要旨
県の児童相談所は、生後2か月から5歳まで里親が養育してきた児童について、里親委託を解除し強硬的に一時保護した。本来委託解除に際しては、丁寧、段階的に行わなければならず、特に障害(自閉スペクトラム症、アタッチメント形成遅れ、ADHD)を抱えた幼児の場合、分離による混乱や傷つきが起こらないよう慎重な対応が求められる。また、一時保護によるリスクアセスメントがどのように行われたか不透明であり、穏やかに里親宅で育っていた児童を拙速に一時保護したことについて、その緊急性に疑問がある。さらに、真実告知がなされていない中での一時保護であることを考えれば、児童の置かれた状況は深刻であり、子供の最善の利益が守られているとは言い難い。
児童福祉法第1条は、「全ての児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」とうたっている。また、児童相談所運営指針において、児童相談所の役割は、「子どもの置かれた環境の状況等を的確に捉え、個々の子どもや家庭に最も効果的な援助を行い、もって子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護すること」としている。
ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
記
1 児童福祉法の趣旨にのっとり、子供の最善の利益を図ること。
2 沖縄県児童相談所の措置解除に伴う対応及び一時保護の在り方について、検証すること。 |