委員会記録・調査報告等
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経済労働委員会記録
平成25年 第 7 回 定例会
第 2 号
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開会の日時
年月日 | 平成25年12月12日 木曜日 |
開会 | 午前 10 時 2 分 |
散会 | 午後 6 時 17 分 |
場所
第1委員会室
議題
1 参考人からの意見聴取について(陳情第51号)
2 乙第8号議案 沖縄県緊急雇用創出事業等臨時特例基金条例の一部を改正する条例
3 乙第16号議案 財産の取得について
4 乙第17号議案 指定管理者の指定について
5 乙第23号議案 県営土地改良事業の執行に伴う負担金の徴収について
6 乙第24号議案 県営水質保全対策事業の執行に伴う負担金の徴収について
7 乙第25号議案 県営通作条件整備事業の執行に伴う負担金の徴収について
8 乙第26号議案 農業基盤整備促進事業の執行に伴う負担金の徴収について
9 陳情平成24年第81号、同第113号、同第114号、同第119号、同第123号、同 第140号の2、同第144号、同第146号、同第147号、同第158号、同第161号、同第162号、同第198号、同第206号、第6号、第13号、第28号、第30号、第33号、第44号、第47号、第50号の2、第51号、第53号、第68号、第83号、第104号の2、第107号、第113号、第117号の2、第129号、第130号、第134号及び第136号
10 閉会中継続審査・調査について
11 農林水産業について(日台漁業取り決め及び日中漁業協定に関する意見書について)(追加議題)
出席委員
委 員 長 上 原 章 君
副委員長 砂 川 利 勝 君
委 員 座喜味 一 幸 君
委 員 翁 長 政 俊 君
委 員 新 垣 哲 司 君
委 員 仲 村 未 央 さん
委 員 崎 山 嗣 幸 君
委 員 玉 城 満 君
委 員 瑞慶覧 功 君
委 員 玉 城 ノブ子 さん
委 員 儀 間 光 秀 君
委 員 喜 納 昌 春 君
欠席委員
なし
説明のため出席した者の職・氏名
(参考人)(陳情第51号について)
沖縄県漁業協同組合連合会代表理事組合長 國 吉 眞 孝 君
沖縄大学名誉教授 上 田 不二夫 君
(補助者)
沖縄県漁業協同組合長会会長 古波蔵 廣 君
久米島漁業協同組合代表理事組合長 渡名喜 盛 二 君
八重山漁業協同組合代表理事組合長 上 原 亀 一 君
農林水産部長 山 城 毅 君
営農支援課長 西 村 真 君
糖業農産課長 竹ノ内 昭 一 君
水産課長 新 里 勝 也 君
商工労働部長 小 嶺 淳 君
産業振興統括監 下 地 明 和 君
産業政策課長 金 良 実 君
国際物流推進課長 玉 城 恒 美 君
ものづくり振興課長 金 城 陽 一 君
雇用政策課長 又 吉 稔 君
文化観光スポーツ部長 湧 川 盛 順 君
観光振興課長 前 原 正 人 君
○上原章委員長 ただいまから、経済労働委員会を開会いたします。
乙第8号議案の条例議案1件、乙第16号議案、乙第17号議案及び乙第23号議案から乙第26号議案までの議決案件6件、陳情平成24年第81号外33件、本委員会所管事務調査事項農林水産業についてに係る日台漁業取り決めについて及び閉会中継続審査・調査についてを一括して議題といたします。
まず初めに、本委員会所管事務調査事項農林水産業についてに係る日台漁業取り決めについてを議題といたします。
ただいまの議題につきましては、12月11日の本委員会において決定しましたとおり、本日は参考人として、沖縄県漁業協同組合連合会代表理事会長、沖縄県日台・日中漁業問題対策等漁業者協議会会長國吉眞孝氏、沖縄大学名誉教授上田不二夫氏の出席をお願いしております。
また、國吉参考人から申し出のあった補助者として、沖縄県日台・日中漁業問題対策等漁業者協議会副会長、古波蔵廣沖縄県漁業協同組合長会会長、同協議会委員、渡名喜盛二久米島漁業協同組合代表理事組合長、同協議会委員、上原亀一八重山漁業協同組合代表理事組合長が陪席しております。
参考人及び補助者の皆様、本日は御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
この際、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
まず、参考人から御説明をいただいた後、委員から参考人に対し質疑を行うことにしております。
参考人等が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、議題の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
また、本日は委員会が参考人等の意見を聞く場でありますので、参考人等が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
それでは、國吉眞孝参考人から日台漁業取り決めについて簡潔に御説明をお願いいたします。
○國吉眞孝参考人 この日台問題の締結以後、こういう問題等に対して、我々業界で話し合いをした結果、組合長会を中心にいろいろな協議会もつくり、要請も県知事と一緒に参りまして、いろいろな押し問答の中で、国と国との締結によって、我々漁業者は大変生活に無理を強いられている状況の中で今まで来ております。ここを今からどのような情勢の変更をしようか、いろいろな意見を県議会に要請もしながら、お話も聞きながらやっていきたいという趣旨でやってまいりました。今回は県議会の皆様が意見を聞きたいということですので、皆さんたちの質疑にできる範囲の中で答えていきたいと思います。補助人も同席していますので遠慮なく、まずは日台問題について聞いていただきたいと思います。
○上原章委員長 國吉参考人からの説明は終わりました。
これより参考人等に対する質疑を行います。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
質疑はありませんか。
仲村未央委員。
○仲村未央委員 きょうはお忙しい中、このようにお越しくださってありがとうございます。まず今おっしゃられたことで、現場、特に漁業者の皆さんの混乱と不安というものは大変大きなものがあろうかと、この推移を見ております。皆さん方の陳情をいただきながら、県議会としても数回にわたって、その趣旨を踏まえた意見書を、その趣旨どおりに採択してきているということは御存じかと思いますが、ぜひ聞かせていただきたいと思います。先月漁業者間会合がありましたね。その主な感想とか進に関して、最新の皆様の状況についてお尋ねします。
○國吉眞孝参考人 この会合は25日、26日に台北でやってきましたが、前に台湾側が意見交換会で来て、今度は我々が漁業者間の意見交換会ということで行ってまいりました。やはり1回目と違って、2回目からは漁業者間同士のお互いの交流ができた、認識ができたといいますか、前向きに話はやってきましたが、まだまだ我々の意見がかみ合うようなところまではいっていません。今後、もう一回の意見交換会をやって、最終的な委員会に持ち込んでいくような案を決めようということで、まず一応は帰ってきました。
○仲村未央委員 かみ合わないところもあったということですが、双方が伝統的にそこで漁をしていたお互いの海であるということの基本認識はそれぞれあるのですか。つまり、どちらか一方の海だという印象もこれまでの報道で伝わってきましたが、沖縄側にとっても台湾と同じような、まさに庭先の海であるという認識はあちらも十分に持って、皆さんと協議に入っているということですか。
○國吉眞孝参考人 台湾と沖縄は、EEZが引かれないうちはお互いの海だという認識でやっていたわけです。それが、EEZの国際条約ができて、区切りができたときに、これからは台湾漁船の自由な操業を禁止して、海上保安庁が要請して、出ていってくれ、操業を自粛してくれという中で、この前の日台漁業取り決めが締結されたことで、台湾側は歴史的漁場なんだと主張するわけです。沖縄側の漁師も一緒なのです。区切りがない時代は、お互いの海で生きる場所ですから、歴史的にあるのです。そこで区切られたものだから問題が起きて、自由に来るようになってから船も多くなり、トラブルが起き始めて、協定を結んだ中でルールづくりをやらないといけないのではないかというものが今までの流れです。
○仲村未央委員 きょうは久米島、石垣それぞれの組合長もいらっしゃっているのですが、この協定が発効して運用されて以来、現場は実際にどのような環境にあるのか、具体的な影響あるいは被害等があるのか、そこら辺をお聞かせください。
○渡名喜盛二補助者 被害についてということですが、去年より極端に水揚げが落ちています。漁業協定が結ばれてから―私も先週台湾に出席したのですが、150隻ぐらいのはえ縄船がいて、それと沖縄県側のはえ縄船、九州側のはえ縄船を入れたら300隻以上になると思います。そこに台湾側からふえたということで、マグロというものは北上していきますから、南側のほうでたくさんはえ縄船で釣り上げられたら―私たちの水域まで来るまでに向こうでたくさんの量が捕獲されて、ことしから非常に水揚げが落ち込んでいます。
○仲村未央委員 実際にどのぐらい落ち込んでいるのですか。
○渡名喜盛二補助者 以前は一番いいときで1日10トンぐらい揚がっています。ことしは10トンという水揚げはないです。4トンぐらいが最高だったと思います。
○上原亀一補助者 経済労働委員会の皆様には去った何月でしたか、石垣にもお越しいただきまして、そのときにもお話をしたかと思います。ただいまの仲村委員の御質疑は取り決め締結後の状況というお話ですが、取り決め締結後は、あの海域については4月から7月の本マグロシーズンで、新聞報道でも御案内かもしれませんが、私どもの所属船はあの海域では操業を控えております。操業をしておりません。当然その分、あの海域からの漁獲はありません。トラブルを避けるというものが大きな要因です。試みたことはあるのですが、投縄をしてすぐに台湾漁船の縄があったということで、投縄は切り上げて、漁場を南側に変えるということです。水揚げ実態被害というものは操業ができない被害という現状です、マグロはえ縄に関しては。その他のソデイカ漁等については、現在のところ彼らも操業を自粛しているということですので、締結後の被害というものはその部分になると思います。
○仲村未央委員 本当に深刻な影響―水揚げが落ちている、操業そのものを自粛せざるを得ないということがうかがえたのですが、実際には先ほど國吉会長がおっしゃったようにEEZの中で、本来であれば国内法が適用されるという水域が全く適用されないという逆の形で、締結が先にあって、話も前後する中で、その後にお互いの漁業者間の交渉であるとか調整会議という、順序が全く逆の調整を強いられるわけですね。新聞等でもいろいろ具体的なルールの話もありますが、それ以前にそういったあらかじめ提供されたかのような状況の中で、実態は今お話を聞くともう入れない海になってしまっているということからすると、このように環境が先にあって、国と国との政府間の締結が先にあって交渉が強いられるという状況に対して、率直にどう感じているのか。漁業者間の話し合いにしろ、これから調整委員会に入っていくのでしょうが、そういう中でどれほどの調整ができていくのか、非常に厳しい現状ではないかという感触は得ますが、そこら辺はいかがでしょうか。
○國吉眞孝参考人 我々もこの協定が締結されるときに、事前に外務省、官邸がやる前に、わずかな―1カ月前でしょうか。日台漁業交渉に入るというだけの話を聞いて、あっという間に頭越しに締結されて、これで漁業者がみんな怒っている現状で、撤廃を基本にいろいろな抗議をやってきました。いろいろ国とお話しして、できないと言うものですから、ではどうするのかとなったときに、生きるためには漁業ルールをつくらなければ、お互いの共存共栄はないだろうという考え方で、我々組合長会を中心に沖縄県日台・日中漁業問題対策等漁業者協議会―漁業者協議会をつくり、ここで全島のメンバーを集めて、今後は生産性のために、漁業者のためにこういうルールづくりをやって、中国、台湾とも交渉していこうということで今までやってきているのが現状です。基本的に我々は今でも撤廃が可能であれば撤廃してもらいたい。それが無理であれば、特別協力水域と、八重山の上の三角水域を見直してもらいたいということは、今でも手はおろしておりません。
○仲村未央委員 そのとおりだと思います。きょうの参考資料で、私たちの手元に2枚の紙が来ているのです。これを今見ているものですから、きちんと把握できてはいないと思いますが、事故やトラブルが発生した際に、円滑な事故処理がとれるよう云々ということが、2ページ目の(3)に出てきますね。操業を自粛せざるを得ないということも、トラブル事故に直面するからだろうという懸念が非常に大きいのだと思いますが、このトラブルの責任者といいますか、トラブルが起きたときに誰が解決の責任者なのですか。つまり当事者の皆さんがこれを見る限りにおいては、自分で保険に入りなさいということですね。そして漁具トラブルに遭ったときには、こういうルールにしましょうとか、あるいは事故発生時の連絡対応窓口というものが出てきますが、その連絡対応窓口を受ける側の責任者は誰なのですか。当事者ですか、それとも国ですか、県ですか。
○國吉眞孝参考人 このトラブルというものは、操業中に縄の交差とか、縄がなくなったり、切れて回収ができなかったりは起こることなのです。そのときの漁具の経費は大きいのです。特に日本側の漁具は高価なものを使っていて高いものですから、そういうことで、できるだけトラブルがないように操業はしておりますが、時たまこういうことが起こるわけです。そして先ほど言った、責任者は誰かというと、責任者はいないのです。自己責任なのです。やられ損といいますか、こういう結果になるのです。
○仲村未央委員 そこが非常にこの問題の深刻さを浮き彫りにしているのではないかと。協定を決めたのは政府と政府ですね。本来EEZにおいて国内法が適用されるはずの水域に、一方的にあちらの暫定執法線もなお引かれたまま、皆さんは自分たちの海であった場所に国内法も適用されないという環境がもたらされて、その調整に入らざるを得ないということが後で出てきたわけです。そういう中において、一旦トラブルがあることは経験上もそうだし、そこに行けないというほどの現実を抱えるときに、トラブルというものは短期的な、目の前の課題だと思うのです。それに対して行政の対応というものは一切ないのですか。あくまでも皆さんがそれを受けざるを得ないのですか。
○國吉眞孝参考人 締結された後も前も、漁業者はほとんどが自己責任で、行政が見ることはないのです。今後は国が頭越しにやった国際ルールに従っての締結ですので、ここはやはり国に責任があるだろうということで、我々は国に対して支援事業の要請を行っております。まずは簡単に言うと、漁具被害が起きたときに、なくなった漁具の補償、取りかえの資金源の要請を今から行おうということで、計画を立てております。
○仲村未央委員 それから、3月のマグロを前にしながら、今非常にタイトな調整を皆さんはやっていて、3月までには結論を出したいということは組合長の皆さん、現場の皆さんの切実な状況だと思います。それまでに決まれば幾らか状況は、先ほどの久米島の状況、石垣の三角水域あたりの状況は改善する方向にあるのか。もし3月までに決まらなかったときには、一体どういう懸念が生じるのか。このあたりはいかがでしょうか。
○國吉眞孝参考人 ほかと違って海は見えないところで生きているのです。それが一番問題で、まずはある程度のルールづくりをやって、こういうことで生きようと思っても必ず潮の流れとか天候の左右で、縄が流れたり潮が遅くなったりして、100%回避できるものではなく、大体30%、どんなにこういう協定を結んでも起こり得ます。この辺は、こういう問題点を提起した上で、何かの事業に対しての補塡といいますか、こういうものをやってもらいたいと思います。
○仲村未央委員 先ほど、本来であれば撤廃を求めたいとおっしゃっていましたね。そもそも今一方的に政府間によってなされた協定の撤廃を全体として求めたいという御意見なのか、それとも久米西の部分と三角部分を指しておっしゃっているのか。そのあたりはいかがですか。
○國吉眞孝参考人 撤廃の件に関しては全体的な話です。そして、結ばれた海域の中で我々が意図しないところの特別協力水域と八重山の上の三角地帯については、協定の撤廃はできないと思いますので、せめてこれだけでも見直しをしてもらいたいというのが我々の希望です。
○仲村未央委員 今おっしゃる皆さんの要求は、今行われている漁業者間の調整会議や、あるいは日台間に設けられているきちんとした協議の場がありますね。そこでの議題になるのか、それともあくまでも政府に対して要求して、政府間でやっていく議題になるのか。そこはどのように思っていますか。
○國吉眞孝参考人 この件に関しては、まず両国間のルールづくりが先で、ルールづくりができれば次の問題に移行しようということで、我々漁業者の意見がまとまっております。まずはルールづくりが先です。
○仲村未央委員 つまり同じテーブルで、今の撤廃の話もこれからのせていこうと。そのテーブルの場で、お互い漁業者間で撤廃する云々も議題にしていこうという考えだということですか。
○國吉眞孝参考人 今のところはまだ、この話は先の話ですのでやっていません。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
翁長政俊委員。
○翁長政俊委員 操業ルールについて、基本的なものを聞かせてほしいと思います。これまで2回にわたって協議会を行ってこられましたが、日本側―沖縄側が要求しているルールで、1つは船同士の距離を4海里あけろと。それに対して台湾側が4海里では承服できないという主張があったと聞いておりますが、実態はどうですか。
○國吉眞孝参考人 この件に関しては、マグロはえ縄の技術的なものがあるのです。我々日本側は大体3マイルから4マイルの間隔で、同じ方向に入れているわけです。台湾船は1マイル間隔というわけです。1マイル間隔というものは、日本のマグロ船の技術からいえば到底なし得るような距離ではないわけです。これをどうしても4マイルぐらいに離してくれと言っているのですが、この話し合いが難航しているところです。
○翁長政俊委員 私どもは新聞等でしか情報をとることができずに、具体的にはえ縄の入れ方にも違いがあって、それが交差するようなことになると、はえ縄が切れて漁具が流出してしまうということが現実に、現場ではトラブルが起きるわけですね。日本側が南北に流す方法と、台湾側が東西に流す方法の違いというものは、魚の取れ高にも影響するのですか。
○國吉眞孝参考人 専門的には、どこの方向というものは本当はないのですが、マグロ船の技術的なことがあるわけです。大体日本船は風向きによって方向を変えて縄を入れるわけです。間隔は一緒で。台湾船もそうしていますが、台湾船の行き方は日本とは逆の技法を持っているわけです。あの人たちは風向きを右舷が受けるのですが、日本は風向きは左舷から受けるような縄の入れ方をするわけです。これは技術的な問題なので。
○翁長政俊委員 これは伝統的にそうだということになると、なかなか妥協することは難しくないですか。実際どうですか、協議をしていて。
○國吉眞孝参考人 そのようなことはないと思います。お互いに狭い海域の中ですから、お互いに話し合えばできると思います。
○翁長政俊委員 これは4海里あけるという議題と漁具の入れ方の問題は合意ができなかった。これまで日台間でやる中で話し合いができなかったと報道されていますが、実際にこれはルールとして、この2つが、はえ縄が切れるとか漁法に問題があるとかという問題で、大きな相違点になっていますね。ここを解決すればあらあら解決できたということになるのですか。
○國吉眞孝参考人 そのとおりで、最初から台湾側と我々側がお話ししたことはありません。昔からの漁法でやっておりますから。今後、この協定の中で、委員会の中でこれを持っていって、確実な方向と距離間隔を決めて締結しようと思っております。そして、先ほど言ったように、ある程度の4マイルの間隔を持って、同じ方向に入れても予期せぬことは起こり、トラブルは起きます。縄が交差したときには、最大限50%あった被害率が、大体20%か10%に抑えられます。全然ないということはまずないです。
○翁長政俊委員 確かにこういったものがある程度妥結したとしても、現場の事故というものは思わぬところでいろいろなことが起きますから、これは当然そうだろうと思います。ただ、台湾側の主張を聞いていると、100隻近くが向こうの港で待っていて、出漁を待っていると。4海里という話になると、台湾側に言わせれば、1マイルなら100隻出られるが、4海里なら50隻ぐらいしか出られないという主張があるようですが、具体的にこういう向こう側の要求はあるのですか。
○國吉眞孝参考人 要求をやっているわけです。なぜかというと、海域を有利に持っていこうという思惑なのです。結局150隻入るところで4マイル間隔持ったら、50隻しか入らないのです。そうしたら、結局台湾側の漁民たちにも説明ができない、この締結をした意味がないとか、漁業者でこういう話があるみたいです。実際我々技術者から言うと、マグロ船の技術的なことから言うと、1マイルというものはとんでもなく、はっきり言ってこれでは仕事ができません。
○翁長政俊委員 2回の協議会で同意したものと同意できなかったもの―同意できたものが事故等に機敏に対応するために連絡を強化するということで、無線機をお互い持とうではないかということは妥結できたと。はえ縄の漁具の放置についても、お互いに回収していこうということも確認できたと報道されていますが、ここはそのとおり妥結されたのですか。
○國吉眞孝参考人 今は漁業者間の意見交換会の中で、委員会に持っていくための予備会合なのです。この漁業者間では決められません。日台漁業委員会でどうなるかわからないですが、我々としては台湾もこちらも漁業者の意見が反映できるような話し合いをこの前もやってきました。無線機の問題も、国と国とで周波数も違いますので統一できるのか、言葉は違うのに、一緒にしたとしても話ができるのか、こういう問題が残っているわけです。
○翁長政俊委員 日台間で漁業者同士でやっている協議会については、国同士の漁業協定の―委員会に持っていくための予備会談をやっていると今御説明がありましたので、そこである程度きちんと物事をつくって上に投げないと妥結できないだろうということも承知しております。ただ、きのう、おととい報道されたこの地域での操業トラブルについて、国の対応策として100億円の基金を積み上げて、全体的な漁業補償というよりも、それに即対応できるような基金が自民党の部会で了解され、閣議をもってこれが決定されるとなりました―これが最終決定ではありませんが、いずれにしろその方向でいくだろうと思っています。ただ、先ほどから話が出ていますように、あの海域で起きるトラブルについては全て自己負担と。漁民の皆さん方が起こしたものについては全て自分でかぶれという話になると、このトラブルは国の漁業協定によって引き起こされるので、そこには国が当然何らかの形でしっかりとした対応をすべきだろうということを私どもは言い続けてきたのですが、やっとその目鼻がつきそうになっています。これについての評価はいかがですか。
○國吉眞孝参考人 こういう基金に対して、金額はおいておいて、国がこれだけやってくれるということ自体は評価できます。
○翁長政俊委員 あとはそれぞれの個々のトラブルについて、基金から拠出するときに使いでがいい、速効性があるやり方でないと、幾ら基金を積んでみても、漁民の皆さん方が使いにくいという話になると絵に描いた餅みたいな話になりますから、その部分の詳細については、私どもは今後ともバックアップをしていこうと思っております。いずれにしろ日台の漁民同士での話し合いをさらに3回、4回とやっていただいて、具体的にお互いが歩み寄れるようなものというものは、操業する漁民の皆さん方しかできない課題だろうと思いますので、私どもがバックアップできる部分については一生懸命バックアップしていきますので、どうぞ頑張っていただきたいと思っています。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
崎山嗣幸委員。
○崎山嗣幸委員 まず協定を結んで、頭越しにされたことは我々も承知しているのですが、やはり協定を結ぶ前に―今おっしゃるようにルールづくりで漁業者同士が苦しんでいるので、協定を結ぶ前にルールをしっかりとつくってから協定を結ぶということがあり方だと思うのですが、この辺の見解はいかがですか。
○國吉眞孝参考人 この件については前から重々、ルールづくりをやってから締結が後だろうということでやっていたのです。これを国に対して要請に行ってきたのですが、なかなからちが明かなくて―締結を結ぶ1カ月ぐらい前に水産庁や外務省が来て、地元の漁民の意見を聞いていたわけです。そのときに、違うと、崎山委員が言うようにルールづくりから先で締結は後だと言ってきました。
○崎山嗣幸委員 すぐに4月から6月にかけてのクロマグロの漁に入って、また来年その時期に来るわけです。それまでにはルールづくりにも決着を図ろうということで急いでいると思いますが、先ほどあった漁業者同士の五日、六日に会合をされたときに、特別協力水域―久米西と八重山の三角形のところのルールづくりは後にして、共同で使うところについてのルールを先にしようということで決められたようですが、特に好漁場とされている2カ所については後でやりましょうということは、何か策があるのでしょうか。
○國吉眞孝参考人 この策については、何もありません。
○崎山嗣幸委員 ではやはり、先ほどおっしゃったように八重山の三角形のところは中間線も飛び越えている状況で、大変大事な好漁場と言われているので、そこはできるならば見直し、撤廃を、外交交渉なり政治の力なり政府の力なりでやってもらいたいという意向ですか。
○國吉眞孝参考人 我々としては強い意見を持っていますが、幾ら国に要請しても、前にさんざん行ったときにも絶対できませんとはねつけられました。
○崎山嗣幸委員 今共同で使われている適用除外水域の中で、八重山の皆さんは自粛していると。久米島は行かれているが、相当なトン数を減らされていると言っていました。実際の割合は、台湾の漁船、沖縄の漁船、九州からも来ると言っていますが、締結されてからトータルでどれぐらいの割合が入っているのですか。台湾、沖縄、九州も入るのでしょうか。
○國吉眞孝参考人 隻数に関して把握はしていませんが、マグロ船というものは時期によって出入りの場所が違ってくるわけです。確実な隻数が、周年やっているということはないわけです。その意味で把握はできておりません。
○崎山嗣幸委員 どちらにしても始まったばかりなので、来る4月から6月のクロマグロの時期については相当自粛して行かなくなると、1年、2年、3年たってくると、台湾も使っていいところについては漁場が奪われかねないという心配は、やはりあるのですよね。
○國吉眞孝参考人 漁場が奪われるということはないのですが、ここはあくまでも締結ラインは共同作業場ですから、納得のいくルールづくりが両国間でできれば、おのずからできないことはありません。
○崎山嗣幸委員 話は変わりますが、日中の関係ですが、小渕書簡で中国船も北緯27度以南については入っていいということで、サンゴ船とか底引きの船も含めてと言われていますが、日中の影響も懸念されているのですか。
○國吉眞孝参考人 北緯27度以南は日中協定で中国船は自由に入れます、両方の法律が適用しない区域です。自由区域ですということを我々が知ったのが去年ぐらいです。サンゴ船がどんどんやってくるものですから、我々漁業者からおかしいのではないか、中国船が来ているから拿捕しなさいと海上保安庁に連絡するのですが、海上保安庁は何やかやと逃げて、こういう作業ができなかったわけです。
○崎山嗣幸委員 最近、取り決められた水域に台湾漁船も中国漁船も入って、この間水産庁は拿捕合戦を繰り返してもいけないからということで、地図をつくろうということでやられているのです。台湾が勝手に引いた暫定執法線の南のほうですが、そこは守ったということで聞いたのですが、そこに台湾漁船が入っているときの皆さんとのトラブル、拿捕合戦というものはあるのですか。南の海は守ったというのが水産庁の話と聞いたのですが、上のほうは一部台湾に使わせているので、下のほうについては入れないと水産庁は言っていたと思うのです。そこは皆さんとのトラブルはなく、台湾漁船が入ってきたら拿捕するような取り締まりに期待されているのですか。
○國吉眞孝参考人 ここは締結をしないうちは、台湾は勝手に自分たちの執法線を引いて我が海だとやって、ここで操業していたわけです。そしてあの時分はまだ拿捕しないでくれと外務省からあって、東経125度の西側はやるなと聞かされていたので、拿捕はしないで警告をして追い出していたわけです。南側もそうなのです。この締結が結ばれた後は、このラインからはみ出したら拿捕するということがきちんとうたわれているので、南側も執法線があるのですが、これはまだ認めていないということで、EEZ内ですから、ここに入ってきたら今は拿捕しています。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
座喜味一幸委員。
○座喜味一幸委員 生活に係る大変大きな問題だと思っております。沖縄のウミンチュは、かつては台湾近くまで行って、海人草までとっていろいろとやっていたのです。宮古、八重山を含めて、これまで台湾とはある程度のつながりを持って、しっかりと何らかの形での信頼関係があってやってきたと思うのです。取り決め以降、もっと険悪な関係になってきたのかと思っておりますが、どうですか、八重山の実態等を含めて。この取り決め以降、台湾側がもっと強くなってきているのではないかと思いますが、現場の状況はいかがでしょうか。
○上原亀一補助者 座喜味委員の御質疑は、日台交渉が締結された以降、特に八重山側と台湾側が険悪になったかと。これは当然そうなります。地元の漁船が去年まで操業できた海域が奪われましたし―先ほど南の海域の話も少し出たのですが、南の海域についても、台湾が主張している暫定執法線を東に越えてきた部分しか拿捕していません。それから南、西側では拿捕の事例はありません。極端に言うと、私たちの感覚では、南については中間線までは私たちの漁場だと。そこまではしっかりと守るべきだということが主張ですが、台湾側が主張している暫定執法線から西の海域での拿捕事例はありません。現状で言わせていただければ、昨年までは、あの海域については、水産庁は限りなく西側に押し返していましたが、ことしについてはそれがありませんでした。全くないとは言いませんが、少なかったです。対応していただきましたが、北は線が決まったので操業はできない。南も押し込まれてきているということで、ことしのマグロはえ縄に関しては、操業については苦渋な思いをされておりました。先ほど崎山委員がおっしゃったように、実効支配―北は正直実効支配があったからあそこまで譲ったと私は思います。南については絶対そういうことはあってはいけないと思います。これはぜひ議会の皆さんにもそのあたりはないように強く対応していただければと思います。
○座喜味一幸委員 今の話と関連するのですが、尖閣周辺に伊良部漁業協同組合は俗称アブラガツオをとりに行っているのです。そうすると、暫定執法線から西側になると、ほとんど危険な思いを持って操業に行っているという実態ですよね。そのように明らかに行っていた漁場がさらに暫定執法線から外に出られない状況だと少し感じているのですが、これはなかなか外にも出られない。今言っている取り決めの範囲内でどんどん南のほうへ、東のほうへ追いやられてきているという実態なのかと思いますが、この辺はいかがですか。
○國吉眞孝参考人 カツオ船に関しては、そういう懸念はまずないと思います。
○座喜味一幸委員 これは非常にウミンチュにすれば生活に係ることで、ルールづくりの見通しは、ある意味で一旦漁場を譲った形になりますから、なかなか譲られた中でのルールづくりというものは厳しい。しかしながら、ウミンチュは生活しないといけない。そのルールづくりが早目にできればいいのですが、その見通しです。誰がどこでどう動けばそのルールがきちんと決まるのか。それが話をしてもなかなか見通しがつかないとなると大変ですが、どういう形で誰が動けばルールができるのかという見通し、その辺がなかなか難しいと思うのですが、いかがですか。
○國吉眞孝参考人 ルールづくりは、最初の基本的な案を出すのが我々漁業者なのです。だから漁業者間で―決め事をするのは委員会でしかない。委員会に持っていくための確実なルールづくりを我々がやらないと、委員会でどの程度のものがひっくり返されるのか、我々はわかりません。
○座喜味一幸委員 操業しているウミンチュ間の話し合いの見通しというものは、うまくいきそうですか。
○國吉眞孝参考人 うまくいかないといけないと思います。頑張っていきたいと思います。
○座喜味一幸委員 台湾の船はどんどん大型化して、設備も近代化して、力がついてきている。船の数もふえてきている。そういう中でどんどん我々沖縄の漁業状況は非常に厳しくなっておりますが、その中で漁業者がしっかりと生活できて操業できる体制を、行政もしっかりと支援していかないといけないと思うのです。そういう意味では、ルールづくりを急いでやっていくという話と、今実際に生活している漁業者を支えていくということを、両方しっかりと速やかに整備しないといけないと思うのです。そういう面では、考え方として生活を守るという基金を含めた活用、漁業の支援ということと、操業ルールを急ぐという作業です。今補償の話で生活の話をあんまりすると、まずそのルール―取り決めをまず撤廃しなさいという感情的な思いが強いですよね、ウミンチュは。しかし一方では生活のほうも何とか支援する、操業で切られた被害を補償していくということを早目にしっかりとやらないといけないと思うのです。その辺もどうですか、しっかりと取り組む必要があると思いますが。
○國吉眞孝参考人 ルールづくりが締結できない間は、我々はお互いの行き方をやっております。この前も100億円という基金の創設ができる可能性があるということで、我々もはっきりとした中身は知りませんが、新聞紙上でこれだけは基金が積まれることになるかもしれませんということを聞いて、この基金によって―我々漁業者が各漁種によっていろいろな被害をこうむると思います。これについて、いろいろな基金の受け皿といいますか、沖縄だけの漁業者がこの基金の利用ができるようにお願いしたいと思います。
○座喜味一幸委員 100億円の基金が積まれる見込みになってきていますが、本当にウミンチュの生活を支えられるような使い勝手のいい基金にしていくべきだということを一生懸命応援していきたいと思います。最後に、中国船の取り締まりも含めてしっかりとやっていく必要があると思うのですが、中国船の状況はどうですか。
○國吉眞孝参考人 中国船は、この海域にはサンゴ船しか今のところ来ておりません。このサンゴ船が宮古の上の宝山曽根に50隻から100隻ぐらい、今でも来ているらしいのです。これは我々の法の適用も受けないし、自由なのです。ここの中では一本釣りが一番いいところなのです。この宝山曽根というところはアカマチとかシチューマチとかの高級魚がとれるところで、荒らしに来るものですから、一本釣りの船が大分追い出されて、苦情が来ております。日中の委員会がありますので、日中間でこういうお話をして、状況を知っているようです。中国ではサンゴ船は違反操業で、許可なし操業ですから、これがきちんと我々からの情報によって違反操業船が見つかったときには、厳重な処罰がされていると聞いております。
○座喜味一幸委員 大きな課題ですが、しっかりとお互いに取り組んでいきましょう。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
玉城ノブ子委員。
○玉城ノブ子委員 地元の漁民の皆さんの意見も聞かないで日台漁業協定が結ばれたということは、私たちも本当に許せないと思っているのです。実際、台湾漁船がどんどん入ってきている状況の中で、今、気になっているのですが、八重山の漁民の皆さんが漁に出ない、出られない状況になっているということについて、もっと具体的に詳しくお話いただけますか。具体的に今の状況がどうなっているか。
○上原亀一補助者 今回の日台交渉後に操業ができなくなったということは先ほど申し上げましたが、特に4月から7月ごろにかけてのホンマグロのシーズンです。これまでは台湾側が主張していた北側―暫定執法線を挟んで北側の海域は台湾漁船、暫定執法線から南は八重山の沖縄漁船ということで、漁場をすみ分けて利用していましたが、三角水域の飛び出した部分で台湾の操業が認められたわけですから、そこまで目いっぱい彼らが投縄してきます。冒頭で話がありましたが、台湾漁船は東西に縄を入れてきます。沖縄側は南北に入れますから、間違いなく縄がクロスします。そうなるということをわかっていて、あえてトラブルを起こしに行く漁船はいないです。だから行けないのです。共同操業水域ですから本来やっていいはずですが、トラブルを起こしたくないということと、自分たちの漁具が高価なので、被害はこちらが大きいということがあるので、ルールがない今の状況では、その海域には入れないということが実態です。だから入れるように、共同で操業できるように早くルールをつくってもらいたいといいますか、先ほど会長が話しましたが、ルールづくりはお互いの漁業者が納得しないと委員会も担保できませんので、ルールづくりがどこまで歩み寄れるかということが大事なところだと思います。
○玉城ノブ子委員 来年のクロマグロの時期までにルールづくりができないということになれば、さらに一層深刻な事態になっていくと思うのですが、ルールづくりは具体的に、漁民の代表もルールづくりの中に入っているのでしょうか。どういう話し合いになっていますか。
○上原亀一補助者 当然ルールづくりの素案づくりについては、漁業者協議会の中で、こういうルールでどうだと、それであればお互い入れるのではないかということを提案し、台湾側はそれは受け入れられないということでありました。私が申し上げていいのかどうかわかりませんが、台湾側からは今回北の海域において、台湾側、沖縄側が共同で操業できるような提案を早急に出したいという提案はありました。それを受けて、本当にお互いがきちんと利用できるようなルールにつながるのかどうかということを検討して、期待としてはそれが受け入れられるような台湾側の大幅な譲歩―大幅という言い方はどうかわかりませんが、きちんとした提案をしていただいて、両方がのめて、それであればお互い譲り合いながらやれますねというところまで持っていければ、来年4月以降からの操業のトラブルは回避できるのではないかと。全部ではないですが、ある一定の回避はできますし、あの海域での日本側の操業機会の確保はできると期待しています。
○玉城ノブ子委員 やはりこれは国の責任があると思うのです。ルールづくりについても国が責任を持って、しっかりとしたルールづくりをさせるということが必要だと思うのです。そのようにしていかないと、実際上漁に出られないと。現実問題として、こういう状況が続くと漁民の皆さんは本当に大変な事態になっていくだろうと思います。そういう意味でのルールづくり―国に対しても、その責任は国が負うということについてもきちんと主張していくべきではないかと思うのですが。
○上原亀一補助者 私たち業界は当然、この問題が解決してお互いが納得できるルールができるまでは、国はしっかりと責任を持って対応すべきだということは強く申し上げております。
○玉城ノブ子委員 それと同時に、日台漁業協定の撤廃はしっかりと主張していかないと、それだけで解決できる問題ではないと思うのです。三角水域については現在でも撤廃を要求しているということで、基本的には全部撤廃だということですが、今国に対してどういう働きかけをしているのですか。
○國吉眞孝参考人 玉城委員のおっしゃる撤廃は、何回も何回も交渉をしまして、だめだと言われておりますので、先ほど言ったように漁業者間で生きる道を探さなくてはということで、ルールづくりをやっている最中なのです。そして国も支援している、基金を積んでくれていますので、共同水域ですから、お互いにトラブルをなくすよう、今まであったトラブルも何%か減少できるようにルールづくりをしましょうと今やっているところです。本音を言うと、台湾に行って7項目ぐらい我々の主張の案を出してやりましたが、なかなか相手の国と事情も違うし文化も違うし、いろいろな考え方が違って、恐らく時間をかけないとお互いの認識の共通点を見出せないのではないかと思っていて、ぎりぎり3月まで延びる可能性もあります。
○玉城ノブ子委員 日台漁業協定の撤廃を要求しながら、ルールづくりも並行してやっていかなくてはならないだろうと思います。それと同時に、100億円の基金についても、実際に漁具の被害が出た、それに対する補償というだけではなく、今漁民の皆さん方が漁にも出られないという被害が出ているわけですね。こういうことも含めて補償の要求をしていかないと、漁民の皆さん方にとっては―既に被害が出ていて、どうして生活していくのかと。漁ができないこの状況をどのようにすればいいのかということが、漁民の間で出ているわけですね。そういうものに対する補償も要求していくべきだと思うのです。そういう意味での100億円の基金というものは、漁民の皆さん方から積極的にいろいろな要求要望を出していく必要があると思うのですが。
○國吉眞孝参考人 玉城委員のおっしゃるとおりです。しかし、ルールづくりが成立しないと、基金の利用ができないわけです。だからどうしても国が認めるようなルールづくりをやって、基金の運用を早く漁業者のために開始するような努力も我々は考えておりますが、このルールづくりが一番難しいもので、どのようにして委員の皆さんに訴えるか、この辺が今のところまだまだ確立しておりません。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
新垣哲司委員。
○新垣哲司委員 100億円の基金を自民党が創設すると言っているのですが、今までにない高額な基金なのです。政府はルールづくりを誤ったと。それでそれだけの補償をやってあげようという感じがしてならないわけです。皆さんはそれで満足しているのですか。
○國吉眞孝参考人 満足しているとか満足していないということではなく、今まで台湾と16回目の漁業交渉をやって締結できなくて、結局かみ合わないわけです。昔から漁業交渉はやっているのです。しかし16年間やってもらちが明かないということは、やはり文化の違い、めいめいの生き方の違いがあってここまで来たと思います。その中で、民間同士ができなかったものを結局国が頭越しに区間を設定したものですから、もう動きようがないので、どうしてもルールづくりをして、お互いに共存共栄を目的にやっていかなければならない立場になっているわけです。基金に対しては、少ないと言えば少ない、多いと言えば多いのです。
○新垣哲司委員 基金というものは一時的なものですよね。未来永劫ではないのです。そういう意味からして政府は基金を―今までないことをやったわけですから、協定というものを認めているのです、政府はある意味で。そういうことで、沖縄の漁民の立場というものは十分把握していないわけです。いきなり締結をしたと。協定を結ばなければお互いに、琉球時代から沖縄はずっと台湾との交流はあるわけです。そういうことで今日まで来ているのですが、これが一挙に協定を結んだために、このような物事ができたということは、沖縄県漁業協同組合連合会としてどのようにお考えですか。
○國吉眞孝参考人 代表としては、やはり沖縄一円の漁業者のために、基金の取り扱いとか、国に対しての意見や申し込みがあると思います。この問題はなかなか難しくて、一概に何がいいのか悪いのか、一つ悪いのは頭越しに締結されたことなのです。我々の意見も聞かないで。基金に対しては先ほど言ったように縛られるとか何とか、我々は難しい基金の取り扱いはわかりませんが、中身を精査すればおのずから生き方ができてくるのではないかと思っております。
○新垣哲司委員 何回も交渉して―16回ですか。うまくいかなかったということで、最終的には政府が締結したということは、漁民にとっては死活問題ですよね。仕方がないということではないのです。これからどうするのかということですから。やはりこれは政府が責任を持ってしっかりやるのだと。基金の運用についてもこれからどうするのかということをしっかりやる必要があると思うのですが、その辺はどうですか。
○國吉眞孝参考人 我々は議員の皆さんのように行政のことは余りわからないのです、現場の人間は。では何のためにこの協定が結ばれたかというと、我々は官邸に要請に行って官房長官などに会いましたが、この答えを言ってくれないわけです。なぜ頭越しにやったかと。いろいろ後で聞くと政治的問題とか台湾中国問題とか、いろいろな問題が絡んでいるという、ちまたの話しか我々は聞いておりません。行政的なことは余り我々は知らないものですから、決められたことに対しては自分たちが生きるための努力しかないと考えているわけです。ですから基金の使い方も、きちんとした中身を―このように使えるよと言われたら、また漁業者と皆さんとお話ししながら、こうして生きていこう、こういうルールをつくっていこうということができるわけです。
○新垣哲司委員 その件についてはしっかり、政府は中に入ることができないと言っていますので、漁民関係の間で、今までの信頼関係の構築をして解決していただきたいと、努力していただきたいと思います。
もう一つ、韓国、香港の漁民はどのような実態になっておりますか。
○國吉眞孝参考人 その辺については、我々は全然わかりません。
○新垣哲司委員 では余り不法操業というものは、この地域には韓国と香港は来ないわけですね。
○國吉眞孝参考人 韓国と香港の人は、ここまでは来ません。
○新垣哲司委員 最後になりますが、中国は、国内で大変厳しい罰があると言っていますが、中国は怖いです。法律もあってないようなもので、尖閣問題を見てもわかるように。まだまだ台湾は、長い歴史から見て交流があるのですが、中国はいざとなれば100隻、200隻ではないのです。1000隻でも動かせるのです。このようになった場合は手がつけられない。一番心配することはそこなのです。日台ではなくて中国です。今後いつ来るかわからないと皆さんは考えているのでしょうか。
○國吉眞孝参考人 やはり中国船に対しては、集団的にやってきますので脅威はあります。これに対応するためには小さな組織ではできなくて、県議会の皆さんたちがきちんとこの問題を把握して、訴えてもらいたいことしかないのです。我々民間団体ががやがや言ったとしても国は絶対受け付けてくれませんので、県議会の皆さんたちがこの問題を重視して、いろいろな情報を取りまとめていただいて、沖縄のために議会の皆さんたちがやってくれることを望みます。
○新垣哲司委員 中国問題というものは、拿捕とかそういう問題ではないと思います。1000隻も来た場合には身動きもとれませんよ。こういう事態になってはならないですから、その件について政府に今からでも強く働きかけなくてはならないと思うのです。政治も絡んでくると思いますが、我々県議会からもしっかりこの点については対処しないといけないと思っております。また来年のマグロの時期になった場合に厳しい状況が来ると思いますが、しっかり台湾とも連携して、お互いの操業ができるように頑張っていただきたいと要望して終わります。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
玉城満委員。
○玉城満委員 これが日台で締結する前の、台湾漁船との操業のやりとりというものはどういう感じだったのですか。今になって向こうが入ってくるという感じですか。その前の状況はどうでしたか。
○國吉眞孝参考人 この問題は、日台との交渉の窓口は民間がやっているのです。国が入っていないのです、交渉のやり方は。一般社団法人大日本水産会を中心にして、台湾の交流会と一緒にやっているようです。国が漁業者の意見を聞きに来たのは最近なのです。ずっと前からこういう話をしてはいないのです。
○玉城満委員 僕が言っているのは、これが締結する前の台湾の漁船と沖縄の漁船の―その前から事故やいざこざがあったのかどうかということです。
○國吉眞孝参考人 そうです。これはずっと前からあります。
○玉城満委員 それと、今、ルールづくりをなさっていますね。今、皆さん漁業者を中心に、向こうの漁業者とルールづくりをされていると思いますが、やはり国が責任を持ってルールづくりの窓口に、国から来ていますか。
○國吉眞孝参考人 今は水産庁を中心に、課長、部長などが一緒に入ってやっております。
○玉城満委員 今のメンバーでルールが―今は2回されているという話ですが、3回、4回と重ねる中で、どうにか落としどころができるだろうという感覚はありますか。
○國吉眞孝参考人 この前行ったときには、我々が案を7つぐらい出したのです。そしてある程度の話し合いはやってきましたが、1回目と違って、感触がいいというところまで来ております。
○玉城満委員 そういうルールづくりに何か不足しているものがないのか。これがあったらいいのに、こういう人たちがその場にいたらいいのにという要望はありませんか。
○國吉眞孝参考人 これは最初の民間交流会の案がまとまった次の段階でやろうかと考えております。
○玉城満委員 ということは、今やっているもので骨子をつくって、その後に正式にルールという形に持っていこうとしているわけですね。
○國吉眞孝参考人 はい。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
砂川利勝委員。
○砂川利勝委員 両組合に聞きたいのですが、経営状況です。水揚げが特に久米島漁業協同組合で落ちたということで、経営はどうですか。
○渡名喜盛二補助者 以前と操業内容が変わってきました。以前はパヤオ中心の操業でした。今は5年ぐらい前から集魚灯といって、夕方から朝まで操業する船が久米島に35隻ぐらいあります。この集魚灯の水揚げが3分の2を占めています。なぜ縄船でもないのに集魚灯が関係あるのかと皆さん疑問に思うはずですが、台湾が主張している1マイル間隔で縄を入れられたら―集魚灯も4マイル間隔の操業なのです。その1マイル間隔の中に夕方シーアンカーを入れてセットして、朝までずっと潮の流れに乗って操業します。間隔が狭くなれば―1マイル間隔の中に入ってやった場合は、台湾船の縄とのトラブルが起きるのではないかと懸念しているわけです。実際、まだ絡んだということはないのですが、私も非常勤で現場に行っていて、目と鼻の先から縄を揚げていく船がいます。衝突の危険も非常にあります。そういうことで、4マイル間隔をあければ船の隻数が少なくなるので、去年まではそういう船が最接近して揚げ縄をやるということはなかったです、その海域は。ことしからこれが頻繁に近くから上げていくものですから、怖いです。経営状況ですが、年間の水揚げが5000万円ぐらいは落ちています。
○砂川利勝委員 今までの売り上げは1億円ぐらいあったのですか。もっとありましたか。
○渡名喜盛二補助者 一番多いときで3億円ぐらいです。これが今2億5000万円ぐらいまで落ちています。
○上原亀一補助者 砂川委員が話されたのは、日台で今期影響を受けた部分でどうかということであれば、正直、漁獲的には昨年に近い水揚げはありました。ということは、操業の制限を受けなければまだまだ揚がったであろうと、数字的にはそうとれます。今期に限って、ワンシーズンだけということであれば、事実としてうちの扱った水揚げ本数がありますから。ただ、こういう狭められた中で何とか去年並みというぐらいの数量は揚がっていますが、制限がなかったら多分もう少しよかっただろうということです。漁業協同組合の経営状況というものは―経済労働委員会の皆さんには本当にお世話になっております。再建整備計画ということで、沖縄県議会の承認を得て、損失補償をいただき、利子補給をいただき、何とか経営改善しようと努力している最中です。
○砂川利勝委員 漁師もそうだし、漁業協同組合存続のためにはどうしても水揚げを継続していかなければならないという大変厳しい状況だと思うのです。この地図を見たら、石垣島の南のパヤオでも結構拿捕されていますね。拿捕といいますか、パヤオでも相当被害が出ているのではないですか。南の中にもどんどん入り込んでいるのですか。
○國吉眞孝参考人 今のところは、先ほども言ったとおりマグロは時期時期の釣れるところがありますので、周年とれるのはとれますが、一番多くとれる時期的な移動が縄船の特技なのです。こういうことがあって、漁業協同組合の経営の中で量が減ったとか少なくなったとか、極端には言えないのですが、海域がなくなるということは、ここで10隻操業していた船が5隻になったらこれだけ減るということです。
○砂川利勝委員 八重山の北側には行けなかった、南のほうで徹底して漁をして、漁獲高は前年並みまで揚がったと。南のほうで拿捕されたという実績があるということは、水産庁がもっと強行に取り締まりをしないといけないということですね。これははっきりしていますよね。
○國吉眞孝参考人 取り締まりについては重々言っております。なぜこの前4隻ぐらいが捕まったかというと、この締結を知らなかったと言っているのです。今までどおりに自由に入ってきて捕まえられているのです。この4隻以外は台湾全土に周知されて、拿捕されますという周知の効果があって、それ以後はないです、今のところ。
○砂川利勝委員 ちなみに、わからなかったということは、蘇澳とかその辺の船ではなかったということですね。
○國吉眞孝参考人 高雄の南側と、蘇澳もあります。周知はやっているのですが、ウミンチュは気ままな職業ですから、大丈夫だろうという安易な考えがこういう結果になったということです。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
儀間光秀委員。
○儀間光秀委員 去った漁業者会合の中で、漁法に関して南北を主張して、台湾側は東西という中で、漁法は変えられないという話があった。一方で、報道によると、変えるにしてもせめて試用期間が必要という台湾側のお話があったという話ですが、それは一定の歩み寄りなのかという認識を持つのです。そのときに例えば皆さんが南北に網を入れていく漁法を指導するとか、あるいは試用期間というものをどういう認識で捉えていいのか。4月からクロマグロの操業が始まる。その前の期間を試用期間で練習するということなのか、皆さんから指導を受けてやる余地はあるという認識で捉えるのですが、会合の中で皆さんがどういう感覚で試用期間というものを認識したのか、1点だけお聞かせください。
○國吉眞孝参考人 今言っている試用期間というものは。
○儀間光秀委員 報道によると、例えば日本は左からでしたか、網を入れていくのは。台湾が右ですか。例えば日本車の運転席は左にあるが、台湾は右にある。いきなり左運転を要求されても無理でしょうと。一方、変えるにしてもせめて試用期間が欲しいという歩み寄りがあったようなのですが。
○國吉眞孝参考人 これは先ほども言ったとおり、技術的な問題なのです。日本船は風向きを右側に受けて縄を入れる。台湾船は左側に風を受けて縄を入れるというものが基本で、その点を言っているわけです。
○儀間光秀委員 その中で、台湾側が変えるにしても、試用期間が欲しいという報道があるのですが。
○國吉眞孝参考人 これは、ルールづくりをするためには確実な基礎がないと話し合いができないものですから、統一しましょうという期間の話なのです。
○儀間光秀委員 漁法ではなくてですか。わかりました。
○國吉眞孝参考人 漁業者同士の、台湾は台湾の漁業者が日本側にそう言っているから、合わせるためにはこういう協議会を持つという話なのです。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
以上で、國吉参考人に対する質疑を終結いたします。
この際、参考人及び補助者各位に対し、委員会を代表して一言お礼を申し上げます。
本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御意見をいただき心から感謝いたします。
本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
國吉参考人、古波蔵補助者、渡名喜補助者、上原補助者、ありがとうございました。
休憩いたします。
(休憩中に、参考人等退室)
○上原章委員長 再開いたします。
次に、沖縄大学名誉教授上田不二夫氏から説明を求めます。
休憩いたします。
(休憩中に参考人着席)
○上原章委員長 再開いたします。
本日は御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
この際、委員会の審査の進め方について御説明申し上げます。
まず、参考人から御説明をいただいた後、委員から参考人に対し質疑を行うことにしております。
参考人が発言しようとするときは、あらかじめ委員長の許可を得なければならず、発言は、議題の趣旨の範囲内で行うこととなっております。
また、本日は委員会が参考人の意見を聞く場でありますので、参考人が委員に対して質疑することはできませんので、御承知おきください。
それでは、上田不二夫参考人から日台漁業取り決めについて簡潔に御説明をお願いいたします。
○上田不二夫参考人 きょうはお招きいただきましてありがとうございます。2階で國吉さんたちのやりとりを聞いておりましたが、ああいう現場のお話と打って変わって、私は全く現場とはつながっておりませんので、皆さんの質問にどこまで答えられるか、その辺も含めて御勘弁いただきたいと思っております。きょうはレジュメに従って話を進めていきたいと思っております。
國吉さんたちがまさに現場が今抱えている状況のお話をされていたので、それとは少し距離を置くといいますか、今の状況に至る背景というか、その辺のお話ができればいいかと思います。
私は大学は鹿児島大学の水産学部の漁業経営コースだったのですが、遠洋漁業華やかなりしころで、同期はほとんど海外へ出ていきました。当時遠洋漁業というものは、考えてみれば、相手国からすれば沿岸漁業なのです。スペインの関係者が言っていましたが、スペインの海岸から見えるところに日本の漁船が入ってくるというお話をしておりました。時代が変わって、今は全く逆のことになったと。要するに日本の遠洋から沖合へ、沖合から遠洋へというものがまさに逆になったわけです。今は日本は200海里の中で漁業の自立を迫られているという、それがこれから始まる状況だと思っております。きょうはそのことを踏まえてのお話になりますが、日本の海洋政策はそういうことで大きく変わりました。特に、冒頭に書いてあるように水産政策から海洋政策へということで、平成19年に海洋基本法という法律ができました。これは皆さん御存じの、日本の国会でも数少ない議員立法でかつ超党派。共産党が賛成した議題というものは私は今まで聞いたことがなかったのですが、これがあったと。唯一反対だったのが社民党だったという珍しいスタイルだったと思っています。いずれにしても海洋政策というものが超党派で皆さんの議題に上り、一つの法律になったということで、非常に私は評価したいと思っております。問題は、海洋基本法という法律ができたことによって、従来の水産政策はどうなるのかということに、私のような水産関係者は非常に関心を持っております。そして平成19年にこの法律ができた後で最初にぶつかった今回の日台というものは、まさにこの基本法のもとで、海外との問題が出てきた最初の事例です。そして、その背景にあるものを見ていくと、国が今後の海洋政策をどうするのかということが、ある意味で読めない状態です。きょうのやりとりを聞いていても、結局現場の漁業者が全て肩がわりさせられるような状況があるわけですが、考えてみればこれは漁業の外交交渉ですから、本来国がやるべきであることは当然です。それがどうしてこういうことになってしまったのかということもありますが、実態がそういう形で先行している状況です。その話は後でまたすることにして、とりあえず日本の海洋政策の経過と課題というところの大もとになる海洋法に関する国際連合条約―海洋法。前もって委員の皆さんからの御注文もいただいて、海洋法の全体像についても若干触れるようにということなので、皆さんのほうには資料1と2ということで、そこに海洋法のまとめをしておきました。資料1に「国連海洋法の解説」という、インターネットから拾ってきたものですが、全部で12編に分けて参考文献まで分けられていますので、その中から直接今回の議論に関係のありそうなものだけは資料1と2にまとめました。これだけでも相当な分量なので、全部を細かく説明するわけにはいきませんので、とりあえずポイントだけをお話しして次に移りたいと思います。海洋法の歴史というものは非常に古く、それこそ私たちの学生時代に既に大陸棚の話も出ておりました。最近になって海洋法関係が大きく改正され、大分手直しされて、より内容が厳しくなった状況かと思います。こういう法律のあり方を見ていくと、その中で大きな流れが見えてきます。それは中国の台頭ということで、中国は海洋法の委員会が近年開かれておりますが、その場で言っていることは、自分たちは開発途上国であるとはっきり言っています。あるときは大国で先進国であると言うが、海洋法の総会の場では、自分たちは開発途上国であると。ということは、今の海洋法の全体像を見てみますと、やはり先進国、特に大国と言われているところを中心に海洋の分割をしてきた過去の歴史が当然あります。そういう中で、後から加わってくる大国―特に中国のことになりますが、自分たちの権利を主張する。これが今の状況だと思います。当然でき上がった秩序の中に食い込んでくるわけですから、相当な迫力を持って迫っている状況だと思います。それは外交と、具体的に言えば軍事的な圧力も含めて、あちらこちらで展開している真っ最中。それが尖閣にも及んでいると理解したほうが多分いいのではないかと思っております。そして、尖閣の問題でこれまでのいきさつ、日韓、日中、今回の日台という流れを見て、非常に残念といいますか、日本の外交の中に漁業外交というジャンルがどうやらなかったとほぼ言っていいかと思っております。具体的にその話をすると長くなりますが、現実に現場での交渉の内容等がいろいろな研究雑誌等で報じられてもおりますが、先ほど委員の質疑の中に、日台の交渉の最中に水産庁なり国がかかわっているかどうかという質疑がありましたが、まさにそのことで、外務省が一生懸命やっているという状況もなかったと思います。外務省が漁業関係で一生懸命やったというものは、WWF、鯨の問題です。鯨は魚と言っていいのかわかりませんが、とりあえず国際的な問題を抱えていて、いわゆる自然保護の別の見方がそこにあるものですから、国際問題としてかなり注目を浴びたということもあろうかと思います。鯨も水産庁が中心になって頑張っている状況も確かにありますが、それ以外の日中と日韓の交渉事に関して言えば、国を挙げてという印象が少し薄いという感じがします。漁業外交の場でどういう点が指摘されてきたかというと、日本側の交渉の場で、特に中国との交渉の場を見てみると、中国は政府という形で、政府関係者が中心になって入ってくるという、非常に強力なスタッフを用意してくるようです。それに対して、日本側の漁業交渉というものは片方に必ず団体とか業界と称する、いわゆる利害関係人がそこに入るということが特徴のようです。例えば日中の交渉であれば、まき網関係者が入ったり。今回のケースでいえば、台湾との交渉で沖縄の漁業者が入ってくると。これは利害関係人で、はっきり言えば立場の弱い方になります。本来ですと、政府が前面に立って、漁業者の前に立っておかないといけないはずなのですが、話はどうやら逆になっていると。結局、操業ルールで責め立てられている状況かと思いますが、どこかで沖縄側が妥協せざるを得ないようなところにもっていくのではないかという心配はあります。そういうことで交渉の本筋といいますか、漁業外交―漁業協定の話は少なくとも日本の外交の一つでは当然あるわけですから、そこに専門家がいるべきだと思います。ということで、その辺のところも今後とも注意して見ておきたいと思っております。
海洋法に関しては、今お話ししたように大国の論理というものが前面に立っていることも事実です。それを修正しようという動きが、多分に中国を中心として今出始めているということだと思います。ちなみに私も資料を調べていてびっくりしたのですが、アメリカが海洋法を批准していない国だということにびっくりしております。どうして一番大きな国、一番力を持っている国が批准しないのかということですが、共和党の反対で、国家としては参加するということは決めていると。これは今のオバマ政権も含めて、その方針は決まっているらしいのですが、共和党の反対でそれができないという解説が出ておりました。いずれにしてもアメリカが海洋法を批准していないということも驚きの状況です。中国と日本はほぼ同じ年、相前後して海洋法の批准をしております。したがって、中間線の議論はいろいろありますが、少なくとも前提になるものは、海洋法がどういうものか、あるいはどういう実態で調印したのかは、中国も当然知って調印した、批准したというものが基本の考えだと思います。意地悪く表現すれば、中国のやっていることは後出しじゃんけんという言葉がありますが、要するにある程度方向性が決まった後で無理やりいろいろ言ってくるという感じがしてなりません。このような今の中国の状況に関しては、国際連合総会の海洋法の状況の中でも、法律の解釈をねじ曲げると表現していますが、中国のやっていることはそれに近いという評価が国際的にあります。つまり、自分たちにいかに有利に国際法を解釈するか。こういうことをやるのだと。これはアメリカ側の批判です。アメリカが警戒していることは、今の中国がとっている態度のうち、特に、ある程度定着していると言われている海洋法の修正を自主的にやろうとしていると指摘している声があります。インターネットの中でも取り上げられていたのですが、最近海洋法の裁判所―国際海洋法裁判所があります。そこの裁判官の選任が行われて、中国人の裁判官が圧倒的多数で再選されて、任期9年と。つまり、中国は国際連合のもととなる国際ルールをつくる場所の裁判官も送り込んでいるという状況で、着々とこの体制をつくりつつあるということが見てとれます。そういうことで、私たちは日台の交渉の陰に中国ありで、一体とは言いませんが、ほぼお互いの関係はそこに見てとれますので、常に両方に対する見方はしておかなければならないだろうと思っております。
今、問題にしていくことは、資料2の7ページに海洋法の中で経済水域―EEZ、200海里の中において沿岸国が持っている権利義務です。つまり今の日本と台湾、日本と中国との関係で言えば、日本は沿岸国になります。日本が一体どういう権利義務を負うのか。そこをある程度見ておく必要があると思います。8ページの真ん中のところに、沿岸国の義務というものがあります。この中で、(2)沿岸国はまた、自国の経済水域において、生物資源の最適利用―要するに一番ふさわしい、理屈にあった理由ということでしょうか。それを促進する義務を負っていると。すなわち、沿岸国は生物資源についての自国の漁獲能力を決定し―つまり、日本は尖閣周辺に関して言えば、本来自分たちで漁獲の基準をつくれる立場であると、国際的には。そして、ある程度余裕があるときには裁量で、漁獲可能量の余剰分―余剰原則とよく言うのですが、それを沿岸国に優先的に与えるといいますか、相手に余剰の部分を与えることができるという条項もくっついています。しかし、アメリカのように―アメリカは海洋法を批准していないということもありますが、自国内の漁獲に関して、他国には、自国民以外は利用させないという明確な方針です。ですから、現在の200海里をめぐる解釈についても国によっていろいろなのですが、基本的には自分中心である、自国中心の運用がほとんど全てと言っていい状況ではないかと思います。そういう中で、日本はずっと尖閣の問題の状況を見ていると、過去の積み重ねながら結局いろいろそこに出ているという感じがします。それが恐らく日韓、日中、今の日台という状況につながっていくのだと思っております。先ほどの議論の中で小渕書簡の話が出ていました。そこで、私が非常に気になることは、本家本元の国会の論戦の中で、こういう漁業の論戦はほとんど出てきません。私の記憶では余りないです。特に日台の問題では、なぜいきなりこうなってしまったのかの話も、今のところ聞いておりません。つまり、本来ならこれは国家として、国会としてもこの内容に関してはきちんと問うべきことではないかと。これは非常に疑問に思っていますし、今後ぜひ県議会のお力をかりて、中央で論議をしていただけたらと思います。ということで、沿岸国は少なくとも自分の権利において、相手国に対するいろいろな接し方ができる。その権利を持っているということも私たちは理解する必要があるかと思います。今それができていないということの意味が、どうやら外交の問題点ということになるのかと。きょうのレジュメでそこの整理をしましたが、中国の海洋法の問題点というものがそこにあります。中国も批准していますが、みずからのEEZ及びその上空では外国の軍事活動を認めない。これは海洋法では、基本的には無害であればできるということもありますね。一応の条件はありますが。中国のやっていることは事実上EEZを領海化していると解釈していいのではないかと、これも多くの専門家は指摘していることです。つまり中国が今、日本あるいは沖縄に対してやっていることを逆に沖縄側、日本側から中国にできるか。多分できないと思います。だからこの差ですよね。どうして同じ条約でありながらできないのか。これは外交交渉の結果なのかということになるかと思います。中国は海洋法の会議の場でも、国際協力と協調―これは昨年の話です。海洋の平和、安全、開放の保障、各国の共同発展の促進、調和のとれた海洋秩序の構築と維持ということで、具体的に国際連合の組織の場で大使が説明しているわけです。そのことと、あちこちでやっていることは矛盾するわけです。つまり、私たちが考えなければいけないことは、こういう法理論とか外交の論理と実態が余りにも違うということ。そして、そのしわ寄せをまさに漁業の現場が受けるという状況をどうするかということになります。中国は基本的な姿勢は変わっておりません。それは以前から直接の当事国による、国際法に基づいた友好的な協議と交渉を通じての解決を主張してきたということで、国際法云々ではなく、当事者同士である2国間協議、関係国協議―一番圧力のかけやすい方法を選択しているということです。そういうことで、中国の外交方針が変わらない以上、今後沖縄とのこういう問題は当然ながらずっと続くということです。週刊誌にも書かれていましたが、日本と中国の関係は当面我慢合戦―要するに我慢する以外にはないのだという捉え方もされております。
さて、国際海洋法裁判所の裁判官に中国人の高さんという方が絶対的多数、ほとんどの票を集めて任期9年間で就任しているわけです。再任ですから、影響力は相当あるかと思います。要するに着々と中国の海洋政策が国際連合の場でも展開されているという背景を私たちは理解したいと思います。
もう一つの問題点ですが、海洋行政の一本化が始まったということで、今まではどうであったかというと、省庁ごとにばらばらのやり方をしていました。それを、総合海洋政策本部でしたか、総理大臣をトップとする組織に一本化するということで始まりました。それと相前後するように、一般財団法人海洋政策研究財団というところが既に活動を始めており、この中の会議の経過などが海洋白書に細かく書かれておりますが、かなり集中的に作業が進んでいて、海洋政策が国策として相当な力でもって進められていることがよくわかります。問題は、先ほどから言うように、ここで問われている海洋行政のあり方と水産行政が今後どのようにマッチするのか。これははっきり言って見えません。つまり、今回のように海洋基本法ができた後で台湾のこのような状況が起こりました。そうすると、海洋行政というものが、どうやら状況によって、従来言われていた200海里を堅持して経済水域を守るということが、果たしてどこまで本当なのだろうかと、非常に疑問を持ち始めたところです。たまたまこの間、台湾に海を利用させるという話が出たときに、私の妻がぽつんと言ったのは、沖縄は外地なのかしらと。内地と外地と昔はよく言った、あのことわざを言ったのです。多分、沖縄の皆さんの感覚からすると、今回の扱いというものは、本土でこういうことが起こり得るのかどうかということも考えさせられたということです。つまり、海洋行政に関して、200海里をどこまでどうするのか。それを形として何か示したものがあるのかどうか。国会の論戦の場がありませんので確かめようがありません。しかし、たまたま東京で漁業経済学会という学会があり、台湾の研究をやっている方がいるものですから、その人のお話を聞いているうちに、台湾の現地では、あの海域に関しては既に3年前に日本側が譲るという話を聞いたと言うのです。沖縄側には全くそういう情報は入りませんでした。だから、わからないところで国の政策が変わっているのではないかという心配もしております。そこに一言書きましたが、どうやら海洋主権の考えがまだ十分明確ではないのかと。日本の200海里と、内地と外地があるのだろうかといったことを心配した次第です。
きょうおつけした資料の中で、資料3と4が海洋基本法に絡む水産側の反応とか、そういったものを資料としておつけしました。全部説明する状況ではありませんが、海洋基本法の前に水産基本法という法律もできておりまして、水産基本法の趣旨は、従来沿岸漁業中心の法律であったものが、国民中心の目線に変えなさいということで、大きく変わったという状況もあります。つまり、水産も従来の漁業中心のあり方から、国民経済という広い立場で物を見るという方向性に向いているという状況があります。
資料3の7ページは、今皆さんが見ている日本の漁業制度は一見すると漁業権という、非常に特殊に見られがちなのですが、一番の特徴は受益者、つまり漁業者がみずから海を管理するというシステムです。欧米を含めて外国の場合は、大体国で枠をはめるというスタイルが普通です。例えばアメリカですとレンジャーといって自然を監督するような人がいますが、ああいう国を中心とした仕組みになります。それに対して、日本の漁業権制度というものは、御存じのとおり江戸時代のはるかかなたから連綿と続けられてきた制度を、明治になって法制度化して漁業法にしたという性格のものですが、あくまでも漁業者が中心に海を管理するという性格の法律です。その意味では、見方によっては非常に安上がりの法制度です。これを全部国のお金でやったら相当なお金がいると。それを漁業者に漁業権で海を管理させるということを前提にして、自然を守らせるという制度が今後の方向性としては評価されるのではないかということです。
それから、今回の日台の問題で一番の影響を受ける先島離島域で、どうして漁業というものが重要なのか、水産が重要なのか。7ページの下に書いてありますように、これは再生産がきく―要するに海さえ持っておけば半永久的にずっと生産ができるという性格です。離島行政というものは、観光の話もよく出たりしますが、やはり基本は農業、漁業という生産行為が基本にあるべきであって、そういう意味では今後とも漁業の果たす役割は大きいと思います。そういうことで、今後の政策の中で日台の問題、特に漁船漁業という役割は今見ていても非常に重要性があります。よく雇用の場の話があります。働く場をつくるべきだと。そうすると離島で何か産業を興して飯を食わせるということは結構難しさがあるわけです。そこに漁船が入ってきますと、漁船1隻で少なくとも1人分食べさせる仕組みは十分できると思います。漁船そのものが雇用の場をつくることに非常に有利なものであるということで、養殖関係もありますが、養殖はかなりの基本投資が必要となります。その点漁船漁業というものは割合離島にとってやりやすい側面を持っていることも御理解いただけたらと思います。
資料4では海洋基本法の全体像で、これがいかに大きな法律であるかということがわかると思います。そして、最近の状況で見ていて、安倍政権になって非常にはっきり出てきたものは、資料4に海洋発電―洋上に風力発電をつくる、すぐに事業化が始まっております。大手にとっても海洋産業の魅力といったものが、どうやら具体的な事業として出てきているということで、この持つ意味、水産ではなくどうやら別の目的のほうに魅力があるのではないかという、うがった見方もしているわけです。
今後、日台漁業交渉と海洋施策の課題等ですが、ここでは幾つかの問題点を指摘して、あとは質疑に移りたいと思っています。最後のところに書いてあるのですが、今回の問題を見ていて、やはり沖縄側の取り組みの体制が弱いの一言に尽きるということが私の現在の感想です。業界も含めて、特に国、県の役割分担が、先ほどから言っているようにわからない。要するに国家として海洋主権をどう考えて、どうこれからやろうとしているのか。先ほどから漁業者の皆さんが、北緯27度以南のところで最近海上保安庁が取り締まりをしないという話をしていましたが、あの問題なども、あの人たちは上からの命令で動く組織でもありますし、その辺もそういう方向性なのかどうなのか。こういったことも気になります。そして、漁業の現場に向けての情報提供が少ない。これもまさにそのとおりですよね。きょうのお話を聞いていても、盛んにその話をしていたと思います。そして、外交は国の責任とは言うものの、一番迷惑をこうむるのは沖縄ですから、やはり沖縄側がこれを何とかする姿勢を持たない限りはどうしようもない。この問題に関してはとりあえず県全体で取り組むという短期、長期の取り組みも検討してもらえないかということで、その課題の位置に私の立場でできることということで、資料6で「東の海(あがりのうみ)の魚を食べよう」という、文学的なといいますか、悠長なタイトルにしましたが、これは国際法上で言うところの、海を使うということは実効支配の条件です。今は共同使用だと言って、ある意味で強制されているというか、これは漁業者が納得したことではないと思います。あるいは國吉会長もおっしゃったのですが、こういう形で現場として共存共栄があり得るのかどうか。問題が起きないのが不思議なぐらいな状況で、つまり最初からそういう問題点をきちんと整理しないままこの問題が一方的に始まってしまったという、今はその中の状況なのです。そして、その最低限の尻拭い、ドンパチが起こらないように現場でするための話し合いをやっているのが今の状況。つまり長期的にどうこうという話は何もない状況ですね。目の前のことをとりあえずどうするのかという、対処療法的なことが今の状況、対策の基本ではないかということです。最初に上げたものが、沖縄の海の評価と県民運動ということで、沖縄の領海という形で、きちんとした海があったということは御存じでしたか。資料の5に示してありますが、1953年の米国民政府の布告の中に、沖縄の領海としてきちんと書かれている範囲です。たまたまこの当時は琉球政府という分離された状況であったということもあり、これは当時の米国政府と日本政府との間で、話し合いの結果決まった範囲です。ほかの県と比較したときに、自分の県の海をきちんと持っているところは他府県には多分ないと思います。これを持つ意味が、今後海洋基本法の中で各県ごとのせめぎ合い―既に宮崎県とパヤオでやっている状況がありますが、実質的に県ごとの競争といいますか、それが起こり得る状況です。そのときにこういう過去の実績というものは大事にしていいのではないかと思っています。どのようにこれを使えるかわかりませんが。
それから2番目に海洋版基地対策室と書きましたが、名称は要するに、陸上の基地に関してはそれを専門に扱うセクションが県の中にありますよね。ところが海上にも制限水域から始まって、今回のような海に関する外交問題が起こるような状況がありますので、本来は県の中にも専門があるべきではないかという提案です。そして、先ほどからいろいろ疑問を持っているわけですが、沖縄県独自の外交部門といいますか、そういうものはきちんと充実させていくという方向はあってしかるべきではないかと。これは基地問題の中身もそうかと思っております。それと一つの提案なのですが、沖縄県の漁業者が守っているものに、沖縄県漁業調整規則というものがあります。これは民の法と言われていますが、漁業者が話し合いで守るという仕組みのものです。これを私は台湾側に適用できないかと考えました。あくまでも沖縄県漁業調整規則は沖縄県の規則ですから、当然外国に適用できる性格のものではありません。しかし、沖縄県漁業調整規則の内容を台湾側が尊重してくれるという形の一つの契約が結べるかどうか。これは交渉する余地があるのではないか。そして、沖縄側のルールを守るということを約束してくれた漁船に対しては、協定遵守の旗を掲げさせるといったような―これはほかのところでもやっていることですが、こうやって台湾との間の双方のトラブルを事前に回避することも可能ではないかと。県のこういった規則適用を別途契約―つまりこれは後で入漁協定の話になりますが、本来この日台の問題というものは先に入漁交渉があるべきだったと思います。事実上、八重山は台湾と民間協定をやるということで、この手の話し合いを事前にやっていた状況があります。そういう話し合いをやっている前提がありながら、今回いきなりこういう裁定になったことを非常に残念に思っています。つまり、まだまだ民間でやれる部分はあるのではないかということです。
それと、今回の問題で重要なのは、どうやら交渉の前提になるものとして資源管理体制。沖縄県の中の資源管理をしっかりやらないといけないと。これは先ほど言った沖縄の海があるということの意味は、ただ図面上にある海では意味がないわけで、きちんとした資源管理をやって、体制をつくっておくことが必要だと思います。
そして最後に、海ですから当然調査するのに船が要ります。それに対して、沖縄県の最近の海洋政策というか、行政のあり方は非常に疑問を持っております。水産試験場―今は水産海洋技術センターになりましたが、そこの調査船が2隻から1隻になっております。九州では最低でも平均2隻はあるかと思います。沖縄県は先島を抱えているということを考えると、最低でも3隻の体制ではないかと思っております。それから練習船もかつての2隻体制から1隻になっている。この理由はどうやらお金がかかるということが前提のようですが、そういうお金の話は横に置いておいて、今後の沖縄県の海洋島嶼県としての事業のあり方はきちんと押さえておく必要があるのではないかと思っております。
幾つかお話ししましたが、これを現実に移すために、私なりにいろいろ調査、あるいは話を聞きに行きました。1つは東京大学の大気海洋研究所―これは千葉県にありますが、そこでお話を聞いたら、東シナ海の調査は東京大学も調査船を使ってやることは可能であると。そのときに地元の琉球大学が名乗りを上げてくれれば、一緒に調査も可能だとお話ししていました。考えてみれば、琉球大学に海洋系の学科がありながらそこに調査船がないということ自体も不思議な話ですが、そのようなことを話したいと思います。
○上原章委員長 上田参考人からの説明は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
質疑はありませんか。
崎山嗣幸委員。
○崎山嗣幸委員 海洋法の観点から今回の日台漁業協定について学ばせてもらいましたが、二、三質疑させてもらいたいと思います。さきに國吉会長からも一方的に沖縄の漁業者の意見を聞かずに、頭越しに協定を結ばれたという話がありましたが、今、先生がお話をされている中においては、日本が果たして漁業交渉、外交交渉に対する海洋主権という自覚があるのかという意味で、そこら辺に日本の漁業の根幹があるような感じを受けました。今回我々が県の農林水産部と質疑を交わしたり、水産庁に行ったりする中でわからないことは、今これだけ漁民の皆さんがルールの策定をめぐって交渉することをもたらした背景の中において、国際法に基づいて引いている地理的中間線がいかに重要であるかについては、今、先生から話をしてもらったのですが、国際法的なルールが―簡単に台湾船がこの間入ってきてトラブルを起こしていたと。こういうトラブルを防ぐために、政府は海洋秩序が守られたと。今回の日台漁業協定を、水産庁も外務省も政府も誇りに思っているわけです。ルールができて海洋秩序が守られたと言っているのですが、先生が言われた排他的経済水域は日本の漁業だけではなく石油資源、鉱物資源、あらゆる資源の領域のある範囲を含めて、簡単に地理的中間線を、一方的に政府が日台漁業協定によってこの水域を譲ったと。そのように受けとめているのですが、その線を我々もしっかり自覚しないと、あとは台湾が勝手に引いた暫定執法線との問題が起こってくるような感じがしているのです。いま一度先生が言われている中間線のルールそのものが、日本が簡単に壊していいのか、台湾側に入っていいですというものなのか。この中間線の中には、今回取り決められている以外のところも含めて、台湾漁船が入ってきても追い出すだけだという区域も若干あるようなので、私たちからすると、基準点が不明確な感じがします。国際法にのっとった排他的経済水域の線引きはそんなに安易なものなのか疑問があるのですが、再度この辺のところを聞かせてもらいたいです。
○上田不二夫参考人 私も政府関係者ではないので、細かいところはよくわからないのですが、例えば韓国が中国との漁業紛争で見せている態度は、まさに協定違反した者に対しては徹底して取り締まっていますね。年間700隻ぐらい逮捕するとか。日本はほとんど捕まえていない。要するに、韓国も中国との貿易の関係では、非常に弱い立場になりますね。しかし、少なくとも海の権益に関しては相当厳しく取り締まっている状況はあります。韓国側の警備官に死者が出てきたりとか。一つには守るという姿勢がその国の外交の基本だと思うので、そこまで日本はやりきれるのかどうか。そこは見えません。そして、この問題で私が考えされられたことは、海洋主権―特に海洋基本法の中で取り上げているものはレアアースも含めて、いろいろな資源があります。となると、漁業資源というものは、どうやらその中に入らないのかと。ある意味で言えば譲る、譲られるものなのか、その辺が聞きたいところです、逆に言えば。そうでなければそんなに簡単にやれるものなのだろうかということで。それから先ほどの議論の中で100億円が大きなお金だという話が出ておりました。決して小さいお金ではありません。しかし基金運用ですから、毎年100億円使えるというものでは多分ないと思いますし、過去に尖閣列島で水揚げをした経緯を見ますと、今から25年前に1年間で約16億円ぐらいとっていますね。当時の16億円ですから、今はもう少し値段が上がると思いますし、それからすると、海さえ残しておけば100億円のラインというものは、漁業者にとってはそれほど大きなものではないのではないか。つまり、海を残しておけば、当然のことですが、少なくとも救えるという状況かと思います。
○崎山嗣幸委員 政府がどのようにメリットといいますか、やったのかについて、いろいろな推測があるのです。先生の資料の新聞記事を見ると、中台連携を阻止するくさび論があるが、むしろ中国の海洋戦略を後押しするトロイの木馬の役割を果たしているのではないかと、かえってマイナスではないかという受けとめ方をしているのです。政府の意図するものは中国と台湾が手を結ばないためにくさびを打ったという意味では、その辺は先生の所感で構わないのですが、いかがですか。
○上田不二夫参考人 もともと自由民主党の中には、かつての中国と台湾という2つの国があったときには完璧に分かれていましたので、当然関係者は多いと思います。台湾にある程度理解を示す議員が多いことも、これまでの状況からすればうなずける状況です。そのことと、今の海洋基本法の海洋主権というものは、まさに国家の大きな政策といいますか方針ですから、そこはきちんと分けて示していただきたいということです。幾ら何でも、片方に有利にすれば相手が応じてくれるだろうという、何だか寂しい議論はしてほしくないと思います。
○崎山嗣幸委員 それから2点目ですが、日本の国際法に基づいた地理的中間線と、国ではない台湾は暫定執法線を引いたということですが、この暫定執法線を引いて、これを越えたら台湾も沖縄漁船を拿捕するということが繰り返しあったということです。この暫定執法線の意義というか重さというか、勝手に引いたものが、日本はそんなに暫定執法線を重要視する意味があるのでしょうか。
○上田不二夫参考人 私も暫定執法線がどういう形で引かれたのか、その経緯がよくわかりません。それと、引かれた後に日本が放置してきたこともわかりません。つまり、ある意味では暗黙の何かがあったのかと、そういう推量さえも出てくるわけです。現実にこれは台湾側のEEZの形を示しているというか、そういう主張が背景にあるものと思います。今は台湾漁船を守って、向こうの警備船が出てくるのは暫定執法線に沿ってですが、この暫定執法線の位置がまさに八重山の目の前といった状況で、これに関しては、日本政府としてはきちんと対応して撤廃させる方向が正しいのではないかと思います。
○崎山嗣幸委員 3点目で最後になりますが、先生も先ほど漁業者任せではなく政府が外交交渉に前面に出るべきだと。私も異論はないのですが、今、日台漁業委員会の中で全ての解決が図れるかのような幻想があって、ずっと議論をしていると、全体の撤廃はできなくても久米西と八重山の三角部分の見直しはぜひ図ってもらいたいという願いらしいのです。果たして日台漁業委員会の中で、見直しや撤廃はできるのですかと聞いたのですが、ここの中に水産庁もいるからできるのだという答弁をもらったりしたのです。これは政府が2カ所を見直しすると決めているわけではないのに台湾側に交渉できるのか、私は何回も聞いたのですが、これがなかなか不明確であると受けとめているのです。日台漁業委員会の件ですが、先ほどは漁業者間同士の話し合いをして、それを参考にして次は日台漁業委員会の中に解決を持っていくということで聞いたのです。しかし、日台漁業取り決めの概要においては、あくまでも日台漁業委員会で協議されることは特別協力水域の中でのルールづくりだということで決めて走ったと思うのです。だから日台漁業委員会の中で、日本側は水産庁の次長が団長で、沖縄側の漁民が3名、台湾6名ということらしいのですが、この日台漁業委員会の中で、今言われている久米西、八重山の三角形の見直しを図れという取り組みができるのかどうか。ここはあくまでもルールづくりの話を決めるのが精いっぱいではないかと思っているのです。先生の見解として、全面的な撤廃は難しいと思うのですが、一部見直し撤廃を含めて、日台漁業委員会の権限というか、その中で解決を図れるのか。そうでなければもう一度政府が台湾側と交渉しないと解決がつかない問題ではないかと思うのです。この取り決めの概要はどうでしょうか。
○上田不二夫参考人 日韓、日中と、このようにしてまき網の皆さんといろいろな交渉をやったわけですが、そういうものを見ていて、やはり国の後押しが積極的に要るということは間違いないです。今回の日台の問題で取り組み体制を取り上げたのも、漁業者だけということでは多分難しい。先ほどからいろいろな研究機関を含めて、資源管理体制も含めて、そういったものもつくり上げていかないと、この交渉というものは長期にわたるものだと思っています。それどころか、交渉相手の中国はこれから先どうなるかもわからないという経済学者の理論もありますので、そんなことまで考えたら大変長い話になりますが、とりあえず今は目の前の混乱を事前に予防するということでルールづくり―これはこれで一つの方法だと思います。問題は、そこから先をどう考えてどうするのかという議論がまだ取り組めていない。崎山委員がおっしゃるように、その場で国はどういう役割を果たしていくのか、あるいは県がどうするのかということもあるかと思います。
○崎山嗣幸委員 これは行政機関でしっかり問いただそうと思うのですが、日台漁業委員会がそれぞれの代表、代理を置いて毎年最低1回という決まりがあって、協議内容も決まっているものであって、その中において、漁民の皆さんからするならば、できるなら全面撤廃をしてもらいたいと。次は特別協力水域について見直しを図ってもらいたいと。これが自分たちの力量では難しいので、せめて4月から入るマグロの漁に当たってルールづくりをしたいということが3段階で、苦しい立場を余儀なくされているのです。そういった意味では、政府の役割は再度、押し戻すことが難しければ、漁民の皆さんが言っている特別協力水域の見直しぐらいでも、台湾側とやる意味はあるのかと思っているのですが。
○上田不二夫参考人 日中の間でもこの手の委員会は1回開かれているそうですが、関係する論文を読んでみますと、はっきり言って無意味だと書かれているものがあります。つまり、ほとんど向こうが聞く耳を持たないという中での委員会だと。となると、こういう委員会の方式そのものも検討しないと、今までのようなことをやっていたのではだめだということだと思います。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
仲村未央委員。
○仲村未央委員 2つ聞かせていただきたいのですが、1つはこのような枠を先に協定として決めて後でルールづくりをしたということは、日中や日韓のときにはそういうことはなかったのですか。もともとルールが先にあって―順序が逆だということを沖縄としては感じるわけですが、日中や日韓の場合には、ルールが先にあって、その上で協定されたのでしょうか。
○上田不二夫参考人 日韓でも頭越しでやっています。ですから、どうやらこれが初めてではないようです。つまり、常套手段とまでは言わないまでも、漁業外交の中ではそういう例があったと聞いております。
○仲村未央委員 そうなると、本当に日本に海洋主権とか、日本の海をこれから継続的に漁業の海として使っていくつもりがあるのかという国策そのものの認識が問われると思うので、そこはなぜ国会で議論しないのかという政府の姿勢とか、国の姿勢そのものがよくわからないのです。暫定執法線の外側では―台湾からすると外側、いわゆる日本側の海では拿捕するが、暫定執法線の台湾側に行くとそこでは拿捕はしないということは、結局暫定執法線を追認している、補強しているという態度だと思うのです、国の姿勢は。そういう意味では、内地とか外地の問題もさることながら、国としてのそもそもの漁業や資源に対する認識がますます不明という印象を持つわけですが、そのあたりについてコメントをいただけますか。
○上田不二夫参考人 やはり漁師は魚をとっての商売ですよね。ということは、少なくとも安心して働ける場所がなければ、当然操業はできないわけです。今回の外交はいろいろな条件があったと言いますが、その原点を押さえて、少なくとも安全操業がきちんとできるということがまず基本です。こういう曖昧なことを残しておくのは非常に困るということがあります。外交交渉できちんとさせてほしいのはその部分ではないでしょうか。
○仲村未央委員 にもかかわらず、御指摘のとおり国や―県もそうではありますが、国にそもそも役割がどうあるのかということがわからないまま、ただ漁業者間だけ、現場だけに交渉の中身を委ねて、その結果がルールである、全てであるという議論の仕方をしていると思うのです。そうなってくると、縄の入れ方の方角が決まったにせよ、4海里が1海里になったにせよ、これだけ過密なところにこれだけの操業があって、そこの資源管理というものは一体誰が責任を持っていくのかという意味での、国や県の役割というものはないのか。どんなに過密になって―ルールが決まれば決まるほど、逆に言えば過密になると思うのです。どちらも入ってくださいという海になるわけですから。ところが一方では、入れば入っただけ資源は、貴重なものは奪われやすくなるし、サンゴ船の放置、黙認というか、中国の船が50隻も100隻も来ていますという状況を取り締まらないまま、このようなあり方であれば、この海は時間の問題で、そもそも継続的に漁業ができる海にはならないと思うのです。その意味での国や県の役割というものはないのですか。
○上田不二夫参考人 仲村委員のおっしゃるとおりだと思います。まず力関係を考えると台湾のほうがはるかに有利ですよね、数からいっても。ということは、平等に操業はできない。この海は少なくとも日本が沿岸国という形の主権を持っている海のはずです。つまり、決定権はこちら側にないといけないはずです、本来は。ところがそういう主張はほとんどしていないですよね。まずその弱さが一つありますね。その意味で、今回一番のポイントといいますか、きょうは特にマグロ関係の話ばかり出ましたが、むしろ列島沿いの曽根を中心にしたマチ類とか、そういう資源に影響が一番大きいだろうと思います。それに対する対策の話は全然出てこない。むしろそれは隻数制限から始まって漁法の制限などいろいろしないといけないはずなのです。そういう申し入れも日本側からやっていない。だから、徹頭徹尾海を守るという姿勢は多分ないのではないかと。資源に関して、基本が全くないですよね。
○仲村未央委員 あり方としての問題、国策上のあり方に疑問を強く感じる中ですが、きょうはどうもありがとうございました。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
喜納昌春委員。
○喜納昌春委員 こういう機会にしか先生をお招きできなかったことを非常に残念に思っています。むしろ二、三十年前に聞いておくべきだったと思います。我々はこの論議をする中でしか、日中漁業協定のことはわからなかったのです。ほとんどその結果、沖縄の海が荒らされているということが全然わからない。この日台漁業取り決めの中で逆に日中漁業協定も見直せという、恐らく意味のない要求も入れたのです。中国と日本の平成9年の協定を今ごろ見直せと言っても、テーブルすらつくれないです。だが言わざるを得なかった。県も含めてわからなかったのです。我々がわからなかったのです。きょう先生に言われて、逆に日本の政府そのものが海洋権とか資源とかを守る概念が全くないということ。今度だって国会で1本すら論議はないです。我々は逆に漁業者の皆さんの訴えを聞いて、根深い問題がわかったのです。きょうは先生から資料5もいただいて、沖縄の海と言われたときに、47都道府県の中で、北海道の海とか新潟の海を持っている部分があるかと言われたら、ない。沖縄はあるではないかと言われたときに、まさに先生をお招きするのを二、三十年おくれたと思っております。先生が言われたように、取り決めを変えるのは幻想だと思うのです。決めているから。國吉さんも言ったように、見直しだったら排除―政府が排除ですから。こんなことはできないよと。逆に漁業者の皆さんがまじめにやっていこうということですから、私は先生が言った、沖縄県漁業調整規則云々で旗を上げて云々を守って、友好的にやりましょうと現場でできる取り決めというか、この辺の案そのものはできると思うのです。だから我々がやるべきことは、国はさておいても県は、漁業者同士の話し合いの中で何ができるのかという以前の話の部分で、どれだけできるのかということが肝心だと思うのです。先生が言われたことを含めて、むしろ國吉さんたち委員の皆さんにしっかり伝えるべきなのかということで、我々が提案として、この話し合いの中で何が反映できるかということを、率直に文書でもいいからいただきたいという思いがあるのですが、どうでしょう。
○上田不二夫参考人 長男が沖縄県漁業協同組合に就職しているものですから、私は人質状態なので、余り団体に厳しいことも言えない状況ですが、民間は台湾とのパイプが、特に沖縄はありますので、そこをうまく活用していくということが一つあるのではないかと。先ほど契約の話をしましたが、国と国との協定はなかなかそう簡単にいかない部分がありますが、とりあえず向こうの漁業団体とこちらの漁業協同組合を中心にした話し合いの中で、1つでも2つでも条件をとっていくということは可能性があるのではないかと。向こうも組合が複数あるようですから、それぞれの話し合いの仕方もあるのではないかと思っております。
○喜納昌春委員 先ほど國吉さんも言いましたが、漁業の側は、行政をほとんどわからないと。100億円云々があっても意味がわからないし、使い方もわからない。逆に我々の側は海のことをわからないわけです。国の側はわからなかった、我々もわからなかった。これが現実です。しかも國吉さんが言ったように、過去16回の協定というものは、我々が関与しない中でうまくやっていたわけです。16年前。17回目がまとまらないから今日の取り決めです。だから政府も我々がまとめてあげたという自負心があると思うのです。外交上。それまでは台湾と沖縄漁業の中で取り決めてうまくやっていたわけです。その話し合いが滞って国がしゃしゃり出てという格好になっているわけです。時期も時期で、我々もそのために逆にその問題を知ったわけです。そういう意味では、現場同士では妥協し合って、うまくやっていこうという話もあるようですから―崎山委員が言ったように、取り決めはほとんど何も手をつけられないと思うのです。決まっているから。時間もないですが来年3月まで延びるだろうという話もありましたが、そういう意味では県も含めて何ができるかということを、先生が提起された旗の問題もありますが、現場でもうまくやりましょうということについての努力の仕方をぜひ模索していければと思っています。
○上田不二夫参考人 新聞等を見ていて、台湾側から流されている情報にはある程度クエスチョンマークがいるかと思います。例えば今16回の会合があったとおっしゃいましたが、最初のころの日台漁業交渉は、漁業そのものではありません。漁船を拿捕して、それを日本側の漁船のオーナーが返してくれという中身です。なぜ台湾、中国側が日本の漁船を拿捕したか。例の冷戦時代で、中国と台湾が争っていまして、物資輸送に漁船を使うという過去の事例があり、そういう案件が過去の日台漁業交渉の中身です。ですから全部が全部今のような漁業の話ではないです。そういう事実関係の問題。それと、盛んに台湾の政権が言ってくる伝統的漁業権。考えてみたら、どうして台湾が―あそこは日本の統治下、要するに植民地だったわけです。ということは、台湾の産業として漁業―特に大型船の漁業というものは日本人が中心になってやってきたといういきさつがあります。つまり、漁場を使っていくという意味においても、実は日本人が先だったのです。そして、戦争が終わったときにそういう機械一切を全部置いて帰ってきたという状況がありますから、そのあたりが台湾の漁業の始まりというか、そういう形もあるかと思います。そういう事実関係をもう少し冷静に見て日台の話は進めていかないと、とかく台湾側の権利、特に尖閣に出ていったという話をすると、かなり大げさに言っている部分があります。そういったことも、今後の日台の交渉の中ではきちんと押さえておくべきかと思います。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
玉城ノブ子委員。
○玉城ノブ子委員 喜納委員がおっしゃったように、もっと前に上田先生の話を聞くべきだったと思います。きょうはいろいろなことを聞かせていただいて、本当にありがとうございます。いろいろ勉強させていただきました。私たち自身がもっと海洋、水産業の問題に―海に囲まれた、重要な資源を持っている沖縄で、もっとこの問題について真剣、深刻に考えていくべきことだと思っております。やはり日台漁業協定のルールづくりというものは、国が責任を持ってやっていかないと、漁業者同士で話し合いをするといっても、これがなかなかできないという状況があるわけです。そういう意味では、国は責任を持つべきだと思うのです。3月までにこれができなければ、漁民の皆さん方は大変な事態になっていくわけですので、日台漁業協定そのものがつくられてしまっている現状で、ルールづくりについてもっと国の責任を求めていくということが必要なのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○上田不二夫参考人 おっしゃるとおりなのですが、言って通るかどうかが、現実策として気になります。むしろそれよりは、当面トラブル回避に関しては、向こうとの話し合いをまずやっておくことが先かと。これは現実策です。そして漁業外交全体はまさにおっしゃるとおりなので、本来国が専門のセクションぐらい置いてやるべきことですよね。それをやってこなかったという事実もありますから。
○玉城ノブ子委員 それと、先ほど先生もおっしゃったのですが、海洋主権そのものが譲れるものなのかどうかということがありますね。日台漁業協定が海洋基本法そのものにも反するような協定ではないかと思っているのですが、どうですか。
○上田不二夫参考人 国の主権というものが、時代の流れの中でいろいろな変化があるのだろうということはわかるのですが、少なくとも海洋秩序に関しては、海洋法という世界の一つの大きなルールがあって、その中でとりあえず今はおさまっていると。それを動かそうとしているのが中国だと私は理解していますが、現状の中では、日本が率先して譲る理由はないのではないかと。それもきちんと説明してくれればいいのですが、いきなりこういう形でやられたのではわからないですよね。
○玉城ノブ子委員 ルールづくりも同時にやっていますが、日台漁業協定そのものは、もう一度外交交渉で撤廃させる、見直しさせるというようにしないと、そこで国の責任を問うていかなくてはいけないと思っているのですが。
○上田不二夫参考人 恐らくそれが漁業者の総意というか願いだとは思います。それができるかできないかという問題にはなるわけですが。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
以上で、参考人に対する質疑を終結いたします。
この際、参考人に対し、委員会を代表して一言お礼を申し上げます。
本日はお忙しい中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御意見をいただき心から感謝いたします。
本日拝聴いたしました内容等につきましては、今後の委員会審査に十分生かしてまいりたいと思います。
上田参考人、ありがとうございました。
休憩いたします。
休憩 午後0時53分
再開 午後1時41分
○上原章委員長 再開いたします。
次に、乙第16号議案財産の取得について審査を行います。
ただいまの議案について、農林水産部長の説明を求めます。
山城毅農林水産部長。
○山城毅農林水産部長 それでは、平成25年第7回沖縄県議会定例会の議案書に基づき説明させていただきます。
議案書の22ページをお開きください。
乙第16号議案財産の取得についてであります。
本議案、サトウキビの難防除害虫イネヨトウの防除に必要とする交信攪乱用フェロモン剤の取得については、地方自治法第96条第1項及び議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例第2条の規定により議会の議決が必要となるためであります。
議案の概要としては、交信攪乱用フェロモン剤の取得であり、取得数量は6856個、取得金額は8998万5000円となっております。
以上で、議案の説明を終わります。
御審査のほど、よろしくお願いいたします。
○上原章委員長 農林水産部長の説明は終わりました。
これより乙第16号議案に対する質疑を行います。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
質疑はありませんか。
座喜味一幸委員。
○座喜味一幸委員 このイネヨトウの防除に係る財産の取得ですが、イネヨトウによる被害の実態、状況はどのようなものか教えてください。
○西村真営農支援課長 現在のイネヨトウの発生状況ですが、昨年に比べて全般的に少し落ちついてきている状況にあります。ただ、昨年度は非常に被害が大きくて、サトウキビの減収、あるいは品質の低下があったということです。今期においても一部の地域―特に宮古、八重山で発生が多いということで、フェロモンによるトラップ調査をやって確認している状況です。
○座喜味一幸委員 これはどういう状況で対策されるのですか。事業の執行方法は。
○西村真営農支援課長 本事業については、議案にあるようにイネヨトウ用交信攪乱剤―フェロモンを用いた防除で、環境にやさしい防除技術を現地に普及するという目的で実施しております。実際の事業の実施に当たっては、県で購入したフェロモン剤を市町村に配付して、市町村、農家の皆さんも含めて動員していただいて、通常の薬剤ですと畑に散布という形ですが、このフェロモン剤の場合は、フェロモンを1ヘクタール当たり200メートルになるのですが、設置をしていく形で実施します。実際の作業の前に、この畑にはどれだけのフェロモンが必要だということを事前に把握する必要がありますので、事前に地図の作成等があります。
○座喜味一幸委員 ちなみに、これは何ヘクタール分になりますか。
○西村真営農支援課長 今回は合計1714ヘクタール分となっております。
○座喜味一幸委員 目立たないうちに広がっているという実態があるので、しっかりと被害現場の実態を調査しながら、速やかな対応をお願いします。非常にいい事業です。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
新垣哲司委員。
○新垣哲司委員 地域によってこの害虫は発生するのですか。主にどこが発生率が高いですか。
○西村真営農支援課長 この害虫は以前からいた虫ではあるのですが、従来はそれほど問題にならない程度の発生でした。それが3年ほど前に急にふえてきたという状況です。発生の当初は伊平屋村とか伊是名村とか、北部のほうが多かったのですが、現在では宮古、八重山の離島のほうが多くなっております。以前は糸満も多かったのですが、少し落ちついている状況です。
○新垣哲司委員 これは農薬に強くなったということなのですか、この害虫が。一概には言えないと思いますが、どうですか。
○西村真営農支援課長 農薬に対する抵抗性がついているかどうかということは、現在はっきりわかってはおりません。県で農薬に対する試験をしますと、きちんと農薬を散布すれば虫は死ぬという状況ですが、茎の中に入っていく虫ですから、中にいるものに農薬を散布してもなかなか死ににくいという状況があります。そういうこともあって、フェロモンによると数を減らすことができると考えております。
○新垣哲司委員 3年間サトウキビは、災害とかいろいろな形で被害をこうむって、今回1トン当たり100円の見通しがついたということは、やはり政府としても基幹作物のサトウキビを守ろうという、これは非常によかったと。農林水産部長を初め、皆さん方が積極的に政府に声をかけたおかげだと聞いております。害虫というものは、松くい虫のように一旦広がってからでは遅いのですよね。今こういうことで対策をするということは非常に時宜を得たものだと思っておりますので、調査の上、しっかりやっていただきたいと思っております。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
よって、乙第16号議案に対する質疑を終結いたします。
次に、乙第23号議案県営土地改良事業の執行に伴う負担金の徴収について審査を行います。
ただいまの議案について、農林水産部長の説明を求めます。
山城毅農林水産部長。
○山城毅農林水産部長 続きまして、議案書の29ページをお開きください。
乙第23号義案県営土地改良事業の執行に伴う負担金の徴収についてであります。
本議案は、県営土地改良事業の執行について、利益を受ける関係市町村から事業費の一部を負担金として徴収するために、土地改良法第91条第6項において準用する同法第90条第10項の規定により議会の議決が必要となるためであります。
議案の概要としては、平成25年度県営土地改良事業に係る16関係市町村、76地区分の事業費は97億3658万7000円で、徴収することとなる市町村負担金の総額は5億2557万9850円となります。
また、議案の内容については、関係市町村から既に同意を得ております。
以上で、議案の説明を終わります。
御審査のほど、よろしくお願いいたします。
○上原章委員長 農林水産部長の説明は終わりました。
これより乙第23号議案に対する質疑を行います。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
よって、乙第23号議案に対する質疑を終結いたします。
次に、乙第24号議案県営水質保全対策事業の執行に伴う負担金の徴収について審査を行います。
ただいまの議案について、農林水産部長の説明を求めます。
山城毅農林水産部長。
○山城毅農林水産部長 続きまして、議案書の37ページをお開きください。
乙第24号議案県営水質保全対策事業の執行に伴う負担金の徴収についてであります。
本議案は、県営水質保全対策事業の執行について、利益を受ける関係市町村から事業費の一部を負担金として徴収するために、地方財政法第27条第2項の規定により議会の議決が必要となるためであります。
議案の概要としては、平成25年度県営水質保全対策事業に係る5関係市町村、7地区分の事業費は9億4800万円で、徴収することとなる市町村負担金の総額は1億480万円であります。
また、議案の内容については、関係市町村から既に同意を得ております。
以上で、議案の説明を終わります。
御審査のほど、よろしくお願いいたします。
○上原章委員長 農林水産部長の説明は終わりました。
これより乙第24号議案に対する質疑を行います。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
質疑はありませんか。
崎山嗣幸委員。
○崎山嗣幸委員 この議案は、昨年同じような案件で、石垣市から白保、新川第3地区ですか、従来国と県がやっていたものをあえて地元負担にしたのかということで、県の事業費でやるべきだということで、石垣市は同意していないという物議があった議案の2年目に入るのです。今、農林水産部長は市町村の同意を得られたと言っていますが、今回見ると、石垣市の新川第4地区も入っているので、こういった地元負担の分については十分了解を得たということでいいのですか。
○山城毅農林水産部長 前回もそういうお話があったのですが、市と十分話をして、市の同意を得て、今回の提案ということになっております。
○崎山嗣幸委員 そもそも前回も議論になったのですが、平成5年から平成22年までは国の補助で75%、県の負担25%で地元負担なしということでやってきて、平成22年の3月に県の行財政改革プランで自治体に負担させようという経過だったと思います。地元負担にさせたのが平成23年からで、平成24年に八重山が出てきたわけですね。この辺について、長年にわたって県の事業だということでやって、土壌の流出問題もあって、勾配の抑制もあって、これを直すということがあったような感じがするのです。この事業そのもののスタートは県の事業で、地元負担は持っていないのですが、本来の考え方はどれが正しいのですか。実際は。
○山城毅農林水産部長 事業のスタートとしては、県が事業主体になって、そのかわり農家負担はなしで、国庫と県費でやってきたのですが、基本的には行政改革の中で、市町村もあるわけですからお互いが負担していかないかということになり、こういう結果になってきたわけです。農家には負担させないという中で、県、市町村で何らかの形で負担をしていくということが妥当かと思います。
○崎山嗣幸委員 私が聞きたいのは、スタートは地元負担なしでやってきている事業ですよね。このスタート時点のときに、仮に受益者といいますか、地元も与えるべきだということであれば、スタート時点で国、県、地元もあったと思いますが、なぜ平成22年まではなくて、県の都合で、行政改革でとなっていることがわからないので、そもそもこの事業は別に地元負担させなくてもいいものなのか。それとも平成5年から地元負担させるべきであったが、県が負担してきたということなのか。この事業はそもそも行政改革によって負担を求めたのか。あるいは、そうでなければ地元の負担をさせなくてもいい事業なのかということが聞きたいのです。
○山城毅農林水産部長 当該事業については県営、団体営、両方でできるようになっており、事業をスタートするときに、早目に推進するために、県が事業主体になって、県が負担してやりましょうということでスタートをした経緯があります。その後、行政改革で、お互いの行政の中で応分の負担も求められるのではないかという経緯の中で、このように負担することになったということです。
○崎山嗣幸委員 先ほどの乙第23号議案も、負担金の徴収は利益を受ける関係市町村―今回も利益を受ける関係市町村に負担を求めるとなっているので、この趣旨はわかるのですが、従来負担させていなくて途中から取る場合には、よほど説明しないとわからないわけです。要するに、この事業そのものは関係自治体に負担を求めるものなのか、県がやるものなのかがわからないので、改めて入るところからすると趣旨を説明しないと。要するに利益を受ける市町村も負担がありますとやらないと。平成5年から平成22年まではなしと。本来はそもそも受益を受ける市町村も負担するものです、しかし何年間は県が負担してきたというのか、これから求めるときにはそういう事情説明はしっかりしないと。今回、石垣市は新川第4地区が改めて入っているのですね。そして糸満市だけは離島不利性ではないものだから12.5%の割合を掛けていますね。今後、この自治体以外にも出てくることは予測されますか。
○山城毅農林水産部長 この事業については、新規に採択するものの中から応分配分の割合でいくということになろうかと思います。全市町村です。新規に5年程度事業をするとしたら、これから採択される地区についてはそういう割合です。
○崎山嗣幸委員 平成22年まではなかったのですが、平成23年から発生する地元負担については、差はあるがこれから改めて発生する自治体に負担割合を求めていくわけです。この間はなかったのですが、これから求めていく部分については―石垣市はいい例ですね。平成23年もあるのですが、石垣市は入っていないわけです。平成24年に発生したからこの問題は起こったわけですね。次にまた新しいところが出てきて、そういうことが起こりかねないので、そこの説明責任はしっかりしないと、今言ったように自治体負担も求めていくという理屈はしっかりやってもらいたいということだけを注文して、質疑を終わります。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
玉城ノブ子委員。
○玉城ノブ子委員 今の質疑との関係ですが、これはやはりきちんと経緯を報告していただかないと。復帰後に土地改良事業や農道整備、農地整備というものをずっとやってきて、ところが沖縄の特殊な事情があったわけです。台風常襲地帯であるとか、亜熱帯気候の集中豪雨、そういうことが多いところで、本土の一律の基準で土地改良事業や農道整備、農地整備をやってきたために赤土流出が起きたということがあるわけです。本土の基準でやったためにこういう事態が起きたと。そういうことで、本土の基準でやってはこういう赤土の流出は防止できないということで、沖縄の独特の環境に合わせた基準でやりましょうということになって、水質保全事業が出てきたという経緯があるわけです。これを私は地域から聞いたのです。だから県の責任において水質保全事業はやりますということだったのです。それが途中から市町村負担というものが出てきたということではないですか。そこら辺の経緯をしっかり報告してもらわないといけないと思うのです。
○山城毅農林水産部長 先ほども説明したのですが、基本的には団体営、県営、市町村でも県でもできる事業ですが、事業のスタートの中で早目に推進する必要があるということもあり、そういう意味で、まずは事業主体になるものについては県で負担して事業を導入しましょうとスタートしました。その経緯の中で、行政改革で県と市町村の応分の負担も必要ではないかという議論の中で、今回市町村とも話し合いをしながら、そのような結果になったという経緯があります。
○玉城ノブ子委員 これまでの経緯からして、県の責任であるわけです。沖縄の気象条件に合った基準で土地改良事業、整備事業をやるべきだったものを、本土の基準でやったために赤土の流出が起きたということなのです。だからこれは県の責任で新たに県営水質保全対策事業を進めていかなくてはいけないということで、県の責任においてスタートしているわけです。それが途中で、行政改革だといって市町村に負担させるということになると、皆さん方はきちんと当初の経緯がどうだったのかということをしっかり説明しないと。県の責任で水質保全対策事業は進めていかなくてはいけないのではないですか。
○山城毅農林水産部長 土地改良は県営事業とか団体営事業の中でいろいろと進めてきており、確かにスタートの時点では勾配が若干あったということで、それで赤土が流出したという流れの中で、一つの対策として勾配修正をしながら赤土対策も図っていこうという中でこの事業はスタートしているわけです。その中でそれぞれの農地の保全も図りながら、県でも事業をスタートして進めていくわけですが、それのソフト的な事業も県としてもやっていますし、市町村としてもやっています。それぞれお互いが一緒になってこういう課題を解決していくためには、県、市町村、行政としての応分の負担も必要ではないかということになってきて、そういう経緯で―それは我々も市町村と十分協議しながらやってきていますので、それは理解されていると思います。
○玉城ノブ子委員 しかし、そこら辺はやはり、その経緯からいって違うのではないかと思います。皆さん方が本土の基準で土地改良事業をやったがために赤土流出というものが出てきたわけです。その時点で、本土の基準ではなく沖縄の基準に合った方法で赤土防止対策をやらなければならないということで、県がその責任でやるということでスタートさせているものなので、県が責任を持ってこれについては整備を進めていくことにしなくてはならないと思います。行政改革で10%負担だということになったら、市町村は納得いかないでしょう。
○山城毅農林水産部長 我々も市町村といろいろな土地改良事業を進めながら、一緒に連携しながらやってきています。お互いの状況も知りながらやってきていますので、そういう中で、市町村とも話し合いをしながらこういう結果になっていますので、市町村が理解していないということは―我々としては説明をして、理解をしてもらって事業を進めているということです。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
新垣哲司委員。
○新垣哲司委員 この水質保全ですが、もともと土地改良をして、その保全だと思うのですが、県営とか団体営とかいろいろあるわけですね。やはりそういう流れで問題が起こるということは、県も市町村もその辺はわかってのことでしょう。その辺はどうですか。
○山城毅農林水産部長 お互い事業を進める中では、どの事業を使うかということは、地域と話し合いをしながら、地域の要望を受けてやっていますので、そこは十分市町村に理解していただきながら事業の選択をしていると理解しております。
○新垣哲司委員 もともと県がやっているものを市町村に配分するのはいつごろからですか。
○山城毅農林水産部長 負担をお願いしているのは平成23年の新規地区からです。
○新垣哲司委員 主にこの事業というものは地域によって温度差があると思うのですが、どういうところに問題がありますか。予算を使うところはどういうところですか。赤土とかの話が出ていますが、出ないところもあるでしょう。
○山城毅農林水産部長 石垣市は宮良川とか、以前から赤土の流出があり、こういう土地改良事業を進める中でいろいろな方策は立てているのです。そういう中で地元から、勾配を修正することによって流出を防げるということがありましたので、それで石垣市などの赤土の発生が多いところから主に事業を入れております。
○新垣哲司委員 大変いいことではないですか。終わってみたらこうだったと、この辺は盛り土も必要だし、あるいは削るところもあるでしょう。県と市町村双方の話し合いの中のことですから、私はいいのではないかと思っています。市町村と十分話し合いをしたと思いますが、その辺十分理解をしていますか。
○山城毅農林水産部長 事業の趣旨、あるいはお互いの負担割合については十分協議をしながら決定しています。それで市町村から同意を上げていただいた上で議会に提示しておりますので、そういう意味では十分理解していただいていると思います。
○新垣哲司委員 市町村として、あるいはまたこういう土地改良をして喜ばれることは一番何ですか。
○山城毅農林水産部長 水質保全事業については、赤土対策を含めて勾配をフラットに近くしますので、そういった意味では営農面でも、農家からも喜ばれておりますし、市町村からも非常にいいということで、喜ばれていると思います。
○新垣哲司委員 側溝が詰まるとか水害とか、南部には余り赤土の被害はないです。その辺をはっきりしないと、北部は確かにあります。みんなごっちゃになっては困りますよ。以上です。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
砂川利勝委員。
○砂川利勝委員 これから始まる県営、国営がありますね。これも同じように―新たな事業もこのパターンになるのですか。
○山城毅農林水産部長 これから始まる新規採択については、この負担割合になります。
○砂川利勝委員 大きいですね。県営の予算が百億円以上にならないですか。
○山城毅農林水産部長 例えば圃場を整備するときには、従来の勾配と変えていますので、流出しないような新たな勾配で工事をするかと思います。過去にやって勾配がきついところを中心にこの事業で手当てをするということですので、そういう意味では発生しないかと。
○砂川利勝委員 これは今までやってきた圃場整備の勾配がきついところを直すだけのものだということですね。
○山城毅農林水産部長 はい。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
よって、乙第24号議案に対する質疑を終結いたします。
次に、乙第25号議案県営通作条件整備事業の執行に伴う負担金の徴収について審査を行います。
ただいまの議案について、農林水産部長の説明を求めます。
山城毅農林水産部長。
○山城毅農林水産部長 続きまして、議案書の38ページをお開きください。
乙第25号議案県営通作条件整備事業の執行に伴う負担金の徴収についてであります。
本議案は、県営通作条件整備事業に要する経費に充てるため、利益を受ける関係市町村から負担金を徴収するには、地方財政法第27条第2項の規定により議会の議決が必要となるためであります。
議案の概要としては、平成25年度県営通作条件整備に係る事業費は138万4000円で、徴収することとなるうるま市の負担金額は10万3800円となります。
また、議案の内容については、うるま市から既に同意を得ております。
以上で、議案の説明を終わります。
御審査のほど、よろしくお願いいたします。
○上原章委員長 農林水産部長の説明は終わりました。
これより乙第25号議案に対する質疑を行います。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
よって、乙第25号議案に対する質疑を終結いたします。
次に、乙第26号議案農業基盤整備促進事業の執行に伴う負担金の徴収について審査を行います。
ただいまの議案について、農林水産部長の説明を求めます。
山城毅農林水産部長。
○山城毅農林水産部長 続きまして、議案書の39ページをお開きください。
乙第26号議案農業基盤整備促進事業の執行に伴う負担金の徴収についてであります。
本議案は、農業基盤整備促進事業に要する経費に充てるため、利益を受ける関係市町村から負担金を徴収するには、地方財政法第27条第2項の規定により議会の議決が必要となるためであります。
議案の概要としては、平成25年度農業基盤整備促進事業に係る事業費は、5000万円で、徴収することとなるうるま市の負担金額は100万円、糸満市の負担金額は400万円となっております。
また、議案の内容については、うるま市及び糸満市から既に同意を得ております。
以上で、議案の説明を終わります。
御審査のほど、よろしくお願いいたします。
○上原章委員長 農林水産部長の説明は終わりました。
これより乙第26号議案に対する質疑を行います。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
○上原章委員長 質疑はありませんか。
仲村未央委員。
○仲村未央委員 先ほど来、関係市町村からの負担金の徴収という似たような議案が並ぶわけですね。ここでいう利益を受けるという考え方が押しなべて、従来取らなかったものを、行政改革の中で受益を受ける市町村という整理になってきて、負担を求めなかったものが新たに求めるようになったという経緯があると思うのです。利益を受ける関係市町村という表現は、みんな同じような理屈で、当初は取らなかったが、行政改革の流れの中で関係市町村―もちろん合意の前提はあるにしても、そういう考え方が持ち出されたのは平成23年度なのですか。それとも、ずっと県営とか国営というものについては、当然にかかわる市町村は負担を徴収するというシステムで来ているのですか。先ほどと関連しているのです。この事業だけではなくて、県営とつくものと―この事業は県営とはついていませんが、県営とか国営という考え方の中で、従来取らなかったが取るようになったという理屈なのか、そこら辺はどうですか。
○山城毅農林水産部長 今の事業もそうですが、基本的には従来の事業全て国、県、市町村で負担をしています。水質保全だけが途中から来た特殊な事業になっていたものですから、そういう経緯になったということです。
○仲村未央委員 では水質保全だけがむしろ特異な形で、利益を受ける市町村の負担を求めないできたという、それだけに特別な背景があるわけですね。背景があれば説明していただけますか。なぜそこだけはその理屈が適用されなかったのか。
○山城毅農林水産部長 基本的には今やっているほかの基盤整備事業は復帰後スタートしてきて、それについては全て応分―何らかの負担を県、市町村、国が負担して進めてきたわけです。水質保全事業については先ほど申し上げましたように、赤土との絡み―勾配の絡みでそういう流出が出てきたので、それを改善するために水質保全事業が新しいメニューとして出てきたということがあります。そのときにそういう地元の課題に対して早目に事業推進を含めて考えた場合に、スタートしたときには県で負担して進めてきたという経緯があります。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
座喜味一幸委員。
○座喜味一幸委員 総括ではないのですが、土地改良事業の負担率の話、今後も出てきそうな話がままあります。今回の水質保全事業も、もともとあった圃場整備の勾配基準が、やってみると結構赤土の流亡等を招いたという反省もあって、勾配修正と設計基準を大幅に変えているわけでしょう。それを、地元の農家側からすれば、我々が1回事業をやって完結しているわけで、それに赤土等の問題が出てきたら、それはある意味では農家の責任ではないだろうという思いがあるわけです。だからその事業費を簡単に上げようとしたときに、石垣市からも異議が上がったのです。こういうことを丁寧に整理しておく。これは県がやったのだから県の責任で赤土流亡対策をすべきだろうという農家側の意向は当たり前なのです。その辺の経緯を丁寧に話をすること。それから今後議論が出てくるのは、離島に対する補助率の割り増しがあるのですが、今言っている県の財政が厳しいから補助率を切ります、市町村に負担を持たせますということは、今の新離島振興法でも全部かさ上げしてやられている流れの中で、県はもう少し委員会、議会に対しては、こういう経緯で市町村の負担をお願いします、農家の負担をお願いします―ましてや今離島に対するかさ上げ分などを切ろうなどと言ったらとんでもない大きな問題ですから、今の経緯はもう少しきれいに、負担率表とかで皆さんにわかりやすいように説明しないと、今みたいな納得いかない顔をみんなしますので、その辺は一つ、地元負担、市町村負担―県も大変かもしれないですが市町村も農家も大変なのです。その辺はもう少し丁寧にやっていただきたいと思います。特に離島割り増し等の補助率の絡みは農林水産部長どうですか。
○山城毅農林水産部長 その辺についてはしっかり説明できるように整理していきたいと思います。離島かさ上げについても、農林水産部としてはしっかり守っていきたいと考えております。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
よって、乙第26号議案に対する質疑を終結いたします。
次に、農林水産部関係の陳情平成24年第123号外17件の審査を行います。
ただいまの陳情について、農林水産部長の説明を求めます。
なお、継続の陳情については、前定例会以降の新しい事実についてのみ説明をお願いいたします。
山城毅農林水産部長。
○山城毅農林水産部長 ただいまから、陳情案件について処理概要を御説明いたします。
お手元の陳情処理概要の目次をお開きください。
今委員会に付託されております陳情案件は、継続17件、新規1件でございます。
それでは、以上の陳情18件について御説明いたします。
お手元の陳情処理概要の1ページから8ページまでの継続案件平成24年陳情第123号から平成24年陳情第206号につきましては、修正はありません。
9ページ目をお開きください。
継続案件の陳情第13号は、アンダーラインを引いている部分が、時点修正を行った箇所でございます。その部分について御説明いたします。
10ページ目をお開きください。
1行目に「これらの結果を踏まえ、関係行政機関と個別に調整を行い、平成25年3月にはやんばる型森林業の推進(施策方針案)を策定しております。
さらに、国・県の関係行政機関及び関係団体等と最終調整を行い、平成25年10月にやんばる型森林業の推進(施策方針)として正式に決定しております。」を加え、同ページの8行目「推進(案)においては」を、「当該施策方針は」に、同ページの16行目に「現在、当該施策方針に基づき、択伐による収穫伐採や早生樹種等による短伐期施業について検討及び実証を行っているところであります。」と時点修正しております。
11ぺ一ジ目をお開きください。
継続案件の陳情第30号は、アンダーラインを引いている部分が、時点修正を行った箇所でございます。その部分について御説明いたします。
12ページ目をお開きください。
1行目に「これらの結果を踏まえ、関係行政機関と個別に調整を行い、平成25年3月にはやんばる型森林業の推進(施策方針案)を策定しております。
さらに、国・県の関係行政機関及び関係団体等と最終調整を行い、平成25年10月にやんばる型森林業の推進(施策方針)として正式に決定しております。」を加え、8行目の「推進(案)においては」を、「当該施策方針は」と時点修正しております。
14ページ目をお開きください。
継続案件の陳情第33号については陳情第30号の時点修正と同様であります。
16ページ目をお開きください。
16ページから19ページの継続案件陳情第44号から陳情第47号につきましては、修正はありません。
20ページ目をお開きください。
継続案件の陳情第50号の2は、アンダーラインを引いている部分が、時点修正を行った箇所でございます。その部分について御説明いたします。
23ページ目をお開きください。
21行目を「さらに、TPP交渉が年内妥結に向け加速的に進展していることから、本年10月24日と11月29日には、JA等関係団体と連携し、内閣官房長官やTPP担当大臣など政府・与党に対して強く要請したところであります。」と時点修正しております。
25ページ目をお開きください。
継続案件の陳情第51号は、アンダーラインを引いている部分が、時点修正を行った箇所でございます。その部分について御説明いたします。
28ページ目をお開きください。
7行目に
沖縄県日台・日中漁業問題対策等漁業者協議会は、10月10日に、台湾側と協議する操業ルール案を作成しております。
漁業取り決めの合意以降、台湾漁船との衝突事故や台湾漁船のはえ縄漁具の絡みが原因でパヤオ流失が発生するなど、漁業者の生活に影響が出ていることから、本県漁業の権益と安全操業を確保するため、知事と漁業団体は、10月24日に、官邸等に対し、従来の要請に以下の3点を加えて、日台漁業取り決め及び日中漁業協定に関する要請を行っております。
①沖縄側が提示する操業ルール案の実現に向け、早期に台湾と交渉すること。
②漁船事故発生時の日台双方による事故処理体制を確立すること。
③国の責任において、日台漁業取り決め及び日中漁業協定に伴う本県水産業への影響を最小限に抑えるための総合的な対策を提示すること。
12月5日、6日に、宜蘭県蘇澳区漁会において、第2回日台漁業者間会合を開催し、取り決め適用水域における操業ルールについて、日本側漁業者の提案をもとに、台湾側と意見交換を行いました。
を加えております。
29ページ目をお開きください。
同じく1行目に、
日本側からは、台湾漁船との操業トラブルの問題や今後の操業に対する不安等について説明し、台湾側に日本側ルール案の了承を求めました。
意見交換の結果、はえ縄等の漁具を放棄してはならないことや事故発生時の緊急連絡や事故処理体制を構築することなどの事項について合意できました。
しかし、マグロはえ縄漁業の操業ルール(船間距離、投縄方向)については合意に至らず、台湾側から、日本漁船も操業できる具体的な案を速やかに提出することとなり、継続協議となりました。
引き続き、操業ルールの早期確立に向け、日台漁業者間会合及び日台漁業委員会で協議していくこととしております。
とし、29ページ目の16行目中ほど、「当該協議会」を、「沖縄県日台・日中漁業問題対策等漁業者協議会」と時点修正しております。
30ページから35ページの継続案件陳情第68号から陳情第104号の2につきましては、修正はありません。
36ページ目をお開きください。
継続案件の陳情第107号は、アンダーラインを引いている部分が、時点修正を行った箇所でございます。その部分について御説明いたします。
37ページ目をお開きください。
13行目に「さらに、TPP交渉が年内妥結に向け加速的に進展していることから、本年10月24日と11月29日には、JA等関係団体と連携し、内閣官房長官やTPP担当大臣など政府・与党に対して、強く要請したところであります。」と時点修正しております。
また、38ページ目をお開きください。
16行目の「今後とも、糖価調整制度の堅持について、関係団体と運携し、国に対し、要請してまいります。」を、「県としては、糖価調整制度の堅持について、平成25年11月29日、農業団体等と連携し、国等に要請を行ったところであります。」と時点修正しております。
40ページ目をお開きください。
16行目の「県としては、今後とも、畑作物共済の充実・強化について、関係団体と連携し、国に対し、要請してまいります。」を、「県としては、畑作物共済の充実・強化について、平成25年11月29日、農業団体等と連携し、国等に要請を行ったところであります。」と時点修正しております。
41ページ目をお開きください。
41ページから44ページの継続案件陳情第113号から陳情第117号の2につきましては、修正はありません。
次に、新規陳情について説明させていただきます。
45ページ目をお開きください。
陳情番号第136号、陳情区分新規、件名サトウキビ価格・政策確立に関する陳情、陳情者沖縄県サトウキビ対策本部本部長新崎弘光外1人であります。
要旨につきましては、省略いたします。
それでは、処理方針について御説明いたします。
サトウキビは、本県農業の基幹作物であり、台風や干ばつ等の自然条件下にあって他作物への代替が困難な地域で生産されていることや、製糖を通して雇用機会を確保するなど、農家経済はもとより地域経済を支える重要な作物であります。
このため、県としては、サトウキビ生産者が意欲を持って生産に取り組み、甘蔗糖企業の経営安定が図られるよう、平成25年11月29日、農業団体等と連携し、国等に要請を行っております。
要請の内容については、①TPP交渉への対応については、国内農業及び国土を守り、地域経済・社会の安定を確保する観点から、国民的議論を尽くすなど慎重な対応を行うとともに、農林水産分野の重要5品目などの聖域が確保できなければ交渉からの脱退も辞さないものとし、農家が安心して生産に取り組めるよう万全の対策を講ずること、②糖価調整制度の堅持と財源を確保すること、③甘味資源作物交付金及び国内産糖交付金については、基準糖度帯は現状の水準を維持すること、甘味資源作物交付金については、生産農家が安心して生産に取り組めるよう地域の生産条件や経済事情を考慮し、再生産が可能となるよう確保すること及び国内産糖交付金については、甘蔗糖企業の経営安定が図られるよう将来にわたって確保すること、④サトウキビ増産基金事業の継続については、生産農家を初め関係機関が一体となって、サトウキビ生産基盤の強化に向けた取り組みを継続するため、次年度以降の基金事業の予算を確保すること、⑤サトウキビの生産振興対策のため、土地基盤整備等の促進、ハーベスター等の高性能機械の導入等に必要な強い農業づくり交付金等の予算確保及び試験研究等の充実・強化のための予算を確保すること、⑥サトウキビ農家の経営安定を図るため、畑作物共済の充実強化を図ること、などであります。
要請の結果、サトウキビ生産者交付金が前年と比較してトン当たり100円増額され、1万6120円となりました。
また、サトウキビ増産基金も積み増しされることとなりました。
今後とも、関係機関と連携し、サトウキビの生産振興に取り組んでまいります。
以上が、農林水産部の陳情処理方針概要の説明でございます。
御審査のほど、よろしくお願いいたします。
○上原章委員長 農林水産部長の説明は終わりました。
これより各陳情に対する質疑を行います。
質疑に当たっては、陳情番号を申し述べてから重複することがないように簡潔にお願いいたします。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行うようお願いいたします。
質疑はありませんか。
新垣哲司委員。
○新垣哲司委員 新規陳情第136号の5番目、サトウキビの生産振興対策の土地基盤整備の促進、ハーベスター等の高性能機械の導入ということで、これは県からも補助を出しているのですか。
○山城毅農林水産部長 現在、ハーベスター等については国のリース事業があり、それの一部を県のほうでも補助金として出しております。
○新垣哲司委員 平成25年度は何台分出しましたか。
○竹ノ内昭一糖業農産課長 平成25年度はハーベスターが17地区、それから株出し管理機、プラソイラ等の栽培管理機が3地区となっており、20地区に対応しております。
○新垣哲司委員 市町村別にわかりますか。
○竹ノ内昭一糖業農産課長 中型ハーベスターについては、南大東村1台、石垣市2台。小型ハーベスターが、久米島町1台、宮古島市8台、糸満市2台、中城村1台、南城市1台。刈り取り機が粟国村に1台。管理機については、名護市の2地区に株出し管理機2台が入っております。また、竹富町1地区にトラクターとプラソイラがそれぞれ1台という内訳になっております。
○新垣哲司委員 ハーベスターの機能というものはすごいもので、大東島とか大々的にやっているところは非常にいいのですが、小さくやっているところには、ある意味では不便らしいです。土地改良をやっているところは非常にいいわけです。県としてもそういう事業というものはどしどし進める形で今後もやっていくのですか。
○山城毅農林水産部長 サトウキビについては機械化一貫体系に基づいて効率的に生産ができるように、また高齢化に対することもありますので、機械化に向けては積極的に導入していきたいと。国のほうにも呼びかけているところです。
○新垣哲司委員 例えば個人で持っている方がいますよね。そういうものを自分だけではなく、相手がリースするような形もできるのですか。
○竹ノ内昭一糖業農産課長 個人で導入されたものについては、御本人が受託作業等で、例えば収入を膨らませていきたいといった場合について、そういう地域的な対応も可能かと思います。いずれにしても補助事業等の縛りは受けていないということであれば、それはオーナーの方の任意ということになると思います。
○新垣哲司委員 では補助をもらっている場合はどのような形でやっていますか。
○竹ノ内昭一糖業農産課長 国のリース事業―以前の事業についても同様ですが、導入に際して、まず受益地区というものを設定します。当然その機械の性能に見合った処理量といいますか、作業面積等が確保されているか、地域の合意は得られているか等を総合的に判定し、県としてもそれを承認する形をとって、初めて補助を行うといったスキームで行っております。
○新垣哲司委員 高度なもので1機どのぐらいしますか。
○竹ノ内昭一糖業農産課長 中型か小型かによって値段は変わりますが、一般的に台数が普及してきている小型について言いますと、3000万円強から3300万円前後ではないかと認識しております。済みません、手元に正確な金額の数字があればもう少し明確にお答えできるのですが。
○新垣哲司委員 ハーベスターの能力、効果は大変なものがありますね。駆け込みの場合、そろそろ製糖工場が閉まるというときに、非常に発揮するのです。ですから、ぜひこれは進めていただきたい。株出しとかいろいろな弊害もあるのですが、サトウキビ農家にとって必要だと思います。ぜひこういう地区があれば進めていただきたいと思いますが、農林水産部長、その辺はどうですか。
○山城毅農林水産部長 先ほども申し上げましたが、サトウキビの振興の中では、ハーベスターの役割は非常に重要なところがありますので、県としても積極的に導入していきたいと考えております。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
崎山嗣幸委員。
○崎山嗣幸委員 25ページの陳情第51号、日台漁業取り決め等の見直しに関する陳情です。午前に、沖縄県漁業協同組合連合会の会長を初め補助者と、法的な立場から上田教授を招いて勉強したのですが、この陳情で新たに変わったこともあるのですが、今回漁業者間で協議したところで難航している部分と、ほぼ話ができるものがあったようなのです。ここを最終的に決めるのが日台漁業委員会ということですが、漁業委員会で難航した部分はどこですか。
○山城毅農林水産部長 今回の漁業者会合で沖縄側から提示した操業のルールの中で、縄の入れ方や方向とかを提案しましたが、台湾側からこれについて、お互いの入れ方が違うものですから、そこのところはまだ折り合いがついていない状況があります。
○崎山嗣幸委員 特別協力水域と八重山の近くの三角形のところですが、ここのルールづくりについては後回しにしようという感じで終わっているのですが、会長に聞いたらわからないと言っていました。これはどうするつもりですか。この区域は。
○山城毅農林水産部長 今回、操業ルールというもの―2回目になりますので、お互いできるところから話し合いをしていこうということがあります。それで操業のトラブルが起こらないようなルールづくりはどういったものがあるのか、トラブルが起こったときの対応がどうあるべきかというところを決めるときに、今の特別協力水域と三角のところは、基本的には見直しという方針がありますので、前回もそれを主張したら前に進まないということもあり、今回は、そこはおいておいて、まず中のルールから先に進めようということで、進めてきたということがあります。これについては、今後中のルールが決まり次第、どうするのか議論していこうということになっていると聞いております。
○崎山嗣幸委員 やはりここが一番好漁場であるということで、漁業者の皆さんもこだわっている箇所なのですね。農林水産部長がおっしゃるように、一貫して一部見直しをするという意味では、特別協力水域のところと八重山の三角形のところの一部撤廃をしてもらいたいということが強い要望ですよね。見直されないうちに、この水域について操業ルールを決めようとなると矛盾するといいますか、撤廃を求めているのに隻数の問題とか網の入れ方をやったら、認めるからなのかと思ったのです。であるならば、漁業委員会が来年開かれるわけですよね。そのときまでに決着を図らないと、4月、5月はすぐ来ると思うのですが、この区域を撤廃するのも至難のわざではないかと思っているのです。そうなると、これを置いて走ることになると、4月、5月にそのままの状態で入る危険性はないですか。
○山城毅農林水産部長 今までは日本側から提案をして議論をしてきたわけですが、今回、台湾側からもどのようにしたらできるのか提案をしてもらうことになりましたので、その提案を踏まえて早急にやるということになっています。漁業委員会が年内には国のほうで開催するという予定がありますので、早目早目に4月の操業に向けてできるように、県としても国に強く要望していきたいと思います。
○崎山嗣幸委員 この領域の見直し撤廃については、前回も農林水産部長に聞いたのですが、日台漁業委員会の中でできる事項なのですか。
○山城毅農林水産部長 今回、見直しについて提案するかどうかということはないのですが、日台漁業委員会の中で、そういうことも協議できると。例えば委員会の役割として、取り決め適用水域における海洋生物資源の維持が過度の開発によって脅かされないことを確保するための協力関係に関する事項とか、漁業分野での協力に関するその他の事項というものがありますので、その中で何とかその協議に持っていけるのではないかと考えております。
○崎山嗣幸委員 では、農林水産部長は特別協力水域の覚書で、そこは日台漁業委員会で協議するということを踏まえて、その範疇の中でやっていこうと。とりあえずはやっていこうということですね。このことが諮れるのですかと聞いているのです。
○山城毅農林水産部長 県としては、国に対して要請をずっと継続して粘り強くやっていくことにしております。国がこれでやるのか、国同士でやるのかということは国で決めることでもありますし、県としては、そこは地元の要望も踏まえて、しっかりと海域については見直してもらいたいと要望します。ただ、協議会の中でも話し合いができる素地はあるのかという解釈をしているわけです。
○崎山嗣幸委員 わかりました。皆さんの陳情の回答で、国に求めるという―日台漁業取り決め及び日中漁業協定に伴う云々とあるので、ここで話をするのも結構ですが、政府に向かってしっかり求めていかないと、これは外交交渉ぐらいの問題だと思うのです。私が聞いているのは、政府に求めるということも回答しているので、知事もそのように求めていくのでしょう。政府はそれを、皆さんの言うとおりですと受けとめないと、私たちも見直しますと政府がその気にならないと、台湾に言わないのではないかと。農林水産部長は前に、日台漁業委員会の団長は水産庁の次長だからこの意見、立場に立ってやりますと言っていますが、政府は決まっていないのにこの次長は言えるのかと私は聞いたのです。農林水産部長が今答えた範囲は、水産庁の次長もそのことを言えるわけです。言えるわけということは、皆さんの意向を受けて、水産庁の次長はその項目の中で言わせたということですよね。そういうことでいいのですか。
○山城毅農林水産部長 知事を含めて要請しているのは、官邸、外務省、農林水産省、それぞれの大臣に要請しています。撤廃ということは官邸のほう、上のほうにもしっかり要請しております。
○上原章委員長 休憩いたします。
(休憩中に、日台漁業委員会の協議項目の中で水域の見直しや撤廃についも協議できると解釈していると答弁しているが、解釈のとおり交渉のテーブルにのる確証はあるのか、国に要請して、国が要請をしっかり受けとめて交渉のテーブルのせると言わなければのらないのではないかとの発言があった。)
○上原章委員長 再開いたします。
山城毅農林水産部長。
○山城毅農林水産部長 要請としては外務大臣、官邸、農林水産大臣に知事も要請していますので、これはしっかり国に要請しております。
○崎山嗣幸委員 先ほどの農林水産部長の話は日台漁業取り決めの範疇ですよね。特別協力水域の項目を設けて、その中に領域を入れるのではないかという程度は理解できるのです。しかし、この領域の見直しを漁業者が求めているものについては、政府がわかりましたと。知事が言うのと漁業者が言うのと、ここの領域を見直しましょうと、外交交渉に臨みましょうと言うのだったらいいのですが、そこは違うのではないかということが休憩中に言われたことなので、はっきりしないと。日台漁業委員会の中で話をするのはいいと言っているわけです。ここでは解決を図れないのではないかと言っているので、外交交渉によって一部見直し撤廃しないと、ここは難しいのではないかと言っているのです。私の理解はそのとおりでいいのですか。
○山城毅農林水産部長 そういう理解でいいと思います。
○崎山嗣幸委員 県も取締船の単独予算を700万円でしたか、出しているのですが、暫定執法線はわかるように、今言っている特別協力水域も三角形も飛び出して、過大に上げているわけですね、台湾に。そして暫定執法線から、こちらが言っている排他的経済水域の中間線から中について、水産庁も政府もそこは守られたと言っていると思ったのです。この水域も含めて、台湾側に与えていないと思うので、取り締まりをする中においては、この水域の中に入っても、取締船で拿捕するという立場で臨まないと、追い出しするだけでは解決にならないではないですか。その中において容認すると、台湾の暫定執法線の南方も皆さんが認めたことになるのではないかということですが、県の取締船は、その辺はどういう意気込みで臨んでいますか。
○新里勝也水産課長 はやての取り締まり範囲ですが、はやてについては外国漁船の取り締まり権限は持っていなくて、現在行っているのは外国漁船の操業実態調査ということで補正予算をして取り組んでいるところです。その調査成果をまとめて国に上げていくということで対応しております。
○崎山嗣幸委員 県の範囲は、そこまでは行かないわけですね。では海上保安庁の取締船はどうなるのですか。
○山城毅農林水産部長 国に確認したところによると、暫定執法線から飛び出したところは拿捕しているのですが、そこの中については従来どおり、拿捕ではなくて押し返していると聞いております。
○崎山嗣幸委員 ここは、例えば政府も海洋秩序が守られた、トラブルがなくなったということで適用除外水域を決めて、共同水域を決めたわけです、台湾に。トラブルがあったので、こちらは台湾も日本もやっていいですよと、この領域を認めたわけですね。南方側は台湾漁船が入ってくる必要はないでしょう。だから南方は守ったと言っているが、ここに入ってくると。しかし今農林水産部長は、入ってきても追い出していますと言っていますが、八重山の漁民はきょう聞いたら出ていかないということを言っているわけだから、ここはせめて最低限として、北方のほうはどうぞと上げているので南方は入れさせないという立場で臨むのが当たり前ではないですか。これは率直な意見なのですが、いかがですか。それを追い出していますということで、だったら従来どおり決めないで追い出しておけばよかったではないですか。従来そういうことができなかったから、国は取り決めたと、海洋秩序が守られたと言っているわけでしょう。できなかったら決める必要はないでしょうと言っているわけです。
○新里勝也水産課長 今の件ですが、漁業者協議会の中でも議論になっているところです。国は、南は守ったという表現をしておりますが、八重山の漁業者からは、前より悪くなっているという評価もいただいております。と申しますのは、以前は暫定執法線の西側に入ってきた台湾漁船を、日本の地理的中間線まで追い出す作業に専念して、国の取締船は対応しておりました。ところが取り決めができて、拿捕も含めて取り締まるという方針になったものですから、暫定執法線のライン際に集中して取締船を配置するようになっていると聞いております。結果、今まで暫定執法線の西側を押し出していた活動が少し弱くなっているという話は聞いております。その評価を八重山の漁業者は強く出してきているものですから、これはおかしいということで、これまでと同様、地理的中間線までは追い出しはやってくれということは国に申し入れをしているところです。
○崎山嗣幸委員 水産庁長官に要請に行ったときに、あなた方は南方の海を守ったと言ったでしょうと。しかし、その協議をする前に、水産庁は、南方を含めて改めて協議するという文書を出したということで、水産庁長官に見せたらどこからもらったかと。私はこれを漁民からもらったのですが、水産庁の腹の中には、今言われているところも含めて今後協議をして譲る気なのかと聞いたのです。これは前に議論があった話であって今はないですと言ったのですが、今言われているように、しっかりここを守っていかないと、上だけではないですよ。下も含めて台湾船がどんどん地理的中間線から入ってきて当たり前になってしまうと、同じですよ。だから南方を守ったというのであれば、この海域はせめて取締船を出すのであれば、地理的中間線から上もさせているのだから、下は入ってくるなぐらい県が主導権を持って漁業者を守らないと、漁に行けないですよ。農林水産部長の決意をもらって終わります。
○山城毅農林水産部長 確かに南側のほうは守らなければいけない海域だと考えておりますので、しっかりと地元の要望も一緒になって、国に訴えて対応していきたいと考えております。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
仲村未央委員。
○仲村未央委員 今の陳情ですが、午前中にいただいた日本側提案というものがありますね。2ページのものです。この日本側提案というものに県も同調しているのですか。県も日本側提案の中に入っているのですか。
○山城毅農林水産部長 漁業者協議会の中には、県も委員として入っていますので、そこで議論して提案されたものが最終的に国の提案になっているということです。県も一緒になって入った中身だということです。
○仲村未央委員 一方で、陳情処理方針に書いてあることですが、28ページですが、①のところで、沖縄側が提示する操業ルール案の実現に向け、早期に台湾と交渉することというものを政府に求めているわけですよね。この交渉の舞台は日台漁業委員会になるわけですね。日台漁業委員会を通じて、政府もそこで責任を持って交渉しなさいという意味で書いてあるのですか。別枠で政府間で直接交渉しなさいという意味ですか。どういう趣旨ですか。
○山城毅農林水産部長 ここに書いていますのは、日台漁業委員会の中で操業ルールを早急に図ると、解決するということになっていますので、その委員会を早目に開いて、早目に決めてもらいたいということです。
○仲村未央委員 取り決め自体は民間協定ですよね。民間協定の交渉事を政府に求めるということは、どういう立場なのですか。政府はどういう立場で民間協定にかかわっているのですか。そして皆さんは操業ルールを国に求めていると言いますが、実際の交渉の機関は民間同士でしょう。どういうことですか。
○新里勝也水産課長 この委員会の構成メンバーとして、委員会の取り決めで定める特別委員という立場で水産庁も入っており、台湾側も政府の漁業省というところが特別委員として参加しています。そういう意味で、我々は水産庁に求めて、水産庁に委員として入ってもらってその場で議論していただくということで理解しております。
○仲村未央委員 一特別委員として役割を果たせという趣旨の要求なのですか、この①は。早期に台湾と交渉することを求めているのは、民間協定の中での一役割をきちんと果たせという程度の趣旨ですか。操業ルールに関してわざわざ皆さんが抜き出して①とするので。
○山城毅農林水産部長 我々は国に要請していくわけですが、先ほど水産課長が言ったように、民間同士の取り決めにはなっていますが、その中には水産庁の次長が委員として入っています。その中では、基本的には2人の委員、水産庁、向こうの国の担当部署が入って交渉することになっています。今回、日台漁業委員会の中で操業ルールを決めることになっていますので、その中に県側が漁業者協議会の中で取りまとめた案について、国を通して一緒にやっていただきたいと、国に要望したところです。
○上原章委員長 休憩いたします。
(休憩中に、この取り決めは民間協定ではあるが、交渉をリードする立場にあるのは国であり、交渉の責任は国に帰結すると考えてよいのかとの確認があり、国であるとの答弁があった。)
○上原章委員長 再開いたします。
仲村未央委員。
○仲村未央委員 この協定が妥結するのか、操業ルールが確立するのかどうかの責任の帰結は、漁業者間の調整や日台漁業委員会という民間の委員会の最終的な責任者は政府に帰結するということで、政府もそういう理解であるということでいいのですね。
○山城毅農林水産部長 我々は今回国に要請します。国は県の要請を受けて民間に指示するわけです。その辺の責任は当然国にあるだろうと。
○仲村未央委員 国以外にはないのです、皆さんの話のとおりであれば。それでいいのですか。
○山城毅農林水産部長 国が漁業委員会に提案しなさい、早目に開きなさいということで一緒に指示しながらやりますので、それは国に帰属すると考えております。
○仲村未央委員 それから②ですが、事故処理体制を確立する。この主体も政府ですか。事故処理体制は誰が確立するのですか。
○新里勝也水産課長 日中でも日韓でもそうなっていると聞いていますが、この主体は、日本側は一般社団法人大日本水産会という社団法人になっております。台湾側は中華民国全国漁会という団体が取り決めを交わして、事故処理の体制をつくると聞いております。
○仲村未央委員 事故処理の通報連絡体制は、日台双方の漁業者団体間同士で整備するというものが日本側要求なのです。県の要望は事故処理体制を確立することを政府に求めているわけです。これは誰が体制を確立する主体なのですか。そして、その体制をつくったときの実際の管理の帰結は政府なのですか。
○新里勝也水産課長 我々は陳情処理方針でも示しているように、政府に対してそういう体制をつくってくれと申し入れをしているところです。それを受けて、政府としては一般社団法人大日本水産会に指示をして予算もつけて、そこが実際に民間同士で事故処理できるような体制をつくると聞いております。
○仲村未央委員 それは国の委託として、民間団体が事故処理を受ける体制を担うということですか。委託ですか。
○新里勝也水産課長 委託という言葉はいろいろあると思いますが、予算としては国から入っていると聞いております。実質的にどういう取り決めをするのかということは委員会の場で協議されて、最終的な形として民間同士で取り決めをすると聞いておりますので、国の関与はそこそこ入っているものと理解しております。
○仲村未央委員 今、基金の話がありますね。この基金はこういったものに充てるということが想定されるのですか。それとも事故処理体制は全然別の予算で対応されるものですか。
○新里勝也水産課長 別のものと聞いております。
○仲村未央委員 それから基金です。想定される状況がよくわからないのですが、それはあくまで日韓や日中の経験を踏まえてのことになると、実際の漁具被害等に対応するものなのですか。それとも今言うように、先ほど久米島もそうでしたし、実際には漁獲量が落ちているという補償的なことも含めて、そこから手当てをされるような、そういう性質のものですか。
○新里勝也水産課長 細かいメニューについてはまだ我々も承知はしておりませんが、我々の要求としてはそういうものを含めて、取り決めが原因として影響が出る分については何とか手当てをしてくれということは申し入れをしているところです。
○仲村未央委員 皆さんとしては、漁業補償もその中で求めていこうというものが県の要求ですか。
○新里勝也水産課長 補償という言葉は難しいところですが、我々が求めているのは、漁業者が安全に安心して操業できる環境づくりをしてくれということです。細かい、どういうやり方でどういうメニューでというところについては、水産庁から具体的にはまだ聞いておりません。
○仲村未央委員 水産庁から聞いてないというよりは、県自体がどう思っているかですよね。つまり、そもそも水域も撤廃してほしいという前提の中でこういう基金が立ち上がったときに、実際に被害が出たときの対策としてこれを充てていこうという話なのか。それとも、現状をある程度容認せざるを得ないという立場に立って、それを補償的に変えていこうという色合いのものかということによっても、今後の交渉については県の主体性も問われると思うのです。そこはどういう意味で基金を皆さんは求めていこうとしているのか―ここでは基金とは書いておらず総合的な対策と書いてありますが。
○山城毅農林水産部長 今回の基金については、いろいろ現場でも漁具の被害等のトラブルが出ていますので、そういう意味で、漁業者に影響が大きいということは認識しております。一方では、そこにうまく操業ルールをつくりながら、なおかつ今の久米島の西側と三角水域は撤廃してくれと要望をしているわけです。それはずっと継続してやっていかなければいけないと考えております。ただ、漁業者は実際的に漁獲高の減少もあるという話ですので、そういったところはしっかりと被害に対する支援というものをやっていただきたいということで、補償をもらって云々という話ではなく、被害に対してしっかり手当てをしてもらう。何かの要因でそこに行けない状況の中で、そこはどうするのかというところを整理しながらやっていければと考えております。
○仲村未央委員 最後に要望を申し上げますが、今の話のとおりだろうと思います。先ほど上田先生がいらっしゃったときもお話を伺いながら感じたのですが、継続的に漁業が成り立つような海の資源のあり方ということについては、ルールが策定されようと、言ってみればここが非常に過密な好漁場として、たくさんの操業の対象になるということははっきりしているわけです。ルールが確立できればもっとある意味では入りやすい場所になるわけです。そういう意味で、本当に資源管理のあり方について、これも全部漁業者任せで行くということになると、時間の問題で、ここはサンゴ船のあり方も含めて、荒らされるといいますか、そういう環境になってくると思うのです。そこら辺の資源管理そのものの議論というものがなかなか見えてこないので、そこはぜひ県の漁業政策とか、その体制の中で、非常に重要な問題として考えていかないと。短期的なトラブル防止の問題と、長期的にこの海を使い続けるという目線に立った対策があるのかないのかわかりませんが、総合的な対策というものであれば、そこも含めて議論ができるような、日台間でそこがテーマになるような、そういう促しも、県行政に大きく問われているのではないかと感じておりますので、要望を申し上げて終わります。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
以上で、農林水産部関係の陳情に対する質疑を終結いたします。
休憩いたします。
(休憩中に、説明員入れかえ)
○上原章委員長 再開いたします。
次に、乙第8号議案沖縄県緊急雇用創出事業等臨時特例基金条例の一部を改正する条例について審査を行います。
ただいまの議案について、商工労働部長の説明を求めます。
小嶺淳商工労働部長。
○小嶺淳商工労働部長 それでは、商工労働部所管の議案につきまして御説明いたします。
まず初めに議案の御審査に当たりまして、商工労働部で用意いたしました配付資料の御確認をお願いします。
資料1といたしまして、平成25年第7回沖縄県議会(11月定例会)乙号議案説明要旨。資料2といたしまして、平成25年第7回沖縄県議会(11月定例会)乙号議案説明資料。この2点が商工労働部で用意いたしました資料となります。
議案の御説明に当たりまして、資料2、平成25年第7回沖縄県議会(11月定例会)乙号議案説明資料に基づいて進めさせていただきますが、議会配付資料平成25年第7回沖縄県議会(定例会)議案資料の該当ページについても御案内いたします。
それでは、乙第8号議案沖縄県緊急雇用創出事業等臨時特例基金条例の一部を改正する条例について御説明いたします。
資料2の1ページをお開きください。
議案書については、14ページとなっております。
本議案は、国の平成23年度第3次補正予算における復興関連予算を財源として、震災等緊急雇用対応事業を実施してきましたが、執行見込みのない残余額を国へ返還するため、同条例に国庫返還のための条文を追加するものであります。
議案書の14ページをお開きください。
附則に規定していますとおり、この条例は公布の日から施行する予定です。 説明は以上となります。
御審査のほど、よろしくお願いします。
○上原章委員長 商工労働部長の説明は終わりました。
これより乙第8号議案に対する質疑を行います。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
質疑はありませんか。
仲村未央委員。
○仲村未央委員 今回の震災等緊急雇用対応事業について、なぜ残余額を国へ返還することになるのかお尋ねします。
○又吉稔雇用政策課長 震災等緊急雇用対応事業は、復興関連の観点から、対象求職者が被災休職者、または平成23年3月11日以降の離職者に限定されており、今回求人に対する応募者が想定よりも少ないことなど、採用までに時間を要したことから、今回不用が生じて、その不用額を返還するということになりました。
○仲村未央委員 そういう理由なのですか。私は復興予算として適切さを欠くということで、国が返還を決定したので返還をすると思っていたのですが、そうではないのですか。
○又吉稔雇用政策課長 そうではありません。震災等緊急雇用対応事業は、先ほど話したように直接の東北での被災求職者と、平成23年3月11日から各県で離職して、新しく仕事を求めてこられた方を対象にしたわけですが、今回から実際に被災求職者のみを対象にするということになりました。この事業は平成24年度に実施した事業についてのみ、平成25年度も引き続き継続して雇用して事業実施できるということがあり、求人に対して応募者が少なくなった結果、求職に至らなかった部分について、結局国に返還することになりました。
○上原章委員長 休憩いたします。
(休憩中に、国における復興関連予算の執行に係る議論の中で、復興関連予算を充てることがおかしいだろうというものに該当した基金が返還の対象になっていると理解していたのだが、そうではないのかとの確認があった。)
○上原章委員長 再開いたします。
小嶺淳商工労働部長。
○小嶺淳商工労働部長 正確な言い方をしますと、執行見込みのない残余額について返還しなさいということなのです。通常は、不用額が出ます。事業が終わった時点で残った基金の不用額を返すということが通例のパターンです。今回は、恐らく委員のおっしゃったようなこともあって、事業が完了するまでに執行見込みのないものは返しなさいということになりました。通常は事業が完了して返すということになっているのですが、完了する前に返してくれと。平成24年度、平成25年度に継続した雇用ですから、既に平成24年度が終わった時点で不用額が確定しているわけです。そういう意味で、イコール不用額を返すということになっております。
○上原章委員長 休憩いたします。
(休憩中に、今回の返還は国における復興関連予算の見直しの結果ではないのかとの確認があり、そのとおりであるとの答弁があった。)
○上原章委員長 再開いたします。
仲村未央委員。
○仲村未央委員 今申し上げたように、これはそもそも復興予算の充て方として、もちろんその趣旨でおりてきている執行自体には、その範囲においては適切に執行されていると思います。そもそも国の復興予算のあり方そのものが問われたために見直しが図られている―迫られているという経緯があっての基金であると理解してよろしいですか。
○小嶺淳商工労働部長 それで結構です。ただ、執行が決まったものまで返してくれとは言わないということです。
○仲村未央委員 もしわかればでよろしいのですが、今回の県の復興予算関連で、そういう意味での基金として今回の返上の対象になっている基金が総額幾らになっているのか、その中での予算返還額の総額をお持ちであればお伺いします。
○又吉稔雇用政策課長 今回国から交付を受けた金額が32億9000万円ありました。その間、7月2日までの基金を預けた利息分も含めたものから執行見込みのないものを返済してくれということがあり、その7月2日までの利息が145万7806円。それから平成24年度の事業実績額及び平成25年度の事業執行予定額を差し引いて、国への償還予定額は4億128万3652円の予定となっております。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
玉城ノブ子委員。
○玉城ノブ子委員 この雇用関連基金については、先ほどから話が出ている復興関連予算なのですが、これが来たときにこれは復興関連予算だということは承知していたわけですか。
○小嶺淳商工労働部長 もちろん承知しておりました。2つの対象があったのです。1つはまさに文字どおり被災者。2つ目に、直接の被災者ではないが平成23年3月11日以降に離職をした失業者。最初からこの2通りがあったのです。
○玉城ノブ子委員 被災してこられた方々は優先的にこの事業を活用してもらうということだったのですよね。沖縄県に避難してこられた方々の実態調査はなさったのですか。
○又吉稔雇用政策課長 平成25年2月7日現在ということですが、沖縄県に被災されてこられた世帯数が657世帯で1526名となっております。これは被災者受け入れ対策チームからのデータをいただいて、そういう把握をしております。
○玉城ノブ子委員 具体的にこの皆さん方にこういう事業がありますということで、避難してこられた皆さん方に仕事がなくて大変困ってらっしゃるという状況があったわけです。これを活用して雇用を保障していくということでの皆さん方への働きかけといいますか啓蒙といいますか、そういうことをなさっていたのですか。
○又吉稔雇用政策課長 本事業の実施方法として、県が各民間企業に委託したり、あるいは市町村が民間企業に委託したりする方法で事業を実施しますので、県としては県のホームページとか、あとは各市町村に被災者がいらっしゃいますので、市町村を通じてPRしたということです。
○玉城ノブ子委員 これで実際に雇用が実現したのは何名ですか。そのうちの被災して来られた方々の雇用が実現したのは何名ですか。
○又吉稔雇用政策課長 実際に被災求職者を雇用した人数は、平成24年、平成25年合わせて―今年度の計画を含めて91名雇用する予定です。
○玉城ノブ子委員 この復興支援基金の使われ方というものはもう少し検討すべきであったと思うのです。これはこれで雇用を創出していくということで進めてきておりますので、今話に出ていることで残りのものについては返還ということになっていますが、実際上は中身としてもっと復興支援に充てられるべき基金であったのではないかということも懸念するのです。雇用対策事業として非常に内容はいいと思うのですが、そこら辺ははっきりと復興支援に具体的に充てられるべき基金であったということですね。内容的にそうだったのではないかということについてはどうですか。
○小嶺淳商工労働部長 そもそも国の交付要綱といいますか、決まり自体が直接の被災者に加えて、平成23年3月11日以降に失業した人も対象になっているものですから、要は直接、間接にという意味だと思いますが、そういう趣旨の交付要綱、補助金なものですから、我々も有効に活用させていただいたということだと思います。
○玉城ノブ子委員 まだ十分に復興が支援できていないという状況がありますので、その点については指摘しておきたいと思います。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
よって、乙第8号議案に対する質疑を終結いたします。
次に、乙第17号議案指定管理者の指定について審査を行います。
ただいまの議案について、商工労働部長の説明を求めます。
小嶺淳商工労働部長。
○小嶺淳商工労働部長 続きまして、乙第17号議案指定管理者の指定について御説明いたします。
資料2の2ページをお開きください。
議案書については、23ページとなっております。
本議案は、沖縄バイオ産業振興センターの指定管理者の指定について、地方自治法第244条の2第6項の規定により議会の議決を求めるものです。
沖縄バイオ産業振興センターの管理は、沖縄バイオ産業振興センターの設置及び管理に関する条例に基づき、平成26年4月から指定管理者が行うことになっており、その候補者として、バイオ産業振興センター運営共同体を選定しております。
指定の期間は、平成26年4月1日から平成29年3月31日までとなっております。
説明は以上となります。
御審査のほど、よろしくお願いします。
○上原章委員長 商工労働部長の説明は終わりました。
これより乙第17号議案に対する質疑を行います。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行い、重複することがないように簡潔にお願いいたします。
質疑はありませんか。
座喜味一幸委員。
○座喜味一幸委員 初歩的な話ですが、この沖縄バイオ産業振興センターの現状はどうなっているのか、これからどういう展開をしようとしているのか教えてください。
○金城陽一ものづくり振興課長 沖縄バイオ産業振興センターはその前身に―平成15年に沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターという、いわゆるインキュベーション施設を開所しております。そこでバイオ産業を振興しようということで、従来やってきたことは健康食品産業の活性化を担ってまいりましたが、おかげさまでバイオ企業なるものが当時は14社でしたが今は32社あり、順調に育ってきたと。ただ、インキュベーション施設の次の施設がないということで―ポストインキュベーション施設といいますが、そういった施設が必要だろうということで、ことし3月に旧TTCの建物を改修して、ポストインキュベーション施設として沖縄バイオ産業振興センターという施設を、7月から供用開始をしております。企業としてはOISTの事務所もありますし、機材が非常に重要ですので、機材も入っております。31部屋ありますが、6室が今入っている状況で、琉球大学と組んで再生医療関係の事業を展開しておりますが、今後はそういった関連の製薬関連の企業等も含めて、そこに集積を図れればいいと思い、鋭意取り組んでいるところです。
○座喜味一幸委員 指定管理すべきもの、建物、施設等を含めて、主たる委託の内容はどういうものになりますか。
○金城陽一ものづくり振興課長 基本的には施設の管理です。研究室が14室、実証室が2室、産業支援室―事務所が15室あり、そこの使用許可等の業務、研究のサポートをするのが主な業務です。
○座喜味一幸委員 これは極めて専門的な部分があるのですが、建物プラス機器類等については、どこまで条件整備して貸すのですか。
○金城陽一ものづくり振興課長 先ほど、沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターというインキュベーション施設のお話をしましたが、そこはいろいろな設備を入れております。箱プラス施設がありますが、ここは次のステップ。事業として展開するということですので、それぞれ入居企業が必要な機器を持ち込んで―最低限の水回りとか研究施設はありますが、企業がやるということで進めております。
○座喜味一幸委員 これから極めて重要な産業に育っていくと思っているのですが、これから入ってくる見込みといいますか、そういう可能性の社、あるいは雇用、経済的な効果、そういう目標のようなものはイメージできておりますか。
○金城陽一ものづくり振興課長 本県は、人口10万人当たりのバイオ企業は全国一だということで、私どもの生物資源、海洋生物を含めて非常に生物多様性というものが喧伝されており、それを中心に上場を目指している企業もバイオの分野であります。さらに生物製剤といって、科学製造ではなくて生き物からとった製薬の分野というものは非常に脚光を浴びていると聞いておりますので、そういった分野を中心に琉球大学やOISTと連携して、企業の支援をしてまいりたいと。それでもって集積を図りたいということで期待しているところです。
○座喜味一幸委員 一般社団法人トロピカルテクノプラスと株式会社久米電装1社が運営共同体で出ていますが、そこしかできないということなのか。その辺はどうですか。
○金城陽一ものづくり振興課長 もともと一般社団法人トロピカルテクノプラス―TTCは基本的に研究もしておりましたので、そこのメンバーが構成した新たな会社です。したがって、その研究分野について非常に知見があるということと、株式会社久米電装は当時のTTC時代の施設を管理していたと。基本的には中身は一緒で、精通しているということで、この1社が来ております。インキュベーション施設についてもそこが組んでやっているものですから、そこに精通しているということで、2社での共同企業体が手を挙げたと。ただ、公募期間中に質問等は5社ございました。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
玉城ノブ子委員。
○玉城ノブ子委員 バイオ産業振興センター運営共同体というものは株式会社久米電装とどこですか。
○金城陽一ものづくり振興課長 一般社団法人トロピカルテクノプラスという団体です。
○玉城ノブ子委員 公募したがこの1件しかなかったということですが、5社というものは具体的にどの時点であったのですか。
○金城陽一ものづくり振興課長 8月30日から10月29日までの60日間にわたり、県のホームページで公募しました。施設見学会への参加企業が5社ありました。具体的には株式会社沖縄ダイケン、公益財団法人うるま市シルバー人材センター、一般社団法人トロピカルテクノプラス、株式会社サウスプロダクト、バイオサイトキャピタル株式会社という県外系の企業、この5社が見学会には参加をして、関心を表明したということです。
○玉城ノブ子委員 実際上応募したのはこの運営共同体だったということですね。
○金城陽一ものづくり振興課長 そのとおりです。
○玉城ノブ子委員 これは前の株式会社トロピカルテクノセンターを県が買い取って整備をして、今は31室を貸し付けるということになっていますが、既にどれぐらい貸し付けていますか。
○金城陽一ものづくり振興課長 現在6社が入っております。31分の6です。
○玉城ノブ子委員 雇用状況はどうなっていますか。
○金城陽一ものづくり振興課長 それぞれの雇用については、後日資料提供させていただきたいと思います。
○玉城ノブ子委員 1部屋の貸付料ということで貸し付けていくことになるのですか。
○金城陽一ものづくり振興課長 そうです。
○玉城ノブ子委員 バイオテクノロジーというものは非常に重要な分野なので、県が直接この分野については研究開発をやっていくことが大事ではないかということを言ってきたのです。指定管理者に指定させるということになっているわけですが、内容的にどのようになっていくのか、どういう研究開発をやろうとしているのか。皆さんが展望している研究開発の内容はどういうものですか。
○金城陽一ものづくり振興課長 基本的には施設を貸すということがここのミッションです。ただ箱を貸すだけではなくて、幸いTTCで研究した方々がおりますので、彼らがサポートするという形で、そこに来ると単なる箱だけではなく研究面で、例えば人材のネットワークもありますので、ここにいたらこういったサポートが得られるというソフト的な支援も含めて、この施設でのバイオ産業の振興を図ってまいりたいということです。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
よって、乙第17号議案に対する質疑を終結いたします。
次に、商工労働部関係の陳情平成24年第113号外8件の審査を行います。
ただいまの陳情について、商工労働部長の説明を求めます。
なお、継続の陳情については、前定例会以降の新しい事実についてのみ説明をお願いいたします。
小嶺淳商工労働部長。
○小嶺淳商工労働部長 それでは、商工労働部関係の陳情につきまして、その処理方針を御説明いたします。
お手元に配付しております、資料3、平成25年7回沖縄県議会経済労働委員会陳情に関する説明資料を1枚めくっていただき、目次をごらんください。
商工労働部関係は、継続陳情が8件、新規陳情が1件となっております。
継続陳情8件につきましては、前定例会における処理方針と同様でありますので、説明を省略させていただきます。
それでは、新規の陳情について御説明いたします。
資料3の14ページをお開きください。
陳情第134号修学資金貸付制度の拡充並びに介護福祉士養成に係る離職者訓練(委託訓練)の継続実施に関する陳情について、御説明いたします。
陳情者医療法人おもと会沖縄リハビリテーション福祉学院理事長大浜方栄。陳情の要旨、要望の理由は省略し、処理方針を御説明いたします。
平成26年度については、国において介護福祉士養成に係る委託訓練事業を実施予定であることから、沖縄県においても平成25年度と同規模の訓練を継続実施していく予定であります。介護福祉分野での雇用ニーズは今後も拡大傾向と見込まれ、沖縄県としても重要な委託訓練の一つと認識しており、今後とも国の動向を注視しつつ、当該訓練が継続実施できるよう国と連携を図っていきたいと考えております。
以上が、商工労働部関係の陳情に係る処理方針であります。
御審査のほど、よろしくお願いします。
○上原章委員長 商工労働部長の説明は終わりました。
これより各陳情に対する質疑を行います。
質疑に当たっては、陳情番号を申し述べてから重複することがないように簡潔にお願いいたします。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行うようお願いいたします。
質疑はありませんか。
仲村未央委員。
○仲村未央委員 継続の陳情ですが、11ページのトライアル雇用の抜本的な見直しに関する陳情というものが出されていますね。これは6月議会の際に、トライアル雇用自体は国の事業であるということで、なかなか県から直接関与がしづらいといいますか、実態の把握がされにくいということでしたので、であれば、県の持っている雇用基金の関連の事業において、同じようにここで指摘されるようなことがないのか。指摘することというものは、雇用した場合に幾らということで、基金で助成することになりますね。そのときに、実際には基金を充てて助成を受けた事業者が、助成金の切れ目で雇用を打ち切っていないかと。つまり、継続的な雇用につながっているのだろうかという視点です。せっかく基金を導入して雇用を底上げしていこうと。そして、できれば継続して安定した雇用に持っていこうと、どの基金も本来そういう目的を持っているはずなのです。ところが、実際には助成を受けた事業者が、基金からの助成がなくなると雇用を打ち切ってしまっていないか。その意味で、人材育成に本当につながるような雇用になっているのかというところを視点として、皆さんにお願いしたわけです。そういう意味で、県の関連基金の実際の継続雇用状況というものがわかれば―調査をしてくださいということについて、やりますという御答弁をいただいたものですから、その後の調査がされているのであれば説明をいただきたいと思います。
○又吉稔雇用政策課長 これまで雇用関係の基金で2つあり、ふるさと雇用再生特別基金と緊急雇用創出事業基金の2つの基金があります。それを使って、平成21年から平成24年度までに実施した事業について、その後の継続状況を調査させていただきました。平成21年から平成24年度までに、両基金を使って新規雇用された人数が1万2773名でした。ことし10月31日現在で、実際その方々の継続雇用はどうなっているのかということで調査した結果、2643名が継続雇用されているという状況でした。継続雇用率で申しますと、20.7%という結果でした。両基金の中で、ふるさと雇用再生特別基金事業というものは、もともとが継続雇用を前提にするような基金になっております。
○上原章委員長 休憩いたします。
(休憩中に、執行部から資料の配付があった。)
○上原章委員長 再開いたします。
又吉稔雇用政策課長。
○又吉稔雇用政策課長 お手元にお配りしました資料ですが、先ほど言いましたように、資料の一番上、雇用創出基金事業が2つの基金の合計です。基金の種類としては、2段目のふるさと雇用再生特別基金というものと、3段目の緊急雇用創出事業基金の2つの基金があると。一番上のほうで説明しますと、2つの基金で、平成21年から平成24年までに新規に雇用された雇用者数は1万2773名です。ことし10月31日現在で継続雇用されている人数は2643名です。率で換算すると20.7%の継続雇用率となっています。さらに2643名の内訳、正規、非正規まで調べてみた結果、正規雇用が1082名で、正規雇用率が40.9%。非正規が1561名で、59.1%という結果になっております。ふるさと雇用再生特別基金と緊急雇用創出事業基金の違いは、ふるさと雇用再生特別基金事業は、継続雇用を目的としている事業となっております。これに対して、緊急雇用創出事業基金事業は一時的な、緊急的な雇用を生むための基金事業となっております。その前提で継続雇用率を見ていただきたいのですが、2段目のふるさと雇用再生特別基金事業の継続雇用率は35.9%です。これに対して、3段目の緊急雇用創出事業基金事業は16.2%。これが両基金の性格上、先ほど言いましたようにふるさと雇用再生特別基金事業は継続雇用を目標としてやっている事業であるということと、緊急雇用創出事業基金事業は一時的な雇用と。特に継続雇用が望ましいことは緊急雇用創出基金事業も同じではあるのですが、違いは、ふるさと雇用再生特別基金事業が目標とするのに対し、緊急雇用創出基金事業は一時的と、できれば継続雇用が望ましいですと。そのような基金の性格上の違いがあり、継続雇用率も35.9%と16.2%という結果になっています。
○仲村未央委員 まず、この継続雇用を調査していただいたことに敬意を表したいと思います。なかなかこのデータがそもそも得られなくて、実際には雇用基金をたくさん立ち上げている。そして基金の投資といいますか、そういう意味での大きなお金が雇用に宛てがわれるわけですが、その中で実際に運用を通じて、果たしてどれほどの人が雇用され―そこまではわかるのです。ただ、それが1年後、2年後、3年後といく中で、この方々が続いているかどうかというところの追跡調査というものは初めて示されたと思っています。今の雇用政策課長の答弁の趣旨ですと、継続雇用率は確かに低いですね。それからふるさと雇用再生特別基金事業、いわゆる継続を目標とする雇用においても35.9%ということですので、これも目標からするとまだまだ何らかの手が打てる。あるいは事業者の努力も、あるいは基金の中身も含めて、いろいろな研究の余地があるのかと。これを見ますと、わずかな違いではありますが、地域人材育成事業は39.9%の継続雇用率で、ほかのものに対して少し高いですよね。このあたりは基金の性質上の何か誘導がうまくいっているのか。そういった何か、この結果を見ながら検証できることというものはありますか。
○又吉稔雇用政策課長 委員のおっしゃるように、地域人材育成事業という事業内容は、新たに雇用した方をまずOFF-JT―その職場で働くために必要な知識、技能等を、自社研修や外部の専門学校に行って身につけさせる。そういうOFF-JTと、実際にその職場で仕事を覚えていただくということで、OJT。この2つをプラスした後に継続雇用する内容になっていますので、まず知識、技能を身につけてから継続雇用に結びつけるという事業になっております。そのほかの事業は、例えば重点分野雇用創出事業は新たに販路拡大をしたいという場合、農産物を使って新たな商品を開発して、それを販売までつなげるということで、企画から販売までという事業を新たにやる場合に、1年目は求職者を採用して事業をやっていくわけですが、技術、知識を多分持っていないと思います。それをやりながらということですので、なかなか継続して事業を続けるとか、結びつけるのも難しいし、成功すればいいのでしょうが、なかなか継続には結びつかないものもあるということで、地域人材育成事業の手法―その会社の知識、技能を身につけてから新しい展開を図っていくようなやり方の事業内容が、今後の雇用関係の事業にはいいのではないかと。この結果は、委員おっしゃるように継続雇用率にも出ていると思っていますので、今後は地域人材育成事業のスキームを生かしていくような雇用の施策を考えていくべきかと考えているところです。
○仲村未央委員 データからもそういうスキームのあり方も含めて、いろいろ検証の視点が生まれてくるかという意味では、引き続き継続雇用の調査というものは定期化して、ぜひ続けていただきたいと思いますが、いかがですか。
○小嶺淳商工労働部長 毎年実施をしたいと思います。
○仲村未央委員 ぜひグッジョブ運動の中でも、今の雇用のあり方についての視点は非常に大事だと思っています。それから、こういった助成やいろいろな研修ということで、基金に限らずいろいろ企業誘致をする際にも、誘導策として研修に対する助成などがあるのですが、実際に雇用された側の一人一人の声としては、研修とは名ばかりで、実際には対象事業の人件費が使えなくなった途端に雇いどめに遭うということが蔓延する声として上がっているわけです。ですので、そこは県が直接的に積み立てて執行するという基金の性質上、県のもとでこういうことはさせないという姿勢と、こういったデータの共有を委託の事業者に対しても見てもらって、まだまだ継続雇用率はこの程度だということも含めて喚起をしていただくということは非常に大事ではないかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
○小嶺淳商工労働部長 まさにおっしゃるとおりだと思います。基金事業そのものは終わるのですが、我々が今一生懸命やろうと思っていることは―もともとこういう基金事業自体が、2008年のリーマンショック後の、ある種緊急避難的な量の確保のようなところがあったわけです、正直に言って。多少落ちついてきましたので、質の確保という意味で、ポイントは正規化です。そのために我々がことしから始めるものは人材育成や離職率や正規化率とか、労働環境がすぐれた企業を認証しようということを始めます。優良企業を認証して、そういうことで正規化、継続雇用が進むということは一生懸命やりたいと思っています。
○仲村未央委員 そのような取り組みがうまく機能している企業というものは社会的にも評価を上げて、むしろ加点的な扱いで、公共事業に対しても優遇していくぐらいのことがグッジョブ運動の中でもできたら、今いろいろTPPとか国際競争にさらされる中で、いかに加点を地元企業に優遇していくかということは非常に厳しいですよね。競争が求められる中で。ところが、商工労働部長が今まさにおっしゃるとおりで、県民所得が低いのは短期の雇用が繰り返されることと、そこにスキルが身につかない、さらに非正規であるということで県民所得が上がらないわけです。そういう意味では、今ここで見る中でも継続雇用のうちの正規の割合に焦点を当てると、正規の割合が半数を超えているものは、ふるさと雇用再生特別基金事業と先ほどの地域人材育成事業で辛うじて5割―平成23年は6割もありますね。地域人材育成事業は正規雇用もふえてきているということで、スキームの成果だろうと思います。ただ、やはり継続ではあっても非正規が7割、8割、9割ということがこの数字からも出ていますので、これは商工労働部長のおっしゃる視点のとおりだろうと感じます。ですので、今言う認証制度ですか、そのあたりの取り組みをぜひ県民にも広めていただくことが大事ではないかと思いますが、その認証制度についてもう少し聞かせてください。
○又吉稔雇用政策課長 委員御存じのように、沖縄県の就業構造基本調査というものがことし夏場ごろに発表され、沖縄県の非正規率は全国一高い四十数%、若年者に至っては50%を越えていました。沖縄県はそういう実態ですので、それを改善していくということで、まずは県としては経済6団体に協力要請させていただきました。団体の皆さんからはそのように取り組んでいきたいという回答もいただいております。それとあわせて、先ほど商工労働部長から説明がありました雇用環境を改善するために、まずは経営者の意識を変えていく必要があると。そのためには人材育成等に取り組んでいる企業を認証すれば、認証を取得するごとに企業の価値が見出せるようなところまで持っていけば、それぞれ個別企業が努力して人材育成にも取り組んで、ひいては雇用環境改善、正規化率も上がっていくように持っていければと考えて、今回認証制度を11月21日から募集しています。今年度数社認証できればいいかと。来年度から本格的に募集して認証していきたいと考えております。
○仲村未央委員 その取り組みに、引き続き関心を持っていきたいと思いますので、頑張っていただきたいと思います。
それから、先ほど1つだけ聞きそびれたのですが、ここに出てくる震災等の緊急雇用の部分です。先ほどの玉城委員の質疑の関連になりますが、実際の被災求職者の中で雇用されたものが91名ということだったのですが、震災雇用で実際に雇用された数というものは全体で幾らだったのですか。そのうちの91名が震災被災者ということだと思うのです。全体で雇用された数は幾らですか。
○又吉稔雇用政策課長 今年度はまだ実施中ですが、実績見込みで2435名の雇用を見込んでおります。
○仲村未央委員 ということは、この基金で直接的な被災者が求職された率というものは、3.7%ぐらいということですか。
○又吉稔雇用政策課長 沖縄県に来られている被災者は1526名ということですが、アンケート調査をした結果、仕事を探している被災者は約2割ぐらいだったのです。1526名の2割で、約300名のうち91名は緊急雇用創出事業で仕事が見つかったと。残りの方は別の仕事についたかと思うのですが、約300名中91名はこの事業で雇用されたという考えです。
○仲村未央委員 これは別に要項に従っているので、県の誘導ではないので、本来は国の政策のあり方の問題です。これだけ全国にばらまかれた震災の対策としての雇用基金が、実際には沖縄県の実績としては2435名活用されて、そのうちの91名が実際の被災者だったということを見れば、やはり3.7%というものは余りにも低いので、全国でこういうことが―単に3月11日以降のものを全部震災復興対象のような形で充てていたということは、見直されて当然だという感想を持たざるを得ないということを申し上げて、終わります。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
翁長政俊委員。
○翁長政俊委員 陳情第147号の海上輸送運賃、燃料サーチャージに関する陳情について。処理方針を読むと、負担軽減を目的とする助成措置については、今後、引き続き慎重に検討していきたいということになっていますが、助成措置について何か具体的に検討されているのですか。
○玉城恒美国際物流推進課長 今般、沖縄県中古自動車販売協会から陳情が上がった理由は、海上物流の物流コストを低減してほしいということが本質的なところだろうと県では考えております。海上物流全体の物流コストを低減していくということで、県では昨年度から取り組んでおり、今年度も取り組んでおります。次年度も含めて、海上物流のコスト低減について調査できれば、具体的に事業化を進めていきたいと考えております。
○翁長政俊委員 沖縄県中古自動車販売協会から上がっている陳情に具体的に対応しようとしているのですか。
○小嶺淳商工労働部長 慎重に検討という言い方をさせていただいていますが、2つほどどうしたものかと思っているのです。1つは燃料油価格変動調整金、これは中古車だけではなく、沖縄の物流、消費物資も全部かかるわけです。その中で、中古車だけ対象にするということは非常に難しいと思っています。本土から船で運んだものには全部かかるわけです。それともう一つは、この分のお金を入れることで、最終消費者で恩恵といいますか、その分安くなったということがはかりようがない、検証のしようがないという、この2つがありまして、この辺の2つの解決策といいますか、なかなかクリアできないものですから、難しいかというところが現時点では正直なところです。
○翁長政俊委員 この陳情者が、1台当たり1万5990円の海上輸送費の中で、燃料サーチャージ料が35.5%かかると言っているのです。これは実態調査をしたことがありますか。
○玉城恒美国際物流推進課長 燃料サーチャージは陳情者の言うとおりだと、県としては認識しております。一般的に、1台の乗用車を本土から持ってくるときの物流コストは約5万円かかると聞いております。自動車を専門に本土から沖縄に輸送しているある会社のホームページを拝見しますと、輸送コストが3万5800円プラス燃料サーチャージということで掲載されておりますので、今陳情書に1万5990円とありますが、それと輸送コストの3万5800円を足すと、大体5万円ぐらいになると認識しております。要するに1台乗用車を本土から持ってくるための輸送コストとして大体5万円ぐらいかかって、1万5990円が燃料サーチャージ、残りの3万5000円ぐらいが輸送コストという形であると認識しております。
○翁長政俊委員 新車を運んでくるものと、中古車は多分貨物船でしょうね。それの違いというものはかなりあるものですか。運賃の差は。
○玉城恒美国際物流推進課長 自動車を専門に輸送している会社があります。こちらは定期ではなく不定期で、荷物があるときに運んでくるという形をとっております。大体それで県内の自動車は運ばれてくると。プラス今委員がおっしゃったような形で、一般の貨物船に乗せてくることもあると認識しています。年間自動車が本土から沖縄に運ばれてくる台数は、平成23年度の実績で9万57台ということです。
○翁長政俊委員 ちなみに新車は幾らぐらい来るのですか。
○玉城恒美国際物流推進課長 平成23年度実績で、約3万5000台です。
○翁長政俊委員 この実数から見ても、県民生活への中古車の浸透度というものは、新車の約3倍ですね。こういう実態がある中で、燃料サーチャージで35%もかかるということが、業者にしてみたら大変な負担だということは、そのとおりだと思うのです。船会社は別に荷主からとるのだから問題がないわけです。船主は全く痛まない。逆に輸出入業者、物を入れる業者が全てかぶるという話になると、逆に消費者に全部転嫁するわけです。これは今商工労働部長が言っていた、実際に消費者にどれだけのメリットがあるかわからないということは、実態調査をしてみれば、こんなことはわかるのではないですか。そういうことを、これまで皆さんがやっている流通条件不利性解消事業という事業の中で取り組んでいけば、どうにか解決できる問題ではないのかと私は思うのですが、実態はどうですか。
○下地明和産業振興統括監 今、国際物流推進課長から説明がありましたが、実態として新車も沖縄の販売会社が輸送費、燃料サーチャージを全部持っている状況です。それからもう一点は、中古車業界は本土において競り方式で購入して、それを輸送して、それに整備とかいろいろな付加価値をつけて、それで価格設定がされているような状況です。貨物の実態をかなり詳しく調べないといけないのですが、輸送費も単純に運賃プラス燃料サーチャージだけではなくて、そのロットによっても車会社との力関係、いわゆる取り引き力でかなり違う状況です。それをどのように把握して、どう転嫁していて、どう価格設定しているかということを個々に調べるのはかなり困難なところがあるということが1つです。もう一つは、中古車業界は組織率が60%ぐらいしかないと言われている中で、全てを把握して平等に車だけをやるということができるかどうかということを含めて、かなり厳しいハードルがあるのではないかということが、先ほどの商工労働部長の説明の中身です。
○翁長政俊委員 流通条件不利性解消事業というものは、実績でどのようなことをやっていますか。
○玉城恒美国際物流推進課長 流通条件不利性解消事業は農林水産部が行っている事業で、県内の農林水産物を本土に出すときの輸送コストを支援するということです。沖縄県の農業振興という観点から、沖縄から外に出ていくものに対する輸送コストの支援というところです。
○翁長政俊委員 実際、中古車業界がこういう形で、現実に燃料サーチャージが輸送費の35%もかかるという実態は、普通の経済的な商売のシステムからしても異常なのです。そう考えてみると、沖縄で商売するのは大変だということが実態で、物事がなかなか動かない形になるだろうと思うのです。こういったことをどう解消していいのか私自身も答えはないのですが、何かいい方法はないですか。
○下地明和産業振興統括監 ざくっとした話なのですが、我々が調べたところによると、新車の価格に対する輸送コストは3.何%、中古車が5%と言われています。ですから、輸送コストの運賃プラス燃料サーチャージだけを見ると非常に大きいように思いますが、新車と中古車の輸送コストに占める全体の割合というものは1.何%ぐらいしか変わらない状況であると聞いております。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
崎山嗣幸委員。
○崎山嗣幸委員 10ページの陳情第6号。地球環境保全のため、再生可能エネルギーの活用を推進するということですが、皆さんの事業の沖縄スマートエネルギーアイランド基盤構築事業の中で、最近報道されていたEVバスの運用実証事業が、3年間で3億円使って2013年で終わって、2014年度までに12台のバスをつくることを経費が高いということでやめたということですが、CO₂削減に相当効果が出るということで導入したと聞いたのです。その事業を途中で、12台の予定が2台つくってやめたということですが、当初その事業を幾らで組んで、3億円使ってどうだったのかについて説明願います。
○金良実産業政策課長 この事業については、我々商工労働部ではなく、環境生活部でやっている事業です。この沖縄スマートエネルギーアイランド基盤構築事業そのものは我々産業政策課の中ですが、その中からEVバスについては環境生活部に分けられており、環境生活部で実施している事業となっております。
○崎山嗣幸委員 今、細かいことは、皆さんが再生可能エネルギーの活用に向けたさまざまな取り組みを推進しますという中で、この項目は入ってはいるが、その事業そのものは具体的に所管が違ってわからないわけですね。
○金良実産業政策課長 そのとおりです。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
以上で、商工労働部関係の陳情に対する質疑を終結いたします。
休憩いたします。
(休憩中に、説明員入れかえ)
○上原章委員長 再開いたします。
次に、文化観光スポーツ部関係の陳情平成24年第81号外8件の審査を行います。
ただいまの陳情について、文化観光スポーツ部長の説明を求めます。
なお、継続の陳情については、前定例会以降の新しい事実についてのみ説明をお願いいたします。
湧川盛順文化観光スポーツ部長。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 文化観光スポーツ部関係の陳情につきまして、その処理方針を御説明いたします。
まず初めに、議員のお手元に、経済労働委員会陳情に関する説明資料という資料を配付しておりますので、その目次をごらんください。
文化観光スポーツ部関係は、継続陳情が7件、新規陳情が2件となっております。
継続陳情7件のうち、5件につきましては、前議会における処理方針と同様の処理方針となっておりますので、説明を省略させていただきます。
それでは、処理方針に修正のある継続陳情2件について御説明いたします。
修正のある箇所は、下線により表示しております。
説明資料の1ページをお開きください。
陳情平成24年第81号カジノ導入に反対する陳情。この陳情につきましては、関連する法案が国会に提出されたため、内容の一部修正を行っております。
次に、10ページをお開きください。
陳情第83号国際通りかいわいにおける貸し切りバス送迎諸問題の解決に関する陳情。この陳情につきましては、当面の対応策が実施されていること等から、時点修正を行っております。
続いて、新規陳情2件を御説明いたします。
11ページをお開きください。
陳情第129号東海岸地域活性化のためのMICE関連施設誘致に関する陳情。陳情要旨は省略し、処理方針を御説明いたします。
アジア諸国を初め世界的にMICE誘致に向けた取り組みが強化されていることから、大型MICE施設については、国際競争力を備える必要があると考えております。
そのため、今年度事業において基本構想を策定するとともに、那覇空港第2滑走路に合わせて平成32年、2020年の供用開始を目指し、来年度以降、基本設計等に取り組んでいきたいと考えております。
なお、建設場所については、必要な機能や施設運営のあり方等を踏まえて、検討していきたいと考えております。
次に、12ページをお開きください。
陳情第130号東海岸地域活性化のためのMICE関連施設誘致に関する陳情。
この陳情は、先ほど御説明しました陳情第129号と陳情要旨が同一のため、処理方針も同一となっております。
以上が、文化観光スポーツ部関係の陳情に係る処理方針でありますが、MICE施設については、別途、補足資料をお配りしておりますので、その概要を御説明させていただきたいと思います。
それでは、補足資料としてお配りしましたMICE誘致強化戦略・大型MICE施設のあり方調査事業報告書(概要版)について、御説明いたします。
まず、1ページをお開きください。
本調査は、平成24年度に実施したものであり、その背景・目的を記載しております。
世界的にMICEの誘致競争が激化する中、会議やインセンティブツアーの大型化、主催者ニーズの多様化といった市場ニーズの変化への対応が必須となっております。
沖縄県は、既存MICE施設の規模不足やクオリティー不足等により、MICE開催地として高いポテンシャルを有しながらも、機会を生かしきれていない現状があります。
次に、3ページをお開きください。
主要誘致対象催事について御説明いたします。
海外及び国内の文献調査やヒアリング調査を通して、沖縄県として積極的に誘致すべきMICEを明らかにしました。
特に、Iと記載してありますインセンティブトラベルについては、中国を中心に3000から4000人規模の需要が見込まれております。
また、Cと記載してあります国際会議・国内会議については、参加者数3000から1万人規模の開催需要があると見込まれております。
Eと記載してありますイベントについては、コンサート等の大型屋内イベントの需要が見込まれています。
しかし、いずれも施設の規模不足のため、沖縄での開催が困難な現状となっております。
このような調査を踏まえ、主催者の多様なニーズに応えるため、多目的ホールと展示場を核とした多用途対応型MICE施設の必要性が明らかとなりました。
次に、9ページをお開きください。
大型MICE施設構成(案)について御説明いたします。
施設の機能・要件については、最大2万人規模のイベント等に対応できる規模であると同時に、施設周辺に関連施設が集積していること、また、那覇空港からのアクセスがいいことが望ましいと考えております。
最後に、11ページをお開きください。
MICE誘致戦略の方向性について御説明いたします。
沖縄のMICE誘致・開催をさらに促進するためには、施設やアクセス等のハード面の充実と並行して、MICE誘致の戦略や受け入れ体制も両輪で充実させていく必要があります。
これらの課題とその解決へ向けて、今年度、具体的なアクションについて検討を進めているところであります。
以上が、補足資料の説明になります。
御審査のほど、よろしくお願いいたします。
○上原章委員長 文化観光スポーツ部長の説明は終わりました。
これより各陳情に対する質疑を行います。
質疑に当たっては、陳情番号を申し述べてから重複することがないように簡潔にお願いいたします。
なお、質疑・答弁に当たっては、挙手により委員長の許可を得てから行うようお願いいたします。
質疑はありませんか。
玉城満委員。
○玉城満委員 5ページの陳情第144号、県立郷土劇場の文化発信交流拠点を整備する、拠点整備に向けて取り組んでいますと。現在の詳しい進を教えていただけますか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 去年度、基本的な考え方をまとめたところです。今年度については、その構想を踏まえて国立劇場おきなわ周辺にその施設を配置するということで検討を進めているところですが、検討委員会をつくって、その中でどのような場所に、どのように配置したらいいのか、そのあたりの検討を進めているところです。
○玉城満委員 これはハードという意味ですか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 ハードです。
○玉城満委員 当初、ハードありきではなく、県立郷土劇場にかわる、ソフトも含めた複合的な戦術でいく流れでしたよね。ハードありきのようなことで、周辺にできるちょっとしたものが、これで県立郷土劇場だと、それで決定するわけですか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 そうではありません。今つくる施設については、あくまでも稽古の場であったり、道具の保管庫であったり、研修をする施設であったり、もしくは入居団体が入る施設といったものを検討しております。まずはソフトをうまく回すためのハードをつくって、その中でそういった文化関連がうまく活性化するような仕組みについても、この施設を使ってやっていく考えです。
○玉城満委員 ということは、そこは劇場機能ではなく、あくまでもサポート施設のように理解していいですか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 基本的にはサポート施設になります。ただ、施設として、練習する一つの舞台としての場であり、それとあわせてミニ公演もできるようにシアターも併設する予定です。
○玉城満委員 国立劇場おきなわがありますが、国立劇場おきなわの稼働率は、多分皆さんの予想以上に高いわけではないわけです。例えば、ああいうところで、稽古場もたくさんありますし。国立劇場おきなわを使ってできることも結構あるわけです。県内のいろいろな団体であるとか、芸能団体が国立劇場おきなわを使うこともできるのです。それと似たような小さいものができるとなると、結局ここは100%稼働できていないのに、なぜまたここに新たにつくるのかと。ここに新たにつくる意味合いをしっかり持っておかないと。国立劇場おきなわが100%稼働になっていない今の現実があるわけですから、これをどうやって説明するのか、これが少し疑問です。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 まず、国立劇場おきなわでも練習する場は不足していると聞いております。それから道具を保管する場所も不足していると聞いております。1つには、国立劇場おきなわの練習時間が、夜は9時ぐらいまでの利用しかできなかったのです。皆さんが仕事を終えてから練習すると時間が遅くなるということで、その練習時間を11時ぐらいまで延ばして、そういう対応をしております。それでもまだ足りないということですので、支援する施設の中でそういう練習機能、あとは道具とかを保管する場所もあわせてつくりたいと考えております。
○玉城満委員 福岡県に24時間稼働の劇場があります。公的機関なのです。要は、何が言いたいかというと、劇場とか文化をするところに限って9時退館とか10時退館とか、そういうルールがあるのです。基本的には県立劇場の場合は24時間使えるようにすれば、夜中だって稽古する人はたくさんいるので、そういうことでその施設をつくるのであれば納得できると思いますが、全く同じようなスタイルだと、余り説得力がないと思います。
あと1つ、しまくとぅばです。知事答弁の中で、教科書というか、県がしっかりとしたしまくとぅばの冊子をつくって、それを教本としていろいろなところで、例えば小中校生とかに教えると。それはいいことだと思うのですが、その言葉のニュアンスとか言い方とか、それを指導する先生という役割をどのようにしようと考えていますか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 これは非常に難しいところですが、現在でも文化協会であったり、そういったところでしまくとぅばの教室とかが開かれています。その中で、地域で語れる方を講師にしてやっているようですが、それでも足りないということで、今度は講師を養成するような授業を行っているところもあります。我々で今文化協会や市町村等に、そのニーズを把握して、人材が足りない状況なのか―確保すればいる状況なのか、育成しなければいけないのか、それがどの程度なのか。その辺のニーズも確認しながら、市町村と連携しながら地域で教えられるような講師の育成についても今後検討していきたいと考えております。
○玉城満委員 かつてウチナー芝居というものは、母の日公演のときに満杯になるぐらい、どの劇場もくじ引きで劇場を獲得するぐらいウチナー芝居が栄えていました。そのウチナー芝居の先輩たちはテレビ社会といいますか、映画といいますか、情報をインターネットでも見られるようになって、生の芝居が少なくなりました。その役者というものは、それぐらいの余力があるのです。その辺を探していただいて、しまくとぅば、ウチナーグチに関しては広く知識を持っている方たちなので、そういう人たちを対象にすると、いきなり先生クラスのことができると思うのです。それともう一つ。ウチナーグチの―沖縄語と言われているものだけを対象とするのではなく、同じく教本に関しては宮古も八重山もドゥナンの言葉も同時進行すると理解していいですか。絶滅言語と言われている5つの言葉があるでしょう。それを、今教本をつくると言っていますが、沖縄語だけが優先されるのではなく、あとの4つの絶滅危惧言語も同時に教本化していく考えですよねということです。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 今我々が考えているものは、しまくとぅばがそれぞれの地域でありますので、それは尊重しないといけないということを重々わかっております。今回の作成についても、例えば学校で使う読本であれば、それぞれの地域の教育委員会と連携して、それぞれの地域に合ったものをつくろうと考えています。
○玉城満委員 すごく誤解を招くものがしまくとぅばだと思うのです。ムカシンチュは何と言っていたかというと、こうして言わないよと、アネーイランドと僕らは叱られながらウチナーグチを使ってきたわけです。ところが、実はアネーイランドという言葉は、ウチナーグチに一番当てはまらないことで、いろいろな地域で言葉があり、例えば100年前の言葉とか50年前の言葉とか、いろいろな文化が入ってきて、言葉がどんどん動いているということもあるものですから、余りにも固定化させるような教育になっていくと、逆にウチナーのよさがなくなってくると思うので、その辺は柔軟に県の皆さんの考え方としてしっかり持っていていただきたいと要望して終わります。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
喜納昌春委員。
○喜納昌春委員 新規陳情第129号と第130号のMICEの件について二、三点お聞きしたいと思います。10月か11月にMICEをマリンタウンに誘致しようということで、与那原町と西原町を中心に、島尻と北中城村までを含めて東海岸ライン、約2000名が集まって誘致大会をやった経過があります。それを受けながら今度の要請になっていると思いますが、MICEに関して何市町村から上がっていますか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 与那原町は、与那原町と西原町と与那原町議会と西原町議会で一体です。那覇市は那覇市議会、宜野湾市は宜野湾市、豊見城市については豊見城市と豊見城市議会、それともう一つ民間団体から、5月の時点だったのですが、宜野湾市ドリームシティ構想研究会というところがあり、そこからの要請もありました。
○喜納昌春委員 空手道もそうでしたが、各市町村が大きなメーンになるような施設をぜひ我が市町村へということで、とりわけMICEについて急速に盛り上がっているのですが、沖縄21世紀ビジョンの中でのMICEの計画については一、二年おくれていますよね。要するに場所選定とか実施設計とかあるでしょう。供用開始がいつごろとかプランがありますね。この中に大きなスケジュールがなかったですか。
○前原正人観光振興課長 沖縄21世紀ビジョンの中ではそこまでのスケジュールは示しておりません。
○喜納昌春委員 いずれにしても大きな仕掛けですが、来年の3月までには場所を決めるのですか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 それについては今年度基本構想をつくります。基本構想の中に、MICEの中にもってくる機能であったり施設の内容であったり、管理運営のためにどうすべきだとか、いろいろなものを調査していきます。その調査の結果を踏まえて、市町村からいろいろと要請がありますので、そこの現場、今後のまちづくりの状況、その辺もヒアリングをしながら決めていきます。早くできるのであれば今年度やりたいのですが、その条件が整わないようであれば、年度を越えるかもしれません。次年度に基本設計をやりますので、基本設計に間に合うような形で選定は間に合わせていきたいと考えております。
○喜納昌春委員 来年度基本設計するということを決めているものですから、本当は基本構想も大事だと思うのです。第一に場所選定です。実施設計は次年度となっているものですから、それまでに間に合うようなスケジュールをやっているのかと思って、非常に気になります。とりわけマリンタウンでやったときは、まちづくりプランといいますか、中南部、北部、もちろん宮古、八重山も含めてあるのですが、そういう大きな視点からやってもらいたいという大会でした。今は仲井眞県政ですが、これまでの県政の流れの中で、どう見ても西海岸一帯は脚光を浴びているのですが、東海岸はルートを含めて光が当たっていないのではないかという現実があるのです。そういう意味ではマリンタウンを拠点にしてという声です。大きな視点で、沖縄の県土利用の視点から場所選定もやってもらいたい。なぜそれを言うかというと、例えば国立劇場おきなわを決める場合でも、相当年数をかけてやってきたと思うのですが、実際はばたばたと決まっていくわけです。あれは中城公園の前とかいろいろなことがありながら、実際は早目にやらないといけないという構想の中で、今のところに決まっていくのです。縮まったタイムスケジュールの中でばたばたと決めるのではなくて、沖縄県土の利用の仕方、東海岸は何もないのではないかという声を真剣に受けとめながら検討してもらいたいと思います。基本構想はどこでやっているのですか。第三者も入れているのですか、県だけですか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 民間にまず構想自体は委託しており、委託する事業の中にきちんとした第三者の入った検討委員会をつくって、意見を聞きながらつくっているところです。
○喜納昌春委員 これは何名でやっているのですか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 7名です。
○喜納昌春委員 そういう大会の―私は中に入っているから客観的ではないかもしれないですが、県土利用の中での声というものは、歴代県政の中で言われてきたことなので、その辺はぜひ公平公正に受けとめていただきたい。そういう声を受けながら、今7名でやっていると言いますが、決めていく場合は長年の声を反映するような判断をしていただきたいと。文化観光スポーツ部長の決意を聞かせてください。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 あくまでも委員会からはあるべきMICEの姿を示していただき、求められる場所について意見をいただくと。もしくは県から候補の上がる地域についてそれぞれコメントをいただくということで、最終的には県で判断することになります。そのあたりは大きな投資になりますので、MICEがしっかり稼働して皆さんからも評価できるような場所の選定については、時間をかけてじっくり検討していきたいと考えております。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
仲村未央委員。
○仲村未央委員 ただいまの陳情に関してお尋ねします。沖縄コンベンションセンターのキャパシティーが小さくて、問い合わせ等のニーズはあって、実際には収容ができなくてお断りしているという状況はどれぐらいあるのですか。
○前原正人観光振興課長 昨年のヒアリング調査という形でやっていまして、その中で既存のMICE施設のキャパシティー不足ということで、例えば2000名規模のインセンティブトラベルの引き合いがあったものの、キャパシティー不足から誘致に至らなかったとか、あるいはインセンティブトラベルのバンケット会場として沖縄コンベンションセンターの展示場を利用する際に、最大でも1500名程度しか収容できないと。一方で海外でのインセンティブトラベルというものは4000名規模のものもあるということで、開催予定地から外されてしまうといったことが報告されています。
○仲村未央委員 今おっしゃる特にマーケットをどこに見出すかということは非常に重要だと思うのです。今、皆さんに提示いただいた資料を見ても、アジアは大規模MICEの言ってみれば競合地でもあるわけですね。私たちは経済労働委員会で1月にハワイのコンベンション施設を実際に見に行きました。例えばハワイは北米と日本が一番のマーケットなのです。特に日本の報奨旅行が一番単価が高い、いわゆる誘客の最大のポイントに報奨旅行を置いていることと、それから何と言っても北米です。向こうは言葉の優位性があるわけです、英語として。同じ本国内であるということもあるし、そういう意味でマーケットをかなり具体的に持っているという中で、今お示しいただいたこれだけの競合場所がある中で、沖縄が誘致をするマーケットというものは、今はどこを見ていらっしゃるのか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 ターゲットとなるマーケットとしては、県で海外の観光客誘客のプロモーションのための重点市場というものをつくっております。これは直行便のある中国、香港、台湾、韓国ですので、まずはそこが大きなマーケットになろうかと思っております。
○仲村未央委員 まさにそうですね。結局直行便、航空便との連動でしかキャパシティーは左右されないということは、島であることから大前提ですね。それは一番の条件になると思います。そういう意味では中国、香港、台湾等になってくると、それぞれの国においても大きな収容施設があるし、隣接する各国に引き合う魅力的な施設を抱えている地域であり、非常に競合が強いられるという意味では、沖縄の規模をどうとっていくかと。あるいはテーマに個性を持たせていくとか、例えば健康とか、医療をやるのだったら沖縄にしようとか、そういうテーマに発進力を持たせるとか、付加価値をつけるとか。もちろん施設は必要だと思うのですが、その中でもただ漠然と規模が大きくなればいいということではなく、そこら辺の戦略を十分に持たないことには、つくったものの稼働率が低くなれば非常にもったいない。今まさに構想の段階でしょうから、そういうことが議論されていると思います。ハワイなどもあれだけの国際観光地でありながら、非常に緻密なスケジュールを持っているわけです。特にコンベンションの利用については、7年先というものを一つのパターンにしていると観光局はおっしゃっていました。一つの学会が次の学会でまた会いましょうということは大体5年から7年から10年後ということになるわけです。そうすると、7年先、7年先を全部スケジュール化していって、あいているところにスポットの報奨旅行を、ここはあきがあるからと誘致を始めるということで、何年先も見越してやっている。こういうところとの張り合いですから、もちろん立派な建物ということは大前提でありながら、規模の置き方やマーケット、特に対象は非常に調査の力が問われると思うのです。先ほど喜納委員の質疑の中で委託ということだったので、委託がだめということではないですが、本当に調査機能という意味で、県と一般財団法人沖縄観光コンベンションビューローと、いつも言われるような、どこが戦略を持って調査を現実にやっているのかというところはいつも気になるのです。そこら辺はMICE施設をつくるに当たってもいかがでしょうか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 もちろん今のMICEについては、一般財団法人沖縄観光コンベンションビューローとも連携しているところです。今はあくまでも施設をつくるということなので、沖縄だけの固まった考えではなく、国際的に動いている、いろいろなMICEを運営している有識者の意見を聞くほうがいいだろうということで、委員会をつくっているところです。仲村委員のおっしゃるように、確かにほかと違うようなMICEの運営の仕方をしないと難しいです。これと同時並行的にMICEのプロモーションをやっておりまして、せんだって沖縄で東南アジアからいろいろなMICEの関係者、旅行者も含めて沖縄に招聘して、実際にMICEを体験していただいて、MICE施設も見ていただきました。その一つのプログラムとして、琉球村でMICEをやったのです。それは沖縄の芸能を見せながら、沖縄の料理も食しながら、2階ではハラル―イスラム系の方々にも対応できる料理も用意して、それからいろいろな観光施設を見ていただいて、いわゆるアフターMICEですね。そこで会議する、もしくは少しイベントをするだけではなく、終えた後に沖縄の魅力も見ていただくということで、いろいろ趣向を凝らしながらやりました。私もそこに行っていろいろな方々とお話ししましたが、逆におもしろい意見があって、私たちは九州までしか知らなかったと。沖縄にそういうおもしろいところがあるということをわからなかったということで、ぜひ興味がありますということで、いろいろと次回のMICEまでつなぎたいという声もありました。そういう意味では、なかなか情報がまだ行っていないところもあるので、沖縄独特の、味のある魅力あるMICEのプログラムをつくっていって、それを数多く提供していって誘致に努めていくということを、MICE施設の整備と同時並行で進めていく必要があると感じているところです。
○仲村未央委員 戦略上は沖縄の観光―長く宿泊させるためには、とにかく遠くから連れてこないといけないという、そこはどうしても今は2泊3日とか、県外からの客だとどうしても主流は2泊3日、長くてそうですよね。そうなると全然単価が上がるような客層にはおのずとならないということで、この厳しさはあると思うのです。市場はどうしても本土がメーンですから。そういう意味で、遠くから連れてくるということの難しさ、ハワイが成功しているのは遠いということが非常にいいのだろうなと、遠さが逆に武器になっているところもあるのです。そういう意味ではコンベンションをつくるに当たっても、非常に県、コンベンションの調査部のようなものの分析力、そもそものデータの確かなとり方、求め方、これは安易にどこかのプロ集団に任せてしまうよりは、今文化観光スポーツ部長がおっしゃるような、地域も含めてかかわれるような個性的なものをつくっていこうとするときには、やはり沖縄型のようなものも徹底してこの際戦略性を導いてほしいということが非常に感じるところです。オリンピックとの時期的な連動も出てくるでしょうし、これだけ個性的な日本列島ですから、その中でさらに個性を際立てていくということは、観光の重要な仕事だと思うので、そこはぜひ頑張っていただきたいと思っています。
それからもう一つ、1ページのカジノ導入に反対する陳情の中で、究極を言えば、いつも文化観光スポーツ部長の議会での答弁は、県民のコンセンサスを得てというところになりますね。コンセンサスというものは、最終的にどのように判断しようとしているのか。例えばアンケートをとっていこうということなのか。コンセンサスが得られたという判断は、どういうことを想定しているのですか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 コンセンサスについては、まずは国で法律を上程しているのですが、これは推進法という法律なのです。いわゆるカジノを日本で推進しましょうという法律で、その法律ができた後、1年以内に実施法がつくられます。この実施法の中で違法性を除却するような法律をつくる、それから具体的な手続面をつくっていく。実施法ができる中で初めて我が国におけるIRの姿が見えてくるわけです。例えば税率を含めて何地域にする、そのときに手続として誰が申請するのか。県がするのか、市町村がするのか。そのときにどういう添付書類―知事の同意があればいいのか、議会の同意なのか、いろいろなものが今後出てくると思いますので、そういった法律の状況を見ながら、それから県が法律に合うような、もしくは県民の皆さんから理解してもらえるようなIRの構想をつくっていく。その抱き合わせで、どういうコンセンサスが必要なのかという具体的な内容、判断基準は詰めることになるかと思っております。
○仲村未央委員 一定の手続的なものも、法の成立や法案の概要を待ちながら、手続にのっとるということは必要として迫られるでしょうし、プラスアルファで県民のコンセンサスということでの確認がどのようにということは、今後ということになりますね。具体的に持っていないわけですね。例えばパブリックコメントでどうこうというところにはまだ行っていないわけですね。わかりました。以上です。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
新垣哲司委員。
○新垣哲司委員 陳情第129号と第130号のMICEの件について、本県の発展というものは、均衡ある発展が一番大事ですよね。当然のことだと思います。今5市町村から誘致について、誘致合戦といいますか、陳情が出ているということですが、一番気になるのがまずアクセスです。次に、この施設はぜひ必要だと、つくりたいのですが、質問があるように、それだけの収容人数を埋めきれるかということも大変なことだと思うのですが、どうですか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 去年の調査を踏まえても、MICE施設を立地する条件として、1つには交通アクセス、空港からの距離です。去年の調査では30分以内程度という報告結果が出ております。それとあわせて公共交通機関が発達しているかどうかです。それとあわせて、やはりまちづくりなのです。そのMICE施設の周辺にホテルであったり、先ほど仲村委員からあったように、魅力ある施設でなければ、単なる会議をして終わりということではないのです。そこで周りにどういう、例えば飲食をする場所、もしくはレジャーをする場所が備わっているかという、まちづくりが一体となった立地条件が求められるということですので、そういったものも今回の基本構想に出てくる委員の意見も聞きながら、それから要請が上がっている市町村の場所、それ以外にも県として提示できる場所があれば、そのあたりを見ながら総合的に検討していくことになります。
○新垣哲司委員 今、文化観光スポーツ部長が答弁したことは、30分以内といえば、那覇市、豊見城市、糸満市、浦添市方面に限られるのです。施設の問題とかを含めて、こうなったら限定されるとしか思えないのです。その前に、いろいろな構想で道路の整備等を進めていますね。こういうことも換算して進めなければ、今の答弁のようになると、ある程度限定されてしまうのです。やはり沖縄の発展というものは、先ほど喜納委員からもあったように、西と東では違うと。実際そうだと思っています。できるところには分散するということも大事ではないかと思うのですが、その件についてはどうですか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 30分以内というものは去年の報告書の中で出た1つの提案ですので、それはアクセスだけではなく、先ほどお話ししたとおり、アクセス面プラスまちづくりといったものも踏まえながら、完成するのが私たちの目標では那覇空港の第2滑走路が供用できる平成32年度にあわせてやりたいと。まだ時間がありますので、その中で今後の道路整備の状況等、いろいろ総合的に見た上で判断することになるということで、必ずしも30分以内というものが絶対条件ということではないと考えております。
○新垣哲司委員 ぜひそれだけの県民の予算を使っているわけですから、これは予断を許さないです。時間もかけていいですが、練っていかなければいけない施設だと思うのです。必要だとは思っています。中国や台湾、香港、韓国あたりから思うとおりに就航があって、これが本当にできるかということも心配です。七、八年前に中国東方航空を飛ばしたのですが、すぐに中止した例もあるわけですから、その辺も含めて慎重にやらなければならないなと、外国からの旅客についても思っております。
もう一点はカジノについて。恐らく来年の国会で、超党派の議員で通るのではないかという話があります。特に東京、大阪が手を挙げております。大体3カ所ぐらいではないかと。この法案が通った場合、カジノ構想について沖縄県も参加したいと手を挙げる姿勢はありますか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 今は、先ほどお話ししたとおり、上程しているものはあくまでもカジノを推進するための意思表示としての法律になります。その中でカジノを合法化するための法律の義務化であったり、それを推進する組織の義務化といったことをうたっていくわけですので、これから1年以内ということですから、今後それを示してくることになります。県の対応としては、どうしても県民に賛否両論ありますので、県民に対してカジノというものがどういうものなのか、もしくは法律の枠組みが示されたときに、沖縄としてもし持ってこれるのであれば、そういうカジノになるのだという具体的なものを提供しないことには、県民に理解していただけるのかどうか、よくわからないところがありますので、法律の動向を見ながら、これを踏まえながら各国の状況も見ながら沖縄県のあるべきIRの姿を示していくことが大事かと思っています。今の状況ではまだそこが判断できない状況です。
○新垣哲司委員 今、文化観光スポーツ部長がおっしゃったことは当然のことだと思います。やはり県民の世論をしっかり聞くことも大事です。しかし、県に推進室はできましたよね。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 現状は、観光政策課の中に担当者を1名置いている状況です。
○新垣哲司委員 そういう観光の中にでもいいのですが、置くということは、県は前向きに検討しているということではないですか。やらなければ置きませんよ。どうですか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 カジノについては、地域活性化であったり、観光政策であったり、雇用であったり、いろいろな面で効果があると一般的に言われております。県としても産業振興の観点から、可能性があるのではないかということで、現在検討を続けているところです。
○新垣哲司委員 できる、できないは別にして、今の答弁は非常にわかりやすい。我々は香港とマカオにこの前行ったのですが、マカオはあれだけの人口で、1年間に3500万人の観光客が来るのです。すごいです。向こうは中国の領土でありながら法律をつくってやっているわけですから、きちんと認められているわけです。私はやりなさいとは言いません。やはり県民世論が一番大事だと思っております。昔とは違って、県議会においても少数与党ですので、余り大きな声で言えないのです。そういうことで、ニーズも含めて世論も見ながら、カジノについては検討していただきたいと要望して終わります。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
座喜味一幸委員。
○座喜味一幸委員 MICEの事業を進めていくことと、空手道会館を初め今のカジノの問題、基地の跡地利用、ハブ貨物を含めて、大きな時代の飛躍すべき大事な時期に来ていると思っています。今のMICEの話もそうなのですが、沖縄県全体でこの10年間、少なくとも沖縄21世紀ビジョンの達成のために、拠点整備をどう進めていくのか。この上での交通網の整備をどうしていくのか。各地域の特色をどうしていくのかという大きなデザインが必要だと思っています。そういう意味において、皆さんが言っている話もトータルとして、県が仕切っていくためには、商工労働部だけではなく、交通政策―企画部を含めた各部署での連携の中で、一つの方向性を示さなければならない時期に来ていることを物すごく感じているわけです。その辺に関して、MICEを含めて、今後どのように取り組もうとしているのか。観光客をふやす、条件整備をしていく、そういうもろもろを含めて、行政の仕事は大事な時期だと思うのですが、その辺の仕組みづくりをどうしようとしているのかが見えないです。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 今、委員おっしゃるように、確かにここ数年大分環境が変わってきたと思っております。以前観光の浮き沈みが激しい時代から、東南アジアに中流階級が出てきて、観光ができる余力が出てきた。円安の環境、LCCが出てきたということで、観光客が右肩上がりで伸びている状況です。今、県では1000万人という大きな目標を掲げて取り組んでいるところですが、そういう環境の変化、国内だけではなく海外からも目を向けられるようになってきたということ。そういうたくさんの方々に来ていただいているのですが、本当に満足していただけるのか。そこで経済に還流できるような仕組みがつくれるのかということは大事なポイントだと思っております。そこで今、せっかく来ていただいた方々に満足しない形で帰すと、リピーターにならないわけです。それをリピーターにしていく。そしてもっと沖縄に来ていただくような、波及効果が生まれるような仕組みをつくっていく必要があるということで、今、委員がおっしゃったように、検討しているものは、1000万人に向けてどういうグランドデザインを描いていくのか、いわゆるロードマップです。いろいろなインフラストラクチャー、ソフトを含め、そういうロードマップが必要だろうということで、今その検討を行っているところです。その際には、確かに他部局との連携、もしくは国との連携が非常に重要になってくると思っております。
○座喜味一幸委員 最後に結論めいたことを言うのですが、私もカジノ―香港へ行ってMICEも見てきたのですが、マカオで2800万人から3000万人の人が来る。香港のMICEは少し調子が悪いというか、まだまだ改善の余地がある。カジノそのものの新たな展開として、今MICEを含めて、ショッピング、レストラン等エンターテインメントの部分は安定してきているが、もう一つそれに経営の中でMICEというものを入れようと戦略的に考えているものを見てきたときに、我々沖縄県の中でMICEというものを中心に、これのみを考えていくと、カジノ法が、例えば地元の人のギャンブル依存症対策だとかいろいろな法律の中で工夫されて意見も整理されてきますので、沖縄は割と早目にカジノの取り組みを急がされるぐらい条件が早目に来るのかと。そういう中で、MICE単独というよりも、エンターテインメントを含めたビジョンをつくっておかないとまずいという思いがあって、間違いなくカジノは進むのではないかと。その中でMICEとIRをどう組み合わせるかということは、すぐに議論をあわせてやっていかないといけないと思っております。ぜひその辺も含めて検討してもらいたいという思いがあるのですが、いかがでしょうか。
○湧川盛順文化観光スポーツ部長 通常IRという場合には、カジノの機能があり、観光に関するいろいろな機能が加わったものをIRと言うわけです。例えばカジノにプラス飲食の部門、ショッピングの部門、会議の部門、もしくはエンターテインメントの部門、もろもろのものが一塊になったものをIRと言っているわけですが、それを沖縄らしい、海外とも差別化できるようなIRをつくるのであれば、沖縄に対してどういった機能の組み合わせがいいのか。その辺は非常にポイントになってくると思っています。これまでいろいろとカジノに関する調査を進めてきましたので、そういったものも踏まえながら、沖縄県民に賛同してもらえるようなカジノがどういう姿なのかということは、引き続き検討していきたいと思っております。
○座喜味一幸委員 しっかりと、IRについても堂々と勉強して、組み合わせを含めてトータルで判断していただきたいと希望して終わります。
○上原章委員長 ほかに質疑はありませんか。
(「質疑なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 質疑なしと認めます。
以上で、文化観光スポーツ部関係の陳情に対する質疑を終結いたします。
休憩いたします。
(休憩中に、執行部退席)
○上原章委員長 再開いたします。
議案及び陳情等の質疑については全て終結し、採決を残すのみとなっております。
休憩いたします。
(休憩中に、議案及び陳情等の採決の方法などについて協議)
○上原章委員長 再開いたします。
これより、議案及び陳情等の採決を行います。
まず、乙第8号議案沖縄県緊急雇用創出事業等臨時特例基金条例の一部を改正する条例を採決いたします。
本案は、原案のとおり決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 御異議なしと認めます。
よって、乙第8号議案は原案のとおり可決されました。
次に、乙第17号議案指定管理者の指定について採決を行いますが、その前に意見、討論等はありませんか。
(「意見、討論等なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 意見、討論なしと認めます。
以上で、意見、討論等を終結いたします。
これより乙第17号議案を採決いたします。
本案は、挙手により採決いたします。
なお、挙手しない者は、これを否とみなします。
お諮りいたします。
本案は、可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。
(賛成者挙手)
○上原章委員長 挙手多数であります。
よって、乙第17号議案は可決されました。
次に、乙第24号議案県営水質保全対策事業の執行に伴う負担金の徴収について採決を行いますが、その前に意見、討論等はありませんか。
(「意見、討論等なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 意見、討論なしと認めます。
以上で、意見、討論等を終結いたします。
これより乙第24号議案を採決いたします。
本案は、挙手により採決いたします。
なお、挙手しない者は、これを否とみなします。
お諮りいたします。
本案は、可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。
(賛成者挙手)
○上原章委員長 挙手多数であります。
よって、乙第24号議案は可決されました。
次に、乙第16号議案、乙第23号議案、乙第25号議案及び乙第26号議案の議案4件を一括して採決いたします。
お諮りいたします。
ただいまの議案4件は可決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 御異議なしと認めます。
よって、乙第16号議案、乙第23号議案、乙第25号議案及び乙第26号議案は可決されました。
次に、陳情等の採決を行います。
陳情の採決に入ります前に、その取り扱いについて御協議をお願いいたします。
休憩いたします。
(休憩中に、議案等採決区分表により協議)
○上原章委員長 再開いたします。
お諮りいたします。
陳情については、休憩中に御協議いたしました議案等採決区分表のとおり決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
休憩いたします。
(休憩中に、本委員会所管事務調査事項「農林水産業について」に係る「日台漁業取り決め及び日中漁業協定について」、議員提出議案として意見書を提出することについてを議題に追加することについて協議を行い、議題に追加することで意見の一致を見た。)
○上原章委員長 再開いたします。
「日台漁業取り決め及び日中漁業協定について」、議員提出議案として意見書を提出することについては、休憩中に御協議いたしましたとおり議題に追加し、直ちに協議を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
「日台漁業取り決め及び日中漁業協定に関する意見書」を議題といたします。
休憩いたします。
(休憩中に、意見書の提出等について協議した結果、意見書を提出すること、提案者は本委員会の全委員とし本委員会に所属していない沖縄社会大衆党及び無所属の議員にも呼びかけること、提案理由説明者は委員長とすること、要請方法は直接要請とすること、本意見書の趣旨を関係要路に要請するため議員派遣について議長に申し入れること及び本意見書の趣旨の変更を伴わない字句の修正等については委員長に一任することについて意見の一致を見た。)
○上原章委員長 再開いたします。
議員提出議案としての「日台漁業取り決め及び日中漁業協定に関する意見書」の提出については、休憩中に御協議いたしましたとおり決することに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
次に、閉会中継続審査・調査事件の申し出の件についてお諮りいたします。
先ほど、閉会中継続審査・調査すべきものとして決定した陳情34件とお手元に配付してあります本委員会所管事務調査事項を閉会中継続審査及び調査事件として、議長に申し出たいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました。
次に、お諮りいたします。
ただいま議決しました議案等に対する委員会審査報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○上原章委員長 御異議なしと認めます。
よって、さよう決定いたしました
以上で、本委員会に付託された議案及び陳情等の処理は全て終了いたしました。
委員の皆さん大変御苦労さまでした。
本日の委員会は、これをもって散会いたします。
沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。
委 員 長 上 原 章