平成22年10月19日(火曜日)
午前10時2分開会
第7委員会室
出席委員
委員長 奥 平 一 夫君
副委員長 仲宗根 悟君 中 川 京 貴君
委 員 島 袋 大君 中 川 京 貴君
委 員 桑 江 朝千夫君 吉 元 義 彦君
委 員 照 屋 守 之君 辻 野 ヒロ子さん
委 員 照 屋 大 河君 渡嘉敷 喜代子さん
委 員 西 銘 純 恵さん 玉 城 ノブ子さん
委 員 上 原 章君 金 城 勉君
委 員 瑞慶覧 功君 平 良 昭 一君
委 員 上 里 直 司君
説明のため出席した者の職、氏名
病院事業局長 伊 江 朝 次君ん
県立病院課長 武 田 智君
県立病院課経営企画監 津嘉山 朝 雄君
県立病院課看護企画監 佐久川 和 子君
北部病院長 大 城 清君
中部病院長 平安山 英 盛君
南部医療センター・ 大久保 和 明君
こども医療センター院長
精和病院長 新 垣 米 子さん
宮古病院院長 安谷屋 正 明君
八重山病院長 松 本 廣 嗣君
本日の委員会に付託された事件
1 平 成 22 年 平成21年度沖縄県病院事業会計
第4回議会 決算の認定について
認定第21号
3ii4
○奥平一夫委員長 ただいまから決算特別委員会を開会いたします。
平成22年第4回議会認定第21号を議題といたします。
本日の説明員として、病院事業局長の出席を求めております。
ただいま議題となっております平成22年第4回議会認定第21号については、既に説明は終わっておりますので、これより直ちに病院事業局長に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁に当たっては、その都度委員長の許可を得てから、自席で起立の上、重複することがないように簡潔に発言するよう御協力をお願いいたします。
また、質疑に際しては、あらかじめ引用する決算資料の名称、ページ及び事業名等を告げた上で質疑を行うよう御協力をお願いいたします。
なお、答弁に当たっては、総括的、政策的な質疑は部局長が行い、それ以外はできるだけ担当課長が行うこととしたいと存じますので、各委員及び執行部の御協力をお願いいたします。さらに、課長等補助答弁者が答弁を行う際は、あらかじめ職氏名を告げてください。
それでは、これより質疑を行います。
仲宗根悟委員。
○仲宗根悟委員 決算に当たり、基本的には認定に賛成するものに何ら文句のつけようがございませんで、日ごろ病院事業局の皆さんは救命救急医療、それから高度特殊医療、離島あるいは僻地をカバーする、毎日、毎日、県民のために24時間、365日稼働しているという意味では非常に敬意を表しながら、御苦労なことだなと。そしてまた、抱える問題もクリアをしながら、一歩一歩改善に向けて進んでいる様子がよくうかがえておりますので、そういうことを含めながら、二、三質疑をしたいと思います。本当に御苦労さまであります。
それでは、まず最初に、県立病院6病院に加えて16附属診療所を運営しているということで、まさに救命救急医療、そして高度特殊医療、離島・僻地等を担う医師、看護師等の確保、医療機器の充実を図るということでも、医療水準の向上に努め、多様化する県民の医療ニーズに対応してきたということで、監査委員の平成21年度沖縄県病院事業会計決算審査意見書にも述べられておりますけれども、その病院事業が、この県立病院が果たす役割ですとか、どういう使命を持って携わっているのか、その辺のことをまずはお聞かせいただきたいと思います。お願いします。
○伊江朝次病院事業局長 県立病院の使命は、民間医療機関で対応困難な医療の提供、圏域の地域特性や医療機能を踏まえた医療の提供、その他公的医療機関として担う必要がある医療等を提供することにあると考えております。
○仲宗根悟委員 これまで病院のあり方検討会とか、いろいろな形で再建に向けての努力を皆さん重ねられているということは冒頭申し上げて、非常にわかるんですけれども、地方公営企業法の改正によって、全部適用での病院事業が進められている。管理者による運営に移行を受けての効果、その成果について、これまで経験を踏まえて、どういった成果ですとか、あるいは効果が見られてきたのか、その辺をお聞きしたいんですが。
○伊江朝次病院事業局長 地方公営企業法の全部適用により、経済性や機動性を発揮した病院事業運営が可能になったものと考えております。具体的には、病院長への大幅な権限委譲、看護師採用試験における受験年齢制限の撤廃、診療材料及び薬品費削減プロジェクトの実施、経営アドバイザーの活用、病院事務専任職員の採用などを行ってきております。また、平成21年度から平成23年度までの3年間を経営再建期間として位置づけ、全職員一丸となって経営改善に取り組んでいる中で、経営に対する意識改革や責任の自覚が着実に芽生えてきていることを感じております。
○仲宗根悟委員 今、成果としてまず最初にお答えいただきましたのが、看護師の幅広い年齢層からの人材を図ることができたということで、人員採用、人事の採用面でも権限が大幅に管理者のほうへゆだねられたという意味で、看護師の幅広い年齢層というのをもう少し詳しく御説明いただけませんですか。
○伊江朝次病院事業局長 以前は35歳が上限だったという状況でございまして、年齢制限の撤廃で59歳となっております。
○仲宗根悟委員 非常に幅広くなっていいことだろうなと思っています。私の近くでも、結婚をして、出産をして一時看護師をおやめになられて、子育てを終わった段階から、40過ぎごろから、もう一度働きたいなというようなお話もよく伺ったりするものですから、そういった方たちにも門戸を大きく広げて、再雇用というんでしょうか、そういう幅も持たせるという意味では、非常にいい人材の確保に努められているのかなと思っています。ぜひ頑張っていただきたいなと思います。
あと1つ、企業債残高の削減に年次的に努められていることではありますが、こちらの表を見てみますと、年次的に起債が、平成32年、この間に返していくんだという段階的な計画表はあるんですけれども、再建の中でのこういった起債の返済のあり方とかいうようなことを、もう少し詳しく御説明いただけないですか。
○武田智県立病院課長 病院事業局で過去に借り入れた高金利の企業債について、企業債償還金の負担軽減を図るために、総務省が設けた臨時特例債を活用して、低金利の企業債に借りかえをしております。平成19年度に約13億円、平成20年度に25億2000万円、合計38億2000万円の借りかえを行い、支払い利息の節減を図っているところであります。その結果、平成20年度から平成32年度までの利息約10億8000万円の節減が図られることになります。
○仲宗根悟委員 今おっしゃった借換債について、もう少し詳しく説明いただきたいんです。以前質疑をした中でのお答えが、2年に限って設けて借換債が行われているんだと。重いというんでしょうか、利率が高い部分に関して、安い借りかえをしながら、おっしゃったように効果を上げてきているんだと。支払わなくて済む利息の部分を留保できるんだというお話なんです。これをどんどん進めていったらいいのではないですかというお話をしましたら、どうもこの2年に限っているというようなお話だったんですね。それを超えてしまうと新しい起債が起こせなくなる。これから控えている設備とか、いろんな病院の改装工事に対して備えるために起債を残しておくのだというような説明を聞いたようなことがあるんですが、その2年に限っている部分が取っ払われて、年次年次あるのかどうか、その辺も詳しくお願いしたいんです。
○武田智県立病院課長 この借換制度なんですけれども、平成20年度から平成24年度においても臨時特例措置として実施されることになっております。しかし、これはいろいろ基準がありまして、沖縄県病院事業局は同制度の基準の対象外となっております。
○仲宗根悟委員 承知しました、頑張ってください。
あと、未収金の対策についてもやはり述べられているんです。私、非常に不思議だなと思うのが、平成21年度は18億5000万円余りも未収金があるというようなことなんですが、これは教えていただきたいんですが、私たちが病院にかかる場合、まず受付で健康保険証やら、何やらを提示しながら診療を受けるわけで、終わると今度は会計を待ちながら、会計をして帰るわけですが、受けられた方々が会計もしないでそのまま帰ってしまって、金を払わないというようなケースでこういう未収金が起こるのかなと思うんですが、そうなんですか。
○伊江朝次病院事業局長 今委員がおっしゃったようなことも多々あります。しかしながら、事前に心ある方は御相談に来るという形で、分割でやるとかいった対応はやっております。払わないで帰る人たちがどれぐらいいるかというのは、今ちょっと把握しておりませんけれども、現実にいることは間違いないです。
○仲宗根悟委員 場合によっては、急にぐあいが悪くなって、お金もないけれども、やはりかからなければいけないというケースもあるのかなと思ったりもするんですが、その辺は、県税の個人県民税のケースも一緒だろうと思うんですけれども、それにしても額が非常に多額だなと思っているのが実感です。それで、この催促を債権回収サービス業者へ委託しているというようなことですが、どういう実態なのか、こちらはお聞きできませんか。
○津嘉山朝雄県立病院課経営企画監 それではサービサー、民間業者への委託についてお答えいたします。この民間業者は、豊富な経験とノウハウ、それから効率的な回収手段を保有していると考えられることから、これらのノウハウを活用することによりまして未収金の回収効率が期待できるものと考えております。平成19年度より実施している未収金額が5万円以上で、納期限から3年以上経過している、なおかつ債務者の住所が不明であるとか、病院側で自力回収が困難であると判断されたものにつきまして、平成21年度、1億8540万円の債権を委託いたしまして、回収につきましては432万円、回収率につきましては2.33%ということになっております。
それからもう一つ、平成20年度7月から、北部病院で試験的に導入しました初期発生段階における未収金の民間回収委託につきましては、平成21年度から精和病院を除く4病院にも導入しておりますけれども、これにつきましては回収率としまして84.37%。ただこれは、債権を病院側と回収会社とあわせて管理しておりまして、債権回収会社に委託した分の回収効果としては約4800万円、それから、委託費用として約2000万円ほど払っておりますので、差し引きいたしますと2800万円ぐらいの経営の効果があったと考えております。
○仲宗根悟委員 承知しました、よくわかりました。84.37%が回収できるという意味では、非常に大きな実績を上げているんだろうなと思うんです。私たちのイメージからしますと、取り立て屋というふうな感覚がしまして、この辺はやり方があるんだろうなと思って、町の金融会社とは違いますよと、その辺はよく理解をしているつもりです。頑張っていただきたいと思います。
あと、病院長がせっかくお見えですからお聞きしたいんですが、きょうは中部病院の院長に、助産師外来が7月から開設したというような報道がありました。その中身が書かれていまして、県立病院で助産開設というのが、自分自身がよくわからなくて、私の子供も民間にお願いしたんですが、その都度何回か定期健診をしながら出産まで来たんですが、こういった民間がやっていることを中部病院、県立病院が行ったということなんでしょうか。その辺を詳しくお願いできませんか。
○平安山英盛中部病院長 助産師外来のほうは、ずっと前から助産師から希望がありまして、外来医療をやりたいという話がございまして進めてまいりましたけれども、何しろ外来医療のスペースがなかなか確保できないものですから、八重山病院に先を越された格好になりましたけれども、僕らもおくればせながら助産師外来をオープンして、これは患者にとってもいいことだし、助産師にとってもモチベーションを上げていく非常に大きな方法だと思って、僕らも後押ししてやっているところです。患者にも非常に喜ばれております。
○仲宗根悟委員 そういう意味では、県立病院が担うというんでしょうか、皆さん、利用する側からしますと非常に安心だということで、利用もこれからはかなりふえてくるのではないかと思うんです。
あと1件だけ、これは健康保険、医療にかかわってきて、皆さんは請求をするわけですが、レセプトの件なんですが、この医療行為に対してこれだけは認められませんとはねられてしまって、仮に100あったのが80あるいは70しか認められなくて、あとの40、30はできませんよとレセプトで突き返されたときに、患者も3割負担しているわけで、その総トータルで病院側はレセプトではねられましたと。そういう医療行為に対して、患者に、これだけが10ですから残りの3は縮まりますよねということで、患者さんのほうへの還付というのはないんでしょうか、どうなんでしょう。
○津嘉山朝雄県立病院課経営企画監 レセプト等で返戻された場合には、一応その差額分として患者にお返しするという形になります。
○仲宗根悟委員 お返ししているのだったら上等なんですが、やはり患者は、皆さんから還付がありましたら、レセプトではねられました、この分は医療が過剰でしたのでお返ししますという通知が来て、初めて、ああそうだったんだという気づき方しかできないわけですよ。自分が受診した、それからこう払いましたというように、これが適切かどうかというところの、患者側が求めに行ける窓口というんでしょうか、そういうものもありますか。
○伊江朝次病院事業局長 今の委員の御質疑については、対応窓口としては地域連携室等で、もしそういった御相談があれば対応しているという状況で、実績のほどは把握しておりませんので、お答えできません。
○仲宗根悟委員 承知しました。冒頭にも申し上げましたとおり、病院長の皆さん、そして病院事業局の皆さん、本当に、私たちは県立病院の果たす役割、使命というのは非常に大きなウエートを占めていると思います。24時間、365日フル稼働していらっしゃる皆さんにぜひ今後も頑張っていただきたいとエールを送りまして、終わります。
○奥平一夫委員長 渡嘉敷喜代子委員。
○渡嘉敷喜代子委員 先ほど病院事業局長から、民間でできない困難な部分を公的な医療で担っていくんだというような話がありましたけれども、平成21年から平成23年にかけての病院再建に向けて、平成22年までには何とか赤字を黒字にしていきたいという意気込みで、現場の先生方や看護師の皆さんは頑張っていらっしゃる、そういうことはよくわかります。
それで、新しく赴任なさいました病院事業局長に対して、再建に向けて病院事業局長としての決意を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○伊江朝次病院事業局長 県立病院は、本県における基幹病院として、また地域における中核病院として、救命救急医療、高度特殊医療及び離島・僻地医療などの政策医療を担い、県民のかけがえのない財産として極めて重要な役割を果たしてきました。県立病院が、今後ともこのような県民の期待にこたえる医療提供体制を維持し、発展させるためには、これまでの経営状況を抜本的に改善し、安定的な運営基盤を築くことが必要不可欠となっております。そのため病院事業局では、みずからの経営努力を柱として、国の公立病院特例債の活用や一般会計からの支援の強化を得ながら、不良債務及び資金不足の解消、経常収支の黒字化を目標とする県立病院経営再建計画を策定し、全職員が一丸となって経営改善に向けて全力で取り組んでいるところであります。我々に課された地域において必要な医療を適正に提供するという重大な使命を改めて認識し、病院事業局長として、不退転の決意で経営再建に向けて最大限尽力する考えであります。
○渡嘉敷喜代子委員 どんなに頑張っても、やはりいろいろな状況とか背景がありまして、平成21年度沖縄県病院事業会計決算審査意見書の8ページにもありますように、外来患者とか入院患者が減っているような状況があるわけです。その中でも私がお尋ねしたいのは、各病院で実績が下回っている状況の中で、精和病院の入院が予定量よりもふえているという原因は何なのか。そして、精和病院以外での患者数が減少した要因についてお尋ねしたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 精和病院の入院患者延べ数の業務予定量は8万2892人、実績では8万3249人となっており、357人上回っている。主な要因としては、医療観察法による鑑定入院患者数が当初見込みは1人だった。これが実績では3人だったことによるものでございます。
○渡嘉敷喜代子委員 入院、それから外来患者の予定量で見込まれた収益と、実績の収益の差額というのがどのようになっているのか。やはりこれだけの入院患者、あるいは外来患者を予定したけれども、いろいろな状況の中でそれが下回っているという状況があるわけですよ。ですから、金額としてもどれだけというような見込み額があったかと思います。そのあたりの差額分を教えていただきたいと思います。
○武田智県立病院課長 精和病院を除く他の5病院では、入院患者数が平成21年度当初予算の業務予定量を下回っております。病院事業全体では、入院患者延べ数の業務予定量が71万8892人、実績では66万9683人となっており、4万9209人下回っております。その主な原因は、看護師不足による休床の影響等が挙げられます。また、新型インフルエンザがはやりましたので、それによる入院患者の制限の影響もあったものだと考えております。
あと、収益と実績の差でございますけれども、平成21年度当初予算における入院収益は298億1384万7000円、決算では281億7703万5362円となっており、16億3681万1638円下回っております。また、平成21年度当初予算における外来収益は80億4531万9000円、決算では81億594万3995円となっており、6062万4995円上回っております。なお、入院患者数が業務予定量を下回ったことに伴って費用も縮減をされております。減価償却前利益で見た場合、当初予算では約17億3000万円を見込んでいましたけれども、決算では
31億6000万円となっており、約14億3000万円ほど上回っている状況になります。
○渡嘉敷喜代子委員 平成20年11月26日に県立南部医療センター精神身体合併症病棟の拡充に関する陳情というのが出されまして、そして、それが平成21年6月議会で採択されております。採択したことによって、県としてこれまでそれに対してどのように向き合ってきたのか、あるいはどういう状況にあったのか。やはり県議会での決議というものは大きいと思うんです。そのあたりは病院事業局長としてどうお考えでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 南部医療センター・こども医療センターの混合病棟14床については、以前に小児科病床として再開することとしていましたが、今後は病院と十分に調整を図りながら検討していきたいと考えております。
なお現在、精神身体合併症患者に関しては、5床の精神科病棟と一般病棟で対応しており、患者の入院を断るという状況ではございません。
○渡嘉敷喜代子委員 この陳情書が出たときに、当時の病院事業局長は、採算が合わないということで、対応していくことはできませんよということだったんです。そしてまた、当時の南部医療センター・こども医療センター院長が、やはりそこは小児科として使いたいということで、14床はずっと休床状態になっているわけですよ。今、合併症のほうで5床しかないわけですよ。その14床も精神科として使いたい、そして病院、看護師も今の体制のままで対応していきたいということでした。
そしてそのときに、5000万円は黒字になるであろう、今赤字になっているそれが黒字になるであろうというような試算もされているわけです。そこで当時の病院事業局長が言いましたのは、やはり採算が合わない、どうしてもほかの医療に比べて精神科の場合は医療報酬が安いんだというような答弁だったんです。
そういうことではなくて、やはり政策医療として、陳情書の中にもありますように、南部医療センター・こども医療センターができるときに、精神科もそこに置いてほしいという要望があってつくられたわけですよ。だから、これも一つの政策医療だと思うんですよ。そういうことで、しっかりとそれに向き合っていくということも大切かと思いますが、今病院事業局長から、断った例はないとおっしゃっていますけれども、そうではないような気がするんです。やはりほかの病院に移されていっているという例もあるわけです。
先ほど私が、精和病院がどうしてそんなに入院患者がふえたのかということも、そのあたりの兼ね合いがないのかなという思いで質疑をしているわけですが、いかがでしょうか。本当に小児科が使いたいと言っていながら、看護師が足りなくていまだに休床になっているわけですよ。そのあたりを、本当に今の体制で看護師が対応できるのであれば、精神科として使ってもいいのかどうかということを、病院事業局長の姿勢を伺いたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 今の14床の件については、現実的には看護師が確保できていないという状況で、オープンできないという事態でございますが、私たち医療者側からしますと、必ずしも身体合併症の患者を14床集めるというのは、なかなか需要と供給のバランスとしても合わないのではないかなという気がするんです。といいますのも、実は私たち中部病院でも精神科の患者だからといって、身体合併症を持っていて特別な部屋に入れているということはありませんでした。だから、一般の方とほぼ同じような扱いで、しっかり精神科の治療的にはコントロールした状態でやっておりまして、特別にその一角だけというのは、身体合併症に関してはありませんでした。だから、そういう観点から、混合病棟というふうな形でやっていければいいのかなという感じで、今病院との調整を図っている状況でございます。
○渡嘉敷喜代子委員 混合病棟でもいいから、そういう需要に応じてやっていっていただくと助かるのかなという思いがします。
一般病床と精神病床の看護体制の違い、あるいは1床当たりの医療報酬の違いをお尋ねしたいと思います。
○武田智県立病院課長 県立病院の一般病床においては、南部医療センター・こども医療センターでは7対1看護体制をことしからとっております。北部病院、中部病院、宮古病院、八重山病院では、今10対1看護体制がなされているところです。あと、精神病床については、宮古病院、八重山病院にも精神病床がありますけれども、精和病院においては15対1の看護体制をとっております。
あと、1床当たりの医療報酬の違いなんですけれども、1床当たりの診療報酬は、看護師配置や入院期間によっても異なります。7対1看護体制の場合、14日以内の入院で1床当たり1日2万50円となって、10対1看護体制の場合、14日以内の入院で1床当たり1万7500円となります。精神科病床の場合ですけれども、15対1看護体制の場合、14日以内の入院で1床当たり1日1万2650円となっております。
○渡嘉敷喜代子委員 身体合併症のほうで、看護師が今の体制でやっていけるということは、やっぱり15対1看護体制でもやっていけるということなんですよね、もしかして。そういうことで、精神科として使いたいという意味もそこにあるかと思います。一般病床では今現在10対1看護体制だけれども、精神科のほうでは15対1看護体制というような体制があるわけですから、病院事業局長がおっしゃったようにそのあたりを、今後、混合でもいいから受け入れ体制をしっかりとやっていただきたいと思います。
それから、国の方針として、できるだけ精神科の患者を家に帰したいというようなことがあるわけですよ。精和病院のほうにお尋ねしたいんだけれども、そのあたりの体制というのは今どうなっているんでしょうか。
○新垣米子精和病院長 長期入院患者に対して、社会生活技能訓練─SSTとか、社会復帰プログラムへの参加を通して社会性を身につけさせて地域で生活するための技術が習得できるように取り組んでいます。退院後の生活がスムーズにいくように、医師、コ・メディカルが共同して、退院後の生活に向け、家族や福祉施設と生活環境の調整を行っています。単身者が退院する場合は、精神科ケースワーカー─PSWですけれども─が、地域保健師へ訪問依頼したり、ホームヘルプサービスの利用とか、アパートの確保などの相談を行っております。地域の医療福祉関係者と連携をとって、社会復帰に向けて取り組んでいます。それから、県に精神障害者退院促進事業というものがあります。それを利用したりということもございます。そういうことで、自立支援協議会とか地域生活支援員との会議等々、地域との交流に努めているところでございます。
これは地域連携室が主に主導していますけれども、地域連携室というのは、地域連携室及び医療相談室ということでなんですけれども、そこが主に担っています。あと、デイケアでも就労支援に向けた取り組みをしたり、あるいは病棟でも主治医と看護師が一体になって社会復帰へ向けて検討しております。
○渡嘉敷喜代子委員 南部医療センター・こども医療センターについては、平成19年11月から14床についてはずっと休床状態になっているわけです。そのほかにも何床が休床になっているのか、あるいはまた、中部病院もかなり多いかと思いますけれども、今、全体で何床が休床になっていますか。
○伊江朝次病院事業局長 南部医療センター・こども医療センターの14床に加えて、中部病院の52床が休床になっております。
○渡嘉敷喜代子委員 やはり休床になっているのは看護体制が整わないからということになるかと思います。今回質疑には入れていませんけれども、県立浦添看護学校を民間移譲することについては、県議会で継続審査という形になっておりますけれども、その場合、病院事業局長にお尋ねしたいのは、民間移譲されたときに、本当に県立病院、公立病院で看護師の確保ができるのかどうか。今の県立浦添看護学校で養成した学生がそのまま県立病院に行って、やめる率も少ないという状況にあるわけです。そして今、沖縄県にも民間病院での、医師会での看護師養成所はあるけれども、それは自分たちの病院で確保するための看護師養成講座だと思うんです。そういう意味で、県立浦添看護学校が公立である、県立であるということの持つ意味はとても大きいかと思うんです。今回、継続審査になりましたけれども、民間移譲に対して病院事業局長としてどうお考えになるのかお尋ねしたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 大変難しい御質疑だなと思っておりますが、私、県立浦添看護学校の卒業生が県立病院にどれぐらい就職しているか把握しておりませんので、今その影響について正確にお答えすることはできないんですが、できる限り看護師としての勉強ができるような環境を整えていただければ、その後の受け入れをする私たちとしても助かるなというふうには考えております。
○渡嘉敷喜代子委員 先ほど平成20年陳情第184号について、南部医療センター・こども医療センター精神身体合併病棟の拡充に関する陳情について、県議会では採決されたけれども、決議されたけれども、その後の状況はどうなっているんだろうかということは、関係者の皆さんとても気にしていらっしゃるんです。それを病院事業局長から、混合病棟でもいいから看護師の確保ができれば進めていきたいというような、とても前向きな答弁を聞かせていただきまして本当に感謝しております。
ですから、病院の医師もさることながら、看護師の養成というのもとても大切なことかと思います。せっかく看護師は確保したけれども、またやめていくというような状況にならないように、今かなり沖縄県行財政改革プランの中で人員削減とかが進められておりますけれども、病院事業局はそれには該当しないわけですけれども、そういうことで、しっかりと現場の先生方、そして看護師の皆さんが、これからも再建に向けて本当に黒字にしていくんだと、独立行政法人化はさせないんだという思いで、しっかりと頑張っていただきたいなと思います。エールを送って終わりたいと思います。
○奥平一夫委員長 照屋大河委員。
○照屋大河委員 事前の通告には、県立病院経営再建計画の初年度に当たり、病院事業局長の決意などを聞かせてほしいということでしたが、先ほど、職員一丸となって、そして病院事業局長として全力をかけてやっていくという決意を聞かせていただきましたので、改めて私も応援していくという決意表明をして、今の県立浦添看護学校の話もありましたが、ぜひ現場にある、あるいは皆さんの抱える課題をどんどん遠慮なく言っていただければなと思いますので、最初に通告してあった答弁はもうよろしいですので、ありがとうございます。
昨年、さまざまに県立病院の経営形態について議論がされました。もちろん議会でも、あるいは地域でも、病院長の皆さんを中心としたシンポジウムなども県内各地で議論されました。そして、結果、県立病院経営再建計画ということで、先ほど来あるように、再生、再建に向けて、毎日希望や期待を受けている日々だと思います。伊江病院事業局長におかれましては、ちょうど1年前のこの決算特別委員会、八重山病院の院長として出席されて、委員から、どういうことを中心に取り組んでいるんだ、あるいは病院の抱える課題は何ですかという問いに、まず第一に人材確保だと。そして、職員の意識改革だと、公務員的なものではなく―税金でつくられた病院だということでそういう発言がありましたが、今現在、全病院を統括する病院事業局長として、昨年の発言もありますが、どういう思いなのか、まず聞かせてください。
○伊江朝次病院事業局長 今の照屋委員の御質疑ですが、昨年述べたことに関しては、今全く同じでございます。病院の機能というのは人材がなければ機能しない、特に医師がいなければ収益にも結びつかない、患者のサービスにも結びつかない、これがそろって初めて病院事業全体として機能するものだと思っております。
意識改革についても、昨今の病院事業のいろんな経費の縮減プロジェクトを見ましたら、これは病院事業に従事する職員たち、下からわき上がってきたという経緯がございまして、そういう意味では非常に頼もしい思いで今見ております。今後とも、診療報酬の改定も伴って、病院事業がこの3年間で改善するということは、非常に確実になるのではないのかなという気持ちでおります。
○照屋大河委員 ありがとうございました。昨年の件ですが、伊江病院事業局長を初め、それぞれの病院の院長の皆さんが、スタッフの確保だと人材確保を第一に挙げているわけです。7対1看護体制の獲得あるいは沖縄県職員定数条例の打破というような表現で答弁されているわけですが、その獲得の環境が、あるいは先ほど私たちが応援していきたいと申し上げましたが、どういう環境になっているのかということで、今後質疑をしていきたいと思います。
現在、医師不足の現状、本会議で答弁がありましたが、残念ながら休憩中に訂正ということがありましたので、現状について、改めて今の時点で医師不足等の現状について伺います。
○伊江朝次病院事業局長 10月1日現在の県立病院における医師の不足数は、北部病院産婦人科2名、内科1名、中部病院眼科1名、小児科1名、南部医療センター・こども医療センター小児精神科1名、宮古病院眼科1名、合計7名となっております。
○照屋大河委員 見通しなどが本会議で示されましたが、このうち、不足の数について来年度はというような発言もありましたが、それぞれ確保の見通し、状況についてはどうですか。
○伊江朝次病院事業局長 いろいろ県外や県内の医療機関、あるいは大学関係、それらとの調整は今まだ真っ最中の段階で、来年の4月以降確実にできたというのは、何人かの人材確保はできていますが、皆さんが非常に御心配していらっしゃる北部病院については、まだまだ今年度の後半の追い込みにかかっておると思っております。ですから、今、4月以降、確実に実施できるというような御報告は、今の時点ではできません。
○照屋大河委員 ありがとうございます。ぜひ追い込みも含めて頑張っていただきたいなと思います。昨年は、医師不足の数、同じように決算特別委員会でも示されておりますが、慢性的に医師不足の現状があるのではないか、不足がありながら退職する人もいる現状があるという議論がされています。昨年の決算特別委員会では、平成19年度について、こういう内容で何人やめたということが示されているんですが、平成20年度、平成21年度でその数を示すことができますか。
○武田智県立病院課長 平成21年度における医師の定年退職以外の退職者ですけれども、50名となっております。まず、退職理由としては、大学医局とかそういった人事で20名です。あと他病院への転出が18名、未定が6名、開業が5名、その他1人となっております。他病院への転出の中にも、大学の医局人事が含まれているのだと考えております。
○照屋大河委員 医局等の人事なども含めて、その他の件、医者の皆さんの過酷な勤務状態ということもやっぱり懸念されるわけですよ。先ほど病院事業局長は、去年は人材確保だと言っていましたがということで、今もその気持ちは変わらないと。そういう意味では、その現状を改善していかなければいけないという基本的な確保の環境。たくさんの地域に行って探してくる、あるいはみずからの地元の県立病院の勤務形態・状況について改善していくというのは大事なことではないかなと思うんです。
これも昨年あったんですが、医師の皆さんの時間外勤務の時間数についても現在把握されている形で示していただけないかと。実は、昨年の病院事業局長の答弁では、是正していきたいという決意も示されているわけですが、現状どうなっているのか、その取り組みについて、今、伊江病院事業局長としてどう立ち向かっているのかというところを聞かせてください。
○伊江朝次病院事業局長 まず、平成21年度の時間外勤務実績を述べさせていただきます。医師の対象者数288人で、時間外労働総時間数が16万1060時間、1人当たり時間外労働時間が年間559.2時間。1人当たりの時間外労働時間月間46.6時間でございます。一昨年に比べましたら、月にして約3時間ふえておりますが、これは委員も御存じのとおり、昨年は新型インフルエンザがかなり流行しまして、医師の労働時間がふえたのかなと考えております。
○照屋大河委員 流行するインフルエンザ等にも対応していかないといけない。3時間ふえているのがそうだったとしても、現状については一向に変わっていないわけですよ。これは昨年の決算特別委員会で、病院事業統括監は、診療科によっては非常に早急に是正しなければいけないような勤務状態になっているという答弁をされているわけですが、その後1年間、どう取り組まれたのか。
○伊江朝次病院事業局長 今の医師の労働の軽減という御質疑ととってお答えいたしますと、医師の時間外勤務がふえるという一因の中にも、医療業務以外のものもかなりあるということで、事務的な作業を軽減するために、いわゆる医療クラークという事務員を採用いたしまして、その辺のところを軽減するような形でとっております。
○照屋大河委員 流行の病気などに対応してしっかり働くわけですから、そういうモチベーションをしっかりと保ちながらやっていただきたい。一方、時間外については、労働基準監督署から是正勧告がされているんだと。職員との間の協定の締結に向けて頑張っていくというような当時の病院事業局長の答弁がありますが、この辺の進Oはいかがですか。
○伊江朝次病院事業局長 現時点では、精和病院と北部病院の2つがまだ協定を結んでおりません。今、問題点について現場で検討して、できるだけ早く結ぶような形でいきたいと思っております。
○照屋大河委員 さまざまに昨年来の資料などを見返していくと、やはり医者として希望を持って医者になっていく。そういう意味で、働く現場でしっかりと体制を整えるのもそうですが、研修をさせたり、しっかり現場に当たらせる余裕というか、ある意味、その時間を持って医療の仕事をさせていくということが第一なんだ、医者を確保していくことが大切なんだという発言もさまざまにありますが、今確保に向けて、時間外、あるいは先ほど来、不足の部分も年末にかけて頑張っていくという決意もありましたが、確保に向けて現状についてどうなのか。離島・へき地ドクターバンク事業とか、医師会と一緒になって女性医師バンク事業をやっているとか、あるいは、昨年10月からは離島地域医療確保モデル事業などをされているという答弁もありますが、その一つ一つではないんですが、大きくまとめて、医師確保、人材確保の取り組みについて伺いたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 今の医師の人材確保の状況でございますが、数年前に比べれば、私はかなり進歩していると思います。というのは、あのころは、各病院長が飛び回ってやっていたという状況がありまして、病院事業局全体でやっているという感じはなかなか受け取れませんでした。最近は、病院事業局県立病院課の職員が、病院現場と密に連携をとりながら、いろんなつても、地縁血縁はもとより、少しでもそういう可能性のある話があれば、すぐその当人に会いにいってやっているという状況でございまして、このようなフットワークの軽い取り組みをしていれば、いつかそれは実ることだろうと考えております。
○照屋大河委員 ぜひこの連携のもとに頑張っていただきたい。地縁血縁のつながりという意味では、沖縄社会は小さいというか、しっかりとしたコミュニティーがありますし、昨年来の議論も地域に浸透していると思いますので、それは病院事業局と部局だけではなくて、県議会にも広げて、地域にも広げてやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後になりますが、平成21年度沖縄県病院事業会計決算書から1つだけ聞かせてください。2ページの資本的収入及び支出の収入の部のところですが、寄附金のところに927万3600円、中部病院ということで、寄附金は中部病院しかないわけですね。この内容というか、中身を教えていただければと思います。
○平安山英盛中部病院長 沖縄本島中部地域は、2回前の2月20日の集会で、地域からかなりサポートされているということで、寄附のお願いにも回りはしたんですけれども、中部病院を介せずに病院事業局に直接寄附したという方も、後から寄附したよという話はお聞きしました。また、中部病院に直接寄附に来られた方もおります。もともと寄附したいという方はおられるみたいですけれども、まだ僕らの活動が少ないのかなと、頑張ればもっとふえるのではないかと思っています。
○照屋大河委員 中部病院の目の前に住んでいるからということではないんですが、寄附の示された額が中部病院しかないものですから、ぜひ地域にアピールするなり、あるいは私たちも一緒になってやりますし、寄附をいただける仕組みづくりというのですか、そういうのも含めてやっていただきたい。
先週ですが、10月14日、同級生が15年ぶりに第2子を中部病院で出産するということがありました。15年ぶりの2人目の子供ですので、夫婦は自分自身に何かあったらというようなことも話ししていたということですが、10月14日に無事、中部病院で出産することができたということで、この機会に私のほうから、友人の感謝、あるいは安心も含めて、希望も夢も与えて、非常によかったなと思っていますので、中部病院の先生にも感謝を申し上げて質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○奥平一夫委員長 西銘純恵委員。
○西銘純恵委員 今の寄附の話を聞きまして、県民の皆さんが、県立病院というものに対する信頼と医療を守るとりでとして、本当にきちんとやってほしいと、職員の皆さんに対する日ごろの思いも寄せられたのかなと思っております。
最初に、ちょうどこの平成21年度決算のときから、県立病院の再建に向けてという取り組みが始まっているんですけれども、現場での取り組みは、2年前に独立行政法人にするということに対して、県議会も、もちろんシンポジウムも開いたり、地方公営企業法の全部適用でやっている島根県立病院に学んで、県の職員も福祉保健部も含めて学んで、今の県立病院経営再建計画が立てられていると認識しています。現場の病院長の皆さんの声も含めて、病院事業局長もあわせて、実施した初年度の取り組みについてお尋ねしたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 病院の経営再建に向けての現場の取り組みでございますが、一番大きなものは、材料費の縮減プロジェクトではなかったかと思っております。これは、長年の間それに手がつけられなかったということで非常に懸念しておりましたが、民間の知恵を拝借しながらではございますが、病院現場の一人一人がそれに熱心に、真摯に取り組んだ結果だと思っております。今これができている実績を、またもとに戻さないように、常に気を配りながらやっていかなければいけないという状況があると思います。それから、今回は診療報酬の改定もございまして、沖縄県の県立病院事業にとってはかなり追い風になるような改定であったと考えております。
○大城清北部病院長 伊江病院事業局長と同じ御答弁になりますけれども、やはり材料費、薬品費の縮減に一生懸命取り組んでいるところです。ただし、いかんせん人材が不足していて、ドクターあるいはナースに対する負担が大きくなって、かなり厳しい状況です。今後とも人材確保を病院事業局と一緒になって頑張っていきたいと思います。
○平安山英盛中部病院長 やっぱり看護師不足ということで、看護師不足の状況の中で利益を上げて、そのままの状況でコストもふやさないでやる方法がないかということで、病棟の再編をいたしました。南2病棟を閉鎖して、その分小児のGCUというところに看護師をふやしましたし、ICUを2床あけました。その分も含めてですけれども、それからDPCも一昨年から入っていますので、DPCにもなれてきたのではないかなということですね。それで、入院患者の数は大分減ったんですけれども、単価は上がったということで収入は大幅にアップしたということがあります。
○大久保和明南部医療センター・こども医療センター院長 我々の病院でやったことは、職員の意識改革です。経営改革に対する意識をつけること。数年前に独立行政法人化の話があって、我々管理者はとても危機意識を持ったんですけれども、職員一人一人が危機意識を本当に持っているかということを非常に疑問視いたしました。どんな経営体制になっても県立病院をつぶさないようにするためには、やっぱり職員がそういう意識にならないと、形態だけ独立行政法人化しても黒字になるとは私は考えませんでした。
まずうちの病院でやったことは、組織横断的な経営改革対策チーム、タスクチームをつくりました。そういうことで少しずつ経営改善に向かってきているのが現実でございます。いろんな細かいことは、加算点数がとれるとか、そういうことはほかの病院長が今お話してくれたとおりなんですけれども、意識改革から始めなければ県立病院の改革はならんということで頑張ってまいりました。
○安谷屋正明宮古病院長 昨年、宮古病院では、まず各診療科、それからセクション長に対して、経営目標を一緒につくってその達成度といいますか、そういうヒアリングを年2回やっています。それが1点です。それから、例えば薬局とかリハビリテーションなどのコ・メディカル部門に目標を設定して、週ごとに目標達成状況を報告する会を毎週行っております。こういうことは、職員の経営意識に対する意識改革を育てていくという意味で行っているところであります。それから3点目に、病院長への権限、職員採用、臨時的任用職員とか、そういうような権限委譲がありましたので、精神科病棟の看護補助員を増員して、精神科訪問看護の充実を図っているということとか、理学療法士、作業療法士、言語療法士を採用してリハビリテーションの充実など、医療の質とともに経営の向上に努めているところであります。
○松本廣嗣八重山病院長 ほとんど今、安谷屋院長がおっしゃられたような内容で、いろんな各部門、各部署の経営努力、経営に対する意識、そういうものを覚せいさせた後で改善していくという取り組みがなされておりました。DPCとかジェネリック医薬品だとか、経営に資するようなものを、細々したことですけれども、そういうことはすべて取り入れよう、それから、加算がとれるものは、すべて施設の状況を整えて加算を手に入れていくということで努力をしております。
いかんせん、離島での医師の確保あるいは職員の確保は非常に難しいものがあります。しかも、1年ぐらいでごろごろかわってしまうわけです。去年も
17名ぐらいかわっております。そういうふうなことで、意識を植えつけた人たちがどんどんかわっていくという問題点はありますけれども、まずは病院全体の雰囲気を変えていくのが非常に重要なことかと思っております。
○新垣米子精和病院長 精和病院では経営対策委員会を毎月開いておりまして、その中で目標を設定させまして、その検討報告をしております。それから精神科では、国の施策としても入院から地域へという方向の流れがここ数年来ずっとありますけれども、診療報酬でもそういう配慮がなされております。それで、うちでも入院は急性期医療のほうへシフトしていくように、それから、退院を促進して外来部門のほうへシフトしていくというふうな、外来部門では、例えばデイケアでありますとか、訪問看護でありますとか、そういうところを充実させていく。県の役割でもありますけれども、精神科救急の中核でもありますので、そういうところから、あとは急性期病棟を去年からフル稼働していますし、それのスムーズな運営がすぐできるように、ベッドコントロール委員会とかを立ち上げて運営しております。
それから、支出に関しましては、薬剤費が―精神科では最近続々と非定型抗精神病薬という全体的には副作用の少ないお薬が出てよくなったんですけれども、ただ単価が高いということがありまして、できるところからジェネリック医薬品にかえていくことで削減を図っております。
○西銘純恵委員 スタッフが不足している中でも、改善に向けて相当な努力をしてきたという初年度のお話ですけれども、私、医師不足も深刻だと思っているんですが、看護師の確保の取り組みについてお尋ねしたいと思います。
南部医療センター・こども医療センターは、今年度から7対1看護体制ということでやっておりますけれども、その体制に持っていって医療の現場でどのような効果が出ているのか。職員の皆さんが一番変わったのではないかとも思うんですけれども、南部医療センター・こども医療センターの7対1看護体制についての報告と、それを県立病院ですべて実施するということに関して、病院事業局長の答弁ということになりますか、よろしくお願いいたします。
○伊江朝次病院事業局長 今の7対1看護体制の南部医療センター・こども医療センターでの状況でございますが、看護師一人一人が時間的な余裕ができたということで、具体的に言えば、例えば夜勤回数が減少したとか、新人の看護師等に対する支援、サポートをする余裕ができてきたとか、そう評価する声がございます。現実的には、退職者の数も今年度は前年度に比べると減っているということがございます。
それから、ほかの県立病院の状況でございますが、初めて南部医療センター・こども医療センターで7対1看護体制を実施したわけでありますから、これをしっかり検討した上でやっていきたいと考えております。中部病院に関しましては、急性期医療を担っている非常に重要な病院でございますが、7対1看護体制が必要であるだろうとは考えております。
○西銘純恵委員 私は今聞いて、本当に看護師の離職も多いということで、それも看護師になった20代の若い皆さんが1年以内でやめているのが特徴だというところは、今の南部医療センター・こども医療センターの報告を受けて、やっぱり現場に就職したけれども自信がない。どうしようと思っているこの新任の看護師の皆さんを支えていく、いろいろ先輩の看護師の皆さんと力を合わせてやれるという、そういう職場環境が頑張ろうかという気持ちにつながっていくと。今1年もしていませんけれども、お聞きしたところとても感じるわけです。
中部病院が、そのような急性期医療で重要だと思うと言われたんですけれども、これについても、私はすぐ実施するのかなと思ったんです。実施の検討ということでは、ほかのところは検討ということで受けとめましたけれども、中部病院の具体的な実施、ましてや看護師が不足しているということ自体、激務でなれないとか、やめていく人が多いということを踏まえた場合は、やっぱり7対1看護体制にすれば大幅に改善するということを想定できるのではないかと思いますので、その実施の時期についても検討がどうなっているのかお尋ねします。
○伊江朝次病院事業局長 県立病院における看護師の数というのは、日々、月によっても流動しておりまして、確実な数字をつかむのはなかなか困難な状況ではございます。しかしながら、正確にそういった実数に近い数字を今把握するために検討中でございまして、それをもとに関係部局と調整を図っていきたいと考えております。
○西銘純恵委員 結局は、医療の現場、働いている皆さんが安心してといいますか、時間に余裕が持てたということは、患者に対する医療が向上するということだと思うんです。県民は、県立病院に行って手厚い看護を受けるということを望んでいるわけですから、中部病院についてはもともと必要だということは多分この間あったと思うんです。現場の声をどのように掌握されているか、そこもお尋ねします。
○伊江朝次病院事業局長 再三、中部病院の現場には伺って、看護師の皆さんや医師の皆さんからお話を聞いております。そういう意味では、7対1看護体制に対する現場の強い希望というのはひしひしと感じておりまして、私としては十分に理解しているつもりでございます。
○西銘純恵委員 ひしひしと感じている病院事業局長なんですけれども、最後にこの件について中部病院長の御意見、先ほど看護師不足の中でもとおっしゃったんですけれども、ぜひ声を聞かせていただきたいと思います。
○平安山英盛中部病院長 現在、10対1看護体制でも不足で、さらに病床を縮小化しようかという話まで出ている状況なんです。だから、10対1看護体制で続けていくということは、僕らみたいな急性期病院で、重症患者の看護ケア度が3、4以上が30%、40%以上各病棟あるという病院はほかにないと思うんです。10対1看護体制ではもうつぶれていくしかないと思っているので、7対1看護体制は院長としてはどうしてもとっていきたい。7対1看護体制ができなければもうやめると、来年定年退職ですので。
○西銘純恵委員 やっぱり病院そのものが成り立っていかないというところまで来ているということを今聞きましたので、ぜひこれは県議会も県民の声を聞いて、看護体制をしっかりしてほしいというのをやりましたので、次年度と言わず、年度途中でも実現できるような形で取り組んでいただきたいと思います。
次に、個別に宮古病院、八重山病院のがん治療の現状と、治療を完全に地元で実施するための体制についてお尋ねします。
○安谷屋正明宮古病院長 がん治療といいますか、西銘委員がおっしゃるように、離島の病院では、住民の経済的な問題といいますか、沖縄本島まで治療に出てくるというのは大きな問題だと思うんです。我々は、地域の中核的病院としての使命というのは、なるべく地域完結型医療を目指していくのが使命だと思っております。ただ、地域の医療に当たっては、地域で支える医療と集約してする治療というのが必要だと思うんです。そういう点を踏まえて、宮古病院では、例えば平成15年に放射線科の医師を配置して読影する体制はとっております。それから、平成18年度から外来化学療法で、化学療法の患者を外来できちんと治療できるような部屋も設置しました。それから、乳がんに対してマンモグラフィーも整備して乳腺外来などを設置するようにしております。ただ、放射線科治療に関しては、どうしても沖縄本島の病院に行ってやらなければならないという状況があるんです。恐らくは、大体人口40万人に放射線治療施設1カ所ではないかと思いますので、宮古病院で、例えば放射線科が治療するのがどうかということは、放射線科の専門医師の確保、その医師が診る症例数でその医師にとってのモチベーションとか将来的に伸びていく、そういうようないろんなことを考慮しなければならないと考えております。
○松本廣嗣八重山病院長 今、安谷屋宮古病院長が言われたことにほとんど尽くされておりますが、一つには、患者たちの希望というのを優先すべきだろうと思うんです。我々はそういうがんの放射線治療なんかを設置したとしても、患者たちがどれだけそこに来てくれるかということが非常に大きな問題だと思うんです。今、我々は外科医であっても、がんの治療ができる外科医をきちんとそろえておるわけですが、家族が沖縄本島にいるとか、1年で医者はかわっていくんだとか、そういうものが原因なのかもしれませんけれども、沖縄本島あるいは日本本土に対する幻想といいますか、そういうものがあるのかもしれませんけれども、そういうところへ渡られる患者は結構いらっしゃいます。
ただ、その後を我々はずっと面倒見ていかざるを得ないわけですよ。ですから、我々ががん診療連携支援病院と申しますけれども、そういう患者たちの相談に乗ったりとか、いろんな情報を患者たちに提供していくということは、積極的にやっていくべきだろうと思います。
緩和ケアという、がんの末期の患者たちのケアなんかもございますけれども、十分な陣容がないために難しい部分はありますけれども、これもやはり離島であれば進めていかざるを得ないということだと思います。高額な放射線治療というものは導入すればしたで経営的に物すごい赤字を担うということになりまして、それを我々の診療報酬で返していくということしかないわけですから、非常に困難な状況に陥るだろうと思います。5万人の人口に対してそういう機器を1台入れることが本当に正しいことなのかどうなのかということは、よく考える必要があるのではないかと思います。
○西銘純恵委員 県議会でもがん対策推進条例制定をということで動いているんですけれども、今の件は、おっしゃるように、宮古病院や八重山病院という県立病院で高額な医療行為が経営的にどうかというところがあるんですけれども、地元の患者の皆さんが沖縄本島に出てくるときに、そこを別にカバーして支援していく体制ができるのかどうか。いろいろ多面的に検討できる課題かなとは思いますが、そこら辺もぜひ地元で治療されている皆さんの声を受けとめて、また政策的に安心して医療が受けられるという立場で、県立病院のほうでも検討していただきたいと思います。
次に、最後になりますけれども、未収金についてお尋ねします。未収金の内容と対策についてお尋ねします。
○伊江朝次病院事業局長 未収金は約86億6000万円余りでありますが、未収金の大部分、約68億円でありますが、これは2月、3月分の診療報酬であり、翌年度に確実に入金されるものであります。また、個人の負担分の未収金は約18億5000万円であります。
○西銘純恵委員 徴収対策をとられているということなんですが、私は2つ提案をしたいと思うんです。 1つは無料低額診療制度、沖縄県で6カ所の病院で始めていくという民間病院がありましたけれども、お金がなくて、もう県立病院でしか医療を受けることができないという県民の声を聞くのであれば、私はこれこそ県立病院で実現をする必要があると思っていますが、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 無料低額診療事業は、生活困窮者に対する診療の提供の確保を図るという観点から診療費の減免を認めるという制度で、減免した診療費については実施事業者が負担することになります。社会福祉法人等が同事業を実施する場合は、固定資産税、不動産取得税等の税制上の減免措置がありますが、経営再建に取り組んでいる県立病院といたしましては、負担増につながる無料低額診療事業の実施機関となることは、現在のところは困難であると考えております。
○西銘純恵委員 必ずしも負担増になるのかどうかということは、検討してほしいと思います。18億円の未収金があるわけですよ。これを逆にすれば、私はもっと改善につながると思っておりますので、しっかりと検討していただきたいと思います。
もう一つは、未収金対策として、厚生労働省が未収金対策と絡めて医療費の減額免除に対する補助に交付金を半分出すということで9月13日に通知を出しておりまして、これを周知していく方法をお尋ねします。
○伊江朝次病院事業局長 今の委員の御質疑については、詳細を把握しておりませんので、今後動向を注視して、検討していきたいと思います。
○西銘純恵委員 3割の医療費負担ができなくて、重症化して死に至っているという実態から、国会では、市町村に国民健康保険法44条に基づいて3割の医療費を減免する、それに対して交付金を半分出しますというのがありますので、これは県も積極的にやっていただきたいと思います。
最後に、繰り入れについてお尋ねをいたします。繰入金について、平成21年度沖縄県病院事業会計決算審査意見書の21ページ、医業収益に占める他会計繰入金の比率ということでありますけれども、このことについてお尋ねをします。繰入金について、病床1床当たりも含めて、比率についても答弁をお願いします。
○伊江朝次病院事業局長 病床1床当たりの繰入金についてでございますが、平成20年度地方公営企業年鑑に基づき全国と比較すると、全国平均は472万3000円に対し、本県は353万7000円で全国第28位の額となっております。一方、標準財政規模に対する繰出金比率で見ると、全国平均が1.182%に対し、本県は2.552%で全国第3位となっております。
○西銘純恵委員 いろんな比較の仕方があると思うんですけれども、私は、県監査委員の平成21年度沖縄県病院事業会計決算審査意見書の21ページで、医業収益に占める繰入金比率は全国平均より下回っているというところで答弁をいただきたいんです。
○伊江朝次病院事業局長 全国の平均では、最近少し下がってたしか20%ぐらい、大体その半分ぐらいだと思っております。先ほど申し上げましたのは、臨時交付金等がありまして上がってきたという経緯がございます。
○西銘純恵委員 私、繰り入れ1床当たりの額について、特に島根県立病院が地方公営企業法の全部適用にして、経営そのものも、また県民の医療を守るためにも相当先を行っている病院なものですから、島根県立病院の平成21年度決算をお尋ねしたんです。そうしたら、職員数も病床に比べて2.5倍職員が多いんです。そういうところもぜひ参考にされて、そして島根県立病院が繰り入れをしているものでやりましたら、沖縄県は、今現在繰り入れをしているものにプラス30億円繰り入れをやれば―独自ルールを島根県立病院はつくっているということですから、そこら辺を沖縄県は離島にも持っているし、地域性をしっかり出して離島医療を守るとか、そして研修医を送るとか、医師派遣とか、さまざまな沖縄県の課題に対して繰り入れが少ないという立場でもっと頑張ってほしいんですよ、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 委員のおっしゃるとおりでございまして、私、離島の病院の院長をした立場から言いますと、離島医療のいわゆる増嵩費という、全く支援がないというものに対して、ぜひ沖縄県の島嶼県としての独自のものを持って配慮していただければ、宮古病院、八重山病院は大いに助かると考えておりまして、この点はぜひ関係部局と今後ともいろいろ折衝して、調整していきたいと考えております。
○奥平一夫委員長 玉城ノブ子委員。
○玉城ノブ子委員 質疑をさせていただきます。県民の命と健康を守るという重要な役割と使命を担っている県立病院の充実と発展を求めるという立場で質疑したいと思います。
まず、先ほどから何名か質疑も出ておりますけれども、医師や看護師の不足で一部診療科目の診療制限や病床の一部を休床しているという状況にありますけれども、各県立病院の医師や看護師不足の実態と影響額について伺います。
○伊江朝次病院事業局長 現在、診療制限を行っている病院と診療科は、北部病院産婦人科、内科、中部病院眼科、小児科、南部医療センター・こども医療センター小児精神科及び宮古病院眼科であり、診療制限を解消するためには、北部病院産婦人科2名、内科1名、中部病院眼科1名、小児科1名、南部医療センター・こども医療センター小児精神科1名及び宮古病院眼科1名、計7名の医師が必要であります。また、休床している中部病院の52床を再開するためには26名、南部医療センター・こども医療センター14床を再開するためには14名、計40名の看護師が必要であります。
その次に、影響額についてでございますが、病棟、病床の閉鎖解消により増加する収益については、2病院合計で年間約7億円を見込んでおります。
○玉城ノブ子委員 先ほどから議論になっていますけれども、今各県立病院は慢性的に残業の問題だとか、医師や看護師の働き過ぎの問題とかいっぱい出ています。環境が非常に悪化している状況にありますけれども、具体的には、こういう慢性的な医師、看護師不足の実態を、現場の皆さん方からアンケート調査も実施して、その実態をつかみたいということを前に答弁しておられたんですけれども、具体的なアンケート調査はなさったんでしょうか。そういったアンケート調査をなさった結果についても伺いたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 まだ、そのアンケート調査についてはやっていないという状況でございます。
○玉城ノブ子委員 これは1年前の決算特別委員会で、我が党の渡久地委員に答弁しているんですね、今アンケート調査を求めているところだと。各病院でどれだけの医師や看護師が不足していて、どういう環境にあるのか、その実態をまずつかむということが私は前から非常に大事だと思っているんですけれども、では、皆さん方はそれから何もなさってこなかったということなんですか。その実態調査はすぐにやるべきではないでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 現場における不足数とか超過勤務の実態調査はやったと聞いております。
確かに、昨年の決算特別委員会の答弁にございます。しかし、やっていることは毎年やっている、いわゆる現場における人材が何人必要かというふうなルーチンの調査です。これはやっているということでございまして、特別にそのためのアンケート調査をやったということではないようでございます。
○玉城ノブ子委員 今の答弁は少しあいまいな答弁になっているのではないかと思うんですけれども、正確に言うと、皆さんの答弁が、現場から、要するに医師の数が本当に十分な医療をするために必要な数、過剰労働にならないような、診療制限もしないような、そういう数を現場に対してきちんと調査をして、しっかりとつかみますと、そういう調査を調査中と言っているんです。ですから、もう既に調査を始めているということなんですよ。そういう調査をやっていないということですか。
○伊江朝次病院事業局長 今確認いたしましたら、それぞれの現場で何人必要かという調査はして、数字は持っていると聞いております。今手元に置いていないという状況でございますので、もし後でお知らせできるならやりたいと思っております。
○玉城ノブ子委員 では、調査をしたということですね。その資料を後で提出していただけますか。
私たちは、こういう実態調査をしっかりとやるべきだということで、ずっとそう訴え続けてきた立場から、皆さん方がそういうアンケート調査をやって、現場の実態をしっかりつかんで、その上に立って具体的に医師不足、看護師不足の解消、解決をどうしていくかということが大事だと、そういう立場で私は質疑をしているわけです。ですから、ぜひこれはしっかりとやっていただきたいと思っています。
それで、先ほど我が党の西銘委員から、7対1看護体制を早急にきちんとやっていくべきだということがありました。そういう意味では、今の看護師不足、医師不足は大変深刻です。これは前の構造改革で社会保障費がどんどん削減されてきた、医療費が削減されてきた、その結果として、この医療分野で医師や看護師の養成が本当に大きく立ちおくれてきたという問題があると思います。それを早目に取り返して解決をしていかなければならないと思います。そういう意味では、看護師不足を本当に解消していくために、具体的な対策が求められていると考えます。7対1看護体制についても早急に配置をしていくことが必要だと思うんですけれども、これに対する具体的な対策についてもう一回お願いします。
○伊江朝次病院事業局長 看護師確保については、平成21年度から看護師採用試験の年齢制限撤廃、年複数回の実施、県内外の就職説明会、県立看護大学、名桜大学を初め、各看護学校を訪問し、看護師募集を行っております。また、各病院でも独自に就職イベントを開催して看護師募集を行っているという状況でございます。
○玉城ノブ子委員 そういう意味からすると、もっと看護師をしっかり、そういう人材を養成していくということが必要だろうと思います。それについて県が責任を持つということはとても大事だと思うんですね。
そういう意味で、県立浦添看護学校の問題がありますけれども、やっぱり県立浦添看護学校で本当にすばらしい看護師、優秀な看護師を養成していると思うんです。それを県が責任を持って計画的に進めていくということは非常に大事だと思うんですが、どうでしょうか。見解をお聞かせください。
○伊江朝次病院事業局長 もし県の状況が許すならば、僕はそうあるべきだろうとは思います。
○玉城ノブ子委員 ぜひ、県が責任を持って看護師を計画的に養成していくということが、今の各病院の現状がそれを要請しているんだと指摘しておきたいと思います。
医師確保のためにどのような対策が講じられているかということなんです。北部病院では、産婦人科医がいなくて大変深刻な事態になっています。これは一刻も放置できないような事態だと思うんですけれども、その見通しについてどうなんでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 今の件については、先ほどから再三申し上げておりますけれども、年度の後半に当たって、拍車をかけて頑張っていきたいと思っておりますので、委員と同じように、私たちもなるべく早く、一日も早く確保したいという思いでございます。今、それについてはっきりお答えできないのが少し残念でございますが、しっかり見守っていただきたいと思います。
○玉城ノブ子委員 本当に医師不足も大変深刻な状況であります。ですから、ぜひ医師の養成も非常に重要だろうと思うんです。そういう意味で、県立病院が医師養成で果たしている役割、臨床研修医制度、これはもっと充実強化していくことが必要なんではないかと思います。そういう意味で、今の県立病院の臨床研修医制度について、現状はどうなっていますでしょうか。中部病院長もいらっしゃいますので、その現状と今求められている対策がどういうものなのかお願いします。
○平安山英盛中部病院長 中部病院は、皆様も御存じのように、1967年から臨床研修医制度を開始して以来43年間、連綿と臨床研修医制度を継続してきて、人材を育成してまいりました。それで、沖縄県の医師不足の解消に大きく役立ったと僕らは自負しております。これは現状でも医師不足の状況は変わっていないので、この臨床研修医制度を維持発展させていくというのは僕らの責務であるし、県議会の責務だとも僕は思っております。県全体の責務だと思っておるので、この臨床研修医制度は沖縄県が誇るべき制度だと思うので、みんなで育てていってほしいなと思います。
○玉城ノブ子委員 ぜひ、この臨床研修医制度を充実強化していく必要があると思います。
あと、未収金の問題なんですけれども、未収金の回収、西銘委員も触れておりましたけれども、発生する前にその対策を急ぐということが非常に大事ではないかと思うんです。ですから、入院の時点で相談できる窓口体制の確立が必要ではないか。そういう意味で、メディカルソーシャルワーカーの配置体制というのは非常に大事だと思うんですけれども、現状の配置体制はどうなっていますでしょうか。過去1年間で、メディカルソーシャルワーカーが受けた相談件数は何件になっておりますでしょうか。それは正規雇用になっているのか、非正規雇用になっているのかも含めて答弁ください。
○伊江朝次病院事業局長 県立6病院では、未収金に関する相談窓口として、地域連携室に合計15名のメディカルソーシャルワーカーを配置し、医師、看護師、事務部門等と連携して、患者及び家族に対して医療相談、利用可能な社会保障制度の活用や分割払い等の相談及び福祉機関との連絡調整を行っております。
平成21年度、1年間の地域連携室における相談件数は6病院合計で約3万件で、そのうち支払い相談などを含む経済問題の相談件数は約2300件となっております。メディカルソーシャルワーカーの身分でございますが、非正規雇用でございます。
○玉城ノブ子委員 今、県民の暮らしというのは大変深刻な事態になっているんです。ですから、こう入院してもなかなかお金が払えない皆さん方というのは、あって払わないということではなくて、払えない状況に立ち至っているということでありますので、そういうときはやっぱり親身に相談に乗るメディカルソーシャルワーカーの存在というのは非常に大事だと思うんです。しかも、そこは専門性が求められる分野ですので、そういう意味では、ぜひそういうところは正規職員を採用して、どんな相談にもきちんと対応できるような体制をとっていくということが、私は未収金をなくす上でも非常に大事だと思いますので、それを指摘しておきたいと思います。
次の無料低額診療制度なんですけれども、これは沖縄医療生活協同組合が、経済的困窮者が必要な医療を受けられるようにということで、入院・外来医療費の患者一部負担、入院の食事代と病衣代を減免するという制度になっていて、これは沖縄県では非常に大きな役割を果たすことになると思うんです。県立病院でこそ、この無料低額診療制度を実施すべきであると思うんですが、どうでしょう。
○伊江朝次病院事業局長 おっしゃるとおり、公的医療機関がそれを真っ先に考えなければいけないということだとは思いますが、何せ、やはり今は経営再建中でございまして、まずそっちのほうを何とかなし遂げた後に検討したいと思っております。
○玉城ノブ子委員 経営健全化計画を立てている最中だからこそ、そこにこの制度は貢献すると私は思います。これだけの未収金があるわけですから、この制度を導入することによって、それが解決できるわけですよ。ぜひそういう視点でやっていただきたい。しかも、一般会計からの繰り入れの問題がありました。これは一般会計から、繰入額は全国平均が 365万3000円に対して沖縄は235万1000円と、全国よりも129万2000円も少ない額になっているわけです。こういう政策的な医療については、一般会計から繰り入れすることができるとなっているわけですから、これは県民の医療を受ける権利をどう保障していくかということでは、県が一般会計から繰り入れしてでもこの問題を解決していく、この制度を実施していくという立場が必要だろうと思うんです。そういう県民が医療を受けることができるような環境をどうつくるかということを、率先してやっていくべきなのではないかと思っていますけれども、病院事業局長の見解をお願いします。
○伊江朝次病院事業局長 県立病院というのは、やはり県民の支えによって設立されている病院だと思います。できる限り県民の福祉の向上につながるような形で運営できれば私も本望でありますので、ぜひそうやっていきたいと思っております。
○玉城ノブ子委員 ぜひ頑張ってください。
○奥平一夫委員長 以上で、玉城ノブ子委員の質疑を終了いたします。
休憩いたします。
午後0時0分休憩
午後1時23分再開
○奥平一夫委員長 再開いたします。
午前に引き続き、質疑を行います。
上原章委員。
○上原章委員 どうも御苦労さまでございます。平成21年度の決算ということで、午前中、病院事業局長からは診療報酬等の改定が追い風になって、今回収益も非常にいいという話でしたけれども、利用患者の減少というのが私は非常に気になりまして、これだけの患者の皆さんが、患者は少ないほうがいいんですけれども、沖縄県の県民が健康になるということなのか、入院も外来もおのおの3万人近く減少している、この辺の原因というのは精査されていますでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 患者数の減少については、入院患者延べ数では、主な要因として看護師不足による休床の影響等が挙げられ、外来患者延べ数については、主な要因として医師不足による診療制限や勤務医の開業による影響等が挙げられると思います。患者数減少の中で収益改善が図られた要因として、収益面で診療報酬上の各種加算の取得、それから増収に向けた取り組みにより診療単価が上がったこと、一般会計の繰入金が増額されたこと等が主な要因として挙げられます。
一方、費用面では、予算編成段階から徹底した経費削減、県立病院全体で取り組んだ経費削減プロジェクトの実施、低利の企業債への借りかえや一時借入金の圧縮による支払い利息の減少等が主な要因と考えております。
○上原章委員 先ほど、病床の休床が理由だと言うんですけれども、この休床状況を教えてもらえますか。
○伊江朝次病院事業局長 まず、中部病院で52床、南部医療センター・こども医療センターで14床でございます。
○上原章委員 例えば、病院別に見てみますと、今回、北部病院が入院に関しても約3000人、八重山病院が5000人、このような休床等は少し関係ないところもこれだけの外来、入院が減っている。この辺の理由はわかりますか。
○伊江朝次病院事業局長 北部病院と八重山病院に関してでございますが、やはり医師の欠員といいますか、それが影響しているのではないかと。八重山病院に関しては、医師の欠員はございませんが、外来患者に関しましては、たしか八重山病院は減っていなかったと思うんですが。入院患者というのは、どうしてもこの中で行われている医療の状況によっても変わってきますし、それから、やはり在院日数が減っているということです。たしか八重山病院は12日を切るぐらいではなかったかと思いますけれども、これもかなり影響があるのではないかという感じがします。
○上原章委員 あと、中部病院が約8000人、南部医療センター・こども医療センターが1万1000人。休床も、中部病院の52床、南部医療センター・こども医療センターが14床というのは、ことしに入っての休床ですか。
○伊江朝次病院事業局長 中部病院に関しましては、平成21年2月より19床が新たに加わって52床となっております。それから、南部医療センター・こども医療センターに関しては、平成19年11月から14床は休床していると思います。
○上原章委員 外来も、軒並み、ほとんどの病院で大幅に患者数が減っている。この辺は、本当に今後このままの形でこれが推移するのか、ぜひ病院事業局で分析をして、本来、病院に患者がふえないことがいいんですけれども、ただ病院経営の中で、その理由をしっかり把握しないと、経営再建の中で私は後退してしまうのではないかと。診療報酬が改定していくのは大事なことだと思うんですけれども、県民へのサービスが低下して患者が減っているのか、また社会的な厳しい各家庭の中での原因があるのかとか、しっかり検証していただきたいと思います。
それと1点、これは非常に評価したいなと思うのは、低利の企業債への借りかえが非常に功を奏して、支払い利息1億5200万円余りが医療費用として軽減したと。この辺の背景を少し教えていただけますか。
○津嘉山朝雄県立病院課経営企画監 企業債の借りかえにつきましては、原則として借りかえはできないことになっておりますけれども、平成19年度から平成21年度までの間、臨時特例措置として、過去借りた高金利の公的資金について繰上償還できるという総務省の仕組みがございまして、それを活用したところでございます。病院事業局では、経費軽減を目的として、この制度を活用しまして、平成19年度に13億円、それから平成20年度に25億2000万円、合計で38億2000万円の元金繰上償還を実施しまして、その結果としまして、平成20年度から平成32年度までの間で、利息額約10億8000万円の節減ができたということになっております。
○上原章委員 ぜひ、そういったいろんな制度を駆使して、少しでも収益に寄与してもらいたいなと思います。
あと、未収金対策で先ほど来ほかの委員からも質疑がありましたけれども、前年度、個人負担分の未収金が去年も約5000万円近くふえている。平成21年度も同じく5000万円を超える形でふえている。実際、この中身というのはどういった内容ですか。
○津嘉山朝雄県立病院課経営企画監 未収金が増加している要因といたしましては、景気の悪化や所得低下等により、支払い困難な患者が増加し、分割納付申請者とか、分割納付約束不履行者、国保税滞納による高額な個人負担医療費が支払えない患者などが増加していること、それから高額療養費の負担上限額の引き上げなど医療制度の改正に伴う個人負担医療費の増大などが考えられます。
○上原章委員 これは具体的に件数でわかりますか。
○津嘉山朝雄県立病院課経営企画監 払えないというところで、回収困難なものが651件、回収不能の見込みが36件、法的措置を予定しているものが21件ということでございます。合計708件でございます。
○上原章委員 今後、こういった払えない人、非常に厳しい経済状況の中で今後もこういうのが続くのかなと懸念するわけですけれども、病院事業局ではこれらに対する対策というのはありますか。
○伊江朝次病院事業局長 未収金発生防止の対策としては、未収金対策委員会の開催等により院内各部の連帯を強化、それから未収金担当職員、メディカルソーシャルワーカー等による利用可能な社会保険制度の活用や分割払い等の相談業務の促進、救急で来院した場合などの保険証や運転免許証等の身分証明書による身元確認や入院時の連帯保証人への確認の徹底などに取り組んでおります。それから、未収金の回収対策としては、未収金台帳整理簿の電子化による督促業務の効率化、各病院独自に未収金対策強化期間を設けて実施しております。回収困難な未収金債権や発生初期段階における債権等の民間債権回収業者への委託、それから支払い督促の強制執行等の法的措置による回収の強化等に取り組んでおります。
○上原章委員 午前中、仲宗根委員からもこの質疑で、長期の回収について2%台しか成果がないと。もう少し説明をお願いできますか。
○津嘉山朝雄県立病院課経営企画監 長期と申しますか、民間に回収委託をしている債権は、1つは未収金額が5万円以上で、納期限から3年以上経過し、なおかつ債務者の住所不明など病院側で自力回収が困難と判断されたもので、平成21年度の実績といたしまして、委託債権1億8540万円に対しまして回収額が432万円、回収率が2.33%となっております。
○上原章委員 この委託料はお幾らですか。
○津嘉山朝雄県立病院課経営企画監 この仕組みは、回収した額に対して35%を払うということになっておりまして、債権として1億8000万円お預けしましたけれども、実際に回収できたのは432万円、そのうちの35%を委託費として支払っております。
○上原章委員 この1億8000万円というのは少ない額ではないと思うんですけれども、今これだけの─回収できた35%が報酬という仕組みで、なかなかこういった厳しい債権に関して、この形が本当にベストなのか、もう少し病院事業局でこの実態の調査をして、本当に払える人がいないのか、もう少し検証すべきではないかと私は思うんですが、いかがですか。
○伊江朝次病院事業局長 確かに、委員おっしゃるとおり、実際に各家庭を訪問しますと、そう思える方々がいらっしゃいます。ただ、その辺の実態をきっちり検証して、処理するということまでは今までやっておりませんので、今後そういうことは検討していきたいなと考えております。
○上原章委員 低所得者、また本当に生活保護を受けているような人たちもいらっしゃると想定できるんですけれども、こういった方々はしっかりと守っていかなくてはいけないと思うんですけれども、本来払える人が払っていないということは、これは県民のある意味では公平性に欠けると思いますので、ぜひこの辺の強化をお願いしたいと思います。
それから病院事業局長、医師不足、看護師不足についてなんですが、定数というのがありますけれども、平成21年度決算報告の中で、医師に関しては20人欠員だという数字が出ております。これは診療所分も含むということなんですけれども、先ほど10月1日現在7名という話がありましたけれども、残り13名が診療所分と理解していいんでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 欠員というのは、正職員に対する欠員というような形でとらえておりますが、その欠員の中の一部は、いわゆる臨時的任用職員の医師という形で補っております。ですから、それは実態とは少し乖離しております。
○上原章委員 診療所に関しては、医師に関しては十分配置されているということでいいんですか。
○伊江朝次病院事業局長 県立診療所は16カ所ありますが、今のところ欠員になっている診療所はございません。全員そろっております。
○上原章委員 私は、産婦人科医というのは非常に大事かなと思うんですが、離島等の宮古病院、八重山病院、公立久米島病院等は産婦人科医はしっかりされていると思うんですが、ほかの離島に関しては産婦人科医がいるところはありますか。
○伊江朝次病院事業局長 離島で産婦人科医師を配置しているところは宮古病院、八重山病院です。公立久米島病院はいなかったと思います。
○上原章委員 民間もいないのですか。
○伊江朝次病院事業局長 私の把握しているところでは、民間の医師もいないと思います。
○上原章委員 診療所にいる医師は、産婦人科医も兼ねているようなケースもありますか。
○伊江朝次病院事業局長 16の診療所の中で、中部病院で研修した先生方は初期研修の段階でお産を何例か取り扱ったりはします。しかし、産婦人科医を兼ねるほどの力量には達していないと思います。
○上原章委員 今、産婦人科医がいない、いわゆる離島、各島の子供たちの出生数というのはわかりますか。
○伊江朝次病院事業局長 把握しておりません。
○上原章委員 島々によって住んでいる方々の世帯の数も非常にさまざまですけれども、私が聞くところによると、多良間島が沖縄では出生率が一番だと。ということは、全国また世界で一番なのかなと思うんですけれども、離島の産婦人科医療環境が大変厳しい状況だというのを、私は、ぜひ病院事業局でも診療所含めて、その辺の現地の実情というのはしっかり把握、理解していただきたいと思います。
医師不足の根本的な理由を確認したいんですが、先ほど病院事業局長は、県として一生懸命ネットワークを使ってやっていますと。しかし、この医師不足の問題というのは毎年なかなか改善されないような気がして、赴任ができない根本的な理由というのをどう思っていますか。
○伊江朝次病院事業局長 大変難しい問題だと思っております。我々、同業者といたしましても、ある意味そういったことが自由にならないということで歯がゆい思いをしているわけですが、日本の医師の診療科の定数、必要人数、こういうのが国として決められていないですよ。医学部を出て、診療科を選ぶのは各個人の自由裁量に任されている。では、臨床研修をする場でそれぞれの診療科の定数というのが決まっているかというとそうでもないという状況がございまして、やはりこういった医療もある意味安全保障の一環だと私は思うんですが、そういう意味からすると、きっちりと診療科の定数を国として決めるのも一つの案ではないのかなと考えております。
○上原章委員 全くそのとおりだと思います。今回、厚生労働省が全国の医師不足の現状調査というのを今始めたと聞いています。もう一つ、私は知っている医者が何名かいて聞くと、離島医療とか僻地医療にしっかり貢献したいという若い医者とかが全国にいらっしゃるそうですけれども、赴任するための自分自身の身分保障とか、自分の子供の教育の問題とか、さまざまな部分でなかなか踏み切れないと。これは、私は国にしっかりこういった離島医療とか僻地医療に取り組みたいという医者を、国の責任でこれを、ある意味、国立医師バンク的な仕組みをつくって派遣する、そういったことが大事ではないかと思いますが、いかがですか。
○伊江朝次病院事業局長 離島に赴任する医師の件でございますが、沖縄県に限定する限りは、希望者はかなりふえております。これも臨床研修で地域医療として離島の診療所を体験するというのが選択肢にありますので、そういった意味で、離島の地域医療がどういうものであるかというのが若い人たちにかなり理解されてきたのではないかと考えております。ですから、今回の臨床研修制度の必修化でいろいろ副作用といいますか、ネガティブな面も言われますけれども、私は離島の病院にいる限り、離島の診療所の医師に対する若い人たちの関心というのは、10年前に比べたら物すごく高くなっていると感じました。
○上原章委員 ですから、そういったいろんなネットワークを広げる、これは私は県の限界もあると思うんです。ですから、国にしっかりそういった現状を訴えて、国の責任でしっかりこういった離島、地域の医療体制も組むべきだと。そういった環境を整えれば、多くの方々が─先ほど後ろの病院長が、もう一年一年ころころかわると。そういった仕組みを解決しないと無理だと思うんですよ。最後にお聞かせください。
○伊江朝次病院事業局長 先ほど診療所の件に関して述べましたが、病院に関しては、やはり都会の病院と同じように、救急医療とか24時間、365日やるという病院の診療体制、これに関しては、医師たちが全面的にそれを受け入れて、全員がやるという環境には今ないと思うんです。ですから、そういった環境をみんなが参加できるような形に改善していかなければいけないと思いますし、国としても診療報酬制度を改定していって、そういう環境整備をするようになってきたのかなという感じは最近いたします。
○奥平一夫委員長 金城勉委員。
○金城勉委員 どうも大変お疲れさまでございます。朝からの質疑のやりとりを聞きながら、また資料を見ながら、この県立病院経営再建計画の進Oが、かなり皆さんの努力、取り組みのおかげで進んできたなという思いをして大変喜んでおります。そしてまた、皆さんの努力に対して敬意を表したいと思います。
資料を見ますと、この改善状況というものが非常に端的にあらわれておりまして、当年度6億8000万円の純利益、前年度の損失も加味して考えれば、改善額が29億9000万円ということで非常に大きな改善がなされており、その要因についても先ほどから病院事業局長のほうからさまざまな理由、要因が説明されました。一方で、この資料を見ると、医業損失がまだまだ大きいという指摘がなされているのですけれども、その医業損失の大きさについての御説明をお願いします。
○伊江朝次病院事業局長 医業収支は、平成18年度の71億2000万円の赤字から、平成21年度には29億8000万円の赤字へと41億4000万円の大幅な改善となっております。医業収支比率では、平成21年度は92.8%となっており、全国の都道府県立病院の平均84.5%と比較すると8.3ポイント上回っております。
赤字発生の要因といたしましては、近年まで診療報酬の改定が低率で推移していたこと、それから国の総医療費抑制策や民間医療機関の充実等により患者数が減少傾向にあること、祖国復帰後短期間に県立病院施設の整備を図ったことに伴い減価償却費が増嵩したこと、医師、看護師が十分に確保できず収益に影響していること、給与費において離島僻地に勤務する場合の特地勤務手当などで他都道府県に比べて支給額が高くなることなどが挙げられると思います。
○金城勉委員 そういう説明を聞くと、この件についても大きな改善が見られるということなんですね。ありがとうございます。
そういう実績を聞かされると少し疑問が起こってくるのが、地方公営企業法の全部適用が2006年からスタートしました。しかし、このしばらくはその地方公営企業法の全部適用の効果がなかなか出なかった。そういう中で県立病院のあり方検討部会のほうでの独立行政法人化を含めてのさまざまな議論が巻き起こって、それから変化が出てきたのかなという思いがするのですけれども、その辺の地方公営企業法の全部適用がスタートしてからしばらくの間効果が出なかった。しかし、平成21年度から具体的な効果が見え出してきた、この辺の違いはどういうことでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 平成18年4月の地方公営企業法の全部適用、いわゆる全適への移行を受け、病院事業局では経営改革会議を設置し、経営課題の解決方策を協議する体制を整え、平成19年度には診療材料費縮減プロジェクト等に着手しております。平成20年度の予算編成では、予算の枠配分方式を導入して徹底した経費削減等を行った結果、同年度の経常収支比率89.7%となり、平成15年以来の改善につなげております。
平成20年度に県立病院のあり方検討部会が設置される中、地方公営企業法の全部適用のもとで運営責任を負う病院事業局として、平成23年度での経常収支の黒字化等を目標とする県立病院経営再建計画を策定しております。平成21年度からは病院長への権限委譲、経営アドバイザー等の活用等を行いつつ、全職員一体で経営再建に取り組み、平成21年の決算は31年ぶりに約6億8000万円の黒字を計上したと。これらの取り組み効果は、地方公営企業法の全部適用移行による経済性や機動性を発揮した運営体制の確保と、職員の経営に対する意識改革や責任の自覚の芽生えによるものと考えております。
○金城勉委員 やはり仕組みを思い切り使う、あるいはまたそういう改善をさらに進めていく、そういう中で出てきた大きな効果と受けとめております。
それと、やはりその職員を初め関係者の皆さん方の意識の持ち方によってここまで経営の中身が変わってくるのかということで、非常に示唆に富んだ今の説明でもあろうかと思います。
もう一つは、その県立病院経営再建計画の中で指摘がなされました人件費比率の高さが指摘されましたけれども、これについての現状と今後について御説明をお願いします。
○伊江朝次病院事業局長 平成19年度以降の人件費比率は、平成19年度が66.9%、平成20年度が65.7%、平成21年度が64.1%となっています。人件費比率は、分母に医業収益の額を、分子に人件費総額を用いて算出するので、平成21年度が前年度に比べ1.6%改善していることは、医業収益が2.5%の増となっているのに対し、人件費は職員数が増加した中で給料の調整額の廃止により0.13%の増にとどまったことによるものです。
病院事業局としては、全国の黒字病院における人件費比率を参考としつつ、医業収益の確保を図る中で、人件費の適正な管理を行っていきたいと考えております。
○金城勉委員 その後の適正な数値目標というものなどはありますか。
○伊江朝次病院事業局長 今のところ、全国の公立病院の人件費比率の状況―黒字病院でございますが、都道府県の病院では59.2%となっておりますので、その辺が目標にできればと思っております。
○金城勉委員 これはその県立病院経営再建計画の期間中の目標と理解してよいですか。
○伊江朝次病院事業局長 これは長期的な目標と考えております。
○金城勉委員 ぜひ、そういうことも含めて今後の取り組みをお願い申し上げたいと思います。
次に、経営形態についてお伺いいたしますけれども、先ほども触れましたようにこの県立病院の経営について苦しい状況があって、県立病院のあり方検討部会等でさまざまな角度からの議論がありました。私としては、前にもこっちで申し上げたことがあるのですけれども、県民の立場からすればやはり県立病院のあり方は医療提供体制をいかに維持するかが何より重要であり、最優先されるべきことだと思うのです。極端な話、県立であれ、独立行政法人化であれ、そういうものがきちんと担保されることが何より重要だと考えてきたのですけれども、今こうして皆さんの大変な努力の結果、これだけの改善をしてきて、その経営形態のあり方については病院事業局長としてどのようにお考えですか。
○伊江朝次病院事業局長 現在、病院事業は地方公営企業法の全部適用で運営されており、その運営責任を負っている病院事業局においては、県立病院経営再建計画の目標達成に向け職員一丸となって取り組んでいるところであります。
○金城勉委員 いや、私は、そういう努力は認めているので、その上で、そういう経営形態について、今後のあり方についての病院事業局長の考え方をお聞きしております。
○伊江朝次病院事業局長 現在のところ、病院事業に関しましては、この県立病院経営再建計画の実績を見ながら、福祉保健部において県立病院の経営再建検証委員会というものを検討されているという状況ですので、私として今、独立行政法人についてどうのこうのという見解は持ち合わせておりません。
○金城勉委員 ぜひ今後とも頑張っていただきたいのですけれども、一方で、やはり独立行政法人化の議論と、地方公営企業法の全部適用での県立病院経営再建計画との比較は、これからその3年計画を経た上でいろいろ議論がなされていくわけです。ですから、そういうことを踏まえてお聞きするのですけれども、独立行政法人化することによって議会対策等の煩わしさがなくなるとか、自由な形での経営の手法が思い切り発揮できるとか、そのような独立行政法人化の効果を主張する立場もあるわけです。
一方でまた、危機管理の上から、県民の健康と命を守るためには、県立病院は県知事の命令のもとに担保しておく必要があるという見方もあるわけです。ですから、そういうことについてもし見解があればお聞かせください。
○伊江朝次病院事業局長 私としては、経営の効率性を発揮しながら、同時に公共性を発揮する病院事業でありたいと思っております。
○金城勉委員 ストレートに言えない立場もあろうかと思いますので、これ以上は申し上げませんけれども、非常によい形で県立病院経営再建計画が進んでいると評価いたしております。もう初年度でこれだけの実績効果を上げているわけですから、そういう意識改革、そしてまたみんなが一丸となって努力をすれば、そういう地方公営企業法の全部適用の中でもこれだけの効果が上げられるということを皆さんもう示していらっしゃいますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
○奥平一夫委員長 平良昭一委員。
○平良昭一委員 何点かお伺いさせていただきます。県立病院経営再建計画の初年度ということでの努力は十分認めさせてもらっているつもりでございます。その中で少し気になるものが、やはり県立病院の医師不足、看護師不足もそうですけれども、医師不足は7名ということですけれども、看護師の不足の状況はどうなっていますか。
○伊江朝次病院事業局長 現在、稼働している病床に係る看護師の不足は、北部病院で5名、中部病院で11名、南部医療センター・こども医療センターで
22名、八重山病院で16名、精和病院で9名の計63名となっております。
○平良昭一委員 大分不足しているという認識ですが、やはり確保にとって難しい状況だと。いろいろな理由があると思いますけれども、条例定数の関係で、条例等の兼ね合いの中での問題点は全くないと理解してよろしいですか。
○伊江朝次病院事業局長 今問題になっているものは、育児休暇をとっている看護師が67名おります。これを補充しているのが35名なんです。ですから、その差が不足した状況に大きく影響しているのではないかと考えます。
○平良昭一委員 良質な医療を提供するためには、どうしても安定確保が大事だと思うんです。それに対して育児休暇で67名、補充が35名ということで、まだ足りないということですけれども、それに対する対応策をどうお考えでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 看護師確保については、平成21年度から看護師採用試験の年齢制限撤廃、年複数回の実施、県内外の就職説明会、県立看護大学、名桜大学を初め各種看護学校を訪問して看護師募集を行っております。また、南部医療センター・こども医療センター、中部病院、北部病院では独自に就職イベントを開催して随時、看護師募集を行っている状況でございます。
○平良昭一委員 これに対して見通しはどうかということを聞きたいんです。
○伊江朝次病院事業局長 一言で言えば厳しい状況にあると考えております。
○平良昭一委員 この問題はもう緊急的な問題であるんですね。私はこれから触れますけれども、午前中、私が質疑するだろうと思ってあえて触れなかった先輩方もいますけれども、やはり北部病院の産科の問題に関しては、もう真剣に考えてもらわないといけないような状況になっています。
そこで、現在の状況、病院事業局長は年度の後半、拍車をかけて追い込みにかかっているという答弁ですけれども、そうであれば、これは今年度だけの問題ではないんです。5年前からの経緯、その推移と診療体制の状況を説明してください。
○伊江朝次病院事業局長 北部病院の産婦人科に関しては、平成17年4月より常勤医師が不在になっておりまして、産婦人科診療を休止しております。平成19年12月10日付で産婦人科医師2人を配置しております。翌年の平成20年11月10日から医師2人を追加し、4人体制に拡充しております。平成20年12月1日より救急医療を再開している状況でございます。そして、翌年の平成21年4月30日、正職員1人が退職し、3人体制となっております。そのため、平成
21年5月1日から24時間救急対応を制限しております。平成21年10月8日に正職員1人が退職し、2人体制となり、平成22年2月1日、専門医派遣事業で1人を採用し、3人体制となっております。平成22年4月30日に正職員1人が退職し、現在2人体制となっております。
○平良昭一委員 この5年間で24時間体制になったり、また1人減り、2人減り、2人の体制で24時間の体制がつくれない状況が続いているわけですね。それに対して、これまで沖縄本島北部地域の方々は、本当に子供を産もうと思って産めない状況になっていることをよく知っていますか。いわゆる全くいないものと、やる姿勢は見えるけれども短期間でまた変わっていってしまう。いいかげんにしてくれよという問題なんですよ。産みたいという気持ちではないんです。産めない状況まで追い込まれてしまっている、その状況をどう思いますか。
○伊江朝次病院事業局長 そういう沖縄本島北部地域の住民の方々が、産みたいのに産めないような状況になっておるという状況に対しては、私、病院事業局長としても遺憾に思っておる次第でございます。
今の全国的な産婦人科医師の不足の状況の中で、過去にそういった医師を交代でつないで安定的に供給していたということは、大学のいわゆる産婦人科の医局が人材を十分に持ってやっていた時代なんです。ところが、今はそういった大量の医師を抱えて、地域にそういった人材を送れないという状況が起こっておりまして、全国公募とか、一本釣りで地縁血縁をたどって何とか採用している状況の中で、やはり医師各個人の都合とか家庭の事情が出てくると、それを欠員になったときに急遽補うという状況がなかなか難しい事態にあるわけです。
ですから、今のような状況は、本当に先ほど言いました国で診療科の定数をしっかり決めて、必要人数をきちんとやるという体制を組まない限り、現状を打開することはなかなか難しいと思っております。
○平良昭一委員 全国的なものであるがゆえに、沖縄県から声を出さないといけないんです。私たちのところが一番子供が多いのです。それだからこそ言えるんですよ。その辺は国に対して大きな声を上げるべきですよ。現在の沖縄本島北部地域では産める環境整備が全く整っていないんですよ。
ここ10年間で、20代と30代の出産の割合が逆転しましたよね。30代で子供を産むパーセンテージが多くなってきたわけです。当然、ハイリスクの出産が多くなってくるということも頭の中には当然ないといけない。その中で、現在のままで本当に安心して子供を産めるような環境づくりができるかということは大変不安です。
私も立ち会いのもとで3人の子供を北部病院で産ませていただきました。大変よい経験をさせてもらったと思いますよ。しかし、あの状況をヤンバルの方々がつくれないということは大変残念ですよ。
そこでお聞きしますけれども、北部病院の院長、お見えでありますので、現在の状況は十分なケア、そして若者に対する思いにこたえているような病院体制であるでしょうか。
○大城清北部病院長 現在の2人体制では、どうしても診療制限をやらざるを得ないところですし、先ほどから病院事業局長が答えているように、全国的に医師不足、あるいは診療科による偏在、あるいは地域に出たがらない医師、そういった環境の中で、僕自身あるいは病院事業局と一体となって医師集めに奔走しておりますが、なかなか充実できないのが現実です。
ただし、委員のおっしゃることはよく理解しているつもりでおります。人口動態の予測では沖縄本島北部地区は人数がふえるということが予測されています。今あの地域で民間で経営している産婦人科医は2人しかいませんし、その方も高齢です。みんなでどうしていくか、私は真剣に考えるべき時期に来ていると思います。みんなで頑張っていきたいと思っています。
○平良昭一委員 北部病院の院長がおっしゃるとおり、私たちから言うとこれはもう完全に医療格差なんです。これは真剣に考えてもらいたい。とにかくつくる気持ち、そのスタートラインにさえ立たせてもらっていない現状を真剣に考えて、全体でカバーできるような、格差の社会を生まないような努力を今後もしてもらいたいと思います。
そこで、民間の方々、個人病院もあると思いますけれども、沖縄本島北部地域に対して、産婦人科に関して、どれぐらいの民間、個人でやっているところがありますか。
○大城清北部病院長 先ほども言いましたけれども、2件です、2件しかありません。しかもかなりの年齢になってきていますので、将来少し不安です。
○平良昭一委員 この辺からも、沖縄本島中・南部地域に比べては環境が整っていないということもありありとわかるわけですよ。だから、これは県だけの問題ではないんです。個人病院の方々もどう連携をとってその施設を埋めていくかということが大事だと思いますので、その辺も視野に入れながら取り組んでいってもらいたいと思っています。
そこで、沖縄本島北部地域のほうでもハイリスク分娩がかなり多くなるという形になると思います。搬送されることが多くなりますけれども、大変気になっていることが、現在の沖縄自動車道の社会実験です。きょうも雨が降って、私は本部町から来ましたけれども、渋滞です。雨が降ると余計渋滞するんです。そのときに救急車は全く身動きがとれない状況です。その辺に関して、その辺の不安がありませんか。
○伊江朝次病院事業局長 おっしゃるとおり、私も沖縄本島北部地域に行ったときに、行きはよいよい帰りはと。あのゲートで非常に渋滞する、時間帯によってそういう事態があるとは認識しております。幸いお産とか緊急になるのは夜、夜中、明け方が多いから、その辺はクリアできるのかなと思いますが、やはり沖縄本島北部地区から沖縄本島中・南部地区への緊急車両の沖縄自動車道への進入については、こういった高速道路の管理者にも特別のルートをあけてもらえるよう配慮ができればよいかなと、その辺を少し調査してみたいと思っています。
○平良昭一委員 わかりました。この辺はやはりもう県警察とも十分連絡をとり合いながら対応してもらわないと、大事な命ですので。
それと、少し前に新聞等で助産師の問題が出ておりまして、院内助産院を設置する病院が増加しているということがあるのですけれども、それに対しての考え方はいかがなものでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 近年の産婦人科医師の不足の状況を考えますと、その辺の外来業務の役割を助産師に分担できるということで、助産師外来をやるということは大いに意義あると考えております。
○平良昭一委員 それも一つの方法だと思いますので、ぜひ頑張ってもらいたいと思います。
次に、中部病院のNICU―新生児集中治療室の体制についてお伺いしますけれども、現場の施設の基準体制が狭隘になっていると耳にしているのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 中部病院のNICUは沖縄本島中・北部地域の周産期医療の中核となっております。現在、専任の医師5名、看護師25名を配置した体制であります。同圏域では重症児が増加傾向にあり、そのためNICUは満床状態が続いておる状況でございます。
NICUについては、病床数12床、床面積108平方メートルとなっており、1床当たり9平方メートル以上とされる診療報酬上の施設基準を満たしていると考えております。NICUを含めた施設の拡張等については、病院のスペースの問題や経営再建に与える影響及び病院の意向等を踏まえて慎重に検討する必要があると考えております。
○平良昭一委員 これは、厚生労働省の設置基準がありますよね。その設置基準はすべて満たしていますか。またその設置基準を教えてもらいたいと思います。
○武田智県立病院課長 NICUの基準ですけれども、十分な専用施設と専任医師及び助産師または看護師、患者3人に対して1人以上で、先ほど話しましたように1床当たり7平米以上の広さを持つということが基準になっています。
○平良昭一委員 この医師が、常時治療室内に勤務していることも条件ではないのですか。それと、いわゆる当直医が、ほかの病棟と兼任してはいけないということも基準の中に入っていないのですか、それも満たされているのかどうか。
○伊江朝次病院事業局長 NICUについては専従の医師が常時おることになっております。
○平良昭一委員 現在の状態で十分大丈夫だという認識ということでよろしいでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 十分とはなかなか言いづらいところはありますけれども、何とか最低の人数で切り盛りしているのかなとは考えております。
○平良昭一委員 一度見せてもらったのですが、大変狭い状況の中で、看護師の方々がつきっきりでやっている姿を見て、ましてや大変厳しい状況の乳児でありますので、あのままではいけないのではないかということで狭隘というような言い方をしたのですけれども、これの対応策は十分に考えていかないといけないと思いますので、対策を十分立ててもらいたいと思っています。
少し時間がありませんので、次に移らせていただきますけれども、これは福祉保健部にいつも質疑するものですから、1回は聞いてみたいと思ったのですけれども、救急救命医療としてのドクターヘリの充実に関して病院事業局として、現在の1機体制で十分カバーされている状況だとお考えですか。
○伊江朝次病院事業局長 病院事業局のかかわるそういった急患搬送については、離島の診療所、それから宮古地域、八重山地域があると思いますが、現状のところは宮古地域、八重山地域は自衛隊、それから沖縄本島周辺は、夜間は自衛隊で、昼間は浦添総合病院のU−PITSがやっておるという状況を認識しております。病院事業局の中で、現在、ヘリコプターの民間の1機体制、それから自衛隊との連携が足りないという議論にはなっておりません。
○平良昭一委員 大変びっくりしました。命を預かる現場の方がそういう認識であったということは大変残念でなりません。いわゆる沖縄本島北部地域の中で、どれだけドクターヘリの重要性があるかということは、もう小学生、中学生、高校生も踏まえながら、彼ら、彼女らが必要性を訴える活動を展開してきているわけですよ。それは県内皆同じです。命の重さを感じている中で、ぜひ2機目をつくりたい、やりたいということで、少ない小遣いの中から支出している方々もいるわけですよ。それを思いながら、今の答弁では大変残念でたまらない。本当に今の浦添総合病院の1機で十分救える命をカバーできるというお考えですか。
○伊江朝次病院事業局長 今委員のおっしゃるような、そういう急患搬送のデータは、私は把握しておりませんので、先ほどの答弁になったということでございます。
○平良昭一委員 把握していなくてよいのですか。
○伊江朝次病院事業局長 できる限りそういう状況はこちらからもデータを検証して、現場の人間と議論をしてはいきたいと考えております。
○平良昭一委員 同じ救急救命医療ですよ。ぜひ、これはお互いで一緒になって取り組んでいかないといけませんよ。逆に、福祉保健部に意見を提言するぐらいやってください。そう望みたいです。
それともう一点、附属診療所の運営状況、先ほど20カ所のうち4カ所はもう閉まって、16カ所ということでありますけれども、それの運営状況を教えてください。
○伊江朝次病院事業局長 休憩をお願いします。
○奥平一夫委員長 休憩いたします。
(休憩中に、病院事業局長より運営状況に関 して休診中の附属診療所はない旨の説明が あった。)
○奥平一夫委員長 再開いたします。
○平良昭一委員 視点を変えて続けさせていただきますけれども、安田診療所の件に関して、再開に向けていろいろ手助けをするという話も前に伺いましたけれども、それの再開に向けて病院事業局ができることは、どういうことがおありになるでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 安田診療所は、現在国頭村の運営となっておりまして、医療機器等の整備を含めた支援については福祉保健部で行うことになっております。
○平良昭一委員 わかりました。では、これはまた福祉保健部に聞きます。
最後に、監査委員の平成21年度沖縄県病院事業会計決算審査意見書の中でも、改善策は十分認められるということでありますけれども、まだまだ県立病院経営再建計画に基づいて積極的に進めるものがいろいろあるということでの指摘がございます。
その中で、他の都道府県の中で特筆的な改革を行っているようなところとかがあって、この都道府県はよいなというふうな感想等がございましたらぜひお伺いしたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 全国の公立病院は平成18年度から平成20年度までの3年連続で、その70%以上が経常損失を生じるなどの厳しい状況であります。 総務省が公表している公立病院経営改善事例集によると、本県の取り組みと同様に他都道府県でも、まず収入確保策として新規の診療報酬、施設基準の取得、それからDPCの導入、未収金の回収、発生防止等、それから経費の節減対策として診療材料費の削減、後発医薬品への移行による薬品費縮減、委託事業の見直し等に取り組んでいるようでございます。
○奥平一夫委員長 上里直司委員。
○上里直司委員 それでは質疑をさせていただきます。午前中から各委員が質疑をされておりました看護師不足への取り組みについて、私からも質疑をさせていただきます。
先ほども平良委員からの質疑がありまして、病院事業局長から平成21年度から取り組んでいるものについて御答弁がありました。その中で、南部医療センター・こども医療センター、中部病院、北部病院では就職イベントを開催し、看護師募集を行っているとの答弁がありましたけれども、どちらでその就職イベントを開催しているのか、それによって確保できたのかどうか、そこについてお答えいただけますか。
○佐久川和子県立病院課看護企画監 イベントについては、去年までは全体でまとめて県立病院課でやっていましたが、ことしは県立病院ごとに、沖縄本島北部地域はイオン名護店、沖縄本島中部地域はイオン具志川店、沖縄本島南部地域はイオン南風原店のイベントホールをお借りしまして3カ所で行いました。それについて、そのときに実際に採用には至っていないのですが、ただ県立病院が正職員以外でも臨時的任用職員、嘱託職員ということで募集しているのだということを周知する効果はあったと思います。というのは、本人からだけではなく、娘さんとかお嫁さんがまだ本土にいらっしゃると。そういう人たちが、来たいんだけれども仕事はあるだろうかということの相談が幾つかありましたので、今後につながるのではないかと思っています。
○上里直司委員 取り組みとしてすばらしいなと思っております。
それで、先ほども御答弁がありましたけれども、63名でしたか、その中で67名の育児休暇をとられた方がいて、35名の補充はできたけれども、それ以外はできていない状況がそれに反映されていると。とすれば、現状における看護師不足に対応ということは、まずは育児休暇の取得者に対する補充なのだろうということですけれども、これに対して先ほど述べていただいた就職イベントのほかに緊急的にやらなければならないものとか、知事部局とタイアップしてできることは何か御検討されていることはありますでしょうか。
○佐久川和子県立病院課看護企画監 育児休暇の補充に限らず、確保に関しては、まず離職をさせないということと、採用をふやすというところが2つあると思うのですが、1つ育児休暇に関しては、育児時間の短縮勤務で、出産後に、通常3年まで育児休暇をとれますが、それを少し短縮する形で、子供が大きくなるまでは午前中だけの勤務とかいうことの取り入れをしています。それで、実際に1週間に20時間働く職員、24時間で週3回働く職員ということで、それを利用してもらっているというところです。
それともう一件は、ことしから緊急雇用創出の一環として、潜在看護師の発掘というところがありまして、それにも南部医療センター・こども医療センターと中部病院は応募して、国が4カ月分給料を支払って、その再教育をするということでもって自分の技術を確認しながら、それでもし自信がついたら働くという制度もとって、今は中部病院では3人、南部医療センター・こども医療センターで5人の実習をしてもらっています。そういうあたりで、その育児休暇の補充の数が何とか確保できないかという動きです。
○上里直司委員 そういう努力もされていることは承知いたしました。その中で、県立病院においての院内の保育所の設置はどうなっているのでしょうか。どうなっているというのは、既に設置済みなのか、また定員だとか、預ける子供たちへの対応だとか、そこへのケアは十分なのかどうか、見解で結構ですのでお聞かせいただけますか。
○伊江朝次病院事業局長 院内保育所については、まだ現場の職員の希望等の調査には至っておりませんで、まだ検討する段階には至っておりません。しかしながら、やはり現場での看護師、あるいは最近は女医も多いので、そういった医療の人材確保のためには、今後これは早急に検討しなければいけない課題ではないかとは考えております。
○上里直司委員 ありがとうございます。先ほどの答弁からすると、育児休暇の取得する年限を短縮するとか、フレキシブルに育児と、看護と、仕事の両立を図るという点では当然必要なのだろうなと思いますので、当然皆さんのほうはある程度制約のある予算の中でやりますから、ただそういう意味では、その体制もぜひ整えてもらいたい。まずは、検討から始めていただきたいと思っています。
それで、これは現実、目の前にある看護師不足に対して、看護師確保についてのお話を聞きましたが、県内における看護師養成のあり方が今後も議論が続くだろうと。それは看護師の需要に対する供給体制ということなんですが、県立病院として、この看護師を確保する、養成するという、独自でそういう体制をとられるということの考えがあるのかどうか、お聞かせいただきたい。
この質疑をしたのも、実は他都道府県を見ますと、県立病院附属看護専門学校等を設置している病院もありますし、終戦直後にそれぞれ本当にかなり昔ですけれども、名護病院附属看護婦専門学校、沖縄中央病院附属看護婦学校―これが後の琉球政府立コザ看護学校に行くわけですけれども、看護師学校についてそれぞれの―これは今の段階でどうかと言うよりは、今後のあり方としてそういう養成機関を設置するというところについて御見解をお聞かせいただけませんでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 今まで、県立病院が附属看護学校を持ったという過去の経緯はないと認識しております。しかしながら、看護学校の運営に関しては、講師の人材の支援とかいう形で、これは過去からずっと続けてきております。
県立病院については、現在、経営の再建中でございますので、その辺の体力がしっかりついた暁にはそういうこともまた検討の課題であってもよいかと考えております。
○上里直司委員 わかりました、ありがとうございました。当然今、皆さんの目の前にあるのは病院の経営再建ですから、当然そこはもうしっかりやっていただきたいと思うのですが、やはり必要なものはあるべき体制はどうなのかと。そして、本当に医師確保や看護師確保は、もう日本じゅうどこの病院も直面しているわけで、特に企業体になっていますから、それをどのように確保するかは独自の取り組みが必要ではないかと私は考えております。その御意見を聞かせていただけただけでも、私は大変ありがたかったと思っています。
あとは決算審査意見について各委員から質疑がございましたが、何点か質疑をしたいと思っております。
この平成21年度沖縄県病院事業会計決算審査意見書の4ページに審査意見が述べられていますが、その中で、「県立病院が今後とも公的医療機関としての役割を果たすためには、当面の課題である約318億円の企業債残高の削減と、約70億円の公立病院特例債等長期債務の解消等に努めるなど」と書いてあります。私はその企業債残高の削減と、70億円の公立病院等特例債等長期債務というのは、確かにそのとおりなのだろうと思うのですけれども、病院事業局としてこの審査意見のこの部分は、病院事業局長としても同意見なのかどうか、真っ先に取り組む、本当に緊急的な課題なのかどうか、その辺についてお聞かせいただけませんでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 この約318億円の企業債残高の件ですが、これは毎年定額で返済しているという状況でございますが、その中で半分は一応繰入金でやっておる、残りの半分を病院事業の運営で稼いだ利益で、いわゆる内部留保金をつくってやっていくというふうなことでございます。
ですから、建物とか医療機器を購入する際に、今の状況ではどうしても企業債を借りて借金をしてやっているという状況がございますので、病院事業の経営の収支が改善してくれば、いわゆる内部留保金ができてきますので、そういったものをあてがいながらやっていけば、いわゆる借金の金額としてはどんどん減っていくのではないかと。ですから、しっかり体力をつけて、まず内部留保金をつくるということが一番大事ではないかと。そういう意味では、減価償却前の現金ベースで現金を出す、一時借入金はしないということだと思っております。
○上里直司委員 これだけ取り出してどうかという質疑の仕方はどうかという御意見もありますけれども、最初にこれを読んでみると、これがすごく重大な問題なのかと思ったのですけれども、今の病院事業局長の答弁からしても、とにかく内部留保を確保すると。それがあればこれを償還していく力になると。まさにそのとおりだと思いますので、そうすると審査意見とその対応は、食い違うわけではないのですけれども、何を最初に取り組むべきかということについては、病院事業局長の見解のほうがより正しいのかなと思いました。設備を購入するわけですから、企業でも設備の投資については大体長期借り入れで対応して、減価償却やキャッシュフローで返していくということですから、当然この審査意見の最初に出てくることは少し首をかしげたところでございます。
少しまた話は飛びますけれども、この審査意見でも県立病院経営再建計画等についての意見が出されております。私、少し古い資料で、去年の2月にもらった資料がありまして、そのときに案というときに出ていたのですけれども、病院長の権限強化についての基本的な考え方が平成21年度から実施予定と出されていました。これについてもう既に実施して1年間たった段階で、これからすべて取り組んでいたのか、その取り組んだ結果についての御見解、効果についてお聞かせいただけませんでしょうか。
○武田智県立病院課長 平成21年度から病院事業局長の権限の中で、大幅に病院長、現場力を強化するという意味で、大幅に委譲しております。中身については、正職員の定数は病院事業局のほうで持っていますけれども、それ以外については病院長の権限におろしたということです。県立病院ではそういうことを受けて、いろいろな嘱託職員とか臨時的任用職員とか、そこで体制の強化を図って、それが収益、経営改善にも資したというところがあります。
それと、以前は予算も病院事業局で決めていましたけれども、その予算の編成も現金ベースで黒字を達成できるのでしたら、それはもう県立病院のほうでお任せしますと。それで県立病院の機動性が増したのではないかと。そういったことがあって、それだけ平成21年度の改革に結びついているのではないかと考えております。
○上里直司委員 最後に1つだけお聞きしますけれども、固定資産の購入に関する権限で、購入予定価格7000万円未満の購入ということで、これは書いてあるのですけれども、それに基づいて、この決算書にはその期中に購入取得された機器がいろいろ載っております。恐らくその権限を生かされて購入したのかとは想像しているのですけれども、逆にこれを見たときに、本当に必要な機器は、確かに権限が付されて購入できるかもしれませんけれども、果たしてそれでも購入できない、取得できないという機器があるのではないかと思うのです。それについては、取得について可否をどのように判断されているのか、そこを教えていただけるでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 医療機器の整備については、各県立病院において経営状況、優先順位等を考慮して必要な機器の選定、更新を行い、診療行為に支障が生じないように努めているところであります。選定方法としては、各県立病院において医療機器の選定委員会等を設け、経営状況や必要性を勘案し、購入する医療機器の優先順位をつけて行う方法をとっております。
○上里直司委員 各県立病院ごとにそういう選定をされているかと思うのですけれども、病院事業局長がというか、執行部の中で取得をしたいけれども、取得がかなわないという要望等は皆さんでは把握されていますか。要するに、この県立病院だけでは当然判断もできないと。判断はするけれども、取得が難しいということについての判断は、病院事業局長を中心としては、どういう形で取得に関して働きかけをしようとしていますか。
○伊江朝次病院事業局長 各県立病院でそういう医療機器の購入は優先順位をつけて県立病院から持ってくるわけでございますが、その後の選定については、私はまだ未体験ですので、ことしこれから体験することになっておると思いますので、また来年にでも御報告いたしたいと思います。
○上里直司委員 各県立病院にお伺いしますと、かなり古い機器があって、何とかかえたほうがよいのではないかという御意見などを聞かれますので、やはり現場から上がってくる取得したい機器は、それなりのというか、需要がありますし、治療に必要な機器だろうと。そこを何とかしたいという思いもありますけれども、予算に制約もありますし、大変厳しいのだろうという思いをいたしながらも、ぜひその優先順位をかんがみて取得に努めていただきたいということを要望して、終わります。
○奥平一夫委員長 照屋守之委員。
○照屋守之委員 よろしくお願いします。病院事業、先ほどからなかなか大変な議論もされておりますけれども、私も県議会議員として非常に責任を感じております。そのことも含めて、何とか再建をしたいという思いが非常に強いわけでありますけれども、まず初めに病院事業局長、病院事業の経営責任を引き受けた経緯と、現在の心境をお願いできますか。
○伊江朝次病院事業局長 大変厳しい状況のときに引き受けたなとは考えております。しかしながら、県立病院経営再建計画が始まりまして、病院職員の下のほうから病院経営を何とかしたいのだという雰囲気が物すごく伝わってくるのです。そういう意味では、私は、職員みんなに支えられて、推されて、これから乗り出していけるのではないかとは考えております。
それで、少し読ませてください。県立病院は本県における基幹病院として、また地域における中核病院として、救命救急医療、高度特殊医療、離島僻地医療など政策医療を担い、県民のかけがえのない財産として重要な役割を果たしていると思います。
県立病院が、今後ともこのような医療提供体制を維持し、発展させるためには、やはり安定的な運営基盤を築くことが不可欠であると思っております。平成21年度は、県立病院経営再建計画初年度として経営再建が着実に進んでいる状況にあります。今後とも地域において必要な医療を適正に提供するため、中長期的視点に立って計画的な経営を行っていく考えであります。
○照屋守之委員 私は、伊江病院事業局長が引き受けられて、すごい人だなと感動しました。やはり、恐らくほかの病院長もそうですけれども、こういう厳しい病院の経営をこの3年間で再建していくという中に飛び込んで陣頭指揮をとるという、その決意と覚悟でそれに就任されていると思うのです。私はできると思います。ぜひ頑張っていただいて、それぞれの病院長を中心に、それぞれの職員、意識改革をしながら今検討しているということですから、ぜひお願いします。
実は、私はもともと会社を経営しておりましたから、経営には非常に厳しいです。自分が15年間、会社を起こして、この那覇市の地で経営してきましたから、その経営の大変さは本当に裏も表も知り尽くしておりますから、そういう面で以前から病院経営については非常に厳しい指摘をさせていただいております。
この平成21年度の当初計画と今回の決算でありますけれども、その収入と支出、あるいはまた損益の状況と評価というか、その当初計画と今の段階はどのようにとらえているのですか、お願いします。
○伊江朝次病院事業局長 平成21年度当初予算による病院事業収益は452億1412万4000円で、決算は440億9994万6838円となっています。病院事業費用の当初予算額は453億3231万9000円で、決算は429億3985万1021円となっています。その結果、当初予算では純損益で1億1819万5000円の赤字を見込んでおりましたが、決算では11億6009万5817円の黒字となっています。県立病院経営再建計画の初年度として計画を上回る業績をおさめたことから、経営再建が着実に進んでいると考えております。
○照屋守之委員 この平成21年度沖縄県病院事業会計決算審査意見書の中にそれぞれの病院の内容もありますけれども、確かにそういう数字的なものは非常によいような感じがします。ところが、この平成21年度沖縄県病院事業会計決算書の3ページの医業収益と医業費用を比べてみると、ここで29億8000万円の損失になるわけです。これはもちろん減価償却費も入れてのそういう数字です。ところが、トータルではプラスになるわけですけれども、この営業外収益の分が大きいものがあって、そういうもので結果的にプラスということですね。
ですから、ぜひ頑張っていただいて、これが、営業外の収益がなければマイナスになるわけですからね。あくまでビジネス、仕事は収入と支出の中でお互いが勝負していくという、その世界ですよね。これは減価償却の分が入っているから、公の経営についてはいろいろな補助でそういう設備とかがあるわけですから、この分で調整できるような数字もあるはずです。
ですから、ここの分で勝負ができるような体質を一緒にぜひ考えていただければと思っているわけですけれども、先ほどから少しテーマになっております未収金18億5182万円はパーセンテージもさることながら、このぐらいの、例えば384億7000万円の医業収益があります。そのトータルの売り上げの中の未収金というこの18億5000万円というものは大きいのですか、比較してどうなんですか。この売り上げに対してこの分の金額はどのようにとらえておりますか。
○伊江朝次病院事業局長 ただいま未収金が多いか、少ないかという比較を少し持ち合わせておりませんので、何ともコメントしかねる状況でございますが、やはり未収金は1円でもあれば病院経営に影響するものだと考えることが経営の基本だと思っております。ですから、やはりとにかく1円でも少なくするということが私たちの使命ではないかと考えております。
○照屋守之委員 この未収金の累計の残高、例えばこの平成21年度沖縄県病院事業会計決算書にあらわれるこれまでの、これは不納欠損というものもあるのですか。処理する金額もあるのですか。その辺も含めてトータルの未収金の金額は幾らになりますか。金額は平成21年度沖縄県病院事業会計決算書のどこにありますか。
○津嘉山朝雄県立病院課経営企画監 平成21年度沖縄県病院事業会計決算書の9ページをごらんいただきますと、まず流動資産として全体の未収金が86億6000万円ございます。これにつきましては、約68億円につきましては2月、3月分の診療報酬になっておりまして、基本的には年度が明ければ入ってくるという未収金になっておりまして、残りの約18億5000万円がこれまでの累積してきた個人負担未収金ということになっております。
○照屋守之委員 先ほど病院事業局長はこういうものについては余りないほうがよいと、これは当然ですよ。ところが、ないほうがよいといって、あるんですから。
例えば、私が言いたいことは、こういう売上高あるいは仕事に対するそういうふうなリスクというのか、これはどういうビジネスにもありますよ。だから、これを周りのそういう、例えば那覇市立病院はどうだろう、この辺の民間病院はどうだろうとか、ある程度の指標として持った上で経営をやらないと。もちろんゼロにこしたことはないけれども、これは必ずあるわけだから、そういうふうなことをお互いに共通認識として持ちながらそういうことに対応したほうがよいのではないですかということですから。
それと、一般会計からの繰り入れが92億3175万円あります。これの見解です。どういう金額で、例えばこれは3年間続くのかな。特別にこれだけの大きい金額を3年間経営再建のためにやるということの金額ですか、そのことも含めて御説明をお願いできますか。
○伊江朝次病院事業局長 今、委員のおっしゃった92億3175万円というのは、国の経済対策の臨時交付金も含めた金額であると理解しております。平成21年から平成22年、平成23年のこの3年間は定額で84億3300万円を繰り入れする、それを一般会計からの支援として入れていただくとなっております。
○照屋守之委員 この経営再建に対する県当局の今の支援というか、取り組みがあります。それは病院事業局としてはどのように評価というか、とらえているのですか。
○伊江朝次病院事業局長 病院事業の経営が厳しくなったのは、いわゆる建物とか医療機器の投資がこの10年間で相次いでかさんでなったと。その返済が始まるころから、やはり財政的にも厳しくなってきたという状況であります。
企業債の返済に関しましては、すべて繰入金で返済していた過去の時代と違って、やはり病院事業できちんと収益を上げて返済にあてがわなければいけないということがかなり重荷になっていたという状況がございます。この3年間で、少なくともこういった企業債の返済分を補てんしていただくというふうな形になっておるということで、いわゆる経営できちんとルール化された繰入金がなされるということで、病院事業の体質がかなり強化されるのではないかと考えております。
○照屋守之委員 それと、先ほど病院長も含めて職員の意識改革というお話がございまして、私も県議会議員として、この病院経営そのもの自体は、このような事態になるまで、要求ばかりで、我々はなかなかそういう経営的なものを抜本的に改善できなかったという県議会も非常に大きな責任があると思うのです。私は、今2期目ですけれども、1期目からそう感じておりました。
ですから、これはもう一緒に我々の意識も変えながら、要求もよいけれども、この病院事業をどういう形で県民のための医療の機関として存続させるかという非常に大きな責任があるのです。金城勉委員が先ほど言いましたが、とにかく県民のためのそういうふうな病院事業を何とかしたいという思いがあります。
それで、そうは言ってもそれぞれの県の職員が公務員という形で県の職員という形で長年にわたって経営をしてきました。これは一、二年でなかなか変わるものではありませんね。ですから、先ほどいろいろ意識改革という御案内がございましたけれども、具体的にどのような形でそういう意識改革をされているのか、きょうはせっかく病院長の皆様方もいらっしゃいますからその取り組み方も含めて御案内をお願いできますか。よろしくお願いします。
○伊江朝次病院事業局長 委員のおっしゃるとおり、これが一朝一夕にできるものとは思いません。やはり内部からわき起こってこなければ、ある程度外圧が必要ではないかという感じがいたしております。
それに関しては、県立病院のあり方検討委員会で病院事業の問題が大いに議論されたということで、病院事業局に在職する職員たちが本当にまじめにこういったことを危機感として感じてきている状況であると思います。その中で、それぞれの部署でできることを、できることから取り組んでいこうということを、各病院、県立病院課も含めて、今やっているという状況でございます。
○大城清北部病院長 先ほども申しましたけれども、特に経費削減に関しては物すごく意識づけができていると思いますが、僕自身は、やはりやるべきことはまだあるのだろうと思っていますが、今ドクターあるいはナースの人手不足の中では、目標を管理、設定して仕事をやっていくにしても、少しそれが負担になりかねない状況で、それをどういうぐあいに具体化し、チームとして改善していくかどうか少し課題があると思っていますけれども、それだけではどうしようもないので、やはりやっていくしかないので頑張っていきたいと思っています。
○平安山英盛中部病院長 コスト削減では、診療材料費の削減の交渉の中に主治医を交えて、管理者もずっと交えて、その業者と交渉をするとかやってきました。それからジェネリック医薬品への移行に関しても、反対するドクターも多かったのですけれども、いろいろな病院の意見、状況を知らせることによってジェネリック医薬品を入れることができるということがありました。
それから収入増に関しては、DPCの作業部会、それからDPCの勉強会を毎月やっております。そういうことでDPCに対する医療というのですか、そういう意識が特にドクターの中で醸成されていっている状況です。今後も頑張っていきたいと思うので、平成22年度はさらに黒字になるかという予定であります。
○大久保和明南部医療センター・こども医療センター院長 先ほどお話ししたように、セクションを越えたタスクフォースとお話しましたけれども、病院でどういうことが行われていたかというと、経営再建とか診療報酬を請求するにも、これは事務の仕事だとか、これは医者がこうこうしないから事務はこう動けないのだとかいうセクションごとの対立というのか、縦割りの状況がございました。まずそれをなくしたいということで、各セクションから有能なとか、何かやってくれそうな人たちを集めて、自分たちで何とかするように少し考えてみようではないかとしました。
病院で収益を上げるためには、診療報酬のいろいろな加算を取らないといけないのですけれども、これは加算を取るためには専従の看護師とか、医師とかがそこに張りつかないといけないという加算もあるんです。そういうものを日常の診療をしながら、その先生なり、看護師なり、コ・メディカルの人たちに、みんなでそこにくっついてやっていこうではないかというような話になって、協力を得るということが1つございました。
それから、いろいろ現場でどうしようかというときに、例えば光熱費の削減のときに、そのタスクフォースの連中がどんなにしたらエアコンの温度を下げられるか、不必要な電気を消せるかということで、そのスイッチのところに院長の写真をぺたぺた張って、26度以上に上げるなとか、使わない電気を消せということを職員が全部やるわけですよ。
それから、院内の施設を利用して広告事業をしようではないかということで、その業者を頼んでテーブルとか、壁とかそういうところに広告をやったり、うちの病院は正直なところ病院の看板がないんです。入り口のところにはありますけれども、建物にないんですよ。あの大きな建物は何だと言われるようなところもなきにしもあらずなんです。だから、患者に知ってもらうため、来てもらうために看板をつくろうではないかという意見もあって、今、早速つくったところなんです。
そういうことで職員が、どのようにしたら1円でも収益を上げられるかということを考えて、今非常に楽しくやっております。そういう意識改革が少しずつ実を結んでいるのではないかと思っております。
○安谷屋正明宮古病院長 基本的に、私は宮古圏域の医療の質を向上することが一番大事なことだと思っております。ただ、それを継続的に維持していくためには、経営状況を安定的なものにしないといけないということを考えているわけです。
それで経営の鉄則は、僕はやはり収益をふやして費用をなるべく削減することだろうと思っております。先ほども話しましたように、各診療科、セクション長に、こういう目標をしようよという経営的な目標をしています。例えば、入院患者数とか、収益とか、それを年2回話し合いをする。それを改善するためには何が必要かということの話をすることを数年間しております。
それから、例えば薬局とかリハビリテーションに関してはこういう目標を立てようということで週1回ずつ、短いですけれども、10分から15分ぐらいのミーティングをします。そういう形とか、例えば医局の前に患者の数とか収益に関して張り出します。それから院長室の前にも病床利用率について張り出します。というのは、各職員がそれを見て経営を意識するということになってほしいという気持ちでそういうこともやっております。
それから、先ほど大久保院長も言いましたように、診療報酬の加算がいろいろあるんです。それをするためには、このセクションの人をこうしてふやしたりということで加算がとれるわけです。昨年度は病院長へ職員の採用の権限が委譲されましたので、以前は委託職員1人を採用するに当たっても病院事業局と交渉しなければなりませんでした。これが自由にできるようになりました。
それで看護補助員をふやしましたし、リハビリテーションの職員たちもふやしました。それから小児科の医師、外来だけ応援する医師たちもふやしました。そういうことで、やはり経営の収益をふやすということができると考えております。
それから費用縮減というか、それに関しては病院事業局と調整しながら診療材料費の縮減、薬剤費の縮減、それから病院としてはジェネリック医薬品の採用をふやしていくという形で一応経営努力はしているつもりです。
昨年、その結果といいますか、一応2億2000万円の黒字を達成するような状況になっています。今後は、これを継続してどうしていくかということが課題かと思っております。
○松本廣嗣八重山病院長 先ほどの照屋守之委員の県議会の責任もある、それから県議会議員の意識改革も必要で、一緒にやっていこうではないかと。この言葉は非常にうれしいです。意を強くします。
私は、今の病院でやっている意識改革は何かというのは、県立病院の職員たちのプライドを取り戻して、それから甘えをなくすということなんです。それはどういうことかといいますと、よく我々は言われます。患者からではないですが、民間の人たちからおまえたち税金で給料をもらっているのだろう、おまえたち、この建物は県の税金がつくってくれたのだろうと。だから、そういうものは実は間違っているんだということをはっきり示す。我々は自分たちでみずから金を稼ぎ、例えば大ざっぱな計算をしてみますと、税金はわずかその1割をいただいているにすぎないんです。
そうすると、いろいろな中堅クラスの看護師とか職員に聞いてみます。事務職はよくわかっているから余り関係ないのですが、医者もそうですし、看護師もそうです。あるいはコ・メディカルの職員もそうですが、あたかも自分たちは給料をもらっている、だから退職金をもらうのも今月の仕事をするにしろ、しないにしろお金はどうせ税金から来るからというふうな意識でいる方がいるわけですよ。まず、そういうことを末端まできれいさっぱりその誤解を解いて、自分で稼いでいるんだよ、あなたは稼がないで給料をもらうということは、ほかの一生懸命頑張った職員の稼ぎの中からむしり取っているようなものだよということを意識させることが非常に重要だと思っております。
技術的なことは、今各院長がおっしゃったようなことは確かにそのとおりで、我々も地道な努力を重ねております。その成果がよかったり悪かったりですが、しかしながら、最も大切な部分は全部県民の税金、あるいは国民から流れてきた税金をいただいて我々が生活している、そんなことはないのだということでプライドをきちんと持ってもらう。
それから同時に、だからこそ甘えてはならないということなんです。自分たちで一生懸命やらないといかん。それは稼いでいるものですから。入るをはかって出るを制す、これを徹底的にやるしかないわけです。そういうことを意識改革としてやっていっているつもりでおります。
○新垣米子精和病院長 先ほども述べましたけれども、当院でも経営対策委員会というものを毎月開催しております。そして各セクションがそれぞれ目標を立てて、それがどういう進O状況、達成状況なのかということを毎回検証しております。
それから、隔週にはベッドコントロール委員会というものを急性期病棟を中心にやるのですが、これは急性期病棟を動かすためには全病棟の協力がなければできないわけです。このようにして、そこでいろいろなことを話し合うことによって横の連携が非常によくなりました。最近では、本当に入院患者を断るということはなくなりました。そういうことで病床利用率も目標以上を達成しています。
それから、院長への権限委譲ということがありましたけれども、精神科の場合に基本的な診療体制はもちろんですけれども、それ以外に入院医療以外の、さらにその入院から地域へ社会参加して地域で暮らすというふうな方向を目指しているわけですけれども、そこへの移行をスムーズにしていく体制をつくり上げていくことを目指しています。
そして、それにまた国も、ある意味で国は施策もする方向に向かっていっていまして、いわゆる医療の質を上げるということと、経営的な対策が今は何か接点を持っておりまして、外来重視になってきているのです。そして急性期、それからリハビリテーション、外来と言っておりますけれども、うちの病院はこの急性期の中核と同時に、あと処遇困難という子供を抱えております。
それで、一応外来部門に関しては非常勤職員の人たちを雇って、デイケアを充実したり、あるいは訪問看護の充実をしたり、あるいは地域連携を充実させたりということで、一昨年よりはよくなってきている、年々よくなってきています。
それで、これは県議会の御協力も非常にあったかと思いますけれども、去年ようやく精神保健福祉士の職制化もできまして、今、非常によかったと思っていますけれども、まだまだそういうコ・メディカルのスタッフは足りない状況です。それで、またそれもさらにふやしていく必要があると思います。
そういう定数、ソフト面で非常勤職員を雇うという権限は院長に委譲されていてその努力はしていますけれども、確かに成果も上がっていますけれども、これ以上に発展させていくためにはさらにコ・メディカルの充実が必要だと考えております。
それから退院促進についても、うちはどうにもならないところが少しありまして、例えば県内の処遇困難の患者たちを抱えているということがありまして、そこら辺に対する手当てというか、そういうものは、診療報酬は低いままに抑えられています。これは私たちの努力ではどうしようもないところがありまして、政治的な、もっと政策的な対策が必要だと考えております。
そこら辺は現場だけではなくて、県議会議員の皆様にもそういう精神科の矛盾点があるということを認識していただいて、声を上げていただきたいと思います。
○照屋守之委員 ありがとうございました。以上で終わります。
○奥平一夫委員長 以上で、照屋守之委員の質疑は終了いたしました。
休憩いたします。
午後3時23分休憩
午後3時43分再開
○奥平一夫委員長 再開いたします。
休憩前に引き続き質疑を行います。
辻野ヒロ子委員。
○辻野ヒロ子委員 県民の命を守る県立病院の役割は本当に大きく、伊江病院事業局長を初め6つの県立病院の院長、そして職員の皆様、本当にお疲れさまです。伊江病院事業局長は2つの顔があると思います。1つは、やはり医療の行政のトップとしてのエキスパート、そしてもう一つの顔が経営健全化に向けた経営者、民間で言えば会社の社長、2つの顔を本当に取りそろえた方であります。そういう意味では、この財政状況の厳しい中で必ず医療問題、頑張っていただけるものと確信しております。
それでは質疑に移ります。病院事業が、地方公営企業法の全部適用化を受けて運営されております。そういう中で県立病院経営再建計画、平成21年度から平成23年度までということで今進めておられますけれども、その進O状況についてお伺いします。
○伊江朝次病院事業局長 県立病院経営再建計画で掲げた3つの目標のうち、不良債務の解消については公立病院特例債の活用により平成20年度において達成しております。
経常収支の黒字化については、平成21年度において約7億4000万円の経常黒字となり、計画より早期に達成できております。
100億円の資金不足の解消に向けては、平成21年度末で資金不足額10億8000万円となっており、計画より大幅に削減が進んでおります。
このように平成21年度は県立病院経営再建計画の初年度として経営再建が着実に進Oしている状況であり、今後とも計画の達成に向けて全力で経営管理に努めていくつもりでございます。
○辻野ヒロ子委員 ありがとうございました。本当に1年目、平成21年度の総括ですけれども、着実に進められていることにほっとしております。でも、きょうは朝からいろいろな質疑の中で、かなり問題も多くあります。そういう中で、県立病院の経営効率化のための経営効率化アドバイザリー会議というものを導入しておられますけれども、その成果についてお伺いします。
○伊江朝次病院事業局長 経営効率化アドバイザリー会議は、平成20年度に公立病院改革ガイドラインに基づく公立病院改革プランの策定に当たって、経営の効率化を図るための方策等について専門家の提言や助言を受ける目的で設置いたしております。
平成21年度からは、経営再建期間中の各年度の取り組みについて提言等を受けております。具体的に委員からは、他都道府県の経営改善に関する取り組み事例のほか薬品や医療材料の適正管理とコスト削減、診療報酬改定への対応や施設基準取得についての検証、職員の意識改革のための研修の充実や経営状況の開示等、貴重なアドバイスを受けております。
病院事業局においては、提言を踏まえた経営改善策に取り組むことで収益の増、費用の縮減等を図っており、平成21年度決算にも反映されたものと考えております。
○辻野ヒロ子委員 次に、未収金の縮減についても診療報酬の外部委託で回収率の向上を図るということで、平成19年度から全県立病院で行っておりますが、その導入の成果はいかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 平成19年2月より実施している未収額が5万円以上で、納期限から3カ年以上経過し、かつ債務者の住所不明など病院側で自力回収が困難と判断されたものであります。平成21年度の回収委託実績は、委託債権約1億8540万円のうち回収額が約432万円で、回収率が2.3%となっております。
平成20年度からは北部病院で試験的に導入した発生初期段階における未収金の民間回収委託を平成21年度から中部病院、南部医療センター・こども医療センター、宮古病院、八重山病院の4病院にも導入したものであります。
初期債権については、平成21年度の回収実績は84.37%で、各県立病院とサービサーの共同管理としていたことから、サービサーの効果額を案分すると委託効果額約4865万円、報酬総額約2006万円に対し経営効果額は約2860万円となっております。
○辻野ヒロ子委員 このように、病院の経営再建に向けていろいろ御努力をしておられる様子がうかがえました。そこでまず、朝から質疑が出ております医師、看護師不足の対策についてお伺いしたいと思いますが、離島僻地医療の充実のために医師、看護師の人材確保をしっかりやっていただかないといけないと思うのですけれども、その中で特に私、県立八重山病院は自分の出身地でありまして、きょうは松本院長もお見えですけれども、現場の状況を踏まえて特にお話に伺いますと、内科のドクターが不足しているということで、今、診察の受け付けも午前11時までとか、そう時間を制限したり、もちろんかかりつけの民間病院に行ってくださいということも促しながらいろいろ試行錯誤をやっておりますけれども、そういう中で、話によりますと、9名おられる内科の先生が来年の3月には8名行かれるということで、大変心配をしておられまして、特に松本院長、今頭を痛めて、夜も眠れないのではないかという思いですが、その件について認識しておられるのか、病院事業局長も11年間八重山病院で勤務をしていらしたので、八重山病院の事情は一番詳しいと思いますので、見解を伺います。
○伊江朝次病院事業局長 離島地域については、その地理的条件を踏まえ、可能な限り地域内で完結できる医療体制の充実に努めていく必要があると思っております。
その中で、医師の人材確保は大変大きな課題でございまして、なかなか一朝一夕に片づく問題ではないと認識しております。毎年のようにかわる医師をいかに確保していくか、これは私が11年間在職しておりまして、もう年度の後半からはいつもそのことで頭がいっぱいでございました。そういう意味で、現在務めていらっしゃいます松本院長のお気持ちはもう十分にわかるつもりでございますし、病院現場とも連携を本当に密にとりながら、とにかく1人の欠員も出さないように何とか人材確保に頑張っていきたいと考えております。
○辻野ヒロ子委員 ぜひ現場の松本院長のお声もお聞きしたいのですけれども、その件につきましてよろしくお願いします。
○松本廣嗣八重山病院長 確かに今の予測では、内科の医師が9名おりますが、そのうちの8名が入れかわってしまうということですが、8名が全員すぐ補充がきくという状況ではありません。これは先ほど病院事業局長もお話しになりましたように、病院事業局の篠ア医療企画監とその担当者が同時にいろいろなところに働きかけて、医師の確保に今鋭意努力をしていただいているところです。
地元の大学への依頼とかもいろいろやっておりますけれども、受ける側もなかなか医師の確保ができていない状況がありまして、かなり難しい状況になると思っております。
この状況は何も内科ばかりではなくて、それからこれまで産婦人科、小児科が有名ではありましたけれども、全国的に見まして、いろいろな手技療法をやる診療科に進もうという臨床研修医やら医学生がどんどん減っているのですね。ですから、外科系も物すごい勢いで減っています。特に一般外科などをやる方たちは、産婦人科の医師が減るよりも大きい勢いで減っているという状況が全国的にあるわけです。その中で医師を確保しようというわけですから、非常に難しい。沖縄県が今まで非常にうまくやれたのは、確かに県立病院でみずから医師を育てる、育成するという作業をずっと続けてきたからなんです。これはもう県の大きな支援があったためにうまくできたことですが、結局、大学だけに依存しているような体制で動いていた病院は、日本本土の中では非常に難しい状況に追い込まれて、診療科を閉じるとか、そういう問題が起きてきたわけです。
その影響が徐々に徐々に、じわりじわりと我々の沖縄県にも及んできつつあるのが現在の状態だろうと思います。ですから、我々はそのように人材確保をやろうと一生懸命やっておりますけれども、これから先、これまでのように医師の補給がきちんとできるかということはかなり疑問があると思っております。
○辻野ヒロ子委員 医師確保の問題は、先ほどお話が出ておりますように、本当に病院事業局だけの問題ではないと思うんです。私たち県議会も、それから県知事を先頭に、一緒になって県の部局を挙げてみんなで取り組まなければいけないと思うんです。病院事業局長だけの責任でもないし、県立病院の院長だけの責任でもないと思うのです。そういう意味ではもっと声を発していただいて、協力体制を、知事を先頭に、県議会議長を先頭にというぐらい、そういう沖縄県の大事な問題だと受けとめておりますけれども、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 委員がおっしゃるとおりでございまして、委員からそのようなお言葉をいただくということは大変心強い限りでございます。これまで何とかやりくりできてきたことも、やはり沖縄県が臨床研修医事業をしっかりやってきたからという経緯があると思います。
しかしながら、それだけでもやはり医療現場からの人材のニーズは年を追うごとに高まっているわけです。従来の限られた人数ではとても対応できない。県民の患者の皆さんもニーズがいろいろと多様化しておりますし、それに対応するためにはやはり多くの人材が必要だと思います。だから、今までの経緯で人材確保はかなり難しいと思いますので、ぜひ県を挙げてそのように取り組んでいただければ、私たちも非常に心強い限りでございます。
○辻野ヒロ子委員 ぜひ、国へも職員定数の問題を訴えて、知事を先頭にやっていただきたいと思います。
それでは、次に看護師不足の採用の年齢制限とか、また復職支援を図るために嘱託職員の看護師または非常勤看護師など働く条件がかなり融通されましたけれども、その成果と、経営計画が始まってから3年間の看護師の採用人数をお願いいたします。
○佐久川和子県立病院課看護企画監 平成21年が187名、平成20年が117名、平成19年が134名です。
成果ですが、1つは年齢制限が撤廃されて、見込み者がなくて既卒者になるものですから、病院現場にとっては経験があるということで即戦力になるというところがあります。その中で、またさらに認定看護師という資格を持った方が採用になったということがあります。
それから、嘱託看護師については先ほどもお話したのですが、今までフルタイムの方ではなくても、1日に4時間だけの人とか、夜勤ができないという人たちも採用できるということになりました。
○辻野ヒロ子委員 今、63名も不足しているという看護師ですので、まだまだ努力をしていただかないといけないという思いですので、ぜひまた頑張っていただきたいと思います。
それと、八重山病院が去る7月から助産師外来を始めて大変好評ですけれども、松本院長、少し状況を教えていただけますか。
○松本廣嗣八重山病院長 助産師外来開設の経緯につきましては、当院は八重山地域で唯一お産ができる病院でして、年間600人強の出産があります。それを4人の医師で診察をしているわけです。そうすると、そういう慌ただしい外来の中で医師とゆっくり相談することもできないという患者のニーズに何とかこたえることができないだろうかということをきっかけに、当院の助産師が、助産師としてのスキルを生かすことによって、患者が満足のいく、安心で安全なサービスを提供できるのではないかと。4名の医師というわずかな数で頑張っているわけですから、さらに医師の負担軽減にもつながるのではないかということで開設いたしております。
助産師の数は、今、当院で17名おります。妊婦健康診査と産後の健康診査を行っております。実績としましては、8月が妊婦健康診査は138件、産後の健康診査が79件、それから9月は妊婦健康診査が136件で産後の健康診査が74件です。患者側の声を聞きますと、個室で時間をかけてゆったりとした診察を受けられるということで、いろいろな悩み事にもこたえていただけて非常に好評であります。
○辻野ヒロ子委員 市民の間でとても喜ばれている外来ですけれども、数字もかなり上がっています。そういう意味では、ぜひ継続していただきたいのですが、助産師をずっと継続させるということも、また退職したりする方も出てきて大変だと思うのですが、ぜひよい制度は継続してやっていただきたいと思います。
それでは次に、今、南部医療センター・こども医療センターが7対1看護体制を実施しておられるようで、できれば全県的にそうやっていきたいのですけれども、そうすることによってまたほかの病院で少ししわ寄せがないのかなという不安もあるのですが、伊江病院事業局長、そのあたりはいかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 南部医療センター・こども医療センターにおける7対1看護体制の実施に伴う看護師増については、採用枠を広げる等で新たな看護師を確保し、他の病院への影響がないように適正に配置していきたいと思っております。
○辻野ヒロ子委員 ぜひ、そういう決意のもとでほかの病院へも広げて、むしろ看護師をもっともっと採用しながら緩和していくという形でよろしくお願いしたいと思います。
あと、夜間等の救急医療の状況がかなり厳しい、医師が不足している、特に八重山病院でもそうなんですけれども、それをぜひ民間病院の医師の協力を得てローテーションでできないのか。特に、八重山病院のことについてですけれども、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 現在、八重山地域における救急医療については、八重山病院及び民間医療機関の2医療機関で実施しているところであります。産婦人科、小児科、脳外科、皮膚科、眼科及び耳鼻科の時間外救急については八重山病院のみで対応しております。
救急医療への民間医師の協力については、今後の可能性も含めて検討していきたいと考えております。夜間の医師の勤務負担軽減のため、市町村及び地元医師会と連携して、コンビニエンス受診の抑制などに努めていきたいとも考えております。
○辻野ヒロ子委員 この件は、私は6月定例会の一般質問でも申し上げましたけれども、ぜひ市町村とも連携をしていただいて、民間病院の医師もうまく活用というのでしょうか、やっていただければ夜間の救急医療などもスムーズにいくのではないかと思います。その点はよろしくお願いします。
それを何か宮古病院は実施しているというお話を聞いたのですが、宮古病院長、いかがでしょうか。
○安谷屋正明宮古病院長 宮古島市が運営している宮古休日・夜間救急診療所というものがあるんです。平日は午後6時から午前0時まで、それから土曜日、日曜日、祝日が午後2時から午前0時までの間、専属の医師と、あとは宮古地区医師会の先生の応援、それから宮古病院の医師の応援体制でやっているわけです。それで、一応今、新病院の基本設計、それから実施設計をやっているところなんですけれども、その中で同じ病院内に宮古島市が運営する一次救急を担う宮古休日・夜間救急診療所と宮古病院の救急室が隣り合わせで1次、2次の部門を役割分担しながら担っていく計画を今進めているところです。
○辻野ヒロ子委員 以前は、石垣市も独自でやっていたのですけれども、それをもうやめたのです。そういうことで、今度はまた新しい試みでぜひ民間との連携、市町村との連携でよろしくお願いしたいと思います。
それでは最後に、今、宮古病院長から、宮古病院の実施設計にもう入っているというお話が出て、うらやましいなと思います。たしか昭和51年か昭和52年あたりに宮古病院は建築されているのです。その三、四年後に、昭和55年ですか、八重山病院が建設されて、もうかなり老朽化しまして、耐震強度も厳しいと言われておりますので、八重山病院の実情を一番知っていらっしゃる伊江病院事業局長、この八重山病院の改築のめどはいつごろになるのか。また、建設に向けての検討委員会の立ち上げまでぜひお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。
○伊江朝次病院事業局長 県立八重山病院については、本館及びこころ科病棟が昭和55年の完成で、築30年が経過しております。宮古病院に次いで古い建物になっております。しかしながら、今年度中に新宮古病院の整備工事の着手を予定していることから、現在の県立病院全体の財政状況からすると、八重山病院の改築までにはある程度の期間を要するものと考えられます。
今年度は、耐震改修等工事を実施し、地震に対する安全性を確保するとともに必要な修繕等を行うこととしております。
○辻野ヒロ子委員 昨年は、知念病院事業局長はできるだけ早くという言葉を使ったのです。そうしたら、今少し後ずさりしているような気がしているのですけれども、実は新石垣空港も2年数カ月後に開港予定なんです。その後、現空港の跡地利用の問題で、今、県立八重山病院を建設したいという石垣市の意向もありますので、そういう意味では宮古病院はもう10年前から検討委員会を立ち上げて取り組んだんですよ。それで、もう八重山病院は遅いのではないかという思いがするのです。そういうことで、ぜひ伊江病院事業局長が在任中に芽出しをしていただきたいのですけれども、もう一度よろしくお願いします。
○伊江朝次病院事業局長 委員がおっしゃるとおり、私は11年間ずっとあの屋根の下で暮らしておりました。御存じのとおり、西側の半分はまだまだ使いでがあると思いますが、昭和55年に完成した東側部分はかなり老朽化が進んでおります。この辺については耐震化工事で何とかしのごうという状況がございまして、過去の病院建築は、宮古病院、八重山病院のタイムラグですけれども、たしか3年ぐらいだったと思っております。できるだけそういうめどでやりたいという気持ちはあります。しかしながら、今経営再建の最中でございますので、それでしっかり体力をつけて、一日でも早くやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○辻野ヒロ子委員 はい、終わります。ありがとうございました。
○奥平一夫委員長 桑江朝千夫委員。
○桑江朝千夫委員 これまでの答弁をお聞きしまして、病院事業局長初め県立病院長の健全化に取り組んできた実績が見えてきた、改善されたということで、大変自信満々な答弁で、大変頼もしく思っております。
そして、この平成21年度決算をもって今後病院経営をどうしていくのかということになるのですけれども、この質疑は金城勉委員が質疑をしたそれ以上の答弁はないと思っております。あれが病院事業局長の今できる答弁かなと思っておりますので、これでよしといたしますが、通告といいますか、これまでに聞きたかったことは随分重複しているのですけれども、新たなところで興味がわいてきたものですから、別な視点をお聞かせください。
入院患者、外来患者、その両方の患者予定量を立てた、そして5つの県立病院に関しても、全体的にも、外来にしろ入院患者にしても予定量を下回っている。しかし、下回っているにもかかわらず改善をされてきたと。その因果関係を知りたいんです。診療報酬のアップとかジェネリック薬品の使用とか、好材料はあるとは聞いておりますが、それ以外の因果関係を知りたいです。
パーセンテージにすると、入院患者は全体で6.8%とか、外来患者は2.6%下回っているということですが、パーセンテージにすると小さいみたいですが、入院患者数にすると、外来患者数にすると、これは延べでしょうが、入院患者で4万9000人余り、外来患者で2万1900人余の予定量が下がっているにもかかわらず、改善されたと。その因果関係をお教えください。
○伊江朝次病院事業局長 現在のいわゆるDPCの診療体制の中では、長く置けば置いておくほど診療報酬としては下がっていく。できるだけ短期間で治して帰すということが、ベッドの回転も含めた効率がよいという状況がございます。
そういう意味では、県立病院は長い間できるだけ費用をかけないで患者を治していったという経緯がございます。今の診療報酬の体系がそういった状況にマッチしてきたということだろうと考えております。ですから、患者数はあくまで延べ人数ですから、やはり新入院患者数をできるだけ減らさない、ふやすということが大事ではないかと考えております。
○桑江朝千夫委員 医師不足、医師の確保が叫ばれていますが、この患者数は延べで減ってはいるが改善されている。ぎりぎりでどこまで患者数を減らすことができるかは試算できますか。
○伊江朝次病院事業局長 病院事業もいわゆる企業ですから、損益分岐点というものがあると思います。その辺からじっくり検討していきたいと思いますし、やはり、と同時に病院現場では医師の、あるいは看護師の労働の過重を何とか軽減していかなければいけない。そういう意味で地域の開業医、あるいは民間病院の方々と病診連携、病病連携をしていかなければいけないということもございますので、その辺の落としどころはまだしっかりつかんでおりませんので、今後検討の課題として考えていきたいと考えます。
○桑江朝千夫委員 急な計算を要する質疑をしまして済みませんでした。しかし、病院事業局長が新入院患者数をふやさなければならない、これは経営の面から見て当然のことだとは思うのですが。これまでの質疑の中で医師の大変過重な労働、残業時間、特に産婦人科の先生、そして今もう小児科の先生は自分の子供はいるのだけれども、その子の授業参観へも行けない、運動会も見にいけない、そういった労働条件の中で一生懸命やっているわけです。
これまでの答弁の中で、1人の医師が月平均46.6時間、年にしますと500時間余りの残業をしている中で、私がそれを聞くというのは患者数を減らす、医師の確保に努力していく。その一方で、確保をするほかの方策として、患者数というものの取り組みも必要ではないかと思っているんです。というのは、私はこの間、兵庫県の柏原病院の取り組みをある人から聞かされまして、地域の方が簡単に県立病院、救急として救急車を使い過ぎる。コンビニエンス的に信頼できる県立病院に簡単に行ってしまう、そういう状況をなくそうではないかということが、保育園に通っているお子さんを持った親御さんたちから出て、そういう運動が広がっているわけですね。
急を要する重篤の患者に1分でも早く診療してもらうためには、我々がそういう意識を持つ必要があるのではないかと。これはよい運動だし、これがひいては医師の労働にもあるところでつながってくるのではないかと思っているんです。
一方では医師確保に努力をしながら、一方では地域の方とこういった入院患者、外来患者を、あるところ、今回のこの決算特別委員会の中ではかかりつけ医師という言葉が全然聞こえてこなかったのですが、インフルエンザがはやったときに大パニックになるぐらい、だからかかりつけ医師という言葉を出して、つくりましょうという運動もあったわけですが、今回これが聞こえないのですが、こういった取り組みはいかがですか、病院事業局長。
○伊江朝次病院事業局長 今回、確かにかかりつけ医という言葉は一言も発しておりません。これは現実にもうやっていることでありまして、外来患者の減少は、直接的にはそういうことも結びついていると思います。
しかしながら、かかりつけ医の先生方はほとんど日中しかやっておりません。そうなると時間外というのは、どうしてもオープンしている医療機関が限られてくる。その時間外の役割を担うものが、やはり中核病院の、今は県立病院であることは紛れもない事実ですので、その辺の対応への体力を温存するためにも、日中のかかりつけ医の先生方がやっているときにはできるだけそこで対応できるものはしていただきたいということはずっと継続してやらなければいけないことだと考えております。
○桑江朝千夫委員 こういった運動は病院事業局ではなくて、啓蒙していくことは我々の使命、役目だろうと思っていますので、そういった部分で、あるところ、出発していきたいと思っています。応援をよろしくお願いいたします。
最後に、特に私の出身は沖縄市ですので、中部病院の先生が発した意見で印象に残っているのは、7対1看護体制ができなければやめるぞ、定年だからと言ったのですが、これまで、今回、経営健全化されたその実績も踏まえて、こういったことをかけられた、7対1看護体制やるぞといった意気込みと、今後これから後輩に残していくために、もう数カ月ですよね、平安山先生。これを聞いて終わりにしますが、ぜひとも後輩等によきアドバイスをお願いします。
○平安山英盛中部病院長 7対1看護体制に命をかけております。皆さんは政治生命と言いますが、僕は院長生命です。7対1看護体制を獲得するために、僕らはもう去年からあちこち回っていっています。例えば名桜大学の看護学校へ行って―当時、伊江病院事業局長はまだ院長でしたけれども、僕と2人で行って、どんなに県立病院がすばらしい医療をしているのかということを1人ずつ1時間ぐらい講演してきました。
それから、ぐしかわ看護専門学校にも院長として2時間講演に行ってまいりました。その中で、ぐしかわ看護専門学校は民間の中部地区医師会の看護学校ですけれども、ぜひとも中部病院に来るようにと宣伝してきたのですけれども、おかげさまでぐしかわ看護専門学校から県立病院への希望者が非常に多かったと。特に、中部病院への希望者が多かったと聞いております。
僕が残せるものは、もうこの7対1看護体制、それと経営的にもうまくいっている状況を残すしかないと思うので、残った4カ月か、5カ月か、これはわかりませんけれども、それに命をかけて頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。
○桑江朝千夫委員 ありがとうございます。
○奥平一夫委員長 吉元義彦委員。
○吉元義彦委員 伊江病院事業局長初め、それぞれの院長初め職員の皆さん、大変御苦労さまでございます。最後になりますともう重複しているのですが、通告してありますので、ぜひ何点か質疑をさせていただきたいと思います。
先ほど、やはり県民の命を守るということでそれぞれの院長がら意見を申し上げられました。今回、特に材料費の縮減プロジェクトの継続や職員の意識改革の立ち上げとか、経営目標、病院長への権限委譲、職員の採用等の計上があったとか、経営改革委員会目標設定等がされたということが大変功を奏したのではないかというふうなことをお話されていたわけであります。
そういう中で、昨年もお話がありましたが、材料費、特に医薬品の病院事業費の比較を見た場合、今回2億6000万円減少している。今回は後発医薬品、いわゆるジェネリック医薬品が大きかったのではないかと思っておりますが、今後もこのように医薬品とかで縮減できていくのかどうか。これはこの薬品費縮減プロジェクトのチームの取り組みが一番功を奏しているとお伺いしているのですが、その点お聞かせ願いたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 薬品費の今後の縮減の見通しについての御質疑と考えますが、材料費につきましては薬品費、診療材料費縮減プロジェクト及び後発医薬品の採用推進等により費用縮減に努めているところでございます。
薬品費、診療材料費縮減プロジェクトの効果につきましては、平成20年度は約3億8500万円、これは診療材料のみでございます。平成21年度は3億円、平成22年度は2億8200万円と推計しております。今後も薬品費、診療材料費縮減プロジェクトの推進、後発医薬品の採用推進などにより費用縮減に努めていきたいと思います。
○吉元義彦委員 それから2番目に、北部病院の産婦人科の診療制限についてということで、先ほど平良昭一委員からもヤンバルの心境を大変率直に申し上げられておりました。私も一緒であります。
そういうことで、今この問題についてはハイリスク、いわゆる危険の状態の分娩の問題が県立北部病院ではできなくて、中部病院や、あるいは南部医療センター・こども医療センターに搬送されているということであると思うのですが、特に妊婦健康診査率が低いと言われているわけです。これは福祉保健部になろうかと思うのですが、そういうことで先ほども桑江委員からありましたが、地域医療を守るということで、私ども沖縄本島北部地域では女性ネットワークがこの地域でシンポジウムを開いたりして県立北部病院の役割や医師会病院の役割、あるいはまた市町村の役割をどうすればよいかということでいろいろこういうシンポジウムとか女性の会で話し合いをやっておられます。
そういうことで、市町村との、この今私が話ししたような役割、いわゆる市町村の役割、あるいは今後地域医療を守るための話し合いをされているのかどうか、そういう状況がありますか。
○大城清北部病院長 沖縄本島北部広域の首長の方々とは北部医療圏の現状についてお話しさせてもらう機会を得ました。それはやっています。それから、女性ネットワークの方々が中心になって我々の県立病院に、やはりボランティアとして参加したいと言ってくれるようになっていますので、もちろん今受け入れたいところですけれども、まだ準備中です。近いうちできるようになると思っていますけれども、もう一方、今度は医師会と福祉保健所と我々の県立病院で、あるいは北部地区医師会病院と4者で北部医療圏の問題について月一遍討論をしています。そのときに、例えばコンビニエンス受診とか、地域完結型医療とか、かかりつけ医と勤務医との役割分担、そういった話も時々話題にして、市民の協力をどのようにして得ていくかという話し合いもしている最中です、よろしいでしょうか。
○吉元義彦委員 今現在は、2名の産婦人科の先生は配置されているわけですよ。そうすると、現在この診察についてはどういうぐあいにされているのかお聞かせください。
○大城清北部病院長 現在は紹介制です、制限しています。
○吉元義彦委員 次に、施設や医療機器の管理についてお伺いしたいと思います。医療機器の耐用年数はどうなっているのか、あるいは計画的な更新は行われているのかということで、平成21年度沖縄県病院事業会計決算書の21ページにお示しがあるわけでありますが、その耐用年数あるいは計画的な更新はこのとおり実施されているのか、まずはお伺いいたします。
○伊江朝次病院事業局長 地方公営企業法施行規則で定められた医療機器の法定耐用年数は、医療機器の種類、用途別に3年から10年と定められております。この耐用年数は、減価償却費を算出するためのものであり、病院事業局としてはメーカーの医療機器耐用寿命や実際の使用状態を勘案して機器の更新を行っております。
医療機器については、各病院において経営状況、優先順位等を考慮して必要な機器の導入、更新を行っており、診療行為に支障が生じないよう努めているところであります。
なお、平成21年度においては臨時交付金等を活用して主要な医療機器の導入、更新を行っております。
○吉元義彦委員 先ほど上里委員からも質疑がありましたが、購入する場合においては、一般競争入札を行うのかどうか、購入の方法について少しお聞かせ願いたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 原則としては、複数の業者による入札を行っております。
○吉元義彦委員 1回承認を得る、決裁というんですか、例えば1億5000万円以上の機器については議会承認が必要ですよとか、そういうところを少し教えていただきたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 7000万円以上が承認を得ることになっております。
○吉元義彦委員 わかりました。
平成21年度沖縄県病院事業会計決算書の8ページの器械備品減価償却累計額が113億円余りあるわけであります。これだけの機械備品の減価償却があるわけですので、僕はこれは大変な資産だと思うわけです。
次に、やはり先ほどありました医薬品や、あるいは材料費縮減プロジェクトのチームをつくって経費を圧縮、縮減できるということができるわけですので、伊江病院事業局長、この経費削減について、ぜひそういうプロジェクトを立ち上げて、一般競争入札をし、今現在については優先順位に基づいて選定委員会を立ち上げてやるということをやっているわけですが、そのようなことを工夫して、この経費の削減につなげるようにできないかどうかお聞かせ願います。
○伊江朝次病院事業局長 実は、もう病院現場においては、そういった医療機器の購入の仕方に関してはいろいろな工夫をしております。というのは、定価で買うということは当然しないと。さらに、不必要な装備はしないという形で、できるだけコストを抑えるようなことを考えて、少しでも多くの医療機器が更新できるようにしたいとやっておりまして、もう従来の業者の方々の言うとおりには全くしておりません。ですから、そういう意味では現場の意識改革はかなり進んできていると思っております。
○吉元義彦委員 わかりました。
それから、次に施設管理ですが、簡単なことですが、例えば一例を挙げますと、室内の照明等について今発光ダイオードを使った場合、電気料が相当低く抑えられるという話ですが、これを使っている施設があるのかどうかお尋ねします。
○大久保和明南部医療センター・こども医療センター院長 南部医療センター・医療センターは、一部正面のところで使っております。というか、今までのものに交換時期が来たときには、今のLEDですか、それにかえています。まだ一部です。
○吉元義彦委員 そのあたりの検討をしていただいて、それなりの経費削減につながるのであれば引き続き検討していただきたいなと思います。
最後に、北部病院の看護師宿舎の実態についてと、活用されているのかどうか、遊休化している施設がないかどうかお聞きしたいと思います。
○伊江朝次病院事業局長 北部病院の看護師宿舎は昭和54年建設、築33年であります。全32室のうち会議室、仮眠室等に8室使用しており、これを除く24室のうち現入居者は4名であります。鉄筋コンクリート住居としての法定耐用年数は47年であるが、老朽化が進んでおり、北部病院としての利用の意向、施設のあり方、経営状況等を踏まえ、修繕、建てかえまたは撤去等の方向性、またその時期について検討することとしております。
○吉元義彦委員 そうすると、老朽化が激しいということで近々もう建てかえる計画があるということですか。具体的にあるのかどうか伺います。
○伊江朝次病院事業局長 まだ、具体的にその計画に取りかかっている状況ではございません。これからの検討課題だと思っております。
○吉元義彦委員 わかりました。早目に、やはり看護師の問題も大事ですので、そういう施設管理も含めて早急に準備できるようにお願いします。
あと、経営改善の取り組み等に頑張っていただいて、ぜひ改善が早目にできるように、伊江病院事業局長の御尽力を御期待申し上げます。私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○奥平一夫委員長 これで、吉元義彦委員の質疑を終了いたします。
以上で、病院事業局長に対する質疑を終結いたします。
説明員の皆さん、長時間大変御苦労さまでございました。どうぞ御退席ください。
委員の皆さん、次回は、明 10月20日 水曜日 午前10時から委員会を開きます。
本日の委員会は、これをもって散会いたします。
午後4時40分散会
沖縄県議会委員会条例第27条第1項の規定によりここに署名する。
委 員 長 奥 平 一 夫