陳情文書表

受理番号第185号 付託委員会土木環境委員会
受理年月日令和3年9月1日 付託年月日令和3年9月10日
件名 市町村が行う一般廃棄物の適正な処理(広域施設の整備)に対する県の無責任な事務処理の適正化に関する陳情
提出者******
要旨


 浦添市、中城村及び北中城村は、広域施設(浦添市新クリーンセンター)の整備完了時に中城村北中城村清掃事務組合が所有している青葉苑を廃止する前提でごみ処理の広域化を推進しているが、陳情者が環境省及び沖縄防衛局に対して行政文書の開示請求を行ったところ、同省及び同局において広域施設の整備完了時に青葉苑を廃止し得る法的根拠が分かる文書は存在していないとの回答があった。また、陳情者が浦添市及び北中城村に対して公文書開示請求を行ったところ、同市及び同村においても広域施設の整備完了時に青葉苑を廃止し得る法的根拠が分かる文書は存在していないとの回答があった。
 県は第1号法定受託事務として、市町村に対して環境省の交付金に係る事務処理を行っていることから、陳情者が同省に対して行政文書の開示請求を行ったところ、同省は市町村が作成した循環型社会形成推進交付金交付申請書の審査及び交付金交付対象事業の調査を県に「丸投げ」していることが分かった。
 さらに、陳情者が北中城村に公文書開示請求を行ったところ、中城村北中城村清掃事務組合は米軍ごみのうち可燃ごみの処理だけを行っていることが分かった。しかし、防衛省は補助事業者である同組合の責任においてキャンプ瑞慶覧から排出される全ての一般廃棄物(不燃ごみ、粗大ごみ及び資源ごみを含む。)を処理することを補助目的を達成するための条件としている。そして、同組合が所有し、同省の補助対象財産である青葉苑には、焼却炉だけでなく溶融炉、リサイクルプラザ及び建物が含まれている。ちなみに、リサイクルプラザは、一般廃棄物のうち不燃ごみ、粗大ごみ及び資源ごみの処理を行う施設になる。
 また、陳情者が県に対して公文書開示請求を行ったところ、平成29年12月まで米軍ごみの処理を一度も行っていなかった中城村北中城村清掃事務組合が平成26年度から焼却炉に併設されている溶融炉の運用を休止するときに、防衛省の財産処分の承認基準における補助対象財産の経過年数(補助事業者が補助目的のために事業を実施した年数)及び環境省が平成21年度に発出した溶融炉の財産処分に関する通知(環廃対発第100319001号)を無視して、県が同組合に技術的援助を与えていたことが分かった。
 地方財政法第2条第1項の規定は、地方公共団体が国の財政や他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行ってはならないと規定している。したがって、ごみ処理の広域化に当たり複数の市町村が国の財政的援助を受けて整備している既存施設を集約化する場合は、県がその責任において、市町村の策定する既存施設の運用計画及び廃止計画が、国の定める財産処分の承認基準に適合していることを確認する必要がある。
 ついては、下記事項につき配慮してもらいたい。
                 

1 中城村・北中城村エリアのごみ処理事業に対する県の無責任な事務処理により、2村の住民が広域施設の整備完了時に無条件で青葉苑(溶融炉、リサイクルプラザ及び建物を含む。)を廃止し得ると考えている可能性があるので、県はそのことに留意して適切な事務処理を行うこと。
2 浦添市、中城村及び北中城村が環境省の交付金を利用して広域施設の整備完了時に、中城村北中城村清掃事務組合が防衛省の補助金を利用して整備した青葉苑(溶融炉、リサイクルプラザ及び建物を含む。)を廃止し得る法的根拠について、組合が沖縄防衛局に対して文書で確認して県に対して当該文書の写しを提出するように求めるとともに、組合が県に提出した文書の写しを土木環境委員会に開示すること。
3 浦添市、中城村及び北中城村のごみ処理の広域化に当たり、環境省は、県が1市2村に対して必要な技術的援助を与えているとの前提で1市2村に対して財政的援助を与えているので、県はそのことに十分に注意して適切な事務処理を行うこと。
4 環境省が焼却炉に併設されている溶融炉の財産処分について、平成21年度に発出した通知(環廃対発第100319001号)において、溶融炉の財産処分に当たり最終処分場の整備を求めていた理由を、県は同省に確認し、中城村、北中城村及び中城村北中城村清掃事務組合に周知すること。
5 環境省が焼却炉に併設されている溶融炉の運用を1年以上休止している市町村(一部事務組合を含む。)を対象に平成27年度及び令和2年度に発出した通知(環廃対発第1504281号及び環循適発第2103032号)において、溶融炉の廃止に当たり最終処分場の整備を求めている理由について、県は同省に確認し、中城村、北中城村及び中城村北中城村清掃事務組合に周知すること。
6 浦添市、中城村及び北中城村のごみ処理の広域化に当たり、防衛省、環境省及び県が、国による補助金等の執行を監督している会計検査院の検査を受ける可能性があるので、県は常にそのことを想定して適切な事務処理を行うこと。