決算特別委員会

企業会計



本日の委員会に付託された事件

 1 平 成17年第4回議会認定第22号 平成16年度沖縄県病院事業会計決算の認定について
   
───────────────────────    


池間淳委員長 ただいまから決算特別委員会を開会いたします。
 平成17年第4回議会認定第22号を議題といたします。
 本日の説明員として、県立病院監の出席を求めております。
 ただいま議題となっております平成17年第4回議会認定第22号については、既に説明は終わっておりますので、これより直ちに県立病院監に対する質疑を行います。
 なお、質疑及び答弁に当たっては、その都度、委員長の許可を得てから自席で起立の上、重複することがないように簡潔に発言するよう御協力をお願いいたします。
 それでは、これより質疑を行います。
 狩俣信子委員。
狩俣信子委員 まず、私は病院事業会計決算審査意見書の5ページの方から質疑させていただきますが、その中に経営体質の強化ということがあります。そして、県立病院というのは地域の医療、県民の命を守る中核として頑張っているということはよくわかりますし、県立中部病院も実際に視察しまして、病院体制も、職員も大変頑張っているというのはよくわかるんですね。しかし、年々、累積赤字がふえてきて、今421億円余りの累積赤字になったということもあって、経営体質の強化ということが図られていくと、今回の監査委員の意見書としてもあるんだと思うんです。その中で県立病院事業に係る地方公営企業法の全部適用と、この実施に向けて作業が進められているということがあるんですが、具体的にはどういうことなのか、その進捗状況などを含めてお願いいたします。
知念建次県立病院監 地方公営企業法の全部適用と申しますのは、今現在、地方公営企業法の適用が病院事業会計においてありますけれども、企業局の水道事業会計は、それは最初から全部適用されております。病院事業会計というのは、いわゆる財政の部分、財務の部分が適用されているということで、一部適用の扱いになっています。それを法の全部を適用しようということで、ある面、今の企業局と同じ仕組み、と申しますのは、いわゆる任命権、職員の採用等について、事業管理者がみずからの権限、責任でできるような仕組みに持っていこうということの趣旨で地方公営企業法の全部適用を今進めているということでございます。平成18年4月を目途に地方公営企業法の全部適用に向けての作業を進めていて、現在、その作業の途中であります。
狩俣信子委員 例えば、そういうことをやりますと、今、赤字をたくさん抱えている中で経営体質の強化ということでされると思うんですが、赤字の解消とか、そういうことにもつながっていくということなんでしょうか。
知念建次県立病院監 他の都道府県で地方公営企業法の全部適用をやっている事例で一番大きな効果は職員の意識が、要するにみずからが事業管理者であり、みずからの病院という意識が非常に強くなって、職員の経営意識あるいは運営意識が非常に強まっているということを、各県、そういうことで進めているという事例を聞いていますので、本県もそういう経営意識、運営意識ということを強化できればと思っています。
狩俣信子委員 そういうことは、ひいては赤字も少しずつなくなっていくと理解してよろしいんですね。
 次へ行きます。次は地域医療連携の強化と患者数の確保についてなんですが、県立病院の急性期医療体制、それを推進するという中で、これは去年もおっしゃっていましたが、病院事業収益としては、前年度に比べまして6億円余りの増があります。これは評価をして、急性期医療への移行は一定の効果があったと言われております。しかし、一方で外来収益というのが、これも患者数の減によって2億2000万円の減になっていると出ておりますけれども、この二、三年ずっと見ておりますと、入院も外来も患者数というのは減少していますね。そういうふうな状況の中で、皆さんの中では医療費の自己負担増の影響などもあるのではないかと分析が出ているんですが、そこらあたり、患者数の減少についてどのように分析していらっしゃいますか。
知念建次県立病院監 患者数の減少につきましては、平成13年度、平成14年度、平成15年度と全国的に、あるいは県内もそうなんですが、総じて減少傾向にありまして、それの影響として、いわゆる被用者保険本人への3割負担導入の影響があるのではないかということが厚生労働省の見解でも出ているということで、我々もそれが1つは要因ではないかということを見ています。
 もう1つ、入院患者と外来患者の分なんですが、県立病院の状況としましては、入院患者は需要の計算では増の傾向にあるんですが、委員御指摘のとおり、外来は6万人余り減少してございます。急性期への移行を目指すということで、県立病院においても周辺の民間病院との地域連携を行って、紹介の患者を県立病院でも行っていこうということでひとつの方針として出ていますので、それによって外来患者の減少がありますが、それが今、いわゆる急性期への移行時期の過渡期の時期でありまして、特に県立中部病院につきましては、そういう面で外来患者の紹介に少し偏った部分があったもので、ちょっと落ちた部分もあります。今後は、入院と外来の比率は1.4から1.5の間が適正だというような数字が出ていますので、それを目指して、外来入院患者比率にも気をつけながら患者数の動向を見ていきたいと考えています。
狩俣信子委員 そういうことからすると、要するに外来収益というのが落ちているということとあわせて、病院から逆紹介というんですか、そういうことについて、やっぱりバランスをとりながらやっていく必要があるのかなと思ったんですね。そこらあたりも、おっしゃったように1.4から1.5、このあたりが望ましいということでありますので、今、各病院ともそういうのはちゃんとされているということなんでしょうか。
知念建次県立病院監 今現在、必ずしも1.4から1.5の間の適正な数値になっているということではございません。まだ少しアンバランスなところはございますけれども、今後その間の数値に持っていけるように頑張っていきたいということでございます。
狩俣信子委員 次は、沖縄県立病院事業経営健全化計画についてお伺いいたします。
 年次別の数値目標、収支目標というのを設定していらっしゃるようですが、病床利用率とか未収金割合、レセプト返戻率の達成率が低いとなっておりますが、目標を達成できなかった理由というのはどういうことなんでしょうか。
久田裕県立病院経営課長 レセプトの返戻率とかそういったものの起こる原因というのは、要するに保険証の確認のチェック漏れであるとか、それからカルテの中身が、要するに診療行為がきちっと整理されないために、例えば返戻されるとか、査定減になるとか、そういった問題が出てきますので、その辺のチェック体制がまだ十分じゃないということが言えるかと思います。
狩俣信子委員 では、そこらあたりは次年度に向けて改善されていくとなるわけですね。
久田裕県立病院経営課長 はい。それについては、平成15年度から県立病院経営課、当時は経営課ですが、民間の嘱託職員、専門の職員を配置しまして、大体1カ月から2カ月に1回ぐらい全病院を回りまして、その辺のチェック、それから、いろいろ問題として上がってきた事例、そういったものをチェックして勉強会を開催するとか、そういったことを続けておりまして、それについてはある一定程度の成果は出ていると考えています。それで、今後ともそういうことをさらに続けていって、適正化に努めたいと考えております。
狩俣信子委員 その中の未収金についてなんですが、平成16年度、前の年に比べてそれが2700万円減少したと。これは大変よかったなと思うんですが、しかし、依然として、平成16年度は16億円の未収金になっていますね。その中で、県立那覇病院が未収金管理システムというのを導入して非常に効果があったと出ているものですから、そこらあたりはどのような方法で那覇病院が収益を上げたのかなと思うんですが。
久田裕県立病院経営課長 確かに県立那覇病院で未収金管理費の台帳を電子管理しまして、その効果が出ております。従来、未収金者の未納情報については、その記録管理は紙面、帳簿に手書きで作成して未収金整理簿を使っていたんですが、この電子化システムによって電子化することによりまして、その未納情報の検索、管理が非常に容易になった。要するに、例えばこの月に督促の時期に来ている人を一瞬にして抽出できる。その抽出できたものに対して、電話であるとか、あるいははがきであるとか、そういったことで適切に督促してお願いするといったことが効果を発揮していると考えております。
狩俣信子委員 県立那覇病院でそういう効果があったならば、それは7県立病院すべてに導入することができるんでしょうか。
知念建次県立病院監 平成16年度でそういう文書管理というか未収金台帳システムという非常にいいシステムを県立那覇病院の職員に開発していただいたものですから、今年度から早速、ほかの県立病院にもその台帳システムを導入するように働きかけていまして、今現在2病院で試験運用中で、あとの病院については導入すべく調整中という状況でございます。
狩俣信子委員 次に、県立北部病院についてお尋ねしたいんですが、産婦人科の医者がいないということで非常に厳しい状況にありますね。その後、時間もちょっとたってきたんですが、産婦人科医の県立北部病院への就労と言うんですか、そういう見通しについて、そこらあたりはどうなっていますか。
知念建次県立病院監 大変申しわけない状態なんですが、結論から申しますと、まだ確たる見通しは立っていない状態でございます。県外の方にもいろいろ働きかけを行っているところではあるんですけれども、まだきちんとした形にはなり得ていません。
狩俣信子委員 全国にもいろいろ発信していらっしゃるようですが、もう本当に一日も早くできるようにということしか私たちもできないのですね。でも、これからも御努力をお願いしたいと思います。
 次に、各病院なんですが、軒並み赤字だということになりまして、県立精和病院が2年連続黒字であったのが、この平成16年度の決算では赤字になったということですが、その主な理由は何でしょうか。
久田裕県立病院経営課長 県立精和病院は精神を専門とする病院で、これは政策医療ですので、これについては赤字補てんということ、運営費については一般会計からの繰り入れがございます。本来であれば赤字は出ないということなんですが、ただ、予算の第3条じゃなくて第4条関係、施設の整備関係になりますけれども、これにつきましては一般会計からの繰り入れもあるんですが、その施設投資については、ある程度自前でやらければならない部分もあります。ただ、御存じのように、現状の病院事業というのは赤字ですので、剰余金を生み出せないと、結局その分については起債になります。要するに赤字というのは第3条の部分なんですけれども、第3条の中から第4条の資金の不足分を持っていくという形になって、第3条の収支の方で今の赤字が出てくると。ここ二、三年、県立精和病院はちょうど建設後、かなり老朽化も進んでおりますので、いろいろ空調関係とかクーラー関係、あるいは監視システム等の更新の時期に来ていまして、それの設備の投資ということで、その不足分を第3条の方から持っていって資金を調達した、それが結局第3条の方で赤字が出たということでございます。
狩俣信子委員 例えば累積赤字が421億円余りあるという中で、やっぱり赤字を減らすということも大事ですが、きのうから言われております地方公営企業法第17条の適用について、ページ数はちょっと見落としましたけれども、これに載っていますが、そこらあたりで、皆さんが要求した額がそのまま補てんされるということではないんですか。
知念建次県立病院監 一般会計からの繰入金の件なんですけれども、総務省基準、いわゆる繰入基準というのがございます。その繰入基準においては、ほぼ適正な額が繰り入れられたという認識はしてございます。
狩俣信子委員 その上でも、なおかつ赤字が大変であるわけですが、しかし、皆さんの病院全体での努力というのはもうきっとやっていらっしゃると思うんですが、例えば薬品とか物品とか、そういうものを購入するときに一括してとか、そういう方法はとれますか。
知念建次県立病院監 一括購入につきましては、薬品について、あるいは医療機器、診療材料、給食材料等について一括購入を実施しています。
狩俣信子委員 現在やっているのですか。
知念建次県立病院監 やっています。
狩俣信子委員 私は、皆さんいろいろ御苦労しながらやっているとは思うんですが、毎回毎回、累積赤字ということになっているわけです。ただ、普通の病院と、やっぱり県立病院が救急医療をやるという部分で、また大変な負担もあるということはわかりますけれども、そこらあたりはまた改善の方向で頑張っていただきたいと思います。
池間淳委員長 平良長政委員。
平良長政委員 4点ばかりお伺いしたいと思います。
 まず第1は、県立南部病院についてですが、民間移譲することが決まって、今、その候補を決めている段階だと思いますが、今の現状と、それから、いつごろ決定するのか。そして決定するやり方というのか、どんな形で選定をするのかという、この3つをまずお伺いしたいと思います。
知念建次県立病院監 県立南部病院の経営移譲につきましては、去る8月19日から9月16日の間で移譲先団体を募集いたしまして、それに6団体の応募がございました。その応募を受けまして、応募の書類の点検と、それから書類のチェックも込めて、一定の職員でヒアリングをやらせていただいています。それにつきまして、去る10月12日に選定委員会を開催いたしております。今、その選定委員会の意見を受けまして、庁内の手続をとるということでの準備を進めている段階でございます。最終的にはやっぱり知事が決定するという形になろうかと思います。それを、できましたら今月いっぱいにでもその庁内手続がとれればと現在考えているところです。
平良長政委員 そうしますと、6団体から、今月ごろまでに絞られてくる、今月いっぱいぐらいには決定されるということなんですか。
知念建次県立病院監 ちょっと申しわけないんですが、決定という言葉と内定という言葉をどう使っていいかあれなんですけれども、最終的には、決定は相手とのいろいろな交渉、調整がございますので、それを経ないと決定はできないのです。その交渉相手を内定するという言葉を使っていますけれども、それにつきましては、できる限り今月いっぱいには調整を進めていきたいと考えています。
平良長政委員 ぜひ頑張ってほしいと思います。
 2番目に、県立高度・多機能病院 (仮称) についてですが、もう来年4月オープンということなので、その仮称というのはいつとれて、どういう形で正式な名称になるのか、どういう機関で決めていくのかということを示してほしいと思います。
知念建次県立病院監 県立高度・多機能病院(仮称)なんですが、医療法の関係からしましても、もう名称を決めなければいけない時期に来ています。先ほどの県立南部病院の手続等と同様な形で、委員会等の形は少し違うんですが、やっぱりこれだけ子供病院機能を持っているということもありまして、一般公募ではないんですけれども、県庁内で、特に病院関係から、昨年度のうちに名称の公募は行っておりまして、それについて100件近くの名称の応募があった状態でございます。
 それを今、福祉保健部の中で県立高度・多機能病院 (仮称) 運営体制検討委員会というのをつくってございます。これは名称だけでなくて、いろいろ、新病院についての運営体制をどうするかということを定期的に会議する委員会をつくってございまして、それに諮りましてもう絞りを入れてございます。その名称案を今、調整中で、時期的には、これも今月か来月初めには正式に決定し、知事から発表するような形をとりたいと考えています。
平良長政委員 あと、その新病院の建設費と言うのか、総工費と言うのか、お伺いしたいと思いますが、建物、土地、それから病院の器具、その他、3つぐらい絞って総工費を教えていただきたいと思います。
久田裕県立病院経営課長 総工費、総投資額と言いますか、それは総額で228億1998万9000円です。現在確定している部分です。その内訳は、土地が29億5202万4000円、建物関係が159億932万9000円、医療機器関係が39億5863万6000円です。これは現在のところですね。その後、また若干ふえる可能性もございます。
平良長政委員 そこで、高度・多機能といった場合、これまでの県立那覇病院やその他、県立中部病院も含めてですが、医療の良質なというのか、高度あるいは多機能ということですので、どういうのがプラスされるのかということを示してほしいと思います。
知念建次県立病院監 県立高度・多機能病院 (仮称)なんですが、建設をする前に、実際、設計が入るときの整備の前に、地域医療を支援する高度で多機能な病院検討委員会で機能についていろいろ検討されています。それでいきますと、一般医療に加えまして24時間の救命救急機能、これは県立中部病院が今やっています24時間の救命救急機能、もう1つには母子総合医療機能、これがいわゆる子供病院機能を持つということで、母子総合医療機能という形です。それから、離島医療支援機能ということで、これは県立中部病院と県立高度・多機能病院(仮称)が、いわゆる広域基幹病院としての位置づけで、基本的に県立高度・多機能病院(仮称)につきましては、南部、離島の2次医療から3次医療に係る部分についてはカバーできるような状態へ持っていこうという構想がございますので、そういう意味で、離島医療支援機能という機能を付加してございます。それから臨床研修機能、これはもう既に義務化に伴って今の県立那覇病院でも始めてございます。それから、地域医療連携機能、国際医療協力機能という6つの機能を付加してございます。
平良長政委員 県立高度・多機能病院(仮称)で最後の質疑ですが、9月定例会で質問したことと関連しますが、あれだけの人が集中すると、今までの交通体制と言うのか、交通事情が悪化している中で大変厳しいのではないか、だから、道路整備を早めるべきではないかということの質問に対して、土木建築部は大丈夫というような話で、今、道路拡張とかをやっているという話だったんですが、実はつい最近、中部から沖縄自動車道那覇インターチェンジをおりると、その沖縄自動車道のインターチェンジ出入口が込んでいるわけではなくて、外へ出るところが込んでいて、もう二、三十分、ずっと数珠つなぎというのに2回出くわしてしまったんですね。だから、例えば中部から那覇インターチェンジをおりてその病院に行くのには、これはちょっと大変だなということであります。この交通アクセスの問題は大変重要な問題だと思いますけれども、土木建築部との調整、警察との調整、いろいろあると思いますが、その辺はしっかりやるべきだと思いますが、どうでしょうか。
知念建次県立病院監 アクセスの問題につきまして、さきに新病院をそこへ着手するときに地元説明会へまいりましたら、地元説明会でも同様に、地元の方からも、特に南風原町新川の方から交通アクセスの問題について、渋滞の問題については我々もいろいろ指摘を受けました。それで土木建築部に依頼しまして、周辺の部分について、特に交差点、それから新病院はちょうど3つの道路に囲まれていますので、道路のアクセスについてはオープンまでに何とか間に合わせてやっていただくようにということの依頼をしています。それから続くアクセスにつきましても、もう少し中長期的になるかと思うんですけれども、その辺についても、アクセスについては道路網をきちんと考えてやっていただけるようにという依頼をしてございまして、現在のところ、土木建築部もそれに向けて取り組んでもらっていると認識はしてございます。
平良長政委員 さっきの那覇インターチェンジの件は、ぜひ調査をして、何が原因で、どうすればできるのか、これはもう緊急だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、離島僻地医療を担う附属診療所の件ですが、審査意見書の7ページに出ておりますが、その右の方に休止又は廃止の附属診療所とあって、例えば瀬底とか伊計、宮城、この浜というのは浜比嘉のことですかね。池間とかは橋ができて交通事情がよくなってと言うのか、陸続きになったということで休止、廃止になったのかなと思われますが、例えば鳩間とかはまだ離島でして、あと、奥とかというのはかなり遠い交通事情にあるんですが、その中で、とりあえず、どれは休止で、どれは廃止と。休止と言うと、例えば医者の関係でいないからとか何かわかりませんが、休止になっていると思うんですが、休止、廃止になった理由とか、どの施設が休止で、どれが廃止だというのを示していただきたいと思います。
松堂勇県立病院管理課長 11の附属診療所のうち、廃止が5カ所ございます。平良診療所と久志診療所、宮城、浜、池間診療所の5つでございます。それから、休止が6カ所ございまして、奥と瀬底、嘉陽、伊計、伊原間、鳩間の6つの診療所でございます。
 附属診療所の廃止、休止については、基本的には人口とか交通の便、周辺の医療機関の整備状況などを勘案して休止、廃止の手続をとっております。その中で、市町村の方で診療所の活用の可能性がある場合は、とりあえず休止だというふうな形をとらせてもらっております。
平良長政委員 休止の理由でちょっとよくわからなかった、聞けなかったんですが、市町村で医療をやる可能性があるというところ、もう少し詳しく説明してください。
松堂勇県立病院管理課長 市町村の方でその診療所を活用する可能性がある場合については休止というふうな手続をとらせてもらっているということでございます。
平良長政委員 そうなりますと、県としてはもうやめたけれども、市町村が活用するんだったら、その建物とかを使って、どうぞという意味ですか。
知念建次県立病院監 補足いたします。御指摘のとおり、県立の診療所としては基本的に廃止の方向です。ただ、市町村が、例えば巡回であるとか保健とか、そういう形で診療所を活用するという意向がある場合については休止の状態で置いているということでございます。
平良長政委員 鳩間とかは離島ですが、それもそういう形でいいんでしょうか。ほかのところは陸続きでどうにかできると思いますが、その辺は、鳩間についてだけ。
知念建次県立病院監 鳩間につきましては昭和47年から休止してございまして、その当時の詳しい状況が今ちょっと詳しくわからないんですけれども、理由の1つになっていますのが、人口とか周辺の医療機関の整備状況などを勘案して休止になっているということです。
平良長政委員 医療機関はあるんですか。
知念建次県立病院監 多分それは周辺医療機関という形での休止の理由が残っている状態でございます。
平良長政委員 医療機関があるかどうかは後で調べてとも思いますが、どうですか、ありますか。
知念建次県立病院監 これは状況として資料で残っている部分なんですけれども、鳩間につきましては、日常診療は西表西部診療所で対応するというような形になっています。
平良長政委員 だとしたら、西表島まで船で行くということですよね。私も事情はちょっとわかりませんけれども、離島を出るのは大変じゃないかなと思いますので、ぜひこれは検討をお願いして、この件は終わりたいと思います。
 最後になりますが、先ほど狩俣委員からの質疑もあったので、少し重複になりますが、簡単でいいですので、地方公営企業法の全部適用になった場合どれどれどれと、さっき人事とかも言いましたが、それだけ最後にお伺いしたいと思います。
當眞正和福祉保健部参事 先ほど県立病院監から説明がありましたけれども、現在は地方公営企業法の中で財務だけの適用でございます。全部適用と言いますと、これに組織だとか任命権、人事組織の関係があります。これは法律の全部の適用ということになりますので、公営企業法の全部適用、いわゆる企業性がより強まるという形に変化していきます。
池間淳委員長 上原章委員。
上原章委員 初めに、県立病院の運営についてお尋ねします。
 地方公営企業法第3条に、「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」 とあります。多くの離島、僻地を抱える本県の県立病院の医療体制や経営状況は大変厳しいわけですが、特に北部や離島の医師不足、年々増加する累積赤字等、乗り越えなければならない課題が山積しております。県民の命を守るため、県立病院監にはこれまで以上に頑張っていただきたいわけですが、その認識と決意をまずお聞かせください。
知念建次県立病院監 本県の医療事情なんですけれども、いわゆる離島という地理的な条件、それから歴史的な背景等がございまして、復帰当時のことですが、全国に比べてかなり立ちおくれた状況がありまして、県立病院主導の医療提供体制が形成されたということが一つの基本になっているかと思います。そういうこともありまして、県立病院は公的医療機関として高度、多様化する県民の医療ニーズにこたえるということ、それから、民間医療機関が都市地区に偏在している状況がございますので、県立以外の公的病院が少ないこと等も含めまして、県立病院がいわゆる基幹病院としての役割と、それから地域医療について、地域の基幹病院、地域の中核病院としての中心的役割を果たしていると認識してございます。ただ、ここ最近は、いわゆる都市地区を中心にでありますが、民間医療機関が進展してきている状況がございますので、今後はこういう民間医療機関との間で適切な役割分担を行いまして、相互の連携を推進するということが非常に重要なことになってくるかと思います。
 御指摘にありました経営面におきましても、累積赤字が421億円余りにもなって非常に厳しい経営状況が続いていますので、そういう意味では、経営基盤の確立というのも非常に必要不可欠な状況であると考えています。こうした状況を踏まえますと、先ほどもありました県立病院が必要な医療を提供していくという役割を果たすためには、事業のあり方を抜本的に見直すということで、今、地方公営企業法の全部適用という作業とその調整を行っているところであります。
 一方で、今、非常に緊急な課題となっております医師の確保、それから過重労働等についても、これは当面緊急に取り組むべき問題として非常に重要な課題だと認識してございますので、私としましては、抜本的な対応策としての地方公営企業法の全部適用に向けて調整を進めていって、県立病院事業として自主性、独立性が高められる仕組みが確保されるということが重要でありますので、病院事業の責任と判断によって機動的な活用が行えるよう整備を進めていきたいと考えてございます。それと同時に、先ほども言いましたように、緊急の課題であります医師確保あるいは過重労働の問題につきましても、これは福祉保健部あるいは各病院とも連携してやっていかなければいけない問題ですので、その課題解決についても一生懸命努力していきたいと考えています。よろしくお願いいたします。
上原章委員 採算性とか費用対効果等でははかれない部分が病院事業でございますが、経営の健全化実現というのは、県民に安定した医療を提供できるという意味では、皆さんの本当に大事な仕事ですので、特に県立病院監には強いリーダーシップ、強い決意で、大きな改革をする決意で本当に頑張っていただきたいなと思います。
 昨年の決算特別委員会で、今後の県立病院は、民間との役割分担を図りながら、急性期医療を主体とした病院への移行を推進する。そのためにも、入院患者については、急性期への移行を図るために地域医療連携室を強化して、慢性患者の転院あるい退院を促進しながら急性期の患者を確保するとしていましたが、取り組み状況をお聞かせください。
知念建次県立病院監 地域医療連携室を強化して、慢性患者の転院あるいは退院を促進して、急性期患者を確保するという方向で今進めています。その長期入院の解消策なんですけれども、現在、入院時にパンフレットを配付して、要するに急性期病院としての病院の機能、あるいは地域のいろいろな役割を事前に説明して、早期退院について理解と協力をお願いするということが1つです。
 2つ目には、地域医療連携室を通じまして、受け入れ先の施設―診療所であり、病院であり―と緊密な連絡調整を行っていくということの連携を密にしていく動きを行ってございます。
 それともう1つにつきましては、家族の協力が非常に必要ですので、その家族についても、ある面、在宅医療の促進であり、患者の状況について家族にも十分理解を得られるようなことで面談等を行っているというようなことです。病院の中におきましては、病棟運営委員会を月に1回開催して院内調整を行って、これらのことを相互確認しながら進めていっているというようなことでございます。
上原章委員 大事な取り組みだとは思いますけれども、あくまでも患者さんが主体でございますので、患者さんの意向を尊重して、こういった取り組みも進めていただきたいなと思います。
 次に、平成16年度、県内7病院すべてが赤字となりました。前年度唯一黒字であった県立精和病院も赤字に転じて、先ほど県立病院監が言っていました、累積赤字も400億円を突破して421億円と。この平成16年度の成績を見ると、純損失が30億7000万円余発生しております。前年度と比較して6億8000万円余り増加しております。これは収益が5億9000万円余り増加したにもかかわらず、費用が9億9000万円、約10億円近くふえているのが影響していると言われています。費用の増加要因として、主に給与費、材料費等の増加が原因と見られております。審査意見書では、給与費は医師、看護師等の手当の増及び臨床研修制度の改正に伴う報酬の増等、材料費については、手術件数の増、高額材料の使用量の増とされています。これらは急性期病院への移行と関連があるのか、それとも別の理由があるのか、お聞かせください。また、この動向はこれからも続くのか、その改善策はどうなっているのか、お聞かせください。
久田裕県立病院経営課長 急性期医療と言いますのは、一般的に入院初期の期間において病院等が提供する医療行為をあらわすものでありますが、この急性期の期間においては、患者の態様に合わせて、より密度の高い検査であるとか、あるいは措置、薬剤治療等が行われるということです。急性期治療はこのように高度な医療を必要とする患者への医療でありますから、使用する診療材料や薬品も高額となるケースが多くございます。したがいまして、急性期に移行するということは、基本的にはますますそういう患者がふえるということで、薬品であるとか、そういう傾向は出てくるんです。ただ、先ほどもお話がありましたとおり、その辺の経費の節減については、診療材料の一括購入であるとか、それから、薬品につきましてはジェネリック薬品の利用促進であるとか、そういったことを通じて、できるだけ経費の節減に努めていきたいと考えております。
上原章委員 皆さんは経営健全化を目指して、収益も上げる。また、急性期の治療が県立病院の今後の非常に重要な形となる。一方では、この急性期治療を主としていく中で、経費が、費用がこれだけかさんでいくということも現実に起きている。今、一括購入の薬剤とかいろいろと経費節減に努める、そういったのが本当に相反する形で乗り越えられるのか、もう一度お聞かせください。
知念建次県立病院監 確かに急性期医療へ移行するということで、診療材料費、薬品費、例えばペースメーカーとか、あるいはカテーテル系材料とか、そういう非常に高額な診療材料等を使わなければいけない患者さんがふえてくるということはございます。その部分で費用が増嵩することもございます。ただ、ある面、県立病院の役割として、やはり急性期医療を目指すという一つの方向性を持つ必要がございます。それと、先ほどの経費の節減もそうなんですけれども、もう一つには、地域の医療機関との連携によって役割をスムーズに持っていければ、もう少しそういう経費、経営改善にもつながる部分が出てくるんじゃないかというようなこともございます。ただ、今現在スムーズにいっているかということに関しましては、これからいろいろと課題を克服しなきゃいけない部分もかなりありますけれども、ただ、一つの基本として、県立病院というのは、先ほど申しました広域基幹として、あるいは地域の中核病院としての役割ということになりますと、やっぱり急性期の役割がまず第一義だと思います。それは、いわゆる慢性期との間の地域連携も踏まえまして経営改善を進めていく必要があろうかと考えています。
上原章委員 冒頭でも話しましたように、私は公共の福祉を増進させる急性期医療というのは本当に重要なことだと認識しております。これは県がしっかり取り組んでいかなければならないものだと思いますけれども、だからといって、急性期医療を推進してきたから結局赤字になりました、そういうことではまたおかしいわけで、この辺の全体的な見地というか、そういう高度な治療を提供する、その中でもしっかり経営の健全化は確保したと。それで初めて皆さんの努力というのがわかるわけであって、毎年こういう決算をする中で、一方では、県民のためにやったけれども、結果的には赤字でございましたということでは、またおかしいのではないかなと。この県の行政がやる取り組みで、ぜひ県民が納得できる体制をしっかり整えていただきたいなと思います。
 それから、流動負債が対前年比12億9000万円、約13億円増加しております。短期の資金繰りが非常に悪化しているわけでございます。その影響で不良債務も同じく12億円余り増加している、この要因、それから改善策をお聞かせください。
久田裕県立病院経営課長 流動負債が増加しましたのは、県立高度・多機能病院 (仮称) の建築工事の未払い金の大幅な増等が要因になっております。これによりまして、平成16年度の不良債務は15億7977万円余となり、前年度と比べまして12億6068万円増加しております。この資金不足に対しましては、材料費、建設関係の支払いを繰り延べし、さらに一時借り入れをすることで対応している状況でございます。この資金繰りの改善につきましては、費用の節減に努めるとともに収益の確保を図るなど、経営改善の一層の自助努力というものが必要と考えております。
上原章委員 事情が、そういう理由があるということでございますけれども、ぜひこういった資金繰り等の焦げつきがない形で、しっかりとした体制をお願いしたいと思います。
 それから、昨年の決算特別委員会で病院管理局長は、沖縄県立病院経営健全化対策検討委員会からの評価を受けて、課題となった適正な診療収入の確保、未収金の縮減の強化、費用の縮減、地域医療連携室の活性化に具体的な改善策を示し、その実現に取り組むとしておりましたが、進捗状況をお聞かせください。
知念建次県立病院監 経営健全化対策の一環として、今御指摘の4つの対策を、改善策を実施してございますけれども、まず1つに、適正な診療収入の確保ということでございますが、これは先ほど県立病院経営課長からも説明がありましたように、今、県立病院経営課内に適正収益確保対策チームというものをつくりまして、各病院でのレセプトのチェックや、そういう意見交換というのを実施している状況にございます。それによりまして7病院の診療報酬査定減を、平成15年度の月平均734万6000円から平成16年度は月平均652万7000円、81万円余でありますけれども、改善が見られている状況でございます。
 それから、未収金につきましては、先ほどもお話がありましたように、県立那覇病院でのそういう管理システム等の効果もございまして、未収金について今一番取り組みを強化していますのは、いわゆる発生を防止しようということを主眼に、12月から3月にかけましては未収金発生防止強化期間ということです。未収金というのは、発生して、あと収納するというのは、チェックもそうですけれども、非常に難しさが出てきます。その前に発生を防止することを強化しようということで取り組みました結果としまして、平成15年度末と比較しますと約2600万円余りの効果が出ている状態でございます。
 次に、費用の縮減ということでございますけれども、これにつきましては一括購入を実施してございまして、その一括購入の節減効果が約3億円余り出てございます。ただ、この一括購入の縮減効果ということが3億円余り出ていますけれども、先ほどの高額の薬品、診療材料の購入も逆にふえていまして、トータルとしては、ここは費用がふえているという状態にはなってございます。
 それから、地域医療連携室の活性化ということで、今まで看護師が兼務をしている状態が地域医療連携室の中に結構あったんですけれども、それの専任化を図っていくということの取り組みを今進めているところでございます。
上原章委員 費用の縮減は、先ほどの理由で、むしろ少し後退していますけれども、4部門、大事な一つ一つの課題でございますので、さらにまたぜひ頑張っていただきたいなと思います。
 あと、北部や離島の医療については、先ほども若干質疑がございましたけれども、医師の確保、また看護師の確保等、なぜそれがなかなか改善されないのか、その原因をちょっとお聞かせください。
知念建次県立病院監 今、県として医師確保が非常に緊急な課題と感じていますのは、県立北部病院の産婦人科と、それから県立宮古病院の脳神経外科が非常に緊急な課題、県立八重山病院におきましても脳神経外科が欠員状態ですので、そういう部分については非常に緊急な課題と認識してございます。福祉保健部の方に医療技監がおりますし、うちの方にも県立那覇病院からドクターが副参事で赴任してございますので、そういう医師の募集、面談するのもやっぱり医師同士が面談する必要がございますので、そういう医療技監であり、うちの医師である副参事ということの要員で、ホームページ等でアクセスがある部分について、県外に行って面談等をやっている状況ですけれども、なかなか確定する状況にまで至っていないということです。
 トータル的には、産婦人科も脳神経外科も全国的に非常に医師不足の状況が出てきておりまして、特に産婦人科につきましては女医の率もかなり増加してございますので、そういう面もありまして、なかなか確保がうまくいっていないという状況でございます。今、県立那覇病院では女医の募集もかけていて、いろんな方策を考えていく必要があろうかと感じていますけれども、現実としては今非常に厳しい状態にあるということでございます。
上原章委員 沖縄県の場合、離島、また、こういう僻地等を抱えているわけで、その中で、毎年この医師確保、看護師確保をということでは本当に大きな課題になっています。例えば、沖縄県には琉球大学医学部とかがあるわけなんですけれども、そういったところとか、あと看護学校とかとの協力体制というのはあるんでしょうか。
知念建次県立病院監 まず医師の関係ですと、琉球大学には、今現在も特に離島を中心に派遣をしていただいています。特に宮古等においては、もう半数以上が琉球大学からの派遣で確保されている状態ですので、そういう面において、琉球大学には非常にお世話になっているという状態が続いている状態です。琉球大学との連携については、組織立った連携のあり方ができないかというようなことで、名称は正式じゃないと思うんですけれども、向こうの医学部と福祉保健部と連絡協議会を持てないかというようなことの調整を、福祉保健部を中心にしてやっているところでございます。
 それから、看護の関係なんですけれども、県立病院の看護職員につきましては、今現在、配置定数どおり、ほぼ満たされている状態でございます。ただ、育児休暇が出てきますので、育児休暇の補てんが、10月1日現在で88人が育児休暇をとられていますけれども、25人がまだ確保できない状況にあります。そういう面では、やっぱり看護師についても十分な状態ではないので、それについても、看護学校であり、看護の協会等といろいろ連絡をとってやっているというような状態でございます。
上原章委員 私もことし視察で公立久米島病院に行きましたけれども、院長さんは個人的なつながりで必死に医師を確保しているというようなことがございました。さっき県立病院監が言っていました、中長期的にしっかり見据えて、大学とか、また協会とかとしっかり組織立った形の協力体制を組まない限り、もうその都度その都度、個々の裁量で何とか医師を確保というような、これはやっぱり限界があるんじゃないかなと思いますので、行政がしっかりリーダーシップをとって、医師または看護師の皆さんの確保をしていただきたいなと思います。
 最後に、ちょっと前後しますけれども、組織のスリム化、また事業の見直し、むだ遣いの総点検、これは行財政改革の非常に大事なところでございます。特に県立病院は依然赤字ということで、ぜひこの行財政改革にはしっかり取り組んでいただきたいと思います。そのことを最後に聞いて、終わります。
知念建次県立病院監 行財政改革なんですけれども、病院事業につきましても、病院事業を取り巻く環境というのは、構造的な部分を含めて非常に抜本的な見直しをするということが沖縄県行政改革システム大綱の中で位置づけられております。その沖縄県行政改革システム大綱の中で県立病院のあり方を検討するという形が位置づけられていまして、それを受けまして、平成14年に県立病院の今後のあり方検討委員会というのを設置してございまして、平成16年3月に同委員会から提言を受けている状態でございます。今現在、あり方につきまして、行政ベースでのあり方の実施方策を策定しているところでございますので、地方公営企業法の全部適用に向けて、こういう県立病院の今後のあり方実施方策について、各県立病院ともきちんと調整をして実施していきたいと考えてございます。
池間淳委員長 内間清六委員。
内間清六委員 私は、沖縄県病院事業会計につきましては余り把握していないこともございまして、今回通告はいたしておりませんが、きのうの説明を聞きまして、2点だけ質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず監査委員の意見の中で、「県下の基幹病院又は県内各地域の中核病院として一般医療を初め、救命救急医療、高度・特殊医療、離島・へき地医療などの役割を担い、医療の安定確保はもとより、県民の多様化する医療ニーズに対応してきた。しかしながら、累積赤字が年々増加し経営状況は益々厳しく、県立病院が公的医療機関としての役割を果たすためには、なお一層経営改善の取り組みが必要である」、こういうふうに言われておりまして、その改善の取り組みとして出てきたのが急性期医療への移行、こう受けとめているわけでございます。
 このことにつきましては、国の医療制度改革においても、医療機関の機能分担、連携の促進が示され、医療報酬体系もそれに沿って見直されていく中で、県立病院はその役割、機能を明らかにしながら、他の医療機関との役割分担と連携を進めているということでございますが、この急性期医療に移行された場合の離島医療、特に公立久米島病院への影響、また連携をどういった形でやっていかれるか、これから急性期医療へ移行されてから後の話になるとは思うんですが、そこらあたり、どういう考え方をお持ちですか、教えてください。
知念建次県立病院監 公立久米島病院は一部事務組合で、公的病院として、県立病院とちょっと切り離した形で病院経営がなされていると思いますけれども、医師等につきましては県立病院と連携をとって、院長を初め県立病院の医師を経由して公立久米島病院に派遣しているという状態でございます。一つの役割分担という観点からしますと、宮古、八重山と同様に、いわゆる離島医療支援としての県立病院の役割を公立久米島病院にも同じように適用していく―適用していくというのは適切な言葉じゃないかもしれませんけれども、同様に、今度新設されます県立高度・多機能病院(仮称)の広域基幹病院の役割として、要するに離島医療支援の中に公立久米島病院も含めていくというような考え方に立っているかと思います。
内間清六委員 皆さん方は今、県立病院と民間病院との連携、こういったようなことをうたわれてやっているわけですが、公立久米島病院も経営そのものは、非常に厳しいわけでございまして、どうしても県立病院と連携をとりながら運営するということが非常に必要かと思われますので、今後、十分に連携をとりながら、民間病院と連携をとるような形で公立久米島病院ともやっていけないでしょうか、そこらあたりをお聞きしたいと思います。
知念建次県立病院監 いわゆる離島における県立病院の役割と少し重複するかと思いますので、その辺も含めてちょっとお答えさせていただきたいんですけれども、例えば県立宮古病院、県立八重山病院と言いますのは、沖縄という離島の中で、さらに離島の状況ですので、地域の中核病院としての役割という面では、いわゆる本島の病院とは違って、ある面、地域で完結できる医療圏の状態をひとつ目指す必要があろうかとは思います。ただ、やっぱり2次から3次医療にかけての高度・多機能な、特殊と言うんですかね、そういう症状の患者さんに対しましては広域基幹病院の方で、要するに3次医療、これは琉球大学も同様な役割を担っているかと思うんですけれども、そういう担い方の役割分担が必要かというようなことで、あり方であり、実施方策の中で位置づけられていると理解しています。
 公立久米島病院も同様に、ある一面では久米島の中での完結を目指す医療の部分と、それと、やっぱり2次から3次医療にかけて広域基幹病院としての連携をとる必要がある部分等の必要性が出てくると思いますので、そういう意味では県立病院との連携も非常に重要な要素だと、県立病院側からもそういう認識があろうかと思います。そういう意味で、医師の派遣であり、そういう部分については県立病院を経由して、あるいは県立病院と調整してやっている状態でございますので、今後ともその連携は続けていけると考えています。
内間清六委員 公立久米島病院は、もともと地域としては県立病院として強い要望を出して、それがいろいろな事情、話等の中で公立病院ということで、県としては県立病院と同様な形での応援をしていくというような当時のことでございましたが、そこらあたりも含めまして、今後、公立久米島病院につきましては、こういう県立病院というような一面もあるということを御理解いただいて、今後対応していただきたい、このように思います。よろしくお願いいたします。
 それから、公立久米島病院の医師確保の問題がいろいろと問題になりましたが、これは離島医療組合と福祉保健部が一緒に協力をしまして、産婦人科の常設もできましたし、また、別の科目のローテーションにつきましても今やっておりまして、少し落ちついている状況ではございます。しかし、これで解決されたということではなく、これから課題を抱えながらやっていくわけですが、そういう中で、今度、県立の高度・多機能病院(仮称)が来年の4月からオープンするということでございます。そういった中で、公立久米島病院における医師の確保の問題、特に臨床研修生の受け入れとか、そういったような計画もされているようでございますが、そういった県立高度・多機能病院(仮称)の機能によって、医師の確保にもある程度はいい方向が見出せるかどうかをお聞きしたいと思います。
知念建次県立病院監 県立高度・多機能病院(仮称)の医師確保につきましては、医師確保対策チームをつくりまして取り組んでいるところでございますけれども、公立久米島病院につきましては、それとは別途に、今緊急に課題として、県立病院も医師確保については非常に大きな問題だという認識をしてございますので、ある面、ホームページのアクセスであるとか、そういう部分についてはお互い連絡し合って、例えば県のホームページに内科へのアクセスがあったときには向こうに連絡して、そういう情報を提供して接触していただくとか、逆にある面では、産婦人科の公立久米島病院のホームページにアクセスがあった分につきましては県立の方に紹介していただくとか、目下、そういう形での連携と連絡のとり合いは十分緊密にやっていると御理解いただきたいと思うんです。
内間清六委員 今後の医師確保についてはいろいろと重要な面だと思いますので、これは離島医療組合だけでできる問題でもないし、離島医療組合と福祉保健部、県立病院が十分に連携をとりながら今後やっていく必要があろうかと思いますので、そのことをお願いいたしまして、終わりたいと思います。
池間淳委員長 当山全弘委員。
当山全弘委員 私は、この病院の決算審査意見書を見まして、これは正直言って、改善の跡が見られなくて、毎年毎年、累積赤字、不良債務等を出しまして大変だなと思う立場で質疑いたしますので、よろしくお願いします。
 まず最初に、各病院の理念というのがあるんですよね。これには県立北部病院を初め各病院ごとにいろいろ理念がありますけれども、みなさまの病院とか信頼される病院というふうなことがあるけれども、この理念に沿った運営がなされていないんじゃないかなと思っているわけですね。なぜかというと、県立北部病院においては、皆様から信頼される病院とかいうことに該当しないわけですよね。産婦人科の医者が不足するし、患者はたらい回しされるし、本当に理念のもとに病院の経営がなされていないということを私は指摘したいわけですけれども、これは各病院ごとの理念を、私は病院事業の職員から聞き取りました。那覇市立病院を初めとして県立病院全部でとったんですけれども、個々に全部違うわけですよね。ですから、その病院を総括している知念県立病院監のこの理念に対する考え方はどうあるべきなのか、それを聞かせていただきたいと思います。
知念建次県立病院監 1つには、病院事業と言いますか、今、県立病院監の組織の部分なんですけれども、県立病院監そのものとしての理念ということの持ち方はしておりません。むしろ経営方針であるとかそういうことについては、経営健全化であるとか、そういうことで各病院との連携はとってございます。今、委員御指摘の各病院の理念につきましては、各病院がそれぞれ地域の地域性を有していると言うんですか、院長を中心に各病院それぞれで理念を設定しているという状態でございまして、1つには、共通して言えるという部分については、いわゆる安全な医療を提供するということでの共通な理念は流れているかと考えております。
当山全弘委員 この理念がありますけれども、県立北部病院については北部地域の医療を担い福祉・保健を支えますというふうなことがはっきりうたわれているわけですよね。その理念に基づいた治療方法がとられていない。このことは県立病院を管轄している県立病院監として大変重要なことだと思いますので、ぜひ経営指針等についてはしっかりとした指針を持っていただきたいと思うんですが、このことについてはいかがですか。
知念建次県立病院監 おっしゃるとおり、各病院がそれぞれ地域の中核病院として、地域の住民へ安全に医療が提供できる体制というのをつくる必要があろうかと思います。それと同時に、運営、経営についても留意しなければいけない部分があるかと感じております。ただ、医師確保とかそういう部分で、十分じゃない部分があると認識はしてございますけれども、地域の中核病院として、それぞれ地域に貢献できるような状態というのは常に目指す必要があると考えています。
当山全弘委員 これは、私は安全な医療を提供されていないと指摘しておきたいと思います。このことについては、知念県立病院監もあと2カ年とかいうことで退職しますよね。あとは野となれ山となれでは全くいけないわけですよ。ぜひ責任感をもっと持ってほしい、そういうところをまず指摘しておきます。
 次に進みます。病院の経営成績、これは累積欠損金が421億3552万172円出ました。これは病院事業費用が病院収益事業を上回ったということになりますけれども、このことについてはどうですか。公的な機関としての病院経営をしている知念県立病院監、このことをどう分析していらっしゃいますか。
知念建次県立病院監 累積赤字が421億円余りになっているということで、経営状況が厳しくなっているという認識については非常に重く受けとめているというか、厳しく受けとめている状態であります。ことしは30億円の赤字で、去年より6億円余り赤字幅もふえてございますし、そういう意味では、病院事業の改善というか経営健全化については、先ほどお話ししました適正な診療収入の確保とか未収金縮減対策の強化という個別の取り組みについて、なお一層各病院と連携をとって強化を図っていくということと同時に、今、調整をしてございます地方公営企業法全部適用に向けて、なお全部適用がスムーズに移行できるような形の調整も進めていきたいと考えております。
当山全弘委員 経営状況について、全国的に各県立病院の赤字決算の事業はどのような状況になっていますか。
知念建次県立病院監 全国自治体病院の損益の状況でございますけれども、平成15年度の状況なんですが、地方公共団体が経営する病院事業ということで、いわゆる自治体病院ということで呼んでいますけれども、754事業ありまして、そのうち純利益を生じた事業が40.2%の302事業、純損失を生じた事業が59.8%の450事業となってございます。
当山全弘委員 では、59%の中に沖縄の県立病院が入っているということでありますけれども、私は、この不良債務、決算審査意見書の4ページに出ておりますが、15億7977万9013円、これは前年度と比較しますると0.9から4.4になっているわけですよね。これはそろそろ地方公営企業法に基づくところの法定再建団体なのかなと。地方自治法では赤字団体と言うかもしれませんが、そういったところに該当してくるんですか。その辺はどうなりますか。
知念建次県立病院監 不良債務につきましては、赤字団体云々ということになると、総務省における起債制限、いわゆる医療機器とか施設整備をするときに、総務省にお願いして起債枠をとっていただくんですけれども、そういう起債枠につきましての制限がございまして、それらにつきましては不良債務が営業収益に占める割合が10%を超えると、そういう起債制限がかかるというようなことがございます。今現在、平成16年度の状態ですけれども、平成15年度の0.9%から、今現在、営業収益に占める率は4.4%というふうな状況になってございます。
当山全弘委員 では、今のところ法律で定める再建団体には該当しないということでありますけれども、この不良債務の計画的な解消等についてはどのように考えていらっしゃるわけですか。
知念建次県立病院監 いわゆる不良債務が生じる一番大きな原因といいますのは、資金繰りと言うか、営業収益と営業費用の収支のバランスをきれいにとるということが一番不良債務の解消につながるということですので、収益の確保を図るということと費用の節減に努める、経営の改善のためになお一層努力をしていかなければいけないということに尽きるかと思います。
当山全弘委員 久田県立病院経営課長に聞きますけれども、累積欠損金がすぐ不良債務に陥るということはないわけですね。だから、421億円もあるから、一般に病院経営は大変だなということがあるけれども、経営状態を見ると、やっぱり不良債務比率の問題が低ければ、さほど経営に支障はないというふうなことになるんでしょうか。
久田裕県立病院経営課長 不良債務と言いますのは、先ほど私が言った、流動負債が流動資産より多ければ、当然資金繰りが悪いということで、要するに目の前の運転資金にも不足しているという状況で、経営上は非常に厳しいということになります。病院事業も公営企業という企業の1つですので、本来であれば、そういうことはあってはならないことなんですが、確かにそういうことで非常に厳しい状況ではありますので、それを解消するというのは、私たちそれの運営を担う者にとっては、当然その改善に努めなければならない。ただ、先ほどもちょっと話をしましたけれども、資金繰りが不足するので、年度末に払うべき金が当然実質的にはないわけです。だから、その部分については支払い繰り延べであるとか、要するに支払いを翌月に回すとか、それから一時借入金の借りかえです。要するに、この審査意見書にも出てきますけれども、年間延べ123億円近くを一時借入金で運営をやっているものですから、年度末にはどうしても不足する。その不足分については、支払い繰り延べであるとか、それから一時金を借りかえして対応している。それについては翌年度に支払いするという形でやっております。ただ、そういうことは健全な姿ではないと言えると思います。
当山全弘委員 私は那覇市立病院の決算審査意見書を取り寄せて見たんですよ。そうしますと、これは入院・外来患者が45万3943人、入院患者、外来患者を含めて延べ1万213人、2.3%増加しているわけですよ。稼働病床数、入院患者の病床利用率、これも96.3%、前年度比で0.8%もふえているわけですね。そして収益的収支についても3億1168万4262円の当年度純利益を生じております。こういった経営努力が公立病院でできているのに、なぜ県の方が毎年毎年、累積赤字ばかり出しまして、欠損金まで出して経営しているのかなと。毎年の決算のたびごとに、予算特別委員会でも決算特別委員会でも全部こればっかりですよね、一向に改善されない。県立の場合は、累積欠損金というのは毎年毎年多くなっていくし、これは何とかしないといけないと思うんですけれども、一方の公立病院では大体できているわけですよ。なぜ県の方ができないのか。知念県立病院監、前の病院管理局長からはどんな引き継ぎがあったんですか。この解消面についてどのように考えていらっしゃるか、お答え願いたいと思います。
知念建次県立病院監 那覇市立病院が黒字化に成功したということにつきましては、我々も経営状況であり、取り組みの事例等についていろいろ勉強させていただいているところですが、こう言ったらあれですけれども、県立と那覇市立と違うのは、いわゆる複数と単体という違いもございますし、ある面、県立におきましては離島等の医療も抱えている状況がございまして、そういう面では、不採算、あるいは離島医療費の増嵩、離島であるからということでの離島経費の増嵩等も1つの赤字の要因になっているという部分もございます。
 それともう1つには、いわゆる7つの県立病院の運営、経営をしているわけですけれども、施設につきまして、約30年、40年たちますと老朽化が入りますので、その施設建築につきましても、ある面、要するにローテーションと言うか、ある一定のローテーションで老朽化が来ますので、その部分の改築改良も入れないといけないということで、減価償却等もかさむ部分で累積等が膨らんでいるという状態でございます。
 いわゆる解消策につきましては、もう経営改善に一生懸命努力しているということに尽きるわけですけれども、そのためには、先ほど言いました地方公営企業法の全部適用へ移行しまして、事業管理者のもとで、いわゆるプロパー職員、病院の医療事務に精通している職員を採用できるような状態にして、それに向かっていくとか、そういう抜本的な改善を目指す必要があろうかと考えております。
当山全弘委員 県立病院の特殊医療とか高度医療についてはわかりますが、ようやく維持されているのは、外来患者が減った、入院患者も減っているわけだけれども、医療単価が上がったことによって、ようやくしのいでいるというふうな結果が出ております。市町村でしたら、これはもう財政危機ということがあって、このことについては大変真剣に取り組んでいるのかなと思っているんですけれども、県立について、こういった財政的な厳しさがまだまだ足りないんじゃないかなと私は思うんですよ。その辺をしっかりと分析して、ぜひ知念県立病院監が在任中に、飛ぶ鳥跡を濁すなということがあるじゃないですか。はっきり、しっかりとした目線で、財政危機に直面していますよということで、病院の立て直しについていま一度決意を伺って、終わりたいと思います。
知念建次県立病院監 経営面で非常に厳しい状況にあって、なかなか改善できないということについては、かなり責任も重大かなと認識はしております。
 ただ、もう一方では、県立病院の役割、機能という、地域の中核病院、広域基幹病院としての役割、機能ということも十分認識しながら経営改善に一生懸命頑張っていきたいと考えていますので、御理解をお願いしたいと思います。
池間淳委員長 比嘉京子委員。
比嘉京子委員 何かどんどん沈んでしまいますので、少し元気を出して質疑をしたいと思います。県議会の一般質問でもいろいろやらせていただいておりますが、私はこれをどうにかするために、いろんなことを調査しております。
 さて、大きな項目として3つお聞きしたいと思うんですけれども、まず医師の就労環境とか職務への意欲、先ほど職員の意欲を、もっと意識改革を図りたいというようなお話がありました。
 県立病院監もおっしゃっておられましたけれども、特殊事情をよく踏まえた上で、沖縄の地理的、歴史的な背景があるというお話がありました。医師たちは声を上げるほどの暇もなく、一生懸命に献身的に闘っておられるんですけれども、最後は本当に絶望感に打ちひしがれてと言いますか、自分が倒れるかどうなのかというぎりぎりの選択のところで、県立病院を本当に志半ばで退職をしていくという現状があります。
 まず、私は、この現状改革なくして医師を確保しようという考えはないという前提に立って質疑したいと思いますが、1番目に、県立病院の医師がことし4月からでもいいんですが、ことし辞職した人、または辞職願を出している方、その人数をちょっとお聞かせください。
知念建次県立病院監 平成17年度の状況でよろしいですか。
比嘉京子委員 はい。
知念建次県立病院監 平成17年度の状況でございますけれども、平成17年度のこれまでの退職者は正職員で14人、臨時的任用の医師がございますので、臨時的任用の方で3人、計17人です。今聞いているところによりますと、病院長に意思表示をしているということで2人おられるということを聞いております。
比嘉京子委員 本当にいろんな状況の中で、先生方が大変一生懸命な中で何が問題視されているか。今の病院の経営のあり方のことにメスを入れるときに、今の病院の病巣は、これは薬では効かないと思うんです。大手術が必要であるということ、この大手術に向かっていくわけですけれども、この間、嘱託医が2001年に過労でお亡くなりになりましたね。労災が認められたと思いますが、その後にどのような就労環境に変わりましたか。
知念建次県立病院監 平成13年度に嘱託の医師が過労のため、耳鼻咽喉科の関係だったかと思うんですけれども、それ以後、医師の増員という形で、これはトータル定数は変わらない中で再配置という形で、平成13年度以降30名の増員を図ってございます。これは特にその医師がおられた耳鼻咽喉科の方にも1人増員しているということと、そこの病院だけじゃないんですけれども、あとほかの病院についても年度ごとに増員を図っているということで、今までに合計30名の医師の増員を図っている状態でございます。
比嘉京子委員 医師の就労を見ていますと、完全な当直ですね。仮眠のない当直から翌日の通常の外来で約33時間の連続勤務ですね。これが年間に80回から90回あるというような、本土の自治体病院から転勤してこられた人が一番驚くのがこの連続勤務なんですよね。この連続勤務を週に1回から2回はやって換算すると80回から90回になるわけですけれども、こういうことは県庁の職員であり得るんでしょうかね。
知念建次県立病院監 当直から翌日の通常勤務について、県の職員もということですか。
比嘉京子委員 県にこのような職種があるんですか。
知念建次県立病院監 県立病院の医師が今そういう状態で勤務しているということは認識してございまして、何とか環境改善に向けてどういう方策がとれるかということを今話し合っている途中ではございますけれども、大変申しわけありませんが、まだ抜本的な解決策を見出せる状態には至っておりません。
比嘉京子委員 人の命を預かる人たちが本当にぎりぎりな集中力の中でやっているわけですよね。そうすると、本当に医療ミスと背中合わせにいて、そして責任の所在は問われていく。これは医療ミスで、この間、補償問題もあったわけですけれども、ちなみに飛行機のパイロットでもそういう勤務はないわけです。人命を預かる勤務として、こういうことはあり得ないわけですね。こういうことを延々と何年もしてきたわけですよね。ですから、医師としての責任感、そういうものが余りにも過重にかかり過ぎている。こういうことの改善なくして、私たちは、今、医師を探しているわけですね。その矛盾の中に今いるだろうと思うんです。
 次に、県立病院の今後のあり方検討委員会で、県立病院が提供すべき医療機器が整備されていないという状況の中で、医師の過重労働も部門的に存在しているというのをお認めでありますけれども、その認識についてはどうですか。
知念建次県立病院監 県立病院の今後のあり方検討委員会の中で指摘を受けている部分では、提供すべき医療機能の分だと理解してございます。今、実施方策の中でもいろいろ論議してございますけれども、確かに医療機能の面でいろいろ整備されていない状況がありまして、それが労働過重を生じている部分もございます。もちろん、その医療機能の中では医療機器も重要な要素を含んでいるということがございまして、ある面、医療機能全般について見直しを図る必要があると感じていますけれども、先ほども申し上げましたように、まだ抜本的な改善策を見出すまでには至ってございません。
比嘉京子委員 次に行きます。離島の救急患者を輸送するときのヘリコプターに同乗する医師、かつては事故も起こったことがありましたけれども、そのことも業務の位置づけとしてはあるんでしょうか。
知念建次県立病院監 離島からの急患搬送につきましては、福祉保健部の方で今、医務・国保課が担当していますけれども、ヘリコプターに添乗する医師を確保するということで、ヘリコプター等添乗医師確保事業というのを実施してございます。その中に、いわゆる添乗当番医師として、県立那覇病院、県立中部病院、県立南部病院がそれぞれ役割を担っているという状態でございます。
比嘉京子委員 位置づけがまだよくわからない中で、今なぜこんな質疑をしているかと言いますと、医師が、例えば救急、外来、手術、久米島等への応援、それから、今のようなヘリコプターというようなことがありますと、そこにポジションとしているべき人たちが1人抜けると、そこにまた過重労働が生ずるわけですよね。そこにフリーの人がいないわけですね。保育現場でもフリーという人たちを置くわけです。休みがあったところに補充を入れるとか、こういうのがない中で、1人の先生が自分の体調の都合でお休みをもらいたくても、ほかの人のことを考えると休みをとるという気持ちになれない。この無理というのが延々と続いて、限界になったらもうやめる、こういう状況が続いているということを申し上げたくて、これを聞いているわけです。
 そこで次に、今、医師の確保はこういう現状の中で声を高々に言ってもなかなか難しい。このことはもう何度お聞きしても、見通しというのは一生懸命に頑張っておられるということ以外にはないと思われますのでお聞きいたしません。対前年度の赤字に対しても、先ほどから質疑がありましたので大きなことは聞きませんが、きのうから言われております医業収益に占める人件費の割合というところで、先ほど県の認識でありましたけれども、1つは、先ほどから言っている機器の不備、このことは人件費との割合に影響を及ぼしていると私は思っているんですが、県立病院監はいかがでございますか。
知念建次県立病院監 各県立病院の医療機器につきましては、それぞれ予算要求時期にと申しますか、各県立病院の中で、院長を中心にして医療機器の検討委員会というのをつくっていただいています。その中で、各セクションからの医療機器の要望をまとめていただいて、それで、うちの県立病院経営課ですけれども、予算を扱うところと調整していただいているという状態です。ただ、今経営は非常に厳しい状況でありまして、予算的にも非常に逼迫している状態でありますので、各病院が要望する医療機器が必ずしも満足のいくような状態で整備されているという状況にはございません。
比嘉京子委員 経営をよくするということの第一義的なところに、まず待ち時間を少なくして効率をよくするということが医業収益を上げることにつながるわけですね。例えば1時間で済むような検査が、検査機器がプアなために、ひどく古いために3時間かかる、そうすると、ここで大きなロスですね。現状としては、例えば県立中部病院にあると、民間のほかの病院に行ってそれをとっていらっしゃいということさえも起こっている。それから、緊急手術のときに開腹手術の場合に、そのときに開いたところを広げるような開創器というのがあるらしいんですけれども、そういうものは十分な個数がないということで、1人の医師がずっとあけていること。その先生はほかの救急患者を診ることができるはず。そういうように、どっちが先かというような、例えば赤字だから、こういうことをカットしなさい、お値段は幾らですかと聞いたら120万円ぐらいだと。そういうような機器が十分にないのか、超音波だって、そんなに十分にないのか聞いていれば、実態は先生方の声というのがどこでとまっているのか、私にはもう本当に見えにくくなっております。
 こういう中というのは、先生方がいい医療をするということは、言ってみれば県民がいい医療が受けられるということです。いわゆる県の医療行政が基本に立っていないということにもつながるわけです、どっちが先なんでしょうかね。そういうことで収益を上げることで人件費の割合は明らかに落ちるわけです。その感覚が、縮小するから、悪循環の中にどんどん陥ってきている。今、大手術が必要な管理のあり方だと私は思っているんですけれども、それを縮減することだけが大事なことでしょうか、どうなんでしょうか。
知念建次県立病院監 医療機器につきましては、これまで、例えばリースの問題等もあると思いますけれども、いわゆる高額な医療機器につきまして、今まで対応していた状況というのは国庫補助金が入ります、それから起債がききますということで、償却年限の1.4倍から1.5倍ぐらいまでは使ってくださいというようなことでの対応の方針です。基本的には、それは国庫補助金と起債とリースとの費用対効果をある面計算してやっていかなければいけない状態であることは今現在も変わっておりませんけれども、委員がおっしゃっていた、ある程度低額の部分については、ある面、リースの効果も早いというような形がそろそろ出てきているというようなことも聞いていますので、その辺の効果等も図りながら、そういうリースによる対応も入れていく必要はあろうかと感じています。その辺を一遍に入れると、やっぱりリースというのはある面、現金が伴いますので、なかなかそういう部分もいかないという事情が今の経営状況の中にあるということで、それは必ずしも満足のいく状態でその効果が出せるかということには至っていませんけれども、徐々にではありますが、そういうことも入れながら改善を図っていく必要があろうかと考えています。
比嘉京子委員 もちろん先生方に金銭感覚がないとは思わないわけですね、これだけ赤字と言われているわけですから。それで、機器を選ぶときの権限というのは全面的にドクターの方にあるんでしょうか。
砂川亨県立病院管理課副参事 私はこの3月まで約18年間、県立那覇病院で外科医をやっておりましたけれども、基本的に、一応機器は、各科ごとに希望機器を1番から大体5番ぐらいまで書いて出します。それを機器整備検討委員会に上げて、その委員会でヒアリングをするわけです。外科でも脳外科は一番高いんじゃないか、これは、ことしはちょっと無理だから、じゃ、2番目を1番にして上げてくれ、一応ヒアリングをして、病院の中である程度のプライオリティーをつけて、順位をつけて、県立病院経営課に上げる、それをまた県立病院経営課の予算の範囲で予算措置をするということになる、ですから、必ずしも自分が一番買いたいものが買えるかどうかはわかりませんけれども、ある程度の、ぜひこれはカバーしてほしいというものに関してはできます。そのかわり、一番欲しいけれども、高いものは毎年1番に載せて書いていくということはやります。そういうことです。ですから、買いたいものがいつも買えるということではありません。
比嘉京子委員 最後になりますけれども、地方公営企業法の全面適用、今検討中だということなんですけれども、それのメリット、デメリットを簡潔にお願いします。
當眞正和福祉保健部参事 まずメリットと申しますと、これまで一部適用の中でできなかった―財務だけは一部適用だったんですが、権限として持っていなかった組織や人事、そこら辺が全部適用によって確保できるということです。事業運営について、みずからの責任権限の中であるんですが、柔軟性、迅速性、そういったものが確保できますので、より企業性の発揮が可能になると考えております。
 特に人事権の部分につきましては、これまで一部適用のもとでは、医療技術職員はほとんど病院内部で動くんですが、事務職員が2年ないし3年間で一般会計とローテーションすると、御案内のとおり、病院事業特別会計は、しかも複式簿記、企業会計ですから、それになじむのにも時間がかかるわけですね。病院の経営は行政と違って、これは完全に企業の経営という感覚が必要です。それを醸成していくという期間が余りにも短い。病院経営のプロパーがなかなか育たない、専門家が育たないという状況がございます。それが地方公営企業法全部適用に持っていくと、採用、人事に関する権限がふやせますので、そういった専門職員の育成、確保がこれまでよりも容易になっていく。もちろん地方公営企業法全部適用に移行したから、すぐその翌日からそういった職員が集まるわけじゃないんですが、それが可能になる仕組みができるということが一番大きなメリットだろうと考えております。
 それから、そのほかにいろんな規則関係、例えば事務決裁規程だとかそういったことも、これまで病院事業内では決裁できなかったことも、かなりの部分が事業内で決裁できますし、病院の現場にもそれをおろすことができますので、やはりいろんな面で迅速性、柔軟性が確保できていくということで、企業性が発揮ができると考えています。
 それから、デメリットということは特にないと認識していますけれども、ただ、留意事項としましては、地方公営企業法ではそもそも本質的に全部適用であるべきだという事業がありまして、7つの事業、水道事業もそうですけれども、そういったものと、当然には全部適用ではないが、全部適用にできるという事業があります。病院事業は当然には全部適用ではないんですが、自治体の選択によって、全部適用、一部適用、両方とれます。
 それはなぜかと申しますと、やはり水道事業などと比べまして採算性が低い、それから保健衛生とか、民生行政のところ、地方公共団体の行政面とのつながりが非常に強いということで、そこら辺の確保の関係で連携が深いので、それは財務は適用しますが、そのほかのところは行政の方との連携という意味で一部適用でいいんじゃないかということもあって、どっちをとるか、それは選択できるわけですね。そういったことで気をつけなければいけないのは、企業性に余り力が行き過ぎて、いわゆる福祉面、公的な役割とかいったところがおろそかにならないように気をつけるべきだということが留意点としてございます。あと、個々の段階でいきますと、事務的には人事管理とか給与管理といった業務は多少ふえます。
比嘉京子委員 本県の事情というのは、もう皆さんが何度もおっしゃっているように不採算医療が入っているということがあるわけですから、私はやっぱりここは赤字ではない、必要経費なんだという部分と、赤字解消として努力すべきだという部分を明確にしていく、このことが見えないので、先生方のモチベーションがなかなか上がらないのではないか。どこまでやったら私たちはよくなっていると思うのか、そこら辺はどうでしょうか。
知念建次県立病院監 県立病院事業ですので公的な部門を担っていますから、いわゆる救急医療であるとか、そういう不採算医療部門を担っています。基本的には総務省基準において、不採算医療につきましては一般会計からの繰り入れがなされるというような形になっています。ただ、総務省基準においての繰り入れについては、ほぼ適正に繰り入れがなされていると我々も認識はしてございます。
 ただ、もう一つ、ほかの県で、特に全部適用をしている県、あるいは県立病院事業を多く有している県において、財政当局としてルール化を図っている部分がございます。それは総務省基準以外に、その地域地域の特性によってルール化を図っている部分もございますので、ある面では、我々はその辺の視点が、これは私ら自身そうなんですけれども、いまいち勉強不足な部分があるんじゃないかということを最近感じております。それによっては、うちの現実ですと離島を抱えていますから、その増嵩経費であるとか、今回、新病院に子供機能を120床有する、いわゆる高度特殊医療部門を担うわけですから、その辺の部分についての政策的な経費をどう見るか、その辺については十分勉強して、ある面、今後の繰り入れにどう反映させるかというようなことを考えていく必要はあろうかと感じてはいます。
池間淳委員長 休憩いたします。
   午後0時9分休憩
   午後1時32分再開
池間淳委員長 再開いたします。
 午前に引き続き質疑を行います。
 仲田弘毅委員。
仲田弘毅委員 知念県立病院監並びに病院事業に携わる職員の皆さん、大変御苦労さまでございます。島嶼県である本県は、民間病院が都市地区に集中している。その観点から、離島僻地医療も含め、基幹病院、そして地域の中核病院としての県立病院の果たしている役割は大きいものがあり、そのことは周知のとおりであります。県民の健康、命に直接かかわる事業であります。しかし、平成16年度、30億7000万円以上の純損失があり、前年度対比6億8000万円ほどの損失が出たのも審査意見の中で報告がございました。その結果、未処理欠損金、累積赤字も421億円に増大しているとのことであります。県債の残高も6480億円に達しており、県民のための医療事業が滞るようなことがあってはと、大変危惧をしているところであります。
 そこでお伺いします。九州8県の中で、本県は7つの県立病院を抱えているわけですが、九州との対比はどうなっているか、お聞かせ願いたいと思います。
知念建次県立病院監 平成15年度末の状況なんですけれども、福岡県が5病院、ただ、福岡県は、その後経営移譲を進めていまして、今、公設民営で精神の部分が1病院残っている状態です。それから、佐賀県が1病院、長崎県が3病院、熊本県が1病院、大分県が2病院、宮崎県が4病院、鹿児島県が5病院となっています。
仲田弘毅委員 本県は島嶼県ということで陸続きではありません。九州各県は、鹿児島県の県立病院であろうが、お隣の宮崎の県立病院でも通えるという大変利点がありますから、沖縄県が7カ所もあるということは理解できます。しかし、この他県の経営状況、つまり財政状態が大変気になるところでありますが、もしおわかりであれば御報告をお願いしたい。
知念建次県立病院監 累積欠損金の状況で御説明を申し上げます。平成15年度末ですので、福岡県は5病院の状態なんですけれども、142億5800万円、それから佐賀県が16億3900万円、長崎県が70億2400万円、熊本県が14億5700万円、大分県が88億3600万円、宮崎県が165億300万円、鹿児島県が119億2200万円という状態でございます。
仲田弘毅委員 その点から言いますと、本県は累積赤字にして大変大きいものがあると考えております。この財政状況を含めて、本県の今の現状は大変厳しいものがあると思うんですが、それに向けてこの7つの県立病院がおのおのの赤字を出しているわけですが、それに対して本当に、県立病院監として、今後ぜひこうしたいということがありましたらお願いしたいと思います。
知念建次県立病院監 午前中にもお答えしたと思うんですけれども、経営状況は非常に厳しい状況にございます。非常に厳しく認識しております。もう1つに、県立病院という公的な医療機関としての果たす役割ということも認識しながら経営改善に取り組む必要があるという認識をしてございますので、今、地方公営企業法の全部適用に向けて、ある面、病院事業が自主性あるいは自立性、あるいは企業性を発揮できるような体制づくりを構築することが一番肝心なことかなと感じております。
仲田弘毅委員 県立病院を民間ベースで、営利、利益追求主義でやるべきであるという意見をするつもりは毛頭ありませんが、しかし、県民のための事業は本当に県民の医療事業としてしっかり存続して、これを継続していかなくちゃいけないと考えております。そのためには、別に黒字を出してくださいという意味はありませんが、せめて自主管理体制で、おのおのが自主運営できるような状態ができることを、県民一人一人は、私たち県議会議員もそれを補佐するために一生懸命頑張っているわけですけれども、それを期待しております。そのためには、審査意見書の中で、まず経営体質の強化を図らなくちゃいけない、これを図ってくださいという要望があるわけですが、その経営体質を強化するための具体策がありましたら、県立病院監の方からお願いします。
知念建次県立病院監 監査委員からの意見書の5ページにあります経営体質の強化についての御指摘につきましても、県立病院事業に係る地方公営企業法の全部適用の実施に向けた作業が進められているという先ほどの説明がございますので、そういう面では、経営体質の強化について、先ほども少し申し上げましたけれども、1つには、いわゆる地域の医療ニーズに対応した医療提供体制の確保に配慮するというようなことを含めまして地方公営企業法全部適用に移行し、ある面、経営体質の強化を図る必要性があると認識をしてございます。
仲田弘毅委員 これは意見書の5ページの方にチェックされておりますけれども、その(2)に地域医療連携の強化と患者数の確保についてというようにしっかりうたわれてはいるんですが、その反面、病院の長期入院患者を民間病院に移転させる、それから初期救急等の外来患者を民間病院に紹介するというふうな、これは病院の新しい基本的構想の中にうたわれているわけです。そのことに関して、ちょっと矛盾するんじゃないかというような気持ちがございますが、いかがでしょうか。
知念建次県立病院監 県立病院の果たす役割として、いわゆる地域中核病院あるいは広域基幹病院としての役割を果たすということで、県立病院の果たす役割の中で急性期病院への移行を目指しているという状態でございます。その急性期病院への移行の中でいきますと、いわゆる在院日数の関連で、長期入院患者が長く滞在しますと、やっぱりベッド数との関連もございますので、急性期患者を受け入れるという体制のためには、ある面、長期入院患者の早期退院を図るということは必要なことだと考えております。
 ただ、当然地域医療連携ですので、地域医療連携を通して退院の受け入れ先の療養所、あるいは病院、あるいは診療所等と緊密な連絡体制をとって、その患者の体制をとる必要があろうかと思いますけれども、いわゆる急性期患者を確保するという観点からは、長期入院患者についての対応もひとつ必要な策だと。それは患者のケアを前提にしての考え方として、当然それを取り入れていかないといけないという認識の考え方でございます。
仲田弘毅委員 これは最近のことですが、県立中部病院で心臓病の大変重い病気の患者さんがおりまして、オペレーションをして2週間で退院ができた。家族からしますと、県立中部病院でもうちょっと面倒を見てくれないかなということでしたけれども、民間病院に移転して、その民間病院からも、もう2週間ほどでまた退院したと。ですから、従来、県立病院でやるべきこと以外のものも県立病院でやっていたんじゃないかな。県立病院の役割というものがもともとあったはずなんです。高度医療に関するもの、そして大変高度な技術を要する機械、そういったものが民間病院でできなかった。そのことに関して、従来の県立病院でやるべきこと、そして、琉球政府から県に移って7つの県立病院があるということも含めて、この県立病院が今何をしなくちゃいけないかという、この基本的な病院のあり方なるものを県立病院監からお願いします。
知念建次県立病院監 先ほど私が長期入院患者の解消ということでお答えした部分で、今、長期入院患者の定義というか、我々が日数的に把握していますのは、ある面、60日から90日ぐらいかけて長期入院をしておられる患者が、県立病院にも病院ごとに数十名単位で抱えている状態があるものですから、そういうことを基本に、長期入院患者の解消ということを今は前提にしてございますので、少し説明を加えさせてください。
 それと、先ほどの県立病院の役割ということなんですけれども、県立中部病院、それから、今度新しく4月1日に開院します県立高度・多機能病院 (仮称) については、いわゆる広域基幹病院として、ある面、2次から3次の医療まで賄えるような状態での病院機能という形を考えています。それ以外の部分については、県立北部病院、それから県立宮古病院、県立八重山病院につきましても、やはり地域の中核病院としての位置づけをしてございますので、それぞれの地域の中核病院として公的な医療、あるいは2次医療を中心にした公的な医療の役割をきちんと担っていく必要があると考えております。
仲田弘毅委員 6ページにまたがって、診療の未収金額が16億円、それから職員給与が67.8%、これは企業で言えば大変厳しい数字であります。会社が運営できるかできないかの瀬戸際になります。こういうふうな形では存続というものが大変厳しい状況にあることは間違いありませんので、やはり企業努力なるものが必要かと思います。三位一体の改革の中で、私たち沖縄県も行財政改革をしっかりとやっていかなくちゃいけない立場にありますので、まずは職員一人一人が意識改革をして、それに立ち向かっていく必要があるんじゃないかと思います。
 昨日、私たち県民の会の代表であります浦崎唯昭委員から、新垣出納長にこういった話をしました。給料が48万円なのに生活費が64万円かかって、毎月16万円の赤字である。しかも、借金の元利金の払いが18万円もあるため、今月も新たに34万円の借金をした。これは今、何万円という単位ですが、これを何兆円という金額に置きかえると、国の一般会計予算になるそうです。国は84兆円のうちの48兆円が自主財源ですから、まだいいです。本県の自主財源は、きのうの説明にもありましたように27.1%。あと7割は、70%は国におんぶにだっこであります。ですから、今現在、私たちが県の財政を考えながら病院事業を存続させていく、この中でこれだけの421億円という大きな借金を抱えているわけですが、その借金を抱えながらでも運営しなくちゃいけない。このことは、私たちが本当に責任を持って、県民の理解を取りつけながらやっていく必要がある事業であります。ですから、国は国、本県は本県ではなくて、国の指導も仰ぎながら、私たちの沖縄県が、今後、47都道府県の中で唯一の離島県として、あるいはこれだけの島々を抱えた島嶼県として生き抜いていくための方策を、みんなで考えながら頑張っていきたいと思いますので、知念県立病院監も、ぜひ沖縄県民の生命と健康のために一生懸命頑張っていただきたいと思います。
池間淳委員長 浦崎唯昭委員。
浦崎唯昭委員 午前中からお話を聞いておりますが、県立病院監の、とりわけ県立病院の前途に何か暗雲が垂れ込めているかなという感じの議論が多いんですけれども、私はそうじゃないと思っております。年間200万人近くの患者が県立病院を訪れ、そして300名近くの医者、それに従事する看護師初め2000名近くの医療従事者の皆様方が一生懸命頑張っている。そういう意味では、当決算特別委員会でいろんな部分がありますけれども、頑張ってもらいたい、私はこのように思っておる次第でございます。
 そういう中で、機構改革によりまして病院管理局長から県立病院監という職に変わりましたけれども、何か変わったことがありますでしょうか。
知念建次県立病院監 私、4月に県立病院監の職責になってから参ったものですから、非常に答えにくい状態です。その前に、1年経由で、2年前は前任の平井病院管理局長のもとで病院管理局の次長をやっておりまして、1年のブランクがあって、県立病院監としてまた同じ職務を遂行させていただいているわけですけれども、今のところ、役割的には、前の病院管理局長の役割を引き継いでいると認識してございます。ただ、組織的には、やっぱり中二階という形のものがなくなっていますので、局長という名前がなくなって、外に出ていくときは少し違和感があるというのは正直なところでございます。
浦崎唯昭委員 私も多分そうだろうと思っておりました。そういう意味で、名前は違いましたけれども、頑張ってもらえると思います。
 そこで、明るい話題の1つに県立高度・多機能病院(仮称)ができます。これは県民にとっては待ち遠しい病院でして、平成18年4月に開院のようでございます。平良長政委員からも少しありました。また、関係者の陳情もありますし、文教厚生委員会でも議論されたようでございますけれども、また、県立病院監にも直接お話し申し上げました。この名称について、知事がそろそろお決めになるだろうということでございますけれども、関係者はその中で、こども病院を何らかの形で新しい病院に、できたら入り口に名前を付してもらいたいけれども、少なくともこども病院であるという特徴を今度の県立高度・多機能病院(仮称)には出していきたいという強い願いがあるんです。そのことについて、先ほど新病院についての名前は知事がそろそろ決断を下すということでございましたけれども、その中で、関係者がこども病院を何らかの形で、名称で病院に残していきたいということでございますけれども、そのことについてちょっとお聞かせください。
知念建次県立病院監 NPOのわらびの会という組織でございまして、前のこども病院設立推進協議会という組織がNPOのわらびの会に移行したと聞いていますけれども、その方たちから10月5日に要請がございました。現在、そういう要請も踏まえまして、テーブルにのせまして議論をし調整しているところでございますので、それも踏まえた議論の結果として、近々選定、公表できるようにしたいと考えてございます。
浦崎唯昭委員 名称につきましては過去にはいろいろあったようでございますが、時代が変わりまして、併設して名前も付せるというようなこともその人たちは話しておりますので、ぜひそういう方向で進めてもらえればな、このように思っております。
 皆様方にはお話ししていないので、少し説明させていただきます。きのうも出納長、代表監査委員に対して、前田委員が地方公営企業法第17条の2、同法第17条の3による繰入金について話をしておりました。私も聞きながら、その議論を理解する部分はたくさんございました。そういう中にありまして、皆様方も昭和57年度の第1次の沖縄県病院事業経営健全化計画から、平成15年度から平成19年度までの第4次沖縄県病院事業経営健全化計画があるわけでございますが、そういう中で、きのうの監査委員の指摘は病院事業へ8項目ございます。そういう中で、地方公営企業法による繰り入れについての指摘は、関連してあるかもしれませんが、これでは見当たらないわけでございます。そこで、私はそのことについて、病院事業は平成15年度に包括外部監査が入っておるようでございまして、その中で指摘をされていることが、先ほど申し上げました一般会計からの繰り入れについてであります。
 監査の皆様方の意見としては、地方公営企業法第17条の2第1項第1号に該当する経費は、地方公共団体の一般行政事務を特別会計が肩がわりする性質を有し、本来、特別会計、病院事業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でなく、これに伴う負担金は義務的な性質を持つ。そのために積算基準及び査定基準は当然一致し、それに伴う要求額は自動的に決まらなければならないが、実際には両基準が一致をしていないという包括外部監査の指摘でございます。
 それから、地方公営企業法第17条の2第1項第2号に該当する経費は、地方公営企業が能率的な運営を果たしたとしても、不可避的に生じる経営の収入ではカバーし切れない経費を意味し、政策上、一般会計が義務的負担等を負うものとされている。よって、この場合も積算基準及び査定基準は当然一致し、それに伴う要求額は自動的に決まることが期待される。しかし、実際にはこの査定基準と皆様の積算基準が一致していない、そういうような指摘でございます。また、補助金につきましても積算根拠等が示されていないというようなことが言われているんですよ。
 そういう中で、私は、今指摘をされた部分について、監査の指摘というのは、これは最近は国会でも監査の指摘を受けて、予算を編成するときにそれを生かすということで、参議院でも決算審査の過程で浮かんだ問題点を予算編成に反映させる観点から、各省庁へも強く申し入れているというのが、参議院の決算に対する基本的な方針のようでございます。そういう意味では、やっぱりこういう監査の指摘は大事にしていかなければならないと思うんですけれども、これは平成15年度です。今日までそれが改善されていないのは、きのう前田委員が指摘され、それは私もわかりました。それの査定基準、積算基準がなぜ一致しないという指摘があるのか、そしてそれの是正がされているのかどうか、この辺をお聞きしたいと思います。
知念建次県立病院監 申しわけございません。平成15年度、外部監査の分の資料を今手元に持っていなくて……。
浦崎唯昭委員 中の問題、そういう指摘を述べてください。
知念建次県立病院監 それは承知している部分でよろしいでしょうか。
浦崎唯昭委員 どうぞ。
知念建次県立病院監 繰り入れ、繰り出しのときの平成15年の外部監査のときに、基本的には、総務省基準におきまして地方公営企業法第17条の2第1項第1号というのはいわゆる負担金と言われるもので、救急に当たる経費で、地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費、本来、政策的にやるべき経費ということが1つございます。それは、いわゆる救急医療に係る経費です。
 もう1つには、同法第17条の2の第1項第2号の経費で、地方公営企業の性質上、能率的な経営を行っても、なおその経営に伴う収入をもって充てることが客観的に困難であると認められる経費ということがございまして、これは、結核であるとか、精神であるとか、あるいは小児病に係る部分ですね。これはどういうことかというと、病院事業において経営努力をすべきであり、その分、経営努力をした上での収支差について一般会計から繰り入れをします、補てんをしますよという、そういう基準でございます。その基準の面においては、午前中もお答えしましたように、ほぼ適正に繰り入れがなされているものと認識しています。
 ただ、昭和55年度のときには、昭和55年度から過去3年から4年ぐらいだと記憶してございますけれども、病院事業の経営が非常に厳しい状況の中で、一般会計から総括管理費というようなもの、いわゆる補助金的な性格のものが別途繰り入れがなされている実態がありまして、それについて、多分基準としての概念に合致しないというような指摘があったということは記憶してございます。その後、その総括管理費を除いた分で、総務省基準のすり合わせについては、財政課と今現在も毎年毎年すり合わせをするように心がけていますので、多分そのときの指摘は総括管理費のことじゃなかったかなと記憶してございます。記憶違いだったら申しわけありませんけれども、今、記憶している範囲です。
浦崎唯昭委員 これは平成15年度の包括外部監査でございますので、そのときのものだと思うんですけれども、おっしゃるように、結核病院の運営に対する経費、高度医療に関する経費、附属診療所の運営に要する経費ということで積算基準、査定基準が一致していないということであります。できたらその数字もわかればありがたいと思うんですけれども、出せないと思うんですが、ぜひその辺はきれいに整理をして、一般会計繰り入れが正当なものであるということを示してもらいたい、このように思います。
 さらに、人件費についても監査では話しておりますけれども、人件費については、きのうの代表監査委員とのやりとりの中でもありました。これは監査の6番目の指摘ですけれども、職員の給与費の割合を見ると67.8%、前年度より0.5ポイント上昇している。そして、職員の給与費が全国自治体病院より高い状況にあり、給与費は事業費の5割以上を占め、経営に与える影響が大きいことから、引き続きその縮減に努める必要がある。私は、ある意味で、これが健全化の1つの大きな対策にもなるのかなと思うんです。監査委員の指摘に対しまして改善するのはなかなか厳しいとは思うんですけれども、やはり職員の給与に何らかの形で50%を上回るような、そういう状況はなるべくない方がいいのではないのかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
知念建次県立病院監 おっしゃるとおりだと思います。一般的に言われていますのは、給与費比率は50%以下に抑えるようにということでございますが、平成15年度の全国の黒字病院と言うんですか、要するに経営収支が利益を出している部分の人件費の比率は58.2%でありまして、本県より9ポイントも低い状態でありますので、本県も60%を割る努力をしなきゃいけないとは思います。そのためにどういう業務をするかということで、外部委託等の効率化についても今取り組んでいるところでございますけれども、ある面、離島が多いという状況がありまして、なかなか厳しい状態があるということも否めない事実であるということでございます。
浦崎唯昭委員 県立病院監がおっしゃるとおり、私も離島の多い中で、ハンディを背負いながら全国平均と比べることはできない部分はあろうかと思います。ただ、一般論で民間の皆様から言わせますと、赤字が400億円もある病院が給料は全国よりも高いということは、やはり少し違和感を感じざるを得ないんですよね。そういう意味では、県立病院監がおっしゃられたように、そういうことにも十分目を配り、気配りしてもらいたいということを要望して、終わります。
池間淳委員長 赤嶺昇委員。
赤嶺昇委員 まず初めに、沖縄振興計画の中で、皆様の部署で沖縄振興推進計画の中で組み込まれている分野と、それの進捗状況をお聞かせください。
知念建次県立病院監 休憩をお願いします。
池間淳委員長 休憩いたします。
   (休憩中に執行部から補足説明あり)
池間淳委員長 再開いたします。
赤嶺昇委員 稲嶺県政の柱の1つである沖縄振興計画、この中で何が組み込まれているのか、皆さんが即時で言えないというのは非常に問題だと思っているんですよ。その中に目標があって、平成13年度から始まって平成16年度、3年後にこの達成状況が幾つかあるんですよ。その部分というのは、それを視野に入れながら経営されているのか、そのあたりは非常に大きな問題だと思っているんですけれども、これは把握されていませんか。
知念建次県立病院監 申しわけございません。きちっとした把握をしてございません。
赤嶺昇委員 そこなんですよ。我が沖縄県はいろんな計画書はつくるんですけれども、計画はつくって、その後、整合性がないんですよ。でも、責めるというわけじゃなくて、今、恐らく皆さんも自分たちの持ち場で一生懸命になっているんですけれども、県全体の計画が、沖縄のこれからのかなめの部分で、一例を言うと医師数について目標値があるはずですよね。看護職員の充足率とか精神科救急医療システムの受診相談件数。じゃ、まずその3点で、平成16年度で、これは数値目標はわかるんですけれども、その実態をお聞かせください。皆さんの部署ですから、これは県の目標ですよ。この部分全般的に、皆さんとのかかわりでどういうふうになっているのか。これは県全体のものであれば関係ないというものじゃなくて、毎回、県立病院監がおっしゃるように、各民間病院とのいろんな分野で沖縄県の医療をどうするかということを言っているわけですから。この沖縄振興計画というのは飾りじゃないんですよ。これから我々議会も検証していかなければならない。できているのか、できていないのか、平成16年度でどうなっているのか。医師数の充足率の部分とか、全部目標があるわけですから、そこはやっぱり検証していかないと、何のためにそういうものをつくるのかということをやっていかないと、そこが今一番欠けている部分じゃないのかなということで、あえて指摘させていただきたいと思っております。
 では、ちょっと中身に入ってまいります。県立北部病院についてなんですけれども、本会議でもいろいろ指摘されている部分ではあるんですが、今、緊急搬送ということで、何かあった場合には県立中部病院に運ぶということです。先日、マスコミュニケーション等の報道、いろんな取材等を通じて、例えば搬送中に子供が産まれたとか、いろんな話が出ているようですけれども、最悪の事態に至らなかったにしても、その搬送中にそういったことがあったのか。この緊急搬送業務に際して、事故には至らなかったけれども、そういう危ない事態があったかどうかをまずお聞かせください。
知念建次県立病院監 北部地域から県立中部病院へ搬送する際に、救急車の中で分娩がありまして、救急隊員が処置した、その後、県立中部病院で措置をしたという事例があります。
赤嶺昇委員 この実態は、私は非常に重く受けとめなければならない問題だと思っているんですよ。救急車の中で子供を産まなければならない北部地域の皆さん、非常にかわいそうだなと、もう素直に感じるんですね。冗談の話じゃなくて、稲福医療技監は産婦人科医ですよね。彼は県立北部病院に張りつけできないのですか。
知念建次県立病院監 今の状態でいきますと、稲福医療技監がという話は出てきてございません。人事権を持っていないものですから。
赤嶺昇委員 そういう資格があるんですよね。
知念建次県立病院監 彼は産婦人科の医師でございます。現在、その稲福医療技監を中心に、医師確保にいろいろ動き回っているという状態でございますので、御理解いただきたいと思います。
赤嶺昇委員 ほかに重要な仕事をしていると。子供を産む行為に、北部の皆さんが子供を産むときに、それ以上の重要な仕事はないと私は思っているんですよ。それぐらい大変な事態ということを、我々議会も、そして皆さんも、県立北部病院も、今、産婦人科医がいないのはどうもなれてきたという部分がある。そうじゃなくて、救急車の中で子供が産まれているという現状は、やっぱり重く受けとめないといけないものだと思っていますよ。そういう資格者が県の職員にいるとするならば、それも考えてしかるべきだと思います。必ず稲福医療技監が入るという話じゃなくて、それぐらいせっぱ詰まっていませんかということなんですけれども、どうですか。
知念建次県立病院監 県立北部病院の今の状況については、非常に厳しい状況であると本当に感じています。医師確保について、今一生懸命努力をしているところなんですが、厳しいということしか申し上げられなくて、大変申しわけないんです。
赤嶺昇委員 じゃ、稲福医療技監の検討は、人事権じゃなくても、今ある人材の中で網羅して検討することはないのかということです。
知念建次県立病院監 1つには、退職された医師の方にもいろいろ当たってみたんですけれども、なお厳しい状況があります。このままその厳しい状況が続くという状態になりますと、もちろんほうっておけない状態でございますから、いろんな方策を考えていかないといけないと思いますので、その中に含めるかどうかについて、福祉保健部長とも少し検討させていただきたいということでしか、今ちょっと答えられませんので、御勘弁願いたいと思います。
赤嶺昇委員 それぐらい今せっぱ詰まっているという状況ですね。今どれだけの人材を本当に即活用、これは資格が要るわけですから、どうなのかということを真剣に考えていただきたいと思っています。これまで文教厚生委員会の中でも話が出たんですけれども、冗談で流されてきた部分ですから、今回、私はあえてまじめに聞いていますので、検討してください。
 それから、各県立病院の医師の不足数の状況をお聞かせください。
松堂勇県立病院管理課長 9月1日現在ですが、県立7病院全体で、正職員は定数が274名おりまして、配置しているのは271名。それで臨時的任用職員を1人配置しているので、それを加えましたら、2人配置できていないという状況でございます。
赤嶺昇委員 そうしますと、従来言われている産婦人科医とか脳外科の部分が、その分野で足りないということで理解してよろしいでしょうか。
松堂勇県立病院管理課長 全体的に申しましたら、先ほど申しましたように2人不足しているわけですが、産婦人科とか脳外科で、県立北部病院とか、あるいは県立宮古病院の方で1人不足しているというのがございまして、それ以外には必要に応じてと言いますか、現実に患者さんが多いとかという部分には、定数よりは1名ほど多く配置している部分もございますので、相殺しまして2人ほど不足しているというふうな状況にあります。
赤嶺昇委員 医師の確保等について、今よく答弁でホームページ等でという話なんですけれども、ホームページに流して、それを待ちにするという状況じゃなくて、マスコミ等をもっと活用して、もっと積極的にやっていかないと、なかなか来ないのではないかなと。今よく言われているのが医師の処遇の部分ですね。やっぱり人数が少ないわけですね。県立北部病院の産婦人科で医師を1人、2人確保するということ自体が難しいんじゃないかな。医師の皆さんが本当にそこまでの責任を持てるのかという部分は一番大きな課題だと思っていますので、それも含めて対応していただきたいということを要望しておきます。
 病院経営についてお聞きします。診療報酬の請求漏れの実態についてお聞かせください。
久田裕県立病院経営課長 請求漏れは経営上も非常に大きい事柄で、可能な限りそういう発生は防止しないといけないのですが、要するにどれぐらい漏れているかというのは、その漏れているという実態がよく把握できないから、結局、漏れということになるんですが、要はどういうときに起こるのかということでよろしいでしょうか。
赤嶺昇委員 これはよくないでしょう。請求漏れがどういう事態かもわからないという話自体、もう大問題じゃないですか。
久田裕県立病院経営課長 請求漏れと言いますのは、例えば実際に診療行為をしてもカルテに記載がない。結局、カルテに記載がなければ、当然また伝票が起こせないし、レセプトもつくれないということで、そういった形で起こる場合もあります。それから、そういったケースとか、実際に医療算定事務が未熟なために漏らすとか、ちょっとした見落としとか、そういったことがいろいろ考えられると思うんですが、実態として全体としてどれぐらいあるかというのはなかなか把握しにくいというのが実情じゃないかと。ただ、午前にもお話ししましたけれども、県立病院経営課の方で適正収益確保対策チーム、要するに民間の医事専門職に委託しまして2人配置してございます。その2人でもって各病院を大体1病院1カ月から2カ月間に1回ぐらい回るようなスケジュールになるんですが、その中で、限られた範囲内で―期間ですけれども、そこでいろいろ点検をしまして、例えば漏れがないかどうか、あるいは算定ミスがないかどうか、そういったことは点検しております。
赤嶺昇委員 じゃ、確認しますね、整理しましょう。診療報酬の請求漏れの実態を把握できないということでよろしいですか。
宮城孝光県立病院経営課副参事 診療報酬の請求漏れについての実態調査、それは過去において、平成12年度あたりにおいて各病院の診療報酬の精度調査というのを行っております。その調査結果から、これは3カ月分のカルテの250件相当分を調査しましたけれども、その調査結果で、それは推測して1年間に診療報酬漏れと思われるのが、当時、その調査結果からは一応2億円程度想定されております。それで、そういった漏れを防止するために、病院管理局の方に我々適正収益確保対策チームということで、各病院を2カ月に一遍回って、算定点検やら、それからレセプト点検、カルテ点検、あるいは県立中部病院においてはオーダリングシステムの点検というふうな、そういう感じで一応点検して、各病院の指導にも当たっております。今、沖縄県病院事業経営健全化計画の中では、この査定漏れとか、あるいは返戻とかというのを大体毎月進行管理しているんですけれども、結果は大分改善されております。
赤嶺昇委員 平成12年度の実態調査で1年で2億円ですよね。そうすると、病院経営が始まってからこれまでの実態をもう片っ端から調べるべきだと思うんですよ。そのあたりはどうですか。これは県民に示しがつかないですよ。
宮城孝光県立病院経営課副参事 この調査にかかる費用は、1病院当たり結構調査費用がかかりますので、一挙にというわけにはいかないのですが、1病院当たり大体250万円の調査費用ということになります。これは計画してやらないと調査はできないと思います。
赤嶺昇委員 本当は、ここでとめたいぐらいなんですよ。ただ、県立病院監、これが今の実態なんですよ。結局、システムができていない。外からの調査を入れないとできない。本来、診療したら、それを請求するのは当たり前、それをやらなければ民間はつぶれますよ。しかし、皆さんは、この委員会の話を見ると、どうも赤字もいたし方ないという話に聞こえてしようがないんですけれども、本来、診療の部分の請求するべきものもできていない。それが1年の調査で言うと2億円、これは想定だけやると大変な額になっていくんですね。結果的に、それが今、経営全体にこの大切なものを示していると思うんですよ。そのあたり、県立病院監から一言。
知念建次県立病院監 御指摘のとおりだと思います。診療報酬請求漏れの分について、いわゆるレセプトの返戻率等とあわせてチェックを入れ始めたのはこの四、五年の事務でありますが、間違いなく四、五年の分でありまして、ある面では行動するのが少し遅いという状況は否めないことだと思います。その返戻率等については形がありますから、チェックはしやすかったんですが、請求漏れの実態につきましては、請求漏れですから、なかなかその額がつかみにくい状態がありました。最初にやったのは、いかに請求漏れが生じるかというようなことから始めたところで、経営対策班に現場に入ってもらっているという状態でして、今の経営対策班に現場に入っていただいたのもここ3年、4年前ぐらいから、それぞれの病院に経営対策班としてそれぞれチェックを入れていただいたという状態です。確かに取り組みが遅かったという御指摘については非常に遺憾なということは感じておりますが、今後はそういうことをきちんとチェックができるような状態にしていくことが肝要かと思いますので、その辺で御理解願いたいと思います。
赤嶺昇委員 基本的に理解はできませんけれども、こういう問題は、結局、この四、五年だという話をして、しかしながら、今の答弁でも、まだ実態把握ができていないという現状ですから、これはもう組織全体の問題だと思うんですよ。平成16年度で30億円の単年度の赤字があるという話をしても、しかし、一方では請求はちゃんとしているかしていないかわからないと。実態が把握できていないというのは非常に大きな問題だと思っているんですよ。ですから、この沖縄県病院事業経営健全化計画を出しておきながら、こんな基礎的な部分からできていないというのは、これは皆さんの問題でもあるし、監査の問題でもあるし、県議会のチェック機能の問題でもあるし、みんなの問題だと思っているんですよ。もう皆さんだけの問題じゃないかもしれない。こういった決算特別委員会も含めて、結果的にそういう現状は、やっぱり県民に示されていない。ですから、確かに県民の医療は大事ですよ。離島も含めてなかなか難しい点もあるんですが、当然としてやらなければならないことができていないということに非常に大きな問題があると思っているんですね。だから、私はこの間の一般質問で、稲嶺県政の病院政策に対する、これはもうだめですよと。そうしたら、本人はそうじゃないと、そのままもう1回聞きたいくらいですよ。これは単に個人的な話じゃない。これはやっぱり我々がそれをいかに改善するかということが大事な部分だと思っていますので、そこはいま一度、この420億円余りの累積赤字も含めて、じゃ、あえて聞きますけれども、これは今後返済する見通し計画というのは立てていますか。
知念建次県立病院監 421億円余のうち、これは減価償却費が伴う部分がありまして、それを除いたものが約77億円、現金ベースで累積赤字を持ってございます。その77億円余りを除いた減価償却に伴う分については、いわゆる全部適用への移行と言うか、一つの仕組みの変わりのときに、それを落とせる仕組みがございますので、今考えていますのは、全部適用に移行する際に、この累積赤字の減価償却分を整理できないかということを含めて検討しているところでございます。
赤嶺昇委員 この部分は、どうも数字のマジックに見えてしようがないんですよ。これから減価償却すれば、それがあたかも何もなかったようにぱっと消えるという部分なのか。やっぱりもっと突き詰めて、これから議論していかなければならない大事な部分だと思っているんですね。
 先ほど浦崎委員からもあったんですが、経営は厳しいんだけれども、職員の給与は全国に比べて高いという部分は、やっぱり示しがつかないと思っているんですよ。例えば420億円の累積赤字がある中で、あえて聞きますけれども、皆さんは、例えば前の病院管理局長は退職金をもらったんですか。まずそのあたりをお聞かせください。もらった、もらっていない、どっちか。
知念建次県立病院監 もらっていると思います。
赤嶺昇委員 それは嫌がらせで聞いているわけじゃなくて、例えば民間企業も企業会計ですから、これだけの赤字になってくると、もう退職金どころじゃない。もしかしたら、自分の財産も提供しないとやめられない。しかしながら、皆さんは身分を保障されている。その保障されているという視点が、結果的にその危機感が見えてこない。このまま行くと、もう自分たちの生活、自分たちの給与、退職金問題に響いてくるとなってくると、みんな必死ですよ。確かにすべてをペイするということまでいかないにしても、それは一定の線を、しっかりとラインを引いていかないと、これは県立病院だから、離島も含めるから、赤字は仕方がない、離島県ですからと、そんな理由では通りませんよ。基本的に病院経営の視点というのは、これは本来あるべき姿について、その経営についていま一度御答弁ください。
知念建次県立病院監 県立病院の沖縄県病院事業経営健全化計画について、今まで実行してきたことなんですけれども、第3次沖縄県病院事業経営健全化計画まではある面、いろいろ細部にわたるチェックというのが、なかなか目が届かないような状態だったかと今思っています。と言うのは、第3次までの沖縄県病院事業経営健全化計画の目標が、患者数の増、それから単年度収支の黒字、これは減価償却も含めての分です。それを目標に第3次までの沖縄県病院事業経営健全化計画を立ててきたわけですけれども、結果として達成できていない状態がございます。
 今、第4次沖縄県病院事業経営健全化計画においても、現在において厳しい状況だということは間違いないんですけれども、ただ、第4次沖縄県病院事業経営健全化計画を立てる際には、今までの第3次までの沖縄県病院事業経営健全化計画を反省して、それで一つ一つの収支目標と言うか改善目標、病床利用率であるとか、医薬分業であるとか、一つ一つの目標を立てまして沖縄県病院事業経営健全化計画に取り組んでいたということで、今取り組んでいる状況でございます。
 今の沖縄県病院事業経営健全化計画の収支目標というのは、ある面、減価償却前の単年度の収支均衡を目指して、まず改善をすべきじゃないかということで、単年度単年度、減価償却を除いた形で収支均衡がとれるようにということの計画を立て直してございます。ただ、いかんせん、いろいろ厳しい状況が続いていますので、なかなか実現ということに関しては非常に厳しい状況がありますけれども、今後は、今の診療報酬の請求漏れ、あるいは返戻率等を含めて、個別個別に改善策に取り組んでいく必要があるというふうな認識をしております。
赤嶺昇委員 きょう指摘された部分は、ぜひ次の、来年の決算でしっかり示せるようにしていただきたいと思っています。
池間淳委員長 前田政明委員。
前田政明委員 では、質疑をさせていただきます。
 医療法で公的医療機関、県立病院の役割について、まず医療保護の立場から御説明をお願いします。
知念建次県立病院監 医療法第31条の第三章の公的医療機関の部分ですけれども、「この章において、『公的医療機関』とは、都道府県、市町村その他厚生労働大臣の定める者の開設する病院又は診療所をいう。」という形になっています。
前田政明委員 大変済みません。医療法第1条の第2項と医療法第1条の第5項についても御説明をお願いします。
知念建次県立病院監 第1条の第2項と第1条の5ですか。
前田政明委員 第1条の2、第1条の3、第1条の5です。
知念建次県立病院監 第1条の2の方には医療提供の理念ということで、「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき」 行われるという趣旨のことが書かれてございます。そこの第2項の中で、「医療は、国民自らの健康の保持のための努力を基礎として、病院、診療所、介護老人保健施設その他の医療を提供する施設、医療を受ける者の居宅等において、医療提供施設の機能に応じ効率的に提供されなければならない。」 という医療提供の理念が第1条の2の第2項でございます。
 第1条の3は、それについての国及び地方公共団体の責務がうたわれてございます。「国及び地方公共団体は、前条に規定する理念に基づき、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならない。」 となっています。
 第1条の5におきましては定義がございます。「この法律において 『病院』 とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、20人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。病院は、傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、かつ、運営されるものでなければならない。」 とありまして、もう1つ第2項の方で、「この法律において、『診療所』とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。」ということで、病院と診療所の定義づけをしてしているのが第1条の5でございます。
前田政明委員 どうもありがとうございました。私が質疑したかったのは、公的医療機関の使命。医療は、予防から保護を含めて、リハビリその他、高度多機能だけではないということを言いたかったわけです。
 次に行きます。県立病院の赤字の原因について説明してください。
知念建次県立病院監 県立病院事業の赤字の主な要因として4つ挙げてございます。1つ目には、国の総医療費抑制により、給与改定率や消費者物価の伸び率に比べ診療報酬の改定率が低く推移してきていること。それから2つ目には、平成10年度以降、患者数の減少傾向が続いているということ。3つ目には、これは主に費用の分に関しますけれども、本県は多くの離島を抱えているため、特殊勤務手当の支弁があり、費用が増加する要因になっているということ。それから4つ目に、復帰後に県立病院主導で医療供給体制の整備を図る必要があったため、短期間に施設整備等を行ったことにより、減価償却費が増嵩したことということでございます。
前田政明委員 1と2は、国の医療改悪、診療報酬制度の改悪、それから医療制度の改悪で医療抑制になっているということを言っていると思いますけれども、あとの3と4は、これは沖縄県の問題として大事なことなので、じゃ、質疑を続けます。
 医師不足ですね。これは当たり前のことと言われてきていますけれども、皆さん、その予測、こういう事態がなぜ起こったのか、もう1回お答えをお願いします。
知念建次県立病院監 当面、非常に緊急な課題となっています産婦人科、それから脳神経外科の医師不足の件なんですけれども、全国的な傾向としましては、その産婦人科についても、脳神経外科についても、臨床研修の義務化に伴う影響も1つあったかと思われます。それによって医師の確保が非常に難しい状態が生じたということもあります。じゃ、それは計画的になぜ確保できなかったということが1つあるかと思うんですけれども、ある面、医師の退職の状況というのをきちんとつかめなかった、あるいは確保状況というのをきちんとつかめなかったというのが内なる要因として1つあるかということもございます。
前田政明委員 幾つかさかのぼって読んでみたんですけれども、そこで公務員医師の待遇ですね。過労で、文字どおりみずからの命を削って、県民の命と健康を守るために奮闘している公務員医師、その給与が全国平均より高いということで、もろもろの医師手当を一方的にカットしてきた経過がありますね。議会の議事録をさかのぼって見ますと、いろいろ議論があって、いわゆる復帰時を含めての医師手当、こういうのをカットしてきて、実質的に見てみたら、それが今の医者の待遇が非常に悪い状況になっている原因にもなっているんじゃないかと思いますけれども、いかがなものでしょうか。
知念建次県立病院監 医師手当に関しましては、医師の暫定手当というのがございました。復帰時に医師確保のために暫定手当を付加して、医師の給与費に組み込まれてございまして、それが暫定手当でございますので、たしか5年前だと思いますが、暫定手当の解消を図っていることがございます。それは、その後、病院現場の医師にとっては非常に大きな事由であったということで、そのときに公務員医師組合、管理職医師組合も結成されていますので、それについてはその医師の給与の影響というのはあったかと推察されます。
前田政明委員 ここは非常に大事なところだと思いますね。だから、ぜひその反省に立ち返る必要があるんじゃないかなと。それで赤字の解消ですね。県立病院についてはいろいろ議論がありますけれども、もう率直にお聞きしますが、県立病院の赤字の解消についてどう対応されるのか。
知念建次県立病院監 赤字解消策として沖縄県病院事業経営健全化計画に今上げています主な分につきましては、適正な診療収入の確保、それから未収金縮減対策の強化、費用の縮減、地域との連携の活性化に向けて取り組んでいるところでございます。1つには医業収益を上げるということと、それと費用の効率性を目指すということだと思います。ただ、それの具体的な方策として適正な診療単価を確保するということ。これはある面、例えばICUの設備整備をすることによって、加算料とかそういうことも含めまして、ひとつ細かい改善策について取り組んでいく必要があると感じています。
前田政明委員 先ほどの赤字の原因は4つでしたね。1と2は国策的なやつ、そういう面で追い込まれている。それで、あと3と4が本県の特殊事情。島嶼県である、復帰後採用した、県立病院を中心に、本当に夜もたらい回しで亡くなる方がいるというのが私たちの小さいころでしたけれども、そういう面で県立病院が果たしてきた役割は大きいと思います。
 それで、この監査委員の審査意見書を含めて、主な経営指標というのがあります。この主な経営指標を見ますと、医師の働きぐあいを含めて、職員1人当たりの診療収入、また職員1日当たりの患者数、そういう面では医業収益に占める職員の給与、それから100床当たりの職員数、これは全国が102%で、沖縄県は98.5%、こういう面で低いんですよ。そういう面からすると、これはいわゆる全国並み。そういう面で、ここのところに赤字の原因はないんじゃないかと私は思いますけれども、この指標からどういうふうに見ますか。
知念建次県立病院監 医業収益に係る分については、本県はかなり努力していると認識してございます。
前田政明委員 そのとおりなんです。医者も、看護師も、職員の方も、みんな頑張っているんですよ。それがこの指標なんです。だから、さっき言った職員の数が多いとか、それから給与の問題云々とかということにはならない。だから、皆さんは、要するに県立病院の事業としては全国でも頑張って、医業収益ではかなり奮闘しているわけですよね。今の医療部門における収益は全国比で大体どのくらいだとかもう1回、そこのところは具体的にお答えできませんか。
知念建次県立病院監 審査意見書の23ページの方に医業収支比率がございます。これは、全国が84.5%に対しまして本県は90%であり、平成16年度で若干落ちても89.2%で、医業収支比率に関しましては全国より上回っていますので、医業収益に対しては努力しているという認識があると思います。
前田政明委員 そういうことで、要するに医業収益では頑張っていると。では、それが赤字になっている大きな原因は何かと言うと、医業外収益、すなわち一般会計からの繰り入れの問題ですね。そういう面では、皆さんの県立病院の今後のあり方検討委員会報告書、この内容というのは私は余り評価しませんけれども、その中の12ページ、一般会計繰り入れの全国比較状況、平成13年度決算ということで書かれていて、平成13年度決算は、全国と比較すると、一般会計からの繰り入れは39億2500万円で、全国第23位であり、さらに財政規模を勘案した場合、順位が15位となり、財政面では努力しているが、しかしながら、繰入金対医業収益比率では46位、病床当たり繰入金では46位となっており、病院事業の規模に比べて繰入金の額が少ない、こう書いてあります。
 ただ、私は、今のお答えからすると、病院事業は頑張っている。全国平均に比べても頑張っている。そして医者も看護師も、そういう経営指標から見ても頑張っている。そうすると、医業収支比率も全国よりも頑張っていると。いわゆる医業外収益、すなわち、簡単なことを言えば、地方公営企業法に基づく、先ほど他の委員からの指摘もあった部分の一般会計からの繰り入れの部分にこの赤字の原因があるというふうになるんですか。
知念建次県立病院監 繰入金につきましては、今、財政当局との間で、総務省基準に基づく繰り入れにつきましては、ほぼ適正に繰り入れがされてございます。比較の問題としまして、繰り入れにつきましては、1床当たりの比較と、それともう1つは標準財政規模に対する比較がございます。さらには医業収益に対する繰入比率という比較の仕方もございます。それぞれによって見方が違いますけれども、一概に、その地方地方の標準財政規模、あるいは県立病院の多寡によっていろいろ違いがあるかと思いますので、ある面ではいろんな角度からの分析が必要かと認識はしてございます。
前田政明委員 時間がないので言いませんけれども、これは地方公営企業法の講座を読んでみると、いわゆる義務規定である。先ほど他の委員からもありましたけれども、総務省の繰入基準の、政府令のこの病院に対する負担について、非常に細かいんですね。もうこれだけびっしりある。だから、救急だけじゃない。これを読んでいたら、もう時間がない。それで、病院の建設費から、離島を含めて100床以下の、いっぱいあるんですよ。だから、そういう面では、ここに書いてある義務規定、一般病院会計で賄ってはならない、そういうものに対しては、本当に十分にやられているのか。それから、これは結局、地方交付税措置をされますよね。県の財政負担になりませんよね。そこのところ、2つについてお願いします。
知念建次県立病院監 繰入基準に関しましては、先ほども少しお答えしましたけれども、地方公営企業法第17条の2の第1項第1号の部分と同法第17条の2第1項第2号の部分がございまして、負担金と、それから負担金交付金というものがございます。負担金につきましては救急に係る経費でございます。救急に係る経費は、病院事業で経費を持たなくてもいいということですかね。要するに政策的に一般会計からの繰り入れでやるべきだと。同法第17条の2第2号の方については、病院事業でも経営努力をし、なおかつ収支差がある分については一般会計からの繰り入れをするというような規定の違いがございます。その両方とも、確かに収支のとり方等についていろいろあるかとは思うんですけれども、基本的な収支のとり方の財政との基準のすり合わせというのを毎年やってございますので、その分においては、繰り入れはおおむね適正になされていることはあります。
 もう1つ、午前中にもお答えしましたけれども、ほかの県でそれ以外に、要するに基準以外のルール化を持っているところもございます。これは、我々病院事業を担当する分については、いまだ少し勉強不足のところがありまして、その分については、その地域地域によってルール化の状況がいろいろ違います。その違いというのをもう少し勉強した上で、そういう基準以外についてルール化を図れるか図れないかについても、今後勉強していきたいと考えております。
前田政明委員 じゃ、ついでに、その同法第17条の3の補助できるというところの御説明をお願いします。その状況等。
久田裕県立病院経営課長 地方公営企業法第17条の3では補助について規定してございます。この条項によりますと、「地方公共団体は、災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合には、一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。」 と規定しております。
前田政明委員 そういう意味では、きょうは時間がありませんので、私は、積算根拠、そして総務省を含めて提供した計算の根拠、委員長をしてこの細かい資料の提供を皆さんにお願いしたいと思います。
 それから、事前にお願いしておりますけれども、稲嶺県政になってからの病床当たりの繰入額をお答え願いたいと事前に申し出ておりますので、その件について御答弁をお願いします。
久田裕県立病院経営課長 平成10年度の損益勘定への1病床当たりの繰入金は143万2000円です。そして平成11年度が157万5000円です。そして平成12年度が151万2000円、平成13年度が147万円、平成14年度が144万7000円、平成15年度が143万4000円、平成16年度が138万8000円となっております。
前田政明委員 これは全国比は答えられませんか。
久田裕県立病院経営課長 全国の数値はちょっと漏らしております。
前田政明委員 私は当然比較前提と思っていましたけれども、時間がないので。
 きのう、監査の方で、例えばという話でお聞きしましたが、今度の平成16年度の決算に基づきますと、監査の資料では全国平均1床当たり353万8000円の繰り入れがされている、沖縄県は139万5000円と。そういう面で2664床を掛けますと―これは数字上の問題です―57億円の繰り入れになるという数字ですね。だから、私はこれに示されるように、いわゆる不良債権を含めて、運転資金の活用を含めて適宜、全国並みとはいかなくても、全国の何分の1かとか、そういうふうに適切な、57億円とは言わないけれども、10億円とか、20億円とか、そういうような対応をしていれば、これほど深刻な病院経営の実態にならなかったんじゃないか。いわゆる赤字の原因はここにある。
 本来、沖縄の先ほどの理由は、本県の特徴としては島嶼県である。そして、復帰後採用した方々を含めてそういう状況になっている。だから、そういう面では、当然そういうところの事情を含めて、やはり県立病院の果たす役割は大きいわけだから、県政の中でもそこに予算をつぎ込む。そして、今あるように全国と比較したら少ない。しかし、病院のお医者さんも看護師さんもみんな頑張っている。経営指数としては問題はない。だから、そういう面で、ここのところの問題として、一般会計からの繰り入れについて、全体的にもう1回見直して検討するということでの決意なりお考えを、やはり私はきっちりとお聞きしたいと思います。
知念建次県立病院監 ちょっと同じ感じの答弁になるという形で申しわけございませんが、現段階での総務省基準での繰り入れにつきましては、財政課とのすり合わせはおおむね適正になされているものと認識しています。先ほど申しましたとおり、他県の状況というので、いわゆる総務省基準以外のルール化につきましては、今、委員が御指摘の地方公営企業法第17条の3の補助金で該当する部分もあるかと思いますけれども、そういう面につきましては、我々ももう一度勉強し直さないといけないと感じています。
前田政明委員 那覇市の革新市政のときに、私も与党の幹事長として那覇市立病院の問題をいろいろやって、ルール分以外ですね、これはルール分、それ以外に公立病院としての果たす役割、県民の命を守る立場から、やはり予算をきっちりと対応するということが大事だと思いますが、そういう面では、皆さんもちゃんとルール分以外にも任意で、同法第17条の3を含めて適用を努力していただきたいということを述べて、終わります。
池間淳委員長 玉城義和委員。
玉城義和委員 病院に関しては5時間分ぐらい準備してあるんですが、10分しかありませんので、10分で終わります。
 先ほどもありましたが、病院管理局長から県立病院監になった主な理由は何でしょうか。
知念建次県立病院監 私が聞いている分には、県全体の組織改編に伴って中2階の組織がなくなったということが原因だと思っています。
玉城義和委員 権限は強化されたんですか、それともそうではないんですか。
知念建次県立病院監 基本的に役割は、前病院管理局長と同様な役割を担っていると認識してございます。
玉城義和委員 御本人も違和感があるとおっしゃったので、私どもも大変違和感があります。局長というのと病院監というのは対外的なイメージも違いますし、私はどうも余りいい方向ではないなと感じているわけです。
 県立北部病院の産婦人科の問題に移ります。私は非常に不可解、先ほど赤嶺委員からもありましたが、去年の10月の決算特別委員会では知念県立病院監もおられたと思いますが、平井病院管理局長は明確に、産婦人科は存続する、こう明言なさっているわけですね。それがわずか二、三カ月でひっくり返ってくる。こういうことは、私ども医療の受け手からすれば、これはとても許容できない。したがって、どういうことでそうなったのか。私は何回も繰り返し言っていますが、だれがその責任をとったのか、それをもう1回はっきりさせてください。
知念建次県立病院監 去年1年間、私は亜熱帯総合研究所に行っていたものですから、その件については、申しわけございません、ことし4月に着任して知ったという次第でございますので、その辺は御理解願いたいと思います。そのときに聞いた話としましては、去年の10月段階の状態では、県として退職者の見きわめがついていなかったと今思うと感じられます。と言いますのは、県立北部病院の3名のうち1人は県立中部病院からの応援組で、実質、県立北部病院の正職員は2人でございました。そのときに1人が退職するということで、残り1人について補てんすればというか、県立全体で応援すれば大丈夫だという認識を、その時点の議事録なり資料から見たら、そういう形の認識を持っておられたようです。それが12月段階あるいは1月段階になりまして、さらに県立中部病院の産婦人科の職員が2人退職するという事態に陥ったものですから、その慰留にも努められなかったということで、その段階で県立北部病院に県立中部病院から応援に行っている医師も県立中部病院に戻さざるを得ない。そうすると、1人では非常に厳しい状況になるということで、県立中部病院に集中して診療体制を組んだ方がいいという判断で、今の体制になったと理解をしてございます。
玉城義和委員 先ほど退職金の話がありましたが、気持ちとしてはそういうことですが、役所のそういう方というのは、2年間いて、いろんなことを言って、後はもうどうなろうと、おやめになれば後はわからない、こういうことですか。
知念建次県立病院監 確かに今、県立病院事業は特別会計でございますけれども、知事部局の中で人事異動が行われている状態からして、2年ないし3年の人事異動の方針に沿って異動している状態でございます。ただ、その部署部署ではそれぞれにできる限りの努力をしているという認識をしていますし、私もできる限りの努力はしていきたいと思っています。
玉城義和委員 私は地元の医療を受ける側からすれば、いかにも情けない。あとは野となれ山となれ、わかりませんとやめました、これでは信頼はかち得ないだろう。問題は、この急にやめてしまうという、こういう体質が問題だろうと私は思うんですね。ことしに入って、県立病院でおやめになった、あるいはおやめになるという意思表示をしている医師はどれぐらいいらっしゃるんですか。
知念建次県立病院監 平成17年度の状況ですけれども、正職員で14名、臨時的任用職員で3人、計17人が平成17年度で退職してございます。そのほかに、現在、病院長に意思表示をしているということで聞いている医師が2人おられます。
玉城義和委員 この文教厚生委員会に出した県立中部病院の平安山院長の訴えをちょっと読んでみますが、「通常の業務も近隣の診療所や病院から紹介されてくる重症患者のケアで心身ともにくたくたになる状態であり、その上に、宮古、八重山、久米島及び離島18診療所の応援があります。そのほかに研修医への教育、離島からの患者さんの輸送のためのヘリコプター添乗の当番、他の県立病院への応援、看護大学、看護学校への講師としての支援、地域医療部門、例えば看護審査委員、消防士、救命救急士への教育、参加など多くの業務があり、県立中部病院の医師はだれもが心身ともに疲弊状態である。」そういうことを書いて、どんどんやめていく現状を訴えられているわけですね。私は、そういう意味では、これは大変な問題だろうと。だから、今おっしゃるようなことがずっと続くと、これは事は県立北部病院だけではなくして、どこの病院でも起こり得る状況だろうと思うんですね。今の県立病院の医師をめぐる勤務状況がいかに大変過酷なものであるかということについて、県の認識はどのようなものでしょうか。
知念建次県立病院監 県立病院が果たす役割を、今、医師の皆さんが非常に大きな重責でもって担っていただいていると認識しています。確かに労働環境につきましても、いわゆる医療の質がだんだん変化し、ある面、高度、特殊な医療に医師の皆さんが対応しないといけないという状態が生じてきていますので、労働環境としては非常に厳しい状況になってきているという認識をしてございます。
玉城義和委員 その認識があるのであれば、その改善策をどのようになさるのか、そこのところをひとつお示しいただきたい。
知念建次県立病院監 1つには医師の数の確保なんですが、平成13年度以降、30名ほどの増員を図っている状態がございますけれども、今後、いわゆる新病院、県立高度・多機能病院(仮称)も県立中部病院と同様に広域基幹病院として、県の中枢の病院としてその使命を担っていくわけですから、医師の確保が非常に大きな命題だとは感じています。あともう1つは、いわゆる業務の効率化を図る観点も視点としては持つ必要があるかと考えています。
玉城義和委員 平成15年度で基本給と手当を比較しますと、沖縄県は基本給が57万5000円、手当が93万8000円、これで大体150万円ですね。全国は基本給が54万円に対して手当が67万円で、121万円。いかに残業とか夜間の勤務が多いかということが、これでわかるわけですね。そういう意味では、夜間の救急勤務等々もありますので、やはり飛躍的に医師の数をふやすということが必要ではないか、私はこう思うんですね、どうでしょうか。
知念建次県立病院監 医師の数の増員を図ることについての認識は持っています。ただ、ある面で、診療科ごとに医師がどう配置されている状況で、どう再配置すればいいかということで、ある面、例えば少ない科、あるいは需要が多い科、それぞれに特徴がある。それと、地域ごとにそれぞれ特徴がある状態が県立病院にありますので、それをきちっと把握し、それに見合う医師の数をきちんと計算するという作業を1回やる必要があるかと考えています。
玉城義和委員 県立北部病院の産婦人科に戻しますが、4月以降、県立中部病院、琉球大学医学部附属病院に搬送された方は何名に上っていますか。
松堂勇県立病院管理課長 北部地区の産婦人科患者が搬送された実績、送回実績について申し上げます。搬送を送回された、去る4月から9月19日まで、搬送の実績は42件ございます。それから、救急車で搬送された分の26件を含めて、送回された実績が199件ございました。
玉城義和委員 昨年度の県立北部病院で分娩をした件数は何件でしょうか。
砂川亨県立病院管理課副参事 今ここにちょっと数字はないのですが、250件ぐらいだったと記憶しております。その大体半分ぐらいが帝王切開だったと記憶しています。
玉城義和委員 私の調べでは243件ですね。それで、名護市内にある2つの産婦人科の院長を訪ねてお話を聞きました。それで、この4月以降、患者がふえましたかということを中心に聞いたわけですが、量は余りふえていませんね。そうすると、本来産まれるべき243件前後、250件前後のうち、搬送されたのは42件ですね。そうしますと、これは差し引きしまして200件ぐらいは、まだ9月ですから、最初から県立北部病院以外で分娩をしている、こういうことになりますよね。そういう認識はどうですか。
砂川亨県立病院管理課副参事 数としては把握していないんですけれども、恐らく県立中部病院、県立南部病院へお産のために通っていると考えられます。
玉城義和委員 これは私も12月までフォローして、各民間の病院も調べて正確な数字を出そうと思っていますが、今の段階では、そのことはそのとおりだと思うんですね。つまり、救急車で搬送された以外は、その差し引きをしますと、恐らく12月末までには220件ぐらいになるだろうというのが専門家の見通しです。そうすると、この220件というのは、最初から県立中部病院や、あるいは琉球大学医学部附属病院を含めて県立北部病院以外に移っていって、そこで通院されているか、何がしかの関係でそこに行かれているということです。この経済的な負担は、これは大変なものですよね。県立病院監、どういう認識をしていますか。
知念建次県立病院監 先日、北部地域の婦人の方々から要請がございまして、福祉保健部長と私で対応したわけですが、そのときにも福祉保健部長からお答えしたと思うんですが、確かに経済的負担が重いということは非常に認識しているということです。
玉城義和委員 私が先ほど申し上げましたように、やっぱり皆さんのそういうきちっとした手当てができないということがこういう結果を生むわけですよね。そういう意味では、これは強い責任を感じてもらわないと、申しわけないという話では済まないのですね。だから、現に200人以上が中南部でお産をしなきゃならない。一方で、北部振興策といって人口をふやそう、こう言いながら、一方でこういうことでは、これはとてもじゃないけれども、ヤンバルでは子供を産むな、こういうことかという非常に悲痛な声が聞こえてくるわけです。そういう意味で、県立病院監、再開の見通しをちょっとお示しください。
知念建次県立病院監 今現在で、いつ再開という見通しを示すことについては非常に厳しい状態でございます。今現在、いろいろ接触を図っているところではございますけれども、まだ確たるものが得られていませんので、いつということについては今申し上げられる状態にございません。
玉城義和委員 そういう答えでは納得できないわけですね。接触を図っていると私も薄々聞いていますが、どれぐらいの人数で、どこでどれぐらいの方とお会いになったか、そういう状況でもいいですから。
砂川亨県立病院管理課副参事 ホームページにアクセスがあった候補者3名と今面接しております、まだ調整は続いております。あと、大学の教授にもお会いしております。それは防衛医科大学の教授にお会いして、その派遣を含めた相談をしているところです。
玉城義和委員 3名にお会いしているという、私も大体薄々はいろいろと情報はありますが、ぜひ努力していただいて、少なくとも年内には再開のめどをつける、こういうことを、県立病院監、退路を断ってやっていただける決意表明をぜひひとつ。
知念建次県立病院監 一生懸命努力させていただきたいと思います。
玉城義和委員 一生懸命努力してください。ぜひ年内にはめどをつけていただきたい。
 県立病院の赤字の問題ですけれども、さきに4点出たものです。国の総医療費の抑制、これは各病院ともみんな同じなので、平成10年度以降に患者が減った、これも商店がもうからなくなったのはなぜかと聞かれて、客が減りましたというのと同じ話で、これは理由にはならないわけですね。何で減ったかが問題なんですね。要するにそういう意味では、私はなかなかこの4つは、離島が多いということとか、減価償却があるという話もありますが、減価償却は、これはただ書いているだけで、実際に動いていませんので、どうもその4つは納得できません。
 私、昨年も中頭病院の例を申し上げたんですが、例えば同じ300床で、県立北部病院と一緒なんですよ。ところが、医師の数が90名近くいるわけですね。2倍もいるわけです。それで、それは経営としては非常に優良病院ですよね。そういう意味では、なぜここでできるものが県立病院でできないのですか、これは何ですか。
砂川亨県立病院管理課副参事 経営の細かいところまでは話せないのですが、医療の機能として、中頭病院というのは、どちらかというと、いわゆる救急急性期、救急に特化しているということではなくて、例えば僕の専門で言うと外科系、消化器に関しては手術をたくさんやっているわけですね。それと検査をたくさんやっている。要するに、例えば循環器も検査をたくさんやっている。ですから、例えば循環器とか、消化器とか、そういうのを検査をたくさんやって、たくさん手術をやれば、かなり上がるわけですね。例えば僕がいた県立那覇病院でそれをやろうと思うと、それはできないわけです。どうしてもそんなにもうからないところにも、ある意味では平等にという言い方はおかしいですけれども、投資をして機器の整備をする。ですから、手術室の看護師、あるいは麻酔医をどんどんふやして手術を受けさせるというやり方がなかなかできにくいという面はあるわけですね。ですから、そういうところにある程度特化して、人も医者も手当てして、患者をたくさん呼び込んで手術をいっぱいやるというような形ができやすいと言いますと、県立北部病院の場合は、むしろ小児科の救急だとか一時救急にかなりの人がとられる。ですから、それを例えば中頭病院並みに90人にふやしても、そういう非常に採算性の高い医療をどんどん集められるかというと、なかなか疑問点が生じてくるということはあると思います。
玉城義和委員 よくわかりました。そうしますと、県立病院が赤字になるには赤字になる理由がある、こういうことですよね、県立病院監。
知念建次県立病院監 県立病院の役割として、やっぱり公的医療を担っている部分がありますので、県立病院としては、ある面、不採算医療等についても担わなきゃいけない分ですから、赤字の要因としてはあると思います。
玉城義和委員 私はそういう考え方がひとつ重要だと思うんですね。だから、赤字になるには赤字になる理由がちゃんとあるわけですね。それは一般の民間の営利だけを非常に追求するような病院と違って、やっぱり非採算部門を担わなきゃならないという、そういう使命を持っているわけですね。そうであれば、県立病院はどれぐらいの幅の赤字は許容できるのかという、そういうところに一つの基準をつくっていくというか、私はやっぱり説得力のある、そういう議論をすべきだと思うんですよ。そこがないと赤字が多いとか少ないとか、そういう議論になっちゃって、本質の議論にならないのですよね、そこはどうでしょうか。
知念建次県立病院監 御指摘のとおりだと思います。先ほど申し上げた第4次沖縄県病院事業経営健全化計画で減価償却前の収支均衡という発想を入れたのも、実はそういうところを発想しているところがございまして、ある面、総務省基準にのっている不採算部門というのは繰り出し、繰り入れの基準がございます。もう1つは、沖縄地域独特の特有のものは何があるかということについて、我々はもう一度勉強しなきゃいけない部分があろうと思いますけれども、そういうものを含めまして一般会計との関係、あるいはもう1ついきますと、独立採算でやらなきゃいけない部分とそうじゃない部分をきちんと区分けできる会計の体制等についても、やっぱりもっと勉強する必要があると感じています。
玉城義和委員 そういう原則と言うか、あり方を確立してください。これは注文しておきます。
 それから、先ほど赤字の額は77億円だ、こう言っていますよね。つまり、減価償却費は、私はこの赤字部分から抜くべきだと思うんですね。これは前から私は言っていますが、そのことによって莫大な赤字があるように見えるわけですよ。ところが、この減価償却は、これはただ書いているだけで、現金は動いていないわけでしょう。別の新しい県立高度・多機能病院(仮称)などは企業債を使って、それで払っているわけですよね。だから、この中からこの減価償却費を抜くと、さっき言ったように77億円しかない、こういう話でしょう。これは私は抜くべきだと思うんですね。県立病院監、どうでしょうか、これは検討してくれませんか。
知念建次県立病院監 1つ訂正させてください。77億円じゃなくて74億円です。申しわけございません。それと、減価償却費につきましては、決算処理上、計上しないといけない部分がありますので、それも御理解願いたいと思います。ただ、比較する上で、確かに御指摘の減価償却費を入れての比較と減価償却費を抜いての比較もあわせてやる必要はあると思います。
玉城義和委員 それは抜いた方がいいんですよ。抜いてできるのだけでやるのならばまだしも、全部くっつけて470億円と言われたら、それはもうわけがわからなくなる。もっと時間があればやりますけれども、終わります。
池間淳委員長 伊波常洋委員。
伊波常洋委員 ずっと委員の質疑がほとんど経営、それから医師の確保について、この2点に集中しております。ほとんどの方が厳しい御指摘ですけれども、しかし、私は県の努力を超えるところもあるだろうという観点から質疑をいたします。
 まず経営についてですけれども、先ほどの前田委員は赤字の原因の1つは患者数の減少だとおっしゃっておりました。資料を見ましても、平成15年度、平成16年度、対前年比で、毎年ほぼ10万人減っています。その減少の一番の原因を端的におっしゃってください。
知念建次県立病院監 全国的な傾向として言われていますし、我々もそう感じているんですけれども、医療費の自己負担が2割から3割の負担に変わった分が患者数の減少につながっているという認識をしてございます。
伊波常洋委員 私は沖縄県の県立病院の減少のことを聞いているんですけれども、当然医療費の自己負担がふえた、病院に行くのを控える、しかし、日本の医療費は、特に病院でかかる医療費は確実にふえているんです。患者の総数は逆にふえていると僕は思うんです。それをほかの原因にしないで、本当の原因は、結局はもう民間に流れていることじゃないですか、どうですか。
久田裕県立病院経営課長 先ほど県立病院監から答弁がありましたけれども、平成13年度、平成14年度、平成15年度と、特に平成14年度、平成15年度ですけれども、大体県内においても総体でも患者数は落ち込みぎみだと、それにあわせて県立、全国も落ち込みぎみだという状況にはあります。
伊波常洋委員 私は決算特別委員会のたびに、特に病院事業会計のときにはいつも言うんですけれども、私は逆に、県立病院の患者の数が減少するのはいい傾向だと実は思っているんです。結局、医療費の高さもあるかもしれませんが、これだけ沖縄の県内の民間にも相当立派な施設を備えた病院ができる。そこを選択していく。だから、そういうときにこそ県立病院の果たしてきた役割を見詰め直して、民間でできるものは民間にすみ分けをする。そうすると、後で触れますけれども、スタッフの確保も、本当に公がやるべき必要なものとして優秀なスタッフを確保するというものに力を振り向ける、その方向でいけばいいんじゃないかなと思って、今、出だしはそういう質疑をいたしました。
 それでは、もう一度質疑をいたします。
 親病院が附属診療所を抱えております。現在、開業しているのが18カ所、休止または廃止状態が11カ所とありました。そこで、当然そこには民間では到底経営が成り立たない離島、あるいは人口の少ないところ、僻地なんですけれども、そこの附属診療所、トータルでよろしいので、収支をお知らせください。
知念建次県立病院監 平成16年度の附属診療所の医業収支でよろしいですか。医業収支におきましては、全体でマイナスの3億189万2961円となってございます。
伊波常洋委員 その赤字はどう補てんしているんですか、どこが補てんしているんですか。
知念建次県立病院監 離島僻地診療所の運営につきましては、国庫補助金で運営費補てんができることになっていまして、1つには無医地区に対する補助金、もう1つには僻地診療所に対する補助金という2つの補助金がありまして、その補助金で約2億5000万円ほど補てんされてございます。
伊波常洋委員 トータルの医療事業で3億円ばかり、補助金が2億5000万円、残るは県の単独費、県が埋めているんですか。
知念建次県立病院監 失礼いたしました。順を追って、再度御説明いたします。医業収支でマイナスの3億189万2961円でございます。これに対して、先ほどの無医地区と僻地診療所の両運営費補助が2億4663万8000円ございます。これの再差し引きでマイナスの5525万4961円ございます。これに対して、一般会計からの繰入金が2944万5000円入っていますので、差し引き2580万9961円のマイナスの収支になってございます。
伊波常洋委員 それから、親病院が実質的には12億円の赤字です。私もかねがね玉城義和委員と一緒で、減価償却費だの、それから損失金だの、純粋な単年度の医療業務以外の現金の移動を伴わない数字が余りにも支出の方で計上され過ぎて、びっくりするような赤字、そして累積して400億円余り、実質赤字が70数億円と、とんでもない実質の数字の乖離があります。今年度、平成16年度だって30億円の赤字と言いながら、実質は医療業務としては12億円ぐらいです。そういう実質何百億円というものをどうするかというと気が遠くなるんですけれども、単年度の10数億円、これは努力すればどうにかできるという気持ちがわいてくるんですよ。その観点から今質疑するんです。実質、医療事業としての親病院のトータルの赤字が12億円、あるいはすべての赤字でもいいんですが、これに対する国の補助とか制度的な補助金はありますか。
知念建次県立病院監 今申し上げました減価償却費を除いた実質の欠損金ということでございますけれども、これは繰り入れも全部措置した上での実質欠損金でございますので、これに対する補てん策というのは今のところございません。
伊波常洋委員 次に、やはり沖縄県の県立病院の赤字のさらに原因の1つで、あるいは一番大きな原因かもしれません。人件費が他の公立と比較しても割合が高目である。そこで、医師、それから看護師の数は果たして適正なのか。そして、医師1人当たりの患者数、これは入院、外来、それから医師1人当たりの医業収益を、他の都道府県の類するような自治体病院との比較をお願いいたします。
知念建次県立病院監 まず医師、看護師の数からお答えいたします。平成15年度なんですけれども、100床当たりの医師、看護師の職員数で、全国平均で比較しますと、医師が全国の11.9人に対しまして、本県11.6人となりまして、ほぼ同数となっています。看護師につきましては、全国の63.9人に対しまして、本県が57.5人でありまして、これは約6.4人少ない状況にございます。それから、職員1人1日当たり患者数ですけれども、医師につきましては、平成16年度でいきますと、入院は、沖縄県が6.1人、全国が6.4人、外来が、沖縄県が7.0人、全国が8.9人、それから看護部門ですけれども、入院につきましては、沖縄県が1人1日当たり1.5人、全国が1.3人、外来が1.7人、全国も同じように1.7人の状態です。職員1人1日当たりの診療収入でございますけれども、医師の方が、沖縄県が25万8344円、全国が29万7275円、看護部門が、沖縄県が6万2331円、全国が5万8247円という状況になってございます。
伊波常洋委員 ばらつきはありますけれども、トータルするとほぼ全国並だと、僕は今その数字を受け取っております。医師1人当たりの収益、看護師1人当たりの収益をトータルしても、医師の方はちょっと低いんですが、看護師の方はちょっと高い。トータルすると、やはりスタッフ1人当たりの収益はほぼ全国並みだと。しかし、それでも人件費が全国に比べて比率が高い。と言うことは、職員1人当たりの人件費が高いということなんですよね。この理由はどこにあると思われますか。
知念建次県立病院監 1つには、要するに離島を抱えていますので、離島にかかわる手当等がございます。それと、1人当たりという形になるかというのが少し気になりますけれども、本県は平均年齢が全国より1歳、2歳、少し高目の傾向にありますので、その辺も影響はあるかと思っています。
伊波常洋委員 これは教職員の平均給与でも、それから県庁職員の平均給与でも、全国に比較して高目です。その原因が全く一緒なんですね。離島をたくさん抱えるから、少数校、小さな学校を離島のために抱えるから、だから、どうしても人件費が高くつく。それは地理的な避けようもない問題ですので、それが本当の理由だとすれば、やむを得ないことかと思います。
 次に進みます。これは決算特別委員会のたびに、本当に皆さんもつらいぐらい追及される。もう何年になりますか、一括購入も改善策の1つとして導入されておりますよね。医薬品、それから注射とか診療材料、それから医療機器、こういうのは一括購入を導入しているんですけれども、各病院でばらばらに購入していたときと、それから一括購入できるものを一括購入したその効果のほどを、こういうような一括購入前と後で、もしも数字であらわせるのであればお願いします。
久田裕県立病院経営課長 現在、薬品、診療材料が平成13年度から、それから給食材料と食器が平成16年度から、それから病院で使うA重油は平成17年度から一括購入を行っておりますけれども、これまでの節減効果としては、約3億円程度の節減効果があったと試算しております。
伊波常洋委員 大変大きな効果です。3億円、先ほど言いましたように純粋な赤字は十二、三億円なんですから、大きな額で、大変いい実効策だったんです。
 次に、公立病院の一番痛いところなんですけれども、未収金の問題、平成16年度、単年度の未収金は幾らですか。
久田裕県立病院経営課長 平成16年度末における個人負担分の未収金の総額は、件数で2万7613件、金額で16億453万円です。
伊波常洋委員 単年度ですよ。累積じゃないですよ。
久田裕県立病院経営課長 単年度、現年度に発生した分でよろしいですか。
伊波常洋委員 平成16年度決算を審査しているんだから。
久田裕県立病院経営課長 現年度、平成16年度に発生した未収金は6億8800万2000円です。
伊波常洋委員 件数は幾らですか。
久田裕県立病院経営課長 件数は1万1837件です。
伊波常洋委員 この未収金、単年度でほぼ1万件、6億円、これが累積して、現在で16億円と言っているんですが、この単年度の6億円というのは不能欠損に陥る可能性が大分あるんですか。
久田裕県立病院経営課長 県立病院の未収金は公的債権と言われまして、5年で時効という形になります。それで、不能欠損処理としては、毎年、大体7000万円から8000万円ぐらい程度、不能欠損が出ております。
伊波常洋委員 納めない原因をお願いします。求める側じゃなくて、納める側の原因、経済的あるいは悪質、わかればお願いします。
久田裕県立病院経営課長 一番大きいのは生活困窮という面があると考えております。
伊波常洋委員 悪質はわからない。
久田裕県立病院経営課長 そうです。実態としてはちょっと把握しておりません。
伊波常洋委員 公的な使命がそこにあるんです。先ほど出ました民間病院を調べる。手術、入院、そのときに病気によって違うんですけれども、前金と言うんですか、何万円納めなさい、そうしたら手術をします、入院させますと。終わる、退院するときには、また全額納めないと退院させないとか、民間ですとやや強制的なこともできるんですが、公はそうはいかないという面もあるものですから、先ほどから質疑している皆さんには大変失礼なんですけれども、県は県で努力をしている、すべてが県の責任ではないと僕は思う。しかし、単純に民間でやっているような経営的なことは、もっと努力して確保してください。スタッフのこと、医師確保のことも聞きたかったんですが、10分の時間というのは案外短いものです。
池間淳委員長 休憩いたします。
   午後3時50分休憩
   午後4時12分再開
池間淳委員長 再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行います。
 辻野ヒロ子委員。
辻野ヒロ子委員 きょうは県立病院の経営改善について集中して質疑が行われております。審査意見書の9ページによりますと、病院事業は患者数を主な業務予定量として設定されるとありますけれども、反面、今回、患者数が予定量に対して、平成16年度は9万9381人、5.4%下回っているということで書かれております。その要因についてですけれども、先ほどの伊波委員の質疑の中にもありましたし、健康行政で頑張っている比嘉京子委員の話もありますが、やはり病院に行く前の健康状態をお互い県民が健康管理をきちんとしているんじゃないかなということも考えられるわけですね。単に民間病院がすばらしくできたから、そこに移管したんだとか、そういうこともありますけれども、その辺、健康行政との兼ね合いを県立病院監はどのようにお考えでしょうか、所見をお伺いします。
知念建次県立病院監 県立病院事業も福祉保健部の大枠の中に位置しているわけでございますから、一番大事なのは、やっぱり予防医学かと思います。予防医学が徹底していって、ちょっと変な現象になるかもしれませんけれども、県立病院の患者数が減少傾向にあるということになれば、ある面ではもう1回長寿の1位を確保するような状態になれば、県全体としては非常に喜ばしいことかと思います。
 ただ、現在の状況としましては、やっぱり県立病院の役割としまして、急性期の医療を担うという役割について、公的な部分の役割というのは担わなきゃいけませんけれども、それはまず医療の分野に入ってからのことですので、その前の予防分野での対策もあわせて、両立できれば非常にいい状態になるかと感じています。
辻野ヒロ子委員 きょうは病院の話でちょっと暗い感じで、厳しい御指摘もありますけれども、県立病院監に頑張っていただきたいと思いますが、まず沖縄県病院事業経営健全化計画についてお伺いします。
 平成15年度から平成19年度まで計画期間がありますけれども、年次別の数値目標、それから収支目標を設定されて取り組んでおられるようですが、その進捗状況についてお伺いいたします。
知念建次県立病院監 沖縄県病院事業経営健全化計画の数値目標は、ある面、数値目標につきましては、金額のものと、それから項目別の分がありますので、あわせて概要を御説明いたします。
 平成16年度損益が30億7500万円の赤字となっておりますけれども、沖縄県病院事業経営健全化計画の目標では20億5600万円の赤字を想定していまして、これにつきましては赤字幅が10億円余り膨らんでいる状態でございますので、沖縄県病院事業経営健全化計画の目標は達成されたという形にはなってございません。
 ただ、もう1つ、いわゆる平均在院日数、紹介率等につきましては、そういう形で各項目ごとに数値目標に関連している項目が21項目ありまして、そのうち、平成16年度におきましては、平均在院日数、紹介率、訪問看護件数等につきましては4項目達成してございます。
 あと、病床利用率、あるいは医薬分業の実施率等につきましても達成率が90%を超えるという形になっていますので、その分についての進捗はございます。
辻野ヒロ子委員 今、県立病院監のお話では順調に推移しているということで理解してよろしいんでしょうね。それで、ぜひ頑張っていただきたいんですが、まず目標を達成していない部分に今後どのような対策を考えておられるのか、それも含めてお願いいたします。
知念建次県立病院監 先ほど申し上げましたとおり、病床利用率とか、平均在院日数、紹介率等については、ある一定の効果を上げてございますけれども、逆に達成できていない部分が、薬剤管理指導料とか、あるいは入院食事指導料等、いわゆる病棟関係の分についてはまだまだ達成されていない部分がございます。
 それと、もう1つには後発医薬品の採用、いわゆるジェネリック薬品ですが、それなどについても健全化の目標として、1つ数値項目として挙げてございます。それにつきましては、まだ達成されていない状況がございますので、それらについては、今後努力していきたいと考えています。
辻野ヒロ子委員 私も先ほどの休憩時間しか資料をいただけなかったものですから、余り詳しくは見ていないんですけれども、後で勉強させていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
 それでは、未処理欠損金についてですが、当年度末で、先ほどから421億円の話が出ておりましたけれども、減価償却費を差し引くと70億円余りだということですよね。そういう中で、累積赤字で本当に厳しい状況にある中で、各病院別に金額とその主な要因を教えていただきたいんですが。
久田裕県立病院経営課長 平成16年度は、県立北部病院が3億6299万7580円の純損失、それから県立中部病院が6億925万4519円の純損失、そして県立那覇病院が2億8187万2383円の純損失、県立南部病院が7億7112万4458円の純損失、県立宮古病院が5億624万5985円の純損失、そして県立八重山病院が7831万9575円の純損失、県立精和病院が3529万8961円の純損失となっております。
辻野ヒロ子委員 それから、ついでに未収金についても、平成15年度までは毎年増加していたんですけれども、平成16年度には前年比で約2700万円の減少があったということで、成果を上げていることは評価したいと思いますが、これについても、平成16年度の病院別の件数と金額を教えていただきたいんですけれども、よろしくお願いします。
久田裕県立病院経営課長 県立北部病院が2億7179万3000円で、件数が5501件です。そして県立中部病院が5億4267万9000円、件数で7682件、県立那覇病院が2億6493万4000円、件数で4857件、県立南部病院が5572万8000円、件数で1068件、県立宮古病院が1億6830万円、件数で2588件、県立八重山病院が2億3673万6000円、件数で5653件、県立精和病院が6435万5000円、件数で264件となっております。
辻野ヒロ子委員 今、けさからずっと質疑されております状況を詳しく教えていただきましたけれども、その中で未処理欠損金についての対策は今後どういうふうな、朝からいろいろ出てはおりますけれども、県立病院監の所見を聞きたいと思います。
知念建次県立病院監 未収金につきましては、前年度末と比較しますと約2693万円効果が出てございます。その中で、特に現年度で発生している未収金が……。
 勘違いをしておりまして、大変失礼いたしました。今年度の421億3500万円余りの未処理欠損金なんですけれども、先ほど来答弁しましたように、そのうちの実質の欠損金、いわゆる現金ベースの欠損金が74億1148万円余りあります。それで、その差額分につきましては、制度を変えるときに処理していいという形の仕組みになってございますので、今回、地方公営企業法の全部適用を目指して制度改革を今調整しているところでございますけれども、でき得れば、その際にその整理をやっていければと今考えて、その作業、整理をしているところでございます。
辻野ヒロ子委員 じゃ、先ほど話しかけられました未収金についてもお願いいたします。
知念建次県立病院監 失礼いたしました。未収金ですけれども、先ほども少し申し上げましたが、前年度末と比較しまして、トータルで2693万円の減少になっています。その中で、現年度の発生分が9471万円減少してございます。ある面でいきますと、過年度分の対策より、前にも御答弁申し上げましたように、いわゆる発生防止に努めましたら、現年度の発生分が毎年毎年減少していくという傾向になっていくと、その未収金の対策としてはいい傾向になっていくんじゃないかと考えていまして、そういう面では、未収金の発生防止に力を入れるという対策をとってございます。その1つに、未収金発生防止期間というのを12月から3月まで設定していまして、その間に、どうしたら未収金の発生防止ができるかということの意識を、意識高揚と言うんですか、意識を植えつけるためのいろいろな対策を各病院でやっていただいています。
 あと、その未収金を縮減する取り組みとしましては、前にも話した、要するに県立那覇病院での未収金管理システムが開発されていますので、できましたら、それを今年度にほかの県立病院にも導入していって、そういうシステムを使っての督促業務を効率化していくという部分と、もう1つには、これは法的措置の分です。生活困窮者であり事情がある方について、やむを得ない分については、ある面、生活保護の措置等、あるいは市町村との高額療養費の貸し付け等について、市町村とタイアップをする必要がありますけれども、ある面、悪質と言いますか、要するにそういう方たちに対する対策としましては、やっぱり法的措置をとらざるを得ない部分もありますので、それもあわせて検討していく必要があろうかと思います。
辻野ヒロ子委員 今、県立病院監からの説明がありましたけれども、きょう朝から、私も特に興味を持ちましたのは、県立那覇病院が自主開発をして、未収金管理システムの制度を取り入れて、効果を上げているということなんですが、ぜひ全病院にそのシステムを早急に取り入れていただいて、特に離島の多い県立八重山病院を優先的にやっていただきたいと思うんですけれども、見解をお伺いします。
知念建次県立病院監 たしか午前中に答弁したかと思うんですけれども、今、県立那覇病院の未収金管理システムの導入の検討に入っている病院は4病院ありまして、そのうち、たしか現在、もう県立八重山病院は試験導入をされているかと思います。県立北部病院と県立八重山病院が少し先行している状態にあろうかと聞いています。
辻野ヒロ子委員 どうも失礼しました。じゃ、朝、ちょっと聞き漏らしたんでしょうか。どこか2カ所の病院というのは聞いたんですけれども、病院の名前が入っていなかったものですから。先ほどおっしゃったように、新規発生の防止にも力を入れていただいて、そしてその病院の未収金管理システムをぜひ全病院に導入して、いいものは取り入れていただいて、その未収金の縮減に頑張っていただきたいと思います。
 それでは、次に移ります。急性期医療についてですけれども、平成16年度に入院患者数が減少する中で、診療収入単価の増があり、入院収益の増加は確保しておりますが、やはり急性期医療への移行に一定の成果は上げておりますけれども、その内容と導入の効果についてお伺いします。
久田裕県立病院経営課長 このICU、特定集中治療室管理料ですが、これは平成16年度に県立北部病院で導入しました。急性期と言いますのは、発病の初期の段階で、午前にも申し上げたんですが、この期間というのは非常に集中的に厚い看護、手当てが必要だという状態の時期なんですが、これについては急性期加算がございまして、これによって、急性期加算、それから急性期特定入院加算とか、そういった加算料がございます。それによって、急性期加算の場合は150点、それから急性期特定加算の場合は200点という加算がございまして、これが結果、収入に反映されていることと、期間も14日以内ということなんですが、その期間であれば加算がございまして、その分、収益に結びついていくということがございます。
知念建次県立病院監 急性期医療への移行についての導入の内容、関連の部分だと思うんですけれども、県立病院の役割が1つ大きな要素だと思います。医療の性格としまして、大きく分けて急性期医療と慢性期医療、いわゆる療養型の部分に分けられると思うんですけれども、急性期医療と言いますのは、一般的に入院初期の段階において変化が激しいと言うんですか、要するに変化を顕著にあらわす分についての医療行為が急性期医療ということで、どういうことかと言いますと、より重症な患者が来院されるという状態でございます。
 県立病院の役割としまして、地域の中核、あるいは広域基幹という役割からしますと2次医療から3次医療、広域基幹というのは3次医療なんですが、2次医療から3次医療、地域の2次医療を中心に、広域で3次医療という役割を担うことになりますと、ある意味で急性期医療に特化する形で一つの役割分担をする必要があるのではないかという観点での急性期医療の内容になってございます。それぞれの診療科によって違いますけれども、いわゆる重症患者が多くなるということで、それに関しましては、先ほど県立病院経営課長からありました手当として、急性期の特定加算であり急性期加算であるというのが診療報酬上ついてきます。逆に言うと、その急性期医療でより重症患者を扱うわけですから、診療材料費とか医薬品等についても高額のものを使わざるを得ないというような現象も起こってきます。
辻野ヒロ子委員 私も初めて聞く言葉なので、よく理解できなかったものですから、どうもありがとうございました。
 次に、地域医療連携の強化について、審査意見書の11ページにありますけれども、この現状と今後の取り組みについてお伺いします。
久田裕県立病院経営課長 先ほど急性期病院への移行というお話があったんですが、それに向けまして、平成15年度から各病院、県立中部病院を出だしにして、地域医療連携室を立ち上げております。現在、各病院、7病院に全部設置してございます。その体制としては、医師、看護師、ケースワーカー、事務という体制を組んでおりますけれども、主に看護師は専任という形で、そのほか兼務とか、これは病院によって異なりますが、県立精和病院は4月1日現在で1人体制ですけれども、大体4名から、多いところで県立中部病院の9名という体制で、地域医療連携室を運営しております。
辻野ヒロ子委員 その点と関連しますけれども、地域との連携の中で、開業医と医師会が一緒になって話し合いを持ったり、主治医を民間で持たせるとか、そういうふうなきちっとした組織ができないものか、そのあたりはどうですか。
知念建次県立病院監 逆に県立病院側から地域の医療機関の方々にお願いしたいのは、実はその分が非常に重要なことでありまして、地域の医師会の方々と地域連携がうまくいって、それで、患者の紹介、逆紹介という形ができるわけです。それはある面で言いますと、例えばその症状によってそれぞれの診療所に紹介する状況も違うかと思います。そういう面では、これは東京都のある都立病院の例なんですけれども、地域医療連携で診療マップというのを持っていまして、それぞれに内科はこの診療所と提携するというのを2つ、3つと言うんですかね、複数持っているわけです。そういう形で地域医療連携ができれば非常にスムーズな形になろうかと思いますので、そういう面は地域の医師会の方たちに協力をいただければ、県立病院としても非常に効果があると考えています。
辻野ヒロ子委員 県立病院監、この話は、他都道府県では結構成功してうまくいっている事例もあるんですね。そういう意味では、地域との連携というのがこれから求められますので、その辺にもぜひ力を注いでいただきたいと思います。
 それでは、県立八重山病院についてお尋ねします。
 脳神経外科医の確保についてですけれども、現状と見通しについて、地元からも強い要望があり、先週、石垣市、竹富町、与那国町議会でも決議をされまして、要請行動も先週ありました。そういう中で、本当に厳しい状況ですので、それの見解をお伺いしたいんですけれども、その前に、現状をちょっとお知らせしたいと思います。
 8月1日から医師が不在になって、民間病院ができたので、当面はそこでということなんですけれども、やはり脳外科の救急はほとんど県立八重山病院に来るわけですね。そういう搬送された中での外科の医者がまずは対応する、そしてフィルムを患者の家族がその病院に行って見てもらって、そしてそこでアドバイス、紹介状をもらって、また県立病院に来て処置をするという、そういう厳しい状態を、私もお友達の御主人が入院しているものですから、先日聞いてびっくりしたんですけれども、そういう緊急を要することなんです。また、民間の病院に搬送するときの危険性とか問題点とか、いろいろあると思うんですね。また、人工呼吸器も向こうでは1台しかないとか、そういう状況の中で、民間病院ができたから、そこにというふうなことで本当によろしいのでしょうか、その辺の見解を伺います。
知念建次県立病院監 脳神経外科の状況につきましては、先ほど来、全国的な傾向で、非常に確保が難しい状況であることは申し上げましたけれども、県立八重山病院につきましても、山口大学の先生が8月に引き揚げて、それで下地先生が開業医で、新たに手術ができる19床の病院を設置してございますので、こう言ったら怒られるかもしれませんが、ある面、手術ができるということが確保されているという分では、少し安心している部分もあります。ただ、今、辻野委員がおっしゃっているように、やはり救急の分で県立八重山病院に来院される方が結構あると話を聞いていますし、この間、県立八重山病院から下地先生のところに4件ほど搬送されたという事例も聞いております。そういう意味では、その下地脳神経外科が開院されたとしても、救急の連携においては、県立八重山病院においても脳神経外科が必要だという認識はしておりますので、今その分も含めて医師確保に努めているところでございます。
辻野ヒロ子委員 今ちょっと熱がこもって演説してしまったんですけれども、本当に厳しい状況です。8月に開院はしたんですけれども、その連携とか、きちっとした覚書とか、そういうのもなされていないような気がして、そのあたりはどうなんでしょうか。下地脳外科とのかかわりをお願いします。
砂川亨県立病院管理課副参事 下地先生は、脳外科のドクターがいるときから、大分前から、下地先生はもともと山口大学との関連を持たれているので、手術の手伝いとか、患者のコンサルティングとかにはよく見えて、一緒にやられていたんですね。最初は嘱託という形でちゃんと契約してやっていたんですけれども、そのうち、本人も嘱託だとある程度の拘束がありますので、業務応援という形に変わってやっていたようです。
 その8月以降も、もうちょっとちゃんとしたいという話もしたそうですけれども、しばらくは業務応援でという形が今も続いているということが現状なんだそうです。ただ、やっぱり手術の手伝いとか、もうちょっと濃い形の診療応援であると、ちゃんと書いて、支度金をもらってという形もあるんですけれども、夜ちょっと来て、少しだけ診て帰るというようなこともどうもあるようで、そういうときには、下地先生はそういうことをお書きにならないので、院長もその辺はちゃんとしなくてはいけないと申しておりました。これからちゃんとやるということを事務部長にも聞いております。
辻野ヒロ子委員 そういう状態ですので、やはり下地先生も自分のところに来る患者さんを優先的にやるというのは心情としてありますよね。そういうことで、やはり今のような状態では、民間があるからというふうなことでは許せないと思うんです。それで、ぜひ年度内にも医師の確保ができるように、県立病院監、頑張っていただきたいんですが、さらに踏み込んだ答弁を求めます。
知念建次県立病院監 先ほど来、大変申しわけないんですけれども、その時期がいつかということは今申し上げられる状況にないということで、申しわけございません。
辻野ヒロ子委員 県立病院監の権限ではできないのでしょうからね。年間、八重山で60人の方が脳外科の手術をしているんですね。そういう中で、本当に厳しい状況だということをもっと重く受けとめていただいて、ぜひ年度内に実現できるようにお願いしたいと思います。
 それでは、次に、集中治療室、ICUの確保についてですけれども、現場をごらんになったことがあるのか。ごらんになったならば、現状をどのように考えておられるのか。そのあたり、内部の医療機器、それから医師の体制、そういうのは大変厳しい状況にありますけれども、入院外来患者が年間25万1000人余りも県立八重山病院には来ております。そういう中での集中治療室の整備は急務だと思いますけれども、見解を伺います。
知念建次県立病院監 県立八重山病院の状況と言うか、病棟の状況については、県立八重山病院にも3度か4度伺っていますので、大体場所はわかると思うんですが、ICUの場所について、今、私はどこだという承知をしていません。そういう面については県立病院経営課の方で承知していると思います。私自身がICUの場所を確認しているということはございません。ただ、今、ICUにつきましての調整ぐあいとしましては、県立宮古病院もそうなんですけれども、県立北部病院でICUを入れて、その特定集中治療室の効果はかなりあります。それは患者にとっても集中治療室の効果はありますので、ICUの必要性は十分認識しているということでございます。あとは期間的に、期限的にいつやるかという調整を今やっているところでございます。
辻野ヒロ子委員 今、県立八重山病院は2階の外科と4階の内科の方に一応あるんですけれども、形だけで、本当に内部が厳しいし、こういう状況では、ICUの設備として本当にだめなんですよ。そういうことも含めて、検討しているんじゃなくて、これも実際に県立病院監にも見ていただいて、ぜひお願いしたいと思います。
 次に、急性期病院の展開についてですけれども、県の沖縄県行財政改革推進プランの中で、推進項目の方で、県立那覇病院と県立八重山病院は、平成19年度に急性期病院へ転換するということになっておりますが、その見解をお伺いします。
知念建次県立病院監 先ほど申しましたが、県立病院としては、やっぱり急性期医療への対応をやることが一つの役割だと思います。その急性期医療に対応するために、いわゆる急性期病院を標榜できるような形に持っていくということが一つの指標でもございます。ただ、急性期病院に持っていくためには、やっぱり病床利用率であるとか、在院日数であるとか、紹介率であるとか、そういうひとつのクリアしなきゃいけない項目がございますので、それを平成19年度までには県立八重山病院もクリアして、急性期病院として標榜できるような状態にしていきたいという趣旨でございます。
辻野ヒロ子委員 急性期病院へ転換するためにも、先ほどの医師の完全確保、そしてICUの整備、それをきちっとやっていただいて、病院事業の経営健全化が推進されることをお願いして、終わります。
池間淳委員長 照屋守之委員。
照屋守之委員 いろいろ出ておりますけれども、この病院の経営ですね。これだけ単年度で赤字を出して、トータルの数字も含めて非常にびっくりしているわけですけれども、なかなか有効な手だてが打てていないというふうな実態も含めて、県民の代表として非常に危機意識を感じているわけです。県立高度・多機能病院(仮称)がスタートしていくと、なお病院の経営をしっかりしていかないと、現状のやり方では非常に厳しいなという思いがありますね。
 そこで、これは一体全体、この病院経営の責任はどなたが最終的にとりますか。
知念建次県立病院監 現在、地方公営企業法の一部適用での県立病院の管理者は知事になってございます。
照屋守之委員 これはそれぞれの病院がありますね。例えば県立中部病院、県立南部病院、それぞれの院長の経営に対する役割と責務というのはどうなっていますか。
知念建次県立病院監 院長の権限の問題かと思うんですけれども、院長はそれぞれの病院の運営を任されているわけですから、かなりの部分で運営、経営の権限が委譲されている分はあります。ただ、これだけ複数の県立病院を抱えているわけですから、先ほどありました薬品の一括購入であるとか、また、本庁の方で総体的に管理しないといけない部分もあります。それを除いては、ある面、院長に運営、経営についての権限をかなり委譲しているつもりではございます。ただ、人事あるいは組織体制等については、院長の権限というのは逆に、今の段階ではかなり制限、狭められているという状態でございます。
照屋守之委員 ですから、この病院経営で非常にあいまいなのは、これはやっぱり責任体制だろうと思うんですね。この決算審査意見書にもありますけれども、それぞれの経営状況があって、トータルとして決算書というふうなことになりますが、やっぱりこれはトータルで考えると、私は非常に難しいなと思いますけれども、一つ一つを考えていくと、これだけの医業収益があって、経費をかけていって、トータルで30億円のマイナス、それが減価償却費などが18億円で、あと12億円ですね。そういうふうなことを考えていくと、これは売り上げの7%ぐらいでしょう。だから、そういうふうなものがそれぞれの病院で吸収できると思うんですよ。だから、その経営そのもの自体をいかに院長に任せて―数字も経営計画もですよ。そういうことをしていかないと、これは改善なんて到底できるはずがないと思うんですね。ですから、それぞれの病院の計画と日々のチェック体制も含めて、その管理体制はどうなっていますか。
知念建次県立病院監 医業収益、医業費用の分におきましては、今、個々に各病院の管理でやっているという状況でございます。ただ、その中で、多分、医業費用につきましては、先ほど共同購入とか、医療機器の高額の分については本庁の方で管理しているという状態がございます。それで、医業収益につきましては、ある面、各病院長がかなり努力している部分がございます。今の状態でいきますと地方公営企業法の一部適用でありますので、ある面、企業性、機動性ということにつきましては、確かに欠けている部分があろうかと思います。
照屋守之委員 これまでずっと病院経営をやってきていますね。これはやっぱりもうそれぞれの病院そのもの自体に経営を任せていく。それはドクターが院長であれば、経営的な能力もしっかり身につけてもらう。今みたいな医師が不足とか、いろんな問題が出ていますよね。それはそれぞれの院長を中心に、そこでいろいろ問題提起をする、改善をしていくというふうなことで、やっぱり権限をもっとしっかり与えて、しっかりとした経営体をつくっていかないことには根本的な改革になりませんね。ですから、これは経営者としての院長という存在はどうなんですか。これはやっぱりドクターイコール経営者というふうな位置づけになっていますか。
知念建次県立病院監 現段階としては、そういう形にきちんとなっているかということについては少し厳しいものがあると考えています。
照屋守之委員 ですから、やっぱり根本的には、もう経営を主体にしてどうしていくかという観点に立たないと、この病院経営そのもの自体は改善しませんよ。ですから、もしそれが今の現状でできないというふうなことであれば、民間からそういう人材を活用して経営を担ってもらうというふうな手法に変えていきませんと、この現状というのはなかなか打開できないのではないですか。私は非常にそう思うんですね。
 ですから、やっぱり公としての病院、いろんな要素があって、離島医療とか、そういうふうなものがありますね。これは公として担わないといけない部分がありますけれども、その1つの経営体としてきちんと中身をチェックしていきながら、先ほどから問題提起されているような、その仕組み自体を根本的につくっていかないと、この病院経営なんて、いつまでたってもどんどん―現状では今、知念県立病院監がこのメンバーで一生懸命頑張っていますよね。それは人間がかわれば、また同じようなものを引き継いで、また繰り返していくということになっていくわけでしょう。ですから、やっぱり根本的に経営をどうしていくか。それぞれの病院経営で、その病院経営をトータルして、今度はまた県全体の病院をどうしていくかという、本当に経営責任というふうな部分をしっかり持たすような形にならないとなかなか難しいと思うんですよ。それで、それぞれの病院は病院長を中心に、医師の方々とか看護師の方々も含めて、その中でいろんな問題があれば、それを改善していくとか、やっぱりそういう仕組みになっていかないと難しいんじゃないですか。できそうですか。
知念建次県立病院監 抜本的な見直しということで、今、地方公営企業法の全部適用という手法を考えています。他の県でもその地方公営企業法の全部適用をやって、経営改善に資したところもありますし、もう1つには、今委員がおっしゃるひとつの経営感覚を持った院長ということで、全国的に、例えば武先生であるとか、あるいは塩谷先生ですか、そういうカリスマ性を持った院長が、ある面、県から県にヘッドハンティングされて、経営を任されている院長があるということも我々は聞いております。そういう面では、地方公営企業法の全部適用にして事業管理者をつくって、その事業管理者に職員の任免権、あるいは組織体制を構築するという権限を、今の財務適用以外にそういう人事権等も付与して、病院事業が自主性、自立性を持って、それで機動性あるいは柔軟に動けるような仕組みをつくることが肝要かと思います。そういう観点からしますと、事業管理者に民間の経営感覚を持ったドクターをヘッドハンティングするという手法も可能でありますし、各院長に権限をかなりの部分で委譲できるということも可能だと思いますので、その辺も含めて、今、総合的に検討しているところでございます。
照屋守之委員 ですから、ぜひそういうことも含めて、公で管理をするということではなくて、民間の方からの起用によって公の病院を管理していくというふうな、そういう仕組みの方がいいかもしれませんね。
 もう1点は、この沖縄県、非常に厳しい採用試験を受けて優秀な職員が採用されるんですね。ところが、そういう経営というふうなものでは、その能力なんて余り身につけていないと思うんですね。だから、私はそういうふうな民間のものも活用しながら、この採用される方、あるいは今いる職員の中に本当に経営のできるような人材を育成していくぐらいのことがこれから必要なんじゃないかなと思うんですよ。せっかく優秀な方々が採用されて、それだけの能力を発揮できる職場で本当に働いているかというと非常に疑問があるんですね。ですから、民間からすると、こういう優秀な人たちが県の方に採用されてというふうな、そういう羨望のまなざしが本当にあるんですよ。ところが、そこに来て、その人たちの能力をもっともっと発揮できて、病院経営とか、いろんな外郭団体の経営とか、そういうふうなものに能力が発揮できれば、もっと県民のためにいいわけですね。ですから、そういうふうなことは、ぜひ総務部関係も含めて、今後の県の人材育成のあり方というふうなものはしっかり検討する必要があると思いますね。その点はどうですかね。
知念建次県立病院監 県庁職員は公務員試験を通ってきているわけですから、確かに御指摘のとおりだと思います。ただ、1つに、県立病院事業という観点から見てみますと、企業局と同様に企業会計でございまして、一般会計と帳簿、帳票のつくり方が違うものですから、そういう面では、病院事業会計にいきなり来たら、予算書を見てもなれない部分というのはあろうかと思います。例えば事務の方たちでいきますと、3年でローテーションで回していくと、なれたころに異動というケースもあります。ただ、ある面、そういうことは病院現場ではできるだけ長くというか、精通した人はそのまま上げていただくような形もお願いしています。ただ、なかなかこちらの思うような形にいっていないのが現状でございます。
 もう1つ、医事職というのがございます。医療事務を扱っている医事職というのがありますけれども、これは一度、この分を採用した事例がありまして、今、各病院現場に30名ほど、その医事職、医療事務の資格を持った人たちがいます。多分、彼らは今30代から40代前後だと思います。その人たちが育っていって、病院経営にリーダーシップをとっていけるような状態になっていけばという期待もある面しています。そういうことを総合的にやりながら、病院事業の運営、経営に力を注いでいく必要があるんじゃないかと考えています。
照屋守之委員 ぜひ人材育成ですね。私が申し上げたいのは、そういう感覚のある人を育てるということなんですね。例えば、こういう数字がありますね。そこの中から問題点を引き出して、こういうところを改善すればもっとよくなるとかというふうな、やっぱりそういう経営というのはその数字をどう生かすかですよね。これだけデータをそろえても、そのままだったら、これは何にもならないわけですよ。そこの中からもう少し改善できるものがあるのかどうかというふうなものが、この中に、私はいろんなヒントが詰まっていると思うんですね。そのいろんな備品を購入したりとか、減価償却費の問題も同じですけれども、例えばここにある利息ですね。借り入れをする利息が、これだけ借り入れをして466億円のものが、現在332億円というふうな残高ですかね。この利息がありますね。借り入れ利息があって、利率は何とかならないかというふうなことも含めて。ですから、そういうふうに目をどこにつけて、この経営そのもの自体を改善していくかというふうな発想が必要だろうと思うんですよ。ですから、そういうのも含めて、ここまで来ていますから、もうなるべく民間の人たちも一緒になって病院経営を考えていくとかというふうなものを、ぜひ御検討をお願いします。
 もう1点は、今申し上げました企業債の利率ですね。7%余りから、つい最近の利率については0.72%とかと幅の広い利率になっていますよね。これは償還期限が平成18年度からというふうなところからありますけれども、この利率、何とか借りかえをしてその利息分を浮かすというふうな、そういうものというのは現状では厳しいんですか、どうですか。
知念建次県立病院監 利率が高い分につきましては、国の財政投融資資金なんです。その財政投融資資金につきましては、地方債許可方針とかそういう面で制限がありまして、借りかえもうまいぐあいにはいかないという制限がございます。
照屋守之委員 ぜひそれも粘って、チャーガーナナランナという努力をしてみてくださいね。
 この病院経営、非常に厳しいような感じがしますけれども、先ほど言いましたように、この30億円の赤字が売り上げの数字からすると7%弱なんですね。これは余り問題ないと思うんですよ。先ほど言いましたように、それぞれの病院も提携しながら、7%チャーガーナナランナというふうなこと、それぞれが努力をしてやっていけば、あと離島とかいろんなもので、どうしてもマイナスが改善できない分については、これはやむを得ませんけれども、改善はできると思いますから、引き続き御努力をお願いして、終わります。
池間淳委員長 以上で県立病院監に対する質疑を集結いたします。
 説明員の皆さん、御苦労さまでした。
 次回は、明 10月19日 水曜日 午前10時から委員会を開きます。
 本日の委員会は、これをもって散会いたします。