします。
アメラジアンスクールの児童生徒の活動の様子や教育活動について把握するため2月5日に訪問し、子供たちが明るく元気に活動している様子や、先生方が子供たちのために頑張っている姿に触れることができました。
アメラジアンスクールに通っている児童生徒の学籍校での出席扱い等については平成11年から認められており、職員の研修につきましても、児童生徒の学籍校での授業参観や校内研修への参加などについて支援していきたいと考えております。
県教育委員会としましては、今後とも児童生徒の学籍校への円滑な復帰のために、関係市町村教育委員会と連携してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○警察本部長(得津八郎) 米軍人による少女暴行事件に対する県警察の対応についてお答えいたします。
県警察におきましては、これまでも米軍人等にかかわる事件を防止するため、ペイデーなどで米軍人等が多く集まる場所を重点に警戒・警らをしてきたところであります。
また、県民の防犯意識の高揚を図るため、県警察ホームページなどで、不審者による子供への声かけ事案の実例を積極的に情報発信しているほか、子供の見守り活動などで大きな成果を上げている防犯ボランティア団体に対する活動装備品の支給や、防犯リーダーを養成するアカデミーを開催しているところであります。
その結果、昨年末の防犯ボランティア団体は533団体、約2万人、青色回転灯装着自動車は317台、「こども110番の家」は約5500カ所を数えるに至っています。
今回の事件を受け、県警察におきましては、米軍人等が立ち寄る繁華街等において、所轄警察署や警察本部、自動車警ら隊、機動捜査隊による警戒・警らを強化しており、特に米軍人等が多く繰り出す週末などにおいては、さらに体制を強化しているところであります。
また、今後も防犯ボランティア団体に対する支援を強化するなど、二度とこのような事件が発生しないように関係機関と連携し、未然防止対策を強化していく所存であります。
現在の捜査状況についてでありますが、被疑者は現在も沖縄警察署に拘留されており、県警察において被疑者の取り調べ、被疑者宅の捜索、犯行に使用した車両等関係資料を押収するとともに、証拠品の鑑定等を進めているところであります。
今後も引き続き被疑者を鋭意取り調べるとともに、証拠品による裏づけ捜査を推進し、法と証拠に基づいて本件を解明したいと考えております。
以上です。
○議長(仲里利信) 答弁の途中ではありますが、上原章君の質問に対する残りの答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午後0時0分休憩
午後1時17分再開
○議長(仲里利信) 再開いたします。
午前の上原章君の質問に対する答弁を続行いたします。
知事公室長。
〔知事公室長 上原 昭君登壇〕
○知事公室長(上原 昭) 基地問題のうち、公平補償問題についてお答えいたします。
国においては、平成15年度から平成18年度まで太陽光発電システム助成に係るモニタリング事業を実施しており、平成19年度からは設置世帯のデータの整理・分析等を行い、設置助成の可否について判断するとしております。
県としては、今後とも空調機器の維持管理費補助の拡大などについて、渉外知事会や軍転協での要請など、あらゆる機会を通して国に強く求めていきたいと考えております。
次に、旧軍飛行場用地問題解決に向けての取り組み状況と見通しについてお答えします。
県は、県・市町村連絡調整会議で確認した取り組み方針及び今後の進め方を踏まえ、国等への説明を行ったところであります。
国においては、まだ担当窓口が決まっていない状況でありますが、財務省は国有財産管理者の立場から、また内閣府は財務省と協力しながら支援したいとのことであります。
県としては、県・市町村連絡調整会議において確認した取り組み方針及び今後の進め方を踏まえ、関係市町村と連携し、条件が整った市町村から先行して平成21年度予算に向けて取り組んでいきたいと考えております。
なお、個人補償を主張する地主会に対しては、今後とも団体方式での合意に向けて呼びかけていきたいと考えております。
以上であります。
○農林水産部長(護得久友子) それでは産業振興についての御質問で、水産公社の役割と今後の方針についてにお答えいたします。
沖縄県水産公社は、糸満漁港の利活用を推進することにより、水産業の振興を図ることを目的として昭和56年度に設立されております。
同公社の事業内容は、漁港を利用する漁船に対する給氷、給油及び荷さばき、冷凍・冷蔵保管などの事業と県から受託する漁港管理事業となっております。
現在、同公社は卸売市場が休止中であり、経営が厳しい状況にあるため、市場の早期再開に向けて市場関係者との協議を進めているところであります。
同じく産業振興についての御質問で、糸満漁港の現状、成果、今後の活用についてにお答えいたします。
糸満漁港は、本県水産業の振興を図るための先導的漁港並びに流通加工の拠点的漁港として、広く県外船をも対象として整備されたものであります。
同漁港の利活用については、利用漁船隻数が延べ約6000隻、水揚げ量は約2800トンとなっております。また、糸満漁港は都市住民との交流を促進するために、美々ビーチ・フィッシャリーナの整備を行ってきました。
平成18年度から供用開始した美々ビーチは、年間約18万人の方が利用しております。さらに、ヨット、ボート等の係留施設であるフィッシャリーナはおおむね80隻の船舶が利用しており、地域の振興及び活性化に大きく寄与しているところであります。
県においては、今後とも引き続き糸満漁港の積極的な利活用を図ってまいります。
同じく産業振興についての御質問で、水産業の振興についてにお答えいたします。
本県の水産業は、熱帯性海域の特性であるサンゴ礁沿岸域でのモズク養殖、クルマエビ養殖、沖合のカツオ・マグロ等回遊性魚類やソデイカ及びマチ類等底魚を対象とした漁業など、多彩な漁業が行われています。
このため、県では、つくり育てる漁業の振興、資源管理型漁業の推進、漁港、漁場及び流通関連施設の整備並びにモズク等の中国、香港における販売促進活動の推進などの施策を総合的に実施しているところであります。
今後とも、市町村、水産関係団体と連携し、水産業の振興に努めてまいります。
同じく産業振興についての御質問で、原油高騰の漁業への影響及び対策についてにお答えいたします。
原油高騰は、漁業経費に占める燃油の割合が従来の約20%から30%へ上昇するなど、漁業経営に大きな影響を与えております。
このため、国の水産業燃油価格高騰緊急対策として、燃油使用量を抑制するための省エネ型漁業への転換に対する支援、流通効率化のための燃油タンクの整備、漁業経営を支援するための低利の融資などを行うこととなっております。
また、水産業構造改善事業による給油施設の整備や、沿岸漁業改善資金による省エネ型エンジン設置等に対する無利子の貸し付けを実施しているところであります。
以上でございます。
○観光商工部長(仲田秀光) 産業振興の御質問の中で、原油高騰における県内産業への影響及び対策についてお答えします。
原油価格の高騰に伴い、運送業、クリーニング業などにおいては、物流コストや製造コスト等の上昇により収益が圧迫されている状況にあります。
県においては、原油価格高騰の影響を受け、国のセーフティーネット保証制度の対象として認定された中小企業者については、保証枠の拡大に合わせて割安な保証料及び低金利での融資を行っております。
平成20年度には県融資制度において、原油高騰対策支援資金の創設並びに機械類貸与制度において、損料補てん及び省エネルギー診断・助言の支援策を検討しているところであります。
次に、中小企業や新規創業者に対する支援策についてお答えします。
県内中小企業の多くは依然として経営基盤が脆弱であり、近年の経済的環境変化に適切に対応することが困難となっていることから、中小企業の経営基盤の強化は重要な課題であります。
このことから、県では経営基盤の強化を初め、経営革新の促進や資金調達の円滑化、環境変化への適応の円滑化など、中小企業の総合的な支援を行っております。
なお、新規創業者への支援については、県融資制度の創業者支援資金を活用し、これから開業する方や開業後1年未満の事業者に対して支援を行っております。
また、創業後の支援として、経理・税務や商品の販売スキル等の向上のための専門家派遣事業を実施するほか、経営人材育成のための各種研修・セミナーを実施しております。
雇用政策の御質問の中で、沖縄地域雇用創出事業、就職困難者総合支援事業の目的及び内容についてお答えします。
沖縄地域雇用創出事業は、本県全体の雇用状況の改善を図るため、「みんなでグッジョブ運動」の一環として、観光や情報通信関連企業のマッチング支援及びキャリア教育の推進に向けたジョブシャドウイングの展開、雇用に関する県民意識を改善するための広報などを実施するものであります。
また、就職困難者総合支援事業は、障害者や母子家庭の母などの就職困難者の雇用を促進するため、障害者の就業支援として、本島中南部の障害者就業生活支援センターに定着支援員を配置するとともに、同センターのない宮古、八重山に障害者就業支援員を配置することとしております。さらに、子育て中の女性に対しては、職業訓練を行う際の子供の保育を支援していくこととしております。
次に、トライアル雇用事業の取り組み状況についてお答えします。
国が実施しておりますトライアル雇用事業の平成18年度の実施状況は、トライアル雇用開始者964人、修了者947人、常用雇用移行者769人で、常用雇用への移行率は81%となっております。
トライアル雇用事業は、常用雇用へのきっかけづくりにも有効な支援制度であり、県としましても当事業を初め各種支援制度の内容を紹介したパンフレットを作成して各市町村、経済団体へ配布し、制度の周知・広報を図っております。
また、国や関係機関と連携し、雇用支援制度活用相談会を各地で開催し、制度の活用促進を図っているところであります。
次に、ハローワークとの連携についてお答えします。
本県の雇用情勢の改善のためには、沖縄労働局と県が密接に連携し、雇用施策を効果的に実施することが重要であります。このため、高校、大学等の卒業予定者を対象とした合同企業説明会や面接会を開催するとともに、一般求職者を対象とした「適職フェア」や情報通信関連産業や観光関連産業などの産業別フォーラムについても連携して開催しております。
若年者については、沖縄県キャリアセンターをハローワークに併設し、国と県が連携し、より一層充実した就職支援の実施に努めております。
また、障害者の生活から就労までの支援を行う障害者就労・生活支援センター事業においては、労働局と県、地域が一体となって障害者支援に取り組んでおり、大きな成果を上げております。
さらに、各種雇用支援制度の活用促進についてもハローワーク等の関係機関と連携し、雇用支援制度活用相談会を各地で開催し、制度の周知及び活用促進を図っているところであります。
次に、文化・環境政策の質問の中で、太陽光発電システムの導入目標についてお答えします。
県では、新エネルギーの導入拡大を図るため、平成12年度に「沖縄県新エネルギービジョン」を策定し、その中で太陽光発電について、平成23年度までの発電総量として5万3000キロワットの導入目標を設定しております。
平成19年11月末日現在の導入状況は、住宅及び民間企業等を合わせて約1万4000キロワットとなっています。
県においては、地球環境問題への対応などエネルギーを取り巻く環境の変化を踏まえ、平成20年度に沖縄県新エネルギービジョン(仮称)を新たに策定する計画であり、今後とも庁内の連携を図りつつ、太陽光発電を初めとする新エネルギーの導入を促進してまいります。
以上でございます。
○企画部長(上原良幸) 産業振興についての御質問で、県民所得向上対策協議会の設置についてお答えいたします。
本県経済は、各種の産業振興策等によりおおむね国を上回る経済成長を遂げているものの、本県の人口増加率が高いこともあり、1人当たりの県民所得は、経済規模の拡大に比較して伸び悩んでいる状況にあります。
県民所得の向上のためには、本県経済全体の活性化を図る産業振興と成長のかぎを握る人材の強化が重要であると考えており、「みんなでグッジョブ運動」などの施策を強力に推進しているところであります。
御提言の県民所得向上対策協議会の趣旨につきましては、今後の産業振興、雇用拡大に取り組む上で参考にさせていただきたいと思います。
以上であります。
○福祉保健部長(伊波輝美) 福祉・教育施策についての中の、乳幼児医療費助成制度の見直しについてにお答えいたします。
県では、平成19年10月以降の治療分より対象年齢を拡大し、入院は4歳児までから就学前まで、通院は2歳児までから3歳児までに引き上げたところでございます。
さらなる対象年齢の拡大及び給付方法の見直しにつきましては、財政負担等を伴うことから引き続き慎重に検討してまいりたいと考えております。
続きまして、インフルエンザ予防接種の公費助成についてにお答えいたします。
現在、インフルエンザワクチンの予防接種につきましては、予防接種法に基づき市町村が実施主体となり、65歳以上の高齢者及び60歳から64歳のハイリスク者を定期接種の対象として、それ以外は任意接種で実施しております。
任意接種に対する費用負担は、市町村が地域の実情に応じて判断すべきものと考えております。
県といたしましては、インフルエンザの発生動向の把握や感染予防に対する普及・啓発等を行ってまいりたいと考えております。
続きまして、「沖縄県自殺総合対策行動計画」についてお答えいたします。
「沖縄県自殺総合対策行動計画」は、国の自殺総合対策大綱を踏まえ、関係機関・団体の連携体制の構築、自殺に至る経緯等の実態調査、普及啓発等による自殺の事前予防、自殺の危険性の高い人を発見し、適切な危機介入を行う等の自殺発生への危機介入、未遂者や遺族への事後対応等の具体的方策を示すものであります。
県においては、同行動計画を3月末までに策定し、計画に基づいた自殺対策を推進してまいります。
続きまして、うつ病デイケアの継続と拡充についてにお答えいたします。
うつ病デイケアは、民間医療機関への普及を目的としたパイロット事業として平成17年8月から始まった事業で、平成19年度に終期を設定しておりました。しかしながら、着実な移転を図るために平成20年度まで継続して実施することとしております。
同事業につきましては、必要な方が地域において治療が受けられるよう、総合精神保健福祉センターにおいて医療機関等に対して技術移転のための研修を実施しているところでございます。現在2カ所の民間医療機関が平成21年度からの実施を予定しておりますが、実施機関の拡充を含め、引き続き技術移転に向けた取り組みを強化していきたいと考えております。
続きまして、障害者工賃倍増計画支援事業についてにお答えいたします。
県においては、授産施設等を利用する障害者が地域で自立した生活が送れるよう工賃を引き上げる必要があると考えております。
このようなことから、今年度中に平成23年度の目標工賃及び工賃の引き上げに向けて取り組む具体的な方策等を定めた「沖縄県工賃アップ推進計画」を策定することとしております。 平成20年度における工賃倍増計画支援事業の取り組みとしては、授産施設等への経営専門家の派遣、意識改革のための研修会の開催、就労支援コーディネーターの配置等を実施することとしております。
以上でございます。
○文化環境部長(知念建次) 福祉・教育政策の中で、アメラジアンスクールへの支援についてお答えいたします。
県では、アメラジアンスクールに通学している児童生徒に対して、不登校等の原因となっている日本語の読み書き等を指導することにより、学籍校への円滑な復帰を図る目的で平成13年度から毎年度2名の日本語等指導者を派遣しています。
子供たちの日本語力の向上及び学籍校との連携等においては、日本語等指導者が大きな役割を果たしていることから、引き続き支援してまいりたいと考えております。
次に、地球温暖化対策との関連で、実行計画の策定及び取り組み状況等についてお答えいたします。
県においては、「沖縄県地球温暖化防止実行計画」を平成13年2月に策定し、温室効果ガス排出量の削減を初めとする環境負荷の低減に取り組んでいます。
計画策定以降、職員の環境配慮意識は高まっており、県庁本庁舎などについては、温室効果ガス排出量の削減に大きな成果が得られております。
しかしながら、県の全機関からの総排出量については、施設の新設に伴う重油使用量の増加や公用車燃料使用量の増加等により、第2期計画の目標年度である平成18年度実績は、第2期計画の基準年度である平成13年度比で3.8%増加しております。
これらのことから、平成19年度から平成23年度までを期間とする第3期計画においては、ESCO事業の導入やエコドライブの実践等により、温室効果ガス排出量の削減に努めていきたいと考えております。
次に、市町村における実行計画の策定状況についてお答えいたします。
県内市町村においては、那覇市、糸満市、名護市、石垣市、宜野湾市が「地球温暖化防止実行計画」を策定し、率先してみずからの事務及び事業に関する温室効果ガスの排出を抑制する取り組みを進めておりますが、未策定の市町村が多い状況にあります。
県としては、県内市町村の策定率の向上に向け、市町村担当課長会議等において実行計画の策定を促しているところであります。
なお、宮古島市など11市町村においては、平成20年度の策定に向けた検討が進められております。
次に、ESCO事業の取り組み状況についてお答えいたします。
県では、省エネ改修による地球温暖化防止対策を推進するため、平成17年度には県有10施設について「ESCO事業導入可能性調査」を、平成18年度にはホテル、病院等の民間10施設について「ESCO事業導入モデル可能性調査」を実施しております。
これらの調査結果に基づき、今年度から本庁舎、県立北部病院、県立看護大学が、また民間施設では浦添市内の総合病院でESCO事業が開始されることになっております。
また、今年度は県有中小施設209施設を対象に県有中小施設省エネ改修プラン策定事業を行い、ESCO事業の導入実施計画を策定しているところであり、県有施設へのESCO事業の導入を積極的に推進していく予定であります。
以上でございます。
○総務部長(宮城嗣三) 行財政改革についてに関連しまして、財政健全化と今後の見通し及び事業の選択と集中について、関連しますので一括してお答えいたします。
国、地方を取り巻く厳しい財政状況の中、平成20年度当初予算におきましては、給与の特例措置や政策的経費の縮減を行ってもなお387億円の収支不足が生じたため、主要4基金の取り崩し、退職手当債や行革推進債等の発行などにより対応したところでございます。
特に、政策的経費の縮減につきましては、枠配分方式を導入するなど、これまで以上に各部局の権限と責任のもと主体的な行財政改革を実行するとともに、事業の取捨選択を行い、徹底した歳出削減を行ったところでございます。
本県財政は、今後も歳入において県税や地方交付税などの一般財源の大幅な増が期待できない反面、歳出においては、団塊世代の大量退職に伴う退職金の高どまり、制度改正や少子・高齢化に伴う社会保障関係費の増などにより厳しい状況が続いていくことが見込まれます。
そのため、「沖縄県行財政改革プラン」の着実な実施はもとより、県税の徴収率の向上、使用料・手数料の定期的な見直しなど自主財源の確保、職員数の適正化、事務事業の見直しなど、財政健全化策をこれまでにも増して徹底的に進めてまいります。
○上原 章 休憩お願いします。
○議長(仲里利信) 休憩いたします。
午後1時43分休憩
午後1時44分再開
○議長(仲里利信) 再開いたします。
上原 章君。
〔上原 章君登壇〕
○上原 章 幾つかの要望と再質問をさせていただきます。
まず、日米地位協定についてですが、私は、基地から派生する事件・事故に対応するには、これまでのような運用の改善では限界があると思います。
県は、平成12年に11項目の見直しを提案し、抜本的改定を要請しているわけですが、現時点でもそれが県のスタンスなのか。私も抜本的見直しが必要と考えますが、今回のような痛ましい事件・事故を二度と起こさせないためには、不起訴前の身柄の対応等できるところから改定させることも視野に入れる必要があると考えます。
今回も運用の改善で終わらせることがないよう県は日米両政府に強く求めていく考えはないか、見解を伺います。
次に、県警本部長にお尋ねします。
先ほどの答弁で再発防止に向けて警戒態勢を強化するとしていますが、日米での合同パトロールの話が報道されております。見解をお聞かせください。
次に、「沖縄県中小企業の振興に関する条例」についてですが、本条例が形骸化することなく効果的なものにするため、産・学・官・民から専任された中小企業振興会議(仮称)等の設置が必要との声も寄せられています。条例が実効性あるかどうか、恒常的に検証していく体制づくりが必要と考えますが、見解を伺います。
給食費助成についてですが、県は今回の米代の支援を1歳以上としております。保育現場からゼロ歳児も6カ月からは離乳食としてごはんも食べるということで、ぜひゼロ歳も対象としていただきたいという要望があります。検討できないかお聞かせください。
それから、先ほどのうつ病デイケア事業、私はこのデイケア事業の視察をしてまいりました。利用者の方の直接の声も聞かせていただきました。私は、この事業を今後しっかり県は推進をする中で、平成21年、民間にしっかり引き継いでいきたいという先ほどの答弁でありました。その受け皿の体制が整う、それもしっかり確認をして、この事業は今後も充実させていただきたいと私は思います。福祉保健部長にぜひ現地に行かれて利用者の生の声を聞いていただきたい。その点、見解をお聞かせください。
それから特別支援学校設置について、このことはほかの代表質問でも取り上げておりました。この事業は関係者の皆さんに本当に納得して進めていかなければ、我々が、特に子供たちを守るべき行政として責任が問われるのかなと思いますので、しっかり現場の声も確認をしてこの事業は進めていただきたいと思います。
モニタリング事業、先ほど答弁では可否を決めるというような話をしていました。この事業は可否を決めるための事業ではなく、あくまでもその事業を受けるべき人たちのためにどういうふうな形で不公平さをなくしていけるか、それを確認するための、どういうふうに取り組んでいけるかの確認をする事業でありますので、ぜひ県は国にしっかりこの点を伝えて、多くの方々が納得される結果ができるようにお願いしたいと思います。
それから水産公社についてですが、先ほどの答弁では非常に経営が厳しいということでありました。この水産公社の事業経営がしっかり立て直す形で今後も存続していくのかどうか、それともこの公社が別の形で引き継いでいくのか。特に糸満漁港の管理をしている公社でありますので、その点も再度答弁をお願いしたいと思います。
最後に、アジア音楽祭。
先ほど、アジアの多くの方々に沖縄に来ていただいて音楽祭をされると聞きました。私は、文化立県沖縄、また観光立県沖縄ということを考えたときに、この音楽祭を通して多くの交流を結ぶことも大変重要だと思いますが、行政として、できればせっかくアジアから多くの方々に来ていただくわけですから、各国の大使館等の関係者も沖縄に来ていただいて、沖縄のよさをじかに見ていただくことも一つの大きな意味があるかなと思います。御検討をお願いします。
以上です。
○議長(仲里利信) 休憩いたします。
午後1時51分休憩
午後1時55分再開
○議長(仲里利信) 再開いたします。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 再質問にお答えいたしますが、9つぐらい再質問がございまして、私の方で3つばかり答弁させていただきますが、まず第1に、この地位協定の抜本的改正についてでございますが、こういう事件の後を契機に、また改めて我々としても、私も答弁で申し上げましたが、アメリカにも行って、アメリカの議会等も通じてと申し上げましたが、そういうことも踏まえ、また御提言いただきました、できそうなものからやっていくというようなこともぜひ踏まえて、何とか前へ動くように取り組んでまいりたいと思っております。また、いろいろ御指導賜りたいと思います。
それから3番目でしたか、中小企業振興条例に関連する再質問でございますが、これは御提言のように、基本的には中小企業関係者の意見を反映させるよう、いろんな形で御趣旨に沿うような形で関係者の意見が反映されるような形をつくり、意見を反映させてまいりたいと考えております。
それから最後でしたが、アジア音楽祭ですが、御提言の各国の在外公館といいますか、逆に日本にある機関も招聘したらどうかという点は非常に結構な御提言ですので、しっかりそれを踏まえやってまいりたいと思います。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(上原 昭) モニタリング事業についてでありますが、県としてもこの空調機器の維持管理費補助の拡大などについては必要な事業として認識しておりまして、今後ともしっかりと国に求めていきたいと思います。
○警察本部長(得津八郎) 米軍との共同パトロールに関する御質問にお答えいたします。
県警察と米軍との共同パトロールについては、2とおりの形態があります。
1つは、県警察と米軍の軍事警察機関である憲兵隊、いわゆるMPとの共同パトロールであります。
同パトロールについて県警察では、米軍施設外における治安の確保は沖縄県警察の責務であること、何らかの犯罪を犯した米軍人を県警察とMPとが共同逮捕した場合、地位協定の規定で当該米軍人の身柄は米軍に引き渡されることとなり、原則として起訴されるまで米軍側がその身柄を拘束することから容認していないところであります。
2つは、県警察と米軍のMP以外の軍人との共同パトロールについてであります。
既に平成12年9月から数名の私服軍人によるパトロール、平成17年11月からは制服軍人によるパトロールが沖縄市、金武町の一部地域で実施されております。
米軍当局によれば、このパトロールはコートシー・パトロール、通称CPと称され、日本語では生活指導巡回と訳されております。
その内容は、米軍人の公務外での生活指導、例えば飲酒酩酊者の早期帰隊を促したり、軍人同士のトラブルの未然解消など、警察権を有さない上官による部下に対する一般的な指導行為であります。
このCPについても、特に制服によるものである場合、基地外での軍事警察権の行使と誤解されるおそれがあることから望ましくないと考えておりますが、パトロールの実態が米軍当局の警察権の行使を目的とするものではない以上、あえて反対していないのが現状であります。
既に沖縄市、金武町の一部地域で実施されております警察権を有しないCPと県警察とが共同でパトロールすることについては、共同パトロール中に米軍人を被疑者とする犯罪現場において事情聴取等を行っている際に、CPから連絡を受けて現場臨場したMPが共同逮捕を行った場合、身柄の措置に関してMPとの共同パトロール同様の問題が生じる可能性があること、県警察がCPとの共同パトロールを実施することは、米軍犯罪のみに対処するために既存の警察力の一部を割くことになり、警察力が低下するおそれがあることの2点の問題点があると考えており、現状では沖縄県民にとって必ずしも望ましいものではなく、これらの問題点が解決され、沖縄県民に明確に示される必要があるものと認識しております。
また、共同パトロールを実施するに当たっては、現場において沖縄県警察官が米軍人との無用な紛議を起こすことなく犯罪を未然に防止するとともに、米軍人関係の事件・事故が発生した際にこれを迅速・的確に処理するなど、パトロールの実効性を上げるため、法執行力を持つ警察官や意思疎通のための通訳員の増員並びにパトカーなどの装備資機材の充実など、必要な措置が講じられなければならないと考えております。
○福祉保健部長(伊波輝美) 認可外保育施設への給食費の米代についてなんですけれども、現在、市町村公立保育所の計算根拠をもとに算出されております。
基準ベースは、3歳以上と3歳未満という形の計算になっておりますが、検討してまいりたいというふうに考えております。
それから、うつデイについてですが、自殺者の数だとか、400とかという数字になりますので、そういうことを考慮しますと総合精神保健福祉センターだけでは絶対に間に合わないと思います。ですから、早急に各地域、そういうところに移転してまいりたいというふうに考えております。そういう意味では関係者の御意見だとかそういうことは伺ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○農林水産部長(護得久友子) それでは水産公社の役割と今後の方針についての再質問にお答えいたします。
水産公社の収支の改善につきましては、市場移転が必要であります。
糸満への市場の移転につきましては、平成18年11月に市場開設者、生産者、仲買業者など関係者を構成員とした沖縄県水産物市場流通検討協議会を設置し、同協議会において移転に関する調整を進めてきたところであります。
また、水産公社の今後の運営等につきましては、糸満漁港が多くの漁船、また市民に利用され、地域振興や地域活性化に貢献していること、また漁港の管理運営の観点も含め、関係機関と緊密な連携・協議を図りながら進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(仲村守和) それでは上原章議員の再質問で、特別支援学校の編成整備については、現場の声を聞いて納得のいくように進めてほしいということについてお答えいたします。
県教育委員会としましては、今後とも保護者等の専門性や安全性に対する不安や懸念が解消されるように継続して意見交換を行い、十分なコンセンサスを得た上で計画を策定してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○当山 全弘 皆さん、こんにちは。
社大・結連合を代表いたしまして代表質問を行います。
まず1点目の、知事の政治姿勢について。
1996年4月、劇的な返還合意から11年余が経過しました。普天間は動かず、膠着状態が続く普天間飛行場の移設問題。2007年5月には日米が合意したV字型案が最良とする政府と、沖合への移動を求める沖縄県の立場は平行線のまま時が過ぎていきました。
2月7日に協議会が開催され、環境影響評価の手続を進めていく中で、地元の要望である沖合移動も念頭に置き、沖合移動をテーマにする意向が初めて明らかになりました。
次の質問をいたします。
(1)番、メア総領事の発言について。
ア、メア総領事は記者会見で、県などが求める滑走路の沖合移動に関し、より沖合に滑走路を出せば埋立面積もふえるので環境への影響が少なくなるという考え方になるとは常識的には考えられないと述べ、アセス後の修正にも否定的な見解を示しました。知事の所見を伺います。
イ、ジュゴン訴訟で米サンフランシスコ連邦地裁が、米国防総省にジュゴンへの影響を文書で提出するよう命じる判決が出ました。この判決について、普天間飛行場代替施設計画は予定どおり実行できると政府は発言しておりますけれども、これは環境影響評価(アセスメント)を急ぐことに対してブレーキをかける判決と思うが、認識と所見を伺います。
(2)番、高校歴史教科書(軍命削除)問題について伺います。
昨年9月29日、党派を超えてこれまでの高校歴史教科書にあった記述を書きかえさせてはいけないと県民の怒りの声が爆発し、11万6000人余の県民が結集し、宜野湾市で県民大会が開催されました。この問題については、知事を初め教育長、仲里議長を団長とする実行委員会が再三にわたって上京し、意見の撤回を求めて陳情しました。最近のマスコミ報道によると、近代の歴史、沖縄戦に関する教科書掲載の論議が決着を見ないまま薄れつつある。平和を希求する記録伝承に改ざんは許されるものではありません。
次の質問をいたします。
ア、検定意見の撤回と歴史教科書の「集団自決」の記述に「日本軍による強制」の明記を求めて実行委員会は4度目の上京を行いました。そして検定意見の撤回について要請しました。経過と認識について伺います。
イ、教科書掲載の論議については、検定意見の撤回に向けた協調体制の確立には難色を示し、教科書会社6社の訂正申請を承認したということで、県民の求めている意見撤回と記述の回復は達成されたことになっております。所見を伺います。
ウ、首相は、昨年12月に承認された沖縄戦「集団自決」に関する教科書記述の訂正申請について、教科用図書検定調査審議会における審議の結果に基づいていると述べ、問題視しない旨の答弁をしております。沖縄は唯一地上戦が展開され、「集団自決」や日本軍による住民殺害が起きた。重要な史実の評価と歴史認識がかけ離れてはおりませんか、所見を伺います。
(3)、道路特定財源の暫定税率について伺います。
揮発油税など道路特定財源の暫定税率をめぐり与野党が国会で激しく対立しております。県民の間でも、高騰するガソリン代が生活を圧迫しており廃止すべきだ、財源が不足して道路整備を怠ってほしくないと、撤廃、延長で意見が大きく分かれております。
次の質問をいたします。
ア、ガソリン税、自動車重量税などは道路建設に充てられる道路特定財源と呼ばれ、1974年に2年間の暫定措置として税率が2倍に引き上げられたものであります。現在まで33年間も延長されてきました。その背景について伺います。
イ、道路建設の財源が大幅に不足があって、車の普及と道路整備が追いついていないということで高い税率で5年ごとに延長してきました。道路整備状況はどうなっているんですか。暫定税率をさらに延長する理由を説明願いたい。
ウ、ガソリン1リットルには48.6円の揮発油税と5.2円の地方道路税が課せられており、暫定税率をもとに戻せばその半分の25.1円はガソリンの価格を下げることができます。世論は暫定税率廃止を支持する声が多い。所見を伺います。
エ、暫定税率が廃止された場合、地方税収に与える影響額は幾らか。また、一般財源化された場合どうなるのか所見を伺います。
2番、知事の公約について。
(1)番、小学校30人学級について。
知事は、公約の中で、学校教育の充実のために小学校において1クラス30人学級の導人を目指すとしました。児童を取り巻く状況は、経済格差の拡大などによる就学援助児童の増加や子供たちの学力格差の拡大など、ますます教育現場では困難な状況になっております。
学校現場での個々に応じたきめ細かい指導やゆとりを持った授業が求められ、それを実現するためには一日も早い30人学級の編制が必要です。
次に質問いたします。
ア、義務教育第8次教職員予定数計画において、地方で少人数学級編制の実現が規制緩和されました。沖縄県の改善状況と適応状況について伺います。
イ、仲村教育長が新年度の4月から30人学級の実現と検討委員会設置を約束しましたが、進捗状況について伺います。
このことについては、きのうの狩俣議員の質問によってわかっておりますけれども、これと並行しまして財政的な裏づけについては大丈夫でしょうか、お伺いいたします。
ウ、各県における少人数学級の編制状況についても伺います。
(2)番、普天間飛行場の3年以内の閉鎖について。
2007年12月10日に就任1年目を迎えた知事は、普天間問題の行き詰まりに困惑しております。2006年11月の知事選で、辺野古にV字型滑走路をつくる現行案に賛成できないと明言し、国に見直しを求め、3年以内の危険性除去を公約しております。
質問いたします。
ア、V字型案は悪天候などで視界が悪いときの計器飛行ルートが住宅地上空にかからないように考え出されました。しかし、知事は滑走路の位置自体が住宅地に近過ぎ、騒音被害も大きいとして可能な限り沖合と主張し、全く意見が違うことにつながっております。経過と所見を伺います。
イ、政府は沖合移動すると埋め立てがふえるので周辺海域の生物の生息環境に悪影響が出るとして反対派の妨害活動を防ぎにくいことを理由に掲げ、現行案に固執しております。経過と所見を伺います。
ウ、米国は計画を変更すると米軍再編全体が崩壊しかねないと修正拒否の構えを崩しておりません。政府がどこまで応じるかは対米交渉も絡むだけに困難が予想されます。県の対応を伺います。
(3)番、待機児童ゼロについて。
子供は沖縄の宝。世界に誇れる安心・安全な子育て環境をつくり、保育所待機児童をゼロにすると公約いたしました。
次の質問をいたします。
ア、待機児童をゼロにして子育て環境をつくりますと政策目標に掲げた。出生率も年少構成割合ともに高く、子供の数が一番多いのが沖縄県です。人口増加率3位、自然増加率1位、出生率1位、年少構成割合1位となっている。にもかかわらず、保育所の普及率は全国44位で5歳児保育問題は解消されておりません。所見と対応を伺います。
イ、保育所措置児童数3万432人――これは去年の6月現在でございます――に対し、待機児童数1850人、待機率6.1%で全国1位となっております。解消策はあるのか所見を伺います。
ウ、保育所1カ所60人定員を整備するのに建設費、運営費含めて幾らかかるのか、財政的負担はどうなっているのか所見を伺います。
(4)番、雇用失業問題について。
年平均の失業率の推移を見ると、2002年がピークで8.3%、2004年7.6%、2006年7.7%と推移し、2007年11月は6.5%台となったものの、4万人を超える完全失業者を抱えております。県民所得も相変わらず全国最下位にとどまり、雇用の場の拡大が急がれます。
次の質問をいたします。
ア、失業率の全国平均化を掲げた知事が就任して1年が過ぎました。変化が期待された雇用情勢は拡大につながっていないと指摘されております。雇用情勢は改善に向かっているのか、全国平均化までの決意を伺います。
イ、完全失業率の全国平均化4%台については、劇的な改善は容易ではないと思います。雇用の拡大につながる製造業が少ないのも一つの要因であります。さまざまな企業誘致策については税制面の優遇措置や適正な利益が得られなければ企業は立地いたしません。雇用拡大につながる企業誘致策について伺います。また、4万人雇用の具体的な戦略についても伺います。
3、基地問題について。
(1)番、普天間飛行場代替施設建設の環境アセスメントの方法書について。
政府は代替施設案を1996年以来、二転三転させました。沿岸案を防衛庁が主張、浅瀬案を米側が主張した。最近はV字案、現行案と沖合移動案が出て、知事と総領事とのやりとりもあります。基地問題の深刻さが浮き彫りにされております。代替施設建設をめぐる県環境影響審査会はアセス方法書に不信感を抱き、書き直すべきとの答申をまとめました。
質問いたします。
ア、昨年12月の知事意見で方法書の不備を指摘し、修正や追加説明を求めた。沖縄防衛局から県環境影響審査会への説明は県の求める内容になっていないと書き直しを要求しました。経過と対応について伺います。
イ、代替施設建設で埋立用の海砂は県内で1年間に採取された海砂量の12倍以上になることも判明、本島周辺の砂浜の消失が懸念されます。また、短期間の大量採取による環境破壊も懸念されます。所見を伺います。
ウ、代替施設建設は陸域の造成や土砂採取も予定され、影響は海にとどまりません。基地建設が爆音や演習被害などにとどまらず、沖縄全体の自然環境への甚大な影響も考えられます。破壊を食いとめるためにアセスがあるのではないでしょうか。認識と所見を伺います。
(2)番、有事を想定した即応訓練について。
米軍嘉手納基地第18航空団による有事を想定した即応訓練が実施され、深夜未明の時間帯に拡声器放送やサイレンの音が鳴り響き、うるさくて眠れない、訓練の騒音に起こされた、まるで戦場のようだという町民からの苦情が絶えません。県は、即応訓練は認められない旨の抗議をすべきではないでしょうか。所見を伺います。
(3)番、2月10日発生した少女暴行事件についてであります。
このことについては、辺野古での住居侵入事件、フィリピン女性への暴行事件、相次いでアメリカ軍による事件が発生しております。また、2月19日には自衛艦が無防備の漁船に衝突し、とうとい2人の人命が損なわれております。軍隊は住民を守らないということが浮き彫りにされ、はっきりしました。
そこで質問をいたします。
許しがたい米兵の行為、再発防止を訴えても事件・事故は後を絶ちません。知事は、海兵隊撤退を含めて強く抗議すべきではないでしょうか。また、県民大会を開催する必要があるのではないでしょうか。県民大会が開催された場合、参加されますか、所見を伺います。
4、2008年度沖縄県予算案について。
2008年度一般会計予算5901億円が最終内示されました。総額は、2007年度比約60億円減でマイナス編成となっております。県単独事業の投資的経費99億200万円も約30年ぶりに100億円を割っていて財政事情が一段と厳しくなっている。歳入がふえない予算編成は景気の上向きにも何らかの影響を与えると思われます。
次の質問をいたします。
ア、各部局からの2008年度予算の要求額は幾らだったのか。また、予算の充当率はどうなっておりますか。
イ、総額5901億円、最終内示で対前年度比1%、60億円下回った。県民生活に直結した取り組むべき事業については優先的に取り組むことができたのかどうか伺います。
ウ、交付税、国庫金に依存した財政構造を是正し、県税収入への割合をふやし、自主財源の確保を強化する必要があります。所見を伺います。
エ、独自の財源が少ない上に収支不足が約400億円にも上っております。穴埋めとして主要4基金を取り崩して退職手当債など新たな県債を発行してつないでおります。主要4基金の残高、県債残高はどうなっているか伺います。
オ、職員退職金に臨時財政対策債発行による公債費も増加するなど、不安要因は残ったままとなっております。今後の収支不足の見通しと対策について伺います。
5番、沖縄振興計画について。
平和で安らぎと活力のある沖縄県を目指す沖縄振興計画が平成14年度にスタートし、第1次、第2次が終了し、後期振興計画がスタートしました。11分野にわたる分野別計画を策定し、その達成に向けて施策が展開されております。
次の質問をいたします。
ア、第1次分野別計画の総括は第2次分野別計画に生かされましたでしょうか。
イ、第2次分野別計画――17年から19年――がスタートするに当たり、第1次分野別計画をどのように総括し、沖縄振興施策の分野別計画の取り組みをしたか、その取り組み状況について伺います。
ウ、平成16年度の実績、第2次分野別計画の目標と達成率はどうなっておりますか。
エ、第3次分野別計画――2008年から2011年――の素案が決定されました。残り4年に迫った振興計画の第3次分野別計画の素案はどうなっておりますか。振興計画後期については実効性と成果を県民に示す必要があります。所見を伺います。
6、平和行政について。
沖縄学童疎開史の編さんについて。
太平洋戦争も末期近く、戦局ついに我に利あらず、制空権も制海権も失ってしまった日本軍は根尽き力果て、いよいよ焦りに焦って沖縄決戦のための血みどろの戦闘準備をしていました。
時はまさしく昭和19年の夏、勝つためなら何でもします。武運長久を祈り必勝を信じ、神風を信じ、たとえ戦局は不利であっても戦後の最後には必ず勝つものと思い込まされ、またそのように言い含められておりました。日本軍は毎日泥まみれ、汗まみれになって陣地構築でした。米軍の沖縄進攻必至と宣伝され、軍民ともに血相を変えて右往左往し、戦々恐々として安らかな日はありませんでした。今度こそ沖縄で米軍をたたくのだ。引き寄せてたたきのめすのだ。また、やるときにはやるんだ。今度こそやるんだとも言っておりました。米軍を沖縄でたたきつぶすまでの間、上陸させて皆殺しにするまでの間、約6カ月間、学童たちは九州方面に疎開させるのだという国策によって戦争遂行に協力しながら、一方では各自の生命も守られるのだと言い含められて学童たちは疎開させられました。
昭和19年7月7日、サイパン島が玉砕し、戦況は日本軍に不利と見て学童疎開促進要綱を閣議決定し、その後、学童疎開に関する県通達文を発送、あて先は両支庁長、那覇・首里市長及び三郡国民学校長となっておりました。
「沖縄県学童集団疎開準備要領」による疎開の対象者は、国民学校初等科3年より6年までの男子とされました。学童疎開の趣旨は、すぐれた県民の種族を長く後世に保存するということでした。
「疎開ノ推奨」として、学校側にて希望者を募集する場合は、敗戦的な傾向にならないよう特に留意し、疎開とは単なる避難にあらず、戦争完遂のための県内防衛態勢の強化を図るための措置にほかならない。国家の人口疎開の方策に基づくものであることを強調し、残留者へはいささかも不安を与えざるよう思想態勢の動揺を極力防止するということでした。
こういった戦争遂行のための国策によって学童集団疎開は実施され、昭和19年8月13日、学童疎開第一陣が鹿児島へ出港、8月19日第二陣、8月21日に対馬丸、暁空丸、和浦丸が那覇港を出港、8月22日、対馬丸が敵の魚雷攻撃を受けて沈没、乗船者767人の学童を含む1484人が犠牲となる悲劇が起こっております。
私たちの船も対馬丸沈没後の8月28日鹿児島向け出港、9月1日鹿児島に入港しました。最後の疎開船だったと言われております開城丸が昭和20年3月5日那覇港を出港しておりますけれども、到着は不明となっております。
疎開の目的として、疎開政策の目的の一つが次世代の戦力温存にあったこと、2つ目、疎開の目的として県内食料事情の調整を図り、持久戦に備えて食いぶちを減らしておくこと、3つ目に、婦女子学童は作戦の邪魔にならないよう、軍の足手まといにならぬよう協力するため、こういった趣旨のものでございました。
次に質問をいたします。
ア、国策によって疎開させられた学童たちは疎開先で、「ヒーサン」、「ヤーサン」、「シカラーサン」の中で、2年有余の疎開生活が続きました。このようなことは事実であり、学童疎開についてはいろいろな角度から検証されていく必要があります。所見を伺います。
イ、疎開にまつわる情報を集め、学童疎開というものを戦争体験の一つとして語り継いでいくことが大切ではないでしょうか。そのためには疎開とは何だっただろう、集団学童疎開は何のために、ああ太平洋戦争、そして疎開。
このような内容で委員会を立ち上げていただいて、沖縄学童たちの疎開史の記録を後世に残すために編さんをしてはいかがでしょうか。所見を伺いたいと思います。
7、土木行政について伺います。
(1)番、安里川はんらんについて。
昨年8月の集中豪雨によって安里川がはんらんし、蔡温橋周辺の家屋や店舗が浸水被害に遭いました。はんらんは自然災害、人災を議論するのではなく、河川管理者として当然浸水被害を未然に防止する施策・工事を講じなければなりません。
次の質問をいたします。
ア、河川のはんらんは防止するのが河川行政の役割であって、大雨を想定した河川構造にはなっていないのではないでしょうか。自然災害、人災を問わず、浸水被害を未然に防止する河川にはなっていないのではないか。自然災害といわず、大量の集中豪雨にも対応できる河川整備が必要ではないでしょうか。所見を伺います。
イ、2月5日に開催された安里川はんらん解析の結果、説明会が開催されました。県は自然災害を主張、市民は人災と主張。補償の対象にすべきだと譲らず平行線をたどっております。経過と対応について伺います。
次に、モノレールについて伺います。
(2)番、首里駅から西原入り口までのモノレールについて。
第7回延長検討委員会の開催が20年3月21日に予定されております。第6回検討委員会の中ではA-3福祉センター改良案とA-4浦添ルート案に絞られ、県民・市民の生活向上、交通利便性、アメニティー向上等を含めた総合判断として浦添案を優位な案として結論としたいということでありましたけれども、最終的には住民の意見を集約し、3月の第7回検討委員会で決定することになりました。
次の質問をいたしたいと思います。
県民の意見はどのように収集したか。意見集約はどのようになっているのか。延長ルート案の選定の今後の進め方について伺います。
最後に、教育行政について。
特別支援学校編成整備計画について伺いたいと思います。
沖縄盲学校編成に伴う、知的障害児も通学する特別支援学校に移行させる計画案に対し、視覚障害教育の専門性の維持が要求されております。これに対し、教育長は教員の署名活動を制限いたしております。所見と対応を伺いますけれども、このことについてもきのうの狩俣議員の質問で大体の方向性はわかっておりますけれども、今後は関係者と十分に話し合いたいということでございます。知的障害児と視覚障害者を分離して実施する方向での検討が好ましいと思いますけれども、このような内容での理解でよろしいかどうか答弁を願いたいと思います。
よろしくお願いします。
○知事(仲井眞弘多) 当山先生の御質問に答弁させていただきます。
まず第1に、知事の政治姿勢という中で、歴史教科書問題の経過と認識についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
高校歴史教科書問題につきましては、県内全市町村議会や県議会におきまして教科書検定に関する意見書が決議されました。
また、9月29日には県民大会が開催され、県民の総意として検定意見の撤回と記述の回復を求める決議がなされました。その趣旨を踏まえ、県や実行委員会が政府及び関係団体へ検定意見の撤回等を要請いたしてまいりました。
このことは、国内唯一の悲惨な地上戦を体験しました沖縄県民の平和を希求する強い思いを伝えたものであると認識をいたしております。
次に、同じく教科書問題の中で、訂正申請の承認についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
今回、高校歴史教科書の訂正申請が承認され、広い意味での日本軍の関与の記述が回復されるとともに、沖縄戦における「集団自決」の背景の説明や注釈がつけられるなど、沖縄戦に関する理解を深めるものになっていると考えております。
また、教科書検定意見の撤回につきましては、長期的な取り組みになるものと考えており、今後の国の動向を注視していきたいと考えております。
同じく知事の政治姿勢に係る御質問の中で、福田総理の発言についてのコメントいかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
福田首相の発言に対しましては、コメントする立場にありませんので、言及することは差し控えさせていただきたいと思います。
2番目の知事の公約についてという中での、雇用情勢と失業率全国平均化への決意についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
平成19年平均の雇用情勢を見ますと、完全失業率は前年の7.7%から7.4%に改善しておりますが、失業者が減少する中で就業者数も減少いたしており、必ずしも雇用情勢が改善したとは言いがたい状況にございます。
一方、月ごとの動きで見ますと、就業者数は年の後半から増加傾向にあり、また平成19年11月と12月につきましては完全失業率が3年8カ月ぶりに6%台に改善いたしております。
完全失業率の全国並み改善に向けては、企業誘致や地域産業の振興、雇用対策等を一層拡充強化をしてまいりたいと考えております。あわせて、企業や教育機関、そして関係団体等の理解と御協力を得て「みんなでグッジョブ運動」を展開し、積年の課題であります雇用問題をぜひ改善いたしたいと考えているところでございます。
次に、基地問題に関連いたしまして、暴行被疑事件への対応及び県民大会の開催についての御質問にお答えいたします。
今回の事件は、女性の人権をじゅうりんする重大な犯罪であり、特に被害者が中学生であることを考えれば、極めて悪質で決して許すことはできず、強い憤りを覚えるものでございます。
県は、福田総理大臣やシーファー駐日米国大使を初め、関係大臣、関係機関に対し遺憾の意を表するとともに、このような事件が二度と起きないよう一層の綱紀粛正及び隊員の教育の徹底を行い、県民が納得するような形で具体的な再発防止策等を講じ、それを公表するよう強く求めたところでございます。
また、軍転協を通じ、海兵隊の削減の確実な実施及びさらなる在沖米軍兵力の削減などを米軍を初め日米両政府に対し強く要請したところでございます。
なお、県民大会につきましては、被害者及び御家族の心情や意向にも十分に配慮することがまず第一であり、その上で広く県内の各界各層の声を聞く必要があると考えております。
次に5番目の柱の、沖縄振興計画に関連いたしまして、第3次分野別計画の素案、振計後期の所見いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
第3次分野別計画につきましては、第2次計画の実績や状況の変化を踏まえつつ、各施策について成果指標及び関連施策の見直しを行っております。
具体的には、観光客数の目標値を650万人から720万人に、さらに情報通信関連産業の雇用者数の目標値を2万2400人から3万3700人に上方修正いたしております。沖縄振興計画後期は、残された課題の解決に向けて沖縄の自立的発展の基礎をさらに固め、新たな飛躍を図る重要な期間であります。
このため、県といたしましては、第3次分野別計画に基づき、産業・雇用の拡大や観光客1000万人の達成等に向けまして、施策及び事業実施の加速化を図ってまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させます。
○知事公室長(上原 昭) 在沖米総領事の発言についての御質問にお答えします。
在沖米総領事の発言は報道等により承知しておりますが、代替施設を沖合へ寄せることについては、地元住民の生活環境に配慮するため、移設先である名護市が日本政府に対し、基本合意書に基づき要求しているものであり、県としても、その要求にこたえるよう政府に求めているところであります。
また、代替施設に係るアセス手続は、法及び条例に基づくものであり、今後、適切な調査の実施により、その結果を踏まえ、住民の生活環境や自然環境に十分配慮すべきは当然のことと考えております。
次に、住宅地区上空の飛行と沖合移動についてお答えします。
V字型案となった経緯については、名護市及び宜野座村の住宅地区上空を飛行ルートから回避するため、平成18年4月に両市村と日本政府が交わした基本合意書に基づき、日米両政府が合意したものであると認識しております。
名護市の可能な限り沖合へ移動していただきたいとの要求は、同市が政府と交わした基本合意書に基づき、周辺住民の生活環境等に配慮する観点から要求しているものであります。
そのため、県としても、地元の意向を踏まえ、できるだけ沖合に寄せてほしいということを政府に対し申し上げているところであります。
次に、現行案の経緯と所見についてお答えします。
県としては、普天間飛行場の移設に当たっては、地元の理解や協力を得ることが不可欠であり、具体的な建設計画の策定については、県や地元市町村等の意向を踏まえ、住民生活及び自然環境に十分配慮する必要があると考えております。
石破防衛大臣は、第6回協議会において、今後、環境影響評価の手続を進める中で、客観的なデータを収集・評価の上、地元にも丁寧に説明し、それに対する地元の意見を真摯に受けとめ、今後とも誠意を持って協議していく旨を発言しております。
また、同協議会において、町村官房長官から、沖合へという話も念頭に置いて、できるだけ早期に決着させるよう最大限に努力していきたい旨を発言しております。
県としては、政府が解決に向けて前向きかつ確実に取り組んでいただければ、この問題が早期に進展するものと期待しており、県としても協議を進めていきたいと考えております。
次に、修正案への県の対応についてお答えします。
県が求めているのは、日米両政府が合意したV字型案を基本にしながらも、地元の意向を踏まえ、できるだけ沖合に寄せてほしいということであります。
先ほども申し上げたとおり、去る2月7日の第6回協議会で町村官房長官から、沖合へという話も念頭に置いて、できるだけ早期に決着させるよう最大限に努力していきたい旨を発言しております。
対米関係については、政府において整理されるものと考えております。
次に、即応訓練についての御質問にお答えします。
県は、嘉手納飛行場における即応訓練について、訓練の通知を受けた2月8日、米軍及び沖縄防衛局に対し、周辺住民に著しい影響を及ぼさないよう十分配慮をすることを申し入れております。
県としては、米軍の訓練等により県民に被害や不安を与えることがあってはならず、県民の生命、生活及び財産へ十分に配慮すべきであると考えております。
以上であります。
○文化環境部長(知念建次) 知事の政治姿勢の中で、ジュゴン訴訟の米連邦地裁の判決と環境影響評価との関係についてお答えいたします。
米連邦地裁の沖縄ジュゴン訴訟において、ジュゴンへの影響に関する資料を法廷に提出するよう米国防総省に命ずる判決が出たことは承知しております。
本県のジュゴンにつきましては、我が国においても文化財保護法の国指定天然記念物に指定されていることや、環境省及び本県のレッドデータブックにおける絶滅危惧ⅠA類に指定されており、その保護については重要であると認識しております。
県としては、普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価の手続において、適切かつ十分な環境影響評価の実施を求め、ジュゴンを含む動植物の保護・保全や生活環境への影響に十分な配慮がなされるよう求めていく考えであります。
次に、基地問題との関連で、知事意見で修正や追加説明を求め、書き直しを要求した経過と対応についてお答えいたします。
普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書については、環境影響評価法に基づく埋め立ての事業及び沖縄県環境影響評価条例に基づく飛行場の設置の事業について合冊して作成されていることから、それぞれの規定に基づく期限内に知事意見を述べております。
昨年12月21日の条例に基づく知事意見においては、事業内容等が決定しておらず、具体的に示すことは困難との回答が余りにも多く、的確に答申することは困難、方法書手続は、事業内容がある程度決定した上で再度実施するべきものと思料するとの審査会からの答申を真摯に受けとめるよう述べております。
また、1月21日の法に基づく知事意見においては、1月11日に開催した審査会において、埋立事業に係る150ページ余の事業内容等について説明がなされたが、その時期が答申の直前であったことから十分な審査期間が確保できず、書き直しをさせる必要がある旨の答申がなされたことから、書き直しを求めたものであります。
事業者は、法及び条例に基づく知事意見を踏まえ、追加・修正資料を作成し、2月5日に公表するとともに、県内5カ所で2月18日まで閲覧を実施したところであります。
県においては、追加・修正資料について知事意見の反映状況や調査、予測手法について審査会からの意見を踏まえ、事業者に対し県の意見を述べていく考えであります。
次に、海砂採取による海砂の消失や環境への影響についてお答えいたします。
普天間飛行場代替施設建設事業に係る埋立用材については、沖縄島周辺の海砂1700万立方メートルを用いると沖縄防衛局から説明がなされたところであります。
しかしながら、県内の年間海砂採取量からすると著しく大量であるため、県外も含めた調達先の複数案を検討するよう知事意見で述べたところであります。
これに対し、沖縄防衛局が提出してきた追加・修正資料においては、しゅんせつ土を含む建設残土の受け入れや県外からの調達等も含め、具体的に検討を行うとの見解が示されたところであります。
県としては、埋立用材の確保に当たっては、当該事業実施区域及びその周辺の生態系に著しい影響を及ぼさないよう十分な配慮が必要であることから、今後、環境影響評価手続において必要な意見を述べていきたいと考えております。
次に、代替施設建設は爆音や演習被害、自然環境への甚大な影響が考えられるが、アセスについての認識と所見ということについてお答えいたします。
環境アセスメントは、土地の形状の変更や工作物の新設などで環境に著しい影響を与えるおそれのある大規模な事業の実施前に、事業者みずからがその事業が環境にどのような影響を及ぼすかについてあらかじめ調査、予測及び評価を行い、その方法及び結果について住民や地方自治体から意見を聞き、それらを踏まえて、環境の保全の観点からよりよい事業計画を作成していくことを目的とした制度と認識しております。
県としては、今後、環境影響評価手続において地域の環境保全に責任を有する立場で適切に審査を行い、関係市村長意見、住民等意見、審査会の意見等を踏まえ、環境の保全の見地から知事意見を述べていきたいと考えております。
次に、平和行政について、沖縄の学童疎開と学童疎開史の編さんについて一括してお答えいたします。
沖縄の学童疎開は、もう一つの沖縄戦と言われる場合もあり、その体験は「ヒーサン」、「ヤーサン」、「シカラーサン」という言葉に象徴されるように、子供たちにとっては大変過酷なものであったと認識しております。
県におきましては、平成16年度に疎開関係者実態調査事業を行い、疎開者及び疎開受け入れ関係者5596名の名簿を作成いたしました。名簿を作成する過程で県内市町村や疎開受け入れ先の市町村及び疎開者関連団体への問い合わせや新聞広告等を通じて情報提供の呼びかけ等を行いました。
調査の成果として「疎開関係者実態事業調査報告書」を作成し、実態調査の結果のほかに疎開学童の体験談等も記載しております。
また、戦後60年の節目に当たる平成17年度には、疎開関係者交流事業の実施や平和祈念資料館における特別企画展「沖縄戦と疎開」の開催、疎開学童証言ビデオ「やーさん ひーさん しからーさん」を製作しました。
沖縄学童疎開史の編さんにつきましては、貴重な御提言として承り、これらの報告書や証言ビデオ等を有効に活用して、次世代へ沖縄の学童疎開について継承していきたいと考えております。
以上でございます。
○土木建築部長(首里勇治) 知事の政治姿勢の中で、暫定税率延長の背景についての御質問にお答えいたします。
道路特定財源制度は、我が国の戦後の急速な道路交通の発達に伴い、立ちおくれている道路を計画的に整備すべく昭和29年に創設されており、受益者負担に基づき自動車利用者に課税し、その税収を道路整備財源とする理にかなった税制度であると考えております。
特に、本県においては、戦後も27年間にわたり米軍統治が続き、道路の本格的な整備は昭和47年の復帰以降に始まっております。
復帰記念事業としての本島一周道路の整備を初め、宮古、石垣、西表、久米島の各離島の一周道路や沖縄自動車道、那覇空港自動車道の整備など、本県の道路整備を着実に進めることができた背景には、道路特定財源制度による安定した財源の確保と沖振法に基づく高率の国庫補助制度によるところが極めて大きいと考えております。
次に、道路整備の状況及び暫定税率の延長が必要な理由についての御質問にお答えいたします。
本県における車両台数と道路延長の推移を比較しますと、本土復帰当時の車両台数が約19万8000台、道路延長が約4200キロメートルに対し、平成18年度末の車両台数は約94万2000台、道路延長は約7800キロメートルであり、道路延長の約1.8倍の増加率に対し、車両は約4.7倍で、道路の2倍以上の増加率となっております。
また、人口・車両台数当たりの道路延長を全国の平均値と比較しますと、人口当たりが62%、車両当たりが56%で、本県の道路延長は全国平均の約6割程度と低い状況にあります。
本県の道路は、本土復帰以降に本格的な整備が始まりましたが、当初の道路整備は未舗装道路の解消を図る観点から、最小幅員の2車線道路で道路の延長そのものを伸ばしていくことを課題として本島や各離島の一周道路の整備を進めてきました。
その後、都市部の過密化による交通量の急増に伴い、その対策として交通容量の拡大を図るべく、沖縄自動車道を初め中南部地域の主要道路の4車線化を進めてきましたが、物件補償費や道路の大型化に伴う建設コストの増大等により、整備の進度が交通量の増加に追いつかない状況にあります。
しかしながら、那覇空港自動車道や沖縄西海岸道路等の骨格道路の整備を初め、都市部の渋滞対策や島チャビを解消する離島架橋などの地域に密着した生活幹線道路に至るまで、多くの道路がまだ整備の途上にあります。
さらに、今後の基地返還跡地の道路整備やモノレール延長に伴う軌道げた等のインフラ整備などを着実に推進していくためには、暫定税率の維持延長による整備費用の確実・安定的な確保が極めて重要であると考えております。
次に、暫定税率の廃止を支持する世論についての御質問にお答えいたします。
ガソリン価格の上昇に伴い、暫定税率の延長に反発する市民の声についてはマスコミの報道等で承知をいたしております。
現在、国や県が推進している道路整備として、那覇都市圏の渋滞緩和を目指す那覇空港自動車道及び沖縄西海岸道路の整備や離島苦の解消策としての伊良部架橋、あるいは通学児童の交通安全に資する歩道整備など、本県の道路整備を着実に進めていくことが必要であると考えております。
昨年3月には沖縄西海岸道路の豊見城道路の開通により豊崎埋立地へのアクセスが飛躍的に向上し、次々に企業進出が決定したところであり、本県の振興に果たす道路の役割がいかに重要であるかを示していると考えております。
県としましては、県民の暮らしと均衡ある経済の発展を支える大所的見地に立ち、道路整備に必要な暫定税率の維持延長について県民の理解を得ることが重要であると考えております。
次に、暫定税率が廃止された場合の地方税収への影響及び一般財源化された場合の影響についてお答えいたします。
本県の本年度の道路整備費は、直轄、県、市町村合計で1047億円であり、財源の内訳は、国庫金が約9割を占め、残りの1割を地方税収等で賄っております。
本年度の事業費をもとに暫定税率が廃止された場合の影響額を試算しますと、総額1047億円のうち513億円が失われるものと思われます。
地方税収は、軽油引取税や自動車取得税などの税目で構成しており、直轄事業の負担金や県単独の道路維持・整備費用に充てられ、本年度は約90億円の税収を見込んでおりますが、この税収も約45億円に半減するものと試算しております。
次に、一般財源化の議論につきましては、平成18年12月の政府閣議で税収の余剰分を一般財源化することが決定されましたが、本県を初め全国の自治体においては、道路整備の需要が減り、税収が余ったという認識はありません。
税収の余剰問題については、政府の財政改革方針による公共事業の抑制、いわゆるマイナスシーリングが続き、毎年安定的に徴収される特財税収に対して道路事業費が結果的に下回ったことを余剰と呼んでおり、いわばつくり出された余剰であると考えております。
本県を初め本土の地方部においては、自動車は欠くことのできない交通手段であり、特に本県の場合は、那覇市域でモノレールが開業したものの、交通分担率は本土の鉄道の25%に対して1%の分担率となっております。
慢性的な那覇市の渋滞を緩和すべく整備に取り組んでいる那覇空港自動車道や沖縄西海岸道路を初め、離島苦を解消する伊良部架橋など、都市部から地方部に至るまで、真に必要とする道路はぜひとも整備を継続し、県民生活の向上、企業活動に必要な社会基盤として、次世代への確かな資産として継承していくことが道路行政の使命であると考えております。
次に、土木行政関連の中で、集中豪雨にも対応できる河川整備についての御質問にお答えいたします。
安里川につきましては、浸水被害の軽減を図るため、河川改修とあわせて安里川に金城ダム、真嘉比川に真嘉比遊水地を建設してきました。両施設の完成により治水安全度の向上を図ってまいりましたが、未整備区間においては依然として浸水する可能性があることから、浸水被害を解消するために下流から順次河川改修を実施しているところであります。
現在は蔡温橋工事により河川を拡幅するとともに、牧志・安里地区市街地再開発事業と連携して河川改修を進めており、順調に進捗した場合、再開発事業区間は平成21年度には完了し、柳通りや国際通り周辺の浸水被害の軽減が大きく図られるものと考えております。
今後とも、地権者の協力を得ながら重点的に安里川の河川改修を進めていく考えであります。
次に、住民説明会においての経過と対応についての御質問にお答えいたします。
去る2月5日に住民説明会を開催し、「安里川出水解析委員会」の結論として、安里川の未改修区間の流下能力55立方メートル毎秒を大幅に超え、2倍に相当する110立方メートル毎秒の洪水が発生しており、はんらんシミュレーションによると、蔡温橋の工事にかかわらず、流下能力が特に低い昭和橋上流付近から溢水はんらんが始まっていること等を説明いたしました。
また、この結論を受け、今回の安里川はんらんは自然災害であり、補償の対象とはならないとの県の考え方を説明いたしました。
しかしながら、その中で再度の説明会を行ってほしいとの意見があり、さらなる説明会を行うことについては現在検討しているところであります。
次に、モノレール延長の県民意見収集等についての御質問にお答えいたします。
モノレール延長に当たっては、検討過程の透明性を確保し、県民へ幅広くわかりやすい情報提供と意見収集を行うため、12月中旬から1月下旬までの45日間、住民参加型の計画手法であるPI、すなわちパブリック・インボルブメントを実施しました。
意見収集は、各駅や延長する沿線地域、那覇以北の高速道路沿線自治体等においてパンフレットを配布し、アンケートに回答する方法とし、1万7000部の配布に対し約5700部の約33%の回収率で、地域別、年齢別、就業者別に幅広い意見を収集することができました。
その集約結果は、モノレール延長の必要性や事業化に対しては9割以上の高い理解度と賛同があり、延長ルート案の意見については、現在、地域別や乗客予測割合別に集計・分析中であります。
今後、3月予定の第7回延長検討委員会において県民意見も参考に総合的に審議され、延長ルート推奨案が選定される見込みであり、それを受けて、事業主体である県と那覇市において国や関係機関と協議した上で正式に延長ルート案を決定する考えであります。
以上であります。
○教育長(仲村守和) それでは知事の公約についての御質問で、少人数学級編制の実施状況についてお答えいたします。
本県では、平成14年度から小学校1年生、平成16年度には2年生へ拡大して、低学年において一律35人学級編制を実施しております。
次に、30人学級の実現と検討委員会の進捗状況についてお答えいたします。
現在、30人学級制度設計検討委員会で実務的な作業を進めているところでありますが、平成20年度における30人学級編制の実施につきましては、施設状況等を踏まえながら、教員定数全体の枠の中で小学校1年生で導入をしていきたいと考えております。
次に、各県における少人数学級の状況についてお答えいたします。
少人数学級編制につきましては、児童生徒の実態等を考慮して全県一律に国の標準40人を下回る学級編制基準を設定することが可能となっております。
平成19年度においては、46道府県において、小学校の低学年を中心に40人を下回る少人数学級が実施されております。
次に、教育行政についての御質問で、視覚障害教育の専門性維持と署名活動への対応についてお答えいたします。
近年の障害の重度・重複化や多様化の現状を踏まえ、従来の盲・聾・養護学校は複数の障害種に対応する特別支援学校制度へ改められました。
視覚障害教育の専門性の維持の要求については、沖縄盲学校の持つ専門性の維持等に不安を感じておられることのあらわれと受けとめております。
県教育委員会としましては、今後とも保護者等へ不安や懸念が解消されるように十分な説明と意見交換を行いながら、理解を得ていきたいと考えております。
また、署名活動に関する情報提供のメールにつきましては、文章中に教職員の活動を規制するかのような不適切な表現が含まれていたことから、2月6日付で撤回と破棄を通知したところであります。
今後、このようなことが再び起こらないよう、「人権ガイドブック」の活用や職場研修等により職員の基本的人権に関する理解を深め、人権を尊重する職場環境づくりに取り組んでまいります。
以上でございます。
○福祉保健部長(伊波輝美) 知事の公約についての中の、5歳児保育の問題解消についてにお答えいたします。
本県では、5歳児の多くが小学校併設の幼稚園等へ就園していることから、下校後の保育ニーズが生ずることがあります。
このため、県では、保育所の整備や公立幼稚園における午後の預かり保育の充実を促進し、5歳児の受け入れ体制の整備を図っているところでございます。
続きまして、保育所入所待機児童の解消についてにお答えいたします。
県では、待機児童解消のため、保育所の創設、分園設置、定員の弾力化、認可外保育施設の認可化等を保育の主体である市町村と連携しながら進めております。
こうした取り組みにより、過去5年間では4776人の定員増を図ってきましたが、平成19年4月1日現在で1850人の待機児童がいることから、引き続き待機児童解消のための諸施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
続きまして、60名定員の保育所整備にかかる建設費及び運営費の額並びにその財政負担についてにお答えいたします。
保育所建設にかかる費用につきましては、建設場所の状況等により異なりますが、平成18年度に創設された60名定員の認可保育所の建設費の平均は約1億500万円となっております。
また、60名定員の保育所にかかる1施設当たりの年間の運営費助成については、平成18年度の平均が約5800万円となっており、負担割合は国4分の2、県及び市町村がそれぞれ4分の1の負担となっております。
以上でございます。
○観光商工部長(仲田秀光) 知事の公約に関する御質問の中で、雇用拡大につながる企業誘致策についてお答えします。
県では、特別自由貿易地域、情報通信産業特別地区、金融業務特別地区、産業高度化地域、情報通信産業振興地域のいわゆる経済特区に認められた税制優遇措置や、沖縄県企業立地促進条例に基づく助成金などを活用し、関係市町村等と連携して企業立地を推進しております。
今後は、8000人の雇用増が見込まれるIT津梁パーク整備事業の推進、特別自由貿易地域の土地の減額譲渡制度の活用及び国際物流関連企業の誘致などにより、雇用拡大に努めてまいります。
次に、4万人の雇用創出の具体的な戦略についてお答えします。
4万人の雇用拡大に向けては、企業誘致や地域産業の振興、雇用対策等を一層拡充強化する必要があります。このため、企業誘致の強化とあわせて、地域産業の振興については、沖縄イノベーション創出事業や沖縄デザイン戦略構築促進事業等を実施して新商品の開発や市場競争力の強化を推進します。
雇用対策としては、土木業の職種転換を促進するための支援事業、インターンシップ拡大強化事業、就職困難者総合支援事業等に取り組んでいきます。
これら事業の実施とあわせて、「みんなでグッジョブ運動」の浸透を図りつつ、企業や教育機関、経済団体等との連携を強化し、ミスマッチ対策や就業意識の改善に取り組んでまいります。
以上でございます。
○総務部長(宮城嗣三) 2008年度沖縄県予算案についてに関連しまして、予算の要求額等についてお答えいたします。
平成20年度予算の各部局からの概算要求額は、合計で約5936億円であります。予算額は5901億円となっており、概算要求額に対する比率は99.4%となっております。
予算の措置率が高い理由は、予算全体に占める義務的経費の割合が8割以上であることや、平成20年度当初予算編成からこれまで以上に各部局の権限と責任のもと、主体的な行財政改革を実行するとともに、事業の取捨選択が行われるよう、政策的経費全体について枠配分方式を導入したこと等によるものであります。
次に、県民生活に直結した事業への取り組みについてお答えいたします。
平成20年度予算の編成に当たりましては、「沖縄県行財政改革プラン」の着実な推進に努めるとともに、現下の厳しい財政状況のもと、これまで以上に事業の取捨選択を徹底し、県民生活に直結した各種施策に重点的・効果的に予算を措置しております。
予算を措置した具体的な施策を例示いたしますと、福祉・医療の充実では、認可外保育施設への給食費助成や、乳幼児、母子家庭及び障害者への医療費助成、放課後児童クラブへの運営費補助などの福祉の充実、救急医療用ヘリコプターの活用、医師確保のための施策、沖縄赤十字病院の移転新築への助成、病院事業会計への繰出金など医療の充実。
雇用の創出の部分では、沖縄型職業教育プログラムなどを実施する沖縄地域雇用創出事業、就職が困難な障害者等への支援を目的とした就職困難者総合支援事業などに所要額を措置したところでございます。
また、教育・文化振興では、沖縄国際アジア音楽祭(仮称)や全国高校総体へ向けた事業の推進、小・中・高マスターイングリッシュ推進事業やスクールカウンセラー配置事業、放課後子ども教室推進事業などを実施するほか、離島振興では、地上デジタル放送推進事業や離島地域広域連携推進モデル事業などの推進。
産業振興の部分では、沖縄IT津梁パーク整備事業等の実施による情報通信産業の高度化、国際観光地プロモーションモデル事業の実施による観光の質の向上、さとうきび生産総合対策事業等の実施による農林水産業の振興などについて所要額を措置したところであります。
また、基盤整備では、新石垣空港建設事業や伊良部架橋建設事業、農業生産基盤整備などの主要継続プロジェクトについて必要な予算を措置しているところでございます。
次に、自主財源の確保を強化するための取り組みについてお答えいたします。
地方公共団体における自主・自立的な行財政運営を推進する観点から、自主財源の確保は重要な課題であります。
このため、県としましては、「沖縄県行財政改革プラン」に基づき、県税の徴収強化や使用料及び手数料の定期的な見直し、未利用及び貸付県有地の売り払いなど、自主財源の確保に努めているところであります。
また、さらなる自主財源確保の取り組みとしまして、法定外目的税等の新税の創設や広告収入、施設命名権の導入などの新たな収入源の確保策について全庁的に検討を進めてまいります。
中長期的には、本県経済の活性化に結びつく産業振興施策の推進による税源の涵養に取り組んでまいります。
次に、主要4基金の残高、県債残高についてお答えいたします。
平成20年度予算については、県税等の自主財源の伸びが期待できない反面、社会保障関係経費の増大などにより多額の収支不足額が発生し、主要基金の取り崩しや県債の発行により対応したところでございます。その結果、平成20年度末における主要4基金の残高見込み額は211億円、一般会計の県債残高の見込み額は6521億円となっております。
続きまして、今後の収支不足の見通しと対策についてお答えいたします。
国、地方を取り巻く厳しい財政状況の中、平成20年度当初予算におきましては、給与の特例措置や政策的経費の縮減を行ってもなお387億円の収支不足が生じたため、主要4基金の取り崩し、退職手当債や行革推進債等の発行などにより対応したところでございます。
本県財政は、今後も歳入において、県税や地方交付税などの一般財源の大幅な増が期待できない反面、歳出においては、団塊世代の大量退職に伴う退職金の高どまりや、これまで集中的に整備した施設等に係る償還額の増及び臨時財政対策債の発行に係る公債費の増、さらには制度改正や少子・高齢化に伴う社会保障関係費の増などにより、厳しい状況が続いていくことが見込まれます。
そのため、「沖縄県行財政改革プラン」の着実な実施はもとより、県税の徴収率の向上、使用料・手数料の定期的な見直しなど、自主財源の確保、職員数の適正化、事務事業の見直しなど、財政健全化策をこれまでにも増して徹底的に進めてまいります。
○企画部長(上原良幸) 沖縄振興計画についての御質問で、第1次分野別計画の総括と第2次計画の取り組み状況につきまして、一括してお答えいたします。
第1次分野別計画の期間中においては、財政状況が厳しさを増す中で、全国的な沖縄人気を背景に観光客数が大きく増加したほか、健康食品や泡盛等の県外移出が好調に推移しました。また、情報通信関連産業を中心に企業の立地や雇用の創出が進み、本県の経済産業は総体として着実に進展しました。
第2次分野別計画では、こうした成果を引き継ぐとともに、成果指標等の見直しを行い、より実効性のある諸施策の展開を図ってまいりました。その結果、入域観光客数が6年連続で過去最高を記録したほか、多数の企業誘致や雇用の創出を実現するなど、着実な成果を上げております。
同じく沖縄振興計画との関連で、平成16年度の実績と第2次計画の目標達成の状況についてお答えいたします。
平成16年度を最終年度とする第1次分野別計画については、11の分野別計画で設定した229指標のうち、約4割に当たる89の指標で目標を達成しております。
また、第2次分野別計画の現時点における達成状況は、観光関連産業で観光客数が目標を達成した一方、デフレ等の影響で1人当たり観光消費額が達成困難な状況にあります。
情報通信関連産業では、雇用者数や誘致企業数等で目標を達成しておりますが、農林水産業では価格の低迷等から生産額が未達成な状況にあります。
雇用の分野では、新規雇用者数、高校生及び大学生就職率等が目標を達成する見込みであります。
製造業においては、物流面のコスト高や市場競争の激化等により製造品出荷額で目標達成が困難な状況にあり、社会資本整備では公共事業の減少等により一部指標で未達成の見込みとなっております。
以上であります。
○当山 全弘 本日の代表質問は、同僚議員の御配慮によりまして38分というたくさんの時間をちょうだいいたしました。あと8分残っておりますけれども、ここで私の最後のごあいさつを申し上げて締めくくりたいと思っております。
本日、議場での最後の代表質問を終わることになりました。
平成8年6月、県議会議員となり、3期12カ年にわたり、大田・稲嶺・仲井眞知事と議論を交わすことができました。これもすべて県民福祉向上のための質問・提言でありました。
戦中派と言われた議員が議長を初めほとんど勇退をいたします。
平和行政の後退は許されません。
県民の生活環境、至るところで米軍基地から派生する事件・事故は後を絶ちません。その米軍の起こす事件・事故の課題解決については全力で取り組む必要があります。
気になることを申し上げます。
米軍基地からの事件・事故が後を絶たない現状において、子供や孫たち、負の遺産となる新基地建設が進められようとしていることについては不安を感ずるものであります。
今期限りで勇退する議員、国政を目指す議員、そして6月の厳しい県議選を戦われる議員の皆様方の御健勝と御奮闘を心より祈っております。
最後になりましたけれども、仲井眞知事を初め執行部の皆さん、県議会の皆さん、健康にはくれぐれも留意され、県民福祉向上のためになお一層頑張っていただきたいことをお願い申し上げたいと思います。
本当にお世話になりました。イッペーニフェーデービル。ありがとうございました。(拍手)
○議長(仲里利信) 以上をもって代表質問は終わりました。
本日の日程はこれで全部終了いたしました。
次会は、25日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後3時31分散会