陳情文書表

受理番号第28号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和7年2月4日 付託年月日令和7年2月12日
件名 海砂採取の規制強化を求める陳情
提出者*****
要旨

 辺野古新基地建設事業は多くの問題を抱えながらも、昨年12月末、大浦湾海底に敷砂が散布され、本年1月には地盤改良工事のための砂ぐい打設が始まった。今後、同事業では地盤改良工事(敷砂・砂ぐい)やA護岸・ケーソン護岸の中詰材等のために、約400万立方メートルという大量の海砂が必要になる。沖縄の年間海砂採取量はここ数年約80から140万立方メートル程度であるため、3年から5年分もの海砂が辺野古新基地建設事業のために使用される。
 令和6年の海砂採取許可書によると、辺野古関連と思われる海砂採取地は、東村新川沖、名護市北部西海岸沖、名護市北部東海岸沖、伊平屋島沖、渡嘉敷周辺海域等である。海砂採取は、海底の泥を根こそぎポンプで吸い上げ、砂だけをふるい分けた後に、礫・泥等を高濃度の濁水とともに海に戻すという荒っぽい方法で行われるため、沿岸部の自然環境や水産資源、さらに海岸の浸食・砂流出等、深刻な影響を与えるものである。また、住民からは許可区域を無視した岸近くでの採取や早朝・夜間での作業による騒音被害等も訴えられている。今後辺野古新基地建設事業が本格化すれば海砂採取はさらに増大することから、何らかの対応策が必要である。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 西日本各地では海砂採取を全面禁止しているところが多く、その他の府県も年間採取量の総量規制を設けており、何の規制もないのは沖縄だけである。県へも数年前から海砂採取の総量規制等を求める要請が市民団体等から寄せられてきたが、県は海砂利は建設用骨材などとして必要不可欠として、総量規制については慎重に検討していきたいと述べるにとどまっている。このまま大量の海砂採取が始まれば、環境への深刻な影響だけではなく、沖縄沿岸部の海砂が枯渇し、建設用骨材としての需要にも支障を来すおそれもあるため、早急に海砂採取の総量規制に踏み切ること。
2 海砂採取の県の許可書には、海砂利採取要綱の許可の条件以外にも、市町村からの要請、採取船の積載量の順守、損害の賠償等、廃止届、権利の譲渡禁止、認可の取消し、特記事項等の指示事項がある。県は昨秋許可した名護市北部東海岸沖の3件の許可書で、名護市長からの要請として採取区域や採取期間等の説明を関係各区(安部区・嘉陽区・天仁屋区)へ行うこと等を遵守することと指示したが、採取業者は安部区に説明がないまま採取を開始した。その海砂が昨年末から始まった大浦湾の地盤改良工事に使用されている。市民らの通報により、県は当初、採取業者に許可書の内容を遵守することと指示したが、その後、これは許可条件ではないとして、この指示事項が遵守されていないにもかかわらず、採取を認めてしまった。許可に当たり、名護市長からの要請事項を遵守することと強く指示したのだから、当然許可条件と同様に対応すべきである。名護市長からの要請には、ほかにも着手前に1回、着手後は月に1回、採取後6か月及び1年後に各1回海岸線の状況の写真撮影やジュゴン対策等があ
 る。また、特記事項には辺野古新基地建設事業の環境保全措置である、(ジュゴン保護のために)岸から10キロメートル以上離れて航行する等もある。今回のような県の見解ではこれらの指示事項が無視されても対応できないため、採取業者に対して、許可書の許可の条件以外の指示事項についても遵守させるよう厳しく対応すること。