○議長(髙嶺善伸) これより本日の会議を開きます。
日程に入ります前に報告いたします。
説明員として出席を求めた人事委員会委員長仲吉朝信君は、所用のため本日から10月2日まで、10月5日及び6日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として人事委員会事務局長伊礼幸進君の出席を求めました。
また、労働委員会会長比嘉正幸君は、所用のため本日から10月2日まで、10月5日及び6日の会議に出席できない旨の届け出がありましたので、その代理として本日及び10月2日の会議に労働委員会事務局長比嘉久晶君、30日の会議に同委員会公益委員宮里節子さん、10月1日の会議に同委員会公益委員宮城和博君、5日の会議に同委員会公益委員矢野昌浩君、6日の会議に同委員会会長代理大城光代さんの出席を求めました。
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○議長(髙嶺善伸) この際、念のため申し上げます。
本日から10月2日まで、10月5日及び6日の6日間にわたって行われます代表質問並びに一般質問及び議案に対する質疑につきましては、議会運営委員会において決定されました質問要綱に従って行うことにいたします。
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○議長(髙嶺善伸) 日程第1 代表質問を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。
浦崎唯昭君。
〔浦崎唯昭君登壇〕
○浦崎 唯昭 おはようございます。
自由民主党を代表し、昨今の政治情勢について所感を述べながら質問を行います。
8月30日に施行された第45回総選挙において政権交代という歴史的審判が下され、9月16日の特別国会冒頭で新しい首相に鳩山由紀夫氏が選出され、組閣も終わり民主党連立政権が正式に発足をいたしました。
まずは、衆議院総数480人中圧倒的多数の308議席を獲得した民主党の勝利に祝福を申し上げるとともに、今後は国家・国民ひいては沖縄県民のため、国政の運営に誤りなきよう願うものであります。しかしながら、民主党のこの余りに雪崩を打った圧勝、巨大与党化した民主党政権に対して、私は一国民・一県民として一抹の不安も覚えるものであります。無論その裏に表裏一体として我が自民党の歴史的敗北があり、我が党の政権運営に国民が厳しくおきゅうを据えたものだと深く反省しております。
この際、我が党は解党的出直しをすべきだとして党勢の立て直しを図るため、自民党再生プロジェクト会議を立ち上げ臥薪嘗胆、まきの上に伏し苦い肝をなめながら、誇りある党組織再生を目指して谷垣禎一新総裁を先頭に新たなスタートを切ったところであります。
自民党の敗因の理由についてはマスコミ等で数多く報道され、我々としても反省すべきは反省し、清新な保守の理想を基本に日本を具体策で変えるという決意のもと、民主党との対立軸を構築すべく国政における健全野党・政権準備党として、また県政においては県民のための政党として、これまで培ってきた経験を生かしはつらつとした責任政党への道を歩む決意であることを強く申し述べておきます。
我が国の政党政治の歴史をひもとき、また世界を見渡せば多くの政権の勃興があり、勝負は時の運であり、歴史は繰り返すものであることを実感するものであります。
今から800年ぐらい前に成立した平家物語の冒頭は述べております。「祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。沙羅雙樹の花の色、盛者必衰の理を顕す。奢れる者久しからず、唯春の夜の夢の如し。猛き人も遂には滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ。」、人の世の姿を800年前に作者の人生観で述べております。
また、私の友人から中国晩唐の詩人杜牧の唐詩で激励をしていただきました。「勝敗は兵家も期すべからず、恥を忍はこれ男児、江東の子弟俊才多し、土を巻て重ねて来たるをいまだ知るべからず」、勝敗は時の運、自民党は人材多し、一度は敗れたものの再び勢いを盛り返し、土煙を巻き上げて重ねて勝負を挑むであろう。「捲土重来」、まさに我々の深く意図するところであります。その思いを深く込めながら質問をいたします。
まず1、政権交代と新政権で大きく変わる政策等についてであります。
(1)、まず知事に、今回の政権交代に関する知事の素直な意見をお聞かせください。
(2)、また、民主党連立政権はみずからのマニフェスト「子ども手当」等の財源確保のため、既に交付済みの補正予算を回収、あるいは概算要求したばかりの次年度予算について、2800億円から3500億円に引き上げ一括交付金化する等々、制度的に驚天動地の政策でひとりよがりの拙劣で稚拙なものとしか考えざるを得ないのであります。
そこでお伺いいたします。
ア、制度的に一たん地方公共団体に交付し、計画的な執行を予定している財源を政府の単なる意向で回収することは可能なのでありますか。法制度・予算制度、国と地方の問題の3点から考えをお伺いいたします。
イ、この補正予算の回収について、仮に実施された場合の本県における影響額、全国における影響額、そして基金等を活用した事業について御説明をいただきます。
ウ、事業が停止された場合の本県において影響を受ける事業名、民間業者についてお伺いいたします。
エ、本県における喫緊の課題は雇用対策、介護福祉対策、保育対策等福祉にかかわる事業が多いと思われますが、事業停止、財源回収はこれらの事業にどのような影響を与えますか。
オ、さらに他都道府県におけるこの民主党連立政権の事業停止、財源回収に対する動き、方針等についてお伺いをいたします。
カ、もしもこのような事態が起こった場合、既に補正予算及び関連条例を提出している県としていかなる対応、対抗措置をとるお考えでありますか。
(3)、次に、鳩山内閣が打ち出した首相のもとに置かれる「国家戦略局」と「行政刷新会議」についてでありますが、鳩山首相は総選挙後の記者会見で、古い政治から新しい政治への交代と話をしておりました。一部マスコミにも論評されておりましたが、私は、古い体制への逆戻りではないかと心配をしております。なぜならば、各省庁担当大臣がいるにもかかわらず、国家戦略局という屋上屋を架す組織をつくり、また官僚主権の政治から国民主導の政治とも発言しておりますが、これこそ権力の集中以外何物でもありません。また、行政刷新会議も首相のもと、強大な権力を握る機関となり、各省庁から独立し強力な権限も握り、国家戦略局と同様、首相の権力の破格の強化、官邸機能の突出が懸念されるものであります。国家戦略局という名称を聞いたときまず思い浮かんだのは、戦時中に国家総動員体制実現のための中心的組織として設置された総理大臣直属の機関としての「企画院」であります。そしてこの企画院総裁こそ背広を着た軍人と呼ばれた鈴木貞一であり、我が国の太平洋戦争遂行のため国家総動員体制の計画立案・推進・実施に当たったのであります。
また、報道によれば、政府税制調査会会長に藤井財務大臣、副会長も副大臣で、大臣直轄で「政治主導」と報ぜられておりますが、まさに政治主導に名をかりた権力の集中だと厳しく指摘をしなければならないと思っております。
お伺いします。
ア、このような突出した首相直属の国家戦略局や行政刷新会議の設置に関し、果たして地方自治は守られるのか、地方分権は推進できるのか、地方が疲弊し村は滅びて国が栄華を誇るおそれはないのか気がかりになります。鳩山政権の本質についてどう考えておられるのか、所感をお伺いいたします。
イ、国家予算をつかさどる行政機関としての財務省を統括する藤井裕久財務大臣が、内閣府の審議会の一つであり、租税制度に関する基本的事項を調査・審議する政府税制調査会会長につくことは、予算編成権、そして税制創設権を一人の人間、すなわち行政機関としての財務大臣一人に集中させるもので、予算制度と租税制度の一体化(ー極集中)となり、極めて危険な権力の集中であると思います。それについていかがですか。
ウ、歳出予算は各省からの要求を財務省が査定することは当然としても、租税制度を客観的、公平公正、学問的に中長期に検討すべき税制調査会会長を財務大臣が兼ねることは、執行機関と検討・抑制機関の2つの機関の長を兼ね、財務大臣に予算を恣意的に財務省の独断で編成できる権限を与えるものであり、国会においては許されるべきものではないと考えております。それについてお伺いをいたします。
次に2番目、知事の政治姿勢について。
本県は本土から遠く離れた離島県であり、しかも多くの離島を抱えた経済圏域としての狭隘性から来る離島苦や、全国の米軍専用施設の75%が狭い地域に集中していることから派生する米軍による事件・事故等、知事の職務の激務と言われるゆえんであります。特に米軍基地問題、中でも普天間飛行場の早期返還と本土との経済格差の解消を図るため、歴代県政は最重点課題として取り組んでまいりました。沖縄の振興策については、沖縄がさきの大戦で甚大な被害をこうむったことや長い米軍統治下での沖縄の苦しみ、復帰のおくれによる本土との経済格差などに対し、国の責任としてこれまで4次にわたり振興計画が実施されてきており、大きな実績を上げております。
さらに、本県の経済の実態から今後も国による振興策、振興計画、特別措置や高率補助の継続も必要であります。政権交代を果たした民主党連立政権にもこれまで同様、沖縄の実情を深く理解をしてもらいたいと思っております。
さらにまた、普天間飛行場の移設の問題について民主党はどのように対応するのか、明確な姿勢が見えてきません。当初は県外移設を求めるとしておりましたが、民主党・社民党・国民新党の三党連立合意には普天間飛行場の県外移設については明記されておりません。
普天間飛行場の移設問題の原点は、米軍基地の中でも最も危険性の高い空港をいっときでも早く返還させ住民の安全を守ることにあり、そのため県外移設が可能であればそれがベストでありますが、現実的に難しい状況の中で確実に普天間飛行場の早期返還を実現する方策として危険の少ない場所への移設を容認したものであります。
民主党が知事に政策変更を求めるのであれば、まず民主党連立政権の移設問題に対する姿勢を明確にし、その上で県外移設を求めるというのであれば、県外移設に向けた米側との交渉期間や移転完了期間等を明確にした具体的工程表を知事に示すことが先だと考えるのであります。このような状況にあって知事は、今後の県政運営にどのような姿勢で臨まれるのか、その考え方や決意をお伺いします。
ア、知事はいち早く前原沖縄担当相、そして25日には北澤防衛大臣と面談されたようでありますが、県政運営とも深くかかわりますので、その内容についてお聞かせください。
イ、民主党はこれまでの予算編成方針を一変し、国家戦略局で政策事業全体の優先順位をつけて政策を決定し予算編成を行う方針を示すなど、自公政権との違いが鮮明になりましたが、知事は民主党連立政権に対しどのような姿勢で対応するかお伺いをいたします。
ウ、民主党は社民党・国民新党、三党連立政権合意でも県外移設について明記しておりません。知事は新政権に対し、政府として県外移設を進めるだけでなく、その際の具体的工程表(米側との交渉期間・移転完了期間等)を明確に求めるべきだと考えますがいかがですか。
エ、平成23年度に切れる沖縄振興計画を含む4次にわたり振興策を策定した自公政権から民主党政権にかわり、新たな振興計画の策定は初めて新政権が行うことになると思いますが、沖縄の歴史的特性や地理的不利性、構造的問題への理解をどのようにして得ていくかお伺いをいたします。
オ、前原沖縄担当相は、泡瀬沖合埋立事業のⅠ区中断・Ⅱ区中止の考えを表明しましたが、県として今後どのように対応するのかお聞かせください。
3、普天間飛行場移設建設について。
2004年8月13日、米軍のCH53D大型ヘリが沖縄国際大学校庭に墜落し普天間飛行場の危険性が現実のものとなったことを受け、日米両政府は住宅密集地を避けて飛行するなど危険性の除去に向けた対策を実施することに合意しております。しかしながら、日米合意に基づき住宅密集地を避けて飛行すること等、対策は進めておりますが、現状は基地敷地内の上空である場周経路内をはみ出して訓練が行われている状況にあります。
国が設置した普天間飛行場の危険性除去作業班においても実務者レベルでの危険性除去に関する意見交換や検討が行われてはおりますが、県が例示した危険性除去のための訓練の分散移転や部隊の一時移駐については実現のめどが立っていないのが現状であります。
このように米軍の厚い壁は戦後64年を経過した現在でも変わらない状況の中で、普天間飛行場の危険性の除去を図る最大の方策は、現在進めている移設建設を一日でも早く完成させることであります。
このような中で誕生した鳩山新政権は、この普天間飛行場移設問題にどのように対応するのか、今のところ不透明であります。米側は明確に普天間飛行場の移設計画、海兵隊のグアム移転について日本政府と再交渉する考えはないと明言をしております。仲井眞知事も新政権が明確な方針を打ち出さない限り、県として対応のしようがないとの考えではないでしょうか。
我々も県外・国外に移設できるのであればそれがベストであり、望ましい解決策であるとの考えは同じであります。しかし、これまでの歴代県政、なかんずく革新知事のもとでも県外移設は実現しなかった経緯も考える必要があります。仮に新政権が米側に再交渉を求めた場合、米側に国外や県外の移設先を提示できる具体案があるのでしょうか。具体案がない状態での再交渉に米側が応ずるとは思えません。
いずれにしても再交渉に入れば決着までにいつまでかかるのか、これまでの経緯を考えれば事は簡単ではありません。何より心配されるのは、その間、普天間飛行場は現状のまま動かず、場合によっては現状のまま固定化される危険性があるということであります。
そこでお伺いします。
(1)、移設建設の今後の展開について。
ア、在沖海兵隊のグアム移転が大幅におくれているようでありますが、その理由と移設建設作業に与える影響についてお伺いをいたします。
イ、普天間飛行場の3年をめどとする危険性の除去について、現在の進展状況を伺います。また、新政府とこの問題をどのように調整していくか、知事の考えを聞かせてください。
ウ、普天間飛行場移設問題について、政府との話し合いは行われているか。また、政府から県外移設や現在進めている移設建設作業の中止、凍結について具体的言及があったかお伺いいたします。
エ、普天間飛行場の移設建設作業が中止、凍結された場合、普天間飛行場の現在のままの固定化が危惧されますが、予想される今後への影響についてお伺いをいたします。
オ、最近、東アジア地域は軍事的緊張が高まっております。中国の際限なき軍拡、北朝鮮の核の脅威、韓国の軍事費増大等懸念されます。沖縄県及び我が国の安全を保つために負担軽減を求めると同時に抑止力の維持も担保していかなければなりませんが、知事の見解をお聞かせください。
(2)、アセス準備書についてであります。
ア、名護市及び宜野座村に提出したアセス準備書に対するそれぞれの意見書の概要と、特に名護市が提示した沖合への具体的移動距離や宜野座村が求める調査地点の拡大が今後のスケジュールやアセス調査に与える影響について県の考えをお伺いします。
イ、知事意見提出に向け、県環境審で審査が進められておりますが、現在の状況と知事意見提出後の作業工程についてお伺いいたします。
ウ、アセス方法書や準備書のやり直しを求める訴訟が提起されましたが、知事意見や今後の事業計画に影響は出ないかお伺いをいたします。
エ、名護市の移設先での試験飛行(デモフライト)について、調査の概要と知事意見にどのように反映をされているのかお伺いをいたします。
4、県経済の活性化について。
本県は、3次にわたる沖縄振興開発計画に基づく総合的な施策の推進により本土との格差は格段に縮小され、県民生活も大きく向上するなど、社会経済は着実に進展しております。しかしながら、社会資本等については総体として整備は進んでおりますが、道路、港湾、空港等の交通基盤の整備を初め戦後無秩序に形成された密集市街地の再開発など、なお多くの課題が残されております。
本県は多くの離島を抱えた島嶼県であり、しかも本土市場から遠く離れた地理的不利性や全国の米軍基地の75%が集中するという特殊事情もあり、3次にわたる振興開発計画によっても自立への道筋を開くまでには至っていないのであります。このため、平成14年度からスタートした現沖縄振興計画は、これまでの本土との格差是正に重点を置いた振興計画から、沖縄の特性を十分に生かした創造型の振興策への転換を図ったものであります。しかし、自立型経済の構築を目標に掲げ、県経済の自立的発展の基礎条件の整備を重点に置いた現振興計画も、計画期間は既に8年を経過し、平成23年度に終了を迎えます。
国内経済の低迷が続く中、本県は経済の自立に向けた取り組みを官民挙げて進めておりますが、中小零細企業が90%余を占める県内産業の実態、所得水準が全国平均の7割にとどまっている状況など、経済の自立に向けた条件整備はほとんど進展していないというのが実態であります。
このように、本県においては今後とも国による振興策のさらなる継続が不可欠であり、平成23年度に期間満了となる現沖縄振興計画にかわる新たな振興計画の策定が必要であります。
現在、県においては、現沖縄振興計画に基づき実施してきた施策の検証や新たな計画の策定に向けた検討が沖縄振興審議会において審議が進められておりますが、振興計画が延べ40年間続いてきたこと、さらに自民党から民主党への政権交代が行われたことなど、今後の見通しがつきにくい状況にあります。
お伺いします。
ア、新たな振興計画の策定については、現振興計画が沖縄経済の振興・発展に果たした効果等について、徹底した検証と総括が必要であります。特に莫大な国の資金を投入しても本土との経済格差が解消されない根本的要因として何があるのかお伺いをいたします。
イ、新たな振興計画の策定においても経済の自立が柱となると考えますが、これまでの振興策にとらわれず大胆な発想に基づく議論と国による振興計画はこれが最後だとの意気込みが必要だと思いますがいかがですか。
ウ、沖縄振興特別措置法の延長、高率補助制度の維持を図る必要がありますが、その場合、制度の延長・維持は現振興計画の規模・内容やこれまでの高率補助と同等・同質でなければならないと考えます。県の考えをお伺いします。
エ、新たな沖縄振興計画の策定に向けては、現在進めている沖縄21世紀ビジョンとの整合性を含めた議論・検討が必要だと思いますがいかがですか。
(2)、沖縄21世紀ビジョンについて。
21世紀を迎え、世界経済のグローバル化が一段と加速し、それに伴う貿易自由化の国際圧力の強まり、さらに少子・高齢化社会の到来への対応など、我が国経済は大きな転換期を迎えております。その中にあって、本県は3次にわたる沖縄振興開発計画が実施され、社会経済は着実に進展しておりますが、県財政は国に大きく依存しているのが現状であります。このため、これまで国主導の開発型の振興策が必ずしも本県経済の自立につながっていないことの反省から、県主導・県独自の長期構想策定の必要性について各界各層から指摘されるようになりました。
平成14年度から自立型経済の構築を柱として10年の期間でスタートした沖縄振興計画は、平成23年度に計画期間が終了します。本土復帰して37年が経過し、沖縄単独道州への移行を見据えた議論が本格化するなど、大きく時代が変わった今日においても、現在の経済状況から振興計画の継続は必要であることは論をまちません。しかしながら、県経済の独自性の発揮と国依存からの脱却という県政の課題は、今後ますます重要性を増してくるものと考えます。
このような状況に対応するため、県は県民の参画と協働のもとにおおむね2030年のあるべき沖縄の姿を描き、その実現の方向性を明らかにする基本構想として、沖縄21世紀ビジョンの検討を進めております。
同ビジョンは、沖縄県として初めて策定する県独自の沖縄の将来像を示す長期の構想であることから、県及び審議会等においては各界各層からの幅広い意見の聴取を行うとともに、県民に開かれた議論の展開が必要であります。
そこでお伺いをします。
ア、ビジョンはおおむね2030年における沖縄のあるべき姿を描く長期構想であることから、自立した経済社会を担う産業のあり方、財政・財源のあり方等についても一定の方向性を示す必要があると考えますがいかがですか。
イ、国依存からの脱却のための条件整備や自主財源の確保と米軍基地の位置づけ、米軍基地の存在をいかに活用するか、新たな法整備を含めた国の責任のあり方、基地の存在を前提とする場合は基地交付金や基地税の導入等についてはいかがですか。
ウ、嘉手納基地以南の大規模基地返還後の跡地利用を経済の自立にどう結びつけるか。計画策定に国の責任とのかかわりをどう明確化するか、県の考えをお伺いします。
エ、道州制移行後の県と市町村の役割の明確化等について、ビジョンにおいてどのように位置づけていくのかお伺いをいたします。
5、土木建築関係について。
(1)、県内建設業の現状と課題について。
県の建設業相談窓口に企業からの相談が年々増加しているということであります。相談内容は、建設業以外の他の分野への進出や経営基盤の強化に関するものであります。特に、建設業以外の他の分野への進出に関する相談が全体の5割を占めており、県内建設業を取り巻く環境の厳しさがあらわれております。
民間調査機関の調査結果によれば、県発注工事の談合問題で損害賠償金を請求された建設業者の財務分析調査の結果、請求の対象業者で現存する特A企業112社の約3割の33社が支払い困難と分析しております。さらに、公正取引委員会が排除命令を出した152社のうち28社が倒産などにより消滅しているということであります。特に深刻なのは、支払い困難とされた33社は、県が認める分割払い最長10年での支払いでも返済は困難と分析していることであります。
県は、このような県内建設業の厳しい状況に対応するため、県工事の大幅な前倒し発注や沖縄総合事務局や沖縄防衛局に対し国発注公共工事の県内企業の優先発注を機会あるごとに要請しており、さらに県発注工事の最低制限価格を90%に引き上げるなどの対策を実施しております。
このように県内建設業はかつてない厳しい状況にありますが、建設業は県産業の中で大きなウエートを占めており雇用の受け皿であります。建設業の活性化なくして県経済の発展はないとの強い決意で今後の施策を展開することが必要であります。
お伺いいたします。
ア、最低価格引き上げの実施状況と建設業者の反応についてお伺いいたします。
イ、国直轄工事における県内建設業者の分離発注による受注について、過去3年間の推移と今後の拡大に向けた取り組みをお伺いします。
ウ、国直轄工事における県建設資材の県産品の優先使用はどの程度改善されているか、現状と今後の見通しについてお伺いをいたします。
エ、県発注工事に係る談合問題で、一部のAクラス業者は請求根拠を求めて民事調停を那覇地裁に申し立てましたが、県の認識と対応をお伺いいたします。
オ、県内建設業の新分野への進出や経営基盤の強化についての相談件数が倍増しているようでありますが、その概要と県としての建設的対応方針をお伺いをいたします。
次に、6番目に臓器移植法についてであります。
臓器移植法が議員立法により参議院で成立をいたしました。過去に成立した法律は、脳死臓器移植の臓器提供に関する理解が厳しく、移植の数が伸びないのが現状であります。これまで国内での臓器提供者は11年間で81人、海外での移植者は15歳未満の子供を含めて522人にも及んでおります。
来年、世界保健機構では海外での臓器移植の自粛が決議される予定だということで、国会でにわかに議論が高まり、2009年7月13日成立した経過でございます。改正内容は、臓器移植にはドナーの書面による臓器提供の意思表示と家族の同意が必要でありましたが、ドナーの提供の意思が不明か拒否でない場合でも家族の同意で足りるとしたことで、これまで意思表示のできなかった15歳未満の子供からも臓器提供が可能になったことであり、関係者は大きな期待をしているところであります。
そこでお伺いをいたします。
ア、改正移植法第3条には「国及び地方公共団体の責務」とありますが、県は今までどのような啓発事業をしてこられましたか。
イ、改正移植法によれば、本人の書面による意思表示がない場合でも臓器の提供は家族の同意で足りるとしておりますが、基本的には本人の同意が必要だと思いますがいかがでございますか。
ウ、改正移植法は、脳死を人の死と定義して本人の意思表示がない場合でも家族の同意で足りるなど、臓器移植をしやすい措置を講じております。これに対し県は、移植病院の充実、移植手術のできる医師の育成と確保、コーディネーターの増加などの対策が必要だと思いますがいかがですか。
エ、改正移植法の施行期日は来年の7月ですが、それまでの計画内容を示してください。
以上であります。
○知事(仲井眞弘多) おはようございます。
浦崎議員の御質問に答弁をさせていただきます。
まず第1に、政権交代と新政権の政策に係る御質問の中で、政権交代に関する見解についてという御質問に答弁いたします。
今回の政権交代は、直接的には現在の金融危機であるとか景気後退、年金の問題、雇用の問題などなど、将来に対する不安であるとか現在に対する不満であるとか、政治に対する変化を求める国民の判断のあらわれではないかと思います。ただし、これはいろんな専門家、そして政党人がいろんな形で分析をし原因をいろいろと今まとめておられまして、私で全部処理できるような内容ではございません。
したがいまして、今申し上げたことしかお答えできませんが、あえて私見でもう一つつけ加えさせていただきますれば、特に人材の点というのは非常に目立っているのではないかなという感じがいたします。無論これはその政党における選挙戦術、選挙の体制、いろんな面でこれは反省といいますか、敗因であったりいろいろあろうかと思います。そういうことで私の見解はこの程度にさせていただきますが、長年にわたり沖縄県の振興開発にお世話になってまいりました自由民主党、公明党の皆さんの再起をまた切に祈念するところでございます。
次に、同じく政権交代に係る御質問の中で、鳩山政権に対する所感はいかんと、こういうことでございますが、特に鳩山内閣は国民的な視点から政治に取り組むとしておられます。そして、官僚にすべてを頼るのではなくて政治家のリーダーシップによって政策を実現していきたいという強い希望、意思が表明されているやに思います。したがいまして、この政治家のリーダーシップというところが強い特徴ではないかというふうに理解をし受けとめております。
次に、同じく政権交代に係る御質問の中で、財務大臣が政府税調、そして昔で言えば党税調というようなものも全部まとめておやりになるということは権力の集中、その他の面から見ていかがなものかという御質問だったと思います。
この点につきましては、民主党の政策集によりますと、党税制調査会とそして従来の政府税制調査会は廃止をし、財務大臣のもとに政治家をメンバーとする新たな政府税制調査会を設置しと、税制をめぐる政策調整を政府内に一元化するとされております。
これにつきまして私どもの方でどうこう申し上げることは差し控えたいと思いますが、私たちは旧来の政府、そして自民党の政権のときにありました党税調というのは、やはりそれはそれで政府とは違うセンスと感覚でもって必要性を見ていただいたというふうにも思いますし、あわせて政府税調によるきちっと論理的に詰めた税制の問題という両面からの詰め方がさらにその中で財務省に税制の問題が財務大臣に一元化するというのは、少しまだ理解できません。詳しい説明をいただいてからしかコメントできないと考えております。
次に、知事の政治姿勢の中で、前原大臣そして防衛大臣との面談の内容いかんという御質問でございますが、基本的には、まず前原沖縄及び北方対策担当大臣とは、たしか18日に大臣に任命されて直後に取り急ぎということでごあいさつに参上したわけでして、そのときには沖縄の振興・発展にひとつぜひ沖縄担当大臣としてお力添えをいただきたいという趣旨のお願いをしてまいりました。
それに対し、これはそんなに長い時間でもなく五、六分とか10分以内だったと思います。そしてまた、任命された直後だったものですから大変お忙しい中にお時間をいただきました。
そういうことで制約があった中でのお話ですが、沖縄の諸問題の解決に向けて自分もしっかり勉強しやってまいりたいという御趣旨の御発言をいただきました。
また、先日見えた防衛大臣は、今回は沖縄の中でいろんな分野の方々から意見を、特に米軍再編、それから普天間の移設の話について意見を聞きに参られたというような趣旨の御説明がありまして、具体的な話はそんなにやっておりません。
そういうことと、もう一つは、新しく大臣といいますか防衛省としての方針とか考え方はまだ、お帰りになって、そして政府の関係省と詰めてからといいますか、再整備、整理整頓してからというような御趣旨の発言だったと思いまして、まだ新しい政権になってきちっとした政策方針というようなものはお聞かせいただいておりません。
それから次に、民主党政権への対応について。
先ほど申し上げましたとおり、長年にわたって自由民主党、公明党の政府・政権にお世話になってまいりました。しかしながら、今度の国会といいますか政府が民主党さんを中心とし3党で運営されていくという中で、ただ沖縄関係につきましてはもう御案内のとおり、現在の沖振法であれ沖縄振興計画であれ内容的には特に法律については沖縄北方対策特別委員会であるとか、それは衆参両院、そしてまた本会議においては――当時、平成14年ごろですか――全会一致でこれは通していただいております。
そういうことですから、沖縄の振興につきましては、我々も心して与野党の国会の先生方の御理解と御協力を得てきたつもりでおりますから、特にこれから先について心配はしておりませんし、たくさんの今度の与党の国会議員、それから県議会の先生方もおられますから、一緒になってこの沖縄の課題の解決にぜひとも取り組んでいただければと考えているところでございます。
次に、同じく知事の政治姿勢の中で、政府に県外移設の具体的工程表を求めることについて。
これは普天間移設のお話に係るものでございますが、普天間飛行場移設の原点及びその緊急の課題は、現在の普天間飛行場の危険性の除去にあることはもう御指摘のとおりでございます。
県としましては、この飛行場の県外移設がベストとは思いますが、米軍再編協議の経緯等から一日も早い危険性の除去のためには県内移設もやむを得ないという考えでこれまで述べてきたスタンスは今変えておりません。そして議員御指摘のとおり、9月9日に締結されました民主党さん、そして社民党さん、国民新党さんの3党によります政権合意書で、「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」とされておりますが、私どもとしましては、まだその具体的なお話を伺っておりません。そういうことですから引き続き政府としてどのような対応を考えておられるのか、よくお話を伺っていきたいと考えているところでございます。
次に、同じく政治姿勢の中で、新たな振興計画の策定に向け沖縄の構造的な問題への理解をどう得ていくのかという御趣旨の御質問でございますが、沖縄県としましては、民主党政権に対しましても、沖縄の課題や構造的問題などにつきまして十分御理解をいただけるよう、あらゆる機会をとらえ真摯に協議をしてまいりたいと考えているところでございます。県議会の民主党の先生方を含め、そしてまた国会議員の先生方を含め、現在の民主党政権の与党の先生方の力強いお力もぜひいただいてやってまいりたいと考えているところでございます。
次に、普天間飛行場移設についてのお話の中で、危険性の除去の進捗状況と民主党政権との調整についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
県といたしましては、普天間飛行場の危険性を放置することはできないことから、この飛行場のヘリ等の運用を極力低減をし、3年をめどに危険性の除去、そして騒音の軽減を図ることを機会あるごとに政府に対し求めているところでございます。
去る8月11日に開催されました普天間移設協議会のもとのワーキングチーム会合におきまして、防衛省から平成19年8月の報告書に記載された危険性除去の諸施策をすべて実施をし、今年度は普天間飛行場の継続的な飛行航跡調査を実施するとの説明がございました。県からはさらなる危険性除去対策などの対応を求めたところでございます。
この3年めどの閉鎖状態をという私の公約でございますが、この危険性の除去、運用を極力低減させるという方向でこのワーキングチームの中でかなり議論はしてまいりました。まだ今十分満足のいく成案といいますか、形はできてはおりませんが、かなりよく突っ込んだ議論を継続しているところでございます。
次に、同じく普天間飛行場の建設に係る御質問の中で、知事意見書提出に向け現在の状況と意見提出後の作業工程についてという御趣旨の御質問にお答えをいたします。
普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価準備書につきましては、現在、沖縄県環境影響評価審査会におきまして審議中でございます。10月2日に答申をいただく予定となっております。
この審査会からの答申を踏まえまして、名護市長、宜野座村長の御意見を勘案し、また住民等の意見に配意をしまして、10月13日には環境の保全の見地から意見を述べる考えでございます。
知事意見提出後は、事業者において知事意見が勘案されて準備書に所要の修正が加えられ、評価書が作成されることになります。そしてこの評価書が出てまいりますと、同じく公告縦覧そして知事意見と、もう一度このサイクルが回ることに相なり、最終プロセスへ参ることになります。
次に、県経済の活性化に係る御質問の中で、本土との経済格差が解消されない抜本的な要因は何かという御趣旨の御質問にお答えいたします。
復帰後、3次にわたります沖縄振興開発計画に基づく諸施策が総合的に講じられたことにより、社会資本等につきましては本土との格差が次第に縮小するなど着実な成果が上がっているものと考えております。
一方、産業経済面におきましては、沖縄県の地理的な不利性に加えまして、我が国の経済がバブル崩壊後、長期にわたって低成長で推移をしたことなどによりまして十分な成果が上がっておらず、沖縄振興計画では本土との格差是正を基調とする振興開発だけではなく、沖縄の地域特性を生かしました振興策を展開しているところでございます。この間、観光・リゾート産業が好調に推移をし、情報通信関連産業の立地が進むなど取り組みは着実に進捗してまいりましたが、いまだ離島県ゆえの高コスト構造や市場規模の狭隘性等の不利性が克服できておりません。本土との経済格差が解消されない要因がこのあたりにあると認識をいたしているところでございます。
同じく県経済の活性化に係る御質問の中で、新たな振興計画の策定における大胆な発想に基づく議論と意気込みいかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
新たな計画の策定に当たりましては、残された課題について整理いたしますとともに、沖縄21世紀ビジョンを踏まえ、県民が描く沖縄の将来像の実現に向けまして施策を展開していく必要があると考えております。
具体的には、自然環境の保全、そしてその再生・創造や、県土構造の再編につながります基地返還跡地の有効利用、そして国際航空ネットワークの構築と離島航路・航空路の充実及び料金の低減化、離島の持つ総合力の発揮、沖縄の強みを生かした新たな産業の振興などを想定いたしているところでございます。
これらの取り組みを進めることで、沖縄の発展はもとより我が国の発展の一翼を担う観点から議論を行ってまいりたいと考えているところでございます。
同じく県経済の活性化に係る御質問の中で、高率補助制度の維持、延長及び規模、内容についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
沖縄振興特別措置法では、第1に、沖縄が26年余りにわたり我が国の施政権の外にあった歴史的事情、第2に、広大な海域に多数の離島が存在し本土から遠隔にある地理的事情、第3に、米軍施設・区域が集中しているなどの社会的事情等の特殊事情を踏まえまして、高率補助制度等の特例措置が講じられております。これにより、社会資本整備などにおける本土との格差は総体として縮小するなど一定の成果が得られているものの、産業経済などの面でなお課題が残されていることから、これらの状況を踏まえまして、高率補助を含め今後の発展を図る上で必要な制度につきまして検討してまいりたいと考えているところでございます。
同じく県経済の活性化に係る御質問の中で、新たな沖縄振興計画の策定と沖縄21世紀ビジョンとの整合性についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
新たな沖縄振興計画の策定に向けては、総点検の結果を踏まえつつ、残されました課題の解決策や沖縄21世紀ビジョンの実現方策、そして今後の沖縄振興に必要な枠組みなどにつきまして総合的に検討してまいりたいと考えているところでございます。
次に、土木建築関係に係る御質問の中で、最低制限価格の実施状況と建設業者の反応についてという御趣旨の御質問にお答えをいたします。
沖縄県では、緊急的経済対策の一環といたしまして、当分の間、最低制限価格が実質的に90%程度になるように改正を行い、6月22日の指名通知及び入札公告をいたしました工事から適用いたしているところでございます。
最低制限価格を引き上げたことにつきましては、建設業界からの一定の評価が得られているものと考えております。今後は、建設業審議会の答申を踏まえまして、沖縄県の現状に適した最低制限価格を定めていきたいと考えているところでございます。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○総務部長(兼島 規) 政権交代と新政権の政策についての質問のうち、交付決定した国の補正予算の回収に係る問題についてお答えいたします。
国の平成21年度第1次補正予算に係る事業の執行停止につきましては、現在、国において執行の是非を点検しているところであり、現時点では執行停止となる事業等は明らかになっておりません。
「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」では、交付決定の取り消し事由を「天災地変その他補助金等の交付の決定後生じた事情の変更等」に限るとしており、交付決定を取り消すことは、極めて例外的な取り扱いであると考えられます。また、国庫補助事業の執行状況等、個々の事情を勘案することなく、一律に交付決定等の取り消しが行われる場合は、国と地方の信頼関係を損なうことが懸念されるところであります。
次に、国の補正予算が執行停止された場合の影響を受ける県の事業名及びその対応等について一括してお答えいたします。
県は、国の「経済危機対策」に対応し、6月補正予算及び9月補正予算で南北大東地区の地上デジタル放送推進事業や緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用した事業、社会福祉施設の耐震化事業、介護従事者の処遇改善事業、地域活性化のための臨時交付金を活用した観光客誘致緊急対策プロモーション事業及び公共事業関係費などを計上しているところであります。仮に、国の補正予算が執行停止となった場合、経済対策の実施に支障を来し、県民生活の安心・安全の確保や地域経済に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
県としましては、執行停止に伴う影響や他県の動向等を見きわめ、全国知事会等とも連携し適切に対応する考えであります。
以上でございます。
○企画部長(川上好久) おはようございます。
浦崎議員の政権交代と新政権の政策についての中の、補正予算の回収についての本県、他都道府県における影響額、基金等を活用した事業について一括してお答えいたします。
仮に、国の補正予算が全額執行停止された場合、6月補正と本9月補正に計上された経済危機対策関連経費約582億円の執行に影響が生じます。うち基金関連事業については、沖縄県介護職員処遇改善等臨時特例基金など合計10基金の積立分約195億円、うち事業化分約63億円の執行に影響が生じます。
他都道府県における影響額は把握しておりませんが、執行停止の内容によっては、経済・雇用情勢の悪化を招くなど極めて大きな影響が出るものと考えます。
次に、県経済の活性化についての中の、自立した経済社会を担う産業構成や税財源のあり方等の方向性を示すことについてお答えいたします。
現在、沖縄21世紀ビジョンの策定作業を進めている最中でありますが、ビジョンは基本構想であることから、将来像の実現に向けた取り組みの基本方向までを整理することとしております。
今後の産業振興について、現時点では、観光産業や情報通信関連産業に続く新たな産業群の形成を目指すこととしており、具体的な産業構成や施策・事業等については、新たな計画策定の際に検討してまいりたいと考えております。
税財源等のあり方についても、国の法律等にかかわることから、新たな計画策定の際に必要となる制度の創設等について検討を行うほか、税体系の見直し等を踏まえながら、適宜適切に対処してまいりたいと考えております。
次に、国依存からの脱却のための条件整備や自主財源の確保、米軍基地の位置づけと活用及び新たな法整備を含めた国の責任のあり方等についてお答えいたします。
国依存からの脱却に向けては、産業の振興による税源の涵養や自主財源の確保が重要であり、ビジョンでは、現時点で、「観光産業、情報通信関連産業を核とし、農林水産業を含む地場産業、バイオや健康関連等の新産業、低炭素・環境分野や先進医療分野等の次世代産業との連携による産業振興を推進する。」こととしております。
米軍基地については、基地跡地を今後の沖縄の発展に資するよう活用を図る観点から、必要となる法的な枠組みを検討するとともに、米軍基地の整理縮小を進め、将来的には基地のない沖縄を目指すこととしております。
次に、基地返還跡地と県土の有効利用及び交通体系の構築に係る国の責任の明確化についてお答えいたします。
基地返還跡地については、現時点で、「良好な生活空間の確保や、新たな産業の振興、交通体系の整備、自然環境の保全・再生など魅力ある都市空間の形成を図り、沖縄全体の発展を実現する。」こととしております。そのため、「軍用地返還に伴う環境浄化、地権者対策など諸問題の解決と大規模な跡利用を円滑・最適に進めるため、特別立法を含む新たな仕組み・法制度の創設を求めていく。」こととしております。
次に、道州制移行後の県と市町村の役割等の位置づけについてお答えいたします。
ビジョンの策定に際し、地方分権と道州制の議論は、大きな時代潮流の一つとしてとらえているところであります。
全国知事会においても、道州制の基本原則として、まず1つは、地方分権を推進するものでなくてはならない、2つ目に、広範な条例制定権を確立しなければならない、3つ目に、自主性・自立性の高い地方税財政制度を構築しなければならないとしております。また、県と市町村の役割については、基礎的自治体の役割を重視する補完性の原理に基づくものとしております。
県としても、これらの基本原則を踏まえつつ、ビジョンの策定の議論に生かしてまいりたいと考えております。
以上です。
○観光商工部長(勝目和夫) 政権交代と新政権の政策について、新政権の政策が雇用対策に与える影響についての御質問にお答えします。
新政権の「雇用対策」につきましては、三党合意書によりますと、「深刻化する雇用情勢を踏まえ、速やかに緊急雇用対策を検討する。」こととしており、労働者派遣法の抜本改正や雇用保険のすべての労働者への適用などが挙げられております。
県としましては、掲げられた政策等によって雇用対策が図られるものと期待し、今後の情報収集に努めてまいります。
以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) おはようございます。
政権交代と新政権の政策についての中の、介護、保育等福祉にかかわる事業への影響についてお答えいたします。
国の経済危機対策に係る平成21年度補正予算のうち、福祉保健部関係は、沖縄県介護職員処遇改善等臨時特例基金など6基金の造成及び積み増しであります。
これらの基金で実施する事業は、課題となっている介護職員の処遇改善、保育所待機児童の解消、社会福祉施設の耐震化など早急な取り組みが求められているものであります。仮に、これらの事業が凍結された場合、介護労働者や保育所待機児童等、支援を必要とする県民への影響が懸念されます。
続きまして、臓器移植法についての質問の中の、県の臓器移植啓発事業についてお答えいたします。
県においては、毎年10月の「臓器移植普及推進月間」における行事として、沖縄県保健医療福祉事業団等関係団体と連携し、臓器移植を推進するための街頭キャンペーンやシンポジウムを開催しております。また、医療機関を訪問しパンフレットを配布するなど、臓器移植に関する知識の普及啓発に努めているところであります。
続きまして、本人同意の必要性についてお答えいたします。
改正後の法律においては、国会でのさまざまな議論を経て、本人が臓器提供の意思を示し家族が同意した場合に加え、本人が臓器提供を拒否していない場合には、家族の同意により臓器提供が認められることになったものと理解しております。
次に、臓器移植に係る対策についてお答えいたします。
県内においては、沖縄県保健医療福祉事業団に専門医8名による臓器移植推進委員会を設置し医療従事者との連携を図っており、移植医療にかかわる医師を海外研修に派遣するなど移植医療従事者の育成に努めております。また、当事業団に県の移植コーディネーター1名を設置しており、さらに当事業団職員1名も資格を取得し、現在2名体制でコーディネート業務を行っているところであります。
次に、改正臓器移植法施行に向けた計画についてお答えいたします。
改正された臓器移植法の趣旨を踏まえ、街頭キャンペーンなどのPR活動や医療従事者の研修会などを行い、法律の周知徹底を図るとともに、臓器提供の意思表示等の普及啓発及び医療機関との連携を図ってまいります。
以上でございます。
○土木建築部長(仲田文昭) 知事の政治姿勢について、泡瀬地区埋立事業に係る今後の対応についての御質問にお答えいたします。
泡瀬地区埋立事業について、前原大臣は、「Ⅰ期中断、Ⅱ期中止を基本とするが、地域の話を聞きながら、事業評価を踏まえて判断する」旨の発言をしております。
本事業は、地元からの強い要請に基づき実施しているものであり、沖縄市長は、現在工事を進めている第Ⅰ区域については推進することを表明しております。また、沖縄市議会においても圧倒的多数で事業の推進を求めております。
県としましては、現在工事を実施している第Ⅰ区域については、事業効果の早期発現に向け、引き続き事業を推進していく必要があると考えております。
次に、土木建築関係について、国直轄工事における県内企業の受注の推移と今後の取り組みについてお答えいたします。
国直轄事業の地元企業への過去3年間の発注実績の割合は、沖縄総合事務局では、平成18年度は件数で81.0%、金額で48.8%、平成19年度は件数で80.1%、金額で54.6%、平成20年度は件数で80.9%、金額で48.6%、また、沖縄防衛局では、平成18年度は件数で90.5%、金額で62.9%、平成19年度は件数で75.4%、金額で45.0%、平成20年度は件数で83.8%、金額で69.2%となっております。
地元企業の受注拡大の取り組みにつきましては、今年度も昨年度に引き続き、副知事等による国への要請を行っており、今後ともあらゆる機会を通して要請をしてまいりたいと考えております。
同じく土木建築関係について、国直轄工事の県産品優先使用についてお答えいたします。
国直轄工事における県産品の優先使用については、県や県議会等からの要請を受け、工事の特記仕様書に「県産品の優先使用について」の明記や、総合評価方式に県産品の使用状況を新たな評価項目として設ける等の措置を行っているとのことであります。これにより国直轄工事においても、今後、県産品使用の拡大が図られるものと考えております。
同じく土木建築関係について、Aクラス業者調停への認識と対応についてお答えいたします。
Aクラス業者による談合問題に係る民事調停は、ことしの7月に10業者が那覇簡易裁判所へ申し立てております。申し立ての内容は、JVのAクラス構成員の賠償請求の法的根拠と適正な賠償額の確定及び支払い方法の協議を求めるものであります。
県は、談合違約金は、工事請負契約に基づきJV構成員が連帯して支払う義務があると認識しております。調停では、申立人らの意見に真摯に耳を傾けるとともに、県の考え方を十分説明して理解を求めてまいりたいと考えております。
次に、建設業の新分野進出等の相談概要と対応方針についてお答えいたします。
平成19年7月に開設した「ちゅらしま建設業相談窓口」における平成21年7月末までの2年間の相談件数は、新分野進出876件、経営基盤強化678件、雇用関係38件、その他71件で合計1663件となっており、その結果、新分野進出に38社、153件の実績を上げております。
県としては、今後とも新分野進出セミナーを開催するとともに、建設業に関する各種相談ニーズの積極的な掘り起こしのための移動相談を強化し、建設業の支援、活性化に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○知事公室長(上原良幸) 普天間飛行場移設についての御質問で、グアム移転のおくれについてお答えいたします。
「再編実施のための日米のロードマップ」における2014年までの在沖米海兵隊のグアム移転完了を実現するため、防衛省においては、総額約353億円のグアム関連経費を平成21年度予算に計上しております。また、平成20年4月に示された米国国防総省の「グアム統合軍事マスタープラン素案の概要」によりますと、2010年初頭に環境影響評価決定書が署名され、その後必要となる施設やインフラの詳細な計画が策定される予定とのことであり、移設作業が大幅におくれているとの情報は確認しておりません。
同じく普天間飛行場移設に関しまして、普天間飛行場の移設に係る政府との話し合いについてお答えいたします。
去る9月25日に北澤防衛大臣と知事が会談した際、知事からは、今後の方針等について早目に示してくださるよう要望をしました。これに対して大臣からは、「県政を預かる立場として、一歩でも前進することが現実的な判断であるという気持ちもわかる。一方、直近の県民の民意が存在するのも間違いないので、そういう両極にある沖縄の現実をしっかり見たい。」旨の発言がありましたが、県外移設等について具体的な言及はありませんでした。
同じく普天間飛行場移設についての御質問で、普天間飛行場代替施設建設事業中止による今後の影響についてお答えいたします。
普天間飛行場移設問題に関する政府の方針が明らかでない現時点において、予断をもって今後の影響について述べることはできませんが、県としても重大な関心を持って事態の推移を見守っているところであります。
以上であります。
○文化環境部長(知念建次) 普天間飛行場移設建設の中のアセス準備書についての御質問で、名護市長及び宜野座村長の意見の概要と今後のスケジュールへの影響についてお答えをいたします。
普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価準備書について、名護市長は、主に安全性の向上や航空機騒音の軽減等の観点から可能な限り沖合へ移動すること、次に、デモフライトを実施し、その結果を環境影響評価の中で検証すること、4カ所のヘリパッドのうち、最も陸域側に位置するものについては、地元の意向に反していることから適切に対処することといった意見を述べております。
宜野座村長は、主に調査範囲を宜野座村海域まで拡大すること、騒音について飛行ルートを明確にした上でデモフライトを実施すること、事業実施前に米側と運用協定を締結することといった意見を述べております。
県としましてはこれらの意見を勘案して、10月13日に知事意見を述べることにしており、知事意見提出後は、事業者において、知事意見が勘案されて準備書に所要の修正が加えられ、評価書が作成されることになります。
次に、手続のやり直しを求める訴訟が知事意見や事業計画へ与える影響についてお答えをいたします。
本事業に係る環境影響評価の手続のやり直しを求める訴訟につきましては、訴訟が提起されたこと自体が環境影響評価の手続に影響を与えることにはなりませんが、その判決の内容によっては手続をやり直すこと等を検討する必要があると考えております。
次に、デモフライトの概要と知事意見への反映についてお答えをいたします。
国は、地元からの要望等を勘案して去る9月10日にデモフライトによる航空機騒音の測定を実施したところでございます。デモフライトでは、CH53型ヘリコプター2機を使用しまして準備書で示された飛行ルートに沿って、有視界飛行とホバリングを実施して周辺の15カ所において航空機騒音と低周波音が測定されております。
県としましても6カ所において航空機騒音を、2カ所におきまして低周波音を測定したところであります。当該測定結果につきましては、知事意見に反映をする考えでございます。
以上でございます。
○浦崎 唯昭 再質問させていただきます。
知事は民主党政権の特徴的なことで、リーダーシップだというお話でございましたけれども、私はリーダーシップを発揮するまでにはまだ至っていないのではないのかと。これからがリーダーシップがあるかどうかになるのではないのかなと私は思うんですよ。副総理でも財務に口を出し過ぎるとか、それから行政刷新会議でもいろいろと出ておりますし、また金融法案についてもいろんな意見を言っているし、官房長官もあんなこと知らないというようなお話しをなさるのは、リーダーシップではないと思っております。これは私の考えでございます。
それから臓器移植についてちょっと再質問しますけれども、那覇市の健康保険証には臓器移植の意思表示ができる欄があるんですよ。それでこの意思表示についても知事初め各部局長でこのことについても意思表示をすることは大事じゃないかなと思っております。
それから啓発事業についてですね。先ほどの答弁ありましたけれども、幅広い啓発事業がこれから大事だと思いますけれども、啓発事業で民間の適切な団体があろうかと思いますけれども、そこに委嘱をしたらどうかと思っております。
それから県内の移植希望者の数でもあれば教えてください。
以上です。終わります。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午前11時24分休憩
午前11時25分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
福祉保健部長。
〔福祉保健部長 奥村啓子さん登壇〕
○福祉保健部長(奥村啓子) 臓器移植法についての再質問にお答えいたします。
国民健康保険証への意思表示欄の導入という趣旨の御質問ですけれども、現在県内で19市町村が国民健康保険証への意思表示欄を導入しております。
これからも県としても引き続き街頭キャンペーンによる普及啓発、また各自治体への協力依頼を引き続き実施してまいりたいと考えております。
それから県民への普及啓発に関しての民間の活用についても、今後検討してまいりたいと思います。
なお、県内における臓器移植の希望者につきましては、平成20年末で272名おります。腎臓移植希望者でございます、272名おります。
以上でございます。
○座喜味 一幸 自民党を代表して所見の一端を述べ、通告に従い質問をさせていただきます。
去る衆院総選挙で国民は政権交代を選択しました。私は、景気の低迷や医療・年金制度を初めとする将来への不安、そして800兆円を超える公的債務の先送りなど、政治的な閉塞状況、それにまた民主党の御祝儀マニフェストと言われるものが奏功し、政権交代につながったと考えています。
いずれにしても、鳩山内閣は国民の期待にこたえられるか、政権担当能力が試されることとなりましたが、政権の不安定、行政の停滞は国民生活はもちろんのこと、国家経済を大きく左右することをしっかりと肝に銘じ、責任ある政権を担当していただくことを希望しております。
ある知名な経済学者は、ことし暮れから年明けにかけて「鳩山不況」を予測しております。100年に一度と言われる世界的経済不況の中で、ようやく回復の見え始めた日本経済に政権不況なるものが水を差すようなことが決してあってはならないと思っている者の一人であります。
宮古島市・石垣市では、国の地域活性化・経済危機対策臨時交付金を活用した事業等の入札延期が次々とされておりますが、県経済の基盤の脆弱な沖縄にあっては補正予算の執行停止や各種公共事業のいたずらな削減は深刻な問題であり、党派を超えてしっかりと対処しなければならない問題だと考えております。
仲井眞知事におかれましては、なかなか先が読めない状況にありますが、沖縄のアイデンティティーをしっかりと見据えて、沖縄振興のため政変を粛々と乗り越えていただくことを希望しております。
さて、観光振興についてでございます。
本県観光の現状と課題についてですが、昨年来、本県の観光客数の減少傾向が続き、県が公表した業況判断指数によりますと、本県の観光状況の見通しについて、観光業界は夏場の繁忙期である2009年7月から9月の業況は悪いとしたのが74%に達し、業界の先行き不透明感を示した結果となっております。
このような業界の不安は、昨年11月から続いている観光客の落ち込みが背景にあります。
本県の観光は国内観光客が主体であり、昨年の景気悪化が本県への観光客落ち込みの直接の要因でありますが、消費者の節約志向に伴う格安海外旅行との競合、さらには航空運賃の高さという根本問題が背景にあることも忘れてはならないと思います。
本県観光は、かつて団体旅行主体からリピーターの占める比率が年々高くなっており、国内における観光・リゾート地としての地位も揺るぎないものになっておりますが、今後はさらなるリピーター層の掘り起こしが最も重要な課題であります。
本県は、観光客1000万人誘致を目標に掲げており、そのためには本県観光のさらなる振興と新たな観光目玉が必要であります。このため、沖縄観光の代名詞である青い海と澄み切った空だけではなく、沖縄特有の伝統文化や歴史を主題とした観光資源の開発が必要であります。この意味で、県が検討を始めた「全国エイサー大会」は徳島県の阿波踊りに匹敵する最大の観光資源になるものと考えます。
そこで伺います。
ア、本県への入域観光客数の減少が続いているが、県はこれまでどのような対策を講じてきたか。また、今後の見通しと対策について伺います。
イ、航空運賃の高さが本県観光の最大のネックとの指摘について、海外観光地との競争の観点から県の認識と対策を伺います。
ウ、修学旅行地としてさらなる定着を図るため、本県観光の新たな魅力づくりについて官民一体となった取り組みが必要と考えるが、県の考えを伺います。
エ、新たな観光の目玉として県が検討している「全国エイサー大会」について、目的、参加団体、規模等の概要について伺います。
海外観光客誘致についてです。
本県は、「2009年度ビジットおきなわ」で外国人観光客数30万人を達成目標として掲げ、海外観光客誘致に向けた活動を展開しております。そのためには、海洋資源を活用したリゾート地としての沖縄の知名度を海外に広めることが何より重要であると考えます。
県においては、特にアジアの富裕層にターゲットを絞った誘致策を重点的に進め、観光・リゾート地としての地位を定着させたいとしております。しかし、県が行った沖縄と競合する海外観光地9地域の調査において、マレーシアやインドネシア、済州島などが本県と特に競合し、これらの観光地は最も知名度が高く、しかも安くて手軽に行けるリゾート地として人気も高いということであります。
海外観光客誘致を進めるには、沖縄観光の知名度をいかに高めるかが県に課せられた大きな課題であり、その克服なしに海外観光客30万人の達成は難しいと考えるのであります。
世界の観光地を格付して紹介するフランスのミシュランが発行する「ミシュラン・グリーンガイド」日本版で、県内から3つ星1カ所を含む27カ所が格付されたということであり、今後海外からの観光客誘致を図る上で活用方法を考える必要があると思います。
伺います。
ア、県は、アジアの富裕層を対象とした誘客活動を進めるとしているが、対象となる地域と具体的な誘客キャンペーン等をどのように行うか伺います。
イ、県は、本県と競合する海外リゾート地について調査を行ったようだが、その概要と海外におけるリゾート地の比較において、本県の知名度、リゾート地としての位置づけ、今後の課題等について伺います。
ウ、中国においては観光地としての沖縄の知名度は低く、沖縄行きの旅行商品はほとんどないようだが、県として中国の富裕者層の誘致活動をどのように展開するか、県の戦略を伺います。
エ、英国の3旅行社が本県を訪れ、ホテルや観光施設などを視察したようだが、今後の海外観光客誘致にどのようにつなげる考えか伺います。
次に、離島振興についてです。
離島・過疎地域の振興については、それぞれの島の持つ自然的魅力を生かした環境整備を進め、地域に根づいた農林水産業や観光・リゾート産業の振興を図り、地域を活性化することが必要であります。離島地域の現状は、若者の島外流出増加による住民の高齢化が著しく、地域の活性化を奪っている状況にあります。
特に、宮古・八重山地域は大型台風の常襲地帯となっており、農作物や家屋等への被害のほか、海外航空輸送がとまるなど住民生活に与える影響は甚大であります。
県においては、離島振興を図る観点から、離島地域の現状に対処するためさまざまな施策を実施しておりますが、なかなか成果があらわれていない現況にあります。
そのため、これからの離島振興においては、交通基盤や通信情報基盤の整備を初め福祉・医療の充実、地域文化の振興に力を入れながら、従来の画一的・統一的な施策展開からの転換を図り、それぞれの離島地域の持つ豊かな自然、伝統文化を生かした観光地づくりや快適で潤いのある生活空間を利用した地域づくりが必要であると考えます。
そこで伺います。
(1)、平成21年度からスタートする予定の宮古・八重山地域の新たな電線地中化計画において、公共事業の削減が言われる状況の中で予算措置、事業計画等県の取り組みを伺います。
(2)、離島における観光産業の育成について、県が実施している施策と地元市町村と連携した取り組みの必要性について伺います。
(3)、宮古島市は、市内各地の海岸に流れ着く漂着ごみ対策について、国の交付金を活用した漂着ごみ処理専用の小型焼却炉の導入を進めているが、今後の維持管理費等負担も大きく何らかの対策が必要であります。離島への漂着ごみ処理について予算を含め県の考え方を伺います。
次に、産業振興についてです。
県内企業育成支援についてです。
東京都内に地方自治体が出展する公認のアンテナショップの2008年度の業績が好調で、29自治体の店舗の中でも、沖縄の「銀座わしたショップ」が北海道を抑えて第1位の売り上げを示しているようであります。観光沖縄という知名度、沖縄独特の伝統文化、長寿県沖縄の食材等が多くの消費者に支持されていることが背景にあるものと考えます。
一方では、県内においては観光の落ち込みや景気悪化の影響で冷え込んだ県経済の活性化を図るため、県経済団体や各企業が県産品愛用を呼びかける運動を展開しており、ことしで55回目を数えております。
経済団体は、県産品の食品、繊維、木製品、印刷、鉄鋼、金属などの6業種の自給率が6%伸びた場合、生産誘発額は803億円余り、約1万2000人の雇用が生まれるとしております。そのためにも、県においては、県内企業の90%以上は中小企業・零細企業という産業構造の改善やおきなわブランドの確立、情報発信力の強化など、本県独自の取り組みを高めていく必要があります。
そこで伺います。
ア、中小零細企業が90%以上を占める県内企業に対する育成支援について、県の基本方針と現下の景気悪化対策として実施する支援策を伺います。
イ、県は、中小企業向けの組織強化育成資金を活用した新たな融資枠を設けたが、制度のねらいと対象範囲等について伺います。
ウ、産・学・官が連携した健康バイオ産業の拠点形成について、具体的な事業規模や将来目標、他産業への波及効果について伺います。
エ、県内における県産品の優先使用について、企業、職場、家庭に浸透させるための県の具体的な対策を伺います。
オ、子供たちが楽しみながら仕事や社会について学習ができるエデュテインメントタウン「キッザニア」について、調査・視察をしたことはあるか。また、本県への誘致について県の考えを伺います。
4、農林水産業の振興についてです。
本県の農林水産業は、地理的条件や土地の狭隘性という不利性を抱え、振興を図る上で大きな課題となっております。そのため、消費者や市場のニーズに対応したおきなわブランドの確立、生産供給体制の強化、担い手の育成確保などに積極的に取り組み、本県農林水産業の振興を図っていくことが必要であります。
さらに、地産地消を推進する観点から、観光・リゾート産業と連携した県産食材の利用の促進のほか、グリーンツーリズム等の推進や各種施策の選択的かつ集中的展開により、本県農林水産業の持続的発展を図ることが必要であります。このため、農業や漁業者の主体的な取り組みが不可欠であり、みずから経営する農業や漁業に誇りや意欲を持って初めてみずからの経営を持続的に発展させることができると考えるのであります。同時に、地域で生産したものは地域で消費することが農業・漁業の本来の姿であります。地産地消が盛んであれば地域の自給率も向上し、そのことが地域の農業・漁業の振興につながるのであります。
自民党政権から民主党政権にかわり、我が国の農林水産行政も変わっていくものと思われます。販売農業者や畜産、酪農、林業、漁業者等に対する所得補償制度の導入もその一つであります。これらの政策が本当に農林水産業の振興につながるのか、今後注視していく必要があります。
伺います。
ア、残り3年となった振興計画を活用した本県農林水産業の振興を今後どのように図っていくか、県の考えを伺います。
イ、地産地消の観点から県産食材の利用拡大を図る必要があるが、県が具体的に施策の展開を図る上で課題となるのは何か。
ウ、今後、販売農業者や畜産、漁業等について、所得補償制度が導入された場合、県や市町村としてどのような役割が生ずるか。また、全販売農家の生産費と販売価格の差額や全漁業者の漁獲可能量、販売量等の把握は可能であるか伺います。
エ、耕作放棄地の活用を図るためには、農地情報の的確な把握や賃貸あっせんへのかかわりが必要である。農業委員の体制整備と予算確保の重要性について県の考えを伺います。
オ、つくり育てる漁業を推進するため、漁港漁場や漁港関連道等の整備について、現状と今後の計画を伺います。
次に、さとうきび新価格制度についてです。
さとうきび新価格制度については、2009年度で特別措置を終了し、県内さとうきび生産者の半数以上が交付金の支払い対象外になることから、本県は、県内さとうきび農家の実情に合った見直しを進めてまいりました。その結果、さきの自民党農林水産部会は新制度を見直す方針を決め、小規模農家が交付金を受け取るための条件などについて、3年をめどに進捗状況を検証するとして全面導入を先送りとしております。
同制度は、2007年度に生産合理化や将来の担い手の確保を図ることを目的に導入されたものでありますが、県内農家の実情と制度のねらいがかけ離れていたため、半数以上の農家が交付金支払いの対象外となるなどの不都合が生じていたのであります。
今回の見直しで、交付金対象外の懸念があった小規模農家に来年度から交付金受け取りに見通しがついたと評価する向きも出ておりますが、また、全面導入が3年先送りされたことで農家の高齢化に対する対策や担い手の育成、農家が意欲を持って取り組めるような体制づくりに向けた取り組みが期待されるのであります。
伺います。
ア、さとうきび新価格制度の全面導入が3年先送りされたが、今回の見直しにより本県農家はどの程度救済されるか。また、県が求める見直し事項と今後の見通しについて伺います。
イ、農産物自由化の流れや外国産砂糖との競争、国内のさとうきび生産量の減少、従事者の高齢化や担い手の育成への対応等から新価格制度が導入されるが、これらの課題に対する県の取り組みを伺います。
ウ、さとうきび農家は、生産収入手取り額のほとんどを交付金に依存しており、その経営は制度に左右されるのが実態です。農家の経営安定のため県やJAが実施する対策について伺います。
次に、福祉関係についてです。
(1)、介護基盤の整備について。
政府は、ことし4月から導入された要介護認定の新基準について、高齢者の要介護度が実際より軽く判定されないよう、市町村が心身状態や生活能力を調べるための調査項目の内容について大幅に変更することを決定しております。
見直しに当たって実施現場が乱れないよう市町村への周知徹底を図り、10月からの実施を目指しているようであります。
介護については、急速な高齢化社会の到来で避けて通れない大きな問題であり、特に長寿県である本県においては高齢者の占める比率が高く、介護のあり方への対応が喫緊の課題であります。昨今は介護の形態も変化しており、子供が親を、配偶者が配偶者を介護する形態から、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」がふえる傾向にあります。
このような状況から、介護という重い負担に耐え切れず自殺や心中を図るケースも相次いでおり、要介護者を抱える家庭に対する支援の輪の広がりや地域の肋け合い、社会環境づくりが急がれております。
政府においても、特別養護老人ホーム、老人保健施設、認知症高齢者グループホーム等を第4期計画期間中にさらに1年分、4万人の上乗せを行い、3年間で16万人を目標に整備するとしており、県においては、県の実態に即した施設計画を策定するよう願うものであります。
そこで伺います。
ア、2008年度の介護サービス利用者について、本県は1人当たりの費用は全国で2番目、介護予防サービスも高い状況にあります。県の分析と今後の対策を伺います。
イ、4月から導入された要介護認定の新基準について政府は見直しを決めたが、新基準のどこに問題があり、何を見直すかを伺います。
ウ、新基準の見直しで作業の混乱が予想される市町村等において、10月からの実施に間に合うか、認定事務を行う機関の対応状況を伺います。
エ、新基準において、特別養護老人ホーム、老人保健施設等の整備促進の方針が示されたが、その概要と本県における整備計画について伺います。
オ、介護職員の処遇改善を図るため、介護職員処遇改善交付金の目的と交付対象について伺います。
次に、待機児童の解消についてです。
本県における待機児童は、2008年度で1800人余の待機児童が存在している状況にあります。県は、県内の待機児童の解消を図るため、新たな保育所の創設や認可化を促進し、2008年4月で認可保育所は367施設、入所児童数3万1000人となっております。また、本県には認可外保育所が24市町村に約440カ所設置されて、1万7300人の児童が入園し、認可保育所に入れない児童の受け皿となっております。
このように認可外保育所が36%を占め、全国に比べ格段に高くなっており、本県の保育行政は特異な状況にあると言われております。さらに、本県においては、認可保育所への入所申し込みをしていないいわゆる潜在的待機児童の存在があります。この潜在的待機児童を含めた保育所入所希望待機児童数は、約4900人近くいると言われております。
内閣府も、沖縄振興対策特別調整費を活用して認可化を推進する計画を策定し、3年間で集中的に認可化を促進するとしております。しかし、認可を進めるに当たっては、保育主体である市町村の経営基盤が弱く、小規模施設の多い認可外保育所を認可にもっていくのは、市町村の財政難の問題もあり容易ではありません。
そこで伺います。
ア、本県は、待機児童数、無認可保育所が他県に比べ格段に高いが、その解消に向けた県の取り組み、過去3年間の成果について伺います。
イ、県は、認可外保育所の認可化を進めているが、第3次沖縄県福祉保健推進計画の期間中での目標を伺います。
ウ、認可外保育所の認可化を進めるためには、保育主体である市町村の役割が重要であります。県の計画に対する財政を含めた市町村の対応は可能であるか。
エ、待機児童の解消を図るため、国の認可保育所や認可外保育所に対する新たな補助制度について、その概要と本県において対象はどの程度となるか。
オ、県内学童保育について、補助施設と補助を受けていない施設との割合、施設不足に対する県の対策について伺います。
次に、地域医療のあり方についてです。
県立病院のあり方を示す「県立病院のあり方に関する基本構想」の公表を受け、現在、病院事業局においては、経営再建計画の達成に向けた取り組みを進めております。
そのような中、2008年度の病院事業局の決算見込みで、現金ベースで11年ぶりの黒字を計上したということであり、病院改革に向けた取り組みが効果を発揮したものと評価するものであります。
全国において、都道府県や市町村が設置する自治体病院は、民間病院の足りない部分を埋める形で設置されてきたものでありますが、本県においては、戦後の医療体制整備の必要性から離島を含めた拠点地域に県立病院が設置された経緯があります。しかしながら、近年は県内の民間医療機関も各地に設置され、救急救命や離島医療等の分野で充実が目覚ましく、民間が果たす役割も年々増しております。
県立病院が再建を図る上で県内の徹底した費用削減や経営効率化に向けた取り組みは当然でありますが、医療現場に負担がかかる休日や夜間の軽症者の「コンビニ受診」の抑制など、民間医療機関との役割分担や政策医療部分での連携を図ることが必要ではないかと考えるのであります。
伺います。
(1)、県立病院が11年ぶりに黒字を計上した。その要因と、病院ごとの経営改善の取り組み状況を伺います。
(2)、県立病院の経営改善策と医師、看護師の適正配置との整合性はどのように図られているか。経費削減等により影響を受けることはないか。
(3)、県立病院における研修医受け入れの基本的な考え方と正医師への採用割合はどうなっているか。また、雇用環境の改善と医師確保を図る観点から研修医の身分の取り扱いについて伺います。
(4)、県立病院の看護師の充足率と確保が困難な理由、また、経営健全化計画に基づく適正配置数を伺いたい。
(5)、後期高齢者医療制度が廃止された場合、75歳以上のお年寄りに与える影響と県や市町村に求められる対応について伺います。
7、教育についてです。
(1)、不登校対策についてですが、文部科学省の調査によりますと、全国の国公私立校における不登校については、2008年度は前年度比、1.9%減の12万6805人で3年ぶりに減少しているようであります。しかし、本県においては不登校の児童生徒数は1865人で、前年度に比べ158人、9.2%の増加となっており、4年連続の増加となっております。全国では減少していながら、なぜ本県は4年連続ふえ続けているのか、根本原因の分析と的確な対応が求められます。
不登校のきっかけについては小学校と中学校で違いが見られ、小学校の場合は不安など情緒的な混乱、無気力などが多く、中学校の場合は遊び・非行が最も多くなっております。この中学校の遊び・非行は36%と最も高くなっており、年齢が高くなるに従って不登校が非行につながっていることに不安を覚えます。
教育は百年の大計と言われており、21世紀を担う子供たちが無限大な可能性を発揮し、将来に希望が感じられる教育の重要性を具現化するために、すべての子供たちが学校に行きたい、授業が楽しいと思える学校づくりが必要であります。
そこで伺います。
ア、2008年度における県内の不登校について、小学校・中学校別の状況を伺います。
イ、全国では小中校の不登校は減少傾向にあるが、本県は4年連続増加している。その背景に何があるのか。また、本県の特徴について伺います。
ウ、2008年の県内の不良行為による少年補導数も増加しているが、不登校との相関関係を調査したことはあるか伺います。
エ、教育庁が実施している不登校対策と、これまでの指導により登校できるようになった数を小中校別に示していただきたいと思います。
以上、誠意ある答弁をお願いしたいと思います。
○議長(髙嶺善伸) ただいまの座喜味一幸君の質問に対する答弁は、時間の都合もありますので午後に回したいと思います。
休憩いたします。
午前11時56分休憩
午後1時23分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
午前の座喜味一幸君の質問に対する答弁を願います。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 座喜味議員の御質問に答弁をさせていただきます。
まず第1に、観光振興の関係で、入域観光客数の見通しと対策についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
昨年からの世界的な景気低迷、そして最近における新型インフルエンザの影響、さらには円高状況の継続など沖縄観光を取り巻く状況は前の年に比べ厳しいものとなっております。今後もいましばらくは厳しい状況が続くものと思われますが、沖縄観光の持つ基本的なファンダメンタルズ、そしてそのダイナミズムは全く影響を受けているとは考えておりません。
沖縄県では、しかしながら夏場対策といたしまして「沖縄観光特別対策事業」に続きまして、この秋から「観光客誘致緊急対策プロモーション事業」を実施していく予定でございます。
先日は、那覇港泊埠頭地区に県内初の大型旅客船バースが完成をし、海外観光客のさらなる誘客へ弾みがつきますとともに、来月には約2万人の方が参加されるJCの全国大会が開催されるなど大型イベントの予定もあります。
今後とも国内外の観光客の誘客に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。
同じく観光振興についての御質問の中で、全国エイサー大会の概要に係る御質問にお答えいたします。
沖縄独自の文化でありますエイサーは、国内のみならず海外にエイサー団体の支部ができるなど国内外に大きく広がっております。
私は、沖縄の魅力をさらに高め、観光誘客に結びつけていくため、エイサー発祥の地沖縄で県内外のエイサーを集めた全国エイサー大会を開きたいと考えておるところでございます。
今後、各地の青年会を初め、県人会、県内外のエイサー団体などの御協力をいただきながら、開催時期、開催規模など具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
同じく観光振興に係る御質問の中で、中国の富裕層の誘客に係る御質問にお答えいたします。
中国におきましては、ことし7月の個人観光ビザ創設によりまして、十分な経済力を有する者は個人観光が可能となっております。沖縄への関心も徐々に高まっていくものと期待いたしております。
このような中、6月には北京の会員制クラブで沖縄観光セミナーを実施したほか、9月には私も上海に参りまして、富裕層の誘客を図るため航空会社や旅行会社を対象にプロモーション活動を実施したところでございます。
今後は、インターネットを活用した知名度の向上、そして旅行社と連携をしました質の高い旅行商品の開発、企業によるインセンティブツアーの誘致など、富裕層をターゲットにしました誘客活動を展開してまいる所存でございます。
次に、離島振興についての御質問の中で、宮古・八重山地域の新たな電線地中化計画についての御質問にお答えいたします。
宮古・八重山地域の新たな電線類地中化計画につきましては、「沖縄ブロック無電柱化推進協議会」におきまして、国や電線管理者等の関係機関と策定に向け、協議をしているところでございます。
平成21年度は継続事業に加えまして、新たに緊急経済対策として約12億円、延長約2.4キロメートルを整備する予定でございます。
産業振興に係る御質問の中で、県内中小企業支援の基本方針及び景気対策についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
沖縄県では「沖縄県中小企業の振興に関する条例」に基づきまして、経営革新の促進や経営基盤の強化、資金調達の円滑化を図ること等を基本方針として県内中小企業の振興に関する施策を講ずることといたしております。
景気悪化対策としましては、昨年度に引き続き、原油・原材料高騰対策支援資金及び保証料の補助制度を継続いたしておりますほか、平成21年度当初予算では中小企業セーフティネット資金の融資枠の拡大を行っております。また、今議会におきまして原油・原材料高騰対策支援資金の融資枠及び保証料補助拡充のため5億4500万円を補正予算として計上いたしているところでございます。
次に、農林水産業の振興に係る御質問の中で、農林水産業の振興についてお答えいたします。
沖縄県では、農林水産業の振興を図るため、農林水産業振興計画に基づき、各種施策・事業に取り組んでいるところであります。
主な施策といたしましては、第1に、おきなわブランドの確立と生産供給体制の強化、第2に、流通・販売・加工対策の強化、そして第3に、省力・低コスト化に向けました農林水産技術の開発・普及、第4に、農業用水源の確保やかんがい施設等の生産基盤の整備など7つの柱を基本に、持続的農林水産業の振興と多面的機能を生かした農山漁村の振興を図っているところでございます。特に、生産拡大のための耕作放棄地対策、経営感覚にすぐれた担い手の育成、食料自給率の向上のための地産地消対策などを推進しているところでございます。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○観光商工部長(勝目和夫) 観光振興について、海外観光地との競争についての御質問にお答えします。
県がことしの3月に実施したインターネット調査によると、「沖縄と競合する旅行先」として挙げられた海外の旅行先は、ハワイ、グアム、韓国、台湾の順となっております。
これらの旅行先と沖縄への旅行費用を比較すると、割引航空運賃やパックツアーでは海外の方が安い場合もありますが、県では、安心・安全など沖縄が国内のリゾート地である強みをアピールすることや、「沖縄らしさ」、「沖縄ならでは」を求める観光客のニーズにこたえていくことにより、海外観光地との差別化を図ってまいりたいと考えております。
また、東アジアなどの外国人観光客を誘致するに当たってもマレーシア、タイなど安くて手軽に行けるリゾート地の競合があるため、各市場ごとのニーズに応じたきめ細かなプロモーション活動を行うことなどにより、さらなる誘客につなげていきたいと考えております。
同じく観光振興について、修学旅行の新たな魅力づくりについてとの御質問にお答えします。
最近の修学旅行の傾向としては、校外学習ならではの自然体験、農業体験など教育的意義の高い体験型プログラムへのニーズが高まっております。
沖縄県では、このようなニーズに対応するため、カヌーでのマングローブ観察やさとうきび収穫体験等体験プログラムの充実を図っているところであります。また、県内の体験交流施設や観光施設の関係者で構成される「沖縄県体験型観光推進協議会」などと連携を図っているほか、県外での修学旅行説明会で学校関係者と意見交換を行い、情報収集に努めております。
今後も、沖縄の修学旅行のさらなる魅力づくりに向けて官民一体となって取り組んでまいります。
同じく観光振興について、東アジア富裕層の誘客キャンペーンについての御質問にお答えします。
沖縄県では、台湾、韓国、中国、香港を海外重点地域に位置づけて誘客活動を展開しているところであります。
具体的には、富裕層を対象に、ゴルフツアーやリゾートウエディング等をテーマにした付加価値の高い商品開発を促進するとともに、国際旅行博への出展や海外旅行社及びマスコミを招聘するなど誘客に取り組んでまいります。
同じく観光振興について、海外競合地調査の概要及び課題等について。
沖縄県では、平成20年度に東アジアからの誘客に当たり、台湾、韓国、中国、香港の4地域を対象に、沖縄と競合するタイ、マレーシア、ハワイなど9地域のリゾート地についての調査を行いました。その結果、沖縄県の知名度については、韓国や香港では進みつつあるものの、中国ではリゾート地としての認知度がまだ低い状況にあります。
一方、沖縄は、近距離にある質の高いビーチリゾートであることや安心・安全の面において優位性があるとの結果が出ております。
課題としましては、航空路線の拡充、ピーク時の旅行商品の価格及び外国語対応の受け入れ体制の強化などが指摘されております。
同じく観光振興について、英国旅行社の沖縄視察に伴う海外観光客誘致についての御質問にお答えします。
県では、国際観光振興機構と連携し、ことし7月に英国の有力な訪日取り扱い旅行社の招聘を行いました。
参加者から、「世界有数の観光地に匹敵する美しい島々」、「子供も安心して楽しめる観光地として家族向けに売り出したい」といった評価などがありました。一方、欧州から沖縄までの移動時間がかかることや、旅行商品費用が高いなどの指摘も受けております。
今後も、欧州からの誘客については、引き続きメディアや旅行会社などの招聘により、知名度向上に努めるとともに、東京、大阪、京都の自治体と連携して本土経由での誘客にもつなげてまいります。
離島振興について、離島における観光産業の育成及び地元市町村と連携した取り組みの必要性についてとの御質問にお答えします。
県では、体験滞在型観光の推進、エコツーリズムの推進、健康保養型観光の推進、観光人材の育成などの施策を展開し、離島における観光産業の育成に取り組んでおります。
観光産業の育成については、広域的な観点から市町村と連携して取り組む必要があり、観光まちづくり支援事業などにおいて、市町村と意見交換を行いながら、地域の主体的取り組みを促進していきたいと考えております。
産業振興について、組織強化育成資金の制度改正についてとの御質問にお答えします。
組織強化育成資金は、共同化・協業化により経済的地位の向上等を図る協同組合等に対し金融面からの支援を行い、その組織の強化を促進しようとするものであります。
沖縄県は、この資金について経済悪化の影響を受けている事業者の資金繰り円滑化及び保証料の負担軽減を図るため、既存の組織強化育成資金に加え、緊急保証制度の対象となるよう、平成21年7月に組織強化育成資金を設けております。
その対象は、中小企業信用保険法に定める業種に属し、県内に主たる事務所を有する1年以上事業を営む協同組合などその構成員で、市町村長から緊急保証制度の認定を受けた者となっております。
同じく産業振興について、健康バイオ産業の拠点形成について、その事業規模や将来目標、他産業への波及効果についてとの御質問にお答えします。
国は、平成21年度から地域産業の競争力向上を目指して「地域中核産学官連携拠点」を公募しており、沖縄県は、健康バイオ産業振興を目的とする産学官連携拠点整備計画を琉球大学、沖縄県工業連合会などと共同提案し、本年6月に国からその選定を受けております。
同計画では、琉球大学を中核とした産学官連携拠点を形成し、大学の研究成果の事業化やバイオ技術の向上と活用を促進することとしており、10年後の目標として健康バイオ関連産業全体で1000億円規模の産業創出を目指しております。
健康バイオ産業は、すそ野の広い産業であり、その拡大発展は、モズクやウコンなどの原材料を生産する第1次産業や、予防医療、スパ産業など第3次産業などへの大きな波及効果が期待されます。
同じく産業振興について、県産品の優先使用の企業、職場などへの浸透の具体的対策についてとの御質問にお答えします。
県においては、県産品の優先使用を浸透させるため、毎年7月を「県産品奨励月間」と位置づけ、経済団体等で構成する実行委員会において、関係機関に対する地元産品の奨励や学校給食における県産食材の優先使用等に関する要請活動に取り組んでおります。
このほか、県産品や地元企業への理解を深めていただくために「ふるさと企業訪問」を毎年実施しており、今年度は約200名の参加がありました。
また、産業まつりの開催を支援することにより、県民の県産品に対する意識の啓発に努めております。
さらに、毎年、優良県産品推奨制度により、すぐれた製品を「優良県産品」として推奨し、これまでの推奨件数が1700点を超えるなど、県産品の品質向上や販路拡大に取り組んでおります。
同じく産業振興について、「キッザニア」についての御質問にお答えします。
「キッザニア」は、実在する企業がスポンサーとなったパビリオンにおいて、子供たちがさまざまな仕事を体験することができるテーマパークです。海外では、メキシコ、アメリカ、インドネシア、国内では東京都と兵庫県に設置されております。
親子連れに大変人気のある施設であることから、沖縄観光等における家族旅行の魅力増進の参考とするため、県では、ことし8月に「キッザニア東京」の現地視察を行ったところです。
「キッザニア」は、単に遊ぶだけの施設ではなく、子供たちが楽しみながら働くことの意味や社会の成り立ちを理解することができるよう工夫されていることから、子育て中の親世代にも好評を得ているとのことでした。
職業体験施設としてだけでなく観光施設としても魅力があるため、さらなる情報収集に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(知念建次) 離島振興についての御質問で、離島の漂着ごみ処理に係る県の考えについてお答えいたします。
漂着ごみ対策については、本年7月に施行された海岸漂着物処理推進法により、海岸管理者等の責務や国による財政措置が定められており、同法に基づき漂着ごみ対策を強化してまいりたいと考えております。
さらには、本年度から平成23年度にかけては、環境省の地域グリーンニューディール基金の7億8700万円を活用し、離島を含む県内全域における漂着ごみの回収・処理等に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 農林水産業の振興で、県産食材の利用促進についてお答えいたします。
地産地消推進における県産食材の利用促進については、利用方法、生産供給情報の共有、価格、規格等の面で課題があります。
県としては、県産食材の利用促進を図るため、市町村学校給食担当者会議等における需要・供給情報の共有化、観光関連施設における県産食材料理フェアの開催、「おきなわ食材の店」登録の推進、「花と食のフェスティバル」の開催、ファーマーズマーケットの設置などを推進しているところであります。
また、平成21年度は県内量販店等において、消費者に調理レシピの紹介や試食の提供など、普及活動を行うフードアドバイザーを配置するとともに、学校給食やホテル等と生産・加工業者とのマッチングを行う地産地消コーディネーターを配置し、県産食材の消費拡大に取り組んでいるところでございます。
次に、戸別所得補償制度の導入による県や市町村の役割及び販売農家や漁業者の生産費等の把握についてお答えいたします。
戸別所得補償制度につきましては、地方自治体の役割や補償の対象範囲など、制度の仕組みがまだ示されていないことから、現時点では、どのような対応が必要か判断できない状況にあります。
今後、国の方針を注視しながら、関係機関と連携し対応を検討してまいります。
次に、農業委員会の体制整備と予算確保についてお答えいたします。
平成21年12月施行予定の改正農地法は、耕作放棄地解消のため、農業委員会が行う是正指導など新たな業務が追加されることとなっております。
この業務を円滑に実施するためには、各市町村における農業委員会職員の適正な配置と農地調整活動に要する予算を確保し、執行体制の強化を図ることが必要であると考えております。
県としては、九州知事会等を通して、農業委員会の体制整備に必要な予算の確保について国に要請していきたいと考えております。
次に、漁港漁場や漁港関連道整備の現状と計画についてお答えいたします。
県では、つくり育てる漁業を推進するため、漁港や漁場等の整備を行っております。
漁港については、防波堤、波除堤、浮き桟橋等の整備を行い、平成20年度までの整備率は59%となっており、引き続き整備を進めてまいります。
また、漁場については、平成20年度までに455カ所の沈設魚礁や76基の浮き魚礁を設置しており、今後は平成23年度までに37基の浮き魚礁を設置する計画としています。
さらに、漁港関連道については、これまで38地区の整備を行っており、今後とも地域の道路状況やニーズに応じた整備を進めてまいります。
次に、新価格制度の見通しと取り組みについてお答えいたします。一括してお答えいたします。
平成19年産さとうきびから新たな経営安定対策が実施され、小規模農家に対する特例要件は、3年間の平成21年産までとなっております。
この間、県では、JA等の関係機関と連携し、生産農家が本則要件を満たすよう、認定農業者や生産法人等の育成、モデル集落の設定と各地区での意見交換会の開催、作業受託組織の育成に向けたモデル実証などの条件整備に取り組んでおります。
また、平成20年産から基幹作業のうち収穫については見直しが行われ、刈り倒し、または搬出のみを委託した場合も支援対象となったことなどから、本則要件を充足する農家は現時点で6割程度が見込まれます。
県としては、平成22年産以降もすべての生産農家が経営安定対策の支援対象となるよう、JA等の関係団体と連携し、機械化のおくれなど、地域の実態を踏まえた対象要件の緩和・見直し等について、国に対し要請しているところでございます。
以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 福祉関係の御質問の中の、介護サービス費用の状況と対策についてお答えいたします。
本県の受給者1人当たりの介護費用額が高くなっているのは、65歳以上の高齢者人口に占める85歳以上の人口比率が全国に比べ高くなっていることと、要介護度3以上の高齢者の比率が高いことなどが主な要因と考えております。
県においては、市町村等保険者が行う要介護認定の適正化、ケアプランチェック等を支援していきます。
さらに、介護が必要な状態にならないよう、健康づくりや介護予防事業を市町村と連携して取り組んでいるところであります。
次に、要介護認定の新基準の見直しについてお答えいたします。
本年度から導入された新しい要介護認定方法については、国による検証の結果、非該当者及び軽度者の割合が増加していることがわかりました。
また、多くの認定調査項目については、評価のばらつきが減少する傾向にある一方、幾つかの項目については、ばらつきが拡大するなどの問題が確認されました。
こうしたことから、調査項目に係る定義等の修正を行うことが必要であるとされ、国は、認定調査員のテキストを見直し、10月から新しいテキストで認定調査を実施することにしております。
続きまして、新基準での要介護認定事務についてお答えいたします。
国においては、認定調査員テキストの見直しに当たり、テキスト改訂版の配布、研修会の実施、研修会の模様を収録したDVDの配布などにより、認定事務を担う市町村等の保険者に対し周知を行っています。
沖縄県としても、引き続き今回の見直しに関する修正の考え方や内容を十分に周知するなど、認定事務に混乱を招くことがないよう市町村を支援していく考えであります。
次に、特別養護老人ホーム等の整備促進の方針と本県の整備計画についてお答えいたします。
国においては、平成21年度補正予算により将来必要となる介護施設、地域介護拠点の平成23年度までの緊急整備を推進するため、各都道府県に基金を造成して各種の事業を実施することにしております。
本県においては、当該基金を活用して小規模特別養護老人ホーム170床、認知症高齢者グループホーム225床、小規模多機能型居宅介護事業所29カ所の新設等を計画しております。また、広域型特別養護老人ホームについては、地方財政措置が拡充されることになっており、本県においては160床の増設を計画しております。
次に、介護職員処遇改善交付金の目的と交付対象についてお答えいたします。
介護職員処遇改善交付金は、介護職員の賃金等の処遇改善に取り組む事業者に対し、介護報酬とは別に助成を行い、介護職員の雇用環境の改善を図ることを目的としたものであります。
交付の対象は、訪問介護事業所、通所介護事業所、特別養護老人ホーム等に勤務する介護職員についての処遇改善を行う事業者となっております。
本県では1156事業所が対象となっており、介護職員1人当たり月額平均1万5000円に相当する額が交付されることとなっております。
次に、待機児童解消に向けた県の取り組みと過去3年間の成果についてお答えします。
県では、待機児童の解消のため、保育所の創設、分園設置、定員の弾力化、認可外保育施設の認可化等を保育の実施主体である市町村と連携しながら進めております。
過去3年間で保育所の創設23カ所、増改築17カ所、分園設置3カ所及び定員の見直しにより2141人の定員増を図っております。
なお、認可外保育施設の認可化につきましては、過去3年間で22カ所を認可化しており、1360人の定員増を図っております。
次に、第3次沖縄県福祉保健推進計画期間中での目標についてお答えします。
待機児童解消を目的として、平成20年度に「保育所入所待機児童対策特別事業基金」及び「安心こども基金」を設立し、市町村が実施する保育所の整備等へ助成することとしております。
第3次沖縄県福祉保健推進計画の最終年度である平成23年度までに、これら基金を活用して5400人の定員増を予定しております。
次に、認可化を進める上での県の計画に対する市町村の対応についてお答えします。
保育所の整備における課題としましては、実施主体である市町村において後年度の運営費の負担増が懸念されることから、その整備に慎重になっていることなどが考えられます。
しかしながら、保育所運営費については、入所児童数に応じ地方交付税で措置されていることから、負担増についても対応できるものと考えております。
県としましては、市町村に対し、地方交付税措置への理解を求めるなど、待機児童解消に向けた積極的な対応を働きかけていきたいと考えております。
次に、待機児童解消のための国の補助制度の概要と本県における対象についてお答えします。
保育所の設置促進、家庭的保育の拡大など、雇用情勢の悪化等による待機児童の増加に対し、即効性のある対応を目的として、各都道府県に「安心こども基金」を設置しております。これにより、平成21年度から22年度までの間は、市町村から県への申請となり、保育所整備の迅速化が図られることになりました。
本県における平成21年度の保育所整備につきましては、同基金の活用により、創設や増改築等による23施設の整備を行うとともに、690人の定員増を図る予定としており、今後とも同基金を活用した待機児童の解消に努めてまいります。
続きまして、学童保育の施設不足の対策についてお答えいたします。
平成21年5月1日現在の県内の放課後児童クラブ数は234カ所あります。平成21年度の補助対象児童クラブ数は194カ所で、40カ所については、入所児童数が9人以下の理由等から補助対象外となっております。
施設不足解消に向けては、実施主体である市町村と調整しながら、引き続き放課後児童クラブの設置を進めていきたいと考えております。
次に、地域医療のあり方の項目の中の、後期高齢者医療制度の廃止による影響とその対応についてお答えいたします。
長寿医療制度の廃止については、廃止後の新たな制度や移行の時期等が示されておりませんので、具体的な影響や対応についてはお答えすることが困難であります。
しかしながら、たび重なる制度の変更により、高齢者や市町村等への混乱が懸念され、十分な配慮が必要と考えますので、今後の動向に注視していきたいと考えております。
以上でございます。
○病院事業局長(知念 清) 地域医療のあり方についての中の、県立病院事業の黒字の要因と経営改善の取り組みについての御質問にお答えします。
県立病院事業の平成20年度の減価償却前損益は、3億1180万3000円の黒字となっており、旧那覇病院の跡地売却により約23億円の特別利益を計上した平成19年度を除くと、平成9年度以来11年ぶりの黒字となっております。
その主な要因は、予算編成段階からの徹底した経費削減に加え、県立病院を挙げた診療材料費縮減プロジェクトの実施や後発医薬品への切りかえ等の経営効率化の取り組みが効果を発揮したものであります。
また、各病院においては、小児入院医療管理料、入院時医学管理加算等の診療報酬上の施設基準の取得や、エネルギー経費節減のためのESCO事業の実施、DPCデータ分析プロジェクトの推進等を実施して経営改善に努めているところであります。
続いて、医師、看護師の適正配置についての御質問にお答えします。
医師、看護師の配置については、救急医療や高度・特殊医療といった県立病院の役割を踏まえた配置を行うことが重要であると考えております。
また、全国的にも不足の状況にある医師、看護師の充足を図ることが経営の安定にもつながることから、あらゆる手段を活用してその確保に努めているところであります。
また、経費削減が医師、看護師のモチベーションの低下につながらないように対応策等についても検討を重ねているところであります。
続いて、研修医師の身分等についての御質問にお答えします。
県立病院の臨床研修医の基本的な考え方は、地域に必要な医療を実践できる医師を育成し、県立病院や附属診療所の常勤医師を確保することであります。
4月1日現在の県立病院の正職員医師291人中、152名が県立病院での研修者であり、その割合は約5割となっております。
現在の研修医は、嘱託員としての任用であり、身分が安定していないことから、他の病院等に異動する要因の一つとなっていると考えております。そのため、5年次以降の嘱託研修医について、正職員化等を含む処遇の改善を検討しているところであります。
続きまして、看護師の確保と適正配置についての御質問にお答えします。
9月1日現在の県立病院における看護師の必要数は1682人で、そのうち57人が不足となっており、充足率は96.6%となっております。
看護師確保が困難な理由としては、県内において看護師の絶対数が不足していることに加えて、県立病院における10対1看護体制も主な要因の一つと考えております。
急性期病院としての医療機能の向上はもとより、看護職員の業務緩和の面からも7対1看護体制については、早期に実現する必要があると考えております。
現在、局内に「看護体制検討チーム」を設置し、7対1看護体制移行に伴う看護師数や経営改善の緊急性など総合的に勘案して、南部医療センター・こども医療センターでの試験実施に向けて取り組んでいるところであります。
以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは、教育関係についての御質問で、不登校の状況についてお答えいたします。
平成20年度の文部科学省の問題行動調査によると、本県の不登校児童生徒数は、私立も含め小学校は402人で前年度より44人増加しております。中学校では1463人で前年度より114人の増加となっており、小中学校ともに4年連続の増加となっております。
次に、不登校の背景と特徴についてお答えいたします。
不登校の背景には、集団活動等の実体験が不足し人間関係をうまく構築できない児童生徒の増加や、基本的な生活習慣の未確立など家庭の教育力の低下等があるものと考えております。
不登校の特徴については、小学校では心理的・情緒的などの要因によるものが多く、中学校では遊び・非行などの社会的要因・背景などによるものの割合が高くなっております。
次に、少年補導と不登校との相関関係についてお答えいたします。
県警察の調査によると、不良行為による少年補導数は、有職及び無職少年も含まれるため、総数としては平成20年は4万773件で前年より3972件増加しておりますが、中学生の補導件数は9132件で前年より106件減少しております。このことから、一概に不登校と少年補導との相関関係があるとは言えないものと考えております。
次に、不登校対策と成果についてお答えいたします。
不登校対策としましては、スクールカウンセラーや児童生徒生活支援員等を活用することなどにより生徒指導体制、教育相談体制の確立を図っております。
また、遊び・非行傾向への対応については、立ち直り支援コーディネーターやスクールソーシャルワーカー活用事業、県警と連携した取り組みなどを推進しております。これらの取り組みにより登校できるようになった児童生徒は、平成20年度の調査で公立小学校は不登校児童402人中95人、公立中学校は不登校生徒1439人中524人となっております。
以上でございます。
○座喜味 一幸 まず、病院事業局の方に伺いますが、先ほど黒字が出たよという話がありました。これは那覇病院の用地買収、それから減価償却前の黒字ということで、努力の方は認めるんですが、まだまだ病院事業、非常に厳しいものがあるかというふうに思っております。これから病院の移転改築・改修、それから医療機器の取りかえ等経費がかさみます。高齢化も進みます。全適でここ3年間、経営状況を施行するわけですが、独法化も考えての厳しい選択が迫られているというふうに思います。病院事業、非常に命を預かる病院を、離島を含めしっかりと持続発展させていくために、なお一層の厳しい経営を求められていると思います。病院事業局長、大変ですが、決意のほどを伺います。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後2時13分休憩
午後2時13分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
病院事業局長。
〔病院事業局長 知念 清君登壇〕
○病院事業局長(知念 清) それでは、大変温かいお言葉をいただきましたので、決意を表明させていただきたいと思います。
病院事業、大変厳しい中にはございますけれども、私たちは今問題となっております不良債務、これを平成20年度で解消いたしました。それから平成23年度までには県及び国の補助も得まして、そして経常収支の黒字化、それを目指して経営健全、そして持続的に必要とされる医療が県民の皆様に提供できるようなそういう体制づくりを目指してこれからなお一層頑張るつもりでございます。よろしくお願いいたします。
○崎山 嗣幸 社民・護憲会派を代表しまして、これから代表質問を行いたいと思います。
第1点目でありますが、知事の政治姿勢についてであります。
さきの総選挙では、自公政権が国民から厳しい批判を受け、もろくもあっけなく崩れ去りました。県内4選挙区でも、自民候補は全部敗北する無残な結末となりました。
この選挙戦は、国民・県民が目に見えて立ち上がり反乱を起こした雰囲気とは違い、一人一人の心の中にもう自公の政治は御免だ、米国追随の基地押しつけや格差社会をつくり出し、高齢者の怒り、派遣労働者の怒り、中小企業主の怒りが充満をし投票行動に示されたと私は感じました。
小泉政権以降の歴代自民党政権は、ブッシュ政権によるアフガニスタンやイラクヘの侵略戦争に加担をし参戦をしただけではなくて、社会的弱者切り捨ての新自由主義的構造改革を強行し、大量にワーキングプア層を生み出し、安倍・福田首相はそれぞれ1年足らずで政権をほうり出しました。
これに続く麻生政権は、世界的不況下の日本経済の危機に直面しながらも構造改革の総括をせず、改革路線の転換を明かさないまま上辺だけの経済対策に終始をしました。いよいよ選挙戦を不利に感じた段階になってやっと行き過ぎた市場原理主義との決別をマニフェストに書き込みましたが、時既に遅しでありました。国民の怒りは選挙対策でごまかされるほど弱いものではなかったと私は思っております。そしてついに8月30日、自公連立政権が崩壊をし、新しく民主党、社民党、国民新党の連立政権が誕生する歴史的な第一歩となりました。
新政権は、小泉政権以後の競争至上主義を明確に否定をし、自公の政治で傷ついた国民生活をどう再建できるのか、国民の期待がかかっております。社民党は、県内で2区の照屋寛徳が勝利をし、県民が期待をする辺野古への新基地建設反対、米軍再編ノーの声を高らかに挙げて今活動を展開をしております。
では、順次質問をしていきます。
(1)、国民は総選挙で自公政権に厳しい審判を下し新しい政権を選択をしました。知事は新政権に対しどのようなスタンスをとるのか。また期待をする点があるのか所見を伺います。
(2)、知事は、県内4選挙区で自民候補を応援をし全敗を喫しております。その結果をどう受けとめているか伺います。
(3)、自公政権は何ゆえ崩壊をしたのか、知事の所見を伺います。
(4)、新政権は米軍再編見直しの立場であります。知事は、普天間基地の辺野古移設の方針転換する考えはないか伺います。
(5)、新政権は日米地位協定を改定させる動きであります。知事もこれまで抜本的改正を求めてきており、米兵の犯罪、環境など具体的な取り組みを進めるか伺います。
(6)、知事の公約である普天間基地の3年めどの閉鎖状態、完全失業率の全国平均化、観光客1000万人誘致等、知事の任期も残すところあと1年余しかありませんが、実現の見通しを伺います。
(7)、米軍核搭載艦船の寄港、通過を黙認をした日米両政府の核密約疑惑は重大な問題であります。新政権は調査チームを発足させて徹底調査を開始をしております。沖縄でもホワイト・ビーチヘの核搭載原子力潜水艦の入港も最多となっております。県民の不安も高まっており、非核三原則は堅持すべきであり、知事の所見を伺います。
(8)、沖縄の将来像を描く「沖縄21世紀ビジョン」の中間取りまとめが提起され、いよいよ最終案の策定段階に入っているようであります。不確実な激動期に沖縄の将来の姿を描くことは極めて難しい課題といえます。
ア、全体の概要と今後のスケジュールを伺います。
イ、特に基地の返還、鉄軌道導入、自立経済、地方分権、県民の暮らし等どう明記されているか伺います。
第2点目は、カジノエンターテインメントの導入問題についてであります。
(1)、県が検討している導入目的と意義は何か伺います。
(2)、懸念されるギャンブル依存症、犯罪の多発、地域や青少年に与える悪影響はどう考えているのか伺います。
3点目は、那覇空港の滑走路増設についてであります。
(1)、那覇空港の現状と増設の必要性を伺います。
(2)、事業計画と進捗状況を伺います。
(3)、環境保全、騒音被害の対策は検討されているか伺います。
(4)、米軍機、自衛隊機が民間機に及ぼす影響(ニアミス、オーバーラン)等の事故、また嘉手納ラプコンの故障など、軍民共用は危険と隣り合わせであります。何ゆえ民間専用化を追求しないのか伺います。
(5)、防衛省の地対空誘導弾パトリオットミサイル配備は自衛隊那覇基地と関連あるのか伺います。
4点目は、新型インフルエンザの対策についてであります。
(1)、新型インフルエンザの患者数の状況把握や各医療機関との連携は万全か伺います。
(2)、感染、拡大防止の対策はどうしているのか伺います。
(3)、治療薬、防護具の備蓄は万全か伺います。
(4)、入院、自宅療養者の生活支援のため、雇用先への協力呼びかけをしたらどうか伺います。
第5点目は、福祉行政についてであります。
(1)、子育て、仕事と家庭の両立を支援する事業として、病児・病後児保育の施設の充実は切実であります。実施状況と拡充の計画はどうなっているか伺います。
(2)、待機児童の実数とその解消計画を伺います。
(3)、特養待機者の実数とその解消計画を伺います。
第6点目でありますが、教育行政についてであります。
(1)、沖縄水産専攻科の学校編成計画での位置づけ及び役割、特色、実績などを伺いたいと思います。
(2)、沖縄水産高校部活にかかわる嘆願書が提出されておりますが、その真意は何か伺います。
以上、残された時間は再質問を行いたいと思います。よろしくお願いします。
○知事(仲井眞弘多) 崎山議員の御質問にお答えいたします。
まず第1に、知事の政治姿勢の中で、新政権へのスタンスと期待する点についてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
私は、県勢発展のため、これまでどおり申し上げるべきは申し上げ、政府との意見交換をしっかりと行ってまいりたいと思います。また、沖縄が抱える諸問題の早期解決に向けて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
そして期待する点につきましては、例えばこれまでなかなか進展が見られなかった日米地位協定の改定につきまして大いに期待をいたしているところでございます。
次に、知事の政治姿勢の中で、総選挙の結果についての所感はいかんというお話について答弁させていただきます。
沖縄の県政を力強く支えていただきました自由民主党のいわばベテランの先生方が議席を失ったことはまことにもったいないものと考えております。しかしながら、何党であれ沖縄選出の国会議員におかれましては、自立経済の構築であるとか、県民が安心して暮らせる社会の実現とか、私と基本的な方向性は同じくするものであると認識いたしております。沖縄の発展に御尽力いただけるものと理解をいたしております。
次に、同じく政治姿勢の中で、政権交代の理由についてという御質問にお答えいたします。
この政権交代の原因とか理由につきましては、文字どおりいろんな角度からいろいろな方が分析をしておられます。そういうわけで、私はこういう分野の専門家ではありませんので、なかなかお答えしにくいんですが、今度の政権交代は、世界的な金融危機であるとか景気の後退、そして雇用や年金問題など将来に対する不安、そして現状に対する不満、政治に変化を求める国民の声が強くなったことが大きな原因ではないかと考えております。
同じく知事の政治姿勢の中で、新政権は米軍再編見直しの立場である。知事は普天間基地の辺野古移設を方針転換する考えはないかという御趣旨の御質問につきましては、まず、この普天間飛行場の県外移設がベストであるというのは何度も申し上げてまいりました。しかしながら、米軍再編協議の経緯などから一日も早い危険性の除去のためには県内移設もやむを得ないと考えていると申し上げてきたわけでございます。
去る9月9日に締結されて報道されました三党連立政権の合意書におきまして、「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」とされておりますが、引き続き政府としてどのような対応を考えておられるのか、まずよくお話をお聞きしたいと考えているところでございます。
次に、同じく知事の政治姿勢の中で、日米地位協定の見直しに関する御質問ですが、これは先ほど申し上げましたのと近いんですが、新政権の与党3党合意においては、日米地位協定の改定を提起することとされているようです。
県としましては、日米地位協定の見直しにつきましては、その実現に向けまして無論新政権、連立三党のお力を得ながら、さらに渉外知事会というのがございます。この知事会と連携をしながら日米両政府に求めてまいりたいと考えているところでございます。
同じく政治姿勢の中で、3年めどの閉鎖状態の実現はどうかという点でございますが、私としましては、普天間飛行場の危険性を放置することはできないことから、この飛行場のヘリなどの運用を極力低減させ、3年をめどに危険性の除去、そして騒音の軽減を図ること等を機会あるごとに政府に対し求めているところでございます。
去る8月11日に開催されました協議会のワーキンググループ会合におきましては、防衛省から平成19年8月の報告書に記載されました危険性除去の諸施策をすべて実施し、今年度は普天間飛行場の継続的な飛行航跡調査を実施するとの説明がありました。県からは、さらなる危険性除去策などの対応を求めたところでございます。
県としましては、今後とも協議会やワーキングチームにおきまして率直な意見交換を重ね、3年めどの閉鎖状態の実現に努めてまいる考えでございます。
次に、同じく政治姿勢の中で、完全失業率全国平均化はどうなるのかという御趣旨の御質問にお答えいたします。
これは別にエクスキューズを申し上げるわけではありませんが、世界的な不況のもと、全国的に経済雇用情勢を取り巻く状況は厳しいものとなっております。
沖縄県内の雇用情勢につきましても同様な環境にはありますけれども、実はこの就業者数というのは着実に増加いたしております。私が知事就任時の約3年前、平成18年と比較いたしますと、平成21年7月は3万5000人ふえておりまして63万2000人となっております。
沖縄県といたしましては、引き続き全部局が連携をした産業と雇用の拡大を図りつつ、今やっております「みんなでグッジョブ運動」をエンジンとしまして広く県民運動として手綱を緩めず展開し、政策の継続を徹底してやってまいりたいと考えております。
そういうことで短期的には7月の失業率が6.6、その前の6月が7.5だったと思います。その前が8.6ですか、ゆっくり下がりつつはあります。全国の失業率が上がっている中で下がりつつあります。それは先ほど申し上げた雇用の数が実はふえているという状況にあります。ただし、この失業率は1%ぐらいでかなり変動しますが、増大するよりはちょっとずつ低減していく傾向にあることだけは申し上げておきますが、数字そのものはまだ振れの幅が大きい数字でございますが、一応御紹介いたしておきます。
次に、観光客1000万人誘致について、知事の任期もあと1年少々なのに大丈夫かという御趣旨の御質問ですが、確かに私の任期はあと1年と2カ月ぐらいになっております。ただし、この1000万人というのはこの4年間でと私、申しておりません、10年でと書いてありまして、2016年をめどに1000万人の観光客ということをちゃんと書いてありますから、ひとつそこは確認をさせていただきます。
そういう1000万人の観光誘客を目指し、外国人観光客の誘客や、そしてMICEの誘致促進等の施策を効果的に展開しているところでございます。
平成20年度の入域観光客数は過去最高の593万人を記録するなど、これまで堅調に推移しているのは御案内のとおりでございます。現在は世界的な景気低迷や新型インフルエンザ等の影響を受けておりますけれども、一時的に厳しい状況にあるのではないかと考えております。沖縄観光の魅力につきましては、国内外から評価を受けております。今後とも誘客のため、さまざまな施策を展開し目標の実現に向かって取り組んでまいりたいと考えております。
政治姿勢の中で、非核三原則に対する知事の所見という御趣旨の御質問にお答えいたします。
沖縄県におきましては、これまで核廃絶に向けて「非核・平和沖縄県宣言」を行いますとともに、あらゆる国による核兵器の実験に対してその都度抗議を行っております。非核三原則は、国会で決議された我が国の国是であります。
また、鳩山首相は、核不拡散と軍縮をテーマにした国連安全保障理事会の首脳会合において「唯一の被爆国として果たすべき道義的責任」を掲げ、非核三原則を堅持し、核廃絶に取り組む決意を表明されました。悲惨な太平洋戦争の地上戦を経験しました県民として、非核三原則を堅持していくべきだと考えております。世界じゅうから一刻も早く核兵器が廃絶されることを願っております。
次に、カジノエンターテインメントに関する御質問で、その導入目的と意義は何かという御趣旨の御質問にお答えいたします。
カジノエンターテインメントは、導入により観光振興、雇用の創出、税収の増大など、経済的波及効果により地域の活性化が図られると言われております。
沖縄県としましては、カジノエンターテインメントは観光客1人当たりの県内消費額の伸び悩み、そして時間・天候・季節を問わず楽しめる多様なエンターテインメント施設の必要性など沖縄観光の課題解決に資するところが大きく、国際観光地としての地位を確立するための有効な手段の一つであると認識しているところでございます。
同じくカジノに係る御質問ですが、懸念事項に対する考え方を述べよという御趣旨の御質問にお答えいたします。
アメリカ、カナダなどの先進諸国の事例によりますと、州政府などの公的機関による厳格な管理下においてカジノが実施されれば、懸念事項と考えられている犯罪の発生、青少年への影響、地域環境への影響につきましては、発生を抑制することが可能とされております。実際に大きな社会問題とはなっていないと認識いたしております。
ギャンブル依存症につきましては、プレーヤー人口の約1%から2%が陥るとの調査結果もあります。
沖縄県としましては、事前の予防策や事後の支援策などを講ずることが重要であると考えているところでございます。
那覇空港の滑走路増設に係る御質問にお答えいたします。必要性についての御質問にお答えいたします。
那覇空港につきましては、現状の滑走路1本のままでは将来需要に対応できなくなるおそれがあります。また、航空機事故などによる滑走路閉鎖により、県経済に大きな影響を及ぼすことが懸念されるため、2本目の滑走路の整備がぜひとも必要であり、急がれていると考えております。
同じく那覇空港の滑走路増設に係る御質問の中で、事業計画と進捗状況いかんという御質問にお答えいたします。
那覇空港の拡張整備につきましては、「那覇空港構想・施設計画検討協議会」におきまして、滑走路間隔1310メートルに基づく施設計画案が承認され、施設計画段階の検討を終了いたしております。今後は、環境アセスメントや調査・設計などに3年、工事に7年のおおむね10年の事業期間により供用開始となる予定となっております。
次に、新型インフルエンザの対策に係る御質問で、新型インフルエンザの患者数の状況と各医療機関との連携についての御質問にお答えいたします。
新型インフルエンザの発生状況は、現在、定点医療機関からの週報により把握をいたしております。沖縄県では、全国に先行いたしまして7月後半から患者の増加が見られ、8月中旬には急増し、医療体制が適切に維持できるか懸念されるまでになりました。
その際に、県医師会などの関係者に呼びかけ、第1に、小児医療情報ネットワークの構築、第2に、時間外診療拡充の臨時的医療提供体制の確保、第3に、那覇市医師会によります那覇市立病院救急室への応援医師の派遣、第4に、沖縄県看護協会によります救急病院での電話相談ボランティアの実施によりまして医療体制を維持することができました。9月に入って患者数は減少しつつあります。9月15日には関係者にお集まりいただき、私から直接これまでの御協力へのお礼と今後予想されます第二波への対応をお願いしたところでございます。
その他の御質問につきましては、部局長等から答弁させていただきます。
○知事公室長(上原良幸) 知事の政治姿勢に関連いたしまして、核密約疑惑についてお答えいたします。
報道によりますと、密約の存在を示す米公文書などが開示され、4人の外務事務次官等経験者が核持ち込みに関する密約の内実を証言する中、日本政府は一貫してその存在を否定しております。
県としましては、日米間の密約の有無については承知しておりませんが、今回の岡田外務大臣によるいわゆる密約問題に関する調査命令は、密約をめぐる過去の事実を徹底的に明らかにし、国民の理解と信頼に基づく外交を実現するためのものだと考えております。
これらの密約に関する調査は、調査チームを9月25日に立ち上げ、本年11月末をめどに結果が出されるとのことであり、その推移を見守っていきたいと思います。
次に、那覇空港の滑走路増設についての御質問で、PAC3の那覇基地配備についてお答えいたします。
防衛省によりますと、弾道ミサイル防衛システムのさらなる充実強化を図るため、平成22年度予算に全国の6個高射群に対し、効率化にも配慮しつつPAC3部隊を配備するための予算を要求しているとのことであります。
沖縄の部隊への配備については、今後の動向を見守りたいと考えております。
以上であります。
○企画部長(川上好久) 知事の政治姿勢についての御質問に関連して、ビジョンの全体概要と今後のスケジュールについてお答えいたします。
ビジョンは、「時代潮流」、「特定課題」、「基本理念」、「めざすべき将来像」、「将来像の実現に向けた戦略」等で構成をしております。
5つの目指すべき将来像については、県民意見を集約をして取りまとめるとともに、取り組みの基本方向として、自然環境の保全と再生・創造や、県土構造の再編につながる基地返還跡地の有効利用、国際航空ネットワークの構築や離島航路・航空路の充実及び料金の低減化、離島の持つ総合力の発揮、沖縄の強みを生かした新たな産業の振興等を盛り込んでおります。
今後のスケジュールとしては、沖縄県振興審議会から答申を受け、パブリックコメントや議会における議論などを経て策定・公表したいと考えております。
次に、基地の返還、鉄軌道導入、自立経済、地方分権、県民の暮らしについてお答えいたします。
ビジョンでは、現時点で基地の返還については、米軍基地の整理縮小を進め、将来的には基地のない沖縄を目指すこととしております。また、鉄軌道の導入については、中南部都市圏を縦貫し、名護市方面に至る軌道系の新たな公共交通ネットワークシステムを構築するとしております。自立経済については、観光産業や情報通信関連産業に続く新たな産業群の形成を目指すこととしております。地方分権については、時代潮流と認識しており、それを推進していくこととしております。また、県民生活については、安全・安心な暮らしの確保や、健康・長寿の沖縄を取り戻す取り組み、地域コミュニティーの再生や地域住民と行政との協働によるまちづくりなどを進めることとしております。
次に、那覇空港の滑走路増設についての御質問に関連して、環境保全と騒音被害の対策についてお答えいたします。
那覇空港の滑走路増設に伴う環境保全と騒音被害に関する対策については、今後、事業主体である国が実施する環境影響評価法に基づく環境アセスメントにおいて検討されることになると考えております。
次に、那覇空港の民間専用化についてお答えいたします。
国は、那覇空港の滑走路増設に当たって、同空港を自衛隊が将来も現状のとおり利用することを前提に検討しております。
県としましては、自衛隊機と民航機の共同使用について、安全管理の徹底を国に求めていくこととしており、自衛隊機の移転を求める考えはありません。
以上でございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 新型インフルエンザの対策についての項目の中で、新型インフルエンザの感染拡大防止対策についてお答えいたします。
県では沖縄県新型インフルエンザ対策本部会議を適宜開き、必要な対策を全庁体制で取り組んできました。対策の基本理念は、社会機能を適正に維持しつつ被害の最小化に努めることであります。また、感染拡大のスピードを抑制するために、学級閉鎖等、標準的な社会対応基準を定め、県民への周知を図ってきました。さらにテレビCM、ポスター等を活用して、「咳エチケット」等の感染拡大予防策を県民に広く呼びかけております。
続きまして、治療薬、防護服の備蓄状況についてお答えいたします。
治療薬に関しては、タミフルを22万人分備蓄しておりますが、今回緊急に8万7000人分の追加備蓄を行ったところであります。今後とも必要に応じて備蓄してまいります。
なお、今回の新型インフルエンザに関しては、国際機関から防護服は必要ないとの勧告が出ておりますので、現在の備蓄で対応可能と考えます。
次に、入院、自宅療養者の生活支援に関する雇用主への呼びかけについてお答えいたします。
沖縄県新型インフルエンザ対策本部では、職場内における急速な感染拡大防止のため、従業員に症状が出た場合の出勤停止・受診勧奨について呼びかけております。また、従業員の同居家族が新型インフルエンザと診断された場合は、休暇をとったり、出勤する場合も他に感染を広げないようマスクの着用を勧める等、可能な感染拡大防止行動に協力するようお願いしたところです。
次に、福祉行政の項目の中で、病児・病後児保育の実施状況と拡充についてお答えいたします。
当該事業は、市町村が実施主体となっており、平成21年度においては、9市町村、12カ所で実施することとなっております。
今後の拡充につきましては、ニーズ等を勘案し、市町村と協議の上、対応を検討してまいりたいと考えております。
次に、待機児童の実数とその解消計画についてお答えいたします。
沖縄県の平成21年4月1日現在の待機児童数は、1888人となっております。
待機児童の解消を目的として、平成20年度に「保育所入所待機児童対策特別事業基金」及び「安心こども基金」を設立しております。
本県における平成21年度の保育所整備につきましては、これら基金の活用により、創設や増改築等による24施設の整備を行うとともに、750人の定員増を図る予定としており、今後もこれら基金を活用した待機児童の解消に努めてまいります。
次に、特養待機者の実数とその解消計画についてお答えいたします。
特別養護老人ホームの入所申込者数は、平成20年11月末時点で3409人、そのうち、要介護3から5の高齢者は1630人、さらにその中で、介護する者が高齢などで十分な介護ができない世帯は、1056人となっております。
解消策として、特別養護老人ホームを沖縄県介護基盤緊急整備等臨時特例基金による上乗せ整備分を含め359床、認知症高齢者グループホームを315床、合計674床を整備することにしております。さらに、可能な限り住みなれた地域での生活を継続できるよう小規模多機能型居宅介護事業所を29カ所増設するなど、介護サービスの拡充を図ってまいります。
以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは教育行政についての御質問で、沖縄水産高校専攻科の特色、実績等についてお答えいたします。
専攻科は、漁業科、機関科、無線通信科の3学科があり、専門的な知識・技能を習得し、海技士や無線通信士等の免許を取得することができる県内唯一の船舶職員養成施設となっております。また、卒業後の就職状況も良好で、平成20年度の就職率は100%となっております。
次に、沖縄水産高校部活にかかわる嘆願書についてお答えいたします。
御質問の嘆願書につきましては、外部指導者である現監督から継続して従事が受けられるよう、父母会が要望しているものと受けとめております。
以上でございます。
○崎山 嗣幸 では再質問をしたいと思います。
再質問の第1点目でありますが、政治姿勢の中で、新政権との関係について伺います。
先ほど知事は、新しい政権との関係は話し合いをしていくということでありましたけれども、従来知事も含めて政府とのパイプ、一体化ということを私は主張してきたと思いますけれども、この県政の課題がスタンスの違う政府とのパイプをうまくつなぐ自信はあるのかということを含めて、私はそれもまた再度伺いたいと思います。
それから同じく政治姿勢の(4)で、辺野古移設の方針転換についてでありますけれども、知事は同じことを言っておりますけれども、この段階になっても辺野古移設は現実的であり、新政権が県外へ持っていくならどうぞやってくださいとの態度で出ておるように思います。知事として県民の声、総意はどこにあると思っているのか、それを伺いたいと思います。
また、知事は政権交代があった現実、4選挙区での敗北がありながらもあくまで辺野古移設を変えようとしていません。辺野古移設を頑固に主張しているのは、知事と米国だけだと私は思っておりますが、最終局面におきまして政府と対峙しても今の辺野古移設を貫き通す考えなのか、明確にお答えをお願いしたいと思います。(「はっきりしないんだよ、政府が」と呼ぶ者あり) だから、はっきりさせてくれと、知事も、逃げないで。知事が逃げたらだめだよ。やじは後でお願いします。
それから政治姿勢の(8)番目でありますが、先ほど21世紀ビジョンについて答弁がありましたけれども、これは長期構想であり、過去を踏まえて未来を予測することは先見性、戦略性、政治の動向などしっかり把握することが必要と思いますけれども、この審議会ではたくさんのクレームがついておりますけれども、知事はそれが絵にかいたもちにならないように未来に責任ある構想を策定する自信があるのか、これもお答え願いたいと思います。
それから次、カジノについてでありますが、観光産業の好調はやはり沖縄の亜熱帯の豊かな自然環境や歴史・文化にはぐくまれ、人々の人情が原点と言われております。エンターテインメント、アミューズメントの施設を強調してもカジノはしょせん賭博場であります。不況知らずと言われたラスベガスも、世界同時不況で入域観光客2割減となり、失業率も7.9%から13%、かなり高くて悪いということを聞きました。カジノに頼らない観光産業を目指すべきではないかと思いますが、見解をお願いしたいと思います。
それから3点目の滑走路増設についてでありますが、この滑走路2本を持ったとき、現在の自衛隊との軍民共用の運用はなぜ明確にしていないのか、これをお答え願いたいと思います。
それから滑走路の増設について、PAC3の件でありますが、今後の動向を見ると言っていますが、計画の中では第5高射群の中で司令部は那覇と10年以降に検討というふうにされておりますが、情報を持っていないのか改めて報告をお願いしたいと思います。
それから福祉行政についてでありますが、(1)で、子育て、病後児保育の答弁の中では、21年度で9カ所から12カ所でとまっているような話がありましたが、これは私からするならば共働き世帯やひとり親世帯にとって大きなサポート支援事業になると思いますけれども、今回のインフルエンザ対策にしてもこのことが整備されていると、やはり治療に専念をさせて安心して職場を休まなくても済むことができると思いますが、改めてこのことをふやしていく計画はないか伺いたいと思います。
それから教育行政についてでありますが、専攻科の件に関しては先ほどありましたように、唯一の船舶の資格の実績があるということでありましたけれども、指導教官の体制は認定校として十分なのかについてお答え願いたいと思います。
それから嘆願書の件でありますが、一言で教育長は片づけておりますけれども、これは水産高校の野球部の関係で父母の会、OBから私は聞きましたけれども、亡くなられた裁監督の遺志を継いだ宜保監督が卓越した指導力と生徒たちとの信頼関係をつくって、実績もベスト4、それから新人大会で優勝し、現在秋の大会もベスト4に進んでおりますけれども、野球が強くなったらだめだということの考え方があるのかどうかわかりませんが、これを解任をするということが起こっておりましてこの嘆願書が出されておりますが、理由が不明確だということで今嘆願書が出ていると思いますが、教育長が再度学校内の信頼関係の修復に責任を持って解決をする考えはないか、再度答弁をお願いしたいと思います。
では、以上よろしくお願いします。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後3時3分休憩
午後3時6分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 崎山議員の再質問に答弁させていただきます。
幾つかございましたが、前の4つ、私の方で答弁させていただきます。
まず第1に、新しい政権とはどうつないでいくのか、その自信はあるのかというような御趣旨の御質問だったと思うんですが、これは政府は民主党の先生方を中心にでき上がっておりますから、もう当然これは仕事上、いろんなことで意見交換をし仕事をしていくことですから、議会の崎山先生たちのお力も得ながら、当然これは沖縄のために仕事をするという点では与野党、いろんな会派みんな一緒だと私は思いますので、お力を得てきちっと政府との関係はつないでまいりたいと考えております。
それから第2に、普天間の辺野古の話ですが、これは基本的にはまず基地の提供というのは政府の仕事ですよね。ですから今、日米両政府で決めてきた案についての話でありまして、前から申し上げていますように、ベストは県外だというのは私申し上げているわけです。しかし、現実的にはなかなか県外だと言っても、これはいつどんな形で実現するのか、その具体策もまだない、説明もないという状態では、これまで私が申し上げてきました県内移設もやむを得ない。それは普天間の危険性を一刻も早く除去するためという目的のためですから、それが変わっていない限りはスタンスは変わりません。しかしながら、これはもうそもそも私が政府と対峙するも何も、政府でどういうふうに変更するのかしないのかうかがわないことには、意見これを申し上げられません。私は、これまでどおりの意見を申し上げているわけです。ですから、今その説明を待っているところです。
それから次に、この21世紀ビジョンですが、いよいよまとめる段階に入ってきて、当然これはいろんな御意見、しかもいろんな分野、年齢の方々から、広く、それで地域も広く御意見とかビジョン、こうありたい、こういう希望とかこうあってほしくないことから、いろんなものを実はいただいております。大きなバスケットに入れてこれを今整理整頓している途中ですから、当然いろんな議論があります。それを今審議会の中で、総合部会の中で汗をかいていただいているわけでして、いずれ早いうちにまた議会の先生方にも御紹介し、いろんな御意見、御批判をいただきたいと考えておりますから、当然これはまとめる自信も持っていますし、まとめるつもりでございます。お力をかしてください。
それからこのカジノにつきましては、確かにこれは国によってもこういうカジノエンターテインメントはない国もありますし、ある国もあります。ある地域もあるし、ない地域もありますから、いろんな議論のあることは無論知っております。しかしながら、これが世界でいろんな観光地でこれは一つの観光の手段としていろんなもしマイナスがあってもこれをきちっと管理をしてやっている一つの観光振興の手段だとも思いますし、経済的な効果もそれなりに大きいと。ですから、今はまだそもそも刑法といいますか、法律を新しくつくるなり法律改正も必要ですから、その間私はカジノというのは経済効果が大きいということで、今まだ研究中でありますが、ぜひとも議員の御理解を得て研究をきちっと進めて、可能であればカジノ導入を図ってまいりたいと考えております。
ただし、崎山議員のようないろんなお考えがあることは無論私百も承知でございますから、ぜひそれはそれとして聞かせていただきたいと思います。
以上でございます。
○企画部長(川上好久) 那覇空港の軍民共用化という御質問についてお答えいたします。
那覇空港の滑走路増設に当たっては、国は同空港を自衛隊が将来も現状のとおり利用するということを前提に検討しているところであります。
以上でございます。
○知事公室長(上原良幸) PAC3に関する再質問、たしかその動向を見守ると答弁したが、情報を全く持っていないのかというお尋ねだったと思いますけれども、お答えいたします。
北朝鮮によるミサイル発射等の経験も踏まえまして、弾道ミサイル防衛システムのさらなる充実強化を図るということが現在の中期防衛力整備計画でもうたわれております。
これが那覇にいつ配備されるかというものにつきましては、今後の予算の動向もあるということでございます。
○福祉保健部長(奥村啓子) 福祉行政の中の、病児・病後児保育の拡充等についての再質問にお答えいたします。
当該事業は、市町村が実施主体となっております。現在、「おきなわ子ども・子育て応援プラン」の22年度から26年度まで5カ年間の後期計画を策定中でありますので、今後の拡充等につきましてはこれらのニーズ等を勘案し、市町村と協議の上、対応を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○教育長(金武正八郎) それでは崎山議員の再質問にお答えいたします。
まず1点目の専攻科の教官についてでございます。
沖縄水産高校の専攻科の漁業科、機関科においては、海技士資格を取得させ、漁船及び商船の幹部職員、船長、機関長として水産業、海運業に従事する技術者を養成いたします。無線通信科では、無線技術士資格を取得させ、海上及び陸上における無線通信業務並びに電子機器等の保守管理業務に従事する技術者を養成します。これは専攻科においては海技士、無線技士等に係る国家試験に対応できるよう指導教官の配置をしております。
次に、部活に関することについての教育長の決意でございますけれども、生徒たちが競技大会等で日ごろの練習の成果を十分に発揮するためにも、学校そして父母会、そして関係者が連携・協力することは大切なことだと考えております。
校長を初め学校職員や監督、父母会が十分に話し合い、生徒たちが頑張っていける環境づくりのために互いの理解を深め、しっかりと連携・協力が図っていけるように促してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○崎山 嗣幸 再々質問をしたいと思います。
先ほどから聞いているのは、私は県民の民意はどこにあるのかということを聞いておりまして、それに明確に知事は答えておりません。
今回の選挙の結果もこの辺野古基地建設反対という民意が問われた結果が出た、昨年の県議選挙の野党多数も民意が出たということを踏まえて、私は最終的に政府が県内移設反対ということが明確になった時点においても知事は辺野古移設を貫き通すのかということを聞いております。みずから県民の立場に立ってその意思を明確にしないと、あくまで未来永劫に政府云々ということについては、私は県政の立場に立つ者としてやはり弱腰ではないかと思います。
主体的に県内にこれ以上の基地の建設はつくらせないということを明確に、今は環境が整っている、民意も政府も整っている。これを私は明確に県内に基地はつくらせないということをベストを要求すべきではないかと思いますので、再度答弁お願いします。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後3時18分休憩
午後3時19分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 崎山議員の再々質問にお答えいたします。
議員のおっしゃるのは、半分まではまさにそのとおりでして、おっしゃるように民意も県内か県外かと聞かれたら、県外だというのは当然だと思うんですね。そして私もベストの選択は県外ですよと、ベストは県外だと申し上げている。ですから、政府は今民主党を中心にした政府にかわっても、まだ今変えましたと現実には言ってきていませんよ。いいですか、前の日米で決めた、前の自民党を中心とした政府のそのままの案なんですよ。
そうすると、これがまだ変わっていない段階で、しかも浦崎議員の御質問にもありましたが、具体的な工程表もないまま県外へというものは、まずこの具体的な工程を聞かないことには、少なくとも普天間の一日も早い危険性の除去という結論にはなかなかつながりませんよ。
ですから、まず政党はかわっても政府は一緒ですから、一体どう変えるのか、変えないのかうかがわないことには、私は答えられないと申し上げているんです。ないしは、今まで申し上げたことしか答えられないということです。
以上でございます。
○議長(髙嶺善伸) 20分間休憩いたします。
午後3時21分休憩
午後3時43分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
休憩前に引き続き代表質問を行います。
照屋大河君。
〔照屋大河君登壇〕
○照屋 大河 こんにちは。
社民・護憲ネット、2番手になります。そしてきょうの最終になります照屋大河です。
代表質問の前に所感を述べながら、質問に続けていきたいと思います。
歴史的な政権交代を実現した選挙から約1カ月がたちます。午前中、知事からもありましたが、真夏の選挙期間中に県民から、今の生活、現状に対する不満、怒り、そして将来に対する不安、選挙期間中に随分その声を聞いてまいりましたので、社民党、これから安心の生活、安心の暮らしの実現に全力を尽くしていきたい。
そして、社民党は選挙に当たって憲法9条の堅持、憲法の精神・理念が生かされる政治の実現を訴えてきました。また、その件に関してもしっかり進めていきたいと思っています。
そして、本日は9月29日、教科書検定意見の撤回を求める県民大会から2年の日を迎えます。この後、県民大会も予定されておりますが、あの県民大会以来、多くの皆さんが重い口を開いて沖縄のあの悲惨な戦争の歴史を語ってきた。私は、しっかりその声に耳を傾けて、二度とあの悲惨な戦争を繰り返してはいけないと。大切な県民大会だと思っていますので、この後の県民大会にも多くの県民の皆さんが御参加いただきますように、この場をかりてお願いをしたいと思います。
そして、選挙戦について、最後になりますが、マニフェストが話題になった選挙戦でありました。照屋大河が注目したのは、政党若手の座談会でも申し上げましたが世襲制度、世襲立候補の禁止。照屋大河は大、大、大賛成でありまして、小さいことからコツコツと――聞いたことがあるようなせりふですが――しっかりと地域で頑張っていく決意を述べて代表質問に移ってまいります。
1番目、公共工事について。
この公共事業については費用対効果、自然環境保護の2つの視点で厳しいものがあり、その2つの視点に対する説明責任を果たすことが重要だと考えます。
まず1つ目の事業について。
(1)、北部地域森林計画で建設作業が進められている楚洲仲尾線やチイバナ線などの10林道について、県が費用対効果の数値算出で根拠にすべき基礎資料を所有していないことが判明した。
ア、林野庁のガイドラインでは、数値算出は基礎資料に基づいて実施することを定めているが、基礎資料を作成していない理由について伺います。
イ、なぜ県は10林道とも事業実施の合理性があることを示す基準値1.0以上の数値をつけているのか。定量的な分析に基づく数値であるのかとあわせて算出根拠について伺います。
(2)、泡瀬干潟埋立(東部海浜開発)事業について。
事業を所管する前原沖縄担当・国土交通大臣が「Ⅰ期中断・Ⅱ期中止」の意向を明言した。小沢環境大臣も同様の意向を示している。
10月15日に公金支出差しとめの控訴審判決を控える中、大臣発言に対する知事の所見について伺います。
大きい2番目、地方分権について。
(1)、県内の学識経験者や経済人らによる道州制懇話会が沖縄「単独州」――これは特例型ですね――を提起する最終提言案をまとめた。知事は、提言をどのように受けとめ評価しているのか見解を伺う。
(2)、国から地方へのひもつき補助金を廃止し、地方が自由に使える一括交付金制度の導入について。
確かに制度導入に当たっては、高率補助や税制関連の特別措置継続、総合事務局の存廃など考慮すべき課題も多い。それでも地方分権の推進、自立した沖縄を目指す観点から、変革を恐れず国に対して主体的な制度政策提言をしていくべきではないか、知事の考えを伺います。
大きい3番目、普天間アセスについて。
これまでの県環境影響審査会の議論を通じて、1700万立方メートルの埋立土砂の調達先や潮流計算式の制度検証、ジュゴンの複数年調査の必要性などについて、事業者の沖縄防衛局はいずれもゼロ回答。知事が方法書段階で指摘した重要課題は積み残しされたまま事業者側との質疑が終了したわけだが、10月13日期限の知事意見書提出では、方法書からのやり直しを求める選択肢はあるのか、知事の見解について伺います。
大きい4番、浦添市のマンション廊下崩落事故について。
(1)、今回の事故は自然災害ではないため、生活再建支援法や災害救助法が適用されない。しかしながら、今後同様の事故がいつ発生するとも限らない中、自己責任で片づけてはならず、被害住民に対する行政支援のあり方を検討するなど、制度整備は急務である。事故を受けての県の対応、取り組み状況について伺う。
(2)、事故の要因として、塩分が除去されない海砂が建築資材として使用されていたことが挙げられている。県は、塩分量規制前の建造物を洗い出して、危険度調査を実施するよう市町村に指導すべきではないか伺います。
(3)、特殊建築物の建築主に義務づけられる県などへの修繕計画の定期報告について、2007年度の報告率が全国平均66.3%に対し、県内は6.6%と全国最下位である。原因分析と今後の対策について伺います。
大きい5番目、公務員の犯罪について。
(1)、9月18日、県土地改良事業団体連合会の職員が、2003年から6年間にわたって計1億5600万円を横領したとして、業務上横領と背任容疑で刑事告訴された。
ア、事件が発覚したのは、銀行から同連合会に借入期限の通知があった7月30日、職員は8月6日付で停職処分になっている。なぜ公表までに1カ月以上もの時間を要したのか明確な説明を求めます。
イ、同連合会の監督権限は総合事務局土地改良課にある一方、設立時に1億円を出捐(出資)した県は筆頭株主である。今回の事件は、同連合会の入出金管理などの経理事務が同職員1人だけであったことから、県が外郭団体にスリム化を求めた結果との指摘もある。県としてどのように原因分析し、再発防止策を講じるつもりか伺う。
(2)、不景気が続き多くの県民・国民が日々の生活に困窮する中、公務員に対する社会の目は大変に厳しい。にもかかわらず、教員を含め公職につく者の犯罪が後を絶たない。もはや小手先の研修や指導では対応できず、全庁的な意識改革が必要だと考えるが、県の取り組みを伺う。
大きい6番目、社会保障制度の充実(教育、医療、福祉行政など)について。
(1)、去る衆議院選挙において政権交代が実現したのは、後期高齢者医療制度の廃止や障害者自立支援法の廃止、最低保障年金制度の創設、高校授業料無償化、子ども手当創設、学童保育の充実、待機児童解消など、手厚い社会保障、子育て支援を県民が求めたからである。小泉構造改革以来の社会保障費毎年2200億円削減に県民がノーを突きつけたとも言いかえられるだろう。これら新政権の政策について知事の見解を伺う。
(2)、県立北部病院の医療体制について。
ア、産婦人科医師の退職によって、同病院の産婦人科は半減の2人となるが、24時間の救急医療体制は維持できるのか。後任の医師確保の状況とあわせて伺う。
イ、北部病院に限らず離島など常勤医師確保が常態的に困難になっている。救急搬送体制の整備は局面打開の一つの選択肢であるが、これまでの県の姿勢を改め、NPO法人MESHサポートと協力してのドクターヘリ2機目導入を検討する考えはないか伺う。
大きい7番目、CO2の削減について。
(1)、温室効果ガス排出量について、鳩山由紀夫首相は、国連気候変動サミットの開会式で2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するとの目標を表明した。高い数値目標を掲げた国際公約について知事の所見を伺う。
(2)、県内では、90年比でエネルギー消費増加率(06年)が約55%と全国最高であり、炭素排出増加率も約70%と突出している。県は、原因・背景をどのように分析し対策を講じているのか。県の排出量削減目標値、達成率とあわせて伺います。
以上、よろしくお願いいたします。
○知事(仲井眞弘多) 照屋議員の御質問に答弁いたします。
まず第1に、地方分権についての中で、道州制懇談会の最終提言に係る評価いかんという御趣旨の御質問にお答えいたします。
県内の各界各層の団体代表や有識者が集まり、2年もの議論を経てこうした提言をまとめられたことは高く評価いたしております。敬意を表しております。
県としましても、現在、沖縄21世紀ビジョンを作成しつつあるところでございます。道州制や自治のあり方といった沖縄の将来像の検討に際し、大いに参考とさせていただきたいと考えているところでございます。
次に、地方分権についてという柱の中で、国に対して主体的な制度政策提言を行うことについてという御趣旨の御質問にお答えいたします。
国から地方への補助金を廃止し一括交付金として交付することは、地方分権を維持するための取り組みの一つであると認識をいたしております。
一括交付金の導入につきましては具体的な内容が示されておりませんが、高率補助を含む総額の安定かつ継続的な確保や基地返還跡地利用、そして離島振興など、国の責務により実施すべき財政需要への対応、さらには現行の沖縄振興計画・沖縄振興特別措置法との関連など、整理すべき課題がございます。これらの課題等を踏まえまして適切に対応していきたいと考えているところでございます。
次に、社会保障制度の充実等々の御質問で、社会保障制度や高校授業料無料化に係る新政権の政策についての御質問にお答えいたします。
新政権の社会保障制度や高校授業料無料化に対する国民・県民の関心は大きいものがあります。
新政権は発足直後であります。現時点では、その政策に係る県や市町村の財源負担など具体的内容が明らかにされておりませんことから、地方の行財政状況への考慮など、法案や制度設計の動向などを注視してまいりたいと考えているところでございます。
いずれにしましても、制度廃止等による混乱がなく新たな政策が県民生活の安定につながることを期待しているところでございます。
次に、CO2削減に係る御質問の中で、日本の中期目標について知事の所見いかんという御質問にお答えいたします。
今回の国連気候変動サミットにおきまして、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減を目指すという我が国の中期目標が表明されたことは、地球温暖化問題解決への強い意欲のあらわれであると考えております。
今回の表明により新たな国際的枠組みにおきましてより多くの国が参加するとともに、全世界の温室効果ガス削減が推進されることを期待しておりますが、ただし、技術的には非常に難しいレベルになっておりまして、沖縄県でもこれは無論目標達成のための計画をしっかりつくってまいりたいと思いますが、強烈な問題解決型の技術開発や研究開発を取り込んでそれを実行しないと、なかなか現実には解決できないレベルのものだという点も我々は理解し取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 公共工事で、林道建設に係る基礎資料及び10林道の基準数値とその算出根拠について一括してお答えいたします。
沖縄北部地域森林計画において、国頭村で計画している林道10路線のうち着手している林道は6路線あり、その費用対効果はいずれも1.0以上となっております。
未着手4路線の費用対効果につきましては、事業採択のときに算出することになっております。
事業着手した6路線の費用対効果につきましては、林野公共事業における事前評価マニュアルに基づき、「木材生産便益」、「森林管理等経費縮減便益」、「土砂崩壊防止便益」などの約20の項目の便益をもとに算出しております。
各便益の算出には各種の因子を用いており、例えば、土砂崩壊防止便益につきましては、砂防ダム建設コスト、崩壊見込み量、事業対象区域面積、流域内崩壊率、雨量比、平均的な崩壊の深さなどの因子の値を計算式に当てはめて算出しております。
今回の土砂崩壊防止便益の算出に当たって、「流域内崩壊率」、「平均的な崩壊の深さ」に関する因子の値はあるものの、その因子のもととなる資料の一部が保存されておりませんでした。また、木材生産便益のほか、複数の便益においても土砂崩壊防止便益と同様に、因子のもととなる資料の一部が保存されておりませんでした。
このことについては、資料整理に対する認識が十分でなかったことから生じたものであり、今後、このようなことがないよう適切に対処したいと考えております。
現在、算出のもととなる資料を収集し、費用対効果を再度算出しているところであります。
なお、工事の着手につきましては、その結果をもとに国と調整し進めていきたいと考えております。
次に、公務員の犯罪で、県土地改良事業団体連合会の職員による事件で、発覚から公表まで時間を要した理由についてお答えいたします。
県土地改良事業団体連合会の職員の事件につきましては、本人の自首による警察からの情報により、同団体が知り得たものであります。
事件発覚から公表まで時間を要した理由については、告発に当たって当該職員が実行した証拠に対する税理士の調査、弁護士の選任、弁護士による事実の確認、告発調書の作成などに時間を要したものであります。
税理士、弁護士の調査の結果によると、被害額は1億5605万2992円が見込まれております。
なお、公表は9月18日に与那原警察署に業務上横領罪及び背任罪で告発したその日になっております。
次に、同事件の原因と再発防止についてお答えします。
今回の、同団体における事件の原因としては、一職員が長期にわたり経理を担当していたこと、公印管理者が公印を十分に管理していなかったこと、証憑の照合が毎月行われなかったことなど、内部チェック体制が甘かったことが挙げられます。今回の事件については、まことに遺憾でございます。
県としても、再発防止策として、認可団体である国と連携し、公印管理の徹底や外部有識者を含めたチェック体制の強化を図るよう指導してまいります。
以上でございます。
○土木建築部長(仲田文昭) 公共事業について、泡瀬地区埋立事業に係る知事の所見についてお答えいたします。
泡瀬地区埋立事業について、前原大臣はⅠ期中断、Ⅱ期中止を基本とするが、地域の話を聞きながら、事業評価を踏まえて判断する旨の発言をしております。
本事業は、地元からの強い要請に基づき実施しているものであり、沖縄市長は、現在工事を進めている第Ⅰ区域については推進することを表明しております。また、沖縄市議会においても圧倒的多数で事業の推進を求めております。
県としましては、現在工事を実施している第Ⅰ区域については、事業効果の早期発現に向け引き続き事業を推進していく必要があると考えております。
次に、浦添市のマンション廊下崩落事故について、事故を受けての県の対応、取り組み状況についてお答えいたします。
県では、浦添市から使用中止の勧告を受けた住民の住居の確保に関して、浦添市に対して高齢者向け住宅などの情報提供を行っております。
また、マンションの維持管理等については、区分所有者が行うことが基本であることから、県としては、浦添市と連携し、区分所有者の求めに応じ必要な情報及び資料の提供等を行っていきたいと考えております。
次に、同じく浦添市のマンション廊下崩落事故について、建築物の危険度調査についてお答えいたします。
建築物の所有者や管理者は、建築物を適正に維持管理する必要があることから、県ではその対策として9月18日に浦添市などの特定行政庁及び土木事務所による会議を開き、定期報告などの建築物の適正な維持管理について県民へ周知強化を図ることとしております。また、各特定行政庁が把握している老朽化した建築物の目視調査の実施などを申し合わせております。
同じく、定期報告率最下位の原因と対策についてお答えいたします。
沖縄県の報告率が低い主な要因としては、制度の周知が十分でないことや建築物の維持管理に対して関心が薄いことなどが挙げられます。
この対策として、年2回行われる建築物防災週間での県民への周知、建築主等への文書による督促などを行うほか、各特定行政庁や建築士事務所協会など関係機関と連携して、同制度の周知徹底を図っていきたいと考えております。
以上でございます。
○文化環境部長(知念建次) 普天間アセスについての御質問で、方法書からの手続のやり直しについてお答えいたします。
環境影響評価法及び沖縄県環境影響評価条例では、手続のやり直しが必要となる要件について定めておりますが、当該準備書は、当該要件に該当するものではないと考えております。
次に、CO2削減についての御質問で、増加している県内排出量の要因とその対策についてお答えいたします。
沖縄県における排出量増加の主な要因は、人口・世帯数、入域観光客数、自動車台数等の増加に伴う電気や燃料消費量の増加及び電気の排出係数の増加によるものでございます。
このことから、沖縄県では、県民、事業者への環境に配慮したエコライフ、エコオフィス活動の実践を促しておりますが、県の目標達成は厳しい状況にあります。
地球温暖化対策は重要な課題であることから、対策の充実強化を図るため、平成22年度までに現行計画を見直し、新たな計画を策定することにしております。新たな計画では、エネルギー政策などの関連施策と連携を図りながら、本県の地域特性に配慮しつつ総合的な地球温暖化対策を展開していきたいと考えております。
以上でございます。
○総務部長(兼島 規) 公務員の犯罪についての質問のうち、職員の意識改革への取り組みについてお答えいたします。
職員の綱紀粛正及び服務規律の確保については、かねてから注意を喚起するとともに、職員の非違行為に対しては厳正に対処しているところであります。
また、一人一人の職員が県民全体の奉仕者としての能力を高めつつ、県民の立場に立ち、責任を自覚して職務を遂行できるよう高い倫理観の確立を目的とした研修などを実施しているところであります。
今後は、公金を取り扱う部署のチェック体制を強化するとともに、飲酒運転防止の講演会を開催するなど、あらゆる機会を通して職員の自覚を促し、県民の県政に対する信頼確保に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○病院事業局長(知念 清) 社会保障制度の充実についての中の、北部病院産婦人科の診療体制についての御質問にお答えします。
北部病院における産婦人科の救急患者の受け入れやハイリスク分娩については、医師2人体制では対応が困難であることから、9月28日から救急診療を制限し中部病院へ搬送しております。
24時間救急診療体制を再開するためには4人の医師の配置が必要であると考えており、あらゆる手段を講じて医師の確保に向けて努力しているところであります。
以上です。
○福祉保健部長(奥村啓子) 社会保障制度の充実の中の、ドクターヘリの2機目導入についての質問にお答えいたします。
ドクターヘリの複数配置については、平成20年8月末に取りまとめられた厚生労働省「ドクターヘリ導入促進検討会」の報告書において、運航実績を評価した上で、段階的に効率性等を十分に分析の上、中長期的な配備計画の中で検討を行うことが適当であるとされております。
本県のドクターヘリは、沖縄本島全域と本島周辺離島を運航範囲として平成20年12月1日に運航を開始したばかりであり、1機目の運航状況等を踏まえて、今後研究させていただきたいと考えております。
以上でございます。
○照屋 大河 再質問を行います。
まず、北部の林道問題について、部長、その基礎資料を保存されていなかったというような答弁だったと思いますが、その資料はもともとあったんですか。
先ほど最初に申し上げましたが、しっかりとした説明がこの公共工事等については必要だと言ったはずですが、新聞報道などで見ると、「県森林緑地課は「(基礎資料なしで算出したとしても)災害はどこで起こるか分からないので効果に算出した」と説明」というふうにありますが、この説明を聞くと、もともとなかったんじゃないですか、資料は。
先ほどの部長の答弁ではどうもあったんだと、保存されていなかっただけなんだということですので、もう一度確認させてください。
それから、続いて環境アセスについてです。
昨日、県の環境評価審査会が行われて、知事への最終答申案ですね、協議が行われたようであります。
答申については、準備書が事業実施による環境への影響を総じて少ないとしたことに対して、影響が極めて大きいと考えられる。答申案の骨子、前文では、机上の予想を超えた影響があるとした上で、ジュゴンについても複数年の調査を実施させる。このジュゴンの複数年調査については、委員から、事業者は辺野古海域にいない前提で調査していると感じる。あえて辺野古を強調すべきだとの厳しい意見も出たようです。
先ほどから、辺野古移設について県外・国外、あるいは国からの方針が示されていないという知事の答弁がありました。今の普天間基地の危険性の除去のために辺野古移設もやむを得ないということですが、このようなしっかりとした評価、手続において厳しい意見が出されているわけですから、知事、答申を受けて10月13日には知事も意見を述べなければなりませんが、このアセスについてはしっかりと意見を述べていく。環境評価についても、複数年調査についても不十分だと言っているわけですから、その辺についていま一度答弁を求めます。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後4時18分休憩
午後4時19分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
仲井眞知事。
〔知事 仲井眞弘多君登壇〕
○知事(仲井眞弘多) 照屋議員の再質問にお答えいたします。
2番目の環境アセスについてです。
おっしゃるように、まだ新聞報道で私も知っている限りでございますが、今のジュゴン調査の複数年調査であるとか、あとは環境についてのいろんな判断、考えがいろいろ厳しいものが出ているそうでして、これは今のところ10月2日には答申をいただくということになっております。それを踏まえまして、13日には私の方でも答弁しなければいけません。無論、この環境その他についてはきちっと専門家の意見を踏まえて我々、あとは名護市長さん、それから近隣の村長さんの、それから県民のいろんな多数の御意見がありましたから、それも踏まえて申し述べる予定です。
以上でございます。
○農林水産部長(比嘉俊昭) 再質問にお答えいたします。
先ほどの費用対効果につきましては、木材生産便益、森林管理等経費縮減便益、あと20項目に基づいて算出をすることになりますが、その中の土砂崩壊防止便益の中の砂防ダム建設コスト、それから崩壊見込み量などなどの中の因子が保存がされてなかったということでございます。
以上です。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後4時21分休憩
午後4時24分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
農林水産部長。
〔農林水産部長 比嘉俊昭君登壇〕
○農林水産部長(比嘉俊昭) 再質問にお答えします。
費用対効果につきましては、いずれも6路線については1点以上の数値がございました。その数値をはじく際に、それぞれの木材生産便益とか森林管理等経費縮減便益とか、そういうのをそれぞれはじくことになりますが、さらにその下の細かい根拠がないとその便益をはじくことができません。
したがいまして、その便益をはじく際にその根拠となる資料があって算出されたと思います。
以上でございます。
○照屋 大河 林道問題について、基礎資料があったと思いますという答弁ですが、裁判では基礎資料がないと。原告代理人弁護士は笑っちゃうというふうな言い方をしているんです。
この資料については、保存について、その保存する期間とか決められているのか。あるいはこの保存についての責任はどこにあるのか伺いたいと思います。
続いて知事の方に、今普天間が危険だからということで専門家の意見、厳しい意見ではあるが、自分はその危険を除去するために手続を着々と進めていくということではなくて、しっかりとした答申に基づいた意見をお願いしたいと思います。
○議長(髙嶺善伸) 休憩いたします。
午後4時27分休憩
午後4時29分再開
○議長(髙嶺善伸) 再開いたします。
農林水産部長。
〔農林水産部長 比嘉俊昭君登壇〕
○農林水産部長(比嘉俊昭) 再々質問にお答えします。
費用対効果の保存期間、責任の所管はどこにあるのかということについてお答えいたします。
まず、文書の保存なんですが、重要な事業の計画及び実施についての文書というのが10年保存というふうに書いています。
その中で、先ほどの費用対効果などが10年保存かの規定は明確にはされておりません。
それから、所管の責任といいますと、森林緑地課の方で文書は所管するということになっております。
以上でございます。
○照屋 大河 文書について、10年保存は明確じゃないとしても、しっかりとあったということの説明責任ができる文書の提示をぜひまた議会の方にお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
○議長(髙嶺善伸) 以上で本日の代表質問は終わりました。
本日の日程はこれで終了いたしました。
次会は、明30日定刻より会議を開きます。
議事日程は、追って通知いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後4時31分散会